(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】難燃性ポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/06 20060101AFI20240719BHJP
C08G 69/26 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C08L77/06
C08G69/26
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024505365
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 GB2022051604
(87)【国際公開番号】W WO2023007116
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317013603
【氏名又は名称】インヴィスタ テキスタイルズ(ユー.ケー.)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ガレッジ,アレクサンダー エル.
(72)【発明者】
【氏名】アイヴァーソン,アイザック ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】リム,チー セルン
(72)【発明者】
【氏名】ラングリック,チャールズ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】サルゾッティ,デボラ エム.
【テーマコード(参考)】
4J001
4J002
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB04
4J001EB08
4J001EB36
4J001EB37
4J001EC08
4J001EC13
4J001EE28C
4J001FB06
4J001FC06
4J001JB19
4J002CL031
4J002DE126
4J002DH056
4J002DK006
4J002EU186
4J002EU196
4J002EW136
4J002EW156
4J002FD010
4J002FD136
(57)【要約】
本発明は、a)i)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと、ii)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーであって、第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと第2の縮合ポリアミドとの質量比が、≧85:15~≦99:1である、ランダムコポリマーと、b)≧5重量%~≦25重量%の非ハロゲン化難燃性添加剤と、を含み、垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定される組成物の難燃性(FR)性能が、ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になる対照のFR性能を超え、物質組成物が、対照と比較して≧50%~≦80%の非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、物質組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質組成物であって、
a)
i)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと、
ii)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーであって、
前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと前記第2の縮合ポリアミドとの質量比が、≧85:15~≦99:1である、ランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%の非ハロゲン化難燃性添加剤と、を含み、
垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定される前記組成物の難燃性(FR)性能が、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になる対照の前記FR性能を超え、前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、物質組成物。
【請求項2】
対照と比較して同様の又は改善された難燃性(FR)性能を有するランダムコポリマーを含む物質組成物を提供する目的のための前記ランダムコポリマーの使用であって、前記難燃性(FR)性能が、垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL 94)に従った燃焼性測定によって測定され、前記物質組成物が、
a)
i)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと、
ii)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、の前記ランダムコポリマーであって、
前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと前記第2の縮合ポリアミドとの質量比が、≧85:15~≦99:1である、ランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%の非ハロゲン化難燃性添加剤と、を含み、前記対照が、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になり、
前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、使用。
【請求項3】
前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドが、分岐ジアミン及び芳香族二酸から選択される0.1重量%未満のモノマーを含有する、請求項1に記載の組成物又は請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記非ハロゲン化難燃性添加剤が、非ハロゲン化リン含有難燃性添加剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項5】
前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤が、非ハロゲン化リン含有難燃性(FR)添加剤であり、前記組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化リン含有難燃性(FR)添加剤を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項6】
前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドが、PA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1012、PA1212、PA66/6T、PA6I/6T、PA66/6I/6T又はブレンド、例えばPA6/PA66、ポリヘキサメチレンデカンアミド(N610)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(N612)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(N46)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(N69)、ポリデカメチレンセバカミド(N1010)、ポリドデカメチレンドデカンアミド(N1212)、ナイロン6(N6)、ナイロン11(N11)、ポリラウロラクタム(N12)のうちの少なくとも1つを含み、
好ましくは、前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドが、PA66を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項7】
前記分岐ジアミンが、C
4~C
12ジアミンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項8】
前記分岐ジアミンが、1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,7-ジメチルオクタメチレンジアミン、及び2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミンのうちの少なくとも1つであり、好ましくは、前記分岐ジアミンは、2-メチルペンタメチレンジアミンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項9】
前記芳香族二酸が、モノマー単位当たり≧1~≦3個の芳香環を含有するC
5~C
12二酸である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項10】
前記芳香族二酸が、式HO-C(O)-R
1-C(O)-OH(式中、変数R
1は、置換又は非置換フラン、ベンゾフラニル、フェニル、ナフチル、アントラセニルであり、好ましくはR
1は、フェニルである)の少なくとも1つの二酸を含む、請求項9に記載の組成物又は使用。
【請求項11】
前記芳香族二酸が、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸、好ましくはイソフタル酸を含む、請求項10に記載の組成物又は使用。
【請求項12】
前記ランダムコポリマーが、≧85:15~≦99:1、好ましくは≧90:10~≦97:3のn-6,6と(D+I)との重量比を有するn-6,6/DIである、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項13】
前記非ハロゲン化難燃性添加剤が、
a)ジアリールホスフィン酸又はジアリールホスホン酸又はジアルキルホスフィン酸又はジアルキルホスホン酸などの有機リン系酸、及びそれらの塩(金属塩及び有機塩を含む)、
b)ジヒドロオキサホスファフェナンスレン(DOPO)及びその誘導体、
c)ポリホスファゼン、
d)メラミン及びその塩を含む有機窒素系FR添加剤、
e)ホウ酸金属塩を含むホウ素系FR添加剤、並びに
f)シリコーンなどのケイ素系FR添加剤、からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物又は使用。
【請求項14】
前記非ハロゲン化難燃性添加剤が、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスフェート、三酸化アンチモン、脱水ホウ酸亜鉛、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載の組成物又は使用。
【請求項15】
