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特表2024-528115新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20240719BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20240719BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20240719BHJP
   A23J 3/16 20060101ALI20240719BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20240719BHJP
【FI】
A23L5/00 A
A23J3/14 ZNA
A23L3/36 Z
A23L5/00 J
A23J3/16 501
A23L13/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505513
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022071272
(87)【国際公開番号】W WO2023006916
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】2108339
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524037801
【氏名又は名称】ウミアミ エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】UMIAMI SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】バス,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】エル シュマリ,マリー リヌ
(72)【発明者】
【氏名】デュピュイ,ユゴー
(72)【発明者】
【氏名】マスベルナ,ロレナ
【テーマコード(参考)】
4B022
4B035
4B042
【Fターム(参考)】
4B022LA01
4B022LB01
4B022LJ01
4B022LJ05
4B022LJ08
4B035LC03
4B035LE05
4B035LE07
4B035LG01
4B035LG06
4B035LG12
4B035LG15
4B035LG31
4B035LG51
4B035LP01
4B035LP41
4B035LP43
4B042AC05
4B042AD36
4B042AE07
4B042AE10
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK10
4B042AK11
4B042AP02
4B042AP14
4B042AP18
4B042AP27
(57)【要約】
本発明は、新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品、特にいわゆる「肉代用品」の製造に関する。また、本発明は、前記新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法に関する。また、本発明は、他の製品の製造に使用できる中間物として、前記新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品の使用に関する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャを付与した繊維状または層状食品であって、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における10.00~50.00Nの硬度と、
50.00~90.00%の保水性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とするテクスチャを付与した繊維状または層状食品。
【請求項2】
前記繊維の厚さが0.10~1.00mm、長さが1.00~150.00mmである、請求項1に記載のテクスチャを付与した繊維状または層状食品。
【請求項3】
繊維間隔が0.05~1.00mmである、請求項1または2に記載のテクスチャを付与した繊維状または層状食品
【請求項4】
他のさらに複合製品の製造における使用に適した中間物としての、請求項1~3のいずれか1項に記載のテクスチャを付与した繊維状または層状食品の使用。
【請求項5】
植物性タンパク質から、請求項1~3に記載のテクスチャを付与した繊維状または層状食品を生産する方法であって、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、1~30重量%の植物性タンパク質と、前記タンパク質溶液に溶解可能な少なくとも20%の前記植物性タンパク質を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素が添加された前記タンパク質溶液を、30~60℃の温度および15分~120分の時間の条件下で培養し、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させて、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.-120~-5℃の温度および15分~48時間の時間のタンパク質繊維を形成する条件下で、前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む方法。
【請求項6】
前記タンパク質溶液は、混合物に由来する1~30重量%の植物性タンパク質を含み、当該混合物は、
少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、前記酵素がアミノアシルトランスフェラーゼのクラスに属する場合、リシンスコアが50~150、かつ、グルタミンスコアが50~150であり、あるいは、
前記酵素がオキシドレダクターゼのクラスに属する場合、チロシンスコアが50~150である植物由来タンパク質と、
30%以下の他のタンパク質と、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップb.での前記凍結は、方向性凍結である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
タンパク質源から前記タンパク質溶液を調製する前ステップをさらに含み、前記タンパク質は、1~30重量%の植物性タンパク質を含むか、あるいは、タンパク質混合物からの1~30重量%の植物性タンパク質を含み、当該タンパク質混合物は、
少なくとも70%の植物由来のタンパクであって、該前記酵素がトランスグルタミナーゼのクラスに属するもの(例えば、トランスグルタミナーゼ)である場合、リシンスコアが50~150、かつ、グルタミンスコアが50~150であり、あるいは、
前記酵素がオキシドレダクターゼのクラスに属するもの(例えば、ラッカーゼ、チロシナーゼおよびペルオキシダーゼ)である場合、チロシンスコアが50~150である植物由来タンパク質と、
植物由来か否かに関わらない30%以下の他のタンパク質と、を、
タンパク質溶液の質量に対して含み、少なくとも20%の前記植物性タンパク質が前記タンパク質溶液に可溶性である、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質源は、アーモンド(Prunus dulcis)、スパイクアマランサス(Amaranthus cruetus)、ヒポコンドリアカスアマランサス(Amaranthus hypochondriacus)、フォックステールアマランサス(Amaranthus caudatus)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、アボカド(Persea americana)、オート麦(Avena sativa)、スペルト小麦(Triticum spelta)、ほうれん草(Spinacia oleracea)、ソラマメ(Vicia faba)、イチジク(Figus carica)、綿実(Gossypium hirsutum)、ゴマ(Sesamum indicum)、ひまわりの種(Helianthus annuus)、ツバサマメ(Psophocarpus tetragonolobus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、リマビーン(Phaseolus lunatus)、ムングビーン(Vigna radiata)、グリーンビーン(Phaseolus vulgaris)、レンズ豆(Lens culinaris)、亜麻(Linum usitatissimum)、白ルピナス(Lupinus albus)、青ルピナス(Lupinus angustifolius)、変異ルピナス(Lupinus mutabilis)、黄ルピナス(Lupinus luteus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、カウピー(Vigna unguiculata)、カシューナッツ(Anacardium occidentale)、ココナッツ(CocosNucifera)、ピーカンナッツ(Carya illinoinensis)、ブラジルナッツ(Bertholletia excelsa)、大麦(Hordeum vulgare)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、ピスタチオ(Pistacia vera L.)、エンドウ豆(Pisum sativum)、バンバラビーンズ(Vigna subterranea)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)、トオルダル(Cajanus cajan)、マラムビーンズ(Tylosema esculentum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、米(Oryza sativa)、ソバ(Fagopyrum esculentum)、ライ麦(Secale cereale L.)、大豆(Glycine max)およびこれらの混合物から選択される植物由来タンパク質を含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記前ステップは、前記タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップをであって、当該塩溶液は、
NaCl、および/または、
KCl、および/または、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩を、含み、
塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記前ステップは、前記植物性タンパク質を少なくとも1分間水和するステップをさらに含む、請求項5~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップa.で添加される酵素の量は、タンパク質溶液の重量に対して0.001~1.0重量%のである、請求項5~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップa.とステップb.との間に、前記酵素処理タンパク質と塩溶液と混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含む、請求項5~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップb.の前に、前記酵素処理タンパク質と酸溶液と混合して、酵素処理酸タンパク質溶液を得るステップii)をさらに含む、請求項5~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップb.の後に、酵素を変性する条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップc.をさらに含み、
特に、温度条件は、70~250℃であり、時間は15分~180分である、請求項5~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ステップc.の後に、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を凍結または急速凍結するステップd.をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップb.から得られる前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品は、
a.少なくとも0.5cmの高さと、
b.少なくとも0.5cmの厚さと、
c.少なくとも0.5cmの幅と、を含む、請求項5~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の方法によって取得可能なテクスチャを付与した繊維状または層状食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品、特にいわゆる「肉代用品」の製造に関する。また、本発明は、前記新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法に関する。また、本発明は、他の製品の製造に使用できる中間物として、前記新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
菜食主義やビーガン食の台頭と、肉業界の環境コストへの認識が高まる中、多くの食品メーカーは肉製品(例えば、ステーキ、チーズ、ソーセージなど)を模倣した幅広い代替肉製品を開発してきた。これらの製品は、肉代替品、模造肉または植物性肉とも呼ばれ、鶏肉や牛肉など特定の種類の肉と似た官能特性を有する食品製品である。
【0003】
さらに、これらの人工肉の製造では、実際の肉の製造に比べて必要とする資源が7分の1となる(非特許文献1)。実際に、例えばエンドウ豆や褐藻類は、牛の飼育よりも必要とする水がはるかに少ない(さらに穀物による餌やりも必要とする)。
【0004】
これらの肉代替品は基本的に非肉製品から作られ、時には乳製品や卵など動物由来の製品も含まないものもある。多くは大豆、小麦、穀物、エンドウ豆、さまざまな光合成植物、細菌または菌類の培養を基づいており、肉状の製品を得るために機械化学的処理によって変性され、その後風味付けすることができる。最近では、一部の会社が3Dプリンターを使った人工肉作りにも挑戦している。
【0005】
これらの人工肉を生産するために用いられる機械処理の中で、エクストルージョンクッキングが食品業界で最も広く使用される。この方法は、発泡製品、調理済み製品、テクスチャを付与した製品を製造できるため、食品産業で広く使用される。この方法は、原料または原料混合物を極めて短時間で同時に機械熱処理を行うことから成る。簡単に説明すると、食品は最初に機械エネルギーの付与によって混合および均一化され、次に供給される熱エネルギーによって調理されて分子結合の一部を変化させ、最終的に製品は圧力によってダイから外部に押し出される。
【0006】
これらの人工肉の製造を可能にする化学処理の中で、食品産業では酵素を使用することができる。また、塩や酸を使用して、これらの人工肉を化学処理で製造することも可能である。最終的には、高圧処理や熱処理のような物理処理を用いることも可能である。
【0007】
しかし、上述したように、これらの代替肉には、模倣製品の味およびテクスチャの品質を与えるがために、その栄養価を大幅に低下させ、健康リスクを増大させる一連の処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/153751号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Florent Motey、「La viande d’imitation pourrait envahirNos assiettes d’ici 2050」、Le Figaro、2014年11月13日、1ページ
【非特許文献2】Chen f.、Wei Y.M、Zhang B.、Okhonlaye Ojokoh A.、2010.「System parameters and product properties response of soybean protein extruded at wide moisture range.Journal of Food Engineering」、第96巻、第2版、208-213)
【非特許文献3】Kerr W.L.、Li R.、Toledo T.2000年.「Dynamic mechanical analysis of marinated chicken breast meat」、Journal of Textures Studies、第31巻、421-436)
【非特許文献4】Dan-Asabe、B.、Yaro、S.A.、Yawas、D.S.およびAku、S.Y、(2007)、「Water displacement and bulk density-relation methods of finding density of powered materials」、International Journal of Innovative Research in Science,Engineering and Technology、3297(9)
【非特許文献5】Hughes、S W、(2005年)、「Archimedes revisited:a faster、better、cheaper method of accurately measuring the volume of small objects」、Physics Education、40(5)、468-474
【非特許文献6】Yokoyama K、Nio N、Kikuchi Y、「Properties and applications of microbial transglutaminase」、Appl Microbiol Biotechnol、2004年5月、64(4):447-54、doi:10.1007/s00253-003-1539-5、2004年1月22日に電子出版、PMID:14740191
【非特許文献7】Heck,T.、Faccio,G.、Richter,M.、Thоny-Meyer,L.、2013年、「Enzyme-catalyzed protein crosslinking」、Appl.Microbiol.Biotechnol、97、461-475、https://doi.org/10.1007/s00253-012-4569-z
【非特許文献8】Menendez,O.、Rawel,H.、Schwarzenbolz,U.およびHenle,T、(2006年)、「Structural changes of microbial transglutaminase during thermal and high-pressure treatment」、Journal of agricultural and food chemistry、54(5)、1716-1721
【非特許文献9】Grist,K.L.、Taylor,T.、Augenstein,L.、(1965年)、「The Inactivation of Enzymes by Ultraviolet Light.V.The Disruption of Specific Cystines in Ribonuclease The Inactivation of Enzymes by Ultraviolet Light.V.The Disruption of Specific Cystines in Ribonuclease」、Radiation Research、26(2)、198-210
【非特許文献10】McLaren,A.D.、Luse,R.A.、(1961年)、「Mechanism of Inactivation of Enzyme Proteins by Ultraviolet Light」、Science、134、836-836
【非特許文献11】Butler,J.A.vおよびRobins,A.B、(1963年)、「Effects of Certain Metal Salts on the Inactivation of Solid Trypsin by Ionizing Radiation」、Radiation Research、19(4)、582-592
【非特許文献12】Braham,S.A.、Siar,E.H.、Arana-Pena,S.、Carballares,D.、Morellon-Sterling,R.、Bavandi,H.、de Andrades,D.、Kornecki,J.F.およびFernandez-Lafuente,R、(2021年)、「Effect of concentrated salted solutions on the stability of immobilized enzymes:Influence of inactivation conditions and immobilization protocol」、Molecules、26(4)
【非特許文献13】Langston,J.、Blinkovsky,A.、Byun、T.,Terribilini、M.,Ransbarger、D.およびXu,F、2007年、「Substrate specificity of Streptomyces transglutaminases」、Appl Biochem Biotechnol、136、291-308
【非特許文献14】Villamiel,M.およびde Jong,P.、(2000)、「Influence of high-intensity ultrasound and heat treatment in continuous flow on fat,proteins andNative enzymes of milk」、Journal of Agricultural and Food Chemistry、48、472-478
【非特許文献15】Chen,Z.、Shi,X.、Xu,J.、Du,Y.、Yao,M.、およびguo,S、(2016年)、「Gel properties of SPI modified by enzymatic cross-linking during frozen storage」、Food Hydrocolloids、56、445-452
【非特許文献16】P,SkaleckiおよびFlorek、MariuszおよびA,Litwinczuk、(2010年)、「Freezing-induced changes of the colour and texture of Baltic cod fillets」)
【非特許文献17】NovakovicおよびI Tomasevic、2017年、「IOP Conf.Ser.:Earth Environ Sci」、85 012063
【非特許文献18】Zhang J、Liu L、Jiang Y、Faisal S、Wei L、Cao C、Yan W、Wang Q、「Converting Peanut Protein Biomass Waste into ”Doublegreen” Meat Substitutes Using a High-Moisture Extrusion Method:A Multiscale Method to Explore a Method for Forming a Meat-Like Fibrous Structure」、J Agric Food Chem、2019年9月、25、67(38):10713-10725、doi:10.1021/acs.jafc.9b02711、電子発行2019年9月13日、PMID:31453702
【非特許文献19】Commission Regulation (EC)No 2073/2005、2005年、Official Journal of the European Commission、L 338/1
【非特許文献20】Health and protection agency、2009年、「Guidelines for Assessing the Microbiological Safety of Ready-to-Eat Foods Placed on the Market」、
【非特許文献21】fcd、2021年、「Microbiological criteria applicable from 2022 to private labels、premium brands and raw materials in their original industrial packaging」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の目的は、新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品、特に栄養価が高い新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品を提供することである。本発明の第2の目的は、他の製品の製造に使用できる中間物として、特に栄養価が高い前記の新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品を提供することである。本発明の第3の目的は、革新的な技術を実施することにより、前記の新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法を提案することである。本発明の別の目的は、栄養価が高い前記の新規のテクスチャを付与した繊維状または層状食品を得るための非分解的方法を提案することである。本発明の別の目的は、繊維の形成を引き起こし、タンパク質溶液にテクスチャを付与するために、方向性凍結または一方向性凍結の使用を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面によれば、本発明は、テクスチャを付与した繊維状または層状の食品であって、
