(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】根管封鎖器具
(51)【国際特許分類】
A61C 5/50 20170101AFI20240719BHJP
A61C 5/42 20170101ALI20240719BHJP
A61C 1/12 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61C5/50
A61C5/42
A61C1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506556
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022039046
(87)【国際公開番号】W WO2023014653
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524041680
【氏名又は名称】ウィリアム・エル・ワイルディ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ワイルディ,ウィリアム・エル
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン,セニア・エス
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA16
4C052BB02
4C052CC02
4C052DD01
4C052DD08
(57)【要約】
根管封鎖器具は、シャフト及び螺旋状部材を含む長尺部材を含む。根管封鎖器具は、長尺部材の少なくとも一部を取り囲むハウジングをさらに含み、ハウジングは、長尺部材に対してスライド移動するように構成される。ハウジングは、ハウジングの両端に近位開口部と遠位開口部とを含んでおり、近位開口部は、長尺部材の遠位端よりも長尺部材の近位端に近く、遠位開口部は、長尺部材の近位端よりも長尺部材の遠位端に近い。ハウジングは、螺旋状部材の第1の直径及びシャフトの第2の直径と少なくとも同じ大きさの直径を有する内部チャンバをさらに含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
根管封鎖器具であって、当該根管封鎖器具が、
シャフト及び螺旋状部材を備える長尺部材と、
前記長尺部材の少なくとも一部を取り囲むハウジングであって、前記長尺部材に対してスライド移動するように構成されたハウジングと
を備えており、前記ハウジングが、
該ハウジングの両端の近位開口部及び遠位開口部であって、近位開口部が、前記長尺部材の遠位端よりも前記長尺部材の近位端に近く、遠位開口部が、前記長尺部材の近位端よりも前記長尺部材の遠位端に近い、近位開口部及び遠位開口部、並びに
前記螺旋状部材の第1の直径及び前記シャフトの第2の直径と少なくとも同じ大きさの直径を有する内部チャンバ
を含んでいる、根管封鎖器具。
【請求項2】
前記ハウジング内に位置し、かつ前記螺旋状部材と接触する充填材をさらに備える、請求項1に記載の根管封鎖器具。
【請求項3】
前記ハウジングが、根管の壁と接触すると、前記長尺部材の近位端に向かってスライドして、前記充填材を前記遠位開口部から吐出するように構成されている、請求項2に記載の根管封鎖器具。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記近位開口部に第1のテーパ端部を有しており、第1のテーパ端部は、前記ハウジングの一部が、モータ駆動式歯科ハンドピースの器具開口部に入り易くなるように構成されている、請求項1に記載の根管封鎖器具。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記遠位開口部に第2のテーパ端部を有しており、第2のテーパ端部は、第2のテーパ端部が、根管の開口部に部分的に入り込めるように構成されている、請求項4に記載の根管封鎖器具。
【請求項6】
第2のテーパ端部の小さい方の外径が根管の開口部よりも小さく、第2のテーパ端部の大きい方の外径が根管の開口部よりも大きく、前記ハウジングの非テーパ部が根管内に入り込むのを防ぐ、請求項5に記載の根管封鎖器具。
【請求項7】
