(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】GABAAガンマ1 PAMとしての新規シクロペンタ-チエノ-ジアゼピン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 495/14 20060101AFI20240719BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240719BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240719BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240719BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20240719BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07D495/14 CSP
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/18
A61P21/00
A61P25/02
A61P43/00 111
A61P25/22
A61P25/20
A61P25/24
A61P3/02
A61P15/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/04
A61P29/02
A61P25/08
A61K31/551
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506512
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022071608
(87)【国際公開番号】W WO2023012130
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チェチェーレ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッビ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス,マリア-クレメンシア
(72)【発明者】
【氏名】コブレット,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】オリバーレス・モラレス,アンドレス・ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ランツ-シュミット,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】ゾーン,ニコラ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB30
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA22
4C086ZA81
4C086ZA94
4C086ZC21
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)を有する新規の複素環式化合物、及びその薬学的に許容される塩を提供し、式中、変数はここに記載されるとおりである(式(I))。
本化合物を含む医薬組成物、本化合物を製造する方法、及び医薬として化合物を使用する方法、特に、急性神経障害、慢性神経障害、及び/又は認知障害の治療又は防止のための化合物の使用方法がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化44】
又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
【化45】
は、
【化46】
から選択され;
R
1は、水素、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルコキシ-C
1-C
6アルキル、ヒドロキシ-C
1-C
6アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、アミノ-C
1-6アルキル、5~14員ヘテロアリール、3~14員ヘテロシクロアルキル、(3~14員ヘテロシクロアルキル)-C(O)-、及び-C(O)NR
5R
6から選択され;ここで、前記C
3-C
10シクロアルキル、前記5~14員ヘテロアリール及び前記3~14員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ハロ-C
1-C
6アルキル、及びハロ-C
1-C
6アルコキシから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;
R
2は、水素、C
1-C
6アルキル、及びC
1-C
6アルコキシから選択され;
R
3は、クロロ及びフルオロから選択され;
R
4は、C
1-C
6アルキル、ハロ-C
1-C
2アルキル、及びシアノから選択され;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、C
1-C
6アルキル、及びヒドロキシ-C
1-C
6アルキルから選択される、
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
【化47】
が
【化48】
である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
1が、C
1-C
6アルキル、ヒドロキシ-C
1-C
6アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、(3~14員ヘテロシクロアルキル)-C(O)-、及び-C(O)NR
5R
6から選択され;ここで、前記3~14員ヘテロシクロアルキルが2個のオキソ置換基で置換されており;
R
5がヒドロキシ-C
1-C
6アルキルであり;
R
6が水素である、
請求項1又は2に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
1がC
1-C
6アルキルである、請求項3に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
1がメチルである、請求項4に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
2が、水素及びC
1-C
6アルキルから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
2がC
1-C
6アルキルである、請求項6に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
2がメチルである、請求項7に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
4がハロ-C
1-C
6アルキルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
4がCHF
2である、請求項9に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
1が、C
1-C
6アルキル、ヒドロキシ-C
1-C
6アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、(3~14員ヘテロシクロアルキル)-C(O)-、及び-C(O)NR
5R
6から選択され;ここで、前記3~14員ヘテロシクロアルキルが2個のオキソ置換基で置換されており;
R
2が、水素及びC
1-C
6アルキルから選択され;
R
5が、ヒドロキシ-C
1-C
6アルキルであり;
R
6が水素である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
【化49】
が
【化50】
であり;
R
1及びR
2がどちらもC
1-C
6アルキルであり;
R
4がハロ-C
1-C
6アルキルである、
請求項11に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
R
1及びR
2がどちらもメチルであり;
R
4がCHF
2である、
請求項12に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
前記式(I)の化合物が、
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル;
(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル;
(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-13-(トリフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(4S,8R)-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-8,9-ジヒドロ-4H,7H-シクロペンタ[4,5]チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン;
(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,13-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7,13-トリメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボキサミド;
[(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-イル]-(1,1-ジオキソ-1,4-チアジナン-4-イル)メタノン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
[(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール;及び
[(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール
から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
前記式(I)の化合物が、
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;及び
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
から選択される、請求項14に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
治療活性物質としての使用のための、請求項1から15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩と、治療不活性担体とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
対象における急性神経障害、慢性神経障害、及び/又は認知障害を治療又は防止するための方法であって、請求項1から15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項17に記載の医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法における、請求項1から15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項17に記載の医薬組成物の使用。
【請求項20】
請求項18に記載の方法における使用のための、請求項1から15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項21】
急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害の治療又は防止のための医薬の製造のための、請求項1から15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項22】
前記急性神経障害、慢性神経障害、及び/又は認知障害が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢関連認知低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性症状及び/又は認知症状、遅発性ジスキネジア、不安、社交不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、秩序破壊的・衝動制御及び行為障害、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性状態における行動及び心理的症状(BPS)、多発性梗塞認知症、激越、精神病、物質誘発性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、うつ病、慢性無関心、無快感症、慢性疲労、季節性情動障害、産後うつ病、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかん、並びに疼痛から選択される、請求項18に記載の方法、請求項19及び21に記載の使用、並びに請求項20に記載の使用のための化合物、その薬学的に許容される塩、又は医薬組成物。
【請求項23】
上に記載されるとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療又は予防に有用な有機化合物、特に、GABAAγ1受容体陽性アロステリック調節因子(PAM)としての活性を示し、したがって、GABAAγ1受容体に関連する疾患又は状態の治療又は予防に有用な新規なシクロペンタ-チエノ-ジアゼピン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
主要な抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の受容体は、主に2つのクラス:(1)リガンド結合型イオンチャネルスーパーファミリーのメンバーであるGABAA受容体と、(2)Gタンパク質結合型受容体ファミリーのメンバーであるGABAB受容体とに分かれている。膜結合型ヘテロペンタメリックタンパク質ポリマーであるGABAA受容体複合体は、主にα、β、γのサブユニットから構成されている。GABAA受容体は、リガンド結合した塩化物チャネルであり、ヒトの脳における抑制性神経伝達の主要な伝達物質である。
【0003】
GABAA受容体のサブユニットをコードする遺伝子は19個あり、最も一般的な化学量論では、2個のα、2個のβ、及び1個のγサブユニットがペンタマーとして集合している。GABAAサブユニットの組み合わせは、機能的、回路的、行動的特異性をもたらす。γ1サブユニット(GABAAγ1)を含有するGABAA受容体は、辺縁系におけるその豊富な発現と独特の生理学的及び薬理学的特性とにより、特に注目されている。GABAAγ1サブユニット含有受容体は、あまり豊富ではないが(脳におけるGABAA受容体の全発現の約5~10%)、γ2サブユニット含有受容体は、扁桃体延長部(分界条の中心核、内側核、及び床核)、外側中隔、視床下部及び淡蒼球/黒質等の重要な脳領域における豊富な脳mRNA及びタンパク質分布を示す。これらの構造は、動機付けされた社会的及び情動的行動を調節する皮質下辺縁回路の相互接続されたコアを形成する。異常又は疾患状態では、この回路の過剰な漸増により、不安、覚醒、攻撃性、恐怖、及び防衛が促進される一方で、採食及び社会的相互作用が阻害される。
【0004】
社会的及び感情的に関連する刺激を処理するための重要な領域である辺縁皮質領域(扁桃体延長部/視床下部領域と協調した機能的ネットワークを形成することが知られている)における活動亢進は、様々な精神障害、神経障害、神経発達障害、神経変性障害、気分障害、動機付け障害及び代謝障害の共通の特徴である。そのような疾患状態では、γ1サブユニット含有GABAA受容体の特徴的な解剖学的分布を考えると、GABAAγ1陽性アロステリック調節因子(PAM)は、対症剤又は疾患修飾剤として有効な治療であり得る。
【0005】
複数のエビデンスから、脳内の主要な抑制性神経伝達物質系であるGABA作用性シグナル伝達物質系の機能不全から生じる興奮性/抑制性(E/I)神経伝達の不均衡が、さまざまなCNS障害の病因の中核にあることが示唆されている。CNSにおけるGABAAγ1サブユニット含有受容体の分布及び機能を考慮すると、それらは重要な脳回路内の抑制レベルを回復し、その結果、これらの状態でのE/Iバランスを回復するための非常に魅力的な標的である。
【0006】
本発明の観点から特に関心のあるCNS障害は、不安及び過敏性、社会不安障害(社会恐怖症)、並びに全般性不安障害などの中核症状及び関連併存症を含む自閉症スペクトラム障害(ASD)である。ASDは、社会的相互作用及びコミュニケーションにおける障害と、反復的若しくは制限的な行動、興味、又は活動の存在という2つの中核ドメインにおける障害を特徴とする、複雑で異質な神経発達障害である(アメリカ精神医学会2013)。
【0007】
社会的欠損の中核症状及びASDの制限された/反復的な行動について承認された薬理学的治療は存在しないが、ASDの情動的及び生理学的な併存症の大部分については不十分な治療選択肢しか利用できない。結果として、この障害は依然として満たされていない医学的必要性の高い領域である。現在承認されているASDの関連症状に対する治療は、ASD症状に伴う過敏性の治療に適応のある抗精神病薬(リスペリドン、アリピプラゾール)に限られている。新たに出てきたエビデンスは、脳内の主要な抑制性神経伝達物質系であるGABA作用系がASDの病態生理に重要な役割を果たしていることを示唆している。
【0008】
陽電子放射断層撮影法(PET)と磁気共鳴分光法(MRS)を用いた遺伝学的研究と画像学的研究の両方とも、ASDにおけるGABA作用性シグナル伝達の変化を示唆している。GABAAγ1をコードする遺伝子であるGABRG1は、4番染色体(マウスChr.5)に位置し、α2、α4及びβ1GABAA受容体サブユニットをコードする遺伝子とクラスターを形成している。GABRG1を破壊する染色体4p12の逆位を含む稀なCNVが自閉症の兄弟姉妹(Horike et al.,2006)において、また同様に、ADHDの1つの症例のGABRG1喪失において認められている。4p12遺伝子クラスターにおける突然変異は、不安症、物質乱用及び摂食障害のリスク増加に関連しており、GABRG1/4p12と情動機能障害との間の関連性を提供する。MRS研究では、ASDのGABAレベルの変化が発見され、特に最近の研究では、ASDなどを有する子供のGABAの減少及び体性感覚機能の変化が示されている。これらの観察と一致して、ASD及びTS患者の死後組織から抑制性介在ニューロンの数の減少が発見された。さらに、GABA合成酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)65及び67の減少が、自閉症を有する患者の頭頂皮質及び小脳皮質において発見された。ヒトにおける強力なエビデンスは、GABAAγ1サブユニット含有扁桃体延長部/視床下部領域と協調した機能的ネットワークを形成することが知られている辺縁皮質領域のASDにおける特異的機能不全を指摘している。これらの領域:皮質/外側扁桃体、島、PFC、及び帯状は、社会的及び感情的に関連する刺激を処理するための鍵であると認識されている。行動転帰を調整するこれらの領域との特定のパートナーシップを形成する皮質下核は、空間分解能の限界のために研究が困難であることが多いが、多くのエビデンスは、ASDにおけるこれらの皮質から皮質下への接続の過剰動員を指摘している。さらに、最近の高解像度研究は、拡大した扁桃体活動/機能的結合と情動状態との間に明確な関連性を提供している。新皮質と比較して実質的な分子及び細胞の多様性を示すそのような非常に特異的な辺縁皮質下領域を標的とすることは、全体的な脳状態の広範な調節を回避しながら、ASDの影響を受ける社会的感情回路の安全かつ特異的な治療的調節のための正確なエントリポイントを作り出すことになる。非選択的BZDによるGABAA受容体活性の増強は、ASDのマウスモデルにおいて行動障害を改善することが示されてきたが、GABAAα1γ2サブタイプを媒介とした鎮静により、治療効果の限界は非常に狭いことが観察されたこれらの知見は、GABAAγ1受容体を介したGABA作用性伝達のリバランスが、非選択的ベンゾジアゼピン系薬剤の副作用なしにASDの症状を改善するという考えを支持している。
【0009】
本発明の化合物は、所与の濃度(例えばEC20)のガンマアミノ酪酸(GABA)でGABA作用性電流(塩化物の流入)を増加させることによってγ1含有GABAA受容体の機能を選択的に増強する選択的GABAAγ1受容体陽性アロステリック調節因子(PAM)である。本発明の化合物は、γ2含有サブタイプ(例えば、α1γ2、α2γ2、α3γ2及びα5γ2)と比べてγ1含有サブタイプ(α5γ1、α2γ1、α1γ1)に対して高いPAM効力及び結合選択性を有する。したがって、本発明の化合物は、γ2含有GABAAサブタイプに対して選択的であるとともにγ1含有サブタイプに対して低い親和性を有するアルプラゾラム、トリアゾラム、エスタゾラム、及びミダゾラム等の古典的なベンゾジアゼピン薬物から強く区別される。γ1サブタイプの脳分布に適合して、選択的GABAAγ1 PAMは、非選択的GABAA調節因子(例えば、ベンゾジアゼピン)の副作用なしに、重要な脳領域(例えば、扁桃体延長部:分界条、外側中隔、視床下部及び淡蒼球/黒質の中心核、内側核及び床核)においてGABA作用性シグナル伝達を回復させることになる。
【0010】
上記のことから、本明細書に記載される選択的GABAAγ1 PAM並びにそれらの薬学的に許容される塩及びエステルは、単独で又は他の薬物と組み合わせて、急性神経障害、慢性神経障害、及び/又は認知障害(自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢関連認知低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性症状及び/又は認知症状、遅発性ジスキネジア、不安、社交不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、秩序破壊的・衝動制御及び行為障害、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性状態における行動及び心理的症状(BPS)、多発性梗塞認知症、激越、精神病、物質誘発性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、うつ病、慢性無関心、無快感症、慢性疲労、季節性情動障害、産後うつ病、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかん及び疼痛を含む)の治療又は予防のための疾患修飾剤又は対症剤として有用である。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、変数は本明細書に記載されるとおりである。
