(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】疾患の治療において活性化リンパ球を使用するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20240719BHJP
A61K 35/768 20150101ALI20240719BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240719BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240719BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240719BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240719BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240719BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240719BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240719BHJP
C12N 5/0781 20100101ALN20240719BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20240719BHJP
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C12N 7/00 20060101ALN20240719BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240719BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20240719BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20240719BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
A61K35/17
A61K35/768
A61P35/00
A61P31/00
A61P43/00 105
A61P37/06
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A61P35/02
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A61P13/12
A61P11/00
A61P15/00
A61P1/04
A61P1/18
A61P13/10
A61P1/02
A61P11/02
A61P11/04
A61P17/00
A61P13/08
C12N5/0781
C12N5/0783
C12N5/0784
C12N7/00
C12N5/10
C07K16/00
C07K19/00
C07K14/705
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505530
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022038917
(87)【国際公開番号】W WO2023009844
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521518138
【氏名又は名称】イミュノルクス インターナショナル コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】324006337
【氏名又は名称】アイバン・ペトロフ
(71)【出願人】
【識別番号】324006348
【氏名又は名称】イグナツィオ・カルアナ
(71)【出願人】
【識別番号】324006359
【氏名又は名称】エレナ・エクラミ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】サライ,アラダー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ペトロフ,アイバン
(72)【発明者】
【氏名】カルアナ,イグナツィオ
(72)【発明者】
【氏名】エクラミ,エレナ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
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4C087ZB32
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に記載されるのは、疾患、例えば、がん(固形腫瘍を含む)炎症性疾患、自己免疫疾患、または線維症を治療するための方法及び組成物である。対象の疾患を治療するための方法であって、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を含有する組成物を対象に投与することを含み、免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに感染している、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を含む組成物であって、前記免疫細胞は、前記腫瘍溶解性ウイルスに感染している、前記組成物。
【請求項2】
前記免疫細胞が、リンパ球である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記リンパ球が、T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、またはリンパ球系樹状細胞を含む骨髄細胞である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記免疫細胞が、前記組成物で治療される対象に由来する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記免疫細胞が、前記組成物で治療される対象に対して同種由来である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、ポックスウイルスである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫細胞が、遺伝子改変される、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記免疫細胞が、標的細胞を標的とするように遺伝子改変される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記標的細胞が、がん細胞、線維芽細胞、病原体、または病原体に感染した細胞である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ウイルスが、感染後少なくとも5日間、免疫細胞を溶解しない、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ポックスウイルスと、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞またはNK細胞(CAR-T細胞またはCAR-NK細胞)とを含む、組成物。
【請求項12】
ポックスウイルスと、外因性T細胞受容体(TCR)を発現するT細胞とを含む、組成物。
【請求項13】
前記T細胞が、前記組成物で治療される対象から得られたリンパ球に由来する、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
前記T細胞が、非血縁ドナーから得られたリンパ球に由来する、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項15】
前記リンパ球が、T細胞、NK細胞またはNK-T細胞である、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
前記リンパ球が、T細胞またはNK細胞である、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項17】
前記CARが、疾患に関連する抗原を標的とする、請求項11~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記疾患が、がんである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記疾患が、感染性疾患である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記疾患が、線維症である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポックスウイルスが、ワクシニアウイルスである、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記ワクシニアウイルスが、Dryvax、ACAM1000、ACAM2000、Lister、EM63、LIVP、Tian Tan、Copenhagen、Western Reserve、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、New York City Board of Health、Dairen、Ikeda、LC16M8、Western Reserve Copenhagen、Tashkent、Tian Tan、Wyeth、IHD-J及びIHD-W、Brighton、DairenIならびにConnaughtの株から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ワクシニアウイルスが、Lister株である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ワクシニアウイルスが、Copenhagen株である、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポックスウイルスが、腫瘍溶解性である、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記CARが、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44v6、CD123、CD138、CD171、B7-H3、BCMA、CEA、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EphA2、FAP、FLT3、GD2、グリピカン3、Igκ、Igλ、IL13、Her2、Her3、LeY、メソテリン、PD-L1、PSMA、ROR1、SLAMF7を標的とする、請求項11~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記外因性TCRが、腫瘍関連抗原を標的とする、請求項11~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記外因性TCRが、線維症関連抗原を標的とする、請求項11~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記腫瘍関連抗原が、PRAME、WT1、サバイビン、MAGE-A3、MART-1、gp-100、p53、またはNY-ESO1である、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項31】
対象の疾患を治療するための方法であって、請求項1~30のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
前記疾患が、感染症、自己免疫疾患、線維症、または炎症性疾患である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
がんを治療することを、それを必要とする対象において行うための方法であって、請求項1~30のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
前記がんが、高悪性神経膠腫、低悪性神経膠腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、B細胞及びT細胞急性リンパ芽球性白血病、マントル細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、腎芽細胞腫、髄芽腫、胚細胞腫瘍、類腱腫、若年性骨髄単球性白血病、肺がん、乳がん、結腸及び直腸がん、胃がん、膵がん、腎臓及び膀胱がん、頭頸部がん、黒色腫、子宮がんならびに前立腺がんから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記がんが、膠芽腫である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、静脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、胸膜内、実質内、心室内、関節内、または眼内注射によって前記対象に投与される、請求項31~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、前記疾患に罹患した領域に直接投与される、請求項31~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、MRIガイド送達によって投与される、請求項31~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が、ヒトである、請求項31~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記免疫細胞が、前記対象に由来する、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫細胞が、前記対象に対して同種由来である、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記感染免疫細胞が、標的細胞に結合するとポックスウイルスを放出する、請求項31~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
ポックスウイルス及びリンパ球を含む組成物を作製するための方法であって、
(a)対象から白血球を得ることと、
(b)前記白血球とポックスウイルスを接触させて、ポックスウイルスに感染した白血球を形成することと
を含む、前記方法。
【請求項44】
