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特表2024-528081癌の治療における放射免疫療法及びCD47遮断薬の組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】癌の治療における放射免疫療法及びCD47遮断薬の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240719BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/02
A61P15/00
A61P13/08
A61P17/00
A61P7/00
A61K39/395 U
A61K31/712
A61P37/04
A61K48/00
A61K51/00 100
A61K39/395 T
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505372
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022025655
(87)【国際公開番号】W WO2023009189
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/226,699
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/250,725
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/056259
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/702,648
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517405552
【氏名又は名称】アクティニウム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ラディック デール エル
(72)【発明者】
【氏名】セス サンデシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダイアモンド ポール
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA12
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA51
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA51
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
提供されるのは、放射標識CD33、DR5、5T4、HER2、HER3、又はTROP2標的薬などの放射線治療薬、及びSIRPα-IgG Fc融合タンパク質又はCD47もしくはSIRPαに対するモノクローナル抗体などのCD47チェックポイント阻害剤の組み合わせ使用を含む、哺乳類対象の癌及び前癌性増殖性障害を治療する組成物及び方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類対象の癌又は前癌性増殖性障害を治療する方法であって、
前記癌又は前癌性増殖性障害を有する哺乳類対象に有効量の1種又は複数の治療的放射標識癌標的薬を投与すること;及び
前記哺乳類対象に有効量の1種又は複数のCD47遮断薬を投与することを含み、
前記1種又は複数のCD47遮断薬は、抗CD47抗体、抗SIRPα抗体、SIRPα Fc融合タンパク質、CD47アンチセンスホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、及び1-ブロモアセチル-3,3 ジニトロアゼチジンの1種又は複数又は薬学的に許容可能なこれらの塩を含む、方法。
【請求項2】
前記1種又は複数の放射標識癌標的薬の少なくとも1種は、α粒子放出放射性核種で標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1種又は複数の放射標識癌標的薬の少なくとも1種は、β粒子放出放射性核種で標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1種又は複数の放射標識癌標的薬は、CD33に対するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、DR5に対するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、5T4に対するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、HER2に対するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、又はHER3に対するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、TROP2に対するモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、及びMUC1に対するモノクローナル抗体その抗原結合フラグメント、の1種又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1種又は複数の放射標識癌標的薬は、225Ac標識抗体及び非放射標識抗体の組成物を含み、前記組成物は、0.1~2.0μCi/kgの前記対象の体重の放射線量及び0.1~5.0mg/kgの前記対象の体重のタンパク質投与量を含み、及び/又は
前記CD47遮断薬は、0.05~5.0mg/kgの前記対象の体重の総投与量で投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記モノクローナル抗体は、抗CD33抗体であり、前記癌又は前癌性増殖性障害は、固形腫瘍、骨肉腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、又は骨髄増殖性新生物である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
モノクローナル抗体は、抗5T4抗体であり、前記癌又は前癌性増殖性障害は、結腸直腸癌、胃癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、膵臓癌、腎癌、又はこれらの任意の組み合わせである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記モノクローナル抗体は、抗DR5抗体であり、前記癌又は前癌性増殖性障害は、乳癌、三種陰性乳癌、卵巣癌、又は前立腺癌である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記モノクローナル抗体は、抗HER3抗体であり、前記癌又は前癌性増殖性障害は、膵臓癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、又は卵巣癌である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記モノクローナル抗体は、抗HER2抗体であり、前記癌又は前癌性増殖性障害は、HER2発現癌細胞を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記癌又は前癌性増殖性障害は、乳癌又は卵巣癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モノクローナル抗体は、抗TROP2抗体であり、前記癌又は前癌性増殖性障害は、TROP2発現癌細胞を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記癌又は前癌性増殖性障害は、膵臓癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、又は卵巣癌である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1種又は複数の放射標識癌標的薬は、放射標識PSMA標的薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記癌又は前癌性増殖性障害は、前立腺癌である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記癌又は前癌性増殖性障害は、固形癌又は血液悪性腫瘍である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記1種又は複数のCD47遮断薬は、前記1種又は複数の治療的放射標識癌標的薬とは分離した別々の分子である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
哺乳類対象の固形腫瘍癌又は血液悪性腫瘍の治療のための、CD47遮断薬と併せた治療的放射標識癌標的薬の使用。
【請求項19】
前記治療的放射標識癌標的薬は、CD33、DR5、5T4、HER2(ErbB2;HER2/neu)、HER3、TROP2、メソテリン、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD45、CD171、CD138、CS-1、CLL-1、GD2、GD3、B細胞成熟抗原(BCMA)、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、FLT3、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、ソマトスタチン受容体、ソマトスタチン受容体2(SSTR2)、ソマトスタチン受容体5(SSTR5)、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)、NKG2Dリガンド(例えば、MICA、MICB、RAET1E/ULBP4、RAET1G/ULBP5、RAET1H/ULBP2、RAET1/ULBP1、RAET1L/ULBP6、及びRAET1N/ULBP3)、LYPD3(C4.4A)、ネクチン4、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)、葉酸受容体α(FOLR1)、CUB-ドメイン含有タンパク質1(CDCP1)、グリピカン-3(GPC3)、テネイシン、テネイシン-C、CEACAM5、カドヘリン-3、CCK2R、ニューロテンシン受容体1型(NTSR1)、ヒトカリクレイン2(hK2)、ノルエピネフィリントランスポーター、インテグリンアルファ-V-ベータ-6、CD37、CD66、CXCR4、フィブロネクチンエクストラドメインB(EBD)、LAT-1、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、B7-H3(別名CD276)、ジシアロガングリオシドGD2抗原(GD2)、カルレティキュリン、ホスファチジルセリン、GRP78(BiP)、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、インターロイキン-11受容体a(IL-11Ra)、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、血小板由来増殖因子受容体-ベータ(PDGFRβ)、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α(FRa)、MUCl、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、NCAM、プロスターゼ(Prostase)、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、FフコシルGM1、sLe、GM3、DR5、5T4、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD 179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE A1、MAGEA3、MAGEA3/A6、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-l/ガレクチン8、KRAS、MelanA/MARTl、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、GPA7、及びIGLL1、から選択される癌関連抗原を標的とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記治療的放射標識癌標的薬は、α粒子放出放射性核種で標識される、請求項18又は19に記載の使用。
【請求項21】
前記治療的放射標識癌標的薬は、β粒子放出放射性核種で標識される、請求項18又は19に記載の使用。
【請求項22】
前記治療的放射標識癌標的薬及び前記CD47遮断薬は、分離した別々の分子である、請求項18~21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記哺乳類対象はヒトである、請求項18~22のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、次の特許出願のそれぞれに対する優先権を主張する:2021年9月30日に出願の米国特許仮出願第63/250,725号及び2021年7月28日に出願の同第63/226,699号に対する優先権を主張する、2021年10月21日に出願の国際出願第PCT/US2021/056259号に対する優先権を主張する2022年3月23日に出願の米国特許出願第17/702,648号。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子申請された配列表を含み、この配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。前記ASCIIコピーは、2022年4月20日に作成され、ATNM-001PCT2_SL_ST25.txtと命名された、262,596バイトのサイズである。
発明の分野
本請求発明は、放射線治療の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
CD47は、正常及び悪性の両組織表面に広範に発現しているインテグリン会合膜貫通型タンパク質である。マクロファージ及び樹状細胞などの貪食細胞上に見出されるCD47のその同族受容体パートナー、シグナル受容体タンパク質アルファ(SIRPα)への結合は、貪食作用の抑制をもたらす。従って、CD47は、「don’t eat me」シグナルを貪食細胞に与える。
【0003】
CD47は、インテグリンを発現していなくても、赤血球を含む実質的に全ての正常細胞上で発現している。この経路は、免疫系が高齢細胞、死細胞、又は瀕死細胞を効率的に及び選択的に除去し、正常細胞だけ残すことができる自然の過程として進化した。この目的を達成するために、CD47は、腫瘍細胞の貪食及び排除を避けるための免疫回避の手段として、多くのタイプの腫瘍の表面上に過剰に発現される場合が多い。治療のための遮断抗体によるSIRPαのCD47結合の抑制は、貪食作用を可能にする。
【0004】
しかし、CD47によるdon’t eat meシグナルの抑制は、マクロファージ貪食作用を誘発するには不十分である。正常な生理的状態下では、細胞恒常性は、促進性-及び抗-食細胞シグナルのバランシングにより部分的に調節される。CD47遮断時に貪食される標的細胞の場合、その細胞はまた、表面発現したカルレティキュリン及びホスファチジルセリンにより誘発される強力な促進性食細胞シグナル、十分な「eat me」シグナル、を提示しなければならない。これは、死細胞、又は瀕死細部を貪食し、除去するための工程である。重要なことは、腫瘍細胞貪食のためのCD47-SIRPα相互作用の遮断は、多くのタイプの癌の治療における新たに出現した治療戦略であることである。しかし、抗CD47遮断抗体療法による治療などの単剤療法に対する臨床応答は、控えめな程度のものであった。
本発明により必要とされ、提供されるのは、1種又は複数の放射標識癌標的薬及び1種又は複数のCD47遮断薬の投与を含む、癌及び前癌性増殖性障害などの増殖性障害の治療のための新規治療手法である。
【発明の概要】
【0005】
本開示発明は、放射標識癌関連抗原標的薬などの少なくとも1種の放射線治療薬、及びCD47遮断薬を含む組み合わせの投与が、促進性-及び抗-食細胞シグナルのバランスを癌細胞の貪食作用の側に傾かせるという発見に基づいている。より詳細には、CD33、DR5、5T4、HER2、HER3、TROP2又は本明細書で開示のいずれかなどの癌関連抗原に対する放射標識標的薬などの放射免疫療法薬、及びCD47又はSIRPαに対する遮断モノクローナル抗体などのCD47遮断薬の組み合わせは、固形腫瘍癌又は造血器悪性腫瘍を含む癌患者の臨床転帰を改良し得る。
【0006】
従って、本発明は、癌又は前癌性増殖性障害(order)などの増殖性障害の対象を治療するための組成物及び方法を提供する。組成物は通常、放射線治療薬及びCD47遮断薬を含む。例示的放射線治療薬には、CD33、DR5、5T4、HER2、HER3、又はTROP2に特異的に結合する放射標識抗体、ペプチド、又は低分子などのCD33、DR5、5T4、HER2、HER3、又はTROP2に対する放射標識標的薬が挙げられる。例示的CD33標的薬には、モノクローナル抗CD33抗体のリンツズマブ、ゲムツズマブ、又はバダスツキシマブ、例えば、225Ac-リンツズマブのいずれか1種又は複数が挙げられる。例示的DR5標的薬には、モノクローナル抗DR5抗体のマパツムマブ、コナツムマブ、レクサツムマブ、ティガツズマブ、ドロジツマブ、及びLBY-135のいずれか1種又は複数が挙げられる。例示的5T4標的薬には、モノクローナル抗5T4抗体のMED10641、ALG.APV-527、Tb535、H6-DM5、及びZV0508のいずれか1種又は複数が挙げられる。例示的HER3標的薬は、パトリツマブ、セリバンツマブ、ルムレツズマブ、エルゲムツマブ、GSK2849330、又はAV-203により認識されるHER3のエピトープに結合し得る。例示的TROP2標的薬には、モノクローナル抗体のサシツズマブ及びダトポタマブ、並びに前記抗体のいずれかにより認識されるTROP2の同じエピトープを認識する抗体が挙げられる。例示的CD47遮断薬には、マグロリマブ、レムゾパリマブ、AO-176、ALX148、TTI-621、又はTTI-622、並びにMBT-001などの核酸ベース調節物質及びRRx-001などの低分子調節物質などのSIRPαへのCD47の結合を遮断できる薬剤が挙げられる。
【0007】
特定の態様では、放射線治療薬には、0.1~10μCi/kgの対象の体重の放射線量及び10mg/kgの対象の体重未満のタンパク質投与量で投与されるCD33、DR5、5T4、HER2、HER3、又はTROP2に対するアクチニウム標識モノクローナル抗体が挙げられる。CD47遮断薬には、例えば、SIRPαへのCD47の結合を妨げるモノクローナル抗体が挙げられる。例えば、CD47遮断薬には、マグロリマブ、レムゾパリマブ、AO-176、AK117、IMC-002、IBI-188、IBI-322、BI 766063、ZL-1201、AXL148、RRx-001、アゼルニジピン、ES004、SRF231、SHR-1603、TJC4、TTI-621、又はTTI-622が挙げられる。CD47遮断薬の例示的有効量には、0.05~5mg/kgの患者の体重などの0.05~50mg/kg、又は薬物使用もしくは薬剤の臨床試験のために認可された投与量が挙げられる。RRx-001の例示的投与量には、5~80mg/m2又はそれらの中の整数値間の任意の部分範囲、例えば、10~50mg/m2、10~30mg/m2、又は10~20mg/m2、又は前記範囲の任意の全整数値±5%が挙げられる。
【0008】
特定の態様では、癌は、固形腫瘍又は骨髄性悪性腫瘍などの血液癌であり得る。例示的骨髄性悪性腫瘍には、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、又は骨髄増殖性新生物が挙げられる。特定の態様では、癌は、骨髄芽球細胞又は悪性形質細胞などのCD33陽性細胞に関連し得る。
さらなる特徴、利点、及び本発明の態様は、次の詳細説明、存在する場合には図面、及び特許請求の範囲の考察により示され、又は明らかになり得る。また、前述の発明の概要と以下の詳細な説明の両方は例示的なものであり、請求された本発明の範囲を限定することなく追加の説明を提供することが意図されていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】SK-OV3ヒト卵巣癌細胞株を用いた、NGSマウス異種移植片モデルにおける、ビークル(対照)、マグロリマブ単独、225Ac-トラスツズマブ単独、及びマグロリマブと225Ac-トラスツズマブの組み合わせの腫瘍増殖に対する効果の比較を示すグラフである。
図2】SK-OV3ヒト卵巣癌細胞株を用いた、NGSマウス異種移植片モデルにおける、ビークル(対照)、マグロリマブ単独、177Lu-トラスツズマブ単独、及びマグロリマブと177Lu-トラスツズマブの組み合わせの腫瘍増殖に対する効果の比較を示すグラフである。
図3】非放射標識抗ヒトHER3 IgGモノクローナル抗体AT-02単独(「HER3 mAb」)、抗ヒトCD47抗体単独(10μg/mL;クローンB6.H12;BioXCellカタログ番号BE0019-1;「CD47 mAb」)、225Ac-標識AT-02抗HER3 mAb単独(100nCi/mL;225AC-HER3 mAb)、及び抗CD47 mAb(10μg/mL)と225Ac標識AT-02抗HER3 mAb(100nCi/mL)の組み合わせの、BxPC3ヒト膵臓癌細胞株(腺癌)細胞のヒトマクロファージによる貪食作用に対する比較効果を示すグラフである。図に示すように、いずれかの個別の薬剤に比べて、組み合わせは、BxPC3細胞の貪食作用を顕著に高めた。
図4A225Ac-標識リンツズマブは、ヒト白血病細胞株中の細胞表面カルレティキュリンの増大を誘導することを示すグラフである。
図4B225Ac-標識リンツズマブは、ヒト白血病細胞株中の細胞表面カルレティキュリンの増大を誘導することを示すグラフである。
図5225Ac-標識リンツズマブと、抗CD47抗体の組み合わせ治療が、いずれかの薬剤単独に比べて、3種のヒト白血病細胞株の貪食作用を高めることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一態様では、本開示発明は、有効量の放射線治療薬及び有効量のCD47遮断薬を投与することにより、血液悪性腫瘍又は固形癌などの増殖性疾患又は障害を治療する方法を提供する。
特定の態様では、放射線治療薬は、限定されないが、哺乳類、例えば、ヒト型のCD33、DR5、5T4、HER2(ErbB2;HER2/neu)、HER3、TROP2、メソテリン、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD45、CD171、CD138、CS-1、CLL-1、GD2、GD3、B細胞成熟抗原(BCMA)、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、FLT3、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、ソマトスタチン受容体、ソマトスタチン受容体2(SSTR2)、ソマトスタチン受容体5(SSTR5)、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)、NKG2Dリガンド(例えば、MICA、MICB、RAET1E/ULBP4、RAET1G/ULBP5、RAET1H/ULBP2、RAET1/ULBP1、RAET1L/ULBP6、及びRAET1N/ULBP3)、LYPD3(C4.4A)、ネクチン4、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)、葉酸受容体α(FOLR1)、CUB-ドメイン含有タンパク質1(CDCP1)、グリピカン-3(GPC3)、テネイシン、テネイシン-C、CEACAM5、カドヘリン-3、CCK2R、ニューロテンシン受容体1型(NTSR1)、ヒトカリクレイン2(hK2)、ノルエピネフィリントランスポーター、インテグリンアルファ-V-ベータ-6、CD37、CD66、CXCR4、フィブロネクチンエクストラドメインB(EBD)、LAT-1、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、B7-H3(別名CD276)、ジシアロガングリオシドGD2抗原(GD2)、カルレティキュリン、ホスファチジルセリン、GRP78(BiP)、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、インターロイキン-11受容体a(IL-11Ra)、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、血小板由来増殖因子受容体-ベータ(PDGFRβ)、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α(FRa)、MUCl、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、NCAM、プロスターゼ(Prostase)、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、FフコシルGM1、sLe、GM3、DR5、5T4、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD 179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE A1、MAGEA3、MAGEA3/A6、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-l/ガレクチン8、KRAS、MelanA/MARTl、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、GPA7、及びIGLL1、などの1種又は複数の癌関連抗原に特異的に結合する、放射標識モノクローナル抗体、モノクローナル抗体の放射標識抗原結合フラグメント、放射標識抗体ミメティック、放射標識ペプチド又は放射標識低分子などの放射標識標的薬であり得る。