テクスチャ物性試験において、1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験において、1a.u.未満の粘弾性tanδと、を含むことを特徴とする。
【0012】
「繊維状食品」とは、本発明の製品が束状でフィラメント形成において組織されていることを意味する。また、本発明の製品が異方性を有し、テクスチャメーターによるせん断で測定できることも意味する。
【0013】
「層状食品」とは、本発明の製品が互いに載せた平坦な広がりに、あるいはシートに組織されていることを意味する。これは、本発明の製品が異方性を有し、テクスチャメーターによるせん断で測定できることも意味する。さらに、層状食品を構成する平坦なシートやラミネートの断面が、本質的に直線である繊維を示すことに留意する必要がある。したがって、平面またはシートの端は繊維に相当することから、上述の特徴を有する繊維状食品製品となる。
【0014】
「テクスチャを付与した食品」とは、液体混合物由来の製品であり、本発明の方法を実施後にレオロジーで測定可能な固体粘弾性を有することを意味する。
【0015】
「テクスチャを付与した繊維状または層状食品(本発明の製品とも言う)」とは、本発明の製品には、特徴を組み合わせることによって、測定可能な異方性と粘弾性があると理解される。
【0016】
「異方性」とは、方向依存性、この場合は繊維の方向の属性を意味する。これは、テクスチャ物性試験など、先行技術で既知の古典的技術によって測定することができる。この点において、理論的観点から、1a.u.超の異方性は、「繊維状」または「層状」を意味する(非特許文献2)。
【0017】
「粘弾性」とは、変形を受けたときに粘性および弾性の両方の特性を呈する材料の特性を言う。これは、損失因子または減衰因子tanδを測定するレオロジー試験など、既知の従来技術によって測定可能であり、tanδは応力とひずみとの間の位相角または位相損失、あるいは位相シフトである。この点において、論理的観点から、1a.u.未満の粘弾性tanδは、「固体およびテクスチャ付与」を意味する(非特許文献3)。
【0018】
他のパラメータを、本発明の製品を特性付けるために、これら2つのパラメータに関連付けてもよい。この点において、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、40.00~90.00%の繊維密度を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることをさらに特徴とする。
【0019】
「繊維密度」とは、製品の最も広い部分に対して、断面(製品の長さに対して垂直軸方向)に繊維が占める体積分率を意味し、画像解析で測定される。さらに、「40.00~90.00%の繊維密度」とは、密度が40.00~70.00%、70.00~90.00%、45.00~85.00%、50.00~80.00%、55.00~75.00%または60.00~70.00%でありうることも意味する。これは、繊維密度が40.00%、45.00%、50.00%、55.00%、60.00%、65.00%、70.00%、75.00%、80.00%、85.00%または90.00%でありうることも意味する。また、本発明の製品の繊維は、本質的に直線的(すなわち、少なくとも90%の繊維が直線形状。図21右側パネル参照)であり、本発明の別の実施形態は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、本質的に直線繊維の存在を含むことをさらに特徴とする。
【0020】
割合[繊維長:製品幅]とは、全製品幅(mm単位で定規により測定される)に対する製品の平均繊維長(mm単位で画像分析により測定される)の割合を意味する。さらに、「0.03~0.13a.u.の割合[繊維長:製品幅]」とは、この割合が0.03~0.08a.u.、0.08~0.13a.u.、0.04~0.12a.u.、0.05~0.11a.u.、0.06~0.10a.u.または0.07~0.09a.u.であることも意味する。これは、この割合が、0.03a.u.、0.04~0.12a.u.、0.05~0.11a.u.、0.06~0.10a.u.または0.07~0.09a.u、0.04a.u.、0.05a.u.、0.06a.u.、0.07a.u.、0.08a.u.、0.09a.u.、0.10a.u.、0.11a.u.、0.12a.u.または0.13a.u.に等しくなりうることも意味する。
【0021】
上述の点において、本発明の別の実施形態は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品であって、40.00~90.00%の繊維密度を含み、前記繊維が実質的に直線であり、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることをさらに特徴とすることが理解される。
【0022】
別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における10.00~50.00Nの硬度と、
50.00~90.00%の保水性と、を含むことをさらに特徴とする。
【0023】
「硬度」とは、本発明の製品を2本の臼歯間で圧縮するために必要な力を意味する。したがって、このパラメータは、特定の変形を得るために必要な力として定義される。さらに「10.00~50.00Nの硬度」とは、硬度が10.00~39.99Nでありうることが理解され、その場合、本発明の製品はあまり硬くないと表現し、あるいは、40.00~50.00Nでありうることも理解され、その場合、本発明の製品は極めて硬いと表現する。
【0024】
「保水性」とは、1kgの質量で5分間圧縮した際に水を保持するための製品構造の能力の代表的な量を意味する。「保水性」は、次式で測定される。
【数1】
水分は熱天秤を用いて測定され、圧縮前の製品の質量に対する水分損失は圧縮前後の製品の質量差の比率によって測定される。「50.00~90.00%の保水性」とは、80.00~90.00%であってもよく、その場合、本発明の製品は保水性が高いことを特徴とし、あるいは40.00~79.99%であってよく、その場合、本発明の製品は保水性が低いことを特徴とする。
【0025】
上述の点で、一実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における10.00~50.00Nの硬度と、
50.00~90.00%の保水性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とすることが理解される。
【0026】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における10.00~39.99Nの硬度と、
80.00~90.00%の保水性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0027】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における40.00~50.00Nの硬度と、
40.00~79.99%の保水性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0028】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における40.00~50.00Nの硬度と、
80.00~90.00%の保水性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0029】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、水置換試験において1.59~1.90g/cmの密度を含むことをさらに特徴とする。
【0030】
「密度」とは、製品の体積に対するその質量の割合をg/cmで表したものを意味する。製品の体積は、重量計測と、水置換による体積によって測定される(非特許文献4および5)。さらに「1.59~1.90g/cmの密度」とは、1.59~1.75g/cm、1.75~1.90g/cm、1.65~1.85g/cmまたは1.70~1.70g/cmでありうることも意味する。これは、密度が1.59g/cm、1.60g/cm、1.65g/cm、1.70g/cm、1.75g/cm、1.80g/cm、1.85g/cmまたは1.90g/cmに等しくなりうることも意味する。
【0031】
この点において、別の実施形態によれば、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、テクスチャ物性試験において、10.00~55.00%の弾性を含むことを、さらに特徴とする。
【0032】
「弾性」とは、2回の圧縮の間の所定の時間内に元の形状に戻るための製品の能力を意味する。「弾性」は、距離2/距離1の比率で測定される(図1参照)。さらに、「10.00~55.00%の弾性」とは、弾性が10.00~30.00%、30.00~55.00%、15.00~50.00%、20.00~45.00%、25.00~40.00%または30.00~35.00%でありうることも意味する。これは、弾性が10.00%、15.00%、20.00%、25.00%、30.00%、35.00%、40.00%、45.00%、50.00%または55.00%に等しくなりうることも意味する。
【0033】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、熱天秤により測定されるように、15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)を含むことをさらに特徴とする。
【0034】
「乾物含量」とは、製品の乾燥物質部分の割合を意味する。この量は次のように計算される。
乾物含量(%)=100-水分含量(%)
さらに、「15~39%の乾物含量」とは、16~35%または20~30%でありうることも意味する。これは、乾物含量が15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%または39%でありうることも意味する。
【0035】
上述の点で、一実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における10.00~50.00Nの硬度と、
50.00~90.00%の保水性と、
熱天秤により測定される15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とすることが理解される。
【0036】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における10.00~39.99Nの硬度と、
80.00~90.00%の保水性と、
熱天秤により測定される15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0037】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における40.00~50.00Nの硬度と、
40.00~79.99%の保水性と、
熱天秤により測定される15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0038】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における40.00~50.00Nの硬度と、
80.00~90.00%の保水性と、
熱天秤により測定される15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0039】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、前記繊維の厚さが0.10~1.00mm、長さが1.00~150.00mmである。
【0040】
「繊維厚さ」とは、繊維発達に対して垂直軸方向の繊維の二端間の距離であり、画像解析によりmm単位で測定される。さらに、「0.10~1.00mmの厚さ」とは、厚さが0.10~0.55mm、0.55~1.00mm、0.15~0.95mm、0.20~0.90mm、0.25~0.85mm、0.30~0.80mm、0.35~0.75mmまたは0.40~0.70mmでありうることも意味する。これは、厚さが0.10mm、0.20mm、0.30mm、0.40mm、0.50mm、0.60mm、0.70mm、0.80mm、0.90mmまたは1.00mmに等しくなりうることも意味する。
【0041】
「繊維長」とは、繊維の発達方向の繊維の二端間の距離であり、画像解析によりmm単位で測定される。「1.00~150.00mmの長さ」とは、長さが1.00~95.00mm、95.00~150.00mm、5.00~120.00mm、15.00~100.00mm、25.00~85.00mmまたは45.00~75.00mmでありうることも意味する。これは、長さが1.00mm、10.00mm、20.00mm、30.00mm、40.00mm、50.00mm、60.00mm、70.00mm、80.00mm、90.00mm、100.00mm、110.00mm、120.00mm、130.00mm、140.00mmまたは150.00mmに等しくなりうることも意味する。
【0042】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、繊維間隔が0.05~1.00mmである。
【0043】
「繊維間隔」とは、並列した2つの繊維間の距離であり、画像解析によりmm単位で測定されることを意味する。さらに、「0.05~1.00mmの繊維間隔」という用語は、繊維間隔が0.05~0.50mm、0.50~1.00mm、0.10~0.90mm、0.20~0.80mm、0.30~0.70mmまたは0.40~0.60mmでありうることも意味する。これは、繊維間隔が0.05mm、0.10mm、0.15mm、0.20mm、0.25mm、0.30mm、0.35mm、0.40mm、0.45mm、0.50mm、0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.90mm、0.95mmまたは1.00mmに等しくなりうることも意味する。
【0044】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、テクスチャ物性試験において、10.00~1500.00Nの咀嚼性を含むことをさらに特徴とする。
【0045】
「咀嚼性」とは、嚥下のために本発明の製品を咀嚼するのに必要なエネルギーを意味する。さらに、「10.00~1,500.00Nの咀嚼性」とは、咀嚼性が10.00~900.00N、900.00~1,500.00N、250.00~1,250.00Nまたは500~1,000.00Nでありうることも意味する。これは、咀嚼性が10.00N、50.00N、100.00N、250.00N、500.00N、750.00N、1,000.00N、1,250.00Nまたは1,500.00Nに等しくなりうることも意味する。
【0046】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、テクスチャ物性試験において、0.10~0.70a.u.の凝集性を含むことをさらに特徴とする。
【0047】
「凝集性」とは、製品が第1の変形に抵抗する能力に対して第2の変形に抵抗する能力を意味する。これは、面積2/面積1の割合によって測定される(図1参照)。さらに、「0.10~0.70a.u.の凝集性」とは凝集性が0.10~0.40a.u.、0.40~0.70a.u.、0.20~0.60a.u.または0.30~0.50a.uであってもよいことが理解される。これは、凝集性が0.10a.u.、0.20a.u.、0.30a.u.、0.40a.u.、0.50a.u.、0.60a.u.または0.70a.uに等しくなりうることも意味する。
【0048】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、テクスチャ物性試験において、5.00~25.00%の回復性を含むことをさらに特徴とする。
【0049】
「回復性」とは、圧縮後に元のサイズに戻るための製品の能力を意味する。「回復性」は、面積4/面積3の比率で測定される(図1参照)。さらに、「5.00~25.00%の衝撃強度」とは、衝撃強度が5.00~15.00%、15.00~25.00%または10.00~20.00%でありうることも意味する。これは、衝撃強度が5.00%、10.00%、15.00%、20.00%または25.00%でありうることも意味する。
【0050】
上述の点で、一実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における10.00~50.00Nの硬度と、
50.00~90.00%の保水性と、
テクスチャ物性試験における5.00~25.00%の回復性と、
テクスチャ物性試験における0.10~0.70a.u.の凝集性と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
テクスチャ物性試験における10.00~1500.00Nの咀嚼性と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
熱天秤により測定される15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
前記繊維は、厚さが0.10~1.00mm、長さが1.00~150.00mm、繊維間隔が0.05~1.00mmであり、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とすることが理解される。
【0051】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における10.00~39.99Nの硬度と、
80.00~90.00%の保水性と、
テクスチャ物性試験における5.00~25.00%の回復性と、
テクスチャ物性試験における0.10~0.70a.u.の凝集性と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
テクスチャ物性試験における10.00~1500.00Nの咀嚼性と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
熱天秤により測定される15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
前記繊維は、厚さが0.10~1.00mm、長さが1.00~150.00mm、繊維間隔が0.05~1.00mmであり、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0052】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における40.00~50.00Nの硬度と、
40.00~79.99%の保水性と、
テクスチャ物性試験における5.00~25.00%の回復性と、
テクスチャ物性試験における0.10~0.70a.u.の凝集性と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
テクスチャ物性試験における10.00~1500.00Nの咀嚼性と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
テクスチャを付与した繊維状または層状食品の20.00~40.00%の乾物含量と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
前記繊維は、厚さが0.10~1.00mm、長さが1.00~150.00mm、繊維間隔が0.05~1.00mmであり、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0053】
特に、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、テクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
テクスチャ物性試験における1a.u、(任意単位)超の異方性と、
レオロジー試験における1a.u.未満の粘弾性tanδと、
テクスチャ物性試験における40.00~50.00Nの硬度と、
80.00~90.00%の保水性と、
テクスチャ物性試験における5.00~25.00%の回復性と、
テクスチャ物性試験における0.10~0.70a.u.の凝集性と、
テクスチャ物性試験における10.00~55.00%の弾性と、
テクスチャ物性試験における10.00~1500.00Nの咀嚼性と、
水置換試験における1.59~1.90g/cmの密度と、
熱天秤により測定される15~39%の乾物含量(水分g/製品100g)と、
40.00~90.00%の繊維密度と、を含み、
前記繊維は、厚さが0.10~1.00mm、長さが1.00~150.00mm、繊維間隔が0.05~1.00mmであり、
割合[繊維長:製品幅]は、0.03~0.13a.u.であることを特徴とする。
【0054】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品に関し、60.00~80.00%の水分含量を含むことをさらに特徴とする。
【0055】
「水分」とは、熱天秤によって測定されるような本発明の製品中に存在する水の量を意味する。さらに、「60.00~80.00%の水分含量」とは、水分含量が、60.00~70.00%、70.00~80.00%または65.00~75.00%でありうることも意味する。これは、水分含量が60.00%、65.00%、70.00%、75.00%または80.00%でありうることも意味する。
【0056】
別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を有し、
a.少なくとも0.5cmの高さと、
b.少なくとも0.5cmの厚さと、
c.少なくとも0.5cmの幅と、を含むことを特徴とする。
【0057】
「少なくとも0.5cmの高さ」とは、高さが少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、少なくとも4cm、少なくとも5cm、少なくとも6cm、少なくとも7cm、少なくとも8cm、少なくとも9cm、少なくとも10cm、少なくとも11cm、少なくとも12cm、少なくとも13cm、少なくとも14cm、少なくとも15cm、少なくとも16cm、少なくとも17cm、少なくとも18cm、少なくとも19cm、少なくとも20cm、少なくとも21cm、少なくとも22cm、少なくとも23cm、少なくとも24cm、少なくとも25cm、少なくとも26cm、少なくとも27cm、少なくとも28cm、少なくとも29cm、少なくとも30cmなどであってよいことも意味する。これは、高さが2cmから30cm、6cmから15cmでありうることも意味する。
【0058】
「少なくとも0.5cmの厚さ」とは、厚さが少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、少なくとも4cm、少なくとも5cm、少なくとも6cm、少なくとも7cm、少なくとも8cm、少なくとも9cm、少なくとも10cm、少なくとも11cm、少なくとも12cm、少なくとも13cm、少なくとも14cm、少なくとも15cm、少なくとも16cm、少なくとも17cm、少なくとも18cm、少なくとも19cm、少なくとも20cm、少なくとも21cm、少なくとも22cm、少なくとも23cm、少なくとも24cm、少なくとも25cm、少なくとも26cm、少なくとも27cm、少なくとも28cm、少なくとも29cm、少なくとも30cmなどであってよいことも意味する。これは、厚さが5~15cmでありうることも意味する。
【0059】
「少なくとも0.5cmの幅」とは、幅が少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、少なくとも4cm、少なくとも5cm、少なくとも6cm、少なくとも7cm、少なくとも8cm、少なくとも9cm、少なくとも10cm、少なくとも11cm、少なくとも12cm、少なくとも13cm、少なくとも14cm、少なくとも15cm、少なくとも16cm、少なくとも17cm、少なくとも18cm、少なくとも19cm、少なくとも20cm、少なくとも21cm、少なくとも22cm、少なくとも23cm、少なくとも24cm、少なくとも25cm、少なくとも26cm、少なくとも27cm、少なくとも28cm、少なくとも29cm、少なくとも30cmなどであってよいことも意味する。これは、幅が5~30cmでありうることも意味する
【0060】
以下に示すように、本発明の製品は植物性タンパク質から得られる。また、本発明の別の実施形態は、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品であって、前記テクスチャを付与した繊維状または層状食品は、植物性タンパク質を含むことが理解される。
