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特表2024-528194コプロセス賦形剤顆粒を調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】コプロセス賦形剤顆粒を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20240719BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240719BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506608
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022071702
(87)【国際公開番号】W WO2023012162
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】21189255.9
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520138162
【氏名又は名称】ディーエフイー ファーマ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘビンク、ゲリット アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ファン ハーンデル、マーラ マリア ビルヘルミーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤスパース、マールテン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ラールホーフェン、バス
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ、シュリ シャラト
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076DD38
4C076DD59B
4C076DD67
4C076EE16B
4C076EE30B
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE32B
4C076EE36B
4C076EE38
4C076EE38B
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF70
4C076GG01
(57)【要約】
本発明は、同方向回転二軸押出機を使用してコプロセス賦形剤顆粒を調製する方法であって、少なくとも1つの結合剤及び少なくとも1つの超崩壊剤は、一緒に造粒され、結合剤及び超崩壊剤は、異なる地点で押出機に導入される、方法に関する。本発明は、本方法によって得られるか又は得ることができるコプロセス賦形剤顆粒にも関する。本発明は、打錠プロセスにおけるコプロセス賦形剤顆粒の使用にさらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同方向回転二軸押出機を使用してコプロセス賦形剤顆粒を調製する方法であって、前記二軸押出機は、少なくとも輸送ゾーン、混錬ゾーン及び混合ゾーンを有し、前記方法は、
a.少なくとも1つの結合剤を前記押出機の前記輸送ゾーンに供給する工程と;
b.前記結合剤を前記混錬ゾーンに向かって輸送する工程と;
c.前記押出機の前記輸送ゾーンの開始部と終結部との間の少なくとも1つの地点に溶媒を供給し、それにより前記結合剤を湿潤させる工程と;
d.前記湿潤された結合剤を前記押出機の前記混錬ゾーンで混錬して、結合剤凝集塊を形成する工程と;
e.前記混錬され、湿潤された結合剤凝集塊を前記混合ゾーンに輸送する工程と;
f.1つ以上の超崩壊剤を前記混合ゾーンに供給し、それにより結合剤及び前記1つ以上の超崩壊剤の凝集塊を形成する工程と;
g.前記押出機から前記結合剤及び超崩壊剤の凝集塊を回収する工程と;
h.前記結合剤及び超崩壊剤の凝集塊を乾燥させて、前記コプロセス賦形剤顆粒を形成する工程と
を含み、前記結合剤は、
(i)二糖;
(ii)単糖;
(iii)ポリオール;
(iv)セルロース繊維、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるセルロース誘導体;
(v)デンプン;
(vi)無機塩;及び
それらの混合物
からなる群から選択され、前記超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ダイズ非デンプン多糖、ポラクリリンカリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記結合剤は、二糖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二糖は、ラクトースを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合剤は、微結晶セルロースである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程a.~g.の温度は、10℃~60℃に維持される、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
