(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ブランケット、特に生物を温度調整するためのマット
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20240719BHJP
A61G 7/00 20060101ALI20240719BHJP
A47G 9/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61F7/00 320A
A61G7/00
A47G9/02 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505511
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 AT2022060266
(87)【国際公開番号】W WO2023004447
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524037476
【氏名又は名称】コールブラート ウント ブンツ ゲゼルシャフト エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】KOHLBRAT & BUNZ Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Loretostrasse 4-8, 5550 Radstadt, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル グラーフ
【テーマコード(参考)】
3B102
4C040
4C099
【Fターム(参考)】
3B102BA12
4C040AA29
4C040CC03
4C099AA01
4C099AA02
4C099CA01
4C099EA02
4C099GA21
4C099LA24
(57)【要約】
ブランケット、特に生物を温度調整するためのマットであって、生物、特に患者または負傷者に向けられる上側の層(1)と、上側の層(1)の反対側に位置する下側の層(2)と、上側の層(1)と下側の層(2)との間に配置された弾性的でありかつ空気透過性のある少なくとも1つの中間層(3)と、空気、特に温風を中間層(3)の領域に供給するための接続体(7a)を備えた少なくとも1つの空気流入開口(7)とを備え、ブランケットの、少なくとも1つの空気流入開口(7)から遠ざけられた縁領域(6)に、少なくとも1つの空気流出開口(8)が設けられており、空気流入開口(7)を介して供給された空気の少なくとも大部分が、空気流出開口(8)を通ってブランケットから流出し、上側の層(1)は、液体透過性があるように形成されており、下側の層(2)は、実質的に気密かつ実質的に液密に、好ましくはプラスチックフィルムまたはコーティングされたテキスタイル面状構造材として形成されている、ブランケット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケット、特に生物を温度調整するためのマットであって、
-生物、特に患者または負傷者に向けられる上側の層(1)と、
-前記上側の層(1)の反対側に位置する下側の層(2)と、
-前記上側の層(1)と前記下側の層(2)との間に配置された弾性的でありかつ空気透過性のある少なくとも1つの中間層(3)と、
-空気、特に温風を前記中間層(3)の領域に供給するための接続体(7a)を備えた少なくとも1つの空気流入開口(7)と、
を備え、
前記ブランケットの、前記少なくとも1つの空気流入開口(7)から遠ざけられた縁領域(6)に、少なくとも1つの空気流出開口(8)が設けられており、前記空気流入開口(7)を介して供給された前記空気の少なくとも大部分が、前記空気流出開口(8)を通って前記ブランケットから流出する、ブランケットにおいて、
前記上側の層(1)は、液体透過性があるように形成されており、前記下側の層(2)は、実質的に気密かつ実質的に液密に、好ましくはプラスチックフィルムまたはコーティングされたテキスタイル面状構造材として形成されていることを特徴とする、ブランケット。
【請求項2】
一方の前記空気流入開口(7)と、他方の前記空気流出開口(8)とは、前記ブランケットの互いに反対側の縁領域(6)に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のブランケット。
【請求項3】
前記空気流入開口(7)を介して供給された空気流量の少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%が、前記空気流出開口(8)から流出することを特徴とする、請求項1または2記載のブランケット。
【請求項4】
1~3つの空気流入開口(7)が設けられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項5】
1~5つの空気流出開口(8)が設けられていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項6】
