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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】医療器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20240719BHJP
   A61B 17/128 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/128
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506535
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2022070885
(87)【国際公開番号】W WO2023011975
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021208391.9
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ロスワイラー
(72)【発明者】
【氏名】ヤナ シューレ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG24
4C160MM32
4C160NN15
(57)【要約】
1. 医療器具
2.1
この種の医療器具、特に医療用クリップを適用するための医療器具が知られており、この医療器具は、固定ハンドル部と、固定ハンドル部に対して可動な可動ハンドル部とを有するハンドル装置と、近位シャフト端と遠位シャフト端との間を延びるシャフトであって、近位シャフト端がハンドル装置に着脱可能に接続され、遠位シャフト端が可動ハンドル部の動作によって開閉可能な器具ジョーを有する、シャフトと、シャフトの細長いキャビティ内で軸方向に可動に案内され、力と動きの伝達のために、近位側で可動ハンドル部に協動的に接続され、遠位側で器具ジョーに協動的に接続される細長いプッシュプル要素と、を有する。
2.2
本発明によれば、近位シャフト端がキャビティへ通じる開口部を有し、この開口部が遠位シャフト端の方向へ流体流を導入するように構成されており、機能要素がキャビティ内に配置され、前記機能要素が、シャフトの周方向にオフセットして配置され、流体流の中に、シャフトの周方向の渦運動を生じさせるように構成された複数の流体案内羽根を有することが提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具(1)、特に医療用クリップを適用するための器具であって、
固定ハンドル部(5)と、前記固定ハンドル部(5)に対して可動な可動ハンドル部(6)と、を有するハンドル装置(2)と、
近位シャフト端(8)と遠位シャフト端(9)との間を延びるシャフト(3)であって、前記近位シャフト端(8)が前記ハンドル装置(2)に着脱可能に接続され、前記遠位シャフト端(9)が、前記可動ハンドル部(6)の動作によって開閉可能な器具ジョー(10)を有する、シャフト(3)と、
前記シャフト(3)の細長いキャビティ(13)内で軸方向に可動に案内され、力と動きの伝達のために、近位側で前記可動ハンドル部(6)に協動的に接続され、遠位側で前記器具ジョー(10)に協動的に接続されている細長いプッシュプル要素(4)と、を備え、
前記近位シャフト端(8)が前記キャビティ(13)へ通じる開口部(16)を有し、
前記開口部(16)が、前記遠位シャフト端(9)の方向へ流体流を導入するように構成されており、
機能要素(17)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記機能要素(17)は、前記シャフト(3)の前記周方向にオフセットして配置され、前記流体流の中に前記シャフト(3)の前記周方向の渦運動を生じさせるように構成された複数の流体案内羽根(18)を有することを特徴とする、
医療器具(1)。
【請求項2】
前記プッシュプル要素(4)が、前記機能要素(17)によって前記器具ジョー(10)に協動的に接続されており、
前記機能要素(17)が、前記プッシュプル要素(4)と共に軸方向に可動であり、前記プッシュプル要素(4)の遠位前端(21)が軸方向で支持される近位側に配置された第1の支持部(19)を有し、
前記機能要素(17)が、少なくとも間接的に前記器具ジョー(10)に作用する遠位側に配置された第2の支持部(20)を有することを特徴とする、
請求項1に記載の医療器具(1)。
【請求項3】
前記プッシュプル要素(4)をばね荷重の付勢で戻すよう構成されたばね要素(24)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記ばね要素(24)は、前記機能要素(17)によって前記プッシュプル要素(4)に協動的に接続され、この目的のために、遠位側に配置された前記機能要素(17)の第3の支持部(25)に軸方向で支持されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の医療器具(1)。
【請求項4】
前記ばね要素(24)は、前記シャフト(3)の前記周方向に巻かれた螺旋ばね(26)であり、
前記流体案内羽根(18)が、生じる前記渦運動の方向と前記螺旋ばね(26)の巻き方向とが同じになるように設計および/または配置されていることを特徴とする、
請求項3に記載の医療器具(1)。
【請求項5】
前記流体案内羽根(18)の各々が、半径方向外向きの嵌合面(27)を有し、
前記嵌合面(27)と前記シャフト(3)の半径方向内側の内壁面(28)とが嵌合することによって、前記機能要素(17)が前記キャビティ(13)内で保持されることを特徴とする、
先行する請求項の1つに記載の医療器具(1)。
【請求項6】
前記機能要素(17)が、プラスチック材料(K)または金属材料から一部品として製造されることを特徴とする、
先行する請求項の1つに記載の医療器具(1)。
【請求項7】
前記プッシュプル要素(4)は、組立のために、前記開口部(16)を通して前記シャフト(3)内へ軸方向に押し込まれることができ、分解のために、前記開口部(16)を通して前記シャフト(3)から軸方向に引き出されることができることを特徴とする、