特定の態様では、CD47遮断薬は、CD47に対する抗体などのCD47ブロッキング部分を含み得る。
各治療レジメンは、特定の投与スケジュールに従って投与し得、方法は、それぞれの放射線治療薬及びCD47遮断薬の投与を順次に、又は同時に可能にする。
【0011】
定義と略語
この記述及び添付の特許請求の範囲を通して、特に断りのない限り、単数形の使用は複数形を、及び複数形の使用は単数形を包含する。例えば、本明細書で言及は「1種の(an)」抗体、「1種の(a)」放射性核種、及び「the」標的薬に対しなされるが、1種又は複数のいずれかのこれらの成分及び/又は本明細書で記載のいずれか他の成分も使用し得る。
【0012】
本記述及び特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprising)」という語及び「含む(comprising)」という語の形、ならびに「含む(including)」という語及び「含む(including)」という語の形は、言及されることを超える要素を含むことを制限するものではない。更に、本開示全体を通して、それらの種々の態様又は要素が「含む(including)」又は「含む(comprising)」の用語で記載されているが、「から基本的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」という用語で記載された対応する態様又は要素も同様に開示される。例えば、本発明の特定の態様は、放射標識標的薬を投与することを「含む(including)」又は「含む(comprising)」方法という用語で記載されてきたが、代わりに放射標識標的を投与すること「から基本的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」と記載する対応する方法もまた、前記態様の範囲内にあり、本開示によって開示される。
【0013】
例えば温度、時間、量、及び濃度の記述において、数値の表示又は値に関連して使用される場合、用語「約」は、範囲の記述を含め、±10%の変動、及びそのより大きな変動の範囲内で、数値の表示又は値の±5%又は±1%の変動を示す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「投与する」は、抗体、抗体フラグメント、Fabフラグメント、アプタマー、ペプチド、又は低分子などの標的薬に関して、抗体送達に適した任意の既知の方法を介して対象の身体にその薬剤を送達することを意味する。特定の投与様式としては、静脈内、経皮、皮下、腹腔内、髄腔内、及び腫瘍内投与などが挙げられるが、これらに限定されない。抗体の例示的な投与方法は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第WO2016/187514号に十分に記載されているとおりである。例えば、特定の態様では、標的薬は、患者特異的治療組成物として投与することが可能で、これは、単回投与容器に入れて、その総量は、1回の治療セッションで患者に投与し得る。組成物は、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントと、薬学的に許容される担体とを含み、モノクローナル抗体のエフェクター分子(例えば、放射性核種)の用量及びモノクローナル抗体の総タンパク質量は、少なくとも1人の患者特異的パラメーターに依存し得る。患者特異的パラメーターには、患者の体重、患者の年齢、患者の身長、患者の性別、患者の病状、患者の病歴などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
更に、放射標識抗体又は放射標識抗原結合抗体フラグメントなどの放射性標識標的薬を含む組成物は、1種又は複数の薬学的に許容される担体又は薬学的に許容される賦形剤を含み得る。このような担体は、当業者に周知である。例えば、注射可能な薬物送達システムには、溶液、懸濁液、ゲル、マイクロスフェア及びポリマー注射剤が含まれ、溶解度変更剤(例えば、エタノール、プロピレングリコール及びスクロース)及びポリマー(例えば、ポリカプリラクトン及びPLGA)などの賦形剤を含めることができる。例示的な製剤は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2017/155937号に十分に記載されている。例えば、特定の態様では、製剤は、アスコルビン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSAの水溶性塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される賦形剤を0.5%~5.0%(質量/体積)含み得る。特定の製剤は、0.5~5%のアスコルビン酸;0.5~4%のポリビニルピロリドン(PVP);及び50mMのPBS緩衝液、pH7中のモノクローナル抗体を含み得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」には、限定されないが、(a)2つの重鎖と2つの軽鎖を含み、抗原を認識する免疫グロブリン分子;(b)ポリクローナル及びモノクローナル免疫グロブリン分子;(c)Fab、di-Fab、scFv、ディアボディ、ミニボディ、及びナノボディ(sdAb)などの一価及び二価のフラグメント又はそのバージョン;(d)完全合成抗体、IgG-Fc-サイレント、キメラなどの天然起源及び非天然起源抗体;及び(e)これらの二重特異性形態、を含む。免疫グロブリン分子は、限定されないが、IgA、分泌性IgA、IgG及びIgMを含む、よく知られたクラスのいずれかから誘導し得る。IgGサブクラスもまた、当業者によく知られており、限定されないが、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4が挙げられる。各鎖のアミノ末端は、抗原認識に主に関与する約100~110個又はそれを越えるアミノ酸の「可変領域」を規定する。可変軽鎖(VL)と可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ軽鎖と重鎖のこれらの領域を意味する。抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体又は非ヒト抗体であり得る。本開示発明の特定の態様が「抗体」に言及又はそれを記述する場合、明示的に別記されていない限り、本明細書で開示の全長抗体又はこれらのフラグメントのいずれかを指すものと想定される。
「ヒト化」抗体は、非ヒト抗体のCDRドメイン以外の一部、大部分又は全部のアミノ酸がヒト免疫グロブリン由来の対応するアミノ酸で置換されている抗体を意味する。ヒト化型の抗体の一実施形態では、CDRドメイン以外の一部、ほとんど又は全てのアミノ酸がヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置換されているが、一方、1つ又は複数のCDR領域の一部、ほとんど又は全てのアミノ酸は未変化である。アミノ酸の少ない付加、欠失、挿入、置換又は修飾は、それらが特定の抗原に結合する抗体の能力を抑止しない限り、許容可能である。「ヒト化」抗体は、元の抗体のものに類似の抗原特異性を保持する。
「キメラ抗体」は、可変領域が1つの種に由来し、定常領域が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域がマウス抗体由来で、定常領域がヒト抗体由来である抗体を意味する。
【0017】
「相補性決定領域」、又は「CDR」は、ネイティブ免疫グロブリン結合部位の可変領域の結合親和性と特異性を一緒に規定するアミノ酸配列を意味する。抗体の軽鎖及び重鎖のそれぞれに3つのCDRが存在する。
「フレームワーク領域」、又は「FR」は、CDRの間に挟まれたアミノ酸配列を意味し、通常は保存されており、CDR間の足場として機能する。
「定常領域」は、抗体クラスで一貫している抗体分子の部分を指し、軽鎖と重鎖のタイプによって定義される。例えば、軽鎖定数領域はκ鎖型又はλ鎖型であり、重鎖定数領域は5つの鎖アイソタイプ:α、δ、ε、γ又はμの内の1つであり得る。この定常領域は通常、抗体により示されるエフェクター機能を付与できる。重鎖の種々のサブクラス(例えば、重鎖のIgGサブクラス)は、主に、異なるエフェクター機能に関与する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「免疫反応性」は、特異的抗原を認識及びそれに結合する免疫グロブリンの能力の尺度を意味する。「特異的結合」又は「特異的に結合する」又は「結合する」は、他の抗原に対するより大きな親和性での抗原又は抗原内のエピトープへの抗体結合を意味する。典型的には、抗体は抗原又は抗原内のエピトープに約1x10-8M以下、例えば約1x10-9M以下、約1x10-10M以下、約1x10-11M以下、又は約1x10-12M以下の平衡解離定数(KD)で結合し、典型的にはKDは非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に結合する際のKDよりも少なくとも100倍小さい。解離定数は標準的な方法を用いて測定し得る。しかし、抗原又は抗原内のエピトープに特異的に結合する抗体は、他の関連抗原、例えばヒトやサルなどの他の種(ホモログ)の同じ抗原、例えばマカカ・ファシキュラー(カニクイザル、cyno)、パン・トログロディテス(チンパンジー、chimp)又はカリスリクス・ジャッカス(コモンマーモセット、marmoset)に対して交差反応性を有する場合がある。
【0019】
本明細書で使用される場合、「CD33標的薬」という用語は、例えば、CD33の任意の利用可能なエピトープに結合する抗体、抗体フラグメント、抗体ミメティック、ペプチド、Fabフラグメント、アプタマー、又は低分子を含む。特定の態様では、抗CD33標的薬は、CD33に対するヒト化抗体、例えば、リンツズマブ(HuM195)、ゲムツズマブ、又はバダスツキシマブである。特定の態様では、抗CD33標的薬は、モノクローナル抗体「リンツズマブ」又は「HuM195」により認識されエピトープに結合する。HuM195は既知であり、その製造方法も知られている。
【0020】
本明細書で使用される場合、「DR5標的薬」という用語は、例えば、DR5の任意の利用可能なエピトープに結合する抗体、抗体フラグメント、抗体ミメティック、ペプチド、Fabフラグメント、アプタマー、又は低分子を含む。特定の態様では、抗DR5抗体は、DR5に対するヒト又はヒト化抗体である。特定の態様では、抗DR5抗体は、マパツムマブ、コナツムマブ、レクサツムマブ、ティガツズマブ、ドロジツマブ、及びLBY-135のいずれかにより認識されるDR5のエピトープに結合する。特定の態様では、抗DR5抗体は、マパツムマブ、コナツムマブ、レクサツムマブ、ティガツズマブ、ドロジツマブ、及び/又はLBY-135から選択される。
【表1】
【0021】
本明細書で使用される場合、「5T4標的薬」という用語は、例えば、5T4の任意の利用可能なエピトープに結合する抗体、抗体フラグメント、抗体ミメティック、ペプチド、Fabフラグメント、アプタマー、又は低分子を含む。例えば、5T4標的薬は、モノクローナル抗体であり得る。抗5T4抗体配列の原記述は、Hole&Stern(Hole&Stern(1988)Br.J.Cancer 57,239-246)により提供された。前臨床試験などで本開示発明に従って5T4標的薬として使用するための抗体は、Hole&Sternにより提供された配列を用いて産生し得る。特定の態様では、5T4標的薬は、5T4に対するヒト化抗体、例えば、米国特許第7,074,909号明細書及び同第8,044,178号明細書に記載されている。5T4に対する例示的抗体には、少なくとも、Harper(Harper,J.et al.(2017)Mol.Cancer Ther.16,1576-1587)で報告され、Medimmune/AstraZenecaにより開発されたMED10641;Aptevo Therapeutics/Alligator Bioscienceにより開発されたALG.APV-527;Biotecnol/Chiome Bioscienceにより開発されたTb535;Guangdong Zhongsheng Pharmaceuticalsにより開発されたH6-DM5;及びZova Biotherapeuticsにより開発されたZV0508が挙げられる。本開示発明の種々の態様で、抗5T4部分が5T4標的薬として使用され得る、更なる抗体及び抗体-薬物コンジュゲートを開示する表1も参照されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「抗HER2抗体」は、限定されないが、HER2(ErbB2)の任意の利用可能なエピトープに結合するモノクローナル抗体(mAb)などの抗体である。特定の態様では、用いられる抗HER2抗体は、トラスツズマブ又はトラスツズマブにより認識されるHER2のエピトープに結合する別の抗体、及び/又は用いられる抗体は、ペルツズマブ又はペルツズマブにより認識されるHER2のエピトープに結合する別の抗体であり得る。特定の態様では、抗HER2抗体はまた、HER3/HER2の任意の利用可能なエピトープに対する二重特異性抗体、例えば、Merrimack PharmaceuticalsによるMM-111及びMM-141/イスティラツマブ、Merus NVによるMCLA-128、及びGenentechによるMEHD7945A/デュリゴツマブなどの多重特異性抗体であってもよい。
DrugBank Onlineによるトラスツズマブの軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列は:軽鎖(配列番号102)及び重鎖(配列番号103)である。
出願者らは、トラスツズマブをp-SCN-DOTAとうまくコンジュゲート化させ、225Ac又は177Luで組成物を放射標識した。
DrugBank Onlineにより報告されたペルツズマブの軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列は:軽鎖(配列番号104)及び重鎖(配列番号105)である。
HER2を発現している癌、例えば、乳癌、進行型/転移性HER2陽性乳癌、胃癌、胃食道連結部(GEJ)癌及び本明細書で開示のいずれかの癌を治療するために、本発明の種々の態様で使用又は実施し得る更に他の放射標識HER2標的薬には、212Pb-TCMC-トラスツズマブ(Orano Med)及び131I-CAM-H2(131ヨウ素コンジュゲート化抗HER2 sdAb 2Rs15d;Precirix NV)が挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「抗HER3抗体」は、限定されないが、HER3の任意の利用可能なエピトープに結合するモノクローナル抗体(mAb)などの抗体である。特定の態様では、抗HER3抗体は、次の抗体の1種であり得るか、又は次の抗体の1種により認識されるHER3のエピトープに結合し得る:パトリツマブ、セリバンツマブ、ルムレツズマブ、エルゲムツマブ、AV-203(別名CAN017;Aveo Oncology)又はGSK2849330。特定の態様では、抗HER3抗体は、パトリツマブ、セリバンツマブ、ルムレツズマブ、エルゲムツマブ、US-1402、AV-203、CDX-3379、又はGSK2849330の1種又は複数から選択される。特定の態様では、抗HER3抗体は、HER3/HER2の任意の利用可能なエピトープに対する二重特異性抗体、例えば、Merrimack PharmaceuticalsによるMM-111及びMM-141/イスティラツマブ、Merus NVによるMCLA-128、及びGenentechによるMEHD7945A/デュリゴツマブなどの多重特異性抗体であってもよい。例えば、抗体は、例えば、CAN017(重鎖配列番号119及び軽鎖配列番号120)、04D01(重鎖配列番号121及び軽鎖配列番号122)、09D03(重鎖配列番号123及び軽鎖配列番号124)、11G01(重鎖配列番号125及び軽鎖配列番号126)、12A07(重鎖配列番号127及び軽鎖配列番号128)、18H02(重鎖配列番号129及び軽鎖配列番号130)及び22A02(重鎖配列番号131及び軽鎖配列番号132)などの米国特許出願公開第20210025006号明細書で開示の抗HER3抗体の1種、配列番号133の重鎖及び配列番号134の軽鎖を有するIgG、いずれかの前記抗体の1、2又は3つの重鎖CDRを含む重鎖を有する、及び/又は前記抗体の1、2又は3つの軽鎖CDRを有する軽鎖を有するIgG、又はいずれかの前記抗体により認識されるHER3のエピトープに結合する抗体などのHER3結合抗体であってよい。
【0024】
「エピトープ」は、抗体、抗体フラグメント、Fabフラグメント、アプタマー、又は低分子などの標的薬により認識、及び結合できる標的分子部位(例えば、抗原の少なくとも一部)を指す。タンパク質抗原の場合、これは、標的薬により結合されるタンパク質の領域(即ち、アミノ酸、及び特に、それらの側鎖)を指す。重なり合うエピトープは、少なくとも1個~5個の共通アミノ酸残基を含む。抗体のエピトープを特定する方法は、当業者に既知であり、例えば、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow and David Lane(1988)に記載のものを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「増殖性障害」及び「癌」という用語は、同じ意味で用いられ、限定されないが、固形癌(例えば、腫瘍)を含み得る。「固形癌」には、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚性又は眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児腫瘍、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、アスベストにより誘導されるものを含む環境により誘導される癌が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の態様では、固形癌は、タモキシフェン感受性乳癌、タモキシフェン耐性乳癌又は三種陰性乳癌(TNBC)などの乳癌、胃癌、膀胱癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、黒色腫などの皮膚癌、胃癌、精巣癌、食道癌、細気管支肺胞癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)などの前立腺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、子宮頸部類表皮癌、肝細胞癌(HCC)又は胆管細胞癌腫などの肝臓癌、膵臓癌、非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌(SCLC)などの肺癌、腎臓癌、頭頸部扁平上皮癌などの頭頸部癌、癌腫、肉腫、又はこれらの組み合わせであり得る。
本明細書で使用される場合、「癌」は、限定されないが、血液悪性腫瘍も含む。「血液疾患(hematologic disease)」又は「血液異常(hematological disorder)」は、少なくとも血液癌を意味すると見なされ得る。このような癌は、骨髄又は免疫系の他の細胞などの血液形成組織を起源に持つ。血液疾患又は血液異常には、限定されないが、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性混合型白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、毛様細胞性白血病及び大顆粒リンパ球性白血病)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(真性多血症、本態性血小板増加症、原発性骨髄線維症及び慢性骨髄性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、MGUS及び類似の障害、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、脾臓周辺帯リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、T細胞性リンパ腫、及び他のB細胞悪性腫瘍が挙げられる。
【0026】
特定の態様では、放射線治療薬には、放射性同位元素で標識した標的薬が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「放射性同位元素」及び「放射性核種」は、同じ意味で用いられ、α放出同位体、β放出同位体、及び/又はγ放出同位体であり得る。放射性同位元素の例には、次記:131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb及び103Pdが挙げられる。抗体又は抗体フラグメントなどのタンパク質を取り付ける(即ち、抗体を放射性同位元素で「標識する」)方法は良く知られている。標識する具体的方法は、例えば、米国特許第9,603,954号明細書、国際公開特許第WO2017/155937号明細書及び2020年11月30日に出願された、「Compositions and methods for preparation of site-specific radioconjugates」と題する米国特許仮出願第63/119,093号明細書に記載されている。これら両方の文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
例えば、特定の態様では、放射線治療標的薬は、(a)抗体又はペプチドなどの標的薬を、p-SCN-Bn-DOTAなどのキレート剤と、緩衝液中でコンジュゲート化させ、(b)キレート剤コンジュゲート化標的薬を、225-アクチニウム又は「225Ac」などの放射性核種を用いて、緩衝液中で標識し、(c)クエンチングキレート(例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA))の添加により反応をクエンチし、及び(d)放射標識キレート化剤コンジュゲート化標的薬を、例えば、濾過により精製する、ことにより標識し得る。例示的キレート化剤には、放射性核種などの金属イオンを封鎖する能力に加えて、抗体などの生物学的担体/標的薬に共有結合する能力の二重機能を有する化合物が挙げられる。
【0027】
使用し得る例示的キレート化剤には、限定されないが、S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン四酢酸(p-SCN-Bn-DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);エチレンジアミン四酢酸(EDTA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N”’-四酢酸(DOTA);p-イソチオシアナトベンジル-1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(p-SCN-Bz-DOTA);1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-N,N’,N”-トリ酢酸(DO3A);1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(2-プロピオン酸)(DOTMA);3,6,9-トリアザ-12-オキサ-3,6,9-トリカルボキシメチレン-10-カルボキシ-13-フェニル-トリデカン酸(「B-19036」);1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N”-三酢酸(NOTA);1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-N,N’,N”-四酢酸(TETA);トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA);トランス-1,2-ジアミノヘキサン四酢酸(CYDTA);1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1-(2-ヒドロキシプロピル)-4,7,10-三酢酸(HP-DO3A);トランス-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA);トランス(1,2)-シクロヘキサンジエチレントリアミン五酢酸(CDTPA);1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-N,N’,N”-三酢酸(OTTA);1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス{3-(4-カルボキシル)-ブタン酸};1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(酢酸-メチルアミド);1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(メチレンホスホン酸);及びこれらの誘導体、が挙げられる。