結合剤と超崩壊剤との重量/重量比は、99/1~80/20である、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒と結合剤との重量/重量比は、1/100~50/100である、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒は、水、有機溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒は、水である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コプロセス賦形剤顆粒は、粉砕及び/又はふるい工程にさらに供される、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記混合ゾーンは、少なくとも1つの櫛歯状混合機要素又はスクリュー混合機要素をさらに含む、請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記押出機のスクリュー速度は、好ましくは、100~1000rpmの速度で一定に維持される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
スクリューの角速度は、1~42rad/sの値に設定される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項によって得ることができるコプロセス賦形剤顆粒。
【請求項15】
打錠プロセスにおける、請求項1~13の何れか一項に記載の方法によって得られるコプロセス賦形剤顆粒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コプロセス賦形剤顆粒を調製する方法、前記方法によって得ることができるコプロセス賦形剤顆粒及び打錠プロセスにおける、本発明に従って得ることができるコプロセス賦形剤顆粒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬産業において、原薬(略して「API」)を投与するために最も頻繁に使用される方法は、錠剤である。このような錠剤は、1つ以上のAPI及び1つ以上の医薬賦形剤の混合物を圧縮して錠剤にすることによって作製される。いくつかのタイプの賦形剤が認められ得、錠剤の調製において、例えば水中又は口腔内での錠剤の崩壊中でもそれ自体の技術的な貢献をそれぞれ有する。賦形剤の様々なクラスが確認され得る:
- 充填剤、結合剤又は希釈剤、これらは、圧縮後に一緒に錠剤を保持するマトリックスをもたらし、且つ錠剤に体積をもたらす役割を果たし(充填);例は、ラクトース、(微結晶)セルロース、マンニトール、デンプン、スクロース、セルロースエーテル及びリン酸二カルシウムである;
- 滑沢剤、これは、器具表面への粉末の固着を防ぎ、圧縮後のダイからの錠剤の排出を促進する役割を果たし;例は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、フマル酸ステアリルマグネシウムである;
- 超崩壊剤、これは、水又は口腔中の唾液と接触した際に錠剤が迅速に崩壊することを可能にし;例は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及び架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)である。
【0003】
当技術分野では、長年にわたり、複数の賦形剤を含有する賦形剤成分の使用が重要性を増している。このような組み合わせは、個々の賦形剤の単純な混合によって作製され得るが、これらは、いわゆるコプロセス賦形剤としても利用可能であり、この賦形剤混合物は、特殊なプロセス、例えば湿式造粒若しくは乾式造粒又は凝集に供されており、これは、複数の賦形剤を合わせて1つの生成物にするだけでなく、単純な物理的混合物と比較してその機能的特性、例えば流れ又は圧密なども改善する。これにより、このようなコプロセス賦形剤が直接圧縮プロセスに特に適切となる。さらに、複数の賦形剤の同時処理は、個々の構成成分の分離も防ぐ。
【0004】
製薬産業は、一方で、良好な圧縮性、溶解時のAPIの迅速な放出又は例えばODT(口内崩壊錠)処方としてなど、特性が改善された賦形剤ブレンド物における改善を継続して求めている。
【0005】
他方で、コプロセス賦形剤の作製でも改善が必要とされている。現在市販されているコプロセス賦形剤の大部分は、様々な個々の構成成分の懸濁によって調製される。懸濁液を噴霧乾燥させて、コプロセス顆粒を得る。このプロセスは、基本的に、連続的なプロセスであるが、懸濁液が噴霧乾燥機においてある形態の微粒化を必要とするという不都合な点を有する。そのため、懸濁液粘度が制限され、従って溶解及び非溶解構成成分の比が制限される。
【0006】
例えば、流動床造粒で使用されるバッチ方式の生産プロセスは、バッチごとの変動があり得、バッチサイズの柔軟性が制限され、費用面で非効率的である。
【0007】
さらに、超崩壊剤を含有するコプロセス賦形剤の生産プロセスでは、物理的活性形態で超崩壊剤を維持することが課題となり、それは、当然のことながら、いくつかの凝集及び造粒プロセスで使用される場合、これらが湿気に対して非常に感受性が高いためである。
【0008】
高せん断は、機能性及び安定性の損失を引き起こす個々の構成成分の機械的な分解を引き起こし得るため、造粒プロセスで頻繁に使用される高せん断も不利である。さらに、高せん断造粒は、バッチ式のプロセスであるため、そのプロセスの規模は、生成物特性に対して大きい影響を有する。
【0009】
従って、上述の欠点の1つ以上を軽減する、コプロセス賦形剤を作製するための改善されたプロセスが必要とされている。
【0010】
