(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】V字型前方掻取部材を備えた掃除機ノズル
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A47L9/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506597
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 FR2022051545
(87)【国際公開番号】W WO2023012434
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリステル フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジーン ダミアン ヴィヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン ザンニ
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA04
3B061AA06
3B061AA52
(57)【要約】
掃除機ノズル(2)は、下面(4)を備え、下面(4)に現れる吸引路(5)を備える底面(3)と吸引路(5)の前縁の前部に配置され、吸引路(5)に流体連通する中央通路開口部(16)を少なくとも部分的に区画する前方掻取部材(13)と、を備え、前方掻取部材(13)は、一般に、吸引路(5)の中央部に向かって配向された頂部を有するV字形状を有し、前方掻取部材(13)は、第1の延在方向(De1)に延在する第1の掻取分岐(14)と、第2の延在方向(De2)に延在する第2の掻取分岐(15)と、を含み、第1及び第2の掻取分岐(14,15)は、掃除機ノズル(2)の前方への移動中に前方掻取部材(13)に対して接触するゴミを、中央通路開口部(16)に向けて方向付けるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機ノズル(2)であって、
-底面(3)であって、被クリーニング面に向けて構成される下面(4)と、前記底面(3)の下面(4)に現れる吸引路(5)と、備える底面(3)と、
-前記吸引路(5)の前縁の前部に配置され、前記吸引路(5)に流体連通する中央通路開口部(16)を少なくとも部分的に画定する前方掻取部材(13)であって、前記前方掻取部材(13)は、前記吸引路(5)の中央部に向けて配向された頂部を有する概ねV字形状を有し、前記前方掻取部材(13)は、細長く、第1の延在方向(De1)に延在する第1の掻取分岐(14)と、細長く、第2の延在方向(De2)に延在する第2の掻取分岐(15)と、を含み、前記第1及び第2の掻取分岐(14,15)は、前記掃除機ノズル(2)の前方への移動中に、前記前方掻取部材(13)に対して接触するゴミを、前記中央通路開口部(16)に向けて方向付けるように構成される、前方掻取部材(13)と、
を備え、
前記第1及び第2の延在方向(De1、De2)は、165°から178°の間で構成される傾斜角度だけ互いに相対的に傾斜する、掃除機ノズル(2)。
【請求項2】
前記前方掻取部材(13)は、前記第1の掻取分岐(14)に設けられ、前記吸引路(5)に流体連通する少なくとも1つの第1の側方通路開口部(17)と、前記第2の掻取分岐(15)に設けられ、前記吸引路(5)に流体連通する少なくとも1つの第2の側方通路開口部(18)と、を含み、前記少なくとも1つの第1の側方通路開口部(17)及び前記少なくとも1つの第2の側方通路開口部(18)は、前記中央通路開口部(16)の両側に配置される、請求項1に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の側方通路開口部(17)及び前記少なくとも1つの第2の側方通路開口部(18)が、前記掃除機ノズル(2)の長手方向中央面に対して対称に配置される、請求項2に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項4】
前記中央通路開口部(16)は、前記第1及び第2の側方通路開口部(17,18)の各々の幅よりも小さい幅を有する、請求項2又は請求項3に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項5】
前記前方掻取部材(13)が、前記前方掻取部材(13)に沿って分布し、前記少なくとも1つの第1の側方通路開口部(17)及び前記少なくとも1つの第2の側方通路開口部(18)を画定する切り欠き部を備える、複数の切り欠き領域(21)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項6】