【0012】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、本明細書に記載のスキーム1から8のいずれか1つに記載の方法である方法を提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法に従って製造される場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、治療不活性担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を治療又は予防するための方法における使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本発明の特定の態様、実施態様又は実施例に関連して記載される特徴、整数、特色、化合物、化学的部分又は基は、それらと両立しない場合を除き、本明細書に記載の任意の他の態様、実施態様又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示された特徴の全て、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴及び/又は工程の少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本発明は、前述のいずれの実施態様の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0018】
「アルキル」という用語は、1から6個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子の、一価又は多価の、例えば、一価又は二価の、直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を指す(「C1-C6アルキル」)。いくつかの実施態様では、アルキル基は、1から3個の炭素原子、例えば、1、2又は3個の炭素原子を含む。アルキルのいくつかの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び2,2-ジメチルプロピルが挙げられる。アルキルの特に好ましいが非限定的な例としては、メチル及びエチルが挙げられる。
【0019】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアルキル基を指す。別途明記されない限り、アルコキシ基は、1から6個の炭素原子を含む(「C1-C6アルコキシ」)。いくつかの好ましい実施態様において、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含む。さらに他の実施態様では、アルコキシ基は、1から3個の炭素原子を含む。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。アルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、メトキシである。
【0020】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、又はヨード(I)を指す。好ましくは、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)又はブロモ(Br)を指す。「ハロゲン」又は「ハロ」の特に好ましいが非限定的な例は、フルオロ(F)及びクロロ(Cl)である。
【0021】
本明細書で使用される場合の「シクロアルキル」という用語は、3から10個の環炭素原子の、飽和単環式又は二環式の炭化水素基を指す(「C3-C10シクロアルキル」)。いくつかの好ましい実施態様では、シクロアルキル基は、3から8個の環炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。「二環式シクロアルキル」とは、共通した2個の炭素原子を有する2つの飽和炭素環からなるシクロアルキル部分(すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1個若しくは2個の環原子の鎖であるかのいずれかである)と、スピロ環部分(すなわち、2つの環が1個の共通の環原子を介して結合されている)とを指す。好ましくは、シクロアルキル基は、3から6個の環炭素原子、例えば、3、4、5又は6個の炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。シクロアルキルのいくつかの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びスピロ[2.3]ヘキサン-5-イルが挙げられる。
【0022】
「アミノアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がアミノ基で置き換えられているアルキル基を指す。好ましくは、「アミノアルキル」は、アルキル基の1、2又は3個の水素原子がアミノ基によって置き換えられているアルキル基を指す。アミノアルキルの好ましいが非限定的な例は、アミノメチル及び1-アミノエチルである。
【0023】
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロアルキル」という用語は、3から14個の環原子、好ましくは3から10個の環原子、より好ましくは3から8個の環原子の飽和単環式又は二環式、好ましくは単環式環系を指し、前記環原子の1、2、又は3個はN、O及びSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは、前記環原子の1から2個はN及びOから選択され、残りの環原子は炭素である。「二環式ヘテロシクリル」とは、共通した2個の環原子を有する2つの環からなるヘテロシクリル部分(すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、又は1個若しくは2個の環原子の鎖であるかのいずれかである)と、スピロ環部分(すなわち、2つの環が1個の共通の環原子を介して結合されている)とを指す。ヘテロシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、アゼチジン-3-イル;アゼチジン-2-イル;オキセタン-3-イル;オキセタン-2-イル;ピペリジル;ピペラジニル;ピロリジニル;2-オキソピロリジン-1-イル;2-オキソピロリジン-3-イル;5-オキソピロリジン-2-イル;5-オキソピロリジン-3-イル;2-オキソ-1-ピペリジル;2-オキソ-3-ピペリジル;2-オキソ-4-ピペリジル;6-オキソ-2-ピペリジル;6-オキソ-3-ピペリジル;1-ピペリジニル;2-ピペリジニル;3-ピペリジニル;4-ピペリジニル;モルホリノ(例えば、モルホリン-2-イル又はモルホリン-3-イル);チオモルホリノ;ピロリジニル(例えば、ピロリジン-3-イル);3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イル;2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル;2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル;2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル;及び2,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピロル-5-イルが挙げられる。ヘテロシクリルの好ましいが非限定的な例は、チオモルホリノである。
【0024】
「ヘテロアリール」という用語は、合計5から14環員、好ましくは、5から12環員、より好ましくは5から10環員を有する、一価又は多価の、単環式又は二環式、好ましくは二環式の環系を指し、ここで、系の少なくとも1つの環は芳香族であり、系の少なくとも1つの環は1つ又は複数のヘテロ原子を含む。好ましくは、「ヘテロアリール」とは、独立してO、S及びNから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む5~10員のヘテロアリールを指す。最も好ましくは、「ヘテロアリール」は、独立してO及びNから選択される1から2個のヘテロ原子を含む5~10員のヘテロアリールを指す。ヘテロアリールのいくつかの非限定的な例には、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-5-イル、ピリミジン-6-イル、インドール-1-イル、1H-インドール-2-イル、1H-インドール-3-イル、1H-インドール-4-イル、1H-インドール-5-イル、1H-インドール-6-イル、1H-インドール-7-イル、1,2-ベンズオキサゾール-3-イル、1,2-ベンズオキサゾール-4-イル、1,2-ベンズオキサゾール-5-イル、1,2-ベンズオキサゾール-6-イル、1,2-ベンズオキサゾール-7-イル、1H-インダゾール-3-イル、1H-インダゾール-4-イル、1H-インダゾール-5-イル、1H-インダゾール-6-イル、1H-インダゾール-7-イル、ピラゾール-1-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、1H-ピラゾール-5-イル、ピラジン-3-イル、ピラジン-4-イル、イミダゾール-1-イル、1H-イミダゾール-2-イル、1H-イミダゾール-4-イル、1H-イミダゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、チアゾール-4-イル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1H-トリアゾール-5-イル、1H-トリアゾール-4-イル、及びトリアゾール-1-イルが含まれる。最も好ましくは、「ヘテロアリール」はピラジニルを指す。
【0025】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0026】
「オキソ」という用語は、二重結合(=O)を介して親部分に結合している酸素原子を指す。
【0027】
「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0028】
「シアノ」という用語は、-CN(ニトリル)基を指す。
【0029】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ハロアルキル」とは、アルキル基の1、2又は3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。ハロアルキルの非限定的な例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、2-フルオロエチル及び2,2-ジフルオロエチルである。ハロアルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメチルである。
【0030】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がアルコキシ基で置き換えられているアルキル基を指す。好ましくは、「アルコキシアルキル」は、アルキル基の1、2又は3個の水素原子がアルコキシ基によって置き換えられている、アルキル基を指す。最も好ましくは、「アルコキシアルキル」は、アルキル基の1個の水素原子がアルコキシ基で置き換えられている、アルキル基を指す。アルコキシアルキルの好ましいが非限定的な例は、2-メトキシエチルである。
【0031】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基の水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子、好ましくはフルオロで置き換えられているアルコキシ基を指す。好ましくは、「ハロアルコキシ」とは、アルコキシ基の1、2又は3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルコキシ基を指す。ハロアルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、フルオロメトキシ(FCH2O-)、ジフルオロメトキシ(F2CHO-)、及びトリフルオロメトキシ(F3CO-)である。
【0032】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ヒドロキシ基によって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基の1、2又は3個の水素原子、最も好ましくは1個の水素原子がヒドロキシ基によって置き換えられている、アルキル基を指す。ヒドロキシアルキルの好ましいが非限定的な例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(例えば2-ヒドロキシエチル)、及び3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチルである。
【0033】
「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的に又は別様に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、特に塩酸、及びギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等の有機酸と共に形成される。さらに、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等を含むが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、乳酸塩(特にL-(+)-乳酸から誘導される)、酒石酸塩(特にL-(+)-酒石酸から誘導される)及びトリフルオロ酢酸塩である。
【0034】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体等のエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体又はジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在することができる。
【0035】
Cahn-Ingold-Prelog則により、不斉炭素原子は、「R」又は「S」配置のものであり得る。
【0036】
「治療」という用語は、本明細書で使用される場合、以下を含む:(1)状態、障害又は症状を抑制すること(例えば、少なくとも1つのその臨床的症候又は無症候の疾患の発症、又は維持療法の場合の再発を停止、低減又は遅延させること);及び/又は(2)症状を緩和すること(すなわち、状態、障害若しくは症状、又はその臨床的症候若しくは無症候のうちの少なくとも1つの退行を引き起こすこと)。治療される患者に対する利益は、統計的に有意であるか、又は少なくとも患者若しくは医師にとって認識可能であるかのいずれかである。しかしながら、疾患を治療するために患者に医薬が投与される場合、転帰は必ずしも有効な治療でなくともよいことが理解されるであろう。
【0037】
本明細書で使用される場合の「予防」又は「防止」という用語は、対象において、特に、状態、障害若しくは症状に罹患しているか又は罹患しやすいが、その状態、障害若しくは症状の臨床的症候又は無症候をまだ経験していないか又は示していないヒトにおいて発症する状態、障害又は症状の臨床的症候の出現を防止又は遅延させることを含む。
【0038】
本明細書で使用される場合の「対象」という用語には、ヒト及び非ヒトの両方が含まれ、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ、及びブタが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施態様では、「対象」という用語は、ヒトを指す。
【0039】
「保護基」(PG)という用語は、多官能性化合物の反応性部位を選択的に遮断し、他の保護されていない反応性部位で選択的に化学反応を行うことができるようにする基を意味し、合成化学では従来の意味で用いられている。保護基は、適切なポイントで除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基、又はヒドロキシ保護基である。具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基及びベンジル(Bn)基である。さらに具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基である。より具体的な保護基は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基である。
【0040】
略語のuMはマイクロモルを意味し、記号μMに相当する。
【0041】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLに相当する。
【0042】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号のμgに相当する。
【0043】
本発明の化合物
第1の態様では、本発明は、式(I)
【化2】
又はその薬学的に許容される塩であり、
式中、
【化3】
【化4】
から選択され;
R
1は、水素、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルコキシ-C
1-C
6アルキル、ヒドロキシ-C
1-C
6アルキル、C
3-C
10シクロアルキル、アミノ-C
1-6アルキル、5~14員ヘテロアリール、3~14員ヘテロシクロアルキル、(3~14員ヘテロシクロアルキル)-C(O)-、及び-C(O)NR
5R
6から選択され;ここで、前記C
3-C
10シクロアルキル、前記5~14員ヘテロアリール及び前記3~14員ヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、ハロ-C
1-C
6アルキル、及びハロ-C
1-C
6アルコキシから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;
R
2は、水素、C
1-C
6アルキル、及びC
1-C
6アルコキシから選択され;
R
3は、クロロ及びフルオロから選択され;
R
4は、C
1-C
6アルキル、ハロ-C
1-C
2アルキル、及びシアノから選択され;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、C
1-C
6アルキル、及びヒドロキシ-C
1-C
6アルキルから選択される。
【0044】
好ましい実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
【化5】
は
【化6】
である。
【0045】
一実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R1は、C1-C6アルキル、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C3-C10シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、3~14員ヘテロシクロアルキル、及び-C(O)NR5R6から選択され;ここで、前記3~14員ヘテロシクロアルキルは2個のオキソ置換基で置換されており;
R5はヒドロキシ-C1-C6アルキルであり;
R6は水素である。
【0046】
一実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R1は、C1-C6アルキル、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C3-C10シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、(3~14員ヘテロシクロアルキル)-C(O)-、及び-C(O)NR5R6から選択され;ここで、前記3~14員ヘテロシクロアルキルは2個のオキソ置換基で置換されており;
R5はヒドロキシ-C1-C6アルキルであり;
R6は水素である。
【0047】
好ましい実施態様では、本発明は、R1がハロ-C1-C6アルキルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0048】
特に好ましい実施態様では、本発明は、R1はメチルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0049】
一実施態様では、本発明は、R2が水素及びC1-C6アルキルから選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0050】
好ましい実施態様では、本発明は、R2がハロ-C1-C6アルキルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0051】
特に好ましい実施態様では、本発明は、R2はメチルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0052】
好ましい実施態様では、本発明は、R4がハロ-C1-C6アルキルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0053】
特に好ましい実施態様では、本発明は、R4がCHF2である、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
一実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
R1は、C1-C6アルキル、ヒドロキシ-C1-C6アルキル、C3-C10シクロアルキル、5~14員ヘテロアリール、(3~14員ヘテロシクロアルキル)-C(O)-、及び-C(O)NR5R6から選択され;ここで、前記3~14員ヘテロシクロアルキルが2個のオキソ置換基で置換されており;
R2は水素及びC1-C6アルキルから選択され;
R5はヒドロキシ-C1-C6アルキルであり;
R6は水素である。
【0055】
好ましい実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
【化7】
は
【化8】
であり;
R
1及びR
2はどちらもC
1-C
6アルキルであり;
R
4はハロ-C
1-C
6アルキルである。
【0056】
特に好ましい実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
【化9】
は
【化10】
であり;
R
1及びR
2はどちらもメチルであり;
R
4はCHF
2である。
【0057】
一実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式(I)の前記化合物は、以下から選択される:
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル;
(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル;
(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-13-(トリフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(4S,8R)-6-(2,6-ジフルオロフェニル)-1,4-ジメチル-8-(トリフルオロメチル)-8,9-ジヒドロ-4H,7H-シクロペンタ[4,5]チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン;
(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,13-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7,13-トリメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボキサミド;
