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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】がん治療用キメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240719BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240719BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240719BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240719BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240719BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/54
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N15/861 Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
A61K35/17
A61K35/76
A61K35/761
A61K48/00
A61P35/02
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505378
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 US2022074333
(87)【国際公開番号】W WO2023010126
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,192
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/278,019
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519312511
【氏名又は名称】ブイオーアール バイオファーマ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】VOR BIOPHARMA INC.
【住所又は居所原語表記】100 Cambridgepark Drive, Suite400,Cambridge,MA 02140, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボーティ,ティルタ
(72)【発明者】
【氏名】ムーラ-,レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB271
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB36
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BC83
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書において、CD123に対する結合特異性を有するキメラ抗原受容体(CAR)が提供される。このCARに関連する核酸、発現ベクター、宿主細胞、細胞集団、及び医薬組成物も開示され、CD123の発現を特徴とする造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍、例えば、急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群(MDS)などの白血病の治療を含む方法も開示される。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ抗原受容体(CAR)であって、
a.インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、
b.任意選択的に、リンカー領域と、
c.任意選択的に、ヒンジ領域と、
d.膜貫通領域と
e.任意選択的に、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメインと、
f.シグナル伝達ドメインと、を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項2】
前記IL-3分子、又はそのCD123結合断片が、K110、D101、K116、又はそれらの組み合わせに対応するアミノ酸位置に置換変異を含む、請求項1に記載のCAR。
【請求項3】
前記IL-3分子、又はそのCD123結合断片が、D101A変異、K116V変異、K116W、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載のCAR。
【請求項4】
前記IL-3分子、又はそのCD123結合断片が、D101A変異及びK116V変異を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項5】
前記シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータシグナル伝達ドメインである、請求項1~4のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項6】
前記CARが、CD28、4-1BB、及び/又はOX-40共刺激シグナル伝達ドメインである、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項7】
前記CARが、CD28共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項8】
前記CARが、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項9】
前記CARが、OX-40共刺激シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項10】
前記膜貫通領域が、ヒトCD4膜貫通領域である、請求項1~9のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項11】
前記膜貫通領域が、ヒトCD8膜貫通領域である、請求項1~9のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項12】
前記膜貫通領域が、ヒトCD28膜貫通領域である、請求項1~9のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項13】
前記CARが、ヒト免疫グロブリン(Ig)サブクラスG4(IgG4)断片結晶化可能(Fc)ヒンジ領域であるヒンジ領域を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項14】
前記CARが、ヒト免疫グロブリン(Ig)サブクラスG4(IgG4)断片結晶化可能(Fc)リンカー領域であるリンカー領域を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項15】
前記ヒトIgG4 Fcリンカー領域が、L235、N297又はそれらの組み合わせに対応するアミノ酸位置に置換変異を含む、請求項14に記載のCAR。
【請求項16】
前記ヒトIgG4 Fcリンカー領域が、L235E変異、N297Q変異、又はそれらの組み合わせを含む、請求項14又は15に記載のCAR。
【請求項17】
前記CARが、N末端からC末端に、
a.前記インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、
b.前記リンカー領域及び/又はヒンジ領域と、
c.前記膜貫通領域と、
d.前記シグナル伝達ドメインと、を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項18】
前記CARが、共刺激シグナル伝達ドメインを含まない、請求項17に記載のCAR。
【請求項19】
前記CARが、配列番号21、27、33、35、37、39、45、47、49、又は51のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項17又は18に記載のCAR。
【請求項20】
前記CARが、配列番号21、27、33、35、37、39、45、47、49、又は51のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項16又は17に記載のCAR。
【請求項21】
前記CARが、N末端からC末端に、
a.前記インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、
b.前記リンカー領域及び/又はヒンジ領域と、
c.前記膜貫通領域と、
d.前記1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインと、
e.前記シグナル伝達ドメインと、を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項22】
前記CARが、配列番号23、25、29、31、41、又は43のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載のCAR。
【請求項23】
前記CARが、配列番号23、25、29、31、41、又は43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項21又は22に記載のCAR。
【請求項24】
前記CARが、シグナルペプチド/シグナル配列を更に含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載のCARをコードする核酸構築物。
【請求項26】
前記核酸構築物が、プロモーター配列を更に含む、請求項25に記載の核酸構築物。
【請求項27】
核酸が、RNAである、請求項25又は26に記載の核酸構築物。
【請求項28】
核酸が、DNAである、請求項25又は26に記載の核酸構築物。
【請求項29】
請求項25~28のいずれか一項に記載の核酸構築物を含む、ベクター。
【請求項30】
前記ベクターが、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、又はレトロウイルスベクターである、請求項29に記載のベクター。
【請求項31】
請求項25~30のいずれか一項に記載の核酸構築物を含む、細胞。
【請求項32】
請求項1~24のいずれか一項に記載のCARを発現する細胞。
【請求項33】
前記細胞が、免疫エフェクター細胞である、請求項31又は32に記載の細胞。
【請求項34】
前記細胞が、T-リンパ球である、請求項33に記載の細胞。
【請求項35】
前記細胞が、NK細胞である、請求項33に記載の細胞。
【請求項36】
請求項31~35のいずれか一項に記載の細胞を含む、医薬組成物。
【請求項37】
請求項1~24のいずれか一項に記載のCAR、請求項25~28のいずれか一項に記載の核酸構築物、請求項29若しくは請求項30に記載のベクター、又は請求項31~35のいずれか一項に記載の細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項38】
前記対象が、悪性細胞又は前悪性細胞でのCD123の発現を特徴とする造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を有するか、又は有すると診断されている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記造血器悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記造血器悪性腫瘍が、骨髄異形成症候群(MDS)である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
造血細胞の集団を投与することを更に含み、前記造血細胞は、CD123をコードする遺伝子が、CD123の発現を低減又は排除するように操作されるように遺伝子操作されている、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
請求項25~28のいずれか一項に記載の核酸構築物、又は請求項29若しくは請求項30に記載のベクターを細胞に導入すること、を含む、方法。
【請求項43】
前記細胞が、前記核酸構築物又はベクターを導入する前の対象から取得されるか、又は対象に由来する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、悪性細胞又は前悪性細胞でのCD123の発現を特徴とする造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を有するか、又は有すると診断されている、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞が、免疫エフェクター細胞である、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞が、Tリンパ球である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞が、NK細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記Tリンパ球又はNK細胞が、エクスビボで活性化及び/又は拡張される、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記核酸又はベクターが、レンチウイルス形質導入、レトロウイルス形質導入、アデノ随伴ウイルス形質導入、DNAエレクトロポレーション、RNAエレクトロポレーション、又はトランスポゾンエレクトロポレーションによって前記細胞に導入される、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年7月29日に出願された米国仮特許出願第63/227,192号、及び2021年11月10日に出願された米国仮特許出願第63/278,019号の35 U.S.C.119(e)に基づく利益を主張するものであり、当該仮特許出願の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表の参照
電子配列表(V029170032WO00-SEQ-CEW.xml、サイズ:117,840バイト、及び作成日:2022年7月29日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
急性骨髄性白血病(AML)は、非常に侵攻性の急性白血病である。現行の治療レジメンには多剤併用化学療法の集中的なサイクルが含まれ、治癒を目的とした同種ドナーの幹細胞移植を用いて頻繁に行われているが、それでも多くのAML患者は長期寛解を達成できない。寛解率を高め、再発を減少させ、全生存を改善するためには、新たな治療戦略が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、(a)インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、(b)任意選択的に、リンカー領域と、(c)任意選択的に、ヒンジ領域と、(d)膜貫通領域と、(e)任意選択的に、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメインと、(f)シグナル伝達ドメインと、を含む、キメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0005】
一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、位置K110、D101、K116、又はそれらの組み合わせに置換変異を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、D101変異、K116V変異、K116W変異、又はそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、D101A変異及びK116V変異を含む。
【0006】
一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ(CD3ζ)シグナル伝達ドメインである。
【0007】
一部の実施形態では、CARは、CD28、4-1BB、及び/又はOX-40共刺激シグナル伝達ドメインである、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、CD28共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、OX-40共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、共刺激シグナル伝達ドメインを含まない。
【0008】
一部の実施形態では、膜貫通領域は、ヒトCD4膜貫通領域である。一部の実施形態では、膜貫通領域は、ヒトCD8膜貫通領域である。一部の実施形態では、膜貫通領域は、ヒトCD28膜貫通領域である。
【0009】
一部の実施形態では、CARは、ヒト免疫グロブリン(Ig)サブクラスG4(IgG4)断片結晶化可能(Fc)ヒンジ領域であるヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、CARは、ヒト免疫グロブリン(Ig)サブクラスG4(IgG4)断片結晶化可能(Fc)リンカー領域であるリンカー領域を含む。一部の実施形態では、ヒトIgG4 Fcリンカー領域は、L235、N297、又はそれらの組み合わせに対応する位置に置換変異を含む。一部の実施形態では、ヒトIgG4 Fcリンカー領域は、L235E変異、N297Q変異、又はそれらの組み合わせを含む。
【0010】
一部の実施形態では、CARは、N末端からC末端に、(a)インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、(b)リンカー領域及び/又はヒンジ領域と、(c)膜貫通領域と、(d)シグナル伝達ドメインと、を含む。
【0011】
一部の実施形態では、CARは、配列番号21、27、33、35、37、39、45、47、49、又は51のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号21、33、35、37、39、41、45、47、49、又は51のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号21、27、33、35、37、39、45、47、49、又は51のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなる。
【0012】
一部の実施形態では、CARは、N末端からC末端に、(a)インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、(b)リンカー領域及び/又はヒンジ領域と、(c)膜貫通領域と、(d)1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインと、(e)シグナル伝達ドメインと、を含む。
【0013】
一部の実施形態では、CARは、配列番号23、25、29、31、41、又は43のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号23、25、29、31、41、又は43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号23、25、29、31、41、又は43のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなる。
【0014】
一部の実施形態では、CARは、シグナルペプチド/シグナル配列を更に含む。
【0015】
本開示の態様は、本明細書に提供されるCARのうちのいずれか1つをコードする核酸構築物を提供する。一部の実施形態では、核酸構築物は、プロモーター配列を更に含む。一部の実施形態では、核酸は、RNAである。一部の実施形態では、核酸は、DNAである。一部の実施形態では、核酸構築物は、配列番号22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、38、50、又は52のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、核酸構築物は、配列番号22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、38、50、又は52のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、核酸構築物は、配列番号22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、38、50、又は52のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなる。
【0016】
本開示の態様は、本明細書に提供される核酸構築物のうちのいずれか1つを含むベクターを提供する。一部の実施形態では、ベクターは、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、又はレトロウイルスベクターである。
【0017】
本開示の態様は、本明細書に提供される核酸構築物のうちのいずれかを含む細胞を提供する。
【0018】
本開示の態様は、本明細書に提供されるCARのうちのいずれか1つを発現する細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、免疫エフェクター細胞である。一部の実施形態では、細胞は、Tリンパ球である。一部の実施形態では、細胞は、NK細胞である。
【0019】
本開示の態様は、本明細書に提供される細胞のうちのいずれか1つを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
本開示の態様は、本明細書に提供されるCARのうちのいずれか1つ、本明細書に提供される核酸構築物のうちのいずれか1つ、本明細書に提供されるベクターのうちのいずれか1つ、細胞のうちのいずれか1つ、又は本明細書に提供される医薬組成物のうちのいずれかを、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0021】
一部の実施形態では、対象は、悪性細胞又は前悪性細胞でのCD123の発現を特徴とする造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を有するか、又は有すると診断されている。一部の実施形態では、造血器悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)である。一部の実施形態では、造血器悪性腫瘍は、骨髄異形成症候群(MDS)である。
【0022】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法のうちのいずれか1つは、造血細胞の集団を投与することを更に含み、この造血細胞は、CD123をコードする遺伝子が、CD123の発現を低減又は排除するように操作されるように遺伝子操作されている。
【0023】
本開示の態様は、本明細書に提供される核酸構築物のうちのいずれか1つ又は本明細書に提供されるベクターのうちのいずれか1つを細胞に導入することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、細胞は、核酸構築物又はベクターを導入する前に、対象(例えば、健康な対象又は治療を必要とする対象)から取得されるか、又はそれに由来する。一部の実施形態では、対象は、悪性細胞又は前悪性細胞でのCD123の発現を特徴とする造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を有するか、又は有すると診断されている。
【0024】
一部の実施形態では、細胞は、免疫エフェクター細胞である。一部の実施形態では、細胞は、Tリンパ球である。一部の実施形態では、細胞は、NK細胞である。一部の実施形態では、Tリンパ球又はNK細胞は、エクスビボで活性化及び/又は拡張される。一部の実施形態では、核酸又はベクターは、レンチウイルス形質導入、レトロウイルス形質導入、アデノ随伴ウイルス形質導入、DNAエレクトロポレーション、RNAエレクトロポレーション、又はトランスポゾンエレクトロポレーションによって細胞に導入される。
【0025】
上の要約は、非限定的な様式において、本明細書中に開示される技術の実施形態、利点、特徴、及び使用の一部を例証することを意味する。本明細書に開示される技術のその他の実施形態、利点、特徴、及び使用は、詳細な説明、図面、実施例、及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A-1B】白血病におけるCD123発現を示す図を示す。図1Aは、自己再生能力を有する、正常な造血幹細胞(HSC、CD123)での低い発現、及び白血病性幹細胞(LSC、CD123)での高い発現を示す。これらの細胞は、微小残存病変及び疾患再発をもたらし得る。白血病性前駆細胞及び白血病性芽球は両方とも、中レベルのCD123発現を示す(CD123)。図1Bは、AML患者におけるCD123の高発現レベルが、CD123の低/中発現レベルと比較して、経時的な生存確率の有意な低下と相関することを示す。
図2A-2B】CD123:IL-3結合の予測される機構及び例示的なIL3-ゼータカイン(zetakine)構築物の構造を示す図を示す。図2Aは、そのリガンドであるIL-3に結合するIL3Rα(CD123)を示す。IL3Rβ(CSF2RB)は、複合体に結合して、ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達物質及び転写経路シグナル伝達の活性化因子を開始する。図2Bは、細胞外ヒトIL3(huIL3)、Fcガンマ4(γFc)ヒンジ領域、CD4又はCD8膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む、例示的なIL3-ゼータカイン構築物の二量体構造を示す。
図3A-3B】IL3-ゼータカインを発現する細胞におけるCD69発現のCD123特異的誘導のフローサイトメトリーのプロットを示す。図3Aは、CD123発現MOLM13細胞(MOLM13)の存在下でIL3-ゼータカイン(IL3-WT-nocostim(配列番号21))を発現するTIB-153(商標)細胞(T細胞株)におけるCD69活性化の増加を、IL3-ゼータカインを単独で発現するTIB-153(商標)細胞及びCD123が欠損しているMOLM13細胞(MOLM13-CD123KO)の存在下でIL3-ゼータカインを発現するTIB-153(商標)細胞と比較して示す。図3Bは、CD123発現MOLM13細胞(MOLM13)の存在下で4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインを含むIL3-ゼータ(WT-41BBcostim(配列番号25))を発現するTIB-153(商標)細胞におけるCD69活性化を、IL3-ゼータカインを単独で発現するTIB-153(商標)細胞及びCD123が欠損しているMOLM13細胞(MOLM13-CD123KO)の存在下でIL3-ゼータカインを発現するTIB-153(商標)細胞と比較して示す。Y軸:カウント、x軸:CD69発現。
図4】MOLM13細胞(MOLM13-WT)の存在下での非形質導入TIB-153(商標)細胞、又はIL3-ゼータカイン(Z-WT-No costim(配列番号21))発現TIB-153(商標)細胞、又は4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインを含むIL3-ゼータカイン(Z-WT-41BBcostim(配列番号25))におけるCD69+細胞活性化のパーセントを、IL3-ゼータカインを単独で発現する又はCD123が欠損しているMOLM13細胞(MOLM13-CD123KO)の存在下で発現するTIB-153(商標)細胞と比較して示す。
図5】24時間のTIB-153(商標)細胞との共培養後の標的細胞(MOLM13又はMOLM13-CD123KO細胞)の生存パーセントを示す。抗CD123 CARを発現するTIB-153(商標)細胞及びIL3-ゼータカイン(Z-WT-No costim(配列番号21))を発現するTIB-153(商標)細胞は、CD123が欠損しているMOLM13細胞(MOLM13-CD123KO)と比較して、MOLM13細胞死(MOLM13-WT(CD123))をもたらした。モック細胞は、模擬形質導入され、CAR又はIL3-ゼータカインを発現しないTIB-153(商標)細胞に対応する。
図6A-6B】TIB-153(商標)Jurkat細胞における例示的なIL3-ゼータカインの発現を示すフローサイトメトリープロットを示す。図6Aは、抗IL3-抗体(αIL3)で検出された、示された例示的なIL3-ゼータカインの発現を示す。図6Bは、フルオロフォアタグ付きストレプトアビジンに結合されたビオチン化組換えCD123タンパク質で検出された、示された例示的なIL3-ゼータカインの発現を示す。パネルは、左から右に、非形質導入細胞(UTD)、IL3-WT-nocostim(配列番号21)、IL3-WTCD8TM(配列番号33)、及びIL3-K116W(配列番号51)を示す。陽性細胞のパーセンテージを各パネルに示す。
図7】抗IL3抗体(αIL3)で検出された初代CD3+T細胞における示された例示的なIL3-ゼータカインの発現を表すフローサイトメトリーのプロットを示す。パネルは、左から右に、非形質導入細胞(UTD)、IL3-WT-nocostim(配列番号21)、IL3-WTCD8TM(配列番号33)、及びIL3-K116W(配列番号51)を示す。陽性細胞のパーセンテージを各パネルに示す。
図8A-8D】CD69発現によって測定された、例示的なIL3-ゼータカインで形質導入されたTIB-153(商標)細胞のCD123特異的活性化のフローサイトメトリーのプロットを示す。図8Aは、CD123発現標的細胞とともに又はなしで、エフェクター対標的細胞の比1:1で24時間共培養したTIB-153(商標)細胞によるCD69発現を示す。上から下へ、パネルの各々の行は、標的細胞なし、+HL60-WT細胞(CD123ヌル)、+MOLM13-CD123、及び+MOLM13-WT(CD123)を指す。図8Bは、MOLM13-WT標的細胞(CD123)と共培養したTIB-153(商標)細胞のCD69(x軸)の発現を、抗IL3抗体(αIL3、y軸)によって検出されるゼータカイン発現の関数として示す。図8Cは、低CD123発現を有するMOLM13標的細胞(MOLM13-CD123)と共培養したTIB-153(商標)細胞のCD69(x軸)の発現を、抗IL3抗体(αIL3、y軸)によって検出されるゼータカイン発現の関数として示す。図8Dは、MOLM13-WT(CD123),MOLM13-CD123、若しくはHL60WT(CD123ヌル)標的細胞との共培養における、又は標的細胞の非存在下での、TIB-153(商標)細胞によるCD69発現のフローサイトメトリーデータの棒グラフ表示を示す。全試料についてN=3。***は、p<0.001を指す(片側スチューデントのT検定)。図8A~8Cでは、パネルは、左から右に、非形質導入細胞(UTD)、IL3-WT-nocostim(配列番号21)、IL3-WTCD8TM(配列番号33)、及びIL3-K116W(配列番号51)を示す。陽性細胞のパーセンテージは、図8B及び8Cの各パネルの各象限に示される。
図9A-9D】CD25発現によって測定される、例示的なIL3ゼータカイン又は抗CD123キメラ抗原受容体(CD123 CAR)で形質導入された初代T細胞のCD123特異的活性化のフローサイトメトリープロットを示す。図9Aは、CD123発現標的細胞とともに又はなしで、エフェクター対標的細胞の比1:1で24時間共培養した初代CD3+T細胞によるCD25発現を示す。上から下へ、パネルの各々の行は、標的細胞なし、+MOLM13-CD123、及び+MOLM13-WT(CD123)を指す。図9Bは、MOLM13-WT標的細胞と共培養されたCD3+T細胞(CD123)によるCD25(x軸)及びCD69(y軸)の発現を示す。図9Cは、標的細胞を共培養したCD3+T細胞(MOLM13-CD123)によるCD25(x軸)及びCD69(y軸)の発現を示す。図9Dは、MOLM13WT若しくはMOLM13-CD123標的細胞との共培養における、又は標的細胞の非存在下でのCD3+細胞によるCD25発現のフローサイトメトリーデータの棒グラフ表示を示す。全試料についてN=3。***は、p<0.001を指し、**は、p<0.01を指し、*は、<0.05を指す(片側スチューデントのT検定)。図9A~9Cでは、パネルは、左から右に、非形質導入細胞(UTD)、抗CD123 CAR、IL3-WT-nocostim(配列番号21)、IL3-WTCD8TM(配列番号33)、及びIL3-K116W(配列番号51)を示す。陽性細胞のパーセンテージは、図8B及び8Cの各パネルの各象限に示される。
図10】例示的なIL3-ゼータカイン構築物又は抗CD123 CARで形質導入された初代T細胞によって誘導されるCD123特異的細胞傷害性を示すグラフを示す。初代ヒトPBMCに模擬形質導入(非形質導入)するか、又はIL3-WT-nocostim(配列番号21)、IL3-WTCD8TM(配列番号33)、IL3-K116W(配列番号51)によるレンチウイルス形質導入に供するか、又は陽性対照である抗CD123 CAR構築物(CD123 CAR)で形質導入した。細胞を、MOLM13-WT(CD123)標的細胞(左パネル)、MOLM13-CD123標的細胞(中央パネル)、又はHL60-WT(CD123ヌル)標的細胞(右パネル)と、エフェクター対標的細胞の比1:1で24時間共培養した。標的細胞生存率を、フローサイトメトリーによって評価した:生存細胞(生存率及びアネキシンV陰性)、アポトーシス細胞(生存率陰性及びアネキシンV陽性)、並びに死細胞/破片(生存率陰性及びアネキシンV陽性)。各列について、セクションは、上から下に、死/破片、アポトーシス、及び生存を指す。全ての試料についてN=3。
図11A-11B】例示的なIL-3ゼータカイン構築物の構築物を示す。IL-3ゼータカイン(IL3-WT-nocostim、配列番号21)の発現は、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)長い末端反復(LTR)プロモーター(SFFVプロモーター)(配列番号20)の制御下にある。図11Aは、プラスミドマップを示す。ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(PuroR)を選択マーカーとして使用した。図11Bは、レンチウイルスベクターマップを示す。
図12A-12B】例示的なIL-3ゼータカイン構築物の構築物を示す。IL-3ゼータカイン(IL3-WT-41BBcostim、配列番号25)の発現は、SFFVプロモーター(配列番号20)の制御下にある。図12Aは、プラスミドマップを示す。ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(PuroR)を選択マーカーとして使用した。図12Bは、レンチウイルスベクターマップを示す。
図13】示された例示的なIL-3ゼータカインを発現するT細胞が、CD123発現標的細胞のインビトロ細胞傷害性を示すことを示す。示されたIL-3ゼータカインを発現するドナー初代T細胞を、エフェクター対標的細胞の比1:1(標的細胞:MOLM13-Wt、MOLM13-CD123低、及びHL60-WT)で24時間共培養した。y軸は、標的細胞単独と比較した標的細胞溶解の変化(デルタ)を示す。初代ドナーT細胞を、非形質導入(UTD)にするか、又はIL3-WT-nocostim(配列番号21)、IL3-WT-nocostim-CD8TM(配列番号33)、及びIL3-K116W(配列番号51)で形質導入した。エフェクター対標的細胞の比は、形質導入効率(TE)に基づいて正規化された。これは、x軸上のゼータカインを下回るパーセンテージとして示される。