-前記第1の掻取分岐(14)は、前記第1の掻取分岐(14)の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第1の内部枝部(14.1)と、前記第1の掻取分岐(14)の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第1の外部枝部(14.2)と、を含み、前記第1の掻取分岐(14)の前記第1の内部枝部(14.1)の第1の開口率は、23~71%の間で構成され、前記第1の開口率は、前記切り欠き領域(21)の長さ、又は、前記第1の掻取分岐(14)の前記第1の内部枝部(14.1)に設けられる前記切り欠き領域(21)の長さの合計と、前記第1の掻取分岐(14)の長さの半分との間の比率によって定義され、
-前記第2の掻取分岐(15)は、前記第2の掻取分岐(15)の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第2の内部枝部(15.1)と、前記第2の掻取分岐(15)の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第2の外部枝部(15.2)と、を含み、前記第2の掻取分岐(15)の前記第2の内部枝部(15.1)の第2の開口率は、23~71%の間で構成され、前記第2の開口率は、前記切り欠き領域(21)の長さ、又は、前記第2の掻取分岐(15)の前記第2の内部枝部(15.1)に設けられる前記切り欠き領域(21)の長さの合計と、前記第2の掻取分岐(15)の長さの半分との間の比率によって定義される、請求項5に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項7】
前記前方掻取部材(13)は、前記前方掻取部材(13)に沿って分布し、前記被クリーニング面を掻き取るように構成された複数の掻取領域(19)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項8】
前記複数の掻取領域は、前記第1の掻取分岐(14)に沿って分布する複数の第1の掻取領域(19.1)と、前記第2の掻取分岐(15)に沿って分布する複数の第2の掻取領域(19.2)と、を含む、請求項7に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項9】
前記第1の掻取分岐(14)は、前記切り欠き領域(21)と前記第1の掻取領域(19.1)との交互の配置を含み、前記第2の掻取分岐(15)は、前記切り欠き領域(21)と前記第2の掻取領域(19.2)との交互の配置を含む、請求項5を組み合わせる請求項8に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項10】
前記第1の掻取領域(19.1)の長さの合計は、前記第1の掻取分岐(14)の長さの50%よりも大きく、前記第2の掻取領域(19.2)の長さの合計は、前記第2の掻取分岐(15)の長さの50%よりも大きい、請求項8又は請求項9に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項11】
前記前方掻取部材(13)が、前方掻取ブラシである、請求項1から10のいずれか一項に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項12】
前記第1及び第2の掻取分岐(14,15)が、互いに別個に分離される、請求項1から11のいずれか一項に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項13】
前記前方掻取部材(13)は、前記吸引路(5)の前縁に沿って延びる、請求項1から12のいずれか一項に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項14】
前記前方掻取部材(13)が、前記底面(3)の前記下面(4)から突出し、前記被クリーニング面に接触するように構成された下降位置と、前記前方掻取部材(13)が、前記底面(3)の前記下面(4)から後退し、前記被クリーニング面から距離をおいて位置するように構成された上昇位置との間で移動可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載の掃除機ノズル(2)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の掃除機ノズル(2)を備える家庭用掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引ヘッドとも呼ばれる掃除機ノズルを備えた掃除機の分野に関するものであり、これにより、例えば、タイル、寄木張り、ラミネートなどの被クリーニング面に存在する埃やゴミを吸引することが可能になる。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第3095369号明細書には、以下の構成からなる掃除機ノズルが開示される。
-被クリーニング面に向かって配向されるように構成された下面、及び、底面の下面に現れる吸引路と、を備える底面と、
