(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】新規な添加剤混合物
(51)【国際特許分類】
C10M 133/12 20060101AFI20240719BHJP
C10M 135/36 20060101ALI20240719BHJP
C10M 133/38 20060101ALI20240719BHJP
C10M 133/16 20060101ALI20240719BHJP
C10M 137/10 20060101ALI20240719BHJP
C10M 145/14 20060101ALI20240719BHJP
C10M 145/26 20060101ALI20240719BHJP
C10N 40/12 20060101ALN20240719BHJP
C10N 40/00 20060101ALN20240719BHJP
C10N 30/10 20060101ALN20240719BHJP
C10N 30/12 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
C10M133/12
C10M135/36
C10M133/38
C10M133/16
C10M137/10
C10M145/14
C10M145/26
C10N40:12
C10N40:00 A
C10N30:10
C10N30:12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506531
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2022069130
(87)【国際公開番号】W WO2023011855
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アネット・ロース
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BE07C
4H104BE11C
4H104BE26C
4H104BG19C
4H104BH06C
4H104CB08C
4H104CB14C
4H104DA02A
4H104LA05
4H104LA06
4H104PA07
4H104PA09
(57)【要約】
本発明は、新規な添加剤混合物、その調製方法及びタービン油のためのその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤混合物であって、
(a)式(I)
【化1】
(式中、R
1=C
10~C
14アルキル、好ましくはC
10~C
12アルキルである)
の1種又は複数のアルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミンと、
(b)式(II)
【化2】
(式中、R
2~R
5=互いに独立して、H、C
4~C
9アルキル、好ましくはC
4又はC
8~C
9アルキルであり、但し、前記基R
2~R
5の少なくとも1つは、C
8又はC
9アルキル基である)
の1種又は複数のアルキル置換ジフェニルアミンと、
(c)式(III)
【化3】
(式中、R=C
8~C
12アルキル、好ましくはC
9H
19である)
の少なくとも1種の硫黄含有化合物と、
(d)式(IV)
【化4】
の少なくとも1種のベンゾトリアゾールと、
任意選択により場合によっては、油(e)と
含む添加剤混合物。
【請求項2】
少なくとも1種の腐食防止剤、好ましくは、式(V)
【化5】
(式中、n=4~10である)
のカルボキサミド(f)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の添加剤混合物。
【請求項3】
式(VI)
【化6】
の少なくとも1種のチオホスフェート(g)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の添加剤混合物。
【請求項4】
ポリグリコールの群から選択される解乳化剤及び/又はポリアクリレートの群から選択される消泡剤を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の添加剤混合物。
【請求項5】
以下の添加剤:
35~90質量%、好ましくは50~70質量%の少なくとも1種のアルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン(a)、
0.1~40質量%、好ましくは5~30質量%の少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミン(b)、
0.5~10質量%、好ましくは2.5~9質量%の少なくとも1種の硫黄含有化合物(c)、
0.5~10質量%、好ましくは4~9質量%の少なくとも1種のベンゾトリアゾール(d)、
0~30質量%、好ましくは15~25質量%の少なくとも1種の油(e)
を含み、全成分(a)~(e)の合計は、100質量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の添加剤混合物。
【請求項6】
以下の添加剤:
30~85質量%、好ましくは45~60質量%の少なくとも1種のアルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン(a)、
0.1~30質量%、好ましくは5~20質量%の少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミン(b)、