物質組成物であって、
a)
(1)分岐ジアミン及び芳香族二酸から選択される0.1重量%未満のモノマーを含有する第1の脂肪族縮合ポリアミドと、
(2)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーと、
b)ハロゲンフリーリン含有難燃性(FR)添加剤と、を含み、
i)前記第1の脂肪族縮合ポリアミドa)(1)と前記第2の縮合ポリアミドa)(2)との重量比が、≧90:10~≦94:6であり、
ii)Underwriters Laboratories規格(UL94)垂直燃焼試験によって測定される前記ランダムコポリマーの難燃性性能が、
(1)a)(1)の前記第1の脂肪族縮合ポリアミドと、
(2)≧0~≦0.1重量%のa)(2)の前記第2の縮合ポリアミドと、
(3)同じ(すなわち、添加剤の重量に基づいて±0.5%)量のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超え、ii)(1)の前記第1の脂肪族縮合ポリアミド及びa)の前記ランダムコポリマーが、両方とも同じギ酸相対粘度(RV)(すなわち、互いに±3以内)及び同じアミン末端基AEG(すなわち、互いに±5以内)によって特徴付けられ、
前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記ハロゲンフリーリン含有FR添加剤を含有する、物質組成物。
【請求項16】
前記組成物及び前記対照が、両方とも≧5重量%~≦25重量%の前記ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記第1の脂肪族縮合ポリアミドが、脂肪族ジアミンを含む直鎖脂肪族縮合ポリアミドである、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
前記分岐ジアミンが、
a)≧0~≦1、
b)≧0.2~≦0.8、及び
c)≧0.25~≦0.75、からなる群から選択される炭素分岐比によって特徴付けられるC
4~C
12ジアミンであり、
前記炭素分岐比は、脂肪族炭素が分子の主鎖に対して分岐に存在する程度として定義される、請求項15~17に記載の組成物。
【請求項19】
前記分岐ジアミンが、1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、及び2-メチルペンタメチレンジアミンのうちの少なくとも1つであり、好ましくは前記分岐ジアミンは、2-メチルペンタメチレンジアミンである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記芳香族二酸が、モノマー単位当たり≧1~≦3個の芳香環を含有するC
5~C
12二酸である、請求項15~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記芳香族二酸が、請求項6に記載の組成物のうちの少なくとも1つを含み、前記芳香族二酸は、式HO-C(O)-R
1-C(O)-OH(式中、変数R
1は、置換又は非置換フラン、ベンゾフラニル、フェニル、ナフチル、アントラセニルであり、好ましくはR
1は、フェニルである)の少なくとも1つの二酸を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記芳香族二酸が、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸、好ましくはイソフタル酸を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤が、
a)ジアリールホスフィン酸又はジアリールホスホン酸又はジアルキルホスフィン酸又はジアルキルホスホン酸などの有機リン系酸、及びそれらの塩(金属塩及び有機塩を含む)、
b)ジヒドロオキサホスファフェナンスレン(DOPO)及びその誘導体、並びに
c)ポリホスファゼン、からなるリン系FR添加剤からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項15~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤が、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスファート、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
物質組成物であって、
a)≧85:15~≦99:1のn-6,6と(D+I)との重量比を有するn-6,6/DIのランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含み、
i)UL94垂直燃焼試験によって測定される、(a)及び(b)を含む前記組成物の性能が、
1.≦0.1重量%の(D+I)を含有するナイロン-6,6であって、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸RV及び±5のAEGによって特徴付けられる、ナイロン-6,6と、
2. ≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超え、
(a)及び(b)を含む前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を含有する、物質組成物。
【請求項26】
前記難燃性添加剤が、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスファート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記分岐ジアミンが、製造プロセスから回収され、対応するC
4~C
12分岐ジアミンに変換され、前記分岐ジニトリルを燃料として燃焼させる代わりにポリマーに組み込まれる、1つ以上のC
4~C
12分岐ジニトリルから得られる、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記分岐C
4~C
12ジニトリルが、2-エチルスクシノニトリル及び2-メチルグルタロニトリルを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
対照と比較して同様の又は改善された難燃性(FR)性能を有するランダムコポリマーを含む物質組成物を提供する目的のための前記ランダムコポリマーの使用であって、前記難燃性(FR)性能が、垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定され、前記物質組成物が、
a)
(1)分岐ジアミン及び芳香族二酸から選択される0.1重量%未満のモノマーを含有する第1の脂肪族縮合ポリアミドと、
(2)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーと、
b)ハロゲンフリーリン含有難燃性(FR)添加剤と、を含み、前記対照が、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になり、
前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、使用。
【請求項30】
対照と比較して同様の又は改善された難燃性(FR)性能を有するランダムコポリマーを含む物質組成物を提供する目的のための前記ランダムコポリマーの使用であって、前記難燃性(FR)性能が、垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定され、前記物質組成物が、
a)≧85:15~≦99:1のn-6,6と(D+I)との重量比を有するn-6,6/DIのランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含み、
前記対照が、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になり、
前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、使用。
【請求項31】
前記物質組成物が、請求項16~24又は26~28のいずれか一項に定義される通りのものである、請求項29又は30に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、物品及び成形部品に使用するための変性ナイロンポリマー樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ホモポリマー、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA66又はN66として当該技術分野で一般的に知られている)は、溶融状態から冷却されると非常に急速に結晶化することができる。N66結晶化速度は、温度に強く依存することが知られており、約220℃で最大速度に達する。この温度では、結晶化の速度論的半減期(t1/2)は約1分である。いくつかのポリマー用途に関して、これは、ガラス繊維(すなわちglass fiber、GF)強化樹脂からの成形部品の表面外観及び寸法安定性などに関して不利であり得る。N66ベースのコポリマーは、結晶化速度を十分に遅くした場合に、より良好な結果を与えることができる。
【0003】
60~99.5モル%のヘキサメチレンアジパミド単位及び0.5~40モル%の2-メチル-ペンタメチレンアジパミド単位を含む脂肪族ナイロンコポリアミドは、米国特許第5,194,578号に記載されている。この開示は、コポリアミドの繊維及び織物用途に関する。
【0004】
米国特許第10,711,104(B2)号は、約65~約95重量%の脂肪族ポリアミドと、約40~約60mol%の2-メチル-1,5-ペンタメチレンテレフタルアミド(「2-methyl-1,5-pentamethyleneterephthalamide、MPMD-T」)ユニット及び約40~約60mol%の2-メチル1,5-ペンタメチレンイソフタルアミド(「2-methyl-1,5-pentamethyleneisophthalamide、MPMD-I」)ユニットを含有するコポリアミドとを含む組成物に関する。
【発明の概要】
【0005】
ハロゲンフリーリン含有難燃性(flame retardant、FR)添加剤に対して改善された感度を呈する組成物が開示される。当業者によって理解されるように、ハロゲンフリーリン含有FR添加剤に対する改善された感度は、同じ難燃性性能を達成するために、組成物中により少ないハロゲンフリーリン含有FR添加剤が必要とされることを意味する。したがって、得られる組成物は、より少ない材料が使用されるので、改善された持続性を有する。加えて、当該技術分野において典型的に使用されるハロゲンフリーリン含有FR添加剤が、高価であることを考慮すると、より少ないハロゲンフリーリン含有を含む得られる組成物は、より経済的である。
【0006】
本発明は、物質組成物であって、
a)
i)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと、
ii)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーであって、
