(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】路盤においてバラストを圧縮する方法
(51)【国際特許分類】
E01B 27/20 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
E01B27/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506616
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 AT2022060264
(87)【国際公開番号】W WO2023010147
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517002409
【氏名又は名称】ハーペードライ・レアール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】リヒトベルガー・ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ゼリンガー・マルクス
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB24
2D057CB04
(57)【要約】
本発明は、作業方向(W)に軌道走行可能なつき固め機(A)を用いて路盤のバラストを締め固める方法であって、つき固め機には、つき固めのために複数のタンピング工具(6、16、17、18)が装着されていて、タンピング工具にはタンピングユニット(1、2、3、4)が割り当てられていて、タンピングユニットは、互いに独立して鉛直に変位可能であるとともに横方向摺動ドライブ(31)によって、互いに対して、作業方向(W)に対して横方向に変位可能である。路盤へのタンピング工具の突き入れ抵抗を低減するために、タンピングユニット(1、3及び2、4)を、路盤へのタンピング工具(16、17)の有効な突き入れ面(8、9)を縮小するために、互いに対して距離dVの分だけ横方向摺動ドライブ(31)によってオフセットし、タンピングユニットの互いに向き合う内側のタンピング工具は、互い違いに設置されていて、内側のタンピング工具の開放幅を、内側のタンピング工具が作業方向(W)に対して横方向に見て互いに少なくとも部分的に重畳するように、所定の寸法(d01.3i、dO2.4i)の分だけ拡大することが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業方向(W)に軌道走行可能なつき固め機(A)を用いて路盤のバラストを締め固める方法であって、つき固め機(A)には、つき固めのために複数のタンピング工具(6、16、17、18)が装着されていて、前記タンピング工具(6、16、17、18)にはタンピングユニット(1、2、3、4)が割り当てられていて、前記タンピングユニット(1、2、3、4)は、リニア式のタンピング駆動部と、タンピングピック(O1a、O1i、O2a、O2i)のタンピング距離及び開放幅を把握する距離センサ(34)とを有し、互いに独立して鉛直に変位可能な前記タンピングユニット(1、2、3、4)が、作業方向(W)に相前後して配置されていて、横方向摺動ドライブ(31)によって、互いに対して、作業方向(W)に対して横方向に変位可能である、方法において、
タンピングユニット(1、3及び2、4)を、路盤へのタンピング工具(16、17)の有効な突き入れ面(8、9)を縮小するために、互いに対して距離dVの分だけ横方向摺動ドライブ(31)によってオフセットし、作業方向(W)に相前後して配置された前記タンピングユニット(1、3及び2、4)の互いに向き合う内側のタンピング工具(16、17)は、互い違いに設置されていて、前記内側のタンピング工具(16、17)の開放幅を、前記内側のタンピング工具(16、17)が作業方向(W)に対して横方向に見て互いに好ましくは部分的に重畳するように、所定の寸法(d01.3i、dO2.4i)の分だけ拡大することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記内側のタンピング工具(16、17)を、少なくともタンピング工具(16、17)を路盤に突き入れるときに、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって、前記内側のタンピング工具(16、17)が常に作業方向(W)に同期振動するように、同じ向きに振動(11)させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タンピングユニット(3)の内側のタンピング工具(32)のうちの1つが、レール構造上の障害の結果、作業方向(W)で隣に位置するユニット(4)の内側のタンピング工具(33)によって振動を妨げられるとき、障害となるタンピング工具(33)の開放幅を、前記タンピング工具(32)が駆動部(15)によって作業方向(W)に対して横方向に外方へ旋回可能であるように、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって低減させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記駆動部(15)によって前記タンピング工具(32)を外方へ旋回させるために、少なくとも、外方へ旋回されるべき前記タンピング工具(32)の開放幅を、重畳する寸法(dO1.3i、dO2.4i)の分だけ新たに低減することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