【0061】
第2の態様によれば、本発明の目的は、上述のように、他のさらなる複合製品(例えば、調理済みの食料)の製造において使用してもよい中間物としての、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品の使用である。
【0062】
本発明の別の態様によれば、本発明の目的は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を生産することであって、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法であって、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、1~30重量%の植物性タンパク質と、前記タンパク質溶液に溶解可能な少なくとも20%の前記植物性タンパク質を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0063】
本発明の文脈においては、得られるテクスチャを付与した繊維状または層状食品(本発明の製品とも言う)が、肉の代用食品、すなわち、特に繊維と質感の点で、植物性タンパク質から得られる肉の特性を模倣する製品であり、この製品の風味付けや脂肪の添加など、その官能特性は、任意に変更(風味付け、脂肪添加)できることに留意することが重要である。実際に、発明者によって開発された本発明の方法の実施は、適合可能であり、大小の代用品(例えば、高さ15cm×厚さ15cm×幅30cm)の製造を可能にする利点がある。したがって、得られる製品の多様性は広く、本発明の方法の展性(パラメータの適合)は、業界にとってきわめて興味深い幅広いテクスチャを実現することを有利に可能にする。さらに、エクストルージョン法と異なり、本発明の方法の実施には、高温および高圧の使用を必要としない。このようにして、植物性タンパク質はその栄養価の大部分を保持し、本発明の製品の官能特性は向上するのみである。
【0064】
「タンパク質溶液」とは、植物性タンパク質を含む水溶液を意味する。したがって、この溶液は、本発明の方法の実施結果のように、塩類など他の成分を含んでもよい(以下参照)。好ましくは、このタンパク質溶液は塩を含まず、すなわちタンパク質溶液の質量に対して0質量%の塩濃度である。しかし、選択されたタンパク質源によって、このタンパク質溶液が塩、特にNaClを含む場合には、タンパク質溶液の塩濃度は、タンパク質溶液の質量に対して0.85質量%を超えてはならない。言い換えると、本発明の意味においては、タンパク質溶液の塩濃度は、タンパク質溶液の質量に対して0.85質量%未満である。「0.85%未満」とは、タンパク質溶液の塩濃度が、タンパク質溶液の質量に対して0.80質量%未満、0.70質量%未満、0.60質量%未満、0.50質量%未満、0.40質量%未満、0.30質量%未満、0.20質量%未満、0.10質量%未満または0.05質量%未満であってよいことを意味する。タンパク質溶液の塩濃度は、0.20質量%未満または0.10質量%未満であるのが有利である。
【0065】
原料(すなわち植物性タンパク質)に関しては、出発タンパク質溶液が、タンパク質溶液の質量に対して1~30質量%の植物性タンパク質を含むことが記載されている。これは、タンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、1~5重量%、5~30重量%、10~30重量%、15~30重量%、20~30重量%、25~30重量%、5~25重量%または10~20重量%の植物性タンパク質を含むことが可能であることも意味する。これは、タンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%または30重量%の植物性タンパク質を含むことも意味する
【0066】
さらに、発明の目的において、「植物性タンパク質」という用語は、あらゆるタンパク質混合物であって、
タンパク質の質量に対して、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、前記酵素がアミノアシルトランスフェラーゼのクラスに属するもの(例えば、トランスグルタミナーゼ)である場合は、リシンスコアが50~150であり、グルタミンスコアが50~150であり、あるいは、
前記酵素がオキシドレダクターゼおよびのクラスに属するもの(例えば、ラッカーゼ、チロシナーゼおよびペルオキシダーゼ)である場合、チロシンスコアが50~150である植物由来タンパク質と、
30%以下の植物由来または非植物由来の他のタンパク質と、を、タンパク質の質量に対して含むことが理解されることに留意する必要がある。
【0067】
言い換えれば、出発タンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して1~30重量%の植物性タンパク質を含むと記載する場合、これは、出発タンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する少なくとも70%植物由来タンパク質と、最大30%の他のタンパク質とを含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含むことを意味する。特に、出発タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する83.33%の植物由来タンパク質と、16.66%の他のタンパク質とを含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含む。特に、出発タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する80%の植物由来タンパク質と、20%の他のタンパク質とを含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含む。特に、出発タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する90.91%の植物由来タンパク質と、9.09%の他のタンパク質とを含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含む。特に、出発タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する少なくとも90%の植物由来タンパク質と、最大10%の他のタンパク質とを含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含む。特に、出発タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する少なくとも95%の植物由来タンパク質と、最大5%の他のタンパク質とを含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含む。特に、出発タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する95.24%の植物由来タンパク質と、4.76%の他のタンパク質とを含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含む。特に、出発タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、上述のリシン/グルタミン/チロシンスコアを有する100%の植物由来タンパク質を含む混合物から1~30重量%の植物性タンパク質を含む。
【0068】
「リシンスコア」、「グルタミンスコア」または「チロシンスコア」とは、基準タンパク質(ここでは、卵タンパク質、すなわち配列SEQ ID NO:1のオボアルブミン)中の同一アミノ酸濃度と比較されるタンパク質中のアミノ酸濃度を意味する。「タンパク質のアミノ酸濃度」とは、前記タンパク質中の全アミノ酸量に対する前記アミノ酸の量を意味する。例えば、配列SEQ ID NO:1のオボアルブミンは、5.18%のリシンと、3.8%の玄米とを含む。したがって、玄米のリシンスコアは73([3.8/5.18]×100)であり、リシンスコアが50~125、50~100、50~75、75~150、100~150、125~150、95~105または75~125でありうることも意味する。これは、スコアが50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145または150であってよいことを意味する。また、特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、1~30重量%の植物性タンパク質を含むタンパク質溶液は、混合物に由来し、当該混合物は、
少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、前記酵素がアミノアシルトランスフェラーゼのクラスに属する場合、リシンスコアが75~125(または95~105)、グルタミンスコアが75~125(または95~105)であり、あるいは、
前記酵素がオキシドレダクターゼのクラスに属する場合、チロシンスコアが75~125(または95~105)である植物由来タンパク質と、
30%以下の他のタンパク質と、を、
タンパク質溶液の重量に対して、含む。
【0069】
また、本発明の一実施形態は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法であることが理解され、当該方法は、
a.混合物からの1~30重量%の植物性タンパク質を含むタンパク質溶液の酵素処理ステップであって、当該混合物は、
少なくとも70%植物由来タンパク質であって、前記酵素が、アミノアシルトランスフェラーゼのクラスに属する場合は、特に前記酵素がトランスグルタミナーゼである場合、リシンスコアが50~150、かつグルタミンスコアが50~150であり、あるいは、
前記酵素がオキシドレダクターゼのクラスに属する場合、特に、前記酵素がラッカーゼ、チロシナーゼおよびペルオキシダーゼから選択される場合、チロシンスコアが50~150である少なくとも70%植物由来タンパク質と、
30%以下の他のタンパク質と、を、
タンパク質溶液の質量に対して含み、少なくとも20%の植物性タンパク質が前記タンパク質溶液に可溶性であり、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含むことが理解される。
【0070】
さらに、少なくとも20%の植物性タンパク質が可溶性であり、つまりタンパク質(水溶性)溶液中に溶解していることが規定される。この点において、前記植物性タンパク質の溶解度は、遠心分離(少なくとも3000回転/分[rpm]で2時間[h])によってタンパク質溶液を分離し、タンパク質を定量化することによって測定することができる。その後、前記植物性タンパク質の溶解度は、(分離前)全植物性タンパク質の量に対する上清液中の植物性タンパク質の量の割合として定義される。さらに、「少なくとも20%」とは、前記植物性タンパク質の少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%が可溶性であり、少なくとも50%が好ましいことを意味することに留意する必要がある。したがって、本発明は、前記植物性タンパク質の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または95%が可溶性である植物性タンパク質に対して、全てのタンパク質溶液も含む。
【0071】
この点において、本発明のタンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して植物性タンパク質を1重量%含み、植物性タンパク質の少なくとも20%が可溶性であると仮定すると、これは、本発明のタンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して0.2重量%の可溶性植物性タンパク質を含むことを意味する。本発明のタンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して植物性タンパク質を30重量%含み、植物性タンパク質の少なくとも20%が可溶性であると仮定すると、これは、本発明のタンパク質溶液が、タンパク質溶液の重量に対して6重量%の可溶性植物性タンパク質を含むことを意味する。したがって、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記タンパク質溶液は、タンパク質溶液の質量に対して、0.2重量%の可溶性植物性タンパク質を含むことが理解される。また、「少なくとも0.2%」は、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%の値を意味する。
【0072】
上述の点において、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、5~25重量%の植物性タンパク質を含むことも理解される。また、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記タンパク質溶液は、少なくとも50%が前記タンパク質溶液に可溶性である植物性タンパク質を含むことが理解される。
【0073】
「酵素添加」とは、三次元配列によって、酵素反応(例えば、2つのアミノ酸間のペプチド結合の形成)を実施可能な触媒活性を備えたタンパク質(アミノ酸配列)のタンパク質溶液への添加を意味する。本発明を実施するために選択されるものの中では、アミノアシルトランスフェラーゼのクラスに属するもの(例えば、トランスグルタミナーゼ)と、オキシドレダクターゼのクラスに属するもの(例えば、ラッカーゼ、チロシナーゼおよびペルオキシダーゼ)について言及する。
【0074】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のような方法に関し、前記酵素は、アミノアシルトランスフェラーゼのクラスに属し、特に、酵素活性が、以下に記載されるトランスグルタミナーゼである(非特許文献6)。
【化1】
【0075】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酵素は、以下によって提供される微生物トランスグルタミナーゼである。
BDF IngredientsによるPROBIND(登録商標) TXo(CASNo.80146-85-6;酵素活性125U/g)ストレプトマイセス・モバラエンシス株DSM 40587(ATCC 27441)から産生(特許文献1)、
AB Enzymes(CASNo.80146-85-6;酵素活性100U/g)ストレプトマイセス・モバラエンシス株DSM 40587から産生、
Kitchen InnovationによるトランスグルタミナーゼEB(CASNo.80146-85-6;酵素活性100U/g)ストレプトマイセス・モバラエンシス株DSM 40587から産生、または、
AjinomotoによるActiva(登録商標) FV(CASNo.80146-85-6;酵素活性98U/g)ストレプトマイセス・モバラエンシス株DSM 40587から産生。
【0076】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酵素は、BDF PROBIND TXo(特許文献1)であることを特徴とする。
【0077】
また、別の実施形態によれば、本発明は、上述のような方法に関し、前記酵素は、オキシドレダクターゼのクラスに属し、特にラッカーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼから選択される。特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酵素は、酵素活性が以下に記載するラッカーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼから選択される(非特許文献7)。
【化2】
【0078】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酵素は、
Merckから供給されるLaccase(CASNo.80498-15-3;酵素活性500U/g)カワラタケから産生、
Merckから供給されるPeroxidase(CASNo.9003-99-0;酵素活性120,000U/g)アルモラシア・ルスティカナから産生、または
Sigma-Aldrichから供給されるTyrosinase(CASNo.9002-10-2;酵素活性1,000U/g)アガリクス・ビスポルスから産生である。
【0079】
この点では、植物性タンパク質質を架橋する目的で、少なくとも1つの酵素反応を触媒するために、前記酵素の培養条件に留意することが重要である。「少なくとも1つの酵素反応」とは、酵素基質複合体の形成から始まり、基質から生成物の形成および酵素の放出で終了する完全反応を意味する。「前記植物性タンパク質質の架橋」とは、タンパク質間結合の形成を意味する。これは、ジスルフィド橋およびペプチド結合などの強結合および/または疎水結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力などの弱結合であってよい。
【0080】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる前記条件は、撹拌の有無によらない適切な温度およびpH条件である。例示を目的として、適切な[温度;pH]の組み合わせは、[50℃;pH7]および[40℃;pH6]であってよい。同様に、[温度;培養時間]、例えばpHが6から7の場合の組み合わせは、[30℃;120分]、[40℃;60分]、[50℃;30分]、[60℃;15分]であってよい。
【0081】
「凍結」とは、前記酵素の活性により架橋タンパク質溶液が、十分に低温な条件下に置くことによって、前記酵素処理タンパク質溶液を凝固させることを意味する。この目的のために、-110~0℃、-90~-2℃、-50~-4℃または-20~-5℃の温度が、前記酵素処理タンパク質溶液に対して、十分な時間与えられる。この方法により、繊維の形成が、前記酵素処理タンパク質溶液で行われ、これによりテクスチャを付与して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得ることが可能となる。本発明の低温条件を得るためには、特に機械的冷却技術、静的冷却技術または送風冷却技術、あるいは極低温技術(静的または空冷)の使用が必要となることに留意する必要がある。また、「繊維形成」とは、冷却による効果により、前記酵素処理タンパク質溶液の凝固によって、相互接続されたタンパク質のネットワークが出現し、必要に応じて冷却の影響下で配向できることを意味することに留意する必要がある。また、別の実施形態によれば、本発明は上述するような方法を目的として有し、ステップb.における前記凍結は、少なくとも95%の前記酵素処理タンパク質溶液の凍結させる条件下で実施され、前記凍結は-110~0℃の温度範囲で実施される。
【0082】
「少なくとも95%の前記酵素処理タンパク質溶液の凍結」とは、本発明の方法の実施終了時に、酵素処理タンパク質溶液全体が凍結していない可能性があることを意味する。実際には、冷気が酵素処理タンパク質溶液の外側から内側へ伝わると仮定すると、ステップb.が十分に長く継続しない場合、前記酵素処理タンパク質溶液の中心は凍結しない可能性がある。同様に、方向性または一方向性の凍結を仮定すると、冷気が酵素処理タンパク質溶液の底部から上部(または上部から底部)に伝わることから、ステップb.が十分に長く継続しない場合、前記酵素処理タンパク質溶液の上部(または底部)が凍結しない可能性がある。しかし、本発明の製品の製造には、95%の凍結率が必要かつ十分である。したがって、「少なくとも95%の前記酵素処理タンパク質溶液の凍結」とは、この可能性を考慮するために、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の凍結を意味する。
【0083】
その場合、本発明の方法の最後に、簡単に操作されるテクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得ることが好ましいことから、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、ステップb.での前記凍結は、前記酵素処理されたタンパク質溶液の100%凍結させる条件下で実施される
【0084】
「-110~0℃の温度」とは、前記酵素処理されたタンパク質溶液の凝固させるために適用される温度条件が-110~0℃であることを意味する。言い換えれば、この温度は-100~-5℃、-90~-10℃、-80~-20℃、-70~-30℃または-60~-40℃であってよく、特に、-50~-2℃または-20~-5℃でありうる。また、この温度は-110℃、-100℃、-90℃、-80℃、-70℃、-60℃、-50℃、-40℃、-30℃、-20℃、-10℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃または0℃であってよいことも意味する。特に、本発明の別の実施形態は、目的として、上述の方法を有し、前記凍結は、-50~-2℃の温度で実施される。特に、本発明の別の実施形態は、目的として、上述の方法を有し、前記凍結は、-20~-5℃の温度で実施される。
【0085】
事実上、この凍結を実施するための適切な[温度;時間]の組み合わせは、例えば、[-120℃;45分]、[-80℃;4時間]、[-40℃;8時間]、[-24℃;12時間]および[-5℃;24時間]である。
【0086】
また、上述の点において、本発明の目的は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を生産する方法であって、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法であって、
a.タンパク質溶液の重量に対して、1~30重量%の植物性タンパク質と、前記タンパク質溶液に溶解可能な少なくとも20%の前記植物性タンパク質を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素が添加された前記タンパク質溶液を、30~60℃の温度および15分~120分の時間の条件下で培養し、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させて、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.-120~-5℃の温度および15分~48時間の時間のタンパク質繊維を形成する条件下で、前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0087】
上述の点において、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、1~30重量%の植物性タンパク質を含むタンパク質溶液は、混合物に由来し、当該混合物は、
少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、前記酵素がアミノアシルトランスフェラーゼのクラスに属する場合、リシンスコアが50~150、かつ、グルタミンスコアが50~150であり、あるいは、
前記酵素がオキシドレダクターゼのクラスに属する場合、チロシンスコアが50~150である植物由来タンパク質と、
30%以下の他のタンパク質と、を含むことが理解される。
【0088】
別の実施形態によれば、本発明は上述のような方法に関し、ステップb.での前記凍結は、方向性凍結である。特に、別の実施形態によれば、本発明は上述のような方法に関し、ステップb.での前記凍結が一方向性凍結である。
【0089】
「方向性凍結」とは、タンパク質溶液の凍結時に、少なくとも2つの冷却前線が酵素処理タンパク質溶液を通過することを意味する。例えば、これは酵素処理タンパク質溶液が、断熱されずに、冷気が均一に分布した冷却室(フリーザーまたはディープフリーザーなど)に置いた場合に発生する。
【0090】
「単方向凍結」とは、凍結時に単一の冷却前線が酵素処理タンパク質溶液を通過することを意味する。凍結方向の制御を実現するため、使用できる手段は既知である。実際、以下により可能となる。
試料に対して冷源の位置を制御する(例えば、生成物を置く冷却プレートまたは生成物を部分的に浸漬する恒温槽)。
生成物を冷却が均一に分布されている冷蔵庫(フリーザーやディープフリーザーなど)内で隔離する。
他の手段によって、断熱材、例えばモールドで、生成物の1または複数の面を断熱することなどにより、生成物内での凍結前線の方向を制御させる。
【0091】
別の実施形態によれば、本発明の目的は、上述のような方法であり、(植物性)タンパク質源から前記タンパク質溶液を調製する前ステップをさらに含み、前記タンパク質は、1~30重量%の植物性タンパク質を含むか、あるいは、タンパク質混合物からの1~30重量%の植物性タンパク質を含み、当該タンパク質混合物は、
少なくとも70%の植物由来のタンパクであって、該前記酵素がトランスグルタミナーゼのクラスに属する場合、リシンスコアが50~150、かつ、グルタミンスコアが50~150であり、あるいは、
前記酵素がオキシドレダクターゼのクラスに属するもの(例:ラッカーゼ、チロシナーゼおよびペルオキシダーゼ)である場合、チロシンスコアが50~150である植物由来タンパク質と、
植物由来か否かに関わらない30%以下の他のタンパク質と、を、
