(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】燃焼システムにおける排気パージ時間を推定及び設定するための改善された方法、並びにその燃焼システム
(51)【国際特許分類】
F02C 7/232 20060101AFI20240719BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20240719BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F02C7/232 C
F02C7/22 D
F01D25/30 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505503
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2022025359
(87)【国際公開番号】W WO2023011763
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021000021071
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】オアルティエリ,エウゲニオ
(72)【発明者】
【氏名】トンノ,ジョバンニ
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、ガスタービンを備えている燃焼システムにおける排気パージ時間を推定及び設定するための方法に関し、本方法は、ガスタービンの上流に、具体的にはガスタービンに送給する燃料ガス区画の内部に配置された圧力検出器によって収集された値に基づいて、パージサイクルが必要であるかどうかを推定するように構成されている。本開示はまた、かかる方法を実施するための燃焼システムにも関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン及び燃料ガス区画を備えている燃焼システムの排気パージ時間を推定及び設定するための方法であって、前記方法が、
前記燃焼システムの前記タービンを起動するステップと、
少なくとも1つの圧力検出器によって前記燃焼システムの前記燃料ガス区画内の圧力をチェックするステップと、を含む方法であって、
前記チェックするステップで、前記燃料ガス区画内で検出された前記圧力が動作圧力範囲内にある場合、かつ前記ガスタービンが少なくとも1回停止された場合、
以前のタービンの停止と関連付けられた、パージクレジットが利用可能かどうかを示す少なくとも1つの変数を読み取るステップが実行され、前記少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能であることを示した場合、前記排気パージ時間をゼロに設定するステップが実行され、
さもなければ、前記少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能でないことを示した場合、前記排気パージ時間を所定のパージ時間値に設定するステップが実行され、
前記少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能でないこと、及び前記以前の停止が正常な停止であったことを示した場合、
前記所定のパージ時間値が、前記燃焼システムの内部の残留排気ガスを安全閾値未満に低減させるための第1の時間に設定され、前記残留排気ガスが、第1の所定のガス体積に等しいものであると想定され、
さもなければ、前記少なくとも1つの変数が、前記以前の停止が正常な停止でなかったことを示した場合、
前記所定のパージ時間値が、前記燃焼システムの内部の残留排気ガスを安全閾値未満に低減させるための第2の時間に設定され、前記残留排気ガスが、第2の所定のガス体積に等しいものであると想定される、方法。
【請求項2】
前記チェックするステップが、前記少なくとも1つの圧力検出器によって、使用時に、前記タービンへの燃料ガスの移動に関して燃料ガス入口の下流に配置された第1の内部遮断弁をチェックするサブステップと、前記第1の内部遮断弁の下流に配置された第2の内部遮断弁をチェックするサブステップと、漏出が検出されないことを確認するサブステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チェックするステップが、
前記第1の遮断弁が閉じられている間に、前記燃料ガス入口から前記燃料ガス区画に進入する燃料ガスを用いて、前記燃料ガス入口と前記第1の遮断弁との間の前記燃料ガス区画の第1の容積を加圧するサブステップと、前記少なくとも1つの圧力検出器によって検出された圧力が第1の圧力限界を超えて上昇していないことを確認するサブステップと、
前記加圧するステップの後に、前記第1の遮断弁を開き、一方で、前記第2の遮断弁を閉じるサブステップと、
前記開くステップの後に、前記第1の遮断弁を閉じて、前記少なくとも1つの圧力検出器によって検出された前記圧力が所定の漏出閾値未満にならないことを確認するために所定の時間待つサブステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記開くステップの前に、かつ前記加圧するステップの後に、前記第1の容積内に配置された第1の圧力検出器が所定の中間圧力を検出するまでウォームアップ弁を開くことによって実行される、前記第1の容積を減圧するステップが存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記チェックするステップが、前記第2の内部遮断弁の下流に配置された計量弁を通って流れる燃料ガス流量をチェックすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの変数が、以前の前記タービンの停止中に、
前記タービンを停止して、前記第1の遮断弁及び前記第2の遮断弁を閉じるステップ、
火炎の消失に関連する信号を受信するステップ、
前記受信するステップで受信された前記火炎の消失に関連する信号が、前記第1の遮断弁及び前記第2の遮断弁を閉じた後に到着した場合、
前記第1の遮断弁の下流かつ前記第2の遮断弁の上流にある、前記燃料ガス区画の第2の容積の内部の残留燃料ガスが所定の値未満であることをチェックするステップ、
前記チェックするステップでチェックされた前記残留燃料ガスが前記所定の値未満であった場合、パージクレジットが利用可能なことを示す値を前記少なくとも1つの変数に与えるステップ、
さもなければ、前記チェックするステップでチェックされた前記残留燃料ガスが前記所定の値未満でなかった場合、パージクレジットが利用可能でないこと、及び前記停止が正常であったことを示す値を前記少なくとも1つの変数に与えるステップ、
さもなければ、前記受信するステップで受信された前記火炎の消失に関連する信号が、前記第1の遮断弁及び前記第2の遮断弁を閉じる前に到着した場合、
パージクレジットが利用可能でないこと、及び前記停止が正常でなかったことを示す値を前記少なくとも1つの変数に与えるステップが実行される、によって計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記チェックするステップが、
