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特表2024-528159セパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】セパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20240719BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/446
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/42
H01M50/443 C
H01M50/414
H01M50/411
H01M50/426
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506254
(86)(22)【出願日】2023-03-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2023083849
(87)【国際公開番号】W WO2023179780
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/144349
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/083171
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】洪 ▲海▼▲芸▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ ▲艶▼云
(72)【発明者】
【氏名】程 ▲暁▼楠
(72)【発明者】
【氏名】▲巣▼ 雷
(72)【発明者】
【氏名】汪 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ 崇旺
(72)【発明者】
【氏名】李 雨霞
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 建瑞
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲義▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 成▲棟▼
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE01
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE05
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE21
5H021HH01
5H021HH03
(57)【要約】
本出願は、セパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置を開示し、ここで、セパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングは、前記基材の少なくとも一部の表面上に形成され、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータであって、
基材と、
前記基材の少なくとも一部の表面上に形成されるコーティングとを含み、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する、セパレータ。
【請求項2】
前記セパレータの圧縮弾性率は、aMpaであり、前記複合粒子における第一の無機粒子の含有量は、bwt%であり、a/bは、1.1-60であり、好ましくは4.7-34である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記セパレータの圧縮弾性率は、aMpaであり、aは、60-90である、請求項1又は2に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記複合粒子における前記第一の無機粒子の含有量は、bwt%であり、bは、1-50であり、選択的に1-40であり、さらに選択的に2-15であり、最も好ましくは5-15である、請求項1から3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記複合粒子のDv50≧2.5μmであり、好ましくは2.5μm-10μmであり、より好ましくは3μm-8μmである、請求項1から4のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記複合粒子は、第一の凝集体を含み、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの前記第一の無機粒子を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項7】
0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記複合粒子は、一次粒子形態の第一の無機粒子を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記一次粒子形態の第一の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μmであり、好ましくは0.5μm-1μmである、請求項8に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μmであり、好ましくは1μm-2μmである、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項13】
前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nmであり、好ましくは100nm-200nmである、請求項12に記載のセパレータ。
【請求項14】
前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μmであり、好ましくは5μm-8μmである、請求項12に記載のセパレータ。
【請求項15】
前記突起の両面の高さは、15μm-60μmである、請求項1から14のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項16】
前記突起の表面は、前記第一の凝集体を有する、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項17】
前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含み、
前記接着剤ポリマーは、以下のような第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つにより形成されたコポリマーを含み、
第一のモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価が0.35-0.50にあるエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む、請求項1から16のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項18】
前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテルと、グリセロールC4-C10アルキルモノエーテルと、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステルと、グリセロールC4-C10カルボン酸ジエステルと、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルと、グリセロールとのうちの少なくとも一つを含む、請求項17に記載のセパレータ。
【請求項19】
前記コーティングは、複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含み、前記接着剤は、水酸基とカルボン酸塩を有する線状コポリマーを含み、
前記線状コポリマーは、以下のような各種のモノマーの重合生成物を含み、
(1)第一種のモノマーであって、前記第一種のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレンとアクリロニトリルのうちの少なくとも一つを含み、
(2)第二種のモノマーであって、前記第二種のモノマーは、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリルとメタクリル酸トリフルオロエチルのうちの少なくとも一つを含み、
(3)第三種のモノマーであって、前記第三種のモノマーは、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼンとエポキシ価が0.35~0.50にあるエポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含み、
(4)第四種のモノマーであって、前記第四種のモノマーは、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリビニルアルコールのうちの少なくとも一つを含む、請求項1から16のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項20】
前記複合粒子のDv50は、前記第二の無機粒子のDv50よりも大きい、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項21】
前記第二の無機粒子のDv50は、0.5μm-2μmであり、好ましくは1μm-2μmである、請求項19又は20に記載のセパレータ。
【請求項22】
前記複合粒子と前記第二の無機粒子との質量比は、(5-30):(50-70)である、請求項19から21のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項23】
前記複合粒子と前記接着剤における固体含有量の質量比は、(80-90):(5-20)であり、好ましくは(85-90):(8-15)である、請求項1から20のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項24】
前記コーティングは、有機粒子をさらに含み、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリクロロトリフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキシド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とビニルモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸系モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート系モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記複合粒子と前記有機粒子は、前記コーティング表面に前記突起を形成する、請求項1から23のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項25】
前記有機粒子は、第三の凝集体を形成する、請求項24に記載のセパレータ。
【請求項26】
前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、好ましくは5μm-12μmである、請求項25に記載のセパレータ。
【請求項27】
前記第三の凝集体には一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間に隙間がある、請求項25又は26に記載のセパレータ。
【請求項28】
前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nmであり、好ましくは100nm-200nmである、請求項27に記載のセパレータ。
【請求項29】
前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20-90):(0-70)であり、好ましくは(45-90):(0-45)である、請求項23から28に記載のセパレータ。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか1項に記載のセパレータの製造方法であって、
(1)基材を提供することと、
(2)前記基材の少なくとも一部の表面上に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成することとを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する、セパレータの製造。
【請求項31】
電池であって、請求項1から29のいずれか1項に記載のセパレータ又は請求項30に記載の製造方法によって得られたセパレータを含む、電池。
【請求項32】
電力消費装置であって、請求項31に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、二次電池技術分野に属し、具体的にセパレータ及びその製造方法、電池と電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、重量が軽く、汚染がなく、記憶効果がないなどの顕著な特徴を有するため、各種の消費類電子製品と電動車両に幅広く用いられる。
【0003】
新エネルギー産業の連続的な発展につれて、ユーザは、二次電池に対してより高い使用需要を提出する。例えば、二次電池のエネルギー密度は、ますます高く設計されるようになるが、電池エネルギー密度の高まりは、しばしば電気化学性能又は安全性能のバランスに不利である。
【0004】
そのため、どのように電池にサイクル性能と安全性能を同時に両立させるかは、電池設計分野の挑戦の鍵である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術において存在する技術課題に鑑みて、本出願は、セパレータを提供し、それを含む電池に良好なサイクル性能と安全性能を同時に両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本出願の第一の態様によれば、セパレータを提供し、このセパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングは、前記基材の少なくとも一部の表面上に形成され、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する。
【0007】
従来の技術と比べ、本出願は、以下に記載の有益な効果を少なくとも含む。電池モジュールは、実際の応用プロセスにおいて、絶えない充放電につれて、極板が回避不可能に膨張し、モジュール空間が限られた場合に、膨張力は、解放できず、セル電池コアに反作用し、それによってセパレータコーティングと極板との間の接着作用が強すぎるようにし、リチウムイオンの離脱を破壊し、ひいてはセパレータコーティングを面積で沈下させてセパレータの穴を塞ぎ、リチウムイオン伝送に影響を与え、それによって電池コアの耐用年数を悪化させる。本出願では採用されるセパレータコーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含むとともに、少なくとも二つのポリプロピオン酸エステル粒子の間に第一の無機粒子があり、複合粒子の高温造粒プロセスにおける粘着を回避し、セパレータのイオン伝導能力を向上させるとともに、複合粒子の圧縮弾性率を向上させ、セパレータと極板との接着性を比較的適切にすることができる。従来のセパレータコーティングがポリフッ化ビニリデン粒子を用いるのと比べ、本出願のセパレータコーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、一方でセパレータ抵抗を低減させ、他方で電池コア製作及び使用プロセスにおいてこのセパレータと極板との間の接着を適切にし、最も重要なのは、このセパレータに適切な圧縮弾性率を有させることであり、電池コアがサイクル膨張力が増える場合にリチウムイオン伝送チャンネルを塞いで動力学性能を悪化させることがないように確保し、それによって電池の動力学性能を高める。同時に、電池が熱暴走して高温を発生させる時に、複合粒子によりコーティング表面に形成された突起は、大面積の接着フィルム構造を形成してイオン伝送チャンネルを減少させ又は阻隔し、電池の熱蔓延を延ばすことができ、それによって電池のサイクル性能と高温での安全性能を効果的に改善する。
【0008】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記セパレータの圧縮弾性率は、aMpaであり、前記複合粒子における第一の無機粒子の質量占有率は、bwt%であり、a/bは、1.1-60であり、好ましくは4.7-34である。それによって、このセパレータと極板との間の接着性は、適当である。
【0009】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記セパレータの圧縮弾性率aMpaは、60MPa-90MPaである。それによって、このセパレータと極板との間の接着性は、適当である。
【0010】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子における前記第一の無機粒子の含有量bwt%は、1wt%-50wt%であり、選択的に1wt%-40wt%であり、さらに選択的に2wt%-15wt%であるであり、最も好ましくは5wt%-15wt%である。それによって、セパレータに適当な圧縮弾性率を取得させる。
【0011】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子のDv50≧2.5μmであり、好ましくは2.5μm-10μmであり、より好ましくは3μm-8μmである。それによって、コーティング表面に突起構造を形成するのに有利であり、それによって電池コアの動力学性能を向上させる。
【0012】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子は、第一の凝集体を含み、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの前記第一の無機粒子を含む。それによって、電池の動力学性能を高めることができる。
【0013】
本出願のいくつかの実施の形態では、0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である。それによって、セパレータの圧縮弾性率を高めることができる。
【0014】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子は、一次粒子形態の第一の無機粒子を含む。
【0015】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の第一の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μmであり、好ましくは0.5μm-1μmである。それによって、複合粒子が製作プロセスにおいて融合してセパレータイオン輸送チャンネルを塞ぐことがないように確保することができる。
【0016】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む。
【0017】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μmであり、好ましくは1μm-2μmである。
