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特表2024-528084骨髄線維症のための治療におけるバイオマーカーおよび患者選択
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】骨髄線維症のための治療におけるバイオマーカーおよび患者選択
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20240719BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240719BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K45/00
A61P7/00
A61K31/519
A61K31/506
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505376
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 US2022074301
(87)【国際公開番号】W WO2023010111
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,554
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591002957
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン、ウィリアム、ストラウス
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、メイ
【テーマコード(参考)】
2G045
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA36
4C084AA17
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA511
4C084ZC202
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC73
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZC20
(57)【要約】
骨髄線維症患者における輸血非依存性および全生存期間は、患者特異的な治療方法を選択することによって改善し得る。患者のベースラインのフェリチンレベルは、一次治療を選択するためのバイオマーカーとして使用し得る。患者の治療中のフェリチンレベルは、治療の終了、あるいは輸血依存性を維持する治療の変更、および/または、患者を輸血必要性もしくは輸血依存性から輸血非依存性に変換するための治療の変更についての決定を知らせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における骨髄線維症を治療する方法であって、(i)骨髄線維症、および(ii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記対象が、90ng/mL超650ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象に、治療有効量の第2の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、複数週の治療期間、投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、前記対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にフェリチンレベルを維持すると判定される、あるいは、
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される、あるいは、
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、前記方法が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップをさらに含む、あるいは、
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、前記方法が、
モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップ、ならびに、
以下のステップ:
90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ;または、
90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む二次治療を施すステップ
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上である、もしくは、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上650ng/mL以下である、または、
治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が650ng/mL超である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
骨髄線維症に対して治療されている対象における輸血非依存性を維持する方法であって、
a.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
b.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
c.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法。
【請求項11】
骨髄線維症に対して治療されている対象を、輸血必要性または輸血依存性から輸血非依存性に変換する方法であって、
a.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
b.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
c.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
d.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法。
【請求項12】
前記JAK阻害剤が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、ルキソリチニブまたはフェドラチニブから選択される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の治療剤が、BETタンパク質阻害剤またはBRD4阻害剤である、請求項4、または10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
骨髄線維症に対して治療されている対象における貧血を治療または予防する方法であって、(i)骨髄線維症を有する、(ii)貧血を有する、または貧血になるリスクがある、および(iii)90ng/mL以上のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法。
【請求項15】
前記方法が、骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定する、先のステップをさらに含む、および/または、
モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、複数週の治療期間、投与される、請求項18~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、前記対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にフェリチンレベルを維持すると判定される、あるいは、
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される、あるいは、
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、前記方法が、JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップをさらに含む、あるいは、
前記対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、前記方法が、
JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップ、ならびに、
以下のステップ:
90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ;または、
90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む二次治療を施すステップ
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上である、もしくは、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上650ng/mL以下である、または、
治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が650ng/mL超である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、モメロチニブ以外のJAK阻害剤療法で以前に治療されたことがある、または、
前記対象が、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、ルキソリチニブに対して不十分な応答を有している、もしくは、ルキソリチニブに不耐性である、および/または、
前記対象が、以前のルキソリチニブ療法に応答しなかった、もしくは、応答しなくなった、および/または、
前記対象が、JAK阻害剤療法を受けていない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記治療有効量が、50mg/日~200mg/日である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨髄線維症のための治療の前および治療中の対象のフェリチンレベルを使用して、骨髄線維症のための一次治療および/または二次治療を選択する方法に関する。特に、患者のフェリチンレベルは、貧血を治療し、患者が輸血非依存性を獲得するまたは輸血非依存性を維持するのを助けることが知られている化合物であるモメロチニブを使用して、患者がいつ治療されるべきかを決定するために使用され得るバイオマーカーを提供する。
【背景技術】
【0002】
骨髄線維症(MF)は、世界でおよそ40,000人~50,000人の患者が罹患している疾患であり、そのうち70~80%の患者が、中間リスクから高リスクのMF患者として分類されている。MFを有する全ての患者の生存期間中央値は約6年であるが、中間-2リスクまたは高リスクのMFとして分類される患者については、それぞれ4年および2.25年と、かなり悪くなる。
【0003】
骨髄線維症は、原発性MF(PMF)として新規に生じることがあり、または以前から存在する骨髄増殖性新生物(MPN)、主に真性多血症(PV)もしくは本態性血小板血症(ET)から生じることがある。一旦これらの状態が明らかに線維化期に達すると、それらは臨床的には実質的に区別不可能である。
【0004】
MFの3つの主要な疾患徴候は、(1)血小板減少症またはその他の血球減少としばしば関連する貧血、(2)疲労、寝汗、発熱、悪液質、骨痛、掻痒症および体重減少等の全身症状、ならびに(3)主に脾臓および低頻度ではあるが肝臓の骨髄外造血による臓器肥大(腹部膨満および疼痛、早期満腹、呼吸困難および下痢等の通常関連する症状を引き起こすことがある)が挙げられる。
【0005】
ルキソリチニブ(RUX)は、中間リスクおよび高リスクの骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性多血症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)の治療のために使用されるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤である。ルキソリチニブは、症候性患者のおよそ70%を治療するために使用されるが、重度の血小板減少症を有する患者については承認されていない。
【0006】
貧血および輸血依存性は、骨髄線維症を有する患者における、全生存期間の短縮に関連する。骨髄線維症(MF)を有する患者のおよそ60%は貧血であり、45%は、ほとんどの場合時間の経過とともに輸血依存性に進行し、診断の1年以内には輸血依存性となる(Pardananiら、2013年、Am.J.Hematol.、88巻、4号、312~316頁)。ヘプシジン高値、中程度から重度の貧血、および輸血依存性は、MFにおける負の予後因子であり、全生存期間(OS)および生活の質に影響する(Nicolosiら、2018年、Leukemia、32巻、5号、1254~1258頁)。
【0007】
承認されたJAK阻害剤(JAKi)は、脾臓および症状の改善を提供するが、一般に骨髄抑制的であり、輸血依存性(TD)に対処していない。モメロチニブ(MMB)は、以前に行われた第3相SIMPLIFY-1および-2試験において実証されている通り、MFにおける貧血、症状および脾腫に対する臨床活性を有する有力なJAK1、JAK2およびACVR1/ALK2阻害剤である。SIMPLIFY 1(S1)試験では、JAKi治療を受けていない患者において、MMBとルキソリチニブ(RUX)とが比較された(NCT01969838)(Mesaら、2017年、J.of Clin.Onc.、35巻、34号、3844~3850頁)。SIMPLIFY 2(S2)試験では、RUX前治療を有する患者において、MMBと利用可能な最善の治療(BAT;患者の88%においてRUX)とが比較された(NCT02101268)(Harrisonら、2018年、Lancet.、5巻、2号、e73~e81頁)。
【0008】
MMBは、JAKi治療を受けていない患者および以前にRUX治療された患者におけるRUXとの直接比較において、貧血改善に有効であることが示された。前臨床および臨床トランスレーショナル研究は、貧血および輸血依存性に対処するMMBの能力が、ACVR1/ALK2媒介ヘプシジン産生の分化抑制に機構的に関連していることを実証した(Asshoffら、2017年、Blood.、129巻、13号、1923~1830頁およびOhら、2020年、Blood Adv.、4巻、18号、4282~4291頁)。
【0009】
輸血非依存性、特に、治療の24週目での輸血非依存は、骨髄線維症患者における、全生存期間の改善に関連する。骨髄線維症患者における24週目の輸血非依存性応答を決定または予測する方法、および24週目の輸血非依存性応答を提供して骨髄線維症を有する患者を治療する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本明細書によれば、以下の実施形態が提供される。
【0011】