先行する請求項の1つに記載の医療器具(1)。
【請求項8】
前記開口部(16)には、流体コネクタ(40)が設けられていることを特徴とする、
先行する請求項の1つに記載の医療器具(1)。
【請求項9】
医療器具(1)のためのシャフト(3)であって、
開閉可能な器具ジョー(10)を受容するように構成された遠位シャフト端(9)と、
前記医療器具(1)のハンドル装置(2)に着脱可能に接続するように構成された近位シャフト端(8)と、
前記ハンドル装置(2)と前記器具ジョー(10)との間で力と動きを伝達するための細長いプッシュプル要素(4)を軸方向に可動に受容するように構成された細長いキャビティ(13)と、を備え、
前記近位シャフト端(8)が、前記キャビティ(13)へ通じる開口部(16)を有し、
前記開口部(16)が、前記遠位シャフト端(9)の方向へ流体流を導入するように構成されており、
機能要素(17)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記機能要素(17)は、前記シャフト(3)の前記周方向にオフセットして配置され、前記流体流の中に前記シャフト(3)の前記周方向の渦運動を生じさせるように構成された複数の流体案内羽根(18)を有していることを特徴とする、
シャフト(3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具、特に医療用クリップを適用するための医療器具であって、固定ハンドル部と、固定ハンドル部に対して可動な可動ハンドル部とを有するハンドル装置と、近位シャフト端と遠位シャフト端との間を延びるシャフトであって、近位シャフト端がハンドル装置に着脱可能に接続され、遠位シャフト端が可動ハンドル部の動作によって開閉可能な器具ジョーを有する、シャフトと、シャフトの細長いキャビティ内を軸方向に可動に案内され、力および動きの伝達のために、近位側で可動ハンドル部に協動的に接続され、遠位側で器具ジョーに協動的に接続されている細長いプッシュプル要素と、を有する医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の医療器具は、EP 0 688 187 B1から知られており、内視鏡的介入で使用される医療用鉗子の形態で提供されている。この公知の鉗子は、固定ハンドル部および可動ハンドル部を有するハンドピースを備える。さらに、この医療用鉗子は、ハンドピースに着脱可能に接続される外管の形態をした細長いシャフトを有する。プルロッドが、外管内を軸方向に可動に案内される。プルロッドは、その一端が外管の遠位側に取り付けられた鉗子ジョーに協動的に接続されており、その他端が可動ハンドル部に協動的に接続されている。外管は、鉗子ジョーおよびプルロッドとともに、ハンドピースから取り外すことができる。これは、特に洗浄と滅菌の目的のためである。
【0003】
本発明の目的は、特に簡単で徹底的な洗浄を可能にする前述のタイプの医療器具を提供することである。
【0004】
この目的は、近位シャフト端がキャビティへ通じる開口部を有し、この開口部が遠位シャフト端の方向へ流体流を導入するように構成され、機能要素がキャビティ内に配置され、機能要素が複数の流体案内羽根を有し、複数の流体案内羽根が、シャフトの周方向にオフセットして配置され、流体流の中にシャフトの周方向の渦運動を生じさせるように構成されていることによって、達成される。本発明による解決策により、シャフトのキャビティを特に効果的に洗浄することができる。これにより、特に簡単で徹底的な洗浄が可能になる。本発明による開口部は、洗浄を目的として提供される流体をキャビティ内へ導入するように構成されている。使用される流体は、例えば、医療用洗浄液、消毒液等であってよい。本発明による機能要素は、開口部を通じてキャビティ内に導入された流体流の流動特性に影響を与える。この目的のために、機能要素は、シャフトの周方向にオフセットして配置された複数の流体案内羽根を有する。開口部から遠位方向に方向付けられた流体流は、流体案内羽根によって周方向に偏向され、その結果、回転流成分(渦)が生じる。言い換えれば、流体案内羽根は乱流を発生させる。機能要素は、渦ジェネレータまたは旋流ジェネレータと呼ばれることもある。本発明者らは、流体流の渦運動及び/又は乱流によって、キャビティをさらに徹底的に洗浄できることを見出した。本発明による医療器具は、特に洗浄のために、使用される準備が整った組立状態と分解状態との間で移行可能である。組立状態では、近位シャフト端がハンドル装置に着脱可能に接続されている。分解状態では、シャフトとハンドル装置が互いに空間的に分離されており、近位シャフト端がハンドル装置から取り外されている。近位シャフト端とハンドル装置との間の着脱可能な接続は、例えば、クランプ接続、プラグ接続、ラッチ接続、及び/又はねじ接続である。流体流を導入するために、少なくとも分解状態において、開口部にアクセスすることができる。代替的に又は追加的に、組立状態において、開口部にアクセスすることができてもよい。一実施形態では、シャフトが、遠位側に配置された更なる開口部を有しており、この開口部は、キャビティに導入された流体流の出口として機能する。あるいは、更なる開口部は、シャフトの近位端に配置されてもよい。さらなる実施形態では、出口として設けられた更なる開口部は存在しない。その代わりに、例えば、近位シャフト端の開口部が、流体流を導入するための入口として、さらに流体流を排出するための出口として構成されてよい。シャフトは、好ましくは、近位シャフト端と遠位シャフト端との間を直線状に延びる。シャフトは、その少なくとも一部が管状および/または中空円筒状であることが好ましい。シャフトは、1つの部品で構成されていてもよいし、複数の部品で構成されていてもよい。キャビティは、好ましくは、シャフトと同軸に配向されている、および/または、近位シャフト端と遠位シャフト端との間を同軸に延びる。プッシュプル要素は、可動ハンドル部から器具ジョーへ力と動きを伝達するよう機能する。器具ジョーは、可動ハンドル部の動作によって開閉可能である。