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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】立体部品のハイブリッド製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 69/02 20060101AFI20240719BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240719BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240719BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20240719BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240719BHJP
【FI】
B29C69/02
B33Y80/00
B33Y10/00
B29C64/379
B33Y30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506586
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2022069048
(87)【国際公開番号】W WO2023016720
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021208698.5
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヤーンル,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】アイデンペンツ,ティム
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA36
4F213AR06
4F213AR07
4F213WA02
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF27
4F213WK03
4F213WL02
(57)【要約】
3次元物体(1)を製造する方法(100)であって、・内部空間(21)を画定する3次元型(2)が提供される(110)ステップと、・少なくとも1種の液状またはペースト状モノマーを含む充填材料(3)が内部空間(21)に導入される(120)ステップと、・モノマーがポリマーへと重合される(130)ステップであって、充填材料(3)の温度(3a)および/または3次元型(2)の外表面の温度(2a)が監視される(140)ステップと、・この監視の結果(2a、3a)にもとづいて物体(1)の品質(1a)が評価される(150)ステップ、および/または温度(2a、3a)を所望の方向に誘導するために少なくとも1つの措置(4)を講じる(160)ステップと、を包含する方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体(1)を製造する方法(100)であって、
・内部空間(21)を画定する3次元型(2)が提供される(110)ステップと、
・少なくとも1種の液状またはペースト状モノマーを含む充填材料(3)が前記内部空間(21)に導入される(120)ステップと、
・前記モノマーがポリマーへと重合される(130)ステップであって、前記充填材料(3)の温度(3a)および/または前記3次元型(2)の外表面の温度(2a)が監視される(140)ステップと、
・前記監視の結果(2a、3a)にもとづいて、前記物体(1)の品質(1a)が評価される(150)ステップ、および/または前記温度(2a、3a)を所望の方向に誘導するために少なくとも1つの措置(4)を講じる(160)ステップと、を包含する方法。
【請求項2】
3D印刷により作製された構造が3次元型(2)として提供される(111)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記温度の前記監視は、前記温度(2a、3a)を複数の場所で測定すること(141)と、前記温度(2a、3a)を考慮に入れて前記充填材料(3)および/または前記3次元型(2)の少なくとも1つの別の場所の温度(2a、3a)を決定する(142)こととを含む、請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記型のジオメトリにもとづいて前記温度の局所的最大値または最小値が予想される前記3次元型(2)の前記外表面上の少なくとも1つの場所が、前記温度測定のための場所(2a)として選択される(141a)、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記充填材料(3)の前記少なくとも1つの別の場所の前記温度(2a、3a)がパラメータ化されたモデルを用いて決定され(142a)、前記モデルのパラメータは、前記充填材料(3)内の場所の温度の測定をもとにしてトレーニングされる、請求項3または4に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記3次元型(2)が提供されるときに、前記温度の測定が意図される場所のマーキングおよび/または準備が行われる(112)、請求項3から5までのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記3次元型(2)が提供されるときに、前記型(2)の前記内部空間(21)の所定の場所に温度センサを挿入するためのアクセス部が空けておかれる(113)、請求項3から6までのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記物体(1)の前記品質(1a)の前記評価は、
