(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電極上の誘電体コーティングを有する電気泳動ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20240719BHJP
G02F 1/16756 20190101ALI20240719BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/16756
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506482
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022038707
(87)【国際公開番号】W WO2023014574
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アムンドソン, カール レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ラダバック, コスタ
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ローバー, ダン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブル, ダーウィン スコット
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BC02
2K101BD21
2K101BD24
2K101BD28
2K101BD61
2K101BE32
2K101EB13
2K101EB15
2K101EB16
2K101EB71
2K101EC06
2K101EE02
2K101EG31
2K101EG45
2K101EG52
2K101EH12
2K101EJ11
(57)【要約】
電気泳動ディスプレイ(100)は、流体中に配置され、電場の印加時、流体を通して移動可能である帯電粒子を有する電気泳動媒体(114)を備えている。電極(104、120)は、電気泳動媒体に隣接して配置され、電場をそれに印加するように配置される。誘電体層(106、118)は、電気泳動媒体(114)と電極(104、120)との間に配置され、それを通して延びている少なくとも1つの開口(107、119)を有する。誘電体層内の開口(107、119)の提供は、誘電体層(106、118)が、電極(104、120)を保護しながら、電気光学的キックバックを減らすことを可能にする。複数の電極(104、120)が、電気泳動媒体(114)に隣接して存在するとき、電極(104、120)のうちの2つ以上または全てが、開口を備えた誘電体層(106、118)を具備し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動ディスプレイであって、前記電気泳動ディスプレイは、
複数の帯電粒子を備えている電気泳動媒体であって、前記複数の帯電粒子は、流体中に配置され、電気泳動媒体への電場の印加時、前記流体を通して移動可能である、電気泳動媒体と、
前記電気泳動媒体に隣接して配置され、前記電気泳動媒体に電場を印加するように配置された電極と
を備え、
前記電気泳動ディスプレイは、前記電気泳動媒体と前記電極との間に配置された誘電体層によって特徴付けられ、前記誘電体層は、前記誘電体層を通して延びている少なくとも1つの開口を有する、電気泳動ディスプレイ。
【請求項2】
前記誘電体層に隣接した前記電極から前記電気泳動媒体の反対側に配置された第2の電極をさらに備えている、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項3】
前記電気泳動媒体と前記第2の電極の間に配置された第2の誘電体層をさらに備え、前記第2の誘電体層は、前記第2の誘電体層を通して延びている少なくとも1つの開口を有する、請求項2に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項4】
前記誘電体層は、少なくとも約10
7V/Mの絶縁耐力を有する、請求項1-3のいずれかに記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項5】
前記誘電体層は、約10~100nmの範囲内の厚さを有し、前記少なくとも1つの開口は、実質的に円形であり、約1~5μmの範囲内の直径を有する、請求項1-4のいずれかに記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項6】
前記誘電体層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属酸化物、または有機材料のうちのいずれか1つ以上から形成される、請求項1-5のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項7】
前記誘電体層は、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ハフニウム、ペリレン、またはフォトレジストのうちのいずれか1つ以上から形成される、請求項6に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項8】
前記誘電体層と前記電気泳動媒体との間に配置された接着剤層をさらに備えている、請求項1に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項9】
前記接着剤層は、その電気抵抗を減らすためにイオン性材料でドープされている、請求項8に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項10】
前記帯電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められている、請求項1-9のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項11】
前記帯電粒子および前記流体は、ポリマー材料を備えている連続相によって包囲された複数の別々の液滴として存在する、請求項1-9のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項12】
前記電気泳動媒体に隣接して配置された複数の電極を有し、前記ディスプレイは、前記複数の電極の電位を互いに独立して変動させるための電圧制御手段をさらに備え、前記誘電体層は、前記複数の電極の各々まで延びている複数の開口を具備し、前記複数の電極の各々は、中心領域と周辺領域とを有し、単位面積あたりの開口のサイズおよび/または数は、前記周辺領域におけるより前記中心領域において大きい、請求項1-11のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項13】
フロントプレーン積層体または反転フロントプレーン積層体の形態にある、請求項1-12のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項14】
請求項1-13のいずれか1項に記載の電気泳動ディスプレイを生産するためのプロセスであって、前記プロセスは、
電極を提供することと、
前記電極をフォトレジストでコーティングすることと、
前記フォトレジストを放射線に像様暴露することと、
前記暴露されたフォトレジストを洗浄し、それによって、前記暴露されたフォトレジストを通して少なくとも1つの開口を形成することと、
前記暴露されたフォトレジストに隣接して前記電気泳動媒体を配置することと
を含む、プロセス。
【請求項15】
前記フォトレジストは、ケイ皮酸フォトレジストである、請求項14に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、米国特許第9,726,957号および第10,520,786号および公開出願第2020/0117069 A1号に関する。