器具ジョーは、2つのジョー部で形成され、これらのジョー部は、互いに対して可動であり、閉位置では互いに向かって動かされており、開位置では互いから離反していることが好ましい。可動ハンドル部は、好ましくは、固定ハンドル部に対して、操作されていない静止位置と操作された機能位置との間で可動である。器具ジョーは、閉位置と開位置との間で可動である。可動ハンドル部を動かすと、プッシュプル要素は器具ジョーに対してプル動作および/またはプッシュ動作を行ってよいが、後者が好ましい。プル動作の場合、プッシュプル要素はプル要素として機能する。プッシュ動作の場合、プッシュプル要素はプッシュ要素および/または押しつけ要素として機能する。プッシュプル要素は、その近位端と遠位端との間で、好ましくは、直線状である、および/またはキャビティと同軸である。プッシュプル要素は、シャフト内で、より正確にはキャビティ内で、半径方向に形状嵌合的に、軸方向にスライドするよう案内されることが好ましい。医療器具は、好ましくは、腹腔鏡手術のために提供される。医療器具は、例えば、医療用の鉗子、鋏、クランプなどの形態であってよい。従って、器具ジョーは、例えば、鉗子のジョー、鋏のジョー、クランプのジョー等であってよい。
【0005】
本発明の一実施形態では、プッシュプル要素は、機能要素によって器具ジョーに協動的に接続され、機能要素は、プッシュプル要素と共に軸方向に可動であり、近位側に配置された第1の支持部を有しており、プッシュプル要素の遠位前端が、軸方向で第1の支持部に支持され、機能要素は、少なくとも間接的に器具ジョーに作用する遠位側に配置された第2の支持部を有する。したがって、本発明のこの実施形態では、機能要素は、特に有利な複数の機能を有する。一方では、機能要素は、渦ジェネレータおよび/または旋流ジェネレータおよび/または乱流ジェネレータとして機能する。他方では、機能要素は、プッシュプル要素から器具ジョーへ、および/またはその逆に、力と動きを伝達するための機械的伝達要素としても機能する。このようにして、必要な構造部品の数を削減でき、医療器具を特にシンプルな設計にすることができる。可動ハンドル部が動くと、プッシュプル要素は、シャフトのキャビティ内で軸方向に動く。押される場合、プッシュプル要素は遠位方向に動く。引っ張られる場合、プッシュプル要素は近位方向に動く。機能要素は、プッシュプル要素とともに軸方向に移動可能である。プッシュプル要素との力および動き伝達の協動接続のために、機能要素は、近位側に配置された第1の支持部を有する。第1の支持部は、押圧/または引張のために、プッシュプル要素の遠位前端と相互作用する。プッシュプル要素の遠位前端が、軸方向で第1の支持部に直接支持されることが好ましい。力および動きを器具ジョーに伝達するために、機能要素は、遠位側に配置された第2の支持部を有する。第2の支持部は、少なくとも間接的に器具ジョーに協動的に接続されている。
【0006】
本発明のさらなる実施形態では、プッシュプル要素をばね荷重の付勢で戻すように構成されたばね要素がキャビティ内に配置されており、ばね要素は、機能要素によってプッシュプル要素に協動的に接続されており、この目的のために、ばね要素は、遠位側に配置された機能要素の第3の支持部に軸方向で支持されている。したがって、本発明のこの実施形態では、機能要素はさらに、ばね要素の付勢をプッシュプル要素へ伝達するための機械的伝達要素としても機能する。このようにして、必要な構造部品の数をさらに削減することができ、設計をさらにシンプルにすることができる。ばね要素は、器具ジョーを開閉するためのプッシュプル要素の軸方向の動きに対抗する。プッシュプル要素が、一方では器具ジョーに協動的に接続されており、他方では可動ハンドル部に協動的に接続されているので、ばね要素はさらに、間接的に、ばね荷重の付勢で、好ましくは閉位置から開位置へ器具ジョーを戻す、および操作されていない静止位置の方向へ可動ハンドル部を戻す。ばね要素は、機能要素の遠位面に配置される。流体は、近位シャフト端に設けられた開口部からキャビティを通って遠位方向に流れる。ばね要素が機能要素の遠位面に配置されているので、流体流は、渦運動を伴った状態でばね要素にぶつかる。これにより、ばね要素を特に徹底的に洗浄することができる。
【0007】
本発明のさらなる実施形態では、ばね要素は、シャフトの周方向に巻かれた螺旋ばねであり、流体案内羽根は、生じる渦運動の方向と螺旋ばねの巻き方向とが同じになるように設計および/または配置される。これにより、ばね要素をより良く洗浄することができる。本発明者らは、実際に、達成可能な洗浄結果に関して、渦運動の方向と螺旋ばねの巻き方向とが同じである場合、より良い流動特性が得られることを見出した。方向が同じであるとは、シャフトに沿った共通の軸方向で見たときに、機能要素によって生じる渦運動と螺旋ばねの巻き方向との両方が、長手方向軸を中心として時計回り方向または反時計回り方向であることを意味する。
【0008】
本発明のさらなる実施形態では、流体案内羽根の各々は、半径方向外向きの嵌合面を有し、嵌合面がシャフトの半径方向内側の内壁面と嵌合することによって、機能要素がキャビティ内で保持される。ここで、機能要素は、少なくとも半径方向に保持される。さらに、前述の嵌合によって、キャビティ内で機能要素を軸方向で保持してもよい。機能要素の軸方向移動がない場合は、このようになる。嵌合は、プレス嵌合、移行嵌合、またはクリアランス嵌合であってよい。本発明のこの実施形態では、シャフト内で機能要素を取り付けるおよび/または固定するための軸受および/または締結要素を別で設けなくてすむ。機能要素がプッシュプル要素と共にキャビティ内で軸方向に移動可能に案内される場合、流体案内羽根の嵌合面はシャフトの内壁面に沿って摺動する。半径方向で、嵌合面と内壁面とは形状嵌合的に相互作用する。シャフトの内壁面は円形の円筒形状を有することが好ましい。嵌合面の各々は、円筒面の凸状セグメントとして設計されている。
【0009】
本発明のさらなる実施形態では、機能要素は、プラスチック材料または金属材料から一部品として製造される。これにより、さらなる設計上の利点が得られる。別の実施形態では、機能要素は、複数の部品として製造される。機能要素の一部をプラスチック材料から製造し、別の一部を金属材料から製造してもよい。
【0010】
