(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】5-ヒドロキシトリプトファン胃内滞留性剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 31/405 20060101AFI20240719BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240719BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240719BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240719BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240719BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240719BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240719BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240719BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240719BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20240719BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240719BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K31/405
A61K31/198
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/34
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/02
A61P9/10
A61P25/28
A61P25/18
A61P25/00
A61P25/20
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/06
A61P3/04
A61P21/00
A61P25/08
A61P25/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505541
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 US2022038914
(87)【国際公開番号】W WO2023009841
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524038576
【氏名又は名称】エヴェクシア セラピューティクス, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブセン, ジェイコブ ペイド ラムゼー
(72)【発明者】
【氏名】バーナー, ブレット
(72)【発明者】
【氏名】リン, ウー
(72)【発明者】
【氏名】テイ, チン シュー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC29
4C076DD24S
4C076DD37S
4C076DD39S
4C076DD41C
4C076DD46C
4C076DD47C
4C076DD59S
4C076EE23M
4C076EE31
4C076EE32M
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC14
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA10
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA36
4C086ZA40
4C086ZA70
4C086ZA94
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA03
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA12
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA12
4C206ZA01
4C206ZA02
4C206ZA05
4C206ZA06
4C206ZA08
4C206ZA12
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZA18
4C206ZA36
4C206ZA40
4C206ZA70
4C206ZA94
(57)【要約】
有効成分としての5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)と低用量カルビドパとを含む胃内滞留性徐放性剤形が記載されている。例えば、該剤形は、膨潤層と改質された放出層とを含む2層錠剤として提供されることができ、5-HTPおよびカルビドパはいずれも改質された放出層に含まれる。該剤形は、5-HTPおよびカルビドパの本質的に並行した放出を提供し、例えば、約5時間~約12時間で5-HTPおよびカルビドパの80%を放出する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を含む胃内滞留性剤形であって、前記錠剤は、2つの層:
(a)1つまたは複数の親水性ポリマーを含む膨潤層であって、前記1つまたは複数の親水性ポリマーのそれぞれは胃液の存在下で膨潤可能である、膨潤層と;
(b)改質された放出層であって、改質された放出層は5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)とカルビドパとを含む、改質された放出層と
を備え、
溶解試験において5-HTPの80重量%が前記剤形から放出される期間が、カルビドパの80重量%の放出期間から約2時間以内である、胃内滞留性剤形。
【請求項2】
溶解試験において5-HTPおよびカルビドパの一方または両方の80重量%が前記剤形から放出される期間が約5時間~約12時間である、請求項1に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項3】
改質された放出層が、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、中粘度HPMC、高粘度HPMC、低分子量(MW)ポリエチレンオキシド(PEO)、中MW PEO、高MW PEOおよび高粘度ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される1つまたは複数の親水性ポリマーを含む、請求項1または請求項2に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項4】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、約14%(w/w)~約37%(w/w)の1つまたは複数の親水性ポリマーを含む、請求項3に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項5】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、約5%(w/w)の中MW PEOまたは高MW PEO、および約13%(w/w)~約32%(w/w)の低粘度HMPC、中粘度HPMC、または中粘度HPMCと高粘度HPMCの混合物を含む、請求項3または請求項4に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項6】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、
(i)約50%(w/w)の5-HTP;
(ii)約0.0625%(w/w)~約5%(w/w)のカルビドパ;または
(iii)約50%(w/w)の5-HTPおよび約0.0625%(w/w)~約5%(w/w)のカルビドパ
を含む、請求項1から5のいずれかに記載の胃内滞留性剤形。
【請求項7】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、約5%(w/w)~約30%(w/w)の1つまたは複数の延性充填剤をさらに含み、任意で、延性充填剤は、微結晶性セルロース(MCC)を含むか、または微結晶性セルロース(MCC)からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項8】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、約0.5%(w/w)~約3%(w/w)の潤滑剤をさらに含み、任意で、潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム(SSF)、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項9】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、約0.01%(w/w)~約1%(w/w)の抗酸化剤をさらに含み、任意で、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、トコフェロールアセテート、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項10】
膨潤層が、高MW PEOおよび高粘度HPMCを含み、任意で、膨潤層が、約1:1の高MW PEO:高粘度HPMCの重量比を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項11】
膨潤層が、膨潤層の総重量を基準として、最大約5%(w/w)の潤滑剤をさらに含み、任意で、潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム(SSF)を含むかまたはフマル酸ステアリルナトリウム(SSF)からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項12】
膨潤層および改質された放出層が概ね同じ重量を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項13】
錠剤の総重量が約500ミリグラム(mg)~約2000mgであり、任意で、錠剤の総重量が約1000mgである、請求項1から12のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項14】
錠剤が、約250mgの5-HTPおよび約0.3125mg~約25mgのカルビドパを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項15】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、約50%(w/w)の5-HTPと;約0.06%(w/w)~約5.4%(w/w)のカルビドパと;約5.7%(w/w)~約25.1%(w/w)のMCCと、約5%(w/w)の中または高MW PEOと;約7%(w/w)~約18%(w/w)の中粘度HPMCと;約0%(w/w)~約25%(w/w)の高粘度HPMCと;約0.2%(w/w)のBHTと、約0.1%(w/w)のコロイド状シリカと;約1.5%(w/w)のSSFとを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項16】
改質された放出層が、改質された放出層の総重量を基準として、約50%(w/w)の5-HTPと;約0.06%(w/w)~約5.4%(w/w)のカルビドパと;約19.8%(w/w)~約25.1%(w/w)のMCCと、約5%(w/w)の中または高MW PEOと;約18%(w/w)の中粘度HPMCと;約0.2%(w/w)のBHTと、約0.1%(w/w)のコロイド状シリカと;約1.5%(w/w)のSSFとを含む、請求項15に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項17】
膨潤層が、水溶液中で、膨潤層の乾燥体積の少なくとも約150%まで膨潤する、請求項1から16のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項18】
錠剤が、ヒトへの経口投与後約5時間胃内に留まる、請求項1から17のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項19】
改質された放出層が、光から保護されて15℃~約25℃で保存された場合に少なくとも70日間安定した状態を保つ、請求項1から18のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項20】
改質された放出層および膨潤層が、円板を使用したUSP<701>に従った崩壊試験の間、少なくとも8時間互いに付着した状態を保つ、請求項1から19のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項21】
改質された放出層が、USP<905>に従った含量均一性試験において、約15以下の判定値(AV)および約3以下の相対標準偏差(RSD)を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項22】
哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与が、天然5-HTPの即時放出剤形と比較して平均で約4時間遅れる、5-HTPの最大血漿濃度(T
Max)を達成するための時間を提供する、請求項1から21のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項23】
哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与が、同じ重量の5-HTPを含む即時放出天然5-HTP剤形と比較して約1倍~約10倍の5-HTP血漿曝露を提供し、前記即時放出天然5-HTP剤形はカルビドパを含まない、請求項1から22のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項24】
哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与が、約25ナノグラム/ミリリットル(ng/ml)以上の定常状態平均5-HTP血漿レベルを提供し、任意で定常状態平均5-HTP血漿レベルが約50ng/ml以上であり、任意で定常状態平均5-HTP血漿レベルが約100ng/ml以上であり、任意で定常状態平均5-HTP血漿レベルが100ng/ml~500ng/mlである、請求項1から23のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項25】
哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与が、約25ng/ml以下、任意で約20ng/ml以下、さらに任意で約10ng/ml以下の定常状態平均カルビドパ血漿レベルを提供する、請求項1から24のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項26】
哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与が、約25ng/ml以下、任意で約20ng/ml以下、さらに任意で約10ng/ml以下の定常状態平均最大カルビドパ血漿レベル(C
Max)を提供する、請求項1から25のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項27】
哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与が、天然5-HTPが即時放出形態で投与される場合の5-HTP半減期と比較して増加した5-HTP半減期を提供し、任意で、天然5-HTPが即時放出形態で投与される場合の5-HTP半減期と比較して、5-HTP半減期が約10%~約200%増加する、請求項1から26のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【請求項28】
カルビドパと微結晶性セルロースの総合計重量が一定に保たれた場合に、0.3125mg~25mgのカルビドパ含有量の範囲にわたって、5-HTPに対して同じ放出速度および/またはカルビドパに対して同じ放出速度を提供するように剤形が構成されている、請求項1から27のいずれか一項に記載の胃内滞留性剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月30日に出願された米国仮特許出願第63/227,915号の優先権および恩典を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の主題は、5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)のための胃内滞留性徐放性剤形および前記剤形を使用して身体の障害を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書における明らかに以前に公開された文書の一覧または論述は、その文書が先行技術の一部であるか、または共通の一般知識であるという承認として必ずしも解釈されるべきではない。