前記上側の層(1)は、ほんの僅かしか空気透過性を有しておらず、好ましくは実質的に気密に形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項7】
前記上側の層(1)は、テキスタイル面状構造材、好ましくはプラスチック面状材から成る少なくとも1つの構成層を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項8】
前記プラスチック面状材は、好ましくは90%超の割合のポリエステルおよび/または好ましくは5%未満の割合の炭素繊維から成ることを特徴とする、請求項7記載のブランケット。
【請求項9】
前記テキスタイル面状構造材の目付が、90g/m
2~130g/m
2であることを特徴とする、請求項7または8記載のブランケット。
【請求項10】
前記テキスタイル面状構造材の糸の繊度が、150dtex未満、好ましくは90dtex~120dtexであることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項11】
実質的に前記空気流入開口(7)を介して供給された全ての空気流量が、前記空気流出開口(8)を通って前記ブランケットから流出することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項12】
少なくとも1つの空気流出開口(8)、好ましくは全ての空気流出開口(8)が、前記下側の層に形成されているかまたは配置されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項13】
前記少なくとも1つの空気流出開口(8)は、前記下側の層(2)または前記上側の層(1)に設けられた、好ましくは円形の切欠きとして形成されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項14】
前記少なくとも1つの空気流出開口(8)は、フィルタまたはスクリーン(14)を有しており、これによって、前記ブランケットの内部の汚染物が捕捉可能であり、かつ/または空気流出が絞られることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項15】
前記フィルタまたはスクリーン(14)は、前記上側の層および前記下側の層とは異なる網状のテキスタイル面状構造材から成ることを特徴とする、請求項14記載のブランケット。
【請求項16】
少なくとも1つの空気流出開口が、通流を遮断または調整することができる出口弁に配置されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項17】
前記中間層は、それぞれ2つの、好ましくはテキスタイルの層(11)の間に剛性でありながらフレキシブルなスペーサ糸(12)が配置されている少なくとも1つのスペーサ編物またはスペーサ織物(3a,3b)またはこれに類するものを有することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項18】
前記中間層は、二層または多層で形成されており、好ましくは固定されずに互いに上下に位置する、互いに異なる2つのスペーサ編物またはスペーサ織物(3a,3b)またはこれに類するものを有することを特徴とする、請求項17記載のブランケット。
【請求項19】
前記ブランケットは、その上に横たわらせることができる前記生物に対して平行に測定した最大の長手方向延在長さ(L)を有しており、前記ブランケットの、該ブランケットの前記長手方向延在長さ(L)全体の少なくとも70%にわたって延在する長さ(L1)を有する中間の領域には、空気流出開口が設けられていないか、または前記中間の領域の外側よりも大幅に小さい空気流出開口しか設けられていないことを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項20】
取外し可能な少なくとも1つの前記接続体に、温風を供給するための装置、特に加熱ブロワが、好ましくはフレキシブルなホースを介して接続可能であることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項21】
前記空気流出開口(8)は、空気導出ホース(15)用のそれぞれ1つの取外し可能な接続体を有することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載のブランケット。
【請求項22】
生物、特に患者または負傷者を安定化および/または位置固定するための装置であって、請求項1から21までのいずれか1項記載のブランケットと、弁を介して排気可能な内室に造粒体を有する少なくとも1つの支持体とを備えており、前記造粒体は、排気後に互いに密に接触し、ひいては前記支持体を補強する、装置。
【請求項23】