本発明のさらなる実施形態では、プッシュプル要素は、組立のために、開口部を通してシャフト内へ軸方向に押し込まれることができ、分解のために、開口部を通してシャフトから軸方向に引き抜かれることができる。したがって、本発明のこの実施形態では、開口部は特に有利な複数の機能を有する。一方では、開口部は、流体流を導入するための入口として機能する。他方では、開口部は、シャフトへの組付け時およびシャフトからの分解時に、プッシュプル要素の通路としても機能する。プッシュプル要素は、少なくとも、近位シャフト端がハンドル装置から取り外されて、医療器具が分解状態になったときに、開口部を通してキャビティから軸方向に引き出されることができる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、開口部には流体コネクタが設けられている。流体コネクタは、例えば、ルアーコネクタ、NRFitコネクタ等であってよい。流体コネクタは、相補的な流体コネクタに流体密に接続されるように構成されている。これにより、このような相補的な流体コネクタを備えた流体ラインを開口部に取り付けることができる。このようにして、過圧の流体流を開口部から導入することができる。これにより、さらにより良い洗浄が可能になる。
【0012】
本発明はさらに、医療器具のためのシャフトであって、開閉可能な器具ジョーを受容するように構成された遠位シャフト端と、医療器具のハンドル装置に着脱可能に接続されるように構成された近位シャフト端と、ハンドル装置と器具ジョーとの間で力および動きを伝達するための細長いプッシュプル要素を軸方向に移動可能に受容するように構成された細長いキャビティとを有するシャフトに関する。本発明によれば、近位シャフト端はキャビティ内へ通じる開口部を有し、この開口部は遠位シャフト端の方向へ流体流を導入するように構成され、機能要素がキャビティ内に配置され、この機能要素は複数の流体案内羽根を有し、複数の流体案内羽根は、シャフトの周方向にオフセットして配置されており、流体流の中にシャフトの周方向の渦運動を生じさせるように構成されている。本発明によるシャフトは、特に簡単かつ徹底的に洗浄することができる。さらなる説明のため、また繰り返しを避けるために、本発明による医療器具に関して述べたことが明示的に参照される。本発明によるシャフトの実施形態は、本発明による医療器具の実施形態に対応する。本発明によるシャフトは、特に有利には、医療用鉗子に適している。しかしながら、本発明によるシャフトは、近位側に配置されたハンドル装置と遠位側に配置された器具ジョーとを有する別の医療器具にも適している。例として挙げるとすれば、特に、医療用の開創器、鋏、クランプなどである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
発明のさらなる利点および特徴は、特許請求の範囲および図面に示す本発明の好ましい例示的実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
図1】本発明による医療器具の一実施形態の概略側面図であり、医療器具は、ハンドル装置および本発明に従って設計されたシャフトを備え、シャフトは、ハンドル装置に着脱可能に取り付けられている。
図2図1のシャフトの概略斜視縦断面図である。
図3図1の医療器具のプッシュプル要素の概略斜視縦断面図であり、プッシュプル要素は、組立状態(図1)において、シャフト内で軸方向に可動に案内されている。
図4】ハンドル装置の領域における、図1の医療器具の概略的な部分切断縦断面図である。
図5】遠位側に配置された器具ジョーの領域におけるシャフトの詳細を示した概略的な部分切断側面図であり、個々の構造部品および/または部分は省略されている。
図6】機能要素の領域における、図5の図の一部の切断斜視詳細図である。
図7】機能要素の概略斜視図である。
図8図7の機能要素の概略的かつ大幅に簡略化された縦断面図である。
図9図2のシャフトの近位シャフト端の部分切断縦断面図である。
【0014】
図1によると、腹腔鏡手術に使用される医療器具が提供されている。本例では、医療器具は、医療用鉗子1の形態をしており、医療用クリップを適用するために使用されるので、医療用クリップアプリケータとも呼ばれる。
【0015】
医療用鉗子1は、ハンドル装置2と、細長いシャフト3(図2参照)と、プッシュプル要素4(図3参照)とを有する。
【0016】
ハンドル装置2は、固定ハンドル部5および可動ハンドル部6を有する。可動ハンドル部6は、操作されていない静止位置(図1および図4参照)と操作された機能位置(図面には詳細に示されていない)との間で、固定ハンドル部5に対して手動で動かすことができる。
【0017】
図示の実施形態では、可動ハンドル部6は、回動ピン7を中心として固定ハンドル部5に対して回動可能である。操作されていない静止位置では、可動ハンドル部6は、回動ピン7を中心として固定ハンドル部5から遠ざかるように時計回りに回動している。操作された機能位置では、可動ハンドル部6は、回動ピン7を中心として固定ハンドル部5に近づくように反時計回りに回動している。図示されていない実施形態では、可動ハンドル部は、代替的または付加的に、静止位置と機能位置との間で並進移動可能である。
【0018】
シャフト3は、近位シャフト端8と遠位シャフト端9との間を延びている。近位シャフト端8は、ハンドル装置2に着脱可能に接続される。接続が解除されることによって、シャフト3をハンドル装置2から取り外すことができ、医療用鉗子1が、図1に示される使用準備が整った組立状態から解体された分解状態へ移行することができる。分解状態は、主に、シャフト3および/またはハンドル装置2の洗浄および/または消毒のためである。遠位シャフト端9は、鉗子ジョー10の形態をした器具ジョーを有し、鉗子ジョー10は、可動ハンドル部6の動作によって、閉位置(図1)と開位置(図2および図5)との間で可動である。
【0019】
図示の実施形態では、鉗子ジョー10は、第1のジョー部11と第2のジョー部12で形成されている。閉位置では、第1のジョー部11と第2のジョー部12は互いに近づくように動かされている。開位置では、第1のジョー部11と第2のジョー部12は互いから遠ざかるように動かされている。