前記白血球が、ステップb)の前に単離される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記白血球が、白血球アフェレーシス、末梢血または骨髄によって単離される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記白血球が、α/β-T細胞、γ/δ-T細胞、NK-T細胞、NK細胞を含む、請求項43~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記T細胞が、更に分極化される、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記T細胞が、CD4またはCD8またはCD45RA+、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、幹細胞様メモリーT細胞である、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)(CAR-T細胞)及び外因性TCRを含む、請求項43~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記ポックスウイルスが、ワクシニアウイルスである、請求項43~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記ワクシニアウイルスが、Dryvax、ACAM1000、ACAM2000、Lister、EM63、LIVP、Tian Tan、Copenhagen、Western Reserve、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、New York City Board of Health、Dairen、Ikeda、LC16M8、Western Reserve Copenhagen、Tashkent、Tian Tan、Wyeth、IHD-J及びIHD-W、Brighton、DairenIならびにConnaughtの株から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ワクシニアウイルスが、Lister株である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記ワクシニアウイルスが、Copenhagen株である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記リンパ球が、前記ポックスウイルスに、力価0.5を超えるMOIで感染される、請求項43~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記リンパ球が、前記ポックスウイルスに、力価1を超えるMOIで感染される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記リンパ球が、前記ウイルスとともに約1日~約5日間インキュベートされる、請求項43~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記リンパ球が、前記ウイルスとともに約3日間インキュベートされる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記CARまたは前記外因性TCRが、疾患に関連する抗原を標的とする、請求項43~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記CARが、CD5、CD7、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44v6、CD123、CD138、CD171、B7-H3、BCMA、CEA、CSPG4、EGFR、EGFRvIII、EphA2、FAP、FLT3、GD2、グリピカン3、Igκ、Igλ、IL13、Her2、Her3、LeY、メソテリン、PD-L1、PSMA、ROR1、SLAMF7を標的とする、58に記載の方法。
【請求項60】
前記外因性TCRが、腫瘍関連抗原を標的とする、58に記載の方法。
【請求項61】
前記腫瘍関連抗原が、PRAME、WT1、サバイビン、MAGE-A3、MART-1、gp-100、p53、またはNY-ESO1である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患が、がんである、請求項58~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記疾患が、感染症、自己免疫疾患、線維症、または炎症性疾患である、請求項58~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記ポックスウイルスが、前記リンパ球を溶解しない、請求項43~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記リンパ球が、前記組成物で治療される対象に由来する、請求項43~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記リンパ細胞が、前記組成物で治療される対象に対して同種由来である、請求項43~64のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月30日に出願された米国仮出願第63/227,991号、及び2022年3月15日に出願された米国仮出願第63/320,129号の利益を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
がんは、世界的な健康上の緊急事態であり、少なくとも3人に1人が生涯を通じてがんの診断による個人的な影響を受けている。がんのがん(肺)の発生率は、主にタバコ製品の使用減少により低下しているが、全体のがん症例数は、1973年から2015年にかけて30%増加している。
【0003】
現在では多くの治療が存在し使用され、多くの種類のがんの治療に成功しているという事実はあるが、創薬困難ながん、治療不可能ながん、再発性がんまたは治療非応答性のがんに対処するためのパラダイムシフト的な新しい治療法に対する大きなアンメットニーズが存在する。
【0004】
難治性がんを治療する新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載されるのは、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を対象に投与することによって、疾患を治療することを、それを必要とする対象において行うための組成物及び方法である。実施形態において、疾患は、がんである。実施形態において、疾患は、感染症、自己免疫疾患、線維症、または炎症性疾患である。
【0006】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を含有する組成物であって、免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに感染している、組成物である。
【0007】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルスと、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞またはNK細胞(CAR-T細胞またはCAR-NK細胞)とを含有する組成物である。実施形態において、CARは、二重特異性CAR、誘導性CAR、またはユニバーサルCARである。
【0008】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルスと、外因性T細胞受容体(TCR)を発現するT細胞とを含有する組成物である。
【0009】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞と、薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物であり、免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに感染している。
【0010】
一態様において、本明細書で提供されるのは、対象の疾患を治療するための方法であって、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を含有する組成物を対象に投与することを含み、免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに感染している、方法である。
【0011】
一態様において、本明細書で提供されるのは、がんを治療することを、それを必要とする対象において行うための方法であって、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を含有する組成物を対象に投与することを含み、免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに感染している、方法である。
【0012】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルス及びリンパ球を含有する組成物を作製するための方法である。実施形態において、方法は、対象からリンパ球を得ることと、リンパ球と腫瘍溶解性ウイルスを接触させて腫瘍溶解性ウイルスに感染したリンパ球を形成することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ワクシニアウイルス(LIVP1.1.1)感染前(左パネル)及び感染後48時間(h)のキメラ抗原受容体(CAR)リダイレクトT細胞(CAR T細胞)を示す。
【
図2】ワクシニアが非形質導入T細胞(CARを発現しないもの;「NT」)に感染する能力をCAR T細胞と比較して示す。左のプロットは、3人の患者から生成された3セットのCAR T細胞対NT T細胞について、TurboFP365の発現に基づいた時間(時間数)経過に伴うウイルス感染総面積(μm
2/画像)を示す。右のプロットは、最終経過時点(65時間)における各条件のウイルス感染総面積(μm
2/画像)を示す。番号は、T細胞が生成された患者を指す。
【
図3】馴化培地から得た試料の総プラーク形成単位(PFU)を示す。上の2つのプロットでは、Lister株(TurboFP635またはig-GFPをそれぞれ発現する変異株)が使用され、下のプロットでは、Copenhagen株(TurboFP635を発現)が使用された。いずれの場合も、およそ7×10
5個の細胞をおよそ1.7のMOIで感染させ、2時間後に洗浄した。総プラーク形成単位(PFU)をカウントし、感染後24、48、72、及び96時間の時点でプロットした。
【
図4A】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から1時間後。
【
図4B】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から5時間後。
【
図4C】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から10時間後。
【
図4D】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から15時間後。
【
図4E】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から20時間後。
【
図4F】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から1日(d)1時間後。
【
図4G】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から1日5時間後。
【
図4H】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から1日10時間後。
【
図4I】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から1日15時間後。
【
図4J】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から1日20時間後。
【
図4K】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から2日1時間後。
【
図4L】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から2日6時間後。
【
図4M】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から2日11時間後。
【
図4N】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から2日16時間後。
【
図4O】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から2日21時間後。
【
図4P】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から3日1時間後。
【
図4Q】ワクシニア感染CAR T細胞と共培養した後のSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞の経時的な感染の進行及び細胞死を示す蛍光顕微鏡写真である。SH-SY5Y細胞を、ワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養した。ウイルス発現細胞は、TurboFP635発現により、赤色である。感染前のSH-SY5Y細胞は、緑色(すなわち、GFP発現)であり、黄色は、ウイルスとGFPの共発現を示す。共培養から3日3時間後。
【
図5】SH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を殺傷する非感染CAR T細胞の能力(上段)をワクシニアウイルスに感染させたCAR T細胞(下段)と比較して示す。SH-SY5Y細胞を指定のCAR T細胞と2:1(SH-SY5Y細胞:CAR T細胞)で共培養し、共培養から0時間(左)及び75時間(右)の時点で蛍光顕微鏡写真を撮影した。ワクシニアウイルスに感染したCAR T細胞と共培養した腫瘍細胞では、CAR T細胞単独と共培養した腫瘍細胞と比較して、75時間の共培養にわたる腫瘍細胞の根絶が著しく増強した。SH-SY5Y細胞は、緑色であり(細胞はGFPを発現する)、ワクシニア感染細胞は、赤色である。
【
図6】次の条件下:SH-SY5Y単独、SH-SY5Yとワクシニアウイルス(0.01 MOI)、SH-SY5YとCAR T細胞(2:1の共培養)、またはSH-SY5Yとワクシニアウイルス感染CAR T細胞(2:1の共培養)の培養におけるインタクトな腫瘍細胞の量を示す、時間(時間数)経過に伴う緑色オブジェクト総面積(生SH-SY5Y細胞)のプロットを示す。緑色オブジェクト総面積を決定するために、蛍光顕微鏡写真(例えば、