実施形態1は、対象における骨髄線維症を治療する方法であって、(i)骨髄線維症、および(ii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法である。
【0012】
実施形態2は、対象が、90ng/mL超650ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される、実施形態1の方法である。
【0013】
実施形態3は、対象が、650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される、実施形態1の方法である。
【0014】
実施形態4は、対象に、治療有効量の第2の治療剤を投与するステップをさらに含む、実施形態3の方法である。
【0015】
実施形態5は、骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法である。
【0016】
実施形態6は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、複数週の治療期間、投与される、実施形態1~5のいずれか1つの方法である。
【0017】
実施形態7は、複数週の治療期間が12週以上である、実施形態6の方法である。
【0018】
実施形態8は、複数週の治療期間が24週以上である、実施形態6の方法である。
【0019】
実施形態9は、複数週の治療期間が36週以上である、実施形態6の方法である。
【0020】
実施形態10は、治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法である。
【0021】
実施形態11は、対象の試料におけるフェリチンレベルが、1週間に1回、測定される、実施形態10の方法である。
【0022】
実施形態12は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にフェリチンレベルを維持すると判定される、実施形態10または11の方法である。
【0023】
実施形態13は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される、実施形態10または11の方法である。
【0024】
実施形態14は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップをさらに含む、実施形態10または11の方法である。
【0025】
実施形態15は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、
モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップ、ならびに、
以下のステップ:
90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ;または、
90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む二次治療を施すステップ
をさらに含む、実施形態10または11の方法である。
【0026】
実施形態16は、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上である、または、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上650ng/mL以下である、実施形態12~15のいずれか1つの方法である。
【0027】
実施形態17は、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が650ng/mL超である、実施形態12~15のいずれか1つの方法である。
【0028】
実施形態18は、骨髄線維症に対して治療されている対象における輸血非依存性を維持する方法であって、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法である。
【0029】
実施形態19は、骨髄線維症に対して治療されている対象を、輸血必要性または輸血依存性から輸血非依存性に変換する方法であって、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法である。
【0030】
実施形態20は、JAK阻害剤が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、ルキソリチニブまたはフェドラチニブから選択される、実施形態18または19の方法である。
【0031】
実施形態21は、JAK阻害剤が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩またはルキソリチニブである、実施形態20の方法である。
【0032】
実施形態22は、JAK阻害剤が、ルキソリチニブである、実施形態20の方法である。
【0033】
実施形態23は、JAK阻害剤が、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩である、実施形態20の方法である。
【0034】
実施形態24は、第2の治療剤が、BETタンパク質阻害剤またはBRD4阻害剤である、実施形態4、または18~23のいずれか1つの方法である。
【0035】
実施形態25は、第2の治療剤が、GSK2820151、GSK525762、GS-5829、RO6870810(IV)、BAY1238097、CC-90010、BMS-986158、1NCB054329、1NCB057643、ODM-207、AZD5153、FT-1101、ABBV-744、ABBV-075、PLX51107、BI894999、OTX015/MK8628、ZEN003694、RVX-000222、CPI-0610、アパベタロンおよびフェドラチニブから選択される、実施形態24の方法である。
【0036】
実施形態26は、骨髄線維症に対して治療されている対象における貧血を治療または予防する方法であって、(i)骨髄線維症を有する、および(ii)貧血を有する、または貧血になるリスクがある、および(iii)90ng/mL以上のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法である。
【0037】
実施形態27は、骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定する、先のステップ(earlier step)をさらに含む、実施形態18~26のいずれか1つの方法である。
【0038】
実施形態28は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、複数週の治療期間、投与される、実施形態18~27のいずれか1つの方法である。
【0039】
実施形態29は、複数週の治療期間が12週以上である、実施形態28の方法である。
【0040】
実施形態30は、複数週の治療期間が24週以上である、実施形態28の方法である。
【0041】
実施形態31は、複数週の治療期間が36週以上である、実施形態28の方法である。
【0042】
実施形態32は、治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、実施形態18~31のいずれか1つの方法である。
【0043】
実施形態33は、対象の試料におけるフェリチンレベルが毎週測定される、実施形態32の方法である。
【0044】
実施形態34は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にフェリチンレベルを維持すると判定される、実施形態32または33の方法である。
【0045】
実施形態35は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される、実施形態32または33の方法である。
【0046】
実施形態36は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップをさらに含む、実施形態32または33の方法である。
【0047】
実施形態37は、対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、
JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップ、ならびに、
以下のステップ:
90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ;または、
90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む二次治療を施すステップ
をさらに含む、実施形態32または33の方法である。
【0048】
実施形態38は、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上である、または治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上650ng/mL以下である、実施形態34~37のいずれか1つの方法である。
【0049】
実施形態39は、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が650ng/mL超である、実施形態34~37のいずれか1つの方法である。
【0050】
実施形態40は、対象がヒトである、実施形態1~39のいずれか1つの方法である。
【0051】
実施形態41は、対象が成人のヒトである、実施形態1~40のいずれか1つの方法である。
【0052】
実施形態42は、対象が、モメロチニブ以外のJAK阻害剤療法で以前に治療されたことがある、実施形態1~41のいずれか1つの方法である。
【0053】
実施形態43は、対象が、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、実施形態42の方法である。
【0054】
実施形態44は、対象が、ルキソリチニブに対して不十分な応答を有している、または、ルキソリチニブに不耐性である、実施形態42または43の方法である。
【0055】
実施形態45は、対象が、以前のルキソリチニブ療法に応答しなかった、または、応答しなくなった、実施形態42~44のいずれか1つの方法である。
【0056】
実施形態46は、対象が、JAK阻害剤療法を受けていない、実施形態1~41のいずれか1つの方法である。
【0057】
実施形態47は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、モメロチニブ二塩酸塩である、実施形態1~46のいずれか1つの方法である。
【0058】
実施形態48は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、モメロチニブ二塩酸塩一水和物である、実施形態1~46のいずれか1つの方法である。
【0059】
実施形態49は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、モメロチニブ二塩酸塩一水和物形態IIである、実施形態1~46のいずれか1つの方法である。
【0060】
実施形態50は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、薬学的に許容可能な組成物中に提供される、実施形態1~49のいずれか1つの方法である。
【0061】
実施形態51は、治療有効量が、50mg/日~200mg/日である、実施形態1~50のいずれか1つの方法である。
【0062】
実施形態52は、治療有効量が、200mg/日、または150mg/日、または100mg/日、または50mg/日である、実施形態51の方法である。
【0063】
実施形態53は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、経口投与される、実施形態1~52のいずれか1つの方法である。
【0064】
実施形態54は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、毎日投与される、実施形態1~53のいずれか1つの方法である。
【0065】
実施形態55は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、1日1回、投与される、実施形態54の方法である。
【0066】
本開示のさらなる態様は、本明細書において開示されている治療の方法における使用のためのモメロチニブである。本開示の別の態様は、本明細書において開示されている治療の方法における使用のための医薬の製造におけるモメロチニブの使用である。追加の目的および利点は、次に続く記載において部分的に説明され、部分的に記載から理解され、または実施によって知得し得る。目的および利点は、特に添付の特許請求の範囲において指摘される要素および組合せの手段によって実現され、達成される。前述の一般的記載および以下の詳細な記載の両方は、例示的および説明的のみであり、特許請求の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。
【0067】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、1つの(いくつかの)実施形態を例示し、本明細書と一緒に、本明細書に記載されている原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1図1は、SIMPLIFY-1試験の結果を示す図である。血小板数(PLT)で150×10/L未満、300×10/L未満および300×10/L超にグループ化された対象について、ルキソリチニブ(RUX)で治療された対象との比較における、モメロチニブ(MMB)で治療された対象の24週目輸血非依存性率を示す。
図2図2は、SIMPLIFY-1試験の結果を示す図である。ヘモグロビンレベル(Hgb)で8g/dL未満、10g/dL未満、12g/dL未満、14g/dL未満および14g/dL超にグループ化された対象について、ルキソリチニブで治療された対象との比較における、モメロチニブで治療された対象の24週目輸血非依存性率を示す。
図3図3は、SIMPLIFY-1試験の結果を示す図である。輸血非依存性(TI)、輸血必要性(TR)および輸血依存性(TD)でグループ化された対象について、ルキソリチニブで治療された対象との比較における、モメロチニブで治療された対象の24週目輸血非依存性率を示す。
図4図4は、SIMPLIFY-1試験における、MMBを単独で用いる治療後の、またはRUXでの一次治療後にMMBを用いる治療へ移行した後の骨髄線維症対象の生存率を百分率で比較する図である。
図5図5は、SIMPLIFY-2試験における、MMBを単独で用いる治療後の、または利用可能な最善の治療(BAT)/RUXでの一次治療後にMMBを用いる治療へ移行した後の骨髄線維症対象の生存率を百分率で比較する図である。
図6図6は、SIMPLIFY-1試験における、24週目のTI応答によってMMBに無作為化された全ての患者における全生存期間を示す図である。グラフは、MMB無作為化後の時間経過における、輸血非依存性ノンレスポンダーの骨髄線維症対象の生存率と、輸血非依存性レスポンダーの骨髄線維症対象の生存率を比較している。
図7図7は、SIMPLIFY-1試験における、24週目のTI応答によってMMBに無作為化された貧血患者における全生存期間を示す図である。グラフは、MMB無作為化後の時間経過における、輸血非依存性ノンレスポンダーの骨髄線維症対象の生存率と、輸血非依存性レスポンダーの骨髄線維症対象の生存率を比較している。