前記燃料ガス区画の第2の容積を所定の第2の圧力まで減圧するために、前記第1の遮断弁及び前記第2の遮断弁を閉じた状態で、前記燃料ガス区画の前記第2の容積の内部に配置された内部通気弁を開くサブステップと、
前記開くサブステップの後に、前記残留燃料ガス値の間接測定として、前記第2の圧力検出器によって検出された圧力をチェックし、前記圧力が第2の圧力限界未満であることを確認するサブステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
パージをせずに所定の時間が通過した後に、次のタービン起動時にパージクレジットが利用可能でないことを示す値を前記少なくとも1つの変数に与えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記タービンを起動することができなかった場合、前記少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能でないことを示し、前記排気パージ時間が、前記燃焼システムの内部の残留排気ガスを安全閾値未満に低減させるための第3の時間値に設定され、前記残留排気ガスが、第3の所定のガス体積に等しいものであると想定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
燃焼システムがメモリ喪失によって影響を及ぼされた場合、前記少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能でないことを示し、前記排気パージ時間が、所定の最大パージ時間値に設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記タービンを初めて起動される場合、前記排気パージ時間が、最小時間値と、前記燃焼システムの推定容積に等しい空気量を吹送するために必要な時間との間の最大値に等しいと推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
燃焼システムであって、
タービンと、
前記タービンに燃料ガスを送給するために前記タービンと結合された燃料ガス区画であって、前記燃料ガス区画が、
前記燃焼システムに進入する前記燃料ガスのための燃料ガス入口と、
前記タービンへの前記燃料ガスの移動に関して前記燃料ガス入口の下流に配置された第1の内部遮断弁と、
前記第1の遮断弁の下流に配置された第2の内部遮断弁と、
前記第1の内部遮断弁と前記第2の内部遮断弁との間に配置された少なくとも1つの圧力検出器と、を備えている、燃料ガス区画と、
前記タービン及び前記燃料ガス区画に動作可能に接続された制御ユニットであって、前記制御ユニットが、前記燃焼システムの前記排気パージ時間を推定及び設定するための方法を実行するように構成され、前記方法が、
前記タービンを起動するステップと、
前記少なくとも1つの圧力検出器によって燃料ガス区画内の圧力をチェックするステップ、
前記チェックするステップで前記燃料ガス区画内の検出された前記圧力が動作圧力範囲内であった場合、かつ前記タービンが少なくとも1回停止された場合、
パージクレジットが利用可能かどうかを示す、以前のタービン停止と関連付けられた少なくとも1つの変数を読み取るステップ、前記少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能であることを示した場合、前記排気パージ時間をゼロに設定するステップと、
さもなければ、前記少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能でないことを示した場合、前記排気パージ時間を所定のパージ時間値に設定するステップと、を含む、制御ユニットと、を備えている、燃焼システム。
【請求項13】
前記燃料ガス区画が、
前記第1の内部遮断弁の上流に配置された第1の圧力検出器と、
前記第1の内部遮断弁と前記第2の内部遮断弁との間に配置された第2の圧力検出器と、
前記第1の遮断弁の上流に配置され、かつ前記制御ユニットに接続されたウォームアップ弁と、を備え、
前記制御ユニットが、
前記第1の遮断弁が閉じられている間に、前記燃料ガス入口から前記燃料ガス区画に進入する燃料ガスを用いて、前記燃料ガス入口と前記第1の遮断弁との間の前記燃料ガス区画の第1の容積を加圧し、前記少なくとも1つの圧力検出器によって検出された圧力が第1の圧力限界を超えて上昇していないことを確認し、
前記加圧するステップの後に、前記第1の容積内に配置された第1の圧力検出器が所定の中間圧力を検出するまで前記ウォームアップ弁を開くことによって、前記第1の容積を減圧し、
前記減圧するステップの後に、前記第2の遮断弁が閉じられている間に、前記第1の遮断弁を開き、
前記開くステップの後に、前記第1の遮断弁を閉じて、前記第2の圧力検出器によって検出された圧力が所定の漏出閾値未満にならないことを確認するために所定の時間待つ、ように構成されている、請求項12に記載の燃焼システム。
【請求項14】
前記燃料ガス区画が、前記第1の遮断弁と前記第2の遮断弁との間にあり、前記制御ユニットに接続された内部通気弁を備えている、請求項12に記載の燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼システムにおける、具体的にはガスタービンを備えている燃焼システムにおける排気パージ時間を推定及び設定するための方法に関する。本明細書には、かかる方法を実行するための燃焼システムも開示される。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン及びその排気ダクトを備えている燃焼システムは、残留ガス又は蒸気がシステム内に爆発性雰囲気を生じさせ得るので、タービンを起動又は再起動させる前に残留ガスをパージする必要がある。
【0003】
かかるガスタービン排気システムのパージサイクルを実施する方法を定めた安全規格、すなわち、API616、ISO21789、ISO3977-3、NFPA37、及びNFPA85が存在する。具体的には、全ての前述の規格は、ガスタービンを起動させる前に、概して、パージサイクルが含まれており、かつ実行されるべきであると定めている。通常、かかるパージサイクル中には、ガスタービン及び下流の排気ダクトの少なくとも3回の完全な容積変化が行われる。
【0004】
ISO21789及びNFPA85規格はどちらも、代替的な安全対策が行われる場合、かかる完全なパージサイクルが回避され得る可能性も紹介している。具体的には、NFPA85規格は、パージクレジットの概念を紹介している。
【0005】
しかしながら、lSO2l789及びNFPA85規格によって許容されるリスク評価、又はNFPA85規格によって導入されるパージクレジットのかかる概念は、これまで完全に分析されたことがなかった。実際に、大部分の製造業者によって行われている現在の手法は保守的なものであり、パージサイクルは、排気容積(NFPA85規格によって定義される最大値)の5倍未満にすることはできない。パージされる容積は、排気ダクトの出口(垂直部を含む)で最大になると考えられ、パージサイクルは、ガスタービンの各起動又は再起動時に常に実行される。
【0006】
しかしながら、かかる保守的な手法は、安全性に関しては有効であるが、実行するのに長い時間を必要とし、その結果、ガスタービンの起動が長くなり得るので、燃焼システムの可用性に影響を及ぼし得る。