タンパク質溶液の質量に対して、含み、少なくとも20%の植物性タンパク質が前記タンパク質溶液に可溶性である。特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、5~25重量%の植物性タンパク質を含む 特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記タンパク質溶液は、少なくとも50%が前記タンパク質溶液に可溶性である植物性タンパク質を含む。また、特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記タンパク質溶液は、タンパク質溶液の重量に対して、少なくとも0.2重量%の可溶性植物性タンパク質を含む。
【0092】
「タンパク質源(植物性)」とは、粉体、濃縮物または単離体などの生成物を意味し、本発明のタンパク質溶液を所望のタンパク質濃度で調製することを可能にするために、十分な濃度のタンパク質を含むことを意味する。「粉体」とは、植物性生成物の粉砕および/または圧縮から得られる粉末であり、一般に、主にタンパク質(濃度は一般に、粉末の全質量に対して60質量%を超えない)および糖(単糖類および複合糖類、デンプンを含む)で構成される。「濃縮物」とは、油分および複合糖類の抽出後に得られる粉末であり、粉体を得るために使用されるものよりも細かい(粒子径<50μm)。その最終タンパク質濃度は、一般に粉末の全重量に対して約55~65重量%のタンパク質である。「単離体」とは、タンパク質をさらに濃縮するために、油分と糖類の抽出を最適化したさまざまな抽出段階の後に得られる粉末である。そのタンパク質濃度は、一般に粉末の全重量に対して約80~90重量%のタンパク質である。
【0093】
また、粉体、粉末状の濃縮物または単離体には、タンパク質および他の成分(単炭水化物、脂質残留物)に加えて、乾物に塩を含んでもよいことに留意する必要がある。また、溶液になった時点で、得られたタンパク質溶液は「塩」タンパク質溶液と見なすことができ、上で定義された(無塩)タンパク質溶液、すなわち、タンパク質溶液の質量に対して0.85質量%未満の塩濃度を得るためには透析する必要がある。この目的のために、例えば、蒸留水(導電率≦0.001mS/cm、VWRのpHenomenal(登録商標) CO 3100Lで測定可能)を含む透析槽を準備する。また、蒸留水中に粉体、濃縮物または単離体を分散させた後、タンパク質溶液を調製する。これを、カットオフが5kDa、3kDaまたは1kDa未満の透析ペレット(例えば、Spectrum社製Spectra/Por)に注入する。次に透析ペレットを透析槽に48時間置き、、この48時間中に少なくとも3回透析槽を交換する。「透析槽の交換」とは、透析ペレットを槽から取り出し、空にして蒸留水で再度入れ、その後、透析ペレットを戻すことを意味する。さらに効率を求めるために、透析槽は、マグネット攪拌器とマグネットバーを使用して攪拌(500rpm)することができる。透析終了時に、導電率が10mS/cm未満を示せば、タンパク質溶液は無塩(すなわちタンパク質溶液の質量に対して0.85質量%未満の塩濃度)であり、導電率はタンパク質自体によるものであると考えられる。
【0094】
上述の点において、タンパク質源は、リシン/グルタミン/チロシンのスコアを満たすことができる植物由来のもの(すなわち、混合物の少なくとも70%)と、植物または非植物由来のもの(すなわち、混合物の最大30%)とに区別されることが理解される。
【0095】
この点で、本発明に記載されるようなリシン/グルタミン/チロシンのスコアを有する植物性タンパク質(つまり、混合物の少なくとも70%)を得るためのタンパク質源は、アーモンド(Prunus dulcis)、スパイクアマランサス(Amaranthus cruetus)、ヒポコンドリアカスアマランサス(Amaranthus hypochondriacus)、フォックステールアマランサス(Amaranthus caudatus)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、アボカド(Persea americana)、オート麦(Avena sativa)、スペルト小麦(Triticum spelta)、ほうれん草(Spinacia oleracea)、ソラマメ(Vicia faba)、イチジク(Figus carica)、綿実(Gossypium hirsutum)、ゴマ(Sesamum indicum)、ひまわりの種(Helianthus annuus)、ツバサマメ(Psophocarpus tetragonolobus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、リマビーン(Phaseolus lunatus)、ムングビーン(Vigna radiata)、グリーンビーン(Phaseolus vulgaris)、レンズ豆(Lens culinaris)、亜麻(Linum usitatissimum)、白ルピナス(Lupinus albus)、青ルピナス(Lupinus angustifolius)、変異ルピナス(Lupinus mutabilis)、黄ルピナス(Lupinus luteus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、カウピー(Vigna unguiculata)、カシューナッツ(Anacardium occidentale)、ココナッツ(CocosNucifera)、ピーカンナッツ(Carya illinoinensis)、ブラジルナッツ(Bertholletia excelsa)、大麦(Hordeum vulgare)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、ピスタチオ(Pistacia vera L.)、エンドウ豆(Pisum sativum)、バンバラビーンズ(Vigna subterranea)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)、トオルダル(Cajanus cajan)、マラムビーンズ(Tylosema esculentum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、米(Oryza sativa)、ソバ(Fagopyrum esculentum)、ライ麦(Secale cereale L.)、大豆(Glycine max)およびこれらの混合物から選択される植物に属する。「これらの混合物」とは、本発明の意味においては、出発タンパク質溶液が大豆タンパクとエンドウタンパクの混合物(例えば、エンドウ:大豆=50:50)または米タンパク質とエンドウタンパクの混合物(例えば、エンドウ:米=80:20)などの植物性タンパク質の混合物から得られることを意味する。
【0096】
リシン/グルタミン/チロシンのスコアが本発明のスコアではない他のタンパク質を得ることが可能なタンパク質源としては、植物由来のみならず、動物由来またはその混合物(すなわち、植物源および動物源)から得られるものであってよい。そのようなタンパク源には以下が含まれるのが興味深い。
他の植物源、例えば小麦(Triticum aestivum)、菜種油(BrassicaNapus subsp.Napus)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum)、ソルガム(Sorghum bicolor)、トマト(Solanum lycopersicum L.)など、
藻類、例えばスピルリナ(Arthrospira)、クロレラ(Chlorella)、ワカメ(Undaria pinnatifida)など、
キノコ類、例えばマイタケ(Grifola frondosa)、マッシュルーム(Agaricus bisporus)、
植物性タンパク質、例えばグルテン、
昆虫類、例えばチャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)やイエコウロギ粉末(Acheta domesticus)、および、
動物性タンパク質、例えば卵タンパク質(オボアルブミン)や乳タンパク質(ホエイ)または牛血清アルブミン(BSA)。
【0097】
最大30%の他のタンパク質の中で考えられる混合物に関しては、例えば、50%の植物由来タンパク質(植物、キノコ、藻類)と50%の動物由来タンパク質、75%の植物由来タンパク質(植物、キノコ、藻類)と25%の動物由来タンパク質、25%の植物由来タンパク質(植物、キノコ、藻類)と75%の動物由来タンパク質、90%の植物由来タンパク質(植物、キノコ、藻類)と10%の動物由来タンパク質または10%の植物由来タンパク質(植物、キノコ、藻類)と90%の動物由来タンパク質であってよい。
【0098】
上述の点において、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記(植物性)タンパク質源(リシン/グルタミン/チロシンのスコアが本発明のものである)は、アーモンド(Prunus dulcis)、スパイクアマランサス(Amaranthus cruetus)、ヒポコンドリアカスアマランサス(Amaranthus hypochondriacus)、フォックステールアマランサス(Amaranthus caudatus)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、アボカド(Persea americana)、オート麦(Avena sativa)、スペルト小麦(Triticum spelta)、ほうれん草(Spinacia oleracea)、ソラマメ(Vicia faba)、イチジク(Figus carica)、綿実(Gossypium hirsutum)、ゴマ(Sesamum indicum)、ひまわりの種(Helianthus annuus)、ツバサマメ(Psophocarpus tetragonolobus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、リマビーン(Phaseolus lunatus)、ムングビーン(Vigna radiata)、グリーンビーン(Phaseolus vulgaris)、レンズ豆(Lens culinaris)、亜麻(Linum usitatissimum)、白ルピナス(Lupinus albus)、青ルピナス(Lupinus angustifolius)、変異ルピナス(Lupinus mutabilis)、黄ルピナス(Lupinus luteus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、カウピー(Vigna unguiculata)、カシューナッツ(Anacardium occidentale)、ココナッツ(CocosNucifera)、ピーカンナッツ(Carya illinoinensis)、ブラジルナッツ(Bertholletia excelsa)、大麦(Hordeum vulgare)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、ピスタチオ(Pistacia vera L.)、エンドウ豆(Pisum sativum)、バンバラビーンズ(Vigna subterranea)、ヒヨコマメ(Cicer arietinum)、トオルダル(Cajanus cajan)、マラムビーンズ(Tylosema esculentum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、米(Oryza sativa)、ソバ(Fagopyrum esculentum)、ライ麦(Secale cereale L.)、大豆(Glycine max)およびこれらの混合物から選択される植物由来タンパク質を含むことが理解される。
【0099】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記(植物性)タンパク質源(リシン/グルタミン/チロシンのスコアが本発明のものである)は、オート麦(Avena sativa)、ソラマメ(Vicia faba)、レンズ豆(Lens culinaris)、亜麻(Linum usitatissimum)、エンドウ豆(Pisum sativum)、ヒヨコ豆(Cicer arietinum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、米(Oryza sativa)、大豆(Glycine max)およびこれらの混合物から選択される植物性タンパク質を含む。また、特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記(植物性)タンパク質源(リシン/グルタミン/チロシンのスコアが本発明のものである)は、エンドウ豆(Pisum sativum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、米(Oryza sativa)、大豆(Glycine max)およびこれらの混合物から選択される植物性タンパク質を含む。
【0100】
別の実施形態によれば、本発明は上述のような方法に関し、前記前ステップは、前記タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップをであって、当該塩溶液は、
NaCl、および/または、
KCl、および/または、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩を、含み、
塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含む。
【0101】
選択される植物性タンパク質源は、1または複数の塩、特にNaCl(実施例を参照)などを含んでもよく、「塩タンパク質溶液」とは、塩の少なくとも1回の外部添加からの塩濃度を有する塩タンパク質溶液を意味する。実際、上述したように、塩タンパク質溶液を得るためには、タンパク質溶液と少なくとも1つの塩溶液を混合するステップが必要である。また「塩タンパク質溶液」とは、特にNaCl濃度が塩タンパク質溶液の質量に対して少なくとも0.85質量%である溶液を意味する。「少なくとも0.85%」とは、この塩濃度が、塩タンパク質溶液の重量に対して、少なくとも1重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも2重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも3重量%、少なくとも3.5重量%、少なくとも4重量%、少なくとも4.5重量%または少なくとも5重量%であってよいことを意味する。
【0102】
「CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩」とは、この特性が、CaCl自体、BeCl自体、MgCl自体およびBaCl自体のみならず、これらのアルカリ土類金属塩の少なくとも2つ、3つまたは4つの混合物にも言及することを意味する。また「これらの混合物」とは、例えば、以下を意味する。
CaClおよびBeClの混合物、BeClおよびBaClの混合物、CaClおよびMgClの混合物など。
CaCl、BeClおよびMgClの混合物、CaCl、BeClおよびBaClの混合物など。
CaCl、BeCl、MgClおよびBaClの混合物。
【0103】
さらに、「および/または」という表現は、上述のさまざまな塩が互いに組み合わされ、タンパク質溶液に添加されることを意味する。この目的のために、さまざまな塩は、以下のようにしてタンパク質溶液に添加することが可能である。
別々の塩溶液から1つずつ、
あるいは、選択される塩の混合物を含む塩溶液から一度に、塩自体は、別個の塩溶液の混合から調製される。
【0104】
また、固体塩(つまり粉末)を直接タンパク質溶液に添加して均一化し、添加した塩を溶解させることが可能である。したがって、本発明の意味において、前記タンパク質溶液と塩溶液との混合ステップは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つなどの異なる塩組成物(または異なる固体塩)添加を含んでもよい。NaClおよび/またはKClおよび/またはCaClおよび/またはMgClが、有利に使用されることに留意する必要がある。
【0105】
また、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、
前記塩タンパク質溶液中のNaCl塩の濃度が、0mol/L超~1.0mol/Lであり、および/または、
前記塩タンパク質溶液中のKCl塩の濃度が、0mol/L超~1.0mol/Lであり、および/または、
前記塩タンパク質溶液中のアルカリ土類塩の濃度が、0mol/L超~1.0mol/Lであることに留意する必要がある。
【0106】
これは、塩溶液がタンパク質溶液に加えられる前に、塩類が塩溶液中で溶解されることを意味する。また、塩類は、得られる塩タンパク質溶液中に溶解されることも意味する。
【0107】
また、「0mol/L超~1.0mol/Lの濃度」という表現は、塩濃度が0.2~1.0mol/L、0.4~1.0mol/L、0.6~1.0mol/L、0.8~1.0mol/L、0.2~0.8mol/L、0.2~0.6mol/L、0.2~0.4mol/L、0.4~0.8mol/L、0mol/L超~0.8mol/L、0mol/L超~0.6mol/L、0mol/L超~0.4mol/Lまたは0mol/L超~0.2mol/Lでありうることも意味する。また、特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、
前記塩タンパク質溶液中のNaCl塩の濃度が、0mol/L超~0.6mol/Lであり、および/または、
前記塩タンパク質溶液中のKCl塩の濃度が、0mol/L超~0.6mol/Lであり、および/または、
前記塩タンパク質溶液中のアルカリ土類塩の濃度が、0mol/L超~0.6mol/Lである。
【0108】
本発明のテクスチャを付与した繊維状または層状の食品の官能特性を向上させるために、この段階またはいわゆる水和段階(以下参照)において、風味増強剤を添加することが可能である。これらの風味増強剤は、香料、香辛料、糖類、塩類、発酵剤、酵母、脂肪およびこれらの混合物から選択することができる。また、これらの風味増強剤に加えて、他の成分や食品添加物(着色料、微量栄養素源など)も添加することが可能である。ただし、これらすべての成分(すなわち風味増強剤、食品添加物など)は、繊維形成を妨げない程度で添加する必要がある。
【0109】
上述のように、本発明の方法は、本発明のタンパク質溶液(つまり、タンパク質溶液の質量に対して1~30%質量の植物性タンパク質を含み、少なくとも20%の植物性タンパク質が前記タンパク質溶液に可溶性)の調製時に実施される植物性タンパク質の水和ステップによって完了する。この植物性タンパク質の水和ステップは、植物性タンパク質源(単離体、濃縮物など)が水中に良好に分散し、前記植物性タンパク質が水に良好に結合し(すなわち良好に溶解され)、(塩類が添加される場合は)水媒体の塩に良好に適合することを確実にする。
【0110】
したがって、別の実施形態によれば、本発明は上述のような方法に関し、前ステップが前記植物性タンパク質を少なくとも1分間水和するステップをさらに含むと理解される。特に、本発明は、上述のような方法に関し、前記植物性タンパク質を攪拌によって水和するステップが実施される。また、特に、本発明は、上述のような方法に関し、前記植物性タンパク質を少なくとも30分間水和するステップが実施される。
【0111】
別の実施形態によれば、本発明の目的は、前記前ステップとステップa.との間に、前記植物性タンパク質が前記酵素の基質部位を示すことが可能な条件下で前記タンパク質溶液を加熱するステップを含む。本発明の目的のため、この加熱ステップの目的は、本発明のタンパク質溶液に後に添加される酵素が、その基質部位に容易にアクセスすることである。実際には、一定期間熱を加えることで前記植物性タンパク質がさらに展開/変性され、前記酵素によって、基質部位が利用可能かつ使用可能となる。また、「基質部位」とは、規定の酵素が触媒活性を実施できるタンパク質の領域を構成する領域を意味する。したがって、「基質部位」とは、酵素の活性部位と一時的な結合を形成可能なアミノ酸である。したがって、特に、これは、上述のような方法を実施するための本発明の目的であり、前記植物性タンパク質が前記酵素の基質部位を示すことを可能にする前記条件は、適切な時間条件および温度条件である。
【0112】
事実上、この加熱ステップを実施するための適切な[温度;時間]の組み合わせは、[75℃;25分]、[80℃;20分]、[85℃;15分]、[90℃;10分]および[95℃;5分]である。
【0113】
別の実施形態によれば、本発明の目的は、上述のような方法であり、ステップa.で添加される酵素の量はタンパク質溶液の重量に対して0.001~1.0重量%のである。「0.001~1.0%」とは、酵素の添加量が、タンパク質溶液の重量に対して、0.01~1.0重量%、0.1~1.0重量%、0.01~0.5重量%、0.1~0.5重量%、0.5~1.0重量%、0.01~0.2重量%、0.1~0.2重量%、0.01~0.3重量%または0.1~0.3重量%の酵素であってもよいことを意味する。これは、この酵素の添加量が、タンパク質溶液の重量に対して、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.11重量%、0.12重量%、0.13重量%、0.14重量%、0.15重量%、0.16重量%、0.18重量%、0.19重量%、0.20重量%、0.21重量%、0.22重量%、0.23重量%、0.24重量%、0.25重量%、0.26重量%、0.27重量%、0.28重量%、0.29重量%、0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%、0.45重量%、0.50重量%、0.55重量%、0.60重量%、0.65重量%、0.70重量%、0.75重量%、0.80重量%、0.85重量%、0.90重量%、0.95重量%または1.0重量%の酵素でありうることも意味する。したがって、特に、本発明は、上述のような方法に関し、ステップaにおける酵素の添加量は、
0.01~1.0質量%、
0.01~1.0質量%、
0.01~1.0質量%、または、
0.5~1.0質量%であり、
これらは、タンパク質溶液の質量に対するものである。また別の実施形態によれば、本発明は上述のような方法に関し、ステップaにおける酵素の添加量は0.001~3.0U/gタンパク質である。「0.001~3.0U/gタンパク質」とは、酵素の添加量が、0.01~3.0U/gタンパク質、0.1~3.0U/gタンパク質、0.1~1.0U/gタンパク質、0.001~1.0U/gタンパク質または1.0~2.0U/gタンパク質でありうることも意味する。これは、この酵素の量が、0.001U/gタンパク質、0.01U/gタンパク質、0.1U/gタンパク質、0.8U/gタンパク質、1.7U/gタンパク質、2.5U/gタンパク質または3.0U/gタンパク質でありうることも意味する。特に、酵素がトランスグルタミナーゼの場合は、この酵素の添加量は、0.01~1.7U/gタンパク質である。特に、酵素がラッカーゼ、ペルオキシダーゼまたはチロシナーゼから選択される場合は、この酵素の添加量は、0.8U/gタンパク質である。さらに、上述の情報に加えて、次の[酵素濃度;培養時間]の組み合わせ、[0.001U/gタンパク質;180分]、[0.001U/gタンパク質;150分]、[0.05U/gタンパク質;100分]、[0.1U/gタンパク質;50分]、[1U/gタンパク質;10分]、[3U/gタンパク質;1分]を(撹拌の有無にかかわらず)酵素が機能することを確実にするために例示目的で引用する。
【0114】
別の実施形態によれば、本発明の目的は、前記ステップa.とステップb.との間に、前記酵素処理タンパク質と塩溶液と混合するステップi)をさらに含み、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含む。
【0115】
選択される植物性タンパク質源は、1または複数の塩、特にNaCl(実施例を参照)などを含んでもよいことに限っては、「酵素処理塩タンパク質溶液」とは、塩の少なくとも1回の外部添加からの塩濃度を有する塩タンパク質溶液を意味する。実際、上述したように、酵素処理塩タンパク質溶液を得るためには、少なくとも1つの塩溶液とタンパク質溶液を混合するステップが必要である。また「酵素処理塩タンパク質溶液」は、特にNaCl濃度が塩タンパク質溶液の質量に対して少なくとも0.85質量%である溶液を意味する。「少なくとも0.85%」とは、この塩濃度が、酵素処理塩タンパク質溶液の重量に対して、少なくとも1重量%、少なくとも1.5重量%、少なくとも重量2%、少なくとも2.5重量%、少なくとも3重量%、少なくとも3.5重量%、少なくとも4重量%、少なくとも4.5重量%または少なくとも5重量%であってよいことを意味する。
【0116】
上述の通り、「CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩」とは、この特性が、CaCl自体、BeCl自体、MgCl自体およびBaCl自体のみならず、これらのアルカリ土類金属塩の少なくとも2つ、3つまたは4つの混合物にも言及することを意味する。また「これらの混合物」とは、例えば、以下を意味する。
CaClおよびBeClの混合物、BeClおよびBaClの混合物、CaClおよびMgClの混合物など。
CaCl、BeClおよびMgClの混合物、CaCl、BeClおよびBaClの混合物など。
CaCl、BeCl、MgClおよびBaClの混合物。
【0117】