【0028】
特定の態様では、放射線治療標的薬は、225Ac標識される場合、有効量は、50μCi/kg、40μCi/kg、30μCi/kg、20μCi/kg、10μCi/kg、5μCi/kg、4μCi/kg、3μCi/kg、2μCi/kg、1μCi/kg、あるいは0.5μCi/kg未満である。特定の態様では、有効量は、少なくとも、0.05μCi/kg、又は0.1μCi/kg、0.2μCi/kg、0.3μCi/kg、0.4μCi/kg、0.5μCi/kg、1μCi/kg、2μCi/kg、3μCi/kg、4μCi/kg、5μCi/kg、6μCi/kg、7μCi/kg、8μCi/kg、9μCi/kg、10μCi/kg、12μCi/kg、14μCi/kg、15μCi/kg、16μCi/kg、18μCi/kg、20μCi/kg、30μCi/kg、又は40μCi/kgである。特定の態様では、225Ac標識標的薬は、少なくとも0.1μCi/kg~5μCi/kg以下、又は少なくとも5μCi/kg~20μCi/kg以下などの本明細書で記載の上限値及び下限値の任意の組み合わせを含む線量で投与され得る。
【0029】
特定の態様では、放射線治療標的薬は、225Ac標識され、有効量は、2mCi未満であり得る(即ち、225Acは体重に基づかない線量で対象に投与される)。特定の態様では、有効量は、1mCi未満、例えば、0.9mCi、0.8mCi、0.7mCi、0.6mCi、0.5mCi、0.4mCi、0.3mCi、0.2mCi、0.1mCi、90μCi、80μCi、70μCi、60μCi、50μCi、40μCi、30μCi、20μCi、10μCi、又は5μCiであり得る。有効量は、少なくとも2μCi、例えば、少なくとも、5μCi、10μCi、20μCi、30μCi、40μCi、50μCi、60μCi、70μCi、80μCi、90μCi、100μCi、200μCi、300μCi、400μCi、500μCi、600μCi、700μCi、800μCi、900μCi、1mCi、1.1mCi、1.2mCi、1.3mCi、1.4mCi、又は1.5mCiであり得る。特定の態様では、225Ac標識CD33標的薬は、少なくとも2μCi~1mCi以下、又は少なくとも2μCi~250μCi以下、又は75μCi~400μCi以下、などの本明細書で記載の上限値及び下限値の任意の組み合わせを含む線量で投与され得る。
特定の態様では、225Ac標識放射線治療標的薬は、12Gy未満、又は8Gy未満、又は6Gy未満、又は4Gy未満、又は2Gy未満、例えば、2Gy~8Gyの線量を対象に、例えば、主に標的化固形腫瘍に、送達する単回投与を含む。
【0030】
特定の態様では、放射線治療標的薬は、177Luで放射標識(「177Lu標識」)され、有効量は、例えば、1mCi/kg未満であり得る(即ち、対象に投与される177Lu標識標的薬の量は、対象体重のキログラム当り、1000mCi未満の放射線量を送達する)。特定の態様では、有効量は、少なくとも、900μCi/kg、800μCi/kg、700μCi/kg、600μCi/kg、500μCi/kg、400μCi/kg、300μCi/kg、200μCi/kg、150μCi/kg、100μCi/kg、80μCi/kg、60μCi/kg、50μCi/kg、40μCi/kg、30μCi/kg、20μCi/kg、10μCi/kg、5μCi/kg、又は1μCi/kg未満である。特定の態様では、有効量は、少なくとも、1μCi/kg、2.5μCi/kg、5μCi/kg、10μCi/kg、20μCi/kg、30μCi/kg、40μCi/kg、50μCi/kg、60μCi/kg、70μCi/kg、80μCi/kg、90μCi/kg、100μCi/kg、150μCi/kg、200μCi/kg、250μCi/kg、300μCi/kg、350μCi/kg、400μCi/kg又は450μCi/kgである。特定の態様では、177Lu標識標的薬は、少なくとも5mCi/kg~50μCi/kg以下、又は少なくとも50mCi/kg~500μCi/kg以下などの本明細書で記載の上限値及び下限値の任意の組み合わせを含む線量で投与され得る。
【0031】
特定の態様では、放射線治療標的薬は、177Lu標識され、有効量は、45mCi未満、例えば、40mCi、30mCi、20mCi、10mCi、5mCi、3.0mCi、2.0mCi、1.0mCi、800μCi、600μCi、400μCi、200μCi、100μCi、又は50μCi未満である。特定の態様では、有効量は、少なくとも10μCi、例えば、少なくとも25μCi、50μCi、100μCi、200μCi、300μCi、400μCi、500μCi、600μCi、700μCi、800μCi、900μCi、1mCi、2mCi、3mCi、4mCi、5mCi、10mCi、15mCi、20mCi、25mCi、30mCiであり得る。特定の態様では、177Lu標識標的薬は、少なくとも10mCi~30mCi以下、又は少なくとも100μCi~3mCi以下、又は3mCi~30mCi以下などの本明細書で記載の上限値及び下限値の任意の組み合わせを含む線量で投与され得る。
【0032】
特定の態様では、放射線治療標的薬は、131Iで放射標識(「131I標識」)され、有効量は、例えば、1200mCi未満であり得る(即ち、対象に投与される131Iの線量は、体重に基づかない投与量で、1200mCi未満の全身放射線量が送達される)。特定の態様では、有効量は、1100mCi未満、1000mCi未満、900mCi未満、800mCi未満、700mCi未満、600mCi未満、500mCi未満、400mCi未満、300mCi未満、200mCi未満、150mCi未満、又は100mCi未満であり得る。特定の態様では、有効量は、200mCi未満、例えば、190mCi、180mCi、170mCi、160mCi、150mCi、140mCi、130mCi、120mCi、110mCi、100mCi、90mCi、80mCi、70mCi、60mCi、又は50mCi未満であり得る。特定の態様では、有効量は、少なくとも1mCi、例えば、少なくとも、2mCi、3mCi、4mCi、5mCi、6mCi、7mCi、8mCi、9mCi、10mCi、20mCi、30mCi、40mCi、50mCi、60mCi、70mCi、80mCi、90mCi、100mCi、110mCi、120mCi、130mCi、140mCi、150mCi、160mCi、170mCi、180mCi、190mCi、200mCi、250mCi、300mCi、350mCi、400mCi、450mCi、500mCiであり得る。特定の態様では、131I標識標的薬は、少なくとも1mCi~100mCi以下、又は少なくとも10mCi~200mCi以下などの本明細書で記載の上限値及び下限値の任意の組み合わせを含む線量で投与され得る。
選択放射性核種は本明細書で詳細に開示されてきたが、本明細書でのこれらの開示のいずれかは、本開示発明の一部である標的薬を標識すること(即ち、放射線治療又は放射免疫療法)が意図されている。
【0033】
本開示発明の特定の態様では、対象に投与される大部分の放射線治療標的薬(抗体、抗体フラグメント、ペプチド、低分子、など)は通常、非標識標的薬からなり、少数が、標識された標的薬である。標識/非標識標的薬の比率は、既知の方法を使用して調節できる。特定の態様では、放射線治療(例えば、放射免疫療法)は、標識画分及び非標識画分を含み、標識:非標識の比率は、約0.01:10~1:1、例えば、0.1:10~1:1の標識:非標識であり得る。更に、放射線治療薬は、特定の患者に合わせた単回投与組成物として提供され得、組成物中の標識及び非標識標的薬の量は、国際公開第2016/187514号明細書に詳細に記載されているような、少なくとも患者の体重、年齢、性別、診断、及び/又は病状又は健康状態に依存し得る。
【0034】
本発明の放射線治療薬の標的薬の標識画分及び非標識画分の組み合わせは、組成物を特定の患者にあわせることを可能にする。例えば、放射線治療が放射免疫療法である場合(即ち、標的薬は抗体である)、放射線量及び抗体のタンパク質投与量のそれぞれは、少なくとも1つの特定のパラメーターに基づいて、その患者に個別化し得る。従って、各バイアルの組成物は、特定の患者用に作製し得、バイアルの全含量は、単回投与でその患者に送達される。治療レジメンが複数回投与を必要とする場合、各投与量は、患者に「単回投与」(即ち、一度に投与されるバイアルの全含量)として投与されるバイアルに入れて患者特異的投与量として処方し得る。それに続く投与量は、類似の方法で処方し得、それにより、レジメン中の各投与量は、単回投与容器に入れて患者特異的投与量を提供する。開示組成物の利点の1つは、医療関係者による廃棄又は処理が必要になるはずの、使い残り照射がないこと、例えば、患者のための投与を得るための希釈の必要がない、又は他の操作の必要がないことである。単回投与容器で準備される場合、容器は、患者への注入のために、注入チューブセット中に並べて配置するのみでよい。更に、体積は、医療過誤の可能性を大きく低減する(即ち、不正確な投与量の送達を低減する;理由は、組成物の全体積が1回の注入で投与される予定であるためである)ように、標準化できる。
【0035】
特定の態様では、放射線治療標的薬が抗体の場合、それは、最大100mg、例えば、最大60mg、などの5mg~45mgの総タンパク質の量、又は0.01mg/kg患者の体重~16.0mg/kg患者の体重、例えば、0.01mg/kg患者の体重~10.0mg/kg、又は0.05mg/kg患者の体重~5.0mg/kg、又は0.01mg/kg患者の体重~1.0mg/kg、又は0.01mg/kg患者の体重~0.6mg/kg患者の体重、又は0.01mg/kg患者の体重、0.015mg/kg患者の体重、0.02mg/kg患者の体重、又は0.04mg/kg患者の体重、又は0.06mg/kg患者の体重の総タンパク質の量で提供されてもよい。
特定の態様では、放射免疫療法における抗体の有効量は、10mg/m2未満、例えば、約6mg/m2、又は3mg/m2、あるいは2mg/m2の総タンパク質の量を含み得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、雌ウシ、ウサギ、ブタ、ラット及びマウスなどの哺乳類を含む。対象がヒトの場合、対象は任意の年齢であってよい。例えば、対象は、60歳以上、又は65歳以上、又は70歳以上、又は75歳以上、又は80歳以上、又は85歳以上、又は90歳以上であってよい。あるいは、対象は、50歳以下、又は45歳以下、又は40歳以下、又は35歳以下、又は30歳以下、又は25歳以下、又は20歳以下であってよい。癌に罹患している対象の場合、対象は、例えば、新規に診断されても、又は再発であっても、及び/又は難治性であっても、又は寛解期であってもよい。
【0037】
本明細書で使用される場合、癌に罹患した対象を「治療する」ことは、限定されないが、(i)癌の進行を遅らせる、停止させる、又は逆転させること、(ii)癌の症状の進行を遅らせる、停止させる、又は逆転させること、(iii)癌の再発の可能性を低減させること、及び/又は(iv)癌の症状が再発する可能性を低減させることが含まれるものとする。特定の好ましい態様では、癌に罹患した対象を治療することは、(i)癌の進行を、理想的には癌を消失させるところまで逆転させること、及び/又は(ii)癌の症状の進行を、理想的には症状を消失させるところまで逆転させること、及び/又は(iii)再発の可能性を低減又は消失させること(すなわち、強化療法(consolidation)、理想的には残存する癌細胞の破壊をもたらす)を意味する。本開示で、癌に関連する標的抗原が開示される場合、本発明は、血液学的であるか固形であるかを問わず、前記標的抗原を発現又は過剰発現する癌を治療するための方法を提供し、該方法は、癌の治療を必要とするヒト患者などの哺乳類対象に、前記標的抗原に結合する放射標識標的薬を、対象への1種又は複数のCD47遮断剤の投与と組み合わせて、又は併用して投与することを含むことを理解されたい。
【0038】
「治療有効量」又は「有効量」は、必要な服用量で、必要な期間に、目的の治療結果を達成するために効果的な量を意味する。治療有効量は、病態、年齢、性別、及び個体の体重、ならびに個体の所望の反応を誘発する治療薬又は治療薬の組み合わせの能力などの因子に応じて変わってもよい。効果的治療薬又は治療薬の組み合わせの例示的指標には、例えば、患者の満足な状態の改善、腫瘍負荷量の低減、腫瘍の増殖の阻止又は遅延化、及び/又は癌細胞の身体中の他の部位への転移の非存在が挙げられる。特定の態様では、「治療有効量」又は「有効量」は、一緒に使用される場合、又は別々に使用される場合に、特定の血液細胞(例えば、CD33発現細胞)、又はDR5発現細胞、又は5T4発現細胞、HER2もしくはHER3発現細胞、又はTROP2発現細胞の減少などの、がん細胞の全体的な数を枯渇させるか、又はその数を低減させ得る、又は腫瘍の増殖を阻害し得る、治療薬、すなわち放射線治療薬又はCD47遮断薬の量を意味する。
【0039】
「増殖を阻害する」は、治療薬又は治療薬の組み合わせと接触させた場合に、治療薬又は治療薬の組み合わせがない場合の同じ細胞又は組織の増殖の減少又は遅延と比較して、インビトロ又はインビボでの悪性細胞又は組織(例えば、腫瘍)の増殖の測定可能な減少又は遅延を意味する。インビトロ又はインビボでの悪性細胞又は組織の増殖の阻害は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であり得る。
【0040】
本出願を通して、種々の特許、特許出願及び他の刊行物が引用されている。これらの特許、特許出願、及び他の刊行物の開示は、参照によりこれらの全体が本出願に組み込まれる。
別に定めのない限り、又は提示された文脈から明らかでない限り、本明細書で使われる技術及び科学的用語は、本開示発明が属する当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているのと類似又は同等の方法及び材料を本明細書で記載の実施又は試験で使用し得るが、好適な方法及び材料を以下に記載する。
【0041】
本発明の態様
本開示は、放射線治療薬及びCD47遮断薬の投与により、癌のヒト患者などの哺乳類対象を治療するための方法に関する。放射線治療薬は、癌関連抗原を認識する放射標識抗体などの放射標識癌標的薬を含み、CD47遮断薬は、抗CD47遮断抗体又は親和性薬剤又は抗SIRPα遮断抗体、又はCD47-SIRPα軸活性を他の理由で下方制御する薬剤などのSIRPαへのCD47の結合を妨げる薬剤を含み得る。
CD47(最初はインテグリン結合タンパク質(IAP)と命名されていた)は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの細胞表面タンパク質であり、これは、身体中の実質的に全ての細胞により、大量にグリコシル化及び発現されている。通常、RBC(これはインテグリンを欠く)以外のほとんどの細胞型上のインテグリンavb3と結合して、自己の指標である「don’t eat meシグナル」をマクロファージ/貪食細胞に与えている。すなわち、細胞表面CD47は、マクロファージ、SIRPα上のその受容体と相互作用し、正常な、健康細胞の貪食作用を抑制する。CD47は、循環造血幹細胞及び白血病細胞上で発現上昇され、貪食作用を回避する。CD47はまた、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、非ホジキンリンパ腫、及び膀胱癌を含むいくつかのヒト癌上で、自然免疫系による貪食作用を回避する手段として高発現されている(Eladl,et al.(2020)Hematology & Oncology,13:96)。
【0042】
固形腫瘍及び造血器悪性腫瘍の両方の癌の治療のために開発されている30種ものCD47遮断薬が存在する。CD47-SIRPα軸を遮断する方策には、CD47又はSIRPαに結合する、あるいは影響を与える生物製剤が挙げられ、多くが現在臨床試験中である。例には、マグロリマブ、レムゾパリマブ、及びAO-176が挙げられる。これらの分子は、CD47とSIRPαの間の結合を遮断するが、それらは、Fc機能を含む、又は除去するように改変され、例えば、IgG1対IgG2又はIgG4、それにより、これらの分子の機構的特性は異なり得る。例えば、特定のCD47遮断抗体はまた、赤血球上に発現したCD47に結合し、結果として、臨床での、関連有害事象は貧血である。
【0043】
抗腫瘍応答は、前臨床試験で、抗CD47抗体AO-176などに対して観察されたが、しかし、ヒト臨床試験では、単剤抗CD47又は抗SIRPαに対する全体応答は、わずかであった。これはおそらく、効率的腫瘍細胞貪食作用を可能にするためのdon’t eat me遮断に加えて、促進性食細胞応答、例えば、eat meシグナルの発現上昇の必要性に起因すると思われる。正常な生理的状態下では、細胞恒常性は、促進性-及び抗-食細胞シグナルのバランシングにより部分的に調節される。CD47遮断時に貪食される標的細胞の場合、その細胞はまた、表面発現したカルレティキュリン及びホスファチジルセリンにより誘発される強力な促進性食細胞シグナル、十分な「eat me」シグナル、を提示しなければならない。従って、CD47-SIRPα軸を標的にする薬物は、顕著な臨床応答を可能にする治療薬の組み合わせを必要とする可能性が高いと思われる。
本開示発明は、細胞恒常性のバランスを、癌及び造血器悪性腫瘍に関与する特定の細胞型などに対して、促進性食細胞シグナルの方に傾かせる組成物及び方法に直接関連する。この目的を達成するために、本開示発明は、「eat me」シグナルを高める放射線治療薬を組み合わせた、「don’t eat me」シグナルを中断する、あるいは、下方制御する、CD47のSIRPα(食細胞上の)との相互作用の遮断薬に関する。
一例として抗CD47抗体マグロリマブは、最近、高リスクの以前に未治療の骨髄異形成症候群(MDS)又は急性骨髄性白血病(AML)患者において、大きな臨床応答を示した。eat meシグナルの発現上昇の要求は、これらの応答を可能にするために不可欠であると思われる。照射は、自然及び適応免疫応答の両方を誘導するその能力に起因して、CD47経路を遮断する薬剤に対する理想的併用療法である(de la Cruz-Merino,et al.(2014)Frontiers in Immunology,vol 5,article 102;Vermeer,et al.(2012)International Journal of Cancer,133:120)。
【0044】
放射線生物学的応答は、異なる細胞株の活性化を生じさせ、適応免疫応答の「スイッチオン」を生成する。放射線生物学的モデルは、照射後のDNA損傷は、腫瘍細胞の直接的損傷の結果として、又はフリーラジカルの誘導に起因して間接的に、異なるタイプの生物学的応答を誘導することを考慮する。照射後、ほとんどの細胞は、限られた時間生存し、この時間の間に、それらは、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、及び細胞表面受容体の発現を制御する特異的遺伝子の過剰発現を誘導する分子シグナル(損傷関連分子パターン(DAMP))を生成し、自然及び適応免疫系両方の炎症応答を活性化する。
【0045】
照射は、IRを介して細胞に、及び標的体外照射を介してヒト患者に送達された。この照射は、損傷癌細胞からの癌特異的ペプチド放出を高め、樹状細胞による抗原取り込み及び提示を促進し、CD47を減らしてカルレティキュリンを増やし、及び腫瘍細胞上のMHC-I発現を上方制御して、T細胞による癌細胞認識を高めることが明らかになった。更に、放射線誘導DNA損傷は、cGAS-STING経路を起動してIFN遺伝子転写を活性化する。
しかし、この方式は、血液学的、又は血液癌の患者にとって、選択肢ではない。理由は、これらの疾患は、散在性であり、体外ビーム照射による全身照射は、正常組織及び臓器を照射に曝露し、顕著な毒性の危険にさらすことによると思われるからである。それと反対に、抗体放射コンジュゲート(ARC)による標的化照射、又は選択的腫瘍抗原あるいは選択的標的化癌細胞に向けた他の放射線治療薬は、照射効力の腫瘍細胞への標的薬による効率的送達を可能にする。このような組み合わせは、ほとんどの正常細胞に対する顕著な影響なしに、標的細胞中のインビボ腫瘍除去をもたらす。
本開示発明の例示的放射線治療薬は、CD33、DR5、5T4、HER2、HER3及び/又はTROP2に対する抗体放射コンジュゲート(ARC)を含む。例示的ARCには、強力なα粒子放出放射性同位元素アクチニウム225(225Ac)で標識された抗CD33、DR5、5T4、HER2、HER3及び/又はTROP2抗体のいずれかが挙げられる。例えば、放射線治療薬が、CD33に対するアクチニウム225標識モノクローナル抗体、例えば、225Acリンツズマブを含む場合、照射は、CD33陽性細胞に直接送達され、AML、MDS、及び多発性骨髄腫などのヘム悪性腫瘍に対する治療薬として使用される。照射を腫瘍細胞に直接送達することにより、ARCは、患者、特に、散在性疾患の患者への投与に安全な方式で、体外照射療法の強力な放射線生物学的効果をもたらす潜在能力を有する。その結果、腫瘍細胞の本発明のARCへの曝露は、カルレティキュリンなどの「eat me」シグナルを上方制御し、癌細胞の表面上のCD47を下方制御する。
従って、ARCとCD47-SIRPα遮断薬の組み合わせ使用は、本発明の目的であり、標的化放射性核種弾頭の放射免疫生物学的効果の結果として、CD47-SIRPα遮断薬に対する促進性食細胞応答を高める。
【0046】
更に、標的化ARC照射それ自体は、直接抗腫瘍効果を付与でき、並びに、適応免疫応答を更に刺激するので、これらの2つのタイプの薬剤の組み合わせは、治療結果及び応答の持続力の両方を改善する相乗的治療薬を提供する。例えば、225Acリンツズマブは、再発性/難治性AMLのヒト試験で臨床的活性及び忍容性の証拠を示し、標準治療法との初期組み合わせ試験で有望な応答を示した。いくつかの抗CD47遮断薬が、AML及びMDSなどの骨髄疾患で、単剤として、及び化学療法及び標的療法と組み合わせて、現在試験中である。骨髄疾患で、225AcリンツズマブとCD47遮断薬との組み合わせは、これらの疾患における、強力で、可能性として耐容性良好な治療戦略を提供する。この手法はまた、固形腫瘍及び他の血液癌を含む他の腫瘍型にも拡張できる。
【0047】
CD33標的化放射線治療薬
CD33の過剰発現は、AML、CML、及びMDSを含む造血器悪性腫瘍中でよく見つけられる。AMLでは、85~90%の患者は、CD33を発現し、これは、ゲムツズマブ-オゾガマイシン(マイロターグ(商標))などの標的療法薬の開発につながった。MDS患者の約96%は、それらの骨髄芽球上にCD33を発現している(Sanford et al.(2016)Leukemia & Lymphoma,vol.57(8):1965-1968)。別の研究では、MDS患者は、骨髄細胞当り、対照試料の約2倍多くのCD33分子を示した(Jilani,et al.(200)Am J Clin Pathol vol.118:560-566)。CD33抗原はCMLの実質的に全ての症例で発現している。更に、60歳より高齢の患者は、予後不良を示し、AMLの場合、4年無病生存期間が10%~15%に過ぎない。このAML患者の高再発率及び高齢患者の予後不良は、CD33+細胞を選択的に標的化する新規治療薬に対する差し迫った必要性を明確に示している。
従って、本明細書で開示される方法は、CD47遮断薬と組み合わせた、CD33に対する放射免疫療法薬の投与を含み得る。このような方法は、固形癌及び/又は血液疾患又は障害(例えば、血液癌)などの増殖性障害を治療するために使用し得る、及び/又はCD33を発現している細胞の成長及び/又は増殖を抑制するために使用し得る、及び/又はCD33を発現又は過剰発現している細胞を伴う疾患又は障害を治療するために使用する。更に、方法は、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病(CML)、又は前述のいずれかの再発性/難治性(再発性及び/又は難治性)型である血液疾患又は障害を治療するために使用し得る。
【0048】
放射標識CD33標的薬はまた、固形腫瘍中で見つかる、又は白血病及びリンパ腫などの血液癌中で、このような障害の治療中に、免疫サプレッサーとして機能するCD33発現骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を枯渇させるために使用し得る。従って、本発明の一態様では、1種又は複数の放射標識抗CD33モノクローナル抗体などの放射標識CD33標的薬、又は225Acリンツズマブなどの225Ac標識抗CD33抗体などの放射標識CD33結合抗体フラグメントは、血液癌又は増殖性障害又はMDSCにより浸潤されている又はMDSCによる浸潤に晒されている固形腫瘍などの固形腫瘍の治療を必要としている、ヒト対象などの哺乳類対象に、1種又は複数のCD47遮断薬の対象への投与と組み合わせて又はその投与と同時に投与され得る。放射標的及び使用に好適なCD33標的薬には、例えば、リンツズマブ、ゲムツズマブ、バダスツキシマブ、前述のモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖CDRを有する抗体、及び前述のモノクローナル抗体のいずれかのCD33結合フラグメントが挙げられる。固形腫瘍は、例えば、肉腫、骨肉腫、線維肉腫、膵臓癌、乳癌、タモキシフェン耐性乳癌、TNBC、肝細胞癌、黒色腫、肺癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、ルイス肺癌、固形エールリッヒ癌、子宮内膜癌、神経膠腫、神経膠芽腫、中皮腫、癌腫、結腸癌、結腸直腸癌腫、口腔癌、腎臓癌、卵巣癌、又は本明細書で開示の固形腫瘍癌であり得る。