【0007】
これは、タービンネットワーキング(ターボ発電機の場合)の遅延、及びスタータなどのいくつかの補助システムの過負荷につながり得、長期の運転時間に対する特殊な設計が必要になる。これは、生産コストの増加を意味する。
【0008】
一例として、高い排気容積を有するガスタービンを備え、回収ボイラも直列に設置されている燃焼システムの場合、下流ダクトにおいて5回の容積変化を完了するためのパージ時間は、約96分間持続し得る。かかる値はまた、排気ダクトの寸法にも依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に基づいて、タービン起動中の運転時間を短縮することができる、燃焼システムにおける排気パージ時間を設定するための改善された方法は、産業に歓迎されることになり、ガスタービンの可用性を高めるだけでなく、関連する運転コストを削減する。
【0010】
一態様では、本明細書に開示される主題は、燃焼システムにおける排気パージ時間を推定及び設定するための方法を対象とする。本方法は、遮断弁が設けられた燃料ガス区画によって燃料ガスが送給される、タービン、具体的にはガスタービンを含む。具体的には、燃料ガス区画は、燃料ガスが燃焼システムに進入するための燃料ガス入口と、使用時のタービンへの燃料ガスの移動に関して燃料ガス入口の下流に配置された第1の内部遮断弁と、第1の内部遮断弁の下流に配置された第2の内部遮断弁と、を備えている。少なくとも1つの圧力検出器が、第1の内部遮断弁と第2の内部遮断弁との間に配置されている。かかる態様による方法は、タービンを起動するステップと、少なくとも1つの圧力検出器によって検出された圧力を受容して、漏出が検出されないことを確認することによって、第1の内部遮断弁及び第2の内部遮断弁をチェックするステップと、を含む。チェックが完了した場合、及びタービンが少なくとも1回停止された場合、少なくとも1つの変数が読み取られる。具体的には、少なくとも1つの変数は、以前のタービン停止と関連付けられ、パージクレジットが利用可能であるかどうかを示す。したがって、少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能であることを示した場合は、排気パージ時間がゼロに設定され、これは、次のパージサイクルがスキップされることを意味する。さもなければ、少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能でないことを示した場合は、排気パージ時間が所定のパージ時間値に設定される。
【0011】
具体的には、パージクレジットが利用可能である場合、パージサイクルは、有限回数だけスキップされ得る。換言すれば、前述の方法は、システムにパージクレジットが残っているかどうかを評価することを可能にし、したがって、パージサイクルを伴わずにタービンを起動することを可能にする。
【0012】
一態様によれば、少なくとも1つの変数が、パージクレジットが利用可能でないこと、及び以前の停止が正常な停止であったことを示した場合、所定のパージ時間値を、燃焼システム内部の残留排気ガスを安全閾値未満に低減させるための第1の時間に設定することができ、残留排気ガスは、第1の所定のガス体積に等しいものであると想定される。その一方で、少なくとも1つの変数が、以前の停止が正常な停止ではなかったことを示した場合、所定のパージ時間を、燃焼システム内部の残留排気ガスを安全閾値未満に低減させるための第2の時間に設定することができ、残留排気ガスは、第2の所定のガス体積に等しいものであると想定される。
【0013】
一態様によれば、チェックすることは、第1の遮断弁が閉じられている間に、燃料ガス入口から燃料ガス区画内へ進入する燃料ガスを用いて、燃料ガス入口と第1の遮断弁との間の燃料ガス区画の第1の容積を加圧することによって、及び少なくとも1つの圧力検出器によって検出された圧力が第1の圧力限界を超えて上昇していないことを確認することによって実行することができる。第1の容積のかかる加圧の後に、第1の遮断弁を開くことができ、一方で、第2の遮断弁を閉じることができる。その後、第1の遮断弁を再度閉じることができ、少なくとも1つの圧力検出器によって検出された圧力が所定の漏出閾値未満にならないことを確認するために所定の時間待つことができる。
【0014】
一態様によれば、少なくとも1つの変数は、タービンの以前の停止中に計算することができる。具体的には、タービンが停止しているときに、第1の遮断弁及び第2の遮断弁が閉じられ得、第1の遮断弁及び第2の遮断弁を閉じる前又は閉じた後に、火炎の消失に関連する信号を受信し得る。火炎の消失に関連する信号が第1の遮断弁及び第2の遮断弁を閉じた後に到着した場合、燃料ガス区画の第2の容積内部の残留燃料ガスがチェックされる。かかる第2の容積は、第1の遮断弁の下流かつ第2の遮断弁の上流にある。具体的には、チェックされた残留燃料ガスが所定の値未満であった場合、パージクレジットが利用可能であることを示す値を少なくとも1つの変数に与えることができる。その一方で、チェックされた残留燃料ガスが所定の値以上であった場合、パージクレジットが利用可能でないこと、及び停止が正常であったことを示す値を少なくとも1つの変数に与えることができる。最後に、第1の遮断弁及び第2の遮断弁を閉じる前に、火炎の消失に関連する信号が到着した場合、パージクレジットが利用可能でないこと、及び停止が正常でなかったことを示す値を少なくとも1つの変数に与えることができる。
【0015】
一態様によれば、パージをせずに所定の時間が経過した場合、本方法は、次のタービン起動時にパージクレジットが利用可能でないことを示す値を少なくとも1つの変数に与えることができる。
【0016】
一態様によれば、本明細書に開示される主題は、燃焼システムであって、方法を実行するように構成された制御ユニットと、制御ユニットに接続されたタービン、具体的にはガスタービンと、タービンに燃料ガスを送給するようにタービンと結合され、制御ユニットに接続された、燃料ガス区画と、を備えている、燃焼システムも対象とする。具体的には、燃料ガス区画は、燃焼システムに進入する燃料ガスのための燃料ガス入口と、タービンへの燃料ガスの移動に関して燃料ガス入口の下流に配置され、制御ユニットに接続された第1の内部遮断弁と、第1の遮断弁の下流に配置され、制御ユニットに接続された第2の内部遮断弁と、第1の内部遮断弁と第2の内部遮断弁との間に配置された少なくとも1つの圧力検出器と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面及び実施例に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、それらがより良好に理解される際、容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の一態様による燃焼システムの第1の実施形態の正面図を示し、燃焼システムは、ガスタービンと、ガスタービンに燃料ガスを送給するための燃料ガス区画と、を備えている。
【
図2】
図2は、本発明の一態様による燃焼システムの第2の実施形態の正面図を示し、燃焼システムは、ガスタービンと、ガスタービンに燃料ガスを送給するための燃料ガス区画と、を備えている。
【
図3】