図8図8は、SIMPLIFY-2試験における、24週目のTI応答によってMMBに無作為化された全ての患者における全生存期間を示す図である。グラフは、MMB無作為化後の時間経過における、輸血非依存性ノンレスポンダーの骨髄線維症対象の生存率と、輸血非依存性レスポンダーの骨髄線維症対象の生存率を比較している。
図9図9は、SIMPLIFY-1試験における、24週目の脾臓応答によってMMBに無作為化された脾臓レスポンダーの患者における全生存期間を示す図である。グラフは、時間経過における、脾臓ノンレスポンダーの骨髄線維症対象の生存率と、全ての脾臓レスポンダーの骨髄線維症対象の生存率を比較している。
図10図10は、SIMPLIFY-1試験における、24週目の症状応答によってMMBに無作為化された症状レスポンダー(TSS)の患者における全生存期間を示す図である。グラフは、時間経過における、症状ノンレスポンダーの骨髄線維症対象の生存率と、全ての症状レスポンダーの骨髄線維症対象の生存率を比較している。
図11図11は、「1672試験」における、24週の治療にわたる、輸血非依存性ノンレスポンダーの対象と、輸血非依存性レスポンダーの対象における平均フェリチンレベルを比較する図である。
図12図12は、SIMPLIFY-1のMMB対象における24週目の輸血非依存性応答による、ベースラインフェリチンおよびベースラインから12週目の変化を示す図である。
図13図13は、SIMPLIFY-1のRUX対象における24週目の輸血非依存性応答による、ベースラインフェリチンおよびベースラインから12週目の変化を示す図である。
図14図14は、SIMPLIFY-1試験の対象におけるベースラインフェリチンレベルによる、24週目の輸血非依存性応答を示す図である。
図15図15は、SIMPLIFY-2試験の対象におけるベースラインフェリチンレベルによる、24週目の輸血非依存性応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
I.定義
本発明は、記載されている特別な実施形態に限定されないことを理解すべきであり、したがって、当然、変更されてもよい。本明細書において使用されている用語法は、特別な実施形態のみを記載する目的であり、限定していると意図されないことも理解すべきであり、その理由は、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
【0070】
値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各値(文脈が明らかに別段の指示をしていない限り、各値は、下限の単位の10分の1までの位(to the tenth of the unit of the lower limit))、およびその明記されている範囲における任意のその他の明記されている値または介在する値が、本発明内に包含されると理解される。より小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれてよく、また、本発明内に包含されるが、明記されている範囲において下限または上限が明確に除外されている場合を除く(subject to any specifically excluded limit in the stated range)。明記されている範囲が、下限および上限の一方または両方を含む場合、これらの含まれている下限および上限の一方または両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0071】
ある特定の範囲は、本明細書において、「約」という用語によって先行される数値で表される。本明細書における「約」という用語は、該用語によって先行されるまさにその数(exact number)、ならびに該用語によって先行される数に近いまたは近似する数に対する文言上の裏付けを提供するために使用される。数が具体的に列挙された数に近いまたは近似するか否かを決定する際、近いまたは近似する未列挙の数は、それが提示されている文脈において具体的に列挙された数の実質的均等を提供する数であり得る。
【0072】
別段に定義されていない限り、本明細書において使用されている全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または均等の任意の方法および材料は、本発明の実施または試験においても使用され得るが、代表的な例示的な方法および材料が本明細書に記載されている。
【0073】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、別段に文脈が明らかに指示していない限り、複数の参照対象を含むことに留意すべきである。特許請求の範囲は、いかなる任意選択の要素も除外するように起草され得ることがさらに留意される。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「唯一」、「のみ」等の排他的な用語の使用、または「消極的な」限定の使用のための先行詞として働くことが意図される。
【0074】
本明細書において引用されている全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が参照により組み込まれていることが具体的かつ個別に示されているごとく参照により本明細書に組み込まれ、刊行物に列挙される方法および/または材料に関して開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示に関するものであり、本発明が、先行発明によりこうした刊行物に先行する権利を与えられないという承認と解釈されるべきでない。さらに、提供されている刊行物の日付は、実際の公開日と異なっていることがあり、独立して確認する必要があり得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「貧血応答」という用語は、患者のヘモグロビンレベルにおける増加、または輸血依存性であった患者が輸血非依存性になることを指す。望ましくは、最低8週間にわたって持続する、0.5g/dLのヘモグロビン最小増加、例えば1.0g/dL、1.5g/dLまたは2.0g/dLのヘモグロビン最小増加が達成され、これは、国際ワーキンググループ(IWG)コンセンサス基準で特定されている改善のレベルである。しかしながら、より小さいがそれでも医学的に有意なヘモグロビン増加も、「貧血応答」という用語内であると考えられる。
【0076】
本明細書で使用される場合、「輸血依存性の(transfusion dependent)」(TD)という用語は、4または5以上の単位の赤血球(RBC)を必要とする、または治療の開始の8週前において8g/dL以下のヘモグロビン(Hgb)レベルを有する対象を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「輸血非依存性の(transfusion independent)」または「輸血非依存性(Transfusion Independence)」(TI)という用語は、12週の期間にわたって赤血球(RBC)輸血を必要としなかったとともに、12週の期間にわたって8g/dL~8.5g/dLよりも小さいヘモグロビンレベルを有さなかった対象を指す。いくつかの実施形態において、輸血非依存性の12週の期間は、24週の試験期間の最終12週である。試験の24週目での赤血球輸血非依存性率によって、24週目で輸血非依存性であった対象の割合が示され、臨床的に明白な出血と関連する場合は除外する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「輸血必要性の(transfusion requiring)」(TR)という用語は、輸血状態がTDまたはTIのいずれかの要件を満たさない対象を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「24週目」または「WK24」という用語は、治療の24番目の週を指す。
【0080】
本明細書で使用される場合、「24週目の輸血非依存性応答」(WK24TI-R)という用語は、輸血状態が治療の開始後24番目の週でTIである対象の応答を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、「W24 TI非応答性の」または「W24 TIノンレスポンダー」(TI-NR)」という用語は、8g/dL以上のHgbを有し、24週目の前12週内にRBC輸血がないと定義されるW24輸血非依存性応答(TI-R)を達成しない対象を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「W24脾臓応答」という用語は、ベースライン(BL)または治療の開始時の体積と対比して、35%以上の脾臓体積減少を示す対象の脾臓を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、「W24症状応答」という用語は、BLまたは治療の開始時との対比において、対象のMFSAF総症状スコアにおける50%以上の減少を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、「脾臓応答」という用語は、身体検査で以前は触診可能であった脾臓の触診または診断的画像化のいずれかによって判定される、患者の脾臓のサイズにおける縮小を指す。IWGコンセンサス基準は、ベースライン時(治療の前)に少なくとも10cmである脾臓の触診可能な脾腫(脾臓拡大)に最小50%の減少があるか、またはベースライン時に左肋骨縁の下の5cm超で触診可能な脾臓が触診可能ではなくなることと規定している。しかしながら、より小さい減少も、「脾臓応答」という用語内であると考えられる。脾臓腫大は、触診によって判定され得る。脾臓のサイズおよび体積は、超音波、CTまたはMRI等の診断的画像化によっても測定され得る。一部の場合において、正常の脾臓サイズは、頭尾長でおよそ11.0cmであると考えられる。
【0085】
本明細書で使用される場合、「症状応答」または「症候性応答」という用語は、治療の開始時またはその前に決定されるベースラインTSSとの比較における、患者1日平均TSSにおける少なくとも50%の減少を指す(例えば、本明細書に記載されている通りである)。
【0086】
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」または「治療する(treating)」という用語は、臨床結果を含めて有益な、または所望の結果を得るための手法を指す。有益な、または所望の臨床結果は、以下の1または2以上を含むことができる:a)疾患もしくは状態を阻害すること(例えば、疾患もしくは状態に起因する1または2以上の症状もしくは徴候を減少させること、および/または疾患もしくは状態の範囲を縮小すること)、b)疾患もしくは状態と関連する1または2以上の臨床症状の発症を減速もしくは抑止すること(例えば、疾患もしくは状態を安定化すること、疾患もしくは状態の悪化もしくは進行を予防もしくは遅延させること、および/または疾患または状態の伝播(例えば、転移)を予防または遅延させること)、c)疾患を緩和すること、つまり、臨床症状の退行を引き起こすこと(例えば、疾患状態を軽快させること、1または2以上の症状もしくは徴候を軽減もしくは軽快させること、疾患もしくは状態の部分的もしくは全体的な寛解を提供すること、別の薬物療法の効果を増強すること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を向上させること、および/または生存を延長すること)、および/またはd)1または2以上の臨床的エンドポイントにおける減退を改善または安定化または防止すること(例えば、ここに記載されている通りである)、例えば、以下に限定されないが、輸血非依存性、輸血依存性から非依存性への変換、総症状スコア(TSS)、脾臓応答(SRR)および貧血の改善を含む。
【0087】
「有効量」という用語は、疾患を治療するために対象に投与される場合に、所望の生物学的または医学的応答を引き出すのに有効であり得る量を指し、疾患に対してそのような治療をもたらすのに十分である化合物の量を含む。有効量は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療されるべき対象の年齢、体重等に依存して変動する。有効量は、ある範囲の量を含むことができる。
【0088】
「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用され、治療、観察または実験の目的であった、または目的になる動物、例えば哺乳動物(ヒトを含む)等を指す。本明細書に記載されている方法は、ヒトの治療および/または獣医学用途において有用であり得る。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。一実施形態において、対象はヒトである。様々なその他の哺乳動物が、本開示の方法を使用して治療され得る。例えば、以下に限定されないが、哺乳動物、例えば、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、またはその他のウシ種、ヒツジ種、ウマ種、イヌ種、ネコ種、げっ歯類種もしくはマウス種が治療され得る。
【0089】
「それを必要とするヒト」は、ある特定の治療、例えば、本出願による化合物で治療されることから利益を受ける疾患または状態を有し得るまたは有すると疑われるヒトを指す。「それを必要とする対象」または「それを必要とする患者」という用語は、本明細書に記載されている治療から利益を受ける疾患、障害または状態を有し得る、有すると診断されるまたは有すると疑われる対象または患者を指す。
【0090】
化合物またはその薬学的に許容可能な塩、異性体、プロドラッグまたは溶媒和物の「治療有効量」という用語は、対象に投与される場合に有効な治療をもたらす、例えば、1または2以上の症状の軽快または疾患進行の減速等の治療的利益を提供するのに十分な量を意味する。治療有効量は、対象、および治療されている疾患または状態、対象の体重および年齢、疾患または状態の重症度、ならびに投与の方式に依存して変動し得、容易に決定され得る。
【0091】
II.SIMPLIFY-1およびSIMPLIFY-2臨床試験
モメロチニブ(MMB)は、骨髄線維症(MF)の治療のために開発された、有力で選択的な、経口的に生体利用可能な、JAK1、JAK2およびACVR1の小分子阻害剤である。
【0092】
しかしながら、2つの第3相臨床試験(SIMPLIFY-1および-2)において、MMBはSIMPLIFY-1において事前定義されたTSS応答の副次的エンドポイント、およびSIMPLIFY-2におけるSRRの主要エンドポイントを満たすことができなかった。
【0093】
SIMPLIFY-1試験(NCT01969838;GS-US-352-0101)において、ルキソリチニブ(RUX)と対比されたMMBの有効性および安全性が、JAK阻害剤を用いる処置に関して未処置であった骨髄線維症を有する患者において試験された。高リスクまたは中間-2リスクまたは症候性中間-1リスクの骨髄線維症を有する患者(N=432)は、1日1回200mgのMMBまたは1日2回(または1ラベル当たり)20mgのRUXによる24週の治療を受け、この後、全ての患者が、非盲検のモメロチニブ治療を受けることができた。RUXに対するMMBの非劣性を実証することを目標として、脾臓応答、総症状スコア(TSS)、赤血球輸血率および輸血非依存性または輸血依存性によって、有効性が評価された。主要エンドポイントは、ベースラインとの比較における、24週での脾臓体積の少なくとも35%の減少とした。
