(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】マルチスペクトル光アセンブリを備えたマシンビジョンシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G01N21/84 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506216
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022038842
(87)【国際公開番号】W WO2023014601
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504382671
【氏名又は名称】コグネックス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス-ドラド ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ヌニンク ローレンス
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AB02
2G051BA08
2G051BA20
2G051BB07
2G051BB09
(57)【要約】
照明システム用のマルチスペクトル光アセンブリは、複数の異なる波長の光を生成するように構成されたマルチスペクトル光源と、マルチスペクトル光源の前方に配置され、前記複数の異なる波長の光のうち2つ以上の混色を行うように構成されたライトパイプと、を備えている。マルチスペクトル光アセンブリはさらに、ライトパイプに設けられた拡散面と、拡散面の前方に配置された投影レンズと、を備えている。処理装置がマルチスペクトル光アセンブリと通信してマルチスペクトル光源の駆動を制御するように構成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンビジョンシステム用の照明アセンブリであって、
複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えており、前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリはそれぞれ、
複数の異なる波長の光を生成するように構成されたマルチスペクトル光源と、
入射面及び出射面を有し、照明方向を基準として前記マルチスペクトル光源の前方に配置されたライトパイプであって、前記マルチスペクトル光源によって生成された前記複数の異なる波長の光のうち2つ以上を受光して、前記複数の異なる波長の光のうち前記2つ以上の混色を行うように構成されたライトパイプと、
前記ライトパイプの出射面に配され、前記ライトパイプから送出された混色光を受光する拡散面と、
前記拡散面の前方に配置された投影レンズであって、前記拡散面から前記混色光を受光し、前記混色光を含む光ビームを物体に投影するように構成された投影レンズと、
を備えており、
前記照明システムはさらに、前記複数のマルチスペクトル光アセンブリと通信し、前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリの前記マルチスペクトル光源の駆動を制御するように構成された処理装置を備えている
ことを特徴とする照明アセンブリ。
【請求項2】
前記マルチスペクトル光源は、それぞれ異なる波長の光を別個に出力するように構成された複数のカラー発光ダイオード(LED)を備えている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項3】
前記マルチスペクトル光源は、RGBW LED、RGB IR LED、又はRGBY LEDのいずれかである、
請求項2記載の照明アセンブリ。
【請求項4】
前記処理装置と通信し、前記マルチスペクトル光源によって生成された少なくとも1つの波長の光を受光して当該波長の光の強度を測定するように構成された照明センサをさらに備えている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項5】
前記処理装置は、前記少なくとも1つの波長の光の測定された前記強度を受け取って、測定された当該強度に基づき、前記少なくとも1つの波長の光の前記強度の調整又は前記少なくとも1つの波長の光の露光時間の調整のうち1つ又は複数を行うように構成されている、
請求項4記載の照明アセンブリ。
【請求項6】
前記処理装置は、測定された前記強度と目標強度との比較に基づき、前記少なくとも1つの波長の光の前記強度を調整するように構成されている、
請求項5記載の照明アセンブリ。
【請求項7】
前記拡散面は、前記ライトパイプから送出される光の角度を制御するように構成されている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項8】
前記拡散面は、前記ライトパイプから送出される光の形状を制御するように構成されている、
請求項7記載の照明アセンブリ。
【請求項9】
前記投影レンズは、非球面形レンズ、球面形レンズ、トロイダル形レンズ、シリンドリカル形レンズ、自由曲面レンズのいずれか1つ、又は複数のレンズ形状の組み合わせである、
請求項8記載の照明アセンブリ。
【請求項10】
前記物体に投影される光ビームの形状は、前記マシンビジョンシステムの視野(FOV)の形状に略等しい、
請求項8記載の照明アセンブリ。
【請求項11】
前記物体に投影される光ビームの形状は矩形である、
請求項10記載の照明アセンブリ。
【請求項12】
前記拡散面は、前記ライトパイプの前記出射面に配置されたホログラフィック・ディフューザである、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項13】
前記拡散面は、前記ライトパイプの前記出射面の拡散テクスチャである、
請求項1記載の照明システム。
【請求項14】
前記ライトパイプの形状と、前記ライトパイプの前記入射面と前記出射面との面積の比と、が混色のために最適化されている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項15】
少なくとも1つのレンズを備えた光学系アセンブリと、
撮像センサを備えたセンサアセンブリと、
前記少なくとも1つのレンズまわりに対称的に配置された複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明アセンブリと、
を備えており、
前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリは、
それぞれ異なる波長の光を生成する複数のカラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源であって、前記複数のカラーLEDダイの向きは、照明領域においてバランスのとれた色の分布を提供するように設定されたマルチスペクトル光源と、
前記マルチスペクトル光源の前方に配置され、出射面を有するライトパイプと、
前記ライトパイプの前記出射面に配置された拡散面と、
前記拡散面の前方に配置され、物体に前記照明領域を投影するように構成された投影レンズと、
を備えており、
前記マシンビジョンシステムは、前記光学系アセンブリ、前記センサアセンブリ及び前記照明アセンブリと通信し、前記複数の各カラーLEDダイの駆動を制御するように構成された処理装置をさらに備えている
ことを特徴とするマシンビジョンシステム。
【請求項16】
前記処理装置は前記複数の各カラーLEDダイを順次駆動するように構成されている、
請求項15記載のマシンビジョンシステム。
【請求項17】
前記処理装置は、1つの露光時間中に前記複数の各カラーLEDダイを順次駆動するように構成されている、
請求項16記載のマシンビジョンシステム。
【請求項18】
前記光学系アセンブリ、前記センサアセンブリ、前記照明アセンブリ及び前記処理装置の周囲に配置されたハウジングと、
前記照明アセンブリの前方において前記ハウジングに取り外し可能に取り付けられた拡散光アセンブリであって、前記照明アセンブリから送出された光を拡散光に変換するように構成された拡散光アセンブリと、
をさらに備えている請求項15記載のマシンビジョンシステム。
【請求項19】
前記複数の各カラーLEDダイは、それぞれ異なる色のLEDを含む前記複数の各カラーLEDダイにそれぞれ対応する複数のライティング位置をそれぞれ有し、
前記複数のマルチスペクトル光アセンブリは全体として、前記複数の各ライティング位置における各異なる色の数が等しい、
請求項15記載のマシンビジョンシステム。
【請求項20】
物体に存在するシンボルの画像を取得するために使用されるマシンビジョンシステム用の照明システムを制御するための方法であって、
少なくとも1つのマルチスペクトル光源と、対応するライトパイプと、を用いて、第1のカラーチャネルに関連付けられた第1の波長を有する第1の光ビームを第1の期間にわたって投影することと、
照明センサを用いて前記第1の光ビームの強度を測定することと、
処理装置を用いて、前記第1の光ビームの測定された前記強度と第1の目標強度とを比較することと、
前記処理装置を用いて、前記第1の光ビームの測定された前記強度と前記第1の目標強度との比較結果に基づき、前記第1の光ビームの測定された前記強度が前記目標強度に等しくなるまで前記第1の光ビームの光の量を調整することと、
前記第1の期間後、前記少なくとも1つのマルチスペクトル光源と、対応するライトパイプと、を用いて、第2のカラーチャネルに関連付けられた第2の波長を有する第2の光ビームを第2の期間にわたって投影することと、
前記照明センサを用いて前記第2の光ビームの強度を測定することと、
前記処理装置を用いて、前記第2の光ビームの測定された前記強度と第2の目標強度とを比較することと、
前記処理装置を用いて、前記第2の光ビームの測定された前記強度と前記第2の目標強度との比較結果に基づき、前記第2の光ビームの測定された前記強度が前記第2の目標強度に等しくなるまで前記第2の光ビームの光の量を調整することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記第1の光ビームと前記第2の光ビームとは順次投影される、
請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第1の期間と前記第2の期間とは、同じ1つの露光時間に含まれる、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記第1の光ビームの光の量を調整することは前記第1の期間の時間長を調整することを含み、又は、前記第2の光ビームの光の量を調整することは前記第2の期間の時間長を調整することを含む、
請求項21記載の方法。
【請求項24】
撮像センサを備えた撮像センサアセンブリと、
前記撮像センサアセンブリに結合されたレンズアセンブリと、
前記レンズアセンブリに結合された照明アセンブリと、
を備えており、
前記照明アセンブリは複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えており、
前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリは、
少なくとも2つの異なる波長の光を生成するように構成された複数のカラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源と、
前記マルチスペクトル光源の前方に配置され、出射面を有するライトパイプと、
前記ライトパイプの前記出射面に配置された拡散面と、
前記拡散面の前方に配置された投影レンズと、
を備えており、
前記マシンビジョンシステムは、前記照明アセンブリの前方に配置された取り外し可能なフロントカバーをさらに備えている
ことを特徴とするマシンビジョンシステム。
【請求項25】
取り外し可能な前記フロントカバーの前方に配置されて前記マシンビジョンシステムに取り外し可能に取り付けられたパッシブ光アクセサリをさらに備えている、
請求項24記載のマシンビジョンシステム。
【請求項26】
前記パッシブ光アクセサリは、前記照明アセンブリから送出された光を拡散光に変換するように構成された拡散光アセンブリである、
請求項25記載のマシンビジョンシステム。
【請求項27】
前記フロントカバーの一部は、前記照明アセンブリからの光を拡散するように構成されている、
請求項24記載のマシンビジョンシステム。
【請求項28】
前記フロントカバーの一部は直交偏光を提供するように構成されている、
請求項24記載のマシンビジョンシステム。
【請求項29】
前記照明アセンブリから送出された光を検出するように配置された照明センサと、
距離センサと、
をさらに備えている、
請求項24記載のマシンビジョンシステム。
【請求項30】
前記距離センサはタイム・オブ・フライト型センサ(TOF)である、
請求項29記載のマシンビジョンシステム。
【請求項31】
前記レンズアセンブリの焦点を調整するための手動の焦点調整機構をさらに備えている、
請求項24記載のマシンビジョンシステム。
【請求項32】
前記レンズアセンブリの前方に配置されたマルチアパーチャアセンブリをさらに備えている、
請求項24記載のマシンビジョンシステム。
【請求項33】
撮像センサを備えた撮像センサアセンブリと、
前記撮像センサアセンブリに結合されたレンズアセンブリであって、複数のレンズと、当該レンズアセンブリの周囲に配置された第1のギアと、を備えたレンズアセンブリと、
前記レンズアセンブリに結合された照明アセンブリと、
を備えており、
前記照明アセンブリは、
ハウジングと、
前記レンズアセンブリの前記第1のギアと可動に係合するギア機構と、
前記レンズアセンブリの焦点を調整するためのツールを受けるように構成された開口を有する外表面と、
複数の開口を有するフロントプレートと、
複数のマルチスペクトル光アセンブリと、
を備えており、
前記マシンビジョンシステムは、前記照明アセンブリの前方に配置された取り外し可能なフロントカバーをさらに備えている
ことを特徴とするマシンビジョンシステム。
【請求項34】
前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリは、
少なくとも2つの異なる波長の光を生成するように構成された複数のカラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源と、
前記マルチスペクトル光源の前方に配置され、出射面を有するライトパイプと、
前記ライトパイプの前記出射面に配置された拡散面と、
前記拡散面の前方に配置された投影レンズと、
を備えている、
請求項33記載のマシンビジョンシステム。
【請求項35】
前記照明アセンブリの前記フロントプレートの前記複数の各開口はそれぞれ、前記複数のマルチスペクトル光アセンブリのうち各対応する1つのマルチスペクトル光アセンブリの投影レンズを受けるように構成されている、
請求項34記載のマシンビジョンシステム。
【請求項36】
取り外し可能な前記フロントカバーの前方に配置されて前記マシンビジョンシステムに取り外し可能に取り付けられたパッシブ光アクセサリをさらに備えている、
請求項33記載のマシンビジョンシステム。
【請求項37】
前記ギア機構は、
前記レンズアセンブリの前記第1のギアと可動に係合する第2のギアと、
前記第2のギアと可動に係合する第3のギアと、
を備えている、
請求項33記載のマシンビジョンシステム。
【請求項38】
前記第3のギアの回転によって前記第2のギア及び前記第1のギアの回転が駆動されて、前記レンズアセンブリの少なくとも1つのレンズの移動が引き起こされる、
請求項37記載のマシンビジョンシステム。
【請求項39】
前記少なくとも1つのレンズの前記移動は、前記撮像センサアセンブリに対する接近又は離隔である、
請求項38記載のマシンビジョンシステム。
【請求項40】
前記第3のギアは、前記レンズアセンブリの焦点を調整するためのツールによって回転されるように構成されている、
請求項38記載のマシンビジョンシステム。
【請求項41】
前記フロントカバーの一部は、(1)前記照明アセンブリからの光の拡散、又は(2)直交偏光の提供、の少なくとも1つを行うように構成されている、
請求項33記載のマシンビジョンシステム。
【請求項42】
前記照明アセンブリから送出された光を検出するように配置された照明センサと、
距離センサと、
をさらに備えている、
請求項33記載のマシンビジョンシステム。
【請求項43】
前記レンズアセンブリの前方に配置されたマルチアパーチャアセンブリをさらに備えている、
請求項33記載のマシンビジョンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、米国特許出願第17/390,920号(出願日:2021年7月31日、発明の名称:「Machine Vision System and Method with Multispectral Light Assembly(マルチスペクトル光アセンブリを備えたマシンビジョンシステム及び方法)」)及び同出願第17/548,417号(出願日:2022年1月4日、発明の名称:「Machine Vision System and Method with Multispectral Light Assembly(マルチスペクトル光アセンブリを備えたマシンビジョンシステム及び方法)」)に基づき、またその優先権を主張するものであり、これら各出願の開示内容は全て、参照により本願の開示内容に含まれるものとする。
【0002】
本願開示は一般にはマシンビジョンシステムに関し、より具体的には、複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明システムと、マルチスペクトル光アセンブリを制御するための方法と、に関する。
【背景技術】
【0003】
マシンビジョンシステム(単に「ビジョンシステム」と称することもある)は、撮像センサを備えた画像取得装置を使用して、観察対象の被写体に関する情報を提供することができる。その後、システムはこの情報を様々なアルゴリズムに従って解釈し、プログラミングされた意思決定又は識別機能を実行することができる。例えば、システムにとって関心のある特徴を有する物体の画像は、適切な照明下でオンボード撮像センサ(単に「撮像装置」又は「センサ」と称することもある)によって可視光域又は可視光域付近で取得することができ、かかる取得は、内部若しくは外部の照明装置により提供される光又は周辺光に基づいて行うことができる。