【0018】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含む。
【0019】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nmであり、好ましくは100nm-200nmである。それによって、セパレータコーティング全体のイオン伝導能力を高め、セパレータ抵抗を低減させ、電池コア動力学性能を高めることができる。
【0020】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μmであり、好ましくは5μm-8μmである。それによって、極板間の応力を解放するための緩衝空間を提供し、捲回電池コアの曲がり角が応力蓄積で断裂することを防止することができる。
【0021】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記突起の両面の高さは、15μm-60μmである。それによって、電池安全性を向上させると同時に電池コアの動力学性能を改善することができる。
【0022】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記突起の表面は、前記第一の凝集体を有する。それによって、電池の動力学性能を向上させることができる。
【0023】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含み、前記接着剤ポリマーは、以下のような第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つにより形成されたコポリマーを含み、
第一のモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価が0.35-0.50にあるエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。
【0024】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテルと、グリセロールC4-C10アルキルモノエーテルと、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステルと、グリセロールC4-C10カルボン酸ジエステルと、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルと、グリセロールとのうちの少なくとも一つを含む。
【0025】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記コーティングは、複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含み、前記接着剤は、水酸基とカルボン酸塩を有する線状コポリマーを含み、前記線状コポリマーは、以下のような各種のモノマーの重合生成物を含み、
(1)第一種のモノマーであって、前記第一種のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレンとアクリロニトリルのうちの少なくとも一つを含み、
(2)第二種のモノマーであって、前記第二種のモノマーは、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリルとメタクリル酸トリフルオロエチルのうちの少なくとも一つを含み、
(3)第三種のモノマーであって、前記第三種のモノマーは、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼンとエポキシ価が0.35~0.50にあるエポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含み、
(4)第四種のモノマーであって、前記第四種のモノマーは、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリビニルアルコールのうちの少なくとも一つを含む。
【0026】
それによって、上記モノマーを有する線状コポリマーは、接着剤に基材で良好な湿潤性を有させ、それによって基材の塗布の良品率を高めるとともに、コーティング緻密性を高め、より重要なのは、第二の無機粒子及び複合粒子と基材との接着を高め、セパレータの熱収縮性能を極めて高めることであり、それによって電池コア安全性能を高めるとともに、コーティングにおける粒子材料と化学的作用を発生させることができ、それによって適度な緻密構造を生成し、さらにセパレータの安全性を向上させ、またこのような三次元の相互作用は、リチウムイオンの伝送チャンネルを打ち通し、セパレータのイオン電気伝導度を高め、電池コアの動力学性能を高める。
【0027】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子のDv50は、前記第二の無機粒子のDv50よりも大きい。それによって、コーティング表面に突起を形成するのに有利であり、電池安全性を向上させると同時に電池コアの動力学性能を改善することができる。
【0028】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記第二の無機粒子のDv50は、0.5μm-2μmであり、好ましくは1μm-2μmである。それによって、セパレータの耐高温性を向上させることができる。
【0029】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子と前記第二の無機粒子との質量比は、(5-30):(50-70)である。それによって、電池の動力学性能を向上させることができる。
【0030】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子と前記接着剤における固体含有量の質量比は、(80-90):(5-20)であり、好ましくは(85-90):(8-15)である。それによって、電池のサイクル性能と安全性能を向上させることができる。
【0031】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記コーティングは、有機粒子をさらに含み、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリクロロトリフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキシド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とビニルモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸系モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート系モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記有機粒子と前記複合粒子は、前記コーティング表面に前記突起を形成する。それによって、電池のサイクル性能と安全性能を向上させることができる。
【0032】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記有機粒子は、第三の凝集体を形成する。
【0033】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、好ましくは5.0μm-12μmである。
【0034】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記第三の凝集体には一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間に隙間がある。それによって、セパレータのイオン電気伝導度を向上させることができる。
【0035】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nmであり、好ましくは100nm-200nmである。
【0036】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20-90):(0-70)であり、好ましくは(45-90):(0-45)である。それによって、電池コストを低減させると同時にその安全性能とサイクル性能を高めることができる。
【0037】
本出願の第二の態様によれば、セパレータの製造方法を提供し、この方法は、(1)基材を提供することと、(2)前記基材の少なくとも一部の表面上に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成することとを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する。
【0038】
それによって、このセパレータは、優れた圧縮弾性率を有し及び極板との間は、適当な接着性を有し、それによって電池サイクル性能を高めると同時にその安全性能を向上させる。
【0039】
本出願の第三の態様によれば、電池を提供し、この電池は、本出願の第一の態様によるセパレータを含み又は本出願の第二の態様の方法に基づいて製造されたセパレータを含む。本出願の電池は、本出願の上記によるセパレータ又は上記方法によって製造されたセパレータを含むため、優れた安全性能とサイクル性能を有する。
【0040】
本出願の第四の態様によれば、電力消費装置を提供し、この電力消費装置は、本出願の第三の態様による電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる。本出願の電力消費装置は、本出願の上記による電池を含むため、少なくとも上記電池と同じ優位性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本出願の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願に使用される図面を簡単に紹介する。自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施の形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本出願の一実施の形態におけるセパレータ断面形態(CP)画像である。
図2】本出願の別の実施の形態におけるセパレータ断面形態(CP)画像である。
図3】本出願のまた別の実施の形態におけるセパレータ断面形態(CP)画像である。
図4】本出願の一実施の形態におけるセパレータと正極板と負極板を積層した後の電池コアの捲回概略図であるである。
図5】本出願の一実施の形態におけるセパレータ走査型電子顕微鏡画像(SEM画像)である。
図6】本出願の一実施の形態におけるセパレータの構造概略図である。
図7】本出願のまた別の実施の形態におけるセパレータの構造概略図である。
図8】本出願の一実施の形態の電池の構造概略図である。
図9】本出願の一実施の形態の電池モジュールの構造概略図である。
図10】本出願の一実施の形態の電池パックの構造概略図である。
図11図10の分解図である。
図12】電池を電源として用いる電力消費装置の一実施の形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、発明を実施するための形態を結び付けながら、本出願をさらに詳述する。理解すべきこととして、これらの具体的な実施の形態は、本出願を説明するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0043】
簡単明瞭にするために、本明細書は、ただいくつかの数値範囲を具体的に開示する。しかしながら、いずれか下限といずれかの上限は、組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができ、及びいずれか下限と他の下限は、組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができ、同様にいずれかの上限といずれかの他の上限は、組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができる。なお、各単独で開示された点又は単一の数値自体は、下限又は上限としていずれか他の点又は単一の数値と組み合わせ又は他の下限又は上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができる。
【0044】
本明細書の記述において、特に断りのない限り、用語である「又は(or)」は包括的である。つまり、フレーズである「A又は(or)B」は、「A、B、又はAとBとの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)が、Bが真である(又は存在する)条件と、AとBがいずれも真である(又は存在する)条件とのいずれも「A又はB」を満たしている。
【0045】
本明細書の記述において、説明すべきこととして、特に断りのない限り、「以上」、「以下」は、この数を含み、「一つ又は複数」における「複数」は、二つ及び二つ以上を意味する。
【0046】
特に断りのない限り、本出願では使用される用語は、当業者により一般的には理解される公知の意味を有する。特に断りのない限り、本出願に言及された各パラメータの数値は、当分野のよく使われる様々な測定方法を用いて測定することができる(例えば、本出願の実施例では与えられた方法に従ってテストすることができる)。
【0047】
本出願の実施例は、セパレータを提供し、このセパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングは、前記基材の少なくとも一部の表面上に形成され、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する。
【0048】
説明すべきこととして、コーティングが前記基材の少なくとも一部の表面上に形成されることは、コーティングが基材の表面に直接に接触すると理解されるべきであり、所謂「直接接触」であり、又はさらに基材表面とコーティングとの間に他の層があり、所謂「間接接触」である。同時に「少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に第一の無機粒子がある」及び「複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成する」は、セパレータに対してその厚さ方向に沿って裁断を行い、そして走査電子顕微鏡(SEM)を採用してセパレータコーティング断面に対して走査を行うことによって、SEM画像から複合粒子がポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含むとともに、一部のポリアクリレート粒子の間に第一の無機粒子があり且つ複合粒子がコーティング表面に突起を形成することが分かる。
【0049】
具体的には、ZEISS Sigma300走査電子顕微鏡を使用してテストを行い、それは、以下のようなステップ操作に従ってテストする。先ずテストすべきセパレータを6mm×6mmのテストすべきサンプルに裁断し、二枚の導電性及び熱伝導性の銅箔を用いてテストすべきサンプルを挟み、テストすべきサンプルと銅箔との間を両面テープで粘りついて固定し、一個の400gの平坦な鉄塊を用いて1時間圧着し、テストすべきサンプルと銅箔との間の隙間を小さくするほどよくなり、そしてはさみでエッジが揃うように切り、導電接着剤を有するサンプル台上に粘り、サンプルがサンプル台エッジよりもやや突出すればよい。そしてサンプル台をサンプル棚上に入れてロックして固定し、IB-19500CPアルゴンイオン断面ポリッシャー電源をオンにし且つ10Pa-4Paに真空引きを行い、アルゴンガストラフィックを0.15MPaに、電圧を8KVに、及び研磨時間を2時間に設定し、サンプル台を揺動モードに調整して研磨し始め、研磨が終了した後に、ZEISS Sigma300走査電子顕微鏡を使用してテストすべきサンプルのイオン研磨断面形態(CP)画像を得る。
【0050】
一例によれば、本出願の複合粒子の製造は、以下のステップを参照すればよい。
【0051】
(1)ポリアクリレート粒子を製造するポリマーモノマーを提供し、ポリマーモノマーを重合させ、ポリアクリレートのポリマーを得、
(2)ステップ(1)で得られたポリアクリレートのポリマーに溶媒と第一の無機粒子とを加え、攪拌した後に混合スラリーを得、
(3)ステップ(2)の混合スラリーを乾燥して溶媒を除去し、そして研磨、粉砕を経た後に本出願に記載の複合粒子を得る。
【0052】
説明すべきこととして、ポリマーモノマーの重合は、当分野において一般的に使用される重合方法を採用して行うことができ、例えばエマルジョン重合又は懸濁重合方式を採用して重合を行うことができる。
【0053】
いくつかの実施の形態では、ステップ(1)において、ポリマーモノマーの重合系に添加剤、例えばドデシル硫酸ナトリウムのような乳化剤、過硫酸アンモニウムのような重合開始剤をさらに加えてもよい。
【0054】
いくつかの実施の形態では、ステップ(1)において、ポリアクリレート粒子を製造するポリマーモノマーは、少なくとも以下のポリマーモノマーを含み、即ち、
第一のポリマーモノマーであって、それは、少なくとも一つのエステル結合を有し、選択的にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、酢酸ビニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸グリシジル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にメタクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル又はトリメチロールプロパントリアクリレートのうちの一つ又は複数であり、
第二のポリマーモノマーであって、それは、少なくとも一つのシアン結合を有し、選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリロニトリル、メタクリロニトリルのうちの一つ又は複数であり、
第三のポリマーモノマーであって、それは、少なくとも一つのアミド結合を有し、選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドのうちの一つ又は複数である。
【0055】
それによって、ポリアクリレート粒子は、少なくとも上記三種のポリマーモノマーを採用して重合してなり、セパレータが極板との適当な接着性を取得するようにし、電池の動力学性能を向上させることができる。
【0056】
いくつかの実施の形態では、上記形成されたポリアクリレート粒子における第一のポリマーモノマー、第二のポリマーモノマーと第三のポリマーモノマーの重量比は、1:0-0.8:0.05-0.75であり、例えば1:0.1-0.8:0.05-0.75、1:0.1-0.7:0.05-0.75、1:0.2-0.6:0.05-0.75、1:0.3-0.5:0.05-0.75、1:0.3-0.4:0.05-0.75、1:0-0.8:0.05-0.7、1:0-0.8:0.1-0.7、1:0-0.8:0.15-0.65、1:0-0.8:0.2-0.6、1:0-0.8:0.3-0.5、1:0-0.8:0.4である。それによって、電池の動力学性能を向上させることができる。別のいくつかの実施の形態では、上記形成されたポリアクリレート粒子における第一のポリマーモノマー、第二のポリマーモノマーと第三のポリマーモノマーの重量比は、1:0.1-0.6:0.1-0.6である。