・前記充填材料(3)の前記温度(3a)が前記重合のために指定された領域の至る所でどの程度設定されたのか(151)、
・前記3次元型(2)の前記温度(2a)が局所的に所定の最大値をどの程度上回るのか、または所定の最小値をどの程度下回るのか(152)、
・どの温度時間プロファイルで前記物体(1)が冷却されるのか(153)、
・前記充填材料(3)および/または前記3次元型(2)の温度がモデルベースで決定された予測からどの程度逸脱するのか(154)、
を決定することを含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記温度(2a、3a)を誘導するための前記措置(4)は、
・前記モノマーが重合される炉の温度および/または前記炉における前記物体(1)の滞留時間を変化させる(161)こと、ならびに/あるいは
・前記モノマーが前記3次元型の前記内部空間(21)に導入される温度を変化させる(162)こと、ならびに/あるいは
・前記物体(1)を局所的に加熱または冷却する(163)こと
を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項10】
コンピュータプログラムであって、1つまたは複数のコンピュータで実行される場合に前記1つまたは前記複数のコンピュータに、ならびに/あるいは前記1つまたは前記複数のコンピュータにより制御される製造設備に、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法(100)を実行させる機械可読命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムを含む機械可読データキャリアおよび/またはダウンロード製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元型と充填材料の複合体としての部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
3D印刷により任意の形状を有する3次元物体を製造することができる。大抵の3D印刷機は、物体に所属する層内の各位置で物体に材料を付加することにより、製造しようとする物体を層ごとに下から上へ積み上げる。
【0003】
新たな層を積み上げる場合、多くの場合、すでに固化した材料の上に溶けた材料が載せられる。したがって、2つの層が互いに付着する強度は、層平面の引張荷重またはせん断に対して単層の強度よりも低い。さらに、中実の型の3D印刷には非常に長い時間がかかる可能性がある。したがって、特許文献1は、印刷された構造がモノマーで満たされ、続いてこのモノマーが重合される3D印刷法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016222558号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の範囲内で、3次元物体を製造する方法が開発された。
【0006】
方法は、内部空間を画定する3次元型が提供されることで始まる。特に、例えば3D印刷で作製された構造を3次元型として提供することができる。これには高い装備コストおよび金型コストが発生しないため、例えばロットサイズが1桁または2桁の範囲の少量生産に対して特に費用効果的である。
【0007】
少なくとも1種の液状またはペースト状モノマーを含む充填材料が内部空間に導入される。モノマーがポリマーへと重合され、充填材料の温度および/または3次元型の外表面の温度が監視される。この監視の結果にもとづいて、物体の品質が評価される、および/または温度を所望の方向に誘導するために少なくとも1つの措置が講じられる。
【0008】
ポリマーへのモノマーの重合は比較的狭い温度幅で最適に進行するが、同時に、大きい体積の物体では重合中に充填材料の温度が大きく変動する。例えばポリアミド6へのカプロラクタムの重合は140~220℃の温度幅で最適に進行する。
【0009】
同時に、充填材料の温度は3次元型が軟化したり破壊されたりする温度を超えて上昇することは許されない。この場合、最終的に製造された物体が、例えば3D印刷時に型に予め指定された形を正確に有することが保証されなくなる。型のための3D印刷可能な材料としてのポリアミドでは約200℃で限界である。さらに、温度のダイナミクスにとっては重合が発熱反応であることが重要である。反応速度に依存した熱量(Leistung)の重合熱および結晶化熱が発生する。
【0010】
温度の空間的変化は、取っ手を有する中実カップの例によって具体的に理解できる。カップの内部に熱が溜まり、充填材料が場合によって過熱される可能性がある。これに対して取っ手では、内部からの熱は外表面まではるかに短い距離を進みさえすればよい。
【0011】
したがって、物体の品質の評価は、特に、例えば
・充填材料の温度が重合のために指定された領域の至る所でどの程度設定されたのか、
・3次元型の温度が局所的に所定の最大値をどの程度上回るのか(または所定の最小値をどの程度下回るのか)、
・どの温度時間プロファイルで物体が冷却されるのか、
・充填材料および/または3次元型の温度がモデルベースで決定された予測からどの程度逸脱するのか、