[(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-イル]-(1,1-ジオキソ-1,4-チアジナン-4-イル)メタノン;
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;
[(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール;及び
[(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール。
【0058】
好ましい実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式(I)の前記化合物は、以下から選択される:
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン;及び
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン。
【0059】
特に好ましい実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式(I)の前記化合物は、(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエンである。
【0060】
特に好ましい実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式(I)の前記化合物は、(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエンである。
【0061】
一実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、特に、塩酸塩、フマル酸塩、乳酸塩(特にL-(+)-乳酸から誘導される)、酒石酸塩(特にL-(+)-酒石酸から誘導される)及びトリフルオロ酢酸塩から選択される薬学的に許容される塩を提供する。よりさらに具体的な実施態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)による化合物を提供する(すなわち、それぞれ「遊離塩基」又は「遊離酸」として)。
【0062】
いくつかの実施態様では、式(I)の化合物は、異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えられる1個又は複数の原子をその中に有することにより同位体標識される。このような同位体標識された(すなわち、放射性標識された)式(I)の化合物は、本開示の範囲内であると考えられる。式(I)の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、それぞれ、例えば2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが挙げられるが、これらに限定されない。特定の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物及び/又は基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、3H及び炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組み込みの容易さ及び即時検出手段を考慮すると、この目的に対して特に有用である。例えば、式(I)の化合物は、所与の同位体の1、2、5、10、25、50、75、90、95、又は99パーセントで濃縮することができる。
【0063】
より重い同位体、例えば重水素、すなわち2H等による置換を行うと代謝安定性がより高くなり、例えば、in vivo半減期が長くなるか又は必要な投与量が少なくなることにより、特定の治療的利点を得ることができる。
【0064】
11C、18F、15O及び13N等の陽電子放出同位体での置換は、基質の受容体占有を検査するための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、概して、当業者に公知の従来の技法により、又は前に用いられた同位体標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して、以下に記述される実施例に記載されるものに類似する方法により調製され得る。
【0065】
製造方法
本明細書に記載の式(I)の化合物を製造するための方法も本発明の対象である。
【0066】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の化合物の合成は、以下のスキームで示される。得られた生成物の反応及び精製を行うために必要な技能は、当業者に知られている。以下のプロセスの説明で使用される置換基及び指数は、反対のことが示されていない限り、本明細書で前に示される意味及び特許請求の範囲に記載される意味を有する。より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。また、記載された反応に影響を及ぼす文献に記載の反応条件については、例えば、以下を参照されたい:Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations, 3rd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 2018)。反応は溶媒の存在下又は非存在下で行うのが都合がよい。用いた溶媒の性質に関しては、それが反応又は関与する試薬に悪影響を及ぼさず、かつそれが試薬を少なくともある程度溶解することができるならば、特に制限はない。記載された反応は広範囲の温度にわたって起こる可能性があり、正確な反応温度は本発明にとって重要ではない。-78℃から還流温度までの間の温度範囲で記載された反応を行うのが便利である。反応に要する時間もまた、多くの要因、特に反応温度及び試薬の性質に依存して、大きく変動し得る。しかしながら、0.5時間から数日の期間が、記載の中間体及び化合物を得るために通常十分であろう。反応順序はスキームに示された順序に限定されないが、出発材料及びそれらのそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。出発物質は、市販されているか、又は以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献若しくは実施例に記載されている方法、又は当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0067】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の合成を以下の一般的なスキームに示す。得られた生成物の反応及び精製を行うために必要な技能は、当業者に知られている。以下のプロセスの説明で使用される置換基及び指数は、反対のことが示されていない限り、本明細書で前に示される意味を有する。
【0068】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。反応順序は、スキーム1~8に表示されているものに限定されないが、出発原料やそれぞれの反応性に応じて、反応ステップの順序を自由に変更することができる。出発物質は、市販されているか、又は以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献若しくは実施例に記載されている方法、又は当該技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0069】
本発明の式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、スキーム1に記載の工程によって調製され得る。
【化11】
【0070】
スキーム1によれば、式(Ia)の化合物は、式(II)のラクタムから出発して2工程で調製され得る。Lawessonの試薬又はP2S5を使用したチオ化反応の後、ラクタム(II)は対応するチオラクタム(III)に変換される。Pellizzari型プロセスを介したヒドラジド(IV)とのそれらの反応により、一般式(Ia)の1,2,4-トリアゾールが得られる。あるいは、1,2,4-トリアゾール(Ia)は、チオラクタム(II)とヒドラジンとの反応によってヒドラゾン(V)を形成し、続いてオルト酢酸トリアルキル又は酸塩化物で処理することによって得ることができる。
【0071】
ラクタム(II)の合成をスキーム2に示す。
【化12】
【0072】
市販のニトリル(X)を従来のゲヴァルト反応条件下でシクロペンタノン(IX)と反応させて、式(VIII)の2-アミノ-チオフェンを得ることができる。注目すべきことに、ゲヴァルト反応では、R4の置換基に応じて位置異性体の混合物が形成される(20:1から1:1)。簡便には、必要な位置異性体は、望ましくない少量の異性体をクロマトグラフィーで除去した後に純粋に得ることができ、これは合成のどの段階でも実施することができる。
【0073】
式(VII)の化合物は、塩化ホスホリル(POCl3)に曝露した状態での2-アミノ-チオフェン(VIII)とN-Boc若しくはN-Cbz保護L-アミノ酸とのアミドカップリング反応によって、又は当業者に知られている他の方法によって調製され得る。N-Boc又はN-Cbz保護基の除去は、鉱酸(例えば、HCl)又は有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸)を用いて実行されて、式(VI)のアミンを得ることができる。N-Cbz保護中間体(VII)の場合、ヨードトリメチルシランを使用して脱保護反応がより適切に達成され得る。
【0074】
酸性媒体(例えば、シリカ又は酢酸)及び熱(80~110℃)によって最終的な分子内縮合反応を促進することにより、式(II)の所望のラクタム構成要素が得られる。
【化13】
【0075】
代替的には、R2がHである式(VI)の化合物は、スキーム3に記載のプロセスに従って調製され得る。簡便には、2-アミノ-チオフェン(VIII)は、塩化クロロアセチルで処理されて、式(XI)のアルキル塩化物を得ることができる。これらはフィンケルシュタイン反応によって対応するアルキルヨウ化物(XII)に変換され得る。アンモニア水による最終処理により、式(VI)のアミンが得られる。
【0076】
式(Ia)の最終誘導体は、式(XIII)のエステルから3工程で合成され得る(スキーム4)。この場合、エステル(XIII)を、水素化ホウ素ナトリウムで還元して、対応する第一級アルコール(XIV)にすることができる。最終誘導体(Ia)は、アルコール(XIV)のアルデヒド(XV)へのデス・マーチン酸化、続いて(ジエチルアミノ)ジフルオロスルホニウムテトラフルオロボレートへの曝露によるフッ素化反応による2工程で得られる。
【化14】
【0077】
R
4がメチルである本発明の特定の実施態様では、式(Ia)の化合物は、以下に記載されるプロセスによって式(XIV)のアルコールから3工程で調製され得る(スキーム5)。アルコール(XIV)は、塩基(例えばEt
3N)の存在下でのMsClとの反応により、対応するメシレート(XVI)に変換され得る。SN2求核置換反応の後、メシレート(XVI)はヨードアルカン(XVII)に変換され、標準的な水素化反応によって最終誘導体(Ia)に還元される。
【化15】
【0078】
本発明の特定の実施態様では、式(Ib)の位置異性体トリアゾールは、以下に記載されるプロセスによってラクタム(II)から調製され得る(スキーム6)。O-(ジフェニルホスフィニル)ヒドロキシルアミンを使用したラクタム(II)の求電子的アミノ化により、式(XVIII)の中間体が得られる。イミデート(XIX)との最終的な熱環化縮合反応により、1,2,4-トリアゾール(Ib)が得られる。R
4がCHF
2である最終誘導体は、スキーム4に記載されるのと同じ反応条件を用いて調製される。
【化16】
【0079】
R
1がアミドである本発明の特定の実施態様では、スキーム7に従って式(Ib)の化合物が調製され得る。エチルエステル(XX)は、塩基性条件下(NaOH)で式(XXI)の対応する酸に鹸化される。最終誘導体(Ib)は、酸(XXI)とアミンHNR
5R
6(XXII)との標準的なアミドカップリング反応によって得られる。
【化17】
【0080】
本発明のさらなる実施態様では、式(Ic)のイミダゾールは、以下に記載されるように調製され得る(スキーム8)。チオラクタム(III)をアンモニアと反応させて、式(XXIII)のアミジンを形成する。酸触媒下でのプロパルギルアミンとの反応後、アミジン(XXIII)はメチルイミダゾール(Ic’)に変換され得る。式(Ic)の第一級アルコールへの最終的な酸化は、二酸化セレンとの反応によって達成され得る。
【化18】
【0081】
注目すべきことに、スキーム1、2、6、7及び8に記載のプロセスでは、採用される具体的な反応条件に応じて、キラル中心でのラセミ化はさまざまな程度(2~100%)で生じる。結果として、単一の鏡像異性体(97%を超える鏡像異性体過剰率(ee))を得るためには、式(I)の最終誘導体のキラル精製(例えば、HPLC又はSFCによる)が必要である。
【0082】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物を製造する方法が提供され、前記方法は、上記スキーム1から8のいずれか1つに記載されているとおりである。
【0083】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で開示される方法に従って製造された場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0084】
本発明の化合物の使用
背景のセクションで説明し、実験のセクションで例示したように、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、GABAA γ1受容体に関連する疾患又は症状の治療又は防止に有用な貴重な薬理学的特性を有する。
【0085】
一態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0086】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を治療又は防止するための方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む。
【0087】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を治療又は防止するための方法における、本明細書に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0088】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害を治療又は防止するための方法における使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、若しくはその薬学的に許容される塩、又は本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
【0089】
さらなる態様では、本発明は、急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害の治療又は防止のための医薬の製造のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0090】
一実施態様では、前記急性神経障害、慢性神経障害、及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢関連認知低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性症状及び/又は認知症状、遅発性ジスキネジア、不安、社交不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、秩序破壊的・衝動制御及び行為障害、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性状態における行動及び心理的症状(BPS)、多発性梗塞認知症、激越、精神病、物質誘発性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、うつ病、慢性無関心、無快感症、慢性疲労、季節性情動障害、産後うつ病、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかん、並びに疼痛から選択される。
【0091】
一実施態様では、前記急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、加齢に伴う認知機能の低下、統合失調症に関連する陰性及び/又は認知症状、双極性障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、てんかん、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、並びに脆弱X障害から選択される。
【0092】
好ましい実施態様では、前記急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、アルツハイマー病、統合失調症に関連する陰性症状及び/又は認知症状、並びに心的外傷後ストレス障害(PTSD)から選択される。
【0093】
好ましい実施態様では、前記急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、レット症候群、心的外傷後ストレス障害及び脆弱X障害から選択される。
【0094】
特に好ましい実施態様では、前記急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)である。
【0095】
さらに特に好ましい実施態様では、前記急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害は、不安及び過敏性、社会不安障害(社会恐怖症)、及び全般性不安障害などの、中核症状及び関連併存症を対象とする自閉症スペクトラム障害(ASD)である。
【0096】
医薬組成物及び投与
一態様では、本発明は、本明細書で定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の薬学的に許容される添加物とを含む医薬組成物を提供する。例示的な医薬組成物は、以下の実施例のセクションに記載される。
【0097】
さらなる態様では、本発明は、急性神経障害、慢性神経障害及び/又は認知障害の治療又は防止のための、上で定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1つ又は複数の薬学的に許容される添加物とを含む医薬組成物に関する。
【0098】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、(例えば、医薬製剤の形態で)医薬として使用することができる。医薬製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル剤及び軟質ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁液の形態)、経鼻(例えば、点鼻スプレー剤の形態)、又は直腸(例えば、坐剤の形態)等で、体内に投与することができる。しかしながら、投与は、筋肉内又は静脈内(例えば、注射溶液又は注入溶液の形態)等で非経口で(parentally)行うこともできる。
【0099】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルの製造のための薬学的に不活性な無機又は有機添加物で処理することができる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等は、例えば、錠剤、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルのための添加物として使用することができる。
【0100】
軟質ゼラチンカプセルのための適切な添加物は、例えば、植物油、ワックス、油脂、半固形物及び液体ポリオール等である。
【0101】
液剤及びシロップ剤の製造のための適切な添加物は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース等である。
【0102】
注射溶液のための適切な添加物は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0103】
坐薬のための適切な添加物は、例えば、天然又は硬化油、ワックス、油脂、半固体又は液体ポリオール等である。
【0104】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含有し得る。それらはまた、さらに他の治療的に価値のある物質を含有し得る。
【0105】
投与量は広範に変化させることができ、当然、各特定の事例における個々の要件に適合することになる。一般に、経口投与の場合、例えば同じ量からなり得る、好ましくは1~3の個別用量に分けられた、体重1kgあたり約0.1mg~20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~4mg(例えば、1人あたり約300mg)の1日の投与量が適切であろう。しかしながら、示されている場合には、本明細書で与えられる上限を超えることができることは明らかである。
【実施例】
【0106】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより十分に理解される。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0107】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載の方法によって、又は当業者に公知の方法、例えばキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルSFC)若しくは結晶化等によって、分離することができる。
【0108】
特に記載のない場合、全ての反応例及び中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0109】
実施例1
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル
【化19】
a)エチル 2-アミノ-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
3-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-オキソ-プロパンニトリル(9.12g、46.2mmol)が無水エタノール(139mL)に入った溶液に、エチル 3-オキソシクロペンタンカルボキシレート(7.21g、46.2mmol)、モルホリン(4.02ml、46.2mmol)及び硫黄(1.48g、46.2mmol)を添加した。反応混合物を60℃で1.5時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗残渣をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中30~80%酢酸エチル)で精製し、標題化合物(14.2g、83%)を、およそ20%のエチル 2-アミノ-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有する黄色の油として得た。MS: 368.1 ([{
35Cl}M+H]
+), 370.0 ([{
37Cl}M+H]
+), ESI pos.