CD33は、67kdのI型膜貫通型受容体糖タンパク質で、シアル酸依存性細胞接着分子として機能し得る。CD33は、長いN末端細胞外ドメイン、ヘリカル膜貫通ドメイン、及び短いC末端細胞質ドメインを有する。CD33は、初期骨髄前駆細胞骨髄白血病性(例えば、急性骨髄性白血病)細胞上で発現されるが、幹細胞上では発現されない。CD33タンパク質のアミノ酸残基1~259は、細胞外ドメインであり、アミノ酸260~282は、ヘリカル膜貫通ドメインであり、及びアミノ酸283~364は、細胞質ドメイン(細胞内)である。CD33の細胞外ドメイン中には、少なくとも3つの既知の一塩基多型(「SNP」)(即ち、W22R、R69G、S128N)が存在する。
【0049】
リンツズマブ(HuM195)、ゲムツズマブ、及びバダスツキシマブなどのCD33に対する抗体は、急性骨髄性白血病(AML)を含む造血器悪性腫瘍及び形質細胞障害を治療するそれらの有効性が臨床で評価されてきており、現在も評価中である。各抗体は、CD33の細胞外の領域の異なる部分に結合し、それぞれ、異なる臨床応答(例えば、抗腫瘍効果)を示すことが明らかになってきた。ゲムツズマブは、PfizerからADCマイロターグ(商標)として入手可能であり、及びバダスツキシマブは、Seattle GeneticsからADCバダスツキシマブタリリンとして入手可能である。
生きているヒト白血病性骨髄芽球で免役したマウス由来の非コンジュゲートM195を用いた試験は、飽和又は過飽和線量で投与した場合、ヒト患者の周辺芽球数の一過性減少を示した。ヒト化抗体HuM195は、M195の相補性決定領域をヒトIgG1フレームワーク及び主鎖に移植することにより、構築された。HuM195は、M195より8倍高い結合力が明らかになり、更に、M195とは異なり、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を示した。依然として、限られた研究は、微小残存病変を有する患者で使用すると、急性前骨髄球性白血病(APL)でいくつかの活性の方向を示すが、HuM195は、AML中の単剤として、例えば、4週の期間を通して、CD33結合部位を完全に遮断する過飽和線量であっても、極めてわずかな活性を有するのみであり、低腫瘍負荷量の患者に限定される完全又は部分寛解の数少ない達成があった。極めて高い線量のリンツズマブが5週にわたり毎週投与され、及びその後、臨床的有用性がある患者のために隔週投与が実施された小規模試験により示唆されるように、過飽和線量が繰り返して投与される場合には、有効性は、おそらく増大するであろう。
【0050】
これらの現在利用可能な抗CD33抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及びそれらの非標識状態でのアポトーシスによりCD33陽性細胞を除去するが、現在開示の発明は、放射標識を含むこのような抗体(ARC)の使用を提供する。従って、標的細胞に対する放射線生物学的効果を誘導するのに必要な濃度は、本明細書で開示のように、遙かに低い。従って、先行技術の方法の非標識抗体の高濃度に関連するマイナスの副作用は、低減又は除去される。
更に、抗CD33抗体が、アクチニウム225などのα放出放射性核種で放射標識される場合、放射線生物学的効果は、高度に標的化される。225Ac負荷量は、高エネルギーのアルファ粒子を腫瘍部位又はCD33発現細胞に直接送達し、腫瘍細胞内に負荷量を大きく蓄積させる必要なしに、致死的な二本鎖DNA切断を生じさせ、標的抗原発現量の低い腫瘍にも治療効果をもたらす。その短い経路長のために、高エネルギーアルファ粒子の放出の範囲はわずか数個の細胞直径の厚さだけであり、それによって近くの正常組織への損傷を抑制する。リンツズマブサテトラキセタンAc225の製造は、例えば、米国特許第9,603,954号明細書で報告されている。
【0051】
DR5標的化放射線治療薬
ヒトは、2つの機能的死受容体(DR4及びDR5)を発現し、これらは、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド受容体1及び2(TRAIL-R1及び-R2)としても知られ、免疫系にウィルス感染又は形質転換細胞の存在を知らせる免疫監視機序の一部として細胞表面上で発現上昇する。死受容体と結合するリガンドであるTRAILは、T細胞及びNK細胞などの免疫細胞に発現しており、DR4又はDR5と結合時に、TRAILは死受容体を三量体化し、p53から独立しているアポトーシスカスケードを誘導する(Naoum,et el.(2017)Oncol.Rev.11,332)。DR4及びDR5は、いくつかの正常組織中で低レベルで発現しているのを見つけることができる(Spierings,et al.(2004)J.Histochem.Cytochem.,52,821-31)と同時に、それらは、腎臓、肺、急性骨髄性白血病(AML)、頸部、及び乳癌を含む多くの腫瘍組織の表面上で発現上昇している。
死受容体が有望な治療標的として特定された後で、多くのDR4及びDR5標的化抗体及び組換えTRAIL(rTRAIL)タンパク質が開発され、その中には、マパツムマブ、コナツムマブ、レクサツムマブ、ティガツズマブ、ドロジツマブ、及びLBY-135が含まれる。ティガツズマブは、三種陰性乳癌(TNBC)患者による第2相臨床試験で評価され、原発性及び転移性腫瘍試料の両方でDR5の発現が確認され、DR5がこの癌型及び転移性疾患における治療介入を方向付けるのに好適な標的であることが示された(Forero-Torres,et al.(2015)Clin.Cancer Res.,21,2722-9)。
乳癌などの固形腫瘍標的化治療レジメンでは、照射は、通常、外科的切除後の原発腫瘍の部位の治療にのみ使用され、転移に対して対症療法的に用いられるのみである。照射の原発性及び転移腫瘍の両方への標的化送達を達成し、正常組織を照射毒性から免れさせるための追加の又は代わりの手法は、腫瘍関連抗原DR5を標的とする本明細書で開示の放射線治療薬の使用によるものである。
従って、使用し得る放射線治療薬は、少なくとも、DR5を標的とする抗体、ペプチド、及び/又は低分子を含む。例示的放射線療法には、DR5標的化ARC、例えば、DR5に対する放射標識モノクローナル抗体(例えば、225Ac-DR5)を含む。DR5に対する例示的抗体には、少なくとも、Daiichi Sankyoによるティガツズマブ(CD-1008)、Amgenによるコナツムマブ(AMG655)、AstraZenecaによるマパツムマブ、Creative Biolabs(Shirley,NY,USA)によるレクサツムマブ(ETR2-ST01としても知られる)、LBY-135、及びGenentechによるドロジツマブが挙げられる。マウスでの試験は、代用マウス抗体TRA-8又はMD5-1を使用し得る。
【0052】
5T4標的化放射線治療薬
5T4としても知られる、栄養膜糖タンパク質(TBPG)は、癌胎児性抗原として分類される糖タンパク質であり、それは、胎児発生段階中の細胞上に発現するが、成人組織では、腫瘍上以外には発現しない(Southall,P.J.et al.(1990)Br.J.Cancer 61,89-95)。5T4は、肺、乳房、頭頸部、結腸直腸、膀胱、卵巣、膵臓、及び多くの他のものを含む多くの異なる腫瘍型にわたり広範に発現される(Stern,P.L.& Harrop,R.(2017)Cancer Immunol.Immunother.66,415-426)。5T4を放射標識標的薬で標的化するために好ましい特性には、その高い内部移行率、腫瘍周辺部上の発現、及び癌幹細胞上の発現が挙げられる。
5T4発現により、抗体、ワクチン、及び細胞性治療法を含む、腫瘍に対する治療薬を開発するいくつかの試みがなされてきた。非標識5T4標的化抗体は、効果的な治療薬ではないが(Boghaert,et al.(2008)Int.J.Oncol.32,221-234)、毒素を有する抗体薬物コンジュゲート(ADC)などの武装抗体が開発され、前臨床で試験された。唯一、Pfizerにより開発されたオーリスタチンベースADCが臨床試験され、客観的応答は報告されず、オーリスタチンコンジュゲートに関連する毒性が観察された(Shapiro,G.I.et al.(2017)Invest.New Drugs 35,315-323)。
従って、本開示発明の放射線治療薬は、少なくとも、5T4を標的とする抗体、ペプチド、及び/又は低分子を含む。例示的放射線療法には、5T4標的化ARC、例えば、5T4に対する放射標識モノクローナル抗体(例えば、225Ac-5T4)を含む。5T4に対する例示的抗体には、少なくとも、Medimmune/AstraZenecaにより開発されたMED10641;Aptevo Therapeutics/Alligator Bioscienceにより開発されたALG.APV-527;Biotecnol/Chiome Bioscienceにより開発されたTb535;Guangdong Zhongsheng Pharmaceuticalsにより開発されたH6-DM5;及びZova Biotherapeuticsにより開発されたZV0508が挙げられる。
【0053】
HER3標的化放射線治療薬
ヒト上皮成長因子受容体3(ErbB3、HER3としても知られる)は、受容体タンパク質チロシンキナーゼの上皮成長因子受容体(EGFR)サブファミリーに属する受容体タンパク質チロシンキナーゼである。膜貫通型受容体HER3は、その中にダイマー化ドメインを有する細胞外リガンド結合ドメイン、細胞内タンパク質チロシンキナーゼ様ドメイン及びC末端リン酸化ドメインからなる。他のHERファミリーメンバーと異なり、HER3のキナーゼドメインは、極めて低い固有のキナーゼ活性を示す。
リガンドニューレグリン1又はニューレグリン2は、HER3の細胞外ドメインに結合し、HER2などの他のダイマー化パートナーと共にダイマー化を促進することにより、受容体媒介シグナル伝達経路を活性化する。ヘテロダイマー化は、HER3の細胞内ドメインの活性化及びトランスリン酸化をもたらし、シグナル多様化のためだけでなく、シグナル増幅のための手段でもある。加えて、HER3ヘテロダイマー化は、活性化リガンドの非存在下で行なうことができ、これは、一般に、リガンド非依存性HER3活性化と呼ばれる。例えば、遺伝子増幅の結果としてHER2が高レベルで発現される場合(例えば、乳房、肺、卵巣又は胃癌で)、自然発生的HER2/HER3ダイマーが形成され得る。この状況では、HER2/HER3は、最も活性なErbBシグナル伝達ダイマーと考えられ、高度に形質転換性である。
増大したHER3は、乳房、肺、胃腸及び膵臓癌などのいくつかのタイプの癌で見つけられてきた。興味深いことに、HER2/HER3の発現と、非侵襲的から侵襲的ステージへの進行との相関が示された(Alimandi et al.(1995)Oncogene 10:1813-1821;DeFazio et al.(2000)Cancer 87:487-498)。
従って、本開示発明の放射線治療薬は、少なくとも、HER3を標的とする抗体、ペプチド、及び/又は低分子を含む。例示的放射線療法には、HER3標的化ARC、例えば、HER3に対する放射標識モノクローナル抗体(例えば、225Ac-HER3)を含む。HER3に対する例示的抗体には、モノクローナル抗体パトリツマブ、セリバンツマブ、ルムレツズマブ、エルゲムツマブ、US-1402、AV-203、CDX-3379、及びGSK2849330、二重特異性抗体MM-111、MM-141/イスティラツマブ、MCLA-128、及びMEHD7945A/デュリゴツマブ、及び本明細書で開示の他の抗HER3抗体が挙げられる。
例示的抗HER3抗体(本明細書では「HER3抗体」とも呼ばれる)、例えば、放射性標識され、本開示発明の様々な態様で実施され、及び/又は使用され得る抗ヒトHER3抗体は、限定されないが、抗体、及び非限定例のIgGなどの、非限定例の免疫グロブリンなどの抗体を含み、これらは、(i)HER3抗体又は重鎖の重鎖可変領域を含む、(ii)HER3抗体又は重鎖又は列挙したものの重鎖CDR(例えば、Kabatの定義による)の1、2又は3を含む、(iii)HER3抗体又は軽鎖の軽鎖可変領域を含む、及び/又は(iv)HER3抗体又は軽鎖又は列挙したものの軽鎖CDR(例えば、Kabatの定義による)の1、2又は3を含む。N末端リーダー配列を含むHER3抗体重鎖又はHER3抗体軽鎖が開示されている場合、本発明の様々な態様における実施及び使用のために、リーダー配列を欠く対応する重鎖及び対応する軽鎖も開示されることが意図されていることも理解されるべきである。
【0054】
放射標識して、本開示発明で実施及び/又は使用し得る例示的HER3抗体は、例えば、配列番号9又は11で示されるアミノ酸配列を有する重鎖及び/又は配列番号10又は12で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含むHER3に対するマウスモノクローナル抗体、又は前記配列の1種又は複数由来のヒト化抗体などの抗体を含み得る。放射標識して、本開示発明で実施及び/又は使用し得る例示的HER3抗体は、配列番号13で示される配列を有するN末端領域を有する重鎖及び/又は配列番号14で示される配列を有するN末端領域を有する軽鎖を含み得る。同様に本発明の種々の態様で実施又は使用し得るHER3抗体は、例えば、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び/又は配列番号8で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;及び/又は配列番号1~3でそれぞれ示されるアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3の1つ又は複数を含む重鎖、及び/又は配列番号4~6でそれぞれ示されるアミノ酸配列を有するCDR1、CD2及びCDR3の1つ又は複数を有する軽鎖を含み得る。本発明のいずれかの態様で実施及び/又は使用されるHER3抗体は、例えば、上述の軽鎖配列及び/又は重鎖配列のいずれかの組み合わせを含み得る。
【0055】
例示的HER3抗体は、配列番号15を含むCDR-H1、配列番号16を含むCDR-H2、及び配列番号17を含むCDR-H3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、及び/又は配列番号18を含むCDR-L1、配列番号19を含むCDR-L2、及び配列番号20を含むCDR-L3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号21を含む免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は配列番号22を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号23の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号24の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号25を含むCDR-H1、配列番号26を含むCDR-H2、及び配列番号27を含むCDR-H3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、及び/又は配列番号28を含むCDR-L1、配列番号29を含むCDR-L2、及び配列番号30を含むCDR-L3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号31を含む免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は配列番号32を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号33の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号34の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号35を含むCDR-H1、配列番号36を含むCDR-H2、及び配列番号37を含むCDR-H3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、及び/又は配列番号38を含むCDR-L1、配列番号39を含むCDR-L2、及び配列番号40を含むCDR-L3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号41を含む免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は配列番号42を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号43の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び配列番号44の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号45を含むCDR-H1、配列番号46を含むCDR-H2、及び配列番号47を含むCDR-H3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、及び/又は配列番号48を含むCDR-L1、配列番号29を含むCDR-L2、及び配列番号49を含むCDR-L3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号50を含む免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は配列番号51を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号52の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号53の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号54を含むCDR-H1、配列番号55を含むCDR-H2、及び配列番号56を含むCDR-H3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、及び/又は配列番号28を含むCDR-L1、配列番号29を含むCDR-L2、及び配列番号30を含むCDR-L3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号57を含む免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は配列番号58を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号59の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号60の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号61を含むCDR-H1、配列番号62を含むCDR-H2、及び配列番号63を含むCDR-H3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、及び/又は配列番号64を含むCDR-L1、配列番号65を含むCDR-L2、及び配列番号66を含むCDR-L3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号67を含む免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は配列番号68を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号69の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び配列番号70の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号71を含むCDR-H1、配列番号72を含むCDR-H2、及び配列番号66を含むCDR-H3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、及び/又は配列番号28を含むCDR-L1、配列番号29を含むCDR-L2、及び配列番号30を含むCDR-L3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号73を含む免疫グロブリン重鎖可変領域及び/又は配列番号74を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。例示的HER3抗体は、配列番号75の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号76の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号77の免疫グロブリン重鎖アミノ酸配列及び/又は配列番号78の免疫グロブリン軽鎖アミノ酸配列を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号86、87、88、89、90又は91を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域及び/又は配列番号79、80、81、82、83、84又は85を含む重鎖可変領域を含む。
例示的HER3抗体は、配列番号92、94、95、98又は99を含む免疫グロブリン重鎖配列及び/又は配列番号93、96、97、100又は101を含む免疫グロブリン軽鎖配列を含む。
例示的HER3抗体はまた、Isu Abxis Coによるバレセタマブ(Barecetamab)(ISU104)及び米国特許第10,413,607号明細書で開示のHER3抗体のいずれかを含む。
例示的HER3抗体はまた、Hummingbird Bioscience Pte.によるHMBD-001(10D1F)及び国際公開第WO2019185164号明細書、及び同第WO2019185878号明細書、米国特許第10,662,241号明細書;及び米国特許出願公開第20190300624号明細書、同第20210024651号明細書、及び同第20200308275号明細書で開示のHER3抗体のいずれかを含む。
例示的HER3抗体はまた、Merus N.V.によるHER2/HER3二重特異性抗体MCLA-128(即ち、ゼノクツズマブ);及び米国特許出願公開第20210206875号明細書、同第20210155698号明細書、同第20200102393号明細書、同第20170058035号明細書、及び同第20170037145号明細書で開示の単一特異性又は多重特異性に関わらず、HER3抗体のいずれかを含む。
例示的HER3抗体はまた、HER3抗体パトリツマブ(U3-1287)、報告されたパトリツマブの鎖である重鎖配列配列番号106及び/又は軽鎖配列配列番号7を含む抗体、及び米国特許第9,249,230号明細書及び同第7,705,130号明細書並びに国際公開第WO2007077028号明細書で開示されたHER3抗体のいずれかを含む。
例示的HER3抗体はまた、HER3抗体MM-121、及び米国特許第7,846,440号明細書及び国際公開第WO2008100624号明細書で開示されたHER3抗体のいずれかを含む。例示的HER3抗体はまた、EGFR/HER3二重特異性抗体DL1、及び単一特異性又は多重特異性に関わらず、米国特許第9,327,035号明細書及び同第8,597,652号明細書、米国特許出願公開第20140193414号明細書、並びに国際公開第WO2010108127号明細書で開示されたHER3抗体のいずれかを含む。
例示的HER3抗体はまた、HER2/HER3二重特異性抗体MM-111、及び単一特異性又は多重特異性に関わらず、米国特許出願公開第20130183311号明細書及び同第20090246206号明細書、並びに国際公開第WO2006091209号明細書及び同第WO2005117973号明細書で開示のHER3抗体のいずれかを含む。
【0056】
特定の態様では、HER3標的薬には、Daiichi Sankyoによるパトリツマブにより認識されるHER3のエピトープに結合する抗HER3抗体、Merrimack Pharmaceuticalsによるセリバンツマブ(MM-121)、Rocheによるルムレツズマブ、Novartisによるエルゲムツマブ、GlaxoSmithKlineによるGSK2849330、Celldex TherapeuticsのCDX-3379、MediPharmaによるEV20及びMP-RM-1、Isu Abxis Co.によるバレセタマブ(ISU104)、Hummingbird Bioscience Pte.によるHMBD-001(10D1F)、Regeneron PharmaceuticalsによるREGN1400、及び/又はAVEO OncologyによるAV-203が挙げられる。特定の態様では、抗HER3抗体は、パトリツマブ、セリバンツマブ又はセリバンツマブに対し報告された重鎖配列配列番号108及び/又は軽鎖配列配列番号109を含む抗体、ルムレツズマブ又はルムレツズマブに対し報告された重鎖配列配列番号110及び/又は軽鎖配列配列番号111を含む抗体、エルゲムツマブ又はエルゲムツマブに対し報告された重鎖配列配列番号112及び/又は軽鎖配列配列番号113を含む抗体、AV-203、CDX-3379、GSK2849330、EV20、MP-RM-1、ISU104、HMBD-001(10D1F)、及びREGN1400、の1種又は複数から選択される。例示的治療適応症と共に例示的抗体が表2に記載される。