国際公開第2008/020990号パンフレットは、賦形剤の物理的ブレンド物が打錠プロセスで使用されるプロセスを示している。物理的ブレンド物は、粒子分離の傾向があり得るという欠点を有する。さらに、賦形剤の物理的ブレンド物は、流動性又は他の機能特性を改善せず、従って流動性に乏しいAPIとブレンド物が組み合わされる場合、造粒工程が必要とされ得る。
【0011】
国際公開第2012/075455号パンフレットは、糖アルコール又は糖、超崩壊剤及び多機能性添加物の顆粒を調製する造粒プロセスを記載している。
【0012】
米国特許第10792634号明細書は、蒸気を用いて賦形剤顆粒が調製される二軸押出機を用いたプロセスを提供している。
【0013】
欧州特許第3445337B1号明細書は、二軸押出機を使用して固体処方物を作製する乾式造粒プロセスを開示している。
【発明の概要】
【0014】
ここで、コプロセス賦形剤の二軸押出生産プロセスの改変により、驚くべきことに、少なくとも1つの結合剤及び少なくとも1つの超崩壊剤を含むコプロセス賦形剤の機能の改善が見出されたことが明らかとなった。本発明の重要な態様は、処理において、結合剤及び超崩壊剤の導入が、本プロセスで使用される押出機の異なる位置で行われるという事実にある。
【0015】
従って、第1の態様では、本発明は、同方向回転二軸押出機を使用してコプロセス賦形剤顆粒を調製する方法に関し、二軸押出機は、少なくとも輸送ゾーン、混錬ゾーン及び混合ゾーンを有し、本方法は、
a.少なくとも1つの結合剤を押出機の輸送ゾーンに供給する工程と;
b.結合剤を混錬ゾーンに向かって輸送する工程と;
c.押出機の輸送ゾーンの開始部と終結部との間の少なくとも1つの地点に溶媒を供給し、それにより結合剤を湿潤させる工程と;
d.湿潤された結合剤を押出機の混錬ゾーンで混錬して、結合剤凝集塊を形成する工程と;
e.混錬され、湿潤された結合剤凝集塊を混合ゾーンに輸送する工程と;
f.1つ以上の超崩壊剤を混合ゾーンに供給し、それにより結合剤及び1つ以上の超崩壊剤の凝集塊を形成する工程と;
g.押出機から結合剤及び超崩壊剤の凝集塊を回収する工程と;
h.結合剤及び超崩壊剤の凝集塊を乾燥させて、コプロセス賦形剤顆粒を形成する工程と
を含み、結合剤は、
(i)二糖;
(ii)単糖;
(iii)ポリオール;
(iv)セルロース繊維、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるセルロース誘導体;
(v)デンプン;
(vi)無機塩;及び
それらの混合物
からなる群から選択され、超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ダイズ多糖、ポラクリリンカリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
第2の態様では、本発明は、本発明の方法によって得ることができるコプロセス賦形剤顆粒に関する。
【0017】
第3の態様では、本発明は、打錠プロセスにおける、本発明による方法によって得られるコプロセス賦形剤顆粒の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義。
「API」は、当技術分野でのその従来の意味を有し、原薬を指す。
【0019】
「直接圧縮」は、当技術分野でのその従来の意味を有し、API及び適切な賦形剤の混合物があらゆる先行する湿式又は乾式造粒なしに直接圧縮される打錠プロセスを指す。
【0020】
「結合剤」は、当技術分野でのその従来の意味を有し、例えば錠剤の処方物を一緒に保持する賦形剤を指す。結合剤は、ある種の低活性成分含量錠に体積も与え得る。
【0021】
「超崩壊剤」は、当技術分野でのその従来の意味を有し、溶媒又は口腔中での錠剤の崩壊を促進し、且つ錠剤構成成分の迅速な溶解を確実にする賦形剤を指す。
【0022】
「ODT」は、口内崩壊錠であり、当技術分野でのその従来の意味を有し、口内で迅速に崩壊するようにされる錠剤を指す。
【0023】
「同方向回転二軸押出機」は、当技術分野でのその従来の意味を有し、2つの互いに噛み合うスクリューが同じ方向に回転する押出機を指す。
【0024】
輸送要素:低せん断力を材料に付与しながら、押出機を通して材料を輸送するように設計されるスクリュー型要素。スクリューピッチは、輸送能を決定し、ピッチが長いほど、より高いスループットに適応し得る。
【0025】
混錬ゾーン/混錬要素:混錬ゾーンは、高い機械的エネルギーを湿潤粉末塊に適用する個々の混錬要素から構成される。混錬要素の対は、スクリューの互いに噛み合う領域に圧密領域を提供する。混錬要素間の圧密により、高密度化が引き起こされ、顆粒の外に液体が絞り出され、それにより硬化を通した成長を可能にする。混錬要素は、一般的に、30°、60°又は90°の角度でオフセットされる。
【0026】
混合機要素:異なるタイプの分配混合機要素が二軸押出プロセスで一般的に使用される。混合機要素は、低せん断力で押出機においてフロー流を分配し、再び混ぜ合わせ、材料の混合及び輸送の両方をもたらす。櫛歯状混合機要素によって材料に加えられる機械的エネルギーは、混錬要素と比較してかなり低い。混合機要素の例としては、櫛歯状混合機要素、スクリュー混合機要素、鋸歯状混合機要素及び他の分配混合要素が挙げられる。
【0027】
櫛歯状混合機要素は、流れの方向に垂直に配置された環から構成され、材料がこの要素を通過することを可能にするためにアンギュラーカットを含有する。スクリュー混合機要素は、漏れ流を増加させるためにフライト先端部にわたって切られたスロットを有する標準的なねじ形状からなり、これにより押出機内の材料の流れの分配混合がもたらされる。スクリュー混合機要素により、材料の逆流も起こり、その結果、滞留時間が長くなる。