さらに、「および/または」という表現は、上述のさまざまな塩が互いに組み合わされ、タンパク質溶液に添加されることを意味する。この目的のために、さまざまな塩は、以下のようにしてタンパク質溶液に添加することが可能である。
別々の塩溶液から1つずつ、
あるいは、選択される塩の混合物を含む塩溶液から一度に、塩自体は、別々の塩溶液の混合から調製される。
【0118】
固体塩(つまり粉末)を直接タンパク質溶液に添加して均一化し、添加した塩が溶解することも可能である。したがって、本発明の意味において、前記タンパク質溶液と塩溶液との混合ステップは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つなどの異なる塩組成物(または異なる固体塩)添加を含んでもよい。NaClおよび/またはKClおよび/またはCaClおよび/またはMgClが、有利に使用されることに留意する必要がある。
【0119】
「0mol/L超~1.0mol/Lの濃度」とは、上に記載した定義と同義である(上述参照)。また、特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、
前記酵素処理塩タンパク質溶液中のアルカリ土類塩の濃度は、0mol/L超~1.0mol/Lであり、
前記酵素処理塩タンパク質溶液中のKCLの塩濃度は、0mol/L超~1.0mol/Lである。
【0120】
これは、塩溶液が酵素処理タンパク質溶液に加えられる前に、塩類が塩溶液中で溶解されることを意味する。また、塩類は、得られる酵素処理塩タンパク質溶液中に溶解されることも意味する。
【0121】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法にも関し、
前記酵素処理塩タンパク質溶液中のアルカリ土類塩の濃度は、0mol/L超~0.6mol/Lであり、および/または、
前記酵素処理塩タンパク質溶液中のKCLの塩濃度は、0mol/L超~0.6mol/Lである。
【0122】
有利的には、ステップi)の塩溶液の添加は、1~75℃または40~50℃の温度、つまり、酵素の活性温度で実施され、添加は、既定時間の培養後に実施される。したがって、別の実施形態では、本発明は、上述のような方法に関し、前記混合は、1~75℃または40~50℃の温度で実施されることが理解される。「1~75℃の温度」とは、温度が5~70℃、10~60℃、20~50℃、30~40℃、50~75℃、50~60℃、5~50℃、25~50℃、さらには、1℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃または75℃であってよいことを意味する。「40~50℃」という用語は、温度が40~48℃、40~46℃、40~44℃、40~42℃、42~50℃、44~50℃、46~50℃、48~50℃、さらに40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃または50℃であってよいことを意味する。
【0123】
別の実施形態によれば、本発明の目的は、前記ステップb.の前に、前記酵素処理タンパク質と酸溶液と混合して、酵素処理酸タンパク質溶液を得るステップii)をさらに含む。
【0124】
「酸溶液」とは、酵素処理タンパク質溶液のpHをpH4.0~8.0に下げることが可能な水溶液を意味する。この目的のために、有機酸またはその塩、レモンジュース、グルコノ-δ-ラクトンなどを使用することができる。したがって、本発明の別の実施形態は、その目的として、上述のような方法に有し、前記酸溶液は、
有機酸、例えばクエン酸、アスコルビン酸、葉酸、乳酸またはリンゴ酸など、
およびこれらの塩、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなどまたはアスコルビン酸塩など、
レモンジュース、
グルコノ-δ-ラクトン、
微生物発酵産物、
グルコン酸、
塩酸、および
酢酸から選択されることが理解される。
【0125】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酸溶液は、
クエン酸、アスコルビン酸、葉酸、乳酸およびリンゴ酸から選択される有機酸、
およびクエン酸ナトリウム塩、クエン酸カリウム塩およびアスコルビン酸塩から選択される塩、
レモンジュース、
グルコノ-δ-ラクトン、
微生物発酵産物、
グルコン酸、
塩酸、および、
酢酸から選択される。
【0126】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酸溶液は、クエン酸、レモンジュースおよびグルコノ-δ-ラクトンから選択される。
【0127】
「pH4.0~8.0」とは、酵素処理酸タンパク質溶液のpHが4.0~7.5、4.0~7.0、4.0~6.5、4.0~6.0、4.0~5.5、4.0~5.0、4.0~4.5、4.5~8.0、5.0~8.0、5.5~8.0、6.0~8.0、5.5~8.0、7.0~8.0、7.5~8.0、4.5~6.5、5.0~6.5、5.5~6.5、5.0~6.0または5.5~5.8であってよいことも意味する。これは、このpHが4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9または8.0でありうることも意味する。したがって、本発明の別の実施形態は上述のような方法であり、前記酵素処理酸タンパク質溶液のpHは、4.0~8.0、6.0~8.0または4.0~6.0であることが理解される。
【0128】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記酵素処理酸タンパク質溶液のpHは、6.5~6.5、5.0~6.5、5.5~6.5、5.0~6.0、5.5~5.8である。
【0129】
有利的には、ステップii)での前記酸溶液の添加は、0~30℃の温度で実施される。したがって、別の実施形態では、本発明は、上述のような方法に関し、前記混合は、0~30℃の温度で実施されることが理解される。「0~30℃の温度」とは、温度が5~30℃、10~30℃、15~30℃、20~30℃、25~30℃、0~25℃、0~20℃、0~15℃、0~10℃、0~5℃であってよいことも意味する。これは、この温度が0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃または30℃でありうることも意味する。
【0130】
特に、本発明の別の実施形態は、上述のような方法に関し、前記混合が5~25℃の温度で実施される。
【0131】
別の実施形態によれば、本発明は、上述のような方法に関し、前記ステップb.の後に、酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップc.をさらに含む。特に、本発明の一実施形態は、上述のような方法に関し、酵素を変性させるための前記条件は、
適切な時間および圧力の条件、例えば600MPa、40℃で30~60分間の処理または、0.1MPa、80℃で、2分間の処理(非特許文献8)、
適切な時間および紫外線(UV)の条件、例えば2537-A紫外線を10分間照射(非特許文献9および非特許文献10)、
適切な塩分条件、例えば2重量%の硫酸銅(CuSO)または硫酸鉄(II)(FeSO)を添加、(非特許文献11)または、5mol/NaClを添加(非特許文献12)、
適切な酸性条件、例えばpH3以下の媒体によって微生物由来トランスグルタミナーゼを不活化(非特許文献13)、
適切な時間、温度および超音波の条件、例えば20kHzの周波数、120μmの波振幅を特徴とするの超音波を照射し、61℃および75.5℃の媒体温度で102.3秒間処理(非特許文献14)、
適切な時間と温度の条件、例えば100℃で5分間加熱して酵素を不活化(非特許文献15)。
【0132】
特に、上述のような方法の場合も、酵素を変性させるための前記条件は、適切な時間と温度の条件である。例えば、別の実施形態によれば、本発明は上述のような方法に関し、前調理ステップc.は、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品の任意の点の温度が70℃~250℃であり、かつ時間が15~180分で構成されるように実施される。考えられる[温度;時間]の組み合わせとしては、例として[120℃;120分]、[180℃;60分]、[200℃;45分]、[220℃;30分]が与えられる。この前調理ステップは、必要に応じて、細菌負荷を減少させる、および/または、本発明の製品に存在する水分量を減少させる利点を与えることに留意する必要がある。例として、この前調理により、本発明の製品の質量に対して最大20%または40%の水分を失ってもよい。
【0133】
上述の点において、本発明の一実施形態は、上述のような方法に関し、ステップb.の後に酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状食品を得るステップc.をさらに含み、
特に、温度条件は、70~250℃であり、時間は15分~180分であることが理解される。
【0134】
別の実施形態によれば、本発明の目的は、上述のような方法であり、ステップc.の後に、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を凍結または急速凍結するステップd.をさらに含む。ここで「凍結」および「急速凍結」は、先行技術で既知の技術であり、対象の製品を凍結または急速凍結することを可能にする。
【0135】
これまでに、本発明の方法の実施は適合可能であり、大小の肉代替品を製造することが可能であるという利点があると記載した。この点において、別の実施形態によれば、本発明は、その目的として、上述のような方法を有し、ステップb.の終了時に得られる前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を有し、
a.少なくとも0.5cmの高さと、
b.少なくとも0.5cmの厚さと、
c.少なくとも0.5cmの幅と、を含む。
【0136】
いずれにせよ、上述する本発明の様々な実施形態は相互依存することに留意する必要がある。したがって、これらを互いに組み合わせて、明記していない本発明の好ましい実施形態を得てもよい。これは、本明細書に記載するすべての定義にも当てはまり、本発明のすべての態様およびその実施形態に適用する。
【0137】
この場合、以下に、本発明の可能性を示すために、いくつかの考えられる組み合わせを記載する。
【0138】
本発明の別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造するための方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法であって、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を前記タンパク質溶液に添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理し、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0139】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0140】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸タンパク質溶液を得るステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0141】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
c.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと、を含む。
【0142】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
NaCl、および/または、
KCl、および/または、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩を、含み、
塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、前記塩タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加塩タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0143】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.前記植物性タンパク質を少なくとも1分間水和させるステップと、
c.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0144】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%タンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.前記植物性タンパク質が酵素の基質部位を示す条件下で、前記タンパク質溶液を加熱するステップと、
c.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0145】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を前記タンパク質溶液に添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
c.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0146】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を前記タンパク質溶液に添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
c.前記酵素処理タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸タンパク質溶液を得るステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0147】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を前記タンパク質溶液に添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
d.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと、を含む。
【0148】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
d.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと、を含む。
【0149】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.前記酵素処理塩タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸塩タンパク質溶液を得るステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理酸塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0150】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸タンパク質溶液を得るステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質酸溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
d.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと、を含む。
【0151】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
c.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと
d.前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を凍結または急速凍結するステップと、を含む
【0152】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
NaCl、および/または、
KCl、および/または、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩を、含み、
塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.前記植物性タンパク質を少なくとも1分間水和させるステップと、
d.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、前記塩タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加塩タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップと、
e.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0153】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
NaCl、および/または、
KCl、および/または、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩を、含み、
塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.前記植物性タンパク質が酵素の基質部位を示す条件下で、前記タンパク質溶液を加熱するステップと、
d.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、前記塩タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加塩タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップと、
e.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0154】
別の実施形態によれば、本発明は、物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.前記植物性タンパク質を少なくとも1分間水和させるステップと、
c.前記植物性タンパク質が酵素の基質部位を示す条件下で、前記タンパク質溶液を加熱するステップと、
d.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
e.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0155】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を前記タンパク質溶液に添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
c.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
d.前記酵素処理塩タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸塩タンパク質溶液を得るステップと、
e.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して酸化し、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、を含む。
【0156】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を前記タンパク質溶液に添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
c.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
e.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと、を含む。
【0157】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%タンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を前記タンパク質溶液に添加することによって、前記タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
d.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと
e.前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を凍結または急速凍結するステップと、を含む
【0158】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.前記酵素処理塩タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸塩タンパク質溶液を得るステップと、
d.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理酸塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
e.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと、を含む。
【0159】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
d.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと
e.前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を凍結または急速凍結するステップと、を含む
【0160】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の重量に対して、タンパク質溶液中の1~30重量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、
前記酵素添加タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理タンパク質溶液を得るステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸タンパク質溶液を得るステップと、
c.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
d.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと
e.前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を凍結または急速凍結するステップと、を含む
【0161】
別の実施形態によれば、本発明は、植物性タンパク質からテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法、あるいは植物性タンパク質から、上述のようなテクスチャを付与した繊維状または層状食品を製造する方法に関し、少なくとも、
a.タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み(あるいは、タンパク質溶液の質量に対して、1~30質量%の植物性タンパク質を含み、前記植物性タンパク質は、少なくとも70%の植物由来タンパク質であって、当該植物由来タンパク質のリシン/グルタミン/チロシンスコアは上述のものである植物由来タンパク質と、最大30%のタンパク質とを含む混合物に由来し)、少なくとも20%の前記植物性タンパク質は、前記タンパク質溶液に可溶性であるタンパク質溶液の植物性タンパク質源から調製するステップと、
b.前記酵素処理タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
NaCl、および/または、
KCl、および/または、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類金属塩を、含み、
塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
c.前記植物性タンパク質を少なくとも1分間水和させるステップと、
d.前記植物性タンパク質が酵素の基質部位を示す条件下で、前記タンパク質溶液を加熱するステップと、
e.アミノアシルトランスフェラーゼクラスまたはオキシドレダクターゼクラスの酵素を添加することによって、前記塩タンパク質溶液を酵素処理するステップであって、
前記酵素添加塩タンパク質溶液を、前記酵素に少なくとも1つの酵素反応を触媒させる条件下で培養して、酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップと、
f.前記酵素処理塩タンパク質溶液と塩溶液とを混合するステップであって、当該塩溶液は、
CaCl、BeCl、MgCl、BaClおよびこれらの混合物から選択されるアルカリ土類塩、および/または、