【0004】
ビジョンシステムは、製造、物流及び産業における種々のタスクに用いることができる。ビジョンシステムの一般的なタスクは、シンボル(例えば一次元又は二次元コード、「ID」とも称される)の読み取り及び復号化であり、かかるタスクは多岐にわたる幅広い用途や業界において用いられ、とりわけIDバーコード、二次元データマトリクスコード(2D DataMatrix Codes)、QRコード(登録商標)、及びドットコードの形態をとることができる。撮像センサは被写体又は物体の画像(典型的には、グレースケール又はカラーの一次元、二次元又は三次元画像)を取得し、オンボード又は相互接続されたビジョンシステムプロセッサを用いて、この取得した画像を処理する。このプロセッサは、1つ又は複数のビジョンシステム処理を実行して画像の処理済み情報に基づく所望の出力を生成する処理ハードウェアと非一時的なコンピュータ可読プログラム指令(ソフトウェア)の両方を備えていることが多い。この画像情報は典型的には、それぞれが種々の色又は強度を有する画素のアレイで提供される。IDリーダ(ここでは「リーダ」とも称される)の事例では、ユーザ又は自動プロセスが、1つ又は複数のバーコード、二次元コードその他の形式のIDを含むと考えられる物体の画像を取得する。この画像が処理されることにより、符号化された特徴が識別され、その後、1つ又は複数の復号化処理によってこの符号化された情報を復号化して、コードにより表現された固有の英数字データが得られる。
【0005】
ビジョンシステムは、表面及び部品の検査、組立ての際の物体のアライメント、測定、その他視覚的データを取得して後続の処理で使用するために解釈する全ての作業等の他のタスクでも使用することができる。例えば、(製造工程中等に)製造ライン上の物体(部品又はパーツ等)を検査して物体が所定の基準を満たすことを保証するためにビジョンシステムを用いることができる。例えば、各物体が特定の特徴又は特性を保有することが期待されることがあり得る。その場合、検査工程においてビジョンシステムの撮像センサが物体の画像を取得し、(例えばビジョンシステムプロセッサ等を用いて)この画像を処理して物体の特徴又は特性を識別することができる。上記の検査工程の結果を作業者が閲覧するためにディスプレイに出力することができる。物体が検査に合格した場合には、当該物体を製造ライン上に残して後続の処理及び/又はハンドリングに回すことができる。物体が検査で不合格となった場合には物体にマークを付し、及び/又は製造ラインから除外することができる。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、マシンビジョンシステム用の照明アセンブリは、複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えている。各マルチスペクトル光アセンブリはそれぞれ、複数の異なる波長の光を生成するように構成されたマルチスペクトル光源と、入射面及び出射面を有し、前記マルチスペクトル光源の前方に配置されたライトパイプと、を備えている。前記ライトパイプは、前記マルチスペクトル光源によって生成された前記複数の異なる波長の光のうち2つ以上を受光して、前記複数の異なる波長の光のうち前記2つ以上の混色を行うように構成されている。前記マルチスペクトル光アセンブリは、前記ライトパイプの出射面に配され、前記ライトパイプから送出された混色光を受光する拡散面と、前記拡散面の前方に配置された投影レンズであって、前記拡散面から前記混色光を受光し、前記混色光を含む光ビームを物体に投影するように構成された投影レンズと、をさらに備えている。前記照明アセンブリはさらに、前記複数のマルチスペクトル光アセンブリと通信する処理装置を備えている。前記処理装置は、前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリの前記マルチスペクトル光源の駆動を制御するように構成されている。
【0007】
一部の実施形態では照明アセンブリは、それぞれ異なる波長の光を別個に出力するように構成された複数のカラー発光ダイオード(LED)を備えたマルチスペクトル光源を備えることができる。一部の実施形態では照明アセンブリは、RGBWLED、RGB IR LED、又はRGBY LEDのいずれかを含むマルチスペクトル光源を備えることができる。一部の実施形態では照明アセンブリは、前記処理装置と通信し、前記マルチスペクトル光源によって生成された少なくとも1つの波長の光を受光して当該波長の光の強度を測定するように構成可能な照明センサを備えることができる。一部の実施形態では照明アセンブリは、少なくとも1つの波長の光の測定された前記強度を受け取って、測定された当該強度に基づき、前記少なくとも1つの波長の光の前記強度の調整又は前記少なくとも1つの波長の光の露光時間の調整のうち1つ又は複数を行うように構成可能な処理装置を備えることができる。一部の実施形態では照明アセンブリは、測定された前記強度と目標強度との比較に基づき、前記少なくとも1つの波長の光の前記強度を調整するように構成可能な処理装置を備えることができる。一部の実施形態では照明アセンブリは、ライトパイプから送出される光の角度を制御するように構成された拡散面を備えることができる。一部の実施形態では照明アセンブリは、ライトパイプから送出される光の形状を制御するように構成可能な拡散面を備えることができる。一部の実施形態では照明アセンブリは、非球面形レンズ、球面形レンズ、トロイダル形レンズ、シリンドリカル形レンズ、自由曲面レンズのいずれか1つ、又は複数の異なるレンズ形状の組み合わせである投影レンズを備えることができる。一部の実施形態では、前記物体に投影される光ビームの形状は、前記マシンビジョンシステムの視野(FOV)の形状に略等しくすることができる。一部の実施形態では、前記物体に投影される光ビームの形状は矩形である。一部の実施形態では、前記拡散面は、前記ライトパイプの前記出射面の拡散テクスチャである。一部の実施形態では、前記ライトパイプの形状と、前記ライトパイプの前記入射面と前記出射面との面積の比と、が混色のために最適化されている。
【0008】
他の一実施形態では、マシンビジョンシステムは、少なくとも1つのレンズを備えた光学系アセンブリと、撮像センサを備えたセンサアセンブリと、前記少なくとも1つのレンズまわりに対称的に配置された複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明アセンブリと、を備えている。各マルチスペクトル光アセンブリは、複数のカラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源を備えている。前記複数の各カラーLEDダイは、それぞれ異なる波長の光を生成するように構成されている。前記複数のカラーLEDダイの向きは、照明領域においてバランスのとれた色の分布を提供するように設定されている。前記マルチスペクトル光アセンブリは、前記マルチスペクトル光源の前方に配置され、出射面を有するライトパイプと、前記ライトパイプの前記出射面に配置された拡散面と、前記拡散面の前方に配置され、物体に前記照明領域を投影するように構成された投影レンズと、をさらに備えている。前記マシンビジョンシステムは、前記光学系アセンブリ、前記センサアセンブリ及び前記照明アセンブリと通信する処理装置をさらに備えている。前記処理装置は、前記複数の各カラーLEDダイの駆動を制御するように構成されている。
【0009】
一部の実施形態ではマシンビジョンシステムは、マルチスペクトル光源の複数の各カラーLEDダイを順次駆動するように構成可能な処理装置を備えることができる。一部の実施形態ではマシンビジョンシステムは、1つの露光時間中にマルチスペクトル光源の複数の各カラーLEDダイを順次駆動するように構成可能な処理装置を備えることができる。一部の実施形態ではマシンビジョンシステムは、光学系アセンブリ、センサアセンブリ、照明アセンブリ及び処理装置の周囲に配置されたハウジングと、前記照明アセンブリの前方において前記ハウジングに取り外し可能に取り付けられた拡散光アセンブリであって、前記照明アセンブリから送出された光を拡散光に変換するように構成された拡散光アセンブリと、を備えることができる。一部の実施形態ではマシンビジョンシステムは、複数の各カラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源を備えることができ、前記複数の各カラーLEDダイは、それぞれ異なる色のLEDを含む前記複数の各カラーLEDダイにそれぞれ対応する複数のライティング(lighting)位置をそれぞれ有し、前記複数のマルチスペクトル光アセンブリは全体として、前記複数の各ライティング位置における各異なる色の数が等しい。
【0010】
他の一実施形態では、物体に存在するシンボルの画像を取得するために使用されるマシンビジョンシステム用の照明システムを制御するための方法は、少なくとも1つのマルチスペクトル光源と、対応するライトパイプと、を用いて、第1の光ビームを第1の期間にわたって投影することを含む。前記第1の光ビームは、第1のカラーチャネルに関連付けられた第1の波長を有する。前記方法は、照明センサを用いて前記第1の光ビームの強度を測定することと、処理装置を用いて、前記第1の光ビームの測定された前記強度と第1の目標強度とを比較することと、前記処理装置を用いて、前記第1の光ビームの測定された前記強度と前記第1の目標強度との比較結果に基づき、前記第1の光ビームの光の量を調整し、前記第1の光ビームの測定された前記強度が前記目標強度に等しくなるまで光の量の調整を繰り返すことと、をさらに含む。前記方法は前記第1の期間後、前記少なくとも1つのマルチスペクトル光源と、対応するライトパイプと、を用いて、第2の光ビームを第2の期間にわたって投影することをさらに含む。前記第2の光ビームは、第2のカラーチャネルに関連付けられた第2の波長を有する。前記方法は、前記照明センサを用いて前記第2の光ビームの強度を測定することと、前記処理装置を用いて、前記第2の光ビームの測定された前記強度と第2の目標強度とを比較することと、前記処理装置を用いて、前記第2の光ビームの測定された前記強度と前記第2の目標強度との比較結果に基づき、前記第2の光ビームの光の量を調整し、前記第2の光ビームの測定された前記強度が前記第2の目標強度に等しくなるまで光の量の調整を繰り返すことと、をさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、マシンビジョンシステム用の照明システムを制御するための方法は、第1の光ビームと第2の光ビームとを順次投影することを含むことができる。一部の実施形態では、マシンビジョンシステム用の照明システムを制御するための方法は、第1の光ビームを第1の期間にわたって投影することと、第2の光ビームを第2の期間にわたって投影することと、を含むことができ、前記第1の期間と前記第2の期間とは、同じ1つの露光時間に含まれることができる。一部の実施形態では、マシンビジョンシステム用の照明システムを制御するための方法は、第1の光ビーム又は第2の光ビームの光の量を調整することを含むことができ、前記第1の光ビームの光の量を調整することは前記第1の期間の時間長を調整することを含み、又は、前記第2の光ビームの光の量を調整することを含む。
【0012】
一実施形態ではマシンビジョンシステムは、撮像センサを備えた撮像センサアセンブリと、前記撮像センサアセンブリに結合されたレンズアセンブリと、前記レンズアセンブリに結合された照明アセンブリと、前記照明アセンブリの前方に配置された取り外し可能なフロントカバーと、を備えている。前記照明アセンブリは複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えることができる。前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリは、少なくとも2つの異なる波長の光を生成するように構成された複数のカラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源と、前記マルチスペクトル光源の前方に配置され、出射面を有するライトパイプと、前記ライトパイプの前記出射面に配置された拡散面と、前記拡散面の前方に配置された投影レンズと、を備えることができる。
【0013】
一部の実施形態では前記マシンビジョンシステムは、取り外し可能な前記フロントカバーの前方に配置されて前記マシンビジョンシステムに取り外し可能に取り付け可能なパッシブ光アクセサリをさらに備えることができる。一部の実施形態では、前記パッシブ光アクセサリは、前記照明アセンブリから送出された光を拡散光に変換するように構成可能な拡散光アセンブリとすることができる。一部の実施形態では、前記フロントカバーの一部は、前記照明アセンブリからの光を拡散するように構成することができる。一部の実施形態では、前記フロントカバーの一部は直交偏光を提供するように構成することができる。一部の実施形態では前記マシンビジョンシステムは、前記照明アセンブリから送出された光を検出するように配置された照明センサと、距離センサと、をさらに備えることができる。一部の実施形態では、前記距離センサはタイム・オブ・フライト型センサ(TOF)とすることができる。一部の実施形態では前記マシンビジョンシステムは、前記レンズアセンブリの焦点を調整するための手動の焦点調整機構をさらに備えることができる。一部の実施形態では前記マシンビジョンシステムは、前記レンズアセンブリの前方に配置されたマルチアパーチャアセンブリをさらに備えることができる。
【0014】
さらに他の一実施形態では、マシンビジョンシステムは、撮像センサを備えた撮像センサアセンブリと、前記撮像センサアセンブリに結合されたレンズアセンブリと、を備えている。前記レンズアセンブリは、複数のレンズと、当該レンズアセンブリの周囲に配置された第1のギアと、を備え前記マシンビジョンシステムは、前記レンズアセンブリに結合された照明アセンブリと、前記照明アセンブリの前方に配置された取り外し可能なフロントカバーと、をさらに備えることができる。前記照明アセンブリは、ハウジングと、前記レンズアセンブリの前記第1のギアと可動に係合するギア機構と、前記レンズアセンブリの焦点を調整するためのツールを受けるように構成された開口を有する外表面と、複数の開口を有するフロントプレートと、複数のマルチスペクトル光アセンブリと、を備えている。
【0015】
一部の実施形態では、前記マシンビジョンシステムの前記照射アセンブリの各マルチスペクトル光アセンブリは、少なくとも2つの異なる波長の光を生成するように構成可能な複数のカラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源と、前記マルチスペクトル光源の前方に配置され、出射面を有するライトパイプと、前記ライトパイプの前記出射面に配置された拡散面と、前記拡散面の前方に配置された投影レンズと、を備えることができる。一部の実施形態では、前記照明アセンブリの前記フロントプレートの前記複数の各開口はそれぞれ、前記複数のマルチスペクトル光アセンブリのうち各対応する1つのマルチスペクトル光アセンブリの投影レンズを受けるように構成することができる。一部の実施形態では、前記マシンビジョンシステムは、取り外し可能な前記フロントカバーの前方に配置されて前記マシンビジョンシステムに取り外し可能に取り付け可能なパッシブ光アクセサリをさらに備えることができる。一部の実施形態では、前記照明アセンブリの前記ギア機構は、前記レンズアセンブリの前記第1のギアと可動に係合する第2のギアと、前記第2のギアと可動に係合する第3のギアと、を備えることができる。一部の実施形態では、前記第3のギアの回転によって前記第2のギア及び前記第1のギアの回転が駆動されて、前記レンズアセンブリの少なくとも1つのレンズの移動が引き起こされることができる。一部の実施形態では、前記少なくとも1つのレンズの前記移動は、前記撮像センサアセンブリに対する接近又は離隔である。一部の実施形態では、前記第3のギアは、前記レンズアセンブリの焦点を調整するためのツールによって回転されるように構成されている一部の実施形態では、前記マシンビジョンシステムの前記フロントカバーの一部は、前記照明アセンブリからの光の拡散、及び/又は偏光の提供を行うように構成することができる。一部の実施形態では、前記マシンビジョンシステムは、前記照明アセンブリから送出された光を検出するように配置された照明センサと、距離センサと、をさらに備えることができる。一部の実施形態では、前記マシンビジョンシステムは、前記レンズアセンブリの前方に配置されたマルチアパーチャアセンブリをさらに備えることができる。
【0016】
以下、添付図面を参照して本願開示について説明する。同図面中、同様の符号は同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本技術の一実施形態のマルチスペクトル光アセンブリの概略図である。
【
図2】本技術の一実施形態の複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステムの概略的なブロック図である。
【
図3】本技術の一実施形態の照明システムの複数のマルチスペクトル光源の向きの一例を示す図である。
【
図4】本技術の一実施形態の照明システムのマルチスペクトル光アセンブリからの照明の種々の組み合わせを用いて生成された照明光パターン例を示す図である。
【
図5】本技術の一実施形態の照明システムの光バンク構成例を示す概略図である。
【
図6】本技術の一実施形態の画像を生成するためのマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明システムを制御するための方法を示す図である。
【
図7】本技術の一実施形態のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明システムを用いて画像を生成するために複数回の露光を用いるタイミング構成を示すグラフである。
【