【0004】
5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)は、哺乳動物の体内でのセロトニンの天然の律速前駆体である(Jacobsenら、2016b)。セロトニンは、脳および腸を含む身体の多くの組織に存在するシグナル伝達分子である。哺乳動物の身体への外因性5-HTPの経口投与は、5-HTPの血漿レベルおよびセロトニンの脳レベルを増加させることができる(Jacobsenら、2016b)。ヒトでは、5-HTPは、疾患の中でもとりわけ、うつ病(van Praag、1982)、不安症(Kahn and Westenberg、1985)、ミオクローヌス(Magnussenら、1977)、線維筋痛症(Carusoら、1990)、片頭痛(Santucciら、1986)、頭痛(Bonoら、1984)、肥満(Cangianoら、1992)、パーキンソン病うつ病(Meloniら、2020a)、パーキンソン病におけるL-DOPAジスキネジア(Meloniら、2020b)、睡眠障害(Birdsall、1998)、ある種の小児発達障害(Ramaekersら、2001)および失調性障害(Trouillasら、1988)を処置するために実験的に使用されてきた。
【0005】
5-HTP薬物はまた、セロトニン作動促進薬(pro-serotonergics)に対して応答性であることが知られている適応症において治療上の関連性を有し得、その非限定的な例としては、社会不安、パニック障害、全般不安症、強迫性障害(OCD)、神経障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病)に関連する気分症状および激越、脳卒中の回復、月経前不快気分、心的外傷後ストレス障害、産後うつ病、インターフェロン処置後のうつ病、摂食障害、肥満、過敏性腸症候群-便秘、特発性便秘ならびに他の便秘障害が挙げられる。さらに、5-HTP薬物は、病因が低い脳セロトニンに関連する適応症において治療上の関連性を有し得、その非限定的な例としては、衝動制御障害、攻撃性、自殺念慮、境界性人格障害、自閉症、フェニルケトン尿症およびテトラヒドロビオプテリン欠乏症が挙げられる。
【0006】
しかしながら、即時放出剤形における天然5-HTPは(以下、「天然5-HTP即時放出」という、すなわち、5-HTPバイオアベイラビリティを増強し得る化合物なしで即時放出用に製剤化された天然に存在する分子形態の5-HTP)、実際の治療的使用には不十分な薬物動態を有する。例えば、天然5-HTP即時放出は短い半減期(T1/2約2時間;典型的には1.5時間~3時間であると報告されている(Gijsmanら、2002))を有し、ある程度安定した曝露を提供するために頻繁な、例えば1日3回以上の投薬を必要とする(Thombre、2005;van Praag、1982)。さらに、天然5-HTP即時放出は急速な吸収を有し(TMax約1時間)、急速なCMax関連有害事象を伴う(Loweら、2006;van Praag、1982)。さらに、多くの治療シナリオでは、天然5-HTP即時放出の低い経口バイオアベイラビリティ(例えば、ある研究では約20%(国際公開第2019245925号))は、高い1日用量の使用、したがって大きな剤形または1日当たりに摂取される多くの剤形の使用につながることがあり得、治療を煩雑にするかまたは非実用的にし得る。
【0007】
動物データは、(浸透圧ミニポンプまたは食餌投与のいずれかを使用してモデル化された)徐放性5-HTP投与が、(i)持続的に上昇した5-HTP血漿レベルを提供し得る;(ii)脳内セロトニンの合成、レベルおよび機能を増強し得る;ならびに(iii)通常天然5-HTP即時放出に関連する有害事象を著しく低下させ得ることを実証する。さらに、動物データは、天然5-HTP即時放出投与に関連する有害事象は5-HTP血漿CMaxに関連するだけでなく、CMaxへの勾配の急峻さにも関連することを示唆する(Jacobsenら、2016a;Jacobsenら、2019)。
【0008】
したがって、5-HTPのための徐放性薬物技術、例えば、天然5-HTP即時放出投与で観察されるものと比較して、5-HTP血漿TMaxを実質的に遅延させることができ、それ故、CMaxへの勾配の急峻さを減少させることができる剤形および/または理想的には1日1回または2回の投薬で、治療範囲内の維持された5-HTP血漿レベルを提供することができる剤形が必要とされている。このような技術は、例えば、適応症に応じて、脳または末梢における内因性のセロトニン合成、セロトニンレベル(細胞内および/または細胞外)、セロトニン神経伝達およびセロトニン機能を上昇させるより効果的な能力を提供することによって、中枢神経系および非中枢神経系障害にわたる幅広い治療上の関連性を有することができる。このような技術に基づく剤形は、単剤療法として、または他のセロトニン作動促進薬のための補助療法として、例えば、セロトニン再取り込み阻害剤のための補助療法として使用され得る。さらに、このような剤形は、セロトニン調節薬理学を部分的にしか有さないまたは全く有さない他の治療に対する補助療法として使用され得る。
【発明の概要】
【0009】
この概要は、本開示の主題のいくつかの態様を列挙し、多くの場合、これらの態様の変形および並べ替えを列挙する。この概要は、多数の多様な態様の例示に過ぎない。所与の態様の1つまたは複数の代表的な特徴の言及も同様に例示的である。このような態様は、典型的には、言及された特徴とともにまたは言及された特徴なしに存在することができ、同様に、それらの特徴は、この概要に列挙されているか否かにかかわらず、本開示の主題の他の態様に適用され得る。過度の繰り返しを避けるために、この概要は、このような特徴の全ての可能な組み合わせを列挙または示唆しない。
【0010】
いくつかの態様において、本開示の主題は、錠剤を含む胃内滞留性剤形であって、前記錠剤は、2つの層:(a)1つまたは複数の親水性ポリマーを含む膨潤層であって、前記1つまたは複数の親水性ポリマーのそれぞれは胃液の存在下で膨潤可能である、膨潤層と;(b)改質された放出層であって、改質された放出層は5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)とカルビドパとを含む、改質された放出層とを備え、溶解試験において5-HTPの80重量%が剤形から放出される期間が、カルビドパの80%重量百分率の放出期間から約2時間以内である、胃内滞留性剤形を提供する。いくつかの態様において、溶解試験において5-HTPおよびカルビドパの一方または両方の80重量%が剤形から放出される期間は、約5時間~約12時間である。
【0011】
いくつかの態様において、改質された放出層は、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、中粘度HPMC、高粘度HPMC、低分子量(MW)ポリエチレンオキシド(PEO)、中MW PEO、高MW PEOおよび高粘度ヒドロキシエチルセルロースを含む群から選択される1つまたは複数の親水性ポリマーを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約14%(w/w)~約37%(w/w)の1つまたは複数の親水性ポリマーを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約5%(w/w)の中MW PEOまたは高MW PEOおよび約13%(w/w)~約32%(w/w)の低粘度HMPC、中粘度HPMC、または中粘度HPMCと高粘度HPMCとの混合物を含む。
【0012】
いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、(i)約50%(w/w)の5-HTP;(ii)約0.0625%(w/w)~約5%(w/w)のカルビドパ;または(iii)約50%(w/w)の5-HTPおよび約0.0625%(w/w)~約5%(w/w)のカルビドパを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約5%(w/w)~約30%(w/w)の1つまたは複数の延性充填剤をさらに含み、任意で、延性充填剤は、微結晶性セルロース(MCC)を含むか、または微結晶性セルロース(MCC)からなる。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約0.5%(w/w)~約3%(w/w)の潤滑剤をさらに含み、任意で、潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム(SSF)、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約0.01%(w/w)~約1%(w/w)の抗酸化剤をさらに含み、任意で、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、トコフェロールアセテート、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0013】
いくつかの態様において、膨潤層は、高MW PEOおよび高粘度HPMCを含み、任意で、膨潤層は、約1:1の高MW PEO:高粘度HPMCの重量比を含む。いくつかの態様において、膨潤層は、膨潤層の総重量を基準として、最大約5%(w/w)の潤滑剤をさらに含み、任意で、潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム(SSF)を含むかまたはフマル酸ステアリルナトリウム(SSF)からなる。
【0014】
いくつかの態様において、膨潤層および改質された放出層は、概ね同じ重量を有する。いくつかの態様において、錠剤の総重量は約500ミリグラム(mg)~約2000mgであり、任意で、錠剤の総重量は約1000mgである。いくつかの態様において、錠剤は、約250mgの5-HTPおよび約0.3125mg~約25mgのカルビドパを含む。
【0015】
いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約50%(w/w)の5-HTPと;約0.06%(w/w)~約5.4%(w/w)のカルビドパと;約5.7%(w/w)~約25.1%(w/w)のMCCと、約5%(w/w)の中または高MW PEOと;約7%(w/w)~約18%(w/w)の中粘度HPMCと;約0%(w/w)~約25%(w/w)の高粘度HPMCと;約0.2%(w/w)のBHTと、約0.1%(w/w)のコロイド状シリカと;約1.5%(w/w)のSSFとを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約50%(w/w)の5-HTPと;約0.06%(w/w)~約5.4%(w/w)のカルビドパと;約19.8%(w/w)~約25.1%(w/w)のMCCと、約5%(w/w)の中または高MW PEOと;約18%(w/w)の中粘度HPMCと;約0.2%(w/w)のBHTと、約0.1%(w/w)のコロイド状シリカと;約1.5%(w/w)のSSFとを含む。
【0016】
いくつかの態様において、膨潤層は、水溶液中で、膨潤層の乾燥体積の少なくとも約150%まで膨潤する。いくつかの態様において、錠剤は、ヒトへの経口投与後約5時間胃内に留まる。いくつかの態様において、改質された放出層は、光から保護されて15℃~約25℃で保存された場合に少なくとも70日間安定した状態を保つ。いくつかの態様において、改質された放出層および膨潤層は、円板を使用したUSP<701>に従った崩壊試験の間、少なくとも8時間互いに付着した状態を保つ。いくつかの態様において、改質された放出層は、USP<905>に従った含量均一性試験において、約15以下の判定値(AV(acceptance value))および約3以下の相対標準偏差(RSD)を有する。
【0017】
いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与は、天然5-HTPの即時放出剤形と比較して平均で約4時間遅れる、5-HTPの最大血漿濃度(TMax)を達成するための時間を提供する。いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与は、同じ重量の5-HTPを含む即時放出天然5-HTP剤形と比較して約1倍~約10倍の5-HTP血漿曝露を提供し、前記即時放出天然5-HTP剤形はカルビドパを含まない。
【0018】
いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与は、約25ナノグラム/ミリリットル(ng/ml)以上の定常状態平均5-HTP血漿レベルを提供し、任意で定常状態平均5-HTP血漿レベルは約50ng/ml以上であり、任意で定常状態平均5-HTP血漿レベルは約100ng/ml以上であり、任意で定常状態平均5-HTP血漿レベルは100ng/ml~500ng/mlである。いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与は、約25ng/ml以下、任意で約20ng/ml以下、さらに任意で約10ng/ml以下の定常状態平均カルビドパ血漿レベルを提供する。いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与は、約25ng/ml以下、任意で約20ng/ml以下、さらに任意で約10ng/ml以下の定常状態平均最大カルビドパ血漿レベル(CMax)を提供する。
【0019】
いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の錠剤の投与は、天然5-HTPが即時放出形態で投与される場合の5-HTP半減期と比較して増加した5-HTP半減期を提供し、任意で、天然5-HTPが即時放出形態で投与される場合の5-HTP半減期と比較して、5-HTP半減期が約10%~約200%増加する。いくつかの態様において、カルビドパと微結晶性セルロースの総合計重量が一定に保たれた場合に、0.3125mg~25mgのカルビドパ含有量の範囲にわたって、5-HTPに対して同じ放出速度および/またはカルビドパに対して同じ放出速度を提供するように剤形が構成されている。
【0020】
したがって、本開示の主題の目的は、胃内滞留性剤形または5-HTPおよびカルビドパの改変された放出/徐放を提供することである。本明細書で上述された本開示の主題の目的は、本開示の主題によって全体的または部分的に達成され、他の目的は、本明細書で以下に最もよく記載されている添付の図面および実施例に関連して解釈された場合に、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【0021】
本開示が容易に理解され、実用的な効果をもたらし得るように、ここで、添付の図面を参照しながら、例示される実施例を参照する。本説明と合わせた図面は、本発明の態様をさらに例示し、様々な原理および利点を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1A~1D:in vitroでの5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の溶解試験-「速い」錠剤対「遅い」錠剤からの5-HTP放出。18時間にわたる5-HTP放出。(
図1A)「速い」2層錠剤、250mgの5-HTP、0.3125mgのカルビドパ。(
図1B)「速い」2層錠剤、250mgの5-HTP、25mgのカルビドパ。(
図1C)「遅い」2層錠剤、250mgの5-HTP、0.3125mgのカルビドパ。(
図1D)遅い2層錠剤、250mgの5-HTP、25mgのカルビドパ。条件:USP III(往復シリンダ)溶解槽。250mLの0.1M HCl+0.02%EDTA二ナトリウム。37℃±0.5。
【
図2】
図2:in vitroでの「速い」5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の溶解試験-5-HTP放出に対するカルビドパレベルの影響。条件:USP III(往復シリンダ)溶解槽。250mLの0.1M HCl+0.02%EDTA二ナトリウム。37℃±0.5。
【
図3】
図3A~3C:in vitroでの「速い」5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の溶解試験-様々な製剤での5-HTPとカルビドパの並行放出。(
図3A)「速い」2層錠剤250mg 5-HTP 25mgカルビドパ。(
図3B)「遅い」2層錠剤250mg 5-HTP 25mgカルビドパ。(
図3C)「中間」2層錠剤250mg 5-HTP 5mgカルビドパ。条件:USP III(往復シリンダ)溶解槽。250mLの0.1M HCl+0.02%EDTA二ナトリウム。37℃±0.5。
【
図4】
図4:「速い」5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の膨潤を示す写真画像のペア。(左の画像)ベースライン。(右側の画像)8時間の時点。円板を備えたCopley崩壊試験機。
【
図5】
図5A~5E:70日の安定性試験中の「速い」5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の溶解試験。(