図5と同様)を指定時点で撮影した。
【
図7】指定条件下におけるワクシニア感染T細胞の数を示す。左の2つのプロットは、ワクシニア感染ポリクローナル活性化T細胞のFACS解析データ(%)を表し、右の2つのプロットは、ワクシニアウイルス感染後のCAR発現の調節のFACS解析を示す。右のプロットは、各条件でのCAR発現を、CAR陽性細胞のパーセンテージ(%)として示す。ワクシニアウイルス感染は、遺伝子改変のないT細胞と比較して、CARリダイレクトT細胞でより均一であり、ワクシニア感染は、CAR T細胞の発現レベルに悪影響を及ぼすことはない。無感染-NT:感染していないT細胞;無感染-CAR:感染していないCAR T細胞;感染-NT:ワクシニア感染T細胞;感染-CAR:ワクシニア感染CAR T細胞。
【
図8】左のプロットは、ワクシニアウイルスがT細胞、NK細胞、及びNK-T細胞に感染することを示す。患者由来のCAR遺伝子改変T細胞に存在する細胞の亜集団のFACS解析。左のパネルは、ワクシニア感染後の非遺伝子改変(NT-非形質導入)T細胞及び遺伝子改変CARにおけるT集団、NK集団、NK-T集団のパーセンテージを示す。右のグラフは、ワクシニア感染ありまたはなしのNTとCAR+患者由来リンパ球の両方における、CD3+集団におけるCD8及びCD4のコンパートメントのFACS解析。CAR検出:抗CARイディオタイプ。T細胞集団は、CD45/CD3、NK-T:CD45/CD3/CD56、NK:CD45/CD56+/CD3-を含む。右のプロットは、ワクシニアウイルスが、T細胞のCD4亜集団及びCD8亜集団に感染することを示す。CD8細胞における感染のパーセンテージは、本実施例において、CD4細胞よりも大きい。右のパネルは、左から右へ、VV+:VV陽性細胞のみ、CAR+:CAR陽性細胞のみ、+/+:VVとCARの両方について陽性である細胞、-/-:VVとCARが二重に陰性である細胞に対する陽性細胞のパーセンテージ(%)を示す。
【
図9A】ワクシニア感染は、主にCD8コンパートメントのT細胞の成熟を誘導し、ナイーブ細胞の量が少なくなり、エフェクター細胞の量が多くなる。ここに示すのは、細胞型に対するVV感染陽性細胞のパーセンテージ(%)の2つのプロットである。表される細胞型は、ナイーブ=ナイーブT細胞、CM=セントラルメモリーT細胞、EM=エフェクターメモリーT細胞、及びETターミナルエフェクターメモリーT細胞、ならびにNT=非形質導入である。左の棒グラフは、VVに感染したメモリーNT T細胞(CD4+/CD8+)及びメモリーCAR T細胞(CD4+/CD8+)の比較を示す。右の棒グラフは、VVに感染したメモリーCAR T細胞(CD4+/CD8+)を示す。
【
図9B】ワクシニア感染は、主にCD8コンパートメントのT細胞の成熟を誘導し、ナイーブ細胞の量が少なくなり、エフェクター細胞の量が多くなる。ここに示すのは、細胞型に対するVV感染陽性細胞のパーセンテージ(%)の2つのプロットである。表される細胞型は、ナイーブ=ナイーブT細胞、CM=セントラルメモリーT細胞、EM=エフェクターメモリーT細胞、及びETターミナルエフェクターメモリーT細胞、ならびにNT=非形質導入である。左の棒グラフは、VVに感染していないまたは感染したメモリーCAR T細胞(CD4+/CD8+)の成熟の比較を示す。右の棒グラフは、VVに感染していないまたは感染したCD4/CD8-/-NTまたはCAR T細胞の成熟の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この説明を読めば、当業者には、本発明を様々な代替的な実施形態及び代替用途において実施する方法が明らかになるであろう。しかしながら、本発明の様々な実施形態の全てを本明細書に記載することはしない。ここに示される実施形態は、例としてのみ示されるものであり、限定するものではないことを理解されたい。したがって、様々な代替的な実施形態に関するこの詳細な説明は、以下に示される本発明の範囲または幅を限定するものと解釈されるべきではない。
【0015】
本発明を開示及び記載する前に、以下に記載される態様は、特定の組成物、かかる組成物の調製方法、またはその使用に限定されず、当然のことながら、それ自体多様であり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0016】
本発明の詳細な説明は、読み手の便宜のためにのみ様々なセクションに分けられており、いずれのセクションにある開示も別のセクションの開示と組み合わせることができる。本明細書において、読み手の便宜のために見出しまたは小見出しが使用される場合もあるが、これらは、本発明の範囲に影響を与えることを意図するものではない。
【0017】
I.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書及び以下の特許請求の範囲において、いくつかの用語に言及するが、これらの用語は、以下の意味を有するものと定義される。
【0018】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈により別途明示される場合を除き、複数形も含むことが意図される。
【0019】
「任意選択」または「任意選択により」とは、後述される事象または状況が発生する場合も発生しない場合もあり、その記述には当該事象または状況が発生する場合と発生しない場合が含まれることを意味する。
【0020】
「約」という用語は、数値の指定、例えば、温度、時間、量、濃度、及び範囲を含む他のものの前に使用される場合、(+)もしくは(-)10%、5%、1%変動し得る近似値、またはその間の部分範囲もしくは下位値を示す。好ましくは、用量に関して使用される「約」という用語は、用量が+/-10%変動し得ることを意味する。
【0021】
「含むこと」または「含む」とは、組成物及び方法に、列挙される要素が含まれることを意味するが、他を排除することを意図するものではない。組成物及び方法を定義するために使用される「~から本質的になる」とは、記載の目的のための組み合わせに対して本質的に重要となる他の要素を排除することを意味する。したがって、本明細書に定義される要素から本質的になる組成物は、特許請求される発明の基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的な影響を与えない他の材料またはステップを排除するものではない。「~からなる」とは、微量な要素を超える他の成分及び実質的な方法ステップを除外することを意味する。これらの移行句の各用語によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0022】
「疾患」または「状態」という用語は、本明細書で提供される化合物または方法で治療することが可能な患者または対象の状態または健康状態を指す。疾患は、自己免疫疾患であり得る。疾患は、炎症性疾患であり得る。疾患は、感染性疾患であり得る。
【0023】
「治療すること」、または「治療」という用語は、損傷、疾患、病状または状態の治療または改善の奏効を示す任意の兆候を指し、寛解;軽快;症状の軽減または損傷、病状もしくは状態を患者にとって許容できるものにすること;変性または衰弱の速度を遅くすること;変性の最終段階を小さくすること;患者の身体的または精神的ウェルビーイングを改善することなどのあらゆる客観的または主観的パラメーターが含まれる。治療または症状の改善は、身体検査、神経精神学的検査、及び/または精神医学的評価の結果を含む、主観的または客観的なパラメーターに基づくことができる。「治療すること」という用語及びその活用形には、損傷、病状、状態、または疾患の予防が含まれ得る。実施形態において、治療することは、予防である。実施形態において、治療することは、予防を含まない。
【0024】
本明細書で使用される「治療すること」または「治療」にはまた(当該技術分野においてよく理解されるように)、臨床結果を含む、対象の状態における有益な結果または所望の結果を得るためのあらゆるアプローチも広く含まれる。有益な臨床結果または所望の臨床結果には、部分的であるか完全であるか関わらず、また検出可能であるか検出不能であるかに関わらず、1つ以上の症状または状態の緩和または改善、疾患の程度の低減、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患の伝染または拡大の予防、疾患進行の遅延または緩徐、疾患状態の改善または一時的軽減、疾患の再発の減少、及び寛解が含まれ得るが、これらに限定されない。言い換えれば、本明細書で使用される「治療」には、疾患のあらゆる治癒、改善、または予防が含まれる。治療は、疾患の発生を予防すること、疾患の拡大を阻止すること、疾患の症状(例えば、眼痛、光の周りにハロが見える、目の充血、眼圧が非常に高い)を緩和すること、疾患の根本原因を完全にもしくは部分的に取り除くこと、疾患の継続期間を短くすること、またはこれらの組み合わせを行うことであり得る。
【0025】
本明細書で使用される「治療すること」及び「治療」には、予防的治療が含まれる。治療方法は、治療上有効な量の活性剤を対象に投与することを含む。投与するステップは、単回投与からなる場合もあれば、一連の投与を含む場合もある。治療期間の長さは、状態の重症度、患者の年齢、活性剤の濃度、治療に使用される組成物の活性、またはこれらの組み合わせなどの様々な因子に依存する。また、治療または予防に使用される剤の有効な投与量は、特定の治療または予防レジメンの過程で増減し得ることも理解されたい。投与量の変更は、当該技術分野において知られている標準的な診断アッセイによって生じ、明らかになり得る。いくつかの場合において、長期投与が必要とされることもある。例えば、組成物は、患者を治療するのに十分な量及び期間で対象に投与される。実施形態において、治療することまたは治療は、予防的治療ではない。
【0026】
「予防する」という用語は、患者における疾患症状の発生(または再発)を減少させることを指す。上に示されるように、予防は、完全であっても(検出可能な症状がない)、部分的であってもよく、治療を受けていない場合に生じ得る症状よりも軽い症状が観察される。
【0027】
「患者」、「対象」、または「それを必要とする対象」とは、本明細書で提供される医薬組成物の投与によって治療することができる疾患もしくは状態に罹患しているか、または罹患しやすい生体を指す。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ブタ、シカ、及び他の非哺乳動物が挙げられる。いくつかの実施形態において、患者は、ヒトである。実施形態において、ヒトは、小児患者である。実施形態において、患者は、飼育動物(例えば、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマなど)である。実施形態において、患者は、伴侶動物、限定するものではないが、イヌ、ネコ、齧歯類(マウス、ラット、アレチネズミ、ハムスター、モルモット、チンチラなど)、ウサギ、フェレットなどである。
【0028】
「有効量」は、化合物が存在しない場合と比べて、化合物が記載の目的を達成する(例えば、投与の効果を達成する、疾患を治療する、または疾患もしくは状態の1つ以上の症状を低減する)のに十分な量である。「有効量」の例は、疾患の治療、予防、または1つもしくは複数の症状の低減に寄与するのに十分な量であり、「治療上有効な量」とも称され得る。1つまたは複数の症状の「低減」(及びこの文言の文法的に同等な文言)は、症状(複数可)の重症度もしくは頻度が減少すること、または症状(複数可)が消失することを意味する。正確な量は、治療の目的によって異なり、当業者であれば、既知の技術を使用することによって確認することができる(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar,Dosage Calculations(1999);及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams & Wilkins参照)。
【0029】
当該技術分野においてよく知られているように、ヒトにおいて使用するための治療上有効な量は、動物モデルから決定することもできる。例えば、ヒトのための用量は、動物で有効性が認められた用量を達成するように導き出すことができる。ヒトにおける投与量は、本明細書に記載されるように、有効性をモニタリングし、投与量を上方または下方へ調整することによって、調整することができる。本明細書に記載される方法及び他の方法に基づいて、ヒトにおける最大有効性を達成するように用量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0030】
本明細書で使用される「治療上有効な量」という用語は、上記のように、障害を改善するのに十分な治療剤の量を指す。例えば、所与のパラメーターについて、治療上有効な量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または少なくとも100%の増減を示す。治療上の有効性は、「~倍」の増減で表すこともできる。例えば、治療上有効な量は、対照に対して、少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍以上の効果を有し得る。
【0031】
投与量は、患者の要件及び用いられる組成物に応じて変わり得る。患者に投与される用量は、本開示の文脈において、有益な治療応答を長期にわたって患者にもたらすのに十分なものであるべきである。用量の大きさはまた、任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によっても決定される。特定の状況に対する適切な投与量の決定は、医師の技術の範囲内である。いくつかの実施形態において、治療は、組成物の至適用量よりも少ない投与量で開始される。その後、状況に応じて、最適な効果が達成されるまで投与量を少しずつ増やしていく。投与量及び投与間隔は、治療される特定の臨床適応症に有効な投与組成物のレベルをもたらすように、個々に調整することができる。これにより、個体の疾患状態の重症度に見合った治療レジメンが提供される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「投与すること」という用語は、対象に対する、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、髄腔内、脳室内、胸膜内、実質内、鼻腔内もしくは皮下投与、または徐放性デバイス、例えば、小型浸透圧ポンプの埋め込みを意味する。投与は、非経口及び経粘膜(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸、または経皮)を含む、任意の経路による。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内が含まれる。他の送達方式には、リポソーム製剤、静脈内注入の使用などが含まれるが、これらに限定されない。投与は、直接投与、例えば、炎症部位への直接的な投与も含む。直接投与は、ガイド送達、例えば、磁気共鳴映像法(MRI)ガイド送達を介してもよい。実施形態において、投与は、列挙される活性剤以外の任意の活性剤の投与を含まない。