図8】本技術の一実施形態のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明システムを用いて画像を生成するために1回の露光を用いるタイミング構成を示すグラフである。
【
図9】本技術の一実施形態の拡散光アセンブリ例を示す図である。
【
図10】本技術の一実施形態のビジョンシステム及び
図9の拡散光アセンブリの概略的なブロック図である。
【
図11】本技術の一実施形態の複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステムアセンブリの分解斜視図である。
【
図12】本技術の一実施形態の
図11のビジョンシステムアセンブリの一例の照明アセンブリの分解図である。
【
図13】本技術の一実施形態の照明アセンブリのバックプレートの内表面の斜視図である。
【
図14】本技術の一実施形態の照明アセンブリのバックプレートの外表面を含む照明アセンブリの背面図である。
【
図15】本技術の一実施形態の照明アセンブリのバックプレート、レンズアセンブリ、及び撮像センサアセンブリの斜視図である。
【
図16A】本技術の一実施形態の複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステムアセンブリの分解斜視図である。
【
図16B】本技術の一実施形態の第2の位置にある
図16Aの一例の直角アダプタ(right angle adapter)の斜視図である。
【
図17】本技術の一実施形態の
図16Aのビジョンシステムアセンブリの一例の照明アセンブリの分解図である。
【
図18】本技術の一実施形態の二重アパーチャを備えた光学系アセンブリとマルチスペクトル光アセンブリとを備えた照明装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ビジョンシステムは、ID(例えばバーコード等)の読み取り及び復号化、物体及び表面の検査、組立ての際の物体のアライメント、測定、その他視覚的データを取得して後続の処理で使用するために解釈する全ての作業を含む多種多様な用途で使用することができる。ID(例えばバーコード)リーダは一般に、製造やロジスティクスの作業においてライン(例えばコンベア等)上で物体を追跡及び仕分けするために構成されたものである。各物体が視野を通過するときに各物体の面上の何らかの期待されるIDコードを取得するため、IDリーダ、あるいはより典型的には複数のリーダ(コンステレーション)を適切な視角でラインにわたって(又はその他の態様で)配置することができる。また、IDリーダをハンドヘルド構成とし、ユーザが例えば検査フロアにおいて物体間を移動したり、リーダと物体表面との間の距離又は相対角度を自由に変えられるようにすることができる。より一般的には、物体に対するIDリーダの焦点距離を、ラインに対するリーダの配置及び当該物体のサイズに応じて変えることができる。検査用のビジョンシステムは一般に、製造ライン又は組立ライン上の物体(部品又はパーツ等)の画像を取得し、当該画像を処理して当該物体が所定の基準を満たすか否か(例えば、期待される1つ又は複数の特徴が存在するか否か)を判定し、検査結果を報告するように構成されている。かかるマシンビジョンシステムは、自動車部品(例えばヒューズ、ガスケット及びスパークプラグ等)、電気部品(例えばコネクタピン、キーボード、LED、液晶ディスプレイ等)、医療製品及び医薬品(例えば使い捨て検査キット、シリンジ、針、及び日付/ロットコード等)、及び消費者製品(例えば髭剃り刃、フロッピーディスク等)を含む種々の物品、パーツ及びデバイスの検査、組立て及び/又はハンドリングを支援することができる。
【0019】
一部のビジョンシステム(IDリーダ又は検査システム等)又はそのライティング(lighting)付属物は、動作時に1つ又は複数の物体(ID、部品又はパーツ等)を含むシーンを照明する機能を有する。IDリーダの場合、この照明は照準部を含むことができ、この照準部は、撮像対象のシーン内の関心領域上に色付きドットを投影して、ユーザが撮像対象のシーン内のバーコードの中心に合わせてリーダの画像軸を位置合わせできるようにするものである。また、ビジョンシステム用の照明は、適度なディテールの画像を取得するための全体照明を含むこともできる。その後、イメージングシステム内の撮像センサによって、照明されているシーンを、光学系を介して取得する。センサの画素のアレイを露光して、この露光により各画素ごとに生成された電子的な値をメモリセルのアレイに記憶し、これが、シーンの「画像」と称されるものになる。ID読み取り用途においては、シーンは、適切な寸法及び種類の1つ又は複数のIDを有する関心対象の物体を含むことができる。IDは、上記の記憶された画像の一部である。検査システムにおいてはシーンは、視野内の対象物体の全ての関連する部分を含む領域と、当該対象物体周辺の領域と、を含むことができる。
【0020】
カラー画像(その他複数波長の画像)が有利である種々の用途では、ビジョンシステムは物体に照明するためにマルチスペクトル光源を用いることができる。ここでいうマルチスペクトル光源とは、複数の異なる波長の光を別個に生成できる光源である(例えば、各自異なる波長ピーク又は波長帯を生成できる複数の異なる光サブアセンブリを含む光源アセンブリ等)。例えば、マルチスペクトル能力を提供するために、赤色発光ダイオード(LED)、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード、赤外光(IR)発光ダイオード、又は紫外光(UV)発光ダイオード等のマルチスペクトル光源を用いることができる。
【0021】
マルチスペクトル光源を用いる従来のシステムの多くは、マルチスペクトル光源と共に拡散器(例えばランバート拡散器等)を用いる。拡散器は典型的には、乳白色の透明材料のシートから形成することができ、これは光を全方向に完全拡散して、全体的に撮像領域に投影される光が略180°拡散できるようにする。これにより、コア照明の強度を大きくしつつ、角度が大きくなるほど光の強度が落ちていくようにすることができるが、かかる作用にもかかわらず、拡散器は一般に、光を領域にわたって比較的一様な光分布で拡散させることができ、比較的良好な混色を一様に提供するために使用することも可能な場合がある。しかしながら、拡散器を設けることで物理的サイズが増大してシステムのエタンデュが増大し、これにより効率が有意に減少し得る。その結果、拡散器を用いるマルチスペクトル光の作動距離が通常短くなる(例えば最大0.3m等)。拡散器によるこのような光の損失により、複数の異なる光バンクで用いることも困難になる。さらに、マルチスペクトル能力を備えた従来のシステムは、各波長ごと(すなわち各色ごと)に多数(例えば80~100)のモノクロLEDを必要とすることがある。その上、従来のシステムの多くが色均一性を実現するため、複数の異なるLEDを用いて同時にそれぞれ異なる強度で照明を行う。
【0022】
とりわけ本願開示は、十分に定義された領域であって比較的一様に照明される領域に直接光(例えば混色光等)を投影するために使用できる複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えたコンパクトな照明アセンブリを備えているビジョンシステム(及びその関連方法)を記載する。例えば、複数の光アセンブリの各マルチスペクトル光アセンブリは、複数の波長が異なるLEDを備えたマルチスペクトル光源と、ライトパイプと、を備えることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリはさらに、拡散面又は投影レンズのうち1つ又は複数を備えることができる。一実施形態では、マルチスペクトル光源は複数の異なるカラーLEDダイを1つのパッケージに収めたものを備え、これにより照明システムにおけるLEDの数を削減することができる。例えば一部の実施形態では、マルチスペクトル光源はRGB LED、RGBW LED、RGB(IR)LED、RGBY LED、IR及び赤色LED,白色及び赤色LED、その他RGB又は多波長LEDタイプとすることができる。
【0023】
有利には一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリにおけるライトパイプは複数の色の混色を行い、複数の異なるスペクトルを一様化し、マルチスペクトル光源の複数の異なるカラーダイの軸外配置に起因する非一様性の補正を行えるものとすることができる。さらなる一利点として、マルチスペクトル光アセンブリは一般に、より直接的な光を(拡散ではなく)より長距離で生成することができる。例えば一実施形態では、本願開示のマルチスペクトル光アセンブリをビジョンシステムで用いて、最大1.0mの作動距離で物体の画像を取得することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリからの光を、ビジョンシステムのカメラの視野(FOV)に略等しい形状の矩形の領域に効率的に投影することができる(例えば矩形のFOVの場合には矩形、丸みあり又は丸み無し、面取りその他角取りされたものであって、FOVのアスペクト比の5%以内、10%以内又は20%以内のアスペクト比を有するもの)。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリからの光を正方形等の他の形状の領域に投影することができる。有利には、1つ又は複数の上記のマルチスペクトル光アセンブリを組み込んだビジョンシステムは当該1つ又は複数のマルチスペクトル光アセンブリを用いて直接的な混色光を提供することができ、これにより必要最低数のマルチスペクトル光源で作動距離の延長を実現することができる。
【0024】
他の一側面では本願開示は、照明システムにより投影される光の各象限間でバランスと対称性とを提供するため、例えば照明領域の中心と端とで同様の強度を提供するため、マルチスペクトル光アセンブリにおけるLEDダイの最適な向きを記載したものである。かかる最適な向きは、ビジョンシステムの所望のサイズ及びスペース制約に基づいて設計することも可能である。本願開示のシステムの他の一利点は、照明アセンブリのマルチスペクトル光アセンブリをビジョンシステムのレンズの周囲に対称的にバンクで配置できることである。有利にはかかる配置によって、複数の異なる方向から直接光を必要とするビジョンシステム用途で用いることが可能になる。一部の実施形態では、上記のような改善されたLEDの向き又は改善されたバンク配置を、上記にて一般的に説明したものを含め、マルチスペクトル光アセンブリと共に使用することできる。
【0025】
さらに他の一側面では、本願開示は、照明センサとフィードバックループとを用いて照明アセンブリの複数の異なるカラーチャネルからの各光の量を制御するための方法も記載している。有利には一部の実施形態では、本方法は別々の色を順次駆動することができるので、照明センサによって一度に測定されて目標強度を達成するために調整される必要のあるカラーチャネルが1つだけで良くなる。よって一部の実施形態では、フィードバックループに必要なハードウェアをより簡素にすることができ、例えば、一度に駆動及び測定されるカラーチャネルが1つのみとなるので、照明センサに用いられるフォトダイオードを1つのみとすることができる。一部の実施形態では、1回の露光中に各カラーチャネルを順次駆動することができる。他の実施形態では、各カラーチャネルをそれぞれ別々の露光の際に駆動し、各カラーチャネル露光を順次実施することができる。
【0026】
図1は、本技術の一実施形態のマルチスペクトル光アセンブリの概略的なブロック図である。一部の実施形態では、下記にて詳細に説明するように、ビジョンシステムの照明アセンブリにおいて複数のマルチスペクトル光アセンブリ100を用いることができる。
図1に示されている実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリ100はマルチスペクトル光源102とビーム成形光学系116と備えており、ビーム成形光学系116はライトパイプ104と、拡散面106と、投影レンズ108と、を備えている。
【0027】
マルチスペクトル光源102は、複数の波長で光を生成する複数のカラーLEDダイを含むことができる。一実施形態では、上記の複数のカラーLEDダイを1つのパッケージで、例えばRGBLED、RGBW LED、RGB(IR)LED、RGBYLEDその他RGB LEDタイプ、IR及び赤色LED,白色及び赤色LED、その他多波長LEDタイプで設けることができる。マルチスペクトル光源の各LEDダイは、(例えばプロセッサ等を用いて)それぞれ独立して制御されることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源はRGBW LEDとすることができる。RGBW LEDは特定の用途で、例えば、ID(例えばバーコード等)読み取り用途において光の色のフラッシュが望ましくない場合に、有利となり得る。さらに、マルチスペクトル光源102によって提供可能なカラーチャネルの数を増加するために白色LEDを用いることが有利となり得る。例えば、RGBW LEDパッケージの白色LEDダイの上部にフィルタを被せて所望の追加の色を提供することができる。これに代えて他の実施形態では、上記の追加の所望の色を含むマルチスペクトル光を用いること、例えばRGBYLED、RGB(IR)LED、RGB(UV)LED等を用いることも可能である。
【0028】
図1の実施形態では、ライトパイプ104は照明方向においてマルチスペクトル光源102の前方であって拡散面106及び投影レンズ108の後方に配置されている。ライトパイプ104は長さ110と、マルチスペクトル光源102寄りに配された入射面112と、出射面114と、を有する。一部の実施形態では、ライトパイプ104の形状(
図1に示す)は逆角錐台又はこれに類する幾何学的形状とすることができる。一部の実施形態では、ライトパイプ104の長さ110及び入射面112と出射面114との面積の比は、従来のシステムと比較して照明方向の比較的短い寸法を含めたコンパクトな寸法で良好な混色を実現するために最適化されることができる。一部の実施形態では、ライトパイプ104の縁部の形状又は幾何学的形態を最適化することができる。一部の実施形態では、ライトパイプ104の入射面112及び出射面114は曲面の形状を有することができる。一部の実施形態でっは、ライトパイプ104の形状は曲面の角錐台形とすることができる。一部の実施形態では、ライトパイプ104の形状は特定の定義された形状に即しないことが可能であり、例えばライトパイプ104の形状は自由曲面とすることができる。
【0029】
一般に、ライトパイプ104を用いてマルチスペクトル光源102からの光の最大量を集光することができる。さらに、ライトパイプ104は矩形の領域に光を投影するために正方形の面を提供することができ、また、マルチスペクトル光源102の複数の異なるカラーダイの軸外配置に起因する非一様性を補正するためにライトパイプ104を使用することもできる。一部の実施形態では、ライトパイプ104からの光を、正方形等の他の形状の領域に投影することができる。有利には、ライトパイプ104は複数の色の組み合わせを含む混色を提供するように構成される。ライトパイプ104を用いて、マルチスペクトル光源102により生成された複数の異なるスペクトルを一様化することができ、また混色をより一様にすることもできる。ライトパイプ104を用いることの他の一利点は、ライトパイプ104によって直接光(例えば混色光等)の投影をより長い作動距離で行うことができることである。一部の実施形態では、ライトパイプによって、ビジョンシステムのカメラの視野(FOV)に略等しい形状の矩形の領域に光を投影することができる。
図1に示されているように、各マルチスペクトル光アセンブリ100にライトパイプ104を設けることができる。よって、複数のマルチスペクトル光アセンブリ100を備えたビジョンシステムでは、各マルチスペクトル光アセンブリごとにライトパイプ104を設けることができる。代替的な実施形態では、複数のライトパイプを独立して設けることができ、例えば複数のライトパイプを、これら各ライトパイプが互いに接続又は結合された別個のユニット構造として設けることができる。かかるライトパイプ構造は、複数のマルチスペクトル光アセンブリに取り外し可能に結合することができる。例えば、4つのライトパイプを4つの接続部で互いに接続した独立するライトパイプ構造を設けることができる。一部の実施形態では、別個の独立したライトパイプ構造におけるライトパイプの数は、ビジョンシステムにおけるマルチスペクトル光源の数より少なくすることができる。
【0030】
一部の実施形態では、拡散面106は例えば、ライトパイプ104の出射面114に配置されたホログラフィック・ディフューザ、ライトパイプ104の出射面114に設けられた拡散パターン若しくはテクスチャ(例えば粗面)、又は、ライトパイプ104の出射面114に貼付可能な接着剤が塗布された箔の形態のマイクロレンズアレイ(MLA)とすることができる。例えば一部の実施形態では、拡散面106は、ライトパイプ104の成形工程の際に当該ライトパイプ104に取り付けることができるホログラフィック・ディフューザによって形成することができ、又は、ライトパイプ104の成形工程後に当該ライトパイプ104に取り付けることができるホログラフィック・ディフューザによって形成することができる。他の一例では、拡散面106は、拡散パターン又はテクスチャをライトパイプの出射面114に設けたものにより形成することができ、又は、拡散パターン又はテクスチャをライトパイプ104によって単一片として形成することができる。拡散面106は、ライトパイプ104から送出された光ビームの形状を制御するため、及びライトパイプ104から出力された光ビームの角度を制御するために使用することができる。拡散面106は、ライトパイプ104の出射面114における光パターンをより一様にして、ライトパイプ106と投影レンズ108との間の一様性と効率との間の最適なバランスを提供するために使用できると共に、従来の拡散器(例えばランバート拡散器等)と比較して一様性及び効率の顕著な改善を実現することができる。よって、拡散面106を用いて、ライトパイプ104から投影された光パターンの効率及び一様性を改善すると共に、当該効率と一様性とのバランスをとることができる。さらに、ライトパイプ104と拡散面106とを共に用いることにより、非常にコンパクトなサイズで、ライトパイプ104と拡散面106とを進む複数の異なる波長の有利な混色特性を実現することができる。有利には、拡散面106を用いてライトパイプ104の長さにかかる制限を克服することができ、例えば、ライトパイプ104の最適な長さが、ビジョンシステム全体の寸法の制約に対して過度に大きいことがあり得、これにより、より短いライトパイプが使用されることになる。一部の実施形態では、最適な長さのライトパイプに対してビジョンシステムに十分なスペースが存在する場合、ライトパイプ104の出射面114に拡散面を設けずに、出射面114を透明又は透過性とすることができる。