【0002】
前述の仮出願、特許、および公開出願および下記に述べられる全ての他の米国特許および公開および同時併属中の出願の内容全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の背景)
【0004】
本発明は、少なくとも1つの電極が誘電体コーティングを帯びている電気泳動ディスプレイに関する。より具体的に、本発明は、誘電体コーティングがそれを通した少なくとも1つの開口を具備するような電気泳動ディスプレイに関する。
【0005】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、複数の荷電粒子を備えている電気泳動媒体を有し、複数の荷電粒子は、電場の影響下で流体を通して移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較された場合、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定、および低電力消費の属性を有することができる。典型的に、電気泳動ディスプレイは、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層とを備え、これら2つの層のうちの一方は、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、両方の層が、電極層であり、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するためにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極に、他方は、行電極と直角に伸びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交点によって画定される。代替として、より一般的に、一方の電極層は、単一の連続式電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、ピクセル電極の各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印字ヘッド、または類似可動電極との使用が意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の反対側の層は、典型的に、可動電極が電気泳動層に損傷を及ぼすことを防止することが意図される保護層である。
【0006】
2つの電極層間に挟まれた電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイでは、電極層のうちの少なくとも1つは、光透過性、かつ好ましくは、略透明でなければならず、媒体の光学状態における変化が、光透過性電極層を通してディスプレイを視認する観察者に見えることを可能にする。一方の電極層が単一の連続式電極であり、他方がピクセル電極を形成するためにパターン化されるとき、単一の連続式電極層が、パターン化された電極層より視覚的アーチファクトを生産する可能性が低いので、一方の電極層は、通常、ディスプレイが視認される視認表面を形成する連続式電極である。そのような電極を形成するために導電率および光透過性の必要とされる組み合わせを保有する材料の数は、限定され、殆どの市販の電気泳動ディスプレイは、酸化インジウムまたは酸化インジウムスズ等のスパッタリングされた金属酸化物から形成された光透過性電極層を使用するが、伝導性ポリマーから形成された電極層も、使用される。適正な透過性を確実にするために、スパッタリングされた金属酸化物の電極層は、典型的に、1nm厚未満である。
【0007】
電気泳動ディスプレイ内の電極層が、機械的および電気化学的損傷の両方を受けることは、以前から公知である。例えば、米国特許第6,724,519号(特許文献1)を参照すると、それは、電極に対する機械的または電気化学的損傷を防止するように適合された保護層を伴う電気泳動ディスプレイを説明している。保護層は、金属または金属酸化物を含み得る。米国特許第8,441,432号(特許文献2)も参照すると、それは、その中で少なくとも1つの電極が、ニトロ、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロー、シアノ、スルホン酸塩、アミノ含有またはアミノ由来極性基、炭水化物基、リン含有極性基、硫黄含有極性基、および負イオンから成る群から選択される少なくとも1つの極性基を含む極性オリゴマーまたはポリマー材料を含む組成物から形成された電極保護層を有するマイクロセル電気泳動ディスプレイを説明し、ディスプレイセルまたは電極保護層は、約107~約1012オームcmの範囲内の抵抗率を有する。米国特許第9244325号(特許文献3)は、ディスプレイ層を複数の領域に分割する仕切構造と、仕切構造と一体化して形成された電極保護層とを有するマイクロセル電気泳動ディスプレイを説明し、両方は、主に、エチレンオキサイド側鎖を有する紫外線硬化性ポリマーである導電性ポリマーから成る。米国特許第3,792,308号は、一方または両方の電極が、例えば、酢酸ビニル樹脂、ポリスチロール、またはゼラチンを用いて電極をコーティングすることによって調製される絶縁層でコーティングされた電気泳動ディスプレイを説明している。最後に、米国特許第6,850,357号は、アクリル感光性樹脂、非感光性樹脂、および無機絶縁層から形成された電極保護層を有する電気泳動ディスプレイを説明している。
【0008】
機械的損傷に対して電気泳動ディスプレイ内の電極を保護するために保護層を設計することは、比較的容易であるが、電気化学的損傷に対して保護することは、より複雑である。すでに言及されるように、電気泳動ディスプレイは、典型的に、双安定である。(用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えているディスプレイを指すために、本明細書で使用され、ディスプレイは、第1または第2の表示状態のうちのいずれか一方を示すように、有限持続時間のアドレスパルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が続くであろうようなものである。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極端な黒および白状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定していることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を含むために使用され得る。実際、ディスプレイが、第1の画像(例えば、書籍の第1のページ)を表示するために、恐らく0.5秒間にわたって駆動され、ユーザが第1の画像を読み取りまたは検査する間、恐らく30秒間にわたって駆動されないままにされ、第2の画像を表示するために、恐らく0.5秒間にわたって駆動され、そのように続き得、したがって、ディスプレイは、ユーザがディスプレイを使用している時間のわずかな割合の間のみ、駆動されているので、そのような双安定性は、携帯用バッテリ電源型電気泳動ディスプレイの電力消費を減らすことにおいて重要な因子である。ディスプレイの特定のピクセルが、初期グレーレベルから開始し、他のグレーレベルに到達するが、初期グレーレベルに最後に行き着く一連の遷移を経る場合、一連の遷移の全体的なインパルス(時間に対する駆動電圧の積分)は、実質的にゼロであるべきであるという意味において、電気泳動ディスプレイを駆動するために使用される駆動スキームは、DC平衡であるべきであることが、かねてから公知であった。そうではない場合、長時間にわたる使用の後、ディスプレイは、電極層において、永続的電気化学的変化を示す可能性が高く、これらの変化は、ディスプレイの電気光学的性能に損傷を与えるか、または、破壊さえし得る。
【0009】