前記内室に、造粒体と、該造粒体を安定化するための挿入体とが配置されており、該挿入体は2つのテキスタイル面状構造材を有しており、該2つのテキスタイル面状構造材は多数の糸によって互いに接続されており、前記造粒体は、両方の前記テキスタイル面状構造材の間および前記糸同士の間の空間に配置されていることを特徴とする、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記挿入体は、スペーサ編物またはスペーサ織物の形態で形成されていることを特徴とする、請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記支持体と前記ブランケットとは互いに重なり合って位置しており、前記ブランケットは、実質的に前記支持体と患者または負傷者との間に配置可能であることを特徴とする、請求項22から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
前記支持体と前記ブランケットとは側方で相並んで位置し、好ましくは1つのユニットになるように接続可能であり、該ユニットでは、前記ブランケットは実質的に患者または負傷者の下に位置し、前記患者を安定化するために、2つの支持体が側方で前記患者に当付け可能であることを特徴とする、請求項22から24までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載のブランケットに関する。さらに、本発明は、そのようなブランケットを備える、生物、特に患者または負傷者を安定化および/または位置固定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のブランケットは、特に患者または負傷者を温度調整するためのマットとして使用される。しかし、基本的に、この種のブランケットは身体の上に置かれてもよい。ブランケットの役割は、身体を温度調整し、(マットとしては)可能な限り圧迫なしに横たわらせることである。
【0003】
加温のための使用では、例えば加熱ブロワから温風が供給され、ブランケットに吹き込まれる。
【0004】
このようなブランケットは、特に医療の分野で、治療すべき患者および/または負傷者の体温低下を防止するために使用されるが、それだけではない。
【0005】
先行技術によるヒートブランケットの例が、独国特許発明第10207793号明細書に見られる。同明細書に記載された構成では、吹き込まれた温風が、上側の層を介してヒートブランケット自体から直接、ブランケット上に横たわる患者に向かって流出し、対流式の温風流によって患者を温める。
【0006】
このような、患者への直接の空気案内は、特に手術の領域において、高度の無菌性に対する要求に関して問題を引き起こす場合がある。さらに、この公知の構成では、ブランケット上に横たわる身体から出る湿分を的確に搬出することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、冒頭に記載した形態のブランケットを改良して、上記の欠点を回避することができるブランケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴によって達成される。
【0009】
本発明の対象では、空気の流出は、上側の層を介して直接患者に向けて行われるのではなく(または少なくとも主としてそのように行われるのではなく)、ブランケットの、空気を供給するための接続体から遠ざけられた縁領域に設けられた別個の空気流出開口を介して行われる。この場合、これらの空気流出開口を介して、空気は制御されてブランケットから流出する。
【0010】
したがって、先行技術の場合よりも極めて的確な空気案内が可能になる。空気流出開口の寸法設定によって、空気流を的確に調整して、ヒートブランケットの所望の膨張度を得ることもできる。
【0011】
さらに、別個の空気流出開口を介した本発明による空気案内によって、身体から出て、上方から上側の層を通じてブランケットの内部に到達する湿分を導出し、それによって、結果的に、侵入してくる湿分がブランケットに実質的に残らない状態をより長期間にわたって保つことが可能になる。
【0012】
さらに、本発明による空気流出開口によって、排気を的確に手術領域または他の敏感な領域から導出するために、空気導出ホースまたは類似のものを接続することが可能になる。したがって、高い無菌性要求を満たすことが可能になる。
【0013】
少なくとも1つの空気流出開口が、通流を遮断または調整することができる出口弁に配置されていることが特定されていてもよい。したがって、ブランケットを通流する空気の通流量を様々な使用目的に適合させることができる。
【0014】
本発明の更なる利点および詳細を、以下の図面の説明に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るブランケット、特にヒートマットの実施例を示す平面図である。
【
図2】
図1に示したブランケットを示す概略的な側面図である。
【
図3】
図1に示したブランケットの左上側の端部領域を
図1のA―A線で切断して示す概略的な断面図である。
【
図4】手術室における本発明に係るヒートマットの実施例を、外部の温風供給部および外部の温風排出部とともに示す概略的な配置図である。
【