【0031】
図1に示されているように、投影レンズ108はライトパイプ104及び拡散面106の前方に配置することができる。一実施形態では、投影レンズ108は最終的に拡散面106をターゲット領域に投影することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリ100の寸法をさらに縮小するため(またビジョンシステム全体の寸法を縮小するため)、投影レンズ108を高屈折率で形成することができる。さらに、非球面形レンズを用いることにより投影レンズ108を小型化することもできる。一部の実施形態では、投影レンズ108は自由曲面形状のレンズとすることができる。有利には、自由曲面のシャープな形状のレンズにより、全ての各点において光ビームを変化させることができる。一部の実施形態では、投影レンズ108に複数の異なる形状のレンズを用いることもでき、かかる複数の異なる形状のレンズは、例えば球面形状、トロイダル形状、シリンドリカル形状、及び/又は複数の異なる形状を1つのレンズに組み合わせたものを含むが、これらに限定されない。上記の通り、マルチスペクトル光アセンブリ100は、当該マルチスペクトル光アセンブリ100が設けられたビジョンシステムのカメラのFOVに略等しい形状の照明領域を生成するように構成することができる。例えば、マルチスペクトル光アセンブリ100からの光を、不規則な矩形又は丸形の形状ではなくFOVの円錐形に即した矩形の領域で効率的に投影することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリ100からの光を正方形等の他の形状の領域に投影することができる。
【0032】
一実施形態では、ライトパイプ104と非球面の投影レンズ108との組み合わせにより、ターゲット(例えば矩形の照明領域等)にライトパイプ104の出射部114の効果的な結像を行うことができる。有利には、ライトパイプ104と拡散面106と投影レンズ108との組み合わせにより、ビーム成形光学系116のコンパクトな寸法で一様な混色を実現することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源102から投影レンズ108の頂点までのマルチスペクトル光アセンブリの全トラックを約25mmとすることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源102から投影レンズの頂点までのマルチスペクトル光アセンブリの全トラックを25mmより大きくすることができ、又は小さくすることもできる。さらに、ライトパイプ104と拡散面106と投影レンズ108との組み合わせにより、作動距離をより長くし、直接光を多くすることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリ100の投影照明領域における光分布及び混色は、300~1000mmの作動距離に対応して設定することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリ100の投影照明領域における光分布及び混色は、300mm未満の作動距離に対応して設定することができ、又は1000mm超の作動距離に対応して設定することもできる。よって、幅広い種々の作動距離に対してマルチスペクトル光アセンブリ100の種々の実施形態を有利に使用することができる。一部の例では、作動距離は100~300mm、300~500mm、800~1000mm、又は1000~1200mmとすることができる。上記の理由も含めた様々な理由のため、マルチスペクトル光アセンブリ100は図示の配置構成が有利となり得るが、他の構成も可能であり、例えばライトパイプ104、拡散面106又は投影レンズ108のうち1つ又は複数を別の構成、別の配置とすることができ、又は省略することができる。
【0033】
上記の通り、ビジョンシステムの照明システムにおいて複数のマルチスペクトル光アセンブリ(例えばマルチスペクトル光アセンブリ100)を用いることができる。
図2は、本技術の一実施形態の複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステム200の概略的なブロック図である。
図2にはビジョンシステム構成の一実施形態が示されているが、本願に記載されている種々の実施形態は、モバイル(例えばハンドヘルド)又は据置取付け型のIDリーダ、検査システム等を含めた種々の種類のビジョンシステムにおいて実施することができるが、上記具体例は限定列挙ではない。図中の構成要素の配置は、幅広い範囲のレイアウト及び構成要素の種類の例示であることに留意すべきである。よって、この例示の実施形態は、他の実施形態が他の構成を有し得るにもかかわらず、当該例示の実施形態の機能を提供する構成要素の可能な配置を教示するために提示されるものである。
【0034】
図2に示されているビジョンシステム200は照明アセンブリ214とビジョンカメラアセンブリ224とを備えており、ビジョンカメラアセンブリ224は撮像センサ204と光学系アセンブリ206とを備えている。このビジョンシステム200は、物体210の画像又は物体210表面の一例のID(例えばバーコード等)211を取得するために使用することができる。ビジョンシステム200はまた、IDコード探索及び復号化、検査等の各種ビジョンシステムタスクを実行する処理コンポーネント(例えばプロセッサ202等)も備えている。照明アセンブリ214は複数のマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220を備えることができる。各マルチスペクトル光アセンブリ216,218,220は例えば、上記で
図1を参照して説明したマルチスペクトル光アセンブリ100と同一又は異なる実装とすることができる。ここでは3つのマルチスペクトル光アセンブリを示しているが、他の実施形態では照明アセンブリ214において使用されるマルチスペクトル光アセンブリの数を別の数とすることもできると解すべきである(例えば2,4,8,16等)。
【0035】
上記にてアセンブリ100について説明したように、例えば、各マルチスペクトル光アセンブリ216,218,220はマルチスペクトル光源と、ライトパイプと、拡散面と、投影レンズとを備えることができる。照明アセンブリ214の上記の複数のマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220は、例えば物体210の画像又は物体表面のID212の画像を取得するために、物体210に投影可能な複数の波長で光を生成するために用いることができる。下記にて詳細に説明するように、一部の実施形態では複数の異なる各波長(すなわちカラーチャネル)を順次駆動し、又は他の制御方針で駆動することができる。
【0036】
一部の実施形態では、上記の複数のマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220はカメラレンズまわりに(例えば光学系アセンブリ206のレンズ208まわりに)対称的に配置される。例えば、レンズまわりに複数の光アセンブリ又は光アセンブリの複数のバンクを規則的な間隔で、又はバランスのとれた配置で、レンズの複数の面に分布させることができる。さらに、各マルチスペクトル光アセンブリのマルチスペクトル光源のカラーLEDダイの向きを、下記にて詳細に説明するものを含めて、所望の一様性を提供するように配することができる。照明アセンブリ214は有利には、物体210表面における十分に定義された領域であって一様に照明される領域に直接光(例えば混色光等)を投影するために使用することができ、例えば、ビジョンカメラ224の視野(FOV)に略等しい形状の矩形の照明領域に直接光を投影することができる。一部の実施形態では、照明領域は矩形の領域とすることができる。一部の実施形態では、照明領域は正方形等の他の形状とすることができる。
【0037】
上記の通り、ビジョンシステム200は物体210の画像又は物体210表面の一例のID212、例えばバーコードの形態のID212を取得するために使用することができる。画像は、物体210に照明光を投影して物体210から反射された照明光を受光することにより取得することができる。よって、撮像センサ204の前方には、レンズ208の列を備えた光学系アセンブリ206が配置され、これらのレンズ208の列が撮像センサ204の領域に画像光を投影し、これにより、撮像センサ204による撮像のFOVが画定される。一実施形態では、光学系アセンブリ206は1つ又は複数の液体レンズを備えることができ、これにより、複数の異なる作動距離に対応して画像の焦点の迅速な自動調整が可能になる。他の実施形態では光学系アセンブリ206は、撮像センサ204に対してレンズを接離させることによりシステム200の焦点距離を変化させる機械的部品(例えばギア、モータ及びねじアセンブリ等)を有するレンズアセンブリ208を備えることができる。照明アセンブリ214から投影されて物体210から反射されてビジョンシステム200に戻った光は、レンズ208によってリーダ光軸OAに沿って撮像センサ204に送られる。撮像センサ204は、複数の異なる波長の光を検出する構成とすることができる。一部の実施形態では、撮像センサ204はモノクロセンサ(例えば白黒等)又はカラーセンサとすることができる。反射光は撮像センサ204によって受光されて、例えば対象の画像を生成するために(例えばプロセッサ202等によって)処理される。シーンの画像を生成してそのデータを復号化するために公知の方法を用いることができる。
【0038】
プロセッサ202は、ビジョンシステム解析処理(例えばID読み取り及び復号化処理、検査等)と他の機能とを制御することができ、この他の機能は例えば、照準器ビームの投影、画像取得のための照明(例えば照明のタイミング又は強度、照明のための光源の選択等)、自動フォーカス調整等である。一部の実施形態では、プロセッサ202は1つ又は複数の処理装置を備えることができ、この処理装置は1つ又は複数の回路基板上に設けられて、適切なリボンケーブルその他の通信路(不図示)によって動作可能に相互接続されることができる。システム200はまた、復号化したデータを、例えば在庫追跡コンピュータ又はロジスティクスアプリケーション等のデータ処理装置に無線で(不図示の無線リンクを介して)転送するように構成することもできる。これに代えて、システム200をデータ処理装置/ネットワークに有線接続することもでき、又は、システム200は収集した情報を格納し、その後、ベースユニットに接続されたときにこの情報を転送することもできる。プロセッサ202は撮像センサ204、照明アセンブリ214及び種々の他の構成要素(不図示)と通信することもできる。この他の構成要素は例えば、システムの向きを調整するためのモータその他種々のアクチュエータ等である。
【0039】
一部の実施形態では、ビジョンシステム200は組み込まれた(例えば内蔵の)照明センサ222も備えており、この照明センサ222はプロセッサと通信し、例えば照明アセンブリ214のマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220付近に配置されている。一実施形態では、照明センサ222は照明アセンブリ214に組み込むことができる。照明センサ222及びプロセッサ202は、照明アセンブリ214によって投影される複数の異なるカラーチャネルの光の量を制御し、これにより画像取得を改善するために使用可能なフィードバックループを実装することができる。一部の実施形態では、照明センサ222は有利には、ビジョンシステム200におけるマルチスペクトルLEDの近傍又は付近に配することができる。例えば、照明センサ222をビジョンシステム200のPCB面(プリント回路基板)に配置し、照明センサ222がマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220のLEDから光を収集することができる。一部の実施形態では、複数の照明センサ222をビジョンシステム200の構造におけるより上位に、例えば各マルチスペクトル光アセンブリ216,218,220のレンズ(例えばレンズ108等)付近又は近傍であってビジョンシステム200の遠端部に配置することができる。この実施形態では、ビジョンシステム200の全てのサブシステムの性能が同じ効率である訳ではない場合があるため、複数の照明センサ222を設けるのが有利である。照明センサ222はビジョンシステム200のPCBに結合されて、特定の高さに配置されることができる。
【0040】
例えば、下記にて詳細に説明するように、1つ又は複数のマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220の1つ又は複数のライトパイプを介して送出される光の一部を照明センサ222に分岐し、又はその他の態様で照明センサ222が受光することができ、照明センサ222はその後、この光の強度を測定することができる。測定したこの強度は適宜、各波長ごと(カラーチャネルとも称される)の光の量(強度及び/又はLEDオン時間)を制御するために使用することができる。有利には一部の実施形態では、常に1つのチャネルのみがオンとなるように(すなわち、撮像のためにターゲットを照明しているチャネルが常に1つのみとなるように)各波長又はカラーチャネルを順次駆動する。よって、照明センサ222は一度に1つのカラーチャネルのみを測定するだけで足り、照明センサ222は例えば、各色を測定するために使用される唯一のフォトダイオードとすることができる。各カラーチャネルがオンになると、光又は露光の目標量(すなわち、強度と露光時間長(あるいは「露光時間」又は「LEDオン時間」)との積)に達するまで強度又は露光時間を調整することができる。特定のカラーチャネルが目標露光(又は光の量)に達すると、このチャネルをオフにし、次のカラーチャネルを(適宜)オンにすることができる。一実施形態では、各チャネルを順次駆動する際に、各カラーチャネルごとにフィードバックループ及び露光調整を繰り返すことができる。
【0041】
一部の実施形態では、全てのチャネルが同時にオンとなるように(すなわち、撮像のために全てのチャネルがターゲットを照明するように)、各波長又はカラーチャネルを同時に駆動することができる。よって一部の実施形態では、照明センサ222は複数の照明センサを含むことができ、各照明センサはそれぞれ1つのカラーチャネルを測定するように構成することができる。例えば、各照明センサ222は1つの色を測定するように構成されたフォトダイオードとすることができる。一部の実施形態では、複数のカラーチャネルで同時に照明を行うため、照明センサ222は全てのカラーチャネルを同時に測定するように構成された1つの照明センサ222(例えばフォトダイオード等)とすることができる。各波長又はカラーチャネルを同時に駆動する一部の実施形態では混色を行い、システム(例えば
図2に示されているシステム等)にインストールされた色以外の色を測定することができる。上記の通り、光又は露光の目標量(すなわち、強度と露光時間長(あるいは「露光時間」又は「LEDオン時間」)との積)に達するまで各カラーチャネルの強度又は露光時間を調整することができる。特定のカラーチャネルが目標露光(又は光の量)に達すると、このチャネルをオフにすることができる。
【0042】
上記の通り、各マルチスペクトル光アセンブリのマルチスペクトル光源のカラーLEDダイの向きは、所望の一様性を提供するように配することができる。一部の実施形態では、各カラーLEDダイはそれぞれ複数のライティング位置を有することができ(例えば象限配置等)、各マルチスペクトル光源におけるライティング位置に対する特定の色の照明光源の分布を全体としてバランスがとれたものとすることにより有利なライティング一様性を実現することができる。例えば、複数の各マルチスペクトル光源が、通常の空間的配置の複数のライト位置を有する場合において、複数のマルチスペクトル光源の全部のライト位置をまとめて検討する場合、各ライト位置に設けられる特定の色のLEDを同数とすることができる。
【0043】
この点についてはさらに、
図3に一例として、本技術の一実施形態の照明システムの複数のマルチスペクトル光源の向きの一例が示されている。この例では8つのマルチスペクトル光源310,312,314,316,318,320,322及び324が示されているが、他の実施形態では、照明アセンブリのマルチスペクトル光源の数(及びそのマルチスペクトル光アセンブリの数)を別の数とすることができる。
図3に示されている実施形態では、各マルチスペクトル光源310~324はRGBWLEDであるが、他のマルチスペクトルLEDを用いることも可能であると解すべきであり、例えばRGB、RGB(IR)、RGBY、RGB(UV)等を用いることができる。各マルチスペクトル光源310~324はそれぞれ、赤色(R)326、緑色(G)328、青色(B)330及び白色(W)332のカラーLEDダイのうち各1つを含む。各RGBW LED310~324の各カラーLEDダイ326~332は軸外しとなっているため、所望の一様性を提供するために可能な限り対称的となる向きでダイを設けるのが有利である。
図3に示されている一例の向きでは、照明アセンブリからの光は4象限に分割され、すなわち第1象限302、第2象限304、第3象限306及び第4象限308に分割される。上記のライティングアレイを総合的に検討すると、各象限302~308において、8つのRGBW LED310~324のうち2つずつ配置され、カメラ軸まわりに対称的に配置されるようにする。すなわち、第1象限302にはRGBW LED310及び312が配置され、第2象限304にはRGBW LED314及び316が配置され、第3象限306にはRGBW LED318及び320が配置され、第4象限308にはRGBW LED322及び324が配置される。16個のRGBW LEDを用いる他の一実施形態では、各象限に4つのRGBW LEDが配置されることになる。