【0033】
「併用投与」とは、本明細書に記載される組成物が、1つ以上の追加の治療法の実施と同時に、直前に、または直後に投与されることを意味する。本明細書で提供される組成物は、患者に単独で投与することも、併用投与することもできる。併用投与とは、組成物を個々にまたは組み合わせて(2つ以上の組成物)、同時にまたは逐次に投与することを意味する。したがって、調製物は、所望される場合、他の活性物質と組み合わせることができる。
【0034】
細胞移植に関して本明細書で使用される「自己」、「自己細胞」または「自家移植」という用語は、細胞のドナーとレシピエントが同じ個体であることを示す。細胞移植に関して本明細書で使用される「同種」、「同種細胞」または「同種移植」という用語は、細胞のドナーとレシピエントが同じ種の異なる個体であることを示す。
【0035】
本明細書で使用される「リンパ球」という用語は、骨髄で作られ、血液中及びリンパ組織中に存在する免疫細胞を指す。リンパ球は、白血球の一種である。他の「免疫細胞」には、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、及びリンパ球が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
「B細胞」または「Bリンパ球」とは、当該技術分野における標準的な用法を指す。B細胞は、白血球の一種であるリンパ球であり、抗体を産生する形質細胞(「成熟B細胞」)に成長する。「未成熟B細胞」は、成熟B細胞に成長することができる細胞である。一般に、プロB細胞は、免疫グロブリン重鎖の再構成を受けてプロBプレB細胞になり、更に免疫グロブリン軽鎖の再構成を受けて未成熟B細胞になる。未成熟B細胞は、T1及びT2 B細胞を含む。
【0037】
本明細書で使用される「T細胞」または「Tリンパ球」は、細胞媒介性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球の一種(白血球のサブタイプ)である。T細胞は、細胞表面上にT細胞受容体が存在することによって、B細胞及びナチュラルキラー細胞などの他のリンパ球と区別することができる。T細胞としては、例えば、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T(Treg)細胞、及びTヘルパーT細胞が挙げられる。実施形態において、T細胞は、α/β T細胞(TCRα/βを発現する)である。実施形態において、T細胞は、γ/δ T細胞(TCRγ/δを発現する)である。様々な種類のT細胞を、T細胞検出剤の使用によって区別することができる。
【0038】
「メモリーT細胞」は、これまでに、以前の感染、がんとの遭遇または以前のワクチン接種の間に、その同族抗原に遭遇し、応答したことがあるT細胞である。メモリーT細胞は、その同族抗原に2回目に遭遇すると、複製(分裂)し、免疫系が病原体に初めて応答したときよりも速く強力な免疫応答を開始することができる。
【0039】
「制御性T細胞」または「抑制性T細胞」は、免疫系を調節し、自己抗原に対する寛容を維持し、自己免疫疾患を予防するリンパ球である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「CAR-T」または「キメラ抗原受容体T細胞」とは、人工T細胞受容体を含有するように遺伝子操作されたT細胞を指す。
【0041】
「TCR」または「T細胞受容体」とは、T細胞またはTリンパ球の表面上にみられるタンパク質複合体を指す。
【0042】
「腫瘍溶解性ウイルス」は、がん細胞に感染し、がん細胞を殺傷することができるウイルスである。腫瘍溶解性ウイルスの例としては、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、水疱性口内炎ウイルス、セネカウイルス、RIGVIR、セムリキ森林ウイルス、マラバウイルス及びニューカッスル病ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用される「分化タンパク質群」または「CDタンパク質」または「分化抗原群」または「分類決定基」という用語は、細胞を免疫表現型に分類するための標的として特定された細胞表面タンパク質のいずれかを含む。CDタンパク質は、免疫応答に関与する受容体またはリガンドとして機能し得る。CDタンパク質には、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD44v6、CD123、CD138、CD171、CD4、CD8またはCD45RA+が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、白血病、リンパ腫、がん腫及び肉腫を含む、哺乳動物(例えば、ヒト)にみられる全ての種類のがん、新生物または悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る例示的ながんとしては、脳がん、神経膠腫、膠芽腫、神経芽細胞腫、前立腺がん、大腸がん、膵がん、髄芽腫、黒色腫、子宮頸がん、胃がん、卵巣がん、肺がん、頭部がん、ホジキン病、及び非ホジキンリンパ腫が挙げられる。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る例示的ながんとしては、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸部、結腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、胃、及び子宮のがんが挙げられる。追加の例としては、甲状腺がん、胆管がん、膵臓腺がん、皮膚黒色腫、結腸腺がん、直腸腺がん、胃腺がん、食道がん、頭頸部扁平上皮がん、浸潤性乳がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、非小細胞肺がん、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱がん、前がん性皮膚病変、精巣がん、甲状腺がん、神経芽細胞腫、食道がん、尿生殖路がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、膵内分泌または膵外分泌腫瘍、甲状腺髄様がん、甲状腺髄様がん、黒色腫、大腸がん、乳頭状甲状腺がん、肝細胞がん、または前立腺がんが挙げられる。
【0045】
「白血病」という用語は、造血器官の進行性悪性疾患を広く指し、一般に、血液中及び骨髄中で白血球及びその前駆体が異常に増殖及び発達することを特徴とする。白血病は、一般に、(1)疾患の期間及び特徴:急性または慢性、(2)関係する細胞の種類:骨髄(骨髄性)、リンパ(リンパ性)、または単球性、ならびに(3)血液中の異常細胞数の増加または非増加:白血病性または非白血病性(亜白血病性)に基づいて、臨床的に分類される。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る例示的な白血病としては、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血病性白血病、白血球性白血病、好塩基球性白血病、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胚白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリー細胞白血病、赤芽球性白血病、血液芽球性白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ性白血病、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血病性白血病、または未分化細胞性白血病が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「リンパ腫」という用語は、造血組織及びリンパ組織を冒すがんの一群を指す。リンパ腫は、主に、リンパ節、脾臓、胸腺、及び骨髄に存在する血液細胞であるリンパ球で始まる。リンパ腫には、非ホジキンリンパ腫とホジキン病の主な2種類がある。ホジキン病は、リンパ腫の全診断のおよそ15%を占める。これは、リード・シュテルンベルク悪性Bリンパ球に関連するがんである。非ホジキンリンパ腫(NHL)は、がんが増殖する速度及び関与する細胞の種類に基づいて分類することができる。NHLには、アグレッシブ(高悪性度)とインドレント(低悪性度)の種類がある。関与する細胞の種類に基づいて、B細胞性NHLとT細胞性NHLがある。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る例示的なB細胞リンパ腫としては、小リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性(MALT)リンパ腫、節性(単球様B細胞)リンパ腫、脾臓リンパ腫、びまん性大細胞Bリンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、または前駆Bリンパ芽球性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る例示的なT細胞リンパ腫としては、皮膚T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、菌状息肉症、及び前駆Tリンパ芽球性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「肉腫」という用語は、一般に、胚性結合組織のような物質からなる腫瘍を指し、一般に、線維状または均質な物質に埋め込まれた密集した細胞で構成される。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る肉腫には、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞巣状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色肉腫、絨毛がん、胎芽性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素沈着性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨肉腫、細網肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、または毛細血管拡張性肉腫が含まれる。
【0048】
「がん腫」という用語は、周囲の組織に浸潤し、転移を起こす傾向のある上皮細胞からなる悪性の新生物を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る例示的ながん腫としては、例えば、甲状腺髄様がん、家族性甲状腺髄様がん、細葉細胞がん、小葉がん、腺嚢がん、腺様嚢胞がん、腺腫様がん、副腎皮質がん、胞巣状がん、肺胞上皮細胞がん、基底細胞がん、基底細胞がん、類基底細胞がん、基底扁平細胞がん、細気管支肺胞上皮がん、細気管支がん、気管支原性がん、脳様がん、胆管細胞がん、絨毛腫瘍、膠様がん、面皰がん、子宮体がん、篩状がん、鎧状がん、皮膚がん、円柱形がん、円柱細胞がん、管がん、硬性がん、胎児性がん、脳様がん、類上皮がん、腺上皮がん、外方発育がん、潰瘍がん、線維がん、ゼラチン状がん、粘液性がん、巨細胞がん、巨大細胞がん、腺がん、顆粒膜細胞がん、毛母組織がん、血様がん、肝細胞がん、ヒュルトレ細胞がん、硝子状がん、副腎様がん、乳児胎児性がん、上皮内がん(carcinoma in situ)、表皮内がん、上皮内がん(intraepithelial carcinoma)、クロムペッヘルがん、クルチッキー細胞がん、大細胞がん、レンズ状がん(lenticular carcinoma、carcinoma lenticulare)、脂肪腫様がん、リンパ上皮性がん、髄様がん(carcinoma medullare、medullary carcinoma)、黒色がん、軟性がん、粘液性がん、粘液分泌がん、粘液細胞がん、粘膜表皮がん、粘液がん、粘膜がん、粘液腫様がん、鼻咽腔がん、燕麦細胞がん、骨化性がん、類骨がん、乳頭状がん、門脈周囲がん、前浸潤がん、有棘細胞がん、軟性がん、腎細胞がん、予備細胞がん、肉腫様がん、シュナイダーがん、硬性がん、陰嚢がん、印環細胞がん、単純がん、小細胞がん、ソラノイドがん、スフェロイド細胞がん、紡錘細胞がん、海綿様がん、扁平上皮がん、扁平上皮細胞がん、数珠様がん、血管拡張性がん、毛細管拡張性がん、移行上皮がん、結節がん、結節性がん、疣状がん、または絨毛がんが挙げられる。
【0049】
「感染症」または「感染性疾患」という用語は、細菌、ウイルス、真菌または任意の他の病原性微生物因子などの生物によって引き起こされ得る疾患または状態を指す。実施形態において、感染性疾患は、病原性細菌によって引き起こされる。病原性細菌とは、疾患を引き起こす細菌である(例えば、ヒトにおいて)。実施形態において、感染性疾患は、細菌関連疾患(例えば、Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる結核)である。非限定的な細菌関連疾患には、Streptococcus及びPseudomonasなどの細菌によって引き起こされ得る肺炎、またはShigella、Campylobacter、及びSalmonellaなどの細菌によって引き起こされ得る食中毒が含まれる。細菌関連疾患には、破傷風、腸チフス、ジフテリア、梅毒、及びハンセン病も含まれる。実施形態において、疾患は、細菌性膣症(すなわち、健康な膣微生物集団を維持するLactobacilli種を排除する細菌の増殖によって生じた、膣微生物叢を変化させる細菌)(例えば、酵母感染症、またはTrichomonas vaginalis);細菌性髄膜炎(すなわち、髄膜の細菌性炎症);細菌性肺炎(すなわち、胚の細菌性感染症;尿路感染症;細菌性胃腸炎;または細菌性皮膚感染症(例えば、膿痂疹、または蜂巣炎)である。実施形態において、感染性疾患は、Campylobacter jejuni、Enterococcus faecalis、Haemophilus influenzae、Helicobacter pylori、Klebsiella pneumoniae、Legionella pneumophila、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitides、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumonia、またはVibrio choleraの感染症である。