【0027】
定義
より容易に本発明を理解できるように、以下において特定の用語が最初に定義される。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体に記載されている。本発明の背景を説明し、その実践に関する追加的な詳細を提供するために、本明細書において参照される刊行物及び他の参考資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
冠詞の「a」及び「an」は、本明細書において、当該冠詞の文法上の目的語のうちの1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例示として、「an element」とは、1つの要素、又は複数の要素を意味する。
【0029】
およそ又は約:本明細書で使用される場合、1つ以上の対象となる値に適用されるときの「およそ」又は「約」という用語は、記載された参照値と類似した値を指す。特定の実施形態では、「およそ」又は「約」という用語は、別段の記載がない限り、又は文脈から別途明らかでない限り、記載される参照値のいずれか方向に(参照値よりも大きく、又は小さく)25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下にある範囲に入る値を指す(かかる数値が、可能値の100%を超える場合を除く)。
【0030】
剤:本明細書で使用される場合、「剤」(又は「生物学的な剤」又は「治療剤」)という用語は、本明細書に記載される改変細胞(例えば、キメラ抗原受容体を含む免疫細胞)によって、標的に発現され得る、放出され得る、分泌され得る、又は送達され得る分子を指す。剤としては、限定されないが、核酸、抗生物質、抗炎症剤、抗体又はその断片、キメラ抗原受容体、抗体剤又はその断片、成長因子、サイトカイン、酵素、タンパク質(例えば、RNAse阻害剤)、ペプチド、融合タンパク質、合成分子、有機分子(例えば、低分子)、炭水化物、脂質、ホルモン、ミクロソーム、それらの任意の誘導体又は変形体、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。剤は、例えば、受容体、抗原決定基、又は標的若しくは標的細胞上に存在する他の結合部位などの任意の細胞部分に結合し得る。剤は、細胞内に拡散又は輸送され得、細胞内で作用し得る。
【0031】
抗原:本明細書で使用される場合、「抗原」又は「Ag」という用語は、免疫応答を誘発することができる分子を指す。この免疫応答は、抗体産生、特定の免疫適格細胞の活性化のいずれか、又はその両方に関与し得る。当業者であれば、事実上全てのタンパク質又はペプチドを含む任意の巨大分子が抗原として機能し得ることを理解するであろう。更に、抗原は、組換えDNA又はゲノムDNAに由来し得る。当業者であれば、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列又は部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、その用語が本明細書で使用される「抗原」をコードすることを理解するであろう。更に、当業者であれば、抗原は遺伝子の全長ヌクレオチド配列のみによってコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明は、限定されるものではないが、複数の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含み、これらのヌクレオチド配列は、所望の免疫応答を誘発するために様々な組み合わせで配置されることが容易に明らかである。更に、当業者であれば、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要は全くないことを理解するであろう。抗原が合成して生成され得るか、又は生体試料に由来し得ることは容易に明らかである。このような生体試料は、組織試料、腫瘍試料、細胞、又は生体液を含み得るが、これらに限定されない。
【0032】
自己:本明細書で使用される場合、「自己」という用語は、後に同じ個体に再導入される個体に由来する任意の物質を指す。
【0033】
同種:本明細書で使用される場合、「同種」という用語は、同じ種の異なる動物に由来する任意の物質(例えば、細胞集団)を指す。
【0034】
異種:本明細書で使用される場合、「異種」という用語は、異なる種の動物に由来する任意の物質(例えば、細胞集団)を指す。
【0035】
がん:本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、異常な細胞の急速で制御不能な増殖を特徴とする疾患を指す。がん細胞は、局所的に、又は血流及びリンパ系を通して、体の他の部分に拡散され得る。様々ながんの例としては限定されないが、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、腎がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、肺がんなどが挙げられる。特定の実施形態では、がんは、甲状腺髄様がんである。
【0036】
保存的配列改変:本明細書で使用される場合、「保存的配列改変」の用語は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に著しく影響を与えないか又は変化させないアミノ酸改変を指す。そのような保存的改変には、アミノ酸置換、付加及び欠失が含まれる。改変は、部位特異的変異誘発及びPCR介在性変異誘発などの当技術分野で公知の標準的な技術によって、様々な実施形態と適合する抗体に導入され得る。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているアミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。したがって、抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーに由来する他のアミノ酸残基で置換することができ、本明細書に記載される機能的アッセイを使用して、変更された抗体を抗原に結合する能力について試験することができる。
【0037】
共刺激リガンド:本明細書で使用される場合、「共刺激リガンド」という用語は、免疫細胞(例えば、Tリンパ球)上の同族共刺激分子に特異的に結合し、それによって、増殖、活性化、分化などを含むがこれらに限定されない免疫細胞応答を媒介するシグナルを提供する抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上の分子を指す。共刺激リガンドには、限定されないが、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD28、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体に結合するアゴニスト又は抗体、及びB7-H3と特異的に結合するリガンドが、含まれ得る。共刺激リガンドはまた、とりわけ、限定されないが、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83に特異的に結合するリガンドなどの、免疫細胞(例えば、Tリンパ球)上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体を包含する。
【0038】
細胞傷害性:本明細書で使用される場合、「細胞傷害性の」又は「細胞傷害性」という用語は、細胞を死滅又は損傷させることを指す。一部の実施形態では、本明細書に記載の細胞(すなわち、本明細書に記載のIL3-キメラ抗原受容体を発現する細胞)の細胞傷害性が改善され、例えば、免疫細胞(例えば、Tリンパ球)の細胞溶解活性が増加される。一部の実施形態では、IL3-リガンド(すなわち、CD123)を発現する標的細胞に対する、本明細書に記載の細胞(すなわち、本明細書に記載のIL3-キメラ抗原受容体を発現する細胞)の細胞傷害性が改善され、例えば、免疫細胞(例えば、Tリンパ球)の細胞溶解活性が増加される。
【0039】
有効量:本明細書で使用される場合、本明細書に記載の「有効量」とは、個体のがんを予防又は治療するのに適切な用量を指す。治療的用途又は予防的用途に有効な量は、例えば、治療される疾患又は障害の段階及び重症度、患者の年齢、体重、及び全般的な健康状態、並びに処方医師の判断に依存する。用量のサイズは、選択された活性、投与方法、投与のタイミング及び頻度、特定の活性物質の投与に付随する可能性のある任意の有害な副作用の存在、性質、及び範囲、並びに望ましい生理学的効果によっても決定される。様々な疾患又は障害が、例えば、各投与又は様々な投与ラウンドで本明細書に記載されるCARを使用する、複数回の投与を伴う長期的な治療を必要とする可能性があることを当業者であれば理解するであろう。例として、本発明を限定することは意図していないが、本明細書に記載のCARが、CARを発現する細胞中で提供される場合、細胞の例示的な用量は、最小で百万個の細胞(1×10細胞/用量)であってもよい。
【0040】
本発明の目的のために、投与される本明細書に記載のCAR構築物を含有する免疫細胞を含む薬剤の量又は用量は、合理的な時間枠にわたって、対象又は動物において治療的又は予防的応答をもたらすのに十分であるべきである。例えば、用量は、例えば、投与時点から約2時間以上、例えば、約12時間~約24時間又はそれ以上の期間内に、抗原に結合するか、又は造血器悪性腫瘍若しくは前悪性腫瘍を検出、治療若しくは予防するのに十分なものでなくてはならない。特定の実施形態では、期間は更に長くなる場合がある。用量は、本明細書に記載される特定のCARの有効性、及び動物(例えば、ヒト)の状態、並びに治療される動物(例えば、ヒト)の体重によって決定される。
【0041】
エフェクター機能:本明細書で使用される場合、「エフェクター機能」又は「エフェクター活性」は、免疫細胞の刺激に応答して免疫細胞によって実施される特異的活性を指す。例えば、Tリンパ球のエフェクター機能は、抗原を認識し、抗原を発現する細胞を死滅させることを含む。
【0042】
コードする:本明細書で使用される場合、「コードする」とは、ヌクレオチドの定義された配列(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)又はアミノ酸の定義された配列のいずれかを有する生物学的プロセス及びそれらから生じる生物学的特性において、他のポリマー及び巨大分子の合成のための鋳型としての役割を果たす、遺伝子、cDNA、又はmRNAなどのポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳が、細胞又は他の生物系においてタンパク質を産生する場合、タンパク質をコードする。mRNA配列と同一であり、通常配列表に提示されるヌクレオチド配列であるコード鎖と、遺伝子又はcDNAの転写の鋳型として使用される非コード鎖の両方を、その遺伝子又はcDNAのタンパク質又は他の産物をコードすると呼ぶことができる。
【0043】
内因性:本明細書で使用される場合、「内因性」とは、特定の生物体、細胞、組織、若しくは系由来の、又はそれらの内部で産生される任意の物質を指す。
【0044】
外因性:本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、特定の生物体、細胞、組織又は系の外部から導入される、又はそれらの外部で産生される任意の物質を指す。
【0045】
拡張する:本明細書で使用される場合、「拡張する」という用語は、細胞、例えば、免疫細胞、例えば、Tリンパ球、NK細胞、及び/又は造血細胞の数の増加のように、数が増加することを指す。一部の実施形態では、エクスビボで拡張した免疫細胞、例えばTリンパ球、NK細胞及び/又は造血細胞は、培養物中に元々存在した数と比較して、数が増加する。一部の実施形態では、エクスビボで拡張した免疫細胞、例えばTリンパ球、NK細胞及び/又は造血細胞は、培養物中の他の細胞型と比較して、数が増加する。一部の実施形態では、拡張は、インビボで発生し得る。本明細書で使用される場合、「エクスビボ」という用語は、生きている生物体(例えば、ヒト)から取り出され、生物体の外側(例えば、培養皿、試験管、又はバイオリアクター内)で増殖した細胞を指す。
【0046】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」という用語は、核酸配列からの任意の遺伝子産物の生成を指す。一部の実施形態では、遺伝子産物は、転写物であってもよい。一部の実施形態では、遺伝子産物は、ポリペプチドであってもよい。一部の実施形態では、核酸配列の発現は、以下のうちの1つ以上を伴う:(1)DNA配列からのRNA鋳型の生成(例えば、転写による)、(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/若しくは3’末端形成による)、(3)ポリペプチド若しくはタンパク質へのRNAの翻訳、並びに/又は(4)ポリペプチド若しくはタンパク質の翻訳後修飾。
【0047】
発現ベクター:本明細書で使用される場合、「発現ベクター」又は「組換え発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に動作可能に結合された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを含み、発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって、又はインビトロ発現系おいて供給され得る。発現ベクターには、コスミド、プラスミド(例えば、むき出しの又はリポソーム内に含有される)、及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)など、当技術分野で公知の全てのものが含まれる。
【0048】
断片:本明細書で使用される場合、「断片」又は「部分」という用語は、全体のうちの個別部分を含むが、構造全体においてみられる1つ以上の部分を欠く構造を指す。一部の実施形態では、断片は、そのような個別部分からなる。一部の実施形態では、断片は、全体に見られる特徴的な構造エレメント又は部分からなるか、又はそれらを含む。一部の実施形態では、ヌクレオチド断片は、ヌクレオチド全体に見られるように、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、若しくはそれ以上の単量体単位(例えば核酸)を含むか、又はそれからなる。一部の実施形態では、ヌクレオチド断片は、ヌクレオチド全体に見られる単量体単位(例えば、残基)の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上を含むか、又はそれからなる。物質全体又は実体全体は、一部の実施形態では、断片の「親」と呼ぶことができる。
【0049】
機能的部分:本明細書で使用される場合、CARに関連して使用されるときの「機能的部分」という用語は、本発明のCAR構築物の任意の部分又は断片を指し、それらの部分又は断片は、自身がその一部となるCAR構築物(親CAR構築物)の生物学的活性を保持している。機能的部分は例えば、標的細胞を認識する能力、又は例えば造血器悪性腫瘍若しくは前悪性腫瘍などのがんを検出する、治療する、若しくは予防する能力を、親CAR構築物と類似した程度に、同程度に、又はより高く保持するCAR構築物の部分を包含する。親CAR構築物に関して、機能的部分は例えば、親CARの約10%、約25%、約30%、約50%、約68%、約80%、約90%、約95%、又はそれ以上を含み得る。
【0050】
機能的部分は、その部分のアミノ末端若しくはカルボキシ末端、又は両方の末端に追加のアミノ酸を含むことができ、これらの追加のアミノ酸は親CAR構築物のアミノ酸配列には見られない。追加のアミノ酸は、機能的部分の生物学的機能、例えば、標的細胞を認識する、がんを検出する、例えば造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍などのがんを治療する、又は予防するなどの生物学的機能を妨げないことが望ましい。より望ましくは、追加のアミノ酸は、親CAR構築物の生物学的活性と比較して、生物学的活性を強化する。
【0051】
機能的バリアント:本明細書で使用される場合、「機能的バリアント」という用語は、本明細書で使用される場合、親CAR構築物と実質的又は有意な配列同一性又は類似性を有するCAR構築物、ポリペプチド、又はタンパク質を指し、その機能的バリアントは、バリアントであるそのCARの生物学的活性を保持する。機能的バリアントは、例えば、本明細書に記載のCAR構築物(親CAR構築物)のバリアントを包含し、それらは親CAR構築物と同様の程度、同じ程度、又はより高い程度に標的細胞を認識する能力を保持する。親CAR構築物に関して、機能的バリアントは、例えば、アミノ酸配列において親CAR構築物と、少なくとも約30%、約50%、約75%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又はそれ以上同一であり得る。
【0052】
機能的バリアントは、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する親CARのアミノ酸配列を含み得る。あるいは又は更に、機能的バリアントは、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親CAR構築物のアミノ酸配列を含み得る。この場合、非保存的アミノ酸置換は、機能的バリアントの生物学的活性を妨害又は阻害しないことが好ましい。非保存的アミノ酸置換は、機能的バリアントの生物学的活性を強化することができ、その結果、機能的バリアントの生物学的活性が親CAR構築物と比較して増加する。
【0053】
相同性:本明細書で使用される場合、「相同性」という用語は、ポリマー分子間の、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)間の及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。一部の実施形態では、ポリマー分子は、その配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%同一である場合、互いに「相同」であるとみなされる。一部の実施形態では、ポリマー分子は、その配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%類似している(例えば、対応する位置で関連する化学特性を有する残基を含有する)場合、互いに「相同」であるとみなされる。当業者であれば理解するように、その相同性の程度を決定するために配列の比較を可能にする様々なアルゴリズムが利用可能であり、これには、異なる配列においてどの残基が互いに「対応する」かを検討する際に、別の配列に対してある配列に指定された長さのギャップを許容することを含む。2つの核酸配列間の相同性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって実施することができる(例えば、最適なアライメントのための第1及び第2の核酸配列の一方又は両方にギャップを導入することができ、比較目的のために非対応配列を無視することができる)。特定の実施形態では、比較目的のために整列された配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は実質的に100%である。次に、対応するヌクレオチド位置でのヌクレオチドが比較される。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同じヌクレオチドによって占有される場合、分子は、その位置で同一であり、第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同様のヌクレオチドによって占有される場合、分子は、その位置で類似している。2つの配列間の相同性パーセントは、当該配列によって共有される同一の位置及び類似の位置の数の関数であり、当該2つの配列を最適に位置合わせするために導入が必要なギャップ数、及び各ギャップの長さを考慮する。当業者には明らかであろうように、相同性パーセントは、アミノ酸配列の全長若しくは核酸配列の全長にわたって評価されてもよく、又はその一部(例えば、1つ以上のドメイン若しくは領域)にわたって評価されてもよい。
【0054】
同一性:本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、2つの高分子分子間、特に2つのアミノ酸分子間、例えば2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列同一性を指す。2つのアミノ酸配列が同じ位置に同じ残基を有する場合、例えば、2つのポリペプチド分子の各々における位置がアルギニンによって占有されている場合、それらはその位置で同一である。2つのアミノ酸配列が、アライメント中の同じ位置で同じ残基を有する同一性又は程度は、多くの場合、パーセンテージとして表される。2つのアミノ酸配列間の同一性は、合致する位置の数又は同一の位置の数の直接的な関数であり、例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、長さ10アミノ酸のポリマー中の5つの位置)が同一である場合、2つの配列は50%同一であり、位置の90%(例えば、10個中9個)が合致又は同一の場合、2つのアミノ酸配列は90%同一である。当業者には明らかであろうように、同一性パーセントは、アミノ酸配列の全長若しくは核酸配列の全長にわたって評価されてもよく、又はその一部(例えば、1つ以上のドメイン若しくは領域)にわたって評価されてもよい。
【0055】
実質的な同一性:本明細書で使用される場合、「実質的な同一性」という用語は、アミノ酸配列又は核酸配列間の比較を指す。当業者であれば理解するように、2つの配列は、対応する位置に同一の残基を含有する場合、一般に「実質的に同一」であるとみなされる。当技術分野で周知のように、アミノ酸配列又は核酸配列は、ヌクレオチド配列についてはBLASTN、並びにアミノ酸配列についてはBLASTP、ギャップBLAST、及びPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む、様々なアルゴリズムのいずれかを使用して比較することができる。一部の実施形態では、2つの配列は、その対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上が、残基の関連する区間にわたって同一である場合、実質的に同一であるとみなされる。一部の実施形態では、関連する区間は全配列である。一部の実施形態では、関連する区間は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500又はそれ以上の残基である。
【0056】
免疫細胞:本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という用語は、例えば免疫応答の促進など、免疫応答に関与する細胞を指す。免疫細胞の例としては限定されないが、Tリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、好中球、好酸球、マスト細胞、血小板、大型顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、又はBリンパ球が挙げられる。免疫細胞(例えば、Tリンパ球)の供給源は、例えば健康なドナー対象、又は造血器悪性腫瘍若しくは前悪性腫瘍を有するか、若しくは有すると診断されている対象などの対象から取得することができる。
【0057】
免疫応答:本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、リンパ球が抗原分子を異物として識別し、抗体の形成を誘導し、かつ/又はリンパ球を活性化して抗原を除去する際に生じる、抗原に対する細胞及び/又は全身の応答を指す。
【0058】
免疫グロブリン:本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」又は「Ig」という用語は、抗体として機能するタンパク質のクラスを指す。B細胞によって発現される抗体は、BCR(B細胞受容体)又は抗原受容体と呼ばれることがある。このクラスのタンパク質に含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgD、及びIgEである。IgAは、唾液、涙液、母乳、消化管分泌物、並びに呼吸器及び泌尿生殖路の粘液分泌物などの体分泌物に存在する一次抗体である。IgGは、最も一般的な循環抗体である。IgMは、ほとんどの対象において、一次免疫応答において産生される主な免疫グロブリンである。IgMは、凝集、補体結合、及び他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌及びウイルスに対する防御において重要である。IgDは、抗体機能が判明していない免疫グロブリンであるが、抗原受容体としての機能を果たす可能性がある。IgEは、アレルゲンへの曝露時にマスト細胞及び好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことによって即時型の過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
【0059】
単離された:本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、自然状態から変更又は除去されたものを指す。例えば、生きている動物に自然に存在する核酸又はペプチドは、「単離された」ではないが、その自然状態の共存物質から部分的又は完全に分離された同じ核酸又はペプチドは、「単離された」である。単離された核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができるか、又は例えば宿主細胞などの非天然環境中に存在することができる。
【0060】
改変された:本明細書で使用される場合、「改変された」という用語は、本発明の分子又は細胞の変化した状態又は構造を指す。分子は、化学的、構造的、及び機能的を含む、多くの方法で改変され得る。細胞は、核酸の導入を介して改変されてもよい。
【0061】
調節する:本明細書で使用される場合、「調節する」という用語は、治療若しくは化合物の非存在下での対象の応答のレベル及び/若しくは性質と比較して、並びに/又はそうでなければ同一であるが治療されていない対象における応答のレベル及び/若しくは性質と比較して、対象における応答のレベルの検出可能な増加若しくは減少及び/又は応答の性質の変化を媒介することを指す。この用語は、本来のシグナル又は応答に動揺及び/又は影響を与え、それによって、対象、好ましくはヒトにおいて有益な治療応答を媒介することを包含する。
【0062】
核酸:本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、少なくとも3つのヌクレオチドのポリマーを指す。一部の実施形態では、核酸は、DNAを含む。一部の実施形態では、核酸は、RNAを含む。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖である。一部の実施形態では、核酸は、二本鎖である。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖部分及び二本鎖部分の両方を含む。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上のホスホジエステル結合を含む主鎖を含む。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合及び非ホスホジエステル結合の両方を含む主鎖を含む。例えば、一部の実施形態では、核酸は、1つ以上のホスホロチオエート又は5’-N-ホスホラミダイト結合、及び/又は例えば、「ペプチド核酸」におけるように1つ以上のペプチド結合を含む主鎖を含んでもよい。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上、又は全ての天然残基(例えば、アデニン、シトシン、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、グアニン、チミン、ウラシル)を含む。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上、又は全ての非天然残基を含む。一部の実施形態では、非天然残基は、ヌクレオシド類似体(例、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、挿入塩基、及びそれらの組み合わせ)を含む。一部の実施形態では、非天然残基は、天然残基におけるものと比較して、1つ以上の修飾糖(例、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)を含む。一部の実施形態では、核酸は、RNA又はポリペプチドなどの機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上のイントロンを含むヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、天然源からの単離、酵素合成(例えば、インビボ又はインビトロでの相補的鋳型に基づく重合、組換え細胞若しくは系における複製、又は化学合成など、によって調製され得る。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000又はそれ以上の残基長である。
【0063】
動作可能に連結された:本明細書で使用される場合、「動作可能に連結された」という用語は、例えば、制御配列と異種核酸配列との間の機能的連結を指し、異種核酸配列の発現をもたらす。例えば、第1の核酸配列が、第2の核酸配列と機能的に関連付けられて配置される場合、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と動作可能に連結される。例えば、プロモーターが、コード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、プロモーターは、コード配列に動作可能に連結される。一般的に、動作可能に連結されるDNA配列は連続的であり、2つのタンパク質コード領域を結合することが必要な場合には、同じリーディングフレーム内にある。
【0064】
ポリヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語はヌクレオチドの鎖を指す。更に、核酸はヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書で使用される核酸及びポリヌクレオチドは、交換可能である。当業者は、核酸がポリヌクレオチドであり、加水分解されて単量体「ヌクレオチド」になり得るという一般知識を有する。ヌクレオチド単量体を、ヌクレオシドに加水分解することもできる。本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドとしては、限定されないが、当技術分野で利用可能な任意の手段、及び合成手段により取得される全ての核酸配列が挙げられ、任意の手段としては限定されないが、組換え法、すなわち、通常のクローニング技術及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法などを使用して組換えライブラリ又は細胞ゲノムから核酸配列をクローニングすることが挙げられる。
【0065】
ポリペプチド:本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、典型的にはペプチド結合によって連結される残基(例えば、アミノ酸)の任意のポリマー鎖を指す。一部の実施形態では、ポリペプチドは、自然界に存在するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、自然界には存在しないアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ヒトの手の作用を介して設計及び/又は産生されるように操作されるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又はその両方を含むか、又はそれからなり得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸のみ又は非天然アミノ酸のみを含むか、又はそれからなり得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、D-アミノ酸、L-アミノ酸、又はその両方を含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドはD-アミノ酸のみを含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドはL-アミノ酸のみを含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチドのN末端で、ポリペプチドのC末端で、又はそれらの任意の組み合わせで、1つ以上のペンダント基又は他の改変、例えば、1つ以上のアミノ酸側鎖を改変又は付着することを含み得る。一部の実施形態では、このようなペンダント基又は改変は、アセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、ペグ化など、それらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。一部の実施形態では、ポリペプチドは環状であってもよく、かつ/又は環状部分を含んでもよい。一部の実施形態では、ポリペプチドは環状ではなく、かつ/又は任意の環状部分を含まない。一部の実施形態では、ポリペプチドは線状である。一部の実施形態では、ポリペプチドはステープルポリペプチドであるか、又はそれを含み得る。一部の実施形態では、「ポリペプチド」という用語は、参照ポリペプチド、活性、又は構造の名称に付加されてもよく、このような例では、本明細書で使用される場合、関連する活性又は構造を共有し、したがって、同じクラス又は同じファミリーのポリペプチドのメンバーであるとみなすことができるポリペプチドを指す。こうした各クラスについて、本明細書は、そのアミノ酸配列及び/又は機能が公知であるクラス内の例示的なポリペプチドを提供し、かつ/又は当業者はそれを認識するであろう;一部の実施形態では、そのような例示的なポリペプチドは、そのポリペプチドクラス又はファミリーの参照ポリペプチドである。一部の実施形態では、ポリペプチドクラス又はファミリーのメンバーは、クラスの参照ポリペプチドとの有意な配列相同性又は同一性を示し、共通配列モチーフ(例えば、特徴的な配列エレメント)と共通活性(一部の実施形態では、同等なレベル又は指定された範囲内)を共有し、かつ/又は共通活性を共有する。一部の実施形態では、クラス内の全てのポリペプチドと共通する)。例えば一部の実施形態では、メンバーポリペプチドは、少なくとも約30~40%である参照ポリペプチドとの配列相同性又は同一性の全体的な程度を示し、多くの場合、約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%超若しくはそれ以上であり、かつ/又は非常に高い配列同一性を示す少なくとも1つの領域(例えば、一部の実施形態では、特徴的な配列エレメントであり得るか又はそれを含み得る保存領域)を含み、多くの場合、90%超であり、又は更には95%、96%、97%、98%、若しくは99%超である。このような保存領域は、通常、少なくとも3~4個、多くの場合、最大で20個又はそれ以上のアミノ酸を包含し、一部の実施形態では、保存領域は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個又はそれ以上の連続アミノ酸の少なくとも1つの区間を包含する。一部の実施形態では、有用なポリペプチドは、親ポリペプチドの断片を含み得るか、又はそれからなり得る。一部の実施形態では、有用なポリペプチドは、複数の断片を含み得るか、又はそれらからなり得、複数の断片の各々は、目的のポリペプチドに見られるものとは異なる互いに対する空間配置で同じ親ポリペプチド内に見られ(例えば、親に直接連結された断片は、目的のポリペプチドで空間的に分離されているか、若しくはその逆である可能性があり、かつ/又は断片は、親に存在するものとは異なる順序で、目的のポリペプチドに存在している可能性がある)、その結果、目的のポリペプチドは、その親ポリペプチドの誘導体である。