を決定することを含むことができる。
【0012】
温度時間プロファイルは、固化した充填材料の結晶性および可能な機械的応力を決定する。
【0013】
決定された予測からの温度の逸脱が物体の品質に直接物理的に作用するわけではないが、製造プロセスがなんらかの観点で計画したように進行しないということを示すことができる。その場合、部品の品質も当初の計画どおりでないという少なくとも最初の疑いが生じる。例えばプロセスにおいて、漏れが発生している可能性があるか、または物体が汚れている可能性がある。製造設備において、例えばヒータが故障している可能性もある。
【0014】
物体の品質の評価に代えて、または組み合わせて、温度を能動的に所望の方向に誘導することができる。この場合、どのような措置が有効であるのかは、特に、例えば温度を局所的にのみ特定の範囲で修正すべきであるのか、または全体的に修正すべきであるのかに応じて決めることができる。
【0015】
例えば、モノマーが重合される炉の温度、および/または炉における物体の滞留時間を変化させることができる。このようにして、温度を特に全体的に修正することができる。さらに、物体は外側から内側へ変化するため、物体の外側領域において温度をある程度修正できることが好ましい。
【0016】
例えば、モノマーが3次元型の内部空間に導入される温度を変化させることができる。このようにしても、温度を全体的に修正することができる。温度変化は、モノマーが内部空間に導入される場所から伝播する。
【0017】
物体を、例えば局所的に加熱または冷却することもできる。局所的に加熱するために、例えば赤外線ビームまたはレーザビームを使用することができる。局所的に冷却するために、例えばエアノズルを使用することができる。
【0018】
特に有利な実施形態では、温度の監視は、温度を複数の場所で測定することと、この温度を考慮に入れて充填材料および/または3次元型の少なくとも1つの別の場所の温度を決定することを含む。温度の空間的分布は、特に、例えば物体全体において重合がどの程度完全に行われたのかを表すために考慮に入れることができる。このことも、例えば品質管理の範囲で実証される必要のある物体の機械的強度にとって決定的に重要である。
【0019】
例えば、温度が測定されるべき場所を赤外線温度計で走査することができる。しかし、例えば物体のサーモグラフィを作成することもでき、測定されるべき温度をこのサーモグラフィから取り出すことができる。
【0020】
充填材料の少なくとも1つの別の場所の温度を、特に、例えばパラメータ化されたモデルを用いて決定することができ、モデルのパラメータは、充填材料内の場所の温度の測定をもとにしてトレーニングされる。その場合、モデルは、温度を物体内の任意の場所で読み取ることができる物体のいわば「デジタルツイン」である。
【0021】
モデルのトレーニングのために、例えばテスト物体を作製することができ、テスト物体には、3次元型の内部空間の特定の位置において温度センサが入れられている。充填材料が導入されるときに、これらの温度センサに充填材料が流し込まれ、充填材料の固化後には除去できなくなる。したがって、この種類の温度監視は、通常、規定どおりの使用もしくは販売に指定された物体では実行できない。しかしモデルが、アクセス可能な場所で測定された温度と、充填材料の内部のアクセスできない場所の温度との関係を学習した場合、物体の内部の温度プロファイルを少なくとも近似的に決定するのにこれらのアクセス可能な場所の温度を測定することで十分である。モデルは、特に、例えば、ニューラルネットワークなどのマシンラーニングモデルを含むことができる。モデルを作成する場合、特に、例えば射出成形からの従来の充填シミュレーションの既存のノウハウを使用することができる。
【0022】
モデルをトレーニングする目的で3次元型の内部空間の場所に温度センサを挿入するために、特に、例えば3次元型が提供されるときに、アクセス部(Zugaenge)を空けておくことができる。その場合、3次元型を手で変化させる必要がなくなる。
【0023】
特に有利な実施形態では、3次元型が提供されるときに、温度の測定が意図される場所のマーキングおよび/または準備が行われる。例えば3次元型の肉厚を局所的に低減するために、それぞれ1つの穴または凹部をこれらの場所で3次元型に導入することができる。その場合、これらの場所で測定される温度は、充填材料の温度に良好に追従する。
【0024】
別の有利な実施形態では、型のジオメトリにもとづいて温度の局所的最大値または最小値が予想される3次元型の外表面上の少なくとも1つの場所が、温度測定のための場所として選択される。重合の文脈において主に所定の通路における反応温度を保つことが重要であるので、これらの温度はそれ自体すでに説得力がある。温度の局所的最小値または最大値の点で際立った場所は、特に、例えば3次元型の内側の端、穴、または最大肉厚の領域である。
【0025】
本発明は、完全または部分的にコンピュータ実装され、したがってソフトウェアで体現することができる。したがって、本発明は、1つまたは複数のコンピュータで実行される場合に、このまたはこれらのコンピュータに、ならびに/あるいは1つまたは複数のコンピュータにより制御される製造設備に方法を実行させる機械可読命令を有するコンピュータプログラムにも関する。この関連で、機械可読命令を実行することができる特にエンベデッドシステムおよびプロセス制御も同様にコンピュータと見なすことができる。
【0026】