【0094】
SIMPLIFY 1試験の結果の初期の分析が、Mesaらによって報告された(SIMPLIFY-1:A Phase III Randomized Trial of Momelotinib Versus Ruxolitinib in Janus Kinase Inhibitor-Naive Patients with Myelofibrosis、J.Clinical Oncology、2017年、35巻、34号、3844~3850頁)。SIMPLIFY-1試験データの分析は、モメロチニブが、JAKi治療を受けていない患者における脾臓サイズの縮小に関してRUXよりも非劣性であったことを示しており、したがって、試験の主要エンドポイントを満たした。しかしながら、その試験の症候性患者においてモメロチニブの症候性利益のエビデンスがあるにもかかわらず、総症状スコア(TSS)応答の副次的エンドポイントに関しては、非劣性が実証されなかった。MMB治療は、RUXと比較して、輸血非依存性率の上昇、輸血依存性率の低下および輸血率の減少と関連しており、これらの全てが形式的には統計的に有意であった。
【0095】
SIMPLIFY-2試験(NCT02101268;GS-US-352-1214)において、利用可能な最善の治療(BAT)と対比したMMBの有効性および安全性が、ルキソリチニブ(RUX)で以前に治療された骨髄線維症を有する貧血または血小板減少対象において試験された。必要とされるベースライン血小板数に関して下限はなかった。BATに対するMMBの優位性を実証することを目標として、脾臓応答、総症状スコア(TSS)、赤血球輸血率、および輸血非依存性または輸血依存性によって、有効性が評価された。主要エンドポイントは、ベースラインとの比較における、24週での脾臓体積の少なくとも35%の減少とした。
【0096】
SIMPLIFY-2試験の結果の初期の分析が、Harrisonらによって報告された(Momelotinib versus best available therapy in patients with myelofibrosis previously treated with ruxolitinib(SIMPLIFY 2):a randomized,open-label,phase 3 trial.、Lancet Haematol、5巻、2版、2018年2月、e73-e81頁)。SIMPLIFY-2試験データのその分析は、モメロチニブが、脾臓サイズの縮小に関してBATよりも優位でないと示しており、したがって、該試験は、その主要エンドポイントを達成できなかった。
【0097】
鍵となる副次的エンドポイントはHarrisonらによる分析において形式的には有意であったが、これらは、分析エンドポイントの階層において統計的に有意であるとはみなされなかった。一般に、モメロチニブ群における患者は、BAT群における患者と比較して、より大きい総症状スコア(TSS)応答、より少ない輸血、より高い輸血非依存性、およびより低い輸血依存性を有していた。初期の分析は、無作為化された試験治療の開始の前にルキソリチニブの中断を義務付けなかったことによって複雑化された。ルキソリチニブの前治療からの強制的休薬を含めなかったことによって、脾臓応答の評価は、この試験では、いずれの群の対象においても不明瞭であった。加えて、この試験に登録された患者は、RUXでの脾臓の進行に基づいて選択されなかった。
【0098】
SIMPLIFY-1およびSIMPLIFY-2試験のデータの再分析により、モメロチニブの投与は血小板減少症を引き起こさなかったため、血小板減少症のために用量低減または中断を必要とすることなく、脾臓サイズ(SSR)を縮小させること、総症状スコア(TSS)を改善すること、および血小板数が1リットル当たり150×10以下である患者における輸血非依存性率を改善することにモメロチニブは有効であることが見出された。
【0099】
これらの試験において収集されたデータのさらなる分析は、患者のベースラインおよび治療時の血清フェリチンレベルが、モメロチニブで治療される場合に、その患者が輸血非依存性を維持するまたは輸血非依存性になる患者である見込みについての情報を提供することを示す。全生存期間は、輸血非依存性のままである患者において改善される。
【0100】
III.予測的ツールとしての輸血非依存性
骨髄線維症患者は、多数の疾患関連症状(例えば、ヘモグロビンレベルの低下およびヘプシジンレベルの上昇、脾腫、血球減少ならびに貧血)を経験する。ほとんど全ての場合において、患者は輸血を受け、一部の患者は繰り返し輸血を必要とする。貧血および輸血依存性は、骨髄線維症を有する患者において、全生存期間の短縮に関連する因子である。
【0101】
輸血非依存性を維持する患者は、全生存期間の改善を示す。治療の24週目に輸血非依存性を維持している患者は、治療による全生存期間の延長が最も大きいことが示された。
【0102】
24週目の輸血非依存性(WK24 TI)を決定することは複雑であり、WK24 TIを予測または判定するための単純なマーカーが探索された。骨髄線維症患者のヘプシジンおよびヘモグロビンレベルが分析された。患者のヘプシジンおよび/またはヘモグロビンレベルは、患者の輸血依存性または非依存性を予測するものでなかった。しかしながら、骨髄線維症を有する患者におけるフェリチンレベルは、WK24 TIを含む、患者の輸血非依存性を予測するものであることが見出された。
【0103】
図1、2および3は、ベースラインの特徴ごとの、RUXとMMBについてのSIMPLIFY-1(S1)の24週目TI応答率を示す。S1におけるW24 TI-R率は、ベースラインの貧血の程度、またはベースラインの血小板(PLT)数もしくは輸血状態に関係なく、RUXに対してMMBに無作為に割り付けられた患者においてより高かった(EHA 2021ポスター、EP1081)。
【0104】
図4および5は、JAKi治療を受けていない患者およびJAKi曝露患者の両方における生存率を示す。S1は、JAKi治療を受けていない患者において、治療開始にかかわらず、MMBを用いる延長治療で、確かな生存延長が観察されたことを示した。S2は、RUXで以前に治療されたことがある患者について、全生存期間結果が最も良好であることを示した(Verstovsekら、ASH.Presentation 2020)。
【0105】
IV.患者選択のためのバイオマーカーとしてのフェリチン
骨髄線維症患者における貧血は、しばしば輸血で治療され、繰り返しの輸血は、肝臓および血液における鉄過剰症を引き起こすことがある。フェリチンは、過剰の鉄を貯蔵する血液タンパク質であり、繰り返し輸血を受ける患者において高くなることがある。一部の状況において、患者の鉄およびフェリチンレベルは、相関性がある。しかしながら、これらの2つの要素の相関は、炎症、輸血を経験する患者において、または、ある特定の薬物を受ける患者において失われることがある。RUXは、RUXを受ける患者において、一般にフェリチンを増加させることが知られている。
【0106】
フェリチンは、慣用の血液検査で測定される。健康なヒトの正常なフェリチンの範囲は、10ng/mL~300ng/mLである。本開示の目的において、90ng/mL未満の血中フェリチンレベルは、低~正常の範囲とされる。90ng/mL超であるが650ng/mL以下の血中フェリチンレベルは、中~高の範囲とされる。650ng/mL超の血中フェリチンレベルは、正常範囲を外れて非常に高い。
【0107】
容易に測定可能なバイオマーカー、特に、24週の治療後に患者が輸血非依存性である蓋然性(likelihood)に相関する、またはそれを推定もしくは予測するバイオマーカーに基づいて、骨髄線維症を有する患者のための治療を選択する方法が本明細書において開示されている。いくつかの実施形態において、対象のベースラインのフェリチンレベルは、一次治療を選択するために使用され得る。いくつかの実施形態において、対象の治療中のフェリチンレベルは、一次治療の継続可能性を判定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、対象の治療中のフェリチンレベルは、二次治療を選択するために使用され得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている方法は、骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップを含む。いくつかの実施形態において、フェリチンレベルは、治療の前の基準、即ちベースラインレベルである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている方法は、治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、対象の試料におけるフェリチンレベル、即ち、治療中のフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、対象の試料におけるフェリチンレベルは、毎週測定される。
【0109】
いくつかの実施形態において、対象は、治療期間中に所定の範囲内のフェリチンレベルを維持すると判定される。いくつかの実施形態において、対象は、治療期間中に所定の範囲内のフェリチンレベルを維持すると判定され、治療が継続される。
【0110】
いくつかの実施形態において、対象は、治療期間中に所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される。いくつかの実施形態において、フェリチンレベルが、一次治療を決定するために使用される範囲の外にある場合、その一次治療は、終了されてもよい。いくつかの実施形態において、次いで、二次治療が選択されてもよい。いくつかの実施形態において、二次治療は、一次治療と異なる。
【0111】
いくつかの実施形態において、対象のフェリチンレベルは、90ng/mL未満である。この範囲において、いくつかの実施形態において、治療方法は、JAK阻害剤の投与を含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、治療期間の前または治療期間中の対象のフェリチンレベルは、90ng/mL以上である。いくつかの実施形態において、治療期間の前または治療期間中の対象のフェリチンレベルは、90ng/mL以上650ng/mL以下である。対象のフェリチンレベルが90ng/mL以上である場合、いくつかの実施形態において、治療方法は、モメロチニブの投与を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、治療期間の前または治療期間中の対象のフェリチンレベルは、650ng/mL以上である。この範囲において、いくつかの実施形態において、治療方法は、モメロチニブの投与を含む。この範囲において、いくつかの実施形態において、治療方法は、第2の治療剤と組み合わされたモメロチニブの投与を含む。
【0114】
V.骨髄線維症を治療する方法
本明細書において、対象における骨髄線維症を治療する方法であって、(i)骨髄線維症、および(ii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法が提供される。
【0115】
いくつかの実施形態において、対象は、90ng/mL超650ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される。いくつかの実施形態において、対象は、650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される。いくつかの実施形態において、方法は、治療有効量の第2の治療剤を対象に投与するステップをさらに含む。
【0116】
本明細書において、骨髄線維症に対して治療されている対象における輸血非依存性を維持する方法であって、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法が提供される。
【0117】
本明細書において、骨髄線維症に対して治療されている対象を、輸血必要性または輸血依存性から輸血非依存性に変換する方法であって、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法が提供される。
【0118】
本明細書において、骨髄線維症に対して治療されている対象における貧血を治療または予防する方法であって、(i)骨髄線維症を有する、(ii)貧血を有する、または貧血になるリスクがある、および(iii)90ng/mL以上のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法が提供される。
【0119】
本明細書において、骨髄線維症に対して治療されている対象における貧血を治療または予防する方法であって、(i)骨髄線維症を有する、(ii)貧血を有する、または貧血になるリスクがある、および(iii)90ng/mL以上650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法が提供される。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている方法は、骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定する、先のステップをさらに含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている方法は、治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、対象の試料におけるフェリチンレベルは、毎週測定される。
【0122】
いくつかの実施形態において、対象は、治療期間中に所定の範囲内のフェリチンレベルを維持すると判定される。
【0123】
いくつかの実施形態において、対象は、治療期間中に所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される。
【0124】
いくつかの実施形態において、対象は、治療期間中に所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法は、JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップをさらに含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、対象は、治療期間中に所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法は、
JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップ、ならびに、
以下のステップ:
90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ;または、
90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ;または、
650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む二次治療を施すステップ
をさらに含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲は、90ng/mL未満である。
【0127】
いくつかの実施形態において、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲は、90ng/mL以上である。
【0128】