【0050】
本明細書で使用される場合、「転移」、「転移性」、及び「転移性がん」という用語は、区別なく使用することができ、増殖性疾患または障害、例えば、がんが、ある器官または別の隣接しない器官もしくは身体部分から広がることを指す。「転移性がん」は、「ステージIVがん」とも呼ばれる。がんは、発生部位、例えば、乳房で生じ、その部位は、原発性腫瘍、例えば、原発性乳がんと称される。原発性腫瘍または発生部位の一部のがん細胞には、その局部の周囲の正常組織に浸透及び浸潤する能力、及び/またはその系を循環しているリンパ系もしくは血管系の壁を透過して、体内の他の部位及び組織に至る能力を獲得するものがある。原発性腫瘍のがん細胞から形成される臨床的に検出可能な二次的な腫瘍は、転移性腫瘍または二次性腫瘍と称される。がん細胞が転移した場合、転移性腫瘍及びその細胞は、元の腫瘍のものと同様であると推定される。したがって、肺がんが乳房に転移した場合、乳房部位の二次性腫瘍は、異常な肺細胞から構成されており、異常な乳房細胞ではない。乳房の二次性腫瘍は、転移性肺がんと称される。このように、転移性がんという文言は、対象が原発性腫瘍を有するか、または有していたことがあり、かつ1つ以上の二次性腫瘍を有する疾患を指す。非転移性がん、または転移性ではないがんを有する対象という文言は、対象が原発性腫瘍を有するが、1つ以上の二次性腫瘍を有さない疾患を指す。例えば、転移性肺がんは、原発性肺腫瘍を有するか、またはその既往歴があり、第2の場所または複数の場所、例えば、乳房に、1つ以上の二次性腫瘍を有する対象の疾患を指す。
【0051】
「皮膚の転移」または「皮膚転移」という用語は、皮膚における二次的な悪性細胞の成長を指し、悪性細胞は、原発性がん部位(例えば、乳房)に由来する。皮膚転移では、原発性がん部位に由来するがん性細胞が皮膚に遊走し、そこで、分裂し病変を引き起こし得る。皮膚転移は、乳がん腫瘍から皮膚へのがん細胞の遊走に起因し得る。
【0052】
「内臓転移」という用語は、内部器官(例えば、心臓、肺、肝臓、膵臓、腸)または体腔(例えば、胸膜、腹膜)における二次性悪性細胞の成長を指し、悪性細胞は、原発性がん部位(例えば、頭頸部、肝臓、乳房)に由来する。内臓転移では、原発性がん部位に由来するがん性細胞が内部器官に遊走し、そこで、分裂し病変を引き起こし得る。内臓転移は、肝がん腫瘍または頭頸部腫瘍から内部器官へのがん細胞の遊走に起因し得る。「腫瘍」または「腫瘍細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、固形腫瘍もしくは非固形腫瘍、分散性腫瘍、転移性もしくは播種性腫瘍、またはあらゆる形態の腫瘍に由来する腫瘍細胞を含む、あらゆる種類の腫瘍を指す。
【0053】
「線維症」という用語は、負傷または損傷に反応した、病理上の創傷治癒または線維性結合組織の発達のあらゆるプロセスを指す。線維症の種類には、肺線維症(置換性線維症、巣状線維症、びまん性実質性肺疾患、嚢胞性線維症、線維胸、特発性肺線維症、及び放射線誘発性肺損傷)、肝線維症(架橋線維症、肝硬変、肝星細胞の老化)、腎線維症(CYR61による細胞老化の誘導)、グリア性瘢痕、心線維症(間質性線維症、置換性線維症、及び心筋線維症)動脈硬化、関節線維症、慢性腎疾患、クローン病、デュピュイトラン拘縮、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、ペロニー病、腎性全身性線維症、進行性塊状線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性強皮症、及び癒着性関節包炎が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
「線維芽細胞」という用語は、限定するものではないが、コラーゲン、グリコアミノグリカン、細網線維、弾性線維、及び基質を含む、細胞外マトリックス(ECM)成分を分泌する細胞の一種を指す。
【0055】
本明細書で使用される「ワクチン」という用語は、特定の疾患または病原体に対する活性免疫応答に寄与するか、それを誘引するあらゆる種類の生物学的調製物を指す。そのような生物学的調製物は、疾患原因物質に由来する抗原または疾患原因物質に由来する抗原の一部を含み得るが、これらに限定されない。そのような生物学的調製物はまた、生きているもしくは弱毒化もしくは改変された疾患原因物質もしくは病原体を含む弱毒化生調製物の形態、または不活性化もしくは死滅させた疾患原因物質もしくは病原体の形態であり得る。そのような生物学的調製物の代替形態には、サブユニット、トキソイド、コンジュゲート、DNA及び組み換えベクターの形態、またはこれらに対する活性免疫応答を誘引するために将来開発されるもしくは利用可能となる任意の好適な形態が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態において、「ワクチン」という用語が本明細書で使用されるが、ワクチンは、本明細書に記載される疾患に対して有効である限り、天然痘(または任意の他の病原体)に対する有意な免疫を提供する必要はないことに留意すべきである。例えば、ワクチンは、疾患を治療する任意の免疫原性組成物または感染性組成物であり得る。いくつかの場合において、この用語は、特定の材料または組成物を特定するために使用されるが、必ずしも、例えば、天然痘に対する免疫を提供する材料または組成物の能力を特定するものではない。ウイルスは、例えば、承認されたワクチンまたは企図されるワクチンの一部ではないものもの含め、以下及び本明細書に別途列挙される1つ以上を含む、あらゆるウイルス株に由来し得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ウイルス」とは、ウイルスと称される実体の大きな群のいずれかを指す。ウイルスは、典型的に、遺伝子材料のRNAまたはDNAコアを取り囲むタンパク質被膜を含有するが、半透膜を持たず、生細胞中でのみ成長及び増殖することが可能である。本明細書で提供される方法において使用するためのウイルスには、ポックスウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ムンプスウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、レオウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ハンタウイルス、粘液腫ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、レンチウイルス、及び任意の植物または昆虫ウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、「異種核酸」とは、ウイルスまたは細胞(または細胞の祖先)に導入された核酸、DNAまたはRNAを指す。そのような異種核酸は、遺伝子に関する配列及び作動可能な調節要素を含み得る。例えば、異種核酸は、選択マーカー遺伝子、自殺遺伝子、または内因的に発現されないもしくは内因性発現レベルが低い有用なタンパク質産物を発現する遺伝子を含み得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、腫瘍溶解性ウイルス及び細胞の投与に関する「並行して」という用語は、互いに48時間以内に投与されることを指す。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ウイルス及び細胞は、互いに36時間以内、互いに24時間以内、互いに12時間以内、互いに10時間以内、互いに8時間以内、互いに6時間以内、互いに4時間以内、互いに2時間以内、互いに1時間以内に投与される。
【0060】
細胞移植に関して本明細書で使用される「自己」、「自己細胞」または「自家移植」という用語は、細胞のドナーとレシピエントが同じ個体であることを示す。細胞移植に関して本明細書で使用される「同種」、「同種細胞」または「同種移植」という用語は、細胞のドナーとレシピエントが同じ種の異なる個体であることを示す。
【0061】
「薬学的に許容される賦形剤」及び「薬学的に許容される担体」とは、対象への活性剤の投与及び/または対象による吸収を助け、患者に対して著しい有害な毒物学的作用を引き起こすことなく、本開示の組成物に含めることができる物質を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、標準生理食塩水、乳酸リンゲル溶液、標準スクロース、標準グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味料、香料、塩溶液(リンゲル溶液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色料などが挙げられる。そのような調製物は、滅菌され、所望により、本開示の化合物と有害に反応しない助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色剤、及び/または芳香物質などと混合することができる。当業者であれば、本開示に有用な他の医薬賦形剤を認識するであろう。
【0062】
II.腫瘍溶解性ウイルス
腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞を標的とするウイルスである。腫瘍溶解性ウイルスは、健康な細胞を回避しつつ、がん細胞中で選択的に複製し、がん細胞を溶解するように遺伝子操作することができる。腫瘍溶解性ウイルスは、1)がん細胞に直接感染し、それを溶解すること、または2)がん細胞に対する新たな宿主免疫応答を動員及び誘導することのいずれかによって、がん細胞を破壊する。
【0063】
がんの治療としての腫瘍溶解性ウイルスの可能性は、当初、骨髄性白血病患者がインフルエンザに感染し、自然寛解に至ったことから発見された。アデノウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、水疱性口内炎ウイルス、セネカウイルス、RIGVIR、セムリキ森林ウイルス、マラバウイルス及びニューカッスル病ウイルスを含むが、これらに限定されない、多くのクラスのウイルスが腫瘍溶解性に遺伝子操作されている。ウイルス成分は、遺伝子操作の標的であり、腫瘍特異的プロモーターの付加、ウイルス遺伝子のノックアウト、ウイルスカプシドの改変、ならびに抗体、サイトカイン、及び共刺激分子を含む免疫系活性化因子の発現が含まれる。
【0064】
痘瘡ウイルスは、天然痘の原因である。痘瘡ウイルスとは異なり、ワクシニアウイルスは、通常、免疫能力のある個体では全身性疾患を引き起こすことがないことから、天然痘に対して免疫するための生ワクチンとして使用されている。天然痘は、ワクシニアウイルスによる世界的なワクチン接種の成功により、天然疾患としては根絶された。定期的な天然痘のワクチン接種は、ポックスウイルス感染症のリスクが高い人(例えば、研究室従事者)を除き、何年も中止されている。米国は、1972年に天然痘に対する定期的な小児免疫を中止したが、天然痘ワクチンの使用は、一般に、小児への使用に関して安全であるとみなされている。
【0065】
病原性ウイルスに由来する弱毒株は、生ワクチンの製造に使用することができる。天然痘ワクチンとして使用されているウイルス株の非限定的な例としては、Lister(Elstreeとしても知られる)、New York City Board of Health(「NYCBH株」)、Dairen、Ikeda、LC16M8、Western Reserve(WR)、Copenhagen、Tashkent、Tian Tan、Wyeth、IHD-J及びIHD-W、Brighton、Ankara、MVA、Dairen I、LIPV、LC16MO、LIVP、WR 65-16、EM63、ならびにConnaughtの株が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される天然痘ワクチンは、New York City Board of Health(NYCBOH)の弱毒ワクシニアウイルス株である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルスのNYCBOH株は、ATCC VR-118またはCJ-MVB-SPXであり得る。
【0066】
驚くべきことに、腫瘍溶解性ウイルスは、免疫細胞に感染することができ、感染した免疫細胞は、腫瘍細胞を標的として殺傷するために使用することができる。実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、ポックスウイルスである。
【0067】
実施形態において、ポックスウイルスは、ワクシニアウイルスである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルスは、Dryvax、ACAM1000、ACAM2000、Lister、EM63、LIVP、Tian Tan、Copenhagen、Western Reserve、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、New York City Board of Health、Dairen、Ikeda、LC16M8、Tashkent、Wyeth、IHD-J、IHD-W、Brighton、Dairen I及びConnaughtの株から選択される。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Drayvaxである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、ACAM1000である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、ACAM2000である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Listerである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、EM63である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、LIVPである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Tian Tanである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Copenhagenである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Western Reserveである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、改変ワクシニアアンカラ(MVA)である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Ikedaである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、New York City Board of Healthである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Dairenである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、LC16M8である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Tashkentである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Wyethである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、IHD-Jである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、IHD-Wである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Brightonである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Dairen Iである。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株は、Connaughtである。