-吸引路の前縁の前部に位置する前方掻取部材であって、前方掻取部材は、吸引路の中央部に向いた頂点を有する、略V字形状を有し、前方掻取部材は、細長く、第1の延在方向に延在する第1の掻取分岐と、細長く、第2の延在方向に延在する第2の掻取分岐とを含む、前方掻取部材と、を備える、掃除機ノズル。
【0003】
第1及び第2の掻取分岐は、中央通路開口部を通って、吸引路に向かうゴミの吸引を可能にするように吸引路に流体連通する中央通路開口部を少なくとも部分的に画定し、掃除機ノズルの前方移動中に、前方掻取部材に接触するゴミを中央通路開口部に向かうように方向付けるように構成される。
【0004】
第1及び第2の延在方向は、約135°の傾斜角度だけ互いに相対的に傾斜する。
【0005】
このような傾斜角度は、掃除機ノズルの前方移動中に前方掻取部材に対して接触する大きなゴミを、その吸引の観点から、中央通路開口部に向かって流すことを可能にし、また、この大きなゴミの中央通路開口部に向かっての迅速な移動を確実にする。したがって、このような掃除機ノズルは、被クリーニング面に存在する大きなゴミの迅速かつ効率的な吸引を確実にする。
【0006】
しかしながら、このような前方掻取部材の構成では、被クリーニング面に大きなゴミが多量に存在する場合に、中央通路開口部に大きなゴミが溜まりやすくなり、吸引ノズルの吸引効率が損なわれるおそれがある。
【0007】
この欠点を克服するために、中央通路開口部の幅を大きくすることが考えられる。しかしながら、大きな中央通路開口部の存在は、吸引路での吸引ロスを誘発し、硬い床面上の粉塵や小麦粉のような非常に小さなゴミの吸引には不利である。
【0008】
さらに、第1及び第2の延在方向のこのような傾斜角度は、掃除機ノズルに大きな正面嵩を与えるという欠点を有し、このような掃除機ノズルでは、例えば、壁又は台座に沿って配置されたゴミを吸引することが容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の基礎となる技術的課題は、特に、構造が簡単でコンパクトでありながら、被クリーニング面上に存在する塵埃や米粒やレンズ豆のような大きなゴミを効果的に吸引することができる掃除機ノズルを提供することにある。
【0011】
この目的のために、本発明は、以下の構成からなる掃除機ノズルに関し、
-底面であって、被クリーニング面を向くように構成された下面と、底面の下面に形成された吸引路と、を備える底面と、
-吸引路の前縁の前部に配置され、吸引路に流体連通する中央通路開口部の少なくとも一部を画定し、中央通路開口部を通って、吸引路の方向にゴミの吸引を可能にする前方掻取部材であって、前方掻取部材は、吸引路の中央部に向いた頂部を有する概ねV字形状を有し、細長く、第1の延在方向に延在する第1の掻取分岐と、細長く、第2の延在方向に延在する第2の掻取分岐とを含み、第1および第2の掻取分岐は、掃除機ノズルの前方への移動中に、前方掻取部材に接触するゴミを、中央通路開口部に向けて方向付けるように構成される、前方掻取部材と、を備える、掃除機ノズル。
【0012】
第1及び第2の延在方向は、165°と178°との間、有利には、170°と178°との間、例えば、約176°の傾斜角度だけ互いに相対的に傾斜している。
【0013】
掻取部材とは、掃除機のノズルが、被クリーニング面上を通過するときに、床をこすって床の清掃を促進するブラシ又は水切りワイパのような部材を意味する。
【0014】
本発明による第1及び第2の掻取分岐の特定の傾斜は、掃除機ノズルの前進運動中に掻取部材に対して接触する米粒又はレンズ豆のような大きなゴミの中央通路開口部に向かってのスライドを確実にするように規定され、その一方で、このゴミの中央通路開口部に向かっての移動速度を制限する。
【0015】
このように、本発明による掃除機ノズルは、中央通路開口部の過剰な大きさを必要とすることなく、中央通路開口部におけるゴミの蓄積リスクを制限する。
【0016】
さらに、本発明による第1及び第2の掻取分岐の特定の傾斜は、掃除機ノズルの正面嵩を実質的に制限し、したがって、壁又は台座に沿って配置されたゴミの効果的な吸引を確実にする。
【0017】
また、掃除機ノズルは、単独で又は組み合わせて、以下の特性の1つ以上を有することができる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、中央通路開口部を含む。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、第1の掻取分岐に設けられ、吸引路に流体連通する少なくとも1つの第1の側方通路開口部と、第2の掻取分岐に設けられ、吸引路に流体連通する少なくとも1つの第2の側方通路開口部とを含み、少なくとも1つの第1の側方通路開口部、及び、少なくとも1つの第2の側方通路開口部は、中央通路開口部の両側に配置される。少なくとも1つの第1の側方通路開口部、及び、少なくとも1つの第2の側方通路開口部の存在により、中央通路開口部に大きなゴミの蓄積リスクをさらに低減することが可能になる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの第1の側方通路開口部、及び、少なくとも1つの第2の側方通路開口部は、掃除機ノズルの長手方向中央面に対して対称に配置される。