【0110】
b)エチル 2-[(2-クロロアセチル)アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
エチル 2-アミノ-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(14.15g、38.5mmol)がテトラヒドロフラン(195mL)に入った溶液に、K2CO3(7.98g、57.7mmol)を添加し、続いて2-クロロアセチル クロリド(9.39mL、115mmol)が入ったテトラヒドロフラン(43mL)を滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、水(600mL)にゆっくりと注いだ。ジクロロメタン(250mL)を添加し、相を分離した。水層をジクロロメタン(200mL)でさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(23.6g、100%)を、およそ30%のエチル 2-[(2-クロロアセチル)アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有するオレンジ色の油として得た。MS: 444.1 ([{35Cl, 35Cl}M+H]+), 446.1 ([{35Cl, 37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0111】
c)エチル 2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
エチル 2-[(2-クロロアセチル)アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(23.6g、38.3mmol)がアセトン(210mL)に入った溶液に、NaI(6.89g、46mmol)を添加した。混合物を60℃で22時間撹拌し、その後、追加量のNaI(2.3g、15.3mmol)を添加した。反応混合物を5時間撹拌した後、室温に冷却させた。混合物を焼結漏斗で直接フィルタにかけ、フィルターケーキをアセトン(2×40mL)で濯いだ。濾液を真空中で濃縮して、赤色の油を得て、これをジクロロメタン(152mL)に溶解した。得られた溶液を滴下漏斗に装入し、水酸化アンモニウム水溶液(25wt.%、161mL、1.03mol)にゆっくりと添加した。二相混合物を(相を混合することなく)室温で5日間ゆっくりと撹拌した。相を分離した。水層をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗物質をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中20~70%酢酸エチル)で精製し、標題化合物(6.95g、43%)を、およそ30%のエチル 2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有するオレンジ色の油として得た。MS: 425.0 ([{35Cl}M+H]+), 427.0 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0112】
d)エチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
エチル 2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(4.74g、11.2mmol)がトルエン(279mL)に入った溶液に、シリカ(13.4g、223mmol)を添加した。混合物を90℃で98時間撹拌し、その後、追加量のシリカ(5.36g、89.3mmol)を添加した。反応混合物を40時間撹拌した後、室温に冷却させた。混合物を焼結漏斗で直接フィルタにかけ、フィルターケーキ(シリカ)を酢酸エチル(2×100mL)で濯いだ。濾液を真空中で濃縮し、粗物質をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~100%酢酸エチル)で精製して、標題化合物(2.57g、57%)をおよそ30%のエチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-5-カルボキシレートを含有する褐色の油として得た。MS: 407.2 ([{35Cl}M+H]+), 409.2 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0113】
e)エチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
電子レンジ用バイアルに、エチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート(2.57g、6.32mmol)、ローソン試薬(1.53g、3.79mmol)、及びテトラヒドロフラン(28.7mL)を充填した。バイアルにキャップをし、電子レンジで20分間にわたって100℃に加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、得られた粗物質をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50~100%ジクロロメタン、ジクロロメタン中0~10%メタノール)で精製した。合わせた画分を真空中で蒸発させ、その後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0~10%メタノール)で精製して、標題化合物(477mg、18%)をおよそ15%のエチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-5-カルボキシレートを含有する赤色の油として得た。MS: 423.1 ([{35Cl}M+H]+), 425.0 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0114】
f)エチル 9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
電子レンジ用バイアルに、エチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート(450mg、1.06mmol)、アセトヒドラジド(101mg、1.36mmol)、及びブタン-1-オール(6.15mL)を充填した。バイアルにキャップをし、電子レンジで130℃に55分間加熱した。反応混合物を酢酸エチルに注ぎ、水で2回洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗物質をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0~10%メタノール)で精製して、標題化合物(155mg、33%)をおよそ15%のエチル 9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-カルボキシレートを含有する褐色の泡として得た。MS: 445.1([{35Cl}M+H]+), 447.1 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0115】
g)9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボン酸
エチル 9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート(155mg、0.348mmol)がメタノール(2.96mL)及び(0.148mL)に入った溶液に、水酸化リチウム(29.2mg、1.22mmol)を添加した。反応混合物を22℃で30分間撹拌し、その後真空中で濃縮し、水で希釈し、酢酸(0.070mL、1.22mmol)の添加によりpHを中和した。懸濁液をジクロロメタンで希釈し、相を分離した。水層をジクロロメタンでさらに抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(126mg、87%)をおよそ10%の9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-カルボン酸を含有する褐色の油として得た。MS: 417.1 ([{35Cl}M+H]+), 419.1 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0116】
h)(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキサミド
9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボン酸(127mg、0.305mmol)が無水ピリジン(1.27mL)に入った溶液に、ジ-tert-ブチル 重炭酸塩(199mg、0.914mmol)を、続いて重炭酸アンモニウム(72.3mg、0.914mmol)を添加した。混合物を22℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、ジクロロメタン及びメタノールで希釈し、ISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0~20%)で、続いてキラルSFC(Chiralpak IG、30%メタノール)で精製して、標題化合物(26mg、41%)を淡褐色の固体として得た。MS: 416.2 ([{35Cl}M+H]+), 418.2 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0117】
i)(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキサミド(24mg、0.058mmol)が無水ピリジン(0.288mL)に入った溶液に、窒素雰囲気下で三塩化ホスホリル(10.6mg、6.45μL、69.3μmol)を滴下した。混合物を22℃で30分間撹拌した。反応混合物をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0~30%メタノール)で精製して、(+)-標題化合物(11.3mg、49%)を白色の固体として得た。MS: 398.2 ([{35Cl}M+H]+), 400.2 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.42 - 7.32 (m, 1H), 7.24 (br s, 1H), 7.10 (br d, J = 3.4 Hz, 1H), 5.26 - 4.64 (m, 2H), 3.64 - 3.50 (m, 1H), 3.47 - 3.28 (m, 2H), 2.71 (s, 3H), 2.66 - 2.36 (m, 2H).
【0118】
実施例2
(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル
【化20】
【0119】
a)エチル 2-アミノ-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
3-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-オキソ-プロパンニトリル(7.6g、42.0mmol)及びエチル 3-オキソシクロペンタンカルボキシレート(5.9g、37.8mmol)がトルエン(100mL)に入った混合物に、β-アラニン(0.67g、7.55mmol)及び酢酸(7.54mL、131.8mmol)を添加した。得られた黄色の混合物を(ディーン・スターク装置を用いて)110℃で2時間撹拌した後、容積を1/3に濃縮した。混合物を焼結漏斗で直接フィルタにかけ、フィルターケーキをトルエン(150mL)で濯いだ。透明な黄色の濾液を真空中で濃縮して、エチル (E/Z)-3-[1-シアノ-2-(2,6-ジフルオロフェニル)-2-オキソ-エチリデン]シクロペンタンカルボキシレートを黄色の粘性のある油として得た。粗残渣(16.3g、51.1mmol)をエタノール(65mL)に溶解し、その後、硫黄(1.83g、57.2mmol)及びジイソプロピルアミン(3.6mL、25.5mmol)を添加した。得られた黄色の懸濁液を70℃で3時間撹拌して、赤色の溶液を形成した。反応混合物を真空中で濃縮し、その後、得られた湿潤残渣をtert-ブチル メチルエーテル(250mL)に懸濁させ、室温で15分間撹拌した。混合物をシリカ(100g)でフィルタにかけ、tert-ブチル メチルエーテル(300mL)で洗い、濾液を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン中20%酢酸エチル)で精製して、標題化合物(8.3g、62%)を、およそ25%のエチル 2-アミノ-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有する褐色の粘性のある油として得た。MS: 352.2 ([M-H]-), ESI neg.
【0120】
b)エチル 2-[[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
(tert-ブトキシカルボニル)グリシン(14.5g、82.6mmol)が2-メチルテトラヒドロフラン(40mL)に入った混合物に、0℃と5℃間の温度で、1,1’-カルボニルジイミダゾール(12.3g、76.0mmol)が入った2-メチルテトラヒドロフラン(60mL)を添加した。2時間後、混合物を室温に温め、その後、エチル 2-アミノ-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(11.6g、33.0mmol)が2-メチルテトラヒドロフラン(50mL)に入った溶液を添加し、続いてEt3N(7.56mL, 56.18mmol)を添加した。得られた黄色の溶液を90℃で6時間撹拌した後、tert-ブチル メチルエーテル(70mL)で希釈した。有機相を、クエン酸水溶液(1.0m、350mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(300mL)、及びブライン(200mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン中40%酢酸エチル)で精製して、標題化合物(11.9g、71%)を、およそ20%のエチル 2-[[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有する淡黄色の固体として得た。MS: 526.2 ([M+H+NH3]+, ESI pos.
【0121】
c)エチル 2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
エチル 2-[[2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(5.0g、9.83mmol)がジクロロメタン(45mL)に入った溶液に、2,2,2-トリフルオロ酢酸(7.6mL、98.3mmol)を添加した。混合物を室温で2.5時間撹拌し、その後、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタンに溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(4.0g、100%)をおよそ20%のエチル 2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有する黄色の泡として得た。MS: 409.2 ([M+H]+, ESI pos.
【0122】
d)エチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
実施例1dの実験と同様に、エチル 2-[(2-アミノアセチル)アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレートを、標題化合物(587mg、73%)に変換した。これは、褐色の油として得られ、およそ15%のエチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-5-カルボキシレートを含有していた。MS: 389.3([M+H]+),ESI pos.
【0123】
e)エチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
実施例1eの実験と同様に、エチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(870mg、90%)に変換した。これは、赤色の泡として得られ、およそ12%のエチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-5-カルボキシレートを含有していた。MS: 407.2([M+H]+),ESI pos.
【0124】
f)エチル 9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
実験1fの実験と同様に、エチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(100mg、35%)に変換した。これは、褐色の油として得られ、およそ10%のエチル 9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-カルボキシレートを含有していた。MS: 429.3([M+H]+),ESI pos.
【0125】
g)9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボン酸
実施例1gの実験と同様に、エチル 9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(115mg、100%)に変換した。これは、褐色の油として得られ、およそ20%の9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-カルボン酸を含有していた。MS: 401.2 ([M+H]+), ESI pos
【0126】
h)(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキサミド
実施例1hの実験と同様に、9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボン酸を標題化合物(9mg、10%)に変換した。これはオレンジ色の油として得られた。MS: 400.3([M+H]+),ESI pos.
【0127】
i)(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボニトリル
実施例1iの実験と同様に、(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキサミドを標題化合物(7mg、78%)に変換した。これはオレンジ色の油として得られた。MS: 382.2 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.48 - 7.38 (m, 1H), 6.98 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 5.26 - 4.66 (m, 2H), 3.55 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.48 - 3.29 (m, 2H), 2.72 (s, 3H), 2.66 - 2.38 (m, 2H).
【0128】
実施例3
(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化21】
【0129】
a)[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
エチル 9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート(500mg、1.17mmol)が2-メチルプロパン-2-オール(5.8mL)及びメタノール(1.2ml)に入った溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(133mg、3.53mmol)をアルゴン下で添加した。混合物を76℃で1時間撹拌した後、真空中で濃縮した。残渣を水とジクロロメタンに分配し、その後、相を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(440mg、98%)を、およそ10%の[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-イル]メタノールを含有する淡褐色の泡として得た。MS: 387.2([M+H]+),ESI pos.
【0130】
b)9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール(218mg、0.564mmol)がジクロロメタン(4.36mL)に入った溶液に、Dess-Martinペリオジナン(359mg、0.846mmol)を添加した。混合物を22℃で2時間撹拌した後、炭酸ナトリウム水溶液(5wt.%)の添加によってクエンチした。混合物を酢酸エチルで希釈し、その後、相を分離した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を炭酸ナトリウム水溶液(5wt.%)及びブラインで洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0~5%メタノール)で精製して、標題化合物(172mg、79%)をおよそ10%の9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-カルバルデヒドを含有する褐色の油として得た。MS: 385.2([M+H]+),ESI pos.