【0068】
実施形態において、ポックスウイルスは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルスは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Dryvax、ACAM1000、ACAM2000、Lister、EM63、LIVP、Tian Tan、Copenhagen、Western Reserve、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、New York City Board of Health、Dairen、Ikeda、LC16M8、Tashkent、Wyeth、IHD-J、IHD-W、Brighton、Dairen I及びConnaughtの株から選択される。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Dryvaxは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Dryvaxは、ACAM1000である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株ACAM2000は、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Listerは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株EM63は、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株LIVPは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Tian Tanは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Copenhagenは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Western Reserveは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株改変ワクシニアアンカラ(MVA)は、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株New York City Board of Healthは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Dairenは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Ikedaは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株LC16M8は、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Tashkentは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Wyethは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株IHD-Jは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株IHD-Wは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Brightonは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Dairen Iは、腫瘍溶解性である。いくつかの実施形態において、ワクシニアウイルス株Connaughtは、腫瘍溶解性である。
【0069】
実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、免疫細胞を溶解しない。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、同種免疫細胞を溶解しない。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、自己免疫細胞を溶解しない。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、リンパ球を溶解しない。実施形態において、「溶解しない」とは、細胞をウイルスに感染させた後、ウイルスが、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、86時間、98時間またはそれ以上の間、細胞を溶解しないことを示す。
【0070】
米国特許第10,105,436号は、本明細書に記載される方法及び組成物において使用することができる、天然痘ワクチンを含むポックスウイルスについて記載しており、当該特許で教示されている全てについて、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0071】
III.免疫細胞
CAR、CAR T細胞、またはCAR-NK細胞を作製及び使用するためのあらゆる方法を、本明細書に記載される組成物及び方法とともに使用することができる。CAR-T細胞を作製及び使用する方法は、当該技術分野においてよく知られ、例えば、米国特許第9,328,156号に開示されており、当該特許で教示されている全てについて、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0072】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を含有する組成物であって、免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに感染している、組成物である。
【0073】
実施形態において、免疫細胞は、リンパ球である。いくつかの実施形態において、リンパ球は、T細胞、α/β T細胞、γ/δ T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、骨髄細胞、またはリンパ球系樹状細胞から選択される。いくつかの実施形態において、リンパ球は、α/β T細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ球は、γ/δ T細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ球は、B細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ球は、NK細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ球は、NK-T細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ球は、骨髄細胞である。いくつかの実施形態において、リンパ球は、リンパ球系樹状細胞である。
【0074】
実施形態において、免疫細胞は、組成物で治療される対象に由来する(自己)。実施形態において、免疫細胞は、組成物で治療される対象に対して同種由来である。
【0075】
実施形態において、免疫細胞は、遺伝子組み換えされる。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、標的細胞を標的とするように遺伝子組み換えされる。いくつかの実施形態において、標的細胞は、がん細胞、病原体、または病原体に感染した細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、病原体である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、病原体に感染した細胞である。いくつかの実施形態において、標的細胞は、自己免疫細胞である。
【0076】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルスと、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する免疫細胞とを含有する組成物である。実施形態において、免疫細胞は、リンパ球である。一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルスと、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞またはNK細胞(CAR-T細胞またはCAR-NK細胞)とを含有する組成物である。実施形態において、CARは、二重特異性CAR、誘導性CAR、またはユニバーサルCARである。
【0077】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルスと、外因性T細胞受容体(TCR)を発現するT細胞とを含有する組成物である。
【0078】
いくつかの実施形態において、T細胞は、自己由来である。いくつかの実施形態において、T細胞は、同種由来である。
【0079】
実施形態において、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞も対象に投与される。実施形態において、CARは、疾患に関連する抗原を標的とする。いくつかの実施形態において、CAR-T細胞は、自己由来である。いくつかの実施形態において、CAR-T細胞は、同種由来である。
【0080】
実施形態において、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞も対象に投与される。実施形態において、CARは、疾患に関連する抗原を標的とする。実施形態において、CAR-T細胞は、自己由来である。実施形態において、CAR-T細胞は、同種由来である。
【0081】
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を含有する組成物であって、免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに感染している、組成物である。
【0082】
実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、ポックスウイルスである。実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、ワクシニアウイルスである。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Dryvax、ACAM1000、ACAM2000、Lister、EM63、LIVP、Tian Tan、Copenhagen、Western Reserve、改変ワクシニアアンカラ(MVA)、New York City Board of Health、Dairen、Ikeda、LC16M8、Tashkent、Wyeth、IHD-J、IHD-W、Brighton、Dairen I及びConnaughtの株から選択される。
【0083】
実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも1日~少なくとも10日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも1日~少なくとも5日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも1日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも2日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも3日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも4日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも5日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも6日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも7日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも8日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも9日間、免疫細胞を溶解しない。実施形態において、ウイルスは、感染後少なくとも10日間、免疫細胞を溶解しない。時間の長さは、列挙される範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0084】
使用方法
がんの治療