KClを含み、
酵素処理塩タンパク質溶液を得るステップをさらに含むステップと、
g.前記酵素処理塩タンパク質溶液と酸溶液とを混合して、酵素処理酸塩タンパク質溶液を得るステップと、
h.タンパク質繊維の形成を可能にする条件下で前記酵素処理酸塩タンパク質溶液を凍結して、テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を得るステップと、
i.酵素を変性させる条件下で、前記テクスチャを付与した繊維状または層状冷凍食品を前調理して、前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を得るステップと
j.前記テクスチャを付与した繊維状または層状調理済み食品を凍結または急速凍結するステップと、を含む。
【0162】
別の態様によれば、本発明は、その目的として、本発明の方法によって得ることが可能なテクスチャを付与した繊維状または層状食品を有する。この点において、本発明の第1の態様で記載するような本発明の製品に適用可能なすべての定義、特徴などは、本発明の方法によって得ることが可能なテクスチャを付与した繊維状または層状食品に適用される。
【0163】
再び、本発明のさまざまな態様、さらには本発明のさまざまな実施形態は相互依存することを記載する。したがって、これらを互いに組み合わせて、明記していない本発明の好ましい態様および/または実施形態を得ることができる。これは、本明細書に記載するすべての定義にも当てはまり、本発明とその実施形態のすべての態様に適用する。
【0164】
さらに、本発明は、添付の図面および実施例によって示すが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0165】
図1】テクスチャプロファイルを分析した際に得られるグラフの典型的例を示す。
図2】A/ECKスライド下の試料の一例を示す。
図3】調製した大豆試料において、凍結流に対して平行(F)および垂直(F)な切削力を示す。
図4】実施例1の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。凡例:+:透明で独立した繊維の存在が低い;++:透明で独立した繊維の存在が中程度;+++:透明で独立した繊維の存在が高い
図5】実施例2の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化しなかった(pH7.5)。(B)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化した(pH5.6)。
図6】実施例3の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化しなかった(pH7.2)。(B)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化した(pH6.5)。(C)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化した(pH6)。(D)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化した(pH5.5)。(E)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化した(pH5)。(F)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化した(pH4.5)。(G)酵素処理塩タンパク質溶液を酸性化した(pH4)。
図7】実施例4の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.5)を缶内で凍結した。(B)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.5)を二重カップ内で凍結した。(C)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.5)をシリコンシリンダー内で凍結した。
図8】実施例5の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理塩タンパク質溶液(pH7.5)をSilversas(商標)内で、-120℃で凍結した。(B)酵素処理塩タンパク質溶液(pH7.5)を極低温チャンバ内で0~-25℃、-5℃/分の速度で凍結した。
図9】実施例6の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)塩タンパク質溶液は、0.12%の酵素を50℃で30分間培養して酵素処理した(凍結前のpH=7.3)。(B)塩タンパク質溶液は、0.06%の酵素を50℃で1時間培養して酵素処理した(凍結前のpH=7.3)。
図10】実施例7の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)塩タンパク質溶液は、0.12%の酵素を50℃で30分間培養して酵素処理し、pH=6に酸性化した。(B)塩タンパク質溶液は、0.12%の酵素を50℃で30分間培養して酵素処理した(酸性化しなかった)。(C)塩タンパク質溶液は、0.09%の酵素を50℃で30分間培養して酵素処理した(酸性化しなかった)。
図11】実施例8の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)塩タンパク質溶液は、第2のCaCl溶液を添加後に酵素処理(0.3%の酵素)した。(B)塩タンパク質溶液は、第2のCaCl溶液を添加後に酵素処理(0.3%の酵素)し、酸性化した(pH5.6)。(C)塩タンパク質溶液は、第2のCaCl溶液を添加前に酵素処理(0.3%の酵素)した。(D)塩タンパク質溶液は、第2のCaCl溶液を添加前に酵素処理(0.3%の酵素)し、酸性化した(pH5.6)。
図12】実施例9の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理して酸性化したエンドウタンパク(pH5.6)から生成した塩タンパク質溶液を、-25℃の静的冷却で凍結した。(B)図12Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが8mm、平均厚さが0.26mmの繊維がある。(C)酵素処理して酸性化した大豆タンパク(pH5.6)から生成した塩タンパク質溶液を、-25℃の静的冷却で凍結した。(D)図13Cに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが7mm、平均厚さが0.18mmの繊維がある。
図13】実施例10の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を、-25℃の静的冷却で凍結した。(B)図13Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが5mm、平均厚さが0.28mmの繊維がある。(C)酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.6)を、-18℃の静的冷却で凍結した。(D)図13Cに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが8mm、平均厚さが0.28mmの繊維がある。
図14】実施例11の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を、静的冷却で凍結した。(B)図14Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが3mm、平均厚さが0.42mmの繊維がある。(C)酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.6)を、空冷状態で凍結した。(D)図14Cに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが5mm、平均厚さが0.38mmの繊維がある。
図15】実施例12の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を、静的冷却で凍結した。(B)図15Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが6mm、平均厚さが0.21mmの繊維がある。(C)酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.6)を、空冷状態で凍結した。(D)図15Cに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが5mm、平均厚さが0.22mmの繊維がある。
図16】実施例13の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を、静的冷却で凍結した。(B)図16Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが5mm、平均厚さが0.5mmの繊維がある。
図17】実施例14の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を、静的冷却で凍結した。(B)図17Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが5mm、平均厚さが0.9mmの繊維がある。
図18】実施例15の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を、静的冷却で凍結した。(B)図18Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが4mm、平均厚さが0.23mmの繊維がある。(C)酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.6)を、空冷状態で凍結した。(D)図18Cに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが3mm、平均厚さが0.21mmの繊維がある。
図19】実施例16の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。酵素処理性酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を静的冷却で凍結し、平均繊維長6mm、平均厚さ0.32mmのテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品が得られた。(B)酵素処理性酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を空冷状態で凍結し、平均繊維長7mm、平均厚さ0.41mmのテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品が得られた。
図20】実施例17の実施後に得られた全てのテクスチャを付与した繊維状または層状食品を示す。(A)酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)を、静的冷却で凍結した。(B)図20Aに示すテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品には、平均長さが7mm、平均厚さが0.22mmの繊維がある。
図21】左側は、従来技術の製品に実施した画像解析、右側は、本発明の製品に対して実施した画像解析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0166】
[実施例]
実施例に共通する材料および方法
pHおよび水分測定
混合物(有塩または無塩、酵素処理済または酵素処理未済)のpHは、Fisherbrand(商標) accumet(商標) AE150卓上pHメーターで測定した。pHメーターの電極は、機械が表示する値が安定するまで3つの異なる試料に浸漬した。
【0167】
水分含量は、電子赤外線水分計ザルトリウスMA37またはザルトリウスMA160ので、溶液および本発明の製品について測定した。試料の乾燥は、130℃で2.00g±0.20の試料に対して実施した。三重測定を実施して。平均値および標準偏差を得た。
【0168】
テクスチャ分析
分析方法は、Skaleckiらから採用した(非特許文献16)。テクスチャ特性は、TA.HDテクスチュロメーターおよびTA.XTplusテクスチュロメーター(Stable Micro Systems Ltd)と、Exponent Connect(登録商標)ソフトウェア(Stable Micro Systems Ltd)とを用いて測定した。
【0169】
TA.XTplusテクスチュロメーターのクロスヘッドには、50kgの荷重セルを装着した。また、TA.XTplusテクスチュロメーターには、直径100mmの圧縮プレートを装着した。15×15×5mmの立方体または円柱形に切断した本発明の製品の試料を、圧縮プレートで元の高さの50%まで圧縮した。プロトコルa(実施例1~9)では、プラテンを各「咀嚼」時に1.67mm/sの速度で動作させ、前後の試験速度は2mm/s、解放力は0.1Nであった。プロトコルb(実施例10~17)では、プラテンを各「咀嚼」時に1mm/sの速度で動作させ、前後の試験速度は3mm/s、解放力は0.1Nであった。2回の咀嚼圧縮サイクルを実施し、咀嚼の間に3秒の休息時間を設けた。硬度、咀嚼性(または圧縮性)、回復性、凝集性、弾性および粘着性を測定した。各条件で試験した際には、平均値および標準偏差を得るために、本発明の製品3つの中心から、3つの試料を採取した。試験は室温で実施した。以下の表1および図1は、選択したテクスチャプロファイル分析パラメータの感覚定義および計測定義と、ソフトウェアによって得られたグラフからこれらを計算する方法とを示す。
【表1】
表1.テクスチャ分析によって得られるパラメータを定義する表。NovakovicおよびTomasevicによる(非特許文献17)。
【0170】
繊度の評価
動物肉は、整列性かつ指向性のある筋繊維から得られる異方性を特徴とすることから、肉類似品は、この特徴を再現することが不可欠である。
【0171】
この方法は、Zhangら(非特許文献18)に基づいて、上述のTA.XTplusテクスチュロメーターを使用して実施した。本発明のエンドウ単離体(PPI)製品または大豆単離体(SPI)製品の立方体試料(15×15×15mm)を、A/ECKブレードで、同一方向(縦抵抗、F1)および凍結流方向に垂直(横抵抗、F2)に、1mm/sの速度で元の厚さの75%まで切断した(図2および図3)。繊度は、繊維構造の形成を示す指標として使用し、F2/F1の割合で表す。繊度が1超であれば、凍結流方向に肉代替品の繊維構造が形成できたことを示す。試験は、本発明の3つの製品の中心から試料を採取し、各条件について3回実施した。
【0172】
粘弾性の測定
有塩または無塩および/または酵素処理済または未済のタンパク質溶液のレオロジー特性評価は、直径50mmの円錐平面ジオメトリーおよび0.499mmのエアギャップを備えたPhysica MCR301レオメータ(Anton Paar)を用いて行われた。試験は5℃で実施され、温度はペルチェシステムによって制御した。tanδの測定は、100~0.1Hzの周波数スイープ試験で実施し、歪みは0.1%であった。各試験は、平均値および標準偏差を得るために、試料毎に3回実施した。
【0173】
テクスチュロメーターを使用した保水性(WHC)の測定
保水性(WHC)は、力、圧力、遠心分離または熱が加わった際に、内在する水分を保持する生成物の能力の尺度である。WHCは、直径100mmの圧縮ローターを備えたTa.XTplusテクスチュロメーター(Stable Micro System Ltd)とExponent Connect Lite(登録商標) ver.8.0.5.0ソフトウェアを使用して測定した。既知の水分含量の製品から、約2g±0.50の円筒形試料を採取した。2枚の矩形の吸収紙を、圧縮移動部の底面に配置し、試料下の中央に置いた。室温(20~24℃)で、圧縮装置によって5分間試料に1kgの力を加えた。このため、圧縮中、製品は2枚の吸収紙に接していた。圧縮後、試料の重さを計測した。また、製品の水分含量を、第2節に記載のプロトコルに従って赤外線バランスを使用して測定した。
【0174】
水分損失(WL)は、次式で求めた。
【数2】
式中、mは圧縮前の試料の質量、mは圧縮後の試料の質量である。
【0175】
WHCは、次式で計算した。
【数3】
式中、Hは試料の水分含量、PEは水分損失である。
【0176】
水置換による製品密度の測定
製品の密度は、室温(20~24℃)で水置換によって測定した。これを実施するため、25mL目盛り付きシリンダーに、既知の滴定点(V)まで蒸留水が注入し、製品試料の重さ(m)を測定した。その後、試料を試験管に入れ、製品に水を吸収させるために1分間放置した。
【0177】
1分経過後、目盛付きシリンダーが示す新しい体積(V)を記録し、その後、試料をシリンダーから取り出し、重さ(m)を計測した。再度、試験管が示す体積(V)を記録した。
次式を用いて、製品の密度を求めた。
-m=m吸収水
吸収水(g)=V吸収水(mL)
試料=V-V吸収水-V
-試料=m/V試料
【0178】
スラリーの顕微鏡観察
スラリーを構成する粒子の観察は、オリンパスBX43光学顕微鏡(Olympus(登録商標))を用いて実施した。スラリーの試料は、酸化段階後、5~10℃の温度で採取し、その後、蒸留水で10倍に希釈した。この溶液の一滴をスライドガラスに置き、カバーガラスで覆った。試料は×10の対物レンズで観察した。写真は、Capture Ver.2.3ソフトウェアで撮影し、ImageJソフトウェアで処理した。粒子の形状は、大部分が球形あるいは大部分が不定形の2つのカテゴリーに分類し、平均粒子径と、関連する標準偏差とを測定した。
【0179】
写真撮影および画像解析
解凍した試料を試料は中心で切断し、繊維構造を観察した。試料は、サイズスケールを得るために、定規上で撮影した。解析中の画像の品質および精度を高めるために、製品を、単一の白色光源がある黒い箱の中に置くことを推奨する。
【0180】
画像解析は、無料ソフトウェアImageJ ver.1.53kで実施した。解析する画像は、ImageJで開き、次に定規の2つの目盛りの間に線を引いてソフトウェアにスケールを示した(「Set Scale」機能)。スケールを所定の位置に置いた後、画像は、製品の周辺部分を除外して、繊維を含む箱に縮小した(「Crop」機能)。繊維厚さおよび繊維間距離は、繊維の直径上と、2つの繊維間とにそれぞれ線を引き、「Measure」機能を使用して測定することができる。
【0181】
最終的には、繊維の一端から他端までをたどることにより、繊維長を測定することができた(図21参照:左、市販品;右、本発明の製品)。
【0182】
その後、画像を「Type→8bit」機能を使用してグレースケールで着色し、「Adjust→Threshold」を使用して、繊維と繊維間隔を黒成分および白成分に分けることによって、画像を二値化した。繊維密度は、その後「Measure」機能を使用して測定でき、画像における黒成分が占める割合を示す。
【0183】
統計
試験は、特に明記しない限り、3回繰り返して実施した。最終製品の特性に有意な影響を及ぼす変数パラメータを求めるために、二元配置分散分析(ANOVA)を使用し、Tukey検定と組み合わせて実施し、95%信頼水準で試料間の統計的有意差を確認した。分析は、XLSTAT software(登録商標)バージョン2021.2(Addinsoft、パリ、フランス)で実施した。
【0184】
各特性(硬度、凝集性、繊度、咀嚼性、水分含量)について、2つの試料の間に異なる上付き文字がある場合は、有意差があることを示し、同一文字がある場合は、統計的に類似した試料であることを示す。測定値および指数は、2つの異なる特性間では比較することはできない
【0185】
実施例1
1.材料および方法
1.1 配合
【表2】
表2.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0186】
【表3】
表3.エンドウタンパク単離体(PPI)を使用した配合
【0187】
1.2.プロトコル
使用する酵素(BDF PROBIND TXo)の量は、供給者(BDF Ingredients)が推奨する最大量、すなわちタンパク質1gあたり0.02gに設定し、後述の各試験に対して400g(後述の表の量の4倍)の混合物を調製した。
最初に、NaClを蒸留水に溶解し、室温で、2分間250rpmでカッティングロボット(Cook robot、Robot-Coupe(登録商標)から市販)で攪拌した。次に、エンドウタンパクまたは大豆タンパクを加え、250rpmで、撹拌下で30分間水和させ、塩タンパク質溶液を得た。その後、カッティングロボットに2つの熱電対を取り付け、塩タンパク質溶液の表面および中心温度を監視した。カッティングロボットを50℃に加熱し、撹拌速度を360rpmに上げた。その後、塩タンパク質溶液をボウルに移し、酵素存在下で、オーブンで、1時間または2時間、50℃で培養した。その後、ボウルを冷凍庫(-24℃)に置き、酵素処理塩タンパク質溶液を5℃に冷却した。その後、エンドウタンパクから生成した酵素処理塩タンパク質溶液は、ヘラで混合して均一化した。大豆タンパクから生成した酵素処理塩タンパク質溶液は、食品処理機で、4500rpmで3回、3秒間再混合して均一化した。その後、pH5.6となるまで、前記酵素処理塩タンパク質溶液の一部に、クエン酸溶液を徐々に加えた(配合#2)。他の酵素処理塩タンパク質溶液には、同量の水を加えた(配合#1)。任意に酸性化させた前記酵素処理塩タンパク質溶液55gを、4つの断熱アルミカップに注ぎ、プラスチックフィルムで覆ってから冷凍庫(GGPv 1470 Profiline、Liebherr、ドイツ、非換気冷却システムおよび冷却剤付き)(-24℃)に入れ、40時間後、カップを予熱した強制空気オーブンで大豆ベースの配合では180℃で18分間、エンドウベースの配合では25分間加熱し、任意に酸性化させた前記酵素処理塩タンパク質溶液を調理した。この調理後、任意に酸性化させた前記酵素処理塩タンパク質溶液をモールドから取り出した(以下「試料」と言う)。
【0188】
1.3 pHおよび水分含量の測定
上述参照。
【0189】
1.4.テクスチャ分析
上述参照。
【0190】
1.5.繊度の評価
上述参照。
【0191】
1.6.粘弾性の測定
上述参照。
【0192】
1.7統計
上述参照。
【0193】
1.8.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO(登録商標) 620 IP(Solae)
エンドウタンパクEmpro(登録商標) E 86 HV(Emsland-StarkegmbH)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0194】
2.結果
2.1.テクスチャ、異方性および水分含量の分析
【表4】
表4.テクスチャ物性(プロトコルa)、異方性および水分含量の分析結果
【0195】
全ての値は、3回の繰り返しによる平均値+標準偏差である。文字が異なる列の平均値は、有意差(p<0.05)があり、データは、SPIおよびとPPIそれぞれについて別々に処理した。
【0196】
この実施例の実施後、次のことがわかった。
酸の添加により、製品の硬度が1時間の培養後に増加し、2時間後にはさらに増加する。
エンドウタンパクを使用した場合、酸の添加は1時間および2時間の培養後、製品の咀嚼性が増大する。
酸を含む試料は、酸を含まない試料より弾性が低く、破壊しやすく、水分も少ない。
大豆製品は、エンドウ製品よりも硬く、「咀嚼感」がある。
【0197】
2.2.粘弾性の測定
全てのタンパク質溶液試料は、(塩を添加したか否か、および/または、酵素処理を実施したか否かに関わらず、)粘弾性tanδが1未満の範囲であった。
【0198】
2.3.写真
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品を撮影した(図4参照)。
【0199】
実施例2
1.材料および方法
1.1 配合
【表5】
表5.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0200】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0201】
1.2.2.油分の添加
油分を添加し、250rpmで10分間混合した。
【0202】
1.2.3.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素(または水に分散させた酵素溶液)を加え、穏やかに撹拌しながら、1時間培養した。
【0203】
1.2.4.加熱
ミキサーに95℃まで加熱するように設定し、250rpmの速度で混合を再開した。中心温度が80℃になったとき、酵素処理塩タンパク質溶液を、80℃で10分間撹拌を続けた。
【0204】
1.2.5.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。中心温度が5℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、その後2つの試料に分け、2つのうちの1つにクエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0205】
1.2.6.凍結
上述の2つの試料(酸性化および非酸性化)は、-24℃の従来の対流冷凍庫で凍結した。