【0044】
さらに図示の例では、バランスのとれた色の分布を提供するため、破線の矢印により示されているように、各カラーLEDダイ326~332は2回同一位置にあると共に同一の向きとなっている(すなわち、所与のLEDダイについて同一のライティング位置となっている)。かかる結果を提供できるアプローチは種々存在するが、図示の例では、カラーLEDダイの向きはRGBW LED310とRGBW LED314とで同じであり、RGBW LED312とRGBW LED316とで同じであり、RGBW LED318とRGBW LED322とで同じであり、RGBW LED320とRGBW LED324とで同じとなっている。有利には、マルチスペクトル光源310~324の光パターンは従来のライティングシステムと比較してより正方形かつより一様とすることができる。というのも、カラーLEDダイ326~332は各象限をカバーしており、また、各異なる色のLEDのライティング位置がより大きなLEDダイにおいて全体としてバランスがとれているからである。
【0045】
他の実施形態では、各象限においてカラーLEDダイの各可能な向きを設定することができる。さらに他の一実施形態では、照明システムのマルチスペクトル光源は4つであり(ひいてはマルチスペクトル光アセンブリは4つであり)、各象限ごとにマルチスペクトル光源が1つずつ配されている。この後者の実施形態では、例えば各マルチスペクトル光源の赤色LEDダイを各象限の各角に配置して対称性を提供することができる。さらに、上記の理由も含めて図示のカラーLEDダイの配置構成が有利となり得るが、他の配置構成も可能である。
【0046】
一部の実施形態では、照明光を提供するために駆動可能なマルチスペクトル光アセンブリの組み合わせは種々存在する。
図4は、本技術の一実施形態の照明システムのマルチスペクトル光アセンブリからの照明の種々の組み合わせを用いて生成された照明光パターン例を示す図である。
図4に示されている照明光パターンを生成するために使用される本例の照明システムは、カメラ軸まわりに対称的に配置された8つのマルチスペクトル光源410~424(及びそのマルチスペクトル光アセンブリ)を備えている。本例では、上記のマルチスペクトル光源はRGBW LEDとした。第1の照明パターン440は、第1象限に配置された第1の北側RGBW LEDを用いて生成されたものである。他の残りの照明パターン442~454は、他のRGBW LED412~424を時計回りにそれぞれ1つ追加してオンにすることにより生成された照明パターンである。
【0047】
この点において、第1の北側RGBW LEDと第2の北側RGBW LED412とにより生成された照明パターン442は、照明パターン440と比較して照明の一様性が改善しているのが見て取れる。しかし画像取得は、ビジョンシステムの撮像センサ(例えば
図2に示されている撮像センサ204等)が線形センサである場合も含めて、依然としてサブオプティマルとなり得る。例えば、RGBW LED410,412の北側のバンクにより生成される照明パターン442の中心領域は、この中心の撮像領域の下側において強度が不十分となり得る。
【0048】
続けて、照明パターン446はRGBW LEDのうち4つ410,412,414及び416を用いて生成されたものであり、許容可能な一様性を有するが、照明パターン454によって示されているような照明を生成するために全てのRGBW LED410~424を用いた場合ほど輝度が高くない。よって、例えば全てのマルチスペクトル光源410~424を用いると、照明パターン454から分かるように高輝度で高度な一様性を有する対称的な正方形のパターンを得ることができる。よって一部の実施形態では、ビジョンシステムの用途の要求に基づき、照明を生成するためにマルチスペクトル光源の種々の組み合わせを使用することができる。一部の事例では、
図4を参照して説明した照明手法と組み合わせることにより、各異なる色の光源(例えば
図3を参照して説明したもの)の有利なバランスを実現することができ、特に有利な結果がもたらされる。しかし、複数の異なる照明光源の他の分布を用いることも可能である。
【0049】
図5は、本技術の一実施形態の照明システムの光バンク構成例を示す概略図である。一部の実施形態では、異なる用途に応じて照明光を提供するため、それぞれ異なる光バンク構成を用いることができる。例えば、ローアングル光作用を提供するため、又はカラー光バンクを提供するため、例えば表面FX特徴抽出技術等の表面特徴検出アルゴリズムのために良好なライティング条件を提供する等の用途に、マルチスペクトル光源の光バンク構成を使用することができる。有利には、マルチスペクトル光源(例えばRGBW LED等)のセット又はアレイを、複数の異なる配置構成(例えば北側、南側、東側及び西側象限等)で選択することができる。例えば、照明を生成するために1つ又は複数の特定の象限における特定のLEDセット(例えばアレイ等)を選択すること(例えば
図3に示されている象限302~308等)によって、例えば陰影を生成することが望ましい場合等に、象限における一様性を含めた利点を提供することができる。一部の実施形態では、本願にて多種多様に説明するように、マルチスペクトルライティングを用いて光バンクの選択的な制御を実現することができる。しかし、他のライティング構成も可能である。
【0050】
図5では6例の光バンク構成が示されており、これらは6つの異なる画像取得に対応したライティングの制御(例えば6つの異なる露光)に相当し得る。第1の構成例502は、ビジョンシステムのカメラ軸504の北側に配置されたマルチスペクトル光源のバンク530の照明を含む。第2の構成例506は、マルチスペクトル光源のバンク530の照明と、ビジョンシステムのカメラ軸504の西側に配置されたマルチスペクトル光源のバンク532の照明を含む。第3の構成例510は、マルチスペクトル光源のバンク532の照明と、ビジョンシステムのカメラ軸504の東側に配置されたマルチスペクトル光源のバンク534の照明を含む。第4の構成例514は、マルチスペクトル光源のバンク530の照明と、マルチスペクトル光源のバンク532の照明と、ビジョンシステムのカメラ軸504の南側に配置されたマルチスペクトル光源のバンク536の照明と、を含む。第5の構成例518は、マルチスペクトル光源のバンク532、マルチスペクトル光源のバンク534、マルチスペクトル光源のバンク534及びマルチスペクトル光源のバンク536の照明を含む。第6の構成例は、マルチスペクトル光源のバンク530及びマルチスペクトル光源のバンク536の照明を含む。図示の光バンク構成が有利となり得るが、他の構成も可能である。
【0051】
一部の実施形態では、マルチスペクトル光源のバンク(例えば
図5に示されている「北側」バンク(又は象限)530、「西側」バンク(又は象限)532、「東側」バンク(又は象限)534、及び「南側」バンク(又は象限)536)の各バンクを用いて、当該バンクの各マルチスペクトル光源に含まれるLEDの複数の色のうち一色で照明を提供することができる。例えば第2の構成例506では、「北側」バンク530から赤色の照明光を出力するために「北側」バンク530の各マルチスペクトル光源の赤色LEDを駆動し、「西側」バンク532から緑色の照明光を出力するために「西側」バンク532の各マルチスペクトル光源の緑色LEDを駆動することができる。他の一例として第4の構成例514では、「北側」バンク530から緑色の照明光を出力するために「北側」バンク530の各マルチスペクトル光源の緑色LEDを駆動し、「西側」バンク532から青色の照明光を出力するために「西側」バンク532の各マルチスペクトル光源の青色LEDを駆動し、「南側」バンク536から青色の照明光を出力するために「南側」バンク536の各マルチスペクトル光源の赤色LEDを駆動することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光の2以上のバンクを用いて同一色の照明光を提供することができる。照明システムの動作中、各マルチスペクトル光源において駆動されているカラーLEDを変えることにより、マルチスペクトル光源のバンクから出力される照明光の色を変えることができる。例えば、「北側」バンク530の各マルチスペクトル光源において駆動されるLEDを赤色LEDから青色LEDに変えることによって、「北側」バンク530を赤色照明光から青色照明光に変えることができる。
【0052】
図6は、本技術の一実施形態の画像を生成するためのマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明システムを制御するための方法を示す図である。上記にて
図2を参照して述べたように、照明センサ(例えば
図2に示されている照明センサ222等)とプロセッサ(例えば
図2に示されているプロセッサ202等)とを用いてフィードバックループを構成することにより、照明システムのマルチスペクトル光アセンブリによって生成される複数の異なるカラーチャネルの光の量を制御することができる。一部の実施形態では、カラーチャネルは有利には順次駆動される。例えば、順次駆動される各カラーチャネルごとに別個の露光を用いることができ、又は、同じ1つの露光中に各カラーチャネルを順次駆動することができる。
【0053】
一例では、ブロック602において、例えば1つ又は複数のマルチスペクトル光アセンブリ(例えば
図1に示されているマルチスペクトル光アセンブリ100等)のうち対応するカラーLEDダイを駆動することにより、第1のカラー照明光ビームを物体に投影する。一部の実施形態では、光ビームは単色とすることができる(例えば、単色のLEDのみによって生成することができる)。ブロック604において、照明センサ(例えば、
図2に示されている照明センサ222等)を用いて、生成されたカラー照明光ビームの強度を測定する。例えば、1つ又は複数のマルチスペクトル光アセンブリから送出されるカラー照明光の一部を照明センサに分岐することができ、照明センサはその後、この光の強度を測定する。一部の実施形態では、照明センサはフォトダイオードとすることができ、照明センサは、如何なる所定の光の色にも特に同調することができないものである。
【0054】
ブロック606において、(例えば処理装置等によって)測定された強度が十分か否かを判定し、例えば、測定された強度によって目標露光又は光の目標量(すなわち、測定された強度と露光時間との積)が得られるか否か、又は、特定の時間にわたる(例えば現在の露光中等)色の強度の積分が十分であるか否かを判定する。ブロック604において測定された強度が目標露光となるために十分でない場合、ブロック608において光の量(例えばカラーLEDダイの照明の強度又は時間長)を調整する。あるいは、ある時間にわたる強度の合計が十分でない場合、光の当該色の露光の長さを調整することができる(例えば延長等)。一部の実施形態では、光ビームの強度を連続測定して、強度が十分になるまで(例えば、現在の強度又はある時間にわたる強度により目標露光(又は光の目標量)になるまで)上記測定に応じた調整を行う。
【0055】
一部の実施形態では、上記でも述べたように光の量の調整は、ターゲットを照明するために光の特定の色が使用される時間の量の時間長を調整すること(例えばブロック608)を含むことができる。例えば、1回又は複数回の露光にわたって画像取得を行う間、マルチスペクトル照明アセンブリからの光の任意の特定の色によって得られる累積照明をモニタリングし、累積照明が良好な画像取得に十分になる時期を求めることにより、当該光の色の照明の時間長をリアルタイムで(又はその他の態様で)求めることができる。
【0056】
ブロック606においてカラー照明光ビームの強度が目標強度(又は目標露光)に達すると、ブロック610において物体に投影すべきカラー照明(例えばカラーチャネル等)が他にあるか否かを判定する。物体に投影される具体的なカラーチャネルは例えば、ビジョンシステムの具体的な用途に基づいて決定することができる。ブロック610において他にカラー照明がある場合には、第1のカラー照明光ビームをオフにすることができ、ブロック612において第2のカラー照明光ビーム(又はカラーチャネル)を物体に投影し、ブロック604に進む。ブロック604において、上記の照明センサ(例えば、
図2に示されている照明センサ222等)を用いて、第2の生成されたカラー照明光ビームの強度を測定する。その後、ブロック608において、目標強度(又は目標露光)にブロック610において達するまで、第2のカラー照明光ビームによる光の量を調整する。
【0057】
全てのカラーチャネルが目標強度(又は目標露光)で投影完了するまで、各カラー照明光ビームごとに、例えばN個のカラー照明光ビームについて、ブロック604~612を適宜繰り返すことができる。上記の通り、複数のカラーチャネルを順次駆動できる場合があり、次のカラーチャネルをオンにする前に先行のカラーチャネルをオフにできる場合がある。
【0058】
複数の異なるカラー照明光ビーム(又はカラーチャネル)が物体に投影されると、物体から反射された照明光をビジョンシステムが受光し、例えば、受光した照明光をブロック614において1つ又は複数のレンズによって撮像センサに送る(例えば
図2に示されている撮像センサ204及びレンズ208等)。ブロック610において必要なカラー照明光ビーム(又はカラーチャネル)が全て投影完了すると、ブロック616において、受光した照明光に基づいてプロセッサ(例えば
図2に示されているプロセッサ202等)により物体又は物体のシンボルの1つ又は複数の画像を生成することができる。物体又は物体のシンボルの画像を生成してそのデータを判定するために、公知の方法を用いることができる。例えば、1回の露光中に複数の異なる時点でそれぞれ異なる色の光が物体を照明し、この1回の露光中に1つの画像を生成することができ、又は、複数の異なる色の光を使用する複数回の露光の合成として1つの画像を生成することができる。
【0059】
上記の通り、常に1つのチャネルのみがオン状態となるように各カラーチャネルを順次駆動することが有利となり得る。よって一部の実施形態では、照明センサは一度に1つのカラーチャネルのみを測定するだけで足り、照明センサは例えば、各カラーチャネルを測定するために使用される唯一のフォトダイオードとすることができる。
【0060】
上記の通り、一部の実施形態では、順次駆動される各カラーチャネルごとに別個の露光を用いることができる。
図7は、本技術の一実施形態のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明システムを用いて画像を生成するために複数回の露光を用いるタイミング構成を示すグラフである。本例のタイミング構成700は、第1の露光702と第2の露光704と第3の露光706の3つの別個の露光を含み、これら3つの露光は、軸714によって示されている時間軸上で順次行われる。第1の露光702中に第1のカラーチャネル708(例えば赤色)を駆動し、これを用いて照明光を生成することができる。第1の露光702が完了した時点で第1のカラーチャネル708をオフにし、第2の露光704中に第2のカラーチャネル710(例えば緑色)を駆動し、これを用いて照明光を生成することができる。第2の露光704が完了した時点で第2のカラーチャネル710をオフにし、第3の露光706中に第3のカラーチャネル712(例えば青色)を駆動し、これを用いて照明光を生成することができる。各露光を用いてモノクロ画像を生成することができる。その後、3つの異なるカラーチャネルの上記モノクロ画像をマージして、完全なRGB画像(あるいはその他の画像)を作成することができる。複数のモノクロ画像から完全なRGB画像を作成するために公知の方法を用いることができる。一部の実施形態では、
図6に示されている方法によって、又は上記にて一般的に説明した他の態様で、露光702,704,706の時間長を決定することができる。
【0061】
一部の実施形態では、各カラーチャネルを同一の露光中に順次駆動することができる。
図8は、本技術の一実施形態のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明システムを用いて画像を生成するために1回の露光を用いるタイミング構成を示すグラフである。本例のタイミング構成800は唯一の露光802を含む。軸810によって示されているように露光802中に各カラーチャネルをある時間にわたって順次駆動することができる。上記の露光802中に第1の時点で第1のカラーチャネル804(例えば赤色)を駆動し、これを用いて照明光を生成することができる。第1のカラーチャネル804の駆動の特定の期間が終了した時点で第1のカラーチャネル804をオフにし、当該露光802中に第2の時点で第2のカラーチャネル806(例えば緑色)を駆動し、これを用いて照明光を生成することができる。第2のカラーチャネル806の駆動の特定の期間が終了した時点で第2のカラーチャネル806をオフにし、当該露光802中に第3の時点で第3のカラーチャネル808(例えば青色)を駆動し、これを用いて照明光を生成することができる。第3のカラーチャネル808を特定の期間にわたって駆動し、その後オフにすることができる。このようにして上記の3つのカラーチャネル804,806及び810を露光802中に、実際に時間的に重なることなく混合することができる。上記にて
図6を参照して説明したように、各チャネル804,806,808の強度及び/又はオン時間(すなわち、軸810における各カラーチャネルのパルスの幅)を制御して正確な混色を実現するため、距離センサ及びフィードバックループを用いることができる。よって、ビジョンシステムのカメラの1つの露光時間中に混色を制御することができる。この1回の露光を用いて、公知の幅広い方法のうち任意のものに従ってモノクロ画像を生成することができる。しかし、モノクロ画像は有利には、関連付けられた色のうち1つ又は複数の色について最適化されたコントラストを有することができる。さらに、1回の露光は複数回の別々の露光より高速となり得るので、累積的なライティング強度が同じである場合、動く物体が関与するソート用途では、