【0028】
「湿潤させる」又は「湿潤される」という用語は、一般に、結合剤粒子を溶媒と接触させるプロセスに関し、これは、「湿潤」という用語が、水のみによって湿らせることに限定されず、有機溶媒、有機溶媒の混合物又は水及び1つ以上の有機溶媒の混合物と結合剤を接触させることを含むことを意味する。
【0029】
方法。
- 崩壊試験の定義:
○媒体として37℃の温度で脱塩水を用いて、Erweka崩壊試験器(ZT122,Germany)で崩壊時間を測定した。錠剤が溶解されるとき、秒単位で崩壊時間を報告した。6つの錠剤に対して測定を行い、6つの錠剤の平均として値を報告する。
- コプロセス賦形剤顆粒の染色方法:
○ルゴール溶液(水中のヨウ素/ヨウ化カリウム)及びグリセロールの混合物で顆粒剤を湿潤させた。その後、実体顕微鏡下で顆粒を観察した。
【0030】
本発明は、本発明に従って調製された顆粒剤とともに押圧された錠剤の崩壊時間に関して、より良好な機能性をもたらすコプロセス賦形剤顆粒を作製するための改善された方法に関する。さらに、本発明のプロセスは、継続的に、好ましくは定常状態において、限定されたスペースで、任意選択的に複数の押出機を同時に稼働させて実行され得、それにより非常に効率的で拡張可能なプロセスとなる。さらに、本発明の方法によって調製されるコプロセス賦形剤顆粒は、賦形剤顆粒の組成及び機能性に関して高い一貫性及び再現性を可能にする。連続的プロセスにより、生産物の品質を監視し、制御するためのインラインプロセスセンサーの使用も可能になる。欠陥がある場合、影響を受けた生産物の流れは、拒絶され得る。妥当な生産物品質が再び達成されると、商業生産が継続される。
【0031】
従って、第1の態様では、本発明は、同方向回転二軸押出機を使用してコプロセス賦形剤顆粒を調製する方法に関し、二軸押出機は、少なくとも輸送ゾーン、混錬ゾーン及び混合ゾーンを有し、本方法は、
a.少なくとも1つの結合剤を押出機の輸送ゾーンに供給する工程と;
b.結合剤を混錬ゾーンに向かって輸送する工程と;
c.押出機の輸送ゾーンの開始部と終結部との間の少なくとも1つの地点に溶媒を供給し、それにより結合剤を湿潤させる工程と;
d.湿潤された結合剤を押出機の混錬ゾーンで混錬して、結合剤凝集塊を形成する工程と;
e.混錬され、湿潤された結合剤凝集塊を混合ゾーンに輸送する工程と;
f.1つ以上の超崩壊剤を混合ゾーンに供給し、それにより結合剤及び1つ以上の超崩壊剤の凝集塊を形成する工程と;
g.結合剤及び超崩壊剤の凝集塊を押出機から回収する工程と;
h.結合剤及び超崩壊剤の凝集塊を乾燥させて、コプロセス賦形剤顆粒を形成する工程と
を含み、結合剤は、(i)二糖;(ii)単糖;(iii)ポリオール;(iv)セルロース繊維、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるセルロース誘導体;(v)デンプン;(vi)無機塩;及びそれらの混合物からなる群から選択され、超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ダイズ非デンプン多糖、ポラクリリンカリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
当業者は、本発明に従うプロセスにおいて、混合ゾーンが混錬ゾーンの下流にあることを認識する。
【0033】
本発明で使用される同方向回転二軸押出機は、当技術分野で公知の装置であり、当業者は、このような機器の操作方式を認識している。これらは、通常、モジュール式の機械として設計され、これは、スクリュー形状の特定の部分が交換され得ることを意味する。スクリューは、好ましくは、スプライン軸上、好ましくはクローズドバレルにおいて取り付けられる。
【0034】
本押出機の輸送ゾーン、混錬ゾーン及び混合ゾーンは、バレルに含まれ、好ましくは、バレルの長さは、統合される上述の部分の長さと等しい。好ましくは、バレルの長さと直径との比(L/D)は、20~40である。
【0035】
このような押出機に対して使用される技術用語を含む、同方向回転二軸押出機の全般的な構成の例は、https://extruders.leistritz.com/en-row/extrusion/brochures/leistritz-zse-maxx-en.pdfに示されている。
【0036】
本発明の方法では、押出機は、少なくとも、好ましくは2つの互いに噛み合う同方向回転スクリューを含む輸送ゾーンを含む。輸送ゾーンの長さを調整するために、1つ以上のスクリューユニットが軸上に設置され得る。輸送ゾーンは、好ましくは、少なくとも1つの結合剤を混錬ゾーンに向かって輸送するために使用される。
【0037】
結合剤は、好ましくは、一定の供給速度で容積式フィーダー又は重量式フィーダーによって押出機に供給され得る。結合剤供給速度は、このプロセスのスループットを増加又は減少させるために変動され得る。
【0038】
押出機の混錬ゾーンは、好ましくは、混錬要素、好ましくは3~10の混錬要素を含む。好ましくは、混錬要素のオフセットの角度は、30°~90°の範囲である。
【0039】
混錬ゾーンは、混錬要素前の地点で結合剤に添加される溶媒の存在下において、結合剤を塊状化する役割を果たす。
【0040】
本発明の方法で使用される溶媒は、水、有機溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0041】
好ましい溶媒は、水である。
【0042】