前記螺旋状部材の第1の直径が前記シャフトの第2の直径よりも小さく、前記長尺部材が、前記シャフトと前記螺旋状部材の間のテーパ部をさらに備える、請求項1に記載の根管封鎖器具。
【請求項8】
前記長尺部材が、前記ハウジングと前記長尺部材の間にシールを形成するように構成された前記シャフト上の環状フランジをさらに備える、請求項7に記載の根管封鎖器具。
【請求項9】
前記長尺部材が、該長尺部材の近位端に連結端部をさらに備える、請求項1に記載の根管封鎖器具。
【請求項10】
前記連結端部を受け入れるように構成された器具開口部を備えるモータ駆動式歯科ハンドピースであって、前記長尺部材を300~1000回転毎分の回転速度で回転させるように構成されたモータ駆動式歯科ハンドピースをさらに備える、請求項9に記載の根管封鎖器具。
【請求項11】
根管封鎖器具の長尺部材を根管の開口部に配置するステップであって、前記長尺部材を取り囲むハウジングの第1のテーパ部が歯の一部と接触するステップと、
前記長尺部材を根管に挿入するステップであって、前記長尺部材の挿入に応答して、前記ハウジングが、前記長尺部材に沿って根管内の前記長尺部材の先端から離れる方向にスライド移動し、前記長尺部材が、前記長尺部材の遠位端に螺旋状部材を備える、ステップと、
前記ハウジングが前記長尺部材に沿ってスライド移動することに応答して、前記ハウジングの第1のテーパ部の開口から根管の開口部に充填材を吐出させるステップと、
前記螺旋状部材を回転させるステップであって、前記螺旋状部材の回転及び前記ハウジングと前記長尺部材の間のシールに基づいて、前記充填材が根管内に押し出されるステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記長尺部材を根管から引き抜くステップであって、前記充填材が根管の開口部を封鎖する、ステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記根管封鎖器具の長尺部材を根管の開口部に配置する前に、前記充填材を含むハウジングを前記長尺部材上にスライド移動させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
根管封鎖器具であって、当該根管封鎖器具が、
シャフト及び螺旋状部材を備える長尺部材と、
ハウジングであって、該ハウジングの両端に第1の開口部及び第2の開口部を含んでいるとともに、前記長尺部材の少なくとも一部を取り囲むのに十分な内径を有するハウジングと
を備えており、前記ハウジングが、前記長尺部材に対してスライド移動するように構成され、前記シャフト及び前記螺旋状部材の少なくとも一部が、前記ハウジング内に位置する、根管封鎖器具。
【請求項15】
前記ハウジングが前記長尺部材の近位端に向かってスライド移動することに応答して、前記ハウジング内に位置する充填材が遠位開口部から吐出される、請求項14に記載の根管封鎖器具。
【請求項16】
前記ハウジングが、近位開口部に第1のテーパ端部を有しており、第1のテーパ端部は、前記ハウジングの一部が、モータ駆動式歯科ハンドピースの器具開口部に入り易くなるように構成されている、請求項14に記載の根管封鎖器具。
【請求項17】
前記ハウジングが、遠位開口部に第2のテーパ端部を有しており、第2のテーパ端部は、第2のテーパ端部が、根管の開口部に部分的に入り込めるように構成されている、請求項16に記載の根管封鎖器具。
【請求項18】
第2のテーパ端部の小さい方の外径が根管の開口部よりも小さく、第2のテーパ端部の大きい方の外径が根管の開口部よりも大きい、請求項17に記載の根管封鎖器具。
【請求項19】
前記シャフトが第1の直径を有し、前記螺旋状部材が第2の直径を有し、第2の直径が第1の直径よりも小さく、前記長尺部材が、前記シャフトと前記螺旋状部材の間のテーパ部をさらに備える、請求項14に記載の根管封鎖器具。
【請求項20】
前記長尺部材が、前記ハウジングと前記長尺部材との間にシールを形成するように構成された前記シャフト上の環状フランジをさらに備える、請求項19に記載の根管封鎖器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根管封鎖器具並びに根管封鎖器具の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療中に根管から材料を除去した後、感染を防ぐため主根管及び側枝が充填材(シーラント)で適切に充填されるように確保することが重要である。このプロセスは根管充填(obturation)として知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示する実施形態は、根管封鎖器具並びに根管封鎖器具の使用方法を含む。