図3は、本発明の一態様による燃焼システムの燃料ガス区画のブロック図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一態様による燃焼システムの制御ユニットのブロック図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一態様による方法のフローチャートを示し、フローチャートは、本発明の一態様によれば、燃焼システムにおけるタービン起動ステップと、弁チェックステップと、パージ時間推定ステップと、を含む。
【
図6】
図6は、
図1のフローチャートの弁チェックステップを調査するフローチャートを示す。
【
図7】
図7は、本発明の一態様による方法のフローチャートを示し、フローチャートは、燃焼システム内のタービンの停止をチェックするためのステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ガスタービンは、化学エネルギー、すなわち、化学燃料を、負荷を動作させるための又は電気エネルギーを生成するための機械エネルギーに変換することができる回転機械である。ガスタービンは、機械負荷を駆動することから電気エネルギーを生成することまで、いくつかのサービスのために実装される。燃焼はガスタービン内で起こるので、ガスタービンに接続されたパイプは、安全上の理由で、より具体的には起こり得る爆発を防止するために、定期的にパージすることが必要である。しかしながら、このメンテナンスは、ガスタービンによって提供されるサービスのいくらかのダウンタイム及び中断を生じさせる。したがって、必要とされるパージ時間を短縮することが有益である。
【0019】
ガスタービンの燃焼段の上流に、具体的にはタービン自体に送給する燃料ガス区画内に配置された圧力検出器によって収集された圧力値に基づいて、パージサイクルが必要であるかどうかを推定するように動作する、新しい燃焼システムが開示される。この解決策によって、パージステップは、必要な場合にだけ実行され、各ガスタービン起動時に必ず実行する必要はなく、同じ安全レベルが保たれる。
【0020】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、及び
図7を参照しながら、
図5、
図6、及び
図7に示される方法100を実行するように構成された燃焼システム1(
図1及び
図2に具体的に示す)を本明細書で説明する。方法100は、燃焼システム1自体における排気パージ時間を推定及び設定する。
【0021】
燃焼システム1は、ガスタービン10と、タービン10と結合された燃料ガス区画11と、を備えている。いくつかの実施形態では、ガスタービン10は、燃料ガス区画11に締結されている。いくつかの他の実施形態では、ガスタービン10は、燃料ガス区画11と一体的に形成されている。使用時に、燃料ガス区画は、タービン10に燃料ガスを送給する。
【0022】
燃焼システム1はまた、ガスタービン10と結合された排気区画13も備えている。いくつかの実施形態では、排気区画13は、タービン10に締結され得る。使用時に、排気区画13は、タービン10の排気ガスを受容して、ガスタービン10内の燃焼によって生成されたかかる排気ガスを抽出する。
【0023】
最後に、燃焼システム1は、タービン10に、及び燃料ガス区画11に接続された制御ユニット14を備えている。制御ユニット14は、ガスタービン10の近くでケーシング内に設置することができ、又は
図1及び
図2に示されるように、インターネット、イーサネットケーブル、などの通信チャネルを通してガスタービン10に接続された遠隔場所に設置することができる。
【0024】
図4を参照すると、バス141と、バス141に接続されたプロセッサ142と、バス141に接続された、データ及び任意の可能な必要なプログラムを記憶するためのコンピュータ可読メモリ143と、燃焼システム1のガスタービン10の電気的インタフェースに接続して制御するように構成された入力/出力ポート144と、を備えている、制御ユニット14の一実施形態が例解されている。
【0025】
また、下でより良好に詳述されるように、コンピュータ可読メモリ143は、コンピュータ可読コードを記憶し、コンピュータ可読コードは、プロセッサ142によってアクセスされたときに、プロセッサ142に、方法100を実行するためのプログラムを実行させる。
【0026】
いくつかの実施形態では、プロセッサ142は、安全PLCとすることができる。一例は、Baker Hughesによる3701/55のADAPT ESDである。加えて、プロセッサ142はまた、異なるプログラマブルタイプのものとすることもできる。
【0027】
燃料ガス区画11は、燃焼システム1の任意の他の区画から隔離することができる。実際には、燃焼システム1は、タービン10に外気を送給するためのフィルタハウス12を備えている。フィルタハウス12は、安全な領域に配置され、これは、燃料ガスが進入することができない領域に配置されることを意味する。燃焼システム1のこのレイアウトのため、燃料ガスがタービン10に進入するための唯一の方法は、全てのコミッショニングアクティビティ中に隔離される燃料ガス区画11を通ることである。
【0028】
具体的には、燃料ガス区画11(
図3に示す)は、燃料ガスが通って燃焼システム1に進入し得る、燃料ガス入口7を備えている。燃料ガス区画11はまた、使用時のタービン10への燃料ガスの移動に関して燃料ガス入口7の下流に配置された第1の内部遮断弁3と、第1の内部遮断弁3の下流に配置された第2の内部遮断弁4と、を備えている。
【0029】
更に、第1の圧力検出器5が第1の内部遮断弁3の上流に配置され、第2の圧力検出器6が第1の内部遮断弁3と第2の内部遮断弁4との間に配置されている。
【0030】
第2の圧力検出器6は、好ましくは、安全度水準(Safety Integrity Level、SIL)に認定されており、燃焼システム1のより高い安全性を確実にするように、制御ユニット14に接続され、例えば安全PLCにハード配線される。しかしながら、圧力検出器6と制御ユニット14とを接続するための他の接続システムが予測され得る。
【0031】
図3に示される燃料ガス入口7は、外部遮断弁7である。したがって、燃料ガス区画11は、外部遮断弁7と第1の内部遮断弁3との間の第1の容積15と、第1の内部遮断弁3と第2の内部遮断弁4との間の第2の容積16と、に分けることができる。
【0032】
最後に、燃料ガス区画11は、第1の容積15内に配置された外部通気弁8と、第2の容積16内に配置された内部通気弁9と、を備えている。下でより良好に説明されるように、外部通気弁8及び内部通気弁9は、必要な場合に、第2の容積16の減圧を可能にする。燃料ガス区画11はまた、同じく第1の容積15の減圧を可能にするために、ウォームアップ弁90も備えている。
【0033】
また、第2の内部遮断弁4の下流かつガスタービン10の上流に配置された、タービン10に向かうガスの流量を測定するための計量弁40も存在する。燃焼システム1の安全性を向上させるために、計量弁40のフィードバックが、制御ユニット14に接続され、好ましくは安全PLCにハード配線される。第2の内部遮断弁4の下流に設置され得る更なるハードウェアは、本開示の目的に関しては考慮されない。
【0034】