【0020】
鉗子ジョー10の機能および設計は本発明にとって必須なものではないので、これに関するさらなる説明は必要ない。図示されていない実施形態では、シャフトは、鉗子ジョー10の代わりに、例えば、鋏、開創器、クランプ等のエフェクタを有する。
【0021】
プッシュプル要素4は、可動ハンドル部6と鉗子ジョー10との間で力と動きを伝達するように構成されている。プッシュプル要素4は、近位端14と遠位端15との間を延びている。組立状態において、近位端14は可動ハンドル部6に協動的に接続されており、遠位端15は鉗子ジョー10に協動的に接続されており、プッシュプル要素4はシャフト3のキャビティ13内で軸方向に移動可能に配置されている。キャビティ13は、近位シャフト端8と遠位シャフト端9との間を延びている。組立状態では、シャフト3とプッシュプル要素4は同軸に配置されている。分解状態では、プッシュプル要素4がシャフト3から取り外される、より正確にはキャビティ13から近位方向に引き出される。
【0022】
簡単かつ特に徹底的な洗浄を可能にするために、シャフト3は、近位シャフト端8に、キャビティ13へ通じる開口部16を有する。開口部16を介して、例えば、洗浄液、消毒液などの流体をシャフト3内へ導入することができる。これによって生じる流体流は、開口部16から遠位シャフト端9の方向へ流れる。
【0023】
シャフト3はさらに、キャビティ13内に配置された機能要素17を有する。機能要素17は、前述の流体流に有利に影響を与えるよう機能する。この目的のために、機能要素17は、シャフト3の周方向にオフセットして配置される複数の流体案内羽根18(図7参照)を有する。流体案内羽根18は、流体流の中にシャフト3の周方向の渦運動を生じさせるように構成されている。言い換えれば、流体案内羽根18は、流体流をシャフト3の周方向へ偏向させる。この偏向に伴う回転流成分は、渦または乱流と呼ばれることがある。従って、機能要素17は、渦ジェネレータまたは乱流ジェネレータとも呼ばれる。
【0024】
図示の実施形態では、流体を導入するための開口部16にアクセスできるのは、シャフト3がハンドル装置2から取り外されて、プッシュプル要素4がシャフト3から取り外されたとき(分解状態)のみである。しかしながら、このような設計および/または構成は、本発明に関して必須ではない。図示されていない実施形態では、開口部が近位シャフト端の半径方向外面に設けられており、その結果、医療用鉗子1が使用準備が整った組立状態(図1)にあるときでも開口部にアクセスすることができる。
【0025】
本実施形態のさらなる構造的および機能的特徴を以下に詳細に説明する。これらの特徴は、基本的な本発明の観点から有利であるが、必須なものではないとみなされる。
【0026】
図示の実施形態では、プッシュプル要素4は、機能要素17によって鉗子ジョー10に協動的に接続されている。従って、機能要素17は、プッシュプル要素4から鉗子ジョー10および/またはその逆に力と動きを伝達するための機械的伝達要素としても機能する。この目的のために、機能要素17は、近位側に配置された第1の支持部19と、遠位側に配置された第2の支持部20とを有する(図8参照)。組立状態において、第1の支持部19は、プッシュプル要素4の遠位前端21と相互作用する。第2の支持部20は、少なくとも間接的に鉗子ジョー10に作用する。本例では、第2の支持部20は、遠位方向で鉗子ジョー10の構造部22に支持される。
【0027】
プッシュプル要素4は、原理的には、押すおよび/または引くことによって鉗子ジョー10に作用してよい。図示の実施形態では、プッシュプル要素4が遠位方向へ動くことによって、鉗子ジョー10が閉じられる。従って、プッシュプル要素4は、押す作用を有し、プッシュ要素とも呼ばれる。鉗子ジョー10を閉じるのに必要な押力は、プッシュプル要素4の遠位前端21を介して第1の支持部19へ伝達され、そこから第2の支持部20を介して構造部22へ伝達される。結果として生じる軸方向移動に関しても同様である。機能要素17は、プッシュプル要素4とともに軸方向に移動可能である。
【0028】
図示されていない実施形態では、プッシュプル要素は、引く作用で機能要素と相互作用する。この目的のために、プッシュプル要素と機能要素は、例えば、ねじ接続などによって、当業者に基本的に公知の方法で、引っ張り力を伝達するように互いに接合されている。
【0029】
本例では、機能要素17は構造部22にねじ止めされる。この目的のために、機能要素17は軸方向の貫通孔23を有する。貫通孔23には、構造部22の相手側ねじ山と螺合するねじ山が設けられてよい。あるいは、貫通孔23は、構造部22に螺合される接続ねじを受容するように構成されてもよい。
【0030】
本例では、ばね要素24もキャビティ13内に配置されている。ばね要素24は、プッシュプル要素4を近位方向へばね荷重の付勢で戻すよう機能する。ばね要素24は、機能要素17によって、プッシュプル要素4に協動的に接続されている。ばね要素24は、この目的のために、遠位側に配置された機能要素17の第3の支持部25に軸方向で支持されている。ばね要素24の戻し力は、第3の支持部25に近位方向で作用し、そこから第1の支持部19を介してプッシュプル要素4の遠位前端21に作用する。鉗子ジョー10を閉じるためにプッシュプル要素4が遠位方向へ動くときには、その軸方向の力および軸方向の動きは、遠位前端21から第1の支持部19を介して第3の支持部25へ伝達され、そこからばね要素24へと伝達される。このようにして、ばね要素24は付勢される。ばね要素24は、機能要素17と反対側のその遠位端において、軸方向に動くことができないようにシャフト3の一部(詳細には図示せず)に支持されている。従って、機能要素17はさらに、プッシュプル要素4とばね要素24との間で力と動きを伝達するための機械的伝達要素としても機能する。
【0031】