【0005】
一実施形態では、根管封鎖器具を提供する。根管封鎖器具は、シャフト及び螺旋状部材を含む長尺部材を含む。根管封鎖器具は、長尺部材の少なくとも一部を取り囲むハウジングも含んでおり、ハウジングは、長尺部材に対してスライド移動するように構成されている。ハウジングは、ハウジングの両端に近位開口部と遠位開口部とを含んでおり、近位開口部は、長尺部材の遠位端よりも長尺部材の近位端に近く、遠位開口部は、長尺部材の近位端よりも長尺部材の遠位端に近い。ハウジングは、螺旋状部材の第1の直径及びシャフトの第2の直径と少なくとも同じ大きさの直径を有する内部チャンバを含む。
【0006】
別の実施形態では、方法は、根管封鎖器具の長尺部材を根管の開口部に配置することを含んでおり、長尺部材を取り囲むハウジングの第1のテーパ部が歯の一部と接触する。本方法は、長尺部材を根管内に挿入することも含んでおり、長尺部材の挿入に応答して、ハウジングは、長尺部材に沿って根管内の長尺部材の先端から離れる方向にスライド移動し、長尺部材は、長尺部材の遠位端に螺旋状部材を含む。本方法は、ハウジングが長尺部材に沿ってスライド移動することに応答して、ハウジングの第1のテーパ部の開口から根管の開口部内に充填材を吐出させることも含む。本方法は、螺旋状部材を回転させることも含んでおり、螺旋状部材の回転及びハウジングと長尺部材との間のシールに基づいて、充填材が根管内に押し出される。
【0007】
別の実施形態では、根管封鎖器具を提供する。根管封鎖器具は、シャフト及び螺旋状部材を含む長尺部材を含む。根管封鎖器具は、ハウジングの両端に第1の開口部及び第2の開口部を含むハウジングも含む。ハウジングは、長尺部材の少なくとも一部を取り囲むのに十分な内径を有しており、ハウジングは、長尺部材に対してスライド移動するように構成され、シャフト及び螺旋状部材の少なくとも一部はハウジング内に位置する。
【0008】
当業者であれば、添付の図面と併せて実施形態に関する詳細な説明を参照することによって、本開示の技術的範囲を認識し、その追加の態様を理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、本明細書の内容の一部をなすものであり、本開示技術の幾つかの態様を例示するとともに、発明の詳細な説明と併せて本技術の原理を説明するためのものである。
【
図1A】一実施形態に係る根管封鎖器具の切欠き図。
【
図2A】一実施形態に係る根管封鎖器具の切欠き図。
【
図3A】一実施形態に係る根管封鎖器具のハウジングの切欠き図。
【
図3B】一実施形態に係る根管封鎖器具のハウジングの図。
【
図6A】一実施形態に係る歯を封鎖する際の根管封鎖器具の切欠き図。
【
図6B】一実施形態に係る歯を封鎖する際の根管封鎖器具の切欠き図。
【
図6C】一実施形態に係る歯を封鎖する際の根管封鎖器具の切欠き図。
【
図6D】一実施形態に係る歯を封鎖する際の根管封鎖器具の切欠き図。
【
図7】一実施形態に係る根管封鎖器具の使用方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に挙げる実施形態は、それらの実施形態を当業者が実施できるように十分な情報を代表するものであり、それらの実施形態を実施するための最良の形態を例示するものである。当業者であれば、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって、本開示の技術的思想について理解し、これらの技術的思想の応用について本明細書で具体的に言及しないものも認識できるであろう。これらの技術的思想及び応用は、本開示及び特許請求の範囲に属する。
【0011】