【0066】
タンパク質:本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合によって互いに連結される少なくとも2つのアミノ酸の列)を指す。タンパク質はアミノ酸以外の部分を含んでもよく(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカンなどであってもよい)、かつ/又は別段により処理され、若しくは改変されてもよい。当業者であれば、「タンパク質」は、細胞により産生される完全なポリペプチド鎖(シグナル配列を有する、又は有さない)であり得ること、又はその特徴的な部分であり得ることを理解するであろう。当業者であれば、タンパク質は、例えば、1つ以上のジスルフィド結合によって連結される、又は別手段により会合される複数のポリペプチド鎖を含む場合があることを理解するであろう。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、又はその両方を含有してもよく、当技術分野で公知の様々なアミノ酸改変又は類似体のいずれかを含有してもよい。有用な改変としては、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが挙げられる。一部の実施形態では、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組み合わせを含み得る。「ペプチド」という用語は、一般に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、又は10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すために使用される。一部の実施形態では、タンパク質は、抗体、抗体断片、その生物学的活性部分、及び/又はそれらの特徴的な部分である。
【0067】
シグナル伝達経路:本明細書で使用される場合、「シグナル伝達経路」という用語は、細胞の1つの部分から別の部分へのシグナルの伝達において役割を果たす様々なシグナル伝達分子の間の生化学的関係を指す。「細胞表面受容体」という語句は、シグナルを受け取り、細胞の細胞膜を横切ってシグナルを伝達することができる分子及び分子の複合体を含む。
【0068】
特異的に結合する:本明細書で使用される場合、IL-3分子又はそのCD123結合断片などのリガンド、及びそのそれぞれの受容体(例えば、特異的標的抗原)に関する場合の「特異的に結合する」という用語は、しかし他の抗原などの試料中の他の分子を実質的に認識しないか又は結合しない。
【0069】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、生物体、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト哺乳動物、非ヒト霊長類、霊長類、実験室動物、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、ネコ、又はイヌ)を指す。一部の実施形態では、ヒト対象は、成人、青年、又は小児の対象である。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態、例えば、本明細書に提示されるように治療され得る疾患、障害又は状態、例えば造血器悪性腫瘍若しくは前悪性腫瘍などのがんに罹患している。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態に感受性であり、一部の実施形態では、感受性のある対象は、疾患、障害、又は状態に罹りやすく及び/又は(参照対象又は集団において観察される平均リスクと比較して)それらを発症するリスクの増加を示す。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態の1つ以上の症状を呈する。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態の特定の症状(例えば、疾患の臨床症状)又は特徴を呈しない。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態のいずれかの症状又は特徴を示さない。一部の実施形態では、対象は患者である。一部の実施形態では、対象は、診断及び/若しくは療法が行われる、並びに/又は行われている個体である。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態を有すると診断されている。
【0070】
実質的に精製された:本明細書で使用される場合、例えば細胞に適用される場合の、「実質的に精製された」という用語は、他の細胞型を本質的に含まない細胞を指す。実質的に精製された細胞はまた、その天然に存在する状態で通常会合している他の細胞型から分離された細胞を指す。場合によっては、実質的に精製された細胞の集団は、細胞の均一な集団を指す。他の例では、この用語は、単に、それらが自然な状態で自然に会合している細胞から分離された細胞を指す。一部の実施形態では、細胞は、インビトロで培養される。他の実施形態では、細胞は、インビトロで培養されない。
【0071】
標的:本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、提供される方法、系、及び/又は組成物の対象である体内の細胞、組織、器官、又は部位、例えば、治療を必要とする、又は例えば抗体(若しくはその断片)若しくはCARによって優先的に結合される、体内の細胞、組織、器官、又は部位を指す。
【0072】
標的部位:本明細書で使用される場合、「標的部位」又は「標的配列」という用語は、結合分子(例えば、本明細書に記載されるCARのいずれかのIL-3分子又はそのCD123結合断片)が、結合が起こるのに十分な条件下で特異的に結合し得る核酸の一部分を画定するゲノム核酸配列を指す。
【0073】
T細胞受容体:本明細書で使用される場合、「T細胞受容体」又は「TCR」という用語は、抗原の提示に応答してT細胞の活性化に関与する膜タンパク質の複合体を指す。TCRは、主要組織適合複合体分子に結合した抗原を認識する役割を担っている。TCRは、アルファ(a)及びベータ(β)鎖のヘテロ二量体を含むが、一部の細胞では、TCRはガンマ及びデルタ(γ/δ)鎖を含む。TCRは、アルファ/ベータ形態及びガンマ/デルタ形態に存在してもよく、構造的に類似しているが、解剖学的位置及び機能が異なる。各鎖は、可変ドメイン及び定常ドメインの2つの細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、TCRは、例えばヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、調節性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びガンマデルタT細胞を含む、TCRを含む任意の細胞上で改変されてもよい。
【0074】
治療的:本明細書で使用される場合、「治療的」という用語は、治療を指す。治療的効果は、疾患状態の抑制、寛解、又は根絶によって得られる。効果は、防御(予防)によって得られる。
【0075】
トランスフェクトされた:本明細書で使用される場合、「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞内に移入又は導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」細胞、又は「形質転換された」細胞、又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクトされた、形質転換された、又は形質導入された細胞である。細胞は、初代対象細胞及びその子孫を含む。
【0076】
治療:本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、又は「治療すること」という用語は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状若しくは特徴の部分的又は完全な緩和、改善、発生遅延、阻害、軽減、及び/又は発生率の低下、及び/又は重症度の低下を指す。一部の実施形態では、治療は、疾患、障害、及び/又は状態の兆候又は特徴を示さない対象に施されてもよい(例えば、予防的であってもよい)。一部の実施形態では、治療は、例えば、疾患、障害、及び/又は状態に関連する病理を発症するリスクを低下させる目的で、疾患、障害、及び/又は状態の初期又は軽度の兆候又は特徴のみを示す対象に施され得る。一部の実施形態では、治療は、疾患、障害、又は状態が確立した、重度である、及び/又は後期の兆候を示す対象に施されてもよい。一部の実施形態では、治療することは、免疫細胞(例えば、Tリンパ球、NK細胞)に投与すること、又は免疫細胞と、インビトロ転写されたmRNAにより活性化される経路の調節因子とを接触させることを含んでもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、疾患、障害、及び/若しくは状態を、又は疾患、障害、及び/若しくは状態の1つ以上の症状若しくは特徴を予防するためのものである。
【0077】
腫瘍:本明細書で使用される場合、「腫瘍」という用語は、細胞又は組織の異常な増殖を指す。一部の実施形態では、腫瘍は、前がん性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性、及び/又は非転移性である細胞を含んでもよい。一部の実施形態では、腫瘍は、がんと関連しているか、又はがんの兆候である。一部の実施形態では、腫瘍は分散腫瘍又は液性腫瘍であってもよい。一部の実施形態では、腫瘍は固形腫瘍であってもよい。
【0078】
ベクター:本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用できる物質組成物を指す。限定されるものではないが、線状ポリヌクレオチド、イオン性化合物又は両親媒性化合物、プラスミド、及びウイルスに関連するポリヌクレオチドを含む多数のベクターが当技術分野で既知である。したがって、「ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミド又はウイルスが含まれる。この用語はまた、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどの、細胞への核酸の移入を促進する非プラスミド及び非ウイルス性化合物を含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、以下に限定されないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられる。
【0079】
本開示の全体を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示される場合がある。範囲形式での記述は単に便宜上及び簡潔性を目的としており、本発明の範囲に対して柔軟性のない限定であると解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、当該範囲内の全ての可能性のある部分範囲、並びに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びに当該範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6などを具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、当該範囲の幅にかかわらず適用される。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本開示は、本明細書では「ゼータカイン」とも呼ばれてもよいキメラ抗原受容体(CAR)に関し、当該キメラ抗原受容体は、少なくとも膜貫通領域に連結される標的抗原の表面天然リガンド(又はそのバリアント)を含む細胞外ドメインと、シグナル伝達ドメインとから構成される。ゼータカインは、免疫エフェクター細胞、例えば、Tリンパ球又はナチュラルキラー(NK)細胞などの細胞の表面上に発現する場合、標的抗原(例えば、がん関連抗原、腫瘍関連抗原)の認識を介して悪性細胞(例えば、がん細胞)を特異的に標的化することができる。ゼータカインキメラ免疫受容体は、T細胞の抗原特異性を再指向するための抗体ベースの免疫受容体の拡張を提供する。腫瘍治療剤の標的送達のためのCARは、T細胞過剰活性化からの毒性のリスクをもたらす、操作された合成抗体受容体の使用に主に焦点を当ててきた。抗体ベースのCAR構築物の代わりに天然リガンド(又はそのバリアント)を含有するゼータカインを使用することで、構造誘導性の(structure-guided)部位特異的変異誘発が、過剰活性化(例えば、T細胞の)及び潜在的なオフターゲット細胞傷害性を引き起こすことなく、結合親和性を調節(例えば、増加、減少)し、細胞シグナル伝達を変化させることが更に可能になる。
【0081】
本明細書では、インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、任意選択的にリンカー領域と、膜貫通領域と、任意選択的に少なくとも1つの共刺激シグナル伝達ドメインと、シグナル伝達ドメインと、を含むキメラ抗原受容体(例えば、本明細書ではCAR、ゼータカインとも呼ぶ)が提供される。また、本明細書では、本明細書に記載のCARのいずれかをコードする核酸構築物及びベクターも提供される。また、本明細書では、CARを発現する細胞(例えば、Tリンパ球又はNK細胞などの免疫細胞)も提供される。更に本開示は、一部の実施形態では、例えば造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍などの疾患又は障害を治療するための、CARの投与、CARをコードする核酸若しくはベクターの投与、又はCARを発現する細胞集団の投与が提供される。
【0082】
一部の態様では、本開示は、悪性細胞又は前悪性細胞上のCD123の発現を特徴とする疾患、障害、又は状態を治療するための方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片を介してCD123結合を標的とし、結合する、本明細書に記載されるCARのいずれかを投与することを含む。IL-3受容体α鎖とも呼ばれるCD123は、急性骨髄性白血病(AML)などの悪性腫瘍、及び骨髄異形成症候群(MDS)などの前悪性腫瘍の病理の好ましい治療標的として特定されている。CD123はまた、白血病幹細胞(LSC)、前駆細胞、及び芽球細胞においても過剰発現されることが見出されている。
【0083】
急性骨髄性白血病(AML)は侵攻性の悪性腫瘍であり、通常、集中的な細胞傷害性の化学療法レジメンを使用して治療されるが、疾患が細胞傷害性化学療法剤に対して難治性となった場合には、それに代わる治療選択肢が限定されてしまう。急性骨髄性白血病(AML)は、より効果の高い療法を必要とする骨髄のがんである。国立がん研究所によると、米国において6万人を超える人々がAMLに罹患しており、診断から5年後の患者生存率は30%未満である。CD123の標的化を伴う現在のAML療法は有効であり得るが、正常な血液及び骨髄の健康な細胞に対する毒性のため、有用性が制限される可能性がある。
【0084】
キメラ抗原受容体
概してCARは、抗原結合ドメイン、例えば、T細胞シグナル伝達ドメインに連結される1つ以上の抗体(例えば、一本鎖可変断片(scFv))の抗原結合ドメインを含有する、人工的に構築されたハイブリッドタンパク質又はハイブリッドポリペプチドである。CARの特徴としては、モノクローナル抗体の抗原結合特性を活用して、非MHC拘束性の様式で、選択された標的に対してT細胞の特異性及び反応性を再指向化させる能力が挙げられる。非MHC拘束性の抗原認識であることによって、CARを発現するT細胞に、抗原処理に依存しない抗原認識能力が与えられる。それに伴い、主要な腫瘍エスケープ機序が回避される。更に、T細胞で発現される場合、有益なことにCARは内因性T細胞受容体(TCR)のアルファ鎖及びベータ鎖とは二量体化しない。本明細書で使用される場合、「抗原特異性」及び「抗原特異的応答を惹起する」という語句は、CARが標的抗原に結合することで免疫応答が惹起されるように、CARが抗原に特異的に結合して免疫学的に抗原を認識し得ることを意味する。
【0085】
抗体の抗原結合ドメインを含有する従来的なCARには、三世代のCARがある。「第一世代」のCARは、典型的には、細胞質/細胞内シグナル伝達ドメインに融合される膜貫通ドメイン、膜貫通ドメインに融合される細胞外抗原結合ドメイン(例えば、scFv)から構成される。第一世代のCARは、新たな抗原認識をもたらすものであり、単一融合分子中のそのCD3ζ鎖シグナル伝達ドメインを介して、HLA介在型の抗原提示とは無関係にCD4+T細胞及びCD8+T細胞の両方を活性化することができる。「第二世代」のCARは、様々な共刺激シグナル伝達分子(例えば、CD28、4-1BB、ICOS、0X40、CD27、CD40/My88及びNKGD2)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインをCARの細胞質尾部に付加して、T細胞に追加のシグナルを送るものである。第二世代のCARには、共刺激(例えば、CD28又は4-1BB)及び活性化(CD3ζ)の両方をもたらすCARが含まれる。「第三世代」のCARには、複数の共刺激分子(例えば、CD28及び4-1BB)、及び活性化をもたらすシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を提供するCARが含まれる。
【0086】
本明細書に記載されるCARは、「ゼータカイン(zetakine)」とも呼ばれ、抗体の抗原結合ドメインではなく、インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片を含有するCARの細胞外部分を含む。本明細書に記載されるCARは、少なくとも膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメイン、並びに任意選択的にリンカー領域、ヒンジ領域、及び共刺激シグナル伝達ドメインのうちの1つ以上を更に含む。一部の実施形態では、CARは、シグナルペプチド/シグナル配列を更に含む。
【0087】
CARは、本明細書に記載の特定のアミノ酸配列若しくは複数のアミノ酸配列からなるか、又は本質的にそれらからなってもよく、それによって、機能的バリアントの生物学的活性は、例えば他のアミノ酸などの他の構成要素によって実質的に変化しない。
【0088】
本開示のCAR(機能的部分及び機能的バリアントを含む)は、CAR(又は機能的部分又はその機能的バリアント)が生物学的活性、例えば標的抗原(例えば、CD123)に特異的に結合する能力、哺乳動物において疾患細胞を検出する能力、又は哺乳動物において疾患を治療若しくは予防する能力などを保持しているという条件で、任意の長さであってもよく、すなわち、任意の数のアミノ酸を含んでもよい。例えば、CARは約50~約5000アミノ酸長さであり得、例えば、長さ50、70、75、100、125、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、1000又はそれ以上のアミノ酸であり得る。
【0089】
一部の実施形態では、CAR構築物(本発明の機能的部分及び機能的バリアントを含む)は、1つ以上の天然アミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含んでもよい。そのような合成アミノ酸は当技術分野で公知であり、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、a-アミノ n-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-及びトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、b-フェニルセリン b-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、a-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リジン、N’,N’-ジベンジル-リジン、6-ヒドロキシリジン、オルニチン、a-アミノシクロペンタンカルボン酸、a-アミノシクロヘキサンカルボン酸、a-アミノシクロヘプタンカルボン酸、a-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、a,g-ジアミノ酪酸、a,b-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、及びa-tert-ブチルグリシンが挙げられる。
【0090】
一部の実施形態では、CAR構築物(機能的部分及び機能的バリアントを含む)は、グリコシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、エステル化、N-アシル化、例えばジスルフィド架橋を介して環化、又は酸付加塩に変換されてもよく、及び/又は任意選択的に二量体化若しくは多量体化されてもよく、又はコンジュゲートされてもよい。
【0091】
一部の実施形態では、CAR(その機能的部分及び機能的バリアントを含む)は、当技術分野で公知の方法により取得されてもよい。一部の実施形態では、CARは、デノボ合成を含む、ポリペプチド又はタンパク質を作製するための任意の好適な方法によって作製されてもよい。CARは、標準的な組換え法を使用して、本明細書に記載の核酸を使用して組換え作製されてもよい。例えば、Green et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY 2012を参照されたい。更に本明細書に記載されるCARのうちのいくつか(その機能的部分及び機能的バリアントを含む)の一部は、例えば、植物、細菌、昆虫、哺乳動物、例えばラット、ヒトなどの源から単離されてもよく、及び/又は精製されてもよい。単離及び精製の方法は、当技術分野で公知である。あるいは、本明細書に記載されるCAR(その機能的部分及び機能的バリアントを含む)は、Synpep(カリフォルニア州ダブリン)、Peptide Technologies Corp.(メリーランド州ゲイサーズバーグ)、及びMultiple Peptide Systems(カリフォルニア州サンディエゴ)などの企業により商業的に合成されてもよい。これに関して、CARは、合成であっても、組換えであっても、単離されても、及び/又は精製されてもよい。
【0092】
更に本明細書において、本明細書に記載されるCAR(その機能的部分及び機能的バリアントを含む)のいずれかをコードするヌクレオチド配列を含む核酸が更に提供される。本発明の核酸は、本明細書に記載されるリーダー配列(例えば、シグナルペプチド)、IL-3分子又はそのCD123結合断片、膜貫通ドメイン、リンカー領域、共刺激シグナル伝達ドメイン、及び/又は細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのうちのいずれかをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0093】
インターロイキン-3
ヒトインターロイキン-3(IL-3)(配列番号1)は、コロニー刺激因子、マスト細胞増殖因子、又はマルチCSFとも呼ばれ、主に活性化Tリンパ球及びマスト細胞によって産生される152残基サイトカインである。これは、例えば、マルチコロニー刺激因子、ヒスタミン産生細胞刺激因子、マスト細胞増殖因子、又は持続性細胞刺激因子としての機能を含む、多くの生物学的機能を有する。これらの広範な造血増殖因子活性は、IL-3が白血球恒常性に寄与していることを示唆する。IL-3がCD123(IL-3受容体(IL-3R))に結合すると、ヘテロ二量体受容体が形成され、IL-3シグナル伝達の伝達が起こる。
【0094】
本明細書に記載されるCARは、CD123を標的とし、IL-3分子又はそのCD123結合断片を含む細胞外領域を含む。本明細書で使用される場合、「CD123結合断片」という用語は、CD123に結合するリガンドの一部(例えば、CD123のアルファサブユニット及び/又はベータサブユニット)を指す。IL-3などのタンパク質のCD123結合断片、CD123に結合するタンパク質の任意の部分(CD123のアルファサブユニット及び/又はベータサブユニットなど)。一部の実施形態では、IL3分子のCD123結合断片は、CD123に特異的に結合して複合体を形成するIL-3の任意の天然、酵素的に取得可能な、合成、又は遺伝子操作されたポリペプチド断片を含む。
【0095】
一部の実施形態では、IL-3のCD123結合断片は、IL-3(例えば、天然に存在するIL-3分子)の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上を含み、それにより当該断片は、CD123に結合する能力を保持する。
【0096】
一部の実施形態では、IL-3分子は、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、IL-3分子は、全長ヒトIL-3分子などの全長IL-3分子である。一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号1によって提供される全長IL-3分子である。一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号1を含む、配列番号1からなる、又は配列番号1から本質的になる。
ヒトインターロイキン-3(NP_000579.2)(配列番号1)
MSRLPVLLLLQLLVRPGLQAPMTQTTPLKTSWVNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLKTLENAQAQQTTLSLAIF
【0097】
一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号2によって提供されるIL-3のCD123結合断片などのIL-3分子の一部である。一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号2を含む、配列番号2からなる、又は配列番号2から本質的になる。
インターロイキン-3の断片(配列番号2)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKD*GDWNEFRRK*LTFYLK**TLE
【0098】
また、本開示の範囲内で、IL-3分子又はそのCD123結合断片のバリアント(例えば、変異体、短縮体(truncation))も存在する。例えば、1つ以上の変異(例えば、置換)をIL-3分子又はそのCD123結合断片で作製して、IL分子又はそのCD123結合断片のCD123への結合を調節(例えば、増加、減少)することができる。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、位置K110(上記配列におけるK*)、D101(上記配列におけるD*)、K116(上記配列におけるK**)、又はそれらの組み合わせに対応するアミノ酸に置換変異を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、位置K110に対応するアミノ酸の別のアミノ酸残基への置換(例えば、リジンではない)を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、K110E変異を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、位置D101に対応するアミノ酸の別のアミノ酸残基への置換(例えば、アスパラギン酸ではない)を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、D101A変異を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、位置K116に対応するアミノ酸の別のアミノ酸残基への置換(例えば、リジンではない)を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、K116V変異又はK116W変異を含む。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、D101A変異及びK116V変異を含む。
【0099】
一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号3によって提供されるK110E変異を含有するIL-3分子の一部である。一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号3を含む、配列番号3からなる、又は配列番号3から本質的になる。配列番号2に対する変異は、下線付き太字で示される。
インターロイキン-3の断片(K110E変異体)(配列番号3)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRLTFYLKTLE
【0100】
一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号4によって提供されるD101A変異及びK116Vを含有するIL-3分子の一部である。一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号4を含む、配列番号4からなる、又は配列番号4から本質的になる。配列番号2に対する変異は、下線付き太字で示される。
インターロイキン-3の断片(D101A、K116V変異体)(配列番号4)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKGDWNEFRRKLTFYLTLE
【0101】
一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号5によって提供されるK116Wを含有するIL-3分子の一部である。一部の実施形態では、IL-3分子は、配列番号5を含む、配列番号5からなる、又は配列番号5から本質的になる。配列番号2に対する変異は、下線付き太字で示される。
インターロイキン-3の断片(K116W変異体)(配列番号5)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLTLE
【0102】
一部の態様では、IL-3分子又はそのCD123結合断片は、細胞内での発現のために、リンカー領域、ヒンジドメイン、膜貫通領域、又は細胞内ドメイン(例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、シグナル伝達ドメイン)などのCARの別のドメインに動作可能に連結される。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片をコードする核酸は、膜貫通ドメインをコードする核酸、及び細胞内ドメイン(例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、シグナル伝達ドメイン)をコードする核酸に動作可能に連結される。一部の実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片をコードする核酸は、リンカー領域をコードする核酸、膜貫通ドメインをコードする核酸、及び細胞内ドメイン(例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン、シグナル伝達ドメイン)をコードする核酸に動作可能に連結される。
【0103】
一部の実施形態では、CARは、リンカー領域を含む。一部の実施形態では、リンカー領域は、約1~約100、約3~約20、約5~約30、約5~約18、又は約3~約8アミノ酸長であり、配列中グリシン残基及び/又はセリン残基からなるGly/Serリンカーである。したがって、Gly/Serリンカーは、グリシン残基及び/又はセリン残基からなってもよい。好ましくは、Gly/Serリンカーは、GGGGSのアミノ酸配列(配列番号6)を含み、配列番号6によって提供される配列の複数の反復がリンカー内に存在し得る。IL-3分子又はそのCD123結合断片と、例えば膜貫通ドメインなどのCARの任意の他のドメインとの間のスペーサーとして、任意のリンカー配列を使用してもよい。
【0104】
一部の実施形態では、領域リンカーは、([G]x[S]y)zであり、例えば式中、xは、1~10であってもよく、yは、1~3であってもよく、zは、1~5であってもよい。一部の実施形態では、リンカー領域は、アミノ酸配列GGGGSGGGGS(配列番号7)を含む。
【0105】
一実施形態では、IL-3分子、又はそのCD123結合断片は、例えば本明細書に記載されるものなどの1つ以上のリーダー配列(シグナルペプチド、シグナル配列)を含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、CAR構築物内のCARのアミノ末端(N末端)に位置付けられてもよい。リーダー配列は、任意の好適なリーダー配列を含んでもよく、例えば、本明細書に記載される任意のCARは、例えば本明細書に記載されるものなどの任意のシグナルペプチドを含んでもよい。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、細胞表面上に放出されたCARの発現を促進し得るが、CARが機能するために、発現されたCAR中でシグナルペプチドが存在する必要はない。一部の実施形態では、細胞表面上でのCARの発現時に、シグナルペプチドが切り離されてもよい。したがって、一部の実施形態では、放出されたCARはシグナルペプチドを欠く。一部の実施形態では、CAR構築物内のCARは、シグナルペプチドを欠く。
【0106】
ヒンジ
一部の実施形態では、CARはまた、細胞外抗原結合ドメイン(例えばIL-3分子又はそのCD123結合断片)を例えば膜貫通ドメインなどの別のドメインに連結するヒンジ/スペーサー領域を含む。ヒンジ/スペーサー領域は、標的抗原の認識を促進するために、抗原結合ドメインが様々な方向に配向させるのに十分な柔軟性があってもよい。
【0107】
一部の実施形態では、CARは、CD8、CD28、又はIgG4のヒンジドメインなどのヒンジドメインを含む。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、CD8(例えば、CD8a)のヒンジドメインである。一部の実施形態では、CD8ヒンジドメインは、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、CD8ヒンジドメインは、配列番号8を含む、配列番号8からなる、又は配列番号8から本質的になる。
CD8ヒンジ領域(配列番号8)
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD(配列番号8)
【0108】
一部の実施形態では、ヒンジドメインは、CD28ヒンジドメインである。一部の実施形態では、CD28ヒンジドメインは、ヒトのものである。一部の実施形態では、CD28ヒンジドメインは、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、CD28ヒンジドメインは、配列番号9を含む、配列番号9からなる、又は配列番号9から本質的になる。
CD28ヒンジ領域(配列番号9)
AAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP(配列番号9)
【0109】