少なくとも1つの第1の側方通路開口部、及び、少なくとも1つの第2の側方通路開口部のこのような配置は、吸引路内の乱流、したがって、圧力損失を制限する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、中央通路開口部は、第1及び第2の側方通路開口部のそれぞれの幅よりも小さい幅を有する。これらの配置により、中央通路開口部での圧力損失を制限することが可能となり、中央通路開口部でのゴミの蓄積リスクをさらに低減することができる。
【0022】
本明細書において、通路開口部に関連する用語「幅」は、掃除機ノズルの移動方向に対して横方向に測定される、通路開口部の寸法に対応することに留意されたい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、中央通路開口部は、前方掻取部材の高さ未満の高さを有する。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の側方通路開口部の各々は、前方掻取部材の高さ未満の高さを有する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、前方掻取部材に沿って分布し、少なくとも1つの第1の側方通路開口部、及び、少なくとも1つの第2の側方通路開口部を画定する、狭間(crenels)とも呼ばれる切り欠き部を備える複数の切り欠き領域を含む。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、第1の掻取分岐は、第1の掻取分岐の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第1の内部枝部と、第1の掻取分岐の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第1の外部枝部と、を含み、第1の掻取分岐の第1の内部枝部の第1の開口率は、23~71%、例えば、30~60%、有利には、40~50%で構成され、第1の開口率は、第1の掻取分岐の第1の内部枝部に設けられる切り欠き部の長さ又は切り欠き部の長さの合計と、第1の掻取分岐の長さの半分との間の比率によって定義される、第2の掻取分岐は、第2の掻取分岐の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第2の内部枝部と、第2の掻取分岐の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第2の外部枝部と、を含み、第2の掻取分岐の第2の内部枝部の第2の開口率は、23~71%、例えば、30~60%、有利には、40~50%で構成され、第2の開口率は、第2の掻取分岐の第2の内部枝部に設けられた切り欠き部の長さ又は切り欠き部の長さの合計の間の比率によって定義される。これらの配置により、中央通路開口部にゴミの蓄積リスクをさらに低減することが可能になる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、中央通路開口部は、第1及び第2の掻取分岐によって少なくとも部分的に区画される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、中央通路開口部は、第1及び第2の掻取分岐にそれぞれ設けられた2つの切り欠き部によって、少なくとも部分的に区画される。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び第2の掻取分岐は、間隔をあけて配置され、中央通路開口部は、第1及び第2の掻取分岐の内部縁によって、少なくとも部分的に区画される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、前方掻取部材に沿って分布し、被クリーニング面を掻き取るように構成された複数の掻き取り領域を含む。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、複数の掻取領域は、第1の掻取分岐に沿って分布する複数の第1の掻取領域と、第2の掻取分岐に沿って分布する複数の第2の掻取領域とを含む。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、第1の掻取分岐は、切り欠き領域と第1の掻取領域との交互を含み、第2の掻取分岐は、切り欠き領域と第2の掻取領域との交互を含む。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、第1の掻取領域の長さの合計は、第1の掻取分岐の長さの50%より大きく、例えば、70%より大きく、第2の掻取領域の長さの合計は、第2の掻取分岐の長さの50%より大きく、例えば、70%より大きい。