【表2】
【0057】
ヒトHER3、ヒトHER2、及びヒトEGFR(HER1)の配列及び構造は、全て既知である。ヒトHER3前駆体タンパク質(受容体チロシンプロテインキナーゼerbB-3アイソフォーム1前駆物質 NCBI基準配列:NP_001973.2)の配列は、本明細書では、配列番号115として提供される。当業者は、本発明の態様種々の本発明の態様における使用のために、与えられた既知の標的タンパク質アミノ酸配列、様々な種類の好適な抗体及びヒトHER3などのHER3の細胞外ドメインに特異的な抗体ミメティックは、当該技術分野で十分に確立されている免疫化及び/又はパニング及び/又は抗体設計技術を用いて製造し得ることを容易に理解するであろう。
本発明の種々の実施形態で使用するために放射標識されるHER3標的薬には、例えば、米国特許出願公開第20200121814号明細書に記載のもののいずれかなどの、DOTA含有HER3結合ペプチドなどのキレート化剤含有HER3結合ペプチドなどのHER3結合ペプチドを挙げ得る。
【0058】
TROP2標的化放射線治療薬
Trop2及び上皮糖タンパク質-1抗原(EGP-1)としても知られる、腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質2は、癌腫で過剰発現しているヒトTACSTD2遺伝子によりコードされるタンパク質である。TROP2の過剰発現は、ヒト固形腫瘍患者の不十分な生存に関連している。TROP2標的薬で標的化され、本発明による放射標識TROP2標的薬で治療される癌には、限定されないが、癌腫、扁平細胞癌、腺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、結腸直腸癌、胃腺癌、食道癌、肝細胞癌、卵巣上皮癌、乳癌、転移性乳癌、三種陰性乳癌(TNBC)、前立腺癌、ホルモン不応性前立腺癌、膵管腺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、膀胱腫瘍、子宮頸癌、子宮内膜癌、子宮癌、濾胞性甲状腺癌、多形神経膠芽腫が挙げられる。
増殖性障害の治療で、放射標識し、1種又は複数のCD47遮断薬と共に使用され得る例示的TROP2標的薬には、モノクローナル抗体サシツズマブ及びダトポタマブ、前記抗体の重鎖及び軽鎖の片方又は両方を有する抗体、及び前記抗体の重鎖CDR及び軽鎖CDRの片方又は両方を有する抗体、又は上述の抗体のいずれかのTROP2結合フラグメントが挙げられる。サシツズマブバイオ後続品は、BioVision Incorporated(an Abcam company,Waltham,MA,USA)からカタログ番号A2175として商業的に入手可能である。ダトポタマブバイオ後続品は、ProteoGenix(Schiltigheim,France)からカタログ番号PX-TA1653として商業的に入手可能である。
増殖性障害の治療で、放射標識し、1種又は複数のCD47遮断薬と共に使用され得る例示的TROP2標的薬には、重鎖配列番号135及び/又は軽鎖配列番号140(サシツズマブの重鎖及び軽鎖として報告されている)を有するモノクローナル抗体、又は前記鎖の重鎖可変領域(配列番号136)又は軽鎖可変領域(配列番号141)の片方又は両方を含む抗体、又は前記重鎖の重鎖CDRの1、2、又は3(CDR H1~3:それぞれ、配列番号:137~139)及び/又は前記軽鎖の軽鎖CDRの1、2、又は3(CDR L1~3:それぞれ、配列番号142~144)を含む抗体、及び米国特許第7,238,785号明細書(hRS7)、同第9,492,566号明細書、同第10,195,517号明細書、又は同第11,116,846号明細書で開示の抗ヒトTROP抗体、又は前記抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の片方又は両方を含む抗体、又は前記抗体のいずれかの重鎖CDRの1、2、又は3を含む重鎖及び/又は前記抗体のいずれかの軽鎖CDRの1、2、又は3を含む軽鎖を含む抗体のいずれか、が挙げられる。
増殖性障害の治療で、放射標識し、1種又は複数のCD47遮断薬と共に使用され得る更なる例示的TROP2標的薬には、モノクローナル抗体重鎖配列番号145及び/又は軽鎖配列番号150(ダトポタマブの重鎖及び軽鎖と報告されている)、又は前記重鎖(配列番号146)の可変領域及び前記軽鎖(配列番号151)の可変領域の片方又は両方を含む抗体、又は前記重鎖の重鎖CDRの1、2、又は3(CDR 1~3:それぞれ、配列番号:147~149)及び/又は前記軽鎖の軽鎖CDRの1、2、又は3(CDR H1~3:それぞれ、配列番号152~154)を含む抗体、及び国際公開第WO2015098099号明細書又は米国特許出願公開第20210238303号明細書で開示の抗ヒトTROP抗体、又は前記抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の片方又は両方を含む抗体、又は前記抗体のいずれかの重鎖CDRの1、2、又は3を含む重鎖及び/又は前記抗体のいずれかの軽鎖CDRの1、2、又は3を含む軽鎖を含む抗体のいずれか、が挙げられる。
【0059】
MUC1標的化放射線治療薬
MUC1発現癌などの増殖性障害の治療のために、放射標識され、本明細書で開示のもののいずれかなどの1種又は複数のCD47遮断薬と組み合わせて、又は共に使用され得る例示的MUC1標的薬には、hTAB004(OncoTAb,Inc.)及び米国特許出願公開第20200061216号明細書及び米国特許第8,518,405号明細書;同第9,090,698号明細書;同第9,217,038号明細書;同第9,546,217号明細書;同第10,017,580号明細書;同第10,507,251号明細書;同第10,517,966号明細書;同第10,919,973号明細書;同第11,136,410号明細書;及び同第11,161,911号明細書のいずれかで開示の抗MUC1抗体のいずれかが挙げられる。本発明による1種又は複数のCD47遮断薬と組み合わせて、又はそれと共に使用され得る例示的放射標識MUC1標的薬は、90Y IMMU-107(hPAM4-Cide;Immunomedics,Inc.;Gilead Sciences,Inc.)、又はその177Luもしくは225Ac代替標識バージョンである。放射標識MUC1標的薬は、膵臓癌、局所進行性又は転移性膵臓癌及び転移性の乳癌、タモキシフェン耐性乳癌、HER2陰性乳癌、及び三種陰性乳癌(TNBC)などの乳癌などのMUC1過剰発現固形腫瘍などのMUC1過剰発現癌の治療に使用し得る。
【0060】
LYPD3(C4.4A)標的化放射線治療薬
本発明による1種又は複数のCD47遮断薬と組み合わせて又は共に使用するために放射性標識され得る例示的なLYPD3(C4.4A)標的薬には、例えば、オーリスタチンベースの抗C4.4A(LYPD3)ADCであるBAY1129980(別名ルパツマブアマドチン(Lupartumab amadotin);Bayer AG、Germany)又はその抗体成分ルパツマブ、IgG1 mAb GT-002(Glycotope GmbH、Germany)、及び米国公開公報に開示されているものが挙げられる。4A(LYPD3)ADC又はその抗体成分であるルパツマブ、IgG1 mAb GT-002(Glycotope GmbH、Germany)、及び米国特許出願公開第20210309711号明細書、同第20210238292号明細書、同第20210164985号明細書、同第20180031566号明細書、同第20170158775号明細書、又は同第20150030618号明細書、同第20120321619号明細書、カナダ国特許出願公開第CA3124332A1号明細書、台湾特許出願公開第TW202202521A号、又は国際公開第WO2021260208号明細書、同第WO2007044756号明細書、同第WO2022042690号明細書、又は同第WO2020138489号明細書で開示のもののいずれかが挙げられる。このような使用は、例えば、哺乳類のLYPD3発現血液学的又は固形腫瘍癌、例えば、癌腫、原発性及び転移性移行上皮癌(TCC)、腺癌、肺癌、肺腺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肝細胞癌(HCC)、乳癌、内分泌療法耐性乳癌(例えば、タモキシフェン耐性乳癌)、HER2陽性乳癌、三種陰性乳癌(TNBC)、食道癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、及び急性骨髄性白血病(AML)の治療のためであり得る。
【0061】
本開示では、CD33、5T4、DR5、HER2、HER3、TROP2に対する、又は任意の標的に対する特異的抗体、特異的抗体重鎖及び特異的抗体軽鎖が開示される場合は必ず、本発明の実施形態に対して、又は種々の態様での使用のために開示されることが意図されているのは、抗体、例えば、非限定例としての免疫グロブリン、例えば、非限定例としてのIgGであり、これらは、(i)開示される抗体又は重鎖の重鎖可変領域を含む、(ii)開示される抗体又は重鎖の重鎖CDRの1、2又は3(例えば、Kabatの定義による)を含む、(iii)開示される抗体又は軽鎖の軽鎖可変領域を含む、及び/又は(iv)開示される抗体又は軽鎖の軽鎖CDRの1、2又は3(例えば、Kabat定義による)を含む。本開示では、N末端リーダー配列を含む抗体重鎖又は抗体軽鎖が開示される場合は必ず、本発明の種々の態様における実施形態及び使用のために開示されることが同様に意図されるのは、リーダー配列を欠く対応する重鎖及び対応する軽鎖である。
【0062】
PSMA標的化放射線治療薬
本発明の一態様では、1種又は複数のCD47遮断薬と組み合わせて又はそれと共に使用される放射標識標的薬は、例えば、177Lu又は225Acで標識したJ591などの放射標識抗PSMAモノクローナル抗体又は、例えば、177Lu又は225Acで標識したロソパタマブ(Rosopatamab)などの放射標識PSMA標的薬、又は、例えば、177Lu又は225Acで標識したPSMA-617、例えば、177Lu又は225Acで標識したPSMA I&T、例えば、177Luで標識したFrhPSMA-7、64/67Cu-SAR-bisPSMA(Clarity Pharmaceuticals)、例えば、225Acで標識したCONV 01-α(Convergent Therapeutics,Inc.)、177Lu-PSMA I&T-β+225Ac-CONV01-αの組み合わせ(Convergent Therapeutics,Inc.)、131I-1095(Lantheus Holdings/Progenics Pharmaceuticals,Inc.)、131I PSMA-PK-Rx(Noria Therapeutics,Inc.;Bayer)、又は例えば、177Luで標識したPSMA-R2、例えば、177Luで標識したCTT1403(Cancer Targeted Technology LLC)、PNT2002/Lu-177-PSMA-I&T(Point Biopharma Global Inc.)、PNT2002/Lu-177-PSMA-I&T+225Ac-J591、TLX591(177Lu-ロソパタマブ;Telix Pharmaceuticals Ltd.)、TLX-591-CHO(Telix Pharmaceuticals Ltd.)、及び177Lu-EB-PSMA-617(Sinotau Radiopharmaceutical)などの放射標識PSMA結合低分子であり得る。このような薬剤は、本発明による1種又は複数のCD47と組み合わせて又はそれと共に、例えば、転移性前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、転移性CRPC(mCRPC)、及び/又はホルモン療法耐性前立腺癌(抗アンドロゲン剤療法耐性前立腺癌)などの前立腺癌の治療に使用し得る。DOTA又はDOTA誘導体をキレート化剤として含むいずれかの薬剤は、代わりに、DOTAによりキレート化できる225Ac、177Lu及び90Yなどのいずれかの治療効果のある放射性核種で標識し得る。
【0063】
他の放射標識癌標的薬
1種又は複数のCD47遮断薬と組み合わせて、又はそれと共に使用される放射標識癌標的薬はまた、例えば、いずれかの次の放射標識標的薬であり得る:
放射標識FAP標的薬、例えば、本明細書で開示の固形腫瘍又はいずれかの癌を治療するための177Lu-FAP-2286(Clovis Oncology,Inc.);
放射標識CCK2R標的薬、例えば、進行型切除不能な肺外小細胞癌、転移性甲状腺癌などの甲状腺癌、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するためのDEBIO 1124/177Lu-DOTA-PP-F11N(Debiopharm International SA);
放射標識CDH3(カドヘリン-3、P-カドヘリン)標的薬、例えば、上皮卵巣腹膜癌又は卵管癌、TNBC、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、胆管細胞癌腫、膵臓、結腸直腸癌、又は本明細書で開示のいずれかの癌などの固形腫瘍を治療するための90Y標識FF-21101(FujiFilm Holdings Corporation/FujiFilm Toyama Chemical);
放射標識IGF-R1標的薬、例えば、IGF-R1を発現している固形腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための225Ac FPI-1434(Fusion Pharmaceuticals,Inc.);
放射標識CEACAM5標的薬、例えば、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、HER陰性乳癌などの乳癌、及び甲状腺髄様癌などの甲状腺癌、又は本明細書で開示のいずれかの癌などの固形腫瘍を治療するための90Y-hMN14及び90Y TF2(Immunomedics,Inc.;Gilead Sciences Inc.);
放射標識CD22標的薬、例えば、CD22陽性急性リンパ芽球性白血病などの造血器悪性腫瘍、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ステージIII/IV DLBCL、濾胞性リンパ腫、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するためのIMMU-102(90Y-エプラツズマブ)(Immunomedics,Inc.;Gilead Sciences Inc.);
放射標識SSTR2標的薬、例えば、神経内分泌腫瘍、小細胞肺癌、乳癌、転移性去勢抵抗性前立腺癌などの転移性前立腺癌などの前立腺癌、神経内分泌腫瘍、胃腸膵管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、並びに、これらの局所進行又は転移型、又は本明細書で開示のいずれかの癌などの固形腫瘍などのSSTR2発現癌の治療のための、ルタテラ(商標)(ルテチウムル-Lu177ドータテート;177Lu-DOTA0-Tyr3-オクトレオテート;Novartis)、ルタテラ(商標)(ルテチウム Lu177ドータテート)+90Y-ドータテートの組み合わせ(Novartis)、177Lu-OPS201(Ipsen Pharmaceuticals)組み合わせ177LU-OPS201/177Lu-IPN01072(Ipsen Pharmaceuticals)、EBTATE(177Lu-DOTA-EB-TATE;Molecular Targeting Technologies,Inc.)、ORM2110(AlphaMedix(商標);Orano Med)、及び、例えば、177Luで標識したPNT2003(Point Biopharma Global Inc.);
放射標識SSTR2及びSSTR5標的薬、例えば、神経内分泌腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するためのSolucin(商標)(177Lu-エドトレオチド;Isotopen Technologien Munchen AG(ITM));
放射標識ニューロテンシン受容体1型(NTSR1)標的薬、例えば、膵管腺癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頸部の扁平細胞癌、骨癌、進行癌、再発性疾患、転移腫瘍、などのNTSR1発現固形腫瘍又は本明細書で開示のいずれかの癌を利用するための177Lu-IPN01087/177Lu-3BP-227(Ipsen Pharmaceuticals);
放射標識ヒトカリクレイン2(hK2)標的薬、例えば、その局所進行又は転移性前立腺癌などの前立腺癌、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための、例えば、225Acで標識したJNJ-69086420(Janssen/Janssen Pharmaceutica NV);
放射標識NET(ノルエピネフィリントランスポーターを介して)標的薬、例えば、再発性/難治性神経芽腫などの神経芽腫、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための131I-MIBG(Jubilant Radioharma);
放射標識神経エピネフリントランスポーター標的薬、例えば、神経膠腫、傍神経膠腫、悪性褐色細胞腫/傍神経節腫、及び悪性再発性/難治性褐色細胞腫/傍神経節腫、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するためのAzedra(商標)(イオベングアン 131I;Lantheus Holdings/Progenics Pharmaceuticals,Inc.);
放射標識インテグリンαVβ6標的薬、例えば、膵臓癌などの固形腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための、177Lu、225Ac又は90Yで標識したDOTA-ABM-5G、αVβ6結合ペプチド(ABP;Luminance Biosciences,Inc.);
放射標識CD37標的薬、例えば、濾胞性リンパ腫又は非ホジキンリンパ腫(NHL)の再発性及び/又は難治性型などのリンパ腫などの造血器悪性腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するためのベタルチン(商標)(177Lu-リロトマブサテトラキセタン;Nordic Nanovector ASA);
放射標識GRPR標的薬、例えば、GRPR発現癌、例えば、進行型前立腺癌、局所進行性前立腺癌、転移性前立腺癌、及び去勢抵抗性前立腺癌などの前立腺癌、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための177Lu-NeoB(Novartis)及び212Pb-DOTAM-GRPR1(Orano Med);
放射標識CXCR4標的薬、例えば、再発性及び/又は難治性型を含むリンパ増殖性又は骨髄性悪性腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための177Lu、90Y又は225Acで標識したPentixaTher(商標)(PentixaPharm GmbH);
放射標識テネイシン-C標的薬、例えば、本明細書で開示のいずれかのものなどの固形腫瘍又は造血器悪性腫瘍を治療するための131I-F16SIP(Philogen S.p.A.);
放射標識フィブロネクチンエクストラドメインB(EBD)標的薬、例えば、固形腫瘍脳転移及び非小細胞肺癌(NSCLC)などの固形腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための131I-L19SIP(Philogen S.p.A.));
放射標識LAT-1標的薬、例えば、再発性神経膠芽腫などの神経膠芽腫、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための4-131Iodo-L-フェニルアラニン(Telix Pharmaceuticals Ltd.);
放射標識炭酸脱水酵素IX(CAIX)標的薬、例えば、ccRCCなどの腎細胞癌、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための、例えば、177Lu(TLX250など;Telix Pharmaceuticals Ltd.)、225Ac又は90Yで標識したDOTAコンジュゲート化ジレンツキシマブ(Girentuximab)(cG250)などの放射標識ジレンツキシマブ(cG250);
放射標識CD66標的薬、例えば、小児型及び成人型を含む本明細書で開示のいずれかのものなどの白血病、骨髄腫及びリンパ腫、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための90Y-ベシレソマブ(90Y-抗CD66-MTR;Telix Pharmaceuticals Ltd.);
放射標識B7-H3標的薬、例えば、体外照射療法による前治療のある非進行性びまん性橋膠腫などの非進行性びまん性橋膠腫などの神経膠腫、脳腫瘍、中枢神経系腫瘍、神経芽腫、肉腫、固形腫瘍からの軟髄膜転移、及び小児型及び成人型を含む髄芽腫、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための131I-8H9(131I-オンバータマブ(omburtamab);Y-mAbs Therapeutics,Inc.)及び177Lu-オンバータマブ(Y-mAbs Therapeutics,Inc.)などの放射標識オンバータマブ;
放射標識NKG2Dリガンド標的薬、例えば、1種又は複数のNKG2Dリガンドを発現している固形腫瘍又は造血器悪性腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための-放射標識組換え型のヒトNKG2D Fcキメラタンパク質、例えば、Biotechne(R&D Systems,Inc.,Minneapolis,MN,USA)によるカタログ番号1299-NKで、これは、ヒト NKG2DのPhe78-Val216(受入番号#P26718)又は配列番号155±(His)6などのアミノ末端ヒスチジンタグを含む放射標識組換え型のヒトNKG2D Fcキメラタンパク質、又はMICA、MICB、RAET1E/ULBP4、RAET1G/ULBP5、RAET1H/ULBP2、RAET1/ULBP1、RAET1L/ULBP6、又はRAET1N/ULBP3などのNKG2Dリガンドに対する放射標識抗体又はその抗原結合フラグメント抗体又はその抗原結合フラグメント;
放射標識GD2標的薬、例えば、SCLC、黒色腫、肉腫、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するためのGD2-SADA:177Lu-DOTA(Y-mAbs Therapeutics,Inc.);
放射標識葉酸受容体α(FOLR1)標的薬、例えば、卵巣癌、肺癌、NSCLC、乳癌、TNBC、脳癌、神経膠芽腫、結腸直腸癌などの固形癌、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための放射標識ミルベツキシマブ又はファーレツズマブなどの放射標識抗FOLR1抗体;
放射標識ネクチン-4標的薬、例えば、尿路上皮癌、膀胱癌、乳癌、TNBC、肺癌、NSCLC、結腸直腸癌、膵臓癌、子宮内膜癌、卵巣癌などの固形腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための放射標識エンホルツマブ又は放射標識型のいずれかの抗ネクチン-4抗体などの放射標識抗ネクチン-4抗体、又は米国特許出願公開第20210130459、同第20200231670号明細書、米国特許第10,675,357号明細書又は国際公開第WO2022051591号明細書で開示の標的薬;
放射性標識CUBドメイン含有タンパク質1(CDCP1)標的薬、例えば、乳癌、TNBC、肺癌、結腸直腸癌、卵巣癌、腎臓癌、肝臓癌、HCC、膵臓癌、皮膚癌、黒色腫などの固形癌、又は急性骨髄性白血病などの血液悪性腫瘍、又は本明細書に開示された癌のいずれかを治療するための、放射標識型のCDCP1標的薬のいずれかなどの放射標識モノクローナル抗体及び米国特許出願公開第20210179729号明細書、同第20200181281号明細書、同第20090196873号明細書、米国特許第8,883,159号明細書、同第9,346,886号明細書、又は国際公開第WO2021087575号明細書で開示の抗体;
放射標識グリピカン-3(GPC3)標的薬、例えば、肝細胞癌、卵巣明細胞癌、黒色腫、NSCLC、肺の扁平細胞癌、肝芽腫、腎芽細胞腫(ウイルムス腫瘍)、卵黄嚢腫瘍、胃癌、結腸直腸癌腫、頭頸部癌、及び乳癌などのGPC3発現癌を治療するための、放射標識ヒト化IgG1 mAb GC33(別名コドリツズマブ;Creative Biolabsからカタログ番号TAB-H14として市販されている)で、例えば、225Ac-Macropa-GC33(Bell et al.,Glypican-3-Targeted Alpha Particle Therapy for Hepatocellular Carcinoma.Molecules.2020 Dec 22;26(1):4.)又は放射標識型の抗GPC3抗体、又は米国特許第10,118,959号明細書、同第10,093,746号明細書、同第10,752,697号明細書、同第9,932,406号明細書、同第9,217,033号明細書、同第8,263,077号明細書、同第7,871,613号明細書、同第7,867,734号明細書、米国特許出願公開第20190046659号明細書、同第20180243451号明細書、同第20170369561号明細書、又は同第20150315278号明細書で開示の他の標的薬;