本願で説明するフローチャートは、例示のため必然的にある順序で記載されているが、別途明示しない限り、実施形態はいかなる特定の工程順序にも限定されない。本願において、構成要素に序数を付したものは、例えば「第1のフォーマット」及び「第2のフォーマット」などのように、類似又は同一の表示となりかねないものを区別するためのものにすぎず、別途記載しない限り、優先順位、類型、重要性その他の属性を意味するものではない。本願において、数値に付した「約」という用語は、その数値の±10%の範囲を意味する。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲において、単数形の不定冠詞を付した構成要素は、別途明示しない限り、その構成要素が「1以上」存在することをいう。本明細書及び特許請求の範囲において「又は」という用語は、前後関係から不可能出ない限り、包括的なものである。例えば、A又はBという場合、A、又はB、又はAとBの両方を意味する。
【0013】
本願で開示する様々な実施形態では、根管に充填材を効果的に届けることができる根管封鎖器具を提供する。充填材は、水酸化カルシウムなどのような各種シーラー又は薬剤の1種又は組合せとすることができる。根管封鎖器具は、螺旋状部材及びシャフトを有する長尺部材を含んでおり、充填材を保持できる円筒形ハウジング内に挿入することができる。ハウジングは、始めは螺旋状部材を覆うことができ、ハウジング及び螺旋状部材を根管の開口部にあてがうと、幅が広すぎて根管内には挿入できないハウジングが根管の壁と接触し、長尺部材上で後にスライドし、充填材が根管内に吐出される。螺旋状部材が回転すると、その回転運動によって、充填材が根管内にさらに押し出される。長尺部材は次いで引っ込めることができ、充填材が根管内に残される。
【0014】
図1Aは、一実施形態に係る根管封鎖器具の切欠き図である。根管封鎖器具(RCSI;root canal sealing instrument)100は、長尺部材を含むことができ、長尺部材は、シャフト102と、長尺部材の遠位端の螺旋状部材104と、モータ駆動式歯科ハンドピースに挿入できる長尺部材の近位端の連結端部106とを含む。一実施形態では、シャフト102と螺旋状部材104の間にはテーパ部108があり、テーパ部は、一端ではシャフト直径に一致する第1の直径を有し、他端では螺旋状部材の直径に一致する第2の直径を有する。テーパ部108とシャフト102の間には、長尺部材の周囲を囲む環状フランジ110がある。螺旋状部材104は、1以上の螺旋溝112を備えることができる。螺旋状部材104は、適切な寸法とすることができる。幾つかの実施形態では、螺旋状部材104は、約8mm~35mmの長さ及び約0.10mm~2.00mmの直径を有する。一実施形態では、シャフト102及び/又は螺旋状部材104は、Rilsan(登録商標)のようなナイロン材料を含むことができる。別の実施形態では、シャフト102及び/又は螺旋状部材104は、ニッケル-チタン合金で作ることができる。他の実施形態では、螺旋状部材104は、螺旋状部材104が屈曲して根管内に移動して根管の輪郭に追従できるようにするポリマー材料で製造することができる。他の実施形態では、螺旋状部材104は、螺旋状部材104の回転に起因する疲労に耐えることができる他の可撓性材料で製造してもよい。
【0015】
ハウジング114は、螺旋状部材104及びシャフト102の一部を取り囲むことができる。ハウジング114の遠位端はテーパ部116を含んでいてもよく、ハウジングの近位端はテーパ部118を含んでいてもよい。ハウジング114の遠位端は、開口部120を含んでいてもよい。
【0016】
ハウジング114はチャンバ122を含んでいてもよく、チャンバ122内には充填材が存在していてもよい。一実施形態では、ハウジング114は、適切な寸法とすることができる。一実施形態では、ハウジング114は、約8mm~35mmの長さ及び約0.30mm~2.0mmの直径を有する。以下に例示する通り、テーパ部118は、使用時にハウジング114の近位端がモータ駆動式歯科ハンドピースのヘッドの開口部に入り易くする。テーパ部116は、テーパ部116が根管の開口部に少なくとも部分的に入り込めるように構成された最小外径と、ハウジング114の非テーパ部が根管内に入り込むのを防ぐ最大外径とを有する。一実施形態では、テーパ部116は、約1mm~20mmの長さを有する。
【0017】
一実施形態では、環状フランジ110はハウジング114の内面に当接する寸法とされ、ハウジングをシャフト102に沿ってスライド移動させる際に、充填材が環状フランジ110を越えて移動しないようにする。チャンバ122内の充填材は環状フランジ110によってブロックされるので、充填材は開口部120から吐出される。