図5A~5C)5-HTP放出。(
図5D~5E)カルビドパ放出。カルビドパレベルが低すぎて確実に定量することができなかったので、0.625mgのカルビドパレベルでのカルビドパ放出は評価することができなかった。条件:USP III(往復シリンダ)溶解槽。250mLの0.1M HCl+0.02%EDTA二ナトリウム。37℃±0.5。
【
図6】
図6A~6D:ヒト健康志願者における5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の薬物動態評価-5-HTP血漿プロファイル。高脂肪、高カロリー(HF)食後の250mgの天然5-HTP即時放出との比較。(
図6A)HF食後の5-HTP即時放出と比較した、5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の異なるカルビドパ用量の単回投与後の血漿5-HTPプロファイル。(
図6B)HF食後の5-HTP即時放出を基準とした、HF食後と比較した中程度の脂肪、中程度のカロリー(MF)食後の250mgの5-HTP/15mgのカルビドパ胃内滞留性錠剤の単回投与後の血漿5-HTPプロファイル。(
図6C)ノンパラメトリック重ね合わせによってモデル化された、5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の異なるカルビドパ用量の複数回投与後の、定常状態での24時間にわたる血漿5-HTPプロファイル;5-HTP即時放出と比較。(
図6D)ノンパラメトリック重ね合わせによってモデル化された、5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の異なるカルビドパ用量の複数回投与後の、定常状態でのAUC
0h~12h血漿5-HTPレベル;5-HTP即時放出と比較。
【
図7】
図7A~7D:ヒト健康志願者における5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の薬物動態評価-カルビドパ血漿プロファイル。所定のカルビドパ用量レベルに対するデータが存在しないことは、定量下限を上回るデータが十分でないことを示すことに留意されたい。(
図7A)250mgの5-HTP/カルビドパ胃内滞留性錠剤の異なるカルビドパ用量の単回投与後の血漿カルビドパプロファイル。(
図7B)HF食後と比較した中程度の脂肪、中程度のカロリー(MF)食後の、250mgの5-HTP/15mgのカルビドパ胃内滞留性錠剤の単回投与後の血漿カルビドパプロファイル。(
図7C)ノンパラメトリック重ね合わせによってモデル化された、5mgおよび15mgの5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤でのカルビドパレベルの複数回投与後の、定常状態での24時間にわたる血漿カルビドパレベル。(
図7D)ノンパラメトリック重ね合わせによってモデル化された、5mgおよび15mgの5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤でのカルビドパ用量レベルの複数回投与後の、定常状態でのAU
C0h~12h血漿カルビドパレベル。
【
図8】
図8:ヒト健康志願者における5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の胃内滞留および結腸到達時間。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、代表的な態様が示されている添付の図面および実施例を参照しながら、本開示の主題を以下でより完全に説明する。しかしながら、本開示の主題は、異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載されている態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が綿密かつ完全であり、態様の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。
【0024】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本明細書に記載されている主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、その全体が参照により援用される。
【0025】
I.定義
以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、本開示の主題の説明を容易にするために、以下の定義が記載されている。
【0026】
長年にわたる特許法の慣例に従って、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という用語は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「1つまたは複数の(one or more)」を指す。したがって、例えば、「薬剤(an agent)」または「ポリマー(a polymer)」への言及は、複数のこのような薬剤またはポリマーなどを含む。
【0027】
別途指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されるサイズ、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての事例で「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本開示の主題によって得ようとされている所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0028】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、サイズ(すなわち、直径)、重量、濃度または百分率の値または量を指す場合、以下のような変動は開示された方法を実行するのに適しているので、一例では±20%または±10%、別の例では±5%、別の例では±1%、さらに別の例では±0.1%の、指定された量からの変動を包含することを意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、実体の列挙の文脈で使用される場合、それらの実体が単独でまたは組み合わせて存在することを指す。したがって、例えば、「A、B、Cおよび/またはD」という語句は、A、B、CおよびDを個別的に含むが、A、B、CおよびDのあらゆる組み合わせおよび部分的な組み合わせも含む。
【0030】
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」「含有する(containing)」または「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的または非限定的であり、追加の列挙されていない要素または方法工程を排除しない。「含む(comprising)」は、指定された要素は必須であるが、他の要素を追加することができ、特許請求の範囲内にあるコンストラクトをなお形成することができることを意味する、請求項言語において使用される専門用語である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」という語句は、特許請求の範囲において指定されていない一切の要素、工程または成分を除外する。「からなる(consists of)」という語句が、前提部の直後ではなく、請求項の要部の節中に現れる場合、「からなる(consists of)」という語句はその節中に記載されている要素のみを限定し、他の要素は、請求項全体から除外されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、指定された材料または工程に、特許請求された主題の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料または工程を加えたものに特許請求の範囲を限定する。
【0033】
「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語に関して、これら3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、本明細書に開示されたおよび特許請求された主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含むことができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「曝露」という用語は、無限大までの(AUC0h~無限大)または定義された期間内の(例えば、AUC0h~12h)曲線下面積として通常表される、時間に対して積分された薬物の総血液/血漿/血清/身体レベルを指す。曝露は、しばしば「レベル」と互換的に使用される。
【0035】
本明細書で使用される場合、1倍率変化(例えば、1倍増加)は、ベースライン値に付加されたベースライン値の100%の増加を指し、ベースラインの200%をもたらす。
【0036】
本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、そのような処置を必要とする患者/患畜の治療的または緩和的処置、ならびに患者/患畜の予防処置および/または診断が可能な範囲で、関連する病状にかかりやすい患者/患畜の予防的処置および/または診断への言及を含む。
【0037】
「患者/患畜(patient)」および「患者/患畜(patients)」という用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)患者/患畜への言及を含む。本明細書で使用される場合、「対象」または「患者/患畜」という用語は当技術分野でよく認識されており、イヌ、ネコ、ラット、マウス、サル、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ラクダ、および最も好ましくはヒトを含む哺乳動物を指すために本明細書で互換的に使用される。いくつかの態様において、対象は、処置を必要とする対象または疾患もしくは障害を有する対象である。しかしながら、他の態様においては、対象は正常な対象であり得る。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、男性/雄もしくは女性/雌か、または特定の性別として特定されていないかを問わず、成人/成体、若年および新生児/新生仔の対象が包含されることが意図されている。
【0038】
本明細書で使用される「胃内滞留性剤形」という用語は、胃内に一定時間保持され、かなりの割合の1つの医薬品有効成分または複数の医薬品有効成分を胃酸およびその他の胃内容物中に放出し、そこから1つまたは複数の医薬品有効成分が、吸収のために幽門括約筋を介して上部腸(十二指腸、空腸、回腸)内へのバルクフロー(bulk flow)によって移動することができる剤形(例えば、錠剤またはカプセル剤などの経口剤形)を指す。幽門を出た後、胃内滞留性剤形は、1つまたは複数の医薬品有効成分の一部を腸内に放出することができ、そこでさらなる吸収が起こり得る。
【0039】
「即時放出」という用語は、剤形の医薬品有効成分(API)含有量の少なくとも85%が短い時間間隔内に十分な体積と溶解度の水性溶解媒体に溶解され、媒体が溶解速度を制限しないことを確保する剤形であって、当該剤形について得られる薬物動態プロファイルが、例えば、APIが、経口ボーラスとして(および送達されたときに、経口ボーラスからのAPIが沈殿しないことを条件として)、非製剤化粉末としてまたは溶液で送達された場合と比較して機能的に異ならない剤形を指す。
【0040】
「天然5-HTP即時放出」、「即時放出天然5-HTP」、「天然5-HTPの即時放出剤形」などの用語は、5-HTPのバイオアベイラビリティを増強する化合物を使用しない5-HTPの即時放出投与/製剤を指す。
【0041】
本明細書で使用される「定常状態」という用語は、数日間またはそれより長く反復投薬中に哺乳動物対象において測定されるか、または適切な数学モデルを使用して哺乳動物における1つの化合物または複数の化合物の単回投与から外挿される薬物動態学的定常状態を指す。化合物が同じ用量および剤形ならびに同じ経路(例えば、経口、静脈内など)および投与様式(例えば、絶食/摂食、時刻)を用いて投与されるならば、定常状態では、化合物の血漿曝露プロファイルおよび平均レベルは、異なる処置日にわたって機能的に変化しない。したがって、薬物動態学において、および本明細書で使用される場合、「定常状態」は、医薬品有効化合物の全体的な摂取がその排出とかなり動的平衡状態にある状況を指すことができる。化合物の平均血漿レベルは日々概ね同じレベルを保つが、投薬および排出に関連する日内変動が存在し得る。実際には、ほとんどの薬物について、定期的な投与が開始された後に定常状態に達するのに典型的には約4~約6半減期を要する。
【0042】
「徐放」という用語は、前記医薬品有効化合物がその即時放出形態として送達される場合と比較して、送達される医薬品有効成分の遅延したTMax、減少したCMaxおよび延長された血漿レベルの上昇を生成するなど、著しく延長された1つまたは複数の医薬品有効成分の薬物送達を指す。「徐放(sustained release)」は同義語を有することができ、その非限定的な例には、「遅い放出(slow release)」、「延長された放出(extended release)」、「制御された放出(controlled release)」または「改変された放出(modified release)」が含まれる。
【0043】
「セロトニン再取り込み阻害剤」という用語は、治療投与量での投薬中に観察される血漿曝露レベルで、セロトニン輸送体を機能的に阻害する、すなわち、セロトニン輸送体を介した細胞内へのセロトニンの再取り込みをブロックすることによって身体の組織または区画における細胞外セロトニンの上昇を引き起こす任意の化合物を指す。セロトニン再取り込み阻害剤の非限定的な例としては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ある種の三環系抗うつ薬、ビラゾドン、ボルチオキセチン、トラゾドン、ネファゾドン、メチルフェニデート、デキストロメトルファン、アンフェタミンおよびフェンフルラミンが挙げられる。
【0044】
本明細書で使用される「マトリックス」という用語は、薬学分野におけるその周知の意味、すなわち、任意で有効成分がその中に組み込まれた、膨潤または構造的支持を提供する固体材料を表す。
【0045】
II.一般的な考察
5-HTPは上部腸において中程度のバイオアベイラビリティを有するが(例えば、1つの研究によれば、約20%)、結腸におけるバイオアベイラビリティは低い(例えば、1つの研究によれば、約4%)(国際公開第2019245925号)。したがって、本開示の主題の一局面によれば、5-HTPの経口徐放性送達を達成するために、長期間にわたって5-HTPを上部腸に送達する胃内滞留性徐放性剤形が提供される。さらなる局面において、5-HTPのバイオアベイラビリティを改善する化合物、例えばカルビドパが、胃内滞留性徐放性剤形のために5-HTPとともに送達される。
【0046】
脳セロトニンの強力な薬理的増強のために、5-HTPの比較的高い血漿レベル、すなわち≧50ng/mlが必要とされるようであり[(Gijsmanら、2002;Loweら、2006;Meltzerら、1997;Sargentら、1998;Shenkerら、1985)および(国際公開第2019245925号)]、以前の5-HTP治療が典型的には頻繁な大量の5-HTPの投与を伴ったことを意味する。これは、困難をもたらすことがあり、徐放性製剤では、剤形中に放出を改質する添加物が存在するために可能な用量負荷がしばしばより制限されるので、このことがより当てはまる。ヒトにおける5-HTPの以前の探索的研究では、5-HTPのバイオアベイラビリティを高めるために末梢脱炭酸酵素阻害剤(PDI)が共投与された(Turnerら、2006)。PDIは、芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AAAD)という酵素を阻害する。ヒトの体内では、5-HTP(天然の直接のセロトニン前駆体)およびL-DOPA(天然の直接のドーパミンおよびノルエピネフリン前駆体)はいずれもAAADによってそれぞれセロトニンおよびドーパミンに代謝される。
【0047】
一般的なPDIには、カルビドパおよびベンセラジドが含まれる。カルビドパおよびベンセラジドは、パーキンソン病を処置するためにL-DOPAとともに規制上承認された医薬品において使用されている。PDIは通常、75~150mg/日の飽和用量で使用され、全身性アミノ酸脱炭酸酵素活性の大部分または本質的に全てを阻害するが、脳のアミノ酸デカルボキシラーゼ活性は阻害しない。公開された医学文献において5-HTPが以前に投与された場合、PDI(通常はカルビドパであるが、ベンセラジドであることもある)は常に1つの剤形で投与されたのに対して、5-HTPは異なる剤形で投与された。5-HTPと一緒に与えられるPDIの用量は、典型的には、パーキンソン病の治療で使用されるPDI用量と同様である、すなわち、≧100mg/日である[例えば、(Magnussenら、1982;van Praag、1982)を参照されたい。]。
【0048】