下でより良好に開示されるように、第2の圧力検出器6のため、制御ユニット14によって実行されるコンピュータ方法100によって、タービン10を起動する前にパージが必要であるかどうか、及びかかるパージに必要な時間を評価することが可能である。
【0035】
排気区画13は、(
図1及び
図2に示されるように)垂直ダクトと、1つ以上の水平ダクトと、を備えている。コミッショニングアクティビティ中の燃料ガス区画11の隔離に起因して、燃料ガスが排気区画13内へ進入し得るという確実シナリオは存在しない。この理由から、燃料ガス区画11が初めてサービス状態になるとき、排気区画13には燃料ガスがないことが合理的に想定される。
【0036】
上述したように、燃焼システム1におけるパージ時間の値RPT1、RPT2、RPT3を推定及び設定する方法100は、
図5に示されるステップを含む。
【0037】
ステップ101で、ガスタービン10を起動させ、次いで、第1の内部遮断弁3及び第2の内部遮断弁4のチェックステップ102が実行される。チェックステップ102は、第2の圧力検出器6によって検出された圧力を受信し、漏出が検出されないことを確認することによって実行される。
【0038】
その後、チェックステップ102が完了した場合、及びガスタービン10が少なくとも1回停止された場合、方法100は、以前の停止と関連付けられた、かつパージクレジットが利用可能であるかどうかを示す少なくとも1つの変数Vを読み取るステップ103を含む。少なくとも1つの変数Vが、パージクレジットが利用可能であることを示した場合、排気パージ時間をゼロに設定するステップ104が実行され、さもなければ、少なくとも1つの変数Vが、パージクレジットが利用可能でないことを示した場合、方法100は、排気パージ時間を所定のパージ時間値RPT1、RPT2、RPT3に設定するステップを含む(参照番号105、106、108を参照されたい)。
【0039】
少なくとも1つの変数Vはまた、最近のガスタービン10の停止中に推定された、設定されるべきパージ時間値RPT1、RPT2、RPT3でもあり得る。
【0040】
方法100はまた、クランキングに移る前に追加の許可(「起動OK」)をチェックするようにも設計されている。
【0041】
実際には、チェック102中に、計量弁40の機能をチェックするためにそれらの全ストローク試験が実行される。第1の試験は、全閉から全開まで、及びその逆も同様に、5%のストローク/秒の速度で弁を移動させることによって実行される。この弁チェックは、全ての計量弁40に対して同時に実行することができる。このステップ中、弁ドライバは、その適切なパラメタリゼーション(すなわち:製造業者の設定)に従ってトリップを生成することができる。この試験の一部として、基本プロセス安全性制御システム(basic process safety control system、BPCS、制御ユニット14の一部である)は、計量弁40に命令し、一方で、安全PLCは、計量弁40に関する「需要対フィードバック」のチェックを実行する。弁のフィードバックは、安全PLCに直接配線される。需要は、BPCSから安全PLCに共有される。試験に合格した場合、方法100は、その更なるステップを続行する。さもなければ、所定の閾値を超える不一致が存在した場合、制御ユニット14は、特定のアラームを発して、ガスタービン10の起動101が中止される。一例として、0.5秒を超えて3%よりも高い不一致が存在した場合、ガスタービン10の起動101が中止され得る。
【0042】
更に、下で説明するように、チェック102中に、第1の内部遮断弁3及び第2の内部遮断弁4に対してボトル試験(
図6に示す)が実行される。
【0043】
かかるボトル試験を実行するために、ガスタービン10を起動101する前に、すなわち、ガスタービン10が静止状態(停止状態)である間、外部通気弁8及び内部通気弁9又はウォームアップ弁90及び内部通気弁9を開放状態に移動させ、一方で、遮断弁(外部遮断弁7、第1の内部遮断弁3、及び第2の内部遮断弁4)を閉鎖状態に移動させる。この段階/状態の間は他のいかなるチェックも予測されず、かついかなる安全チェックも実行されない。この状態は、ガスタービン起動前である。
【0044】
ガスタービン10の起動101後は、弁チェックステップ102が開始されており、外部遮断弁7を開いて第1の容積15を加圧するが、外部通気弁8及び内部通気口9は閉じたままである(
図6のステップ1020)。全ての他の弁3、4は、前と同じ状態のままである。これは、クランキングの前である。
【0045】
このステップでは、第1の圧力センサ5によって測定された圧力が、クランキングを許可する閾値P1クランクと同じ閾値に到達したとき、第2の圧力センサ6器具に対するチェックが行われ、検出された第2の圧力値P2が圧力限界P2th1を超えているかどうかを監視する。かかる監視は、所定の時間量にわたって実行される。
【0046】
図6のステップ1022に示されるように、第2の圧力センサ6が高い圧力を検出した場合、制御ユニット14は、特定のアラームを発して、ガスタービンの起動が中止される。現在の技術的な文脈における高い圧力とは、P2
th1よりも高いことを意味する。
【0047】
代わりに、内部通気弁9を開いた場合(
図6のステップ1021の第1の部分)、燃料ガスをウォームアップための標準シーケンス続行することが可能である。
【0048】
具体的には、上述したステップ1020、1021が成功裏に完了した後、クランキング速度へと加速している間、ガスタービン10がもはや「ゼロ速度」ではなくなったときに、外部遮断弁7を閉じる。同時に、第1の圧力検出器5が、所定の圧力P1に等しい第1の容積15の内部の第1の圧力値P1thを検出するまでウォームアップ弁90を開くことによって、第1の容積15を減圧するための減圧ステップ1021を実行することができる。
【0049】
第1の容積15を減圧する1021ための最大継続時間制御を制御ユニット14に提供して、所定の圧力P1thが所定の時間量を達成したことを確認することができる。
【0050】
かかる所定の圧力P1
thが達成されていない場合(
図6のステップ1024)、制御ユニット14は、特定のアラームを発して、ガスタービン10起動101が中止される。
【0051】
第1の容積15の減圧1021が成功裏に完了して、ガスタービン10がパージ速度になった後、第1の遮断弁3は、一定の時間にわたって開いて第2の容積16の容積を加圧1023して、オンスキッドのダブルブロックアンドブリードの漏出をチェックするように命令される。第1の遮断弁3の「開コマンド」1023をリセットした後、時間遅延t遅延の後、好ましくは1秒後に漏出試験を開始することができる。この時間遅延t遅延は、第2の圧力検出器6の圧力が検出された時点で、漏出の確認を可能にすることを意図している。
【0052】
具体的には、第2の圧力検出器6において第2の圧力値P2が検出された後、かかる第2の圧力値P2を監視することと、実際に検出された減圧と理論漏出曲線とを比較することと、を含む、更なる試験を実行することができる。この確認は、所定の時間量にわたって続く。実際の減圧が理論漏出曲線の所定の漏出閾値未満になった場合、弁のチェック102に不合格となる(
図6のステップ1027)。かかる場合、制御ユニット14は、オンスキッドのダブルブロックアンドブリード弁が漏出を検出した場合にポストパージシーケンスを開始するために、特定のアラームを発し、ガスタービン10の起動101が中止される。別様には、弁のチェック102を完了すると(