第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと第2の縮合ポリアミドとの質量比が、≧85:15~≦99:1である、ランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%の非ハロゲン化難燃性添加剤と、を含み、
垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定される組成物の難燃性(FR)性能が、ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(relative viscosity、RV)及び±5のアミン末端基(amine end group、AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になる対照のFR性能を超え、物質組成物が、対照と比較して≧50%~≦80%の非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、物質組成物に関する。
【0007】
本明細書で使用するとき、「~から本質的になる(consists essentially of)」又は「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、特定の更なる成分が、それらが組成物の本質的な特徴に実質的に影響を及ぼさないという条件で、存在し得ることを意味する。したがって、対照がナイロン-6,6から本質的になる場合、これは、対照が、対照の本質的な特徴に実質的に影響を及ぼすいかなる他の成分も含まないことを意味する。特に、対照がナイロン-6,6から本質的になる場合、それは、いかなる他のポリアミド又はいかなる他のジアミン若しくは二酸モノマーも含まない。
【0008】
理解されるように、本明細書に記載される対照は、ポリアミドの同一性及び存在するFR添加剤の量を除いて、物質組成物と同一である。
【0009】
本発明はまた、対照と比較して同様の又は改善された難燃性(FR)性能を有する当該ランダムコポリマーを含む物質組成物を提供する目的のためのランダムコポリマーの使用に関し、難燃性(FR)性能は、垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定され、当該物質組成物が、
a)
i)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと、
ii)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、の当該ランダムコポリマーであって、
第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと第2の縮合ポリアミドとの質量比が、≧85:15~≦99:1である、ランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%の非ハロゲン化難燃性添加剤と、を含み、
当該対照は、当該ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になり、
当該物質組成物は、当該対照と比較して≧50%~≦80%の非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する。
【0010】
本明細書で使用するとき、「非ハロゲン化」及び「ハロゲンフリー」という用語は、いかなる炭素-ハロゲン結合も含有しない難燃性添加剤を指すために互換的に使用される。
【0011】
好ましくは、ハロゲンフリー難燃性(FR)添加剤は、ハロゲンフリーリン含有FR添加剤である。したがって、本発明による組成物は、対照と比較して≧50重量%~≦80重量%のハロゲンフリーリン含有FR添加剤を含有することができる。
【0012】
有利には、本発明による組成物は、いかなるFR性能(垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定される)も損なうことなく、対照と比較して≧50重量%~≦80重量%のFR添加剤を含有することができる。
【0013】
更に、本発明による組成物は、有利には、いかなる機械的強度(例えば、降伏応力、引張強度、破断点伸び、弦弾性率、ノッチ付きシャルピー、及び/又はノッチなしシャルピー)も損なうことなく、対照と比較して≧50重量%~≦80重量%のFR添加剤を含有することができる。実際、本発明による組成物は、ナイロン-6,6から本質的になる対照難燃性試験片と比較して改善された機械的強度を有する難燃性試験片を提供し、組成物は、対照組成物と比較して≧50%~≦80%の非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する。
【0014】
好ましくは、第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと第2の縮合ポリアミドとの質量比は、≧90:10~≦97:3である。
【0015】
好適な第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドは、PA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1012、PA1212、PA66/6T、PA6I/6T、PA66/6I/6T、又はブレンド、例えばPA6/PA66、ポリヘキサメチレンデカンアミド(N610)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(N612)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(N46)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(N69)、ポリデカメチレンセバカミド(N1010)、ポリドデカメチレンドデカンアミド(N1212)、ナイロン6(N6)、ナイロン11(N11)、ポリラウロラクタム(N12)のうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、本発明による組成物中の第1の直鎖縮合ポリアミドは、PA66である。
【0016】
分岐ジアミンは、C4~C12ジアミンであり得る。
【0017】
例えば、分岐ジアミンは、1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,7-ジメチルオクタメチレンジアミン、及び2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミンのうちの少なくとも1つであり得る。好ましくは、本発明による組成物中の分岐ジアミンは、MPMDとも称される2-メチルペンタメチレンジアミンである。
【0018】
好適な芳香族二酸としては、モノマー単位当たり≧1~≦3個の芳香環を含有するC5~C12二酸が挙げられる。
【0019】
好適な芳香族二酸としては、式HO-C(O)-R1-C(O)-OH(式中、変数R1は、置換又は非置換のフラン、ベンゾフラニル、フェニル、ナフチル、アントラセニルである)の少なくとも1つの二酸が更に挙げられる。
【0020】
好ましくは、芳香族二酸は、テレフタル酸及びイソフタル酸のうちの1つ以上を含むことができる。より好ましくは、芳香族二酸は、イソフタル酸を含む。
【0021】
好ましくは、本発明による組成物は、≧85:15~≦99:1のn-6,6と(D+I)との重量比を有するn-6,6/DIからなるか、又はそれから本質的になるランダムコポリマーを含む。より好ましくは、本発明による組成物は、≧90:10~≦97:3のn-6,6と(D+I)との重量比を有するn-6,6/DIからなるか、又はそれから本質的になるランダムコポリマーを含む。
【0022】
開示される組成物は、非ハロゲン化難燃性添加剤、例えば、炭素-ヨウ素、炭素-臭素、又は炭素-塩素結合のいずれも含有しないものを含む。開示された組成物は、単独で、又はジアリールホスフィン酸、ジアリールホスホン酸、ジアルキルホスフィン酸、又はジアルキルホスホン酸などの有機リン系酸、及びそれらの塩(金属塩及び有機塩を含む)、ジヒドロオキサホスファフェナンスレン(dihydrooxaphosphaphenanthrene、DOPO)及びその誘導体、ポリホスファゼンを含むリン系FR添加剤;メラミン及びその塩を含む有機窒素系FR添加剤;金属ホウ酸塩を含むホウ素系FR添加剤;並びにシリコーンなどのケイ素系FR添加剤と組み合わせて非ハロゲン化難燃性添加剤を含むことができる。好ましくは、非ハロゲン化難燃性添加剤は、非ハロゲン化リン含有(すなわち、リン系)難燃性添加剤である。
【0023】
非ハロゲン化難燃性添加剤は、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスフェート、三酸化アンチモン、脱水ホウ酸亜鉛、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0024】
様々な市販の難燃性添加剤の非限定的な例としては、BASF Melapur(商標)MC25ハロゲンフリー難燃剤、又はBASF Irganox(登録商標)B1171ポリマー添加剤製品、Campine NYからのMastertek(登録商標)三酸化アンチモン濃縮マスターバッチ、Clariant Exolit(登録商標)OP1314又はOP1400非ハロゲン化有機ホスフィン酸塩難燃剤、Presafer(Quingyuan)Phosphor Chemical Co.Ltd.Preniphor(商標)EPFR-MPP300ハロゲンフリーメラミンポリホスフェート難燃剤、Albemarle SAYTEX(登録商標)HP 7010臭素系難燃剤、Campine PA 261717ナイロン6中の三酸化アンチモン[CAS番号1309-64-4]の50%マスターバッチ、Borax Europe Ltd Firebrake(登録商標)500脱水ホウ酸亜鉛系難燃剤、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0025】
a)
(1)分岐ジアミン及び芳香族二酸から選択される0.1重量%未満のモノマーを含有する第1の脂肪族縮合ポリアミドと、
(2)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーと、
b)ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む物質組成物であって、
i)第1の脂肪族縮合ポリアミド(1)と第2の縮合ポリアミド(2)との重量比が、≧90:10~≦94:6であり、
ii)UL94垂直燃焼試験によって測定されるランダムコポリマーの難燃性(FR)性能が、
(1)第1の脂肪族縮合ポリアミド、
(2)≧0~≦0.1重量%の第2の縮合ポリアミド、及び
(3)同じ(添加剤の重量に基づいて±0.5%)量のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超え、(ii)(1)の当該第1の脂肪族縮合ポリアミド及び(a)のランダムコポリマーが、両方とも同じギ酸相対粘度(RV、すなわち、互いに±3以内)及び同じアミン末端基(AEG、すなわち、互いに±5以内)によって特徴付けられ、物質組成物が、対照と比較して≧50%~≦80%のハロゲンフリーリン含有FR添加剤を含有する、物質組成物が更に開示される。