【0057】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2)において、前記第一の無機粒子は、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムの酸化物及び硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びその改質材料のうちの一つ又は複数を含み、選択的に二酸化ケイ素、シリカゾル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数であり、さらに選択的にヒュームド二酸化ケイ素、ケイ素微粉末、酸化アルミニウム、安息香酸ナトリウムのうちの一つ又は複数である。
【0058】
任意の理論に限られることを期待せず、発明者は、大量の研究を経て以下を発見した。電池モジュールは、実際の応用プロセスにおいて、絶えない充放電につれて、極板が回避不可能に膨張し、モジュール空間が限られた場合に、膨張力は、解放できず、セル電池コアに反作用し、それによってセパレータコーティングと極板との間の接着作用が強すぎるようにし、リチウムイオンの離脱を破壊し、ひいてはセパレータコーティングを大面積で崩壊させてセパレータの穴を塞ぎ、リチウムイオン伝送に影響を与え、それによって電池コアの耐用年数を悪化させる。本出願のセパレータコーティングには複合粒子と接着剤が含まれ、複合粒子は、接着剤を介して基材と接着され、複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含むとともに、複合粒子における少なくとも二つのポリアクリレート粒子の間に第一の無機粒子があり、一方で、複合粒子における第一の無機粒子の存在によって造粒プロセスの高温処理によるポリアクリレート粒子の間の粘着を発生させることがなく、粘着した後のポリアクリレート粒子は、セパレータコーティング内に用いられるとイオン伝送が妨害されることを引き起こし、それによってセパレータのイオン伝導能力を低減させ、他方で、ポリアクリレート粒子は、自体圧縮弾性率が比較的低いため、単独でセパレータコーティング内に用いられると圧力作用でセパレータの穴を塞ぎやすくひいては陽極表面を塞ぎ、それによってイオン伝導を低減させ、電池の動力学性能を低減させ、ポリアクリレート粒子の間に第一の無機粒子を設置することによって、その圧縮弾性率を向上させ、セパレータ及び陽極の動力学性能がこの複合粒子の影響を受けないことを保証することができ、それによって電池の動力学性能を高める。また前記複合粒子は、前記基材又は前記コーティング表面に突起を形成し、セパレータは、この突起を介して極板に接触し、一方で、捲回プロセスにおいて、突起は、適切な空間を提供して応力を解放し、極板断裂を防止し、安全性を向上させ、他方で、セパレータと極板との間に間隙を残し、電解液の流動と浸潤に有利であり、電池コアの動力学性能を改善する。上記条件の共同作用で、セパレータと極板との間に適切な接着力を有させ、それによって電池の動力学性能を向上させるとともに、電池が熱暴走して高温を発生させる時に、突起は、大面積の接着フィルム構造を形成してイオン伝送チャンネルを減少させ又は阻隔し、電池の熱蔓延を延ばすことができ、それによって電池のサイクル性能と高温での安全性能を効果的に改善する。
【0059】
本発明者は、鋭意な研究を経、本出願のセパレータが上記条件を満たす上で、さらに選択的に下記条件のうちの一つ又はいくつかを満たす時に、電池の性能をさらに改善することができることを発見した。
【0060】
いくつかの実施の形態では、前記セパレータの圧縮弾性率は、aMpaであり、前記複合粒子における第一の無機粒子の含有量は、bwt%であり、a/bは、1.1-60であり、例えば1.1-59、1.5-55、2-55、5-52、7-50、10-48、12-45、15-43、18-40、20-42、22-40、25-37、27-35、30-32などである。別のいくつかの実施の形態では、a/bは、4.7-34である。
【0061】
いくつかの実施の形態では、前記セパレータの圧縮弾性率aMPaは、60MPa-90MPaであり、例えば65MPa-90MPa、65MPa-85MPa、65MPa-80MPa、70MPa-80MPa、75MPa-80MPa、77MPa-80MPaなどであり、前記複合粒子における前記第一の無機粒子の含有量bwt%は、1wt%-50wt%であり、例えば1wt%-48wt%、1wt%-45wt%、1wt%-40wt%、1wt%-35wt%、1wt%-30wt%、1wt%-25wt%、1wt%-20wt%、1wt%-15wt%、2wt%-15wt%、3wt%-15wt%、4wt%-15wt%、5wt%-15wt%、7wt%-15wt%、10wt%-15wt%、12wt%-15wt%などである。それによって、複合粒子における第一の無機粒子の含有量は、上記含有量範囲内に制御され、一方で、造粒プロセスの高温処理によるポリアクリレート粒子の間の粘着を発生させることがないようにし、セパレータのイオン伝導能力を向上させ、他方で、セパレータに適当な圧縮弾性率を有させ、電池モジュールの受力状態でセパレータコーティングと陽極との間が適当な作用力を有することを確保することができる。
【0062】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、前記複合粒子のDv50≧2.5μmであり、例えば2.5μm-10μm、2.5μm-8μm、2.5μm-6μm、2.5μm-5μm、2.5μm-4μm、2.5μm-3μmなどである。それによって、一方で、このDv50範囲を満たす複合粒子は、セパレータコーティングと極板との適切な接着力を提供することができ、他方で、コーティング表面に突起構造を形成するのに有利であり、それによって電池コアの動力学性能を向上させる。
【0063】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、図1から2を参照すると、前記ポリアクリレート粒子の間に第一の凝集体があり、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの第一の無機粒子を含む。それによって、一方で、複合粒子が柔軟過ぎないようにし、それによって電池が膨張又は比較的大きい外力で、複合粒子と極板及び複合粒子とセパレータとの間の作用が適当であることを確保し、それによって電池の動力学性能を向上させる。他方で、複合粒子が製作プロセスにおいて融合してイオン輸送チャンネルを塞ぐことがないように確保できるとともに、複合粒子の内部又は表面に第一の無機粒子物質により形成された第一の凝集体が存在する場合に、例えば高温≧45℃及び受力状態≧0.4MPaである時に、複合粒子の略球形状本体が軟化して崩壊しないことを保証し、それによって複合粒子と極板及び複合粒子とセパレータ基材との間の作用が適当であることを保証し、それによって電池サイクル性能の悪化を抑止し、さらに電池の動力学性能を向上させる。
【0064】
いくつかの実施の形態では、0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である。それによって、セパレータの圧縮弾性率を高めることができる。
【0065】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、前記複合粒子は、一次粒子形態の第一の無機粒子を含む。さらに、前記一次粒子形態の第一の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μmであり、例えば0.01μm-0.8μm、0.05μm-1μm、0.1μm-1μm、0.2μm-1μm、0.3μm-1μm、0.4μm-1μm、0.5μm-1μm、0.6μm-1μm、0.7μm-1μm、0.8μm-1μm、0.9μm-1μmなどである。それによって、このDv50を満たす第一の無機粒子は、セパレータに適当な圧縮弾性率を取得させることができ、それによって電池の動力学性能を高める。別のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の第一の無機粒子のDv50は、0.5μm-1μmである。それによって、電池の動力学性能を高めることができる。
【0066】
説明すべきこととして、一次粒子及び二次粒子は、当分野において公知の意味を有する。一次粒子は、凝集状態を形成していない粒子を指す。二次粒子は、二つ以上の一次粒子により凝集されてなった凝集状態の粒子を指す。一次粒子と二次粒子は、走査電子顕微鏡(SEM)画像によって容易に区別することができる。
【0067】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む。それによって、複合粒子が柔軟過ぎないようにし、それによって電池が膨張又は比較的大きい外力で、複合粒子と極板及び複合粒子とセパレータ基材との間の作用が適当であることを確保し、それによって電池の動力学性能を向上させる。さらに、前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μmであり、例えば0.5μm-5μm、0.7μm-4.5μm、1μm-4μm、1.3μm-3.5μm、1.5μm-3.2μm、1.7μm-3μm、2μm-2.8μm、2μm-2.5μm、5μm-10μm、5μm-9μm、5μm-8μm、5μm-7μm、5μm-6μmなどである。別のいくつかの実施の形態では、前記第二の凝集体のDv50は、1m-2μmである。
【0068】
いくつかの実施の形態では、本出願の複合粒子では、前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含み、ここで、前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nmであり、例えば50nm-375nm、75nm-375nm、100nm-350nm、125nm-325nm、150nm-300nm、175nm-275nm、200nm-250nm、200nm-225nmなどであり、別のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、100nm-200nmである。前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μmであり、例えば3μm-15μm、4μm-12μm、5μm-10μm、5μm-8μm、5μm-7μm、5μm-6μmなどである。
【0069】
いくつかの実施の形態では、図3を参照すると、本出願のセパレータコーティング表面に突起が形成され且つこの突起の両面の高さは、15μm-60μmであり、例えば15μm-58μm、16μm-56μm、18μm-55μm、20μm-52μm、22μm-40μm、25μm-40μm、25μm-38μm、25μm-36μm、28μm-35μm、30μm-32μmなどである。それによって、この高さの範囲の突起は、一方でセパレータと極板との間の適切な空間を提供して応力を解放することができ、極板捲回プロセスの断裂を防止し、安全性を向上させ、他方で、セパレータと極板との間に適当な間隙を残し、電解液の流動と浸潤に有利であり、電池コアの動力学性能を改善する。さらに、突起の表面は、第一の凝集体を有する。それによって、この突起は、セパレータと極板との間の適当な接着性を提供することができ、それによって電池の動力学性能を高める。
【0070】
具体的には、基材の二つの対向する表面にいずれもコーティングが形成され、両側のコーティング上の突起の高さの和は、突起の両面の高さであるとともに、突起の両面の高さのテスト方法は、以下のようなことを含む。図4を参照すると、先ず負極極板、セパレータと正極極板を順に電池コアに積層した後に巻取りを行い(電池コア最外層は、正極極板凸面で終端する)、そしてCT機器(ZEISS-1500)を採用して捲回電池コアの曲がり角における負極極板エッジの下へ15±1mmの距離がある位置を走査し、得られたCT画像において水平&斜角(30-45°)に沿ってサンプリングし、隙間が最大の方向に線を引き、内5折りのサンプリング位置は、最内層正極極板凸面から5層目の正極極板凸面までであり、4折りの平均値を取り、6折り以降のサンプリング位置は、内層正極極板凸面から外層正極極板凸面までであり、5折りごとに値を取る。
【0071】
内5層隙間平均値=[CT測定距離-4*冷間プレス後の負極極板の厚さ*(1+負極極板の反発率)-4*冷間プレス後の正極極板の厚さ(1+正極極板の反発率)-8*セパレータの厚さ]/8であり、
内6-10層の後の隙間平均値=[CT測定距離-5*冷間プレス後の負極極板の厚さ*(1+負極極板の反発率)-5*冷間プレス後の正極極板の厚さ(1+正極極板の反発率)-10*セパレータの厚さ]/10であり、
ここで、負極極板の反発率=(ケースに入る前の負極極板の厚さ-冷間プレス後の負極極板の厚さ)/冷間プレス後の負極極板の厚さであり、
正極極板の反発率=(ケースに入る前の正極極板の厚さ-冷間プレス後の正極極板の厚さ)/冷間プレス後の正極極板の厚さであり、
セパレータの突起の両面の高さ=(内5層隙間平均値+内6-10層の後の隙間平均値)/2である。
【0072】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含む。接着剤ポリマーと可塑剤との両方の共同作用により、接着剤に良好な感圧特性を持たせることができ、さらにセパレータに良好な感圧特性を持たせ、その≦1MPaの作用での接着力を0.1N/m以下にするため、セパレータの巻き取り及び保存中における層と層との間の接着を回避することができ、及びそれに≧2MPaの圧力作用で極板に明らかな接着作用を発生させることができるため、このセパレータを使用して電池コアを製造する時、常温条件、適切な圧力で極板とセパレータとを密着させることができ、一方では、極板とセパレータとの間に位置ずれが発生して電池コアを廃棄し、電池コアの性能に影響を与え、安全リスクが発生することを回避することができ、他方では、従来の電池コアの生産プロセスにおけるトンネル炉及び第二の複合プロセスを省略することができ、さらに生産空間と生産時間を節約し、エネルギー消費を低減させ、電池コア生産の生産能力を明らかに高めることができるとともに、電池コアの整形性能、安全性能と動力学性能を高めることができ、さらにこの電池コアを含む二次電池、及びこの二次電池を含む電力消費装置の安全性能と動力学性能を高める。
【0073】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤に含まれる接着剤ポリマーと可塑剤との質量比は、(4-19):1、例えば(4-18):1、(4-15):1、(4-12):1、(4-11):1、(4-10):1、(4-8):1、(4-6):1であってもよい。接着剤に含まれる可塑剤の相対的な含有量を上記範囲内にすることにより、極板とセパレータが比較的大きい接着力を得ることを保証できるとともに、セパレータの抵抗増加、二次電池のサイクル性能の低下を招くことがない。
【0074】
ここで、可塑剤の含有量は、日本島津株式会社の計器型番STA449F3熱重量分析計を採用することができる。具体的な例として、テスト方法は、以下のとおりであり、即ち、接着剤約10mgを取り、元の質量をM0とし、200℃まで昇温し、質量をM1とすると、可塑剤の含有量は、M0-M1となり、接着剤ポリマーの含有量は、M0-(M0-M1)となる。テスト条件は、温度範囲-100-400℃、窒素ガス雰囲気、10℃/minに設定する。
【0075】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤は、コアシェル構造であってもよく、このコアシェル構造のコアとシェルには、いずれも接着剤ポリマーと可塑剤とが含まれてもよく、ここで、コア構造において、前記接着剤ポリマーと可塑剤との質量比は、(2-5):1、例えば(3-4):1であってもよく、シェル構造において、前記接着剤ポリマーと可塑剤との質量比は、(6-10):1、例えば(7-9):1、(7-8):1であってもよい。コアシェル構造のコアとシェルは、いずれも接着剤ポリマーと可塑剤とから構成されており、圧力接着剤の感圧性能をさらに向上させることができ、それによってセパレータの動力学性能をさらに高める。他方では、接着剤には、可塑剤が含まれ、一定の圧力作用(例えば1MPa-2MPa)で、可塑剤は、接着剤ポリマーとセパレータ主材料との間に迅速に移行し、接着剤ポリマーを可塑化し、その分子鎖を伸展させ、負極極板における例えばSBR系接着剤、CMCの増粘剤、正極極板における接着剤、例えばPVDFと分子間水素結合作用を発生させ、界面の潤湿を高め、二つの界面間のリベット作用を補強することができる。≧2MPaの作用でコア構造が破砕され、コアにおける可塑剤が放出され、以上の作用をさらに高めることができる。
【0076】
いくつかの実施の形態では、一部の前記可塑剤は、前記接着剤ポリマー上にグラフトされる。例えば、前記可塑剤の重量を基準として、少なくとも5wt%の可塑剤は、前記接着剤ポリマーにグラフトされる。一部の前記可塑剤が前記接着剤ポリマーにグラフトされる時、可塑剤がサイクル中に電解液に大量に移行し、電解液の様々な機能添加剤を消費し、セパレータ抵抗値を増加させ、電池コアの動力学性能に影響を与えることを防止することができる。ここで、少なくとも5wt%の可塑剤が接着剤ポリマーの主鎖にグラフトされる時、セパレータと極板とは、「切れているようでつながっている」作用を形成することができ、さらに常温接着の持続性を高め、リバウンドを低減させることができるとともに、多すぎる可塑剤がサイクル中に電解液に移行して、電池コアの性能に影響を与えることがないように保証することができる。
【0077】
ここで、可塑剤の前記接着剤ポリマーにおけるグラフト率は、赤外線テスト方法により検出することができ、具体的には、それぞれ接着剤ポリマー、可塑剤、接着剤をテストしてそのフーリエ赤外線スペクトルを得、接着剤1500cm-1-1700cm-1の位置に接着剤ポリマーと単独の可塑剤とは異なるピークが現れ、このピークは、グラフトの可塑剤を表し、ピークの下の面積は、グラフトされた可塑剤の量を表し、それによって可塑剤のグラフト率を計算して得ることができる。
【0078】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーの平均粒径は、0.5μm-3.0μm、例えば0.8μm-2.8μm、1μm-2.5μm、1.2μm-2.3μm、1.5μm-2μm、1.8μm-2μmであってもよい。本出願の平均粒径を満たす接着剤ポリマーは、その複合粒子上で均一に分布することに寄与し、一定の圧力で極板との接着を発揮することに寄与する。いくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーの平均粒径は、0.8μm-2μmであってもよい。
【0079】
ここで、接着剤ポリマーの平均粒径は、規格GB/T 19077.1-2016を参照して、レーザ粒度分析計(例えばMalvern Master Size 3000)を使用して測定することができる。
【0080】
いくつかの実施例では、前記接着剤のDSC融点は、-50℃-100℃、例えば-45℃-95℃、-40℃-90℃、-35℃-85℃、-30℃-80℃、-25℃-75℃、-20℃-70℃、-15℃-65℃、-10℃-60℃、-5℃-55℃、0℃-50℃、5℃-45℃、10℃-40℃、15℃-35℃、20℃-30℃、25℃-30℃であってもよい。それによって、上記DSC融点を満たす接着剤は、常温での接着力を保証し、1MPaでの接着力が大きすぎてセパレータの巻き取り接着につながることを回避することができるとともに、常温2MPaで接着力が小さすぎてセパレータと極板との接着が弱くなり、電池コアの整形に不利であることを回避する。
【0081】
いくつかの実例によれば、DSC融点は、当分野において公知の意味であり、当分野において公知の計器及び方法で測定することができ、例えばドイツNETZSC社の計器型番DSC 200F3のDSC融点テスターを用いてもよい。具体的な例として、テスト方法は、以下のとおりであり、即ち、サンプル約10mgを取ってテストする。テスト条件は、温度範囲:-100-200℃、窒素ガス雰囲気、10℃/minに設定する。1回目の昇温を選択すると、吸収ピークに対応する温度は、該当するDSC融点となる。