作業方向(W)に対して横方向に見て互いに部分的に重畳する前記内側のタンピング工具(16、17)の開放幅を、前記タンピングユニット(1、3及び2、4)が互いに対して横方向に摺動する前に、重畳する寸法(dO1.3i、dO2.4i)の分だけ低減することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業方向に軌道走行可能なつき固め機を用いて路盤のバラストを締め固める方法であって、つき固め機には、つき固めのために複数のタンピング工具が装着されていて、タンピング工具にはタンピングユニットが割り当てられていて、タンピングユニットは、リニア式のタンピング駆動部と、タンピングピックのタンピング距離及び開放幅を把握する距離センサとを有し、互いに独立して鉛直に変位可能なタンピングユニットが、作業方向に相前後して配置されていて、横方向摺動ドライブによって、互いに対して、作業方向に対して横方向に変位可能である、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンピングユニットは、タンピング工具でもって、レール下においてバラスト内でまくらぎの支持部の領域で2本のまくらぎの間の領域(中間域)で路盤のバラストに貫入し、互いに対してスクイーズ運動可能な対向するタンピング工具の間で、タンピング工具の動的な振動によってバラストを締め固める。タンピングユニットは、1つの作業サイクルで、1本、2本又は3本以上のまくらぎ下のつき固めを行うことができる(西独国特許出願公開第242829号明細書、欧州特許出願公開第1653003号明細書)。オーストリア国特許出願公開第513973号明細書の思想によれば、リニア駆動部として作用するスクイーズ駆動部は、スクイーズ駆動部が直線的なスクイーズ運動だけではなく、同時にタンピング工具にとって必要な振動を発生させるように、構成されている。これにより、スクイーズ運動速度、振動振幅、その形状及び周波数を設定できる。
【0003】
国際公開第2011023257号及び独国特許出願公開第4001235号明細書から軌道つき固め機が公知であり、軌道つき固め機は、複数のまくらぎの下を同時につき固めるためのタンピングユニットを有する。同一のまくらぎ域に貫入する複数のタンピングピックが互い違いに設置して配置されている。単一のタンピングユニットの別個の降下を可能にするために、国際公開第2011023257号では、スクイーズ駆動部を用いて、降下するようには設けられていないユニットのタンピングピックを容易に旋回できるように企図されていて、これにより、隣り合うユニットに妨害されない降下を実現できる。
【0004】
タンピングユニットの動きには、路盤のバラスト内へのタンピング工具の鉛直の貫入と、タンピング工具端部が互いに閉じられるスクイーズ運動と、バラスト粒体の実際の締め固めを及ぼす重畳した動的な振動とが含まれる。スクイーズ運動のために液圧シリンダを使用することが知られている。液圧シリンダは、連接棒を介して、偏心している振動シャフトに接続されていて、スクイーズ運動に振動を重畳させる(オーストリア国特許発明第369455号明細書)。これらの振動シャフト及び連結棒は、定期的に高価な保守を必要とする転がり軸受を介して支持されている。他の公知の解決策では、液圧シリンダを介する線形の振動発生及びスクイーズ運動が用いられる(オーストリア国特許出願公開第513973号明細書)。
【0005】
通常のタンピングユニットは、レール車両に配置された定位置のガイド柱を有し、ガイド柱に沿って、ユニットが、ガイドと共に、タンピングボックス内で上下に移動する。ガイドは、割り当てられたレール上の領域に位置する。上下に移動するタンピングボックスの中心の左右に振動シャフトが位置し、振動シャフトを介して、タンピングアームがタンピング工具と共に、連接棒を介して偏心シャフトに接続されたスクイーズシリンダを介して駆動される。
【0006】
周期的又は連続的に作業する1本及び2本まくらぎ型の分岐器用つき固め機が更に知られている。分岐器用タンピングユニットでは、タンピング工具は、レール構造上の障害を回避できるように、少なくとも部分的に旋回可能に構成されている。2本まくらぎ型の分岐器用タンピングユニットでは、機械長手方向に対して横方向に摺動可能な共通の摺動フレーム上に位置する独立した2つのサブユニットを設けることが知られている。2つのサブユニットは、互いに独立して鉛直に降下及び上昇できる。それぞれのタンピング工具に個別に作用し、制御される、独立した完全液圧式でリニア作動式のタンピング駆動部も知られている(オーストリア国特許出願公開第513973号明細書)。特に、締め固め振動の重畳した形状、振幅及び周波数を有するスクイーズ運動経路は、電子式に設定され、組み込まれた距離センサシステムを介して計測される。
【0007】