【0026】
直前に記載した組成物について、本発明による組成物及び対照は、両方とも≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を更に含むことができる。
【0027】
有利なことに、本発明の組成物は、改善されたFR添加剤感度を有する一方で対照として≧50重量%~≦80重量%のハロゲンフリーリン含有FR添加剤を含有する。
【0028】
好ましくは、第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドは、脂肪族ジアミンを含む。
【0029】
分岐ジアミンは、
a)≧0~≦1、
b)≧0.2~≦0.8、及び
c)≧0.25~≦0.75からなる群から選択される炭素分岐比(本明細書で定義される)によって特徴付けられるC4~C20ジアミンであり得る。
【0030】
特定のFR感度が観察され得る実施形態では、分岐ジアミンは、ESN(すなわち、2-エチルスクシノニトリル)及びMPMD(すなわち、2-メチルペンタメチレンジアミン)のうちの少なくとも1つであり得る。
【0031】
開示される組成物は、モノマー単位当たり≧1~≦3個の芳香環を含有するC4~C12二酸などの芳香族二酸を含むことができ、例えば、芳香族二酸は、式HO-C(O)-R1-C(O)-OH(式中、変数R1は、置換又は非置換フラン、ベンゾフラニル、フェニル、ナフチル、アントラセニルである)の少なくとも1つの二酸を含む。芳香族二酸は、テレフタル酸及びイソフタル酸から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0032】
a)≧85:15~≦99:1のn-6,6とDIとの重量比を有するn-6,6/DIのランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む物質組成物であって、
i)UL94垂直燃焼試験によって測定される、(a)及び(b)を含む組成物のFR性能が、
(i)≦0.1重量%のDIを含有するナイロン-6,6であって、ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸RV及び±5以内のAEGによって特徴付けられる、ナイロン-6,6、並びに
(ii)≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超え、
(a)及び(b)を含む物質組成物が、対照と比較して≧50%~≦80%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を含有する、物質組成物が更に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
「ナイロン-6」、「ポリアミド6」、「PA6」、「N6」という用語は、互換的に使用され、カプロラクタムから形成されるホモポリアミドであるポリカプロアミドを指す。
【0034】
「ナイロン-6,6」、「ポリアミド66」、「PA66」、「N66」、「ナイロン6-6」、「n-6,6」、又は「ナイロン6/6」という用語は、互換的に使用され、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylene diamine、HMD)とアジピン酸(adipic acid、AA)との間の重縮合反応によって形成されるポリアミドであるポリヘキサメチレンアジパミドを指す。
【0035】
本明細書で使用するとき、「PA66(20-36RV)」は、20~36の相対粘度(RV)を有するポリヘキサメチレンアジパミドを指す。このようなポリアミドは、国際特許公開第2019/125379(A1)号に記載されており、INVISTA IntermediatesからHYPERFLOW(商標)ポリアミドの商標で市販されている。
【0036】
本明細書で使用するとき、「PA66/DI」は、N66塩溶液をDI塩溶液と合わせることによって形成されるコポリアミドのタイプを指し、「D」は2-メチル-1,5-ペンタメチレンジアミン(MPMDとしても知られる)の略語であり、「I」は市販されているイソフタル酸の略語である。MPMDは、INVISTA S.a r.1.に対する登録商標下でDYTEKA(登録商標)Aアミン(CAS登録番号15520-10-2)として市販されている。PA66/DIは、質量基準で約80~99%のPA66及び約1~20%のDIを含有し得、例えば、PA66:DIに対して約(重量:重量基準)99:1又は97:3又は95:5又は92:8又は90:10又は85:15又は80:20を乾燥基準で塩に対して達成した。PA66/DI中の「DI」部分は、約50:50(モル)又は約40:60D:I(質量比)である。PA66/DIは、ヘキサメチレンアジパミドと2-メチル-1,5-ペンタメチレン-イソフタルアミドとのコポリマーとして知られている。例で使用されるPA66/DIは、45の相対粘度(RV)を有する。しかしながら、PA66/DIについてのRV範囲は、35~60であり得、40~80meg/kg、例えば、60~80meg/kg、又は65meg/kg、又は70meg/kgのアミン末端基(AEG)を含有し得る。標準的なバッチ蒸発及びバッチオートクレーブ重合プロセスを使用してコポリマーを生成する。これらの方法は、当業者に一般的に知られている重合プロセスである。
【0037】
本明細書で使用するとき、「PA66/D6」は、PA66塩溶液をD6塩溶液(「D」は、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジアミン(MPMD)の略語であり、「6」は、アジピン酸、C6ジカルボン酸を指す)と合わせることによって形成されるコポリアミドのタイプを指し、約(重量:重量基準で)90:10又は87:13又は85:15又は82:18又は80:20又は75:25又は70:30を約PA66/D6に対して乾燥基準で塩に対して達成した。標準的なバッチ蒸発及びバッチオートクレーブ重合プロセスを使用してコポリマーを生成する。二酸等価物はアジピン酸であり、「6」と略され、上記と同じジアミン「D」とともに使用される。このコポリアミド樹脂は、45の計算されたギ酸溶液RV、0.144重量%の水分、及び約150℃での最大結晶化速度を有する。PA66塩溶液をD6塩溶液と合わせて、乾燥基準で塩に対して70/30質量比を使用することによって作製されたコポリアミドN66/D6(70/30)が開示される。標準的なバッチ蒸発及びバッチオートクレーブ重合プロセスを使用してコポリマーを生成する。二酸等価物は、6炭素ジカルボン酸であるアジピン酸である。
【0038】
本発明は、有利には5~15mol%のHMDのD置換及び5モル%~15モル%のアジピン酸のイソフタル酸(I)置換を有するN66/DIのランダムコポリマーを含む、それからなる、又はそれから本質的になり、N66ホモポリマーよりも遅い結晶化速度を有する変性ナイロンを提供し、これは、押出成形部品及び成形部品において改善された表面外観及び光沢を更に有利に提供することができる。
【0039】
本開示で使用される「炭素分岐比」という用語は、分子の主鎖に対して分岐に脂肪族炭素が存在する程度を表す。例えば、イソブタンは、1:3(すなわち、0.33)の炭素分岐比に対して、分岐に1個の炭素を有し、主鎖に3個の炭素を有する。MPMDは、6個(6)の炭素原子を含有し、そのうちの1個は、1:5(すなわち、0.2)の炭素分岐比で分岐に存在する。2-エチル-ブタンジアミンは、6個(6)の炭素原子を含有し、そのうちの2個は、2:4(すなわち、0.5)の炭素分岐比で分岐に存在する。1,6-ヘキサメチレンジアミン(HMD)は、6個(6)の炭素原子を含有し、そのうちのいずれも0:6(すなわち、0)の炭素分岐比で分岐に存在しない。当業者には理解されるように、直鎖脂肪族の分岐比は、常にゼロである。
【0040】
ポリアミドは、ジカルボン酸及び二酸誘導体並びにジアミンの重合によって製造することができる。場合によっては、アミノカルボン酸、アミノニトリル、又はラクタムの重合によってポリアミドを生成することもできる。ジカルボン酸成分は、好適には、分子式HO2C-R1-CO2H;(式中、R1は、二価の脂肪族、脂環式、又は芳香族ラジカル、又は共有結合を表す)の少なくとも1つのジカルボン酸である。R1は、好適には、2~20個の炭素原子、例えば2~12個の炭素原子、例えば2~10個の炭素原子を含む。例えば、R1は、2~12個の炭素原子、又は2~10個の炭素原子、例えば、2、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、例えばアルキレンラジカルである。R1は、直鎖又は分岐鎖、例えば直鎖の、2~12個の炭素原子、又は2~10個の炭素原子、例えば、2、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、非置換フェニレンラジカル、又は非置換シクロヘキシレンラジカルであり得る。任意選択で、R1は、1つ以上のエーテル基を含有してもよい。
【0041】
好適なジカルボン酸の具体例としては、ヘキサン-1,6-二酸(アジピン酸)、オクタン-1,8-二酸(スベリン酸)、デカン-1,10-二酸(セバシン酸)、ドデカン-1,12-二酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサン二酢酸、1,3-シクロヘキサン二酢酸、ベンゼン-1,2-ジカルボン酸(フタル酸)、ベンゼン-1,3-ジカルボン酸(イソフタル酸)、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸(テレフタル酸)、4,4’-オキシビス(安息香酸)、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。好適なジカルボン酸は、ヘキサン-1,6-二酸(アジピン酸)である。
【0042】
ジアミン成分は、好適には、式H2N-R2-NH2;(式中、R2は、二価の脂肪族、脂環式、又は芳香族ラジカルを表す)の少なくとも1つのジアミンである。R2は、好適には、2~20個の炭素原子、例えば4~12個の炭素原子、例えば4~10個の炭素原子を含む。例えば、R2は、4~12個の炭素原子、又は4~10個の炭素原子、例えば、2、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、例えば直鎖アルキレンラジカルである。R2は、直鎖又は分岐鎖、例えば直鎖の、4~12個の炭素原子、例えば4~10個の炭素原子、例えば、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレンラジカル、非置換フェニレンラジカル、又は非置換シクロヘキシレンラジカルであり得る。任意選択で、R2は、1つ以上のエーテル基を含有してもよい。
【0043】