【0018】
シャフト102は、適切な寸法とすることができる。一実施形態では、シャフト102は、約10mm~約30mmの直径を有する。
【0019】
次に
図1Bを参照すると、一実施形態に係るRCSI100の図が示してある。ハウジング114の外面は、ハウジング114の両側に溝124又は平坦部を有していてもよい。一実施形態では、溝124は、ハウジング114がハンドピースヘッドの開口部に押し込まれる際に、空気が歯科ハンドピースヘッドの内部にトラップされるのを防ぐことができる。
【0020】
次に
図2A及び
図2Bを参照すると、一実施形態に係るRCSI100の図が示してある。これらの図では、ハウジング114は、螺旋状部材104を露出させるためにシャフト102に沿ってスライド移動させた状態にある。一実施形態では、ハウジング114はテーパ部118が、連結端部106のテーパ部に当接することによって、それ以上スライドしないようにされている。
【0021】
図2Bでは、RCSI100は、
図1Bに記載したものに対して縦軸に沿って90度回転されている。一実施形態では、ハウジング114及び長尺部材は、連結端部106がモータ駆動式歯科ハンドピースによって駆動されると、一斉に回転する。他の実施形態では、長尺部材は、ハウジング114を静止させたまま或いは異なる速度で回転させながら、回転させることができる。
【0022】
次に
図3A及び
図3Bを参照すると、一実施形態に係るRCSI100のハウジング114の図が示してある。一実施形態では、ハウジング114の非テーパ部におけるハウジング114の内壁302の直径は、テーパ部118の内壁304の直径と一致させることができる。直径が一致すると、ハウジング114をシャフトに沿ってスライドさせるのが容易になる。対照的に、一実施形態では、テーパ部116の内壁306は、開口部120の直径が内壁302の直径よりも小さくなるようにテーパを付けてもよい。
【0023】
溝124は、ハウジング114の長さに沿って、両テーパ部116及び118の各々の少なくとも一部に延在することができる。
【0024】
次に
図4を参照すると、一実施形態に係るRCSI100の分解図が示してある。RCSI100、特に長尺部材の連結端部106は、モータ駆動式歯科ハンドピース406のヘッド404の器具開口部402に挿入することができる。挿入したら、モータ駆動式歯科ハンドピース406は、長尺部材及び/又はハウジング114を300回転毎分(RPM)~1000RPMの速度で回転させることができる。
【0025】
一実施形態では、長尺部材を器具開口部402に挿入してから、充填材を含むハウジング114を螺旋状部材104及びシャフト102の一部の上でスライドさせることができる。他の実施形態では、ハウジング114を長尺部材上でスライドさせてから、連結端部106を器具開口部402に挿入することができる。
【0026】
次に
図5を参照すると、一実施形態に係るRCSI100の切欠き図が示してある。特に、
図5に示す実施形態は、ハウジング114がシャフト102に沿ってスライドして後退する際に、ハウジング114のテーパ部118が器具開口部402に挿入されることを示す。テーパ部118によって、ハウジング114はモータ駆動式歯科ハンドピース406の面502に当接せずに器具開口部402に入り易くなる。
【0027】
次に
図6Aを参照すると、一実施形態に従って歯602を封鎖するRCSI100の切欠き図が示してある。螺旋状部材104及びハウジング114は、ハウジング114が根管604の開口部の側面に当接するまで歯602の中に挿入される。ハウジング内のチャンバ122は、根管604内に吐出される充填材606を含むことができる。テーパ部116はハウジング114の主要部よりも幅が狭いので、テーパ部116は、少なくとも部分的に根管604に入れることができる。一実施形態では、テーパ部116の小さい方の外径は根管604の開口部よりも小さく、テーパ部116の大きい方の外径は、根管604の開口部よりも大きい。この時点で、充填材606は、根管604に注入できる状態にある。
【0028】
次に