高用量のL-DOPA(≧400mg/日)とともに与えられる場合、高用量のPDI(≧100mg/日)でさえ、L-DOPAのかなりの割合が末梢においてドーパミン、アドレナリンおよびノルアドレナリンに代謝されることを妨げず、それにより、ドーパミン、アドレナリンおよびノルアドレナリンの末梢性ホルモン機能および伝達物質機能が維持される(Eisenhoferら、2014)。しかしながら、L-DOPAで処置されていないヒトに対する高用量PDIでの長期処置は、例えば、ドーパミン、アドレナリンおよびノルアドレナリンまたは他の伝達物質系および生物学的プロセスに影響を及ぼすことによって健康リスクを伴い得るという証拠が存在する[(国際公開第2019148087号)に論述されている;(Allenら、2009;Garfinkelら、1977;Rauwsら、1982)も参照されたい。]。したがって、外因的に投与されるL-DOPAの非存在下で、PDIがヒトまたは別の哺乳動物に慢性的に投与される場合、可能な限り低いPDI用量を使用することが望ましい場合があり得る。
【0049】
最近、ある特定の条件下で、すなわち、カルビドパが5-HTPと時間的および空間的に近接して徐放性様式を介して投与されると、カルビドパは、5-HTPのバイオアベイラビリティを増強する上で予想外に有効であることが示された(米国特許第11,337,963号)。いかなる理論にも束縛されるものではないが、徐放性錠剤などの固体剤形を使用してヒトまたは他の哺乳動物において並行送達を達成するために、5-HTPおよびカルビドパは、同じ剤形から同様またはほぼ同様の速度で放出されると考えられる。しかしながら、5-HTPおよびカルビドパ(例えば、低用量カルビドパ)の同様またはほぼ同様の放出速度のための剤形を設計する場合、考慮すべきいくつかの要因が存在する。第1の考慮事項は、ほとんどのマトリックスからの薬物送達は相当程度拡散に依存することである。したがって、同じマトリックスからの異なる水性溶解度を有する2つの化合物の並行送達は予測不可能であり、実際に一般的には予想されない。5-HTPはやや溶けにくい(水性溶解度約15mg/ml)のに対して、カルビドパはわずかにしか溶けない(水性溶解度約1.5mg/ml)ので、この考慮事項は、5-HTPとカルビドパの徐放による並行送達に当てはまる。低用量のカルビドパ(錠剤あたり<10mg、錠剤あたり<5mg、または錠剤あたり<1mg)を用いて中用量から高用量(錠剤あたり≧200mg)で5-HTPの徐放性剤形を実現することに伴う第2の考慮事項は、低用量のカルビドパに対して含有量の均一性を達成することである。例えば、放出改変添加物の必要性を考慮すると、薬物送達層の総重量は、医薬品有効成分の重量の約2倍であり得る。低用量のカルビドパを製剤化する場合、多くの事例で、これはカルビドパ含有量が総薬物送達層重量の約1%w/w以下であることを意味する。第3の考慮事項は、5-HTPおよびカルビドパを含有する検証された/規制上承認された医薬品が現在利用できないので、5-HTPの存在下でのカルビドパの安定性およびその逆を一般に想定することができないことである。第4の考慮事項は、例えば5-HTPに対するように、大きなAPIレベルを保持する固体剤形を製剤化する場合、ほぼ同様の薬物送達プロファイルを達成するために、異なる用量レベル/用量強度は異なる別個の製剤を伴い得ることである。in vitroおよびin vivoで2つの別個の製剤の送達プロファイルを一致させることは、困難であり、面倒であり、高価であり得、常に可能であるとは限らない。さらに、同じ医薬品のための異なる用量強度での異なる製剤は、薬物開発および薬物製造に負担をかけ得る。
【0050】
同じ剤形内の2つ以上の医薬品有効成分の製剤組成物に伴うさらなる考慮事項は、合わせて医薬品有効成分の安定性を確保するとともに、選択された添加物と一緒に安定性を確保することである。これは、いくつかの条件下、例えば溶液または懸濁液中で化学的に不安定であり得るカルビドパにとって特に問題となり得る(Donnelly、2016)。
【0051】
ヒトの身体において5-HTPの様々な血漿レベルを得るために、5-HTPとカルビドパに対して別々の剤形で、5-HTPとカルビドパの異なる用量の組み合わせを使用した以前の研究が公開されている。これらの研究では、250mg/日~2800mg/日の様々な用量の5-HTPとともに、カルビドパの固定された1日用量、典型的には100mg/日~300mg/日が使用された[例えば、(Magnussenら、1982;van Hiele,1980;van Praag、1982)を参照されたい。]。
【0052】
上記のように、5-HTPおよびL-DOPAはいずれも、体内でAAADによって代謝される。PDIであるカルビドパは、L-DOPAの全身性血漿曝露を増強するために臨床的に使用される。L-DOPAおよびカルビドパの徐放性製剤は当技術分野で公知であり、典型的には25mg以上のカルビドパおよび4:1のL-DOPA:カルビドパ比の錠剤あたり用量を使用する。例えば、SINEMET(R)CR(Organon&Co.,Jersey City、New Jersey、United States of America)の商品名で販売されているL-DOPA/カルビドパ錠剤は、50mgのカルビドパと200mgのL-DOPA、または25mgのカルビドパと100mgのL-DOPAのいずれかを含有する従来の(非胃内滞留性)徐放性錠剤として供給されている。SINEMET(R)CRの開始用量は、400mg/100mgのL-DOPA/カルビドパの1日総開始用量とするために、1日2回、200mg/50mgのL-DOPA/カルビドパである。同様に、400mgのL-DOPAおよび100mgのカルビドパの総1日用量とするために、1日2回の投薬のために、200mgのL-DOPAおよび50mgのカルビドパを含有するL-DOPA/カルビドパの胃内滞留性錠剤が記載されている(米国特許第9,161,911号)。
【0053】
III.5-HTPの胃内滞留性徐放性錠剤剤形
いくつかの態様において、本開示の主題は、5-HTPおよびカルビドパ(例えば、低用量カルビドパ)のための胃内滞留性剤形を提供する。いくつかの態様において、胃内滞留性剤形は、5-HTPおよびカルビドパのための胃内滞留性徐放性剤形である。いくつかの態様において、剤形は錠剤である。
【0054】
いくつかの態様において、本開示の胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、当該剤形がヒトなどの哺乳動物に投与されたときにその日の多くで上昇する(すなわち、ベースラインレベルを超えて維持される)5-HTP血漿レベルを提供するように構成される。いくつかの態様において、剤形は、哺乳動物への当該剤形の1日2回の投薬により、その日の多くで上昇した5-HTP血漿レベルを提供するように構成される。いくつかの態様において、剤形は、哺乳動物への当該剤形の1日1回の投薬により、上昇した5-HTP血漿レベルを提供するように構成される。いくつかの態様において、剤形は、当該剤形が哺乳動物への3またはそれより多い1日投与量のために提供される場合に、上昇した5-HTP血漿レベルを提供するように構成される。いくつかの態様において、本開示の剤形は、その日の多くで(例えば、各24時間の期間の少なくとも約14時間、約16時間、約18時間、約20時間または約22時間)またはその日の全てで、ベースラインを約25ng/ml、約50mg/ml、約75ng/mlまたは約100ng/ml上回って上昇する5-HTP血漿レベルを提供するように構成される。いくつかの態様において、本開示の剤形の投与後(例えば、1日1回または2回)の5-HTP血漿曝露は、同じ5-HTP用量での天然5-HTP即時放出の投与と(例えば、カルビドパを含有しない天然5-HTPの即時放出剤形と)比較して、約1倍~約10倍(例えば、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または約10倍)上昇する。
【0055】
いくつかの態様において、本開示の胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、天然5-HTP即時放出の投与と比較して、(例えば、1日1回または2回の投薬で)5-HTPの最大血漿濃度を達成するのに要する時間(TMax)を約1倍~約10倍遅延させるように構成される(例えば、さらに構成される)。いくつかの態様において、TMaxは、約1倍~約5倍遅延される。いくつかの態様において、TMaxは約4倍遅延される。いくつかの態様において、TMaxは、天然5-HTP即時放出の投与と比較して約3時間~約10時間(例えば、約3時間、約3.5時間、約4.0時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間または約10時間)遅延される。いくつかの態様において、TMaxは、約2時間~約6時間または約3時間~約5時間遅延される。いくつかの態様において、TMaxは約4時間遅延される。
【0056】
いくつかの態様において、本開示の胃内滞留性剤形は、約500mg~約2000mgの総重量の錠剤(例えば、胃内滞留性徐放性2層錠剤)を含むか、約500mg~約2000mgの総重量の錠剤(例えば、胃内滞留性徐放性2層錠剤)から本質的になるか、または約500mg~約2000mgの総重量の錠剤(例えば、胃内滞留性徐放性2層錠剤)からなる。いくつかの態様において、錠剤の総重量は、約1000mg~約2000mgである。いくつかの態様において、錠剤の総重量は、約800mg~約1200mgである。いくつかの態様において、錠剤の総重量は、約1000mg~約1200mgである。いくつかの態様において、錠剤の総重量は、約1000mgである。いくつかの態様において、錠剤の総重量は、約1200mg~約1600mgである。いくつかの態様において、錠剤の総重量は、約500mg~約1000mgである。いくつかの態様において、錠剤の総重量は、約700mg~約850mgである。
【0057】
いくつかの態様において、錠剤は、膨潤層と改質された放出層とを含む。いくつかの態様において、錠剤は2層錠剤である。いくつかの態様において、膨潤層は、1つまたは複数の親水性ポリマー(例えば、胃液の存在下で膨潤可能な1つまたは複数の親水性ポリマー)を含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、5-HTPおよびカルビドパ(例えば、低用量カルビドパ)を含む。いくつかの態様において、膨潤層は、5-HTPまたはカルビドパを含有しない。いくつかの態様において、改質された放出層のみが5-HTPおよびカルビドパを含有する。いくつかの態様において、改質された放出層は、5-HTP、カルビドパ、ならびに5-HTPおよび/またはカルビドパの改質された放出を提供することができる1つまたは複数のポリマーを含む。いくつかの態様において、膨潤層は、(例えば、哺乳動物への錠剤の投与または胃液もしくは別の水性媒体への錠剤の曝露後に)錠剤が水性媒体に曝露されたときに、錠剤の全体積のうちの体積の大部分(例えば、約60%、70%、80%、90%以上)を付与する。いくつかの態様において、膨潤層および改質された放出層は、錠剤が乾燥しているときに概ね等しいサイズ(例えば、概ね等しい重量)を有する。いくつかの態様において、錠剤が乾燥しているときにこれらの層のサイズ(例えば、重量)は異なる。
【0058】
いくつかの態様において、本開示の胃内滞留性剤形は、楕円形または長方形の錠剤として提供される。いくつかの態様において、前記錠剤は、面取りされた角または丸みを帯びた角を有する。いくつかの態様において、錠剤は、膨潤前の幅の約2倍の長さである。いくつかの態様において、膨潤前に、錠剤は、長さ約19mm、幅約9.5mm、深さ約7mmである。
【0059】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)当たりの用量は、約250mgの5-HTPである。したがって、いくつかの態様において、改質された放出層は、約250mgの5-HTPを含む。いくつかの態様において、改質された放出層はカルビドパも含有する。いくつかの態様において、カルビドパの剤形あたりの用量は、約0.3125mg~約25mgである。したがって、いくつかの態様において、改質された放出層は、約0.3125mg~約25mgのカルビドパを含む。いくつかの態様において、カルビドパの用量は、約0.3125mg、約0.625mg、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mgまたは約25mgである。
【0060】
いくつかの態様において、本開示の胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、改質された放出層からの5-HTPおよびカルビドパの放出が本質的に並行するように構成される。例えば、いくつかの態様においては、剤形中の5-HTPの総重量の所定の百分率が(例えば、水性媒体中での溶解試験によって測定される場合に)剤形から放出される期間(すなわち、時間の量)が、剤形中のカルビドパの総重量の対応する百分率が同じ条件下で剤形から放出される期間の約2時間以内(例えば、約2時間、約1.5時間、約1時間または約30分以内)であるように、剤形が構成される。例えば、剤形は、5-HTPおよびカルビドパの一方の重量の80%の放出のための期間(溶解試験では、T=80%、T=80%またはT80%)(すなわち、剤形が水性媒体中に導入された後に、5-HTPまたはカルビドパの重量の80%が剤形から放出されるのに要する時間)が他方のT=80%の約2時間以内であるように構成され得る。いくつかの態様において、5-HTPまたはカルビドパの重量の50%の放出のための期間(溶解T=50%、T=50%またはT50%)は、他方のT=50%の約2時間以内である。いくつかの態様において、5-HTPについてのT=50%およびT=80%(T=50%(5-HTP)およびT=80%(5-HTP))は、それぞれ、カルビドパについてのT=50%およびT=80%(T=50%(カルビドパ)およびT=80%(カルビドパ))の約2時間以内である。いくつかの態様において、T=80%およびT=50%は、適切な体積の適切な水性媒体(例えば、250mLの0.1モル濃度(M)の塩酸(HCl)および0.02%エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA))中で、37℃で米国薬局方(USP)Apparatus III(Reciprocating Cylinder)を使用した溶解試験によって測定される。したがって、いくつかの態様において、250mLの0.1モル濃度(M)の塩酸(HCl)および0.02%エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA))中で、USP Apparatus III(Reciprocating Cylinder)を使用した溶解試験によってT=80%(5-THP)およびT=80%(カルビドパ)が測定された場合に、5-HTPのT=80%(T=80%(5-HTP))は、カルビドパのT=80%(T=80%(カルビドパ))より2時間以下大きいか、または2時間以下小さい。いくつかの態様において、5-HTPについての溶解T=50%およびT=80%は、それぞれ、カルビドパのT=50%およびT=80%の約1時間以内である。いくつかの態様において、5-HTPについての溶解T=50%およびT=80%は、それぞれ、カルビドパのT=50%およびT=80%の約0.5時間以内である。
【0061】
いくつかの態様において、5-HTPおよびカルビドパの一方または両方の80重量%が剤形から放出される期間(すなわち、T=80%(5-HTP)、T=80%(カルビドパ)またはT=80%(5-HTP)とT=80%(カルビドパ)の両方)は、約4時間~約15時間である。いくつかの態様において、T=80%(5-HTP)および/またはT=80%(カルビドパ)は、約5時間~約12時間である。いくつかの態様において、T=80%(5-HTP)およびT=80%(カルビドパ)は、それぞれ約5時間~約12時間(例えば、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.6時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間または約12時間)である。
【0062】
上記のように、いくつかの態様において、胃内滞留性剤形の膨潤層は、水性媒体(例えば、胃液)中で膨潤する1つまたは複数の親水性ポリマーを含む。これに関して、分子量が増加するにつれて、親水性ポリマー中のポリマー間の絡み合いの数は増加し得る。これらの絡み合いは、物理的架橋のように作用することができ、マトリックスを形成する。水がマトリックスに浸されると、マトリックスは膨潤層乾燥体積より大きい体積のゲルを形成することができる。
【0063】
(例えば、本開示の錠剤の改質された放出層中の)APIの改変された放出のための親水性ポリマーの使用という状況においては、浸食が、典型的には、低い水性溶解度のAPIのための薬物送達に対する所望される時間より遅くなるように、高分子量はより多くのポリマーの絡み合いを引き起こし、水性媒体中でのポリマーの溶解の速度を遅くすることができる。より低分子量の親水性ポリマーについては、浸食が優越となり得、放出は急速であり得る。中間分子量の親水性ポリマーについては、浸食は、水に溶けにくいまたは水に不溶性のAPIの主要な放出の機構であり得、より可溶性のAPIの拡散のために十分な膨潤したゲルを提供することができる。
【0064】