いくつかの実施形態において、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲は、90ng/mL以上650ng/mL以下である。
【0129】
いくつかの実施形態において、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲は、650ng/mL以上である。
【0130】
いくつかの実施形態において、JAK阻害剤は、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、ルキソリチニブ、パクリチニブまたはフェドラチニブから選択される。いくつかの実施形態において、JAK阻害剤は、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩またはルキソリチニブである。いくつかの実施形態において、JAK阻害剤はルキソリチニブである。いくつかの実施形態において、JAK阻害剤はパクリチニブである。いくつかの実施形態において、JAK阻害剤はフェドラチニブである。いくつかの実施形態において、JAK阻害剤は、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0131】
いくつかの実施形態において、第2の治療剤は、BETタンパク質阻害剤、例えば、BRD4阻害剤である。いくつかの実施形態において、BETタンパク質阻害剤は、GSK2820151、GSK525762、GS-5829、RO6870810(IV)、BAY1238097、CC-90010、BMS-986158、1NCB054329、1NCB057643、ODM-207、AZD5153、FT-1101、ABBV-744、ABBV-075、PLX51107、BI894999、OTX015/MK8628、ZEN003694、RVX-000222、CPI-0610、アパベタロンおよびフェドラチニブから選択される。
【0132】
治療有効で安定な用量が投与される治療期間は、長時間期間であってよい。いくつかの実施形態において、用量低減のない複数週は、8週以上、例えば、10週以上である。いくつかの実施形態において、用量低減のない複数週は、12週以上である。いくつかの実施形態において、用量低減のない複数週は、24週以上(例えば、24週超)、例えば、28週以上、32週以上、36週以上、40週以上、44週以上、48週以上、52週以上またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、用量低減のない治療期間は、1年以上、例えば、2年以上、3年以上、4年以上、5年以上、6年以上、7年以上または8年以上である。
【0133】
いくつかの実施形態において、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩は、複数週の治療期間、投与される。いくつかの実施形態において、複数週の治療期間は、12週以上である。いくつかの実施形態において、複数週の治療期間は、24週以上である。いくつかの実施形態において、複数週の治療期間は、36週以上である。
【0134】
対象方法は、骨髄線維症のための一次治療として利用され得る。本開示の方法に従って治療されるべき患者は、ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAKi)療法を受けていなくてもよい。二次治療方法も提供される。ある特定の実施形態において、本開示の方法に従って治療されるべき患者は、JAK阻害剤で以前に治療されたことがある。特定の実施形態において、JAK阻害剤はルキソリチニブ(RUX)である。特定の実施形態において、JAK阻害剤はフェドラチニブである。ある特定の場合において、以前に治療された患者は、ヤヌスキナーゼ阻害剤、例えば、RUXまたはフェドラチニブに対して不十分な応答を有した、またはそれから十分な利益を導き出さなかった、またはそれに不耐性であった。いくつかの実施形態において、以前の療法(例えば、RUXまたはフェドラチニブによる療法)に応答しなかったまたは応答しなくなった患者が、本開示の方法に従って治療される。一部の場合において、対象は、例えば、主要エンドポイントまたは副次的エンドポイントを介して決定されるように、前治療から有益なまたは所望の臨床結果を得なかった。
【0135】
ある特定の実施形態において、対象または患者は、(i)疾患について任意の治療を受けたことがない(即ち、未治療)、(ii)前治療(例えば、RUXまたはフェドラチニブ等のJAKi治療)を受けたことがあり、前治療に不耐性である、あるいは(iii)前治療(例えば、RUX等のJAKi治療)から十分な利益を導き出していない、それに応答しなかったもしくは抵抗性である、またはそれに対して再発した対象または患者である。特定の実施形態において、患者は、前治療(例えば、RUXまたはフェドラチニブ等のJAKi治療)から十分な利益を導き出しておらず、なぜならば、必要な用量低減(例えば、有害事象による)は、治療的利益をあまりもたらさないからである。
【0136】
患者の望ましくない臨床症状を安定化または軽減する、進行中の疾患の治療は、特に興味深い。予想される無増悪生存時間は、再発の数、疾患の段階およびその他の因子を含めた予後因子に依存して、月単位から年単位で測定され得る。生存延長は、これに限定されないが、少なくとも1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年またはそれ以上の時間を含む。全生存期間も月単位から年単位で測定され得る。患者の症状は、静的なままであり得、または軽減することがある。
【0137】
本出願の化合物またはその組成物は、本明細書に記載されている任意の好適な方法を使用して、1日1回、2回、3回または4回、投与されてよい。その上、MMBを用いる投与または治療は、多くの日数の間、続けられてよく、例えば、通常、治療は、1つの治療サイクルの間、少なくとも7日間、14日間または28日間、継続する。治療サイクルは、一般に公知であり、サイクル間に約1日~28日、通常は、約7日間または約14日間の休止期間と交互に行われることが多い。治療サイクルは、その他の実施形態において、連続的であってもよい。
【0138】
同定された対象の治療において、MMB化合物の適切な単位用量は、一般に、1日につき患者体重1kg当たり約0.01mg~500mgであり、これは単一または複数用量で投与されてよい。投与量レベルは、1日当たり約0.1mg/kg~約250mg/kg、例えば、1日当たり約0.5mg/kg~約100mg/kgである。適当な投与量レベルは、1日当たり約0.01mg/kg~250mg/kg、1日当たり約0.05mg/kg~100mg/kg、または1日当たり約0.1mg/kg~50mg/kgであってよい。この範囲内で、投与量は、1日当たり0.05mg/kg~0.5mg/kg、0.5mg/kg~5mg/kg、または5mg/kg~50mg/kgであり得る。好適な単位用量は、典型的には、10mg~500mg、例えば50~400mg、例えば100mg、150mg、200mg、250mgまたは300mgである。経口投与用には、組成物は、好ましくは、1.0~1000ミリグラムの有効成分、特に1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900および1000ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の形態で提供される。投与量は、治療されるべき患者への投与量の治療的有効性および/または症候的調整のために、例えば、これらの範囲内の任意の用量になるように選択され得る。化合物は、好ましくは、1日当たり1回~4回、好ましくは1日当たり1回または2回のレジメンで投与される。
【0139】
任意の特定の患者のための特定の用量レベルおよび投薬頻度は、変動されてよく、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用長さ、年齢、体重、全般的な健康、性別、食療法、投与の方法および時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、ならびに治療を受ける宿主を含めた様々な因子に依存することが理解される。
【0140】
対象方法のいくつかの実施形態において、本明細書に記載されているMMB化合物の治療有効量は、50mg、100mg、150mg、200mg、250mgまたは300mgの用量である。ある特定の場合において、治療有効量は、100mg/日~300mg/日、例えば、100mg/日、150mg/日、200mg/日、250mg/日または300mg/日である。ある特定の場合において、治療有効量は、50mg/日~200mg/日、例えば、50mg/日、100mg/日、150mg/日または200mg/日である。対象方法のいくつかの実施形態において、治療有効量は、200mg/日である。投与は、経口であってよい。一部の場合において、投与は、1日1回である。いくつかの場合において、投与は、例えば、等分割された用量でのBIDである。ある特定の場合において、MMBは、食物とともに投与される。ある特定の場合において、MMBは、食物なしで投与される。
【0141】
経口的に錠剤を摂取できない患者のために、MMB化合物の治療有効量は、別の経路を介して、例えば、経鼻胃チューブを介して投与されてよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、対象方法を実施することに起因するMMB治療によるの予後の改善は、輸血非依存性の維持として顕在化され得る。いくつかの実施形態において、対象方法を実施することに起因するMMB治療による予後の改善は、輸血非依存性の達成として顕在化され得る。いくつかの実施形態において、対象方法を実施することに起因するMMB治療による予後の改善は、WK24 TI-Rの維持または達成として顕在化され得る。いくつかの実施形態において、対象方法を実施することに起因するMMB治療による予後の改善は、1または2以上の臨床的エンドポイント、例えば、貧血応答、脾臓応答および/または症状応答における改善として顕在化され得る。いくつかの実施形態において、対象方法を実施することに起因するMMB治療による予後の改善は、例えば、全生存期間の延長、例えば、少なくとも1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年またはそれ以上の延長として顕在化され得る。
【0143】
VI.モメロチニブ
本明細書に記載されている方法において、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩は、治療有効量で投与される。
【0144】
モメロチニブ(MMB)は、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドまたはCYT-0387としても知られている、JAK(JAK1およびJAK2)およびACVR1の阻害剤であり、構造Iの構造を有する:
【0145】
【化1】
【0146】
「薬学的に許容可能な塩」は、基礎となる化合物の生物学的有効性および特性を保持するとともに、生物学的にまたはその他で望ましくないものではない化合物の塩を指す。MMBは、酸付加塩として存在することができる。塩基性薬物の薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸および有機酸を使用して調製されてよい。薬学的に許容可能な塩(酸付加塩)を形成するためにMMBとの反応に有用な酸、およびそれを達成するための方法は、当業者に公知である。MMBが酸付加塩として存在する場合、MMB遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基化することによって得られ得る。溶媒和物は、溶媒とMMB化合物との相互作用によって形成される。本明細書に記載されているMMB化合物の塩の溶媒和物も、本明細書に記載されている方法の特定の実施形態において使用される。一部の場合において、MMB化合物溶媒和物は、水和物である。
【0147】
本明細書において開示されている方法の実施形態は、薬学的に許容可能な、モメロチニブの酸付加塩、またはその溶媒和物もしくは水和物を使用する。いくつかの実施形態において、モメロチニブ化合物は、塩酸塩である。ある特定の実施形態において、対象方法において用いられる化合物の塩酸塩は、構造IIのモメロチニブ一塩酸塩である:
【0148】
【化2】
【0149】
ある特定の実施形態において、モメロチニブ一塩酸塩は、無水物である。ある特定の実施形態において、モメロチニブ一塩酸塩は、水和物、例えば、一水和物である。
【0150】
特定の実施形態において、使用されるモメロチニブ塩酸塩は、構造IIIのモメロチニブ二塩酸塩である:
【0151】
【化3】
【0152】
ある特定の実施形態において、モメロチニブ二塩酸塩は、無水物である。ある特定の実施形態において、モメロチニブ二塩酸塩は、水和物、例えば、モメロチニブ二塩酸塩一水和物である。
【0153】
本明細書に記載されている方法の実施形態は、以下に限定されないが、WO2015191846に記載されているような形態を含めたモメロチニブの任意の結晶塩形態を使用し、本開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、モメロチニブの結晶塩形態は、化合物の多形体の形態と称される。
【0154】
いくつかの実施形態において、使用されるMMB化合物は、結晶形態IIであるモメロチニブ二塩酸塩一水和物である。結晶形態IIは、以下の通りに、1または2以上のパラメータによって特徴付けられる。結晶形態IIは、T=100°Kでの単位セルパラメータを有する結晶によって特徴付けられ得る:a=10.2837(6)A、b=10.4981(6)A、c=11.5143(7)A、a=83.297(2)°、β=87.649(2)°、γ=67.445(2)°および三斜晶系P-1空間群。結晶形態IIは、7.7°、19.3°、24.0°、25.7°および29.6°2θ+0.2°2θにピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴付けられ得る。
【0155】
いくつかの実施形態において、使用されるMMB化合物は、結晶形態Iであるモメロチニブ一塩酸塩無水物である。結晶形態Iは、以下の通り、1または2以上のパラメータによって特徴付けられる。結晶形態Iは、13.5°、20.9°、26.1°、26.6°および28.3°2θ+0.2°2θにピークを有するX線粉末回折(「XRPD」)パターンによって特徴付けられ得る。
【0156】
いくつかの実施形態において、使用されるMMB化合物は、結晶形態IIIであるモメロチニブ一塩酸塩無水物である。結晶形態IIIは、以下の通り、1または2以上のパラメータによって特徴付けられる。結晶形態IIIは、12.7°、14.6°、17.8°、19.7°および23.3°2θ+0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0157】
いくつかの実施形態において、使用されるMMB化合物は、モメロチニブ二塩酸塩無水物の結晶形態IVである。結晶形態IVは、以下の通り、1または2以上のパラメータによって特徴付けられる。結晶形態IVは、5.5°、10.1°、14.9°、25.1°および26.6°2θ+0.2°2θにピークを有するXRPDパターンを有することができる。
【0158】
【表1】
【0159】