図6Bを参照すると、歯科医師は、モータ駆動式歯科ハンドピース406によってシャフト102の回転を開始し、螺旋状部材104を根管604内にゆっくりと推し進める。螺旋状部材104が根管604内に入って前方に進むと、ハウジング114が根管604の壁に接触して、モータ駆動式歯科ハンドピース406の前方への移動に応答して、ハウジング114は長尺部材に対してモータ駆動式歯科ハンドピース406に向かってスライド移動し、器具開口部402内に入る。ハウジング114が螺旋状部材104の先端に対して後退すると、充填材606がハウジング114から吐出され、螺旋状部材104の連続回転によって根管604内に前方及び下方に送り込まれる。ハウジング114のテーパ部118は、ハウジング114が、器具開口部402の面502の縁に引っかからずに、モータ駆動式歯科ハンドピース406の器具開口部402に入れるようにする。ハウジング114は、シャフト102と共に回転させてもよいし、回転しなくてもよい。
【0029】
充填材606は、ハウジング114内から分注され、環状フランジ110と充填材606との間で生じる空気圧によって根管604内へと推し進められる。空気圧が尽きると、環状フランジ110及び螺旋状部材104は、充填材606を根管604内に前方及び横方向にさらに分配する。
【0030】
次に
図6Cを参照すると、根管充填が完了し、歯科医はRCSI100を根管604から取り出し始める。なお、螺旋状部材104の回転及びテーパによって、充填材606は根管604だけでなく側枝が存在する場合には側枝にも推し進められる。
【0031】
図6Dを参照すると、歯科医は歯からRCSI100を完全に取り出し、根管充填は完了する。ハウジング114の内部に収容されていた充填材606の全部又は一部は、この時点で、根管604内にある。
【0032】
図7は、上述したRCSI100に関するプロセスを例示する。
図7については、
図6A~
図6Dと併せて説明する。説明の便宜上、本方法を、一連のブロックで示し、説明するが、幾つかのブロックはここで例示及び説明するものとは異なる順序で及び/又は他のブロックと同時に行ってもよく、特許請求の範囲に記載された主題は、ブロックの順序に制約されない。さらに、図に示すブロックのすべてが、以下に説明する方法を実施するのに必要とされるわけでもない。
【0033】
ここ
図7を参照すると、一実施形態に係るRCSIの使用方法700のフローチャートが示してある。
【0034】
ステップ702において、本方法は、RCSI100の長尺部材を根管604の開口部に配置することを含んでおり、長尺部材を取り囲むハウジング114の第1のテーパ部(例えばテーパ部116)が歯602の一部と接触する。
【0035】
ステップ704において、本方法は、長尺部材を根管604内に挿入することを含んでおり、長尺部材の挿入に応答して、ハウジング114は、長尺部材に沿って根管604内の長尺部材の先端から離れる方向にスライド移動し、長尺部材は、長尺部材の遠位端に螺旋状部材104を備える。
【0036】
ステップ706において、本方法は、ハウジング114が長尺部材に沿ってスライド移動することに応答して、ハウジング114のテーパ部116の開口部120から根管604の開口部内に充填材606を吐出させることを含む。
【0037】
ステップ708において、本方法は、螺旋状部材104を回転させることを含んでおり、螺旋状部材104の回転及びハウジング114と長尺部材との間のシール(例えば、環状フランジ)に基づいて、充填材606が根管604内に押し出される。
【0038】
当業者には、本開示の好ましい実施形態に対する改良及び修正が明らかであろう。かかる改良及び修正はすべて、本明細書及び特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲に属する。
【符号の説明】
【0039】
100 根管封鎖器具(RCSI)
102 シャフト
104 螺旋状部材
106 連結端部
108 テーパ部
110 環状フランジ
112 螺旋溝
114 ハウジング
116 遠位端側テーパ部
118 近位端側テーパ部
120 ハウジングの開口部
122 ハウジングのチャンバ
124 ハウジングの溝
402 器具開口部
404 モータ駆動式歯科ハンドピースのヘッド
406 モータ駆動式歯科ハンドピース
602 歯
604 根管
606 充填材
【国際調査報告】