このような配置により、特に硬い床面では吸引ロスを抑えながら、被クリーニング面の十分な掻き取りを確保することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、中央通路開口部は、1~2cmの間、例えば、1.2~1.5cmの間で構成される幅を有する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の掻取分岐の各々は直線形状である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は前方掻取ブラシである。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取ブラシは、複数の剛毛又は剛毛タフト(tufts)によって形成される。
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、前方掻取部材は可撓性材料で形成される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の掻取分岐は、互いに区別され、互いに分離されている。このような配置により、前方掻取部材の支持体への固定が容易になるとともに、この支持体が変形する危険性が回避される。実際、V字型に折り畳まれた前方掻取部材を使用すると、前方掻取部材が固定されている支持体の変形を引き起こす可能性が高い。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、第1及び第2の掻取分岐は、互いに接続される。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、吸引路の前縁に沿って延びる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、底面の幅の少なくとも70%より大きい、例えば、少なくとも80%より大きい長さを有する。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材の第1の端部は、底面の第1の側方縁の近傍に位置し、前方掻取部材の第2の端部は、底面の第2の側方縁の近傍に位置する。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、前方掻取部材が底面の下面から突出し、被クリーニング面に接触するように構成された下降位置と、前方掻取部材が底面の下面から後退して位置し、被クリーニング面から離れた位置に配置されるように構成された上昇位置との間で移動可能である。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、底面上に移動可能に、例えば、摺動可能に取り付けられた支持体上に取り付けられる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の掻取分岐の各々は、10~16cm、例えば、約13cmで構成される長さを有する。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、3~7mmの間で構成される厚さを有する。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、掃除機ノズルが水平面上に載っているときに実質的に水平に延びる下縁を含む。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、掃除機ノズルは、吸引路の後縁の後部に配置された後方掻取ブラシなどの後方掻取部材を備える。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、後方掻取部材は、底面の後縁に沿って延びる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、後方掻取部材は、吸引路の延在方向に対して実質的に平行に延在する中央部分と、後方掻取部材の中央部分の両側に配置された第1の側方部分及び第2の側方部分と、を含み、第1の側方部分及び第2の側方部分は、底面の後縁の方向において互いに対して分岐する。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、吸引路は、掃除機ノズルの移動方向に対して横方向である延在方向に延在する。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の延在方向の各々は、1~7.5°の間、例えば、1~5°の間で構成される傾斜角度だけ、吸引路の延在方向に対して傾斜する。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の掻取分岐は、掃除機ノズルの長手方向中央面に対して対称に配置される。