図8のタイミング構成が有利となり得る。
【0062】
上記の通り一部の実施形態では、複数のチャネルが同時にオンとなるように(すなわち、撮像のために複数のチャネルがターゲットを照明するように)、各波長又はカラーチャネルを同時に駆動することができる。よって一部の実施形態では、照明センサは複数の照明センサを含むことができ、各照明センサはそれぞれ1つのカラーチャネルを測定するように構成することができる。例えば、各照明センサは1つの色を測定するように構成されたフォトダイオードとすることができる。一部の実施形態では、複数のカラーチャネルで同時に照明を行うため、照明センサは全てのカラーチャネルを同時に測定するように構成された1つの照明センサ(例えばフォトダイオード等)とすることができる。上記の通り、光又は露光の目標量(すなわち、強度と露光時間長(あるいは「露光時間」又は「LEDオン時間」)との積)に達するまで各カラーチャネルの強度又は露光時間を調整することができる。特定のカラーチャネルが目標露光(又は光の量)に達すると、このチャネルをオフにすることができる。
【0063】
一部の実施形態では、ビジョンシステム200は、照明アセンブリの前方において当該ビジョンシステムのハウジングに取り付けられた取り外し可能な拡散光アセンブリと共に用いられることにより、ビジョンシステムが短距離で照明光を拡散光に変換することができる。よって上記の拡散光アセンブリにより、拡散光を必要とすると共に作動距離を短縮する必要がある用途で、上記のマルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステム200を使用することができる。拡散光アセンブリは、ダイレクトパーツマーキング(DPM)等の用途、その他拡散光を要する用途において撮像を行う際に有利となり得る。DPMリーダは、例えばプラスチックや金属等の材料の表面に直接エッチング又はインプリントされたバーコードを読み取ることができるものである。典型的にはDPM部分は、幅広い様々な幾何学的形態及び表面にコードを表現したものである。
【0064】
図9は、本技術の一実施形態の拡散光アセンブリ例を示す図である。
図9に示されている実施形態では、取り外し可能な拡散光アセンブリ900はハウジング902と内部反射面904とを備えている。一実施形態では内部反射面904は、光が拡散光アセンブリ900の容積内部を進むのを支援するつや消し処理された白色面を有することができる。ハウジング902の寸法(奥行906、高さ908及び幅910)は、ビジョンシステム(例えば
図2に示されているビジョンシステム200等)の当該ハウジングに取り外し可能に拡散光アセンブリ900を取り付けられるように設定することができ、これにより拡散光アセンブリ900をビジョンシステムの照明アセンブリの前方に配置することができる。一部の実施形態では、ハウジング902の高さ(H)908は近距離におけるFOVの半分である。ビジョンシステムのハウジングは、拡散光アセンブリ900をビジョンシステムに取り付けることを可能にする構成を備えることができる。上記の理由も含めた様々な理由のため、拡散光アセンブリ900は図示の配置構成が有利となり得るが、他の構成も可能である。
【0065】
図10は、本技術の一実施形態のビジョンシステム及び拡散光アセンブリ(例えば
図9のアセンブリ900と同様のもの)の概略図である。
図10では、拡散光アセンブリ1000はビジョンシステム1022に取り外し可能に取り付けられ又は搭載されることができる。例えば、機械的取付機構を用いて拡散光アセンブリ1000のハウジング1002を機械的接続ポイント1020においてビジョンシステムのハウジング1024に取り付けることができる。拡散光アセンブリ1000のハウジング1002を取り外し可能にビジョンシステムのハウジング1024に取り付けるために、公知の機械的取付機構を用いることができる。上記の通り、拡散光アセンブリ1000はビジョンシステム1022の照明アセンブリ1018(例えば、上記にて一般的に説明したマルチスペクトル照明アセンブリ等)の前方に配されるようにビジョンシステムハウジング1024に取り付けられることができる。一部の実施形態では拡散光アセンブリ1000は、ビジョンシステム1022のカメラとの電気的な接続や当該カメラとの追加の通信を必要としないパッシブアクセサリとすることができる。ビジョンシステム1022は、物体表面のシンボル又はIDを撮像するために用いられる他の構成要素の他、撮像センサ1014及びレンズ1016を備えることもできる。
【0066】
図中の実施形態では拡散光アセンブリ1000は、内部反射面1012(例えば
図9に示されている内部反射面904等)を有するハウジング1002を備えていると共に、拡散器1004を備えている。一部の実施形態では拡散器は、透光性及びテクスチャの両方が光を所望の態様で送るように設定可能である材料(例えば乳白色材料等)から形成することができる。拡散器1004は、ビジョンシステム1022の撮像レンズ1016の前方にアパーチャを提供することができる。一部の実施形態ではこのアパーチャのサイズは、拡散光アセンブリ1000によって生成される均一な照明に与える影響が最小限となるように最適化することができる。拡散光アセンブリは、内部反射面1012と拡散器1004との間にドーム光の作用を生じさせる構成とすることができる。有利には、取り外し可能な拡散光アセンブリは複数の異なるレンズ(FOV)、照明ビーム、光バンク及び色と共に用いることができる。拡散光アセンブリ1000は、特定の作動範囲(例えば、工場オートメーションDM用途では0~100mm)にわたって焦平面のどの位置でも一様な光パターンを提供することにより性能を改善することができる。上記の理由も含めて図示の拡散光アセンブリ1000の配置構成が有利となり得るが、他の配置構成も可能である。
【0067】
図11は、本技術の一実施形態の複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステムアセンブリの分解斜視図である。ビジョンシステムアセンブリ1100は、物体(不図示)又は物体表面のIDの画像を取得するために使用することができる。
図11に示されているビジョンシステムアセンブリ1100では、レンズアセンブリ1104が撮像センサアセンブリ1102の前方に配置されており、組み立てられる際には撮像センサアセンブリ1102に結合される。撮像センサアセンブリ1102は、複数の異なる波長の光を検出する構成とすることができる撮像センサを備えることができる。一部の実施形態では、撮像センサアセンブリ1102の撮像センサはモノクロセンサ(例えば白黒センサ等)又はカラーセンサとすることができる。一部の実施形態では、撮像センサアセンブリ1102の撮像センサのサイズは2~16メガピクセルとすることができる。
【0068】
上記にて説明したように、レンズアセンブリ1104は撮像センサアセンブリ1102の撮像センサの領域に画像の光を投影し、これにより、撮像センサアセンブリ1102の撮像センサによる撮像のFOVを画定することができる。一部の実施形態では、レンズアセンブリ1104は1つ又は複数のレンズ、例えば高速の液体レンズ等を備えることができ、これにより、複数の異なる作動距離に対応して画像の焦点の迅速な自動調整が可能になる。他の実施形態では、レンズアセンブリ1104は1つ又は複数の固体レンズ(例えばガラスレンズ等)を備えることができる。
【0069】
一部の実施形態では、ビジョンシステムアセンブリ1100は、レンズアセンブリ1104を撮像センサアセンブリ1102に対して接離することによりレンズアセンブリ1104の焦点を手動で調整してシステム1100の焦点距離を変化させるために使用可能な機械的部品(例えばギア機構等)を備えることができる。例えば、ギア機構は
図11に示されているように、レンズアセンブリ1104にある第1のギア1112と、照明アセンブリ1106のバックプレート1114の内側面1128にある第2のギア1116と、照明アセンブリ1106のバックプレート1114の内側面1128にある第3のギア1118と、を備えることができる。下記にて
図13、
図14及び
図15を参照して詳細に説明するように、作業者が焦点調整ツール1120(例えば六角棒スパナその他公知の手工具)を用いて第3のギア1118及び第2のギア1116を手動で駆動することができ、これらのギア1118,1116がレンズアセンブリにある第1のギア1112を駆動してレンズアセンブリ1104を動かしたり、あるいはレンズアセンブリ1104の1つ若しくは複数のガラスレンズを動かすことができる。一部の実施形態では、撮像センサアセンブリ1102に対して1つ又は複数のレンズを接離させてシステム1100の焦点距離を変化させるために使用される電動機械的部品(例えばギア、モータ及びねじアセンブリ等)を、上記の1つ又は複数のガラスレンズに設けることができる。
【0070】
照明アセンブリ1106はレンズアセンブリ1104の前方に配置されており、組み立てられる際にはレンズアセンブリ1104に結合され、また、動作のために設置される際にはレンズアセンブリ1104を部分的に包囲する。例えば、バックプレート1114を備えた照明アセンブリ1106は、組立て時に(例えば
図15に示されているように(これについては下記にて詳細に説明する))レンズアセンブリ1104の少なくとも一部を入れることができる開口を有することができる。よって一部の実施形態では、レンズアセンブリ1104の部品の一部が照明アセンブリ1106内に突出することができる(又は照明アセンブリ1106を通過することも可能である)。
図11の配置例ではレンズアセンブリ1104及び照明アセンブリ1106が示されており、他の実施形態では、レンズアセンブリ1104及び照明アセンブリ1106の数や配置を異なるものとすることができると解すべきである。一部の実施形態では、照明アセンブリ1106は複数のマルチスペクトル光アセンブリ1122を備えることができ、例えば、上記にて
図1を参照して説明したマルチスペクトル光アセンブリ100や、
図2を参照して説明したマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220を備えることができる。複数のマルチスペクトル光アセンブリ1122は
図11において照明アセンブリ1106における配置例となっているのが示されており、他の実施形態では、照明アセンブリ1106において使用されるマルチスペクトル光アセンブリの数及び配置を異なるものとすることができると解すべきである。照明アセンブリ1106の上記の複数のマルチスペクトル光アセンブリ1122は、例えば物体(不図示)の画像又は物体表面のIDの画像を取得するために、物体に投影可能な複数の波長で光を生成するために用いることができる。一部の実施形態では、複数のマルチスペクトル光アセンブリ1122はレンズアセンブリ1104の1つ又は複数のレンズまわりに対称的に配置される。
【0071】
照明アセンブリ1106の各マルチスペクトル光アセンブリ1122は同一種類のマルチスペクトル光源を備えることができ、又は、複数のマルチスペクトル光アセンブリ1122はそれぞれ異なる種類のマルチスペクトル光源若しくは複数種類のマルチスペクトル光源の組み合わせを備えることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源は、複数の波長で光を生成する複数のカラーLEDダイを含むことができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源の複数のカラーLEDダイを1つのパッケージで設けることができる。一部の実施形態ではマルチスペクトル光源は、例えばRGB LED、RGBWLED、RGB(IR)LED、RGBY LED、IR及び赤色LED,白色及び赤色LED、その他RGB又は多波長LEDタイプで設けることができる。
【0072】
一部の実施形態では、照明アセンブリ1106は距離センサ1124(例えばタイム・オブ・フライト(TOF)型センサ等)と、1つ又は複数の光学フィルタ(不図示)と、投影視野(FOV)中心のインジケータ1126と、を備えることができる。上記にて説明したように、マルチスペクトル光アセンブリ1122は、上記にて
図5を参照して説明したものを含めて光バンク構成で駆動することができる。照明アセンブリ1106の前方に、モジュール型のフロントカバー1108(例えば透明、拡散性又は直交偏光等)を配置することができる。
図11では3つのフロントカバー1108の一例が示されており、これらのフロントカバー1108のうち1つを選択して照明アセンブリ1106の前方に配置することができる。
【0073】
一部の実施形態では、選択された1つのフロントカバー1108と照明アセンブリ1106の前方に、取り外し可能なパッシブ光アクセサリ1110を配置することができる。例えばパッシブ光アセンブリ1110は、上記にて
図9を参照して説明したような拡散光アセンブリ900とすることができ、これを使用して、ビジョンシステムアセンブリ1100が短距離で照明光を拡散光に変換可能とすることができる。パッシブ光アクセサリ1110を取り外し可能に取り付けるために公知の機械的取付機構を用いることができる。ビジョンシステムアセンブリ1100は他の要素も備えることができるが、この他の要素は
図11では見やすさの観点から示されていない。例えばビジョンシステムアセンブリ1100は、IDコード探索及び復号化、検査等の各種ビジョンシステムタスクを実行する処理コンポーネント(例えば
図2に示されているプロセッサ202等)も備えることができる。
【0074】
図12は、本技術の一実施形態の
図11のビジョンシステムアセンブリの一例の照明アセンブリの分解図である。本例の照明アセンブリ1106は、ハウジング1130と、支持構造1132と、フロントプレート1134と、を備えることができる。支持構造1132は、複数のマルチスペクトル光アセンブリ(例えば
図11に示されているマルチスペクトル光アセンブリ1122等)を支持する構成とすることができる。一部の実施形態では、支持構造1132によって支持されるマルチスペクトル光アセンブリはマルチスペクトル光源(不図示)と、ライトパイプ1144と、拡散面1146と、投影レンズ1148と、を備えることができる。例えば、各マルチスペクトル光アセンブリは上記にて
図1を参照して説明されたマルチスペクトル光アセンブリ100とすることができる。フロントプレート1134は、支持構造1132によって支持される各マルチスペクトル光アセンブリの投影レンズ1147を受けるように形成された開口を有することができる。複数のマルチスペクトル光アセンブリは
図12において照明アセンブリ1106における配置例となっているのが示されており、他の実施形態では、照明アセンブリ1106において使用されるマルチスペクトル光アセンブリの数及び配置を異なるものとすることができると解すべきである。一部の実施形態では、支持構造1132は距離センサ1124と、投影FOV中心を示すように構成されたインジケータ装置1126と、を支持する構成とすることもできる。
【0075】
上記のように、一部の実施形態では照明アセンブリ1106に1つ又は複数の照明センサ(例えば
図2に示されている照明センサ222等)を組み込み、マルチスペクトル光アセンブリの近傍に配置することができ、例えばマルチスペクトル光アセンブリのマルチスペクトル光源(例えばLED等)の近傍又は付近に照明センサを配置することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリの投影レンズの近傍又は付近に複数の照明センサを配置することができる。照明センサ及びビジョンシステムのプロセッサを用いて、照明アセンブリ1106によって投影される複数の異なるカラーチャネルの光の量を制御し、これにより、上記にて
図1~8を参照して説明したものを含めて、画像取得を改善するために使用可能なフィードバックループを実装することができる。
【0076】
上記の通り一部の実施形態では、ビジョンシステムアセンブリ1100は、レンズアセンブリ1104を撮像センサアセンブリ1102に対して接離することによりレンズアセンブリ1104の焦点を手動で調整してシステム1100の焦点距離を変化させるために使用可能な機械的部品(例えばギア機構等)を備えることができる。
図13~15は、レンズアセンブリの焦点を手動で調整するためのギア機構例を示す。
図13は、本技術の一実施形態の照明アセンブリのバックプレートの内表面の斜視図である。
図13では、照明アセンブリ1106のバックプレート1114に配置されたギア機構例の一部が示されている。
【0077】
上記にて説明したようにギア機構は、レンズアセンブリ1104にある第1のギア1112(
図15に示す)と、照明アセンブリ1106のバックプレート1114の内側面1128に配置された第2のギア1116と、照明アセンブリ1106のバックプレート1114の内側面1128に配置された第3のギア1118と、を備えることができる。一部の実施形態では、作業者が焦点調整ツール1120(例えば六角棒スパナ等)を用いて第3のギア1118を手動で駆動することにより第2のギア1116を駆動することができ、第2のギア1116がレンズアセンブリにある第1のギア1112(
図15に示す)を駆動してレンズアセンブリ1104を動かすことができる(例えば、これによりレンズアセンブリ1104の1つ又は複数のガラスレンズを動かすことができる)。
【0078】
図14は、本技術の一実施形態の照明アセンブリのバックプレートの外表面を含む照明アセンブリの背面図である。一部の実施形態では、照明アセンブリ1106のバックプレート1114(又はその他の構成要素)の外表面1150に、焦点調整ツール1120を受けるように形成された開口1152を設けることができる(
図13及び
図15に示す)。例えば、開口はアレンレンチ(あるいは六角棒スパナ)を受けるように形成することができる。
【0079】
図15は、本技術の一実施形態の照明アセンブリのバックプレート、レンズアセンブリ、及び撮像センサアセンブリの斜視図である。
図15では、照明アセンブリ1106のバックプレート1114が撮像センサアセンブリ1102に取り付けられているのが示されている。図中の実施形態では、レンズアセンブリ1104は照明アセンブリ1106のバックプレート1114に配置され(例えば