以下の特許出願は、以下に限定されないが、そこに記載されているMMBの使用を含めて、参照により全ての目的で組み込まれる:2008年3月12日に出願された国際出願番号PCT/AU2008/000339、および2011年11月29日に出願された国際出願番号PCT/AU2011/001551、および2015年6月11日に出願された国際出願番号PCT/US2015/035316、および2017年8月8日に出願された国際出願番号PCT/US2017/045957。
【0160】
VII.医薬組成物
MMB化合物は、通常、医薬組成物の形態で投与される。本明細書において開示されている方法の実施形態は、本明細書において開示されているMMB化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物もしくは水和物、ならびに担体、アジュバントおよび賦形剤から選択される1または2以上の薬学的に許容可能なビヒクルを含有する医薬組成物を投与するステップを含む。
【0161】
医薬組成物は、単回または複数回用量のいずれかで投与されてよい。医薬組成物は、様々な方法によって投与されてよい。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、動脈内注射によって、静脈内に、腹腔内に、非経口的に、筋肉内に、皮下に、経口的に、局所的に、または吸入薬として投与される。
【0162】
経口投与は、現在、本明細書に記載されているMMB化合物の投与のための好ましい経路である。現在好ましい実施形態において、本明細書に記載されているそのMMBの形態または組成物は、薬学的に許容可能な担体を使用して経口投与のために製剤化される。経口投与のために製剤化される医薬組成物は、錠剤、カプセル、カシェ、糖衣錠、ロゼンジ、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、エリキシル、懸濁液、または粉末の形態であってよい。
【0163】
投与は、例えば、カプセルまたは腸溶錠剤を介することができる。本明細書に記載されているMMB化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物もしくは水和物を含む医薬組成物を作製する際、有効成分は、通常、賦形剤によって希釈される、および/または、カプセル、サッシェ、紙もしくはその他の容器の形態であり得る担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として働く場合、それは、固体、半固体または液体材料の形態であってよく、有効成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する。したがって、該組成物は、錠剤、粉末、ロゼンジ、サッシェ、カシェ、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、液剤、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中で)、重量で例えば最大10%までの有効化合物を含有する軟膏、軟質および硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射可能溶液ならびに滅菌包装粉末の形態であってよい。
【0164】
錠剤等の固体組成物を調製するために、主要な有効成分は、上記式のいずれかの化合物またはその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、または溶媒和物の均質混合物を含有する固体予備製剤組成物を形成するために、医薬賦形剤と混合されてよい。これらの予備製剤組成物を均質と称する場合、有効成分は、組成物の全体にわたって均等に分散され得るため、組成物は、錠剤およびカプセル等、同等に有効な単位剤形に容易に細分化され得る。本明細書に記載されているMMB化合物の錠剤は、コーティングされ、またはそうでなければ化合されることで、延長作用の利点を与える投与形態を提供し、あるいは胃の酸性条件から保護される。例えば、錠剤または丸剤は、内部投与量および外部投与量の成分を含むことができ、後者は、前者外側のエンベロープの形態である。2種の成分は、胃における崩壊に抵抗し、内部の成分が十二指腸中にそのままで届くまたは遅れて放出されることを可能にするように働く腸溶性層によって分離されていてよい。様々な材料が、こうした腸溶性層またはコーティングのために使用されてよく、こうした材料としては、多数のポリマー酸ならびにシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロース等の材料とのポリマー酸の混合物が挙げられる。
【0165】
任意の特定の対象のための本明細書に記載されているMMB化合物の特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の有効性、年齢、体重、全般的な健康、性別、食療法、投与時間、投与経路、および排出速度、薬物の組合せ、ならびに治療を受けている対象における特定の疾患の重症度を含めた様々な因子に依存する。例えば、投与量は、対象の体重1キログラム当たりのMMB化合物のミリグラム数(mg/kg)で表され得る。約0.01mg/kg~200mg/kgの投与量が適切であり得る。いくつかの実施形態において、約0.01mg/kg~150mg/kgが適切であり得る。その他の実施形態において、0.05mg/kg~100mg/kgの投与量が適切であり得る。対象の体重に従った正規化は、小児および成人ヒトの両方において薬物を使用する場合、またはイヌ等の非ヒト対象における有効投与量をヒト対象に好適な投与量に変換する場合等、大きく異なるサイズの対象間で投与量を調整する場合に、特に有用である。
【0166】
VIII.薬学的に許容可能なビヒクル
薬学的に許容可能なビヒクルは、担体、アジュバントおよび賦形剤、例えば、不活性固体希釈剤および充填剤、希釈剤(例えば滅菌水溶液および様々な有機溶媒)、浸透促進剤、可溶化剤およびアジュバントを含む。
【0167】
「担体」という用語は、MMB化合物が共に投与される、希釈剤または充填剤、崩壊剤、沈殿阻害剤、界面活性剤、流動促進剤、バインダー、滑沢剤、酸化防止剤ならびにその他の賦形剤およびビヒクルを指す。本明細書に記載されている方法において投与される投与形態において有用である担体の例としては、以下に限定されないが、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、イソステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、ポビドン、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、シリコーン、シリコーン接着剤4102およびシリコーンエマルジョンが挙げられる。しかしながら、本開示において提供される医薬組成物のために選択される担体、および組成物におけるこうした担体の量は、製剤(例えば、乾式造粒製剤、固体分散体製剤)の方法に依存して変動し得ることが理解すべきである。
【0168】
「希釈剤」または「充填剤」という用語は、一般に、送達の前にMMB化合物を希釈するために使用される物質を指す。希釈剤は、化合物を安定化するように働くこともできる。希釈剤の例としては、デンプン、糖類、二糖類、スクロース、ラクトース、多糖類、セルロース、セルロースエーテル、ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、微結晶性セルロース、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、セルロース、圧縮糖、リン酸水素カルシウム脱水物、マンニトールおよび第三リン酸カルシウムを挙げることができる。
【0169】
「崩壊剤」という用語は、一般に、固体調製物への添加で、投与の後にそれの分解または崩壊を容易にするとともに、有効成分の放出をできるだけ効果的に可能にすることで、急速な溶解を可能にする物質を指す。崩壊剤の例としては、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、微結晶性セルロース、加工コーンスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、ポビドン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸が挙げられる。
【0170】
「沈殿阻害剤」という用語は、一般に、有効薬剤の沈殿を防止または阻害する物質を指す。沈殿阻害剤の1つの例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0171】
「界面活性剤」という用語は、一般に、2つの液体の間または液体と固体との間の表面張力を下げる化合物を指す。界面活性剤の例としては、ポロキサマーおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0172】
「流動促進剤」という用語は、一般に、錠剤圧縮中の流動特性を改善するとともに固化防止効果を生成するために、錠剤およびカプセル製剤において使用される物質を指す。流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、フュームドシリカ、デンプン、デンプン誘導体およびベントナイトが挙げられる。
【0173】
「バインダー」という用語は、一般に、担体の活性成分と不活性成分を一緒に結合し、凝集部分と分離部分を維持するために使用され得る任意の薬学的に許容可能なフィルムを指す。バインダーの例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、コポビドン、エチルセルロース、ゼラチンおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0174】
「滑沢剤」という用語は、一般に、錠剤化またはカプセル化プロセス中に圧縮粉末塊が装置に粘着するのを防止するために、粉末混合物に添加される物質を指す。滑沢剤は、錠剤化中にダイからの錠剤の放出を補助することができ、粉末流動を改善することができる。滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカ、脂肪、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、またはタルク、ならびに可溶化剤(例えばラウリン酸、オレイン酸およびCg/Cio脂肪酸を含む脂肪酸)が挙げられる。
【0175】
「酸化防止剤」という用語は、一般に、その他の物質の酸化を阻害する物質を指す。本発明のある特定の実施形態において、酸化防止剤は、医薬組成物に添加される。酸化防止剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、チオグリセロール、チオグリコール酸、トコフェロール(ビタミンE)、D-aトコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS)およびプロピルガレートが挙げられる。ある特定の実施形態において、酸化防止剤はプロピルガレートである。
【0176】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、MMB、例えばMMB二塩酸塩一水和物結晶形態II、ならびにブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびプロピルガレートから選択される酸化防止剤を含む。酸化防止剤は、MMBの有効成分(MMB結晶形態II等)の分解を防止、阻害および/または低減するのに十分な量で存在することができる。例として、酸化防止剤は、医薬組成物において約0.001重量%、約0.002重量%、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.5重量%または約1重量%の量で存在することができる。一実施形態において、医薬組成物は、プロピルガレートを約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.5重量%または約1重量%の量で含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、MMB、例えばMMB二塩酸塩一水和物形態II、および約0.2重量%のプロピルガレートを含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種または少なくとも2種の希釈剤を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1種または2種の希釈剤を含む。特定の実施形態において、希釈剤は、マンニトール、微結晶性セルロース、ラクトース、デキストロース、スクロース、Ludiflash、F-MELT、Advantose、galenIQおよびその任意の混合物から選択される。一実施形態において、希釈剤は、マンニトール、微結晶性セルロースまたはその混合物である。
【0178】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の崩壊剤を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1種の崩壊剤を含む。特定の実施形態において、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。一実施形態において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。別の実施形態において、崩壊剤はクロスポビドンである。
【0179】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の流動促進剤を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1種の流動促進剤を含む。一実施形態において、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0180】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の滑沢剤を含む。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、1種の滑沢剤を含む。一実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0181】
医薬組成物は、本明細書において詳述されている薬学的に許容可能な担体を含み、薬学的に許容可能な担体の各々およびあらゆる組合せが、具体的におよび個々に挙げられているのと同じであることが理解すべきである。
【0182】
IX.単位投与形態
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている通りの医薬組成物は、単位投与形態で製剤化される。「単位投与形態」という用語は、対象(例えば、ヒト対象およびその他の哺乳動物)のための単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、好適な薬学的担体と関連して、所望の治療効果を生成するために算出されるMMB化合物の有効材料の所定の分量を含有する。本発明のある特定の実施形態において、単位投与形態は、少なくとも1種の薬学的に許容可能な担体を含む。
【0183】