ポリエチレンオキシドは、親水性ポリマーの代表的なクラスである。したがって、いくつかの態様において、本明細書で開示される胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)の膨潤層および/または改質された放出層は、POLYOX(R)(Dow Chemical Company,Midland,Michigan,United States of America)の商品名で入手可能なものなどの1つまたは複数のポリエチレンオキシド(PEO)ポリマーを含む。いくつかの態様において、膨潤層は、1つまたは複数のPEOポリマーを含むことができ、PEOポリマーの各々は、1つより多い場合、異なる分子量(MW)を有することができる。いくつかの態様において、膨潤層は、高MW PEOを含む。
【0065】
本明細書で使用される「高分子量PEO」または「高MW PEO」とは、(例えば、レオロジー測定によるなど、適切な方法によって測定された場合に)約400万以上(例えば、約400万~約800万)の平均分子量を有するPEOを意味する。例示的な高MW PEOとしては、約400万の平均MWを有するPOLYOX(R)WSR 301(PEO WSR 301とも呼ばれ得る);約500万の平均MWを有するPOLYOX(R)WSR凝集剤(POLYOX(R)Coagとも呼ばれ得る);約700万の平均MWを有するPOLYOX(R)WSR 303;および約800万の平均MWを有するPEO 308が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される「中分子量PEO」または「中MW PEO」とは、約90万~約400万の平均MWを有するPEOを意味する。例示的な中MW PEOとしては、約90万の平均MWを有するPEO WSR 1105;約100万の平均MWを有するPEO WSR N12K;約200万の平均MWを有するPEO WSR N60K;およびPEO WSR 301が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、PEO WSR 301は、本明細書で使用される中および/または高MW PEOと考えることができる。本明細書で使用される例示的な「低分子量PEO」または低「MW PEO」としては、約10万の平均MWを有するPEO WSR N10および約90万の平均MWを有するPEO WSR 1105などの、但しこれらに限定されない約90万以下の平均MWを有するPEOが挙げられる。したがって、PEO WSR 1105は、本開示の主題による低および/または中MW PEOと考えることができる。
【0066】
1~3個の炭素の置換されたアルキル基を有するアルキル置換されたセルロースは、親水性ポリマーの代表的なクラスである。膨潤のための代表的なアルキル置換されたセルロースポリマーは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)である。特定の代表的なアルキル置換されたセルロースには、HPMCおよびHECが含まれる。HPMCは、20℃での2%水溶液の粘度によって特徴付けることができ、HEC(NATROSOL(商標))は、3400~5000MPa-sの典型的なブルックフィールド粘度を有する25℃での1%溶液の粘度によって特徴付けることができる。HPMCの場合、「低」粘度、「中」粘度および「高」粘度範囲を定義することが便利である。「低」粘度HPMCは、約2MPa-s~500MPa-sと定義される。低粘度HPMCの例は、2.4~3.6MPa-sの粘度を有するMETHOCEL(商標)K3LV、100~120MPa-sの粘度を有するK100LVおよび7~12MPa-sの粘度を有するE5-LVである。「中」粘度HPMCは、約550MPa-s~約30,000MPa-sと定義される。中粘度HPMCの特定の例は、2,663MPa-s~4,970MPa-sの粘度を有するMETHOCEL(商標)K4M、13,275MPa-s~24,780MPa-sの粘度を有するK15Mおよび2,663MPa-s~4,970MPa-sの粘度を有するE4Mである。「高」粘度HPMCは、約30,000MPa-s~約200,000MPa-sと定義される。高粘度HPMCの例は、75,000MPa-s~140,000MPa-sの粘度を有するMETHOCEL(商標)K100Mである。
【0067】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)の膨潤層は、高粘度HPMCを含む。様々なHPMCが、Ashland Inc.(Wilmington,Delaware,United States of America)からのBENECEL(商標)およびMETHOCEL(商標)(Dupont de Nemours,Inc.,Wilmington,Delaware,United States of America)の商品名で入手可能である。
【0068】
高粘度HPMCの例はHPMC K100Mであり、20℃での2%水溶液は75,000MPa-s~140,000MPa-sの粘度を有し、Kは19.0%~24.0%のメトキシ置換を示す。造粒および浸食性薬物放出のための結合剤として使用される中粘度HPMCは、HPMC K4Mであり、20℃での2%水溶液は、2,663MPa-s~4,970MPa-sの粘度を有し、Kは、19.0%~24.0%のメトキシ置換を示す。HPMC K100 LVCRは、徐放のために使用される低粘度HPMCの一例であり、20℃での2%水溶液は80MPa-s~120MPa-sの粘度を有し、Kは19.0~24.0%のメトキシ置換を示す。いくつかの態様において、膨潤層は、1,500MPa-s~2,500mPa-sの粘度を有する、Ashland Inc.(Wilmington、Delaware、United States of America)からのNATROSOL(商標)250 HX Pharm;3,500MPa-s~5,500mPa-sの25℃での1%水溶液の粘度を有する、Ashland Inc.(Wilmington、Delaware、United States of America)からのNATROSOL(商標)250 HHX Pharm;または1%水溶液が1,100cP~1,500cPの粘度を有する、Dow Chemical Company(Midland、Michigan、United States of America)からのCELLOSIZE(商標)15000Hの商品名で販売されているものなどの高粘度ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含む。
【0069】
いくつかの態様において、胃内滞留性徐放性剤形(例えば、錠剤)の膨潤層は、高分子量親水性ポリマーと、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムなどの気体発生剤とを含み、任意で、クエン酸、フマル酸、マレイン酸または医薬添加物として好適な別の一般的な有機酸などの有機酸を含む。
【0070】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)の膨潤層は、概ね等しい(重量または体積)部の高MW PEOと高粘度HPMCとを含むポリマーのブレンドから作製される。いくつかの態様において、膨潤層は、約1:1の高MW PEO:高粘度HPMCの重量比を含む。いくつかの態様において、膨潤層は、高MW PEOを含む。いくつかの態様において、膨潤層は、(例えば、膨潤層の総重量を基準として)最大約50%(w/w)の高MW PEOおよび最大約50%(w/w)の高粘度HPMCを含む。
【0071】
いくつかの態様において、膨潤層は潤滑剤をさらに含む。いくつかの態様において、潤滑剤は、約5%、約3%、約1%または約0.5%(w/w)未満(すなわち、膨潤層の総重量を基準として)で存在する。いくつかの態様において、潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはこれらの混合物を含む。いくつかの態様において、潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム(SSF)を含むかまたはフマル酸ステアリルナトリウム(SSF)からなる。いくつかの態様において、膨潤層は、流動促進剤をさらに含む。いくつかの態様において、膨潤層は抗酸化剤をさらに含む。適切な抗酸化剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、トコフェロールアセテート、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、抗酸化剤はBHTである。
【0072】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)の膨潤層は、水、胃液または別の水性媒体に浸すと、乾燥体積の約200%以上に膨潤する。いくつかの態様において、膨潤層は、乾燥体積の約150%まで膨潤する。いくつかの態様において、膨潤層は、円板を使用するUSP<701>に従った崩壊試験中、約8時間以上後でもなお本質的に無傷である(例えば、実質的に崩壊していない1つの塊である)。
【0073】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)のカルビドパは、同じ改質された放出層(すなわち、2層錠剤の改質された放出層)から5-HTPとともに送達される。いくつかの態様において、膨潤層は、改質された放出層と膨潤層の間に結合剤または結合層なしで、改質された放出層に付着/接着する。いくつかの態様において、改質された放出層および膨潤層は、円板を使用したUSP<701>に従った崩壊試験の間、少なくとも8時間互いに付着した状態を保つ。いくつかの態様において、改質された放出層は、例えば、改質された層と膨潤層の間での接着性を高めるために、PEOを含む。いくつかの態様において、PEOは、改質された放出層の総重量を基準として、約1%(w/w)~約10%(w/w)で改質された放出層中に存在する。いくつかの態様において、改質された放出層は、実質的に薬物放出期間全体を通して膨潤層に直接的にまたは間接的に付着した状態を保つ。
【0074】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)の改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として約50%(w/w)の5-HTPを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として約0.0625%(w/w)~約5%(w/w)のカルビドパを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約50%(w/w)の5-HTPおよび約0.0625%(w/w)~約5%(w/w)のカルビドパを含む。したがって、いくつかの態様において、例えば、剤形が約1000mgの総重量を有する2層錠剤であり、改質された放出層および膨潤層が概ね同じ重量を有する場合、錠剤(例えば、改質された放出層)は約250mgの5-HTPを含む。いくつかの態様において、錠剤(例えば、改質された放出層)は、約0.3125mg~約25mgのカルビドパを含む。いくつかの態様において、錠剤(例えば、改質された放出層)は、約250mgの5-HTPおよび約0.3125mg~約25mgのカルビドパを含む。
【0075】
いくつかの態様において、改質された放出層は、低粘度HPMC、中粘度HPMC、高粘度HPMC、低MW PEO、中MW PEO、高MW PEOおよび高粘度ヒドロキシエチルセルロースから選択される1つまたは複数の1つまたは複数の親水性ポリマーを含む。改質された放出層は、単一の親水性ポリマー、または低粘度HPMC、中粘度HPMC、高粘度HPMC、低MW PEO、中MW PEO、高MW PEOおよび高粘度ヒドロキシエチルセルロースの2つ、3つもしくはそれより多くの組み合わせを含むことができる。改質された放出層はまた、同じタイプの複数のポリマー(例えば、2つ以上の中粘度HPMC)を含むことができる。いくつかの態様において、改質された放出層は、(改質された放出層の総重量を基準として)約14%(w/w)~約37%(w/w)(例えば、約14%(w/w)、15%(w/w)、16%(w/w)、17%(w/w)、18%(w/w)、19%(w/w)、20%(w/w)、21%(w/w)、22%(w/w)、23%(w/w)、24%(w/w)、25%(w/w)、26%(w/w)、27%(w/w)、28%(w/w)、29%(w/w)、30%(w/w)、31%(w/w)、32%(w/w)、33%(w/w)、34%(w/w)、35%(w/w)、36%(w/w)または約37%(w/w))の1つまたは複数の親水性ポリマーを含む。例えば、いくつかの態様において、胃内滞留性錠剤製剤の改質された放出層中の5-HTPおよびカルビドパの放出速度は、HPMC K4Mなどの中粘度HPMCのレベルによって制御される。いくつかの態様において、HPMC K100Mなどの中粘度および高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物(すなわち、ブレンド)が放出速度を制御する。したがって、いくつかの態様において、HPMCは、改質された放出層の総重量を基準として、約10%~約35%(w/w)で改質された放出層中に存在する。いくつかの態様において、改質された放出層は、約15%(w/w)~約35%(w/w)のHPMCを含む。いくつかの態様において、改質された放出層中の中~高MW PEOが薬物の放出を制御する。したがって、いくつかの態様において、改質された放出層は、中および/または高MW PEOを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、約5%(w/w)の中MW PEOおよび/または高MW PEOと、約13%(w/w)~約32%(w/w)の低粘度HMPC、中粘度HPMCまたは中粘度HPMCと高粘度HPMCとの混合物(すなわち、ブレンド)とを含む。
【0076】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)の改質された放出層は、充填剤を含む。いくつかの態様において、充填剤は、微結晶性セルロース(MCC)もしくは硫酸カルシウム、セルロース、リン酸二カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロースもしくはこれらの混合物などの、但しこれらに限定されない別の延性(すなわち、非脆性)充填剤を含むか、または微結晶性セルロース(MCC)もしくは硫酸カルシウム、セルロース、リン酸二カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロースもしくはこれらの混合物などの、但しこれらに限定されない別の延性(すなわち、非脆性)充填剤からなる。いくつかの態様において、充填剤は、薬物放出に対して中立の効果を有しながら、より大きな錠剤サイズを維持することに加えて、錠剤特性(例えば、硬度)を改善することができる。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約5%(w/w)~約30%(w/w)のMCC(例えば、約5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)20%(w/w)、25%(w/w)または約30%(w/w)のMCC)を含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約20%(w/w)のMCCを含む。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約25%(w/w)のMCCを含む。
【0077】
いくつかの態様において、胃内滞留性徐放性剤形の改質された放出層は、潤滑剤をさらに含む。いくつかの態様において、潤滑剤はSSFを含むか、またはSSFからなる。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約0.5%(w/w)~約3%(w/w)の潤滑剤(例えば、SSF)を含む。他の例示的な潤滑剤としては、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