しかしながら、全体的な駆動スキームがDC平衡である場合であっても、個々の遷移のために使用される波形が、それら自体がDC平衡ではない場合、問題が、依然として生じ得る。多くの場合、電気泳動ディスプレイは、駆動後、「残留電圧」を示す。ディスプレイの電極を横断する開回路電圧として測定される、この残留電圧は、電気泳動ディスプレイの種々の層内の電荷の蓄積に起因するものであると考えられ、ディスプレイの駆動が終結した後、非常に長い期間にわたって持続し得る。残留電圧は、ディスプレイが、駆動されておらず、同じ光学状態に留まったままであることが意図される期間中、ディスプレイの光学状態における望ましくない変化につながり得る。殆どの電気泳動媒体が、殆どまたは全く閾値電圧を有しないので、小さい残留電圧であっても、問題を引き起こし得、したがって、2つの連続遷移間の延長された期間にわたる小さい残留電圧であってもその存在は、媒体の光学状態における大きな変化を引き起こし得る。人間の眼が、単色ディスプレイ内のグレーレベルにおける微小な変動より色相におけるわずかな変化に対してより高感度である傾向があるので、光学状態におけるそのような望ましくない変化は、とりわけ、フルカラーディスプレイにおいて解決困難であり、特に、肌色トーンにおける色の変動は、とりわけ、緑色を帯びた色調が発生する場合、非常に顕著である。残留電圧を減らす、または排除する方法が、公知である(例えば、米国特許第10,475,396号参照)が、大きい残留電圧が電気泳動ディスプレイの駆動中に発生することを防止することが、望ましい。
【0010】
残留電圧の蓄積を防止するために、電気泳動ディスプレイは、各波形がそれ自体DC平衡である、すなわち、各波形および全体的な駆動スキームがDC平衡である駆動スキームを使用して駆動されることができる。しかしながら、全ての波形をDC平衡にさせることは、とりわけ、フルカラーディスプレイの場合、追加の複雑性を導入する。典型的に、DC平衡波形は、DC平衡区分、およびそれに続く駆動区分を備え、DC平衡区分は、駆動区分のそれと大きさにおいて等しいが、極性において反対である正味インパルスを有するように配置され、それによって、全体的な波形の正味インパルスは、本質的にゼロである。例えば、米国特許第10,276,109号を参照すると、
図11は、4粒子(白色、黄色、シアン色、およびマゼンタ色)フルカラーディスプレイにおいて使用されているこのタイプの波形を示す。しかしながら、DC平衡区分は、波形の持続時間(したがって、遷移のために要する時間)における実質的な増加を導入するだけではなく、DC平衡区分は、駆動(色レンダリング)区分の持続時間を増加させる傾向もある。DC平衡区分は、駆動区分とは反対の極性の正味インパルスを有しなければならないので、DC平衡区分は、本質的に、電気泳動粒子をそれらが駆動区分中に駆動されるであろう方向とは反対の方向に駆動する傾向があり、実践では、DC平衡区分の最後において、電気泳動粒子は、それらの所望の相対的な位置のほぼ反対に配置される。結果として、駆動または色レンダリング区分は、DC平衡区分によってもたらされる粒子変位を克服するために、長くある(約数秒)必要があり得る。
【0011】
米国特許公開第2022/0084473 A1号は、4粒子フルカラー電気泳動ディスプレイを駆動するためのDC非平衡波形を説明しており、これらの波形は、前述の米国特許第10,276,109号において説明されるDC平衡波形よりはるかに短い。しかしながら、残留電圧の蓄積および電極の劣化の軽減を伴わない場合、そのような波形は、容認可能な寿命時間を伴う商業用ディスプレイにおいて使用されることができなかった。
【0012】
上で述べられるように、電極の上を覆う保護(典型的に、誘電体)層を提供することによって、電気泳動ディスプレイの一方または両方の電極を保護することは、公知である。しかしながら、そのような誘電体層は、ディスプレイの2つの電極間に電気泳動媒体と直列にコンデンサを導入する。コンデンサは、電気泳動ディスプレイが駆動され、波形の最後において2つの電極が同じ電位に(電気泳動媒体を横断する電場をゼロまで減らすために、したがって、電気泳動媒体を所望の光学状態に保つために)設定されると、荷電された状態になり、このコンデンサの放電は、電気泳動媒体を通して流動するための十分な電流を引き起こし、その光学状態において著しく好ましくない変化(「電気光学的キックバック」として公知の現象)を引き起こし得る。本発明は、そのような誘電体層の利点を提供しながら、キックバックの問題を減らすこと、または排除することに努める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,724,519号明細書
【特許文献2】米国特許第8,441,432号明細書
【特許文献3】米国特許第9,244,325号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の概要)
【0015】
故に、本発明は、電気泳動ディスプレイを提供し、電気泳動ディスプレイでは、流体中に配置され、電場の印加時、流体を通して電気泳動媒体まで移動可能である複数の帯電粒子を備えている電気泳動媒体と、電気泳動媒体に隣接して配置され、電場をそれに印加するように配置された電極と、電気泳動媒体と電極との間に配置された誘電体層であって、それを通して延びている少なくとも1つの開口を有する誘電体層とを備えている。
【0016】
本発明の電気泳動ディスプレイは、誘電体層に隣接した電極から電気泳動媒体の反対側に配置された第2の電極を備え得、典型的に、備えているであろう。第2の誘電体層は、電気泳動媒体と第2の電極の間に配置され、第2の誘電体層は、それを通して延びている少なくとも1つの開口を有し得る。誘電体層は、少なくとも約107V/Mの絶縁耐力を有し得る。さらに、誘電体層は、約10~100nmの範囲内の厚さを有し得、少なくとも1つの開口は、実質的に円形であり、約1~5μmの範囲内の直径を有し得る。誘電体層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属酸化物、または有機材料のうちのいずれか1つ以上、例えば、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ハフニウム、ペリレン、またはフォトレジストのうちのいずれか1つ以上から形成され得る。
【0017】
本発明の電気泳動ディスプレイは、誘電体層と電気泳動媒体との間に配置された接着剤層をさらに備え得る。この接着剤層は、その電気抵抗を減らすためにイオン性材料でドープされ得る。
【0018】
本発明の電気泳動ディスプレイは、カプセル化されることも、カプセル化されないこともあり、カプセル化されるとき、当技術分野において公知のタイプのいずれかのものであり得、例えば、帯電粒子および流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められ得るか、または、ポリマー材料を備えている連続相によって包囲される複数の別々の液滴として存在し得る。
【0019】
本発明の電気泳動ディスプレイは、電気泳動媒体に隣接して配置された複数の電極を有し得、ディスプレイは、複数の電極の電位を互いに独立して変動させるための電圧制御手段を備え得る。誘電体層は、複数の電極の各々まで延びている複数の開口を具備し、複数の電極の各々は、中心領域と周辺領域とを有し、単位面積あたりの開口のサイズおよび/または数は、周辺領域におけるより中心領域において大きくあり得る。
【0020】
本発明は、本発明の電気泳動ディスプレイを生産するためのプロセスも提供する。このプロセスは、電極を提供することと、電極をフォトレジストでコーティングすることと、フォトレジストを放射線に像様暴露することと、暴露されたフォトレジストを洗浄し、それによって、暴露されたフォトレジストを通して少なくとも1つの開口を形成することと、暴露されたフォトレジストに隣接して電気泳動媒体を配置することとを含む。このプロセスでは、フォトレジストは、ケイ皮酸フォトレジストであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