別の実施形態では、好ましくは、溶媒は、有機溶媒、より好ましくはエタノール、アセトン、n-プロパノール、イソプロパノール及びそれらの混合物の群から選択される。有機溶媒としてイソプロパノールが最も好ましい。
【0043】
混錬要素は、結合剤が通過するときに結合剤に高せん断力を加え、それらはまた、結合剤及び溶媒の混合をもたらす。溶媒との混合及び高せん断力の組み合わせの結果、結合剤粒子の造粒が起こり、より大きい結合剤凝集塊になる。
【0044】
好ましくは、第2の輸送ゾーンは、混錬ゾーンと混合ゾーンとの間に位置する押出機に存在し得る。この第2の輸送ゾーンは、混錬要素で形成される結合剤凝集塊を混合ゾーンに向かって輸送する役割を果たす。
【0045】
同方向回転二軸押出機の混合ゾーンは、好ましくは、少なくとも1つの混合機要素、より好ましくは櫛歯状混合機要素又はスクリュー混合機要素を含む。
【0046】
混合ゾーンにおいて、形成された結合剤凝集塊に1つ以上の超崩壊剤が添加され、この塊は、好ましくは、第2の輸送ゾーンを通して混錬ゾーンから混合ゾーンに輸送されている。
【0047】
少なくとも1つの混合機要素は、好ましくは、結合剤及び超崩壊剤の分配混合をもたらす。
【0048】
混合ゾーンにおいて、結合剤及び超崩壊剤の凝集塊が形成される。混合ゾーンにおいて、超崩壊剤が結合剤凝集塊の表面に付着し始めることが分かった。
【0049】
好ましくは、一実施形態では、互いに噛み合う同方向回転スクリューなどの輸送要素を含む第3の輸送ゾーンが押出機に存在し、混合ゾーン後に配置され、輸送要素は、結合剤及び超崩壊剤の凝集塊を押出機の出口に運ぶ。
【0050】
押出機のスクリュー速度は、好ましくは、一定に維持され、より好ましくは100~1000rpmの範囲の速度で一定に維持される。
【0051】
好ましくは、スクリューの角速度は、1~42rad/s、より好ましくは15~37rad/s、最も好ましくは21~31rad/sの値に設定される。
【0052】
当業者は、スクリュー速度及び/又はスクリューの角速度の設定方法を認識している。
【0053】
工程a.~g.は、比較的低温で実行され得ることが分かっており、それにより、この方法は、エネルギー効率がよくなり、結合剤及び超崩壊剤に対する損傷が最小限になる。そのため、工程a.~g.の温度は、好ましくは、10℃~60℃、より好ましくは15℃~50℃、最も好ましくは20℃~30℃に維持される。
【0054】
好ましくは、結合剤及び超崩壊剤の凝集塊が押出機の出口から回収される。
【0055】
コプロセス賦形剤顆粒を形成するための結合剤及び超崩壊剤の凝集塊の乾燥は、好ましくは、適切な乾燥機、より好ましくは流動床乾燥機で行われる。好ましくは、乾燥は、少なくとも5分間、より好ましくは5~10分間行われる。乾燥温度は、好ましくは、40℃~80℃の範囲である。
【0056】
好ましくは、顆粒の粒径分布を制御するために、コプロセス賦形剤顆粒をさらに粉砕及び/又はふるい工程に供する。より好ましくは、ふるい工程は、大きすぎる顆粒、例えば600μmより大きいものを除去するために行う。
【0057】
好ましくは、粉砕工程は、大きすぎる粒子を崩壊させるため、例えば平均顆粒サイズを200μm未満に縮小するために行われる。
【0058】
好ましくは、粉砕工程に続いてふるい工程が行われ得る。
【0059】
x50として定義されるコプロセス賦形剤顆粒の中央値粒径は、100~200μmの範囲であることが好ましい。
【0060】
x50として定義される中央値粒径は、レーザー回折を介して決定された場合、粒子の半分がより大きく、残りの半分がより小さいものとなるサイズである。
【0061】
約25℃で結合剤が固体状態であることが好ましい。結合剤は、より好ましくは、粉末又は顆粒である。
【0062】
既に示されているように、本発明による結合剤は、(i)二糖;(ii)単糖;(iii)ポリオール;(iv)セルロース繊維、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるセルロース誘導体;(v)デンプン;(iv)無機塩;及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい実施形態では、結合剤は、二糖を含む。
【0063】
さらにより好ましい実施形態では、結合剤は、ラクトース、スクロース、マルトース及びそれらの混合物からなる群から選択される二糖である。
【0064】
最も好ましくは、二糖は、ラクトースを含む。ラクトースの使用は、本発明によるコプロセス賦形剤顆粒とともに圧縮される錠剤の溶解特性に関して良好な結果をもたらすことが分かった。
【0065】
ラクトースが使用される場合、あらゆるタイプの粉末形態のラクトースを使用し得る。例えば、レーザー回折測定により測定した場合、中央値粒径(x50)が40及び30ミクロンである粉砕されたラクトースタイプを使用し得るが、他のタイプ又はグレードも使用し得る。適切なレーザー回折機器は、Rodos乾燥粉末分配ユニットを備えたSympatec Helos Rである。
【0066】
最も好ましくは、使用されるラクトースは、ラクトース一水和物である。
【0067】
適切なタイプのラクトース一水和物は、DFE Pharma,Germanyからのf.i.Pharmatose 200M、Pharmatose 350M又はLactochem Fine Powderである。
【0068】
別の実施形態では、結合剤は、単糖であり、好ましくは、これは、グルコースである。
【0069】