いくつかの態様において、胃内滞留性徐放性錠剤製剤の改質された放出層は、抗酸化剤をさらに含む。いくつかの態様において、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含むかまたはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)からなる。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約0.05%(w/w)~約1%(w/w)を含む。他の例示的な抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、トコフェロールアセテート、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびHandbook of Pharmaceutical Excipientsに列挙されているその他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの態様において、本開示の主題は、膨潤層と改質された放出層とを備える胃内滞留性2層錠剤であって、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約50%(w/w)の5-HTPと;約0.06%(w/w)~約5.4%(w/w)のカルビドパと;約5.7%(w/w)~約25.1%(w/w)のMCC、約5%(w/w)の中または高MW PEOと;約7%(w/w)~約18%(w/w)の中粘度HPMCと;約0%(w/w)~約25%(w/w)の高粘度HPMCと;約0.2%(w/w)のBHTと、約0.1%(w/w)のコロイド状シリカと;約1.5%(w/w)のSSFとを含む、胃内滞留性2層錠剤を提供する。いくつかの態様において、改質された放出層は、改質された放出層の総重量を基準として、約50%(w/w)の5-HTPと;約0.06%(w/w)~約5.4%(w/w)のカルビドパと;約19.8%(w/w)~約25.1%(w/w)のMCCと、約5%(w/w)の中または高MW PEOと;約18%(w/w)の中粘度HPMCと;約0.2%(w/w)のBHTと、約0.1%(w/w)のコロイド状シリカと;約1.5%(w/w)のSSFとを含む。いくつかの態様において、膨潤層は、膨潤層の総重量を基準として、約49.55(w/w)の高MW PEOと、約49.5%(w/w)の高粘度HPMCと、約1%(w/w)の潤滑剤(例えば、SSF)とを含む。いくつかの態様において、改質された放出層および膨潤層の重量は概ね同じである。いくつかの態様において、錠剤の重量は、約800mg~約1200mgである。いくつかの態様において、テーブル(table)の重量は約1000mgである。したがって、いくつかの態様において、膨潤層および改質された放出層のそれぞれの重量は、約500mgである。
【0080】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、嚥下を増進するためにコーティングされる。いくつかの態様において、コーティングは、錠剤の膨潤および薬物送達に対して機能的影響を有さないか、または最小限の機能的影響を有する。いくつかの態様において、コーティングは色を付加する。いくつかの態様において、コーティングは、味を隠す。
【0081】
胃内滞留性錠剤の錠剤硬度は、いくつかの態様において、約22キロポンド(Kp)~約28Kpである。いくつかの態様において、錠剤硬度は、約24Kp~約26Kpである。いくつかの態様において、錠剤硬度は約25Kpである。
【0082】
米国薬局方(「USP」)<905>(“Uniformity of Dosage Units”(「投薬単位の均一性」)(2011))およびUSP<701>(“Disintegration”(「崩壊」)(2016)に記載されている方法を含む、崩壊および含有量の均一性を決定するための方法は、当技術分野で公知であり、これらの各々はあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0083】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)中の5-HTPおよびカルビドパの含有量の均一性は、USP<905>(“Uniformity of Dosage Units”、2011)の要件を満たす。いくつかの態様において、改質された放出層は、含量均一性試験において約15以下の判定値(AV、USP<905>に従って計算される)を有する。いくつかの態様において、改質された放出層は、含量均一性試験において約3%以下の相対標準偏差(RSD)を有する。いくつかの態様において、改質された放出層は、含量均一性試験において、約15以下のAVおよび約3%以下のRSDを有する。いくつかの態様において、改質された放出層は、15℃~約25℃で、光から保護されて保存された場合に少なくとも70日間安定した状態(例えば、物理的および/または化学的に安定した状態)を保つ。いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、15℃~約25℃で、光から保護されて保存された場合に、少なくとも70日間、物理的におよび化学的に安定な状態を保つ。
【0084】
胃内滞留性剤形が胃内に留まる時間は個体によって異なり得るが、いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、(例えば、摂食状態にある、すなわち、剤形が食事と同時にまたは食事後約15分以内にヒトに経口投与されたときの)胃内で膨潤し、シンチグラフィによって評価された場合に、対象の群にわたって平均して約4時間~約6時間胃内に保持される。いくつかの態様において、剤形は約5時間胃内に保持される。
【0085】
いくつかの態様において、胃内滞留性徐放性錠剤製剤からの5-HTPの送達速度は、カルビドパのレベルによって影響を受けない。例えば、改質された放出層中のカルビドパの用量は、カルビドパと延性充填剤の総合計重量が一定のままであるように延性充填剤(例えば、MCC)のレベルを調整することによって、5’-HTPの放出速度に影響を及ぼすことなく(例えば、約0.3125mgから約25mgまで)調整することができる。例えば、より高いカルビドパ含有量では、改質された放出層はより少ない延性充填剤を含むことができるのに対して、より低いカルビドパ含有量では、改質された放出層はより多くの延性充填剤を含むことができる。別の表現をすれば、剤形は、カルビドパ含有量に基づいて延性充填剤の量を逆に調整することによって、異なるカルビドパ含有量値のある範囲にわたって同じ5-THP放出速度を維持するように構成される。いくつかの態様において、カルビドパと微結晶性セルロースの総合計重量が一定に保たれた場合に、0.3125mg~25mgのカルビドパ含有量の範囲にわたって、5-HTPに対して同じ放出速度および/またはカルビドパに対して同じ放出速度を提供するように剤形が構成されている。したがって、いくつかの態様において、カルビドパおよび/または5-HTPのT=80%は、剤形が0.3125mgのカルビドパもしくは25mgのカルビドパまたはそれらの間の任意の値を含有するかどうかにかかわらず、同じ値である。
【0086】
いくつかの態様において、治療シナリオの要求に適合する様々な血漿5-HTPレベルを得るために、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)あたりの5-HTP用量は固定される一方、錠剤あたりのカルビドパ用量は変動する。いくつかの態様において、5-HTP用量は錠剤あたり約250mgに固定される一方、カルビドパ用量は約0.3125mg~約25mgで変動する。いくつかの態様において、5-HTPの固定用量は250mg未満であり、いくつかの態様において、5-HTPの固定用量は250mgより高い。いくつかの態様において、固定された錠剤あたりの5-HTP用量は、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mgまたは約500mgである一方、錠剤あたりのカルビドパ用量は変動する。
【0087】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)あたりのカルビドパ用量は、同じ用量の天然5-HTP即時放出形態から生じる血漿曝露と比較して、所与の固定用量の5-HTPからの5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強する。いくつかの態様において、カルビドパ用量は、同じ用量の天然5-HTP即時放出形態から生じる血漿曝露と比較して、所与の固定用量の5-HTPからの5-HTP血漿曝露を約0.5倍~約3倍増強する。いくつかの態様において、カルビドパ用量は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、所与の固定用量の5-HTPからの5-HTP血漿曝露を約3倍~約10倍増強する。
【0088】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)において固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約5ng/ml以下の定常状態で平均CMax値に達する。いくつかの態様において、固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約5ng/ml以下の定常状態で平均に達する。いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)において固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約10ng/ml以下の定常状態で平均CMax値に達する。いくつかの態様において、固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約10ng/ml以下の定常状態で平均に達する。
【0089】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)において固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約15ng/ml以下の定常状態で平均CMax値に達する。いくつかの態様において、固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約15ng/ml以下の定常状態で平均に達する。
【0090】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)において固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約20ng/ml以下の定常状態で平均CMax値に達する。いくつかの態様において、固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約20ng/ml以下の定常状態で平均に達する。
【0091】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)において固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約20ng/ml以下の定常状態で平均CMax値に達する。いくつかの態様において、固定された5-HTP用量とともに使用されるカルビドパの用量範囲は、その天然5-HTP即時放出形態で投与された同じ用量の5-HTPから生じる血漿曝露と比較して、5-HTP血漿曝露を約1倍~約10倍増強するのに対して、カルビドパ血漿レベルは、約25ng/ml以下の定常状態で平均に達する。
【0092】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)によって生成される5-HTP血漿曝露は、その天然即時放出形態の5-HTPと比較して、5-HTPおよびカルビドパを含有する改質された放出層中のより高いカルビドパ用量に応じて増加する。本明細書のいくつかの態様において、カルビドパ用量の増加と5-HTP血漿曝露の増加との間の関係は非線形である。本明細書のいくつかの態様において、カルビドパ用量の増加と5-HTP血漿曝露の増加との間の関係は、より低いカルビドパ用量では線形であり、より高いカルビドパ用量では非線形である。
【0093】
いくつかの態様において、カルビドパ用量の1倍の増加は、5-HTP曝露の1倍より小さい増加をもたらす。いくつかの態様において、カルビドパ用量の1倍の増加は、より低いカルビドパ用量で5-HTP曝露の約1倍の増加、より高いカルビドパ用量で5-HTP曝露の1倍より小さい増加をもたらす。いくつかの態様において、カルビドパ用量の倍数増加は、5-HTP曝露のより小さい倍数増加をもたらす。
【0094】
(例えば、任意で摂食状態の、ヒトなどの哺乳動物に1日1回または2回投与されたときに)胃内滞留性剤形によって生成される5-HTP血漿レベルは、5-HTPとカルビドパ用量の組み合わせに応じて、定常状態で、平均で約25ng/ml~約1000ng/mlであり得る。いくつかの態様において、1日2回の投薬で、定常状態で、平均5-HTP血漿レベルは約25ng/mlを上回る。いくつかの態様において、1日2回の投薬で、定常状態で、平均5-HTP血漿レベルは約50ng/mlを上回る。いくつかの態様において、定常状態で、平均5-HTP血漿レベルは約100ng/mlを上回る。いくつかの態様において、定常状態での平均5-HTP血漿レベルは約150ng/mlを上回る。いくつかの態様において、定常状態平均5-HTP血漿レベルは約200ng/mlを上回る。いくつかの態様において、定常状態平均5-HTP血漿レベルは約250ng/mlを上回る。いくつかの態様において、定常状態平均5-HTP血漿レベルは約300ng/mlを上回る。いくつかの態様において、定常状態平均5-HTP血漿レベルは約350ng/mlを上回る。いくつかの態様において、定常状態平均5-HTP血漿レベルは約400ng/mlを上回る。
【0095】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)によって生成される平均5-HTP血漿TMaxは、(例えば、任意で摂食状態の、ヒトへの1日1回または2回投与に基づいて)その天然即時放出形態で投与された5-HTPと比較して約1倍~約7倍遅延する。いくつかの態様において、平均5-HTP血漿TMaxは、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間または約8時間で生じる。いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトへの1日1回または2回の剤形(例えば、錠剤)の投与は、5-HTPの即時放出剤形と比較して平均で約4時間遅れる、5-HTPの最大血漿濃度(TMax)を達成するための時間を提供する。
【0096】
胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)によって生成される平均カルビドパ血漿レベルは、定常状態で約25ng/ml未満であり得る。いくつかの態様において、平均カルビドパ血漿レベルは、約20ng/ml未満、約15ng/ml未満、約10ng/ml未満、約5ng/ml未満、約2.5ng/ml未満または約1ng/ml未満であり得る。胃内滞留性剤形によって生成される平均カルビドパCMax血漿レベルは、定常状態で約25ng/ml未満であり得る。いくつかの態様において、本開示の主題によって生成される平均CMax血漿レベルは、定常状態で、約20ng/ml未満、約15ng/ml未満、約10ng/ml未満、約5ng/ml未満、約2.5ng/ml未満または約1ng/ml未満であり得る。
【0097】
本開示の主題の胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、いくつかの態様において、5-HTPがその天然即時放出形態で所与の用量で投与される場合と比較して、終末相半減期(T1/2)を増加させることができる。いくつかの態様において、哺乳動物対象、任意でヒトに1日1回または2回剤形(例えば、錠剤)を投与することは、5-HTPが即時放出形態で投与される場合の5-HTP半減期と比較して増加した5-HTP半減期を提供する。いくつかの態様において、5-HTP半減期は、5-HTPが即時放出形態で投与される場合の5-HTP半減期と比較して約10%~約200%増加する。いくつかの態様において、T1/2は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約100%延長される。いくつかの態様において、T1/2は、約100%~約200%延長される。いくつかの態様において、T1/2は、約3.2時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間または約6時間である。
【0098】
したがって、本開示の胃内滞留性剤形は、経口投与することができ、常にまたはほとんどの時間、継続的にベースラインを超えて血漿5-HTPレベルを増加させることによって治療的に作用することができる。いくつかの態様において、5-HTP血漿レベルは、経時的なレベルの変動ができる限り最小限で継続的に増加する。いかなる理論にも束縛されるものではないが、5-HTPは血液脳関門を横切るので、増加した血漿5-HTPは、脳のセロトニンの(i)合成、(ii)レベルおよび(iii)神経伝達を増加させることができると考えられる。より具体的には、細胞外セロトニンのレベルの増加は、セロトニン受容体の増加した刺激を引き起こすことができると考えられる。この受容体刺激の総体が増加したセロトニン神経伝達を引き起こすことができる。本明細書で上記されているように、広範なヒト障害において、5-HTP剤形を使用したセロトニン神経伝達の増大の治療的関連性について裏付けが存在する。
【0099】
したがって、いくつかの態様において、本開示の主題は、それを必要とする対象における治療的使用のための開示された胃内滞留性剤形の使用を提供する。いくつかの態様において、対象はヒトである。胃内滞留性徐放性錠剤製剤は、1日1回または2回投与され得る。投与は、1日の任意の時刻に行うことができる。いくつかの態様において、投与は、それぞれ、朝食および夕食とともにまたは朝食および夕食後に(例えば、朝食および夕食後の約15分以内に)、朝および夕方に行われる。いくつかの態様において、1日2回の投薬における投与間の間隔は約12時間であるが、間隔はより長くまたはより短くすることができる。いくつかの態様において、胃内滞留性剤形は、食事中または食事後に必要とする対象に投与される。いくつかの態様において、1日2回の投与は、朝および夕方の食事の間または後に行われる。いくつかの態様において、1日2回の投与は、その日の2つの最高カロリー含有量または最高脂肪含有量の食事、例えば朝食および夕食、昼食および夕食、または朝食および昼食の後に行われる。