好適なジアミンの具体例としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,7-ジメチルオクタメチレンジアミン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ベンゼン-1,2-ジアミン、ベンゼン-1,3-ジアミン、及びベンゼン-1,4-ジアミンが挙げられる。好適なジアミンは、ヘキサメチレンジアミンである。
【0044】
芳香族二酸は、好適には、式HO-C(O)-R3-C(O)-OHの少なくとも1つの二酸であり、式中、変数R3は、フェニルなどの置換又は非置換アリールである。一態様では、芳香族二酸は、テレフタル酸である。別の態様では、芳香族二酸は、イソフタル酸である。
【0045】
分岐ジアミンは、好適には1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,7-ジメチルオクタメチレンジアミン、及び2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミンから選択される。好ましくは、分岐ジアミンは、2-メチルペンタメチレンジアミンである。
【0046】
ポリアミド樹脂は、触媒を更に含み得る。一態様では、触媒は、ポリアミド樹脂中に、10重量ppm~1,000重量ppmの範囲の量で存在し得る。別の態様では、触媒は、10重量ppm~300重量ppmの範囲の量で存在し得る。
【0047】
触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、次リン酸、アリールホスホン酸、アリールホスフィン酸、これらの塩、及びこれらの混合物などのリン化合物及びオキシリン化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。一態様では、触媒は、次亜リン酸ナトリウム(sodium hypophosphite、SHP)、次亜リン酸マンガン、フェニルホスフィン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスフィン酸カリウム、フェニルホスホン酸カリウム、ビス-フェニルホスフィン酸ヘキサメチレンジアンモニウム、トルイルホスフィン酸カリウム、又はこれらの混合物であり得る。一態様では、触媒は、次亜リン酸ナトリウム(SHP)であり得る。
【0048】
本明細書に記載されるポリアミドは、任意の好適な方式で終端することができる。いくつかの態様では、ポリアミドは、好適な重合開始剤、-H、-OH、-CO2H、-NH2、CO2
-、-NH3
+、独立して-0-、置換又は非置換-NH-、及び-S-から選択される0、1、2、又は3個の基で中断された置換又は非置換(C1~C20)ヒドロカルビル(例えば、(C1~C10)アルキル又は(C6~C20)アリール)、ポリ(置換又は非置換(C1~C20)ヒドロカルビルオキシ)、及びポリ(置換又は非置換(C1~C20)ヒドロカルビルアミノ)から独立して選択される末端基で終端することができる。好ましい実施形態では、ポリアミドは、カルボン酸末端基(-CO2H、-CO2
-)、アミン末端基(-NH2、-NH3
+)、及びアセチル末端基(-CO2Me)から構成される組み合わせによって終端される。
【0049】
好ましくは、本発明の組成物は、90%ギ酸中の8.4重量%溶液で測定した際に、20~60RV、好ましくは22~45又は35~50RVの相対粘度(RV)を有する、本明細書で定義されるランダムコポリマーを含む。
【0050】
好ましくは、本発明の組成物は、40~90meg/kg、好ましくは60~80meg/kgのアミン末端基(AEG)を有する、本明細書で定義されるランダムコポリマーを含む。
【0051】
好ましくは、本発明による組成物は、任意選択で酢酸を含むことができる。好ましくは、本発明によるランダムコポリマーは、任意選択で酢酸を含むことができる。より好ましくは、本発明によるランダムコポリマー(好適には変性ナイロンポリマーとみなすことができる)は、酢酸をコポリマーの約1~約10,000重量パーツパーミリオン(parts per million by weight、ppmw)の量で含み得る。
【0052】
好ましくは、本発明の組成物は、1つ以上の繊維を含む。繊維の非限定的な例としては、炭素繊維、カーボンナノ繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、天然繊維、鉱物繊維、ナノセルロース繊維、木質繊維、非木質植物繊維、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。充填剤の非限定的な例としては、タルク、マイカ、粘土、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、木粉、おがくず、木屑、新聞紙、紙、亜麻、麻、麦わら、もみ殻、ケナフ、ジュート、サイザル麻、ピーナッツ殻、大豆殻、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。好ましくは、本発明の組成物は、1つ以上のガラス繊維を含む。
【0053】
様々な好ましい態様では、本開示は、ガラス繊維充填ポリアミド組成物を提供する。ガラス繊維充填ポリアミド組成物は、好ましくはガラス繊維を含むポリアミドの重量に基づいて、ポリアミドとブレンドされた≧10~≦60重量%のガラス繊維を含む。開示される組成物は、好ましくは全ての添加剤及び充填剤(ガラス繊維を含む)を含む最終ポリアミド組成物の重量に基づいて、≧10重量%~≦60重量%のガラス繊維、例えば、≧15重量%~≦55重量%のガラス繊維、≧20重量%~≦40重量%のガラス繊維、例えば、25重量%又は30重量%又は35重量%又は40重量%又は45重量%又は50重量%のガラス繊維を含有する。
【0054】
本開示において、「ガラス繊維」という用語は、「GF」と略され、これは、ポリマー及び配合産業における標準的な命名法であると理解される。ポリマー試料中のGFの量は、特に明記しない限り、全体の重量%として表される。
【0055】
開示された組成物は、モノマーがヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸を含むものを含む。例えば、開示されたポリアミドは、ポリアミドPA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1012、PA1212、PA6、PA11、PA12、PA66/6T、PA6I/6T、PA66/6I/6T、又はPA6/PA66などのブレンドを含むことができる。命名規則は、当該技術分野において周知であり、例えば、ポリカプロアミド(N6)、ポリヘキサメチレンデカンアミド(N610)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(N612)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(N46)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(N69)、ポリデカメチレンセバカミド(N1010)、ポリドデカメチレンドデカンアミド(N1212)、ナイロン11(N11)、ポリラウロラクタム(N12)、ナイロン6T/DTである。
【0056】
開示される組成物に含めるのに好適な脂肪族縮合ポリアミドとしては、0~1、例えば0.2~0.8、例えば0.25~0.75の炭素分岐比を有するものが挙げられる。
【0057】
本開示の組成物は、任意選択で、化合物の所望の加工特性又は性能特性を得るのに十分な量の従来のプラスチック添加剤を含むことができる。その量は、添加剤の無駄であってはならず、組成物の加工又は性能にも有害であってはならない。熱可塑性樹脂配合の当業者は、過度の実験を行うことなく、Plastics Design Library(elsevier.comウェブサイト)からのPlastics Additives Database(2004)などの論文を参照して、本開示の組成物に含めるための多くの異なるタイプの添加剤から選択することができる。
【0058】
任意選択の添加剤の非限定的な例としては、接着促進剤、殺生物剤、防曇剤、帯電防止剤、酸化防止剤、接着剤、発泡剤、触媒、分散剤、伸長剤、抑煙剤、耐衝撃性改良剤、開始剤、潤滑剤、核剤、顔料、着色剤及び染料、蛍光増白剤、可塑剤、加工助剤、放出剤、シラン、チタネート及びジルコネート、スリップ剤、ブロッキング防止剤、安定剤、ステアレート、紫外線吸収剤、ワックス、触媒不活性化剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
PA66/DI及びPA66/D6調製物:
本明細書で使用される従来のバッチオートクレーブ法によれば、水中の等モル量の二酸及びジアミンから形成される40~60%ポリアミド塩溶液が、約130~160℃の温度及び約180~約690kPa絶対圧で操作される予備蒸発器容器に充填され、ポリアミド塩溶液は約70~80%に濃縮される。この濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器内の圧力が絶対圧で約1100~約4000kPaに上昇するまで加熱を継続する。バッチ温度が約220~260℃に達するまで蒸気を排出する。次いで、圧力をゆっくりと(約30~90分かけて)約100kPa絶対圧以下まで低下させる。ポリマー分子量は、この段階での保持時間及び圧力によって制御される。塩濃度、圧力及び温度は、処理されている特定のポリアミドに応じて変化し得る。所望の保持時間の後、次にポリアミドを次にストランドに押出し、冷却し、ペレット(顆粒としても知られる)に切断する。
【0060】
このバッチプロセスにおいて、リン化合物又は他の添加剤は、重合前に(すなわち、少なくとも1つのポリアミド形成反応物の溶液中に)導入されてもよく、又は重合中の任意の時点で導入することができ、又は重合後に(すなわち、押出機などの従来の混合機器を使用して、ポリアミド溶融物中にリン化合物及び塩基を組み込むことによって)導入することさえできる。リン化合物及び添加剤は、別々に又は一度に導入することができる。酸化及び熱分解に対する保護手段として、リン化合物及び添加剤は、重合プロセスの初期に、例えば重合プロセスの開始時に提供される。固体形態であり得る添加剤は、固体として、又は水溶液の形態で提供することができる。
【0061】
INVISTA S.a.r.1.DYTEK(登録商標)Aアミン(CAS登録番号15520-10-2)とHMDとの予め作製されたアミン混合物を使用することも実現可能であり得る。そのような混合物中の個々の成分強度は、目的の最終n-66/DI重量/重量組成物に依存し得る。そのようなアミン混合物の非限定的な例としては、10:90、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、90:10などのINVISTA DYTEK(登録商標)Aアミン:HMDブレンド(重量:重量)が挙げられ得る。
【0062】
INVISTA Dytek(登録商標)Aアミンは、2-メチルグルタロニトリル(又は「methylglutaronitrile、MGN」)を水素化することによって商業的に生成される。MGNは、アジポニトリル[又は「adiponitrile、ADN」]製造のブタジエン二重ヒドロシアン化プロセスからの副生成物として得られる分岐C6ジニトリルである。そうでなければ処分されるMGN副生成物は、INVISTA Dytek(登録商標)Aアミン又は「D」部分の生成においてリサイクル及び再利用され得、したがって、このプロセスによって生成されたPA66/DIは、「D」部分に由来する再生アミン含有量を有すると考えられる。