また別の実施形態では、結合剤は、ポリオールであり、好ましくは、これは、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリオールである。最も好ましいポリオールは、マンニトールである。適切なマンニトールは、Roquette又はSPI Pharmaから得ることができ、例えばRoquetteからPearlitol 50Cを得ることができる。
【0070】
また別の実施形態では、結合剤は、セルロース繊維、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるセルロース誘導体である。さらにより好ましい実施形態では、セルロース誘導体は、微結晶セルロースであり、最も好ましいのは、50μm~100μmのx50の微結晶セルロースである。適切なタイプは、Pharmacel 101及びPharmacel 102であり、両方ともDFE Pharma,Germanyから得られる。
【0071】
結合剤としての好ましいデンプンは、ネイティブデンプン、部分的ゼラチン化デンプン、完全アルファ化デンプン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0072】
デンプンは、好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ又はコメ及びそれらの混合物由来である。
【0073】
結合剤が無機塩である場合、これは、好ましくは、リン酸二カルシウムである。
【0074】
本発明の方法で使用される超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ダイズ非デンプン多糖、ポラクリリンカリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましいのは、デンプングリコール酸ナトリウム若しくはクロスカルメロースナトリウム又はこれらの2つの組み合わせである。最も好ましいのは、デンプングリコール酸ナトリウムである。
【0075】
適切なデンプングリコール酸ナトリウムは、DFE Pharma,GermanyからのPrimojelであり;適切なクロスカルメロースナトリウムは、DFE Pharma,GermanyからのPrimelloseであり;適切なクロスポビドンは、Ashland,USAからのPolyplasdone XLである。
【0076】
分かり易くするために、本発明に関して、結合剤及び超崩壊剤が同じ化合物ではないことが理解されなければならない。
【0077】
このように、従って、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース及び超崩壊剤として低置換ヒドロキシプロピルセルロースを用いた実施形態に関して、これらの2つの化合物が化学的に異なる構成成分であり、ヒドロキシプロピル基での置換のそれらの度合いが互いに異なることは、当業者に明らかである。
【0078】
本発明による結合剤としての使用のために適切なヒドロキシプロピルセルロースは、US Pharmacopoeial Convention stage 6 Harmonization,Official December 2014において定義されるように、乾燥ベースで計算される53.4%以上及び80.5%以下のヒドロキシプロピル基(-OCHCHOHCH)の含量を特徴とする部分的O-(2-ヒドロキシプロピル化)セルロースである。
【0079】
HPCのヒドロキシプロピル含量の分析方法も前記USP文書に記載されている。
【0080】
本発明による超崩壊剤としての使用に適切な低置換ヒドロキシプロピルセルロースは、US Pharmacopoeial Convention,stage 4 harmonization,Official May 1,2019において定義されるような、乾燥ベースで計算される5.0%以上及び16.0%以下のヒドロキシプロピル基(-OCHCHOHCH)の含量を特徴とする低置換O-(2-ヒドロキシプロピル化)セルロースである。
【0081】
低置換HPCのヒドロキシプロピル含量の分析方法も前記USP文書に記載されている。
【0082】
コプロセス賦形剤顆粒の良好な性能のために、結合剤と超崩壊剤との重量/重量比が重要である。そのため、本プロセスでの結合剤と超崩壊剤との重量/重量比は、好ましくは、99/1~80/20、より好ましくは99/1~90/10、最も好ましくは98/2~94/6である。
【0083】
適用可能な押出ゾーンへの結合剤及び超崩壊剤の供給速度が、コプロセス賦形剤顆粒における結合剤と超崩壊剤との所望の重量比が得られるように設定されることは、当業者によって理解されるであろう。
【0084】
結合剤を造粒する、従って混錬工程において結合剤の顆粒を形成するために、プロセス工程c.で溶媒の量が結合剤に添加され得る。従って、本発明の方法では、溶媒と結合剤との重量/重量比は、好ましくは、1/100~50/100、より好ましくは3/100~30/100、最も好ましくは5/100~25/100である。
【0085】
調製方法において、制御しながら、好ましくは定量投与システム及び/又はポンプを使用して、工程c.で溶媒が輸送ゾーンに添加されることが好ましく、そこで溶媒が結合剤と接触される。
【0086】
上記のように、押出機の輸送ゾーンの開始部と終結部との間の少なくとも1つの地点に溶媒が供給され、それにより結合剤が湿潤される。一実施形態では、前記溶媒と一緒に結合剤が添加される。その場合、好ましくは、工程c.で使用される結合剤は、工程a.で使用されるものと同じ結合剤である。本発明による別の実施形態では、工程c.で使用される結合剤は、工程a.で使用されるものと異なる結合剤である。