本例のばね要素24は、シャフト3の周方向に巻かれた螺旋ばね26である。特に図6に示されているように、流体案内羽根18は、流体流に生じる渦運動の方向と螺旋ばね26の巻き方向とが同じになるように設計および/または配置されている。図示された実施形態では、遠位シャフト端9の方向で軸方向に見たときに、螺旋ばね26の巻き方向は時計回りの方向である。同じことが、流体案内羽根18によって生じる渦運動の方向にも適用される。流体案内羽根18は、遠位方向に対して時計回りに傾斜および/または角度付けされている。螺旋ばね26の巻きと機能要素17による渦とが同じ方向なので、ばね要素24の領域を特に簡単かつ徹底的に洗浄することができる。
【0032】
図7にさらに示されているように、流体案内羽根18の各々は、半径方向外向きの嵌合面27を有する。嵌合面27とシャフト3の半径方向内側の内壁面28とが嵌合することによって、機能要素17がキャビティ13内で保持される。本例では、前述の嵌合によって、機能要素17が、キャビティ13および/またはシャフト3の半径方向Rで、形状嵌合的に内壁面28に保持される。キャビティ13および/またはシャフト3の軸方向における機能要素17の上述の可動性を確保するために、本例における嵌合はクリアランス嵌合である。クリアランス嵌合は、嵌合面27と内壁面28とが軸方向Aで互いに対して摺動することを可能にする。図示されていない実施形態では、機能要素は、軸方向でキャビティおよび/またはシャフトに固定されている。この場合、嵌合はプレス嵌合として設計されてよい。
【0033】
機能要素17の本例の設計の更なる詳細が、特に図7及び図8に示されている。図示の実施形態では、機能要素17は、円形の円筒状の基本形状Gを有し、この基本形状Gには、周方向にオフセットして配置された複数の切り込み29が設けられている。流体案内羽根18の各々は、2つの切り込み29の間に設けられている。別の言い方をすれば、切り込み29の各々は、2つの流体案内羽根18の間に設けられている。切り込み29は、半径方向Rの外側から内側へ延びている。切り込み29は、軸方向Aに対して傾斜している、および/または、角度付けられている。このことは特に図6を見るとわかる。機能要素17は、近位端30と遠位端31との間を軸方向に延びている。機能要素17は、近位端30から窪んだ凹部32を有する。窪んだ凹部32は遠位方向で湾曲している。本例では、第1の支持部19の法線方向は、軸方向Aに平行であり、近位に向いている。第2の支持部20の法線方向および第3の支持部25の法線方向の各々は、軸方向Aに平行であり、遠位に向いている。さらに、支持部19、20、25の各々は、円形面として設計されている。図示の実施形態では、機能要素17は一部品として製造されている。材料としてプラスチック材料Kが選択される。図示しない実施形態では、代わりに、金属材料および/または機能要素の複数部品としての製造が提供されてよい。
【0034】
シャフト3の更なる詳細は、特に図2及び図9に示されている。本実施形態では、シャフトは、外管33と、内管34と、シャフト取付部35と、シャフト延在部36とを有する。外管33と内管34の各々は、近位シャフト端8と遠位シャフト端9との間を延びている。外管33と内管34とは、軸方向Aに沿って同軸である。外管33は円形円筒状の中空断面を有する。内管34も同じである。外管33はキャビティ13を画成しており、したがってキャビティ13は円筒形状を有する。内管34はキャビティ13内に配置されている。さらに、内管34は、複数の軸受要素37によって外管33に固定的に取り付けられている。本例では、軸受要素37は環状設計を有する。外管33の内面(詳細には図示せず)は、シャフト3の内壁面28を形成している。内管34は、特に、プッシュプル要素4の軸方向に移動可能な取付けおよび/または案内のために機能する。シャフト取付部34は、当業者に原理的に公知の方法で外管33および/または内管34に固定的に接続されており、特に、シャフト3をハンドル装置2に着脱可能に接続するための接続要素として機能する。この目的のために、シャフト取付部35は、ハンドル装置2の外側コーン39と一致する内側コーン38を有する。組立状態(図1)では、内側コーン38と外側コーン39は、軸方向Aに沿って着脱可能に互いに差し込まれている。このようにして形成される差し込み接続の代わりにまたはそれに加えて、近位シャフト端8とハンドル装置2との間に螺合接続、ラッチ接続、および/またはクランプ接続が存在してもよい。
【0035】
図示の実施形態では、開口部16はシャフト延在部36に設けられている。シャフト延在部36は、開口部16に関連する流体コネクタ40を有する。図示の実施形態では、流体コネクタは、外側ねじ部42と内側コーン43とを有するルアーロックコネクタ41である。シャフト延在部36は、シャフト取付部35と同軸に配置されている。シャフト取付部35は、内管34および/または外管33と同軸である。シャフト延在部36は、開口部16から遠位方向に延びる内腔44を有する。内腔44は、内管34に開口しており、したがって、少なくとも間接的に外管33および/またはキャビティ13にも開口している。
【0036】
図示の実施形態では、シャフト延在部36は、内側コーン38と外側コーン39との間に形成される差込み接続をロックするために、ハンドル装置2に設けられたラッチ46と相互作用するノッチ45を有する。前述のロックの設計および機能は、本発明の観点からは重要ではない。可動ハンドル部6とプッシュプル要素4の近位端14との間の力と動きの伝達に関しても同様である。したがって、本実施形態の前述の態様については、これ以上詳細に説明しない。
【0037】
シャフト延在部36は、内腔44から半径方向に分岐する複数の洗浄チャンネル47を有する。洗浄チャンネル47は、内腔44からシャフト延在部36の外面まで半径方向Rに延びている。これにより、洗浄のために開口部16へ導入された流体流は、洗浄チャンネル47を通ってシャフト取付部35の内側コーン38の領域へ入ることができる。これにより、シャフト3をより良く洗浄することができる。洗浄チャンネル47は、別の位置に配置されてもよいし、流体流の方向に対して別の向きで配向されてもよい。本実施形態は、流体流が洗浄チャンネル47を通って内側コーン38の遠位前縁48まで確実に送達されることを意図している。
【0038】
図1に示される医療用鉗子1の使用準備が整った組立状態から、以下のように洗浄を行うことができる。
【0039】