【0063】
本開示の一実施形態では、組成物は、製造プロセスから回収され、対応するC4~C12分岐ジアミンに変換され、分岐ジニトリルを燃料として燃焼させる代わりにポリマーに組み込まれる、1つ以上のC4~C12分岐ジニトリルを含んでもよい。非限定的な例では、C4~C12分岐ジニトリルは、2-エチルスクシノニトリル及び2-メチルグルタロニトリルを含む。
【0064】
ポリマー樹脂系の難燃性を評価するために使用され得る様々な試験及び基準が存在する。Underwriters’Laboratories試験番号UL-94は、難燃性熱可塑性化合物についての1つの業界標準試験として機能する。「UL-94 Standard for Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances」は、評価のための試験方法及び基準の詳細を提供する。試験方法ASTM D635は、水平位置におけるプラスチックの燃焼速度及び/又は燃焼範囲及び燃焼時間のための標準試験方法である。試験方法ASTM D3801は、垂直位置における固体プラスチックの比較燃焼特徴を測定するための標準試験方法である。特に明記しない限り、難燃性(FR)性能は、本明細書において、UL-94垂直燃焼試験に従って測定される。
【0065】
限定されないが、燃焼性を評価するための他の試験及び機器、例えば、限界酸素指数(Limiting Oxygen Index、LOI)試験(ASTM 2863)、燃焼中の熱放出の量及び速度を測定するコーン熱量測定装置(ASTM E1354及びISO5660-1規格は、両方ともこの機器に基づいている)、グローワイヤ燃焼性試験(IEC 60695-2-12)、並びにグローワイヤ点火試験(IEC 60695-2-13)が存在する。
【0066】
難燃性を評価するために存在する他の試験としては、煙発生速度、煙による視界低下、煙及び燃焼ガスの毒性を測定する試験が挙げられるが、これらに限定されない。用途特異的である難燃性を評価するための他の試験が存在し、これらとしては、衣料用布帛、室内装飾用布帛、エアバッグ用布帛、カーペット、ラグなどの用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
試験方法
本明細書で使用するとき、以下の用語及び試験手順は、以下のように定義される:
ASTM D789-19-ギ酸溶液相対粘度。
ISO 1183-1:2019-試料の密度。
ISO 527-1:2019-成形及び押出プラスチックの引張弾性率(MPa)試験、材料の破断点伸び%試験、引張強度及び弦弾性率を含む引張特性。ISO 179-2:2020-シャルピー衝撃強度(特に明記しない限り、23℃、kJ/m2)。
ISO 11357-1:2016-プラスチックの融解温度及び結晶化温度のための示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)。
融点(melting point、MP)-示差走査熱量計(differential scanning calorimeter、DSC)(ISO 11357-1:2016に従って測定)において小さい試料の加熱中に生じる吸熱ピーク
溶融粘度(Melt viscosity、MV)-一定力条件下で280℃で測定されるKayness Capillary Rheometerを用いてパスカル秒(Pa・sec)で測定される樹脂のメルトフロー特性の指標。
【0068】
ポリアミド樹脂の分子量は、典型的には、溶液粘度の測定によって推測される。2つの最も一般的な方法は、(i)相対粘度(RV)測定のためのASTM D789-19、及び(ii)粘度数(viscosity number、VN)値を得るために硫酸を使用するISO307:2019である。考慮される粘度値及び傾向は、どの方法が選択されるかにかかわらず、同じ方法によって決定される。
【0069】
樹脂の相対粘度(RV)
ポリアミドは、20~50RVなどの任意の好適なRV(例えば、90%ギ酸中の8.4重量%溶液中で測定される)を有することができる。RVは、ポリアミドと混合されたガラス繊維なしで判定することができ、ポリアミドは、任意選択で、ガラス繊維充填ポリアミド組成物中にあるいかなる他の材料も含まない(例えば、実質的に純粋なポリアミドがRVについて測定される)か、又はこれらの材料は、それらがRVに影響を及ぼす場合など、RV判定中にポリアミド中に任意選択で含まれる。濃縮硫酸中の1重量%溶液など、RVを判定する他の方法が、使用されてもよく、使用される方法と、本明細書で使用される90%ギ酸法での8.4重量%との間のRVの適切な相関が判定され得る。RV測定は、典型的には室温及び大気圧で行われる。
【0070】
特に明記しない限り、実施例で使用される「RV」という用語は、ASTM D789-19に従って室温及び大気圧で90%ギ酸中の8.4重量%溶液中で測定されるポリマー試料の相対粘度を指す。RVは、使用される溶媒の粘度に対する溶液の粘度の比である。溶液は、90%ギ酸中の8.4重量%ポリアミド溶液である。ギ酸が使用される溶媒である。
【0071】
アミン末端基(AEG)
特に明記しない限り、AEGは、プロパン-1-オール中の0.05M過塩素酸を用いて、68%フェノール/メタノール混合物に溶解したポリマーの電位差滴定によって判定される。
【0072】
特に明記しない限り、本明細書で使用するとき、室温は25℃である。
【0073】
特に明記しない限り、本明細書で使用するとき、大気圧は1バールである。
【実施例】
【0074】
本開示の様々な態様は、例示によって提供される以下の実施例を参照して、より良く理解することができる。本開示は、本明細書に記載される実施例に限定されるものではない。
【0075】
以下の実施例では、特に明記しない限り、全て質量又は重量比及び重量百分率(重量%)である。
【0076】
実施例1:
オーバーヘッドスターラー及び凝縮器を装備し、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、7392gの脱塩水、6800g(25.92mol)のナイロン66塩、243.5g(2.095mol)の2-メチルペンタメチレンジアミン、348.0g(2.95mol)のイソフタル酸、7.4g(0.12mol)の酢酸、及び47.0g(0.24mol)の60重量%ヘキサメチレンジアミン水溶液(1330g、11.44mol)を添加した。これにより、N66/DIのモル比が約92.5/7.5であり、アジピン酸及びイソフタル酸の合計モル数に対して0.44mol%の酢酸(最終ポリマーの百万グラム当たり約19.3mol[mol per million gram、mpmg]に相当)並びに、アジピン酸、テレフタル酸、及び酢酸からのカルボン酸基の合計モル数に対して0.86mol%過剰のヘキサメチレンジアミン(HMD)からのアミン基も含有する、強度が約50重量%の溶液が生成された。過剰のヘキサメチレンジアミン(HMD)を添加して、所望のAEG目標(この実施例では65mpmg)を達成し、また重合プロセス中の蒸発損失を補償した。
【0077】
この溶液を、Silwet L7605消泡剤の50重量%水溶液0.51g(最終ポリマーに基づいて活性成分40ppm)とともに、撹拌機を備えた清浄な24L油加熱オートクレーブに添加した。
【0078】
重合プロセスの第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、内容物の温度が約216℃まで上昇するとき、圧力を13分かけて265psiaに上昇させた。第3のサイクルでは、内容物の温度が245℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら42分間排気を継続した。第4のサイクルでは、圧力を33分かけて大気圧まで低下させ、内容物の温度を271℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を適用し、圧力を6分間かけて483ミリバールに低下させ、7分間保持し、真空を窒素で1分間かけて解放し、温度は275℃に達した。第6のサイクルでは、ポリマーを、25psiaの最大窒素圧力を使用して底部押出バルブによってオートクレーブから、冷水が流下する金属キャスティングシュート上に押出し、次いで、凝固したポリマーレースを、冷水の向流とともに第2のシュートに巻き取り、ペレット化ユニットに入れた。
【0079】
ポリマーは、33.8のRV及び67.4mpmgのAEGを有した。RVは、ASTM D789-19に従って90%ギ酸中8.4w/w%で判定し、AEGは、68%フェノール/メタノール混合物に溶解したポリマーをプロパン-1-オール中0.05M過塩素酸で電位差滴定することによって判定した。
【0080】
実施例2~13
実施例2~13のポリマーを実施例1と同様の様式で作製し、実施例1~13についてのRV及びAEGの測定データを以下の表1に示す。表1において、「m%DI」という用語は、配合物中のDIのモル%を表す。「AcOH m%」という用語は、最終ポリマー中に存在する酢酸のモル%を表す。「AcOH mpmg」という用語は、最終ポリマー中に存在する酢酸の百万グラム当たりのモル数(mpmg)を表す。「過剰のHMD(60%)(g)」という用語は、グラムでの60重量%水性HMDの量を表す。「過剰のHMD(m%)」及び「過剰のHMD mpmg」という用語は、それぞれモル%及び百万グラム当たりのモル数(mpmg)での過剰のHMDを表す。
【0081】
【0082】
表1の例において、ナイロン-6,6部分は、m%ナイロン66=100%-m%DIとして判定することができる。したがって、ナイロン-6,6部分は、実施例1~3、実施例7~9、及び実施例11では92.5m%であり、実施例4及び実施例12では94.4m%であり、実施例5~6及び実施例10では96.3m%であり、実施例13については90.6m%である。したがって、表1は、ナイロン66:DI最終生成物の配合は、90:10~97:3(モル:モル)の範囲であり、22~45のRV範囲及び40~90ミリ当量/kg(meq/kg)のAEG範囲を有する。
【0083】
実施例14~20
本開示によれば、表2は、D1及びD6成分と組み合わせて調製することができるナイロン-6,6コポリマーのいくつかの変形例を記載している。表2の実施例14~20は、実施例1と同様の様式で作製した。これらの配合物において、「DI塩」という用語は、2-メチルペンタメチレンジアミン(MPMD、INVISTAによってDytek(登録商標)Aアミンの商標で販売されている)及びイソフタル酸から得られるアミド塩を表し、2-メチルペンタメチレンイソフタルアミドとして知られている。「D6塩」という用語は、2-メチルペンタメチレンジアミン及びアジピン酸から得られるアミド塩を表し、2-メチルペンタメチレンアジパミドとして知られている。
【0084】
【0085】