(図面の簡単な説明)
【0022】
【
図1】付随の図面の
図1は、本発明のマイクロセル電気泳動ディスプレイを通した概略断面図である。
【0023】
【
図2】
図2は、誘電体層を欠いている従来技術電気泳動ディスプレイのモデルの回路図である。
【0024】
【
図3】
図3は、
図2のそれと類似する回路図であるが、複数の開口を具備する誘電体層を有する本発明の電気泳動ディスプレイのモデルの回路図である。
【0025】
【
図4】
図4は、本発明の電気泳動ディスプレイの一部を通した概略断面であり、誘電体層を通した単一の開口を示し、開口を備えた誘電体層の抵抗を計算するために使用される方法を図示する。
【0026】
【
図5】
図5は、本発明の電気泳動ディスプレイのバックプレーンの上平面図であり、各電極にわたる開口の分布を示す。
【0027】
【
図6】
図6は、誘電体層の厚さの関数として、本発明のフルカラー電気泳動ディスプレイの光学的キックバックを示すグラフである。
【0028】
【
図7】
図7は、
図6に類似するグラフであるが、誘電体層を欠くが、開口を備えた誘電体層の効果を模倣するために、ディスプレイと直列に外部並列抵抗器およびコンデンサを伴う類似するフルカラー電気泳動ディスプレイの光学的キックバックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(詳細な説明)
【0030】
すでに述べられているように、本発明は、電気泳動ディスプレイを提供し、電気泳動ディスプレイは、電気泳動媒体と、電気泳動媒体に隣接して配置された電極と、電気泳動媒体と電極との間に配置された誘電体層とを備え、誘電体層は、それを通して延びている少なくとも1つの開口を有する。
【0031】
本発明において使用される電気泳動媒体および電極は、当技術分野において公知のタイプのいずれかのものであり得る。Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC.および関連会社に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化およびマイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体に使用される種々の技術を説明している。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、それらの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセルは、それら自体、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられたコヒーレント層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、複数の空洞内に保持され、複数の空洞は、キャリア媒体(典型的に、ポリマーフィルム)内に形成される。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照);
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照);
(c)マイクロセルの構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照);
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照);
(e)電気光学材料を含むフィルムおよび組立部品(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照);
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイに使用される方法(例えば、米国特許第D485,294号、第6,124,851号、第6,130,773号、第6,177,921号、第6,232,950号、第6,252,564号、第6,312,304号、第6,312,971号、第6,376,828号、第6,392,786号、第6,413,790号、第6,422,687号、第6,445,374号、第6,480,182号、第6,498,114号、第6,506,438号、第6,518,949号、第6,521,489号、第6,535,197号、第6,545,291号、第6,639,578号、第6,657,772号、第6,664,944号、第6,680,725号、第6,683,333号、第6,724,519号、第6,750,473号、第6,816,147号、第6,819,471号、第6,825,068号、第6,831,769号、第6,842,167号、第6,842,279号、第6,842,657号、第6,865,010号、第6,873,452号、第6,909,532号、第6,967,640号、第6,980,196号、第7,012,735号、第7,030,412号、第7,075,703号、第7,106,296号、第7,110,163号、第7,116,318号、第7,148,128号、第7,167,155号、第7,173,752号、第7,176,880号、第7,190,008号、第7,206,119号、第7,223,672号、第7,230,751号、第7,256,766号、第7,259,744号、第7,280,094号、第7,301,693号、第7,304,780号、第7,327,346号、第7,327,511号、第7,347,957号、第7,349,148号、第7,352,353号、第7,365,394号、第7,365,733号、第7,382,363号、第7,388,572号、第7,401,758号、第7,442,587号、第7,492,497号、第7,535,624号、第7,551,346号、第7,554,712号、第7,560,004号、第7,583,427号、第7,598,173号、第7,605,799号、第7,636,191号、第7,649,674号、第7,667,886号、第7,672,040号、第7,688,497号、第7,733,335号、第7,785,988号、第7,830,592号、第7,839,564号、第7,843,626号、第7,859,637号、第7,880,958号、第7,893,435号、第7,898,717号、第7,905,977号、第7,957,053号、第7,986,450号、第8,009,344号、第8,027,081号、第8,049,947号、第8,072,675号、第8,077,141号、第8,089,453号、第8,120,836号、第8,159,636号、第8,208,193号、第8,237,892号、第8,238,021号、第8,362,488号、第8,373,211号、第8,389,381号、第8,395,836号、第8,437,069号、第8,441,414号、第8,456,589号、第8,498,042号、第8,514,168号、第8,547,628号、第8,576,162号、第8,610,988号、第8,714,780号、第8,728,266号、第8,743,077号、第8,754,859号、第8,797,258号、第8,797,633号、第8,797,636号、第8,830,560号、第8,891,155号、第8,969,886号、第9,147,364号、第9,025,234号、第9,025,238号、第9,030,374号、第9,140,952号、第9,152,003号、第9,152,004号、第9,201,279号、第9,223,164号、第9,285,648号、第9,310,661号、第9,419,024号、第9,454,057号、第9,529,240号、第9,620,066号、第9,632,373号、第9,632,389号、第9,666,142号、第9,671,635号、第9,715,155号、第9,777,201号、第9,778,500号、第9,841,653号、第9,897