まず、シャフト3がハンドル装置2から取り外される。このために、近位シャフト端8とハンドル装置2との間の差し込み接続が解除される。より正確には、内側コーン38が外側コーン39から引き抜かれる、および/またはその逆である。その前に、本例では差し込み接続をロックする目的で存在しているラッチ46とノッチ45との間のラッチ-ノッチ接続が、解除される。シャフト3がハンドル装置2から取り外された後、プッシュプル要素4がシャフト3から近位方向に取り外される。本例では、開口部16を通して取り外される。次に、流体コネクタを備えた流体ラインが、シャフト3の流体コネクタ40に取り付けられる。例えば、洗浄液や消毒液などの洗浄用の流体が、流体ラインから開口部16を介してキャビティ13内へ送られる。これから生じる流体流は、遠位シャフト端9の方向へ軸方向に流れる。本例では、流体流は、流体ラインから開口部16を通って内腔44内へ入り、内腔44から内管34内へ入る。流体は、内管34の遠位端(詳細には図示せず)の領域で流出し、機能要素17にぶつかって、機能要素17によって前述の渦運動および/または乱流が付与された後、ばね要素24にぶつかる。
【0040】
図示の実施形態では、流体流は、遠位シャフト端9の領域にある開口部および/または隙間(詳細には図示せず)を通ってシャフト3から出る。代替的または追加的に、近位方向の戻り流が、外管33と内管34との間に形成されている環状空間49内を通って、シャフト取付部35の領域で開口部および/または隙間(詳細には図示せず)を通ってシャフト3から出るように、内管34、外管33、および軸受要素37が設計されてもよい。しかし、図示の実施形態では、環状空間49は流体密に閉じられている。このために、内管34と外管33は、軸受要素37の領域で溶接されている。
【0041】
洗浄チャンネル47のさらなる効果は、流体流が内腔44から半径方向に出て、前縁48にぶつかることである。これにより、「孔」または内側コーン38の底部が陽圧で洗浄される。使用された液体は、前縁48から内側コーン38に沿って近位方向へ流れ出る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具(1)、特に医療用クリップを適用するための器具であって、
固定ハンドル部(5)と、前記固定ハンドル部(5)に対して可動な可動ハンドル部(6)と、を有するハンドル装置(2)と、
近位シャフト端(8)と遠位シャフト端(9)との間を延びるシャフト(3)であって、前記近位シャフト端(8)が前記ハンドル装置(2)に着脱可能に接続され、前記遠位シャフト端(9)が、前記可動ハンドル部(6)の動作によって開閉可能な器具ジョー(10)を有する、シャフト(3)と、
前記シャフト(3)の細長いキャビティ(13)内で軸方向に可動に案内され、力と動きの伝達のために、近位側で前記可動ハンドル部(6)に協動的に接続され、遠位側で前記器具ジョー(10)に協動的に接続されている細長いプッシュプル要素(4)と、を備え、
前記近位シャフト端(8)が前記キャビティ(13)へ通じる開口部(16)を有し、
前記開口部(16)が、前記遠位シャフト端(9)の方向へ流体流を導入するように構成されており、
機能要素(17)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記機能要素(17)は、前記シャフト(3)の前記周方向にオフセットして配置され、前記流体流の中に前記シャフト(3)の前記周方向の渦運動を生じさせるように構成された複数の流体案内羽根(18)を有することを特徴とする、
医療器具(1)。
【請求項2】
前記プッシュプル要素(4)が、前記機能要素(17)によって前記器具ジョー(10)に協動的に接続されており、
前記機能要素(17)が、前記プッシュプル要素(4)と共に軸方向に可動であり、前記プッシュプル要素(4)の遠位前端(21)が軸方向で支持される近位側に配置された第1の支持部(19)を有し、
前記機能要素(17)が、少なくとも間接的に前記器具ジョー(10)に作用する遠位側に配置された第2の支持部(20)を有することを特徴とする、
請求項1に記載の医療器具(1)。
【請求項3】
前記プッシュプル要素(4)をばね荷重の付勢で戻すよう構成されたばね要素(24)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記ばね要素(24)は、前記機能要素(17)によって前記プッシュプル要素(4)に協動的に接続され、この目的のために、遠位側に配置された前記機能要素(17)の第3の支持部(25)に軸方向で支持されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の医療器具(1)。
【請求項4】
前記ばね要素(24)は、前記シャフト(3)の前記周方向に巻かれた螺旋ばね(26)であり、
前記流体案内羽根(18)が、生じる前記渦運動の方向と前記螺旋ばね(26)の巻き方向とが同じになるように設計および/または配置されていることを特徴とする、
請求項3に記載の医療器具(1)。
【請求項5】
前記流体案内羽根(18)の各々が、半径方向外向きの嵌合面(27)を有し、
前記嵌合面(27)と前記シャフト(3)の半径方向内側の内壁面(28)とが嵌合することによって、前記機能要素(17)が前記キャビティ(13)内で保持されることを特徴とする、
項1に記載の医療器具(1)。
【請求項6】
前記機能要素(17)が、プラスチック材料(K)または金属材料から一部品として製造されることを特徴とする、
項1に記載の医療器具(1)。
【請求項7】
前記プッシュプル要素(4)は、組立のために、前記開口部(16)を通して前記シャフト(3)内へ軸方向に押し込まれることができ、分解のために、前記開口部(16)を通して前記シャフト(3)から軸方向に引き出されることができることを特徴とする、
項1に記載の医療器具(1)。
【請求項8】
前記開口部(16)には、流体コネクタ(40)が設けられていることを特徴とする、
項1に記載の医療器具(1)。
【請求項9】
医療器具(1)のためのシャフト(3)であって、
開閉可能な器具ジョー(10)を受容するように構成された遠位シャフト端(9)と、
前記医療器具(1)のハンドル装置(2)に着脱可能に接続するように構成された近位シャフト端(8)と、