図5】本発明に係るブランケットと造粒体で満たされた排気可能な支持体とを備える、生物、特に患者または負傷者を安定化および/または位置固定するための本発明に係る装置の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図3に示すブランケット、特に加温のためのマットは、生物、特に患者または負傷者に向けられた上側の層1を有している。人間の身体が対象であってよい。しかし、基本的に、本発明に係るブランケットは動物にも適している。
【0017】
上側の層1の反対側に下側の層2が設けられていて、縁部6に沿って上側の層1に気密に(または実質的に気密に)結合されている。これによって、例えば、(
図3に示すように)縁領域6に縁曲げ部4が設けられ、両方の層1,2に縫い付けられていることがあり得る(符号5参照)。
【0018】
上側の層1と下側の層2との間に、弾性的でありかつ空気透過性のある少なくとも1つの中間層3が設けられており、この中間層3は、本実施例では二層で構成されている(上層3aおよび下層3b=
図3)。
【0019】
空気流入は、
図1および
図2では右側から、ホース13および接続体7aならびに本来の空気流入開口7を介して行われる。この空気流入開口7は、突出した柔軟なフラップ25に形成されている。
【0020】
更なる(より小さい)2つのフラップ26が、
図2の旋回矢印の方向で、例えば人物の肩の上に置かれてよい。この場合、フラップ26は、
図1に符号26aを付した破線で示すように位置する。
【0021】
ここで、本発明によれば、ブランケットの、空気流入開口7から遠ざけられた縁領域6に、規定された少なくとも1つの空気流出開口8が設けられている。
【0022】
本実施例では、下側の層2に配置された2つの空気流出開口8が設けられている。
【0023】
これらの空気流出開口8を介して、空気流入開口7を介して流入した空気、特に温風の大部分が、実質的にヒートブランケットの内部全体、すなわちブランケット内に存在する中間層を完全に通流した後に流出する。内部における空気流線の一部が、
図1に符号9を付した概略的な破線矢印で示されている。
【0024】
空気流出開口のこのような配置は、特に、上側の層2が実質的に気密に、しかし、好ましくは湿分透過性があるように形成されていることが特定されている、本発明の更なる変化形態と組み合わせることができる。
【0025】
このような変化形態では、
図2の二本矢印10によって示すように、ブランケット上に横たわる生物から出る湿分、例えば汗または血液のみならず、上方から侵入するその他の湿分もまずブランケットの内部に到達する。この場合、身体、特に患者または負傷者が横たわっている上面に湿分または液体が支障となるほど存在することはもはやない。
【0026】
請求項1によって特定される空気案内との組合せにより、ここで、この湿分は、ブランケットの内部から空気流出開口8を介して外部に向かって的確に導出される。この際、空気は中間層3を通して案内される。
【0027】
中間層3は、好適には、それぞれ2つのテキスタイル層の間に剛性でありながらフレキシブルなスペーサ糸を有するスペーサ編物またはスペーサ織物として形成されている。テキスタイル層には符号11が、スペーサ糸には符号12が付されている(
図3参照)。
【0028】
このようなスペーサ編物またはスペーサ織物は、例えばポリエステルから成る糸を有している。
【0029】
これらのスペーサ編物またはスペーサ織物により、上に横たわる身体を圧迫なしに横たわらせることができる。
【0030】
同時に、空気流入開口7を介した的確な温風供給により、身体を温度調整することができる。加温のほか、必要であれば身体の冷却も基本的に可能である。
【0031】
本発明による空気案内により、損失のない的確な空気流を生じさせることができる。したがって、全体として、より小さな加熱ブロワまたはより小さなヒートユニットで十分である。
【0032】
本発明に係るブランケットでは、好適な実施形態によれば、空気流入開口7を介して供給された空気流量(単位時間あたりの体積)の少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、すなわち大部分が、空気流出開口8から流出する。
【0033】
基本的には、流出する空気の小さな一部が、別の経路を介して、例えば先行技術におけるように上側の層自体を通り抜けてブランケットの内部から流出することも可能である。
【0034】
ただし、好適には、上側の層は実質的に気密に、しかし、好ましくは湿分透過性があるように形成されていることが特定されている。上側の層が気密に形成されていることによって、下側の層が同様に気密に形成されておりかつシームが実質的に密である場合、空気は、実質的に専ら空気流出開口8を介してしか流出することができない。このことにより、的確な空気案内が可能なる。
【0035】
空気流出開口8は、好ましくは下側の層に形成されているかまたは配置されていてよく、したがって、上に横たわる身体に支障を与えない。
【0036】
空気流出開口8は、好ましくは各々の層に設けられた円形の切欠きとして形成されていてよく、このことが、
図1に実線(円形)で示されている。当然のことながら、空気流出開口の別の形状、例えば正方形または多角形の形状も可能である。
【0037】
図3が示すように、少なくとも1つの空気流出開口は、破線で示されたフィルタまたはスクリーン14を有している。これによって、ブランケットの内部の汚染物を捕捉することができ、さらに、空気流出を的確に絞ることができる。