,891号、第9,910,337号、第9,921,422号、第9,964,831号、第10,036,930号、第10,037,735号、第10,048,563号、第10,048,564号、第10,190,743号、第10,324,577号、第10,365,533号、第10,372,008号、第10,429,715号、第10,446,585号、第10,466,564号、第10,466,565号、第10,495,940号、第10,495,941号、第10,503,041号、および第10,509,294号、および米国特許出願公開第2002/0060321号、第2004/0085619号、第2004/0105036号、第2005/0122306号、第2005/0122563号、第2006/0255322号、第2007/0052757号、第2009/0122389号、第2009/0315044号、第2010/0177396号、第2011/0140744号、第2011/0187683号、第2011/0292319号、第2014/0078024号、第2014/0192000号、第2014/0210701号、第2014/0368753号、第2015/0378235号、および第2016/0077375号、および国際出願公開第WO 00/38000号、欧州特許第1,099,207 B1号および第1,145,072 B1号参照);
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,545,797号、第6,664,944号、第6,788,452号、第6,864,875号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,038,656号、第7,038,670号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,385,751号、第7,492,505号、第7,667,684号、第7,684,108号、第7,791,789号、第7,800,813号、第7,821,702号、第7,839,564号、第7,910,175号、第7,952,790号、第7,956,841号、第7,982,941号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,159,636号、第8,213,076号、第8,363,299号、第8,422,116号、第8,441,714号、第8,441,716号、第8,466,852号、第8,503,063号、第8,576,470号、第8,576,475号、第8,593,721号、第8,605,354号、第8,649,084号、第8,670,174号、第8,704,756号、第8,717,664号、第8,786,935号、第8,797,634号、第8,810,899号、第8,830,559号、第8,873,129号、第8,902,153号、第8,902,491号、第8,917,439号、第8,964,282号、第9,013,783号、第9,116,412号、第9,146,439号、第9,164,207号、第9,170,467号、第9,170,468号、第9,182,646号、第9,195,111号、第9,199,441号、第9,268,191号、第9,285,649号、第9,293,511号、第9,341,916号、第9,360,733号、第9,361,836号、第9,383,623号、第9,423,666号、第9,436,056号、第9,459,510号、第9,513,527号、第9,541,814号、第9,552,780号、第9,640,119号、第9,646,547号、第9,671,668号、第9,697,778号、第9,726,959号、第9,740,076号、第9,759,981号、第9,761,181号、第9,778,538号、第9,779,670号、第9,779,671号、第9,812,073号、第9,829,764号、第9,921,451号、第9,922,603号、第9,989,829号、第10,032,419号、第10,036,929号、第10,036,931号、第10,332,435号、第10,339,876号、第10,353,266号、第10,366,647号、第10,372,010号、第10,380,931号、第10,380,955号、第10,431,168号、第10,444,592号、第10,467,984号、第10,475,399号、第10,509,293号、および第10,514,583号、および米国特許出願公開第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0225398号、第2010/0156780号、第2011/0043543号、第2012/0326957号、第2013/0242378号、第2013/0278995号、第2014/0055840号、第2014/0078576号、第2015/0103394号、第2015/0118390号、第2015/0124345号、第2015/0268531号、第2015/0301246号、第2016/0026062号、第2016/0048054号、および第2016/0116818号参照);
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照);
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照);
(j)ディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許第7,615,325号および米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)。
【0032】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が連続相と置換され得、したがって、いわゆるポリマー分散電気泳動ディスプレイを生産し、ポリマー分散電気泳動ディスプレイにおいて、電気泳動媒体が電気泳動流体の複数の別々の液滴とポリマー材料の連続相とを備えていること、および、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴に関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する(例えば、米国特許第6,866,760号参照)。
【0033】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「シャッタ」モードで動作するように作製され得、シャッタモードにおいて、1つのディスプレイ状態が、実質的に不透明であり、1つは、光透過性である(例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号参照)。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る(米国特許第4,418,346号参照)。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用され得、そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、視認表面からより遠くにある第2の層をさらすことまたは隠すことを行うために、シャッタモードで動作する。