本発明は、機械可読データキャリアおよび/またはコンピュータプログラムを有するダウンロード製品にも関する。ダウンロード製品は、データネットワークを介して伝送可能な、すなわちデータネットワークのユーザによりダウンロード可能なデジタル製品であり、これは、例えばオンラインショップで即時ダウンロード販売され得る。
【0027】
さらに、コンピュータは、コンピュータプログラム、機械可読データキャリア、もしくはダウンロード製品を搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】方法100の実施例の図である。
図2】3次元物体1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を改善する他の措置について、本発明の好ましい実施例の記載とともに以下に図をもとにして詳しく説明する。
【0030】
図1は、3次元物体1を製造する方法100の実施例の模式的フローチャートである。
【0031】
ステップ110において、内部空間21を画定する3次元型2が提供される。ブロック111によれば、3D印刷で作製された構造を3次元型2として提供することができる。
【0032】
ステップ120において、少なくとも1種の液状またはペースト状モノマーを含む充填材料3が内部空間21に導入される。
【0033】
ステップ130において、モノマーがポリマーへと重合される。その間にステップ140において、充填材料3の温度3aおよび/または3次元型2の外表面の温度2aが監視される。
【0034】
この監視の結果2a、3aにもとづいて、ステップ150において、物体1の品質1aが評価される。これに代えて、またはこれと組み合わせて、ステップ160において、温度2a、3aを所望の方向に誘導するための少なくとも1つの措置4を講じることができる。
【0035】
ブロック141によれば、温度の監視は、温度2a、3aを複数の場所で測定することを含むことができる。次いで、ブロック142によれば、これらの温度2a、3aを考慮に入れて充填材料3および/または3次元型2の少なくとも1つの別の場所の温度2a、3aを決定することができる。このために、特に例えばブロック112によれば、3次元型2が提供されるときに、温度の測定が意図される場所のマーキングおよび/または準備を行うことができる。
【0036】
ブロック141aによれば、特に、例えば、3次元型2の外表面における、型のジオメトリにもとづいて温度の局所的最大値または最小値が予想される少なくとも1つの場所を温度測定のための場所2aとして選択することができる。
【0037】
ブロック142aによれば、特に、例えば充填材料3の少なくとも1つの別の場所の温度(2a、3a)をパラメータ化されたモデルを用いて決定することができ、このモデルのパラメータは、充填材料3内の場所の温度の測定をもとにしてトレーニングされる。モデルのトレーニングのためのこれらの測定を容易にするために、特に、例えばブロック113によれば、3次元型2が提供されるときに、型2の内部空間21の所定の場所に温度センサを挿入するためのアクセス部を空けておくことができる。
【0038】
物体1の品質1aの評価は、特に、例えば
・充填材料3の温度3aが重合のために指定された領域の至る所でどの程度設定されたのか(ブロック151)、
・3次元型2の温度2aが局所的に所定の最大値をどの程度上回るのか(または所定の最小値をどの程度下回るのか)(ブロック152)、
・どの温度時間プロファイルで物体1が冷却されるのか(ブロック153)、
・充填材料3および/または3次元型2の温度がモデルベースで決定された予測からどの程度逸脱するのか(ブロック154)、
を決定することを含むことができる。
【0039】
温度2a、3aを誘導するための措置4は、特に、例えば
・モノマーが重合される炉の温度および/または炉における物体1の滞留時間を変化させる(ブロック161)こと、ならびに/あるいは
・モノマーが3次元型の内部空間21に導入される温度を変化させる(ブロック162)こと、ならびに/あるいは
・物体1を局所的に加熱または冷却する(ブロック163)こと
を含むことができる。
【0040】
図2は、例示的に、3次元型2への充填材料3の充填中に方法100を実行する瞬間記録を示す。3次元型2が断面図で示され、充填材料3の入口22と、型2から空気を逃すことができる3つのベント(Steiger)23a~23cとを有し、それにより充填材料3の充填時に3次元型に対して抵抗が作用することはない。3次元型2の外面に12個の測定点(Messpunkte)a~lがマーキングされている。方法100のブロック142によれば、これらの測定点a~lで型2の外表面の温度2aが測定される。事前にトレーニングされたモデルをもとにして、場所(Orten)a~lで測定された温度から、方法100のブロック142によれば、型2における充填材料3内の各任意の場所、ここでは点mおよびnで、温度3aを算定することができる。次に、型2の外表面で直接測定された温度2aと、充填材料3内の他の場所の算定温度3aとを、
・方法100のステップ150において、型2と充填材料3から構成される物体1の品質1aを判定するために利用することができ、ならびに/あるいは
・方法100のステップ160において、型2の外表面の温度2aおよび/または充填材料3の温度3aを所望の方向に誘導するための措置4を決定するために利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 3次元物体
1a 品質
2 3次元型
2a 外表面の温度
3a 充填材料の温度
2a 充填材料の別の場所の温度
3a 3次元型の別の場所の温度
3 充填材料