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、前方掻取部材は、互いに対向する第1の端部及び第2の端部を含み、前方掻取部材の第1の端部及び第2の端部は、前方掻取部材の中央部分よりも吸引路から離れる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、掃除機ノズルは、掃除機ノズルの移動方向に対して横方向に延びる前方ピボット軸を画定する前方ピボットリンクを介して底面にヒンジ式に取り付けられたフォークを含む。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、掃除機ノズルは、被クリーニング面上を転動するように意図された2つの主車輪を含み、2つの主車輪は、前方ピボット軸に実質的に平行な車輪軸を中心としてフォーク上に回転可能に取り付けられる。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、掃除機ノズルは、掃除機の吸引管が固定されることが意図される接続スリーブを含み、接続スリーブは、吸引路に流体的に接続される。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、接続スリーブは、前方ピボット軸と実質的に平行な後方ピボット軸を画定する後方ピボットリンクを介して、フォークに対して接続部材にヒンジ式に取り付けられる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、掃除機ノズルは、吸引路を接続スリーブに流体的に接続する可撓性接続導管を含む。
【0061】
図に表された実施形態によれば、前方掻取部材は、単一の第1の側方通路開口部と、単一の第2の側方通路開口部とを含む。有利には、第1の側方通路開口部は、第1の掻取分岐の外縁よりも前方掻取部材のV字型の頂点に近く、第2の側方通路開口部は、第2の掻取分岐の外縁よりも前方掻取部材のV字型の頂点に近い。
【0062】
本発明はさらに、本発明による掃除機ノズルを備える、キャニスタ型掃除機などの家庭用掃除機に関する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明の目的、態様及び利点は、添付図面を参照しながら、非限定的な例として提示される本発明の特定の実施形態に関する以下の説明からより良く理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明による掃除機ノズルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明を理解するために必要な要素のみが表される。図面を読みやすくするために、同じ要素は、各図において同じ参照を用いる。
【0065】
図1~
図5は、掃除機ノズル2の使用中に、被クリーニング面に隣接して配置されるように意図された下面4を備える底面3を備える掃除機ノズル2を表す。
【0066】
底面3はまた、下面4に現れる吸引路5を備える。有利には、吸引路5は細長く、掃除機ノズル2の移動方向D2に対して横方向、例えば、移動方向D2に対して垂直な延在方向D1に延在する。
【0067】
掃除機ノズル2は、掃除機ノズル2の移動方向D2に垂直に延び、掃除機ノズル2が水平面上に載っているときに、実質的に水平である前方ピボット軸X1を画定する前方ピボットリンクP1を介して、底面3上にヒンジ式に取り付けられた2つのフォークアーム7を含むフォーク6をさらに備える。したがって、フォーク6は、底面3に対して後方又は前方に傾くことがある。
【0068】
掃除機ノズル2はまた、被クリーニング面上を転がるように意図された2つの主車輪8から構成される。2つの主車輪8は、前方ピボット軸X1に平行であり、したがって、掃除機ノズル2が水平面上に載っているときにも、実質的に水平である車輪軸Aを中心として、フォーク6上に回転可能に取り付けられる。有利には、主車輪8はフォーク6の両側に配置される。
【0069】
掃除機ノズル2は、さらに、接続スリーブ9からなり、この接続スリーブ9の端部には、掃除機の吸引システム(図示せず)に接続された吸引管(図示せず)の先端部自体が接続される。様々な変形例の掃除機が既に市場に存在し、本発明による掃除機ノズル2と共に使用することができるが、これらの変形例は当業者に知られているため、本明細書では詳述しない。
【0070】
掃除機ノズル2はまた、吸引路5を接続スリーブ9に流体的に接続する可撓性接続導管11(
図4参照)を備える。
【0071】
掃除機ノズル2は、接続スリーブ9をフォーク6に機械的に接続する接続部材12をさらに含む。
【0072】
接続スリーブ9は、特に、前方ピボット軸X1に平行な後方ピボット軸X2を画定する後方ピボットリンクP2を介して接続部材12にヒンジ式に取り付けられる。したがって、接続スリーブ9は、接続部材12に対して後方又は前方に傾くことがある。
【0073】
接続部材12は、前方ピボット軸X1に対して垂直に延びる回転軸X3を画定する中央ピボットリンクP3を介して、フォーク6にヒンジ式に取り付けられる。中央ピボットリンクP3は、後方ピボットリンクP2と前方ピボットリンクP1との間に、より詳細には、前方ピボットリンクP1と車輪軸Aとの間に配置されている。有利には、中央ピボットリンクP3は、2つのフォークアーム7の間に配置される。