【0087】
本発明は、本発明の方法によって得ることができるコプロセス賦形剤顆粒にさらに関する。
【0088】
本発明の方法によって得ることができるコプロセス賦形剤顆粒は、好ましくは、(i)二糖;(ii)単糖;(iii)ポリオール;(iv)セルロース繊維、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるセルロース誘導体;(v)デンプン;(vi)無機塩;及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの結合剤と、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ダイズ非デンプン多糖、ポラクリリンカリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される超崩壊剤とを含む。好ましい実施形態では、結合剤は、二糖、好ましくはラクトースであるか又はそれを含む。別の実施形態では、結合剤は、セルロース繊維、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるセルロース誘導体であるか又はそれを含み、より好ましくは、結合剤は、微結晶セルロースであるか又はそれを含む。別の好ましい実施形態では、好ましい超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム若しくはクロスカルメロースナトリウム又はこれらの2つの組み合わせである。最も好ましいのは、デンプングリコール酸ナトリウムである。
【0089】
本発明は、打錠プロセスにおける、本発明の方法によって得られるか又は得ることができるコプロセス賦形剤顆粒の使用にも関する。好ましくは、打錠プロセスは、直接圧縮プロセスである。打錠プロセスにおいて、少なくとも1つの原薬が使用されることが好ましい。好ましくは、一実施形態では、打錠プロセスは、口内崩壊錠を調製するプロセスである。
【0090】
本発明のコプロセス賦形剤顆粒のさらなる構成成分、量及び/又は実施形態は、本発明の方法で使用されるものと同じである。
【0091】
錠剤において適用される場合のその物理的特徴及び観察される崩壊特性のため、本発明による顆粒は、新規であり、異なり、1工程押出プロセス又は流動床凝集プロセスを使用して作製されるコプロセス賦形剤よりも良好に機能する。本発明による顆粒において、超崩壊剤は、1工程押出プロセスと異なり、顆粒の表面に主に結合し、結合剤及び超崩壊剤は、事前に組み合わされ、押出プロセスの開始部又は流動床塊状化プロセスから一緒に処理される。両方のこれらの先行技術の方法では、超崩壊剤が顆粒内に捕捉される。この相違は、例えば、崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムを含む場合、超崩壊剤を紫色にさせるヨウ素染色法を使用することによって確認され得る。結果として、本発明の顆粒において、顕微鏡を使用してコプロセス賦形剤顆粒の表面上で別々の濃紫色のスポットが可視化される。他方で、他の2つの方法により作製される賦形剤顆粒の色は、拡散した紫色の濁りを示し、これは、超崩壊剤が顆粒の内側に均一に分布し、顆粒の表面に別々のスポットとして存在しないことを示す。
【0092】
代わりに、走査電子顕微鏡(SEM)技術を使用して顆粒を分析し得る。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】コプロセス型のラクトース-超崩壊剤生成物を作製するために使用される二軸押出装置の概略図である。1=ラクトース粉末フィーダー、2=蠕動ポンプ、3=MilliQ精製水、4=超崩壊剤添加地点、5=輸送要素、6=混錬要素、7=バレル温度制御、8=生成物出口。
図2】異なるスクリュー部及び3つの構成成分の添加地点を示す、押出機で使用されるスクリュー構造の写真である。
図3】ヨウ素染色した本発明によるコプロセス賦形剤の顕微鏡画像である。超崩壊剤(Primojel)は、ヨウ素で染色されており、その結果、紫色になる。この画像は、Primojel粒子が表面に付着した数百マイクロメートルのラクトース顆粒を示す。
図4】4%超崩壊剤(Primojel)が顆粒内に組み込まれている顆粒化ラクトース(Pharmatose 350M)の顕微鏡画像である。Primojelのヨウ素染色は、超崩壊剤が顆粒内側に均一に組み込まれることを示す。スケールバーは、1mm(上の画像)及び200μm(下の画像)を表す。結合剤及び超崩壊剤を最初に混合し、次いでスクリュー押出(本発明によるものではない)に供する二軸押出により、ヨウ素染色されるコプロセス賦形剤を作製した。
【実施例
【0094】
実施例1。
本発明によるラクトース及び超崩壊剤のコプロセス賦形剤顆粒の調製。図1も参照されたい。同方向回転二軸押出機(長さ:直径=25:1)(Eurolab 16,Thermo Fisher Scientific)で造粒を行った。容積式フィーダーにより、一定の供給速度で押出機の輸送ゾーンにラクトース一水和物粉末(結合剤)が供給された。本プロセスのスループットを増加又は減少させるために、ラクトース供給速度を変動させ得る。使用されるラクトースのグレードは、Pharmatose 200M及びPharmatose 350M(全てDFE Pharmaより)であり、平均粒径は、それぞれ40um及び30umであった。出発材料として使用されるラクトースの粒径は、最終産物に顕著な影響がないため、より細かい又はより粗いラクトースグレードも使用され得る。蠕動ポンプ(Sci-Q 300,Watson-Marlow,UK)を使用して、第2の開口部を通して水性溶媒(室温のMilli-Q水)が輸送ゾーンに、しかし二軸押出機の混錬ゾーンの直前に供給された。水/ラクトースの重量/重量比は、ポンプの速度を制御することにより変動され得、より多量の水によってより大きい顆粒が得られる。現在の実験で使用される水/ラクトースの重量/重量比は、1/10である。第3の開口部を通して押出機の混合ゾーンに手動で超崩壊剤が添加された。超崩壊剤の量は、異なるラクトース/超崩壊剤比で生成物を作製するために変動され得る。現在の実験では、超崩壊剤の量を、使用されるラクトース量の4重量%に固定した。押出機のスクリュー速度及びバレル温度を250rpm及び20℃でそれぞれ一定に維持した。