【0131】
c)(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
トリエチルアミントリヒドロフルオリド(64.2mg、0.390mmol)が無水ジクロロメタン(0.3mL)に入った溶液に、0℃と5℃の間の温度で(ジエチルアミノ)ジフルオロスルホニウムテトラフルオロボレート(67mg、0.293mmol)を添加し、その後、9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド(75mg、0.195mmol)が無水ジクロロメタン(0.3mL)に入った溶液を添加した。混合物を0℃と5℃の間の温度で1時間撹拌した後、重炭酸ナトリウム水溶液(5wt.%)の添加によってクエンチした。15分間激しく撹拌した後、相を分離した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0~5%メタノール)で精製し、続いてキラルHPLC(Chiralpak AD、ヘプタン/エタノール中0.1%酢酸アンモニウム、6:4)で精製して、(+)-標題化合物(4mg、5%)を黄色の油として得た。MS: 407.2 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.40 (tt, J = 6.4, 8.4 Hz, 1H), 6.96 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 5.93 - 5.58 (m, 1H), 5.45 - 4.62 (m, 2H), 3.28 - 3.09 (m, 2H), 3.09 - 2.96 (m, 1H), 2.72 (s, 3H), 2.44 - 2.12 (m, 2H).
【0132】
実施例4
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化22】
【0133】
a)[9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル 9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(300mg、97%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られ、さらなる特性評価をせずに、続く工程でそのまま使用した。
【0134】
b)9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(148mg、74%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られた。MS: 400.9 ([{35Cl}M+H]+), 402.9 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0135】
c)(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(+)-標題化合物(21mg、32%)に変換した。これは淡いピンク色の固体として得られた。MS: 423.2 ([{35Cl}M+H]+), 425.2 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.36 (dt, J = 5.9, 8.3 Hz, 1H), 7.26 - 7.21 (m, 1H), 7.13 - 7.04 (m, 1H), 5.96 - 5.55 (m, 1H), 5.26 - 4.64 (m, 2H), 3.23 - 3.09 (m, 2H), 3.08 - 2.99 (m, 1H), 2.71 (s, 3H), 2.44 - 2.07 (m, 2H).
【0136】
実施例5
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化23】
【0137】
a)エチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(264mg、1.39mmol)がN,N-ジメチルホルムアミド(7.15mL)に入った溶液に、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレート(493mg、1.53mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.22mL、6.97mmol)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌した後、エチル 2-アミノ-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(500mg、1.39mmol)がN,N-ジメチルホルムアミド(4.77mL)に入った溶液を添加した。反応混合物を18時間撹拌した後、回転蒸発により真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(10mL)で希釈し、その後、水酸化ナトリウム水溶液(1.0m、5mL)を添加し、混合物を室温で5分間撹拌した。相を分離させた。水層を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗物質をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~30%酢酸エチル)で精製して、標題化合物(534mg、73%)を、およそ25%のエチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有する黄色の固体として得た。MS: 521.4 ([M-H]-), ESI neg.
【0138】
b)エチル 2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
実施例2cの実験と同様に、エチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレートを標題化合物(578mg、94%)に変換した。これは褐色の油として得られ、およそ25%のエチル 2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレートを含有していた。MS: 423.3([M+H]+),ESI pos.
【0139】
c)エチル (11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
実施例1dの実験と同様に、エチル 2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレートを標題化合物(464mg、83%)に変換した。これは褐色の油として得られ、およそ25%のエチル (11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-5-カルボキシレートを含有していた。MS: 405.2([M+H]+),ESI pos.
【0140】
d)エチル (11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
実施例1eの実験と同様に、エチル (11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(148mg、35%)に変換した。これは、褐色の固体として得られ、およそ25%のエチル (11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-5-カルボキシレートを含有していた。MS: 421.2([M+H]+),ESI pos.
【0141】
e)エチル (7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
実施例1fの実験と同様に、エチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(34mg、21%)に変換した。これは、褐色の固体として得られ、およそ25%のエチル (7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-カルボキシレートを含有していた。MS: 443.2([M+H]+),ESI pos.
【0142】
f)[(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル (7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(2.8g、77%)に変換した。これは、黄色の固体として得られ、およそ25%の[(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-イル]メタノールを含有していた。MS: 401.1([M+H]+),ESI pos.
【0143】
g (7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(4g、53%)に変換した。これは、黄色の固体として得られ、およそ25%の(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-14-カルバルデヒドを含有していた。MS: 399.2([M+H]+),ESI pos.
【0144】
h)(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(-)-標題化合物(271mg、23%)に変換した。これは白色の固体として得られた。MS: 420.8 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.38 (tt, J = 6.3, 8.4 Hz, 1H), 7.07 - 6.82 (m, 2H), 5.96 - 5.60 (m, 1H), 4.41 (br s, 1H), 3.23 - 2.98 (m, 3H), 2.71 (s, 3H), 2.52 (br d, J = 13.8 Hz, 1H), 2.18 - 2.02 (m, 4H).
【0145】
実施例6
(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化24】
【0146】
a)エチル (10E/Z)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-ヒドラジニリデン-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
エチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート(1.3g、3.07mmol)が2-プロパノール(4mL)に入った溶液に、ヒドラジン水和物(308mg、6.15mmol)を添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した後、回転蒸発により真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/石油エーテル10~80%)で精製して、標題化合物(310mg、21%)を暗褐色のゴムとして得た。MS: 421.2 ([M+H]+), 423.2 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0147】
b)エチル 9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
エチル (10E/Z)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-ヒドラジニリデン-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート(295mg、0.70mmol)がピリジン(5mL)に入った混合物に、シクロプロパンカルボニルクロリド(80.6mg、0.77mmol)を15℃で添加した。混合物を15℃で30分間撹拌し、その後110℃で4時間撹拌した。混合物を室温に冷却した後、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール/酢酸エチル5~15%)で精製して、標題化合物(270mg、40%)を淡褐色のゴムとして得た。MS: 471.2 ([M+H]+), 473.2 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0148】
c)[9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル 9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(160mg、35%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られた。MS: 429.1 ([M+H]+), 431.1 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0149】
d)9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(80mg、56%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られた。MS: 427.3 ([M+H]+), 429.3 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos.
【0150】
e)(13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(+)-標題化合物(8mg、15%)に変換した。これは、白色の固体として得られた。MS: 449.2 ([M+H]+), 451.2 ([{37Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.39 - 7.32 (m, 1H), 7.26 - 7.21 (m, 1H), 7.12 - 7.05 (m, 1H), 5.96 - 5.56 (m, 1H), 5.36 - 4.70 (m, 2H), 3.26 - 3.08 (m, 2H), 3.08 - 2.99 (m, 1H), 2.46 - 2.11 (m, 2H), 2.10 - 2.02 (m, 1H), 1.28 - 1.25 (m, 2H), 1.20 - 1.13 (m, 2H).
【0151】
実施例7
(13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化25】
【0152】
a)エチル 3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
実施例1fの実験と同様に、シクロプロパンカルボヒドラジドを使用してエチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(200mg、18%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られた。MS: 455.0([M+H]+),ESI pos.
【0153】
b)[3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル 3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(165mg、91%)に変換した。これは淡黄色の油として得られた。MS: 413.0([M+H]+),ESI pos.
【0154】
c)3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(100mg、61%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られた。MS: 411.0([M+H]+),ESI pos.
【0155】
d)(13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(+)-標題化合物(9mg、8%)に変換した。これは淡赤色の固体として得られた。MS: 433.0 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.40 (tt, J = 6.3, 8.5 Hz, 1H), 6.96 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 5.95 - 5.57 (m, 1H), 5.43 - 4.65 (m, 2H), 3.27 - 3.10 (m, 2H), 3.08 - 2.94 (m, 1H), 2.43 - 2.14 (m, 2H), 2.08 (tt, J = 5.1, 8.2 Hz, 1H), 1.26 (br s, 2H), 1.19 - 1.13 (m, 2H).
【0156】
実施例8
(7S,13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化26】
【0157】
a)エチル (7S)-3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
実施例1fの実験と同様に、シクロプロパンカルボヒドラジドを使用して、エチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(1.4g、70%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 469.2([M+H]+),ESI pos.
【0158】
b)(7S)-3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル (7S)-3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(1.1g、93%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 427.2([M+H]+),ESI pos.
【0159】
c)(7S)-3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、(7S)-3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(870mg、87%)に変換した。これは褐色の固体として得られた。MS: 425.1([M+H]+),ESI pos.
【0160】
d)(7S,13R)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、(7S)-3-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(-)-標題化合物(126mg、14%)に変換した。これは白色の固体として得られた。MS: 447.1 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.38 (tt, J = 8.44, 6.37 Hz, 1 H) 6.76 - 7.11 (m, 2 H) 5.57 - 5.96 (m, 1 H) 4.41 (br s, 1 H) 2.96 - 3.24 (m, 3 H) 2.53 (br d, J = 16.69 Hz, 1 H) 1.95 - 2.19 (m, 5 H) 1.29 - 1.42 (m, 1 H) 1.03 - 1.24 (m, 3 H).
【0161】
実施例9
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化27】
【0162】
a)エチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
実施例2bの実験と同様に、(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸を使用してエチル 2-アミノ-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレートを標題化合物(28.7g、65%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 483.2 ([{35Cl}M-C4H8+H]+), ESI pos.
【0163】
b)エチル 2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
実施例2cの実験と同様に、エチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレートを標題化合物(25g、100%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 439.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0164】
c)エチル (11S)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
実施例1dの実験と同様に、エチル 2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-3-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレートを標題化合物(8.3g、24%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 421.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0165】
d)エチル (11S)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-11-メチル-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
実施例1eの実験と同様に、エチル (11S)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(1.2g、100%)に変換した。これは赤色の泡として得られた。MS: 437.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0166】
e)エチル (10E/Z,11S)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-ヒドラジニリデン-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
実施例6aの実験と同様に、エチル (11S)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-11-メチル-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(300mg、31%)に変換した。これはオレンジ色の油として得られた。MS: 435.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0167】
f)エチル (7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
エチル (10E/Z,11S)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-ヒドラジニリデン-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート(510mg、1.17mmol)がトルエン(10mL)に入った溶液に、トリメチルオルトアセテート(282mg、2.35mmol)を添加した。混合物を110℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、その後、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/メタノール3~18%)で精製して、標題化合物(285mg、53%)を黄色の油として得た。MS: 459.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0168】
g)[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル (7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(180mg、70%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 417.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0169】
h)[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3bの実験と同様に、[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(150mg、84%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 415.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0170】
i)(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを(-)-標題化合物(12mg、7%)に変換した。これは白色の固体として得られた。MS: 437.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.37 - 7.31 (m, 1H), 7.19 - 7.12 (m, 1H), 7.01 - 6.90 (m, 1H), 5.98 - 5.62 (m, 1H), 4.47 (s, 1H), 3.20 - 3.09 (m, 2H), 3.05 (t, J = 10.2 Hz, 1H), 2.76 - 2.66 (m, 3H), 2.60 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 2.13 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 2.04 (dd, J = 8.4, 15.6 Hz, 1H).
【0171】
実施例10
(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化28】
【0172】
a)エチル 9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
実施例1fの実験と同様に、ピリダジン-3-カルボヒドラジドを使用してエチル 13-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(310mg、45%)に変換した、これは赤色の固体として得られた。MS: 493.0 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0173】
b)[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル 9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(100mg、38%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られた。MS: 451.0 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0174】
c)9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(90mg、86%)に変換した。これは淡黄色の固体として得られた。MS: 449.0 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0175】
d)(13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(+)-標題化合物(4mg、4%)に変換した。これはオフホワイト色の固体として得られた。MS: 471.0 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 9.30 (dd, J = 1.6, 5.1 Hz, 1H), 8.33 (dd, J = 1.8, 8.5 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 5.0, 8.5 Hz, 1H), 7.40 (tt, J = 6.4, 8.4 Hz, 1H), 7.03 - 6.89 (m, 2H), 5.91 - 5.58 (m, 1H), 3.24 - 3.05 (m, 2H), 3.03 - 2.91 (m, 1H), 2.44 - 2.18 (m, 2H).
【0176】
実施例11
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化29】
【0177】
a)エチル (7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
実施例6bの実験と同様に、エチル (10E/Z)-13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-ヒドラジニリデン-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(330mg、71%)に変換した。これは褐色の固体として得られた。MS: 485.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0178】
b)[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル (7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(200mg、66%)に変換した。これは、褐色のゴムとして得られ、さらなる特性評価をせずに、続く工程でそのまま使用した。
【0179】
c)(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(199mg、100%)に変換した。これは、褐色のゴムとして得られた。MS: 441.1 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0180】
d)(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-シクロプロピル-7-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(-)-標題化合物(13mg、7%)に変換した。これは白色の固体として得られた。MS: 462.8 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.36 - 7.32 (m, 1H), 7.17 - 7.12 (m, 1H), 7.01 - 6.92 (m, 1H), 5.97 - 5.61 (m, 1H), 4.53 - 4.36 (m, 1H), 3.22 - 3.01 (m, 3H), 2.66 - 2.54 (m, 1H), 2.14 - 2.08 (m, 3H), 2.07 - 1.99 (m, 2H), 1.33 - 1.30 (m, 1H), 1.24 - 1.18 (m, 3H).
【0181】
実施例12
(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化30】
【0182】
a)エチル (7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
実施例1fの実験と同様に、ピリダジン-3-カルボヒドラジドを使用してエチル 13-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-10-チオキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレートを標題化合物(500mg、43%)に変換した。これは淡黄色のゴムとして得られた。MS: 523.0 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0183】
b)[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル (7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(358mg、78%)に変換した。これは淡黄色のゴムとして得られた。MS: 481.1 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0184】
c)(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(300mg、92%)に変換した。これはオフホワイト色の固体として得られた。MS: 479.1 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0185】
d)(7S,13R)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-13-(ジフルオロメチル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、(7S)-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-7-メチル-3-ピリダジン-3-イル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを(-)-標題化合物(6mg、9%)に変換した。これはオフホワイト色の固体として得られた。MS: 501.2 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 9.31 - 9.25 (m, 1H), 8.34 - 8.28 (m, 1H), 7.74 - 7.65 (m, 1H), 7.35 - 7.30 (m, 1H), 7.17 - 7.09 (m, 1H), 7.03 - 6.86 (m, 1H), 6.05 - 5.58 (m, 1H), 4.64 - 4.36 (m, 1H), 3.18 - 3.01 (m, 2H), 3.00 - 2.92 (m, 1H), 2.70 - 2.60 (m, 1H), 2.25 - 2.16 (m, 3H), 2.14 - 2.02 (m, 1H).