【0082】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーは、以下の第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つの反応モノマーにより形成されたコポリマーを含み、
第一のモノマー:その融点は、一般的に80℃よりも高く、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:その融点は、一般的に80℃を超えず、アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、y-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価が0.35-0.50にあるエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。選択的に、これらの反応性分散剤のアルコール分解の度合い≧85%であり、平均重合度400-2000であり、好ましくはアルコール分解の度合い≧88%であり、平均重合度500-1600である。
【0083】
それによって、この組成の接着剤ポリマーは、適当な膨潤、感圧性と接着性能を有するとともに、適当な弾性率を有し、それによって電池コアに優れた整形効果、動力学性能と安全性能を有させる。
【0084】
説明すべきこととして、本出願では、用語である「アルコール分解の度合い」は、アルコール分解の後に得られた製品における水酸基が元のグループを占有する百分率を指し、単位は、モル分率%である。例えば、元のグループ(エステル基)は、100つあり、アルコール分解後の水酸基は、60つであり、アルコール分解の度合いは、60%である。
【0085】
説明すべきこととして、本出願では、用語である「平均重合度」は、ポリマーが重合度の異なる同系のポリマー分子により組成されることを指し、その重合度は、平均を統計する意味がある。最もよく使われる平均重合度を表す方法は、二つある。分子数の平均によって得られた重合度を数平均重合度と称し、重量の平均によって得られた重合度を重量平均重合度と称する。本出願では前記「平均重合度」は、数平均重合度である。
【0086】
いくつかの実施の形態では、前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテル又はモノエーテル、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステル又はジエステル、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルとグリセロールのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0087】
いくつかの実施例では、接着剤は、以下の合成方法に従って合成されてもよく、以下のステップを含む。
【0088】
ステップ1、溶媒(例えば脱イオン水)に、0.1質量%-1質量%(接着剤合成時に加えられる反応モノマー混合物(第一のモノマーと、第二のモノマーと、第三のモノマーと、反応性分散剤とを含む)と、助剤(乳化剤と、安定剤と、水性開始剤とを含む)と、可塑剤との総重量に対して、以下同じ)の乳化剤(例えばアリルスルホネート)、2質量%-3質量%であり、数平均分子量≦1000であり、融点が0℃-30℃であるオリゴマー(例えばオクタデシルメタクリレート)を順に加え、ホモジナイザーの回転速度を8000r/min-12000r/min、例えば10000r/minに制御して分散させ、分散時間は、20min-60min、例えば50minであってもよく、分散反応温度は、20℃-40℃、例えば25℃であり、第一の混合液を得る。
【0089】
ステップ2、第一の混合液に1質量%-4質量%の安定剤を加え、例えばポリエチレンオキサイド、アリルポリエーテル硫酸塩、メチレンコハク酸(イタコン酸)、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウムとナノセルロースナトリウムのうちの少なくとも一つを含み、ホモジナイザーの回転速度を6000r/min-8000r/min、例えば6500r/minに制御して混合し、時間は、20min-60min、例えば30minであり、混合反応温度は、20℃-60℃、例えば45℃であり、第二の混合液を得る。
【0090】
ステップ3、第二の混合液に0.05質量%-0.5質量%の水性開始剤を加え、例えば炭酸水素ナトリウム、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメン過酸化水素、t-ブチル過酸化水素、過酸化ジ-t-ブチル、過酸化ジクメン、過酸化安息香酸t-ブチル、過酸化t-ブチルt-バレレート、過酸化メチルエチルケトン、過酸化シクロヘキサノン過酸化ジイソプロピル、過酸化ジシクロヘキシル、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルとアゾビスイソヘプトニトリルのうちの少なくとも一つを含む。ホモジナイザーの回転速度を8000r/min-12000r/min、例えば8000r/minに制御して混合し、時間は、20min-60min、例えば30minである。反応温度は、60℃-80℃、例えば72℃であり、第三の混合液を得る。
【0091】
ステップ4、ホモジナイザーの回転速度が100r/min-1000r/min、例えば400r/minの条件で、第三の混合液に35質量%-45質量%の反応モノマー混合物を段階的に均一に滴下し(60minでちょうど滴下を完了させるように制御する)、反応時間は、80min-100min、例えば80minであり、第四の混合物を得る。
【0092】
ステップ5、第四の混合物を、反応温度が80℃-90℃、例えば84℃であり、ホモジナイザーの回転速度が12000r/min-18000r/min、例えば15000r/minである条件で反応を継続し、時間は、120min-240min、例えば180minであり、第五の混合物を得る。
【0093】
ステップ6、第五の混合物に10質量%-20質量%の可塑剤、例えばグリセロールを加え、反応温度を80℃-90℃、例えば84℃に制御し、ホモジナイザーの回転速度を12000r/min-18000r/min、例えば15000r/minに制御し、反応時間は、120min-240min、例えば180minであり、第六の混合物を得る。
【0094】
ステップ7、第六の混合物に0.05質量%-0.5質量%の水性開始剤、例えば過硫酸アンモニウム-炭酸水素ナトリウムを加える。ホモジナイザーの回転速度を8000r/min-12000r/min、例えば8000r/minに制御し、時間は、20-60min、例えば30minである。反応温度は、60℃-80℃、例えば72℃であり、第七の混合物を得る。
【0095】
ステップ8、ホモジナイザーの回転速度が100r/min-1000r/min、例えば400r/minの条件で、第七の混合物に30質量%-40質量%の反応モノマー混合物を段階的に均一に滴下し(60minでちょうど滴下を完了させるように制御する)、反応時間は、100min-160min、例えば120minであり、第八の混合物を得る。
【0096】
ステップ9、第八の混合物に5質量%-20質量%の可塑剤、例えばグリセロールを加え、反応温度を80℃-90℃、例えば84℃に制御し、ホモジナイザーの回転速度は、12000r/min-18000r/min、例えば15000r/minであり、時間は、120min-240min、例えば180minであり、第九の混合物を得る。
【0097】
ステップ10、第九の混合物の温度を50℃以下に下げ、濾過して材料を排出すると、コアシェル構造の接着剤を得る。当業者は、上記方法(ステップ7からステップ9を省略し、それに応じて添加される可塑剤と反応モノマー混合物との質量分率を変える)を参照して、合成して非コアシェル構造の接着剤を得ることができる。
【0098】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングは、複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含み、前記接着剤は、水酸基とカルボン酸塩を有する線状コポリマーを含み、線状コポリマーにおけるカルボン酸塩部分は、第二の無機粒子と複合粒子と化学的作用力(例えばイオン結合、水素結合など)によって結合でき、セパレータの耐熱性を改善し、電池コア動力学性能を改善する。また、線状コポリマーにおける水酸基は、コーティングと基材との間の付着力を向上させ、剥離を回避することができる。具体的には、接着剤に含まれる線状コポリマーについて、それに含まれる水酸基は、複合粒子と第二の無機粒子と水素結合作用を発生させ、線状コポリマーに含まれる窒素と酸素原子は、複合粒子と第二の無機粒子などと水素結合作用を発生させ、線状コポリマーに含まれるカルボン酸塩部分(リチウムイオン、ナトリウムイオンなどを含む)は、複合粒子と第二の無機粒子などとイオン結合を形成する。それによって、本出願のセパレータは、適切な粒子材料と接着剤を選択することによって耐熱、耐異物突き刺し、良好な電解液浸潤と低抵抗の有益な効果を実現する。さらに、このようなセパレータは、電池内に用いられ、電池の安全性とサイクル性能を向上させることができる。
【0099】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングが複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含む場合に、本出願のセパレータにおける接着剤は、水酸基、カルボン酸塩、アミド基とエポキシ基を含む線状コポリマーを含んでもよい。線状コポリマーに含まれるエポキシ基とアミド基は、セパレータの安全性能をさらに向上させることができる。具体的には、アミド基は、複合粒子と第二の無機粒子などと水素結合作用を発生させることができ、線状コポリマーに含まれる窒素と酸素原子は、第二の無機粒子と複合粒子の水酸基又はアミド基又はカルボキシル基又はピロリドン基などと水素結合作用を発生させ、それによってセパレータの耐熱性を向上させる。
【0100】
また、接着剤に含まれる水酸基又はアミド基は、複合粒子のエステル基又はカルボキシル基又はスルホニルアミド基又はピロリドン基と求核置換反応を発生させ、複合粒子におけるエポキシ基と接着剤に含まれるカルボキシル基又はアミド基とも求核付加反応を発生させる。
【0101】
いくつかの実施の形態では、上記接着剤における前記カルボン酸塩は、カルボン酸リチウムであってもよい。カルボン酸リチウムを選択して複合粒子と第二の無機粒子と比較的強いイオン結合作用を効果的に形成することができ、コーティング全体の耐温性能をさらに高め、特に130℃よりも大きい場合に比較的高い耐温性を有し、セパレータに収縮が発生せず、針が刺しこんで大量の熱量を発生させる時にセパレータは、収縮して正極負極を大面積で接触させることがないため、針が刺しこんだ深さを大幅に高める。このような作用は、コーティング、基膜とコーティング界面を貫通することであり、このような作用が非常に強い極性を有するとともに、リチウムイオンの存在により、電解液浸潤及び拡散を加速させ、電池コアの動力学性能を高める。
【0102】
いくつかの実施の形態では、セパレータコーティングには複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤が含まれる場合に、本出願のセパレータにおける前記線状コポリマーは、以下のような各種のモノマーの重合生成物を含み、
(1)第一種のモノマーであって、前記第一種のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレンとアクリロニトリルのうちの少なくとも一つを含み、選択的に、前記第一種のモノマーは、スチレン、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸とアクリロニトリルのうちの少なくとも一つを含み、
(2)第二種のモノマーであって、前記第二種のモノマーは、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリルとメタクリル酸トリフルオロエチルのうちの少なくとも一つを含み、メタクリル酸トリフルオロエチルであり、選択的に、前記第二種のモノマーは、アクリル酸n-ブチルとメタクリル酸n-ヘキシルのうちの少なくとも一つを含み、
(3)第三種のモノマーであって、前記第三種のモノマーは、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼンとエポキシ価が0.35~0.50にあるエポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含み、選択的に、前記第三種のモノマーは、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、エポキシ価が0.35~0.50にあるエポキシ樹脂とジビニルベンゼンのうちの少なくとも一つを含み、
(4)第四種のモノマーであって、前記第四種のモノマーは、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリビニルアルコールのうちの少なくとも一つを含み、選択的に第四種のモノマーは、ポリビニルアルコールであり、ここで、前記第四種のモノマーのアルコール分解の度合い≧85%であり、平均重合度400から2000であり、選択的に、前記第四種のモノマーのアルコール分解の度合い≧88%であり、平均重合度500から1600である。
【0103】
それによって、上記モノマーを有する線状コポリマーは、接着剤に基材で良好な湿潤性を有させ、それによって基材の塗布の良品率を高めるとともに、コーティング緻密性を高め、より重要なのは、第二の無機粒子及び複合粒子と基材との接着を高め、セパレータの熱収縮性能を極めて高めることであり、それによって電池コア安全性能を高めるとともに、コーティングにおける粒子材料と化学的作用を発生させることができ、それによって適度な緻密構造を生成し、さらにセパレータの安全性を向上させ、またこのような三次元の相互作用は、リチウムイオンの伝送チャンネルを打ち通し、セパレータのイオン電気伝導度を高め、電池コアの動力学性能を高める。
【0104】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記コーティングが複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含む時に、上記線状コポリマーについて、前記第一種のモノマー、第二種のモノマー、第三種のモノマーと第四種のモノマーを重合した後に、pH調節剤を加えて系統のpHを5-7に調節する必要があり、前記pH調節剤は、水素酸化リチウム、水素酸化カルシウム、水素酸化ナトリウムとアンモニア水のうちの少なくとも一つを含む。別のいくつかの実施の形態では、前記pH調節剤は、水素酸化リチウムを含む。モノマーを重合した後に、pH調節剤を加えることによって系統のpHを調節し、第二の無機粒子の接着剤における分散に有利であり、それによってコーティング界面をさらに改善するとともに、電池コアのサイクル性能と安全性能を改善する。特に、いくつかの実施の形態では、このpH調節剤は、水素酸化リチウムである。任意の理論に拘らず、発明者は、水素酸化リチウムをpH調節剤として採用し、pHを調節すると同時に、それによりもたらされたリチウムイオンが電気伝導度を向上させ且つ得られたセパレータのガラス状態転移温度(Tg)を向上させることができ、それによってセパレータのサイクル性能と安全性能をさらに改善することができることを発見した。
【0105】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記コーティングが複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含む時に、前記線状コポリマーに含まれるすべてのモノマーの総重量に基づいて計算し、前記第一種のモノマーは、60重量%から85重量%を占有し、選択的には、70重量%から80重量%であり、及び/又は前記第二種のモノマーは、1重量%から10重量%を占有し、選択的に5重量%から10重量%であり、及び/又は前記第三種のモノマーは、1重量%から10重量%を占有し、選択的に1重量%から5重量%であり、及び/又は前記第四種のモノマーは、1重量%から20重量%を占有し、選択的に10重量%から15重量%である。
【0106】
いくつかの実施の形態では、前記第一種のモノマー占有率は、下記60重量%、62重量%、64重量%、66重量%、68重量%、70重量%、72重量%、74重量%、76重量%、78重量%、80重量%、82重量%又は85重量%のいずれか二つの値により組み合わせられた範囲内にあってもよい。
【0107】
いくつかの実施の形態では、前記第二種のモノマー占有率は、下記1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%又は10重量%のいずれか二つの値により組み合わせられた範囲内にあってもよい。
【0108】
いくつかの実施の形態では、前記第三種のモノマー占有率は、下記1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%又は10重量%のいずれか二つの値により組み合わせられた範囲内にあってもよい。
【0109】
いくつかの実施の形態では、前記第四種のモノマー占有率は、下記1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%又は20重量%のいずれか二つの値により組み合わせられた範囲内にあってもよい。
【0110】
各種のモノマーの含有量を上記範囲内に制御し、本出願の上記の第二の無機粒子を有するセパレータを取得することができる。いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、セパレータコーティングには第二の無機粒子が含まれる場合に、前記線状コポリマーは、
A.30%スチレン-15%メタクリル酸-10%アクリルアミド-15%アクリル酸-5%アクリロニトリル-10%アクリル酸n-ブチル-2%メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル-1%E44エポキシ樹脂-12%ポリビニルアルコールコポリマーと、
B.35%スチレン-15%メタクリル酸-10%アクリルアミド-15%アクリル酸-5%アクリロニトリル-5%アクリル酸n-ブチル-2%メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル-1%E44エポキシ樹脂-12%ポリビニルアルコールコポリマーと、
C.30%スチレン-15%メタクリル酸-10%アクリルアミド-15%アクリル酸-5%アクリロニトリル-10%アクリル酸n-ブチル-3%メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル-12%ポリビニルアルコールコポリマーと、
D.30%スチレン-15%メタクリル酸-15%アクリルアミド-15%アクリル酸-5%アクリロニトリル-5%アクリル酸n-ブチル-2%メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル-1%E44エポキシ樹脂-12%ポリビニルアルコールコポリマーと、
E.40%スチレン-15%アクリルアミド-15%アクリル酸-10%アクリル酸n-ブチル-5%メタクリル酸n-ヘキシル-2%メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル-1%E44エポキシ樹脂-12%ポリビニルアルコールコポリマーと、