タンピングユニットの突き入れ抵抗は、タンピング工具の相互の位置に依存する。有効な面が小さいほど、突き入れ抵抗がより小さくなり、タンピングユニットに反作用するのに必要となる力がより小さくなり、そして突き入れがより速くなり、これにより、機械がより迅速に作動できる。締め固め動作は、タンピング工具が特定された所定の深さに達したらはじめて導入される。この場合にのみ、まくらぎ下でバラストの締め固め作用が与えられている。
【0008】
タンピング工具が横方向にわずかにオフセットされて互いに接近して位置する、2本まくらぎ型つき固め機のためのタンピングユニットの構成も公知である。これにより、より小さい有効な突き入れ面が達成される。このユニット形状は、センタツールタンピングユニットと称される。この場合、分岐器用つき固め機のためのタンピングユニットでは、ある種のセンタツール配置においてタンピング工具が(旋回可能であるので)、外方へ旋回できず、したがって、これらのタンピングユニットでは、センタツール配置が不可能であるという問題が生じる。多くの場合、この鉄道及び機械運転者において、分岐器及び本線に等しく適しているいわゆるユニバーサルつき固め機が所望されている。分岐器では、とりわけ全ての分岐器領域の正確な位置決め及び突き固めが重要である一方、本線つき固めの際には、作業速度が重要である。したがって、旋回可能なタンピング工具を有する連続的な2本まくらぎ型のユニバーサルつき固め機への傾向にある。このような構成における欠点は、旋回可能なタンピング工具が原因で、狭い有効な突き入れ面を形成できないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】西独国特許出願公開第242829号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1653003号明細書
【特許文献3】オーストリア国特許出願公開第513973号明細書
【特許文献4】国際公開第2011023257号
【特許文献5】独国特許出願公開第4001235号明細書
【特許文献6】オーストリア国特許発明第369455号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の基礎をなす課題は、タンピングユニットにおいて、タンピング工具を用いて貫入動作中にできるだけ小さな有効な突き入れ面を形成し、突き入れ力を低減し、そして突き入れ動作を加速し、これによりつき固め機の作業速度を高められる可能性を企図することによって、前述の欠点を回避する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この設定された課題を、本発明は、タンピングユニットを、路盤へのタンピング工具の有効な突き入れ面を縮小するために、互いに対して距離dVの分だけ横方向摺動ドライブによってオフセットし、作業方向に相前後して配置されたタンピングユニットの互いに向き合う内側のタンピング工具は、互い違いに設置されていて、内側のタンピング工具の開放幅を、内側のタンピング工具が作業方向に対して横方向に見て互いに好ましくは部分的に重畳するように、所定の寸法の分だけ拡大することによって解決する。
【0012】
したがって、軌道つき固め運転では、2つのタンピングユニットが、軌道に対して横方向に所望の寸法で互いにオフセットされるように移動し、これに続いて、タンピングユニットの、軌道長手方向で内側のタンピング工具のタンピング工具開放幅が更に広げられる。作業方向に対して横方向に見て互いに向き合う内側のタンピング工具が、互い違いに設置されている。作業方向に対して横断方向に見て互いに離反する外側のタンピング工具、すなわち作業方向に見て前方及び後方のタンピング工具は、それぞれ割り当てられたタンピングユニットと割り当てられた内側のタンピング工具と一緒に軌道に対して横方向にオフセットされる。作業方向で相前後して配置されたタンピングユニットの、互いに向き合う内側のタンピング工具は、互い違いに設置されていると、この場合、いまや互い違いに設置されたタンピング工具が接触又は互いに衝突し得る(このことはタンピング工具が破損してしまう様々な損傷をもたらすおそれがある)ことなく、内側のタンピング工具の開放幅を拡大できる。タンピング工具の、互い違いに設置された締め固め側の端部は、好ましくは共通のつき固め機の横平面内に位置し、場合によってはフォークバケットの形態で内外に作用する又は完全に重畳する。タンピング工具が、少なくともほとんど、好ましくは完全に共通のつき固め機横平面内に位置するように、有効な突き入れ面の最小化を達成できる。したがって、さらに、突き入れ抵抗を更に大幅に高め得る、作業方向で相前後して配置されたタンピングユニットの、互いに向き合う内側のタンピング工具の間にバラスト粒体が挟まることが阻止される。
【0013】
有効な面又は突き入れ抵抗をその上更に低減するために、有利には、内側のタンピング工具を、少なくともタンピング工具を路盤に突き入れるときに、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって、内側のタンピング工具が常に作業方向に同期振動するように、同じ向きに振動させる。
【0014】