前記ハンドル装置(2)と前記器具ジョー(10)との間で力と動きを伝達するための細長いプッシュプル要素(4)を軸方向に可動に受容するように構成された細長いキャビティ(13)と、を備え、
前記近位シャフト端(8)が、前記キャビティ(13)へ通じる開口部(16)を有し、
前記開口部(16)が、前記遠位シャフト端(9)の方向へ流体流を導入するように構成されており、
機能要素(17)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記機能要素(17)は、前記シャフト(3)の前記周方向にオフセットして配置され、前記流体流の中に前記シャフト(3)の前記周方向の渦運動を生じさせるように構成された複数の流体案内羽根(18)を有していることを特徴とする、
シャフト(3)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
洗浄チャンネル47のさらなる効果は、流体流が内腔44から半径方向に出て、前縁48にぶつかることである。これにより、「孔」または内側コーン38の底部が陽圧で洗浄される。使用された液体は、前縁48から内側コーン38に沿って近位方向へ流れ出る。
下記する項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
医療器具(1)、特に医療用クリップを適用するための器具であって、
固定ハンドル部(5)と、前記固定ハンドル部(5)に対して可動な可動ハンドル部(6)と、を有するハンドル装置(2)と、
近位シャフト端(8)と遠位シャフト端(9)との間を延びるシャフト(3)であって、前記近位シャフト端(8)が前記ハンドル装置(2)に着脱可能に接続され、前記遠位シャフト端(9)が、前記可動ハンドル部(6)の動作によって開閉可能な器具ジョー(10)を有する、シャフト(3)と、
前記シャフト(3)の細長いキャビティ(13)内で軸方向に可動に案内され、力と動きの伝達のために、近位側で前記可動ハンドル部(6)に協動的に接続され、遠位側で前記器具ジョー(10)に協動的に接続されている細長いプッシュプル要素(4)と、を備え、
前記近位シャフト端(8)が前記キャビティ(13)へ通じる開口部(16)を有し、
前記開口部(16)が、前記遠位シャフト端(9)の方向へ流体流を導入するように構成されており、
機能要素(17)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記機能要素(17)は、前記シャフト(3)の前記周方向にオフセットして配置され、前記流体流の中に前記シャフト(3)の前記周方向の渦運動を生じさせるように構成された複数の流体案内羽根(18)を有することを特徴とする、
医療器具(1)。
(項目2)
前記プッシュプル要素(4)が、前記機能要素(17)によって前記器具ジョー(10)に協動的に接続されており、
前記機能要素(17)が、前記プッシュプル要素(4)と共に軸方向に可動であり、前記プッシュプル要素(4)の遠位前端(21)が軸方向で支持される近位側に配置された第1の支持部(19)を有し、
前記機能要素(17)が、少なくとも間接的に前記器具ジョー(10)に作用する遠位側に配置された第2の支持部(20)を有することを特徴とする、
項目1に記載の医療器具(1)。
(項目3)
前記プッシュプル要素(4)をばね荷重の付勢で戻すよう構成されたばね要素(24)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記ばね要素(24)は、前記機能要素(17)によって前記プッシュプル要素(4)に協動的に接続され、この目的のために、遠位側に配置された前記機能要素(17)の第3の支持部(25)に軸方向で支持されていることを特徴とする、
項目1または2に記載の医療器具(1)。
(項目4)
前記ばね要素(24)は、前記シャフト(3)の前記周方向に巻かれた螺旋ばね(26)であり、
前記流体案内羽根(18)が、生じる前記渦運動の方向と前記螺旋ばね(26)の巻き方向とが同じになるように設計および/または配置されていることを特徴とする、
項目3に記載の医療器具(1)。
(項目5)
前記流体案内羽根(18)の各々が、半径方向外向きの嵌合面(27)を有し、
前記嵌合面(27)と前記シャフト(3)の半径方向内側の内壁面(28)とが嵌合することによって、前記機能要素(17)が前記キャビティ(13)内で保持されることを特徴とする、
先行する項目の1つに記載の医療器具(1)。
(項目6)
前記機能要素(17)が、プラスチック材料(K)または金属材料から一部品として製造されることを特徴とする、
先行する項目の1つに記載の医療器具(1)。
(項目7)
前記プッシュプル要素(4)は、組立のために、前記開口部(16)を通して前記シャフト(3)内へ軸方向に押し込まれることができ、分解のために、前記開口部(16)を通して前記シャフト(3)から軸方向に引き出されることができることを特徴とする、
先行する項目の1つに記載の医療器具(1)。
(項目8)
前記開口部(16)には、流体コネクタ(40)が設けられていることを特徴とする、
先行する項目の1つに記載の医療器具(1)。
(項目9)
医療器具(1)のためのシャフト(3)であって、
開閉可能な器具ジョー(10)を受容するように構成された遠位シャフト端(9)と、
前記医療器具(1)のハンドル装置(2)に着脱可能に接続するように構成された近位シャフト端(8)と、
前記ハンドル装置(2)と前記器具ジョー(10)との間で力と動きを伝達するための細長いプッシュプル要素(4)を軸方向に可動に受容するように構成された細長いキャビティ(13)と、を備え、
前記近位シャフト端(8)が、前記キャビティ(13)へ通じる開口部(16)を有し、
前記開口部(16)が、前記遠位シャフト端(9)の方向へ流体流を導入するように構成されており、
機能要素(17)が、前記キャビティ(13)内に配置されており、
前記機能要素(17)は、前記シャフト(3)の前記周方向にオフセットして配置され、前記流体流の中に前記シャフト(3)の前記周方向の渦運動を生じさせるように構成された複数の流体案内羽根(18)を有していることを特徴とする、
シャフト(3)。
【国際調査報告】