F.35%スチレン-15%メタクリル酸-10%アクリルアミド-15%アクリル酸-5%アクリロニトリル-5%アクリル酸n-ブチル-2%ジビニルベンゼン-1%E44エポキシ樹脂-12%ポリビニルアルコールコポリマーとを含んでもよく、
ここで、前記E44エポキシ樹脂の平均エポキシ価は、0.44であり、前記ポリビニルアルコールのアルコール分解の度合いは、88%であり、且つ重合度は、1000であり、前記百分率は、前記モノマーのすべてのモノマーの総重量に基づいて計算された重量百分率である。
【0111】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記コーティングが複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含む時に、前記線状コポリマーの重量平均分子量は、1×10g/molから200×10g/molであり、選択的には、2×10g/molから80×10g/molである。いくつかの実施の形態では、線状コポリマーの重量平均分子量は、下記1×10g/mol、5×10g/mol、10×10g/mol、20×10g/mol、30×10g/mol、40×10g/mol、50×10g/mol、60×10g/mol、70×10g/mol、80×10g/mol、100×10g/mol、150×10g/mol又は200×10g/molのいずれか二つの値により組み合わせられた範囲内にあってもよい。線状コポリマーの重量平均分子量を上記範囲内に制御し、それが粒子材料と適度な化学的作用を発生させることができるとともに、基材と適度な浸潤作用を発生させるようにする。
【0112】
いくつかの例により、日本東ソー株式会社HLC-8320GPCゲル浸透クロマトグラフィー(SuperMultiporeHZシリーズセミマイクロSECカラムについて、規格品は、ポリスチレンである)を採用して線状コポリマーの重量平均分子量(Mw)を測定する。
【0113】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、前記複合粒子のDv50は、前記第二の無機粒子のDv50よりも大きい。それによって、セパレータと極板との適切な接着性を提供することができるだけでなく、コーティング表面に突起を形成するのに有利であり、それによって電池安全性を向上させると同時に電池コアの動力学性能を改善する。
【0114】
いくつかの実施の形態では、前記第二の無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、水素酸化マグネシウム(Mg(OH))、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニッケル(NiO)、酸化セリウム(CeO)、チタン酸ジルコニウム(SrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、フッ化マグネシウム(MgF)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。それによって、この種類の第二の無機粒子は、基材熱収縮に対して良好な抑制作用を有し、それによってセパレータの耐高温性を向上させる。例えば、前記無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0115】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、前記第二の無機粒子のDv50は、0.5μm-2μmであり、例えば0.5μm-1.8μm、1μm-2μm、1μm-1.8μm、1.2μm-1.8μm、1.4μm-1.6μmなどである。第二の無機粒子は、基材熱収縮に対して良好な抑制作用を有し、それによってセパレータの熱安定性を向上させるとともに、この粒径範囲を満たす第二の無機粒子は、セパレータコーティングにおいて均一に分散でき、それによってセパレータの熱安定性を向上させるとともに、この粒径範囲の第二の無機粒子は、比較的小さいコーティング厚さを取得するのに有利であり、電池が良好なサイクル性能と安全性能を有する前提で、電池の体積エネルギー密度をさらに向上させることを確保することができる。
【0116】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、前記複合粒子と前記第二の無機粒子との質量比は、(5-30):(50-70)、例えば(5-30):(52-68)、(5-30):(55-65)、(5-30):(57-62)、(5-30):(60-62)、(7-28):(50-70)、(10-25):(50-70)、(12-22):(50-70)、(15-20):(50-70)、(15-18):(50-70)であり、それによって、一方では、セパレータと極板との間の接着力を適切にし、電池の動力学性能を向上させることができ、他方では、セパレータの耐高温性とイオン伝導率を向上させることができ、それによって電池のサイクル性能と高温での安全性能を効果的に改善する。
【0117】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子と前記接着剤における固体含有量の質量比は、(80-90):(5-20)であり、例えば(80-90):(6-20)、(80-90):(7-18)、(80-90):(8-15)、(80-90):(9-11)、(80-90):10、(81-89):(5-20)、(82-88):(5-20)、(83-87):(5-20)、(84-86):(5-20)、85:(5-20)である。発明者は、コーティングにおいて複合粒子と接着剤がこの割合に従って混合され、一方で電池安全性能とエネルギー密度を同時に向上させることができ、他方で、セパレータと極板との間の接着性を適切にし、それによって電池の動力学性能を向上させることを発見した。別のいくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記複合粒子と前記接着剤との質量比は、(85-90):(8-15)である。
【0118】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータコーティングには有機粒子がさらに含まれてもよく、即ちセパレータコーティングは、複合粒子と、接着剤と、有機粒子とを含み又はセパレータコーティングは、複合粒子と、接着剤と、有機粒子と、第二の無機粒子とを含み、ここで、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリクロロトリフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキシド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とビニルモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸系モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート系モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記複合粒子と前記有機粒子は、前記コーティング表面に前記突起を形成する。それによって、電池のサイクル性能と安全性能を向上させることができる。
【0119】
図5のセパレータ上のコーティングは、複合粒子、有機粒子、接着剤と第二の無機粒子を含み、複合粒子と有機粒子は、コーティング表面に突起構造を形成する。
【0120】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータコーティングの有機粒子は、第三の凝集体を形成する。ここで、前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、例えば5μm-28μm、5μm-25μm、5μm-22μm、5μm-20μm、5μm-20μm、5μm-18μm、5μm-15μm、5μm-12μm、5μm-10μm、5μm-8μm、5μm-6μmなどである。
【0121】
いくつかの実施の形態では、前記第三の凝集体には一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間に隙間がある。この隙間は、イオン伝送チャンネルとしてもよく、それによってセパレータのイオン電気伝導度を向上させる。いくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nmであり、例えば50nm-375nm、75nm-375nm、100nm-350nm、125nm-325nm、150nm-300nm、175nm-275nm、200nm-250nm、200nm-225nmなどであり、別のいくつかの実施の形態では、前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、100nm-200nmである。
【0122】
本出願では、Dv50は、累計体積分布率が50%に達する時に対応する粒径を指し、Dv10は、累計体積分布率が10%に達する時に対応する粒径を指す。本出願では、複合粒子のDv10、複合粒子のDv50、第二の無機粒子のDv50、一次粒子形態の有機粒子のDv50は、いずれもレーザー回折粒度分析法を採用して測定してもよい。例えば、規格GB/T 19077-2016を参照し、レーザー粒度分析器(例えばMalvern Master Size 3000)を使用して測定する。一次粒子形態の第一の無機粒子のDv50、一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50、二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、セパレータSEM図から統計して得られ、例えば10Kxの倍率のセパレータSEM図を取り、各サンプルは、5個の平行サンプルを使用し、各平行サンプルは、10個の位置を使用し、各位置は、20個の点を選択して統計し、最後に平均値を取ると、対応する粒径になる。第一の凝集体のDv50、第二の凝集体のDv50及び第三の凝集体のDv50は、前記セパレータのCP図を使用して統計して得られ、例えば5Kxの倍率のセパレータCP図を取り、各サンプルは、5個の平行サンプルを使用し、各平行サンプルは、10個の位置を使用し、各位置は、20個の点を選択して統計し、最後に平均値を取ると、対応する粒径になる。
【0123】
いくつかの実施の形態では、前記複合粒子と有機粒子との質量比は、(20-90):(0-70)であり、例えば前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20-90):(5-65)、(20-90):(10-60)、(20-90):(20-50)、(20-90):(30-40)、(30-80):(0-70)、(40-70):(0-70)、(50-60):(0-70)、(30-80):(5-65)、(40-65):(10-55)、(45-60):(20-45)、(55-60):(30-45)である。それによって、電解液の浸潤性及び分布均一性を向上させ、電池の高温貯蔵性能を改善し、電池安全性能とサイクル性能を高めることができる。別のいくつかの実施の形態では、前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(45-90):(0-45)である。それによって、電池安全性能とサイクル性能を高めることができる。
【0124】
図6に示すように、前記セパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングには、複合粒子と、有機粒子と、接着剤とが含まれ、前記複合粒子と有機粒子とは、接着剤を介して基材と繋がり、前記複合粒子は、前記有機粒子と前記コーティング表面に突起を形成する。
【0125】
図7に示すように、前記セパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングには、複合粒子と、有機粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とが含まれ、複合粒子、有機粒子と第二の無機粒子は、接着剤を介して基材と繋がり、前記複合粒子は、前記有機粒子と前記コーティング表面に突起を形成する。
【0126】
いくつかの実施の形態では、コーティングが複合粒子と接着剤とを含む時に、単位面積のセパレータ上の片面コーティング重量は、0.2g/m-2g/mであり、例えば0.5g/m-1.8g/m、0.7g/m-1.5g/m、1g/m-1.5g/m、1g/m-1.2g/mであり、コーティングが複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含む時に、単位面積のセパレータ上の片面コーティング重量は、1.5g/m-4g/mであり、例えば2g/m-4g/m、2g/m-3.5g/m、2g/m-3g/m、2g/m-2.5g/mである。単位面積のセパレータ上の片面コーティング重量が所定の範囲内にある時に、電池サイクル性能と安全性能を確保する前提で、電池のエネルギー密度をさらに向上させることができる。
【0127】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングには他の有機化合物がさらに含まれてもよく、例えば、耐熱性を改善するポリマー、分散剤、湿潤剤及び他の種類の接着剤などが含まれてもよい。上記他の有機化合物は、コーティングにおいていずれも非粒子状の物質である。本出願は、上記他の有機化合物の種類に対して特に限定せず、任意の公知の良好な改善性能を有する材料を選択して用いることができる。
【0128】
本出願では、基材は、良好な化学安定性と機械安定性を有する多孔質構造の膜材料である。いくつかの実施の形態では、基材は、単層膜材料であってもよく、また多層複合膜材料であってもよい。基材が多層複合膜材料である時に、各層の材料は、同じ又は異なってもよい。
【0129】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンコポリマー、ポリフェニレンサルファイドとポリエチレンナフタレンのうちの一つ又は複数を含む多孔質膜又は多孔質非織布網であってもよい。別のいくつかの実施の形態では、前記基材は、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む多孔質膜又は多孔質非織布網である。上記基材を選択することによってセパレータを製造し、基材が接着剤を介してコーティングと結合するのに有利であり、適度に緻密であり、多孔質且つリチウムイオン伝導可能なセパレータを形成する。
【0130】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、10%-95%の空隙率、例えば15%-90%、20%-85%、25%-80%、30%-75%、35%-70%、40%-65%、45%-60%、50%-55%を有し、別のいくつかの実施の形態では、本出願のセパレータの基材は、35%-45%の空隙率を有する。それによって、セパレータのイオン伝導性能を向上させると同時に、正極極板、負極極板が接触する確率を低減させることができる。いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、0.1μm-50μmの穴直径、例えば0.5μm-50μm、1μm-45μm、5μm-40μm、10μm-35μm、15μm-30μm、20μm-25μmを有する。別のいくつかの実施の形態では、本出願のセパレータでは、前記基材は、0.1μm-5μmの穴直径を有する。上記穴隙構造を有する基材を選択し、セパレータに良好なイオン伝導性能を持たせ、正極極板、負極極板が直接接触する確率を低減させ、さらに電池コア動力学と安全性能を高める。
【0131】
いくつかの実施の形態では、前記基材の厚さ≦10μmであり、例えば前記基材の厚さは、5μm-10μm、5μm-9μm、7μm-10μmであってもよい。前記基材の厚さが所定の範囲内に制御される時に、電池サイクル性能と安全性能を確保する前提で、電池エネルギー密度をさらに向上させることができる。
【0132】
本出願のいくつかの実施の形態では、コーティングの剥離力は、40N/m以上であり、セパレータをクランプなし状態で150℃環境において1時間放置した後に、その縦方向(MD)又は横方向(TD)上の熱収縮率は、いずれも5%以下であり、200℃ヒートガン破壊サイズは、0であり、セパレータと極板との接着力は、1.0N/m以上であり、25℃でのセパレータ抵抗は、2オーム以下である。
【0133】
いくつかの実施例により、ポリアクリレート粒子、有機粒子と接着剤の物質種類は、当分野において既知の機器と方法を採用してテストを行うことができる。例えば、材料の赤外吸収スペクトルをテストしてもよく、それに含まれる特性ピークを決定し、それによって材料種類を決定する。具体的には、当分野において公知の計器及び方法を用いて有機粒子に対して赤外吸収スペクトル分析を行うことができ、例えば赤外分光器について、例えばアメリカニコレ(Nicolet)会社のIS10型フーリエ変換型赤外分光器を採用し、GB/T6040-2002赤外吸収スペクトル分析方法通則のとおりにテストする。
【0134】
本出願の第二の態様は、セパレータの製造方法をさらに提供し、この方法は、
(1)基材を提供することと、
(2)前記基材の少なくとも一部の表面上に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成することとを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する。
【0135】
具体的には、基材、複合粒子、第一の無機粒子と接着剤は、前文記述と同じであり、ここでこれ以上説明しない。
【0136】
いくつかの実施の形態では、セパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングは、前記基材の一つのみの表面上に設置される。
【0137】
いくつかの実施の形態では、セパレータは、基材とコーティングとを含み、前記コーティングは、前記基材の二つの表面上に同時に設置される。
【0138】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2)は、以下のようなステップを採用して行うことができる。(2-1)コーティングスラリーを提供し、前記コーティングスラリーは、複合粒子と接着剤とを含み、(2-2)前記コーティングスラリーを前記基材の少なくとも一方側上に塗布し且つ乾燥し、前記セパレータを得る。
【0139】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーにおける溶媒は、水、例えば脱イオン水であってもよい。
【0140】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーは、他の有機化合物をさらに含んでもよく、例えば耐熱性を改善するポリマー、分散剤、湿潤剤、乳液状の接着剤をさらに含んでもよい。ここで、他の有機化合物は、乾燥後のコーティングにおいていずれも非粒子状である。
【0141】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、コーティングスラリーの固形分は、10%-20%に制御されてもよく、例えば12%-15%であってもよく、重量に基づいて計算される。コーティングスラリーの固形分が上記範囲内にある時に、コーティング製造の良品率及びコーティング接着性能を高めることができる。