【0074】
掃除機ノズル2は、吸引路5の前縁5.1の前部に位置する前方掻取部材13をさらに備える。有利には、前方掻取部材13は、吸引路5の前縁5.1に沿って及びその近傍に延在し、掃除機ノズル2が水平面上に載っているときに、実質的に水平に延在する下縁13.1を含む。
【0075】
図に示される実施形態によれば、前方掻取部材13は、複数の剛毛又は剛毛タフトによって形成された前方掻取ブラシである。しかしながら、図には示されていない本発明の一変形例によれば、前方掻取部材13を可撓性材料で形成することも可能である。
【0076】
前方掻取部材13は、前方掻取部材13が底面3の下面4から突出し、被クリーニング面に接触するように構成された下降位置と、前方掻取部材13が底面3の下面4から後退して位置し、被クリーニング面から離れた位置に配置されるように構成された上昇位置との間で上下に移動可能である。前方掻取部材13は、例えば、底面3上に移動可能に、例えば、摺動可能に取り付けられた支持体上に取り付けることができる。しかしながら、図に示されていない1つの変形例によれば、前方掻取部材13は底面3に相対して固定され、底面3の下面4から突出することができる。
【0077】
前方掻取部材13は、互いに反対側にある第1の端部131と第2の端部132とを含む。図に示される実施形態によれば、前方掻取部材13の第1の端部131は、底面3の第1の側方縁3.1の近くに位置し、前方掻取部材13の第2の端部132は、底面3の第1の側方縁3.2の近くに位置する。有利には、前方掻取部材13は、底面3の幅の少なくとも80%以上、例えば、90%以上の長さと、3~7mmの厚さを有する。
【0078】
前方掻取部材13は、吸引路5の中央部に向かう頂点を有するV字形状を有する。言い換えれば、前方掻取部材13の第1及び第2の端部131,132は、前方掻取部材13の中央部よりも吸引路5から離れている。
【0079】
前方掻取部材13は、直線形状で、第1の延在方向De1に延在する第1の掻取分岐14と、直線形状で、第2の延在方向De2に延在する第2の掻取分岐15と、を含む。第1及び第2の掻取分岐14,15の各々は、10~16cm、例えば、約13cmの間で構成される長さを有することができる。有利には、第1及び第2の掻取分岐14,15は、掃除機ノズル2の長手方向中央面に対して対称に配置される。
【0080】
図3により特に示されるように、第1及び第2の延在方向De1,De2は、165°と178°との間、有利には、170°と178°との間、例えば、約176°からなる傾斜角度αだけ、互いに対して傾斜している。
【0081】
図に示される実施形態によれば、第1及び第2の掻取分岐14,15は、別個であり、互いに分離される。底面3は、例えば、第1及び第2の掻取分岐14,15の間に介在する、スペーサ部を含むことができる。しかしながら、図に示されていない本発明の一変形例によれば、第1及び第2の掻取分岐14,15は互いに接続され得る。
【0082】
図5に示すように、前方掻取部材13は、少なくとも部分的に、吸引路5、より詳細には、吸引路5の中央部分に流体連通する中央通路開口部16を画成し、これにより、ゴミが中央通路開口部16を通って吸引路5の方向に吸引されるようになっている。中央通路開口部16は、例えば、1~2cm、特に、1.2~1.5cmの幅を有する。
【0083】
第1及び第2の掻取分岐14,15は、より詳細には、掃除機ノズル2の前方への移動中に、前方掻取部材13に対して接触するゴミを、中央通路開口部16に向かって方向付け、このゴミが中央通路開口部16を通って吸引されるように構成される。
【0084】
中央通路開口部16における残屑の蓄積を回避するために、特に、被クリーニング面上にかなりの量の残屑が存在する場合、又は、大きなサイズの残屑が存在する場合に、前方掻取部材13は、吸引路5に流体連通する少なくとも1つの第1の側方通路開口部17と、同様に、吸引路5に流体連通する少なくとも1つの第2の側方通路開口部18と、をさらに画定する。有利には、第1及び第2の側方通路開口部17,18は、それぞれ第1及び第2の掻取分岐14,15に設けられる。
【0085】
図に示される実施形態によれば、前方掻取部材13は、単一の第1の側方通路開口部10、及び、単一の第2の側方通路開口部18を含む。有利には、第1の側方通路開口部17は、第1の掻取分岐14の外縁よりも前方掻取部材13のV字型の頂点に近く、第2の側方通路開口部18は、第2の掻取分岐15の外縁よりも前方掻取部材13のV字型の頂点に近い。
【0086】
しかしながら、図に示されていない本発明の一変形例によれば、前方掻取部材13は、複数の第1の側方通路開口部17、例えば、2つ、3つ又はそれ以上、及び、複数の第2の側方通路開口部18、例えば、2つ、3つ又はそれ以上を含み得る。
【0087】