放射標識ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)標的薬、例えば、本明細書で開示のいずれかのものなどの固形癌又は造血器悪性腫瘍を治療するための、MNPR-101-PTCA-Ac225(Monopar Therapeutics,Inc.,Wilmette,IL,USA)などの放射標識MNPR-101(huATN-658などの放射標識モノクローナル抗体又は放射標識型の抗uPAR抗体のいずれか、又は米国特許第9,029,509号明細書、米国特許出願公開第20080199476号明細書、同第20040204348号明細書又は国際公開第WO2021257552号明細書で開示の標的薬;及び/又は
放射標識LewisY抗原(LeY)標的薬、例えば、肺扁平上皮癌、肺腺癌、卵巣癌、又は結腸直腸腺癌などの固形腫瘍、又は本明細書で開示のいずれかの癌を治療するための、放射標識型の3S1931及び/又は放射標識型のHu3S1933などのそのヒト化バージョン又は放射標識型のモノクローナル抗体B34、BR55-2、BR55/BR96、及びIGN 133のいずれかなどの放射標識抗LeYモノクローナル抗体、又は前述の抗体のいずれかの抗原結合フラグメント。
【0064】
本発明のさらなる実施形態では、ヒトなどの哺乳類における本明細書で開示のいずれかなどの癌又は増殖性障害の治療のために、1種又は複数のCD47遮断薬と組み合わせて又は共に使用される放射標識標的薬は、リン脂質ベース癌標的薬を含む。特定の実施形態では、リン脂質ベース癌標的薬には、例えば、限定されないが、225Ac、177Lu、または90Yなどの放射性核種でキレート化された、
【化1】
(別名NM600)または薬学的に許容可能なその塩などの、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20200291049号明細書で開示の放射性リン脂質金属キレートのいずれかが含まれる。
【0065】
特定の態様では、1種又は複数のCD47遮断薬と共に使用される脂質ベース放射標識標的薬には、例えば、限定されないが、
【化2】
即ち、18-(p-ヨードフェニル)オクタデシルホスホコリン(式中、ヨウ素は、131I(別名NM404 I-131、及びCLR 131)である)、又は薬学的に許容可能なその塩、などの米国特許出願公開第20140030187号明細書又は米国特許第6,417,384号明細書で開示の放射標識リン脂質化合物のいずれかが含まれる。特定の態様では、1種又は複数のCD47遮断薬と共に使用されるリン脂質ベース放射標識標的薬には、米国特許第9,480,754号明細書で開示のリン脂質薬物コンジュゲート化合物のいずれかが含まれる。
【0066】
多重特異性標的化態様
本明細書で開示の例示的放射線治療薬が、CD33、DR5、5T4、HER2、HER3、又はTROP2などの単一の抗原に対する抗体放射コンジュゲート(ARC)を含む場合には、多重特異性抗体も、本発明の範囲内に入る。従って、特定の態様では、放射線治療薬は、抗原(CD33、DR5、5T4、HER2、HER3、TROP2又は本明細書で開示の癌関連抗原標的のいずれか)の第1のエピトープ及び同じ抗原の第2のエピトープを認識する、又は第1の抗原のエピトープ及び、例えば、本明細書で開示の癌関連抗原のいずれかから選択される1種又は複数の異なる抗原のエピトープを認識する多重特異性抗体などの、多重特異性標的薬を含み得る。従って、一態様では、ARCは、第1の抗原(例えば、CD33、DR5、5T4、HER2、HER3、TROP2又は本明細書で開示の癌関連抗原標的のいずれか)のエピトープに特異的に結合する少なくとも第1の標的認識成分及び本明細書で開示の癌関連抗原のいずれかなどの第1の抗原以外の抗原のエピトープに特異的に結合する第2の標的認識成分を含む、二重特異性抗体などの多特異性抗体を含み得る。
【0067】
本発明はまた、少なくとも2種の別々の放射標識標的薬を含むか、又は利用する本明細書で開示のもののいずれかなどの増殖性障害の治療のための組成物及び方法を提供し、2種の標的薬は、異なる癌関連抗原及び/又は異なる癌/腫瘍標的化機序に対する特異性を有し、これらの標的薬は、例えば、本明細書で開示のいずれかであってよく、及び/又は本明細書で開示のいずれかの標的に対するものであってよい。
【0068】
本発明の種々の態様では、放射標識標的薬(ARCなど)が特異性を有する癌関連抗原は、例えば、下記の1種又は複数を含み得る:CD33、DR5、5T4、HER2(ErbB2;HER2/neu)、HER3、TROP2、メソテリン、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD45、CD171、CD138、CS-1、CLL-1、GD2、GD3、B細胞成熟抗原(BCMA)、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、FLT3、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、ソマトスタチン受容体、ソマトスタチン受容体2(SSTR2)、ソマトスタチン受容体5(SSTR5)、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)、NKG2Dリガンド(例えば、MICA、MICB、RAET1E/ULBP4、RAET1G/ULBP5、RAET1H/ULBP2、RAET1/ULBP1、RAET1L/ULBP6、及びRAET1N/ULBP3)、LYPD3(C4.4A)、ネクチン4、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)、葉酸受容体α(FOLR1)、CUB-ドメイン含有タンパク質1(CDCP1)、グリピカン-3(GPC3)、テネイシン、テネイシン-C、CEACAM5、カドヘリン-3、CCK2R、ニューロテンシン受容体1型(NTSR1)、ヒトカリクレイン2(hK2)、ノルエピネフィリントランスポーター、インテグリンアルファ-V-ベータ-6、CD37、CD66、CXCR4、フィブロネクチンエクストラドメインB(EBD)、LAT-1、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、B7-H3(別名CD276)、ジシアロガングリオシドGD2抗原(GD2)、カルレティキュリン、ホスファチジルセリン、GRP78(BiP)、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、インターロイキン-11受容体a(IL-11Ra)、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、血小板由来増殖因子受容体-ベータ(PDGFRβ)、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α(FRa)、MUCl、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、NCAM、プロスターゼ(Prostase)、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、FフコシルGM1、sLe、GM3、DR5、5T4、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD 179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE A1、MAGEA3、MAGEA3/A6、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA-l/ガレクチン8、KRAS、MelanA/MARTl、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、GPA7、及びIGLL1。
【0069】
第1の標的認識成分は、例えば、第1の完全長重鎖及び第1の完全長軽鎖、第1のFabフラグメント、又は第1の単鎖可変フラグメント(scFv)の1つを含み得る。第1の標的認識成分は、例えば、CD33、DR5、5T4、HER2、又はHER3に対する本明細書でリストしたモノクローナル抗体のいずれかから誘導され得る。第2の標的認識成分は、例えば、第2の完全長重鎖及び第2の完全長軽鎖、第2のFabフラグメント、又は第2の単鎖可変フラグメント(scFv)の1つを含み得る。更に、第2の標的認識成分は、上記でリストした追加の異なる抗原のいずれかから誘導され得る。
あるいは、本開示発明は、少なくとも1種の第1の抗原(すなわち、CD33、DR5、5T4、HER2又はHER3)に対する第1のARCの投与、及び第2のARCの投与を含む方法を意図しており、第2のARCは、第1の抗原の異なるエピトープに対するものであるか、又は上記で提示されるリストから選択される抗原などの異なる抗原のエピトープに対するものであるか、又は第1のARCにより標的化されないCD33、DR5、5T4、HER2、又はHER3に対する別の抗原に対するものである。
特定の態様では、本明細書で開示のARCのいずれかなどの有効量の放射線治療薬は、最大耐量(MTD)を含む。
【0070】
特定の態様では、2種以上のARC又は他の癌標的化放射線治療薬を投与する場合、薬剤は同時に投与し得る。従って、本発明の特定の態様では、薬剤は、例えば、単一組成物として提供され得る。あるいは、2種の放射線療法は、順次投与され得る。従って、第1のARC又は他の癌標的化放射線治療薬は、第2のARC又は他の癌標的化放射線治療薬の前に、第2のARC又は他の癌標的化放射線治療薬の後で、又は第2のARC又は他の癌標的化放射線治療薬の前と後の両方で、投与され得る。更に、第2のARC又は他の癌標的化放射線治療薬は、第1のARC又は他の癌標的化放射線治療薬の前に、第1のARC又は他の癌標的化放射線治療薬の後で、又は第1のARC又は他の癌標的化放射線治療薬の前と後の両方で、投与され得る。
特定の態様では、ARC又は他の癌標的化放射線治療薬は、治療期間全体にわたり、7、10、12、14、20、24、28、35、及び42日毎に1回からなる群より選択される投与スケジュールに従って、投与され得、治療期間は少なくとも2回の投与を含む。
特定の態様では、ARC又は他の癌標的化放射線治療薬は、治療期間の1及び5、6、7、8、9、又は10日目などに、又は治療期間の1及び8日目に、2回の投与を含む投与スケジュールに従って投与し得る。
【0071】
本発明のARCの投与は、他の治療薬に加えて、局所又は全身的治療が望まれるかどうか、及び治療される領域に応じて、いくつかの方法で提供できる。投与は、気管内、鼻腔内、表皮及び経皮、経口又は非経口であり得る。非経口的投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉注射又は注入;又は頭蓋内、例えば、髄腔内又は脳室内投与が挙げられる。いくつかの実施形態では、標的薬及び/又は他の治療薬を含む徐放製剤を投与し得る。種々の薬剤は、単回治療又は必要に応じ、癌の1種又は複数の症状を低減又は回復させる、又は別の目的の効果を達成する継続時間にわたり続けられる一連の治療として投与し得る。
投与量は、例えば、素性、大きさ、対象の状態に応じて、更に、組成物が投与される、及び望ましい効果となる経路に応じて変わってもよい。治療薬の適切な投与量は、調節される発現又は活性に対する効力に依存する。治療薬は、最初は、相対的に低い添加量で動物(例えば、ヒト)に投与され、投与量は、その後、適切な応答が得られるまで増大される。
いずれかのARCなどの本明細書で開示の放射線治療薬は、1種又は複数の追加の治療薬と共に、同時に又は順次に投与し得る。更に、2種以上の追加の治療薬が含まれる場合、追加の治療薬は互いに、及び/又は放射線治療薬と共に投与し得る。
【0072】
癌標的薬の放射標的
放射線治療薬は、キレート化剤分子のコンジュゲート化、及び放射性同位元素のキレート化を介して、α放射源(例えば、225Ac)などの放射性同位元素で標識し得る。特定の態様では、二官能性キレート化分子とコンジュゲート化するために利用できるように、ユニークなコンジュゲート化部位、グルタミン(即ち、Gln-295、Q295)を明らかにするために、放射線治療薬は、重鎖CH2ドメイン中のアスパラギン-297(Asn-297、N297;Kabatナンバリング)の位置などの定常領域中で脱グリコシル化される抗体であり得る。
【0073】
特定の態様では、放射線治療薬は、還元剤の使用によるなどで還元されたジスルフィド結合を有し得る抗体であり得、これは、二官能性キレート化分子でキレート化させるために、その後、デヒドロアラニンに変換され得る。
特定の態様では、放射線治療薬は、還元剤を用いてジスルフィド結合が還元された抗体であり、これは、その後、二官能性キレート化分子を用いてアリール架橋を介してコンジュゲート化される。例えば、特定の態様では、3,5-ビス(ブロモメチル)ベンゼンなどのリンカー分子を用いて、抗体に対し遊離スルフヒドリル基を架橋させ得る。
特定の態様では、放射線治療薬は、その後、部位特異的標識に使用できるシステインで置換される確かな特定の既存のアミノ酸を有し得る抗体であり得る。
特定の態様では、放射線治療薬は、好適な二官能性キレート化剤の部位特異的コンジュゲート化により放射標識され得る。使用し得る例示的キレート化分子には、p-SCN-Bn-DOTA、NH2-DOTA、NH2-(CH21-20-DOTA、NH2-(PEG)1-20-DOTA、HS-DOTA、HS-(CH21-20-DOTA、HS-(PEG)1-20-DOTA、ジブロモ-S-(CH21-20-DOTA、ジブロモ-S-(PEG)1-20-DOTA、p-SCN-Bn-DOTP、NH2-DOTP、NH2-(CH21-20-DOTP、NH2-(PEG)1-20-DOTP、HS-DOTP、HS-(CH21-20-DOTP、HS-(PEG)1-20-DOTP、ジブロモ-S-(CH21-20-DOTP、及びジブロモ-S-(PEG)1-20-DOTPが挙げられる。
キレート化分子は、例えば、リンカー分子を介して標的薬に結合され得る。例示的リンカー分子には:
-CH2(C64)NH2又は-CH2(C64)NH-X-Y、
が挙げられ、Xは、
-R2-CH2CH2O(CH2CH2O)nCH2CH2-、
-R2-CH2CH2NHC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH2CH2-、
-R2-(CH2nCH2-、
-R2-CH2CH2NHC(O)(CH2nCH2-、
-R2-CH(C(O)R3)CH2-(R3は-OH又は短鎖ペプチド(1-20アミノ酸))、
-R2-CH2CH2O(CH2CH2O)nCH2C(O)O-、又は
-R2-CH2CH2NHC(O)CH2CH2O(CH2CH2O)nCH2CC(O)O-、(式中、nは1~20である)であり、及び
2は、-C(O)-又は-C(S)NH-であり、及び
Yは、-NH2又は-SR4-である(式中、R4は、-H又は-CH2-3,5-ビス(ブロモメチル)ベンゼンである)。
【0074】
標的薬、例えば、タンパク質標的薬、例えば、抗体及び抗原結合抗体フラグメント及びペプチド標的薬は、放射性核種のキレート化を介した標的薬の放射標的のために、例えば、キレート化剤とコンジュゲート化され得る。このようなリジンを含むタンパク質又はペプチド標的薬は、例えば、好都合にも、二官能性薬剤S-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン四酢酸、別名「p-SCN-Bn-DOTA」(カタログ番号B205;Macrocyclics,Inc.,Plano,TX,USA)を用いて、DOTAキレート化部分にコンジュゲート化され得る。p-SCN-Bn-DOTAは、米国特許第4,923,985号明細書に完全に記載されている多段有機合成により合成され得る。DOTA部分による放射性核種のキレート化は、抗体のp-SCN-Bn-DOTAとの化学的コンジュゲート化の前に、及び/又は前記コンジュゲート化の後で、実施され得る。
キレート化剤コンジュゲート化標的薬の例示的放射性核種による標識方法は、実施例1に記載されている。
【0075】
CD47遮断薬
本明細書で使用される場合、「CD47遮断薬」という用語は、CD47(例えば、標的細胞上の)のSIRPα(例えば、食細胞上の)への結合を減らす任意の薬剤を意味する。好適な抗CD47試薬の非限定例には、限定されないが、SIRPαポリペプチド、抗SIRPα抗体、可溶性CD47ポリペプチド、及び抗CD47抗体又は抗体フラグメントを含むSIRPα試薬が挙げられる。特定の態様では、好適な抗CD47薬剤(例えば、抗CD47抗体、SIRPα試薬、など)は、CD47に特異的に結合し、CD47のSIRPαへの結合を低減する。本発明の方法で使用するための薬剤は、薬剤の非存在下での貪食作用と比較して、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも140%、少なくとも160%、少なくとも180%、又は少なくとも200%)貪食作用を上方制御する。同様に、SIRPαのチロシンリン酸化レベルのインビトロアッセイは、候補薬剤非存在下で観察されるリン酸化と比較して、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%)のリン酸化の減少を示す。
【0076】
特定の態様では、SIRPα試薬は、認識できる親和性でCD47に結合するのに十分であるSIRPαの部分を含み得、これは通常、シグナル配列と膜貫通ドメインとの間、又はこれらのフラグメントの間にある。好適なSIRPα試薬は、天然タンパク質SIRPαとCD47との間の相互作用を低減する(例えば、阻止する、妨げる、など)。例えば、CD47遮断薬は、米国特許第9,969,789号明細書で開示のもののいずれかであり得、限定されないが、TTI-621及びTTI-622などのそこで開示のSIRPα-IgG Fc融合タンパク質を含む。
特定の態様では、抗CD47薬は、CD47に特異的に結合する抗体(即ち、抗CD47抗体)を含み、ある細胞(例えば、感染又は悪性細胞)上のCD47と、別の細胞(例えば、食細胞)上のSIRPαとの間の相互作用を低減する。好適な抗体の非限定例には、クローンB6H12、5F9、8B6、及びC3(例えば、国際公開第2011/143624号明細書に記載のもの)が挙げられる。好適な抗CD47抗体には、このような抗体の完全ヒト、ヒト化又はキメラバージョンが含まれる。
それらの低い抗原性に起因してヒトでのインビボ適用に特に有用な例示的ヒト又はヒト化抗体には、少なくともCD47に対するモノクローナル抗体、例えば、Hu5F9-G4、Gileadからマグロリマブとして入手できるヒト化モノクローナル抗体(Sikic,et al.(2019)Journal of Clinical Oncology 37:946);I-Mab Biopharmaから入手できるレムゾパリマブおよびTJC4;Arch Oncology,IncからのAO-176;Akesobio Australia PtyからのAK117;Innovent BiologicsからのIMC-002;Zia LabからのZL-1201;Jiangsu HengRui Medincine Co.からのSHR-1603;及びSurface OncologyからのSRF231が挙げられる。二重特異性モノクローナル抗体としては、Innovent BiologicsからのCD47及びPD-L1の両方を標的化するIBI-322も入手できる。
CD47-SIRPα相互作用を遮断することにより、腫瘍貪食作用の誘発に加えて、AO-176は、正常細胞(結合が無視できる、特にRBC)とは異なり、腫瘍細胞に選択的に結合することが明らかになり、正常細胞とは異なり、腫瘍を直接死滅させる。
【0077】
SIRPαに対する抗体はまた、CD47遮断薬としても使用可能である。限定されないが、本発明の態様のいずれかで使用又は実施し得る抗SIRPα抗体(本明細書では、SIRPα抗体とも呼ばれる)は、限定されないが、以下の抗SIRPα抗体、以下の抗SIRPα抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の片方又は両方を含む抗体、以下の抗SIRPα抗体のいずれかの重鎖及び軽鎖CDRの片方又は両方を含む抗体、及び前記抗SIRPα抗体のいずれかの抗原結合フラグメントを含む:
(1)ADU-1805(Sairopa B.V.;Aduro)及び国際公開第WO2018190719号明細書又は米国特許第10,851,164号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(2)AL008(Alector LLC)及び国際公開第WO2018107058号明細書、米国特許出願公開第20190275150号明細書、又は同第20210179728号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(3)AL008(Apexigen,Inc.)及び国際公開第WO2021174127号明細書、米国特許仮出願第63/108,547号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(4)SIRP-1及びSIRP-2(Arch Oncology,Inc.)及び国際公開第WO2021222746号明細書、米国特許仮出願第63/107,200号明細書又は米国特許出願公開第20200297842号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(5)OSE-172(別名BI 765063;Boehringer Ingelheim)及び国際公開第WO2017178653号明細書又は米国特許出願公開第20190127477号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(6)CC-95251(Bristol Myers Squibb;Celgene)及び国際公開第WO2020068752号明細書又は米国特許出願公開第20200102387号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(7)ES004(Elpiscience Biopharma)及び国際公開第WO2021032078号明細書又は米国特許出願公開第20210347908号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(8)FSI-189(Gilead Sciences,Inc.;Forty Seven)及び国際公開第WO2019023347号明細書、米国特許第10,961,318号明細書又は米国特許出願公開第20210171654号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(9)BYON4228(Byondis B.V.;Synthon)及び国際公開第WO2018210793号明細書又は同第WO2018210795号明細書、又は米国特許出願公開第20210070874号明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(10)国際公開第WO2018057669号明細書、米国特許第11,242,404号明細書又は米国特許出願公開第20220002434号(Alexo Therapeutics Inc.、現在のALX Oncology Inc.)明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(11)国際公開第WO2015138600号明細書、米国特許第10,781,256号明細書又は同第10,081,680号(Leland Stanford Junior University)明細書で開示のSIRPα抗体のいずれか;
(12)BR105(Bioray Pharma);又は
(13)BSI-050(Biosion,Inc.)。
【0078】
採用し得る他のCD47遮断薬は、米国特許第9,969,789号明細書で開示のもののいずれかを含み、限定されないが、これらには、SIRPα-IgG Fc融合タンパク質TTI-621及びTTI-622(Trillium Therapeutics,Inc.)が含まれ、これらの両方は、腫瘍細胞上のCD47に選択的に結合し、同時に、活性化Fc受容体にも結合する。例えば、アミノ酸配列配列番号116、配列番号117、又は配列番号118を含むSIRPα-IgG Fc融合タンパク質を使用し得る。使用し得る更に他のSIRPα Fcドメイン融合体タンパク質は、Alx OncologyからのALX148又は国際公開第WO2017027422号明細書又は米国特許第10,696,730号明細書で開示のいずれかを含む。
CD47遮断薬は、代わりに又は追加して、MBT-001(PMO、モルホリノ、配列:5’-CGTCACAGGCAGGACCCACTGCCCA-3’)[配列番号114]などのCD47の翻訳を阻止するホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー、又は米国特許第8,557,788号明細書、同第8,236,313号明細書、同第10,370,439号明細書及び国際公開第WO2008060785号明細書で開示のPMOオリゴマーCD47阻害剤のいずれかなどのCD47及び/又はSIRPαの発現を調節する薬剤を含む。
【0079】
EpicentRxからのRRx-001(1-ブロモアセチル-3,3 ジニトロアゼチジン)及びアゼルニジピン(CAS番号123524-52-7)又は薬学的に許容可能なこれらの塩などのCD47-SIRPα軸の低分子阻害剤も使用し得る。