【0186】
実施例13
(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-13-(トリフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化31】
【0187】
a)[2-アミノ-5-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル]-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
実施例1aの実験と同様に、エチル 3-オキソシクロペンタンカルボキシレートの代わりに3-(トリフルオロメチル)シクロペンタノンを使用して3-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-オキソ-プロパンニトリルを標題化合物(990mg、85%)に変換した。これは、黄色の泡として得られ、およそ20%の[2-アミノ-6-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル](2,6-ジフルオロフェニル)メタノンを含有していた。MS: 348.2([M+H]+),ESI pos.
【0188】
b)エチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
実施例5aの実験と同様に、[2-アミノ-5-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル]-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノンをSFC分離(カラム:アキラル 2-エチルピリジン、5%メタノール)で精製して、標題化合物(1.19g、81%)を黄色のワックス状の固体として、また、その位置異性体エチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-6-カルボキシレート(104mg、5%)を黄色の固体として得た。MS: それぞれ、517.4 ([M+H]+), ESI pos及びMS: 517.4 ([M+H]+), ESI pos.
【0189】
c)(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミド
実施例2cの実験と同様に、エチル 2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレートを標題化合物(791mg、76%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 419.2([M+H]+),ESI pos.
【0190】
d)(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-4-(トリフルオロメチル)-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オン
実施例1dの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミドを標題化合物(451mg、36%)に変換した。これはオレンジ色の固体として得られた。MS: 401.2([M+H]+),ESI pos.
【0191】
e)(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-4-(トリフルオロメチル)-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-チオン
実施例1eの実験と同様に、(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-4-(トリフルオロメチル)-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オンを標題化合物(181mg、65%)に変換した。これはオレンジ色の固体として得られた。MS: 417.2([M+H]+),ESI pos.
【0192】
f)(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-13-(トリフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例1fの実験と同様に、(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-4-(トリフルオロメチル)-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-チオンを標題化合物(91mg、48%)に変換した。これはオレンジ色の固体として得られた。MS: 439.2([M+H]+),ESI pos.
【0193】
g)(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-13-(トリフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-13-(トリフルオロメチル)-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン(91mg、0.208mmol)をキラルHPLC(Reprosil Chiral-NR、60%ヘプタン/20%酢酸アンモニウム含有40%エタノール)、続いてSFC(IH、20~40%メタノール)で精製して、(-)-標題化合物(21mg、24%)を無色の油として得た。MS: 439.2 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.39 (tt, J = 6.3, 8.5 Hz, 1H), 7.04 - 6.83 (m, 2H), 4.43 (br d, J = 5.8 Hz, 1H), 3.50 - 3.29 (m, 1H), 3.44 - 3.09 (m, 2H), 2.72 - 2.62 (m, 1H), 2.70 (s, 3H), 2.18 - 2.07 (m, 4H).
【0194】
実施例14
(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,13-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化32】
【0195】
a)[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メチル メタンスルホネート
[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール(85mg、0.220mmol)がジクロロメタン(2.2mL)に入った溶液に、Et3N(92μl、660mmol)及び塩化メタンスルホニル(34μl、0.440mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した後、水を添加した。相を分離し、水層をジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸ナトリウム水溶液(5wt.%、10mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(91mg、83%)を褐色の固体として得た。MS: 465.1([M+H]+),ESI pos.
【0196】
b)9-(2,6-ジフルオロフェニル)-13-(iodoメチル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
[9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メチル メタンスルホネート(91mg、0.196mmol)がアセトン(1.96mL)に入った溶液に、LiI(524mg、3.92mmol)を添加した。混合物を室温で64時間撹拌した後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を添加した。相を分離し、水層をジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(138mg、97%)を褐色の固体として得た。MS: 497.1([M+H]+),ESI pos.
【0197】
c)9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,13-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
9-(2,6-ジフルオロフェニル)-13-(ヨードメチル)-3-メチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン(138mg、0.192mmol)及びEt3N(54μl、0.384mmol)がメタノール(1.6mL)に入った溶液に、Pd/C(20.4mg、0.192mmol)を添加した。混合物を水素雰囲気下室温で41時間撹拌し、その後、ダイカライトのパッドを通してフィルタにかけた。濾過ケーキをメタノールで濯ぎ、濾液を真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン(10mL)で採取し、塩酸水溶液(1.0m、2×10mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗物質をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0~10%メタノール)で精製して、標題化合物(43mg、55%)を褐色の固体として得た。MS: 371.1([M+H]+),ESI pos.
【0198】
d)(13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,13-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,13-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン(43mg、0.117mmol)をHPLC(Chiralpak AD、80%ヘプタン/20%酢酸アンモニウム含有20%エタノール)で精製して、(+)-標題化合物(8mg、18%)を白色の固体として得た。MS: 371.1 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.37 (tt, J = 6.3, 8.5 Hz, 1H), 6.93 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 5.30 (s, 1H), 5.26 - 4.55 (m, 2H), 3.14 - 3.04 (m, 1H), 2.86 - 2.76 (m, 1H), 2.71 (s, 3H), 2.53 (tdd, J = 1.7, 6.1, 15.5 Hz, 1H), 2.41 - 2.09 (m, 1H), 1.89 - 1.64 (m, 1H).
【0199】
実施例15
(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7,13-トリメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化33】
【0200】
a)(2-アミノ-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
実施例1aの実験と同様に、エチル 3-オキソシクロペンタンカルボキシレートの代わりに3-メチルシクロペンタノンを使用して3-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-オキソ-プロパンニトリルを標題化合物(4.88g、60%)に変換した。これは、黄色の泡として得られ、およそ45%の(2-アミノ-6-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノンを含有していた。MS: 294.1([M+H]+),ESI pos.
【0201】
b)tert-ブチル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
実施例5aの実験と同様に、(2-アミノ-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノンを標題化合物(7.1g、87%)に変換した。これは、黄色の固体として得られ、およそ45%のtert-ブチル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-6-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを含有していた。MS: 464.5([M+H]+),ESI pos.
【0202】
c)(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミド
tert-ブチル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート(8.18g、17.6mmol)がジクロロメタン(127mL)に入った溶液に、0℃と5℃の間の温度で塩酸(1,4-ジオキサン中4.0m、44mL、176mmol)を添加した。混合物を0℃と5℃の間で10分間撹拌した後、室温に温めた。6時間後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを約8に調整した。相を分離した。水層をジクロロメタン(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し(2×100mL)、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(7.4g、113%)をおよそ45%の(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-6-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミド及びおよそ30%の1,4-ジオキサンを含有する淡褐色の油として得た。MS: 364.4([M+H]+),ESI pos.
【0203】
d)ベンジル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミド(3.03g、5.82mmol)がジクロロメタン(42mL)に入った溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(972mg、1.32mL、7.57mmol)及びベンジルクロロホルメート(1.19g、1.0mL、7.01mmol)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、塩酸水溶液(1.0m、25mL)を添加した。相を分離し、水層をジクロロメタン(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中10~70%酢酸エチル)で精製して、標題化合物(1.62g 55%)をおよそ45%のベンジル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-6-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを含有する黄色の固体として得た。MS: 499.2([M+H]+),ESI pos.
【0204】
e)ベンジル N-[(1S)-2-[[(5R)-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
ベンジル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート(1.49g、2.98mmol)をSFC(キラルAD-H、15%メタノール/エタノール/イソプロパノール1:1:1)で精製し、続いてSFC(OZ-H、35%メタノール)で精製して、標題化合物(230mg、15%)を黄色の固体として得た。MS: 499.2([M+H]+),ESI pos.
【0205】
f)(2S)-2-アミノ-N-[(5R)-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミド
ベンジル N-[(1S)-2-[[(5R)-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート(120mg、0.241mmol)がアセトニトリル(2.4mL)に入った溶液に、ヨードトリメチルシラン(82μL、0.602mmol)を添加した。混合物を室温で45分間撹拌し、その後、HCl(1,4-ジオキサン中4.0m、241μL、0.963mmol)及びメタノール(108μL、2.67mmol)を添加した。溶媒を真空中で濃縮し、残渣をジクロロメタン及びジエチルエーテルに溶解し、滴下漏斗に充填した。溶液をヘプタン(75mL)に滴下し、得られた沈殿物を焼結漏斗に回収した。固体をジクロロメタン及びメタノールに溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮して、標題化合物(84mg、95%)を黄色の固体として得た。MS: 365.2([M+H]+),ESI pos.
【0206】
g)(4R,11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,11-ジメチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オン
実施例1dの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[(5R)-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミドを標題化合物(80mg、81%)に変換した。これはオレンジ色の固体として得られた。MS: 347.2([M+H]+),ESI pos.
【0207】
h)(7S,13R)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7,13-トリメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
(4R,11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,11-ジメチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オン(75mg、0.217mmol)が無水テトラヒドロフラン(1.9mL)に入った溶液に、-70℃でカリウムtert-ブトキシド(テトラヒドロフラン中1.0m、0.32mL、0.325mmol)を添加した。混合物を-70℃で5分間撹拌し、その後、-40℃に温めた。5分後、ジエチルクロロホスフェート(62μL、0.433mmol)を添加し、混合物を-40℃で5分間撹拌し、その後0℃で1時間撹拌した。この後、アセトヒドラジド(52mg、0.704mmol)がイソプロパノール(0.26mL、3.46mmol)に入った溶液を添加した。混合物を室温に温め、1時間撹拌し、その後40℃で16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、その後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(5mL)で洗浄した。水相をジクロロメタン(2×25mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO4)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/メタノール、0~10%)で、続いてキラルSFC(IH、15%メタノール)で精製して、(-)-標題化合物(17mg、34%)を淡褐色の固体として得た。MS: 385.2 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.40 - 7.29 (m, 1H), 7.07 - 6.77 (m, 3H), 4.62 - 4.18 (m, 1H), 3.15 - 3.05 (m, 1H), 2.83 - 2.70 (m, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.52 (tdd, J = 1.5, 5.4, 15.7 Hz, 2H), 2.18 - 2.01 (m, 7H), 1.26 (s, 1H), 1.13 (d, J = 6.9 Hz, 4H).
【0208】
実施例16及び実施例17
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化34】
(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化35】
【0209】
a)エチル (11S)-9-アミノ-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート
エチル (11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート(20mg、43μmol)がN,N-ジメチルホルムアミド(0.43mL)に入った溶液に0℃と5℃の間の温度で、O-(ジフェニルホスフィニル)ヒドロキシルアミン(12mg、52μmol)及び炭酸セシウム(21mg、64.5μmol)を添加した。懸濁液を0℃で3時間撹拌した後、水(30mL)及び酢酸エチル(50mL)で希釈した。相を分離し、水層を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0%~100%酢酸エチル)で精製し、標題化合物(10mg、53%)を淡黄色の固体として得た。MS: 420.2([M+H]+),ESI pos.
【0210】
b)エチル (7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレート
エチル (11S)-9-アミノ-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-10-オキソ-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-4-カルボキシレート(155mg、0.370mmol)が無水ピリジン(3.7mL)に入った溶液に、エチルアセトイミデート塩酸塩(320mg、2.59mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、その後、2時間にわたって60℃に加熱した。反応混合物をISOLUTE(登録商標)HM-Nに吸着させ、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン/メタノール、0%~10%)で精製して、標題化合物(68mg、41%)を白色の固体として得た。MS: 443.3([M+H]+),ESI pos.
【0211】
c)[(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノール
実施例3aの実験と同様に、エチル (7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキシレートを標題化合物(450mg、60%)に変換した。これは褐色の油として得られた。MS: 401.1([M+H]+),ESI pos.
【0212】
d)(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒド
実施例3bの実験と同様に、[(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-イル]メタノールを標題化合物(74mg、18%)に変換した。これは褐色の固体として得られた。MS: 399.1 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0213】
e)(7S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例3cの実験と同様に、(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルバルデヒドを標題化合物(74mg、51%)に変換した。これは褐色の固体として得られた。MS: 421.5 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos.
【0214】
f)(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
(7S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン(74mg、0.180mmol)をSFC(キラルIG、10%メタノール)で精製して、
(-)-(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン(17.8mg、24%)を黄色の油として得た。MS: 421.3 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.46 - 7.31 (m, 1H), 7.45 - 7.27 (m, 1H), 7.17 - 6.72 (m, 2H), 5.75 (br t, J = 56.6 Hz, 1H), 5.73 (br t, J = 57 Hz, 1H), 4.35 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 4.33 (br s, 1H), 3.20 - 2.97 (m, 3H), 2.49 (s, 4H), 2.45 - 2.44 (m, 1H), 2.07 (d, J = 6.9 Hz, 4H).
【0215】
(-)-(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン(14.4mg、19%)を黄色の油として得た。MS: 421.3 ([{35Cl}M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.41 - 7.32 (m, 1H), 6.91 (br s, 3H), 5.86 (s, 1H), 5.68 (s, 1H), 5.69 (t, J = 56.6 Hz, 1H), 5.49 (s, 1H), 4.33 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 3.20 - 2.94 (m, 4H), 2.56 (br dd, J = 7.9, 15.7 Hz, 1H), 2.49 (s, 4H), 2.07 (d, J = 6.9 Hz, 4H), 1.89 - 1.81 (m, 1H).