例えば、IgG、IgA、IgM、IgE、又はIgD抗体などの抗体のヒンジドメインも、本明細書に記載されるキメラ受容体での使用に適合している。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、抗体の定常ドメインCH1とCH2を結合させるヒンジドメインである。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、抗体のヒンジドメインであり、抗体のヒンジドメインと、抗体の1つ以上の定常領域とを含む。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、抗体のヒンジドメインと、抗体のCH3定常領域とを含む。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、抗体のヒンジドメインと、抗体のCH2及びCH3定常領域とを含む。一部の実施形態では、抗体は、IgG、IgA、IgM、IgE、又はIgD抗体である。一部の実施形態では、抗体は、IgG抗体である。一部の実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体である。一部の実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1抗体のヒンジ領域、並びにCH2及びCH3定常領域を含む。一部の実施形態では、ヒンジ領域は、IgG1抗体のヒンジ領域、及びCH3定常領域を含む。一部の実施形態では、ヒンジドメインは、IgG4ヒンジドメインである。
【0110】
一部の実施形態では、ヒンジドメインは、IgG4ヒンジドメインである。一部の実施形態では、IgG4ヒンジドメインは、ヒトのものである。一部の実施形態では、IgG4ヒンジドメインは、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、IgG4ヒンジドメインは、IgG4抗体のFc断片(又はその一部)である。一部の実施形態では、IgG4ヒンジドメインは、ヒト免疫グロブリンサブクラスG4のIgG4抗体のFc断片(又はその一部)である。一部の実施形態では、IgG4ヒンジドメインは、配列番号10を含む、配列番号10からなる、又は配列番号10から本質的になる。
IgG4ヒンジ領域(配列番号10)
ESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVH*AKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0111】
一部の実施形態では、ヒンジドメインは、CD8a、CD28又はIgG4のヒンジドメインの一部であり、例えば、CD8a、CD28又はIgG4のヒンジドメインの少なくとも15個(例えば、20、25、30、35、又は40個)の連続アミノ酸を含有する断片である。
【0112】
一部の実施形態では、本明細書に記載のCARのいずれかのヒンジ/スペーサー領域は、CD28ポリペプチドの天然ヒンジ領域又は改変されたヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のCARのいずれかのヒンジ/スペーサー領域は、CD8aポリペプチドの天然ヒンジ領域又は改変されたヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のCARのいずれかのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるIgG4ポリペプチドの天然ヒンジ領域又は改変されたヒンジ領域を含む。
【0113】
また、本開示の範囲内には、ヒンジ/空間領域のバリアント(例えば、変異体、短縮体)も存在する。例えば、1つ以上の変異(例えば、置換)をヒンジ/空間領域で作製して、CD123へのIL分子又はそのCD123結合断片の結合を調節する(例えば、増加、減少させる)ことができる。一部の実施形態では、ヒンジ/空間領域は、IgG4ヒンジであり、位置L235(上記の配列中のL*)、N297(上記の配列中のN*)、又はそれらの組み合わせに対応するアミノ酸での置換変異を含む。一部の実施形態では、ヒンジ/空間領域は、位置L325に対応するアミノ酸の別のアミノ酸残基への置換(例えば、ロイシンではない)を含む。一部の実施形態では、ヒンジ/空間領域は、L235E変異を含む。一部の実施形態では、ヒンジ/空間領域は、位置N297に対応するアミノ酸の別のアミノ酸残基への置換(例えば、アスパラギンではない)を含む。一部の実施形態では、ヒンジ/空間領域は、N297Q変異を含む。
【0114】
一部の実施形態では、ヒンジ/空間領域は、配列番号11によって提供されるL235E変異及びN297Q変異を含む。一部の実施形態では、ヒンジ/スペーサー領域は、配列番号11を含む、配列番号11からなる、又は配列番号11から本質的になる。配列番号10に対する変異は、下線付き太字で示される。
IgG4ヒンジ領域(L235E、N297Q変異体)(配列番号11)
ESKYGPPCPSCPAPEFGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0115】
非天然ペプチドであるヒンジドメインを含むCARも本開示の範囲内にある。一部の実施形態では、Fc受容体の細胞外リガンド結合ドメインのC末端と、膜貫通ドメインのN末端との間のヒンジドメインは、例えば、(GlySer)リンカーなどのペプチドリンカーであり、式中、x及びnは独立して、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又はそれ以上を含む、3~12の整数であり得る。
【0116】
本明細書に記載されるキメラ受容体のヒンジドメインで使用され得る追加的なペプチドリンカーは、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Wriggers et al.Current Trends in Peptide Science(2005)80(6):736-74及びPCT公開第2012/088461号を参照されたい。
【0117】
膜貫通領域
膜貫通領域に関して、CARは、CARのIL-3分子、又はそのCD123結合断片をCARの細胞内領域に接続する膜貫通ドメインを含むように設計されてもよい。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CARのドメインのうちの1つ以上と自然に関連付けられている。一部の例では、膜貫通ドメインをアミノ酸置換によって選択又は改変して、そのようなドメインが、同じ、又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通領域に結合してしまうことを回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にすることができる。
【0118】
膜貫通ドメインは、天然源又は合成源のいずれかに由来してよい。源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合型タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来し得る。特定の使用のための膜貫通領域は、少なくとも、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖、又はゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD8a、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、及びTLR9の膜貫通領域に由来し得る(すなわち、それらを含む)。
【0119】
一実施形態では、膜貫通ドメインは、合成であってもよく、その場合、ロイシン及びバリンなどの疎水性残基が主に含まれる。フェニルアラニン、トリプトファン、及びバリンのトリプレットが、合成膜貫通領域の各末端に存在することが好ましい。
【0120】
一部の実施形態では、膜貫通領域は、CD8(例えば、CD8a)膜貫通領域である。一部の実施形態では、CD8膜貫通領域は、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、CD8膜貫通領域は、配列番号12を含む、配列番号12からなる、又は配列番号12から本質的になる。
CD8膜貫通領域(配列番号12)
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC
【0121】
一部の実施形態では、膜貫通領域は、CD28の膜貫通領域である。一部の実施形態では、CD28膜貫通領域は、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、CD28膜貫通領域は、配列番号13を含む、配列番号13からなる、又は配列番号13から本質的になる。
CD28膜貫通領域(配列番号13)
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0122】
一部の実施形態では、膜貫通領域は、CD4膜貫通領域である。一部の実施形態では、CD4膜貫通領域は、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、CD4膜貫通領域は、配列番号14を含む、配列番号14からなる、又は配列番号14から本質的になる。
CD4膜貫通領域(配列番号14)
MALIVLGGVAGLLLFIGLFIFF
【0123】
細胞内シグナル伝達ドメイン
一部の実施形態では、CAR構築物は、細胞内シグナル伝達ドメインを含み、これは、1つ以上のシグナル伝達ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインから構成され得る。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、当該CARが発現される細胞の活性化に関与する。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、Tリンパ球又はNK細胞の活性化に関与する。一部の実施形態では、本明細書に記載のCAR構築物のシグナル伝達ドメインは、シグナル活性化及び/又は形質導入に関与するドメインを含む。
【0124】
本明細書に記載されるCAR構築物で使用するための細胞内シグナル伝達ドメインの例としては限定されないが、表面受容体、共刺激分子、及び細胞(例えば、免疫細胞(例えば、Tリンパ球、NK細胞))中でシグナル伝達を開始するために協調して作用する任意の分子の細胞質部分、並びにこれらの要素の任意の誘導体又はバリアント、及び同じ機能を有する任意の合成配列が挙げられる。
【0125】
本明細書に記載されるCARの細胞内シグナル伝達ドメインに使用され得るシグナル伝達ドメインの例としては、限定されないが、TCR、CD3ゼータ(CD3ζ)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD86、共通FcRガンマ、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD79a、CD79b、Fcガンマ RIIa、DAP10、DAP 12、T細胞受容体(TCR)、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD l id、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAMl、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGLl、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD 162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、Toll様受容体1(TLR1)、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、本明細書に記載される他の共刺激分子、それらの任意の誘導体、バリアント又は断片、同じ機能を有する共刺激分子の任意の合成配列、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる、1つ以上の分子又は受容体に由来する断片又はドメインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
任意の細胞質シグナル伝達ドメインを、本明細書に記載されるCARに使用することができる。概して細胞質シグナル伝達ドメインは、例えば細胞外リガンド結合ドメインとそのリガンドとの相互作用などのシグナルを中継し、例えば細胞のエフェクター機能(例えば、細胞傷害性)を誘導するなどの、細胞応答を刺激する。
【0127】
当業者には明白であるように、T細胞活性化に関与する因子は、細胞質シグナル伝達ドメインの免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM:immunoreceptor tyrosine-based activation motif)のリン酸化である。当技術分野で公知の任意のITAM含有ドメインを使用して、本明細書に記載されるキメラ受容体を作製してもよく、またITAM含有ドメインを細胞質シグナル伝達ドメインの一部として含めてもよい。概してITAMモチーフは、6~8アミノ酸で分離されるアミノ酸配列YxxL/I(配列番号56)の2つのリピートを含み得(各xは独立して任意のアミノ酸である)、保存されたモチーフのYxxL/Ix(6~8)YxxL/I(配列番号57)を生成する。一部の実施形態では、細胞質シグナル伝達ドメインは、CD3ζ(CD3ゼータ)に由来する。
【0128】
CD3ζは、TCRと会合してシグナルを生じさせ、免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含有する。一部の実施形態では、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達配列は、ヒトのものである。一部の実施形態では、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達配列は、配列番号15若しくは16のアミノ酸配列、又は配列番号15若しくは16のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の実施形態では、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、1つ以上の変異した、及び/又は欠失したITAMを含有するCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。当業者であれば、以下に示される例示的なバリアントなどの、バリアント(例えば、変異体)CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達配列はまた、本明細書に記載されるCARにも好適であることを認識するであろう。
CD3 ζシグナル伝達ドメイン(バリアントA)(配列番号15)
RVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
CD3 ζシグナル伝達ドメイン(バリアントB)(配列番号16)
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0129】
特定の非限定的な実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの(例えば、1、2、3又はそれ以上の)共刺激シグナル伝達ドメインを更に含む。一部の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、最適なリンパ球活性化を提供することができる少なくとも1つの共刺激分子を含む。概して多くの免疫細胞は、細胞の増殖、分化及び生存を促進し、当該細胞のエフェクター機能を活性化するためには、抗原特異的シグナルの刺激に加えて共刺激も必要とする。細胞(例えば、免疫細胞)での共刺激シグナル伝達ドメインの活性化によって、細胞にサイトカインの産生及び分泌、貪食性能、増殖、分化、生存並びに/又は細胞傷害性を増加させ、又は減少させ得る。任意の共刺激タンパク質の共刺激シグナル伝達ドメインは、本明細書に記載されるキメラ受容体での使用に対して適合性があり得る。共刺激シグナル伝達ドメインのタイプは、例えばCARが発現される細胞のタイプ(例えば、初代T細胞、T細胞株、NK細胞株)、及び望まれる免疫エフェクター機能(例えば、細胞傷害性)などの因子に応じて選択され得る。
【0130】
そのような共刺激シグナル伝達ドメインの例としては、限定されないが、上記段落に列記されるシグナル伝達ドメインのいずれかと任意の組み合わせで、4-1BB、CD28、ICOS、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、CD116受容体ベータ鎖、CSF1-R、LRP1/CD91、SR-A1、SR-A2、MARCO、SR-CL1、SR-CL2、SR-C、SR-E、CR1、CR3、CR4、デクチン1、DEC-205、DC-SIGN、CD14、CD36、LOX-1、CD11bを含む1つ以上の分子又は受容体に由来する断片又はドメインが挙げられる。一部の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、CD3、FcイプシロンRIガンマ鎖、又はそれらの任意の誘導体若しくはバリアントに由来する少なくとも1つのシグナル伝達ドメイン(同じ機能を有するそれらの任意の合成配列を含む)、及びそれらの任意の組み合わせなど、1つ以上の共刺激シグナル伝達分子の任意の部分を含む。
【0131】
一部の実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、1、2、3、又はそれ以上)は、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達配列とともにCAR構築物内に含有される。一部の実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインが、4-1BB(CD137)、OX-40及びCD28、又はそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、CARは、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、OX-40共刺激シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、CD28共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
【0132】
CD137としても知られる4-1BBは強力な共刺激シグナルをT細胞に伝達し、Tリンパ球の分化を促進し、Tリンパ球の長期生存を強化する。一部の実施形態では、4-1BB細胞内シグナル伝達配列は、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、4-1BB細胞内T細胞シグナル伝達配列は、配列番号17のアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の実施形態では、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号17のアミノ酸配列、又は配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン(配列番号17)
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
【0133】
一部の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28共刺激シグナル伝達ドメインである。一部の実施形態では、CD28共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の実施形態では、CD28共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列、又は配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
CD28共刺激シグナル伝達ドメイン(配列番号18)
RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHQYPYAPPRDFAAYRS
【0134】
CARの抗原結合ドメイン(例えば、IL-3分子又はそのCD123結合断片)と膜貫通ドメインとの間、又はCARの細胞内シグナル伝達ドメインと膜貫通ドメインとの間に、スペーサードメインが組み込まれてもよい。本明細書で使用される場合、「スペーサードメイン」という用語は概して、膜貫通ドメインを、ポリペプチド鎖中の抗原結合ドメイン又は細胞内ドメインのいずれかに連結するよう機能する任意のオリゴペプチド又はポリペプチドを意味する。一実施形態では、スペーサードメインは、最大300アミノ酸、好ましくは10~100アミノ酸、最も好ましくは25~50アミノ酸を含み得る。別の実施形態では、好ましくは2~10アミノ酸の長さの短いオリゴペプチドリンカー又はポリペプチドリンカーが、CARの膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間の結合を形成し得る。リンカーの例としては、グリシン-セリンのダブレットが挙げられる。
【0135】
シグナルペプチド
一部の実施形態では、本明細書に記載のCARのいずれかは、シグナルペプチド(シグナル配列)を更に含み得る。概してシグナルペプチドは、細胞中の部位にポリペプチドを標的化する短いアミノ酸配列である。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、CARを細胞の分泌経路に向けさせ、細胞表面の脂質二重層内にCARを統合させ、固定させる。本明細書に記載されるキメラ受容体での使用に対して適合性がある、天然タンパク質のシグナル配列、又は合成の非天然シグナル配列を含むシグナル配列が、当業者には明らかであろう。
【0136】
一部の実施形態では、シグナルペプチドは、GM-CSFシグナルペプチドである。一部の実施形態では、GM-CSFシグナルペプチドは、ヒトのものである(例えば、ヒトタンパク質配列から取得される/に由来する)。一部の実施形態では、GM-CSFシグナルペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の実施形態では、GM-CSFシグナルペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列、又は配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
GM-CSFシグナルペプチド(配列番号19)
MLLLVTSLLLCELPHPAFLLI
【0137】
本明細書に記載のCARは、例えば、自己切断ペプチドを有する構築物で調製されてもよく、それによって、構成要素を含有するCAR構築物は、2シストロン性、3シストロン性などとなる。
【0138】
ベクター
本明細書に記載のCAR構築物をコードする核酸は、例えば組換え発現ベクターなどのベクターに組み込むことができる。本明細書で使用される場合、「組換え発現ベクター」及び「ベクター」という用語は、相互交換可能に使用され得、遺伝子改変されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド構築物であって、当該構築物がmRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、細胞内でmRNA、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドが発現されるのに十分な条件下で、当該ベクターが細胞に接触する場合、宿主細胞によるmRNA、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドの発現が可能となる、構築物を指す。
【0139】
一部の実施形態では、ベクターは、全体として天然由来のものではない。しかしながら、ベクターの一部は、天然由来のものであり得る。本発明の組換え発現ベクターは、限定されないが、DNA及びRNAをはじめとする任意のタイプのヌクレオチドを含んでもよく、それらは一本鎖又は二本鎖であってもよく、合成であっても、又は部分的に天然源から取得されてもよく、そして天然ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、又は改変ヌクレオチドを含んでもよい。一部の実施形態では、ベクターは、DNAベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、RNAベクターである。ベクターは、天然若しくは非天然のヌクレオチド間結合、又は両タイプの結合を含んでもよい。一部の実施形態では、非天然の、若しくは改変ヌクレオチド又はヌクレオチド間結合は、ベクターの転写又は複製を妨げない。
【0140】
ベクターは、任意の好適な組換え発現ベクターであってもよく、ベクターを使用して、任意の好適な宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトしてもよい。好適なベクターとしては、例えばプラスミド及びウイルスなど、増殖及び拡張、又は発現、又はその両方を目的として設計されたものが挙げられる。ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences社、メリーランド州グレンバーニー)、pBluescriptシリーズ(Stratagene社、カリフォルニア州ラホヤ)、pETシリーズ(Novagen社、ウィスコンシン州マジソン)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech社、スウェーデン、ウプサラ)、及びpEXシリーズ(Clontech社、カリフォルニア州パロアルト)からなる群から選択されてもよい。バクテリオファージベクターの例えば、LGTlO、λGT11、LZapII(Stratagene社)、λEMBT4、及びλNMI149を使用してもよい。植物発現ベクターの例としては、pBIO1、pBI101.2、pBI101.3、pBH21、及びpBIN19(Clontech社)が挙げられる。動物発現ベクターの例としては、pEUK-CI、pMAM、及びpMAMneo(Clontech社)が挙げられる。組換え発現ベクターは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、又はレンチウイルスベクターであってもよい。一部の実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0141】
一部の実施形態では、ベクターは、例えば、上記のGreen et al.に記載される標準的な組換えDNA技術を使用して調製されてもよい。環状又は線状である発現ベクター構築物は、原核宿主細胞又は真核宿主細胞において機能する複製システムを含有するように調製することができる。複製システムは、例えば、ColEl、2μプラスミド、λ、SV40、ウシパピローマウイルスなどに由来することができる。
【0142】
組換え発現ベクターは、必要に応じて、及びベクターがDNAベースであるか、又はRNAベースであるかを考慮して、ベクターが導入される宿主細胞のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物又は動物)に特異的な、例えば転写及び翻訳の開始、並びに終結のコドンなどの制御配列を含んでもよい。ベクターは、クローニングを容易にするための制限部位を含んでもよい。
【0143】
ベクターは、形質転換された宿主細胞又はトランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカー遺伝子を含んでもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、抗生物質、重金属などに対する耐性などの殺生物剤耐性、栄養要求性宿主において原栄養性を提供するための相補性が挙げられる。本発明の発現ベクターに好適なマーカー遺伝子としては、例えば、ネオマイシン/G418耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、及びアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
【0144】
更に、ベクターは、自殺遺伝子を含むように作製されてもよい。本明細書で使用される場合、「自殺遺伝子」という用語は、自殺遺伝子を発現する細胞に死をもたらす遺伝子を指す。自殺遺伝子は、当該遺伝子が発現される細胞に対して、例えば薬剤などの剤に対する感受性を与えて、当該細胞が当該剤に接触したとき、又は曝露されたときに、当該細胞に死をもたらす遺伝子であってもよい。自殺遺伝子は当技術分野で公知であり、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、及びニトロレダクターゼが挙げられる。
【0145】
プロモーター
一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、CAR構築物(その機能的部分及び機能的バリアントを含む)をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された、又はCAR構築物をコードするヌクレオチド配列に対して相補的な、若しくはハイブリダイズするヌクレオチド配列に動作可能に連結された天然型又は非天然型のプロモーターを含んでもよい。例えば、強い、弱い、誘導性、構成的、組織特異的、及び発生段階特異的など、プロモーターの選択は、当業者の通常の技術範囲内である。同様に、ヌクレオチド配列とプロモーターとの組み合わせも、当業者の技術範囲内である。プロモーターは、非ウイルス性プロモーター又はウイルス性プロモーターであってもよく、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SFFVプロモーター、EF1αプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、又はマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復に存在するプロモーターであってもよい。一部の実施形態では、プロモーターは、SFFVプロモーター(例えば、配列番号20で表されるもの)である。
SFFVプロモーター(配列番号20)
GTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACCAAACCAAGAATAGAGAAGTTCAGATCAAGGGCGGGTACATGAAAATAGCTAACGTTGGGCCAAACAGGATATCTGCGGTGAGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGGGGCCAAGAACAGATGGTCACCGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGAGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATATGGCCCAACCCTCAGCAGTTTCTTAAGACCCATCAGATGTTTCCAGGCTCCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGCGCCTTATTTGAATTAACCAATCAGCCTGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTTCCCGAGCTCTATAAAAGAGCTCACAACCCCTCACTCGGCGCGCCAGTCCTCCGACAGACTGAGTCG
【0146】
本明細書に記載されるベクターは、一過性発現、安定的発現、又はその両方のために設計されてもよい。あるいは、又は更に、ベクターは、構造的発現のため又は誘導性発現のために作製されてもよい。
【0147】
本発明の範囲には、本明細書に記載されるCAR構築物(その機能的部分又はバリアントのいずれかを含む)、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、又は宿主細胞の集団のいずれかを含む、例えばバイオコンジュゲートなどのコンジュゲートが含まれる。コンジュゲート、並びにコンジュゲートを合成する方法は概して当技術分野で公知である。
【0148】
改変細胞の作製
本開示の態様は、キメラ抗原受容体(CAR)を細胞(例えば、Tリンパ球又はNK細胞などの免疫細胞)に導入することを含む、細胞を改変するための方法を提供し、CARは、IL-3分子、又はそのCD123結合断片、膜貫通ドメイン、及びシグナル伝達ドメインを含み、CARは、任意選択的にリンカー領域、ヒンジ領域、及び/又は少なくとも1つの共刺激ドメインを更に含み得る。一部の実施形態では、細胞がCARを発現し、標的エフェクター活性を有する細胞である。一部の実施形態では、細胞内にCARを導入することは、CARをコードする核酸配列を導入することを含む。一部の実施形態では、核酸配列を導入することは、CARをコードするmRNAを細胞内にエレクトロポレーションすることを含む。
【0149】
一部の実施形態では、細胞は、例えばTリンパ球又はNK細胞などの免疫細胞であってもよい。Tリンパ球は、例えば、培養T細胞、例えば、初代T細胞、又は培養T細胞株由来のT細胞、例えば、TIB-153(商標)、Jurkat、SupTlなど、又は哺乳動物から取得されたT細胞など、任意のT細胞であってもよい。哺乳動物から取得される場合、T細胞は、限定されないが、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、又は他の組織若しくは体液を含む多くの供給源から取得され得る。T細胞は、濃縮されてもよく、又は精製されてもよい。一部の実施形態では、T細胞は、ヒトT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、ヒトから単離されたT細胞であってもよい。T細胞は、任意のタイプのT細胞であってもよく、限定されないが、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞、例えば、Th1細胞及びTh2細胞、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤細胞、メモリーT細胞、ナイーブT細胞などをはじめとする、任意の発生段階のT細胞であってもよい。T細胞は、CD8+T細胞又はCD4+T細胞であってもよい。一部の実施形態では、T細胞は、アルファ/ベータT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は、ガンマ/デルタT細胞である。一部の実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)である。一部の実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)である。
【0150】
例えばCARなどの遺伝子を細胞に導入及び発現する方法は、当技術分野で公知である。発現ベクターの文脈において、ベクターは、当技術分野の任意の方法によって、例えば哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、又は昆虫細胞などの宿主細胞内に容易に導入され得る。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的な手段によって宿主細胞内へと移入され得る。