使用し得る種々のCD47遮断薬は、Zhang,et al.,(2020),Frontiers in Immunology vol 11,article 18、の表1、及び下表3で見つけられる。
【表3】
【0080】
抗CD47抗体又は他のタンパク質CD47阻害剤の治療有効量は、約40μg/ml以上(約50ug/ml以上、約60ug/ml以上、約75ug/ml以上、約100ug/ml以上、約125ug/ml以上、又は約150ug/ml以上)のタンパク質の持続的血清レベルにつながる投与量であり得る。抗CD47抗体又はSIRPα融合タンパク質又は低分子などのCD47遮断薬の治療有効量又は投与量は、例えば、0.05~10mg/kg(薬剤質量/対象体重)、例えば、少なくとも、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3.0mg/kg、3.5mg/kg、4.0mg/kg、4.5mg/kg、5.0mg/kg、5.5mg/kg、6.0mg/kg、6.5mg/kg、7.0mg/kg、7.5mg/kg、8.0mg/kg、8.5mg/kg、9.0mg/kg;又は10mg/kg、9.5mg/kg、9.0mg/kg、8.5mg/kg、8.0mg/kg、7.5mg/kg、7.0mg/kg、6.5mg/kg、6.0mg/kg、5.5mg/kg、5.0mg/kg、4.5mg/kg、4.0mg/kg、3.5mg/kg、3.0mg/kg、2.5mg/kg、2.0mg/kg、1.5mg/kg、1.0mg/kg以下の量、又はこれらの上限値及び下限値の任意の組み合わせの量を含む。本明細書で開示のものなどの低分子CD47遮断薬はまた、例えば、0.01mg/kg~1,000mg/kg及び任意の部分範囲又はその中のmg/kgの値、例えば、0.01mg/kg~500mg/kg、又は0.05mg/kg~500mg/kg、又は0.5mg/kg~200mg/kg、又は0.5mg/kg~150mg/kg、又は1.0mg/kg~100mg/kg、又は10mg/kg~50mg/kgを含む。
【0081】
特定の態様では、抗CD47薬は、SIRPαに特異的に結合する可溶性CD47ポリペプチドであり、ある細胞(例えば、感染細胞)上のCD47と、別の細胞(例えば、食細胞)上のSIRPαとの間の相互作用を低減する。好適な可溶性CD47ポリペプチドは、SIRPαを通るシグナル伝達を活性化又は刺激することなく、SIRPαに結合できる。理由は、SIRPαの活性化は、貪食作用を抑制するはずであるためである。その代わりに、好適な可溶性ポリペプチドは、非感染細胞に比べて、感染細胞の選択的貪食作用を促進する。正常な非標的細胞(正常細胞)に比べて、より高いレベルのCD47を発現するこれらの細胞(例えば、感染細胞)は、選択的に貪食される。従って、貪食作用を抑制するシグナル伝達応答の十分な活性化/刺激がなければ、適切な可溶性CD47ポリペプチドはSIRPαに特異的に結合する。場合によっては、好適な可溶性CD47ポリペプチドは、融合タンパク質であり得る(例えば、米国特許出願公開第20100239579号明細書に記載のように)。
【0082】
追加の薬剤
放射線治療薬及びCD47遮断薬の投与を含む本発明の方法は、1種又は複数の追加の治療薬の投与を更に含む。特定の態様では、追加の薬剤は、治療される疾患又は状態に関連し得る。このような投与は、同時、別々又は順次の放射線治療薬及びCD47遮断薬の投与であってよい。同時投与の場合は、薬剤は、必要に応じて、1つの組成物として、又は、別々の組成物として、投与し得る。
例示的追加の治療薬には、少なくとも化学療法剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、免疫調節剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。更に、1種又は複数のさらなる治療薬には、デキサメタゾン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドマイド、プレドニゾン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドなどの抗骨髄腫薬が挙げられる。
本発明の特定の態様では、方法は、放射線治療薬及び/又はCD47遮断薬の投与の後に、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)などのサイトカインの投与を更に含み得る。GCSFは、例えば、放射標識CD33標的薬の投与の7、8、9、10、又は11日後に投与され得る。
【0083】
化学療法剤としては、限定されないが、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン及びクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、及びセムスチン(メチル-CCNU)などのニトロソウレア;テモダール(商標)(テモゾルアミド)、トリエチレンメラミン (TEM)、トリエチレン、チオホスホルアミド(チオテパ)、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン)などのエチレンイミン/メチルメラミン;ブスルファンなどのアルキルスルホン酸;ダカルバジン(DTIC)などのトリアジンを含むアルキル化剤、を含む抗新生物薬;メトトレキサート及びトリメトレキサートなどの葉酸類似体、5-フルオロウラシル(5FU)、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5-アザシチジン、2,2-ジフルオロデオキシシチジンなどのピリミジン類似体、6-メルカプトプリン、6-チオグアムン、アザチオプリン、T-デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリトロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、及び2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2-CdA)などのプリン類似体、を含む代謝拮抗薬;パクリタキセルなどの抗有糸分裂性薬含む天然産物;ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、及びビノレルビンを含むビンカアルカロイド、タキソテール、エストラムスチン、及びリン酸エストラムスチン;エトポシド及びテニポシドなどのポドフィロトキシン;アクチノマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、及びアクチノマイシンなどの抗生物質;L-アスパラギナーゼなどの酵素;インターフェロン-α、IL-2、G-CSF、GM-CSFなどの生物学的応答調節物質;オキサリプラチン、シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金配位化合物、ミトキサントロンなどのアントラセンジオン、ヒドロキシ尿素などの置換ウレア、N-メチルヒドラジン(MIH)及びプロカルバジンを含むメチルヒドラジン誘導体、ミトタン(o、p-DDD)及びアミノグルテチミドなどの副腎皮質抑制剤;プレドニゾン及び等価物、デキサメタゾン及びアミノグルテチミドなどの副腎皮質ステロイドアンタゴニストを含むホルモン及びアンタゴニスト;ジェムザール(商標)(ゲムシタビン)、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル、酢酸メドロキシプロゲステロン及び酢酸メゲストロールなどのプロゲスチン;ジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール等価物などのエストロゲン;タモキシフェンなどの抗エストロゲン剤;テストステロンプロピオン酸塩及びフルオキシメステロン/等価物を含むアンドロゲン;フルタミド、ゴナドトロピン-放出ホルモン類似体及びロイプロリドなどの抗アンドロゲン;及びフルタミドなどの非ステロイド性抗アンドロゲンが挙げられる。限定されないが、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、脱メチル化剤(例えば、ビダーザ(登録商標)及び転写抑制(ATRA)治療薬の放出を含むエピジェネティックな機序標的化療法も同様に、本発明の抗体と組み合わせることができる。
【0084】
特定の態様では、化学療法剤は、タキサン(例えば、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、ドセタキセル(タキソテール(登録商標)、修飾パクリタキセル(例えば、アブラキサン及びオパキシオ(登録商標))、ドキソルビシン、スニチニブ(スーテント(登録商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、及び他の多標的キナーゼ阻害剤、オキサリプラチン、シスプラチン及びカルボプラチン、エトポシド、ゲムシタビン、及びビンブラスチンからなる群から選択され得る。一実施形態では、化学療法剤は、タキサン(例えば、タキソール(パクリタキセル)、ドセタキセル(タキソテール)、修飾パクリタキセル(例えば、アブラキサン及びオパキシオ)など)からなる群から選択される。
【0085】
本開示発明の態様では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、イリノテカン、又はオキサリプラチンから選択される。特定の態様では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル、ロイコボリン及びイリノテカン(FOLFIRI)である。他の態様では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル及びオキサリプラチン(FOLFOX)である。
本開示発明の態様では、化学療法剤は、乳癌の治療のためのタキサン(例えば、ドセタキセル又はパクリタキセル)又は修飾パクリタキセル(例えば、アブラキサン又はオパキシオ)、ドキソルビシン、カペシタビン及び/又はベバシズマブ(アバスチン(登録商標));卵巣がんの治療のためのカルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ドキソルビシン(又は修飾ドキソルビシン(Caelyx(登録商標)又はDoxil(登録商標)))、又はトポテカン(Hycamtin(登録商標))を用いた療法;腎臓癌の治療のための多種キナーゼ阻害剤、MKI(スーテント、ネクサバール、AMG706)及び/又はドキソルビシンを用いた療法、扁平細胞癌の治療のためのオキサリプラチン、シスプラチン及び/又は照射を用いた療法、肺癌の治療のためのタキソール及び/又はカルボプラチンを用いた療法から選択される。
【0086】
治療薬は、当分野で既知のいずれかの標準投与レジメンに従って投与され得る。例えば、治療薬は、1~500mg/m2の範囲の濃度(量は、患者表面積(m2)の関数として計算される)で投与され得る。例えば、化学療法剤パクリタキセルの例示的投与量は、15mg/m2~275mg/m2を含んでよく、ドセタキセルの例示的投与量は、60mg/m2~100mg/m2を含んでよく、エポシロン(epothilone)の例示的投与量は、10mg/m2~20mg/m2を含んでよく、及びカリチアマイシンの例示的投与量は、1mg/m2~10mg/m2を含んでよい。例示的投与量は、本明細書で記載されるが、これらは、参考のために提供されるに過ぎず、本開示発明の薬物の投与範囲を限定することを意図するものではない。
【0087】
例示的抗炎症剤は、ステロイド性薬物及びNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)から選択され得る。他の抗炎症剤は、アスピリン及び他のサリチル酸塩、Cox-2阻害剤(ロフェコキシブ及びセレコキシブなど)、NSAID(イブプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ジクロフェナク、ピロキシカム、ケトプロフェン、ジフルニサル、ナブメトン、エトドラク、オキサプロジン及びインドメタシンなど)、抗IL6R抗体、抗IL8抗体、抗IL15抗体、抗IL15R抗体、抗CD4抗体、抗CD11a抗体(例えば、エファリズマブ)、抗α4/β1インテグリン(VLA4)抗体(例えば、ナタリズマブ)、炎症性疾患の治療のためのCTLA4-1g抗体、プレドニゾロン、プレドニゾン、メトトレキサート、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジンなどの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、ピリミジン合成阻害薬(レフルノミドなど)、IL-1受容体遮断薬(アナキンラなど)、TNF-α遮断薬(エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブなど)、及び類似の薬剤から選択され得る。
【0088】
例示的な免疫抑制剤及び/又は免疫調節剤には、シクロスポリン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾンなどのコルチコステロイド、メトトレキサート、金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、ブレキナール、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスパガリン(deoxyspergualin)、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、OKT3、抗胸腺細胞グロブリン、チモペンチン、チモシン-α、及び類似の薬剤が挙げられる。
【0089】
本開示発明の特定の態様では、追加の治療薬は、抗骨髄腫薬を含み得る。例示的な抗骨髄腫薬には、デキサメタゾン、メルファラン、ドキソルビシン、ボルテゾミブ、レナリドミド、プレドニゾン、カルムスチン、エトポシド、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びサリドマイドが挙げられ、これらのいくつかは化学療法剤、抗炎症剤、又は免疫抑制剤として上記で示されている。
本開示発明の特定の態様では、追加の治療薬には、治療期間の1日目に開始して300~600mg/日の用量で経口投与され、CD33標的薬の投与後少なくとも7日間継続されるアロプリノールが含まれ得る。予防的抗生物質及び抗真菌治療薬は、500/ul未満の好中球絶対数の患者のために導入され得る。鎮痛剤及び抗ヒスタミン剤はまた、注入関連反応を減らすために注入により、CD33標的薬の投与の前に導入され得る。
追加の治療薬は、当分野で既知のいずれかの標準投与レジメンに従って投与され得る。例えば、治療薬は、1~500mg/m2の範囲の濃度(量は、患者表面積(m2)の関数として計算される)で投与され得る。例えば、パクリタキセルの例示的投与量は、15mg/m2~275mg/m2を含んでよく、ドセタキセルの例示的投与量は、60mg/m2~100mg/m2を含んでよく、エポシロン(epothilone)の例示的投与量は、10mg/m2~20mg/m2を含んでよく、及びカリチアマイシンの例示的投与量は、1mg/m2~10mg/m2を含んでよい。例示的投与量は、本明細書で記載されるが、これらは、参考のために提供されるに過ぎず、本開示発明の薬物の投与範囲を限定することを意図するものではない。
【0090】
限定されないが、次の本発明の態様も同様に、本開示により提供される:
態様1:ヒトなどの哺乳類対象の癌の治療のための治療組成物であって、例えば、本明細書で開示のもののいずれかなどの予め選択された癌関連抗原を標的とする放射標識抗原標的薬などの放射標識癌標的薬などの放射線治療薬、例えば、本明細書で開示のもののいずれかなどの予め選択された癌関連抗原を標的とする放射標識抗体;及びCD47遮断薬を含む、組成物。
態様2:放射線治療薬は、放射標識抗CD33、抗DR5、抗5T4、抗HER2、抗HER3、又は抗TROP2モノクローナル抗体などの放射標識CD33、DR5、5T4、HER2、HER3、又はTROP2標的薬、又は前述のモノクローナル抗体のいずれかの放射標識抗原結合フラグメントを含む、態様1に記載の組成物。
態様3:放射線治療薬は、131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb及び103Pd、又はこれらの組み合わせから選択される放射標識を含む、態様1又は2に記載の組成物。
態様4:放射線治療薬は、放射標識リンツズマブ、ゲムツズマブ、バダスツキシマブ、又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177標識リンツズマブ、ゲムツズマブ、バダスツキシマブ、又はこれらの組み合わせから選択されるCD33標的薬を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の組成物。
態様5:放射線治療薬は、放射標識マパツムマブ、コナツムマブ、レクサツムマブ、ティガツズマブ、ドロジツマブ、LBY-135、又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177で標識された上述の標的薬のいずれか又はこれらの任意の組み合わせから選択される放射標識DR5標的薬を含む、態様1~4のいずれか1つに記載の組成物。
態様6:放射線治療薬は、放射標識MED10641、ALG.APV-527、Tb535、H6-DM5、ZV0508、又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177で標識された上述の標的薬のいずれか又はこれらの任意の組み合わせから選択される放射標識5T4標的薬を含む、態様1~5のいずれか1つに記載の組成物。
態様7:放射線治療薬は、放射標識パトリツマブ、セリバンツマブ、ルムレツズマブ、エルゲムツマブ、AV-203、GSK2849330又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177で標識された上述の標的薬のいずれか又はこれらの任意の組み合わせから選択される放射標識HER3標的薬を含む、態様1~6のいずれか1つに記載の組成物。
態様8:アクチニウム-225標識放射線治療薬の有効量は、0.1~10μCi/kgの対象の体重の放射線量及び10mg/kgの対象の体重未満のタンパク質投与量を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の組成物。
態様9:アクチニウム-225標識放射線治療薬の有効量は、0.1~2μCi/kgの対象の体重の放射線量及び5mg/kgの対象の体重未満のタンパク質投与量を含む、態様1~8のいずれか1つに記載の組成物。
態様10:CD47遮断薬は、SIRPαへのCD47の結合を妨げるモノクローナル抗体を含む、態様1~9のいずれか1つに記載の組成物。
態様11:CD47遮断薬は、マグロリマブ、レムゾパリマブ、AO-176、TTI-621、TTI-622、ALX148、RRx-001、アゼルニジピン、本明細書で開示のいずれかのCD47遮断薬、又はこれらの任意の組み合わせを含む、態様1~10のいずれか1つに記載の組成物。
態様12:CD47遮断薬の有効量は、0.05~5mg/kg(薬剤質量/体重)である、態様1~11のいずれか1つに記載の組成物。
態様13:放射線治療薬は、0.1~2μCi/kgの対象の体重及び5mg/kgの対象の体重未満のタンパク質投与量を有する225Acリンツズマブを含む、態様1~12のいずれか1つに記載の組成物。
態様14:癌は固形腫瘍癌である、態様1~13のいずれか1つに記載の組成物。
態様15:癌は血液癌である、態様1~14のいずれか1つに記載の組成物。
態様16:血液癌は骨髄性悪性腫瘍である、態様15に記載の組成物。
態様17:血液癌は、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、又は骨髄増殖性新生物を含む、態様15に記載の組成物。
態様18:血液癌は、再発性/難治性急性骨髄性白血病である、態様14~17のいずれか1つに記載の組成物。
態様19:癌は、CD33陽性、DR5陽性、5T4陽性、HER2、HER3、及び/又はTROP2陽性癌である、態様1~18のいずれか1つに記載の組成物。
態様20:CD33陽性癌は、CD33を発現している細胞を含み、CD33発現細胞は、骨髄芽球細胞又は悪性形質細胞を含む、態様19に記載の組成物。
態様21:少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む、態様1~20のいずれか1つに記載の組成物。
態様22:ヒトなどの哺乳類対象の癌を治療する方法であって、態様1~21のいずれか1つに記載の組成物を投与することを含む方法。
態様23:ヒトなどの哺乳類対象の癌の治療方法であって、(i)本明細書で開示のもののいずれかなどの放射標識癌標的薬、例えば、本明細書で開示のもののいずれかなどの予め選択された癌関連抗原を標的とする放射標識抗原標的薬、例えば、本明細書で開示のもののいずれかなどの予め選択された癌関連抗原を標的とする放射標識抗体;及び(ii)CD47遮断薬を投与することを含む、方法。
態様24:放射線治療薬は、放射標識型の下記を含む、態様22又は23に記載の方法:抗CD33モノクローナル抗体又はそのCD33結合フラグメント、及び癌は、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、及び骨髄増殖性新生物、又は本明細書で開示のもののいずれかなどの固形腫瘍癌の1種又は複数から選択される血液疾患又は障害である;又は
抗5T4モノクローナル抗体又はその5T4結合フラグメント、及び癌は、結腸直腸癌、胃癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、膵臓癌、腎癌、又はこれらの任意の組み合わせである;又は
抗DR5モノクローナル抗体又はそのDR5結合フラグメント、及び癌は、乳癌、三種陰性乳癌、卵巣癌、又は前立腺癌である;
抗HER2モノクローナル抗体又はそのHER2結合フラグメント、及び癌は、膵臓癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、又は卵巣癌である;
抗HER3モノクローナル抗体又はそのHER3結合フラグメント、及び癌は、膵臓癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、又は卵巣癌である;又は
抗抗TROP2モノクローナル抗体又はそのTROP2結合フラグメント、及び癌は、膵臓癌、肺癌、頭頸部癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、食道癌、又は卵巣癌である。
態様25:放射線治療薬は、放射標識CD33、DR5、HER2、HER3、又は抗TROP2標的薬、例えば、放射標識抗CD33、抗DR5、抗5T4、抗HER2、抗HER3、又は抗TROP2モノクローナル抗体である、態様22又は23に記載の方法。
態様26:放射線治療薬は、131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb又は103Pd、又はこれらの組み合わせから選択される放射標識を含む、態様22~25のいずれか1つに記載の方法。
態様27:放射線治療薬は、放射標識リンツズマブ、ゲムツズマブ、バダスツキシマブ、又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177標識リンツズマブ、ゲムツズマブ、バダスツキシマブ、又はこれらの組み合わせから選択されるCD33標的薬を含む、態様22~26のいずれか1つに記載の方法。
態様28:放射線治療薬は、放射標識マパツムマブ、コナツムマブ、レクサツムマブ、ティガツズマブ、ドロジツマブ、LBY-135、又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177で標識された上述の標的薬のいずれか又はこれらの任意の組み合わせから選択される放射標識DR5標的薬を含む、態様22~27のいずれか1つに記載の方法。
態様29:放射線治療薬は、放射標識MED10641、ALG.APV-527、Tb535、H6-DM5、ZV0508、又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177で標識された上述の標的薬のいずれか又はこれらの任意の組み合わせから選択される放射標識5T4標的薬を含む、態様22~28のいずれか1つに記載の方法。
態様30:放射線治療薬は、放射標識パトリツマブ、セリバンツマブ、ルムレツズマブ、エルゲムツマブ、AV-203、GSK2849330又はこれらの組み合わせ、例えば、アクチニウム-225又はルテチウム-177で標識された上述の標的薬のいずれか又はこれらの任意の組み合わせから選択される放射標識HER3標的薬を含む、態様22~29のいずれか1つに記載の方法。
態様31:アクチニウム-225標識放射線治療薬の有効量は、0.1~10μCi/kgの対象の体重の放射線量及び10mg/kgの対象の体重未満のタンパク質投与量を含む、態様22~29のいずれか1つに記載の方法。
態様32:アクチニウム-225標識放射線治療薬の有効量は、0.1~2μCi/kgの対象の体重の放射線量及び5mg/kgの対象の体重未満のタンパク質投与量を含む、態様31に記載の方法。
態様33:CD47遮断薬は、SIRPαへのCD47の結合を妨げるモノクローナル抗体を含む、態様22~30のいずれか1つに記載の方法。