【0216】
実施例18
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボキサミド
【化36】
【0217】
a)[2-アミノ-5-(ジフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル]-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
実施例1aの実験と同様に、エチル 3-オキソシクロペンタンカルボキシレートの代わりに3-(ジフルオロメチル)シクロペンタノンを使用して3-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-オキソ-プロパンニトリルを標題化合物(214mg、75%)に変換した。これは、黄色の固体として得られ、およそ15%の[2-アミノ-6-(ジフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル]-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノンを含有していた。MS: 330.2([M+H]+),ESI pos.
【0218】
b)tert-ブチル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-(ジフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
実施例5aの実験と同様に、[2-アミノ-5-(ジフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル]-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノンをSFC(OZ-H、15%メタノール)の後に標題化合物(108mg、64%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 535.3([M+H]+),ESI pos.
【0219】
c)(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-(ジフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミド
実施例2cの実験と同様に、tert-ブチル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-(ジフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを標題化合物(78mg、65%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 401.3([M+H]+),ESI pos.
【0220】
d)(11S)-4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オン
実施例1dの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5-(ジフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミドを標題化合物(221mg、定量的)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 383.2([M+H]+),ESI pos.
【0221】
e)(11S)-9-アミノ-4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オン
実施例16aの実験と同様に、(11S)-4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オンを標題化合物(381mg、72%)に変換した。これは淡褐色の固体として得られた。MS: 499.4([M+H]+),ESI pos.
【0222】
f)エチル (7S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボキシレート
(11S)-9-アミノ-4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オン(245mg、0.617mmol)がトルエン(1.3mL)に入った溶液に、エチル 2-エトキシ-2-イミノアセテート(447mg、430μL、3.08mmol)を添加した。反応混合物を80℃で2時間撹拌し、その後、120℃でさらに2時間撹拌した。この後、p-トルエンスルホン酸一水和物(235mg、1.23mmol)を添加し、反応混合物を120℃で24時間撹拌した。混合物を、酢酸エチルと、水及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液が1:1の混合物とで希釈した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(YMC-Triart C18、0.1%のギ酸含有水/アセトニトリル)で精製して、標題化合物(140mg、48%)を紫色の固体として得た。MS: 479.2([M+H]+),ESI pos.
【0223】
g)(7S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボン酸
エチル (7S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボキシレート(140mg、0.293mmol)及びメタノール(5.9mL)の溶液に、水酸化ナトリウム(47mg、1.17mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、HCl(1.0m、4mL)の添加により酸性化した。水相をジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮して、標題化合物(134mg、98%)を淡褐色の固体として得た。MS: 451.1([M+H]+),ESI pos.
【0224】
h)(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボキサミド
(7S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボン酸(67mg、0.144mmol)がN,N-ジメチルホルムアミド(1.0mL)に入った溶液に、(1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾラト-o)トリ-1-ピロリジニルホスホラス ヘキサフルオロホスフェート(113mg、0.216mmol)、2-アミノエタノール塩酸塩(42mg、0.433mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(25μL、0.144mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、その後、水(5mL)及び酢酸エチル(5mL)で希釈した。水相を酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Gemini Nx、0.1%ギ酸含有水/アセトニトリル)で精製し、続いてSFC(キラルIH、20%メタノール)で精製して、(-)-標題化合物(6.5mg、24%)を白色の固体として得た。MS: 494.2 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.66 (s, 1H), 7.47 - 7.30 (m, 1H), 6.91 (br s, 2H), 5.75 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 6.10 - 5.46 (m, 1H), 4.42 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 3.86 (br s, 2H), 3.74 - 3.61 (m, 2H), 3.14 (br d, J = 2.6 Hz, 2H), 3.03 (s, 1H), 2.62 - 2.43 (m, 2H), 2.12 - 2.04 (m, 2H), 2.16 - 1.91 (m, 1H).
【0225】
実施例19
[(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-イル]-(1,1-ジオキソ-1,4-チアジナン-4-イル)メタノン
【化37】
【0226】
実施例18hの実験と同様に、(7S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,3,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-4-カルボン酸を(-)-標題化合物(16mg、12%)に変換した。これは白色の固体として得られた。MS: 568.1 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.47 - 7.33 (m, 1H), 7.18 - 6.76 (m, 2H), 5.75 (br t, J = 56.4 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 4.48 - 4.23 (m, 5H), 3.28 - 3.11 (m, 6H), 3.11 - 2.97 (m, 1H), 2.50 (td, J = 2.5, 15.8 Hz, 1H), 2.09 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
【0227】
実施例20
(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化38】
【0228】
a)4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-チオン
実施例1eの実験と同様に、(11S)-4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オンを標題化合物(687mg、73%)に変換した。これはオレンジ色の固体として得られた。MS: 399.3([M+H]+),ESI pos.
【0229】
b)4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-イミン
4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-チオン(687mg、1.72mmol)がアンモニア(メタノール中7.0m、7.4mL、51.7mmol)に入った混合物をシールド管内で60℃で16時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0%~5%メタノール)で精製して、標題化合物(568mg、86%)を黄色の固体として得た。MS: 382.2([M+H]+),ESI pos.
【0230】
c)(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
4-(ジフルオロメチル)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-イミン(592mg、1.49mmol)と、プロパルギルアミン(763μL、11.91mmol)と、p-トルエンスルホン酸一水和物(57mg、0.298mmol)との混合物を、シールド管内で120℃で4時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、その後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中1%メタノール)で精製し、続いてSFC(キラルOZ-H、10%メタノール)で精製して、(-)-標題化合物(18mg、13%)を白色の固体として得た。MS: 420.1 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.40 - 7.29 (m, 1H), 7.08 - 6.79 (m, 3H), 5.77 (br t, J = 57 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 4.22 (q, J = 6.2 Hz, 1H), 3.22 - 2.96 (m, 3H), 2.53 (br d, J = 15.3 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.06 (br d, J = 6.6 Hz, 5H).
【0231】
実施例21及び実施例22
[(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール
【化39】
[(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール
【化40】
【0232】
火炎乾燥フラスコ内で、13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン(200mg、0.415mmol)をアルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン(4.15mL)に溶解した。二酸化セレン(46mg、0.415mmol)を一度に添加し、反応物を110℃で5時間撹拌した。反応混合物を冷却し、その後、ダイカライト上でフィルタにかけた。濾液を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中50%酢酸エチル)で精製し、続いてSFC(キラル、15%メタノール)で精製して、
【0233】
(-)- [(7S,13R)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール(20.7mg、11%)を白色の固体として得た。MS: 436.1 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.41 - 7.28 (m, 1H), 7.03 (s, 3H), 5.75 (br t, J = 57 Hz, 1H), 5.77 (br s, 1H), 5.30 (s, 1H), 4.94 - 4.61 (m, 2H), 4.27 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 3.22 - 2.94 (m, 2H), 2.66 (br s, 1H), 2.61 - 2.47 (m, 1H), 3.52 - 2.27 (m, 1H), 2.07 (d, J = 6.9 Hz, 3H).
【0234】
(-)- [(7S,13S)-13-(ジフルオロメチル)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-16-チア-2,5,8-トリアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-3-イル]メタノール(26.6mg、15%)を白色の固体として得た。MS: 436.1 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.41 - 7.30 (m, 1H), 7.04 (s, 1H), 7.00 - 6.76 (m, 2H), 5.71 (br t, J = 57 Hz, 1H), 5.30 (s, 4H), 4.96 - 4.58 (m, 2H), 4.24 (br d, J = 6.9 Hz, 1H), 3.47 (s, 1H), 3.19 - 2.94 (m, 2H), 3.34 - 2.84 (m, 1H), 2.74 - 2.50 (m, 2H), 2.07 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.91 (br dd, J = 5.9, 16.0 Hz, 1H).
【0235】
参照化合物RE-C
(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
【化41】
【0236】
a)(2-アミノ-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
実施例1aの実験と同様に、シクロペンタノンを標題化合物(744mg、60%)に変換した。これは黄色の泡として得られた。MS: 280.1([M+H]+),ESI pos.
【0237】
b)tert-ブチル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメート
実施例5aの実験と同様に、(2-アミノ-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-3-イル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノンを標題化合物(955mg、92%)に変換した。これは黄色の固体として得られた。MS: 464.4([M+H]+),ESI pos.
【0238】
c)(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミド
実施例15cの実験と同様に、tert-ブチル N-[(1S)-2-[[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバメートを標題化合物(615mg、83%)に変換した。これは褐色の固体として得られた。MS: 349.2([M+H]+),ESI pos.
【0239】
d)(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オン
実施例1dの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-5,6-ジヒドロ-4H-シクロペンタ[b]チオフェン-2-イル]プロパンアミドを標題化合物(276mg、43%)に変換した。これは黄色の泡として得られた。MS: 333.2([M+H]+),ESI pos.
【0240】
e)(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-チオン
実施例1eの実験と同様に、(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-オンを標題化合物(301mg、定量的)に変換した。これは褐色の固体として得られた。MS: 349.1([M+H]+),ESI pos.
【0241】
f)(7S)-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン
実施例1fの実験と同様に、(11S)-13-(2,6-ジフルオロフェニル)-11-メチル-7-チア-9,12-ジアザトリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカ-1(8),2(6),12-トリエン-10-チオンを(-)-標題化合物(21.5mg、25%)に変換した。これは淡褐色の固体として得られた。MS: 371.3 ([M+H]+), ESI pos. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ: 7.35 (tt, J = 6.3, 8.5 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H), 6.92 (br s, 2H), 5.30 (s, 1H), 4.39 (br d, J = 5.8 Hz, 1H), 3.48 (s, 1H), 2.96 - 2.88 (m, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.46 - 2.20 (m, 3H), 2.11 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.90 (br d, J = 14.7 Hz, 1H), 1.87 (br d, J = 14.5 Hz, 1H).
【0242】
アッセイ手順
γ1含有GABA
A
サブタイプのための膜調製及び結合アッセイ
GABAAγ1サブユニット含有受容体における化合物の親和性を、組成α5β2γ1、α2β2γ1、α1β2γ1のヒト(一過性トランスフェクト)受容体を発現するHEK293F細胞(ThermoFisher R79007)からの膜への[3H]RO7239181(67.3Ci/mmol;Roche)結合についての競合によって測定した。α2サブユニット含有受容体のより良好なタンパク質発現のために、ヒトGABAAα2サブユニットの28アミノ酸長シグナルペプチド(Met1~Ala28)をヒトGABAAα5サブユニットの31アミノ酸長シグナルペプチド(Met1~Ser31)で置換した。
【0243】
異なるGABAA受容体サブタイプを発現するHEK293F細胞から採取したペレットを、マンニトールバッファーpH7.2~7.4(マンニトール0.29M、トリエチルアミン10mM、酢酸10mM、EDTA 1mM、及びプロテアーゼ阻害剤(1リットルあたり20錠のComplete, Roche Diagnostics カタログ番号05 056 489 001))に再懸濁し、2回洗浄し、その後、同じバッファーに1:10から1:15希釈で再懸濁した。Parr容器#4637中、435psiで15分間懸濁液を撹拌することによって細胞破壊を行い、次いで懸濁液を1000×gで15分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-HC;ロータJS-4.2)。上清(S1)を2lのSchottフラスコに移し、ペレット(P1)をマンニトールバッファーで175mlまで再懸濁した。再懸濁したペレットを250ml Corning遠心ビーカーに移し、1500×gで10分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-HC;ロータJS-4.2)。次いで、上清(S1)を2lのSchottフラスコに移し、ペレットを廃棄した。上清(S1)を500mlのBeckmanポリプロピレン遠心ビーカー内、15000×gで4℃で30分間遠心分離した(Beckman Avanti J-20 XP;ロータJLA-10.500)。ペレット(P2)を1:1マンニトールバッファーで再懸濁し、-80℃で凍結させた。上清(S2)を100mlのBeckmanポリプロピレン遠心チューブ内、48000×gで4℃で50分間遠心分離した(Beckman Avanti J-20 XP;ロータJA-18)。上清(S3)を廃棄し、ペレット(P3)を1:1マンニトールバッファーで再懸濁した。P2及びP3タンパク質濃度を、標準としてウシ血清アルブミンを用いるBIORAD Standardアッセイ法を用いて決定し、NANO-Drop1000で測定した。膜懸濁液をアリコート(500μl/チューブ)にし、必要になるまで-80℃で保存した。
【0244】
膜ホモジネートを再懸濁し、pH7.4でリン酸カリウム10mM、KCl 100mM結合バッファー中でポリトロン化し(Polytron PT1200E Kinematica AG)、以前の実験で決定した最終アッセイ濃度にした。
【0245】
ラジオリガンド結合アッセイを、100μLの細胞膜、1.5nMの濃度(α5β2γ1)又は20~30nMの濃度(α1β2γ1、α2β2γ1)の[3H]RO7239181、及び[0.3-10000]×10-9Mの範囲の試験化合物を含有する200μL(96ウェルプレート)の用量で行った。非特異的結合を、10×10-6(α5β2γ1)及び30×10-6M RO7239181で定義し、典型的には、結合全体の5%未満(α5β2γ1)及び20%未満(α1β2γ1、α2β2γ1)を示した。アッセイを4℃で1時間にわたって平衡までインキュベートし、その後、Filtermate 196ハーベスター(Packard BioScience)を用いてユニフィルタ(0.3%ポリエチレンイミン中で20~50分間プレインキュベーションしたGF/Cフィルタが接着された96ウェル白色マイクロプレート)上でフィルタにかけ、冷リン酸カリウム10mM pH7.4、KCl 100mM結合バッファーで4回洗浄した。無水化後、液体シンチレーション計数により、フィルタに保持された放射能を検出した。Ki値は、Excel-Fit(Microsoft)を用いて計算し、2回の測定の平均値である。
【0246】
添付の実施例の化合物を上記のアッセイで試験し、好ましい化合物は、100nM以下のGABAAγ1サブユニット含有受容体(例えば、α5β2γ1、α2β2γ1、α1β2γ1)からの[3H]RO7239181の置換についてのKi値を有することがわかった。Ki(nM)<50を有する化合物が最も好ましい。ヒト(h)受容体を発現するHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記のアッセイによって得られた代表的な試験結果を表1に示す。
【0247】
[
3
H]RO7239181、6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1-(トリトリチオメチル)-3 H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンの調製
【化42】
【0248】
a)5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン
2-アミノ-6-クロロ安息香酸(250g、1.46mol)が無水酢酸(1250mL)に入った溶液を140℃で2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。得られた粗残渣を酢酸エチル(1000mL)に懸濁し、30分間撹拌し、フィルタにかけ、真空中で乾燥させて、標題化合物(238g、84%)を灰色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ: 7.80 (app t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 2.36 (s, 3H).