図6のステップ1026)、方法100は、パージ時間を推定及び設定するために、更なるステップ103~105へと移動する。このパラグラフで言及されていない他の弁は、同じ初期状態のままである。
【0053】
要約すると、上述した弁チェックステップ102は、少なくとも、第1の遮断弁3を閉じている間に、燃料ガス入口7から燃料ガス区画11内へ進入する燃料ガスを用いて第1の容積15を加圧1020し、そして、第2の圧力検出器6によって検出された圧力P2が圧力限界P2th1を超えて上昇していないことを確認する、サブステップを含む。
【0054】
加圧1020サブステップの後、第1の遮断弁3を開き(サブステップ1023)、一方で、第2の遮断弁4を閉じる。第1の遮断弁3は、開くこと(サブステップ1023)が完了した後に閉じられ1025、所定の時間を経過させ、その後に、第2の圧力検出器6によって検出された圧力P2が所定の漏出閾値、具体的には理論漏出曲線未満にならないことを確認することができる。
【0055】
具体的には、閉じるサブステップ1025の前に、かつ開くサブステップ1023の後に、減圧ステップ1021で、第1の圧力検出器5が所定の中間圧力P1thを検出するまで外部通気弁8又はウォームアップ弁90を開くことによって第1の容積15を減圧することができる。
【0056】
したがって、チェックステップ102は、燃料ガス区画11内で検出された圧力が、動作圧力範囲内に、すなわち、P1thとP2th1との間にあるかどうかをチェックする。
【0057】
第1の内部遮断弁3が漏出していること、例えばクラスIVの漏出が検出された場合、次回のタービンの起動にはパージが必要になる。この場合、パージ時間は、燃焼システム1の内部の残留排気ガスの関数として推定することができ、残留排気ガスは、第1の所定のガス体積に等しいものであると想定される。具体的には、かかる所定のガス体積は、最悪のシナリオが起こった、すなわち、第2の内部遮断弁4及び内部通気弁9が完全に開いている間に第1の内部遮断弁3が漏出していた、と想定することによって推定され得る。かかる推定残留ガスの関数は、燃焼システム1の容積をクリーンにして、推定残留ガスのレベルが、爆発下限界(lower explosive limit、LEL)の25%未満に到達するのに必要な時間を推定し得る。
【0058】
第2の内部遮断弁4が漏出していることが検出された場合、同様の様式で次のパージ時間も推定され得る。しかしながら、かかるシナリオでは、所定のガス体積は、トリップ中に2つの内部遮断弁3、4が開かれたと想定することによって推定され得る。
【0059】
更に、弁のチェックステップ102の後、方法100は、以下のステップによって、パージのために設定されるべきパージ時間値RPT1、RPT2、RPT3を推定するように構成されている。
【0060】
ガスタービン10の最初の起動である場合、パージ時間値RPT1。RPT2、RPT3は、最小時間値と、燃焼システム1の推定容積に等しい空気量を吹送するために必要な時間との間の最大値に等しい値に設定109される。ガスタービン10の最初の起動は、燃焼システム1が現場に設置された後の、ガスタービン10が排気区画13に結合された状態での、ガスタービン10の最初の起動101を意味する。この場合、以前の停止データは利用できない。
【0061】
下で論じるように、最初のガスタービンの起動時の最小時間値の設定109は、好ましくは2分に等しく、一方で、燃焼システム1の推定容積は、少なくとも排気区画13の容積に等しい。かかる第1の推定されたパージ時間の理論的根拠は、コミッショニング中に、排気区画13の排気ダクトに空気が充填される(その中に燃料ガスが進入することができない)こと、フィルタハウス12が安全な領域に設置されること、及び(最初の点火までスペクタクルブラインド又は手動弁によって)燃料ガスシステムを機械的に遮ることができることである。先の仮説が当てはまらなかった場合は、燃焼システム1の推定容積の5倍に等しい空気量を吹送することによって完全なパージを行う。ガスタービン10の最初の排気をパージした後、以下のパージ時間値RPT1、RPT2、RPT3を以下のように計算する。全ての場合において、推定パージ時間値RPT1、RPT2、RPT3は、燃焼システム1の安全性を確実にするために、好ましくは、2分以上である。
【0062】
上述したように、方法100は、以前の停止に関連する情報に基づいて、パージ時間値RPT1、RPT2、RPT3を設定する。具体的には、制御ユニット14は、以前の停止と関連付けられた、パージクレジットが利用可能であるかどうかを示す少なくとも1つの変数Vを読み取る103。パージクレジットは、以前のガスタービン10の停止が正常な停止であった場合にだけ利用可能である。NFP85規格によって与えられるタービンの正常な停止の定義に従って、これは、燃焼システム1に異常な状態を伴わずに、ガスタービン10の正常な停止を自動的に提供する、正常なイベントのシーケンスである。したがって、2つの可能なシナリオが存在する。第1のシナリオでは、正常な停止200が起こっており、これは、第1の内部遮断弁3及び第2の内部遮断弁4の閉鎖201の後に火炎の消失が起こり、かつ燃料ガス区画に異常が検出されなかった場合の停止又はES/ESNであり得る(
図7を参照されたい)。第2のシナリオでは、異常な停止200が起こっており、これは、第1の内部遮断弁3及び第2の内部遮断弁4の閉鎖201の前に火炎の消失が起こったか、又は燃料ガス区画11の他の異常が検出された可能性がある。
【0063】
既に述べたように、ガスタービン10の正常な停止200は、第1の内部遮断弁3及び第2の内部遮断弁4の閉鎖201が切り替えられた後に、火炎の消失の信号が到着したときに起こる。そうした信号は、制御ユニット14によって、好ましくは安全PLCによって評価される。正常な停止が検出されたときには、未燃焼の燃料ガスが排気区画13の内部に、具体的には排気ダクト内に進入しなかったと想定される。
【0064】
したがって、以下のシーケンス203及びチェックを実行して、パージクレジットを達成することができる。
【0065】
火炎の消失の後、2つの内部遮断弁3、4が閉じられた(2つのリミットスイッチによって確認される)状態で、内部通気弁9を開いて2030、第2の容積16を所定の圧力まで、好ましくは0.3のバールゲージに等しくなるまで減圧する。この値において、内部通気弁9を再度閉じて、第2の圧力検出器によって検出された第2の圧力P2を読み取り、圧力が第2の圧力限界P2th2を超えていないことを確認する2031ことによって、第1の遮断弁3に漏出があるかどうかをチェックすることができる。かかる監視は、所定の時間量にわたって実行される。第2の圧力P2が第2の圧力限界P2th2よりも高かった場合、制御ユニット14は、特定のアラームを発し205、クレジットパージが失われる。かかる事象において、燃焼システム1は、容積を減圧するために必要な時間が、ガスタービン10を停止する場合のクランク速度未満にするために必要な時間よりも短いことを確認するためにチェックされ得る。そうでない場合、かかる時間は、ユーザ、具体的にはエンジニアの補助を用いて短縮することができる。
【0066】
第2の容積16内部の圧力を確認するステップ2031の完了後に、内部通気弁9を開く。