態様34:CD47遮断薬は、マグロリマブ、レムゾパリマブ、AO-176、TTI-621、TTI-622、ALX-148、RRx-001、アゼルニジピン、本明細書で開示のいずれかのCD47遮断薬、又はこれらの任意の組み合わせを含む、態様22~30のいずれか1つに記載の方法。
態様35:CD47遮断薬の有効量は、0.05~5mg/kg(薬剤質量/体重)である、態様22~34のいずれか1つに記載の方法。
態様36:放射線治療薬は、0.1~2μCi/kgの対象の体重及び5mg/kgの対象の体重未満のタンパク質投与量を有する225Acリンツズマブを含む、態様22~35のいずれか1つに記載の方法。
態様37:癌は固形腫瘍癌である、態様22~36のいずれか1つに記載の方法。
態様38:癌は血液癌である、態様22~37のいずれか1つに記載の方法。
態様39:血液癌は骨髄性悪性腫瘍である、態様38に記載の方法。
態様40:血液癌は、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、又は骨髄増殖性新生物を含む、態様38に記載の方法。
態様41:血液癌は、再発性/難治性急性骨髄性白血病である、態様38~40のいずれか1つに記載の組成物。
態様42:癌は、CD33陽性、DR5陽性、5T4陽性、HER2、HER3、及び/又はTROP2陽性癌である、態様22~41のいずれか1つに記載の組成物。
態様43:癌は、CD33陽性骨髄芽球細胞及びCD33陽性悪性形質細胞の片方又は両方を含むCD33陽性癌を含む態様42に記載の組成物。
態様44:ヒト患者などの哺乳類対象で、本明細書で開示のもののいずれかなどの血液悪性腫瘍又は固形癌などの癌又は前癌性増殖性障害の治療のための薬物の調製における、本明細書で開示のもののいずれかなどの癌関連抗原を標的とする、あるいは、癌細胞を標的とする放射標識剤などの治療効果のある放射標識癌標的化標的薬の、本明細書で開示のもののいずれかなどのCD47遮断薬と組み合わせた使用。
態様45:ヒト患者などの哺乳類対象で、本明細書で開示のもののいずれかなどの血液悪性腫瘍又は固形癌などの癌又は前癌性増殖性障害の治療のための薬物の調製における、本明細書で開示のもののいずれかなどの癌関連抗原を標的とする、あるいは、癌細胞を標的とする治療効果のある放射標識癌標的薬と組み合わせた、本明細書で開示のもののいずれかなどのCD47遮断薬(blockade)/遮断薬(blocking agent)の使用。
態様46:ヒト患者などの哺乳類対象で、本明細書で開示のもののいずれかなどの、血液悪性腫瘍又は固形癌などの癌又は前癌性増殖性障害の治療のための、本明細書で開示のもののいずれかなどの癌関連抗原を標的とする、あるいは、癌細胞を標的とする治療効果のある放射標識癌標的薬の、本明細書で開示のもののいずれかなどのCD47遮断薬と組み合わせた、使用。
態様47:放射標識標的薬は、化学的にキレート化剤にコンジュゲート化された標的薬を含み、キレート化剤は、本明細書で開示のもののいずれかなどの放射性核種をキレート化する、態様1~46のいずれかに記載の態様。
態様48:キレート化剤は、DOTA又はDOTA誘導体を含む、態様47に記載の態様。
態様49:放射性核種は、177Lu、225Ac、131I、又は90Yである、態様1~48のいずれかに記載の態様。
【0091】
一変形例では、本発明の実施形態種々の態様及び本発明の実施形態は、CAR-T療法などの操作された細胞療法などの細胞療法の一部ではなく、CAR-T療法などの遺伝子操作された細胞療法などの細胞療法と組み合わせて、又はそれと共に使用されない。従って、一変形例では、本発明の治療方法は、CAR-T療法などの遺伝子操作された細胞療法などの細胞療法を含まない。
【0092】
本発明の実施形態種々の態様及び本発明の実施形態の一変形例では、抗CD47 mAb又は抗SIRPα mAb又はSIRPα-Fc融合タンパク質などのCD47遮断薬は、放射標識されない。本発明の実施形態種々の態様及び本発明の実施形態の別の変形例では、CD47遮断薬及び放射標識標的薬又は放射線治療薬は、分離した、別々の分子であり、即ち、同じ分子の一部ではない。
好都合にも、CD47遮断薬は、標的癌細胞(又は標的前癌性障害細胞)に対する併用治療の致死性を実質的に減らすことなしに、放射標識薬(及びいずれかの外部照射及び/又は密封小線源治療)により送達される放射線量に対する哺乳類対象の全体忍容性及び生存力を増大させ、それにより、CD47遮断薬なしで用いられる場合に比べ、より高い、より多くの有効な放射線量、及び/又はより高頻度の投与、及び/又はより長い治療コースを採用可能にする。
【実施例
【0093】
実施例1:放射標識標的薬の作製
抗体又は他のタンパク質又はペプチドなどの標的薬は、例えば、米国特許第10,420,851号明細書、同第9,603,954号明細書、国際公開第2017/155937号明細書及び2019年12月9日に出願の、「Compositions and methods for preparation of site-specific radioconjugates」と題する、米国特許仮出願第63/042,651号明細書のいずれかで記載の方法に従って、131I又は225Acなどの放射性核種で標識し得る。
【0094】
放射標識:抗体は、上記で示した特許出願に記載のリンカーのいずれかなどのリンカーにコンジュゲート化し得る。例示的リンカーは、少なくともドデカン四酢酸(DOTA)を含み、コンジュゲート化反応の目標は、3:1~5:1のDOTA-抗体比率を達成することである。その後、177Lu、90Y、又は225Acなどの放射性核種によるキレート化が実施され、得られた抗CD33抗体などの放射標識抗体の効率及び純度は、HPLC及びiTLCで測定し得る。
225Acの例示的標識反応は以下の通りである:15μlの0.15MのNH4OAc緩衝液、pH=6.5及び2μl(10μg)のDOTA-抗CD33(5mg/ml)を含む反応物をエッペンドルフ反応チューブ中で混合し、0.05MのHCl中の4μLの225Ac(10μCi)を続けて加え得る。チューブの内容物をピペットチップで混合し、反応混合物を37℃で90分間、100rpmで震盪を加えながらインキュベートし得る。インキュベーション時間の終わりに、3μLの1mMのDTPA溶液を反応混合物に加え、室温で20分間インキュベートし、未反応の225Acを225Ac-DTPA複合体中に結合させ得る。10cmシリカゲルストリップ及び10mMのEDTA/生理食塩水移動相を有するインスタント薄層クロマトグラフィーを使って、遊離225Ac(225Ac-DTPA)から225Ac標識抗CD33(225Ac-DOTA-抗CD33)を分離することにより、225Ac-DOTA-抗CD33の放射化学純度を測定し得る。この系では、放射標識抗体は、適用の時点でそのまま留まり、225Ac-DTPAは、溶媒先端と共に移動する。ストリップを半分に切断し、波高分析器を備えたガンマカウンターで、225Ac用のチャンネル72~110を使用してカウントし、その娘核種を除外し得る。
【0095】
精製:225Ac-DOTA-抗体などの例示的放射標識標的薬は、1%HSAでプレブロックしたPD10カラムで、又は50kDa MW分画分子量を有するVivaspin遠心濃縮機を用いて、2x1.5mlの洗浄、3分/スピンで、精製し得る。精製後の225Ac-DOTA-抗体のHPLC分析は、フロースルーWaters UV及びBioscan Radiation detectorを備えたWaters HPLCシステムを使い、PBS pH=7.4及び1ml/分の流速で溶出するTSK3000SW XLカラムを用いて実施し得る。
【0096】
実施例2:CD33 ARCの特異性及び安定性
アクチニウム-225(225Ac)でコンジュゲート化したリンツズマブの、CD33を発現する特定の細胞型に対する細胞傷害性を試験した。例えば、HL60(白血病細胞)の懸濁液を種々の線量の放射標識リンツズマブ(リンツズマブ-Ac225)と共にインキュベートし、細胞の50%が死滅する線量(LD50)は、1mLの細胞懸濁液当り8pCiであることが解った。
非ヒト霊長類及びヒト凍結組織由来の末梢血及び骨髄細胞と放射標識リンツズマブの反応性にアクセスする試験では、放射標識リンツズマブは、単核球のみとの反応性を示し、特異性を示した。更に、抗体上の放射標識の安定性を測定する試験では、10匹の正常マウス(Taconic Germantown,New Yorkからの8週齢Balb/cメスマウス)の尾部に300nCi放射標識リンツズマブ(0.12ml中の)を注射した。5日間の期間にわたり採取された血清試料は、アクチニウム-225がリンツズマブに結合したまま残ったことを示し、インビボでの抗体上の放射標識の安定性を実証した。
【0097】
放射標識リンツズマブの単回注射の最大耐量(MTD)は、3μCi/kgの患者体重と測定された。分割線量(例えば、4~7日間隔で投与された2回の同等線量)として、MTDは、投与当り2μCi/kg又は合計投与で4μCi/kgと測定された。このデータは、再発性/難治性AMLの患者への注射により測定された:21人の患者に、漸増線量の放射標識リンツズマブ-0.5μCi/kg~4μCi/kgを注射した。MTDの測定は、各投与レベルで観察された有害作用の重症度に基づいた。抗白血病効果には、19人の評価可能患者中の13人の末梢血芽球の消失が含まれた。治療後4週で評価された18人の患者中の12人は、骨髄芽球が減少し、その内、9人は、50%以上の減少であった。3人の患者は、1μCi/kg、3μCi/kg、及び4μCi/kgで治療され、それぞれ、治療後、5%以下の芽球を有した。
【0098】
実施例3:ヒト最大耐容量及びCD33 ARCの有効性
分割線量のリンツズマブ-Ac225に続く、各サイクルでの顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)による生命維持の最大耐量(MTD)は、約42日の投与サイクルを用いて測定され得る。1日目のリンツズマブ-Ac225の分割線量の投与で、サイクルは開始され、続けて、9日目のGCSFの投与及び好中球絶対数(ANC)が1,000より大きくなるまで(これは5~10日以内に起こることが予測される)適切な投与指示書に従ってGCSF投与を継続する。14、21、28、35及び42日目に、末梢血のパラプロテイン量を評価し得る。骨髄吸引物採取を実施し、42日目に形質細胞浸潤を評価する。42日目に応答が部分応答又はそれより良好であるが、完全寛解未満であり、患者がそれ以外は適格のままである場合には、患者は、第1サイクルの1日目の60日後になると直ぐに、同じ投与レベルで、新しいサイクルで再投与される。用量制限毒性のない場合は、サイクルは、患者が4μCi/kgのリンツズマブ-Ac225の累積線量を受けるまで、上述したアルゴリズムを用いて継続される。
【0099】
実施例4:5T4標的薬のための同系マウスモデル
同系マウスモデルを用いて、抗体が正常組織上で発現した5T4とも反応できる場合のモデル中の5T4標的化を調査し得る。このようなモデルは、このタンパク質を放射性同位元素弾頭による標的化により生じ得る何らかの毒性を観察するための機会を提供する。
Woods(Woods,A.M.et al.(2002)Biochem.J.366,353-365)は、マウス5T4に反応性である抗体(9A7)の発見を報告し、マウス腫瘍株の5T4発現を選別するために使用した(表4参照;Woods、2002から引用)。5T4発現に対し陽性であると報告された細胞株の内で、EMT6乳腺腺癌細胞株は、高レベルの5T4発現を有し、実験を行うために、市販品入手源からの購入に容易に利用可能である。更に、この細胞株は、照射に影響を受けやすいと報告されている。B3F1(Southgate,T.D.et al.(2010)PLoS One 5,e9982)を含む、特定のマウス5T4反応性抗体は、入手可能である。この抗体は、ELISA、FACS、及びウェスタンブロットアッセイの5T4に強力な結合を示し、前臨床概念実証試験での標的薬として好適する。従って、B3F1抗マウス5T4抗体は、5T4発現腫瘍細胞株EMT6を標的にする放射標的のために利用される。
【0100】
実験計画:例示的実験計画には、5T4抗体B3F1のキレート化剤DOTAとのコンジュゲート化、それに続く、111In又は225Acによる放射標的を含む。放射標識抗体の比活性、標識効率、及び安定性は、実施例1及び2で示したように測定できる。
【表4】

【0101】
インビトロ細胞殺傷アッセイは、225Ac放射標識B3F1抗体で実施し得る。EMT6細胞を5T4発現細胞の陽性対照として使用し、225Ac標識DOTA-B3F1及び非標識DOTA-B3F1の希釈系列に1時間曝露する。細胞生存率は、本明細書で前述のXTTアッセイを用いて測定できる。必要に応じ、LL/2細胞などの5T4を発現しない細胞株を陰性対照として使用できる(表4参照、出展-Woods,2002)。
表4は、各細胞株の105個の細胞を9A7で染色した、マウス細胞株のパネルに対する9A7抗体の蛍光活性化細胞分取(FACS)分析を示す。最後の列は、細胞株のパネルに対する9A7の相対的反応性を示し、乳房細胞株EMT6は高度に反応性であり、肺癌細胞株LL/2は非反応性である。
【0102】
体内分布実験:正常組織に対する任意の抗体の結合を評価し、臓器に吸収された照射線量を計算するために、111In標識B3F1抗体を、無腫瘍BALB/cマウスで実施した体内分布実験の第1のラウンドで使用できる。体内分布実験の第2のラウンドは、EMT6腫瘍担持BALB/cマウスを用いて抗体の5T4発現腫瘍に対する抗体の特異的標的化を評価するために実施して、腫瘍及び他の臓器に吸収された照射線量を計算できる。
体内分布実験後、担腫瘍マウスは、漸増単回投与の225Ac-DOTA-B3F1で治療し、抗体の最大耐量(MTD)を確定できる。線量の範囲は、50nCi~400nCiであってよい。抗体の忍容性は、体重、行動、血液化学/血球数の測定により決定できる。
【0103】
実施例5:5T4標的薬のための異種移植片マウスモデル
異種移植片マウスモデルを利用して、治療標的薬がヒト由来癌細胞に効果を有するかどうかを判断し得る。しかし、標的薬がマウス標的と交差反応しないと、それは、主として、単に異種移植片細胞に対する薬剤の細胞死滅能力についての情報を提供するだけであり、オンターゲットであるがオフ腫瘍効果に関する情報を提供しない可能性がある。
多数の抗ヒト5T4治療薬が5T4発現癌に対して開発されてきており、それらのいくつかは、表1にまとめている。抗5T4抗体配列の最初の記述は、Hole&Sternにより提供された(Hole,1988)。前臨床試験などで本開示発明に従って5T4標的薬として使用するための抗体は、Hole&Sternにより提供された配列を用いて産生し得る。あるいは、使用し得る他の5T4抗体には、以下の抗体又は以下の抗体部分が含まれ得る:Medimmune/AstraZeneca(MED10641)、Aptevo Therapeutics/Alligator Bioscience(ALG.APV-527)、Biotecnol/Chiome Bioscience(Tb535)、Guangdong Zhongsheng Pharmaceuticals(H6-DM5)、及びZova Biotherapeutics(ZV0508)。二重特異性の、又は抗体薬物コンジュゲートとして入手可能な追加の抗体は、表1にリストされ、追加の5T4標的薬、即ち、5T4特異的結合部分が提供されている。
【0104】
Medimmune/Astrazeneca抗体は、改変システインを含み、これは、DOTAの部位特異的コンジュゲート化及びそれに続く、それぞれ、「Compositions and methods for preparation of site-specific radioconjugates」と題する、2019年12月9日に出願の米国特許仮出願第62/945,383号明細書及び2020年11月30日に出願の同第63/119,093号明細書に記載のものなどの放射性同位元素とのキレート化のために使用できる。これらの仮出願特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
腫瘍線量
体内分布試験は、正常組織正常組織分布及びDR5標的化ARCの用量測定法プロファイルを確立するために、及び放射標識MD5-1抗体の腫瘍への選択的取り込みを確認するために、4T1腫瘍を有するマウスで実施され得る。225Acの代用物として111Inを、2つの同位体の類似の放射化学特性の理由で、及び225Acでは起こらない111Inからのγ放射の理由で再度使用して、111In放射標識薬剤のインビボ検出の増大した感度及び信頼性を試験する。5群の4匹のメスマウス(6~8週齢)にそれぞれ、111In標識MD5-1を注射し、1つの群のマウスを次の時点のそれぞれで安楽死させる:2、24、48、96,及び168時間。その後、臓器(肝臓、肺、腎臓、脾臓、脳、胃、筋肉、及び腫瘍)を採取して、γカウントを測定し得る。これらの測定値は、用量測定法計算に使用され、腫瘍に送達された線量を含む、各臓器に吸収された照射線量が決定される。
【0106】
実施例7:225Ac-MD5-1のMTD及び単剤活性の測定
確立された皮下4T1腫瘍(約150~200mm3)を有する群当り6匹のマウスを含む6群に、非標識MD5-1(500ng)又は用量漸増の225Ac-MD5-1(50、100、200、400、500ナノキュリー(nCi)、500ngの総抗体)を注射し、最大耐量(MTD)を特定し、これは、全ての治療マウスの20%超の質量減少なしに、生存を可能にする最高投与活性と定義される。体重及び腫瘍測定値を、Invicro施設への動物の到着時に開始して、週2回、6週の試験期間にわたり採取し得る。血液生化学検査(アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、総ビリルビン量、血中尿素窒素、カルシウム、リン、総タンパク質、アルブミン、グロブリン、アルブミン/グロブリン比率、アミラーゼ、グルコース、総コレステロール、リパーゼ)及び全血球数(CBC)を、試験中に、ベースライン、3週目、及び終末時点で、動物で評価する。人道的安楽死基準には、体重の20%超の減少、又は腹水による体重の10%超の増加が含まれる。疼痛又は苦悩のいずれの徴候も考慮され得る。
動物健康測定及び観察は、MTDを決定するために使用できる。腫瘍体積及び生存に対する観察は、記録され、225Ac-MD5-1のMTDを決定するために毒性/忍容性プロファイルが考慮される。この実験段階の間に、予備的抗腫瘍効果は腫瘍測定により決定でき、及び生存は、以前に報告されたように(Demaria,S.et al.(2005)Clin.Cancer Res.11,728-34)、肺転移の代用として使用できる。
【0107】
実施例8:ヒト固形腫瘍癌モデルにおけるHER2標的化ARC及びCD47遮断抗体の組み合わせ
これらの試験は、HER2特異的標的化ARC及びCD47遮断抗体の組み合わせのヒトHER2発現卵巣癌細胞株SK-OV3に対する効果を調査した。
抗HER2抗体トラスツズマブをp-SCN-DOTAとコンジュゲート化させ、225Ac又は177Luで放射標識した。両方の放射性コンジュゲートの生物活性をヒト組換え型のHER2及び受容体陽性腫瘍細胞株を用いて評価した。放射性コンジュゲートの細胞毒性効果及びカルレティキュリン(CRT)を上方制御する能力を、SK-OV3細胞に対し、それぞれXTTアッセイ及びフローサイトメトリーを用いて評価した。抗HER2 ARC及びCD47抗体の組み合わせの効果をインビトロで評価するために、フローサイトメトリーマクロファージ貪食作用アッセイを開発した。
【0108】
結果
トラスツズマブARCは、天然の抗体に対し類似の結合特性を有し、特異的細胞障害性を示した。重要なのは、HER2発現細胞におけるARC媒介CRT発現上昇が示されたことである。更に、HER2標的化ARC及びCD47遮断抗体の組み合わせは、各薬剤単独での貪食作用に対する効果に比べて、試験した最大量未満の放射線量でインビトロマクロファージ媒介腫瘍細胞貪食作用を高めた。
これらの知見は、CRTのARC媒介発現上昇は、促進性食細胞シグナル及び抗CD47作用モードを増強し、それにより抗腫瘍活性を高めることを示唆する。
CD47遮断薬と組み合わせたARC治療の腫瘍増殖に対する効果を調査する腫瘍異種移植片試験も実施した。
図1は、SK-OV3ヒト卵巣癌細胞株を用いた、NGSマウス異種移植片モデルでの、ビークルのみ(対照)、マグロリマブ単独(10mg/kg)、225Ac-トラスツズマブ単独(0.025μCi/動物)、及びマグロリマブ(10mg/kg)と225Ac-トラスツズマブ(0.025μCi/動物)の組み合わせの腫瘍増殖に対する効果比較を示すグラフである。各コホートは、8匹の動物からなる。
図2は、SK-OV3ヒト卵巣癌細胞株を用いた、NGSマウス異種移植片モデルでの、ビークルのみ(対照)、マグロリマブ単独(10mg/kg)、117Lu-トラスツズマブ単独(25μCi/動物)、及びマグロリマブ(10mg/kg)と117Lu-トラスツズマブ(25μCi/動物)の組み合わせの腫瘍増殖に対する効果比較を示すグラフである。各コホートは、8匹の動物からなる。
【0109】
実施例9:AMLモデルにおけるCD33標的化ARC及びCD47遮断抗体の組み合わせ
これらの試験は、225Ac又はルテチウム-177(177Lu)で武装した抗CD33 ARC及びCD47遮断抗体の組み合わせの効果をインビトロヒトAMLモデル細胞株U937及びHL-60を用いて調査した。
抗CD33抗体リンツズマブをp-SCN-DOTAとコンジュゲート化させ、225Ac又は177Luで放射標識した。両方の放射性コンジュゲートの生物活性をヒト組換え型のCD33及び受容体陽性細胞株U937及びHL-60を用いて調査した。放射性コンジュゲートの細胞毒性効果及びカルレティキュリン(CRT)を上方制御する能力を、CD33発現細胞株で、それぞれXTTアッセイ及びフローサイトメトリーを用いて評価した。抗CD33 ARC及びCD47抗体の治療薬組み合わせをインビトロで評価するために、フローサイトメトリーマクロファージ貪食作用アッセイを使用した。
【0110】
結果
抗CD33 ARCは、天然の抗体と類似の結合特性を有し、特異的細胞障害性を示す。両方のCD33発現AML細胞における細胞表面CRTのARC媒介発現上昇が示された。更に、CD33標的化ARC及びCD47遮断抗体のインビトロ組み合わせは、各薬剤単独での貪食作用に対する効果に比べて、試験した最大量未満の放射線量で、両方のAML細胞株に対するマクロファージ媒介腫瘍細胞貪食作用を高めた。
図4A及び4Bは、225Ac-標識リンツズマブは、対照未治療細胞に比べて、異なる時点で、ヒト白血病細胞株中の細胞表面カルレティキュリンの増大を誘導することを示す。100nCi/mL又は200nCi/mLの225Ac標識リンツズマブ及び未治療対照細胞で治療したAML細胞(図4AのMV-4-11及びHL-60並びに図4BのU937)の細胞表面カルレティキュリン(CRT)レベルを72時間で(図4A)又は96時間で(図4B)フローサイトメトリーにより検出した。統計解析は、2元配置分散分析を使って行った(*p<0.05)。
図5A、5B、及び5Cは、225Ac標識リンツズマブ及び抗CD47抗体、B6.H12(BioXCell,Lebanon,NH,USA)の併用療法が3種のヒト白血病細胞株の貪食作用を高めることを示す。標的細胞(図5AのMV-4-11、図5BのU937、及び図5CのHL-60)を225Ac標識リンツズマブで96時間にわたり治療した。細胞をDiDで標識し、抗CD47 mAb(1μg/ml)の存在下で、DiOで標識したヒトマクロファージと2時間共培養した貪食作用の割合をフローサイトメトリーにより測定した(マクロファージDiO+/DiD+)。統計解析は、1元配置分散分析を使って行った(*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001及び****p<0.0001)。図5A~5Cのそれぞれにおいて、バー1は非特異的IgG対照の結果を示し、バー2は抗CD47 mAbのみの結果示し、バー3は100nCi225Ac標識リンツズマブのみの結果を示し、及びバー4は抗CD47 mAb及び100nCi225Ac標識リンツズマブの組み合わせの結果を示す。
これらの知見は、CD33 ARC標的化照射がCRTの発現上昇を誘導し、それにより、抗CD47遮断抗体と組み合わせて、促進性食細胞の自然免疫応答を強化する新規相乗的機序を裏付ける。
【0111】
実施例10:ヒトBxPC3膵臓細胞の貪食作用に対するHER3標的化ARC及びCD47遮断抗体の組み合わせの効果
図3は、非放射標識抗ヒトHER3 IgGモノクローナル抗体AT-02単独(「HER3 mAb」)、抗ヒトCD47抗体単独(10μg/mL;クローンB6.H12;BioXCellカタログ番号BE0019-1;「CD47 mAb」)、225Ac-標識AT-02抗HER3 mAb単独(100nCi/mL;「225AC-HER3 mAb」)、及び抗CD47 mAb(10μg/mL)と225Ac標識AT-02抗HER3 mAb(100nCi/mL)の組み合わせの、BxPC3ヒト膵臓癌細胞株(腺癌)細胞のヒトマクロファージによる貪食作用に対する比較効果を示すグラフである。図に示すように、いずれかの個別の薬剤に比べて、組み合わせは、BxPC3細胞の貪食作用を顕著に高めた。
【0112】
種々の特定の態様及び実施形態が本明細書で例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができることは理解されよう。更に、本発明の1つの態様又は実施形態と併せて記載される特徴は、組み合わせて明示的に例示されなくても、本発明の他の態様及び実施形態と併せて使用し得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
【配列表】
2024528081000001.app
【国際調査報告】