【0249】
b)N-[3-クロロ-2-(2,6-ジフルオロベンソイル)フェニル]アセトアミド
テトラヒドロフラン(1000mL)中の5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン(100g、511.2mmol)及び2-ブロモ-1,3-ジフルオロベンゼン(118.4g、613.5mmol)の溶液に、窒素下-70℃でi-PrMgCl・LiCl(1.3M、500mL、650mmol)を滴下した。混合物を1時間以内に室温まで温め、飽和塩化アンモニウム水溶液(1500mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×1500mL)で抽出した。有機相をブライン(2000mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(150mL)に懸濁した。得られた懸濁液を室温で20分間撹拌し、フィルタにかけ、真空中で乾燥させて、標題化合物(113g、71%)をオフホワイト色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ: 9.85 (s, 1H), 7.65-7.45 (m, 1H), 7.40 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.38-7.34 (m, 2H), 7.16 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 1.85 (s, 3H).
【0250】
c)(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
エタノール(250mL)中のN-[3-クロロ-2-(2,6-ジフルオロベンゾイル)フェニル]アセトアミド(113g、364.9mmol)の溶液に、塩酸水溶液(12m、200mL)を添加した。反応混合物を100℃で1時間撹拌し、次いで、酢酸エチル(1100mL)で希釈した。有機相を水(1100mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(1100mL)及びブライン(1100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。石油エーテル(120mL)を粗物質に添加し、懸濁液を室温で20分間撹拌した。固体をフィルタにかけ、乾燥させて、標題化合物(88g、90%)を黄色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz): δ: 7.62-7.56 (m, 1H), 7.21-7.15 (m, 3H), 6.83 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.74 (s, 2H), 6.58 (d, J = 7.6 Hz, 1H).
【0251】
d)(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
(2-アミノ-6-クロロ-フェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン(88.0g、328.8mmol)がジクロロメタン(225mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(225mL)入ったに溶液に、1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(64.4g、362mmol)を0℃で添加した。反応混合物を30℃で1時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(600mL)で希釈し、水(500mL)及びブライン(4×500mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル、1:0~2:1)で精製した。固体を石油エーテル(200mL)に懸濁し、室温で20分間撹拌した。懸濁液をフィルタにかけ、固体を真空中で乾燥させて、標題化合物(96.0g、84%)を黄色の固体として得た。MS: 345.9([{79Br,35Cl}M+H]+),347.8([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl }M+H]+),ESI pos.
【0252】
e)7-ブロモ-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン(25.0g、72.1mmol)がピリジン(625mL)に入った溶液に、エチル 2-アミノアセテート塩酸塩(70.5g、505mmol)を添加した。反応混合物を135℃で36時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、ピリジンを除去した。残渣を酢酸エチル(2000mL)で希釈し、HCl水溶液(1.0m、3×1500mL)、水(2000mL)及びブライン(2×1000mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル10:1から2:1)で精製して、標題化合物(10.1g、12%)をオフホワイト色の固体として得た。MS: 385.0([{79Br,35Cl}M+H]+),ESI pos.
【0253】
f)6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
マイクロ波管に、7-ブロモ-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(450mg、1.17mmol)、トリメチルボロキシン(205mg、228μL、1.63mmol)、炭酸カリウム(242mg、1.75mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(67.4mg、58.4μmol)を充填した。脱気した1,4-ジオキサン(8.1mL)及びH2O(2.7ml)を添加し、次いで、バイアルに蓋をした。懸濁液をマイクロ波中130℃で30分間反応させて完全に変換した。混合物を蒸発させ、飽和NaHCO3水溶液(20mL)で処理し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、40g、ヘプタン中CH2Cl2/EtOAc10%~40%~70%)で精製して、標題化合物(344mg、92%)を淡黄色の固体として得た。MS (ESI): 321.1 ([M+H]+).
【0254】
g)6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1-(トリトリチオメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
[3H]メチルノシレート(1.85GBq、50mCi、0.61μmol)がTHF(200μL)に入った溶液に、THF(200μL)に溶解したN-デスメチル前駆体6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(0.43mg、1.34μmol)及び10当量のナトリウム tertブチレート(THF中0.5m、13.4μmol)を添加した。室温で4時間撹拌した後、反応混合物をH2Oで処理し、蒸発させ、粗生成物をHPLC(X-Terra Prep RP-18、10×150mm、MeCN/H2O(5%のMeCNを含有)40:60、4ml/分、230nm)で精製した。固相抽出(Sep-Pak Plus C18)によって純粋なトリチウム標識化合物を単離し、エタノール溶液としてカートリッジから溶出し、質量分析(MS)によって決定した場合、放射性化学純度99%超及び特異的活性2.49 TBq/mmol(67.3Ci/mmol)の標的化合物1.6GBq(43.2mCi)が得られた。標識化合物の同一性は、HPLC(非標識参照標準を同時注入することによって)及びMSによって確認した。
MS: m/z = 335 [M(H)+H]+ (16%), 337 [M(3H)+H]+(0%), 339 [M(3H2)+H]+ (16%), 341 [M(3H3)+H]+(68%).
【0255】
γ2含有GABA
A
サブタイプのための膜調製及び結合アッセイ
GABAAγ2サブユニット含有受容体における化合物の親和性を、組成α1β3γ2のヒト(一過性トランスフェクト)受容体を発現するHEK293F細胞への[3H]フルマゼニル(81.1Ci/mmol;Roche)結合についての競合によって測定した。
【0256】
異なるGABAAγ2受容体サブタイプを発現するHEK293F細胞から採取したペレットをマンニトールバッファーpH7.2~7.4に再懸濁し、GABAAγ1サブユニット含有受容体を発現する細胞について上に記載したとおりに処理した。
【0257】
ラジオリガンド結合アッセイを、100μLの細胞膜、1nMの濃度の[3H]フルマゼニル、及び[0.1・10-3-10]×10-6Mの範囲の試験化合物を含有する200μL(96ウェルプレート)の用量で行った。非特異的結合を、10-5Mのジアゼパムで定義し、典型的には、結合全体の5%未満を示した。アッセイは、4℃で1時間にわたって平衡にインキュベートし、Packardハーベスターを使用して濾過して氷冷洗浄バッファー(50mMトリス、pH7.5)で洗浄することにより、GF/Cユニフィルタ(Packard)上に採取した。無水化後、液体シンチレーション計数により、フィルタに保持された放射能を検出した。Ki値は、Excel-Fit(Microsoft)を用いて計算し、2回の測定の平均値である。
【0258】
添付の実施例の化合物を上記アッセイで試験し、好ましい化合物は、100nM以上のヒトGABA
A受容体のα1β3γ2サブタイプからの[
3H]フルマゼニルの置換について大きなK
i値を有することが分かった。最も好ましいのは、K
i α1β3γ2(nM)>300の化合物である。好ましい実施態様では、本発明の化合物は、γ2サブユニット含有GABA
A受容体と比べてγ1サブユニット含有GABA
A受容体に対して選択的に結合している。具体的には、本発明の化合物は、10倍を超える「K
iα1β3γ2(nM)/K
iα2β2γ1(nM)」として定義されるγ2/γ1選択比、又は1を超える「Log[K
iα1β3γ2(nM)/K
iα2β2γ1(nM)]」として定義されるLogSelを有する。ヒト(h)受容体を発現するHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記のアッセイによって得られた代表的な試験結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0259】
GABA
A
受容体の機能発現;
ゼノパス卵母細胞の調製
成熟段階V-VIのXenopus laevis卵母細胞を、GABAA受容体サブユニットをコードするクローン化されたmRNAの発現に使用した。RNAマイクロインジェクションの準備ができた卵母細胞を、ドイツのカストロップ・ラウセルにあるEcocyteから購入し、改変バース培地(mMでの組成:NaCl 88、KCl 1、NaHCO3 2.4、HEPES 10、MgSO4 0.82、CaNO3 0.33、CaCl2 0.33、pH=7.5)で実験まで保存した。
【0260】
ゼノパス卵母細胞マイクロインジェクション
卵母細胞を、Roboinject自動装置(MultiChannelSystems、ドイツ国ロイトリンゲン)を使用するマイクロインジェクションのために96ウェルプレートに蒔いた。所望のGABAA受容体サブタイプのサブユニットのRNA転写物を含有する約50nLの水溶液を各卵母細胞に注射した。RNA濃度は20pg/μL/サブユニットと200pg/μL/サブユニットの間の範囲であり、パイロット実験で調整して、GABAA受容体ベンゾジアゼピン(BZD)結合部位における参照ベンゾジアゼピンポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)であるフルニトラゼパム、トリアゾラム及びミダゾラムの適切なサイズ及び最大効果のGABA応答を得た。卵母細胞を実験まで20℃の改変バース培地(mMでの組成:NaCl 88、KCl 1、NaHCO3 4、HEPES 10、MgSO4 0.82、CaNO3 0.33、CaCl2 0.33、pH=7.5)に保った。
【0261】
電気生理学
mRNAの微量注射後3~5日目に、Roboocyte機器(MultiChannelSystems、ドイツ国ロイトリンゲン)を使用して電気生理学的実験を行った。実験の間、卵母細胞は常に(mMで)NaCl 90、KCl 1、HEPES 5、MgCl2 1、CaCl2 1(pH7.4)を含む溶液でスーパーフュージョンされた。卵母細胞を、KCl 1M+K-酢酸1.5Mを含有する溶液で満たすとともに-80 mVに電圧クランプした2つのガラス微小電極(抵抗:0.5~0.8MΩ)でインピンジした。記録は、ロボサイト二電極電圧クランプシステム(Multichannelsystem)を用いて室温で行った。1.5分GABAの最初の平衡化期間の後、最大電流応答(EC20)の約20%を誘発する濃度で1.5分間添加した。2.5分GABAの別の休息間隔が再び追加された後、同様の振幅と形状の応答が誘発された。この2回目のGABA適用開始の0.5分後、GABAがまだ存在している間に、そのKi α2β2γ1の約30倍に相当する濃度の試験化合物を添加した。電流トレースを、GABA適用の間及びその前後に、10Hzのデジタル化速度で記録した。
【0262】
各化合物及び濃度は、少なくとも3個の卵母細胞で試験した。異なる化合物濃度に対して異なる卵母細胞を使用した。参照PAM、フルニトラゼパム、トリアゾラム及びミダゾラムは、卵母細胞を発現するα2β2γ1 GABAA受容体サブタイプにおけるGABA誘導電流をおよそ60%増強した。
【0263】
データ分析
分析のために、第1及び第2のGABA応答のデジタル化された電流トレースを重ね合わせ、必要に応じて、等しく最大振幅に再スケーリングした。試験化合物実験の時間間隔中の2つの応答間の比率をポイントごとに計算した。得られた「比率トレース」の極値を、「GABA EC20の%変調」(100*(倍増-1))として表される化合物の有効性(「倍増」)として採用した。
【0264】
【0265】
参照化合物
以下に列挙するベンゾジアゼピン参照化合物(従前市販のベンゾジアゼピン)及び参照チエノジアゼピンを、GABA
A受容体α1β2γ1及びα2β2γ1 サブタイプ、並びにGABA
A受容体α1β3γ2サブタイプに対するそれらの親和性について試験した。結果を表3に示す。
【化43】
【表3】
国際公開第94/04537は参照化合物RE-Aを開示し、DE 3724031は参照化合物RE-Bを開示している。参照実施例RE-Cは、本明細書に記載の通りに調製された。
【0266】
本発明の化合物を含む医薬組成物の調製
式(I)の化合物を含む錠剤は、以下のように製造される。
【表4】
製造手順
1.成分1、2、3及び4を混合し、精製水で顆粒にする。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕機器に通す。
4.成分5を添加し、3分間混合する;適切なプレスで圧縮する。
【0267】
【表5】
製造手順
1.成分1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.成分4及び5を添加し、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0268】
式Iの化合物、乳糖及びコーンスターチを、初めにミキサーで混合し、次に粉砕機で混合する。混合物をミキサーに戻し、そこにタルクを加えておおよそ(thoapproximatively)混合する。混合物は、機械によって適切なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルに充填される。
【0269】
式(I)の化合物を含む注射液は、以下のように製造される。
【表6】
【国際調査報告】