実施形態において、T細胞、例えば、CAR-T細胞は、腫瘍溶解性ウイルスと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、投与前にT細胞に感染する。いくつかの実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスに感染したT細胞が投与される。T細胞、例えば、CAR-T細胞を投与するための方法は、当該技術分野においてよく知られており、熟練した臨床医によって決定され得る。
【0085】
本明細書で開示される方法及び組成物は、任意の固形腫瘍または血液悪性腫瘍を治療するために使用することができる。本明細書で開示される方法によって治療することができる腫瘍には、膀胱腫瘍、乳房腫瘍、前立腺腫瘍、がん腫、基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん、脳がん、CNSがん、神経膠腫瘍、子宮頸がん、絨毛がん、結腸及び直腸がん、結合組織がん、消化器系のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部のがん、胃がん、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、腎臓がん、呼吸器系のがん、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、泌尿器系のがん、例えば、リンパ肉腫、骨肉腫、乳腺腫瘍、肥満細胞腫、脳腫瘍、黒色腫、腺扁平上皮がん、カルチノイド肺腫瘍、気管支腺腫瘍、細気管支腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、線維腫、粘液軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、乳頭腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、バーキットリンパ腫、小神経膠腫、神経芽細胞腫、破骨細胞腫、口腔新生物、線維肉腫、骨肉腫及び横紋筋肉腫、生殖器扁平上皮がん、可移植性性器腫瘍、精巣腫瘍、精上皮腫、セルトリ細胞腫瘍、血管周囲細胞腫、組織球腫、緑色腫、顆粒球肉腫、角膜乳頭腫、角膜扁平上皮がん、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫瘍、胸腺腫、胃腫瘍、副腎がん、口腔乳頭腫症、血管内皮腫、嚢腺腫、濾胞性リンパ腫、腸リンパ肉腫、線維肉腫、及び肺扁平上皮がん、白血病、血管周囲細胞腫、眼球新生物、包皮線維肉腫、潰瘍性扁平上皮がん、包皮がん、結合組織新生物、肥満細胞腫、肝細胞がん、リンパ腫、肺腺腫症、肺肉腫、ラウス肉腫、細網内皮症、線維肉腫、腎芽細胞腫、B細胞リンパ腫、リンパ球性白血病、網膜芽細胞腫、肝臓新生物、リンパ肉腫、形質細胞性白血病、浮袋の肉腫(魚類)、乾酪性リンパ節炎、肺がん、インスリノーマ、リンパ腫、肉腫、唾液腺腫瘍、神経腫、膵島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫ならびに胃腺がんが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
いくつかの実施形態において、腫瘍は、転移性黒色腫、食道及び胃腺がん、胆管がん(任意のステージ)、膵腺がん(任意のステージ)、胆嚢がん(任意のステージ)、高悪性度虫垂粘液がん(任意のステージ)、高悪性度消化管神経内分泌がん(任意のステージ)、中皮腫(任意のステージ)、軟部組織肉腫、前立腺がん、腎細胞がん、肺小細胞がん、肺非小細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、大腸がん、卵巣がん、肝細胞がん、及び膠芽腫から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態において、腫瘍は、膠芽腫、乳がん、肺がん、前立腺がん、結腸がん、卵巣がん、神経芽細胞腫、中枢神経系腫瘍、及び黒色腫から選択される。
【0088】
いくつかの実施形態において、治療することができる腫瘍またはがんは、幼児または小児の腫瘍またはがんである。例えば、腫瘍またはがんは、白血病、リンパ腫、肉腫などであり得る。白血病の非限定的な例としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び急性骨髄性白血病(AML)が挙げられる。リンパ腫の種類の非限定的な例としては、ホジキン病(またはホジキンリンパ腫)及び非ホジキンリンパ腫(例えば、B細胞及びT細胞リンパ腫)が挙げられる。小児患者の固形腫瘍またはがんの非限定的な例としては、脳腫瘍、ユーイング肉腫、眼がん(網膜芽細胞腫)、胚細胞性腫瘍、腎臓腫瘍(例えば、ウィルムス腫瘍)、肝臓がん、神経芽細胞腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、皮膚がん(例えば、黒色腫)、軟部組織肉腫及び甲状腺がんが挙げられる。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、小児患者である。いくつかの実施形態において、対象は、新生児である。いくつかの実施形態において、対象は、乳児である。いくつかの実施形態において、対象は、子どもである。いくつかの実施形態において、対象は、青年である。いくつかの実施形態において、対象は、生後12ヶ月超である。いくつかの実施形態において、対象は、18歳未満である。
【0089】
実施形態において、方法は、化学療法剤、治療用抗体、がんワクチンなどのがんに対する既知の治療を対象に施すことを更に含む。実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、組み換えポリヌクレオチドを含み、組み換えポリヌクレオチドは、治療分子をコードする。実施形態において、治療分子は、がんを治療する。
【0090】
米国特許第10,105,436号は、本明細書に記載される方法及び組成物において使用することができるポックスウイルス及び細胞を含む組成物を投与、作製、保管、及び使用する方法について記載しており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0091】
他の疾患の治療
一態様において、疾患または状態を治療することを、それを必要とする対象において行うための方法であって、疾患または状態は、がんではない方法が提供される。方法は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を対象に投与することを含む。実施形態において、方法は、疾患または状態を治療することを更に含む。実施形態において、疾患または状態を治療することは、疾患または状態に対する既知の治療を対象に施すことを含む。
【0092】
一態様において、慢性炎症を特徴とする疾患を治療するための方法が提供される。方法は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を対象に投与することを含む。実施形態において、方法は、慢性炎症を治療することを更に含む。実施形態において、慢性炎症を治療することは、慢性炎症に対する既知の治療を対象に施すことを含む。
【0093】
一態様において、慢性炎症を急性炎症に変更することを、それを必要とする対象において行うための方法が提供される。方法は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を対象に投与することを含む。
【0094】
一態様において、感染症を治療するための方法が提供される。方法は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を対象に投与することを含む。実施形態において、方法は、感染症を治療することを更に含む。実施形態において、感染症を治療することは、慢性炎症に対する既知の治療を対象に施すことを含む。実施形態において、感染症は、病原体による感染症である。
【0095】
一態様において、自己免疫疾患を治療するための方法が提供される。方法は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を対象に投与することを含む。実施形態において、方法は、自己免疫疾患を治療することを更に含む。実施形態において、自己免疫疾患を治療することは、自己免疫疾患に対する既知の治療を対象に施すことを含む。
【0096】
一態様において、線維症を治療するための方法が提供される。方法は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞を対象に投与することを含む。実施形態において、方法は、線維症を治療することを更に含む。実施形態において、線維症を治療することは、自己免疫疾患に対する既知の治療を対象に施すことを含む。
【0097】
実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、組み換えポリヌクレオチドを含み、組み換えポリヌクレオチドは、治療分子をコードする。実施形態において、治療分子は、疾患を治療する。実施形態において、治療分子は、抗炎症分子である。
【0098】
実施形態において、疾患は、慢性炎症性疾患である。実施形態において、慢性炎症性疾患は、自己免疫疾患である。実施形態において、慢性炎症性疾患は、喘息、慢性消化性潰瘍、結核、関節炎、歯周炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、副鼻腔炎、活動性肝炎、アテローム性動脈硬化症、皮膚炎、炎症性腸疾患(IBS)、全身性狼瘡、線維筋痛症、1型糖尿病、乾癬、多発性硬化症、アジソン病、グレーヴス病、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、血管炎、悪性貧血、またはセリアック病である。
【0099】
実施形態において、炎症性疾患は、移植拒絶反応、デュピュイトラン拘縮、ペロニー病、歯周炎、子宮内膜症、肝炎、糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、関節炎(例えば、変形性関節症、リウマチ様関節炎、または乾癬性関節炎)、炎症性脳疾患(脳卒中後、脳炎を含む)、アテローム性動脈硬化症、外傷性損傷、感染症、及び/またはショックである。一実施形態において、炎症性疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、例えば、気腫、慢性気管支炎、または難治性(非可逆性)喘息である。
【0100】
実施形態において、炎症性疾患は、腸瘻、慢性放射線障害(放射線膀胱炎または放射線腸炎などの炎症性組織欠損を引き起こすもの)、十二指腸潰瘍、または中枢神経系の慢性炎症性疾患、例えば、脳卒中後の神経炎症、統合失調症、自閉症、中毒、慢性外傷性脳症、もしくはワクチン誘導性神経毒である。
【0101】
一実施形態において、自己免疫疾患は、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、血管炎、グレーヴス病、乾癬、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、ギランバレー症候群、1型真性糖尿病、狼瘡、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、アジソン病、シェーグレン症候群、セリアック病、筋炎、強直性脊椎炎、または強皮症である。
【0102】
一実施形態において、線維症は、肺線維症(置換性線維症、巣状線維症、びまん性実質性肺疾患、嚢胞性線維症、線維胸、特発性肺線維症、及び放射線誘発性肺損傷)、肝線維症(架橋線維症、肝硬変、肝星細胞の老化)、腎線維症(CYR61による細胞老化の誘導)、グリア性瘢痕、心線維症(間質性線維症、置換性線維症、及び心筋線維症)動脈硬化、関節線維症、慢性腎疾患、クローン病、デュピュイトラン拘縮、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、ペロニー病、腎性全身性線維症、進行性塊状線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性強皮症、及び癒着性関節包炎である。
【0103】
一実施形態において、感染性疾患は、細菌、ウイルス、または真菌によって引き起こされる。一実施形態において、感染性疾患は、ウイルスによって引き起こされる。一実施形態において、ウイルスは、ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザ、または呼吸器合胞体ウイルスである。一実施形態において、コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である。
【0104】
一実施形態において、感染性疾患は、対象においてサイトカインストームを引き起こすか、または引き起こすことが可能である。一実施形態において、炎症性疾患は、対象においてサイトカインストームを引き起こすか、または引き起こすことが可能である。
【0105】
実施形態において、治療分子は、疾患を治療する。実施形態において、治療分子は、サイトカイン、治療用抗体、治療用融合タンパク質、RNA、ペプチド、またはポリペプチドである。実施形態において、サイトカインは、抗炎症サイトカインである。実施形態において、サイトカインは、インターロイキン(IL)-1受容体アンタゴニスト、IL-4、IL-6、IL-10、IL-11、IL-13、IFN-アルファ、及びトランスフォーミング増殖因子-ベータから選択される。実施形態において、治療分子は、アバタセプト(Orencia)、アダリムマブ(Humira)、アナキンラ(Kineret)、セルトリズマブ(Cimzia)、エタネルセプト(Enbrel)、ゴリムマブ(Simponi)、インフリキシマブ(Remicade)、イキセキズマブ(Taltz)、ナタリズマブ(Tysabri)、リツキシマブ(Rituxan)、セクキヌマブ(Cosentyx)、トシリズマブ(Actemra)、ウステキヌマブ(Stelara)、ベドリズマブ(Entyvio)、バシリキシマブ(Simulect)、ダクリズマブ(Zinbryta)、及びムロモナブ(Orthoclone OKT3)から選択される。
【0106】
実施形態において、治療分子は、疾患の治療を改善する。例えば、治療分子は、治療分子を発現する細胞による、治療剤の取り込みを促進する受容体であり得る。別の例において、治療分子は、治療剤によって認識される抗原であり得る。別の例において、治療分子は、治療剤(例えば、ステロイド)を産生するために細胞によって使用される酵素であり得る。実施形態において、治療剤は、疾患を治療する剤である。
【0107】