【0142】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーは、有機粒子をさらに含んでもよく、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリクロロトリフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキシド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とビニルモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸系モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート系モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含む。
【0143】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーは、第二の無機粒子をさらに含んでもよく、前記第二の無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、水素酸化マグネシウム(Mg(OH))、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニッケル(NiO)、酸化セリウム(CeO)、チタン酸ジルコニウム(SrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、フッ化マグネシウム(MgF)のうちの一つ又は複数を含んでもよく、例えば、前記無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0144】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーが第二の無機粒子をさらに含んでもよい時に、コーティングスラリーの固形分は、28%-45%に制御されてもよく、例えば、30%-38%であってもよく、重量に基づいて計算される。コーティングスラリーの固形分が上記範囲内にある時に、コーティングの膜面問題を効果的に減少させ及び塗布の不均一が現れる確率を低減させることができ、それによって電池のサイクル性能と安全性能をさらに改善する。
【0145】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-2)において、前記塗布は、塗布機を採用して実施を行う。
【0146】
本出願の実施例では、塗布機の型番を特に限定せず、市販されている塗布機を採用してもよい。
【0147】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-2)において、前記塗布は、転移塗布、回転スプレー、浸漬塗布などのプロセスを採用してもよく、例えば前記塗布は、転移塗布を採用する。
【0148】
いくつかの実施の形態では、前記塗布機は、凹版ローラーを含み、前記凹版ローラーは、コーティングスラリーを基材上に転移するために用いられる。
【0149】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングスラリーが第二の無機粒子をさらに含んでもよい時に、前記凹版ローラーの線数は、100LPI-300LPI、例えば125LPI-190LPI(LPIは、線/インチである)であってもよい。凹版ローラーの線数が上記範囲内にある時に、複合粒子とポリフッ化ビニリデン粒子の数の制御に寄与し、それによってセパレータのサイクル性能と安全性能をさらに改善する。
【0150】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングスラリーが第二の無機粒子をさらに含んでもよい時に、ステップ(2-2)において、前記塗布の速度は、30m/min-90m/min、例えば50m/min-70m/minに制御されてもよい。塗布の速度が上記範囲内にある時に、コーティングの膜面問題を効果的に減少させ、塗布が不均一な確率を低減させることができ、それによって電池のサイクル性能と安全性能をさらに改善する。
【0151】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングスラリーが第二の無機粒子をさらに含んでもよい時に、ステップ(2-2)において、前記塗布の線速度比は、0.8-2.5に制御されてもよく、例えば0.8-1.5、1.0-1.5であってもよい。
【0152】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングスラリーが第二の無機粒子をさらに含んでもよい時に、ステップ(2-2)において、前記乾燥の温度は、40℃-70℃であってもよく、例えば50℃-60℃であってもよい。
【0153】
いくつかの実施の形態では、前記コーティングスラリーが第二の無機粒子をさらに含んでもよい時に、ステップ(2-2)において、前記乾燥の時間は、10s-120sであってもよく、例えば20s-80s、20s-40sであってもよい。
【0154】
上記各プロセスパラメータを所定の範囲内に制御し、本出願のセパレータの使用性能をさらに改善することができる。当業者は、実際の生産状況に応じて、上記一つ又はいくつかのプロセスパラメータを選択的に調整しコントロールすることができる。
【0155】
上記基材、複合粒子、第二の有機粒子、接着剤と有機粒子は、いずれも市販によって取得することができる。
【0156】
本出願の第三の態様は、電池を提供し、この電池は、上記第一の態様のセパレータ又は第二の態様を採用して製造されたセパレータを含む。
【0157】
電池は、放電後に充電の方式によって活物質をアクティブ化して使用し続けることができる電池を指す。
【0158】
一般的には、電池は、正極極板と、負極極板と、セパレータと、電解質とを含む。電池の充放電中では、活性イオンは、正極極板と負極極板との間で往復吸蔵と離脱する。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設置され、隔離の作用を果たす。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する作用を果たす。
【0159】
[正極極板]
電池においては、前記正極極板は、一般的には正極集電体及び正極集電体上に設置される正極膜層を含み、前記正極膜層は、正極活物質を含む。
【0160】
前記正極集電体は、従来の金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい(金属材料を高分子基材上に設置して複合集電体を形成してもよい)。例として、正極集電体は、アルミニウム箔を採用してもよい。
【0161】
前記正極活物質の具体的な種類を制限せず、当分野において既知の電池正極に使用できる活物質を採用してもよく、当業者は、実際の需要に応じて選択することができる。
【0162】
例として、前記正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩及びそれぞれの改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。リチウム遷移金属酸化物の例は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物及びその改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例は、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料及びその改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。これらの材料は、いずれも商業的な方法によって入手することができる。
【0163】
上記各材料の改質化合物は、材料に対してドーピング改質及び/又は表面被覆改質を行うものであってもよい。
【0164】
前記正極膜層は、一般的にはさらに選択的に接着剤、導電剤と他の選択的な助剤を含む。
【0165】
例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、Super P(SP)、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0166】
例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water-based acrylic resin)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0167】
[負極極板]
電池においては、前記負極極板は、一般的には負極集電体及び負極集電体上に設置される負極膜層を含み、前記負極膜層は、負極活物質を含む。
【0168】
前記負極集電体は、従来の金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい(例えば金属材料を高分子基材上に設置して複合集電体を形成してもよい)。例として、負極集電体は、銅箔を採用してもよい。
【0169】
前記負極活物質の具体的な種類を制限せず、当分野において既知の電池負極に使用できる活物質を採用してもよく、当業者は、実際の需要に応じて選択することができる。例として、前記負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコーン系材料とスズ系材料のうちの一つ又は複数を含んでもよいが、それらに限らない。前記シリコーン系材料は、シリコーン単体、シリコーン酸化物(例えば亜酸化ケイ素)、シリコーン炭素複合体、シリコーン窒素複合体、シリコーン合金のうちの一つ又は複数を含んでもよい。前記スズ系材料は、単体スズ、スズ酸化合物、スズ合金のうちの一つ又は複数を含んでもよい。これらの材料は、いずれも商業的な方法によって入手することができる。
【0170】
いくつかの実施の形態では、電池のエネルギー密度をさらに向上させるために、前記負極活物質は、シリコーン系材料を含んでもよい。
【0171】
前記負極膜層は、一般的にはさらに選択的に接着剤、導電剤と他の選択的な助剤を含む。
【0172】
例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0173】
例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water-based acrylic resin)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0174】
例として、他の選択的な助剤は、増粘剤及び分散剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムCMC-Na)、PTCサーミスタ材料を含んでもよい。
【0175】
[電解液]
電池は、電解液を含んでもよく、電解液は、正極と負極との間でイオンを伝導する作用を果たす。前記電解液は、電解質塩と溶媒とを含んでもよい。
【0176】
例として、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiDFOB)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LiDFOP)及びテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム(LiTFOP)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0177】
例として、前記溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、エチルメチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0178】
いくつかの実施の形態では、電解液には、添加剤がさらに含まれる。例えば、添加剤は、負極膜形成添加剤を含んでもよく、正極膜形成添加剤を含んでもよく、さらに、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤を含んでもよい。
【0179】
いくつかの実施の形態では、電池は、リチウムイオン二次電池であってもよい。
【0180】
本出願の実施例は、電池の形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。図8は、一例としての四角形構造の電池1である。
【0181】
いくつかの実施の形態では、電池は、外装体を含んでもよい。この外装体は、正極極板、負極極板と電解質をパッケージングするために用いられる。
【0182】
いくつかの実施の形態では、外装体は、ケースとカバープレートとを含んでもよい。ここで、ケースは、底板と底板に接続される側板を含んでもよく、底板と側板は囲んで収容キャビティ形成する。ケースは、収容キャビティと連通する開口を具有し、カバープレートは、前記収容キャビティを密閉するように前記開口に蓋設されることが可能である。
【0183】
正極極板、負極極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリを形成することができる。電極アセンブリは、前記収容キャビティにパッケージングされる。電解質は、電解液を採用してもよく、電解液は、電極アセンブリに浸潤される。電池に含まれる電極アセンブリの数は、一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調節することができる。
【0184】
いくつかの実施の形態では、電池の外装体は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースであってもよい。
【0185】
電池の外装体は、パウチ、例えば袋状パウチであってもよい。パウチの材質は、プラスチックを含んでもよく、例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0186】
いくつかの実施の形態では、電池は、電池モジュールに組み立てられることが可能であり、電池モジュールに含まれる電池の数は、複数であってもよく、具体的な数は、電池モジュールの応用と容量に応じて調節することができる。
【0187】
図9は、一例としての電池モジュール2である。図9を参照すると、電池モジュール2において、複数の電池1は、電池モジュール2の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、他の任意の方式で並べてもよい。さらに、締結具によってこれらの複数の電池1を固定することができる。
【0188】
電池モジュール2は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池1は、この収容空間に収容される。いくつかの実施の形態では、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの応用と容量に応じて調節することができる。
【0189】
図10と11は、一例としての電池パック3である。図10と11を参照すると、電池パック3には、電池ボックスと電池ボックスに設置される複数の電池モジュール2が含まれてもよい。電池ボックスは、上部筐体4と下部筐体5と含み、上部筐体4は、下部筐体5に蓋設され、電池モジュール2を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール2は、任意の方式で電池ボックスに並べられてもよい。
【0190】
[電力消費装置]
本出願は、電力消費装置をさらに提供し、前記電力消費装置は、電気エネルギーを提供するための前記電池を含む。具体的には、前記電池は、前記電力消費装置の電源としてもよく、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとしてもよい。前記電力消費装置は、移動体機器(例えば携帯電話、ノートパソコン)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラック)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムを含んでもよいが、それらに限らない。
【0191】
図12は、一例としての電力消費装置である。この電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車を含む。
【0192】
別の例の電力消費装置として、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコンを含んでもよい。この電力消費装置は、一般的には薄型化を要求し、電源として電池を採用してもよい。
【0193】
本出願の実施例により解決された技術課題、技術案及び有益な効果をより明瞭にするために、以下では、実施例と図面を参照しながらさらに詳細に説明する。明らかに、記述された実施例は、ただ本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。以下では、少なくとも一つの例示的な実施例に対する記述は、実際上でただ説明するためのものに過ぎず、決して本出願及びその応用の任意の制限としない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0194】
一、セパレータの製造
(1)PE基材を提供し、その厚さは、9μmであり、穴径は、50nmであり且つ空隙率は、38%である。
【0195】
(2)コーティングスラリーの調製:複合粒子、接着剤(そのガラス化転移温度が約10℃であり、質量比5:1の接着剤ポリマー(平均粒径1.1μm)と可塑剤(ここで、可塑剤の重量に対して、8wt%の可塑剤が接着剤ポリマーにグラフトさている)及び若干の脱イオン水を含み、ここで、接着剤ポリマーは、30wt%アクリル酸イソブチル+25wt%アクリル酸イソオクチル+5wt%アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル+15wt%スチレン+22wt%アクリルアミド+3wt%ポリエチレングリコールコポリマー共重合体であり、可塑剤は、グリセロールである)(複合粒子と接着剤における固体含有量との質量比が90:10である)、有機粒子と分散剤のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、潤湿剤の有機ケイ素改質ポリエーテルを適量の溶媒脱イオン水において均一に混合し、固形分が12%(重量に基づいて計算される)のコーティングスラリーを得た。
【0196】
(3)ステップ(2)で調製されたコーティングスラリーを塗布機でPE基材の2つの表面上に塗布した後に乾燥し、ここで、乾燥温度は、50℃であり、乾燥時間は、25sであり、セパレータ1を得た。
【0197】
ここで、上記複合粒子は、以下のステップを採用して製造して得られた。
【0198】
a、室温で、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル19wt%、アクリル酸n-ブチル27wt%、メタクリル酸メチル8wt%、トリメチロールプロパントリアクリレート1wt%、アクリロニトリル20wt%、アクリルアミド25wt%の重量百分率で、割合で必要なモノマーを均一に攪拌して混合し、混合モノマーを得、
b、機械攪拌装置、温度計と凝縮管の入った10L四口フラスコに混合モノマー2kg、ドデシル硫酸ナトリウム乳化剤60g、過硫酸アンモニウム開始剤20gと脱イオン水2.40kgを加え、1600rpmの回転速度で30min攪拌乳化し、そして窒素ガス保護で75℃まで昇温し、4h反応させた後、濃度1wt%のNaOH水溶液でpH=6.5に調節し、即座に40℃以下まで降温して材料を排出すると、エマルジョン状態の有機ポリマーを得、その固形分は、約45wt%であり、