有利には、第1の側方通路開口部17及び第2の側方通路開口部18は、中央通路開口部16の両側に配置され、より詳細には、掃除機ノズル2の長手方向中央面に関して対称に配置される。
【0088】
図に示される実施形態によれば、中央通路開口部16は、第1及び第2の側方通路開口部17,18のそれぞれの幅よりも小さい幅を有する。中央通路開口部16の幅は、例えば、第1及び第2の側方通路開口部17,18のそれぞれの幅の30~70%、有利には、40~60%の間で構成され、例えば、約50%に等しい。
【0089】
図5に示すように、前方掻取部材13は、前方掻取部材13に沿って分布し、被クリーニング面を掻き取るように構成された複数の掻取領域19と、前方掻取部材13に沿って分布し、狭間(crenels)とも呼ばれる切り欠き部が設けられた複数の切り欠き領域21とを含む。
【0090】
複数の掻取領域は、より詳細には、第1の掻取分岐14に沿って分布する複数の第1の掻取領域19.1と、第2の掻取分岐15に沿って分布する複数の第2の掻取領域19.2とを含む。有利には、第1の掻取領域19.1の長さの合計は、第1の掻取分岐14の長さの50%より大きく、例えば、70%より大きく、第2の掻取領域19.2の長さの合計は、第2の掻取分岐15の長さの50%より大きく、例えば、70%より大きい。
【0091】
図に示される実施形態によれば、第1の掻取分岐14は、切り欠き領域21と第1の掻取領域19.1との交互の配置を含み、第2の掻取分岐15も、切り欠き領域21と第2の掻取領域19.2との交互の配置を含む。第1の掻取分岐14は、例えば、2つの切り欠き領域21と、2つの第1の掻取領域19.1を含むことができ、第2の掻取分岐15は、例えば、2つの切り欠き領域21と、2つの第2の掻取領域19.2を含むことができる。
【0092】
図に示される実施形態によれば、中央通路開口部16は、第1及び第2の掻取分岐14,15にそれぞれ設けられ、第1及び第2の掻取分岐14,15の内部端部にそれぞれ位置する2つの切り欠きによって区画される。しかしながら、図に示されない本発明の一変形例によれば、第1及び第2の掻取分岐14,15は、間隔をあけて配置され、中央通路開口部16は、第1及び第2の掻取分岐14,15の内縁によって少なくとも部分的に区画され得る。本発明のこのような変形例によれば、第1及び第2の掻取分岐14、15は、その内部端部において切り欠きがない。
【0093】
図に示される実施形態によれば、第1の側方通路開口部17の各々は、第1の掻取分岐14に設けられた切り欠きによって画定され、第2の側方通路開口部18の各々は、第2の掻取分岐15に設けられた切り欠きによって画定される。
【0094】
図5に示すように、第1の掻取分岐14は、第1の掻取分岐14の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第1の内部枝部14.1と、第1の掻取分岐14の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第1の外部枝部14.2と、を含み、第2の掻取分岐15は、第2の掻取分岐15の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第2の内部枝部15.1と、第2の掻取分岐15の長さの半分に実質的に対応する長さを有する第2の外部枝部15.2とを含む。
【0095】
有利には、第1の内部枝部14.1の第1の開口率は、23~71%、例えば、30~60%、好ましくは、40~50%で構成され、第2の内部枝部15.1の第2の開口率は、23~71%、例えば、30~60%、好ましくは、40~50%で構成される。第1の開口率は、第1の内部枝部14.1に設けられた切り欠き領域21の長さ、又は、切り欠き領域21の長さの合計と、第1の掻取分岐14の長さの半分との比率によって定義され、第2の開口率は、第2の内部枝部15.1に設けられた切り欠き領域21の長さ、又は、切り欠き領域21の長さの合計と、第2の掻取分岐の長さの半分との比率によって定義される。
【0096】
図に示される実施形態によれば、第1の外部枝部14.2及び第2の外部枝部15.2には切り欠き領域21がない。
【0097】
図3に示すように、掃除機ノズル2は、吸引路5の後縁5.2の後部に配置された後方掻取ブラシのような後方掻取部材22をさらに備える。後方掻取部材22は、吸引路5の延在方向D1と実質的に平行に延びる。
【0098】
しかしながら、図に示されない一実施形態によれば、後方掻取部材22は、吸引路5の延在方向D1に実質的に平行に延在する中央部分と、後方掻取部材の中央部分の両側に配置され、互いに対して傾斜した第1の側方部分及び第2の側方部分とを含み得る。第1及び第2の側方部分は、例えば、底面3の後縁の方向に相対的に分岐し得る。
【0099】
もちろん、本発明は、例としてのみ与えられた説明および例示された実施形態には決して限定されない。本発明の保護範囲を逸脱することなく、特に様々な要素の構成の観点から、または技術的同等物の代用により、変更が可能である。
【国際調査報告】