さらなる実施形態において、単位投与形態は、MMBの形態のいずれか1つ、例えばMMB二塩酸塩一水和物結晶形態IIを含む。いくつかの実施形態において、単位投与形態は、MMBの結晶形態のいずれか1つ、例えばMMB二塩酸塩一水和物結晶形態IIを、MMB遊離塩基が約10mg~約1000mg、約10mg~約800mg、約10mg~約700mg、約10mg~約500mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約250mg、約10mg~約200mg、約10mg~約150mg、約10mg~約100mg、約10mg~約50mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約800mg、約50mg~約700mg、約50mg~約500mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約250mg、約50mg~約200mg、約50mg~約150mg、約50mg~約100mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約700mg、約100mg~約500mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約250mg、約100mg~約200mg、約150mg~約300mg、約150mg~約250mg、約150mg~約200mg、約200mg~約300mg、約200mg~約250mgまたは約200mg~約300mg形成されるのと同等の量で含む。
【0184】
本明細書に記載されている医薬組成物は、任意の従来の方法、例えば、以下に限定されないが、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、封入、メルトスピニング、スプレー乾燥または凍結乾燥プロセス等を使用して製造され得る。当業者は、従来の製剤によって錠剤を調製するための好適な方法および技法を認識している。錠剤への圧縮のための粉末を調製する例示的な方法および技法としては、乾式顆粒化または湿式顆粒化が挙げられる。乾式顆粒化は一般に、溶液を使用することなく顆粒を形成するプロセスを指し、他方、湿式顆粒化は一般に、溶液を粉末に添加することで顆粒化するプロセスを指す。
【0185】
X.ルキソリチニブ療法
本開示の態様としては、二次治療としてMMBを使用して骨髄線維症の対象を治療する方法が挙げられる。いくつかの実施形態において、対象は、以前の一次治療で、ルキソリチニブ等のJAK阻害剤療法により治療されたことがある。SIMPLIFY 1および2臨床試験における、従来のルキソリチニブ療法のさらなる詳細は、公にアクセス可能な試験プロトコールに見出され得る。
【0186】
ルキソリチニブは、典型的には、同等に分割された用量にてBIDで投与される。骨髄線維症を有する患者のための推奨用量の範囲は、1日2回25mgという高用量から、1日1回5mgという低用量まで、10倍の幅がある。ルキソリチニブの推奨開始用量は、血小板数に基づき、治療前の血小板数が100~200×10/Lである患者では、1日2回15mgの低減開始用量が推奨される。全血算(CBC)および血小板計数は、治療を開始する前に行い、用量が安定化されるまで2週~4週毎に行い、その後は臨床的な指示に応じて行われる。用量は、安全性および有効性に基づいて漸増され得る。症状または疾患進行に対応するルキソリチニブ用量変更ガイドラインも、公にアクセス可能な試験プロトコールおよびレポートにおいて利用可能である。
【0187】
本開示を読むと当業者に明らかになる通り、本明細書に記載および例示されている個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、その他のいくつかの実施形態のいずれかの特色から容易に分離され得る、またはそれと組み合わされ得る個別の構成成分および特色を有する。任意の列挙されている方法は、列挙されている事象の順序で、または論理的に可能である任意のその他の順序で実施されてよい。
【実施例
【0188】
下記は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。実施例は、例示的な目的のみで提供され、決して本発明の範囲を限定することは意図されない。使用される数字(例えば、量、温度等)に関する正確性を確実にするための努力がなされているが、いくつかの実験エラーおよび偏差は、当然、斟酌されるべきである。
【0189】
実施例1.24週目応答および全生存期間
W24応答と全生存期間(OS)との間の関係は、SIMPLFY-1(S1)およびSIMPLIFY-2(S2)試験においてMMBに無作為化された患者で調査された。
【0190】
レスポンダーは、以下の通りに定義された:
・W24 TI応答(TI-R):Hgbが8g/dLで以上であり、W24の直前12週以内にRBC輸血なし
・W24脾臓応答:ベースライン(BL)に対して35%以上の脾臓体積減少
・W24症状応答:BLに対して50%以上のMFSAF総症状スコア減少
【0191】
ベースラインからの生存率は、K-M分析を使用して記述的なログランク検定により推算され、比較された(全てのp値は記述的である)。ハザード比は、比例ハザード回帰を使用してコンピューター計算された。応答時間についてのバイアスを調整するために、W24からの全生存期間も比較された。患者は、両方の試験において対照群に無作為化され、無作為化治療の24週後に非盲検MMBに移行されたため、RUXまたはBAT/RUXに無作為化された患者とMMBに無作為化された患者との全生存期間の妥当な比較は可能ではなく、そのため、MMB群のみが分析された。
【0192】
S1において、24週目のTI応答によりMMBに無作為化された全ての患者の全生存期間を、図6に示す。W24にTIレスポンダーであったMMBに無作為化された患者は、全生存期間において有利であった。MMB TIレスポンダーにおける3年生存率は80%であり、MMB TIノンレスポンダーにおいては50%であった、HR=0.30;p<0.0001。
【0193】
S1において、24週目のTI応答によりMMBに無作為化された貧血患者の全生存期間を、図7に示す。ベースラインで貧血を有し、MMB治療を受けた患者における24週目TI応答率は45%であり、RUXを受けた患者の応答率は26%であった。全MMB集団における結果と一致して、ベースライン時に貧血を有するS1患者(ベースラインの前12週以内にRBC輸血あり、またはベースラインでHgb10g/dL未満)においても有意な全生存期間の有利性を示し、24週目でTI-Rが達成された。HR=0.32;p=0.0006。
【0194】
S2において、24週目のTI応答によりMMBに無作為化された全ての患者の全生存期間を、図8に示す。W24にTIレスポンダーでありMMBに無作為化された患者は、TIノンレスポンダーであった患者と比較して、より良好な全生存期間となる傾向を示した。HR=0.57;p=0.0652。
【0195】
W24脾臓応答および症状応答と、全生存期間との間の関係も、MMB患者において調査された。図9および10は、それぞれS1の脾臓およびTSSレスポンダーにおける全生存期間を示す。S1において、MMB脾臓レスポンダーは、MMBノンレスポンダーと比較して、全生存期間において有利であった。HR=0.59;p=0.0904。同様に、MMB症状(TSS)レスポンダーは、MMBノンレスポンダーと比較して、全生存期間において有利であった。HR=0.66;p=0.1657。S2において、MMB TSSノンレスポンダーと比較したMMB症状(TSS)レスポンダーにおける全生存期間は、HR=0.67およびp=0.2513を示した(データは示されていない)。
【0196】
モメロチニブ(MMB)は、JAK1、JAK2およびACVR1/ALK2の阻害を介して貧血改善の効果を提供し、ベースラインの貧血の程度、ベースラインの血小板数または輸血状態にかかわらず、ルキソリチニブ(RUX)と比較して、輸血非依存性(TI)がより高くなる結果となった。加えて、MMB治療を受けた骨髄線維症患者は、TIに変換されたかまたはそれを維持し、全生存期間(OS)を有意に改善した。
【0197】
24週目(W24)TI応答は、SIMPLIFY-1およびSIMPLIFY-2試験の両方において、生存率改善の強い予測因子であった。本分析は、W24 TI応答が、ベースライン時に貧血であったMMB患者における生存率改善の予測因子であることを示した。また本分析は、MMBで観察されたW24 TI応答と全生存期間との間の相関が、MMB治療を受けるMF患者においてTIの臨床的関連性を支持することも示した。
【0198】
これらの結果は、W24 TI応答を達成する見込みが、治療の選択に関して考慮されるべきであることを示す。
【0199】
実施例2:24週目輸血応答についてのバイオマーカーとしてのフェリチン
図3は、ベースラインの輸血必要性が、W24 TI-Rに影響を及ぼす程度を示す。MMBは各ベースラインのTI/TR/TDコホートに関してRUXよりも良好であったが、患者のベースライン時に必要な輸血が多ければ多いほど、患者がW24 TIレスポンダーになる可能性は低かった。
【0200】
以前の試験(「1672試験」)は、炎症の強い患者が、MMB単独では輸血非依存を達成できなかったことを示した。血清フェリチン、C反応性タンパク質(CRP)、ヘプシジンおよびWBCの上昇は、通常、著しい炎症と関連し、重要なことに、病院で簡便に測定される(Ohら、2020年、Blood Adv.、4巻、18号、4282~4291頁)。本試験は、モメロチニブが輸血依存性の骨髄線維症患者における輸血依存性を反転または低減し、ヘプシジンを阻害したことを示した。1672試験は、24週の治療にわたってTI-R患者においてフェリチンが安定化したことを示した。ヘプシジンのように、ベースラインのフェリチンは、MFを有する患者において強い負の予後因子である。図11は、1672試験における24週にわたるTI-RおよびTI-NR患者の平均フェリチンレベルを示す。
【0201】
下記に示す通り、ベースラインおよび治療中のフェリチンレベルの閾値は、MMB TI-Rを予測するために使用され得る。
【0202】
S1において、ベースライン非TI対象(800ng/mL超)と比較して、ベースラインTIにおいてより低いレベル(約150ng/mL)のベースラインフェリチンが観察され、これはMF患者の貧血におけるフェリチンの役割と一致した。MMBは、RUXと比較した場合、経時的なフェリチンの安定化により有効であった。図12および13は、S1において、RUX治療患者と比較した場合、MMB治療患者のフェリチンレベルが、ほとんどのTI-R患者において、12週目までごくわずかな変化で安定を維持することを示す。12週目までにフェリチンが100ng/mL超の増加を示すRUX治療患者は、24週目でのTI-NRに関連した。
【0203】
図14は、S1のJAKi治療を受けていない患者におけるベースラインのフェリチンレベルを示す。650ng/mL未満のベースラインフェリチンレベルは、MMBのW24 TI-Rと相関する。MMBは、各フェリチンのコホートでRUXよりも優位であり、W24 TI-Rは、90ng/mL~650ng/mLのコホートにおいて劇的に高かった。RUXは、90ng/mL超の患者においてあまり有効ではなかった。患者のフェリチンレベルが650ng/mL超の場合、MMBの全体的な有効性は低下するが、フェリチンレベルが650ng/mL超の患者においてもなお、MMBはRUXよりも良好であった。JAKi治療を受けていない集団の12%未満は、650ng/mL超のフェリチンレベルを有した。
【0204】
図15は、S2におけるRUX患者のベースラインフェリチンレベルを示す。これらの閾値がより進行したSIMPLIFY-2集団に適用された場合、同じ傾向が本試験において見られ、フェリチンがMMB W24 TI-Rのための予測バイオマーカーであり得ることを示した。フェリチンレベル650ng/mL未満のMMB治療患者は、24週目TI-Rになる確率がより高かった。本試験に関して、650ng/mL超のコホートにおけるわずかに高いTI-R率は、RUXからの切り換えの結果であり得る。RUX治療によって引き起こされるフェリチンレベルの上昇は、治療がRUXからMMBに切り換えられる場合に、反転され得る。
【0205】
実施例3:24週目輸血応答についてのバイオマーカーとしてのフェリチン
骨髄線維症(MF)は、典型的に、全身症状、脾腫および貧血を提示し、貧血および輸血依存性の程度は、不良な全生存期間(OS)となる最も重要な予測因子の1つである。モメロチニブ(MMB)は、ヘプシジン産生および鉄代謝の重要な調節因子である、ACVR1/ALK2に対して強力な有効性を有する分化型JAK1、JAK2阻害剤である。
【0206】
MMBは、SIMPLIFY第3相試験(JAK阻害剤(JAKi)治療を受けていない患者においてルキソリチニブ(RUX)と直接比較したSIMPLIFY-1(S1)、および、以前にJAKi治療を受けた患者において利用可能な最善の治療(BAT)と比較したSIMPLIFY-2(S2)を含む)において、MFのこれらの顕著な3つの特徴全てに対して確かな臨床有効性を示した。MMBは、さらに、JAKi治療を受けていない集団(S1)およびJAKi治療を受けた集団(S2)において確かなOSの延長を示した(Verstovsekら、2020年)。重要なことに、24週目(W24)まで輸血非依存性(TI)を達成または維持した、MMBに無作為化された患者は、より良好なOSを有し、さらに、MMBの貧血改善の効果が、MFを有する患者において長期の予後に積極的に影響を与えることが示唆された(Mesaら、EHA Conference、2021年)。
【0207】
ヘプシジンおよびフェリチンの増加は、調節不全鉄代謝および炎症に関連し、その両方が、最初の照会の時にMFを有する患者のOSについての強い負の予後因子であることが以前に示された(Pardananiら、2013年)。第2相トランスレーショナル生物学的試験では、MMBがヘプシジンの上昇レベルを急性的におよび慢性的に抑制し、W24 TI応答を達成する輸血依存性患者において鉄ホメオスタシスを回復させることが以前に実証された(Ohら、2020年、Blood Adv.4(18)4282~4291頁)。
【0208】
方法
第2相トランスレーショナル生物学的試験からの知見に基づき、本発明者らは、S1試験において、血清フェリチン、ヘプシジンおよびC反応性タンパク質(CRP)と、MMBおよびRUXに無作為化された患者についてのW24 TI応答率との間の関係を、単変量解析および複数のロジスティック回帰モデルを使用して遡及的に分析した。次いで、これらの知見は、S2において以前にRUX治療された患者で独立して確認された。
【0209】
結果
これらの分析は、治療前の血清フェリチンレベルが、S1のJAKi治療を受けていない患者における、W24 TI-R率に対するMMB治療効果とRUX治療効果との間での最も大きい予測的相互作用を有すると同定した。RUXに対するMMBのTI-R治療効果は、90ng/mL未満コホート(79%と73%)よりも、90ng/mL以上コホート(それぞれ62%対35%)において著しく大きかった(相互作用についてp=0.0051)。これらの知見は、より小さいサンプルサイズのS2試験において確認され、BAT/RUXと比較したMMBのTI-R治療効果は、90ng/mL未満コホート(57%と50%)よりも、90ng/mL以上コホート(それぞれ41%対11%)において大きかった。
【0210】
データは、その上、ベースラインのフェリチンに関係なく、ベースラインからW24において、MMBと比較して、RUXに無作為化された患者の血清フェリチンに有意な増加を示した(RUX平均フェリチン変化+226.1ng/mL対MMB+13.8ng/mL、p=0.0003)。