c、上記有機ポリマー乾燥重量と二酸化ケイ素とを質量比9:1の割合で適量の脱イオン水に加え、1h攪拌して十分に混合した後、噴霧乾燥を経て溶媒を除去し、粉末を製造して得た。そして研磨粉砕を経て、Dv50が5μmの複合粒子を得た。
【0199】
セパレータ2-30、61-62の製造プロセスは、セパレータ1と同じであり、異なるパラメータは、表1-3と7に示すとおりである。
【0200】
セパレータ31の製造プロセスは、セパレータ1と同じであり、相違点は、ステップ(2)におけるコーティングスラリーの調製:複合粒子、接着剤、第二の無機粒子(複合粒子と第二の無機粒子との質量比が20:60である)、有機粒子と分散剤のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、潤湿剤の有機ケイ素改質ポリエーテルを適量の溶媒脱イオン水において均一に混合し、固形分が30%(重量に基づいて計算される)のコーティングスラリーを得たことである。
【0201】
セパレータ32-60、63-64の製造プロセスは、実施例31と同じであり、異なるパラメータは、表4-7に示すとおりである。
【0202】
セパレータ1-64の製造プロセスにおける対応するパラメータは、表1-7に示すとおりである。
【0203】
実施例では用いられる材料は、いずれも市販によって取得することができる。例えば、
第二の無機粒子は、安徽壹石通科技股▲分▼有限公司から購入してもよく、
有機粒子は、乳源東陽光フッ素樹脂有限公司から購入してもよく、
基材は、上海恩捷新材料有限公司から購入してもよく、
分散剤は、常熟威怡科技有限公司から購入してもよく、
湿潤剤は、ダウ・ケミカル社から購入してもよい。
【0204】
【表1】
【0205】
【表2】
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
【表6】
【0210】
【表7】
【0211】
二、電池の製造
実施例1
1、正極極板の製造
正極活物質であるLiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811)、導電剤であるカーボンブラック(Super P)、接着剤であるポリビニリデンフルオライド(PVDF)を質量比96.2:2.7:1.1に従って適量の溶媒N-メチルピロリドン(NMP)内で均一に混合し、正極スラリーを得、正極スラリーを正極集電体アルミニウム箔上に塗布し、乾燥、冷間プレス、スリット、裁断工程を経、正極極板を得た。正極面密度は、0.207mg/mmであり、圧密度は、3.5g/cmである。
【0212】
2、負極極板の製造
負極活物質である人造黒鉛、導電剤であるカーボンブラック(Super P)、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)を質量比96.4:0.7:1.8:1.1に従って適量の溶媒脱イオン水内で均一に混合し、負極スラリーを得、負極スラリーを負極集電体銅箔上に塗布し、乾燥、冷間プレス、スリット、裁断工程を経、負極極板を得た。負極面密度は、0.126mg/mmであり、圧密度は、1.7g/cmである。
【0213】
3、セパレータ
セパレータは、上記製造されたセパレータ1を採用した。
【0214】
4、電解液の製造
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を質量比30:70に従って混合し、有機溶媒を得、十分に乾燥した電解質塩であるLiPFを上記混合溶媒内に溶解し、電解質塩の濃度は、1.0mol/Lであり、均一に混合した後に電解液を取得した。
【0215】
5、電池の製造
正極極板、セパレータ、負極極板を順番に折り畳み、セパレータが正極、負極極板の間に位置して隔離の作用を果たすようにし、そして捲回して電極アセンブリを得、電極アセンブリを外装体内に置き、上記製造された電解液を乾燥後の二次電池内に注入し、真空パッケージング、静置、化成、整形工程を経、二次電池を取得した。実施例2-64の二次電池は、実施例1の電池の製造方法と似ており、相違点は、異なるセパレータを使用することであり、実施例2-64の二次電池は、セパレータ2-64を採用した。
【0216】
三、セパレータ圧縮弾性率テスト方法:
サンプル前処理:
1、刃型を用いてセパレータをパンチングし、刃型/白紙/セパレータ/白紙/押しブロックの順序で畳み、1度で5層パンチングし、100層は、一組であり、3組の平行サンプルをし、サンプルサイズ60*70mmであり、
2、チョッパーを用いてパンチングしてサイズが90*200mmのアルミニウムプラスチックフィルムを得、
3、アルミニウムプラスチックフィルムを長手方向に沿って半分に折り、パンチングされたセパレータサンプルに対してグリーンガムで四辺の中心位置を固定し、Pocket袋内に放置し、
4、頂側パッケージング機を使用し、側面パッケージングによってサンプルの二本の長辺をパッケージングし、さらに真空引きを行って頂部をパッケージングし、シーラー加熱温度は、185℃であり、
5、パッケージングされたサンプル中心位置にスペーサーブロックを放置し、フレームを描いてマークをつけ、
6、マイクロメータでマークつきの位置内のセパレータの厚さを測定し、長辺は、4つの点であり、短辺は、3つの点である。
【0217】
サンプルテスト:
1、原位置膨張テストシステムIEST SWE2110をオンにし、操作ソフトウェアMISSをオンにし、圧力を校正し、圧縮実験(過渡)を選択し、厚さを校正し、
2、サンプルを上下治具内に入れ、上治具を移動し、上治具がサンプルのフレームを描いてマークをつける位置に位置するように確保し、
3、MISSソフトウェアをクリックして実験を開始させ、テストが完了した後に、サンプル厚さM1を測定し、マーカーでサンプル上下両面の治具押し痕位置にマークをつけ、
4、ステップ2-3を繰り返し、再びテストした。
【0218】
データ処理:
1、応力=圧力*10/治具面積であり、変形量=初期厚さ(M1)-リアルタイム厚さであり、応力変形=変形量/初期厚さであり、
2、応力変形を横座標として、応力を縦座標として、応力-応力変形曲線を作り、応力/応力変形曲線3MPa-5MPa線性フィッティングを行い、即ちセパレータ圧縮弾性率を得ることができる。
【0219】
四、セパレータの抵抗性能評価
テストプロセスは、以下のとおりである。
【0220】
(1)セパレータ準備:各テストすべきセパレータを大きさが同じサンプル(45.3mm*33.7mm)に裁断し、且つサンプルを60℃の環境に放置して少なくとも4h焼き付け、そして25℃クラス100クリーングローブボックス内に迅速に移して必要に備え、
(2)対称電池領域制限性Pocket袋(対称電池領域制限性アルミニウムプラスチック袋(アルミニウムプラスチック袋は、パウチセルに用いられるポリプロピレンとアルミニウム箔により複合された汎用商品である))製造:Cu Foil対Cu Foil(銅箔対銅箔)を集電体組み立ての空白対称電池として用いる。このPocket袋の領域制限性は、グリーンガム中間パンチ穴を介して実現される。Pocket袋は、使用前に60℃の環境に置いて少なくとも4h焼き付ける必要があり、そして前文(1)に記載の25℃クラス100クリーングローブボックス内に迅速に移して必要に備え、
(3)対称電池の組み立て:陽極極板を電極として、前文(1)に記載のグローブボックスにおける原位置で5組のそれぞれ異なるセパレータ層数(1、2、3、4、5層)を有する対称電池サンプルを組み立て、各組のサンプルは、5つの平行サンプルを有し、簡易パッケージング機を用いてPocket袋に対して側面パッケージングを行い、ピペットで液体(300μL)を注入し、底部パッケージングを行い、
(4)組み立てられた対称電池に対して治具を用いる:組み立てられた対称電池を前文(1)に記載のグローブボックス内に放置して一夜を過ごして、電解液にセパレータを十分に浸潤させ、翌日、金属治具を用い、治具の圧力を0.7MPaに制御し、
(5)電気化学インピーダンス分光法(EIS)の測定:
測定の前に、異なるセパレータ層数を有する対称電池を高低温チャンバー内に置いて25℃で半時間恒温し、設定された温度(25℃)でのEISを測定し(低温(例えば-25℃-0℃)の場合に、恒温の時間を対応して延長させてもよく、例えば約二時間である)、
(6)フランスBio-Logic VMP3電気化学ワークステーションを採用し、電圧<5Vであり、電流<400mAであり、電流精度は、0.1%*100μAである。測定する時に、EISの測定条件は、電圧周波数を1MHz-1kHzに設定し、外乱電圧を5MVに設定し、治具の圧力を0.7MPaに制御することであり、
(7)EISデータの実部によって負虚部に対して散布図と作り出すとともに、異なる層数と同じ層数の平行サンプルのデータを同一の画像に描き、このように得られたEIS画像をEIS初期データの比較として、
(8)上記(7)で取得されたEIS画像における非第一の象限の点を取り除き、新たなEIS画像を得る。前記新たなEIS画像において第一の象限の散布点に対して線性フィッティングを行い、関連式を得、y=0にし、x値を得ることができ、即ち必要な電解液のセパレータにおける抵抗値である。順に類推し、測定されたEISデータに対して線性フィッティング処理を行うと異なる層数の平行サンプルの間の抵抗値を得ることができる。
【0221】
五、電池性能テスト
1、締付力0.1Mpaでの二次電池のサイクル性能
(1)25℃サイクル性能
25℃で、実施例で製造して得られた二次電池を三枚の鋼治具を採用して固定し、治具と電池との間に片辺断熱マットが1mmあり、0.1MPaの締付力を印加し、そして1C倍率の定電流で充電カットオフ電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cに充電し、5min静置し、続いて0.33C倍率の定電流で放電カットオフ電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量Cを記録した。この方法に従って電池に対して1500回のサイクル充放電を行い、1500回のサイクルした後の電池容量をCとして記録した。
【0222】
電池の25℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%である。
【0223】
(2)45℃サイクル性能
45℃で、実施例で製造して得られた二次電池を三枚の鋼治具を採用して固定し、治具と電池との間に片辺断熱マットが1mmあり、0.1MPaの締付力を印加し、そして1C倍率の定電流で充電カットオフ電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cに充電し、5min静置し、続いて0.33C倍率の定電流で放電カットオフ電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量をCとして記録した。この方法に従って電池に対して1500回のサイクル充放電を行い、この時の電池容量をCとして記録した。
【0224】
電池の45℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%である。
【0225】
2、締付力0.5Mpaでの二次電池のサイクル性能
(1)25℃サイクル性能
25℃で、実施例で製造して得られた二次電池を三枚の鋼治具を採用して固定し、治具と電池との間に片辺断熱マットが1mmあり、0.5MPaの締付力を印加し、そして1C倍率の定電流で充電カットオフ電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cに充電し、5min静置し、続いて0.33C倍率の定電流で放電カットオフ電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量Cを記録した。この方法に従って電池に対して1500回のサイクル充放電を行い、1500回のサイクルした後の電池容量をCとして記録した。
【0226】
電池の25℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%である。
【0227】
(2)45℃サイクル性能
45℃で、実施例で製造して得られた二次電池を三枚の鋼治具を採用して固定し、治具と電池との間に片辺断熱マットが1mmあり、0.5MPaの締付力を印加し、そして1C倍率の定電流で充電カットオフ電圧4.2Vまで充電し、その後に定電圧で電流≦0.05Cに充電し、5min静置し、続いて0.33C倍率の定電流で放電カットオフ電圧2.8Vまで放電し、5min静置し、この時の電池容量をCとして記録した。この方法に従って電池に対して1500回のサイクル充放電を行い、この時の電池容量をCとして記録した。
【0228】
電池の45℃でのサイクル容量保持率=C/C×100%である。
【0229】
表8は、測定された実施例1-64のセパレータと電池性能データを示す。
【0230】
【表8】
【0231】
表8から分かるように、実施例1-64のセパレータは、いずれも比較的低い抵抗と優れた容量保持率を有し、ここで、実施例61と63のセパレータにおける複合粒子の第一の無機粒子Dv50が実施例1-60のセパレータにおける複合粒子の第一の無機粒子Dv50よりも小さく、実施例62と64のセパレータにおける複合粒子の第一の無機粒子Dv50が実施例1-60のセパレータにおける複合粒子の第一の無機粒子Dv50よりも大きいため、実施例1-60のセパレータ抵抗は、いずれも実施例61-64のセパレータ抵抗よりも低く、実施例1-60の電池の締付力0.1MPaと締付力0.5MPaでのサイクル容量保持率は、いずれも実施例61-64よりも優れており、それによって本出願のセパレータを採用することで電池のサイクル性能を向上させることができることを示した。
【0232】
最後に説明すべきこととして、以上の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述各実施例を参照しながら、本出願について詳細に説明したが、当業者にとって、理解すべきこととして、それらは、依然として前述各実施例に記載された技術案を修正し、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して同等の置き換えを行うことができ、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質が本出願の各実施例の技術案の範囲から離脱するようにせず、それは、いずれも本出願の請求項と明細書の範囲内に含まれるべきである。特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各項技術的特徴は、いずれも任意の方式によって組み合わせることができる。本出願は、本文に開示された特定の実施例に限定せず、特許請求の範囲内に属するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0233】
1:二次電池、2:電池モジュール、3:電池パック、4:上部筐体、5:下部筐体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータであって、
基材と、
前記基材の少なくとも一部の表面上に形成されるコーティングとを含み、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する、セパレータ。
【請求項2】
前記セパレータの圧縮弾性率は、aMpaであり、前記複合粒子における第一の無機粒子の含有量は、bwt%であり、a/bは、1.1-60であり、好ましくは4.7-34である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記セパレータの圧縮弾性率は、aMpaであり、aは、60-90である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記複合粒子における前記第一の無機粒子の含有量は、bwt%であり、bは、1-50であり、選択的に1-40であり、さらに選択的に2-15であり、最も好ましくは5-15である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記複合粒子のDv50≧2.5μmであり、好ましくは2.5μm-10μmであり、より好ましくは3μm-8μmである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記複合粒子は、第一の凝集体を含み、前記第一の凝集体は、少なくとも二つの前記第一の無機粒子を含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
0.01μm≦第一の凝集体のDv50≦複合粒子のDv10である、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記複合粒子は、一次粒子形態の第一の無機粒子を含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記一次粒子形態の第一の無機粒子のDv50は、0.01μm-1μmであり、好ましくは0.5μm-1μmである、請求項8に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μmであり、好ましくは1μm-2μmである、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記ポリアクリレート粒子は、一次粒子形態のポリアクリレート粒子及び/又は二次粒子形態のポリアクリレート粒子を含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項13】
前記一次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、50nm-400nmであり、好ましくは100nm-200nmである、請求項12に記載のセパレータ。
【請求項14】
前記二次粒子形態のポリアクリレート粒子のDv50は、2μm-15μmであり、好ましくは5μm-8μmである、請求項12に記載のセパレータ。
【請求項15】
前記突起の両面の高さは、15μm-60μmである、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項16】
前記突起の表面は、前記第一の凝集体を有する、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項17】
前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含み、
前記接着剤ポリマーは、以下のような第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つにより形成されたコポリマーを含み、
第一のモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸アクリルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価が0.35-0.50にあるエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項18】
前記可塑剤は、グリセロールC4-C10アルキルジエーテルと、グリセロールC4-C10アルキルモノエーテルと、グリセロールC4-C10カルボン酸モノエステルと、グリセロールC4-C10カルボン酸ジエステルと、プロピレングリコールC4-C10アルキルモノエーテルと、グリセロールとのうちの少なくとも一つを含む、請求項17に記載のセパレータ。
【請求項19】
前記コーティングは、複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤とを含み、前記接着剤は、水酸基とカルボン酸塩を有する線状コポリマーを含み、