図11及び
図13に示されているようにバックプレート1114の開口に入れられ)、これによりレンズアセンブリ1104の第1のギア1112が、照明アセンブリ1106のバックプレート1114の内表面1128に配置された第2のギア1116と可動に係合する。第2のギア1116には、バックプレート1115の内表面1128に配置された第3のギア1118が可動に係合している。一部の実施形態では、作業員がバックプレートの外表面1150の開口1152(
図14に示す)に焦点調整ツール1120を入れて、この焦点調整ツール1120を回すことにより第3のギア1118を回転させることができる。第3のギア1118が回転することにより第2のギア1116が回転し、この第2のギア1116の回転により、レンズアセンブリ1104にある第1のギア1112を回転させて、レンズアセンブリ1104あるいはレンズアセンブリ1104の1つ若しくは複数のガラスレンズを動かすことができる。
【0080】
図16Aは、本技術の一実施形態の複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステムアセンブリの分解斜視図である。ビジョンシステムアセンブリは、物体(不図示)又は物体表面のIDの画像を取得するために使用することができる。
図12に示されているビジョンシステムアセンブリ1200では、レンズアセンブリ1204が撮像センサアセンブリ1102の前方に配置されており、組み立てられる際には撮像センサアセンブリ1102に結合される。撮像センサアセンブリ1202は、複数の異なる波長の光を検出する構成とすることができる撮像センサを備えることができる。一部の実施形態では、撮像センサアセンブリ1202の撮像センサはモノクロセンサ(例えば白黒センサ等)又はカラーセンサとすることができる。一部の実施形態では、撮像センサアセンブリ1202の撮像センサのサイズは2~16メガピクセルとすることができる。上記にて説明したように、レンズアセンブリ1204は撮像センサアセンブリ1202の撮像センサの領域に画像の光を投影し、これにより、撮像センサアセンブリ1202の撮像センサによる撮像のFOVを画定することができる。
【0081】
一部の実施形態では、レンズアセンブリ1204は1つ又は複数のレンズ、例えば高速の液体レンズ等を備えることができ、これにより、複数の異なる作動距離に対応して画像の焦点の迅速な自動調整が可能になる。他の実施形態では、レンズアセンブリ1204は1つ又は複数のガラスレンズを備えることができる。
【0082】
一部の実施形態では、ビジョンシステムアセンブリ1200は、レンズアセンブリ1204を撮像センサアセンブリ1202に対して接離することによりレンズアセンブリ1204の焦点を手動で調整してシステム1200の焦点距離を変化させるために使用可能な機械的部品(例えばギア機構等)を備えることができる。例えば、上記にて
図13~15を参照して説明したギア機構を例えばビジョンシステムアセンブリ1200に設けることができ、レンズアセンブリ1204及び照明アセンブリ1206のバックプレート1216の内表面1218は、レンズアセンブリ1204の1つ又は複数のレンズの位置を手動で調整するために使用可能な複数のギアを備えることができる。上記にて
図13~
図15を参照して説明したように、一部の実施形態では、作業者が焦点調整ツール(例えば六角棒スパナ)を用いてバックプレート1216の内表面1218の1つ又は複数のギアを手動で駆動することができ、これらのギアはレンズアセンブリ1204にあるギア1214を駆動してレンズアセンブリ1204を動かしたり、あるいはレンズアセンブリ1204の1つ若しくは複数のガラスレンズを動かすことができる。一部の実施形態では、撮像センサアセンブリ1202に対して1つ又は複数のレンズを接離させてシステム1200の焦点距離を変化させるために使用される電動機械的部品(例えばギア、モータ及びねじアセンブリ等)を、上記の1つ又は複数のガラスレンズに設けることができる。
【0083】
照明アセンブリ1206はレンズアセンブリ1104の前方に配置されており、組み立てられる際にはレンズアセンブリ1204に結合され、また、動作のために設置される際にはレンズアセンブリ1204を部分的に包囲する。例えば、バックプレート1216を備えた照明アセンブリ1206は、組立て時にレンズアセンブリ1204の少なくとも一部を入れることができる開口を有することができる。よって一部の実施形態では、レンズアセンブリ1204の部品の一部が照明アセンブリ1206内に突出することができる(又は照明アセンブリ1206を通過することも可能である)。
図12の配置例ではレンズアセンブリ1204及び照明アセンブリ1206が示されており、他の実施形態では、レンズアセンブリ1204及び照明アセンブリ1206の数や配置を異なるものとすることができると解すべきである。一部の実施形態では、照明アセンブリ1206は複数のマルチスペクトル光アセンブリ1234(
図17に示す)を備えることができ、これらのマルチスペクトル光アセンブリ1234は例えば、上記にて
図1を参照して説明したマルチスペクトル光アセンブリ100や、
図2を参照して説明したマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220と同様の構成となっている。上記の照明アセンブリ1206の複数のマルチスペクトル光アセンブリは、例えば物体(不図示)の画像又は物体表面のIDの画像を取得するために、物体に投影可能な複数の波長で光を生成するために用いることができる。一部の実施形態では、複数のマルチスペクトル光アセンブリ1234はレンズアセンブリ1204の1つ又は複数のレンズまわりに対称的に配置される。照明アセンブリ1206の各マルチスペクトル光アセンブリは同一種類のマルチスペクトル光源を備えることができ、又は、複数のマルチスペクトル光アセンブリはそれぞれ異なる種類のマルチスペクトル光源若しくは複数種類のマルチスペクトル光源の組み合わせを備えることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源は、複数の波長で光を生成する複数のカラーLEDダイを含むことができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源の複数のカラーLEDダイを1つのパッケージで設けることができる。一部の実施形態ではマルチスペクトル光源は、例えばRGB LED、RGBWLED、RGB(IR)LED、RGBY LED、IR及び赤色LED,白色及び赤色LED、その他RGB又は多波長LEDタイプで設けることができる。一部の実施形態では、照明アセンブリ1206は距離センサ1220(例えばタイム・オブ・フライト(TOF)型センサ等)と、1つ又は複数の光学フィルタ(不図示)とを備えることができる。上記にて説明したように、マルチスペクトル光アセンブリは、上記にて
図5を参照して説明した光バンク構成で駆動することができる。
【0084】
一部の実施形態では、照明アセンブリ1206の前方にフロントカバー1208(例えば透明、拡散性又は直交偏光等)を配置することができる。一部の実施形態では、フロントカバー1208はモジュール型のフロントカバー(front cove)とすることができる。一部の実施形態では、フロントカバー1208は1つ又は複数のバンドパスフィルタ(不図示)を備えることもできる。
【0085】
一部の実施形態では、フロントカバー1208と照明アセンブリ1206の前方に、取り外し可能なパッシブ光アクセサリ1210を配置することができる。例えばパッシブ光アセンブリ1210は、上記にて
図9を参照して説明したような拡散光アセンブリ900とすることができ、これを使用して、ビジョンシステムアセンブリ1200が短距離で照明光を拡散光に変換可能とすることができる。パッシブ光アクセサリ1210を取り外し可能に取り付けるために公知の機械的取付機構を用いることができる。ビジョンシステムアセンブリ1200は他の要素も備えることができるが、この他の要素は
図16Aでは見やすさの観点から示されていない。例えばビジョンシステムアセンブリ1200は、IDコード探索及び復号化、検査等の各種ビジョンシステムタスクを実行する処理コンポーネント(例えば
図2に示されているプロセッサ202等)も備えることができる。
【0086】
他の実施形態では、撮像センサアセンブリ1202にアダプタ1212(例えば
図16Bに示されている直角アダプタ等)を接続し、ビジョンシステムアセンブリ1200のケーブルを送るために使用することができる。
図16Aでは、アダプタ1212が第1の位置にあるのが示されている。一部の実施形態ではアダプタ1212は、ビジョンシステムアセンブリ1200のケーブルの送りを変更するために使用可能な複数の位置をとるように構成することができる。
図16Bは、本技術の一実施形態の第2の位置にある
図16Aの一例の直角アダプタの斜視図である。
図16Bではアダプタ1212は撮像センサアセンブリ1202に結合されており、
図16Aに示されている第1の位置に対して直交する第2の位置にある。
【0087】
図17は、本技術の一実施形態の
図16Aのビジョンシステムアセンブリの一例の照明アセンブリの分解図である。本例の照明アセンブリ1206は、ハウジング1230と、支持構造1232と、フロントプレート1234と、を備えることができる。支持構造1232は、複数のマルチスペクトル光アセンブリ1234を支持する構成とすることができる。一部の実施形態では、支持構造1232によって支持されるマルチスペクトル光アセンブリ1234はマルチスペクトル光源と、ライトパイプと、拡散面と、投影レンズと、を備えることができる。例えば、各マルチスペクトル光アセンブリ1234は上記にて
図1を参照して説明されたマルチスペクトル光アセンブリ100とすることができる。フロントプレート1234は、支持構造1232によって支持される各マルチスペクトル光アセンブリ1234の投影レンズを受けるように形成された開口を有することができる。複数のマルチスペクトル光アセンブリ1234は
図17において照明アセンブリ1206における配置例となっているのが示されており、他の実施形態では、照明アセンブリ1206において使用されるマルチスペクトル光アセンブリの数及び配置を異なるものとすることができると解すべきである。一部の実施形態では、支持構造1232は距離センサ1124を支持する構成とすることもできる。
【0088】
上記のように、一部の実施形態では照明アセンブリ1206に1つ又は複数の照明センサ(例えば
図2に示されている照明センサ222等)を組み込み、マルチスペクトル光アセンブリの近傍に配置することができ、例えばマルチスペクトル光アセンブリのマルチスペクトル光源(例えばLED等)の近傍又は付近に照明センサを配置することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光アセンブリの投影レンズの近傍又は付近に複数の照明センサを配置することができる。照明センサ及びビジョンシステムのプロセッサを用いて、照明アセンブリ1206によって投影される複数の異なるカラーチャネルの光の量を制御し、これにより、上記にて一般的に説明したものを含めて、画像取得を改善するために使用可能なフィードバックループを実装することができる。
【0089】
図18は、本技術の一実施形態のビジョンシステム1300に設けられた、二重アパーチャを備えた光学系アセンブリとマルチスペクトル光源とを備えた照明装置の概略図である。一部の実施形態では、マルチアパーチャアセンブリを備えた光学系アセンブリ1302を有するビジョンシステムにおいてマルチスペクトル光源を用いることができ、上記のマルチアパーチャアセンブリは、それぞれ対応する光源と共に用いられて複数の異なるDOFで画像の取得を可能にする複数の異なる領域を有し得る。ビジョンシステム1300はビジョンシステムの具体的な実装の一例であるが、他の構成も可能である。
図18ではマルチアパーチャアセンブリは二重アパーチャアセンブリとなっているが、他の実施形態では追加のアパーチャを設けることも可能である。
【0090】
二重アパーチャアセンブリ1306の内側領域1308(小さいアパーチャ)と大きなDOF1334とを用いて画像を取得するためには、第1の光源1316が特定の波長(又は波長範囲)又は偏光を有する光ビーム1330をターゲット1322(例えばバーコード等)に投影する。第1の光ビームの反射光1338は二重アパーチャアセンブリ1306の内側領域1308を通過し、外側領域1310ではブロックされる。その後、反射光1338はレンズ配置体1304の1つ又は複数のレンズによって撮像センサ1312に送られる。二重アパーチャアセンブリ1306の外側領域1310(大きいアパーチャ)と小さいDOF1336とを用いて画像を取得するためには、第2の光源1318が特定の波長(又は波長範囲)又は偏光を有する光ビーム1332をターゲット1322(例えばバーコード等)に投影する。第2の光ビームの反射光1340は二重アパーチャアセンブリ1306の全径(すなわち、内側領域1308と外側領域1310とを合わせた径)を通過し、レンズ配置体1304の1つ又は複数のレンズによって撮像センサ1312に送られる。図中の実施形態では、二重アパーチャアセンブリ1306の第1の領域1308と第2の領域1310とは、第1の光ビーム1330と第2の光ビーム1332とに対し同じ焦点を有する。
【0091】
撮像センサ1312は、感光部(画素)の行及び列を有することができ、これらは画素アレイを構成する。レンズ配置体1304によって反射光(1338又は340)が撮像センサ1312に投影されると、各画素が、当該画素に入射した光に比例する信号を生成する。一部の実施形態では、センサ1312はモノクロセンサである。二重アパーチャアセンブリは例えば、上記の複数の異なる領域と、これらに対応する光源とを用いて、複数の異なる時点で個別画像を取得するために使用することができる。よって、ターゲット1332を照明するために使用される波長又は偏光に応じてリーダのアパーチャ開口値が変わり、これにより、画像を取得する際のDOF及び露光時間が変わる。
【0092】
一部の実施形態では、第1の照明光1330及び第2の照明光1332を投影するために使用される光源1316及び1318はそれぞれ、特定の種類(波長又は偏光)の照明光を提供するためにLED又はレーザダイオードを備えることができる。一部の実施形態では、第1の照明光1330及び第2の照明光1332の両方を提供するためにマルチスペクトル光源を使用することができる。例えば、上記にて
図2を参照して説明したようにマルチスペクトル光源をマルチスペクトル光アセンブリ216,218,220の一部とすることができる。一部の実施形態ではマルチスペクトル光源は、複数の異なる色のLEDダイを1つのパッケージにまとめたものを備えることができる。例えば、マルチスペクトル光源はRGB LED、RGBW LED、RGB(IR)LED、RGBY LED、若しくはその他の種類のRGB LED、又はその他の種類の多波長LEDとすることができる。
【0093】
少なくとも1つのマルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えてこれを用いるビジョンシステムは、数多くの種々のイメージング用途に有利となり得る。例えば一部の実施形態では、複数の波長の光(すなわち複数の色)又は波長の複数の組み合わせを用いることにより、同一画像上で解析される特徴同士を区別する能力を実現できるという利点が奏される。かかる実施形態では、ビジョンシステムアセンブリは透明なフロントカバーと、各マルチスペクトル光源(例えばRGBWLED等)により生成することができる複数の波長と、を兼ね備えることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源を備えたビジョンシステムは、オイルその他の種類の透明面を有する物体又はターゲットの画像を取得する際に有利となり得る。複数の異なる波長の光(及び混色)を利用して、物体(例えば物体の表面等)との間で種々のインタラクションを生じさせると共に、例えばオイル等の透明面をより検出しやすくすることができる。かかる実施形態では、ビジョンシステムアセンブリは透明なフロントカバーと、各マルチスペクトル光源(例えばRGBWLED等)により生成することができる複数の波長と、を兼ね備えることができる。その上、上述のような実施形態では、ビジョンシステムは、上記にて
図8を参照して説明したように1回の露光のためのタイミング構成を使用することができる。
【0094】
一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは、光学文字認識(OCR)用途に有利となり得る。例えば、OCR用に構成されたビジョンシステムは偏光を用いることができ、ビジョンシステムのカメラは、当該カメラに対して90°チルトした他の偏光フィルタによってシーンを見ることができる。マルチスペクトル光源又はマルチスペクトル光アセンブリから得られる色は、コントラスト及び/又は輝度を改善するために重要となり得る。OCR用途では、ビジョンシステムアセンブリは偏光フロントカバーを備えることができ、ビジョンシステムは、上記にて
図8を参照して説明した1回の露光に対応するタイミング構成を使用することができる。
【0095】
一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは、例えばシリンドリカル形状又は非扁平形状を有する撮像部品等の拡散光用途に有利となり得る。ID用又はOCR用に撮像されるシリンドリカル部品は、その反射やテクスチャのため難しいものとなり得る。複数の異なる色(又は波長)の可能性を有する拡散光は、ビジョンシステムの性能を拡張するために有利に使用することができる。例えば、上記にて
図9を参照して説明した拡散光アセンブリと、マルチスペクトル光アセンブリを備えたビジョンシステム照明アセンブリと、を組み合わせることができ、ビジョンシステムは、上記にて
図8を参照して説明した1回の露光に対応するタイミング構成を使用することができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは、布製品における欠陥を識別する用途に有利となり得る。かかる実施形態ではビジョンシステムアセンブリは、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ)と、偏光、透明なフロントカバー、及び/若しくは拡散光(例えば