【0067】
以下のデータは、火炎が消失した2時間後に、制御ユニット14、具体的には安全PLC14によって監視することができる。
-第1の遮断弁3及び第2の遮断弁4の閉鎖リミットスイッチに到達して維持される(又は仮想リミットスイッチ)、
-内部通気弁9のオープンリミットスイッチに到達して維持される(仮想リミットスイッチ)、
-P2、第2の圧力限界P2th2具体的には0.3バールゲージ未満である、
-燃料ガス入口7におけるガス圧力GPIが、0.3バールゲージ未満である(このデータは、制御ユニット14に接続され、安全PLC内にはないユニット制御パネルによって確認することができる)。
【0068】
上記の条件の全てが満たされた場合、制御ユニット14は、所定の変数Vを、最後の停止が正常な停止であり、クレジットパージが利用可能であることを示す値に設定204する。かかるクレジットパージは、所定の制限時間まで持続するように設定され得る。ガスタービン10の可用性を最適化し、一方で、燃焼システム1の安全性を確実にするために、最適な制限時間が8日であることを発見した。これは、ガスタービン10を以前の停止から8日以内に起動させた場合に、排気がパージされないことを意味する。
【0069】
したがって、少なくとも1つの変数Vは、タービン10の停止がパージサイクルに続く場合、タービン10の停止が、パージクレジットが利用可能であることを示した後に、第1の所定の値に設定される、時間カウンタを備え得、時間カウンタは、時間的に変化し、時間カウンタが所定の制限時間に等しくなったとき、制御ユニット14は、少なくとも1つの変数Vに、次のタービン10の起動時にパージクレジットが利用可能でないことを示す第1の値を与える208。かかる時間カウンタは、8日から0日へと進むように構成され得る。
【0070】
したがって、タイマーメモリが保持されることが重要である。タイマーメモリ喪失(DC喪失)の場合、例えば排気区画13の容積の5倍に等しい量の空気を吹送することによって、完全なパージが実行されるべきである。換言すれば、燃焼システム1がメモリ喪失によって影響を及ぼされた場合は、少なくとも1つの変数Vが、パージクレジットが利用可能でないことを示す値に設定され、排気パージ時間が、所定の最大パージ時間値として、具体的には少なくとも排気区画13の5倍の容積の交換を完了するのに必要な時間として推定される。
【0071】
ガスタービンの停止200中に制御ユニット14によって監視される条件のうちの少なくとも1つが満たされなかった場合、制御ユニット14は、所定の変数Vを、最後の停止が正常な停止であったが、燃料ガス区画11において検出された異常に起因してクレジットパージが利用可能でないことを示す値に設定205する。
【0072】
所定の制限時間が経過したのでパージクレジットがもはや利用可能でない場合、及びガスタービンの停止200中に制御ユニット14による状態のうちの少なくとも1つが満たされなかった場合、の両方において、パージ時間は、燃焼システム1の内部の推定残留排気ガスの関数である、所定の第1の値RPT1に等しくなるように設定105され、残留排気ガスは、所定のガス体積に等しいものであると想定される。具体的には、値RPT1は、燃焼システム1の内部の推定残留排気ガスの量を、所定の安全閾値未満に、好ましくは爆発下限界(LEL)の25%に等しく低下させるのに必要な時間として計算され得る。
【0073】
したがって、上で詳述した方法100によって実行される強化されたパージ時間の理念は、排気区画13内に潜在的に存在する燃料ガスの最大量が、NFPA69規格によって要求されるように、常に安全閾値以下であること、好ましくは25%に等しいことを保証する。
【0074】
この状態は、第2の圧力検出器6において検出される圧力P2を監視し、圧力がクランキング段階中に特定の第2の圧力限界P2th2未満であることを確認することによって、監視及び保証することができる。この第2の圧力限界P2th2は、弁のチェック102中、及び保護層分析(layer for protection analysis、LOPA)を伴うステップの場合は、有効ではない。
【0075】
したがって、クランクキング時間中に第2の圧力検出器6によって測定された圧力が第2の圧力限界P2th2未満のままであった場合、シーケンスは、点火へと進行することができ、そうでない場合、シーケンスが中止され、外部遮断弁7、第1の内部遮断弁3、及び第2の内部遮断弁4が閉じられ、外部通気弁8(又はウォームアップ弁90)及び内部通気弁9が開かれ、制御ユニット14が特定のアラームを発する。
【0076】
この場合、パージ時間値RPT1、RPT2において、次のパージのために必要とされるRPT3は、燃焼システム1の内部の推定残留排気ガスの量を、所定の安全閾値未満に低下させるのに必要な時間として計算され得、かかる推定残留排気ガスは、最悪の状態を、すなわち、第1の内部遮断弁3が開かれ、一方で、第2の内部遮断弁4及び内部通気弁9が完全に開かれていると想定することによって計算され得る。
【0077】
ガスタービン10の異常な停止の場合、すなわち、第1の内部遮断弁3及び第2の内部遮断弁4が閉鎖に切り替わる前に火炎の消失の信号が到着する、ガスタービン10の異常な停止の場合、制御ユニット14は、少なくとも1つの変数Vを、異常な停止が起こったことを示す第2の値V2に設定106する。この場合、パージ時間値RPT2は、未燃焼の燃料ガスが排気区画13の内部に、具体的には排気プレナム内及び排気ダクト内に進入したと想定することによって推定される。したがって、このシナリオでは、クレジットパージを利用可能とすることができず、パージ時間値RPT2は、排気区画13内の燃料ガスを25%LEL未満の値まで低下させるのに必要な時間として計算され得る。
【0078】
図5を参照すると、方法100はまた、ガスタービン10の点火段階中に火炎が検出されない(点火できない状態)かどうかを確認するように構成されている。この場合、少なくとも1つの変数Vは、パージクレジットが利用可能でないことを示す値に設定され、排気パージ時間値RPT1~RPT3は、燃焼システム1の内部の残留排気ガスの関数である、第3の値RPT3に等しくなるように設定107され、かかる残留排気ガスは、所定のガス体積に等しいものであると想定される。
【0079】
実際には、点火させることができなかった場合、未燃焼の燃料ガスは、排気区画13に、具体的には排気プレナムに進入し得る。この場合、制御ユニット14、具体的には安全PLCは、過剰な燃料が燃焼システム11内に捕捉されることを回避するために、計量弁40を最大回度にするよう命令し得る。最大開度の値は、燃料ガスの圧力と関連付けられた最大値、燃料ガス温度と関連付けられた最小値、燃料ガス分子量と関連付けられた最大値、計量弁40の最大開度の容量、及び全燃料点火時間に依存する関数として評価され得る。パージ時間値RPT3は、燃焼システム1の内部の、具体的には排気区画13内の燃料ガス濃度を25%LEL未満に低減するのに必要な時間として決定することができる。
【0080】
最後に、点火段階中に、計量弁40の開度が、以前に識別された閾値よりも大きかった場合、起動シーケンスは、中止されるべきであり、パージ時間は、点火できない場合と同じ様式で計算され得る。計量弁40の開度は、注入される燃料ガスの量を計算するために使用される。
【0081】