前記線状コポリマーは、以下のような各種のモノマーの重合生成物を含み、
(1)第一種のモノマーであって、前記第一種のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレンとアクリロニトリルのうちの少なくとも一つを含み、
(2)第二種のモノマーであって、前記第二種のモノマーは、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリルとメタクリル酸トリフルオロエチルのうちの少なくとも一つを含み、
(3)第三種のモノマーであって、前記第三種のモノマーは、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼンとエポキシ価が0.35~0.50にあるエポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含み、
(4)第四種のモノマーであって、前記第四種のモノマーは、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリビニルアルコールのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項20】
前記複合粒子のDv50は、前記第二の無機粒子のDv50よりも大きい、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項21】
前記第二の無機粒子のDv50は、0.5μm-2μmであり、好ましくは1μm-2μmである、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項22】
前記複合粒子と前記第二の無機粒子との質量比は、(5-30):(50-70)である、請求項19に記載のセパレータ。
【請求項23】
前記複合粒子と前記接着剤における固体含有量の質量比は、(80-90):(5-20)であり、好ましくは(85-90):(8-15)である、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項24】
前記コーティングは、有機粒子をさらに含み、前記有機粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリクロロトリフルオロエチレン粒子、ポリフッ化ビニル粒子、ポリビニリデンフルオライド粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、ポリアクリロニトリル粒子、ポリエチレンオキシド粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とビニルモノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリル酸系モノマー単位とのコポリマー粒子、フッ素含有アルケニルモノマー単位とアクリレート系モノマー単位とのコポリマー粒子、及び上記各ホモポリマー又はコポリマーの改質化合物粒子のうちの少なくとも一つを含み、前記複合粒子と前記有機粒子は、前記コーティング表面に前記突起を形成する、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項25】
前記有機粒子は、第三の凝集体を形成する、請求項24に記載のセパレータ。
【請求項26】
前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、好ましくは5μm-12μmである、請求項25に記載のセパレータ。
【請求項27】
前記第三の凝集体には一次粒子形態の有機粒子が含まれるとともに、隣接する二つの前記有機粒子の間に隙間がある、請求項25に記載のセパレータ。
【請求項28】
前記一次粒子形態の有機粒子のDv50は、50nm-400nmであり、好ましくは100nm-200nmである、請求項27に記載のセパレータ。
【請求項29】
前記複合粒子と前記有機粒子との質量比は、(20-90):(0-70)であり、好ましくは(45-90):(0-45)である、請求項23に記載のセパレータ。
【請求項30】
請求項1に記載のセパレータの製造方法であって、
(1)基材を提供することと、
(2)前記基材の少なくとも一部の表面上に複合粒子と接着剤とを含むコーティングを形成することとを含み、前記複合粒子は、前記コーティング表面に突起を形成し、前記複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含み、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子の間に前記第一の無機粒子を有する、セパレータの製造方法
【請求項31】
電池であって、請求項1から29のいずれか1項に記載のセパレータ又は請求項30に記載の製造方法によって得られたセパレータを含む、電池。
【請求項32】
電力消費装置であって、請求項31に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる、電力消費装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
従来の技術と比べ、本出願は、以下に記載の有益な効果を少なくとも含む。電池モジュールは、実際の応用プロセスにおいて、絶えない充放電につれて、極板が回避不可能に膨張し、モジュール空間が限られた場合に、膨張力は、解放できず、セル電池コアに反作用し、それによってセパレータコーティングと極板との間の接着作用が強すぎるようにし、リチウムイオンの離脱を破壊し、ひいてはセパレータコーティングを面積で沈下させてセパレータの穴を塞ぎ、リチウムイオン伝送に影響を与え、それによって電池コアの耐用年数を悪化させる。本出願では採用されるセパレータコーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、複合粒子は、ポリアクリレート粒子と第一の無機粒子とを含むとともに、少なくとも二つのポリアクリレート粒子の間に第一の無機粒子があり、複合粒子の高温造粒プロセスにおける粘着を回避し、セパレータのイオン伝導能力を向上させるとともに、複合粒子の圧縮弾性率を向上させ、セパレータと極板との接着性を比較的適切にすることができる。従来のセパレータコーティングがポリフッ化ビニリデン粒子を用いるのと比べ、本出願のセパレータコーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、一方でセパレータ抵抗を低減させ、他方で電池コア製作及び使用プロセスにおいてこのセパレータと極板との間の接着を適切にし、最も重要なのは、このセパレータに適切な圧縮弾性率を有させることであり、電池コアがサイクル膨張力が増える場合にリチウムイオン伝送チャンネルを塞いで動力学性能を悪化させることがないように確保し、それによって電池の動力学性能を高める。同時に、電池が熱暴走して高温を発生させる時に、複合粒子によりコーティング表面に形成された突起は、大面積の接着フィルム構造を形成してイオン伝送チャンネルを減少させ又は阻隔し、電池の熱蔓延を延ばすことができ、それによって電池のサイクル性能と高温での安全性能を効果的に改善する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本出願のいくつかの実施の形態では、前記コーティングは、複合粒子と接着剤とを含み、前記接着剤は、接着剤ポリマーと可塑剤とを含み、前記接着剤ポリマーは、以下のような第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つにより形成されたコポリマーを含み、
第一のモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸アクリルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価が0.35-0.50にあるエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
具体的には、ZEISS Sigma300走査電子顕微鏡を使用してテストを行い、それは、以下のようなステップ操作に従ってテストする。先ずテストすべきセパレータを6mm×6mmのテストすべきサンプルに裁断し、二枚の導電性及び熱伝導性の銅箔を用いてテストすべきサンプルを挟み、テストすべきサンプルと銅箔との間を両面テープで粘りついて固定し、一個の400gの平坦な鉄塊を用いて1時間圧着し、テストすべきサンプルと銅箔との間の隙間を小さくするほどよくなり、そしてはさみでエッジが揃うように切り、導電接着剤を有するサンプル台上に粘り、サンプルがサンプル台エッジよりもやや突出すればよい。そしてサンプル台をサンプル棚上に入れてロックして固定し、IB-19500CPアルゴンイオン断面ポリッシャー電源をオンにし且つ1 -4 aに真空引きを行い、アルゴンガストラフィックを0.15MPaに、電圧を8KVに、及び研磨時間を2時間に設定し、サンプル台を揺動モードに調整して研磨し始め、研磨が終了した後に、ZEISS Sigma300走査電子顕微鏡を使用してテストすべきサンプルのイオン研磨断面形態(CP)画像を得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
いくつかの実施の形態では、本出願セパレータでは、前記複合粒子は、第二の凝集体を含み、前記第二の凝集体は、少なくとも二つの前記ポリアクリレート粒子を含む。それによって、複合粒子が柔軟過ぎないようにし、それによって電池が膨張又は比較的大きい外力で、複合粒子と極板及び複合粒子とセパレータ基材との間の作用が適当であることを確保し、それによって電池の動力学性能を向上させる。さらに、前記第二の凝集体のDv50は、0.3μm-5μmであり、例えば0.5μm-5μm、0.7μm-4.5μm、1μm-4μm、1.3μm-3.5μm、1.5μm-3.2μm、1.7μm-3μm、2μm-2.8μm、2μm-2.5μm、5μm-10μm、5μm-9μm、5μm-8μm、5μm-7μm、5μm-6μmなどである。別のいくつかの実施の形態では、前記第二の凝集体のDv50は、1μm-2μmである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
いくつかの実施の形態では、前記接着剤ポリマーは、以下の第一のモノマーのうちの少なくとも一つ、第二のモノマーのうちの少なくとも一つ、第三のモノマーのうちの少なくとも一つと反応性分散剤のうちの少なくとも一つの反応モノマーにより形成されたコポリマーを含み、
第一のモノマー:その融点は、一般的に80℃よりも高く、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレン、アクリロニトリルを含み、
第二のモノマー:その融点は、一般的に80℃を超えず、アクリル酸C4-C22アルキルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル(イソオクチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸アクリルを含み、
第三のモノマー:メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼン、エポキシ価が0.35-0.50にあるエポキシ樹脂、ジビニルベンゼンを含み、
反応性分散剤:ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを含む。選択的に、これらの反応性分散剤のアルコール分解の度合い≧85%であり、平均重合度400-2000であり、好ましくはアルコール分解の度合い≧88%であり、平均重合度500-1600である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
いくつかの実施の形態では、セパレータコーティングには複合粒子と、第二の無機粒子と、接着剤が含まれる場合に、本出願のセパレータにおける前記線状コポリマーは、以下のような各種のモノマーの重合生成物を含み、
(1)第一種のモノマーであって、前記第一種のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸イソボルニル、メチロールアクリルアミド、アクリルアミド、スチレンとアクリロニトリルのうちの少なくとも一つを含み、選択的に、前記第一種のモノマーは、スチレン、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸とアクリロニトリルのうちの少なくとも一つを含み、
(2)第二種のモノマーであって、前記第二種のモノマーは、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸エチレン尿素エチル、メタクリル酸アクリル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフリルとメタクリル酸トリフルオロエチルのうちの少なくとも一つを含み、選択的に、前記第二種のモノマーは、アクリル酸n-ブチルとメタクリル酸n-ヘキシルのうちの少なくとも一つを含み、
(3)第三種のモノマーであって、前記第三種のモノマーは、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸アセト酢酸エチル、ジビニルベンゼンとエポキシ価が0.35~0.50にあるエポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含み、選択的に、前記第三種のモノマーは、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、エポキシ価が0.35~0.50にあるエポキシ樹脂とジビニルベンゼンのうちの少なくとも一つを含み、
(4)第四種のモノマーであって、前記第四種のモノマーは、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリビニルアルコールのうちの少なくとも一つを含み、選択的に第四種のモノマーは、ポリビニルアルコールであり、ここで、前記第四種のモノマーのアルコール分解の度合い≧85%であり、平均重合度400から2000であり、選択的に、前記第四種のモノマーのアルコール分解の度合い≧88%であり、平均重合度500から1600である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
いくつかの実施の形態では、前記第二の無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、水素酸化マグネシウム(Mg(OH))、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニッケル(NiO)、酸化セリウム(CeO)、チタン酸ジルコニウム(SrTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、フッ化マグネシウム(MgF)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。それによって、この種類の第二の無機粒子は、基材熱収縮に対して良好な抑制作用を有し、それによってセパレータの耐高温性を向上させる。例えば、前記第二の無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
いくつかの実施の形態では、本出願のセパレータコーティングの有機粒子は、第三の凝集体を形成する。ここで、前記第三の凝集体のDv50は、5μm-30μmであり、例えば5μm-28μm、5μm-25μm、5μm-22μm、5μm-20μm、5μm-18μm、5μm-15μm、5μm-12μm、5μm-10μm、5μm-8μm、5μm-6μmなどである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0143】
いくつかの実施の形態では、ステップ(2-1)において、前記コーティングスラリーは、第二の無機粒子をさらに含んでもよく、前記第二の無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、水素酸化マグネシウム(Mg(OH))、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニッケル(NiO)、酸化セリウム(CeO)、チタン酸ジルコニウム(ZrTiO )、チタン酸バリウム(BaTiO)、フッ化マグネシウム(MgF)のうちの一つ又は複数を含んでもよく、例えば、前記無機粒子は、ベーム石(γ-AlOOH)、酸化アルミニウム(A1)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0180
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0180】
本出願の実施例は、電池の形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。図8は、一例としての四角形構造の二次電池1である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0187
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0187】
図9は、一例としての電池モジュール2である。図9を参照すると、電池モジュール2において、複数の二次電池1は、電池モジュール2の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、他の任意の方式で並べてもよい。さらに、締結具によってこれらの複数の二次電池1を固定することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0195
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0195】
(2)コーティングスラリーの調製:複合粒子、接着剤(そのガラス化転移温度が約10℃であり、質量比5:1の接着剤ポリマー(平均粒径1.1μm)と可塑剤(ここで、可塑剤の重量に対して、8wt%の可塑剤が接着剤ポリマーにグラフトさている)及び若干の脱イオン水を含み、ここで、接着剤ポリマーは、30wt%アクリル酸イソブチル+25wt%アクリル酸イソオクチル+5wt%アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル+15wt%スチレン+22wt%アクリルアミド+3wt%ポリエチレングリコールコポリマーであり、可塑剤は、グリセロールである)(複合粒子と接着剤における固体含有量との質量比が90:10である)、有機粒子と分散剤のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、潤湿剤の有機ケイ素改質ポリエーテルを適量の溶媒脱イオン水において均一に混合し、固形分が12%(重量に基づいて計算される)のコーティングスラリーを得た。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0204
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0204】
【表1】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0210
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0210】
【表7】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0230
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0230】
【表8】
【国際調査報告】