【0100】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、例えば、その日の最高カロリー含有量を有する食事中もしくは食事後および/または最高脂肪含有量を有する食事中もしくは食事後に1日1回投与される。
【0101】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、1日1回、2回または3回投与される。いくつかの態様において、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、1日3回より多く投与される。
【0102】
いくつかの態様において、本開示の胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)は、1つまたは複数の他の薬物とともに治療的に使用される。
【0103】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形は、セロトニン再取り込み阻害剤単独による治療が不十分な治療的緩和をもたらす場合に、セロトニン再取り込み阻害剤に対する補助療法として使用される。5-HTPは、哺乳動物の脳において細胞外セロトニンを上昇させる上でセロトニン再取り込み阻害剤と相乗作用することが知られている(Jacobsenら、2016a)。すなわち、いくつかの状況下では、5-HTPとセロトニン再取り込み阻害剤の併用投与の結果としての脳細胞外セロトニンの増加は、個別的に投与された5-HTPとセロトニン再取り込み阻害剤との結果としての脳細胞外セロトニンの増加の合計よりも大きい。それにより、本開示の胃内滞留性剤形は、セロトニン再取り込み阻害剤療法の薬理的効果を著しく増強させるために使用することができる。
【0104】
いくつかの態様において、本開示の胃中滞留性剤形の投与の結果として生じる有効な治療的血漿5-HTPレベルは、胃内滞留性剤形が単剤療法として使用される場合と比較すると、セロトニン再取り込み阻害剤療法に対する補助療法として使用される場合より低い。さらなる態様では、本開示の胃内滞留性剤形との併用療法中に、より低用量のセロトニン再取り込み阻害剤を使用して治療有効性を達成することができる。いくつかの態様において、併用療法の忍容性を高めるために、本開示の胃内滞留性剤形の投与とセロトニン再取り込み阻害剤の投与との間には間隔が存在する。便利な様式は、セロトニン再取り込み阻害剤を所定の食事の前に投与し、胃内滞留性剤形を所定の食事の後に投与することである。異なる態様において、前記間隔は、0.5時間、1時間、2時間、3時間もしくは4時間であり、またはそれより長い。
【0105】
一部の障害は、高い継続的な5-HTP血漿曝露を必要とすることがあり得、この場合、胃内滞留性剤形(例えば、錠剤)の投与当たり1単位より多くが必要となり得る。いくつかの態様において、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの剤形(例えば、錠剤)を1日1回、2回、3回またはそれより多くの投与にわたって投与することができる。
【0106】
いくつかの態様において、本開示の胃内滞留性剤形を必要とする対象における本開示の胃内滞留性剤形の安全性および/または忍容性を最適化するために、用量設定漸増スキームを使用して、数日、数週または数ヶ月にわたって5-HTP血漿レベルを徐々に上昇させることができる。いくつかの態様において、用量設定漸増は、より低いレベルのカルビドパ、例えば0.3125mgを含む錠剤を投与して処置を開始することによって達成され、第1の間隔後に、より高いカルビドパレベル、例えば0.625mgを含む錠剤が第2の間隔のために投与される。この用量設定漸増手法は、増加するレベルのカルビドパを有する錠剤を使用して、第3、第4、第5などの間隔で延長することができる。間隔の長さは、必要に応じて、1~数日または1~数週間とすることができる。いくつかの態様において、用量設定漸増は、例えば対象の安全性、忍容性および臨床応答を最適化するために、患者/患畜に対して個別化される。いくつかの例では、用量設定漸増は、第1の間隔については1日1錠のみを投与し、その後、第2の間隔およびその後の間隔については1日2回以上の投与を含む。同様に、用量設定漸減は、カルビドパ用量強度が低下する錠剤を1、2、3もしくは数回の間隔にわたって投与することによって、および/または投与される1日の錠剤の数を減らすことによって、用量設定漸減を必要とする対象において達成することができる。用量設定漸減は、セロトニン作動性促進薬を含む多くの医薬品について、中断症状を最小限に抑えることができる(Haddad、1998)。
【0107】
いくつかの態様において、胃内滞留性剤形は、特定の障害を処置するために使用され、その非限定的な例としては、社会不安、パニック障害、全般不安症、強迫性障害(OCD)、神経障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病)に関連する気分症状および激越、脳卒中の回復、月経前不快気分、心的外傷後ストレス障害、産後うつ病、インターフェロン処置後のうつ病、摂食障害、肥満、過敏性腸症候群-便秘、特発性便秘ならびに他の便秘障害が挙げられる。さらに、いくつかの態様において、胃内滞留性剤形は、病因が低脳セロトニンに関連する適応症を処置するために使用され、その非限定的な例としては、衝動制御障害、攻撃性、自殺念慮、境界性人格障害、自閉症、フェニルケトン尿症およびテトラヒドロビオプテリン欠乏症が挙げられる。
【実施例】
【0108】
以下の実施例は、本開示の主題の代表的な態様を実施するために当業者に指針を提供するために含まれている。本開示および当技術分野における技術の一般的な水準に照らして、当業者は、以下の実施例が例示のみを意図していること、ならびに本開示の主題の範囲から逸脱することなく多数の変更、修正および改変を使用することができることを理解することができる。
【0109】
実施例1
5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の製造
5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤技術の4つの組成物を製剤化し、2層錠剤として製造した。以下の表1を参照されたい。錠剤重量は合計約1000mgであった。乾燥錠剤の形状は、楕円形、長さ18.9mm、幅9.6mm、深さ7mmであり、面取りされた縁を有した。膨潤層および改質された放出層の重量はいずれも約500mgであった。
【0110】
錠剤は、膨潤層および改変された放出層のための別々のブレンドから製造され、各層は、錠剤金型ダイ内で他方に続いて充填および圧縮されて、2層錠剤を得た。各添加物をふるいにかけ、適切なブレンド(膨潤または改変された放出)に添加した。
【0111】
改変された放出層ブレンドでは、5-HTPおよびカルビドパ成分を充填剤に添加し、乾式リンスを行った。事前に、USP<905>の要件を満たすブレンド中のカルビドパ含有量の均一性を得るために、カルビドパを少量の微結晶性セルロース(MCC)と混合して第1の「プレブレンド」を作製した。必要であれば、すなわち低レベルのカルビドパで、第1のプレブレンドを追加量のMCCと混合し、第2のプレブレンドを作製した。このプロセスを任意で数回繰り返し、いくつかの中間プレブレンドを作製して、カルビドパ含有量の均一性を達成した。最終的なMCC/カルビドパプレブレンドを、5-HTPおよびフマル酸ステアリルナトリウムを除く残りの改質された放出層添加物と混合した。この混合物を600μmのふるいに通してふるいにかけ、その後、フマル酸ステアリルナトリウムを加えて混合した。これが最終的な改質された放出層ブレンドであった。
【0112】
膨潤層ブレンドでは、全ての添加物をスクリーニングし、混合した。これが最終的な膨潤層ブレンドであった。
【0113】
錠剤を製造するために、手動の打錠機(Natoli NP-RD10A(Natoli、Saint Charles、Missouri、United States of America)を使用した。まず、改質された放出ブレンドをダイの中に充填し、圧縮した。次に、膨潤ブレンドをダイの中に充填し、改質された放出層の上に圧縮して、2層錠剤を得た。錠剤硬度は約25kp(22~28kp)であった
【0114】
これらの錠剤は手動のプロセスによって調製されたが、自動化された2層プレス、例えばManesty BB3B 2層打錠機(Manesty、Knowsley、United Kingdom)で同じプロセスを完全に自動化することができる。造粒プロセスおよび流動促進剤の添加は、自動化プロセスで使用するための粉体の流れを改善することができ、機械部品への粘着を避けるために潤滑剤(lubricated)が添加され得る。さらに、これらの錠剤は直接圧縮によって製造されたが、強固な錠剤の製造を可能にし、および/または含有量の均一性を改善するために、ならびに製造の規模を拡大するために、錠剤の製造は、高剪断造粒、流動床造粒またはローラー圧縮に容易に適合される。膨潤層および改質された放出層の組成を以下の表1に示す。5-HTPレベルを錠剤あたり250mgで一定に保った。カルビドパ含有量は、カルビドパ原体の水和のレベルに対して調整された。(カルビドパ原体の水和に対して調整された)錠剤あたりのカルビドパのレベルは、0.3125mg~25mgの範囲であった。カルビドパ含有量の均一性の結果を以下の表2に示す。
【0115】
2層錠剤中で膨潤層と組み合わされた場合の改質された放出層からの5-HTPの放出速度は、USP III装置(850-DS溶解サンプリングステーション(オートサンプラー)を含むAgilent BIO-DIS往復シリンダ装置3/7システム)を使用した溶解試験下で、T80%約8時間(h)(「速い」、
図1A~1B参照)からT80%約11時間(「遅い」)(
図1C~1D参照)まで変動した。T80%は、化合物(5-HTPまたはカルビドパ)の80%が剤形から放出された時間である。改質された放出層中のHPMC K100M CRおよびHPMC K4M DCのレベルを変化させ、500mgの改質された放出層重量を維持するようにMCCレベルを調整することによって、放出速度を制御した。表1を参照されたい。カルビドパレベルの増加または減少は、500mgの改質された放出層重量を維持するために、それぞれMCCレベルを減少または増加させることによって埋め合わせた。表1を参照されたい。カルビドパのレベルは5-HTP放出速度に影響を及ぼさなかった。
図2を参照されたい。5-HTPおよびカルビドパ放出速度は、全体的な放出速度(「速い」、「遅い」または「中間」)およびカルビドパレベルに関係なく、類似しており、並行していた。
図3A~3Cを参照されたい。以下の実施例3の表6も参照されたい。2層錠剤の全ての組成の繰り返しで、5-HTPおよびカルビドパのT=80%の差は2時間未満であった。
【0116】
崩壊試験(USP<701>(“Disintegration”(2019)に準拠する円板を備えたCopley DTG 2000崩壊試験機)の間、膨潤層は概ね無傷の状態を保ち(すなわち、一体で、顕著な浸食なし)、改質された放出層は(侵食によりサイズが減少するが)少なくとも8時間膨潤層に付着したままであった。
図4を参照されたい。
【0117】
実施例2
5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の短期安定性。
5-HTP/低用量カルビドパ(「速い」)胃内滞留性組成物の2層錠剤の3つの異なるカルビドパ含有量を短期安定性(T=0、T=7日、T=35日およびT=70日)について試験した。改質された放出層については、表3~5に定義されている全ての合否判定基準を満たすものを「安定」と定義した。3つの2層錠剤は、250mgの5-HTP/0.625mgのカルビドパ、250mgの5-HTP/5mgのカルビドパおよび250mgの5-HTP/25mgのカルビドパを含んでいた。膨潤層添加物が5-HTPおよびカルビドパに対するアッセイおよび関連物質に干渉したので、アッセイおよび関連物質を単一の改変された放出単層上で決定した。5-HTPおよびカルビドパに対するアッセイは、3つ全ての錠剤について、全ての安定性時点で公称の90.0~110.0%以内であった。5-HTPおよびカルビドパの関連物質は、3つ全ての錠剤について、全ての安定性時点で合否判定基準内に留まった。外観は、全ての2層錠剤について、白色ないしオフホワイトの2層錠剤として変化しないままであった。以下の表3~5を参照されたい。USP III装置を使用して、3つの2層錠剤からの5-HTPおよびカルビドパの溶解プロファイルを試験した。
図5A~5Eを参照されたい。70日での3つの2層錠剤全てについての5-HTPの溶解プロファイルは、T=0でのプロファイルと区別できなかった。
図5A~5Cおよび表3~5を参照されたい。250mgの5-HTP/5mgのカルビドパおよび250mgの5-HTP/25mgの2層錠剤についてのカルビドパの溶解プロファイルは、T=0でのプロファイルと区別できなかった(250mgの5-HTP/0.625mgのカルビドパ2層からのカルビドパレベルは低すぎて、確実に定量することができなかった)。
図5Dおよび5Eを参照されたい。
【0118】
実施例3
他の5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の製造
実施例1において提示された5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤技術の範囲をさらに広げるために、異なる膨潤層および改質された放出層の2層錠剤の一連の33組成物を調製し、実施例1に記載されている溶解試験によって特徴付けた。以下の表6を参照されたい。列挙されていない添加物は、表1に列挙されたものと同一である。T=80%放出が試験された33の組成物のうち29において、5-HTPのT=80%とカルビドパのT=80%の差は2時間未満であり、5-HTPとカルビドパの本質的に並行した放出を実証した。
【0119】
製剤は、製剤201140-082シリーズまで、合計1200mgの錠剤重量(膨潤層600mg、改質された放出層600mg)で、300mgの5-HTP、25mgのカルビドパで調製した。それより後は、250mgの5-HTPおよび2.5mgのカルビドパを用いて、錠剤重量を1200mgから1000mg(膨潤層500mg、改質された放出層500mg)に低下させた。
【0120】
実施例4
添加物適合性
2つのAPIのみまたは1つもしくは2つの添加物の存在下のいずれかで、一緒に混合された5-HTPおよびカルビドパの安定性を調べるために、添加物適合性研究を行った。添加物ありまたはなしで、一緒にブレンドされた5-HTP(300mg)およびカルビドパ(25mg)の少量のアリコートを使用して、安定性(アッセイおよび不純物のレベル)を試験した。以下の表7を参照されたい。API/添加物比は、表1における5-HTPおよびカルビドパの胃内滞留性錠剤のおよその組成に基づいた。T=0、40℃で7日および1ヶ月の保存では、API/添加物の組み合わせのいずれについても不純物のレベルの著しい増加は存在しなかった。以下の表8を参照されたい。カルビドパの最大百分率増加(最も多い単一の不純物)は、T=0、7日および1ヶ月でそれぞれ0.44%、0.55%および0.86%であった。5-HTPの最大百分率増加は、T=0、7日および1ヶ月でそれぞれ0.27%、0.48%および0.49%であった。
【0121】
実施例5
ヒト健康志願者における5-HTP/低用量カルビドパ胃内滞留性錠剤の評価
5期間の非盲検薬物動態研究において、「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(0.625mg、2.5mg、5mgまたは15mg)胃内滞留性錠剤を、合計16人の健康な対象のコホートからの対象に経口投与した。表9を参照されたい。対象の平均年齢は約50歳(33歳~60歳)であった。全て白色人種であり、男性11人、女性5人であった。平均体重は約80kgであり、肥満度指数(BMI)は全て32.0kg/m2未満であった。対象は、研究の間、診療所に入院した。錠剤の膨潤層を1MBq以下の111Inで放射性標識して、胃腸管内の錠剤の並行したシンチグラフィ位置を可能にした。朝食の80%以上の摂取後、錠剤は朝に、投与あたり1錠投与された。210mLの水、続いて30mLの水の中に4MBq以下のテクネチウム-99m-ジエチレントリアミン五酢酸(99mTc-DTPA)を含有する放射性標識された飲料(放射性造影剤)とともに錠剤を投与した。錠剤投与後36時間にわたって、所定の時点で、5-HTPおよびカルビドパ血漿分析のための血液試料を採取した。
【0122】
最初の4つの期間では、錠剤は、カルビドパの増加する用量の順序で、標準化されたFDA高脂肪、高カロリー食(FDA、2022年)後に投与された。最も高いカルビドパ用量の錠剤、5-HTP(250mg)/カルビドパ15mgの投与を期間5で繰り返したが、FDA中脂肪、中カロリー食を用いて、「速い」胃内滞留性錠剤の5-HTPおよびカルビドパ薬物動態に対する別の食事タイプの影響を評価した。以下の表9を参照されたい。血漿中の5-HTPおよびカルビドパを液体クロマトグラフィー質量分析によって分析した。錠剤5-HTPプロファイルに関しては、「速い」胃内滞留性錠剤からの錠剤薬物動態5-HTPデータを、「速い」胃内滞留性錠剤に対するのと同様の実験条件下で、同じ診療所内で、同様に設計された研究において、標準化されたFDAの高脂肪、高カロリー食の後に250mgの天然5-HTP即時放出を投与された、同じ地理的領域から募集された12人の健康志願者の別個のコホートからの血漿5-HTPデータと比較した。