表2のいくつかのナイロン-6,6配合物をガラス繊維(GF)と配合し、これらのGF強化試験片について寸法特性及び機械特性を測定した。結果を表3に示す。GF強化材は、表3に示すように、最終ポリマー質量基準で30~50重量%の範囲であった。比較のために、30重量%のGFで強化された高AEG(60~90)ナイロン66試験片並びに50重量%のGFで強化された標準48RV及び50AEGナイロン66試験片も試験した。
【0086】
【0087】
実施例21~26
実施例21~26は、表4に提供される配合に従って調製し、耐火性能を測定した。参考例21及び23は、INYISTA HyperFlow(商標)U2501 PA66樹脂(0重量%のDIを含有する)を含有するが、実施例25及び26は、実施例14のコポリマー(92/8n-66/DI(重量/重量)である)を含有し、実施例22及び23は、INYISTA HyperFlow(商標)U2501 PA66樹脂と実施例14のコポリマーとの組み合わせを含有する。
【0088】
【0089】
実施例27A-L
【0090】
【0091】
使用した二軸スクリュー配合機は、48L/D(すなわち、48のL/D比)を有する26mm直径の共回転スクリューであった。表5の配合では、供給原料樹脂中の水分レベルは、0.5重量%未満であった。ポリマー供給原料及び熱安定剤[例えば、Americahemから市販されているCu系添加剤]を98.5%対1.5%比(重量/重量)で予備混合した。使用したガラス繊維は、Nippon Electric Glass[NEG]から市販されている。全ての供給物を二軸スクリュー配合機メインホッパーに充填し、条件を表5に詳述するように実施した。
【0092】
次いで、実施例27A~Lの機械的特性を測定し、結果を表6に示す。
【0093】
【0094】
実施例28A~H
表7において、実施例28A~Dは、全ポリアミド部分中にDI成分を存在させずに(すなわち、0重量%のDI)調製した。一方、実施例28E~Hは、INVISTA HyperFlow(商標)U2501 PA66樹脂と実施例14コポリマー[これは92/8 n-66/DI(重量/重量)である]との50:50(重量:重量)ブレンドで調製した。実施例28E~Hの全ポリアミド部分中に存在する有効なn-66/DIは、96:4(重量:重量)であった。両方の場合において、難燃性[FR]添加剤を全組成物中で0重量%~最大14重量%まで変化させた。
【0095】
改善されたUL-94垂直燃焼試験性能評価は、実施例28A~Dの試験片のものよりも実施例28E~Hの検査試験片、特に、10重量%及び14重量%のFR添加剤レベル及び厚さ3.0mmの試験片で観察された。
【0096】
【0097】
【0098】
表7のデータから分かるように、実施例28E及び28Fは、実施例28A~Dと比較して改善された機械的強度を有する。実際、実施例28E及び28Fは、実施例28C及び28Dよりも少ない難燃性添加剤を有するにもかかわらず、改善された引張特性を有し、それによって、本発明の利点のうちの1つ、具体的には、96/4(重量/重量)n-66/DI材料の存在が、より少ないFR添加剤の使用を可能にすることを実証する。
【0099】
0重量%のDIを有する対照n-66と比較して、優れたFR等級[V-0のUL-94評価]は、RT及び熱老化条件の両方での96/4(重量/重量)n-66/DI材料の3mm厚の試験片、並びに≧10重量%FRレベルで観察された。FR性能は、0.4mm、0.75mm、及び1.5mm厚の試験片について同様であった。
【0100】
本開示の態様
本開示の態様は、以下を含む:
1)物質組成物であって、
a)
i)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと、ii)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーであって、
第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと第2の縮合ポリアミドとの質量比が、≧85:15~≦99:1である、ランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%の非ハロゲン化難燃性添加剤と、を含み、垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格[UL94]に従って燃焼性測定によって測定される組成物のFR性能が、ランダムコポリマー(a)と比較して、±3以内のギ酸RV及び±5のAEGによって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になる対照のFR性能を超える、物質組成物。
2)組成物が、対照として≧50%~≦80%のハロゲンフリーリン含有FR添加剤を含有する、態様1に記載の組成物。
3)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドが、PA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1012、PA1212、PA66/6T、PA6I/6T、PA66/6I/6T、又はブレンド、例えばPA6/PA66、ポリヘキサメチレンデカンアミド(N610)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(N612)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(N46)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(N69)、ポリデカメチレンセバカミド(N1010)、ポリドデカメチレンドデカンアミド(N1212)、ナイロン6(N6)、ナイロン11(N11)、ポリラウロラクタム(N12)のうちの少なくとも1つを含む、態様1に記載の組成物。
4)分岐ジアミンが、C4~C12ジアミンである、態様1に記載の組成物。
5)分岐ジアミンが、1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,7-ジメチルオクタメチレンジアミン、及び2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミンのうちの少なくとも1つである、態様1に記載の組成物。
6)芳香族二酸が、モノマー単位当たり≧1~≦3個の芳香環を含有するC5~C12二酸である、態様1に記載の組成物。
7)芳香族二酸が、式HO-C(O)-R1-C(O)-OH(式中、変数R1は、置換又は非置換フラン、ベンゾフラニル、フェニル、ナフチル、アントラセニルである)の少なくとも1つの二酸を含む、態様6に記載の組成物。
8)芳香族二酸が、テレフタル酸及びイソフタル酸を含む、態様7に記載の組成物。
9)非ハロゲン化難燃性添加剤が、
a)ジアリールホスフィン酸又はジアリールホスホン酸又はジアルキルホスフィン酸又はジアルキルホスホン酸などの有機リン系酸、及びそれらの塩(金属塩及び有機塩を含む)、
b)ジヒドロオキサホスファフェナンスレン(DOPO)及びその誘導体、
c)ポリホスファゼン、
d)メラミン及びその塩を含む有機窒素系FR添加剤、
e)ホウ酸金属塩を含むホウ素系FR添加剤、
f)シリコーンなどのケイ素系FR添加剤、からなるリン系FR添加剤からなる群から選択される少なくとも1つである、態様1~8のいずれか1つに記載の組成物。
10)非ハロゲン化難燃性添加剤が、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスフェート、三酸化アンチモン、脱水ホウ酸亜鉛、及びそれらの組み合わせから選択される、態様9に記載の組成物。
11)
a)
(1)分岐ジアミン及び芳香族二酸から選択される0.1重量%未満のモノマーを含有する第1の脂肪族縮合ポリアミドと、
(2)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーと、
b)ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む物質組成物が開示される。
12)
a)第1の脂肪族縮合ポリアミドa)(1)と第2の縮合ポリアミドa)(2)との重量比が、≧90:10~≦94:6であり、
b)Underwriters Laboratories規格[UL94]垂直燃焼試験によって測定されるランダムコポリマーの耐炎性能が、
(1)a)(1)の第1の脂肪族縮合ポリアミド、
(2)a)(2)の≧0~≦0.1重量%の第2の縮合ポリアミド、及び
(3)同じ(添加剤の重量に基づいて±0.5%)量のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超え、a)(2)の当該第1の脂肪族縮合ポリアミド及びa)のランダムコポリマーが、両方とも±3以内の同じギ酸RV及び±5以内の同じAEGによって特徴付けられる、態様11に記載の組成物。
13)組成物及び対照が、両方とも≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を更に含む、態様12に記載の組成物。
14)組成物が、対照と比較して≧50%~≦80%のハロゲンフリーリン含有FR添加剤を含有する、態様12又は13に記載の組成物。
15)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドが、脂肪族ジアミンを含む、態様12~14のいずれか1つに記載の組成物。
16)分岐ジアミンが、
a)≧0~≦1、
b)≧0.2~≦0.8、及び
c)≧0.25~≦0.75、からなる群から選択される炭素分岐比によって特徴付けられるC4~C12ジアミンであり、
炭素分岐比が、脂肪族炭素が分子の主鎖に対して分岐に存在する程度として定義される、態様15に記載の組成物。
17)分岐ジアミンが、1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、及び2-メチルペンタメチレンジアミンのうちの少なくとも1つである、態様16に記載の組成物。
18)芳香族二酸が、モノマー単位当たり≧1~≦3個の芳香環を含有するC5~C12二酸である、態様16に記載の組成物。
19)芳香族二酸が、式HO-C(O)-R1-C(O)-OH(式中、変数R1は、置換又は非置換フラン、ベンゾフラニル、フェニル、ナフチル、アントラセニルである)の少なくとも1つの二酸を含む、請求項6に記載の組成物のうちの少なくとも1つを含む、態様18に記載の組成物。
20)芳香族二酸が、テレフタル酸及びイソフタル酸を含む、態様19に記載の組成物。
21)非ハロゲン化難燃性添加剤が、
a)ジアリールホスフィン酸又はジアリールホスホン酸又はジアルキルホスフィン酸又はジアルキルホスホン酸などの有機リン系酸、及びそれらの塩(金属塩及び有機塩を含む)、
b)ジヒドロオキサホスファフェナンスレン(DOPO)及びその誘導体、
c)ポリホスファゼン、
d)メラミン及びその塩を含む有機窒素系FR添加剤、
e)ホウ酸金属塩を含むホウ素系FR添加剤、
f)シリコーンなどのケイ素系FR添加剤、からなるリン系FR添加剤からなる群から選択される少なくとも1つである、態様11~20のいずれか1つに記載の組成物。