この場合、排気区画13に注入される燃料ガスの量は、過剰な燃料流量に、点火のための時間にシステムが点火の失敗に反応するのに必要な時間を加えたものを乗算することによって推定され得る。
【0082】
上で既に述べたように、異なるシナリオにおいて設定されるパージ時間値RPT1、RPT2、RPT3は、燃焼システム1の容積の関数であり得る。更に、第1の値RPT1、第2の値RPT2、及び第3の値RPT3は、全て同じパラメータを使用して計算され得、したがって、(下の表1に示されるように)同じであり得る。
【0083】
具体的には、パージ容積は、排気区画13自体の最終的な配置及び幾何学的寸法を考慮して、各ジョブでパージされる排気区画13の総排気容積として定義され得る。
【0084】
排気区画13の総容積の推定は、タービン10の排出セクションの下流の排気区画13の全ての部分容積を考慮し得る。空気よりも軽い燃料ガスで動作する燃焼システム1の場合、パージされる容積は以下の通りであり得る。
-いかなる廃熱回収ユニット(waste heat recovery unit、WHRU)又は熱回収蒸気発生器(heat recovery steam generator、HRSG)も備えず、水平排気ダクト及び水平ダクトに設置されたサイレンサを備えた単純なサイクルの場合、かかるガスは必然的に上方へ向かい、したがって、垂直部分のパージを必要としないので、垂直部品を除く、煙突までの容積、
-水平排気ダクト及び垂直ダクトに設置されたサイレンサを備えた(いかなるWHRU又はHRSGも備えない)単純なサイクルの場合、含まれるサイレンサまでの容積、
-垂直排気ダクトを備えた(いかなるWHRU又はHRSGも備えない)単純なサイクルの場合、含まれるサイレンサまでの容積、若しくは
-水平及び垂直排気ダクトを備えた(WHRU又はHRSGを備えた)コンバインドサイクルの場合、HRSG内の最後の蒸発器セクションの出口までの容積、又はサイレンサの出口までの容積、選択は、どの要素が最後であるかに依存する:2つの要素がどちらも水平ダクトに設置されている場合、考慮される容積は、垂直部品を除く、煙突までである。
【0085】
ガスタービン10の排出セクションは、以下に位置付けられた平面として定義され得る。
-(
図1に示される)軸方向に排気を排出するガスタービンモデル用の排気ケーシングフランジ、この場合は、ガスタービン10の容積をパージ容積の定義に含めるべきでない、
-半径方向の排気ダクト(垂直/水平、
図2に示される)を備えたガスタービン10モデル用の排気プレナムの上流の排気ケーシングフランジ、この場合は、ガスタービン10の排気プレナムの容積を総パージ容積の定義に含めるべきである。
【0086】
空気よりも重い燃料ガスの場合、パージ容積はまた、排気区画13の垂直ダクトも考慮するべきである。
【0087】
更に、総パージ容積を推定するために、排気区画13は、幾何学的容積の計算を容易するのに好適な部分的セクションに分けられ得る。容積計算は、各セクションの空の容積だけを考慮し得、騒音バッフル、偏向器、又は配管などの内部構成要素によって占有される容積は無視する。半径方向の排気ダクトを備えたガスタービン10用のHRSGを備えた典型的な排気システムの配置では、考慮されるべき幾何学的容積は、単純な煙突の容積及びHRSGを有する煙突の容積であり得る。この場合、パージされる総排気容積は、全ての考量されるセクションに関連する幾何学的容積の合計によって与えられる。
【0088】
最後に、上で述べたように、パージ時間値RPT1、RPT2、RPT3は、燃焼システム1の内部、具体的には排気区画13の内部の推定未燃燃料ガスを、所定の安全閾値、例えばLELの25%未満に低下させるのに必要な時間として常に計算され得る。
【0089】
換言すれば、パージ時間値は、GT排気システムを新鮮な空気でパージすることによって燃料ガス/可燃性蒸気/炭化水素の濃度を安全限界まで低減するための最短持続時間として画定され得る。
【0090】
【0091】
交換率は、完全なパージサイクルを保証するために総排気容積が排出されるべき最小回数を意味する。総排気容積は、上で詳述したように、考慮されるガスタービン10のセクション及び排気区画13のセクションの排気幾何学的容積の合計を表す。サイトのパージ空気流量は、パージ速度、例えば1700rpm又は2200rpmで回転しているガスタービン10の軸流圧縮機によって送達される新鮮な空気の流量によって与えられる。実際には、パージ空気流量は、軸流圧縮機によって送達される新鮮な空気流量を表し、したがって、ガスタービン10をパージ速度で動作させるときに、排気排出セクションで利用可能である。軸流圧縮機を容積測定機械と同化させることができることを考慮すれば、軸流圧縮機によって送達される空気流は、結果的にパージサイクル期間に影響を及ぼすその速度の関数として計算することができる(より高いパージ速度は、より高いパージ流量を意味し、これは、より短いパージサイクル期間を意味する)。
【0092】
典型的には、排気パージシーケンスは、ガスタービン10のクランク速度=公称パージ速度で実行され得る。タービン排気排出セクションで利用可能な空気の流量に影響を及ぼし得る別の態様は、軸流圧縮機からの空気抽出(すなわち、アンチサージ、オーバーボアブリード、外部補助システム用のブリード、など)の存在である。パージシーケンスに実際に利用可能な流量を補正するために、大気への直接的な空気抽出の存在が考慮され得る。
【0093】
所与の設置のために、パージ速度を上で定義した範囲外に調節する必要がある場合は、回転力学的挙動及びパージ流量に及ぼす影響の綿密な検査、並びに起動システムの能力の確認が、ケースバイケースで評価され、所定の補正係数によって調節されるべきである。
【0094】
実際には、パージ時間値RPT1、RPT2、RPT3は、異なるガスタービン10の排気構成(軸方向、プレナムを備えた垂直/水平方向)、並びに排気システムの設計(単純な煙突、熱回収システムを備えたCHP、など)及び用途(新しいユニット、又は既存のプラントのガスタービン10の交換/アップグレード)における他の選択肢を考慮することによって推定され得る。パージサイクルの期間はまた、具体的には、最終的な配置、ガスタービン10及びその排気区画13の特性、並びに燃料ガスの組成を考慮して、ジョブごとに定義され得る。
【0095】
実施例1
本開示では、単なる一例として、標準的な手法を使用した、及び本発明による方法を使用した、ガスタービン10の起動に必要とされるパージ時間を比較した表が開示され、ガスタービン10は、高い排気質量流量を有する。
【0096】
【0097】
本発明による方法100を使用する利点は、ガスタービン10の可用性を高める点で明らかである。
【0098】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0099】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例解されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同一の実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0100】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
【国際調査報告】