実施形態において、方法は、対象に治療剤を投与することを更に含む。実施形態において、治療剤は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞と同じ組成物中にある。実施形態において、治療剤は、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞とは別に投与される。実施形態において、治療剤は、疾患を治療する剤である。実施形態において、治療剤は、アバタセプト(Orencia)、アダリムマブ(Humira)、アナキンラ(Kineret)、セルトリズマブ(Cimzia)、エタネルセプト(Enbrel)、ゴリムマブ(Simponi)、インフリキシマブ(Remicade)、イキセキズマブ(Taltz)、ナタリズマブ(Tysabri)、リツキシマブ(Rituxan)、セクキヌマブ(Cosentyx)、トシリズマブ(Actemra)、ウステキヌマブ(Stelara)、ベドリズマブ(Entyvio)、バシリキシマブ(Simulect)、ダクリズマブ(Zinbryta)、及びムロモナブ(Orthoclone OKT3)から選択される。
【0108】
実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、治療上有効な量で、例えば、疾患を治療するのに十分な量で投与される。実施形態において、免疫細胞は、治療上有効な量で、例えば、疾患を治療するのに十分な量で投与される。実施形態において、腫瘍溶解性ウイルス及び免疫細胞は、同じ(単一の)組成物中にある。
【0109】
平均的な体格の成人に投与されるポックスウイルスの量は、例えば、1×102~1×1010のプラーク形成単位、1×103~1×108のプラーク形成単位、1×104~1×106プラーク形成単位、またはこの間の任意の値もしくは部分範囲であり得る。一具体例として、約2.5×105のプラーク形成単位が使用され得る。
【0110】
PCT特許公開第WO2020/247385号は、その教示されている全てについて、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0111】
IV.組成物
一態様において、本明細書で提供されるのは、腫瘍溶解性ウイルス(例えば、ポックスウイルス、例えば、天然痘、例えば、天然痘ワクチン)及び免疫細胞を含む組成物である。実施形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、組み換えポリヌクレオチドを含み、当該組み換えポリヌクレオチドは、治療分子をコードする。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される組成物は、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、特定の剤形に適切な溶媒、希釈剤、保存剤、分散または懸濁助剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、固体結合剤、及び滑沢剤を指す。当業者は、医薬組成物を製剤化する際に使用され得る様々な異なる担体を認識し、その調製技術についても知っている(Remington’s Pharmaceutical Sciences Ed.by Gennaro,Mack Publishing,Easton,Pa.,1995参照;その全体が参照により本明細書に援用される)。薬学的に許容される担体には、リンゲル液、等張生理食塩水、デンプン、ジャガイモデンプン、糖、グルコース、トラガント末、麦芽、ゼラチン、タルク、セルロース及びその誘導体、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース賦形剤、カカオ脂、坐剤用ロウ、寒天、アルギン酸、油、綿実油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、ダイズ油、トウモロコシ油、グリコール、プロピレングリコール、エステル、ラウリン酸エチル、オレイン酸エチル、緩衝剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸緩衝液、パイロジェンフリー水、エチルアルコール、他の非毒性の適合する滑沢剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味剤、ならびに矯臭剤が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体は、保存剤及び抗酸化剤を含み得る。上記材料のうちの1つ以上は、いくつかの実施形態の組成物及び方法から特に除外することができる。
【0113】
本明細書で開示される治療法のそれぞれの有効投与量は、特定の治療、採用される化合物もしくは医薬組成物、投与様式、治療される状態、及び/または治療される状態の重症度を含むが、これらに限定されない様々な因子に応じて変化し得る。したがって、本発明の組み合わせの投与レジメンは、投与経路ならびに患者の腎機能及び肝機能を含む様々な因子に従って選択される。当該技術分野の通常の医師、臨床医または獣医であれば、状態の予防、状態への対抗、または進行の停止に必要な単一活性成分の有効量を容易に決定し、処方することができる。毒性を伴わずに有効性をもたらす範囲内の活性成分の濃度を最適な精度で達成するには、標的部位に対する活性成分の利用可能性のカイネティクスに基づいたレジメンが必要である。
【0114】
本明細書で開示される関連治療を含む医薬組成物を調製する方法は、当該技術分野において知られており、当該技術分野、既知の標準的な参考文献、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,18th edition(1990)から明らかであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0115】
本明細書に記載される実施形態は、ワクチン接種またはワクチン接種そのものに限定されるものではなく、疾患に関連する抗原に対する免疫応答または反応を生じさせることにも関連することを理解されたい。「ワクチン」、「ワクチン接種」という語または他の同様の用語は、便宜上使用されるものであり、そのような実施形態は、絶対的な予防免疫が必要とされないまたは生じない、免疫組成物、免疫原性組成物、免疫応答発生、免疫付与などにも関連することを理解されたい。例えば、ワクチン接種に関する実施形態はまた、抗原に対する免疫原性または免疫応答の発生または誘発の支援にも関連し得るが、その応答が、治療される疾患に対する絶対的な根絶または免疫付与をもたらすかどうかは問わない。
【0116】
米国特許第10,105,436号は、本明細書に記載される方法及び組成物において使用することができるポックスウイルス及び細胞を含む組成物を投与、作製、保管、及び使用する方法について記載しており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0117】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示のみを目的にするものであり、当業者にはそれらを考慮した様々な変形または変更が示唆され、本出願の趣旨及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される。
【実施例】
【0118】
実施例1:患者由来CAR T細胞の調製
患者由来細胞を、先に報告されているように、IL7及びIL15の存在下で拡大培養した(Quintarelli et al.,Oncoimmunology.2018;7(6):e1433518、その全体が参照により本明細書に援用される)。同じ手順が現在進行中の第I/II相臨床試験(NCT03373097及びNCT03373071)で使用されている。
【0119】
簡潔に述べると、健康なドナーから得たバフィーコートから、リンパ球分離培地を使用して、末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。Tリンパ球を、組み換えヒトインターロイキン-2(IL2、100U/ml)、または組み換えヒトインターロイキン-7(IL7、10ng/ml)と15(IL15、5ng/ml)の組み合わせの存在下、固定化OKT3(1μg/ml)及び抗CD28(1μg/ml)モノクローナル抗体(mAb)により、活性化した。活性化したT細胞の形質導入を、組み換えヒトRetroNectinを予めコーティングしたプレートで、上清及び上記の特定のサイトカインを使用して、3日目に行った。形質導入から5日目に、T細胞を、10% FBS及び2mM Glutamaxを添加した45%RPMI1640及び45%クリック培地(Sigma-Aldrich、Co.;USA)を含有する培地中で拡大した。培地は週2回補充した。
【0120】
実施例2:ワクシニアウイルスによるCAR T細胞の感染
図1~9Bに示される研究で使用したT細胞は、培養培地の存在下、各実験で感染させた。感染の例としては、およそ5×10
5細胞/mlを2.5×10
6のVV PFU(MOI5)と37℃で2~3日間感染させることが挙げられる。感染細胞は、あらゆる共培養実験の前に3回洗浄した。
【0121】
ワクシニアウイルスは、ポリクローナル活性化T細胞とキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の両方に感染することができる。加えて、ワクシニアウイルスは、T細胞内で複製し、ウイルスの子孫を作ることができる。
図1は、ワクシニアウイルス(LIVP1.1.1)感染前(左パネル)及び感染後48時間(h)(右パネル)のCAR T細胞の蛍光顕微鏡写真を示す。
【0122】
実施例3:ワクシニアウイルスに感染させたCAR T細胞による細胞アッセイ
図2は、CAR T細胞が、非形質導入(NT)T細胞よりもワクシニアウイルスによる感染に対して寛容であることを示す、2つのプロットを示す。左のプロットは、3人の患者から生成された3セットのCAR細胞対NT細胞について、時間(時間数)経過に伴うウイルス感染総面積(μm
2/画像)を示す。右のプロットは、最終経過時点(65時間)における各条件(患者1、2、及び3のCART及びNT試料)のウイルス感染総面積(μm
2/画像)を示す。
【0123】
図3は、2つのワクシニアウイルス株について、予め感染させたCAR T/NT細胞から96時間にわたって自然放出されるウイルスのレベルが低いことを示す。上の2つのプロットでは、Lister株(変異株TurboFP635及びig-GFP)が使用され、下のプロットでは、Copenhagen株(TurboFP635変異株)が使用された。いずれの場合も、合計約7×10
5個の細胞を約1.7のMOIで感染させ、2時間後に洗浄した。総プラーク形成単位(PFU)をカウントし、24、48、72、及び96時間の時点でプロットした。
【0124】
図4は、予め感染させたT細胞によって放出されたワクシニアウイルスが、in vitroで腫瘍細胞に感染し得ることを示す。また、ワクシニアに感染したT細胞は、機能を保持したままであり、ワクシニアウイルスは、CAR受容体または外因性T細胞受容体が標的腫瘍細胞に結合した後にのみ感染T細胞から放出されることも判明した。ワクシニアに感染した腫瘍細胞は、溶解し、新しいワクシニア粒子を放出する。
【0125】
図5は、ワクシニアウイルスに感染させたCAR T細胞が、CAR T細胞単独よりも多くのSH-SY5Y神経芽細胞腫細胞を経時的に根絶することを示す。SH-SY5Y細胞を、CAR T細胞(上段)またはワクシニアウイルスに予め感染させたCAR T細胞(下段)と2:1で共培養した。ワクシニアウイルスに感染したCAR T細胞と共培養した腫瘍細胞では、CAR T細胞単独と共培養した腫瘍細胞と比較して、75時間にわたる腫瘍細胞の根絶が著しく増強した。これらのデータは、in vivo条件に近いin vitro共培養を表しており、共培養では、T細胞より腫瘍細胞のほうが多い。
【0126】
図6は、単独、+ワクシニアウイルス(0.01 MOI)、+CAR T細胞(2:1の共培養)、またはワクシニアウイルス感染CAR T細胞のいずれかとの培養におけるインタクトな腫瘍細胞の量を示す、時間(時間数)経過に伴う緑色オブジェクト総面積(生細胞)のプロットを示す。
【0127】
図7は、指定条件下におけるワクシニア感染T細胞の数を示す。左の2つのプロットは、ワクシニア感染ポリクローナル活性化T細胞のFACS解析データ(%)を表し、右の2つのプロットは、ワクシニアウイルス感染後のCAR発現の調節のFACS解析を示す。右のプロットは、各条件でのCAR発現を、CAR陽性細胞のパーセンテージ(%)として示す。ワクシニアウイルス感染は、遺伝子改変のないT細胞と比較して、CARリダイレクトT細胞でより均一であり、ワクシニア感染は、CAR T細胞の発現レベルに悪影響を及ぼすことはない。無感染-NT:感染していないT細胞;無感染-CAR:感染していないCAR T細胞;感染-NT:ワクシニア感染T細胞;感染-CAR:ワクシニア感染CAR T細胞。
【0128】
図8.左のプロットは、ワクシニアウイルスがT細胞、NK細胞、及びNK-T細胞に感染することを示す。患者由来のCAR遺伝子改変T細胞に存在する細胞の亜集団のFACS解析。左のパネルは、ワクシニア感染後の非遺伝子改変(NT-非形質導入)T細胞及び遺伝子改変CARにおけるT集団、NK集団、NK-T集団のパーセンテージを示す。右は、ワクシニア感染ありまたはなしのNTとCAR+患者由来リンパ球の両方における、CD3+集団におけるCD8及びCD4のコンパートメントのFACS解析。CAR検出:抗CARイディオタイプ。T細胞集団は、CD45/CD3、NK-T:CD45/CD3/CD56、NK:CD45/CD56+/CD3-を含む。右のプロットは、ワクシニアウイルスが、T細胞のCD4亜集団及びCD8亜集団に感染することを示す。CD8細胞における感染のパーセンテージは、本実施例において、CD4細胞よりも大きい。右のパネルは、左から右へ、VV+:VV陽性細胞のみ、CAR+:CAR陽性細胞のみ、+/+:VVとCARの両方について陽性である細胞、-/-:VVとCARが二重に陰性である細胞に対する陽性細胞のパーセンテージ(%)を示す。
【0129】
図9A.ワクシニア感染は、主にCD8コンパートメントのT細胞の成熟を誘導し、ナイーブ細胞の量が少なくなり、エフェクター細胞の量が多くなる。
図9B.ワクシニア感染は、主にCD8コンパートメントのT細胞の成熟を誘導し、ナイーブ細胞の量が少なくなり、エフェクター細胞の量が多くなる。
図9A及び9Bは、VV感染後、CD8コンパートメントにおいて、ナイーブT細胞及びメモリーT細胞の亜集団の量が非ワクシニア感染細胞と比較して減少することを示す。
【0130】
実施例4:ワクシニアウイルスに感染させたCAR T細胞の投与
T細胞を患者の血液からアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスにより除去する。T細胞を、任意選択により、目的のキメラ抗原受容体を発現するように遺伝子操作する。T細胞は、in vitroで拡大させてもよい。
【0131】
T細胞にワクシニアウイルスを約2のMOIで感染させる。感染させたT細胞を患者に静脈内注射により投与する。
【国際調査報告】