図9に示されている拡散光アセンブリを使用したもの等)のうち1つ又は複数と、の組み合わせを備えることができる。
【0096】
一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムはセキュリティ用途に有利となり得、例えば物体若しくはターゲットの細かな特徴を識別するため及び/又は紙幣、透かし等のセキュリティ特徴を検出するための画質改善のために有利となり得る。かかる用途は、赤外(IR)光を出力可能なマルチスペクトル光源を使用することができる。かかる実施形態ではビジョンシステムアセンブリは、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ)と、透明なフロントカバー及び/又は拡散光(例えば
図9に示されている拡散光アセンブリを使用したもの等)と、の組み合わせを備えることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは三次元(3D)構造を識別するため、例えば構造間のギャップ界面を検出するために有利となり得る。かかる実施形態ではビジョンシステムアセンブリは、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ)と拡散光(例えば
図9に示されている拡散光アセンブリを使用したもの等)との組み合わせを備えることができる。3D構造の場合、複数の異なる色を用いることにより、材質の結果としての輝度に関するフィードバックをより多く得ることができる。
【0097】
一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは3Dプリンティングやスキャン用途に有利となり得る。かかる実施形態ではビジョンシステムは、例えば混色能力を生じさせるため、上記にて
図8を参照して説明した1回の露光に対応するタイミング構成を使用することができる。さらに、3Dプリンティングやスキャン用途の場合、ビジョンシステムアセンブリは拡散光アセンブリ、例えば
図9に示された拡散光アセンブリ等を備えることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは医療用途やライフサイエンス用途に有利となり得、例えば皮膚がん認識、黄疸の検出及びモニタリング、ビリルビンレベル検出等に有利となり得る。かかる実施形態ではビジョンシステムは、例えば混色能力を生じさせるため、上記にて
図8を参照して説明した1回の露光に対応するタイミング構成を使用することができる。さらに、3Dプリンティングやスキャン用途の場合、ビジョンシステムアセンブリは拡散光アセンブリ、例えば
図9に示された拡散光アセンブリ等を備えることができる。一部の実施形態では、マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは農業用に有利となり得、例えば品質検査や製造コントロール等に有利となり得る。一部の農業用途では、ビジョンシステムアセンブリは透明なフロントカバーを備えることができる。
【0098】
一部の実施形態では、ビジョンシステムの上記の種々の用途、例えば布製品の欠陥の検出、3D構造の撮影、医療及びライフサイエンス用途、農業用途等は、画像の解析のために機械学習(例えば深層学習)技術を使用することができる。マルチスペクトル光源(例えばマルチスペクトル光アセンブリ等)を備えたビジョンシステムは、例えばその良好な画質のため、ニューラルネットワークの訓練に使用される画像を取得したり、ニューラルネットワークにより解析される画像を取得したりするために使用するのが有利となり得る。
【0099】
上記の記載は、本願技術の実施形態例を詳細に説明するものであったが、本願開示の思想や範囲から逸脱することなく、種々の改良や追加を行うことができる。上記にて説明した種々の各実施形態の構成は適宜、ここで記載されている他の実施形態の各構成と組み合わせて、関連する新規の実施形態を実現する構成の組み合わせの多様性を提供することができる。また、上記では本願開示の装置及び方法の数多くの別個の実施形態について説明したが、本願にて記載されている事項は、あくまで本願開示の原理の応用の例示である。さらに、本願で使用されている「垂直方向」、「水平方向」、「上」、「下」、「底部」、「頂部」、「側部」、「前」、「後」、「左」、「右」等の方向や向きを表す用語は、あくまで相対的な用語であり、例えば重力等の固定的な座標系を基準とする絶対的な方向ではない。よって、本願明細書はあくまで例示として解されるものであり、本願開示の範囲を別段限定するものと解されるものではない。
【0100】
一部の実施形態では、本願技術の方法のコンピュータ実装も含めた本願技術の各側面は、処理装置(例えばシリアル若しくはパラレル汎用若しくは特殊プロセッサチップ、シングルコアチップ、マルチコアチップ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、制御ユニット、算術論理演算装置及びプロセッサレジスタの任意の種々の組み合わせ、等)コンピュータ(例えばメモリに動作可能に結合された処理装置等)その他本願に詳細に記載されている各側面を実装するための電子的に動作するコントローラを制御するためのソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はこれらの任意の組み合わせを製造するための標準的プログラミング技術又はエンジニアリング技術を用いた製造の物品、システム、方法又は装置として実施することができる。よって例えば、本願技術の各実施形態は、処理装置が非一時的なコンピュータ可読媒体からの命令の読み出しに基づき当該命令を実行できるように当該非一時的なコンピュータ可読媒体に有形に具現化された命令のセットとして実施することができる。本願技術の一部の実施形態は、本願の記載と一致する種々のコンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア等を含めた例えばオートメーション装置、特殊用途又は汎用コンピュータ等の制御装置を備える(又は使用する)ことができる。制御装置は具体例として、プロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックコントローラ、論理ゲート等、及び適切な機能を実装するための当該分野において公知の他の典型的な構成要素(例えばメモリ、通信システム、電源、ユーザインタフェースその他入力部等)を含み得る。
【0101】
本願でいう「製造の物品」とは、任意のコンピュータ可読装置、キャリア(例えば非一時的な信号等)又は媒体(例えば非一時的な媒体等)がアクセス可能なコンピュータプログラムを含むことを意図したものである。例えばコンピュータ可読媒体には、磁気記憶装置(例えばハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ等)、光学ディスク(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD)等)、スマートカード、及びフラッシュメモリデバイス(例えばカード、スティック等)が含まれ得るが、これらは限定列挙ではない。さらに、例えば電子メールの送受信又はインターネット若しくはローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークへのアクセス等において用いられるような、コンピュータ可読電子データを搬送するために搬送波を使用できると解すべきである。当業者であれば、特許請求の範囲に記載の発明の範囲又は思想から逸脱することなく、上記の構成に多くの改良を施すことが可能であることを認識することができる。
【0102】
本願技術の方法の特定の動作、又は当該方法を実行するシステムの特定の動作は、各図において概略的に示され、又はその他の態様で記載されている場合がある。別段の指定又は限定が無い限り、特定の空間的順序での特定の動作の各図の記載は必ずしも、当該動作を当該特定の空間的順序に相当する特定の順序で実行しなければならない訳ではない。従って、各図に示され又は他の態様で本願に開示されている特定の動作は、本願技術の特定の実施形態に適切である場合、明示的に図示又は記載された順序とは異なる順序で実行することができる。また一部の実施形態では、特定の動作は、大きなシステムの一部として相互動作するように構成された別体の計算機、又は専用の並列処理装置による実行も含めて、並列実行することもできる。
【0103】
本願においてコンピュータ実装に関して別段の指定又は限定が無い限り、「構成要素」、「システム」、「モジュール」等の用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、又は実行時ソフトウェアを含めたコンピュータ関連システムの一部又は全部を含むことを意図したものである。例えば構成要素は、処理装置、処理装置によって実行される(又は実行可能な)処理、オブジェクト、実行プログラム、実行のスレッド、コンピュータプログラム、又はコンピュータとすることができるが、これらは限定列挙ではない。例えば、コンピュータ上で実行されるアプリケーション及びそのコンピュータの両方が構成要素となり得る。構成要素(若しくはシステム、モジュール等)は処理若しくは実行スレッドの中に存在することができ、1つのコンピュータ上にローカルに実装することができ、2つ以上のコンピュータその他処理装置に分散することができ、又は、他の構成要素(若しくはシステム、モジュール等)の中に含めることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンビジョンシステム用の照明アセンブリであって、
複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えており、前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリはそれぞれ、
複数の異なる波長の光を生成するように構成されたマルチスペクトル光源と、
入射面及び出射面を有し、照明方向を基準として前記マルチスペクトル光源の前方に配置されたライトパイプであって、前記マルチスペクトル光源によって生成された前記複数の異なる波長の光のうち2つ以上を受光して、前記複数の異なる波長の光のうち前記2つ以上の混色を行うように構成されたライトパイプと、
前記ライトパイプの出射面に配され、前記ライトパイプから送出された混色光を受光する拡散面と、
前記拡散面の前方に配置された投影レンズであって、前記拡散面から前記混色光を受光し、前記混色光を含む光ビームを物体に投影するように構成された投影レンズと、
を備えており、
前記照明システムはさらに、前記複数のマルチスペクトル光アセンブリと通信し、前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリの前記マルチスペクトル光源の駆動を制御するように構成された処理装置を備えている
ことを特徴とする照明アセンブリ。
【請求項2】
前記マルチスペクトル光源は、それぞれ異なる波長の光を別個に出力するように構成された複数のカラー発光ダイオード(LED)を備えている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項3】
前記マルチスペクトル光源は、RGBW LED、RGB IRLED、又はRGBY LEDのいずれかである、
請求項2記載の照明アセンブリ。
【請求項4】
前記処理装置と通信し、前記マルチスペクトル光源によって生成された少なくとも1つの波長の光を受光して当該波長の光の強度を測定するように構成された照明センサをさらに備えている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項5】
前記処理装置は、前記少なくとも1つの波長の光の測定された前記強度を受け取って、測定された当該強度に基づき、前記少なくとも1つの波長の光の前記強度の調整又は前記少なくとも1つの波長の光の露光時間の調整のうち1つ又は複数を行うように構成されている、
請求項4記載の照明アセンブリ。
【請求項6】
前記処理装置は、測定された前記強度と目標強度との比較に基づき、前記少なくとも1つの波長の光の前記強度を調整するように構成されている、
請求項5記載の照明アセンブリ。
【請求項7】
前記拡散面は、前記ライトパイプから送出される光の角度を制御するように構成されている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項8】
前記拡散面は、前記ライトパイプから送出される光の形状を制御するように構成されている、
請求項7記載の照明アセンブリ。
【請求項9】
前記投影レンズは、非球面形レンズ、球面形レンズ、トロイダル形レンズ、シリンドリカル形レンズ、自由曲面レンズのいずれか1つ、又は複数のレンズ形状の組み合わせである、
請求項8記載の照明アセンブリ。
【請求項10】
前記物体に投影される光ビームの形状は、前記マシンビジョンシステムの視野(FOV)の形状に略等しい、
請求項8記載の照明アセンブリ。
【請求項11】
前記物体に投影される光ビームの形状は矩形である、
請求項10記載の照明アセンブリ。
【請求項12】
前記拡散面は、前記ライトパイプの前記出射面に配置されたホログラフィック・ディフューザである、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項13】
前記拡散面は、前記ライトパイプの前記出射面の拡散テクスチャである、
請求項1記載の照明システム。
【請求項14】
前記ライトパイプの形状と、前記ライトパイプの前記入射面と前記出射面との面積の比と、が混色のために最適化されている、
請求項1記載の照明アセンブリ。
【請求項15】
少なくとも1つのレンズを備えた光学系アセンブリと、
撮像センサを備えたセンサアセンブリと、
前記少なくとも1つのレンズまわりに対称的に配置された複数のマルチスペクトル光アセンブリを備えた照明アセンブリと、
を備えており、
前記複数の各マルチスペクトル光アセンブリは、
それぞれ異なる波長の光を生成する複数のカラーLEDダイを備えたマルチスペクトル光源であって、前記複数のカラーLEDダイの向きは、照明領域においてバランスのとれた色の分布を提供するように設定されたマルチスペクトル光源と、
前記マルチスペクトル光源の前方に配置され、出射面を有するライトパイプと、
前記ライトパイプの前記出射面に配置された拡散面と、
前記拡散面の前方に配置され、物体に前記照明領域を投影するように構成された投影レンズと、
を備えており、
前記マシンビジョンシステムは、前記光学系アセンブリ、前記センサアセンブリ及び前記照明アセンブリと通信し、前記複数の各カラーLEDダイの駆動を制御するように構成された処理装置をさらに備えている
ことを特徴とするマシンビジョンシステム。
【請求項16】
前記処理装置は前記複数の各カラーLEDダイを順次駆動するように構成されている、
請求項15記載のマシンビジョンシステム。
【請求項17】
前記処理装置は、1つの露光時間中に前記複数の各カラーLEDダイを順次駆動するように構成されている、
請求項16記載のマシンビジョンシステム。
【請求項18】
前記光学系アセンブリ、前記センサアセンブリ、前記照明アセンブリ及び前記処理装置の周囲に配置されたハウジングと、
前記照明アセンブリの前方において前記ハウジングに取り外し可能に取り付けられた拡散光アセンブリであって、前記照明アセンブリから送出された光を拡散光に変換するように構成された拡散光アセンブリと、
をさらに備えている請求項15記載のマシンビジョンシステム。
【請求項19】
前記複数の各カラーLEDダイは、それぞれ異なる色のLEDを含む前記複数の各カラーLEDダイにそれぞれ対応する複数のライティング位置をそれぞれ有し、
前記複数のマルチスペクトル光アセンブリは全体として、前記複数の各ライティング位置における各異なる色の数が等しい、
請求項15記載のマシンビジョンシステム。
【請求項20】
物体に存在するシンボルの画像を取得するために使用されるマシンビジョンシステム用の照明システムを制御するための方法であって、
少なくとも1つのマルチスペクトル光源と、対応するライトパイプと、を用いて、第1のカラーチャネルに関連付けられた第1の波長を有する第1の光ビームを第1の期間にわたって投影することと、
照明センサを用いて前記第1の光ビームの強度を測定することと、
処理装置を用いて、前記第1の光ビームの測定された前記強度と第1の目標強度とを比較することと、
前記処理装置を用いて、前記第1の光ビームの測定された前記強度と前記第1の目標強度との比較結果に基づき、前記第1の光ビームの測定された前記強度が前記目標強度に等しくなるまで前記第1の光ビームの光の量を調整することと、
前記第1の期間後、前記少なくとも1つのマルチスペクトル光源と、対応するライトパイプと、を用いて、第2のカラーチャネルに関連付けられた第2の波長を有する第2の光ビームを第2の期間にわたって投影することと、
前記照明センサを用いて前記第2の光ビームの強度を測定することと、
前記処理装置を用いて、前記第2の光ビームの測定された前記強度と第2の目標強度とを比較することと、
前記処理装置を用いて、前記第2の光ビームの測定された前記強度と前記第2の目標強度との比較結果に基づき、前記第2の光ビームの測定された前記強度が前記第2の目標強度に等しくなるまで前記第2の光ビームの光の量を調整することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記第1の光ビームと前記第2の光ビームとは順次投影される、
請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第1の期間と前記第2の期間とは、同じ1つの露光時間に含まれる、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記第1の光ビームの光の量を調整することは前記第1の期間の時間長を調整することを含み、又は、前記第2の光ビームの光の量を調整することは前記第2の期間の時間長を調整することを含む、
請求項21記載の方法。
【国際調査報告】