【0151】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、パーティクルボンバートメント、マイクロインジェクション、形質導入(例えば、レンチウイルス形質導入、レトロウイルス形質導入)、エレクトロポレーション(例えば、DNA又はRNAのエレクトロポレーション)などが挙げられる。ベクター及び/又は外来性核酸を含む細胞を作製する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Sambrook et al.,2012,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Volumes 1-4,Cold Spring Harbor Press,NY)を参照されたい。核酸は、エレクトロポレーション(Amaxa Nucleofector-II(Amaxa Biosystems、ドイツ、ケルン))、(ECM 830(BTX)(Harvard Instruments、マサチューセッツ州、ボストン)、又はGene Pulser II(BioRad、コロンビア州デンバー)、Multiporator(Eppendort、ドイツ、ハンブルク)を含む市販の方法を使用して標的細胞に導入することができる。核酸はまた、リポフェクションを使用したカチオン性リポソーム介在トランスフェクション、ポリマー封入、ペプチド介在トランスフェクション、又は例えば「遺伝子銃」などのバイオリスティック粒子送達システム(例えば、Nishikawa,et al.Hum Gene Ther.,12(8):861-70(2001)を参照)を使用して、細胞に導入することもできる。
【0152】
一態様では、DNA構築物又はRNA構築物は、エレクトロポレーションによって細胞に導入される。例えば、米国特許出願公開第U.S.2004/0014645、同第U.S.2005/0052630A1号、同第U.S.2005/0070841Al号、同第U.S.2004/0059285A1号、同第U.S.2004/0092907A1(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)に教示されている、哺乳動物細胞内への核酸構築物のエレクトロポレーションに関する策定及び方法を参照されたい。任意の公知の細胞タイプのエレクトロポレーションに必要とされる電場強度を含む様々なパラメータは、関連する研究文献、並びに当分野の多くの特許及び特許出願において一般的に公知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,678,556号、同第7,171,264号、及び同第7,173,116号を参照されたい。エレクトロポレーションの治療に適用するための装置も市販されており、例えば、MedPulser(商標)DNA Electroporation Therapy System(Inovio/Genetronics、カリフォルニア州サンディエゴ)があり、例えば米国特許第6,567,694号、同第6,516,223号、同第5,993,434号、同第6,181,964号、同第6,241,701号、及び同第6,233,482号などの特許に記載されており、エレクトロポレーションは、米国特許出願公開第U.S.2007/0128708A1号に記載されるように、インビトロでの細胞のトランスフェクションにも使用され得、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。エレクトロポレーションは、インビトロで核酸を細胞内に送達するためにも利用され得る。したがって、当業者に公知の多くの利用可能なデバイス及びエレクトロポレーションシステムのいずれかを利用して、発現構築物を含む核酸を、細胞にエレクトロポレーション介在的に投与することは、標的細胞に対象のDNA又はRNAを送達するための追加的手段を提供する。
【0153】
対象のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法は、DNAベクター及びRNAベクターの使用を含む。RNAベクターとしては、RNAプロモーター、及び/RNA転写物を産生するための他の関連ドメインを有するベクターが挙げられる。ウイルスベクター、及び特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物細胞、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するために最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号を参照されたい。
【0154】
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための化学的手段としては、コロイド分散系、例えば高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフィア、ビーズ、並びに水中油エマルション、ミセル、混合ミセル及びリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。インビトロ及びインビボでの送達ビヒクルとして使用される例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0155】
非ウイルス送達システムを利用する場合の例示的な送達ビヒクルは、リポソームである。脂質製剤の使用は、宿主細胞への核酸の導入(インビトロ、エクスビボ、又はインビボ)のために企図される。別の態様では、核酸は、脂質と関連付けられてもよい。脂質と関連付けられた核酸は、リポソームの水性内部に封入され、リポソームの脂質二重層内に散在され、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方と関連付けられる結合分子を介してリポソームに結合され、リポソーム内に捕捉され、リポソームと複合体化され、脂質含有溶液中に分散され、脂質と混合され、脂質と組み合わされ、脂質中に懸濁液として含有され、ミセルと含有され、若しくはミセルと複合体化され、又は別手段により脂質と関連付けられてもよい。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクターに関連した組成物は、溶液中で任意の特定の構造に限定されない。例えば、それらは二重層構造で存在してもよく、ミセルとして存在してもよく、又は「崩壊した」構造で存在してもよい。また、おそらくサイズ又は形状が均一ではない凝集体を形成しながら、単に溶液中に散在しているだけでもよい。脂質は、脂肪物質であり、天然の脂質又は合成脂質であってもよい。例えば、脂質には、細胞質中に自然に存在する脂肪小滴、並びに例えば脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素及びその誘導体を含有する化合物種が含まれる。
【0156】
使用に適した脂質は、商業的供給源から取得することができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、ミズーリ州セントルイスのSigmaから取得することができ、リン酸ジセチル(「DCP」)は、K&K Laboratories(ニューヨーク州プレインビュー)から取得することができ、コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから取得することができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipid Inc.(アラバマ州バーミンガム)から取得することができる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保存できる。クロロホルムはメタノールより蒸発しやすいため、唯一の溶剤として使用される。「リポソーム」は、様々な単層及び多重層の脂質ビヒクルを包含する一般的な用語であり、閉鎖型の脂質二重層又は脂質凝集体を生成することによって形成される。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内側の水性媒体を含む小胞構造を有することを特徴とし得る。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離される複数の脂質層を有している。過剰な水溶液中にリン脂質が懸濁されると、リポソームが自発的に形成される。脂質成分は自己再配列を経て、閉鎖構造を形成し、脂質二重層の間に水及び溶解溶質を閉じ込める(Ghosh et al.,(1991)Glycobiology 5:505-10)。しかし、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質はミセル構造であると仮定され、又は単に脂質分子の不均一な凝集体として存在している可能性がある。リポフェクタミン-核酸複合体もまた企図される。
【0157】
細胞に外来性核酸を導入するために使用される方法、又は他の本明細書に記載される分子に細胞を曝露するために使用される方法に関係なく、宿主細胞中の核酸の存在を確認するために、様々なアッセイ法を実施することができる。例えば、そのようなアッセイには、例えばサザンブロッティング及びノーザンブロッティング、RT-PCR及びPCRなどの当業者に公知の「分子生物学的」アッセイ;例えば免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)による、又は本発明の範囲内にある剤を特定するための本明細書に記載されるアッセイ法による、特定のペプチドの存在又は非存在を検出するなどの「生化学的」アッセイが挙げられる。一部の実施形態では、方法は更に、外来性核酸が導入された(及び発現された)細胞を、例えば選択マーカーを使用して、細胞集団から選択することを含む。
【0158】
CAR構築物
一部の実施形態では、CARは、IL-3分子、又はそのCD123結合断片、膜貫通ドメイン、及びシグナル伝達ドメインを含む特定の構成要素を含む。一部の実施形態では、CARは、リンカー領域、ヒンジ領域、及び/又は1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインのうちの1つ以上を更に含む。CARは、本明細書に記載される例示的な要素の任意の組み合わせ、例えば、IL-3分子又はそのCD123結合断片、膜貫通ドメイン、ヒンジドメイン、シグナル伝達ドメインのいずれか、及び本明細書に記載の任意の1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインの組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、本明細書に記載のCARのいずれかは、シグナルペプチド(シグナル配列)を更に含み得る。
【0159】
一部の実施形態では、CARは、N末端からC末端に、(a)インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、(b)リンカー領域と、(c)膜貫通領域と、(d)シグナル伝達ドメインと、を含む。一部の実施形態では、CARは、共刺激シグナル伝達ドメインを含まない。一部の実施形態では、CARは、CARのN末端にシグナルペプチド/シグナル配列を更に含み、当該シグナル配列は、表面提示のときにタンパク質から取り除かれてもよい。
【0160】
一部の実施形態では、CARは、N末端からC末端に、(a)インターロイキン-3(IL-3)分子又はそのCD123結合断片と、(b)リンカー領域と、(c)膜貫通領域と、(d)1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインと、(e)シグナル伝達ドメインと、を含む。一部の実施形態では、CARは、CARのN末端にシグナルペプチド/シグナル配列を更に含み、当該シグナル配列は、表面提示のときにタンパク質から取り除かれてもよい。
【0161】
例示的なCARのアミノ酸配列を、CARをコードする例示的な核酸配列とともに以下に提供する。
【0162】
1.IL3-WT-nocostim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、IL-3のCD123結合断片と、IgG4ヒンジドメインと、CD4膜貫通ドメインと、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0163】
一部の実施形態では、CARは、配列番号21に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号21に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-WT-nocostimのアミノ酸配列(配列番号21)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLKTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0164】
一部の実施形態では、CARは、配列番号22に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号22に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-WT-nocostimの核酸配列(配列番号22)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0165】
一部の実施形態では、配列番号22に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0166】
2.IL3-WT-CD28costim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、IL-3のCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0167】
一部の実施形態では、CARは、配列番号23に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号23に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-WT-CD28costimのアミノ酸配列(配列番号23)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLKTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHQYPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0168】
一部の実施形態では、CARは、配列番号24に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号24に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-WT-CD28costimの核酸配列(配列番号24)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGAGCAAGAGGAGCAGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGGAGGCCCGGCCCCACCAGGAAGCACCAGTACCCCTACGCCCCCCCCAGGGACTTCGCCGCCTACAGGAGCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0169】
一部の実施形態では、配列番号24に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0170】
3.IL3-WT-41BBcostim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、IL-3のCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0171】
一部の実施形態では、CARは、配列番号25に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号25に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-WT-4-1BBcostimのアミノ酸配列(配列番号25)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLKTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0172】
一部の実施形態では、CARは、配列番号26に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号26に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-WT-4-1BBcostimの核酸配列(配列番号26)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAAGAGGGGCAGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAGGAGGACGGCTGCAGCTGCAGGTTCCCCGAGGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0173】
一部の実施形態では、配列番号26に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0174】
4.IL3-K110E-nocostim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、K110E変異を含むIL-3のCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0175】
一部の実施形態では、CARは、配列番号27に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号27に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-K110E nocostimのアミノ酸配列(配列番号27)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRELTFYLKTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0176】
一部の実施形態では、CARは、配列番号28に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号28に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-K110E-nocostimの核酸配列(配列番号28)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGGAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0177】
一部の実施形態では、配列番号28に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0178】
5.IL3-K110E-CD28costim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、K110E変異を含むIL-3のCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0179】
一部の実施形態では、CARは、配列番号29に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号29に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-K110E CD28costimのアミノ酸配列(配列番号29)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRELTFYLKTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHQYPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0180】
一部の実施形態では、CARは、配列番号30に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号30に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-K110E-CD28costimの核酸配列(配列番号30)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGGAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGAGCAAGAGGAGCAGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGGAGGCCCGGCCCCACCAGGAAGCACCAGTACCCCTACGCCCCCCCCAGGGACTTCGCCGCCTACAGGAGCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0181】
一部の実施形態では、配列番号30に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0182】
6.IL3-K110E-41BBcostim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、K110E変異を含むIL-3のCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0183】
一部の実施形態では、CARは、配列番号31に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号31に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-K110E 4-1BBcostimのアミノ酸配列(配列番号31)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRELTFYLKTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0184】
一部の実施形態では、CARは、配列番号32に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号32に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-K110E-4-1BBcostimの核酸配列(配列番号32)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGGAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAAGAGGGGCAGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAGGAGGACGGCTGCAGCTGCAGGTTCCCCGAGGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0185】
一部の実施形態では、配列番号32に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0186】
7.IL3-WT-nocostim+CD8膜貫通
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、CD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD8膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0187】
一部の実施形態では、CARは、配列番号33に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号33に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-WT-nocostim+CD8膜貫通のアミノ酸配列(配列番号33)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLKTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0188】
一部の実施形態では、CARは、配列番号34に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号34に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-WT-nocostim+CD8膜貫通の核酸配列(配列番号34)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATCTACATCTGGGCCCCCCTGGCCGGCACCTGCGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACCCTGTACTGCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0189】
一部の実施形態では、配列番号34に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0190】
8.IL3-WT-nocostim+IgG4 L235E、N297Qヒンジ
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、CD123結合断片、L235E及びN297Q変異を含むIgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0191】
一部の実施形態では、CARは、配列番号35に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号35に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-WT-nocostim+IgG4 L235E、N297ヒンジのアミノ酸配列(配列番号35)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLKTLEESKYGPPCPSCPAPEFEGGPSVFLPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHQAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0192】
一部の実施形態では、CARは、配列番号36に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号36に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-WT-nocostim+IgG4 L235E、N297ヒンジの核酸配列(配列番号36)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCAGCTGCCCCGCCCCCGAGTTCGAGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGNNNTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACNNNGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACNNNGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCNNNGTGTACACCCTGCCCCCCAGCNNNGAGGAGATGACCAAGAACNNNGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCNNNCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCNNNAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0193】
一部の実施形態では、配列番号36に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0194】
9.IL3-WT-nocostim+CD8ヒンジ
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、CD123結合断片、CD8ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る
【0195】
一部の実施形態では、CARは、配列番号37に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号37に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-WT-nocostim+CD8ヒンジのアミノ酸配列(配列番号37)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLKTLETTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0196】
一部の実施形態では、CARは、配列番号38に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号38に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-WT-nocostim+CD8ヒンジの核酸配列(配列番号38)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGACCACCACCCCCGCCCCCAGGCCCCCCACCCCCGCCCCCACCATCGCCAGCNNNCCCCTGAGCCTGAGGCCCGAGGCCTGCAGGCCCGCCGCCGGCGGCGCCGTGCACACCAGGGGCCTGGACTTCGCCTGCGACATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0197】
一部の実施形態では、配列番号38に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0198】
10.IL3-D110A、K116V-nocostim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、D101A及びK116V変異を含むCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0199】
一部の実施形態では、CARは、配列番号39に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号39に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-D110A、K116V-nocostimのアミノ酸配列(配列番号39)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKAGDWNEFRRKLTFYLVTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0200】
一部の実施形態では、CARは、配列番号40に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号40に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-D110A、K116V-nocostimの核酸配列(配列番号40)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGCCGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGGTGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0201】
一部の実施形態では、配列番号40に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0202】
11.IL3-D101A、K116V-41BBcostim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、D101A及びK116V変異を含むCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0203】
一部の実施形態では、CARは、配列番号41に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号41に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-D101A、K116V-41BBcostimのアミノ酸配列(配列番号41)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKAGDWNEFRRKLTFYLVTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0204】
一部の実施形態では、CARは、配列番号42に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号42に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-D101A、K116V-41BBcostimの核酸配列(配列番号42)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGCCGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGGTGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAAGAGGGGCAGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAGGAGGACGGCTGCAGCTGCAGGTTCCCCGAGGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0205】
一部の実施形態では、配列番号42に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0206】
12.IL3-D101A、K116V-CD28costim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、D101A及びK116V変異を含むCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0207】
一部の実施形態では、CARは、配列番号43に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号43に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-D101A、K116V-CD28costimのアミノ酸配列(配列番号43)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKAGDWNEFRRKLTFYLVTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHQYPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0208】