【0206】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
植物油 ヒマワリ油(Buttercup)(登録商標)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0207】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品を撮影した(図5参照)。簡単に説明すると、
酸性化していない酵素処理塩タンパク質溶液(pH7.5)は、凍結後、極めて硬く、粘着性があるテクスチャを付与した繊維状および層状食品となり、全体的に繊維があった(図5A参照)。
酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.6)は、凍結後、極めて硬く、粘着性があるテクスチャを付与した繊維状および層状食品となり、全体的に粒状が見られた(図5B参照)
【0208】
また、次のことがわかった。
脂肪は、製品の総質量に対して0~20%の濃度では、繊維の形成を妨げない。
酸は繊維の形成に必要ではない。
微量栄養素は繊維形成を妨げない。
製品の総質量に対して0~10%の濃度の芳香族分子は、繊維の形成を妨げない。
製品の総質量に対して0~5%の濃度の食物繊維は、繊維の形成を妨げない。
【0209】
実施例3
1.材料および方法
1.1 配合
【表6】
表6.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0210】
1.2.プロトコル
1.2.1.混合および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0211】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素(または水に分散させた酵素溶液)を加え、穏やかに撹拌しながら、1時間培養した。
【0212】
1.2.3.加熱
ミキサーに95℃まで加熱するように設定し、250rpmの速度で混合を再開した。中心温度が80℃になったとき、酵素処理塩タンパク質溶液を、80℃で10分間撹拌を続けた。
【0213】
1.2.4.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。中心温度が5℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。酵素処理塩タンパク質溶液は、7つの試料に分け、そのうちの6つはそれぞれクエン酸でpH6.5、6、5.5、5、4.5、4に酸性化した。
【0214】
1.2.5.凍結
上述の7つの試料(酸性化および非酸性化)は、-24℃の従来の対流冷凍庫で凍結した。
【0215】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0216】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図6参照)。簡単に説明すると、
酸性化していない酵素処理塩タンパク質溶液(pH7.2)は、凍結後、非脆性で、硬く、凝集性があるテクスチャを付与した繊維状食品となり、繊維を視認することができた(図6A参照)。
酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH6.5)は、凍結後、非脆性で、硬く、凝集性があるテクスチャを付与した繊維状食品となり、繊維を視認することができた(図6B参照)。
酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH6)は、凍結後、非脆性で、硬く、凝集性があるテクスチャを付与した繊維状食品となり、繊維を視認することができた(図6C参照)。
酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.5)は、凍結後、テクスチャを付与した繊維状食品となり、繊維を視認することができた(図6D参照)。
酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH5)は、凍結後、テクスチャを付与した繊維状食品となり、繊維を視認することができた(図6E参照)。
酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH4.5)は、凍結後、テクスチャを付与した繊維状食品となり、繊維を視認することができた(図6F参照)。
酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH4)は、凍結後、テクスチャを付与した繊維状食品となり、繊維を視認することができた(図6G参照)。
【0217】
実施例4
1.材料および方法
1.1 配合
【表7】
表7.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0218】
1.2.プロトコル
1.2.1.混合および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0219】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素(または水に分散させた酵素溶液)を加え、穏やかに撹拌しながら、1時間培養した。
【0220】
1.2.3.加熱
ミキサーに95℃まで加熱するように設定し、250rpmの速度で混合を再開した。中心温度が80℃になったとき、酵素処理塩タンパク質溶液を、80℃で10分間撹拌を続けた。
【0221】
1.2.4.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。中心温度が5℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.5になるまで酸性化した。
【0222】
1.2.5.凍結
凍結前に、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、いくつかの試料に分け、それぞれ缶、二重カップまたはシリコンシリンダーに入れた。その後、これらの試料は、従来の対流冷凍庫で、-24℃で凍結した。
【0223】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0224】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品を撮影した(図7参照)。簡単に説明すると、
缶で凍結した酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.5)は、6cmの高さのテクスチャを付与した繊維状または層状食品となり、繊維を視認することができた(図7A参照)。
二重カップで凍結した酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.5)は、5cmの高さのテクスチャを付与した繊維状または層状食品となり、繊維を視認することができた(図7B参照)。
シリコンシリンダーで凍結した酸性化した酵素処理塩タンパク質溶液(pH5.5)は、6cmの高さのテクスチャを付与した繊維状または層状食品となり、繊維を視認することができた(図7C参照)。
【0225】
実施例5
1.材料および方法
1.1 配合
【表8】
表8.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0226】
1.2.プロトコル
1.2.1.混合および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0227】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素(または水に分散させた酵素溶液)を加え、穏やかに撹拌しながら、1時間培養した。
【0228】
1.2.3.加熱
ミキサーに95℃まで加熱するように設定し、250rpmの速度で混合を再開した。中心温度が80℃になったとき、酵素処理塩タンパク質溶液を、80℃で10分間撹拌を続けた。
【0229】
1.2.4.冷却
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。温度が4℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した(冷水浴)。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、4℃で17時間保管した。
【0230】
1.2.5.凍結
凍結前に、酵素処理塩質溶液をブレンダーで再混合し、シリコンシリンダーまたは断熱缶に分配した。その後、Silversas(Air Liquide)で、-120℃で凍結、あるいは極低温チャンバ(DOH-BOX Model 4300、Dohmeyerより)で、時速-5℃で0℃から-25℃に下げて凍結した。
【0231】
1.2.6.調理
凍結1週間後の試料を、予熱した強制空気オーブンで、180℃で18分間ベークした。
【0232】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
【0233】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品を撮影した(図8参照)。簡単に説明すると、シリコンで凍結した試料と断熱缶で凍結し試料との間で、結果は類似していた。
【0234】
実施例6
1.材料および方法
1.1 配合
【表9】
表9.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0235】
【表10】
表10.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0236】
1.2.プロトコル
1.2.1.混合および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0237】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素(または水に分散させた酵素溶液)を加え、穏やかに撹拌しながら、30分(#1) または1時間(#2)培養した。
【0238】
1.2.3.加熱
ミキサーに95℃まで加熱するように設定し、250rpmの速度で混合を再開した。中心温度が80℃になったとき、酵素処理塩タンパク質溶液を、80℃で10分間撹拌を続けた。
【0239】
1.2.4.冷却
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。温度が4℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した(冷水浴)。
【0240】
1.2.5.凍結
凍結前に、酵素処理塩タンパク質溶液を、断熱アルミカップに試料分けし、その後、従来の冷凍庫で、-24℃で凍結した。
【0241】
1.2.6.調理
凍結1日後、試料を、予熱した強制空気オーブンで、180℃で18分間ベークした。
【0242】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
【0243】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品を撮影した(図9参照)。簡単に説明すると、結果は両方の試料(#1および#2)に繊維があり、その結果は再現可能であることを示した。得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品は弾性がある。
【0244】
実施例7
1.材料および方法
1.1 配合
【表11】
表11.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
配合#1:塩タンパク質溶液を、0.12%の酵素を加えて50℃で30分間培養して酵素処理した後、pH=6に酸性化した。配合#2:塩タンパク質溶液を、0.12%の酵素を加えて50℃で30分間培養して酵素処理した(酸性化していない)。配合#3:塩タンパク質溶液を、0.09%の酵素を加えて50℃で30分間培養して酵素処理した(酸性化していない)。
【0245】
1.2.プロトコル
1.2.1.混合および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0246】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素(または水に分散させた酵素溶液)を0.12%の濃度(配合#1および#2)または0.09%の濃度(配合#3)で加え、30分間培養した。
【0247】
1.2.3.加熱
ミキサーに95℃まで加熱するように設定し、250rpmの速度で混合を再開した。中心温度が80℃になったとき、酵素処理塩タンパク質溶液を、80℃で10分間撹拌を続けた。
【0248】
1.2.4.冷却(任意で酸性化)
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。温度が4℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した(冷水浴)。必要に応じて、酵素処理塩タンパク質溶液をクエン酸でpH6に酸性化した(配合#1)。
【0249】
1.2.5.凍結
凍結前に、任意で酵素処理酸塩タンパク質溶液を断熱アルミカップに試料取りし、その後、従来の冷凍庫で、-24℃で凍結した。
【0250】
1.2.6.調理
凍結1日後、試料を、予熱した強制空気オーブンで、180℃で18分間ベークした。
【0251】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0252】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品を撮影した(図10参照)。簡単に説明すると、
酸性化した酵素処理(酵素0.12%)塩タンパク質溶液(pH6)は、凍結および調理後、硬く、弾性があるテクスチャを付与した繊維状および層状食品となり、多くの繊維を視認することができた(図10A参照)。
酸性化していない酵素処理(酵素0.12%)塩タンパク質溶液は、凍結および調理後、硬く、弾性があるテクスチャを付与した繊維状および層状食品となり、繊維を視認することができた(図10B参照)。
酸性化していない酵素処理(酵素0.09%)塩タンパク質溶液は、凍結および調理後、硬く、弾性があるテクスチャを付与した繊維状および層状食品となり、繊維を視認することができた(図10C参照)
【0253】
実施例8
1.材料および方法
1.1 配合
【表12】
表12.エンドウタンパク単離体(PPI)を使用した配合
配合#1:2回目のCaClを加えた後、塩タンパク質溶液に0.3%の酵素を加えて50℃で60分間培養しして酵素処理した。配合#2:2回目のCaClを加えた後、塩タンパク質溶液に0.3%の酵素を加えて50℃で60分間培養して酵素処理した。その後、5℃まで冷却し、pH=5.6に酸性化した。配合#3:2回目のCaClを加える前に、塩タンパク質溶液に0.3%の酵素を加えて50℃で60分間培養して酵素処理した。配合#4:2回目のCaClを加える前に、塩タンパク質溶液に0.3%の酵素を加えて50℃で60分間培養して酵素処理した。その後、5℃に冷却し、pH=5.6に酸性化した。
【0254】
1.2.プロトコル
1.2.1.混合および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0255】
1.2.2.1回目のCaClの添加
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。1回目のCaCl溶液をミキサーに加え、次に塩タンパク質溶液をミキサー内で中心温度が70℃になるまで加熱し、混合速度を250rpmで維持した。
【0256】
1.2.3.酵素処理と2回目のCaClの添加
塩タンパク質溶液を、室温の水浴で、中心温度が50℃になるまで冷却した。
【0257】
配合#1および#2については、2回目のCaCl溶液を加えた後、0.3%の濃度の酵素溶液を加えた。酵素は、60分間培養した。
【0258】
配合#3および#4については、0.3%の濃度の酵素溶液が加え、酵素を60分間培養した。その後、2回目のCaCl溶液を加えた。
【0259】
1.2.4.冷却(任意で酸性化)
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。温度が4℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した(冷水浴)。必要に応じて、酵素処理塩タンパク質溶液をクエン酸でpH5.6に酸性化する(配合#2および配合#4)。
【0260】
1.2.5.凍結
凍結前に、必要に応じて酵素処理酸塩タンパク質溶液を、断熱したアルミニウム皿に試料取りし、その後、従来の冷凍庫で、-24℃で凍結された。
【0261】
1.2.6.調理
凍結1日後の試料を、予熱した強制空気オーブンで、180℃で18分間ベークした。
【0262】
1.3.製品と供給者
エンドウタンパクEmpro E 86 HV(Emsland-StarkegmbH)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
CaCl 塩化カルシウム > 99% (Acros Organics)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0263】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状または層状食品を撮影した(図11参照)。簡単に説明すると、
酵素処理(酵素0.3%)塩タンパク質溶液に、2回目のCaCl溶液を加えた後、凍結および調理することによって、テクスチャを付与した繊維状または層状食品は、硬く、凝集性があった(図11Aを参照)。
酵素処理(酵素0.3%)塩タンパク質溶液は、2回目のCaCl溶液を加えた後、酸性化(pH5.6)し、凍結および調理後、テクスチャを付与した繊維状または層状食品は、硬く、凝集性があった(図11Bを参照)
酵素処理(酵素0.3%)塩タンパク質溶液に、2回目のCaCl溶液を加える前に、凍結および調理することによって、テクスチャを付与した繊維状または層状食品は、硬く、凝集性があった(図11Cを参照)。
酵素処理(酵素0.3%)塩タンパク質溶液は、2回目のCaCl溶液を加える前に、pH酸性化(pH5.6)し、凍結および調理後、テクスチャを付与した繊維状または層状食品は、硬く、僅かに凝集性があった(図11Dを参照)
【0264】
実施例9
1.材料および方法
1.1 配合
【表13】
表13.大豆タンパク単離体(SPI)およびエンドウタンパク単離体(PPI)を使用した配合
配合#1:タンパク質溶液を大豆タンパクから生成する。0.12%の酵素で酵素処理し、50℃で30分間培養した後、pH=5.6に酸性化する。配合#2:タンパク質溶液をエンドウタンパクから生成する。0.12%の酵素で酵素処理し、50℃で30分間培養した後、pH=5.6に酸性化する。
【0265】
1.2.プロトコル
1.2.1.混合および水和
水およびタンパク質単離粉末を、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られたタンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0266】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。タンパク質溶液を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、混合物を加熱した。この温度になった時点で、酵素(または水に分散させた酵素溶液)を0.12%の濃度で加えた。
【0267】
1.2.3.冷却および酸性化
酵素処理タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理タンパク質溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理タンパク質溶液を手動で、ヘラで撹拌した。温度が4℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した(冷水浴)。また、酵素処理タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0268】
1.2.4.凍結
凍結前に、任意で酸性化した酵素処理タンパク質溶液を断熱アルミカップに試料取りし、その後、従来の冷凍庫で、-24℃で凍結した。
【0269】
1.2.6.調理
凍結1日後、凍結した試料を、予熱した強制空気オーブンで、180℃で18分間または25分間ベークした。
【0270】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
エンドウタンパクEmpro E 86 HV(Emsland-StarkegmbH)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0271】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図12参照)。簡単に説明すると、
酸性化して酵素処理したエンドウタンパク(pH5.6)から生成した塩タンパク質溶液を、-25℃で静的冷凍後、平均長さ8mm、平均厚さ0.26mmの繊維を有するテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品を得ることができた(図12A-B)。
酸性化して酵素処理した大豆タンパク(pH5.6)から生成した塩タンパク質溶液を、-25℃で静的冷凍後、平均繊維長7mm、平均厚さ0.18mmの繊維を有するテクスチャを付与した繊維状および凝集性食品を得ることができた(図12C-D)。
【0272】
実施例10
1.材料および方法
1.1 配合
【表14】
表14.エンドウタンパク単離体(PPI)を使用した配合
【0273】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0274】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素を加え、穏やかに撹拌しながら、30分間培養した。
【0275】
1.2.3.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。温度が5℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0276】
1.2.4.凍結
冷却した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、2つの溶液に分け、一方は従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結し、もう一方は従来の急速冷凍庫で、-18℃で凍結した。
【0277】
1.2.5.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0278】
1.2.6.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0279】
1.2.7.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0280】
1.3.製品と供給者
Plant-Meat Protein (Green Boy)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0281】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図13参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、-25℃の静的冷凍による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図13A参照)。密度は1.83g/cm、保水性は73%、硬度は36N、弾性は73%であり、平均繊維長は5mm、平均厚さは0.28mmであった(図13Bを参照)。酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、-18℃の静的冷凍による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図13C参照)。密度は1.78g/cm、保水性は80%、硬度は44N、弾性は47%であり、平均繊維長は8mm、平均厚さは0.28mmであった(図13Dを参照)。製品の物理化学性は、表22に詳細に示す。
【0282】
実施例11
1.材料および方法
1.1 配合
【表15】
表15.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0283】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を再度250rpmで20分間混合した。その後、1回目のCaCl(100gの溶液に対して0.03g)を加え、タンパク質溶液を5分間混合した。化合物の混合および水和段階の総時間は30分であった。
【0284】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素を加え、穏やかに撹拌しながら、30分間培養した。
【0285】
1.2.3.冷却および2回目のCaClの添加