【0211】
【表2】
【0212】
結論
フェリチンは、鉄代謝および非制御炎症の両方と関連する、良く確立され、簡便に測定される臨床的バイオマーカーであるが、それは、骨髄線維症を有する患者においては日常的には測定されない。以前の分析により、W24 TI-Rを達成するMMBで治療された患者は、非TIレスポンダーと比較して、OSを延長したことが示された。これらの新たな分析は、これらの知見を発展させ、JAKi治療を受けていない患者、および、以前にRUX治療を経験した患者において独立して確認されたように、RUXに対するMMBの治療効果が、ベースライン血清フェリチンが90ng/mL未満に比べ、90ng/mL以上である場合においてより大きいことを強く実証した。さらに、ここで提示されているデータは、RUXに無作為化されたS1のJAKi治療を受けていない患者では、MMBと比較した場合、W24までにフェリチンレベルが有意に上昇していることを示した。全体として、これらのデータは、血清フェリチンが、一次治療の選択を知らせるとともに、RUX後の状況においてMMBへの移行を潜在的に導くための重要なバイオマーカーになり得ることを示唆する。この関連は、将来のMMB試験において前向きに検討されるべきである。
【0213】
均等物
前述の発明は、理解を明らかにする目的で、例示および実施例により一部詳細に記載されてきたが、ある特定の変化および修飾は、添付されている特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく行われ得ることが、本発明の教示に照らせば当業者に容易に明らかである。
【0214】
したがって、上記の記載は、本発明の原理を単に例示している。当業者は、本明細書に明白に記載または示されていなくとも、本発明の原理を具体化するとともにその趣旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができると理解される。さらに、本明細書において列挙されている全ての実施例および条件的用語は、主に、本発明の原理および当分野を促進するために本発明者らが寄与した概念を理解する際に読者の助けとなると意図され、こうした具体的に列挙された実施例および条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様および実施形態を列挙する本明細書における全ての記述、ならびにその特定の実施例は、その構造的および機能的均等物の両方を包含すると意図される。加えて、こうした均等物は、現在公知の均等物および将来において開発される均等物の両方、即ち、構造にかかわらず同じ機能を行う任意の開発された要素を含むと意図される。さらに、本明細書において開示されているものは、こうした開示が特許請求の範囲において明白に列挙されているかどうかにかかわらず、一般に公開されることを意図したものではない。
【0215】
そのため、本発明の範囲は、本明細書に示されているおよび記載されている例証的な実施形態に限定されると意図されない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は、正確な成句「のための手段」または正確な成句「のためのステップ」が特許請求の範囲における限定の冒頭に列挙されている場合のみ、特許請求の範囲におけるこうした限定のために適用されると明確に定義されており、こうした正確な成句が、特許請求の範囲における限定に使用されていないならば、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は適用されない。
【0216】
本発明の実施形態
1.対象における骨髄線維症を治療する方法であって、(i)骨髄線維症、および(ii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法。
2.対象が、90ng/mL超650ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される、実施形態1の方法。
3.対象が、650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される、実施形態1の方法。
4.対象に、治療有効量の第2の治療剤を投与するステップをさらに含む、実施形態3の方法。
5.骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
6.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、複数週の治療期間、投与される、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.複数週の治療期間が12週以上である、実施形態6の方法。
8.複数週の治療期間が24週以上である、実施形態6の方法。
9.複数週の治療期間が36週以上である、実施形態6の方法。
10.治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
11.対象の試料におけるフェリチンレベルが、1週間に1回、測定される、実施形態10の方法。
12.対象が、治療期間中、所定の範囲内にフェリチンレベルを維持すると判定される、実施形態10または11の方法。
13.対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される、実施形態10または11の方法。
14.対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップをさらに含む、実施形態10または11の方法。
15.対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、
モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップ、ならびに、
以下のステップ:
90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む二次治療を施すステップ
をさらに含む、実施形態10または11の方法。
16.治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上である、または、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上650ng/mL以下である、実施形態12~15のいずれか1つの方法。
17.治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が650ng/mL超である、実施形態12~15のいずれか1つの方法。
18.骨髄線維症に対して治療されている対象における輸血非依存性を維持する方法であって、
a.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
b.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
c.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血非依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法。
19.骨髄線維症に対して治療されている対象を、輸血必要性または輸血依存性から輸血非依存性に変換する方法であって、
a.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
b.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
c.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
d.(i)骨髄線維症を有する、(ii)輸血必要性もしくは輸血依存性である、および(iii)650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む方法。
20.JAK阻害剤が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、ルキソリチニブまたはフェドラチニブから選択される、実施形態18または19の方法。
21.JAK阻害剤が、モメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩またはルキソリチニブである、実施形態20の方法。
22.JAK阻害剤が、ルキソリチニブである、実施形態20の方法。
23.JAK阻害剤が、モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩である、実施形態20の方法。
24.第2の治療剤が、BETタンパク質阻害剤またはBRD4阻害剤である、実施形態4、または18~23のいずれか1つの方法。
25.第2の治療剤が、GSK2820151、GSK525762、GS-5829、RO6870810(IV)、BAY1238097、CC-90010、BMS-986158、1NCB054329、1NCB057643、ODM-207、AZD5153、FT-1101、ABBV-744、ABBV-075、PLX51107、BI894999、OTX015/MK8628、ZEN003694、RVX-000222、CPI-0610、アパベタロンおよびフェドラチニブから選択される、実施形態24の方法。
26.骨髄線維症に対して治療されている対象における貧血を治療または予防する方法であって、(i)骨髄線維症を有する、および(ii)貧血を有する、または貧血になるリスクがある、および(iii)90ng/mL以上のフェリチンレベルを有すると同定される対象に、治療有効量のモメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法。
27.骨髄線維症を有する対象の試料におけるフェリチンレベルを決定する、先のステップ(earlier step)をさらに含む、実施形態18~26のいずれか1つの方法。
28.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、複数週の治療期間、投与される、実施形態18~27のいずれか1つの方法。
29.複数週の治療期間が12週以上である、実施形態28の方法。
30.複数週の治療期間が24週以上である、実施形態28の方法。
31.複数週の治療期間が36週以上である、実施形態28の方法。
32.治療期間中、1カ月に1回、または1カ月に2回、または1週間に1回、対象の試料におけるフェリチンレベルを決定するステップをさらに含む、実施形態18~31のいずれか1つの方法。
33.対象の試料におけるフェリチンレベルが毎週測定される、実施形態32の方法。
34.対象が、治療期間中、所定の範囲内にフェリチンレベルを維持すると判定される、実施形態32または33の方法。
35.対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定される、実施形態32または33の方法。
36.対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップをさらに含む、実施形態32または33の方法。
37.対象が、治療期間中、所定の範囲内にないフェリチンレベルを有すると判定され、かつ、方法が、
JAK阻害剤、またはモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および/または任意選択の第2の治療剤の投与を終了するステップ、ならびに、
以下のステップ:
90ng/mL未満のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のJAK阻害剤を投与するステップ、または、
90ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
90ng/mL超650ng/mL以下のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップ、または、
650ng/mL超のフェリチンレベルを有すると判定される対象に、治療有効量のモメロチニブもしくはその薬学的に許容可能な塩、および任意選択により第2の治療剤を投与するステップ
を含む二次治療を施すステップ
をさらに含む、実施形態32または33の方法。
38.治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上である、または、治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が90ng/mL以上650ng/mL以下である、実施形態34~37のいずれか1つの方法。
39.治療期間中のフェリチンレベルの所定の範囲が650ng/mL超である、実施形態34~37のいずれか1つの方法。
40.対象がヒトである、実施形態1~39のいずれか1つの方法。
41.対象が成人のヒトである、実施形態1~40のいずれか1つの方法。
42.対象が、モメロチニブ以外のJAK阻害剤療法で以前に治療されたことがある、実施形態1~41のいずれか1つの方法。
43.対象が、ルキソリチニブで以前に治療されたことがある、実施形態42の方法。
44.対象が、ルキソリチニブに対して不十分な応答を有している、または、ルキソリチニブに不耐性である、実施形態42または43の方法。
45.対象が、以前のルキソリチニブ療法に応答しなかった、または、応答しなくなった、実施形態42~44のいずれか1つの方法。
46.対象が、JAK阻害剤療法を受けていない、実施形態1~41のいずれか1つの方法。
47.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、モメロチニブ二塩酸塩である、実施形態1~46のいずれか1つの方法。
48.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、モメロチニブ二塩酸塩一水和物である、実施形態1~46のいずれか1つの方法。
49.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、モメロチニブ二塩酸塩一水和物形態IIである、実施形態1~46のいずれか1つの方法。
50.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、薬学的に許容可能な組成物中に提供される、実施形態1~49のいずれか1つの方法。
51.治療有効量が、50mg/日~200mg/日である、実施形態1~50のいずれか1つの方法。
52.治療有効量が、200mg/日、または150mg/日、または100mg/日、または50mg/日である、実施形態51の方法。
53.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、経口投与される、実施形態1~52のいずれか1つの方法。
54.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、毎日投与される、実施形態1~53のいずれか1つの方法。
55.モメロチニブまたはその薬学的に許容可能な塩が、1日1回、投与される、実施形態54の方法。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図10
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図15
【国際調査報告】