一部の実施形態では、CARは、配列番号44に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号44に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-D101A、K116V-CD28costimの核酸配列(配列番号44)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGCCGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGGTGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGAGCAAGAGGAGCAGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGGAGGCCCGGCCCCACCAGGAAGCACCAGTACCCCTACGCCCCCCCCAGGGACTTCGCCGCCTACAGGAGCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0209】
一部の実施形態では、配列番号44に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0210】
13.IL3-D101A、K116V-nocostim+CD8膜貫通
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、D101A及びK116V変異を含むCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD8膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0211】
一部の実施形態では、CARは、配列番号45に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号45に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-D101A、K116V-nocostim+CD8膜貫通のアミノ酸配列(配列番号45)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKAGDWNEFRRKLTFYLVTLEESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0212】
一部の実施形態では、CARは、配列番号46に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号46に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-D101A、K116V-nocostim+CD8膜貫通の核酸配列(配列番号46)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGCCGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGGTGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATCTACATCTGGGCCCCCCTGGCCGGCACCTGCGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACCCTGTACTGCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0213】
一部の実施形態では、配列番号46に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0214】
14.IL3-D101A、K116V-nocostim+IgG4 L235E、N297Q
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、D101A及びK116V変異を含むCD123結合断片、L235E及びN297変異を含むIgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0215】
一部の実施形態では、CARは、配列番号47に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号47に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-D101A、K116V-nocostim+IgG4 L235E、N297Qのアミノ酸配列(配列番号47)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKAGDWNEFRRKLTFYLVTLEESKYGPPCPSCPAPEFEGGPSVFLPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHQAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0216】
一部の実施形態では、CARは、配列番号48に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号48に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-D101A、K116V-nocostim+IgG4 L235E、N297の核酸配列(配列番号48)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCTCCTCTGCCTCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCTAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCTTGCCTGCCTCTGGCCACCGCCGCCCCTACCAGGCACCCTATCCACATCAAGGCCGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGGTGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCTCCTTGCCCTAGCTGCCCTGCCCCTGAGTTCGAGGGCGGCCCTAGCGTGTTCCTGCCTCCTAAGCCTAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCTGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCTGAGGTGNNNTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACNNNGCCAAGACCAAGCCTAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACNNNGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCTAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCTAGGGAGCCTNNNGTGTACACCCTGCCTCCTAGCNNNGAGGAGATGACCAAGAACNNNGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCTAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCNNNCCTGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCTGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCNNNAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCTAGGAGGAAGAACCCTCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCTCCTAGG
【0217】
一部の実施形態では、配列番号48に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0218】
15.IL3-D101A、K116V-nocostim+CD8ヒンジ
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、D101A及びK116V変異を含むCD123結合断片、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0219】
一部の実施形態では、CARは、配列番号49に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号49に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-D101A、K116V-nocostim+CD8ヒンジのアミノ酸配列(配列番号49)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKAGDWNEFRRKLTFYLVTLETTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0220】
一部の実施形態では、CARは、配列番号50に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号50に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-D101A、K116V-nocostim+CD8ヒンジの核酸配列(配列番号50)
ATGCTGCTGCTGGTGACCAGCCTGCTGCTGTGCGAGCTGCCCCACCCCGCCTTCCTGCTGATCGTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGCCGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGGTGACCCTGGAGACCACCACCCCCGCCCCCAGGCCCCCCACCCCCGCCCCCACCATCGCCAGCNNNCCCCTGAGCCTGAGGCCCGAGGCCTGCAGGCCCGCCGCCGGCGGCGCCGTGCACACCAGGGGCCTGGACTTCGCCTGCGACATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGG
【0221】
一部の実施形態では、配列番号50に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0222】
16.IL3-K116W-nocostim
本明細書に記載される例示的なCAR構築物は、K116W変異を含むCD123結合断片、リンカー領域、IgG4ヒンジドメイン、CD4膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号19によって提供される例示的なシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを更に含み得る。
【0223】
一部の実施形態では、CARは、配列番号51に示される配列を含むアミノ酸配列、又は配列番号51に示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
IL3-K116W-nocostimのアミノ酸配列(配列番号51)
VNCSNMIDEIITHLKQPPLPLLDFNNLNGEDQDILMENNLRRPNLEAFNRAVKSLQNASAIESILKNLLPCLPLATAAPTRHPIHIKDGDWNEFRRKLTFYLWTLEGGGGSGGGGSESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0224】
一部の実施形態では、CARは、配列番号52に示される配列を含む核酸配列によってコードされ、又は配列番号52に示される核酸配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは少なくとも99%同一である核酸配列によってコードされる。
IL3-K116W-nocostimの核酸配列(配列番号52)
GTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGAAGACCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGAGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGACACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGAAGAAAGCTGACCTTCTACCTGTGGACCCTGGAGGGCGGCGGCGGCAGCGGCGGCGGCGGCAGCGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGAACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGAGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGAGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGAGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGACTGACCGTGGACAAGAGCAGATGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGAAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGAAGAGGCAGAGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGAAGAAGAGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA
【0225】
一部の実施形態では、配列番号52に示されるCAR構築物は、ベクター中に含まれる。一部の実施形態では、組換え発現ベクターは、プロモーター(例えば、SFFVプロモーター又はEF1αプロモーター)を含む。
【0226】
一部の実施形態では、本明細書の任意のヌクレオチド配列は、コドン最適化されてもよい。特定の理論又は機序に拘束されないが、ヌクレオチド配列をコドン最適化することによって、mRNA転写物の翻訳効率が増加すると考えられている。ヌクレオチド配列のコドン最適化には、天然コドンを、同じアミノ酸をコードするが、細胞内で更に容易に利用効率が高くtRNAにより翻訳され得る別のコドンに置き換えて、翻訳効率を増加させることが含まれてもよい。ヌクレオチド配列の最適化には、翻訳を妨害するmRNA二次構造を減少させ、それによって翻訳効率を増加させることが含まれてもよい。本発明の一実施形態では、コドン最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書に記載される核酸配列のいずれか1つを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になることができる。
【0227】
本明細書に記載される核酸のいずれも、組換え体であってよい。本明細書で使用される場合、「組換え体」という用語は、(i)生細胞で複製することができる核酸分子に、天然又は合成の核酸セグメントを結合することによって、生細胞の外側で構築される分子、又は(ii)上記(i)に記載される分子の複製から生じる分子、を指す。本明細書の目的に対し、複製は、インビトロ複製又はインビボ複製であってもよい。
【0228】
組換え型核酸は、天然に存在しない配列を有するもの、又は別手段により分離された2つの配列のセグメントの人工的な組み合わせにより作製される配列を有するもの、であってもよい。この人工的な組み合わせは多くの場合、化学合成によって行われ、又はより一般的には、単離された核酸セグメントの人工的な操作、例えば、上記のGreenらに記載される技術などの遺伝子操作技術によって行われる。核酸は、当技術分野で公知の手順を使用して、化学合成及び/又は酵素ライゲーション反応に基づいて構築され得る。例えば、上記のGreenらを参照のこと。例えば、核酸は、天然ヌクレオチド又は様々に改変されたヌクレオチドを使用して科学的に合成されてもよい。改変ヌクレオチドは、分子の生物学的安定性を高める、又はハイブリダイゼーション時に形成される二重鎖の物理的安定性を高めるよう設計される(例えば、ホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換ヌクレオチド)。核酸を生成するために使用され得る改変ヌクレオチドの例としては限定されないが、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-置換アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルキューオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、及び2,6-ジアミノプリンが挙げられる。あるいは本発明の核酸の1つ以上は、例えばMacromolecular Resources(コロラド州フォートコリンズ)及びSynthegen(テキサス州ヒューストン)などの企業から購入することができる。
【0229】
核酸は、CAR又はその機能的部分若しくは機能的バリアントのいずれかをコードする、任意の単離された、又は精製されたヌクレオチド配列を含んでもよい。あるいは、ヌクレオチド配列は、当該配列のいずれかに対して縮重された、又は縮重配列の組み合わせであるヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0230】
また本明細書において、本明細書に記載される核酸のいずれかのヌクレオチド配列に対して相補的であるヌクレオチド配列、又は本明細書に記載される核酸のいずれかのヌクレオチド配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、単離された、又は精製された核酸も提供される。
【0231】
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列は、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る。「高ストリンジェント条件」という用語は、非特異的ハイブリダイゼーションよりも検出可能に強い量で、標的配列(本明細書に記載される核酸のいずれかのヌクレオチド配列)に特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を指す。高ストリンジェント条件には、正確な相補的配列を有するポリヌクレオチド、又は少数の散在するミスマッチのみを含有するポリヌクレオチドを、ヌクレオチド配列に合致する小さな領域(例えば、3~10塩基)を偶然に有するランダム配列から識別する条件が含まれる。そのような小さな相補的領域は、14~17個以上の塩基の全長相補鎖よりも簡単に融解するため、高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーションによって、簡単にそれらを識別することができる。比較的高ストリンジェンシーな条件には、例えば、低塩及び/又は高温の条件、例えば、約0.02~0.1M NaCl又は同等物によって、約50~70℃の温度で提供される条件が含まれる。そのような高ストリンジェンシーな条件は、ヌクレオチド配列と鋳型又は標的配列の間にミスマッチが存在する場合、それが許容されることがほとんどなく、本明細書に記載されるCARのいずれかの発現の検出に特に好適である。ホルムアミドの量を増やして添加することによって、条件はよりストリンジェントになり得ると一般に認識されている。
【0232】
本開示は、本明細書に記載される核酸のいずれかと、少なくとも約70%以上、例えば、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。また、本明細書に記載されるCARのいずれかの機能的部分も本開示の範囲内である。
【0233】
治療方法
本開示の態様は、対象に関連する疾患、障害又は状態を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、本明細書に記載されるCAR、核酸、CARのいずれかを発現する細胞、又は医薬組成物のいずれかの治療有効量を当該対象に投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞(例えば、細胞集団)を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象におけるがんを治療するための方法であり、当該方法は、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞(例えば、細胞集団)を含む治療有効量の医薬組成物を当該対象に投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象における造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を治療するための方法であり、当該方法は、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞(例えば、細胞集団)を含む治療有効量の医薬組成物を当該対象に投与することを含む。
【0234】
別の態様では、方法は、対象において標的細胞又は組織(例えば、がん、腫瘍細胞)に対する免疫応答を刺激するためのものであり、当該方法は、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞(例えば、細胞集団)を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、免疫応答の刺激を必要とする対象において免疫応答を刺激するための医薬品の製造における、本明細書に記載される改変細胞の使用を含む。一部の実施形態では、方法は、がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療のための医薬品の製造における、本明細書に記載のCAR、核酸、CARのいずれかを発現する細胞、又は医薬組成物のいずれかの使用を含む。一部の実施形態では、方法は、造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍の治療を必要とする対象におけるその治療のための医薬品の製造における、本明細書に記載のCAR、核酸、CARのいずれかを発現する細胞、又は医薬組成物のいずれかの使用を含む。
【0235】
本明細書に記載されるように生成された改変細胞(例えば、Tリンパ球、NK細胞などの免疫細胞)は、標的にするエフェクター活性を保有する。一部の実施形態では、改変細胞は、例えば、本明細書に記載のCARのいずれかのIL-3分子又はそのCD123結合断片の特異的結合を介して、標的細胞上の抗原に対して指向される標的のエフェクター活性を有する。別の実施形態では、標的にするエフェクター活性としては限定されないが、貪食作用、標的化細胞の細胞傷害性、抗原提示、及びサイトカイン分泌が挙げられる。
【0236】
本明細書に記載されるCAR(その機能的部分及びバリアントを含む)、核酸、ベクター、及び本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞、例えばTリンパ球、NK細胞などの免疫細胞(その集団を含む)は、「CAR材料」と集合的に呼称される。
【0237】
医薬組成物
本明細書に記載されるCAR材料は、例えば医薬組成物などの組成物に製剤化されてもよい。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるCAR材料のいずれかと、薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。CAR材料のいずれかを含有する医薬組成物は、2つ以上のCAR材料、例えば、CAR、核酸、又は2つ以上の異なるCAR、CARのいずれか発現する細胞を含んでもよい。あるいは医薬組成物は、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどの化学療法剤など、他の薬学的に活性な剤又は薬品と組み合わせたCAR材料を含んでもよい。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞、又は当該細胞集団を含む。
【0238】
医薬組成物に関して、薬学的に許容可能な担体は、従来から使用されている任意の担体であってもよく、例えば溶解性、及び活性剤との反応性の欠落などの化学-物理的な検討事項、及び投与経路によってのみ、制限される。本明細書に記載される薬学的に許容可能な担体、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、及び希釈剤は、当業者に公知であり、一般的に容易に入手可能である。薬学的に許容可能な担体は、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有しない担体であることが好ましい。
【0239】
担体の選択は、特定のCAR材料によって、並びに例えば対象にCAR材料を投与するために使用される特定の方法によって、部分的に決定される。したがって、本発明の医薬組成物に関して、様々な適した製剤がある。投与可能な(例えば、非経口的に投与可能な)組成物を調製する方法は、当業者には公知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Pharmaceutical Press;22nd ed.(2012)により詳細に記載されている。
【0240】
CAR物質のいずれかを含む医薬組成物を含むCAR材料は、任意の適切な方法で投与され得る。一部の実施形態では、CAR材料は、注射(例えば、皮下注射、静脈内注射、腫瘍内注射、動脈内注射、筋肉内注射、皮内注射、腹腔内注射、又は髄腔内注射)によって投与される。一部の実施形態では、CAR材料のいずれかを含む医薬組成物を含む、CAR材料は、静脈内投与される。一部の実施形態では、CAR材料のいずれかを含む医薬組成物を含む、CAR材料は、点滴により投与される。注射用の本明細書に記載されるCAR材料に適した薬学的に許容可能な担体としては、例えば、通常の生理食塩水(約0.90% w/v NaClの水溶液、約300mOsm/L NaClの水溶液、又は水1リットル当たり約9.0g NaCl)、NORMOSOL-R電解質溶液(Abbott、イリノイ州シカゴ)、PLASMA-LYTE A(Baxter、イリノイ州ディアフィールド)、約5%デキストロース水溶液、又は乳酸リンゲル液などの任意の等張性の担体が挙げられる。一部の実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、ヒト血清アルブメン(albumen)が補充される。
【0241】
治療的用途又は予防的用途に有効な量は、例えば、治療される疾患又は障害の段階及び重症度、患者の年齢、体重、及び全般的な健康状態、並びに処方医師の判断に依存する。用量のサイズはまた、活性の選択、投与方法、投与のタイミング及び頻度、特定の活性成分の投与に付随し得る任意の有害な副作用の存在、性質、及び範囲、並びに望ましい生理学的効果によって決定される。様々な疾患又は障害が、例えば、各投与又は様々な投与ラウンドで本明細書に記載されるCAR材料を使用する、複数回の投与を伴う長期的な治療を必要とする可能性があることを当業者であれば理解するであろう。例として、本発明を限定することは意図していないが、CAR材料が、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞である場合、細胞の例示的な用量は、最小で百万個の細胞(1×10細胞/用量)であってもよい。
【0242】
投与されるCAR物質の量又は用量は、合理的な時間枠にわたって、対象又は動物において治療的又は予防的応答をもたらすのに十分であるべきである。例えば、CAR材料の用量は、抗原(すなわち、CD123)に結合するのに十分でなければならず、又は、約2時間以上、例えば約12時間~約24時間以上、例えば投与時から約1日~6か月などの期間、疾患の1つ以上の症状の低減、及び/又は疾患の進行の遅延を含む、がん、又は造血器悪性腫瘍若しくは前悪性腫瘍を検出、治療又は予防するのに十分でなければならない。一部の実施形態では、期間は更に長くなる場合がある。用量は、例えば特定のCAR材料の有効性、治療される動物(例えば、ヒト)の体重を含む動物(例えば、ヒト)の状態、及び対象の疾患の重症度などの因子によって決定される。
【0243】
例えば、対象にそのような細胞の所与の用量を投与した際に、それぞれが異なる用量の免疫細胞を投与される一連の対象の間で、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞によって、標的細胞が溶解される程度を比較すること、及び/又はIFN-ガンマ又はIL-2が分泌される程度を比較することなどを含むアッセイを使用して、対象に投与される開始用量を決定し得る。特定の用量の投与の際に、標的細胞が溶解される程度、及び/又はIFN-ガンマ若しくはIL-2が分泌される程度は、当技術分野で公知の方法で分析することができる。
【0244】
CAR材料が1つ以上の追加的な治療剤とともに投与される場合、1つ以上の追加の治療剤は、対象に同時投与されてもよい。「同時投与すること」という用語は、CAR材料が、1つ以上の追加的治療剤の効果を高めることができるよう、1つ以上の追加的な治療剤と、CAR材料とを十分に近い時間内に投与することを指し、逆もまた然りである。これに関して、CAR材料が最初に投与され、1つ以上の追加的治療剤は2番目に投与されてもよく、逆もまた然りである。あるいは、CAR構築物材料と1つ以上の追加的治療剤は、同時に投与されてもよい。CAR材料と同時投与され得る例示的治療剤は、IL-2である。
【0245】
本明細書に記載されるCAR構築物材料は、対象における疾患を治療又は予防する方法に使用され得ることが企図される。特定の理論又は機序に拘束されないが、CAR構築物は生物学的活性を有しており、例えば抗原、すなわちCD123を認識するCARであり、CARが細胞により発現されたとき、抗原、すなわちCD123を発現している細胞に対する免疫応答を媒介することができる。これに関し、一部の実施形態では、対象の疾患、障害又は状態(例えば、がん、造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍)を治療又は予防する方法は、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARを発現する細胞、若しくは当該細胞の集団のうちのいずれか、及び/又は医薬組成物のいずれかを、当該対象において、対象の疾患、障害又は状態(例えば、がん、造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍)を治療又は予防するのに有効な量で、当該対象に投与することを含む。
【0246】
一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載されるCAR材料のいずれかを投与する前に、対象をリンパ球除去することを更に含む。リンパ球除去の例としては限定されないが、非骨髄破壊的なリンパ球除去化学療法、骨髄破壊的なリンパ球除去化学療法、全身放射線照射などが挙げられる。
【0247】
一部の実施形態では、CARを発現する細胞、又はそのような細胞集団は、対象に対して同種又は自己。
【0248】
治療方法に関して、一部の実施形態では、疾患、障害、又は状態は、がんである。がんは、任意のがんであってもよく、急性リンパ球性のがん、急性骨髄性白血病(AML)、胞巣型横紋筋肉腫(alveola rhabdomyosarcoma)、膀胱がん(例えば、膀胱がん腫)、骨がん、脳がん(例えば、髄芽腫)、乳がん、肛門、肛門管、又は肛門直腸のがん、眼のがん、肝内胆管のがん、関節のがん、首、胆嚢又は胸膜のがん、鼻、鼻腔又は中耳のがん、口腔のがん、外陰部のがん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、頭頸部がん(例えば、頭頸部の扁平上皮細胞がん腫)、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、白血病、液性腫瘍、肝がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん腫)、リンパ腫、悪性中皮腫、マスト細胞腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、鼻咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、B細胞型慢性リンパ球性白血病、B細胞前駆型急性リンパ芽球性白血病(B-ALL:B-precursor acute lymphoblastic leukemia)、前駆B細胞前駆型急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL:pre-B cell precursor acute lymphoblastic leukemia)、B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びバーキットリンパ腫、卵巣がん、膵がん、腹膜、網、及び腸間膜のがん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、固形腫瘍、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、並びに尿管がんのいずれかが挙げられる。好ましくは、がんは、血液悪性腫瘍(例えば限定されないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、CLL、急性リンパ球性のがん、急性骨髄性白血病(AML)、B細胞型慢性リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)(急性リンパ芽球性白血病とも呼称される)、B-ALL、BCP-ALL、B細胞リンパ腫、及びバーキットリンパ腫を含む白血病又はリンパ腫)である。好ましくは、がんは、CD123の発現を特徴とする。
【0249】
一部の実施形態では、疾患、障害、又は状態は、造血器悪性腫瘍又は血液のがんである。一部の実施形態では、悪性腫瘍は、リンパ性の悪性腫瘍又は骨髄性の悪性腫瘍である。一部の実施形態では、疾患、障害、又は状態は、造血器悪性腫瘍である。一部の実施形態では、疾患、障害、又は状態は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)などの白血病である。AMLは、重要な分化経路及び増殖制御経路を破壊する重大な遺伝子変化を徐々に獲得した形質転換細胞を起源とする不均一でクローン性の腫瘍性疾患を特徴とする。(Dohner et al.,NEJM,(2015)373:1136)。理論に拘束されることは望まないが、一部の実施形態では、CD123が骨髄性白血病細胞並びに正常な骨髄前駆体と単球前駆体上で発現されており、AML治療の有望な標的となると考えられている。
【0250】
一部の実施形態では、CD123と関連付けられた造血器悪性腫瘍又は血液疾患は、例えば骨髄異形成、骨髄異形成症候群又は前白血病などの前がん性の状態である。骨髄異形成症候群(MDS)は、無秩序で無効な造血又は血液産生を特徴とする血液の疾患である。したがって、血液形成細胞の数と質が不可逆的に低下している。MDS患者の一部は重度の貧血を発症し、他の患者は無症候性である。MDSの分類スキームは当技術分野に公知であり、例えば骨髄芽球、単球及び赤血球の前駆体など、特定の血液細胞型の比率又は頻度を指定する基準がある。MDSには、難治性の貧血、環状鉄芽球を伴う難治性貧血、過剰な芽球を伴う難治性貧血、形質転換した過剰な芽球を伴う難治性貧血、慢性骨髄単球性白血病(CML)が含まれる。一部の実施形態では、MDSは、急性骨髄性白血病(AML)に進行する可能性がある。
【0251】
更に、本明細書に記載される方法によって提供される治療又は予防には、治療される、又は予防される疾患の1つ以上の状態又は症状を治療又は予防することが含まれ得る。