酵素処理塩タンパク質溶液は、素早く40℃に冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩タンパク質溶液を手動で、ヘラで撹拌した。その後、2回目のCaCl(100gの溶液に対して0.13g)を加え、溶液をヘラで、5分間激しく混合した。
【0286】
1.2.4.酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、中心部が5℃になるまで4℃の水浴でさらに冷却した。温度は、タンパク質溶液に浸漬した熱電対によって監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0287】
1.2.5.凍結
冷却した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、2つの溶液に分け、一方は従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結し、もう一方は従来の急速冷凍庫で、-18℃で凍結した。
【0288】
1.2.5.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0289】
1.2.6.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0290】
1.2.7.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0291】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO920 IP(Solar)
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
CaCl 塩化カルシウム2水和物 ≧99% (Acros Organics)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0292】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図14参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、静的冷凍による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図14A参照)。密度は1.68g/cm、保水性は69%、硬度は21N、弾性は26%であり、平均繊維長は3mm、平均厚さは0.42mmであった(図14Bを参照)。酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、空冷冷凍による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図14C参照)。密度は1.78g/cm、保水性は66%、硬度は18N、弾性は26%であり、平均繊維長は5mm、平均厚さは0.38mmであった(図14Dを参照)。製品の物理化学性は、表22に詳細に示す。
【0293】
実施例12 大豆-グルテン複合体
1.材料および方法
1.1 配合
【表16】
表16.大豆タンパク単離体(SPI)とグルテンタンパク濃縮物を使用した配合
【0294】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、単離粉末とタンパク質濃縮粉末の混合物を加え、250rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を250rpmで25分間再度混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0295】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに、2個の熱電対を装着し、混合物の表面温度および中心温度を測定した。混合物を250rpmで保持しながら、中心温度が50℃になるまで、塩タンパク質溶液を加熱した。この温度になった時点で、酵素を加え、穏やかに撹拌しながら、30分間培養した。
【0296】
1.2.3.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のため、酵素処理塩溶液を含む容器を4℃の水浴に置き、酵素処理塩溶液を手動で、ヘラで撹拌した。中心温度が5℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.5になるまで酸性化した。
【0297】
1.2.6.凍結
冷却した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、2つの溶液に分け、一方は従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結し、もう一方は従来の急速冷凍庫で、-18℃で凍結した。
【0298】
1.2.5.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0299】
1.2.6.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0300】
1.2.7.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0301】
1.3.製品と供給者
大豆タンパクSUPRO 620 IP(Solae)
Gluvital 21020 (Caldic)グルテンタンパク
NaCl塩化ナトリウム≧99.5%(Fisher Scientific)
トランスグルタミナーゼAB酵素
クエン酸(クエン酸一水和物、Caldic)
【0302】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図15参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、静的冷凍による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図15A参照)。密度は1.71g/cm、保水性は64%、硬度は27N、弾性は36%であり、平均繊維長は6mm、平均厚さは0.21mmであった(図15Bを参照)。酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、急冷凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図15C参照)。密度は1.74g/cm、保水性は63%、硬度は22N、弾性は39%であり、平均繊維長は5mm、平均厚さは0.22mmであった(図15Dを参照)。製品の物理化学性は、表22に詳細に示す。
【0303】
実施例13 ソラマメミール
1.材料および方法
1.1 配合
【表17】
表17.ソラマメミールから作製する配合
【0304】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質粉末を加え、350rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を再度350rpmで25分間混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0305】
1.2.2.熱処理
ミキサーに熱電対を装着し、混合物の中心温度を測定した。塩タンパク質溶液は、中心温度70℃に加熱した。70℃の中心温度で30分間保持した後、塩タンパク質溶液は中心温度80℃に加熱し、この中心温度で20分間保持した後、さらに中心温度95℃に加熱し、この温度で10分間保持した。塩タンパク質溶液の混合物は、熱処理中は350rpmで保持した。
【0306】
1.2.3.酵素処理
熱処理した塩タンパク質溶液は、中心温度が50℃になるまで350rpmで混合を維持しながら冷却した。この温度になった時点で、酵素を加え、引き続き300rpmで混合しながら、30分間培養した。
【0307】
1.2.4.冷却および酸性化
熱処理した酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のために、熱処理した酵素処理塩タンパク質溶液を含む容器を、-25℃の水浴に置いた。中心温度が10℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、熱処理した酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0308】
1.2.5.測定
熱処理して冷却した酵素処理塩タンパク質溶液は、モールド1つ当り200gの割合で、モールドに投入した。
【0309】
1.2.6.凍結
その後、試料は、従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結した。
【0310】
1.2.7.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0311】
1.2.8.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0312】
1.2.9.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0313】
1.3.製品と供給者
脱苦味性ソラマメ粉(Viridi Foods)
未処理の細塩(Colin Ingredients)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸1水和物、Kirsch Pharma)
【0314】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図16参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図16A参照)。密度は1.6g/cm、保水性は80%、硬度は12N、弾性は19%であり、平均繊維長は5mm、平均厚さは0.5mmであった(図16Bを参照)。製品の物理化学性は、表22に詳細に示す。
【0315】
実施例14 ポテトタンパク単離体
1.材料および方法
1.1 配合
【表18】
表18.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0316】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、350rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を再度350rpmで25分間混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0317】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに熱電対を装着し、混合物の中心温度を測定した。塩タンパク質溶液は、350rpmで混合を維持しながら、中心温度50℃に加熱した。この温度になった時点で、酵素を加え、引き続き300rpmで混合しながら、30分間培養した。
【0318】
1.2.3.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のために、酵素処理塩タンパク質溶液を含む容器を、-25℃の水浴に置いた。中心温度が10℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。酵素処理塩タンパク質溶液は、乳酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0319】
1.2.4.測定
熱処理して冷却した酵素処理塩タンパク質溶液は、モールド当り200gの割合で、モールドに投入した。
【0320】
1.2.5.凍結
その後、試料は、従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結した。
【0321】
1.2.6.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0322】
1.2.7.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0323】
1.2.8.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0324】
1.3.製品と供給者
ポテトタンパク単離体Solanic (Avebe)
未処理の細塩(Colin Ingredients)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
天然乳酸≧85% (Sigma-Aldrich)
【0325】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図17参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図17A参照)となった。密度は、脆いテクスチャのため、水置換法で測定できなかったが、保水性は83%、硬度は19N、弾性は44%、平均繊維長5mm、平均厚さ0.9mmであった(図17B参照)。製品の物理化学性は、表22に詳細に示す。
【0326】
実施例15 エンドウ-米複合体
1.材料および方法
1.1 配合
【表19】
表19.エンドウタンパク単離体(PPI)および米タンパク単離体(RPI)を使用した配合
【0327】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を共に加え、350rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を再度350rpmで25分間混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0328】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに熱電対を装着し、混合物の中心温度を測定した。塩タンパク質溶液は、350rpmで混合を維持しながら、中心温度50℃に加熱した。この温度になった時点で、酵素を加え、引き続き300rpmで混合しながら、30分間培養した。
【0329】
1.2.3.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のために、酵素処理塩タンパク質溶液を含む容器を、-25℃の水浴に置いた。中心温度が10℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0330】
1.2.4.測定
熱処理して冷却した酵素処理塩タンパク質溶液は、モールド当り200gの割合で、モールドに投入した。
【0331】
1.2.5.凍結
冷却した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、2つの溶液に分け、一方は従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結し、もう一方は従来の急速冷凍庫で、-18℃で凍結した。
【0332】
1.2.6.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0333】
1.2.7.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0334】
1.2.8.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0335】
1.3.製品と供給者
米タンパク単離体F80(Unirice)
エンドウ単離体(Green Boy)
未処理の細塩(Colin Ingredients)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸1水和物、Kirsch Pharma)
【0336】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図18参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、静的冷凍による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図18A参照)。密度は1.69g/cm、保水性は82%、硬度は45N、弾性は52%であり、平均繊維長は4mm、平均厚さは0.23mmであった(図18Bを参照)。酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、急冷凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図18C参照)。密度は1.58g/cm、保水性は80%、硬度は44N、弾性は51%であり、平均繊維長は3mm、平均厚さは0.21mmであった(図18Dを参照)。製品の物理化学性は、表22に詳細に示す。
【0337】
実施例16 エンドウ-大豆複合体
1.材料および方法
1.1 配合
【表20】
表20.大豆タンパク単離体(SPI)およびエンドウタンパクPPIを使用した配合
【0338】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を共に加え、350rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を再度350rpmで25分間混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0339】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに熱電対を装着し、混合物の中心温度を測定した。塩タンパク質溶液は、350rpmで混合を維持しながら、中心温度50℃に加熱した。この温度になった時点で、酵素を加え、引き続き300rpmで混合しながら、30分間培養した。
【0340】
1.2.3.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のために、酵素処理塩タンパク質溶液を含む容器を、-25℃の水浴に置いた。中心温度が10℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0341】
1.2.4.測定
熱処理して冷却した酵素処理塩タンパク質溶液は、モールド当り200gの割合で、モールドに投入した。
【0342】
1.2.5.凍結
冷却した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、2つの溶液に分け、一方は従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結し、もう一方は従来の静的冷凍庫で、-18℃で凍結した。
【0343】
1.2.6.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0344】
1.2.7.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0345】
1.2.8.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0346】
1.3.製品と供給者
大豆タンパク単離体SUPRO 620 IP (Solae)
エンドウ単離体(Green Boy)
未処理の細塩(Colin Ingredients)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
クエン酸(クエン酸1水和物、Kirsch Pharma)
【0347】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図19参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、静的冷凍(-25℃)による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図19A参照)。密度は1.7g/cm、保水性は77%、硬度は25N、弾性は43%であり、平均繊維長は6mm、平均厚さは0.32mmであった(図19Aを参照)。酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、静的冷凍(-18℃)による凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図19B参照)。密度は1.6g/cm、保水性は76%、硬度は18N、弾性は39%であり、平均繊維長は7mm、平均厚さは0.41mmであった(図19Bを参照)。製品の物理化学性は、表22に詳細に示す。
【0348】
実施例17 乳酸
1.材料および方法
1.1 配合
【表21】
表21.大豆タンパク単離体(SPI)を使用した配合
【0349】
1.2.プロトコル
1.2.1.塩タンパク質溶液および水和
水およびNaClを、ブレンダー(Cook robot、Robot-Coupeから市販)で、250rpmで2分間混合し、NaClを水に分散させた。次に、タンパク質単離粉末を加え、350rpmで5分間混合した。ボウルの端をこすり、側面に未水和粉末が蓄積しないように、得られた塩タンパク質溶液を再度350rpmで25分間混合し、これにより、合計水和時間は30分となった。
【0350】
1.2.2.酵素処理
ミキサーに熱電対を装着し、混合物の中心温度を測定した。塩タンパク質溶液は、350rpmで混合を維持しながら、中心温度50℃に加熱した。この温度になった時点で、酵素を加え、引き続き300rpmで混合しながら、30分間培養した。
【0351】
1.2.3.冷却および酸性化
酵素処理塩タンパク質溶液は、可能な限り素早く冷却した。この目的のために、酵素処理塩タンパク質溶液を含む容器を、-25℃の水浴に置いた。中心温度が10℃になるまで、タンパク質溶液に浸漬した熱電対により温度を監視した。その後、酵素処理塩タンパク質溶液は、クエン酸を加えてpHが5.6になるまで酸性化した。
【0352】
1.2.4.測定
熱処理して冷却した酵素処理塩タンパク質溶液は、モールド当り200gの割合で、モールドに投入した。
【0353】
1.2.5.凍結
その後、試料は、従来の静的冷凍庫で、-25℃で凍結した。
【0354】
1.2.6.調理
凍結後、酵素処理酸塩タンパク質溶液を、標準的なオーブンでベークした。前記溶液の中心温度を95℃に上げ、その後、前記溶液をオーブンから取り出し、室温で15分間放冷した。ベークした酵素処理酸塩タンパク質溶液は、それ自体で特性付けることができ、あるいは、特性付ける前に冷凍保存を行うことができる。
【0355】
1.2.7.2回目の凍結
冷蔵の場合、次に、冷却、凍結、調理した酵素処理酸塩タンパク質溶液を、従来の静的冷凍庫に-25℃に置いた。
【0356】
1.2.8.解凍
通常の冷凍庫で保存後、調理した塩タンパク質溶液を、室温で4時間解凍した。この段階の終了時に、様々な特性評価測定を実施することができた。
【0357】
1.3.製品と供給者
大豆タンパク単離体SUPRO 620 IP (Solae)
未処理の細塩(Colin Ingredients)
トランスグルタミナーゼ PROBIND TXo(BDF Ingredients)
乳酸(乳酸-天然≧85%、Sigma-Aldrich)
【0358】
2.結果
この実施例の実施後、得られたテクスチャを付与した繊維状食品を撮影した(図20参照)。簡単に説明すると、
酵素処理酸塩タンパク質溶液(pH5.6)は、凍結後、テクスチャを付与した繊維状および凝集性食品となった(図20A参照)。密度は1.7g/cm、保水性は68%、硬度は32N、弾性は51%であり、平均繊維長は7mm、平均厚さは0.22mmであった(図20Bを参照)。製品の物理化学性を、以下の表22に詳細に示す。
【0359】
【表22-1】
【表22-2】
【表22-3】
表22.実施例9~17により製造した本発明の製品の物理化学性
【0360】
実施例18-本発明の製品例の微生物学
実施例9の配合#1に従って得た本発明の製品を、シリコンモールドに入れ、従来の冷凍庫で、-25℃で24時間凍結した。その後、得られた製品を、中心温度が95℃になるまでベークした。製品を室温まで戻し、その後、卓上ヒートシーラー(E2900、Geryon、フランス)を使用してプラスチック袋に真空密封した。製品は、閉じた冷蔵庫型キャビネット内の暗所で、4℃で50日間保存した。製品の微生物学的分析は、外部の研究所(Wessling、ドイツ)によって実施し、結果は、以下の表に示す。
【表23】
表23 本発明の製品例の微生物学
【0361】
これらの保存条件下では、製品は、生産日から50日後、冷凍インスタント食品に関する欧州法(非特許文献19~21)に従い、食用に適している。
【0362】
実施例19
1.材料および方法
1.1 配合
【表24】
表24.大豆タンパク単離体(SPI)とホエイタンパクを使用した配合
【0363】
1.2.プロトコル
実施例12のプロトコルを参照。
【0364】
実施例20
1.材料および方法
1.1 配合
【表25】
表25.大豆タンパク単離体(SPI)とオボアルブミンタンパクを使用した配合
【0365】
1.2.プロトコル
実施例12のプロトコルを参照。
【0366】
実施例21
1.材料および方法
1.1 配合
【表26】
表26.大豆タンパク単離体(SPI)とBSAタンパクを使用した配合
【0367】
1.2.プロトコル
実施例12のプロトコルを参照。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
【配列表】
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【国際調査報告】