0.5~5質量%、好ましくは2.5~4質量%の少なくとも1種の硫黄含有化合物(c)、
0.5~8質量%、好ましくは4~6質量%の少なくとも1種のベンゾトリアゾール(d)、
0~30質量%、好ましくは15~25質量%の少なくとも1種の油(e)、
5~15質量%、好ましくは7~10質量%の少なくとも1種の防錆添加剤、好ましくはカルボキサミド(f)、
0~5質量%、好ましくは1.5~3.5質量%の少なくとも1種のチオホスフェート(g)
を含み、成分(a)~(g)の合計は、100質量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の添加剤混合物。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の添加剤混合物を製造する方法であって、成分(a)~(d)及び任意選択により場合によって(e)~(g)を、20~100℃の温度で混合することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の添加剤混合物を少なくとも1種のベース油中に含むタービン油。
【請求項9】
ベース油中の前記添加剤混合物の割合が、前記混合物全体を基準にして0.1~2質量%であることを特徴とする、請求項8に記載のタービン油。
【請求項10】
タービン油中における、請求項1~6のいずれか一項に記載の添加剤混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な添加剤混合物、その製造方法、及びタービン油のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン、ガスタービン、及び水タービンなどのタービンは、一般に、運動エネルギーを電気に変換するために使用される。連続運転のためには、潤滑剤として有効なタービン油が不可欠である。この場合、高温の運転温度で比較的長期間にわたって信頼性の高い潤滑を提供できる能力が極めて重要である。
【0003】
一般的な用途のために適切なタービン油は、複数の種類の近代工業用タービンの様々な運転条件を考慮するように一連の望ましい特性を有する。これらの特性には、例えば、高粘度指数(VI)、高酸化安定性(及びそれに伴って長寿命)、低コーティング/スラッジ形成、良好な水分離能力、改善された防錆性及び/又は耐食性並びに改善された空気放出及び発泡特性が含まれる。
【0004】
(特許文献1)は、例えば、酸化防止剤として、ノニル/ジノニル又はスチレン置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン及びノニル/ジノニル又はスチレン置換ジフェニルアミンを含有するタービン油用添加剤を開示している。
【0005】
特に、オクチル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミンは、単独で又は(特許文献2)などの様々な添加剤と組み合わせて一層使用されているが、これらは、他の添加剤との混合物中で溶解性が低く、液体添加剤混合物を得るために比較的多量の可溶化剤が必要であるという欠点を有する。
【0006】
(特許文献3)、(特許文献4)及び(特許文献5)は、例えば、さらなる成分として、N-α-ナフチル-N-フェニルアミン及びジフェニルアミンの群からの1種又は複数の酸化防止剤及び硫黄含有添加剤を含有するタービン油を開示している。硫黄含有化合物は、潤滑油の酸化安定性を改善することが可能であることが知られており、これは、回転圧力容器酸化試験(RPVOT、ASTM D 2272)及びASTM D 4636による酸化腐食試験の結果によって証明されている。例は、(特許文献6)にも見られる。しかしながら、同時に、多くの硫黄含有化合物は、スラッジを形成する傾向があり、これは、ASTM D 7873に準拠した乾燥TOSTなどの他の酸化試験の結果に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第A1730101号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第A5726135号明細書
【特許文献3】国際公開第2019/183187号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第A3712235号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第A2307535号明細書
【特許文献6】国際公開第2019/183187号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特にベース油と組み合わせて、ASTM D 7873に準拠した酸化試験の要件を満たし、且つASTM D 4636に準拠した腐食及び酸化試験に合格することが意図されるタービン油として使用することができる改良された添加剤混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで、驚くべきことに、この目的は、1種又は複数のC10~C14アルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン(APAN)と、アルキル置換ジフェニルアミン(DPA)と、C8~C12アルキル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールの群からの少なくとも1種の硫黄含有化合物と、ベンゾトリアゾール誘導体とを含む添加剤混合物を使用して達成できることが判明した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、添加剤混合物であって、