【0252】
本開示の態様はまた、対象における疾患、障害又は状態の存在を検出する方法を提供するものであり、当該方法は、(a)当該対象からの1つ以上の細胞を含む試料と、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、当該細胞の集団のうちのいずれか、又は医薬組成物のいずれかとを接触させ、それにより複合体(例えば、CARと標的抗原(すなわち、CD123)との間)を形成させることと、(b)当該複合体を検出することと、を含み、当該複合体の検出は、対象において疾患、障害又は状態が存在することを示す。
【0253】
試料は、任意の好適な方法、例えば、生検又は剖検によって取得されてもよい。生検は、個体から組織及び/又は細胞を取り出すことである。そのような取り出しは、取り出された組織及び/又は細胞に対して実験を実施するために、個体から組織及び/又は細胞を収集することであってもよい。この実験には、個体が特定の状態又は疾患状態を有する、及び/又は罹患しているかを判定するための実験を含んでもよい。状態又は疾患は、例えば、がん、造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍であってもよい。
【0254】
一部の実施形態では、対象の細胞を含む試料は、全細胞、その溶解物、又は全細胞溶解物の画分であってもよく、例えば、核画分又は細胞質画分、細胞可溶化物全体の画分、例えば、核若しくは細胞質画分、全タンパク質画分、又は核酸画分を含む試料であってもよい。試料が全細胞を含む場合、当該細胞は、対象の任意の細胞、例えば、血液細胞又は内皮細胞を含む任意の器官又は組織の細胞であってもよい。
【0255】
一部の実施形態では、試料と、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、当該細胞の集団のうちのいずれか、又は医薬組成物のいずれかとの接触は、対象に関してインビトロ又はインビボで行われてもよい。接触は、インビトロであることが好ましい。
【0256】
複合体の検出は、当技術分野で公知の様々な方法によって行われ得る。例えば、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、当該細胞の集団のうちのいずれか、又は医薬組成物のいずれかは、例えば、放射性同位体、フルオロフォア(例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ)、及び元素粒子(例えば、金粒子)などの検出可能な標識で標識されてもよい。
【0257】
標的細胞を認識する能力、及び抗原特異性についてCARを試験する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Clay et al.,J.Immunol.(1999)163:507-513には、サイトカイン(例えば、インターフェロン-ガンマ、顆粒球/単球コロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF-a)、又はインターロイキン2(IL-2)の放出を測定する方法について教示している。更に、CAR機能は、Zhao et al.,J.Immunol.(2005)174:4415-4423に記載されているように、細胞傷害性の測定によって評価できる。
【0258】
CD123を欠損した造血細胞
本開示の態様は、CD123標的抗原を阻害するための組成物及び方法を提供する。そのような治療レジメンには例えば、以下のステップが含まれ得る:(1)患者に治療有効量の細胞又は細胞集団(例えば免疫細胞、例えばTリンパ球、NK細胞など)を投与するステップであって、当該細胞は、本明細書に記載されるCD123を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)のいずれかをコードする核酸配列を含む、ステップ、及び(2)患者に、自己又は同種のいずれかである造血幹細胞を投与する(例えば、注入する、又は再注入する)ステップであって、当該造血細胞は、CD123の発現が低下している、ステップ。一部の実施形態では、造血細胞は、CD123の発現が低下又は消失するように遺伝子改変される。
【0259】
一部の実施形態では、造血細胞は、造血幹細胞(HSC)である。一部の実施形態では、造血細胞は、造血前駆細胞(HPC)である。造血幹細胞(HSC)は、骨髄系前駆細胞及びリンパ系前駆細胞の両方を生じさせることができる幹細胞であり、それら前駆細胞は更に骨髄系細胞(例えば、単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、樹状細胞、赤血球、血小板など)及びリンパ系細胞(例えば、T細胞、B細胞、NK細胞)をそれぞれ生じさせることができる。HSCは、HSCの特定及び/又は単離に使用することができる細胞表面マーカーのCD34の発現(例えば、CD34+)、並びに細胞系統への関与に関連付けられる細胞表面マーカーの不在によって特徴付けられる。一部の実施形態では、HSCは、末梢血HSCである。
【0260】
一部の実施形態では、造血細胞は、例えば哺乳動物対象などの対象から取得される。一部の実施形態では、哺乳動物対象は、非ヒト霊長類、齧歯類(例えば、マウス又はラット)、ウシ、ブタ、ウマ、又は家畜である。一部の実施形態では、造血細胞は、例えば造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を有するヒト患者などのヒト患者から取得される。一部の実施形態では、造血細胞は、健康なドナーから取得される。一部の実施形態では、造血細胞は、キメラ抗原受容体を発現する免疫細胞がその後に投与される対象から取得される。
【0261】
HSCは、当技術分野で公知の慣習的手段を使用して、任意の好適な供給源から取得されてもよい。一部の実施形態では、HSCは、例えば骨髄試料又は血液試料など、対象に由来する試料から取得される。代替的に、又は更に、HSCは、へその帯から取得されてもよい。一部の実施形態では、HSCは、骨髄又は末梢血単核細胞(PBMC)に由来する。概して骨髄細胞は、対象の腸骨稜、大腿骨、脛骨、脊椎、肋骨、又は他の髄腔から取得されてもよい。骨髄は、患者から採取されてもよく、当技術分野で公知の様々な分離手順及び洗浄手順によって単離されてもよい。骨髄細胞の単離に関する手順例は、以下のステップを含む:a)骨髄試料を抽出するステップ、b)骨髄懸濁液を三分割に遠心分離し、中間の画分又はバフィーコートを収集するステップ、c)ステップ(b)のバフィーコート画分を分離液、一般的にはFicoll(商標)中でもう一度遠心分離し、骨髄細胞を含有する中間の画分を収集するステップ、及びd)ステップc)から収集した画分を洗浄して、再輸血用骨髄細胞を回収するステップ。造血幹細胞などの哺乳動物細胞を取得する方法は、例えば、その全体で参照により本明細書に組み込まれるPCT出願第US2016/057339号に記載されている。
【0262】
HSCは典型的には骨髄内に存在するが、末梢血からHSCを採取するための動員作用剤を投与することによって循環血液内に動員させることができる。一部の実施形態では、HSCが取得される対象は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などの動員作用剤が投与される。動員作用剤を使用して動員した後に収集されるHSCの数は、典型的には、動員作用剤を使用せずに取得される細胞の数よりも多い。
【0263】
一部の実施形態では、試料は、対象から取得され、次いで、所望の細胞型(例えば、CD34+/CD33-細胞)に濃縮される。例えば、PBMC及び/又はCD34+造血細胞は、本明細書に記載されるように血液から単離することができる。また細胞は、例えば、所望の細胞型の細胞表面上のエピトープに結合する抗体を用いて単離及び/又は活性化することによって、他の細胞から単離することもできる。使用され得る別の方法例は、細胞表面マーカーに対する抗体を使用して、受容体の係合によって細胞を活性化することなく特定の細胞型を選択的に濃縮するネガティブ選択を含む。
【0264】
標的抗原(すなわち、CD123)を欠損するようにHSCを遺伝子操作する前、又は後に、HSC集団を拡張させてもよい。細胞は、例えば、幹細胞因子(SCF)、Flt-3リガンド(FLt3L)、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン3(IL-3)、又はインターロイキン6(IL-6)など、1つ以上のサイトカインを含む拡張培地を含む条件下で培養されてもよい。細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、23、25日間、又は任意の必要な期間、拡張されてもよい。一部の実施形態では、HSCは、対象から取得された試料から所望の細胞集団(例えば、CD34+/CD33-)の単離後、遺伝子操作前に、拡張される。一部の実施形態では、HSCは、遺伝子操作された後に拡張され、それにより、遺伝子改変を受けて、系統特異的細胞表面抗原を欠損する細胞が選択的に拡張される。一部の実施形態では、遺伝子改変後に望ましい特性(例えば、表現型又は遺伝子型)を有する細胞(「クローン」)又はいくつかの細胞が選択され、独立して拡張することができる。
【0265】
一部の実施形態では、造血細胞は、がん抗原又は疾患、障害、若しくは状態に関連する抗原などの標的抗原が欠損するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、造血細胞は、本明細書に記載されるCARにより標的とされる抗原と同じ標的抗原を欠損するよう遺伝子操作される。一部の実施形態では、造血細胞は、CD123を欠損するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、造血細胞は、アルファサブユニット又はベータサブユニットなどのCD123のサブユニットが欠損するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、造血細胞は、CD123のアルファサブユニットを欠損するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、造血細胞は、CD123のベータサブユニットを欠損するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、造血細胞は、CD123のアルファサブユニットとベータサブユニットの両方を欠損するように遺伝子操作される。本明細書で使用される場合、遺伝子操作された造血細胞と同型の天然造血細胞(例えば、CD34などの同じ細胞表面マーカーの存在を特徴とする)と比較して、標的抗原の発現が大幅に低下している場合、当該造血細胞は、標的抗原を欠損しているとみなされる。一部の実施形態では、造血細胞は、標的抗原の検出可能な発現を有さない。標的抗原の発現レベルは、当技術分野で公知の任意の手段により評価することができる。例えば、標的抗原の発現レベルは、抗原特異的抗体を用いた抗原を検出すること(例えば、フローサイトメトリー法、ウェスタンブロッティング法)により、及び/又は当該抗原をコードする転写物のレベルを測定すること(例えば、RT-qPCR、マイクロアレイ)により、評価され得る。
【0266】
一部の実施形態では、遺伝子操作された造血細胞上の標的抗原の発現が、天然に存在する造血細胞上の標的抗原の発現と比較される。一部の実施形態では、遺伝子操作によって、標的抗原の発現レベルが、天然に存在する造血細胞上の標的抗原の発現と比較して、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%低下する。
【0267】
一部の実施形態では、造血細胞は、標的抗原をコードする内因性遺伝子全体が欠損している。一部の実施形態では、標的抗原をコードする内因性遺伝子全体が欠失している。一部の実施形態では、造血細胞は、標的抗原をコードする内因性遺伝子の一部を含む。一部の実施形態では、造血細胞は、標的抗原の一部(例えば、短縮型(truncated)タンパク質)を発現する。他の実施形態では、標的抗原をコードする内因性遺伝子の一部が欠失している。一部の実施形態では、標的抗原をコードする遺伝子の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又はそれ以上が欠失している。
【0268】
当業者に理解されるように、造血細胞が抗原を欠損する(例えば、抗原の発現が大幅に低下する)ように、標的抗原をコードするヌクレオチド配列の一部、又は1つ以上の非コード配列が欠失していてもよい。
【0269】
一部の実施形態では、標的抗原は、CD123である。CD123の予測構造には、リガンド(例えば、IL-3)に結合するアルファサブユニット、及びシグナルを伝達するベータサブユニットが含まれる。一部の実施形態では、CD123のアルファサブユニット(又はその一部)は、欠失される。一部の実施形態では、CD123のベータサブユニット(又はその一部)は、欠失される。一部の実施形態では、CD123のアルファサブユニット及びベータサブユニットの両方が欠失している。
【0270】
標的抗原を欠損するHSCなど、任意の遺伝子操作造血細胞は、通常の方法又は本明細書に記載される方法により調製することができる。一部の実施形態では、遺伝子操作は、ゲノム編集を使用して実施される。本明細書で使用される場合、「ゲノム編集」とは、生物の任意のタンパク質をコードするヌクレオチド配列又はコードしないヌクレオチド配列を含むゲノムを改変して、当該標的遺伝子の発現をノックアウトする方法を指す。概してゲノム編集法には、例えば、標的とするヌクレオチド配列でゲノムの核酸を切断することができるエンドヌクレアーゼの使用が伴う。ゲノム中の二本鎖切断の修復は、変異を導入して修復されてもよく、及び/又は外来性核酸が当該標的部位に挿入されてもよい。
【0271】
概してゲノム編集法は、標的核酸中の二本鎖切断の生成に関与するエンドヌクレアーゼのタイプに基づいて分類される。これらの方法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクター系ヌクレアーゼ(TALEN:transcription activator-like effector-based nuclease)、メガヌクレアーゼ、及びCRISPR/Casシステムの使用が含まれる。本明細書に記載されるHSCのゲノムを編集する方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開第2017/066760号に見出すことができる。
【0272】
併用療法
本明細書に記載されるように、本明細書に記載されるCD123を標的とするCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、及び/又は医薬組成物のいずれかは、標的抗原(すなわち、CD123)が欠損している造血細胞と組み合わせて対象に投与されてもよい。
【0273】
一部の実施形態では、剤及び/又は造血細胞は、薬学的に許容可能な担体と混合されて医薬組成物を形成してもよく、これもまた本開示の範囲内である。
【0274】
本明細書に記載される方法を実施するために、本明細書に記載されるCD123を標的とするCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、及び/又は医薬組成物のいずれかの有効量、及び有効量の造血細胞は、治療の必要のある対象に同時投与することができる。
【0275】
本明細書に記載されるように、造血細胞、及び/又はキメラ抗原受容体を発現する細胞(例えば、免疫細胞)は、対象に対して自己のものであってもよく、すなわち、細胞は、治療の必要のある対象から取得され、標的抗原の発現が欠損するように遺伝子操作されて、又はキメラ抗原受容体を発現するように遺伝子操作されて、その後、同じ対象に投与される。対象に自己細胞を投与することによって、自己ではない細胞を投与する場合と比較して、細胞の拒絶反応の軽減をもたらし得る。あるいは、造血細胞、及び/又はキメラ抗原受容体を発現する細胞(例えば、免疫細胞)は、対象に対して同種のものであってもよく、すなわち、細胞は、第1の対象から取得され、標的抗原の発現が欠損するように遺伝子操作されて、又はキメラ抗原受容体構築物を発現するよう遺伝子操作されて、同種であるが第1の対象とは異なる第2の対象に投与される。例えば、同種の免疫細胞は、ヒトドナー(例えば、健康なドナー)に由来してもよく、ドナーとは異なるヒトレシピエントに投与されてもよい。
【0276】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞(例えば、免疫細胞)、及び/又は造血細胞は、同種細胞であり、移植片対宿主病を軽減するように更に遺伝子操作される。例えば、本明細書に記載される場合、造血幹細胞は、CD45RAの発現が低下するように(例えば、ゲノム編集を使用して)遺伝子操作されてもよい。
【0277】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞(例えば、免疫細胞)は、標的細胞(例えば、がん細胞、悪性細胞)の数が、少なくとも20%、例えば、50%、80%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、又はそれ以上減少させるのに有効な量で、対象に投与される。
【0278】
哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される細胞、すなわち本明細書に記載されるCARのいずれかを発現する細胞(例えば、免疫細胞)、又は造血細胞の典型的な量は、例えば、100万~1,000億個の細胞の範囲内であってもよいが、この例示的な範囲を下回る、又は上回る量も、本開示の範囲内である。例えば、細胞の1日用量は、約100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、又は前述の値のいずれか2つにより規定される範囲)、好ましくは約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、又は前述の値のうちのいずれか2つにより規定される範囲)、より好ましくは、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞、又は前述の値のうちのいずれか2つにより規定される範囲)であってもよい。
【0279】
一実施形態では、CAR(例えば、キメラ受容体をコードする核酸)が、細胞(例えば、免疫細胞)に導入され、対象(例えば、ヒト患者)は、CARを発現する細胞の初回投与又は初回用量を受ける。CARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)のその後の1回以上の投与は、前回の投与から15日後、14日後、13日後、12日後、11日後、10日後、9日後、8日後、7日後、6日後、5日後、4日後、3日後、又は2日後の間隔で患者に提供されてもよい。CARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)の複数回の用量を、1週間当たり、例えば、2、3、4回、又はそれ以上の細胞投与で、対象に投与されてもよい。対象は、1週間当たり複数回の用量のCARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)を投与されてもよく、その後1週間は細胞投与を行わず、その後、最後に1回以上の追加的用量のCARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)を投与されてもよい(例えば、1週間当たり、2回以上の細胞投与)。CARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)は、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、又はそれ以上の期間、1週間当たり3回の投与を隔日で投与されてもよい。
【0280】
一部の実施形態では、方法は、CD123を標的とするCARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)、及び抗原(例えば、CD123)を欠損する造血細胞の集団の投与を伴う。したがって、そのような治療方法において、CARは、標的抗原を発現する標的細胞を認識(結合)し、標的化殺傷を行う。標的抗原が欠損している造血細胞によって、細胞/CARによって標的とされる細胞型が再増殖され得る。一部の実施形態では、患者の治療には以下のステップが含まれ得る:(1)CD123を標的とするCARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)の治療有効量を患者に投与するステップ、及び(2)自己又は同種である造血幹細胞を患者に注入又は再注入するステップであって、造血細胞は、標的抗原(すなわち、CD123)の発現が低下している、ステップ。一部の実施形態では、患者の治療には以下のステップが含まれ得る:(1)CD123を標的とするCARを発現する細胞(例えば、免疫細胞)の治療有効量を患者に投与するステップであって、当該細胞は、細胞表面系統特異的な疾患関連抗原(すなわち、CD123)に結合するキメラ抗原受容体をコードする核酸配列を含む、ステップ、及び(2)自己又は同種である造血細胞(例えば、造血幹細胞)を患者に注入又は再注入するステップであって、当該造血細胞は、系統特異的な疾患関連抗原(すなわち、CD123)の発現が低下している、ステップ。
【0281】
本明細書に記載される、CAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれかと、標的抗原が欠損した造血細胞集団を使用した治療方法の有効性は、当技術分野で公知の任意の方法により評価することができ、熟練した医学分野の専門家には明白である。例えば、療法の有効性は、対象の生存、又は対象若しくは組織又はその試料中のがんの量によって評価されてもよい。一部の実施形態では、療法の有効性は、細胞の特定の集団又は系統に属する細胞の数を定量化することによって評価される。一部の実施形態では、療法の有効性は、標的抗原(すなわち、CD123)を提示する細胞の数を定量化することによって評価される。
【0282】
一部の実施形態では、本明細書に記載される、CAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物うちのいずれかと、造血細胞集団とは同時に投与される。
【0283】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれかが投与され、その後に造血細胞が投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれかは、造血細胞の投与の少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、3か月、4か月、5か月、6か月又はそれ以上前に投与される。
【0284】
一部の実施形態では、造血細胞は、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれかの前に投与される。一部の実施形態では、造血細胞集団は、本明細書に記載される、CAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれかの投与の、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、3か月、4か月、5か月、6か月又はそれ以上前に投与される。
【0285】
一部の実施形態では、本明細書に記載される、CAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれかと、及び造血細胞集団とは実質的に同時に投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載される、CAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれかが投与され、患者が一定期間について評価され、造血細胞集団が投与され、患者が一定期間について評価され、その後、本明細書に記載される、CAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のいずれかが投与される。
【0286】
また、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれか、及び/又は造血細胞集団の複数回の投与(例えば、用量)も本開示の範囲内である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれか、及び/又は造血細胞集団が、対象に1回投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれか、及び/又は造血細胞集団が、対象に複数回(例えば、少なくとも2、3、4、5回、又はそれ以上の回数)投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、CARのいずれかを発現する細胞、又は前述のいずれかを含む医薬組成物のうちのいずれか、及び/又は造血細胞集団が、一定間隔、例えば6か月ごとに対象に投与される。
【0287】
一部の実施形態では、対象は、造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を有するヒト対象である。一部の実施形態では、対象は、造血器悪性腫瘍又は前悪性腫瘍を有すると診断されているヒト対象である。本明細書で使用される場合、造血器悪性腫瘍とは、造血細胞(例えば、前駆細胞及び幹細胞を含む、血液細胞)が関与する悪性異常を指す。造血器悪性腫瘍及び/又は前悪性腫瘍の例としては限定されないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、又は多発性骨髄腫が挙げられる。白血病には、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、及び慢性リンパ性白血病が含まれる。一部の実施形態では、造血器悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)である。一部の実施形態では、造血器悪性腫瘍は、骨髄異形成症候群(MDS)である。
【0288】
治療用キット
また標的抗原(例えば、CD123)又はその一部を欠損している造血細胞の集団と組み合わされた、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、及び/又はCARを発現する細胞のいずれかを使用のためのキットも本開示の範囲内である。そのようなキットには、本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、及び/又はCARのうちのいずれかを発現する細胞のうちのいずれかと、薬学的に許容可能な担体と、を含む、第1の医薬組成物、並びに標的抗原(すなわち、CD123)又はその一部を欠損する造血細胞の集団と、薬学的に許容可能な担体とを含む第2の医薬組成物を含む1つ以上の容器が含まれていてもよい。
【0289】
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかにおける使用のための説明書を含み得る。含まれる説明書は、対象において意図される活性を実現するために、第1の医薬組成物及び第2の医薬組成物を対象に投与することに関する説明を含み得る。キットは、対象が当該治療を必要とするかどうかの識別に基づいて、治療に適した対象を選択することに関する記載を更に含んでもよい。一部の実施形態では、説明書は、当該治療を必要とする対象に、第1及び第2の医薬組成物を投与することに関する記述を含む。
【0290】
本明細書に記載されるCAR、核酸、ベクター、及び/又はCARのいずれかを発現する細胞、並びに本明細書に記載される第1及び第2の医薬組成物の使用に関する説明書は概して、意図される治療に対する用量、投与スケジュール、及び投与経路についての情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)又はサブユニット用量であってもよい。本開示のキットにおいて供給される説明書は、典型的には、ラベル又は添付文書に書面で記述された説明書である。ラベル又は添付文書は、当該医薬組成物が、対象における疾患又は障害を治療する、発症を遅延させる、及び/又は緩和するために使用されることを示す。
【0291】
本明細書に提供されるキットは、好適なパッケージに入っている。適切なパッケージとしては限定されないが、バイアル、ボトル、瓶、柔軟性のある包装などが挙げられる。また例えば吸入器、鼻腔投与用デバイス、又は点滴装置などの特定のデバイスと組み合わせて用いられるパッケージも予期される。キットには、滅菌アクセスポートがあってもよい(例えば、容器は、皮下注射用針により穿刺可能なストッパーを伴う静脈内溶液バッグ又はバイアルであってもよい)。また容器は、滅菌アクセスポートを有してもよい。医薬組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載されるキメラ受容体バリアントである。
【0292】
キットは任意選択的に、例えば緩衝剤及び解説情報などの追加の構成要素を提供してもよい。通常、キットは、容器と、容器上の、若しくは容器に関連付けられたラベル又は添付文書を含む。一部の実施形態では、本開示は、上述のキットの内容物を含む製造品を提供する。
【0293】
一般的な技術
本開示の実践は、他に示されない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来的な技術を用いるが、それらは、当技術分野の技能の内である。そのような技術は、文献、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook,et al.,1989)Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1989)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.1993-8)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.):Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,et al.,eds.1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:a practice approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal antibodies a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.Harwood Academic Publishers,1995)、DNA Cloning:A practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985)、Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985>>、Transcription and Translation(B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.(1984>>、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1986>>、Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,(1986>>、及びB.Perbal,A practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubel et al.(eds.)において詳細に説明されている。
【0294】
更なる詳述を伴うことなく、当業者は、上の記載に基づいて、本開示をその最大限まで利用することができると考えられる。以下の特定の実施形態は、したがって、単に例示的として解釈されるべきであり、いかなる、任意の方法において、本開示の残り部分を限定するものではない。本明細書中で引用される全ての刊行物が、本明細書中で参照される目的又は主題のために参照により組み込まれる。
【実施例
【0295】
実施例1.CD123+細胞の特異的活性化及び細胞傷害性標的化
急性骨髄性白血病(AML)は、患者の末梢血中の白血病性芽球の存在を特徴とする、侵攻性の骨髄悪性腫瘍である。AML予後不良は、主に高率の疾患再発に起因し、そのCD123+白血病性幹細胞(LSC)が主な原因である(図1A)。2、3CD123、IL3サイトカイン受容体のアルファ鎖、は、LSC及び芽球の両方で過剰発現される好ましい治療的AML標的として特定されている。4、5AML患者における高いCD123発現レベルはまた、低レベル又は中レベルのCD123発現を有する患者と比較して、生存率の有意な低下とも相関している(図1B)。
【0296】
T細胞は、細胞表面に繋がれたIL-3キメラ抗原受容体(CAR)(IL3-ゼータカインと称される)を介してCD123+AML細胞に方向付けされた。任意の特定の理論に束縛されることを望むものではないが、CD123(IL-3Rαとも呼ばれる)がIL3受容体ベータ鎖(IL-3Rβ)に結合すると、これらの2つの因子の二量体化により、ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達物質及び転写経路の活性化因子を開始する複合体を形成すると考えられている(図2A)。CARを標的抗原に向けるための抗体の抗原結合ドメインを含む従来のキメラ抗原受容体(CAR)構築物とは対照的に、本明細書に記載されるゼータカインは、決定的なT細胞過剰活性化を引き起こすことなく、構造誘導性の部位特異的変異誘発が、結合親和性を増加させ、標的細胞シグナル伝達を変化させることを可能にする。
【0297】
方法
例示的なゼータカイン構築物を、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号12~14)及びCD3zシグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号15及び16)に連結されたIL3配列(配列番号1~5)を使用して設計した(図2B)。構築物は、以下のうちの1つ以上を含むように任意選択的に設計された:細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号17及び18)、リンカー領域、及び/又はヒンジ領域(図2B)。例示的なゼータカイン構築物を表1に列挙する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0298】
IL3-ゼータカインをコードする例示的なベクターを図11A~12Bに示す。図11Bに示される構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号54によって提供される。図12Bに示される構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号55によって提供される。
【0299】
構築物を、レンチウイルスベクター(LVV)を使用して、TIB-153(商標)細胞(TCR受容体のベータ鎖を欠くJurkat細胞)に形質導入した。IL3ゼータカインの発現を検出するために、抗IL3抗体(αIL3)又は蛍光タグ付きストレプトアビジンに結合されたビオチン化CD123タンパク質(rCD123)で細胞を染色した。発現を、形質導入の7日後にフローサイトメトリーによって定量化した。
【0300】
T細胞活性化は、(CD123を発現する)MOLM13 AML細胞との共培養後のソーティングされたIL3-ゼータカイン陽性TIB-153(商標)細胞のフローサイトメトリーを介してCD69発現を測定することによって評価された。初期の形質導入パーセンテージ及び活性化応答に基づいて、更なる分析のために構築物を選択した。
【0301】
結果