【0095】
押出機での造粒のために使用されるスクリュー構造は、4つのゾーンからなった。第1のゾーンは、輸送要素のみからなった。これらの輸送要素は、ラクトースをフィーダーから押出機の第2の開口部に運ぶために使用され、そこで水が添加された。スクリュー構造の第2のゾーンは、5つの混錬要素からなり、これらは、60°の順方向角度で交互に配列され、水が押出機に添加される地点の直後に配置された。混錬要素は、粉末が通過するときに粉末に高せん断力を加え、これらは、ラクトース粉末及び水の混合も提供した。水との混合及び高せん断力の組み合わせの結果、より大きいラクトース顆粒へのラクトース粒子の造粒が起こった。再び、本スクリュー構造の第3のゾーンは、超崩壊剤が添加される押出機の第3のポートに材料を運ぶために使用される輸送要素からなった。超崩壊剤添加地点後、本スクリュー構造の第4のゾーンは、輸送要素及び櫛歯状混合機要素の組み合わせからなった。これらの櫛歯状混合機要素は、ラクトース及び超崩壊剤の分配混合をもたらし、生成物が回収される押出機の出口に最終生成物を運ぶために輸送要素が使用された。回収後、生成物を流動床乾燥機で5~10分間、60℃の温度で乾燥させて水を除去した。最終生成物の粒径を制御するために、これを粉砕して、大きすぎる顆粒を崩壊させた。最終生成物の中央値粒径(x50)は、約200μmであった。
【0096】
顆粒をヨウ素染色し、図3を参照されたい。顆粒の外側に超崩壊剤のスポットが明確に見える。
【0097】
比較例2。
本発明によらないラクトース及び超崩壊剤のコプロセス賦形剤顆粒の調製。
96rpmで10分間、Turbulaブレンダーを使用して、ラクトース(Pharmatose 350M)及びデンプングリコール酸ナトリウム(Primojel)を2リットルの瓶中で予めブレンドした。超崩壊剤の量を、ラクトースの使用量の4重量%に固定した。得られたブレンド物が容積式フィーダーによって一定の供給速度で押出機の輸送ゾーンに供給された。蠕動ポンプ(Sci-Q 300,Watson-Marlow,UK)を使用して、第2の開口部を通して水性溶媒(室温のMilli-Q水)を輸送ゾーンに、しかし二軸押出機の混錬ゾーンの直前に供給した。今回の実験で使用された水/ラクトースの重量/重量比は、1/10である。押出機のスクリュー速度及びバレル温度をそれぞれ250rpm及び20℃で一定に維持した。使用されたスクリュー構造は、実施例1と同じである。押出機から生成物を回収し、その後、流動床乾燥機で5~10分間、60℃の温度で乾燥させて水を除去した。最終生成物の粒径を制御するために、これを粉砕して、大きすぎる顆粒を崩壊させた。最終生成物の中央値粒径(x50)は、約200μmであった。
【0098】
これらの顆粒もヨウ素染色を行い(図4)、粒子は、拡散した紫色の濁りを非常に明確に示し、これは、超崩壊剤が顆粒剤の内側で均一に分布することを示した。
【0099】
実施例3。
実施例1及び2からの試料を用いたODT錠の調製。
打錠前に、全ての材料を人工気候室において20℃の温度及び30%の相対湿度で一晩調整した(HPP110,Memmert)。その後、0.5%w/wのステアリン酸マグネシウムを添加し、96rpmで2分間、Turbulaブレンダーでブレンドした。
【0100】
25rpmの回転周波数及び13rpmのタレット速度を使用して、ロータリー式打錠機(RoTab T,Luxner)で錠剤を圧縮し、その結果、滞留時間が60msとなった。ダイの充填深度を調整して、各250(±2)mgの錠剤を得た。使用したパンチは、9mmの直径で平坦ベベル状であった(iHolland)。5kN、10kN及び15kNの3つの異なる圧縮力で錠剤を圧縮した。
【0101】
実施例4。
錠剤の重量、直径、厚さ及び破砕強度について、自動錠剤検査機(Sotax AT50)により錠剤を分析した。錠剤破砕強度は、錠剤を破壊するために必要とされる最大の力であり、この力は、120mm/minの一定速度で測定した。錠剤破砕強度、錠剤の直径及び厚さから錠剤引張強度(TTS)を計算した。報告される値は、20錠の錠剤の平均である。
【0102】
媒体として37℃の温度の脱塩水を用いてErweka崩壊試験器(ZT122,Germany)上で崩壊時間を測定した。崩壊時間は、錠剤が溶解される際に秒単位で報告した。6つの錠剤において測定を行い、値を6つの錠剤の平均として報告する。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
結果から、本発明によるコプロセス賦形剤顆粒を使用して作製された錠剤(実施例1)は、参照コプロセス賦形剤顆粒を用いて作製された錠剤(比較例2)よりもはるかに速く崩壊する一方、10及び15kN圧縮力での引張強度値が十分であることが示される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】