22)ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤が、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスフェート、三酸化アンチモン、脱水ホウ酸亜鉛、及びそれらの組み合わせから選択される、態様21に記載の組成物。
23)
a)≧85:15~≦99:1のn-6,6と(D+IIとの重量比を有するn-6,6/DIのランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む物質組成物であって、
i)UL94垂直燃焼試験によって測定される、(a)及び(b)を含む組成物の性能が、
1.≦0.1重量%の(D+I)を含有するナイロン-6,6であって、ランダムコポリマー(a)と比較して±3以内のギ酸RV及びAEG±5以内の両方によって特徴付けられ、両方がランダムコポリマー(a)に対してである、ナイロン-6,6、並びに
2.≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超える、物質組成物。
24)(a)及び(b)を含む組成物が、対照として≧50%~≦80%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を含有する、態様23に記載の組成物。
25)難燃添加剤が、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィネート、ポリリン酸メラミン、三酸化アンチモン、脱水ホウ酸亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つである、態様23又は24に記載の組成物。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質組成物であって、
a)
i)第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと、
ii)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーであって、
前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドと前記第2の縮合ポリアミドとの質量比が、≧85:15~≦99:1である、ランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%の非ハロゲン化難燃性添加剤と、を含み、
垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定される前記組成物の難燃性(FR)性能が、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になる対照の前記FR性能を超え、
前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、物質組成物。
【請求項2】
前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドが、分岐ジアミン及び芳香族二酸から選択される0.1重量%未満のモノマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の脂肪族縮合ポリアミドが、脂肪族ジアミンを含む直鎖脂肪族縮合ポリアミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物及び前記対照が、両方とも≧5重量%~≦25重量%の前記ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記非ハロゲン化難燃性添加剤が、非ハロゲン化リン含有難燃性添加剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤が、非ハロゲン化リン含有難燃性(FR)添加剤であり、前記組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化リン含有難燃性(FR)添加剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の直鎖脂肪族縮合ポリアミドが、PA46、PA66、PA69、PA610、PA612、PA1012、PA1212、PA66/6T、PA6I/6T、PA66/6I/6T、PA6/PA66、ポリヘキサメチレンデカンアミド(N610)、ポリヘキサメチレンドデカンアミド(N612)、ポリヘキサメチレンスクシンアミド(N46)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(N69)、ポリデカメチレンセバカミド(N1010)、ポリドデカメチレンドデカンアミド(N1212)、ナイロン6(N6)、ナイロン11(N11)、ポリラウロラクタム(N12)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記分岐ジアミンが、C
4~C
12ジアミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記分岐ジアミンが、1,3-ペンタンジアミン、2-エチル-ブタンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,7-ジメチルオクタメチレンジアミン、及び2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミンのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記芳香族二酸が、モノマー単位当たり≧1~≦3個の芳香環を含有するC
5~C
12二酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記芳香族二酸が、式HO-C(O)-R
1-C(O)-OH(式中、変数R
1は、置換又は非置換フラン、ベンゾフラニル、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルである)、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記芳香族二酸が、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ランダムコポリマーが、≧85:15~≦99:1のn-6,6と(D+I)との重量比を有するn-6,6/DIである、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記非ハロゲン化難燃性添加剤が、
a)有機リン系酸、
b)ジヒドロオキサホスファフェナンスレン(DOPO)又はその誘導体、
c)ポリホスファゼン、
d)有機窒素系FR添加剤、
e)ホウ素系FR添加剤、並びに
f)ケイ素系FR添加剤、からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記非ハロゲン化難燃性添加剤が、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスフェート、三酸化アンチモン、脱水ホウ酸亜鉛、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤が、アルミニウムジエチルホスフィネート、メラミンポリホスファート、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
物質組成物であって、
a)
(1)分岐ジアミン及び芳香族二酸から選択される0.1重量%未満のモノマーを含有する第1の脂肪族縮合ポリアミドと、
(2)分岐ジアミン及び芳香族二酸を含む第2の縮合ポリアミドと、のランダムコポリマーと、
b)ハロゲンフリーリン含有難燃性(FR)添加剤と、を含み、
i)前記第1の脂肪族縮合ポリアミドa)(1)と前記第2の縮合ポリアミドa)(2)との重量比が、≧90:10~≦94:6であり、
ii)Underwriters Laboratories規格(UL94)垂直燃焼試験によって測定される前記ランダムコポリマーの難燃性性能が、
(1)a)(1)の前記第1の脂肪族縮合ポリアミドと、
(2)≧0~≦0.1重量%のa)(2)の前記第2の縮合ポリアミドと、
(3)同じ(すなわち、添加剤の重量に基づいて±0.5%)量のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超え、ii)(1)の前記第1の脂肪族縮合ポリアミド及びa)の前記ランダムコポリマーが、両方とも同じギ酸相対粘度(RV)(すなわち、互いに±3以内)及び同じアミン末端基AEG(すなわち、互いに±5以内)によって特徴付けられ、
前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記ハロゲンフリーリン含有FR添加剤を含有する、物質組成物。
【請求項18】
物質組成物であって、
a)≧85:15~≦99:1のn-6,6と(D+I)との重量比を有するn-6,6/DIのランダムコポリマーと、
b)≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含み、
i)UL94垂直燃焼試験によって測定される、(a)及び(b)を含む前記組成物の性能が、
1.≦0.1重量%の(D+I)を含有するナイロン-6,6であって、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸RV及び±5のAEGによって特徴付けられる、ナイロン-6,6と、
2. ≧5重量%~≦25重量%のハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤と、を含む対照の性能(同じUL94垂直燃焼試験によって測定される)を超え、
(a)及び(b)を含む前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記ハロゲンフリーリン含有難燃性添加剤を含有する、物質組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の物質組成物を形成するための方法であって、
ランダムコポリマーと非ハロゲン化難燃性添加剤とを組み合わせて、物質組成物を形成し、
前記組成物の、垂直燃焼試験に関するUnderwriters Laboratories規格(UL94)に従った燃焼性測定によって測定される前記組成物の難燃性(FR)性能が、前記ランダムコポリマー(a)の±3以内のギ酸相対粘度(RV)及び±5以内のアミン末端基(AEG)によって特徴付けられるナイロン-6,6から本質的になる対照の前記FR性能を超え、
前記物質組成物が、前記対照と比較して≧50%~≦80%の前記非ハロゲン化難燃性(FR)添加剤を含有する、方法。
【請求項20】
前記分岐ジアミンが、製造プロセスから回収され、対応するC
4~C
12分岐ジアミンに変換され、前記分岐ジニトリルを燃料として燃焼させる代わりにランダムコポリマーに組み込まれる、1つ以上のC
4~C
12分岐ジニトリルから得られる、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】