【0034】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの一方は、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、両方の層が、電極層であり、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するためにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極に、他方は、行電極と直角に伸びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交点によって画定される。代替として、より一般的に、一方の電極層は、単一の連続式電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、ピクセル電極の各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印字ヘッド、または類似可動電極との使用が意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の反対側の層は、典型的に、可動電極が電気泳動層に損傷を及ぼすことを防止することが意図される保護層である。
【0035】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生産に非常に適した固体電気光学ディスプレイ(カプセル化電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明している。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学媒体の層、接着剤層、および剥離シートを順に備えている、いわゆる「フロントプレーン積層体」(「FPL」)を説明している。典型的に、光透過性導電性層は、光透過性基材上に支持され、好ましくは、基材が永久的な変形を伴わずに、(例えば)直径10インチ(254mm)のドラムの周囲に手で巻き付けられ得るという意味で柔軟である。この出願および本明細書において、「光透過性」という用語は、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基材(存在する場合)を通して視認され得るであろうことを意味するように使用され、電気光学媒体が、非可視波長における反射率における変化を表示する場合、「光透過性」という用語は、当然ながら、関連する非可視波長の透過を指すように解釈されるべきである。基板は、典型的に、ポリマーフィルムであり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、便利に、例えば、アルミニウムまたはITOの薄金属または金属酸化物層であり得るか、または、伝導性ポリマーであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I.du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として商業上利用可能であり、そのような商業上の材料は、フロントプレーン積層体における良好な結果とともに使用され得る。
【0036】
そのようなフロントプレーン積層体を使用した電気光学ディスプレイの組立は、剥離シートをフロントプレーン積層体から除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるために効果的な条件下で接着剤層をバックプレーンに接触させ、それによって、接着剤層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによって達成され得る。このプロセスは、フロントプレーン積層体が、典型的にはロール・ツー・ロールへのコーティング技術を使用して大量生産され、次いで、特定のバックプレーンとの使用に必要とされる任意のサイズの片に切断され得るので、大量生産に非常に適している。
【0037】
米国特許第7,839,564号は、いわゆる「反転フロントプレーン積層体」を説明しており、それは、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーン積層体の変形である。この反転フロントプレーン積層体は、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気光学媒体の層、および剥離シートを順に備えている。この反転フロントプレーン積層体は、電気光学層とフロント電極またはフロント基材との間にラミネート加工接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用され、第2の、典型的には薄接着剤の層が、電気光学層とバックプレーンとの間に存在することも、存在しないこともある。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能とを組み合わせることができる。
【0038】
フロントプレーン積層体および反転フロントプレーン積層体の両方における電極は、本発明による、開口を備えた誘電体層を具備し得る。
【0039】
付随の図面の
図1は、概して、100として指定される、本発明のマイクロセルディスプレイを通した概略断面図である。ガラスまたはポリマーから形成され得る第1の基板102が、その上に第1の電極層104を形成し、それは、複数のピクセル電極104Aに分割され、ピクセル電極の各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。基板102および第1の電極層104は、一緒に、ディスプレイ100のバックプレーンを形成する。ピクセル電極104Aは、行および列電極と、各個々のピクセル電極104Aに関連付けられたトランジスタとを具備するアクティブマトリクスバックプレーンの一部を形成し得るが、これらの従来の構成要素は、例証の容易性のために
図1から省略される。代替として、ディスプレイ100は、各個々のピクセル電極104Aが別個の電圧供給線(図示せず)を具備する直接駆動型のディスプレイであり得る。
【0040】
誘電体層106であって、誘電体層106は、それを通して延びている開口107を有する、誘電体層106は、第1の電極層104と接触している。
図1に示される開口107の数は、例証の容易性のために、実践において典型的に使用されるであろうものより少ない。さらに、
図1は、両方の電極層に関連付けられた誘電体層を示すが、本発明は、一方の電極層のみがそれに関連付けられた誘電体層を有するディスプレイに及ぶ。導電性接着剤層108が、誘電体層106の上を覆い、誘電体層106は、次に、シール層110によって上を覆われる。
【0041】
ディスプレイ100は、電気泳動媒体114をさらに備え、電気泳動媒体114は、ポリマー層116、分割壁112、および前述のシール層110によって画定されるマイクロセル内に閉じ込められる。シール層116は、開口119を具備する第2の誘電体層118と接触しており、第2の誘電体層118は、第2の基板上122に形成された透明な電極層120に接着される。再度、
図1に示される開口119の数は、例証の容易性のために、実践において典型的に使用されるであろうものより少ない。ポリマー層116は、電極層120に対するマイクロセル層の他の構成要素上の接着を支援するために、プライマ層を備え得る。
【0042】
図1に示されるマイクロセルディスプレイは、上で述べられる特許および出願において記述されるマイクロセルディスプレイを生産および充填するための従来技術プロセスの微小な修正を伴って生産されることができる。記述されたように、マイクロセルディスプレイは、最初に、第2の基板122上に電極120を形成することによって生産され得、実践では、ポリマーベースのフィルム上の透明な電極層を備えているフィルムは、容易に商業的に入手可能であり、そのようなフィルムは、電極120および基板122を形成するために容易に使用されることができる。電極層120を上向きにした状態で、エンボス加工可能なプレポリマーの層が、次いで、第2の電極120の上を覆ってコーティングされ、エンボス加工され、硬化させられ、ポリマー層116および分割壁112を形成する。結果として生じる開いたマイクロセルは、次いで、電気泳動媒体114で充填され、プレポリマーフィルムが、マイクロセルの上を覆ってコーティングされ、硬化させられ、シール層110を形成する。別個に、層102および104を備えているバックプレーンが、形成され、接着剤層208でコーティングされ、実践では、それは、通常、オフラインで達成され、接着剤層208は、剥離フィルム(図示せず)で覆われている。マイクロセルフィルムおよびバックプレーンフィルムは、次いで、典型的に、ロール・ツー・ロール積層プロセスにおいて、(必要な場合、バックプレーンフィルムからの剥離フィルムの除去後)一緒に積層され、