【0038】
フィルタまたはスクリーン14は、例えば円形のテキスタイル面状構造材から成っていてよく、このテキスタイル面状構造材は、相対的に大きな個別開口を有しており、例えば下側の層2の内面に開口8を取り囲むように接着されている。
【0039】
下側の層は、好適には気密かつ液密の材料から、例えばプラスチックフィルムまたはコーティングされたテキスタイル面状構造材から形成されている。したがって、上方から侵入する湿分がブランケットを通り抜けて下方に流出することを防止することができる。
【0040】
的確な空気案内と、しかも相対的に簡単な構造的構成とを得るためには、1~3つの空気流入開口が設けられていると有利である。
【0041】
同じ理由から、1~5つの空気流出開口が設けられている場合も有利である。
【0042】
僅かな数の空気流入開口および空気流出開口によって、空気供給用のホースのみならず、場合によっては空気導出用のホースも簡単に接続することも可能になる。
【0043】
図1に示すように、一方の空気流入開口7と、他方の空気流出開口8とは、ブランケットの互いに反対側の縁領域6に配置されている。
【0044】
図1に示す実施例では、ブランケットは、その上に横たわらせることができる身体に対して平行に測定した最大の長手方向延在長さLを有している。中間の領域は、長さL1を有している。この中間の領域は、ブランケットの長手方向延在長さL全体の少なくとも70%にわたって延在している。長さL1を有するこの中間の領域には、好ましくは空気流出開口が設けられていないか、または中間の領域の外側よりも大幅に小さい空気流出開口しか設けられていない。したがって、ともあれ実質的に全ての空気が、規定されて別個の個々の空気流出開口を通って規定通りに流出する。
【0045】
既述した通り、上側の層は、有利には僅かしか空気透過性を有しておらず、好ましくは総じて実質的に気密に形成されている。このように形成されていることによって、実質的に空気流の全体または少なくとも大部分が、的確に空気流入開口から別個の個々の空気流出開口に向かって規定通りに流れることができる。
【0046】
上側の層のための材料として、テキスタイル面状構造材が適しており、このテキスタイル面状構造材は、上側の層の少なくとも1つの構成層を形成している。テキスタイル面状構造材は、好ましくはプラスチック糸から成っていてよい。このようなテキスタイル面状構造材は、例えば織物または編物として簡単に作製することができる。
【0047】
テキスタイル面状構造材のプラスチック糸は、好ましくはポリエステル糸であり、特に好適にはポリエステルが90%超の割合を占める。安定化のために、テキスタイル面状構造材に炭素繊維が、好ましくは5%未満の割合で併用されてもよい。炭素繊維は極めて安定しており、引張強さを備えているが、高価でもあるので、炭素繊維の割合は小さいことが好ましい。炭素繊維は導電性であるので、安定性または強度の理由のほか、静電気の帯電を防止するためにも使用されてよい。
【0048】
テキスタイル面状構造材の目付は、好ましくは90g/m2~130g/m2である。このようなテキスタイル面状構造材により、一方で相対的に僅かな空気透過性と、他方で例えば血液または汗を搬出するための液体透過性とが、同時に良好に得られることが判明した。
【0049】
同じ考察から、好適には、テキスタイル面状構造材の糸の繊度は150dtex未満、好ましくは90dtex~120dtexであることが特定されている。
【0050】
図4に示す実施例では、手術侵襲用の手術台16が概略的に示されている。この手術台16上に、本発明に係るブランケットAと、その上に横たわった状態で患者および/または負傷者の身体とが位置している。
【0051】
加熱ブロワ17を起点として、好ましくはフレキシブルな空気供給ホース13を介して、温風が空気流入開口7を介してブランケット内に案内される。
【0052】
この温風はブランケットを通流し、空気流出開口8を介して再び流出する。好適には、身体Kに向かって空気が直接流れることはないことが特定されている。すなわち、単にブランケットの上側の層1が加温され、ひいては、その上に横たわる身体も温められるということである。
【0053】
流出する空気は、空気導出ホース15を介して外部へ案内される。
【0054】
鉛直の一点鎖線18は、例えば手術台を取り囲むように張り巡らされたエアカーテンや隣室との壁を示している。すなわち、給気を別個の領域から供給することも、排気を別個の領域へ導出することも可能である。
【0055】
図5に示す実施例では、本発明に係るブランケットAが支持体Bと組み合わされている。支持体Bは、弁19を介して排気可能な内室20に造粒体21を有しており、造粒体21は、排気後は互いに密に接触し、それによって支持体Bを補強する。
【0056】
このような支持体またはバキュームマットレス自体はすでに知られている。これらは、特に負傷者または手術を受ける患者を安定化するために用いられる。
【0057】