【0123】
血漿薬物動態パラメータは、標準的なPhoenix WinNonlin法を使用して推定した。データは、幾何平均±SEMとして示されている。高脂肪食後の単回錠剤投与後の5-HTP血漿プロファイルを
図6Aに示す。FDA中脂肪、中カロリー食後と比較したFDA高脂肪、高カロリー食後の「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(15mg)錠剤の単回錠剤投与後の5-HTP血漿プロファイルを
図6Bに示す。ノンパラメトリック重ね合わせを使用して、期間1~4からのデータをフィッティングし、シミュレートして(高脂肪、高カロリー食後の)1日2回の投薬での薬物動態学的定常状態に外挿した。
図6Cを参照されたい。ノンパラメトリック重ね合わせを用いて外挿された1日2回投薬での定常状態での対応するAUC
1~12hを
図6Dに示す。以下の表10は、(i)天然5-HTP即時放出、(ii)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(0.625mg)胃内滞留性錠剤、(iii)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(2.5mg)胃内滞留性錠剤、(iv)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(5mg)胃内滞留性錠剤および(v)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(15mg)胃内滞留性錠剤という5つの胃内滞留性錠剤処置後の重要な5-HTP薬物動態パラメータを要約している。
【0124】
カルビドパの血漿薬物動態データを
図7A~7Dに示す。カルビドパ血漿は、0.625mgカルビドパ用量強度の全ての時点で、および2.5mgカルビドパ用量強度のほとんどの時点で定量下限(1ng/ml)を下回っていた。5mgおよび15mgカルビドパ用量強度についてのみ、可能なノンパラメトリック重ね合わせを使用して定常状態に外挿した。以下の表11は、(i)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(2.5mg)胃内滞留性錠剤、(ii)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(5mg)胃内滞留性錠剤、および(iii)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(15mg)胃内滞留性錠剤、および(iv)「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(15mg)胃内滞留性錠剤後の重要なカルビドパ薬物動態パラメータを要約しており、後者は中程度の脂肪食後である。定量限界を下回るカルビドパ濃度は表に要約されていない。約5時間のT
maxは、全ての用量群で同様であった。
【0125】
膨潤層のシンチグラフィおよび111In放射線標識を使用して、胃内容排出時間および結腸到達までの時間を、胃内滞留性錠剤の投与後の対象の定期的なシンチグラフィイメージングによって推定した。
図8を参照されたい。平均して、錠剤は胃の中に約5時間胃内保持され、結腸到達は約9時間であった。中脂肪、中カロリー食後の「速い」5-HTP(250mg)/低用量カルビドパ(15mg)の単回投与は、高脂肪高カロリー食後に測定されたものよりもわずかに速く生じる放射性標識錠剤の胃腸通過をもたらした。5つ全ての投与期間にわたって比較した場合、平均胃内容排出時間(4.4時間)および結腸到達(6.3時間)時間は、高脂肪高カロリー食後より中脂肪中カロリー食後の方が約1~2時間速かった。
【0126】
参考文献
全ての特許、特許出願およびそれらの公開物、科学雑誌論文ならびにデータベース登録事項を含むがこれらに限定されない本明細書に列挙された全ての参考文献は、それらが本明細書において使用される方法論、技術および/または組成物を補足し、説明し、それらの背景を提供し、または教示する限度まで、その全体が参照により本明細書に援用される。
Allen GF,Land JM,Heales SJ(2009).A new perspective on the treatment of aromatic L-amino acid decarboxylase deficiency.Mol Genet Metab 97(1):6-14.
Birdsall TC(1998).5-Hydroxytryptophan:a clinically-effective serotonin precursor.Altern Med Rev 3(4):271-280.
Bono G,Micieli G,Sances G,Calvani M,Nappi G(1984).L-5HTP treatment in primary headaches:an attempt at clinical identification of responsive patients.Cephalalgia 4(3):159-165.
Cangiano C,Ceci F,Cascino A,Del Ben M,Laviano A,Muscaritoli M,et al(1992).Eating behavior and adherence to dietary prescriptions in obese adult subjects treated with 5-hydroxytryptophan.Am J Clin Nutr 56(5):863-867.
Caruso I,Sarzi Puttini P,Cazzola M,Azzolini V(1990).Double-blind study of 5-hydroxytryptophan versus placebo in the treatment of primary fibromyalgia syndrome.The Journal of international medical research 18(3):201-209.
Donnelly,Ronald F(2016)Stability of Levodopa/Carbidopa Rectal Suspensions.Hosp Pharm.Dec;51(11):915-921.
Eisenhofer G,Brown S,Peitzsch M,Pelzel D,Lattke P,Glockner S,et al(2014).Levodopa therapy in Parkinson’s disease:influence on liquid chromatographic tandem mass spectrometric-based measurements of plasma and urinary normetanephrine,metanephrine and methoxytyramine.Ann Clin Biochem 51(Pt 1):38-46.
FDA(2022).Assessing the Effects of Food on Drugs in INDs and NDAs-Clinical Pharmacology Considerations Guidance for Industry.
Garfinkel PE,Warsh JJ,Stancer HC,Godse DD,Brown GM,Vranic M(1977).The effect of a peripheral decarboxylase inhibitor(carbidopa)on monoamine and neuroendocrine function in man.Neurology 27(5):443-447.
Gijsman HJ,van Gerven JM,de Kam ML,Schoemaker RC,Pieters MS,Weemaes M,et al(2002).Placebo-controlled comparison of three dose-regimens of 5-hydroxytryptophan challenge test in healthy volunteers.J Clin Psychopharmacol 22(2):183-189.
Haddad,P(1998)The SSRI discontinuation syndrome.J Psychopharmacol.12(3):305-13.
Jacobsen JP,Rudder ML,Roberts W,Royer EL,Robinson TJ,Oh A,et al(2016a).SSRI Augmentation by 5-Hydroxytryptophan Slow Release:Mouse Pharmacodynamic Proof of Concept.Neuropsychopharmacology 41(9):2324-2334.
Jacobsen JPR,Krystal AD,Krishnan KRR,Caron MG(2016b).Adjunctive 5-Hydroxytryptophan Slow-Release for Treatment-Resistant Depression:Clinical and Preclinical Rationale.Trends Pharmacol Sci 37(11):933-944.
Jacobsen JPR,Oh A,Bangle R,Roberts WL,Royer EL,Modesto N,et al(2019).Slow-release delivery enhances the pharmacological properties of oral 5-hydroxytryptophan:mouse proof-of-concept.Neuropsychopharmacology 44(12):2082-2090.
Kahn RS,Westenberg HG(1985).L-5-hydroxytryptophan in the treatment of anxiety disorders.J Affect Disord 8(2):197-200.
Lowe SL,Yeo KP,Teng L,Soon DK,Pan A,Wise SD,et al(2006).L-5-Hydroxytryptophan augments the neuroendocrine response to a SSRI.Psychoneuroendocrinology 31(4):473-484.
Magnussen I,Dupont E,Prange-Hansen A,de Fine Olivarius B(1977).Palatal myoclonus treated with 5-hydroxytryptophan and a decarboxylase-inhibitor.Acta Neurol Scand 55(3):251-253.
Magnussen I,Mondrup K,Engbaek F,Lademann A,Olivarius BD(1982).Treatment of myoclonic syndromes with paroxetine alone or combined with 5-HTP.Acta Neurol Scand 66(2):276-282.
Meloni M,Puligheddu M,Carta M,Cannas A,Figorilli M,Defazio G(2020a).Efficacy and safety of 5-hydroxytryptophan on depression and apathy in Parkinson’s disease:a preliminary finding.Eur J Neurol 27(5):779-786.
Meloni M,Puligheddu M,Sanna F,Cannas A,Farris R,Tronci E,et al(2020b).Efficacy and safety of 5-Hydroxytryptophan on levodopa-induced motor complications in Parkinson’s disease:A preliminary finding.J Neurol Sci 415:116869.
Meltzer H,Bastani B,Jayathilake K,Maes M(1997).Fluoxetine,but not tricyclic antidepressants,potentiates the 5-hydroxytryptophan-mediated increase in plasma cortisol and prolactin secretion in subjects with major depression or with obsessive compulsive disorder.Neuropsychopharmacology 17(1):1-11.
PCT Publication No.WO 2019/245925 by Jacobsen et al.
Ramaekers VT,Senderek J,Hausler M,Haring M,Abeling N,Zerres K,et al(2001).A novel neurodevelopmental syndrome responsive to 5-hydroxytryptophan and carbidopa.Molecular genetics and metabolism 73(2):179-187.
Rauws AG,Vos JG,Garbis-Berkvens JM,Peters PW,de Vries T,van Logten MJ(1982).Comparative 90-day toxicity of two decarboxylase inhibitors,benserazide and carbidopa,in the rat.Toxicol Appl Pharmacol 66(2):201-220.
Santucci M,Cortelli P,Rossi PG,Baruzzi A,Sacquegna T(1986).L-5-hydroxytryptophan versus placebo in childhood migraine prophylaxis:a double-blind crossover study.Cephalalgia 6(3):155-157.
Sargent PA,Williamson DJ,Cowen PJ(1998).Brain 5-HT neurotransmission during paroxetine treatment.Br J Psychiatry 172:49-52.
Shenker Y,Gross MD,Grekin RJ(1985).Central serotonergic stimulation of aldosterone secretion.J Clin Invest 76(4):1485-1490.
Thombre AG(2005).Assessment of the feasibility of oral controlled release in an exploratory development setting.Drug Discov Today 10(17):1159-1166.
Trouillas P,Brudon F,Adeleine P(1988).Improvement of cerebellar ataxia with levorotatory form of 5-hydroxytryptophan.A double-blind study with quantified data processing.Arch Neurol 45(11):1217-1222.
Turner EH,Loftis JM,Blackwell AD(2006).Serotonin a la carte:supplementation with the serotonin precursor 5-hydroxytryptophan.Pharmacol Ther 109(3):325-338.
U.S.Patent No.9,161,911 to Hou.
U.S.Patent No.11,337,963 to Jacobsen et al.
van Hiele LJ(1980).l-5-Hydroxytryptophan in depression:the first substitution therapy in psychiatry? The treatment of 99 out-patients with ’therapy-resistant’ depressions.Neuropsychobiology 6(4):230-240.
van Praag HM(1982).Serotonin precursors in the treatment of depression.Adv Biochem Psychopharmacol 34:259-286.
【0127】
本開示の主題の様々な詳細は、本開示の主題の範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解されよう。さらに、前述の説明は例示のみを目的としており、限定を目的とするものではない。
【国際調査報告】