(a)式(I)
【化1】
(式中、R
1=C
10~C
14アルキル、好ましくはC
10~C
12アルキルである)
の1種又は複数のアルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン(APAN)と、
(b)式(II)
【化2】
(式中、R
2~R
5=互いに独立して、H、C
4~C
9アルキル、好ましくはC
4アルキル及び/又はC
8~C
9アルキルであり、但し、R
2~R
5基の少なくとも1つは、C
8又はC
9アルキル基である)
の1種又は複数のアルキル置換ジフェニルアミン(DPA)と、
(c)式(III)
【化3】
(式中、R=C
8~C
12アルキル、好ましくはC
9H
19である)
の少なくとも1種の硫黄含有化合物と、
(d)式(IV)
【化4】
の少なくとも1種のベンゾトリアゾールと
を、
(e)任意選択により場合によって油中に含む、添加剤混合物を提供する。
【0011】
成分(a):本発明に関連するC10~C14アルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン(APAN)(a)は、好ましくは、R1=C10~C14アルキルであり、その基の少なくとも80質量%がC10~C12アルキル、特に好ましくはC12アルキルである、式(I)の化合物である。R1基の好ましい位置は、p-位である。
本発明のさらに好ましい実施形態において、成分(a)は、80%の範囲までモノアルキル化C11及びC12アルキル基からなる。
【0012】
成分(b):本発明に関連するアルキル置換ジフェニルアミン(DPA)(b)は、好ましくは、R2~R5基が合計で1、2、又は3つのC4又はC8アルキル基に対応する、式(II)の化合物の混合物である。本明細書では、式(II)の化合物の混合物は、90質量%の範囲まで、R2及びR3がC4又はC8アルキル基である化合物からなることが特に好ましい。
【0013】
成分(c):本発明に関連する硫黄含有化合物(c)は、好ましくは、C9アルキル置換2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールである。
【0014】
成分(d):本発明に関連するベンゾトリアゾール(d)は、好ましくは、4位、5位、若しくは6位にメチルを有するN,N-ビス(2-エチルヘキシル)-メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-メチルアミン及び/又は4位若しくは5位にメチルを有するN,N-ビス(2-エチルヘキシル)-メチル-2H-ベンゾトリアゾール-1-メチルアミンである。上記のベンゾトリアゾール類は、好ましくは、60~70質量%(1H)対40~30質量%(2H)の比率の1H-ベンゾトリアゾール及び2H-ベンゾトリアゾールの混合物として使用される。
【0015】
成分(e):本発明に関連して使用される油(e)は、鉱油、合成油、又はそれらの混合物であり得る。鉱油又は合成油の種類に関して特に制限はない。しかしながら、一般的には、40℃における動粘度が10~25cStである鉱油又は合成油を使用する。鉱油の例としては、パラフィン系鉱油、中間鉱油、及びナフテン系鉱油、並びに合成油又は非環式炭化水素が挙げられる。
【0016】
成分(f):本発明の好ましい実施形態において、添加剤混合物は、少なくとも1種の腐食防止剤、特に好ましくはカルボキサミド(f)を含む。
【0017】
本発明に関連する腐食防止剤(f)として使用可能であるものは、カルボキサミド、好ましくは4~50個の炭素原子を有するカルボン酸のアミド、例えばN-オレイルサルコシン又はスクシンアミドである。
【0018】
アスパラギン酸に基づくカルボキサミド(f)が好ましく、特に、式
【化5】
(式中、R
6、R
9~R
12=互いに独立して、H又はC
1~C
30アルキルであり、
R
7、R
8=互いに独立して、H、C
1~C
30アルキル、C
1~C
30アシル、C
1~C
30アルコキシであり;好ましくは、R
7は、C
1~C
30アシルであり、かつ、R
8は、C
1~C
30アルコキシである)
の化合物が好ましい。
【0019】
式(V)
【化6】
(式中、nは、4~10、好ましくは5~7である)
のカルボキサミド(f)が特に好ましい。
【0020】
成分(g):本発明のさらに好ましい実施形態において、添加剤混合物は、少なくとも1種のチオホスフェート(g)を含む。
【0021】
本発明に関連するチオホスフェート(g)として使用可能であるものは、中性の共有結合したチオホスフェート及びアミンで中和されたチオリン酸誘導体などのイオン性チオホスフェートである。
【0022】
式(VI)
【化7】
のチオホスフェート(g)が好ましい。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施形態において、添加剤混合物は、ポリグリコールの群から選択される解乳化剤及び/又はポリアクリレートの群から選択される消泡剤を含む。
【0024】
解乳化剤として好ましいポリグリコールは、好ましくは、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールとのブロックコポリマーである。
【0025】
消泡剤として好ましいポリアクリレートは、好ましくは、アクリル酸の誘導体、例えばメタクリル酸のホモポリマー又はコポリマーである。使用されるコモノマーは、好ましくは、非極性オレフィンである。