4 措置
21 内部空間
23a~23c ベント
100 3次元物体を製造する方法
a~l 測定点
n、m 点
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体(1)を製造する方法(100)であって、
・内部空間(21)を画定する3次元型(2)が提供される(110)ステップと、
・少なくとも1種の液状またはペースト状モノマーを含む充填材料(3)が前記内部空間(21)に導入される(120)ステップと、
・前記モノマーがポリマーへと重合される(130)ステップであって、前記充填材料(3)の温度(3a)および/または前記3次元型(2)の外表面の温度(2a)が監視される(140)ステップと、
・前記監視の結果(2a、3a)にもとづいて、前記物体(1)の品質(1a)が評価される(150)ステップ、および/または前記温度(2a、3a)を所望の方向に誘導するために少なくとも1つの措置(4)を講じる(160)ステップと、を包含する方法。
【請求項2】
3D印刷により作製された構造が3次元型(2)として提供される(111)、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記温度の前記監視は、前記温度(2a、3a)を複数の場所で測定すること(141)と、前記温度(2a、3a)を考慮に入れて前記充填材料(3)および/または前記3次元型(2)の少なくとも1つの別の場所の温度(2a、3a)を決定する(142)こととを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記温度の前記監視は、前記温度(2a、3a)を複数の場所で測定すること(141)と、前記温度(2a、3a)を考慮に入れて前記充填材料(3)および/または前記3次元型(2)の少なくとも1つの別の場所の温度(2a 、3a )を決定する(142)こととを含む、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記型のジオメトリにもとづいて前記温度の局所的最大値または最小値が予想される前記3次元型(2)の前記外表面上の少なくとも1つの場所が、前記温度測定のための場所(2a)として選択される(141a)、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記型のジオメトリにもとづいて前記温度の局所的最大値または最小値が予想される前記3次元型(2)の前記外表面上の少なくとも1つの場所が、前記温度測定のための場所(2a)として選択される(141a)、請求項4に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記充填材料(3)の前記少なくとも1つの別の場所の前記温度(2a、3a)がパラメータ化されたモデルを用いて決定され(142a)、前記モデルのパラメータは、前記充填材料(3)内の場所の温度の測定をもとにしてトレーニングされる、請求項3から6までのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記3次元型(2)が提供されるときに、前記温度の測定が意図される場所のマーキングおよび/または準備が行われる(112)、請求項3からまでのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記3次元型(2)が提供されるときに、前記型(2)の前記内部空間(21)の所定の場所に温度センサを挿入するためのアクセス部が空けておかれる(113)、請求項3から6までのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記物体(1)の前記品質(1a)の前記評価は、
・前記充填材料(3)の前記温度(3a)が前記重合のために指定された領域の至る所でどの程度設定されたのか(151)、
・前記3次元型(2)の前記温度(2a)が局所的に所定の最大値をどの程度上回るのか、または所定の最小値をどの程度下回るのか(152)、
・どの温度時間プロファイルで前記物体(1)が冷却されるのか(153)、
・前記充填材料(3)および/または前記3次元型(2)の温度がモデルベースで決定された予測からどの程度逸脱するのか(154)、
を決定することを含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記温度(2a、3a)を誘導するための前記措置(4)は、
・前記モノマーが重合される炉の温度および/または前記炉における前記物体(1)の滞留時間を変化させる(161)こと、ならびに/あるいは
・前記モノマーが前記3次元型の前記内部空間(21)に導入される温度を変化させる(162)こと、ならびに/あるいは
・前記物体(1)を局所的に加熱または冷却する(163)こと
を含む、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項12】
コンピュータプログラムであって、1つまたは複数のコンピュータで実行される場合に前記1つまたは前記複数のコンピュータに、ならびに/あるいは前記1つまたは前記複数のコンピュータにより制御される製造設備に、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法(100)を実行させる機械可読命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを含む機械可読データキャリアおよび/またはダウンロード製品。
【国際調査報告】