図1に示されるような最終的なディスプレイを形成する。
【0043】
本従来技術プロセスは、(a)接着剤層108が塗布される前、第1の電極層104の上を覆って誘電体層106をコーティングすることによって、および/または、(b)プレポリマーが塗布され、マイクロセルを形成する前、第2の電極層の上を覆って誘電体層118をコーティングすることによって、
図1に示される開口を備えた誘電体層106および118の一方または両方を組み込むように容易に修正されることができる。原則として、開口を備えた誘電体層は、
図1に示されるディスプレイ100の任意の2つの隣接する層間に組み込まれ得るが、実践では、
図1に示されるように、誘電体層が第1または第2の電極層104または120と接触していることが、好ましい。
【0044】
誘電体層104および120は、有機または無機材料、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ハフニウム等、およびペリレンまたは他のポリマー化合物等の有機材料から形成され得る。2つ以上の材料の組み合わせが、使用され得、誘電体層は、2つ以上のサブ層を備え得、種々のサブ層は、異なる材料から形成され得る。下記により詳細に議論されるように、誘電体層は、フォトレジストからも形成され得る。使用される材料は、イオンおよび電子に対して不透過性であるべきであり、(それが電気泳動ディスプレイを駆動するために使用される高電場にさらされ、典型的に、約106V/mであるので)高い絶縁耐力、好ましくは、少なくとも約107V/mを有するべきである。誘電体層に関する最適な厚さは、下記により詳細に議論されるように、その誘電定数に依存する。
【0045】
上で述べられたように、
図1に示されるもの等の電気泳動ディスプレイの中への誘電体層の組み込みは、2つの電極間に電気泳動流体と直列にコンデンサを導入し、2つの電極が、遷移後、同じ電位において保持されると、このコンデンサの放電は、電気泳動媒体を通して流動する十分な電流につながり、光学状態における好ましくないシフト、いわゆる、電気光学的キックバックを引き起こし得る。本発明による開口を備えた誘電体層を使用することは、事実上、(誘電体層の開口を備えない部分によって形成される)コンデンサと並列の抵抗器(開口によって形成される)を導入し、このRC配置は、電気泳動流体と直列である。誘電体層内の開口のサイズおよび数は、電気泳動媒体を通した電流の流動を制御し、したがって、誘電体層の静電容量に貯蔵される電荷の緩和率を制御する。本電気的緩和時間を制御するための能力は、電気光学的キックバックおよび残留電圧の蓄積を限定し、ディスプレイを伴う局所的な電場を制御することによって、電気泳動ディスプレイの性能を改良する。開口の面積が誘電体層の総面積に対して小さい場合、誘電体層を放電するためのRC時間は、イオンドープされた伝導性ポリマー接着剤(電気泳動ディスプレイ内で典型的に使用される)内に形成された界面二重層を放電するためのRC時間よりはるかに短くされ得る。
【0046】
電気泳動ディスプレイ技術の当業者は、電気泳動ディスプレイの電気的挙動が、電極間の種々の層および界面に対応する一連のフォークト(Voigt)要素(すなわち、貯蔵および損失成分の並列配置)としてモデル化され得ることを認識している。これらのモデルは、実際の電気泳動ディスプレイの電気的挙動の過度の単純化であるが、それらは、本発明において使用される開口を備えた誘電体層等、追加の層をディスプレイの中に導入することの効果を理解するための有用な基盤を提供する。
図2は、従来技術カプセル化電気泳動ディスプレイのそのようなモデルの回路図であり、電極に隣接するいずれの誘電体層も欠いている一方、
図3は、本発明のカプセル化電気泳動ディスプレイの回路図であり、一方の電極に隣接した開口を備えた誘電体層を有する。
【0047】
図2に示されるように、従来技術カプセル化電気泳動ディスプレイ(カプセル化が、
図1に示されるようなマイクロセルにおいて、別々のカプセルにおいて、またはポリマー分散電気泳動媒体としてであるかどうかは、この目的に関して無関係である)は、電気泳動媒体自体のための要素C1/R1と、電気泳動媒体自体と外相との間の界面を表す要素C2/R2と、外相を表す要素C3/R3と、外相と電極との間の界面を表す要素C4/R4とを備えているフォークト要素のスタックとしてモデル化される(用語「外相」は、電気泳動媒体自体以外のディスプレイを構成する全ての層を指すために、電気泳動ディスプレイに関するその従来の意味において使用される。したがって、
図1に示されるディスプレイでは、用語「外相」は、電気泳動媒体を包囲するポリマー層116、分割壁112、およびシール層110のみならず、接着剤層108も含む)。
【0048】
低誘電定数(約2)を伴う溶媒を備えている典型的な電気泳動媒体(「内相」)は、10~25μmの範囲内の厚さを有する層内にあるとき、0.02~5nF/cm
2の範囲内のバルク静電容量C1と、約1~10MΩ.cm
2の抵抗R1とを有する。電気泳動流体と外相との間の界面における静電容量C2は、推定することがより困難であるが、2つのコンデンサを直列に組み合わせることによって近似され、各々の誘電体厚は、各媒体(すなわち、内相および外相)のデバイ(Debye)長によって近似され得る。これは、約10~100nF/cm
2のC2に関する推定値を与える。境界を横断したイオンの通過に対応する界面の抵抗R2は、推定することが困難である。この抵抗が高すぎる場合、ディスプレイは、電気的(および恐らく、光学的)キックバックを示すであろう。典型的なディスプレイを駆動するときの電流測定値と最適に一致するR2の値は、外相の抵抗とほぼ同じであり、すなわち、1~10MΩ.cm
2の範囲内にある。外相のバルク静電容量C3は、それが、可動イオンを含む誘電定数約10のポリマー材料を含むと仮定すると、約0.1~10nF/cm
2であることが推定される。外相の抵抗R3は、1~10MΩ.cm
2の範囲内である。最終的に、電極境界における界面静電容量C4は、ドープされたポリマー外相におけるデバイ長から推定される。その伝導率は、内相のそれとほぼ同じであるが、ポリマーの粘度が電気泳動溶媒のそれより数桁高いので、電荷担体の移動度は、はるかにより低い。結果として、イオンの濃度は、内相におけるより外相においてはるかに高くなければならず、その結果、デバイ長は、はるかに短くなければならない。界面の静電容量は、2~20nF/cm
2の範囲内にある、すなわち、システム内の任意の他の静電容量よりはるかに大きいものとして推定される。本界面における電気化学反応は、
図2における「抵抗」経路R4を生産し得る可能性があるが、それは、単純な抵抗器ではないであろう。この経路は、上で説明されるように、それが電極の最終的な劣化につながり得るので、望ましくない。電気泳動ディスプレイ内の電気化学的電流を軽減する方法は、例えば、国際特許出願第WO 2014/110394 A1号において詳細に議論されている。
【0049】
画像を生産するために要求される時間は、コンデンサC2を充電するためのRC時定数に関連し、それは、典型的に、1秒未満である。しかしながら、電極界面において静電容量C4を充電するためのRC時定数は、はるかにより長く、典型的に、約100秒であり、したがって、C4は、C2が完全に充電される時間において、部分的にのみ充電されるであろう。C4を横断した電圧は、ディスプレイ内に貯蔵される「残留電圧」の近似値である。DC平衡波形では、この残留電圧は、大抵の場合、放電されるが、非DC平衡波形では、それは、持続するであろう。C4を充電および放電するためのRC時間が非常に長いので、同じ電位に両方の電極を設置することによってこの静電容量を完全に放電することは、実践的ではない。さらに悪いことに、