特にヒートマットとして形成された本発明に係るブランケットと組み合わせることによって、上に横たわる身体を安定化して位置固定することができるだけでなく、極めて良好に温度調整することもできる。さらに、ブランケットおよびその弾性的な内部構造により、上に横たわる身体への圧迫が完璧に軽減される。
【0058】
図5に示す実施例では、支持体Bは特殊に構成されている。支持体Bは、内室に造粒体21と、造粒体21を安定化するための挿入体とを有している。
【0059】
挿入体は、本実施例では、多数の糸24を介して互いに接続された2つのテキスタイル面状構造材22,23によって形成されている。例えば小型の発泡ポリスチレン球の形態の造粒体21は、両方のテキスタイル面状構造材22,23の間および糸24同士の間の縁部に配置されている。糸24はスペーサとして作用し、両方のテキスタイル面状構造材22,23と一緒に全体としてスペーサ編物またはスペーサ織物を形成している。
【0060】
圧迫軽減されたブランケットA内の糸12とは対照的に、支持体B内の糸24は、必ずしもそれ自体が形状安定性を有する必要はない。糸24の役割は、主として、両方の層22,23を、好ましくは全体にわたって等しい一定の最大間隔に保つことである。
【0061】
使用に関しては、本発明に係るブランケットAは、好ましくは身体Kと支持体Bとの間に配置されている。
【0062】
しかし、ブランケットが患者または負傷者の下に位置するだけで、支持体は安定化のために側方に、例えばブランケットに側方で接続する2つの支持体の形態で配置されていることも可能である(ここでは図示せず)。
【0063】
本発明では、室温を上回る、すなわち20℃を上回る温風を、例えば加熱ブロワを介して供給することができる。特に、例えば体温を上回る(すなわち36℃を上回る)、より高温に調整した空気を供給することも特定されている。
【0064】
既述した通り、基本的に、冷風供給も可能であり、これにより、例えば発熱性の疾患の場合に、上に横たわる身体を冷却することができる。好適には、本発明に係るブランケットはマットとして、特にヒートマットとして適している。しかし、基本的に、ブランケットは患者の上に置かれてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケット、特に生物を温度調整するためのマットであって、
-生物、特に患者または負傷者に向けられる上側の層(1)と、
-前記上側の層(1)の反対側に位置する下側の層(2)と、
-前記上側の層(1)と前記下側の層(2)との間に配置された弾性的でありかつ空気透過性のある少なくとも1つの中間層(3)と、
-空気、特に温風を前記中間層(3)の領域に供給するための接続体(7a)を備えた少なくとも1つの空気流入開口(7)と、
を備え、
前記ブランケットの、前記少なくとも1つの空気流入開口(7)から遠ざけられた縁領域(6)に、少なくとも1つの空気流出開口(8)が設けられており、前記空気流入開口(7)を介して供給された前記空気の少なくとも大部分が、前記空気流出開口(8)を通って前記ブランケットから流出する、ブランケットにおいて、
前記上側の層(1)は、液体透過性があるように形成されており、前記下側の層(2)は、実質的に気密かつ実質的に液密に、好ましくはプラスチックフィルムまたはコーティングされたテキスタイル面状構造材として形成されていることを特徴とする、ブランケット。
【請求項2】
一方の前記空気流入開口(7)と、他方の前記空気流出開口(8)とは、前記ブランケットの互いに反対側の縁領域(6)に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のブランケット。
【請求項3】
前記空気流入開口(7)を介して供給された空気流量の少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%が、前記空気流出開口(8)から流出することを特徴とする、請求項1または2記載のブランケット。
【請求項4】
1~3つの空気流入開口(7)が設けられていることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項5】
1~5つの空気流出開口(8)が設けられていることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項6】
前記上側の層(1)は、ほんの僅かしか空気透過性を有しておらず、好ましくは実質的に気密に形成されていることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項7】
前記上側の層(1)は、テキスタイル面状構造材、好ましくはプラスチック面状材から成る少なくとも1つの構成層を有することを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項8】
前記プラスチック面状材は、好ましくは90%超の割合のポリエステルおよび/または好ましくは5%未満の割合の炭素繊維から成ることを特徴とする、請求項7記載のブランケット。
【請求項9】
前記テキスタイル面状構造材の目付が、90g/m
2~130g/m
2であることを特徴とする、請求項7または8記載のブランケット。
【請求項10】