例示的なゼータカイン構築物の形質導入(表1)により、細胞ソーティング前のTIB-153(商標)細胞における形質導入パーセンテージ(0~98%)の範囲が得られた。CD123+MOLM13 AML細胞との共培養において、共刺激ドメインを欠く野生型IL-3(又はその野生型断片)を含有するCARを発現するTIB-153(商標)細胞は、試験された構築物の最高レベルのCD69発現を誘導することが見出された。IL3-WT-nocostim構築物(配列番号21)を発現するTIB-153(商標)細胞とMOLM13細胞との共培養では、IL3-ゼータカインを単独で発現する、又はCD123が欠損しているMOL13細胞(MOLM13-CD123KO)との共培養で発現するTB-153(商標)細胞と比較して、CD69活性化の増加をもたらした(図3A及び3B)。
【0302】
更に、IL3-ゼータカインを発現するTB-153(商標)細胞におけるCD69発現の誘導は、抗原特異的な様式で起こることが示された。IL3-WT-nocostim(配列番号21)構築物を発現するTB-153(商標)細胞とMOLM13細胞との共培養では、平均で18.7%のCD69+T細胞、及びMOLM13-CD123KOとともに培養された細胞よりも5.3倍のCD69+T細胞の増加を示した(図4、表2)。
【0303】
興味深いことに、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン(配列番号23)を含有するIL3-ゼータカイン構築物を発現する細胞は、共刺激ドメインを欠くIL3-ゼータカイン構築物を発現する細胞と比較して、より低いレベルのCD69発現を示した(図3B)。各実験条件におけるCD69+細胞のパーセントを図4に定量化する。
【表2】
【0304】
IL-3のK110E変異体は、野生型よりも40倍増加した親和性を示すことが以前に報告されているが、対応するK110E変異を含有するIL3-ゼータカイン(配列番号27)を発現する細胞は、野生型IL3ゼータカインと比較して、より低いゼータカイン機能を示した(表1)。
【0305】
最後に、IL3-ゼータカイン構築物を発現する細胞を、CD123発現標的細胞の細胞傷害性を誘導する能力について評価した。陽性対照として、抗体由来の抗CD123結合ドメインを含有する従来の抗CD123 CAR構築物を発現する細胞を生成した(PCT公開第2015/140268Al号を参照されたい)。
例示的な従来の抗CD123 CAR構築物(配列番号53)
MALPVTALLLPLALLLHAARPMADYKDIVMTQSHKFMSTSVGDRVNITCKASQNVDSAVAWYQQKPGQSPKALIYSASYRYSGVPDRFTGRGSGTDFTLTISSVQAEDLAVYYCQQYYSTPWTFGGGTKLEIKRGGGGSGGGGSGGGGSEVKLVESGGGLVQPGGSLSLSCAASGFTFTDYYMSWVRQPPGKALEWLALIRSKADGYTTEYSASVKGRFTLSRDDSQSILYLQMNALRPEDSATYYCARDAAYYSYYSPEGAMDYWGQGTSVTVSSTTTPAPRPPTPAPTIAS
【0306】
予想通り、従来の抗CD123 CAR構築物(抗CD123 CAR)を発現する細胞は、(CD123を発現する)野生型MOLM13細胞の細胞傷害性を誘導した(標的生存%の低下)が、CD123が欠損したMOLM13細胞の大部分は生存したままであった(図5)。同様に、例示的なIL3-ゼータカインを発現する細胞(WT-No costim)は、野生型MOLM13細胞(CD123を発現する)の細胞傷害性を誘導した(標的生存%の低下)が、CD123が欠損したMOLM13細胞のレベルの増加は生存したままであった(図5)。これらの結果は、IL3-ゼータカインが、CD123発現細胞を標的化し、及び細胞を活性化して細胞傷害性などのエフェクター機能を誘導するのに有効であったことを示す。
【0307】
ディスカッション
この研究は、本明細書に記載されるIL3-ゼータカインが、従来のCD123標的化CAR構築物の有効な代替物であることを支持するものである。これらの結果は、IL3-ゼータカイン発現T細胞が、CD123発現AML細胞を殺傷する能力を示し、この新規クラスの治療薬の可能性を示している。
図11Bに示される構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号54によって提供される。
GGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACTTGAAAGCGAAAGGGAAACCAGAGGAGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCTGAAGCGCGCACGGCAAGAGGCGAGGGGCGGCGACTGGTGAGTACGCCAAAAATTTTGACTAGCGGAGGCTAGAAGGAGAGAGATGGGTGCGAGAGCGTCAGTATTAAGCGGGGGAGAATTAGATCGCGATGGGAAAAAATTCGGTTAAGGCCAGGGGGAAAGAAAAAATATAAATTAAAACATATAGTATGGGCAAGCAGGGAGCTAGAACGATTCGCAGTTAATCCTGGCCTGTTAGAAACATCAGAAGGCTGTAGACAAATACTGGGACAGCTACAACCATCCCTTCAGACAGGATCAGAAGAACTTAGATCATTATATAATACAGTAGCAACCCTCTATTGTGTGCATCAAAGGATAGAGATAAAAGACACCAAGGAAGCTTTAGACAAGATAGAGGAAGAGCAAAACAAAAGTAAGACCACCGCACAGCAAGCGGCCACTGATCTTCAGACCTGGAGGAGGAGATATGAGGGACAATTGGAGAAGTGAATTATATAAATATAAAGTAGTAAAAATTGAACCATTAGGAGTAGCACCCACCAAGGCAAAGAGAAGAGTGGTGCAGAGAGAAAAAAGAGCAGTGGGAATAGGAGCTTTGTTCCTTGGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCGTCAATGACGCTGACGGTACAGGCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAGGCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATCCTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTGGGGATTTGGGGTTGCTCTGGAAAACTCATTTGCACCACTGCTGTGCCTTGGAATGCTAGTTGGAGTAATAAATCTCTGGAACAGAATTGGAATCACACGACCTGGATGGAGTGGGACAGAGAAATTAACAATTACACAAGCTTAATACACTCCTTAATTGAAGAATCGCAAAACCAGCAAGAAAAGAATGAACAAGAATTATTGGAATTAGATAAATGGGCAAGTTTGTGGAATTGGTTTAACATAACAAATTGGCTGTGGTATATAAAATTATTCATAATGATAGTAGGAGGCTTGGTAGGTTTAAGAATAGTTTTTGCTGTACTTTCTATAGTGAATAGAGTTAGGCAGGGATATTCACCATTATCGTTTCAGACCCACCTCCCAACCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCTCGACGGTATCGGTTAACTTTTAAAAGAAAAGGGGGGATTGGGGGGTACAGTGCAGGGGAAAGAATAGTAGACATAATAGCAACAGACATACAAACTAAAGAATTACAAAAACAAATTACAAAATTCAAAATTTTATCGATACTAGTGGATCTGCGATCGCGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACCAAACCAAGAATAGAGAAGTTCAGATCAAGGGCGGGTACATGAAAATAGCTAACGTTGGGCCAAACAGGATATCTGCGGTGAGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGGGGCCAAGAACAGATGGTCACCGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGAGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATATGGCCCAACCCTCAGCAGTTTCTTAAGACCCATCAGATGTTTCCAGGCTCCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGCGCCTTATTTGAATTAACCAATCAGCCTGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTTCCCGAGCTCTATAAAAGAGCTCACAACCCCTCACTCGGCGCGCCAGTCCTCCGACAGACTGAGTCGTCTAGAGCTAGCGGATCCCCGGAATTCGACGCCACCATGCTGCTGCTGGTGACCAGCCTGCTGCTGTGCGAGCTGCCCCACCCCGCCTTCCTGCTGATCGTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGGGAGGGCAGAGGAAGTCTTCTAACATGCGGTGACGTGGAGGAGAATCCCGGCCCTTCCGGGATGACCGAGTACAAGCCCACGGTGCGCCTCGCCACCCGCGACGACGTCCCCAGGGCCGTACGCACCCTCGCCGCCGCGTTCGCCGACTACCCCGCCACGCGCCACACCGTCGATCCGGACCGCCACATCGAGCGGGTCACCGAGCTGCAAGAACTCTTCCTCACGCGCGTCGGGCTCGACATCGGCAAGGTGTGGGTCGCGGACGACGGCGCCGCGGTGGCGGTCTGGACCACGCCGGAGAGCGTCGAAGCGGGGGCGGTGTTCGCCGAGATCGGCCCGCGCATGGCCGAGTTGAGCGGTTCCCGGCTGGCCGCGCAGCAACAGATGGAAGGCCTCCTGGCGCCGCACCGGCCCAAGGAGCCCGCGTGGTTCCTGGCCACCGTCGGCGTCTCGCCCGACCACCAGGGCAAGGGTCTGGGCAGCGCCGTCGTGCTCCCCGGAGTGGAGGCGGCCGAGCGCGCCGGGGTGCCCGCCTTCCTGGAGACCTCCGCGCCCCGCAACCTCCCCTTCTACGAGCGGCTCGGCTTCACCGTCACCGCCGACGTCGAGGTGCCCGAAGGACCGCGCACCTGGTGCATGACCCGCAAGCCCGGTGCCTGAATTAATTAACCAATTGAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAATCATCGTCCTTTCCTTGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGGTACCTTTAAGACCAATGACTTACAAGGCAGCTGTAGATCTTAGCCACTTTTTAAAAGAAAAGGGGGGACTGGAAGGGCTAATTCACTCCCAACGAAAATAAGATCTGCTTTTTGCTTGTACTGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTG
TGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCA(配列番号54)
図12Bに示される構築物の例示的なヌクレオチド配列は、配列番号55によって提供される。
GGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACTTGAAAGCGAAAGGGAAACCAGAGGAGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCTGAAGCGCGCACGGCAAGAGGCGAGGGGCGGCGACTGGTGAGTACGCCAAAAATTTTGACTAGCGGAGGCTAGAAGGAGAGAGATGGGTGCGAGAGCGTCAGTATTAAGCGGGGGAGAATTAGATCGCGATGGGAAAAAATTCGGTTAAGGCCAGGGGGAAAGAAAAAATATAAATTAAAACATATAGTATGGGCAAGCAGGGAGCTAGAACGATTCGCAGTTAATCCTGGCCTGTTAGAAACATCAGAAGGCTGTAGACAAATACTGGGACAGCTACAACCATCCCTTCAGACAGGATCAGAAGAACTTAGATCATTATATAATACAGTAGCAACCCTCTATTGTGTGCATCAAAGGATAGAGATAAAAGACACCAAGGAAGCTTTAGACAAGATAGAGGAAGAGCAAAACAAAAGTAAGACCACCGCACAGCAAGCGGCCACTGATCTTCAGACCTGGAGGAGGAGATATGAGGGACAATTGGAGAAGTGAATTATATAAATATAAAGTAGTAAAAATTGAACCATTAGGAGTAGCACCCACCAAGGCAAAGAGAAGAGTGGTGCAGAGAGAAAAAAGAGCAGTGGGAATAGGAGCTTTGTTCCTTGGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCGTCAATGACGCTGACGGTACAGGCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAGGCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATCCTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTGGGGATTTGGGGTTGCTCTGGAAAACTCATTTGCACCACTGCTGTGCCTTGGAATGCTAGTTGGAGTAATAAATCTCTGGAACAGAATTGGAATCACACGACCTGGATGGAGTGGGACAGAGAAATTAACAATTACACAAGCTTAATACACTCCTTAATTGAAGAATCGCAAAACCAGCAAGAAAAGAATGAACAAGAATTATTGGAATTAGATAAATGGGCAAGTTTGTGGAATTGGTTTAACATAACAAATTGGCTGTGGTATATAAAATTATTCATAATGATAGTAGGAGGCTTGGTAGGTTTAAGAATAGTTTTTGCTGTACTTTCTATAGTGAATAGAGTTAGGCAGGGATATTCACCATTATCGTTTCAGACCCACCTCCCAACCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCTCGACGGTATCGGTTAACTTTTAAAAGAAAAGGGGGGATTGGGGGGTACAGTGCAGGGGAAAGAATAGTAGACATAATAGCAACAGACATACAAACTAAAGAATTACAAAAACAAATTACAAAATTCAAAATTTTATCGATACTAGTGGATCTGCGATCGCGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAAATACCAAACCAAGAATAGAGAAGTTCAGATCAAGGGCGGGTACATGAAAATAGCTAACGTTGGGCCAAACAGGATATCTGCGGTGAGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGGGGCCAAGAACAGATGGTCACCGCAGTTTCGGCCCCGGCCCGAGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATATGGCCCAACCCTCAGCAGTTTCTTAAGACCCATCAGATGTTTCCAGGCTCCCCCAAGGACCTGAAATGACCCTGCGCCTTATTTGAATTAACCAATCAGCCTGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTTCCCGAGCTCTATAAAAGAGCTCACAACCCCTCACTCGGCGCGCCAGTCCTCCGACAGACTGAGTCGTCTAGAGCTAGCGGATCCCCGGAATTCGACGCCACCATGCTGCTGCTGGTGACCAGCCTGCTGCTGTGCGAGCTGCCCCACCCCGCCTTCCTGCTGATCGTGAACTGCAGCAACATGATCGACGAGATCATCACCCACCTGAAGCAGCCCCCCCTGCCCCTGCTGGACTTCAACAACCTGAACGGCGAGGACCAGGACATCCTGATGGAGAACAACCTGAGGAGGCCCAACCTGGAGGCCTTCAACAGGGCCGTGAAGAGCCTGCAGAACGCCAGCGCCATCGAGAGCATCCTGAAGAACCTGCTGCCCTGCCTGCCCCTGGCCACCGCCGCCCCCACCAGGCACCCCATCCACATCAAGGACGGCGACTGGAACGAGTTCAGGAGGAAGCTGACCTTCTACCTGAAGACCCTGGAGGAGAGCAAGTACGGCCCCCCCTGCCCCCCCTGCCCCGCCCCCGAGTTCCTGGGCGGCCCCAGCGTGTTCCTGTTCCCCCCCAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCAGCAGGACCCCCGAGGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACCTACAGGGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTGAGCAACAAGGGCCTGCCCAGCAGCATCGAGAAGACCATCAGCAAGGCCAAGGGCCAGCCCAGGGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCCCCCAGCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGAGCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCAGGCTGACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGCAACGTGTTCAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGAGCCTGGGCAAGATGGCCCTGATCGTGCTGGGCGGCGTGGCCGGCCTGCTGCTGTTCATCGGCCTGGGCATCTTCTTCAAGAGGGGCAGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGAGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAGGAGGACGGCTGCAGCTGCAGGTTCCCCGAGGAGGAGGAGGGCGGCTGCGAGCTGAGGGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCCCCCGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGGAGGGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGAGGAGGGGCAGGGACCCCGAGATGGGCGGCAAGCCCAGGAGGAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAGAAGGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGAGGAGGAGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGGGAGGGCAGAGGAAGTCTTCTAACATGCGGTGACGTGGAGGAGAATCCCGGCCCTTCCGGGATGACCGAGTACAAGCCCACGGTGCGCCTCGCCACCCGCGACGACGTCCCCAGGGCCGTACGCACCCTCGCCGCCGCGTTCGCCGACTACCCCGCCACGCGCCACACCGTCGATCCGGACCGCCACATCGAGCGGGTCACCGAGCTGCAAGAACTCTTCCTCACGCGCGTCGGGCTCGACATCGGCAAGGTGTGGGTCGCGGACGACGGCGCCGCGGTGGCGGTCTGGACCACGCCGGAGAGCGTCGAAGCGGGGGCGGTGTTCGCCGAGATCGGCCCGCGCATGGCCGAGTTGAGCGGTTCCCGGCTGGCCGCGCAGCAACAGATGGAAGGCCTCCTGGCGCCGCACCGGCCCAAGGAGCCCGCGTGGTTCCTGGCCACCGTCGGCGTCTCGCCCGACCACCAGGGCAAGGGTCTGGGCAGCGCCGTCGTGCTCCCCGGAGTGGAGGCGGCCGAGCGCGCCGGGGTGCCCGCCTTCCTGGAGACCTCCGCGCCCCGCAACCTCCCCTTCTACGAGCGGCTCGGCTTCACCGTCACCGCCGACGTCGAGGTGCCCGAAGGACCGCGCACCTGGTGCATGACCCGCAAGCCCGGTGCCTGAATTAATTAACCAATTGAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAATCATCGTCCTTTCCTTGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGGTACCTTTAAGACCAATGACTTACAAGGCAGCTGTAGATCTTAGCCACTTTTTAAAAGAAAAGGGGGGACTGGAAGGGCTAATTCACTCCCAACGAAAATAA
GATCTGCTTTTTGCTTGTACTGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCA(配列番号55)
【0308】
実施例2:CD123+細胞の特異的活性化及び細胞傷害性標的化
Jurkat細胞の発現及び活性化
例示的なゼータカイン構築物を、実施例1に記載されるように、TIB-153(商標)Jurkat細胞に形質導入した。IL3-ゼータカイン構築物の発現を、抗IL3抗体又は蛍光タグ付きストレプトアビジンに結合されたビオチン化組換えCD123タンパク質で細胞を染色することによって評価した。図6A、6Bを参照されたい。両方の染色方法は、IL3-ゼータカインが、最大98%のTIB-153(商標)Jurkat細胞で発現されたことを示した。
【0309】
IL3-ゼータカインで形質導入されたTIB-153(商標)Jurkat細胞を、CD123-ヌルHL60-WT細胞株、又は低レベルのCD123を発現するAML細胞株(MOLM13-CD123低)、又は野生型MOLM13細胞(MOLM13-WT、CD123高)と、エフェクター対標的細胞の1:1の比で24時間共培養するか、又は標的細胞が存在しない状態で培養した。
【0310】
T細胞活性化のマーカーであるCD69発現の平均蛍光強度(MFI)を、ゼータカイン発現(抗IL3抗体を用いた染色によって検出される)の関数として測定した。図8A~8Dを参照されたい。HL60-WT細胞(CD123-ヌル)との共培養又は標的細胞が存在しない場合と比較して、MOLM13-WT(CD123高)の存在下で共培養された場合、IL3ゼータカインを発現する細胞で顕著な細胞活性化(CD69発現による)が観察され、MOLM13-CD123低細胞の存在下で共培養された場合、より低いが依然として検出可能であった。
【0311】
初代T細胞の発現及び活性化
初代ヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるIL3-ゼータカインの形質導入を評価するために、IL3-ゼータカイン配列を担持するレンチウイルス構築物による形質導入前に、PBMCをTransact(CD3/CD28含有する活性化マトリックスを含有する)で処理し、形質導入しないままにした(UTD)。形質導入の7日後、フローサイトメトリー分析はCD3+T細胞上でプレゲート(pregate)され、IL3-ゼータカインの発現を抗IL3抗体を使用して検出した。図7に示されるように、IL3-ゼータカインの発現レベルは、CD3+T細胞の6%~16%の範囲の形質導入条件にわたって変化した。
【0312】
IL3ゼータカインを発現する初代T細胞の活性化を、標的細胞との共培養後のソーティングされたIL3-ゼータカイン陽性PBMCのフローサイトメトリーを介してCD25及びCD69発現の両方を測定することによって評価した。簡潔に述べると、IL3-ゼータカインで(又は抗CD123 CAR対照)で形質導入された初代細胞を、野生型MOLM13細胞(MOLM13-WT、CD123高)又はMOLM13-CD123低細胞(MOM13MUTとも呼ぶ)と、エフェクター対標的細胞の1:1の比で24時間共培養した。CD3+T細胞上のCD25発現の平均蛍光強度(MFI)を測定した(図9A)。図9B及び9Cは、示された標的細胞と共培養されたCD3+細胞のCD25及びCD69発現の両方によって示される、IL3-ゼータカイン誘導性活性化のレベルを示す。IL3-ゼータカイン発現初代ヒトPBMCとMOLM13-WT細胞との共培養により、CD25及びCD69発現レベルの増加が生じた(図9A~9D)。標的細胞が存在しない場合と比較して、MOLM13-WT細胞(CD123高)の存在下で共培養された場合、IL3ゼータカインを発現する細胞で顕著な細胞活性化(CD25発現による)が観察され、MOLM13-CD123低細胞の存在下で共培養された場合、より低いが依然として検出可能であった。図9D
【0313】
IL3-ゼータカインを発現する初代T細胞の細胞傷害性
IL-3ゼータカインを、インビトロで標的細胞傷害性を誘導する能力について試験した。CD123発現標的細胞(MOLM13-WT、MOLM13-CD123低)及びCD123ヌル細胞(HL60-WT)を、1ウェル当たり100,000個の標的細胞の密度で播種し、非形質導入にするか(UTD)、又はゼータカインIL3-WT-nocostim(配列番号21)、IL3-WTCD8TM(配列番号33)、若しくはIL3-K116W(配列番号51)を、1:1のエフェクター対標的細胞比で24時間の共培養期間中に形質導入し、形質導入効率(TE)に対して正規化した。細胞溶解を、標的細胞単独と比較して評価した。CD123発現レベルは、MOLM13-WT細胞を用いたIL-3ゼータカイン形質導入の結果として、より高いレベルの細胞溶解と相関し、最も高い量の細胞溶解を示し、HL60-WT細胞が最も低いことを示し、細胞傷害性がCD123特異的であることを示す(図13)。これらの結果は、IL-3ゼータカインがCD123発現標的細胞においてインビトロ細胞傷害性を示したことを示した。
【0314】
IL3-ゼータカイン構築物、又は陽性対照として抗CD123 CAR構築物を発現する初代細胞も、CD123発現標的細胞の細胞傷害性を誘導する能力について評価した。細胞を、野生型MOLM13細胞(MOLM13-WT、CD123高)若しくはMOLM13-CD123低細胞、又はCD123-ヌルHL60-WT細胞と、エフェクター対標的細胞の1:1の比で24時間共培養した。標的細胞の健康状態を、フローサイトメトリーによって評価した。生存細胞は生存しており、アネキシンV陰性であった;アポトーシス細胞は生存率陰性であり、アネキシンV陽性であった;死細胞/破片は生存率及びアネキシンV陽性であった。
【0315】
CD123を発現するMOLM13細胞と共培養されたIL3-WT-nocostim、IL3-WTCD8TM-nocostim、又はIL3-K116W-nocostimを発現する初代細胞は、MOLM13-CD123低細胞又はHL60-WT細胞(CD123ヌル)との共培養と比較して、アポトーシスマーカーの増加及び生存細胞の減少をもたらした(図10)。棒グラフは、IL3-ゼータカイン発現T細胞が、CD123 CAR発現細胞と同程度又はより大きい程度で標的細胞の細胞傷害性を誘導したことを示した。
【0316】
これらの結果は、IL3-ゼータカインがCD123発現標的細胞の存在下で活性化され、活性化は細胞傷害性などのエフェクター機能を誘導したことを示している。
【0317】
参考文献
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4.Bras,A.E.,et al.,CD123 expression levels in 846 acute leukemia patients based on standardized immunophenotyping.Cytometry Part B:Clinical Cytometry,2019.96(2):p.134-142.
5.Sugita,M.and M.L.Guzman,CD123 as a Therapeutic Target Against Malignant Stem Cells.Hematology/Oncology Clinics of North America,2020.34(3):p.553-564.
6.Mingyue,S.,et al.,CD123:A Novel Biomarker for Diagnosis and Treatment of Leukemia.Cardiovascular & Hematological Disorders-Drug Targets,2019.19(3):p.195-204.
7.Kahlon,K.S.,et al.,Specific recognition and killing of glioblastoma multiforme by interleukin 13-zetakine redirected cytolytic T cells.Cancer Res,2004.64(24):p.9160-6.
8.Bagley,C.J.,et al.,A discontinuous eight-amino acid epitope in human interleukin-3 binds the alpha-chain of its receptor.J Biol Chem,1996.271(50):p.31922-8.
9.Chandrashekar,D.S.,et al.,UALCAN:A Portal for Facilitating Tumor Subgroup Gene Expression and Survival Analyses.Neoplasia,2017.19(8):p.649-658.
【0318】
参考文献
例えば、発明の背景、概要、詳細な説明、実施例、及び/又は参考文献のセクションにおける、本明細書に記述される全ての刊行物、特許、特許出願、公表、及びデータベースエントリー(例えば、配列データベースエントリー)は、個々の刊行物、特許、特許出願、公表、及びデータベースエントリーが、参照により具体的に及び個別に本明細書に組み込まれるかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、本明細書の任意の定義を含む本出願が優先されるであろう。
【0319】
均等物及び範囲
当業者は、本明細書に記載される実施形態の多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験のみを使用して確認することができる。本開示の範囲は、上記の説明に限定されることを意図しておらず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
【0320】
「a」、「an」、及び「the」などの冠詞は、反対の指示がない限り、又は文脈から明らかでない限り、1つ、又は1つより多くを意味し得る。群の2つ以上のメンバーの間に「又は」を含む、請求項又は明細書は、反対の指示がない限り、又は文脈から明らかでない限り、群のメンバーのうちの1つ、1つより多く、又は全てが存在する場合に満たされるとみなされる。2つ以上の群のメンバーの間に「又は」を含む群の開示は、群のちょうど1つのメンバーが存在する実施形態、群の2つ以上のメンバーが存在する実施形態、及び群のメンバーの全てが存在する実施形態を提供する。簡潔にするために、これらの実施形態は、本明細書では個別には詳述されていないが、これらの実施形態の各々は、本明細書で提供され、具体的に特許請求されるか又は否認され得ることが理解されるであろう。
【0321】
本発明は、請求項のうちの1つ以上、又は明細書の1つ以上の関連部分からの1つ以上の限定、要素、条項、又は説明用語が、別の請求項に導入される、全ての変形例、組み合わせ、及び置換を包含することを理解されたい。例えば、別の請求項に依存する請求項は、同じ基本請求項に依存する任意の他の請求項において見出される限定のうちの1つ以上を含むように改変され得る。更に、請求項が組成物を列挙する場合、別段の指示がない限り、又は矛盾若しくは不一致が生じることが当業者に明白ではない限り、本明細書に開示される作製若しくは使用方法のうちのいずれかによる、又は存在する場合、当技術分野で公知の方法による、組成物を作製若しくは使用する方法が含まれることを理解されたい。
【0322】
要素が、例えば、マーカッシュ群形式でリストとして提示される場合、要素の全ての可能な部分群も開示されており、任意の要素又は要素の部分群が群から削除され得ることを理解されたい。また、「含む」という用語は、開放的であることを意図し、追加の要素又はステップの包含を可能にすることにも留意されたい。一般的に、実施形態、製品、又は方法が、特定の要素、特徴、又はステップを含むと言及される場合、そのような要素、特徴、若しくはステップからなる、又はそれらから本質的になる実施形態、製品、又は方法も同様に提供されることが理解されるべきである。簡潔にするために、これらの実施形態は、本明細書では個別には詳述されていないが、これらの実施形態の各々は、本明細書で提供され、具体的に特許請求されるか又は否認され得ることが理解されるであろう。
【0323】
範囲が指定されている場合は、端点も含まれる。更に、別段の指示がない限り、又は文脈及び/若しくは当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈が明確に別段に指示しない限り、一部の実施形態では、範囲の下限の単位の1/10まで、記載された範囲内の任意の特定の値を想定し得ることを理解されたい。簡潔にするために、各範囲の値は、本明細書には個別に詳述されていないが、これらの値の各々は、本明細書に提供され、具体的に主張され又は否認され得ることが理解されよう。また、別段で指示されない限り、又は文脈及び/若しくは当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、所与の範囲内の任意の部分範囲を想定することができ、部分範囲の端点は範囲の下限の単位の1/10と同程度の精度で表されることも理解されたい。
【0324】
加えて、本発明の任意の特定の実施形態は、任意の1つ以上の請求項から明示的に除外され得ることを理解されたい。範囲が与えられる場合、その範囲内の任意の値は、請求項のうちのいずれか1つ以上から明示的に除外され得る。本明細書中に記載される組成物及び/又は方法の任意の実施形態、要素、特徴、適用、又は態様を、任意の1つ以上の特許請求から除外することができる。簡潔にするために、1つ以上の要素、特徴、目的、又は態様が除外される実施形態の全ては、本明細書に明示的に記載されていない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
【配列表】
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【国際調査報告】