図2においてR4として示される電気化学反応によるC4の放電の可能性が存在する場合、更新後の残留電圧によって引き起こされる非駆動ディスプレイ内の電極のゆっくりとした電気化学的劣化も存在し得る。
【0050】
1つの電極に隣接する開口を備えた誘電体層を有する本発明の電気泳動ディスプレイに関する
図3における回路図は、
図2に示されるそれらと同じフォークト要素C1/R1、C2/R2、およびC3/R3を有する。しかしながら、開口によって占有される誘電体層の面積の割合が、aである場合、外相/電極界面は、(a)開口自体を表す、フォークト要素C4.a/R5(開口内に、R5によって表される電気化学的電流の可能性が存在する)と、(b)(誘電体層自体の静電容量を表す)コンデンサC5.(1-a)と直列にある(界面の開口を備えない部分を表す)コンデンサC4.(1-a)との組み合わせとして、並列にモデル化される必要があり、明白なこととして、この領域内の電気化学的電流の可能性はなく、したがって、抵抗要素は、必要とされない。
【0051】
R5を決定するために、
図4において示されるように、伝導層と接触している単一の開口を伴う穿孔された誘電体材料のシートの抵抗を考慮することが必要とされる。この抵抗Rは、開口を通した伝導層の電流の磁束を計算することによって(すなわち、
図4に図示される幾何学形状に関するラプラスの方程式を解くことによって)推定されることができる。開口の半径が電極間の距離よりはるかに小さい場合に関して、それは、
l=2πr
aσ(V
TP-V
P)
であることが示され得、式中、lは、有効コンプライアンスであり、r
aは、開口の半径であり、V
TPおよびV
Pは、それぞれ、トッププレーン(前面)およびピクセル電極の電位である。
【0052】
したがって、抵抗は、開口の半径に、および重なっている層の伝導率に反比例する。複数のn個の類似する開口に関して、開口を備えた誘電体層と重ねられている伝導性材料との組み合わせの抵抗は、各個々の開口に関連付けられた抵抗の調和合計(harmonic sum)である。開口の半径および密度を変動させることは、したがって、誘電体層によって形成されたコンデンサの電気的緩和のために、RC時定数を調節するために使用されることができる。この静電容量は、誘電体層の誘電定数に依存し、その厚さに反比例する。
【0053】
開口密度が誘電体層の全エリアにわたって一定であることも、全ての開口の寸法が同じであることも、必要とされない。したがって、特定のエリア内の開口パターンの好適な選定によって、誘電体層の局所的電気的緩和時間を制御することが可能である。より低い開口密度を伴う領域では、この緩和時間は、より長いであろう。
図5は、ピクセル配置の上平面図であり、重なっている開口を備えた誘電体層は、変動する開口密度を有する。各ピクセルに関連付けられた誘電体層は、中心領域と周辺領域とを有し、単位面積あたりの開口の数は、周辺領域におけるより中心領域においてより大きい。周辺領域内のより低い開口密度によって提供されるより長い緩和時間は、フリンジ場のより良好な制御、したがって、ディスプレイ内の減らされたエッジアーチファクトを可能にし得る。
【0054】
すでに述べられているように、誘電体層によって提供されるコンデンサ上に貯蔵される電荷の緩和を可能にすることによって、本発明は、電気泳動ディスプレイ内の光学的キックバックを軽減することができる。
図6は、種々の厚さの開口を備えない誘電体層を有するフルカラー電気泳動ディスプレイの(dE
*単位における)光学的キックバックを示す。
図7は、同じ電気泳動媒体を伴うが、誘電体層を欠いている、同じ電気泳動ディスプレイの光学的キックバックを示し、外部並列コンデンサ/抵抗器が、開口を備えた誘電体層の効果を模倣するために、ディスプレイと直列にあり、コンデンサは、静電容量300nF/cm
2の誘電体層に対応するように選定される。抵抗器が、約360kΩ未満であり、約7MΩ.cm
2に対応するとき、光学的キックバック(灰色線)は、外部コンデンサ(青色線)も外部抵抗器(橙色線)も伴わない値の中間であるように軽減されることができる。
【0055】
図1に示されるように、電極から誘電体層の反対側に存在する伝導性材料は、接着剤層であり得、接着剤層は、その伝導率を向上させるために、イオン材料でドープされ得る。開口を備えた誘電体層に隣接した伝導性材料の2つ以上の層を提供することが、望ましく、伝導性材料の層の各々は、異なる伝導率を有し得る。誘電体層と接触している(これは、したがって、誘電体層内の開口を充填する)層の伝導率は、この層と誘電体層との組み合わせが、所望の電気的性質を達成するように調節され得るのに対し、誘電体層から間隔を置かれた他の層は、他の特性、例えば、接着性またはコンプライアンスに関して最適化され得る。
【0056】
上記の
図4の議論から明白であろうように、本発明のディスプレイでは、電気化学的電流が、誘電体内の開口を通して流動し、下層の電極材料を酸化的または還元的損傷から保護することが、必要であり得る。例えば、開口の領域内では、電極材料(典型的に、金属)は、従来の場合にあろうものより厚くされ得る。代替として、誘電体層と接触している伝導層は、当技術分野において公知であるように、電子ドナーまたは電子受容体を含み得る。
【0057】
開口を備えた誘電体層は、使用される誘電体材料に依存して、任意の便利なプロセスによって形成され得る。例えば、誘電体層が無機である場合、開口は、レーザアブレーションによって形成され得る。しかしながら、実践において要求される開口の大きい数および小さいサイズを前提として、(例えば、
図5は、ピクセルあたり44個の開口、または800×600ディスプレイ上に2,000万個を上回る開口を有する誘電体層を示し、開口は、典型的に、直径が1~5μmである)、フォトリソグラフィによる開口の形成が、多くの場合、最も便利な方法である。開口を備えた誘電体層を支えるべき電極は、フォトレジストでコーティングされ、それは、次いで、放射線に像様(imagewise)暴露され、洗浄され、開口を形成する。電気泳動媒体および接着剤等の任意の介在層が、次いで、暴露されたフォトレジストに隣接して配置される。開口を備えた誘電体層の形成のためのそのようなフォトレジストベースのプロセスは、電気泳動ディスプレイの大量生産のために十分に適合される。開口を備えた誘電体層での使用のために、適切な誘電体特性を有するフォトレジストは、商業的に入手可能であり、例えば、ケイ皮酸分類のフォトレジストである。米国特許第7,981,989号は、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)および塩化シンナモイルのポリマー付加物を説明しており、コンデンサの構成では、2MV/cmの場の下で2×10
-9A/cm
2および4MV/cmの場の下で1×10
-8A/cm
2の漏電電流密度と、460nm厚の層内で6.0nF/cm
2の静電容量と、200ボルトを上回る破壊電圧とを有する。類似する光パターン化可能有機誘電体材料が、米国特許第8,338,555号、第8,937,301号、第9,082,981号、第9,341,948号、第9,704,997号、第9,923,158号、第10,147,895号、および第10,551、745号に説明されている。様々な利用可能な光パターン化可能ポリマー誘電体材料は、誘電体特性の精密な調整を可能にし、誘電体層の性能を最適化する。これらの誘電体材料は、溶液処理可能であり、これらのタイプの材料の商業化は、既存のTFT製造ラインと互換性がある溶媒およびプロセスを使用する、有機薄膜トランジスタデバイスの生産に関して、すでに実証されている。
【0058】
上述から、本発明が、制御された電流と、減らされた電気光学的キックバックとを有する電気泳動ディスプレイを提供することができ、それによって、そのようなディスプレイが、ディスプレイに対する損傷を伴わずに、DC非平衡波形を用いて駆動されることを可能にすることが分かるであろう。
【国際調査報告】