前記テキスタイル面状構造材の糸の繊度が、150dtex未満、好ましくは90dtex~120dtexであることを特徴とする、請求項
7記載のブランケット。
【請求項11】
実質的に前記空気流入開口(7)を介して供給された全ての空気流量が、前記空気流出開口(8)を通って前記ブランケットから流出することを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項12】
少なくとも1つの空気流出開口(8)、好ましくは全ての空気流出開口(8)が、前記下側の層に形成されているかまたは配置されていることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項13】
前記少なくとも1つの空気流出開口(8)は、前記下側の層(2)または前記上側の層(1)に設けられた、好ましくは円形の切欠きとして形成されていることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項14】
前記少なくとも1つの空気流出開口(8)は、フィルタまたはスクリーン(14)を有しており、これによって、前記ブランケットの内部の汚染物が捕捉可能であり、かつ/または空気流出が絞られることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項15】
前記フィルタまたはスクリーン(14)は、前記上側の層および前記下側の層とは異なる網状のテキスタイル面状構造材から成ることを特徴とする、請求項14記載のブランケット。
【請求項16】
少なくとも1つの空気流出開口が、通流を遮断または調整することができる出口弁に配置されていることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項17】
前記中間層は、それぞれ2つの、好ましくはテキスタイルの層(11)の間に剛性でありながらフレキシブルなスペーサ糸(12)が配置されている少なくとも1つのスペーサ編物またはスペーサ織物(3a,3b)またはこれに類するものを有することを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項18】
前記中間層は、二層または多層で形成されており、好ましくは固定されずに互いに上下に位置する、互いに異なる2つのスペーサ編物またはスペーサ織物(3a,3b)またはこれに類するものを有することを特徴とする、請求項17記載のブランケット。
【請求項19】
前記ブランケットは、その上に横たわらせることができる前記生物に対して平行に測定した最大の長手方向延在長さ(L)を有しており、前記ブランケットの、該ブランケットの前記長手方向延在長さ(L)全体の少なくとも70%にわたって延在する長さ(L1)を有する中間の領域には、空気流出開口が設けられていないか、または前記中間の領域の外側よりも大幅に小さい空気流出開口しか設けられていないことを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項20】
取外し可能な少なくとも1つの前記接続体に、温風を供給するための装置、特に加熱ブロワが、好ましくはフレキシブルなホースを介して接続可能であることを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項21】
前記空気流出開口(8)は、空気導出ホース(15)用のそれぞれ1つの取外し可能な接続体を有することを特徴とする、請求項
1記載のブランケット。
【請求項22】
生物、特に患者または負傷者を安定化および/または位置固定するための装置であって、請求項
1記載のブランケットと、弁を介して排気可能な内室に造粒体を有する少なくとも1つの支持体とを備えており、前記造粒体は、排気後に互いに密に接触し、ひいては前記支持体を補強する、装置。
【請求項23】
前記内室に、造粒体と、該造粒体を安定化するための挿入体とが配置されており、該挿入体は2つのテキスタイル面状構造材を有しており、該2つのテキスタイル面状構造材は多数の糸によって互いに接続されており、前記造粒体は、両方の前記テキスタイル面状構造材の間および前記糸同士の間の空間に配置されていることを特徴とする、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記挿入体は、スペーサ編物またはスペーサ織物の形態で形成されていることを特徴とする、請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記支持体と前記ブランケットとは互いに重なり合って位置しており、前記ブランケットは、実質的に前記支持体と患者または負傷者との間に配置可能であることを特徴とする、請求項22から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
前記支持体と前記ブランケットとは側方で相並んで位置し、好ましくは1つのユニットになるように接続可能であり、該ユニットでは、前記ブランケットは実質的に患者または負傷者の下に位置し、前記患者を安定化するために、2つの支持体が側方で前記患者に当付け可能であることを特徴とする、請求項22から24までのいずれか1項記載の装置。
【国際調査報告】