【0026】
添加剤混合物のさらなる成分として、分散剤、洗浄剤、又は流動性向上添加剤を使用し得る。
【0027】
本発明による添加剤混合物は、好ましくは、以下の割合の成分(a)~(e):
30~90質量%、好ましくは35~90質量%、特に好ましくは50~70質量%の少なくとも1種のアルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン(a)、
0.1~40質量%、好ましくは5~30質量%の少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミン(b)、
0.5~10質量%、好ましくは2.5~9質量%の少なくとも1種の硫黄含有化合物(c)、
0.5~10質量%、好ましくは4~9質量%の少なくとも1種のベンゾトリアゾール(d)、及び
0~30質量%、好ましくは15~25質量%の少なくとも1種の油(e)
を含み、成分(a)~(e)の合計は、100質量%である。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明による添加剤混合物は、以下の割合の成分(a)~(g):
30~85質量%、好ましくは45~60質量%の少なくとも1種のアルキル置換N-α-ナフチル-N-フェニルアミン(a)、
0.1~30質量%、好ましくは5~20質量%の少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミン(b)、
0.5~5質量%、好ましくは2.5~4質量%の少なくとも1種の硫黄含有化合物(c)、
0.5~8質量%、好ましくは4~6質量%の少なくとも1種のベンゾトリアゾール(d)、
0~30質量%、好ましくは15~25質量%の少なくとも1種の油(e)、
5~15質量%、好ましくは7~10質量%の少なくとも1種の防錆添加剤、好ましくはカルボキサミド(f)、
0~5質量%、好ましくは1.5~3.5質量%の少なくとも1種のチオホスフェート(g)
を含み、成分(a)~(g)の合計は、100質量%である。
【0029】
本発明は、本発明による添加剤混合物を製造する方法をさらに提供し、それにより、成分(a)~(d)及び任意選択により場合によって(e)~(g)は、20~100℃、好ましくは60~80℃の温度において任意の所望の順序で混合される。好ましくは、均質な液体が存在するようになるまで撹拌される。
【0030】
標準的な混合ユニットを撹拌機として使用することができる。
【0031】
本発明は、本発明による添加剤混合物を、ベース油中において好ましくは0.1~2質量%の範囲まで含むタービン油をさらに提供する。
【0032】
ベース油として使用できるものは、米国石油協会(API)の分類による5つの主要なグループに属する全てのオイルである。40℃において32又は46cStの粘度を有する(ISO粘度クラス32又は46)APIグループIIIの鉱油が好ましい。
【0033】
本発明は、本発明によるタービン油を製造する方法をさらに提供し、それにより、成分(a)~(d)及び任意選択により場合によって(e)~(g)を有する本発明による添加剤混合物は、20~100℃、好ましくは40~80℃の温度においてベース油中に撹拌される。
【0034】
標準的な混合ユニットを撹拌機として使用することができる。
【0035】
本発明は、好ましくはベース油中における、タービン油としての、本発明による添加剤混合物の使用をさらに提供する。
【0036】
本発明による方法は、限定されることなく、以下の実施例に基づいて明らかにされる。
【実施例】
【0037】
添加物混合物の製造:
表1に示している化合物(a)~(f)を、表中に示した量(質量%)で、均一な溶液が得られるまで70℃において混合した。実施例B~Dの混合物は液体である。実施例Aの混合物(欧州特許出願公開第A1730101号明細書による比較例)は、固体であるため、前もって融解しなければ油中で使用できない。
【0038】
タービン油の製造:
表1に示す量(質量%)の予め製造した添加剤混合物を、SK lubricants Co.から市販品として入手可能なAPI Group IIIの鉱物ベース油であるYubase中へ70℃で撹拌した。
【0039】
【0040】
ASTM D 4636に準拠した試験では、タービン油の場合、金属(Al、Fe、Cu、Mg、又はCd)の質量の変化が0.25mg/cm2を超える場合、不合格に分類される。ASTM D 7873に準拠した試験では、特に1000時間後のRPVOT時間が、最初のRPVOT時間の少なくとも25%であり、1000時間後のスラッジが100mg/kg未満であれば、合格に分類される。以下の標準試験を実施した。
【0041】
水を含ませず120℃におけるタービン油の酸化安定性及び不溶性物質の生成を測定するための標準試験法としての、ASTM D 7873に準拠した乾燥TOST(乾燥TOST法)及びASTM D 4636による酸化試験。
【0042】
驚くべきことに、成分(a)~(d)の本発明による混合物(実施例Bを参照されたい)は、ASTM D 4636に準拠した酸化試験及びASTM D 7873に準拠したタービン油の乾燥TOSTの両方に合格し、油中での溶解性が良好であることが判明した。
【0043】
本発明による混合物の成分の1つが存在しないか、又は成分(a)として短鎖(C8)のAPANを使用した場合に予めワークアップを行わずにこの混合物を油中へ撹拌することができない場合に、直ちにこれらの試験が充足されなくなることは、比較例から明らかである。
【国際調査報告】