このことは、電子制御されるリニア作用方式で液圧式のタンピング駆動部(オーストリア国特許出願公開第513973号明細書)では可能である。というのも、1つ又は複数のタンピング工具にそれぞれ割り当てられた、締め固め及びスクイーズ運動ドライブの液圧シリンダを個別に制御及び調整でき、このことは偏心駆動部でも実現可能であるからである。電子制御部は、完全液圧式のタンピング駆動部では、それぞれのタンピング工具の振動を正確に設定し、したがって、ここでは常に同期振動する駆動部を実現できる。タンピング工具対の、共通のタンピングユニットに割り当てられた相互作用する複数のタンピング工具、すなわち内側及び外側の、互いに割り当てられたそれぞれ共通するまくらぎ下を突き固める複数のタンピング工具は、バラストに突き入れられる際に作業方向に同期振動又は逆向きに振動でき、ただし、つき固めのために、タンピング工具は、通常の形では常に逆向きに振動する。
【0015】
その際に分岐器でも有利につき固めできるように、又はレール構造上の障害を必要に応じて考慮できるように、タンピングユニットの内側タンピング工具のうちの1つが、レール構造上の障害の結果、作業方向で隣に位置するユニットの内側のタンピング工具によって振動を妨げられるとき、障害となるタンピング工具の開放幅を、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって低減し、タンピング工具が駆動部によって作業方向に対して横方向に外方へ旋回可能であるようにすることが提案される。
【0016】
そのために、駆動部によってタンピング工具を外方へ旋回させるために、少なくとも、外方へ旋回されるべきタンピング工具の開放幅を、重畳する寸法の分だけ新たに低減することが推奨される。
【0017】
これにより、旋回可能なタンピング工具が必要である分岐器つき固めの場合でも、より小さな有効な突き入れ面を有するタンピング工具位置が、一方又は他方の工具だけが待機位置へ変位され、外方へ旋回されることによって、外方へ旋回する少なくとも1つのタンピング工具を必要とする領域で、実現できる。
【0018】
特に、作業方向に対して横方向に見て互いに部分的に重畳する内側のタンピング工具の開放幅を、タンピングユニットが互いに対して横方向に摺動する前に、重畳する寸法の分だけ低減する。そのために、障害となるタンピング工具を、該当するタンピング工具の旋回中に又は内方へ旋回する前に、地面又はスクイーズ運動位置の方向に引っ張ることができ、これにより、タンピング工具が再びより開いた位置を占める前に、外方への旋回のための経路が解放される。個々のタンピングユニットを互いに軌道に対して横向きに摺動すべきとき、事前に自動的に内側のピックの開放幅が低減される。もちろん、タンピングユニットのタンピング工具及び摺動フレーム同士の通常の位置も可能である。
【0019】
本発明の主な利点は、有効な突き入れ面の低減、低減された突き入れ力による構成部材に掛かる負荷の低下、作業速度の上昇及びバラストの保護である。
【0020】
図面には、本発明の対象が概略的に例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】連続的に作業する2本まくらぎ型のユニバーサルつき固め機を側面図で示す。
【
図2】公知の基本位置にある2つの分岐器タンピングユニットの配置を側面図で示す。
【
図3】本発明による内側のタンピング工具の配置を側面図で示す。
【
図4】
図2による2つの分岐器用タンピングユニットの配置を平面図で示す。
【
図5】
図3による本発明による配置を平面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、作業方向Wに走行する、連続的に作業するユニバーサル2本まくらぎ型つき固め機Aを示す。このユニバーサル2本まくらぎ型つき固め機は、2つの台車21を用いて、レール35上を走行可能であるとともに、2つの車両キャビン30を備える。主要機械19が連続的に前進する間、独自の作業走行駆動部28を有する台車22上で軌道走行可能な作業サテライト20が、周期的に、加工されるべき1本のまくらぎ領域から加工されるべき次のまくらぎ領域へ前進する。現在の軌道幾何形状を測定するように軌道計測システム25が構成されている。昇降装置23及び昇降シリンダ26によって、軌道は、整正されるべきポジションへと持ち上がる。整正シリンダ27によって、軌道は、同時に軌道の方向姿勢に整列される。全てのセンサデータの操作、調整及び把握は、機械独自のコンピュータ及び制御システム24を介して行われる。作業方向Wに、相前後して配置された2つのタンピングユニット3、4が設けられている。
【0023】
つき固め機Aには、つき固めのためにタンピング工具6、16、17、18が装着されていて、この場合、タンピング工具6、16、17、18は、リニア式のつき固め駆動部と、タンピング距離及びタンピングピックの開放幅O1a、O1i、O2a、O2iを把握する距離センサ34とを有するタンピングユニット1、2、3、4に割り当てられている。作業方向Wに相前後して配置されたタンピングユニット1、2、3、4は、互いに独立して鉛直に変位可能であるとともに横方向摺動ドライブ31によって互いに作業方向Wに対して横向きに変位可能である。
【0024】
タンピングユニット3、4は、横方向摺動ドライブ31を有する互いに独立した摺動フレームに位置し、これにより、タンピングユニット3、4は、互いに、作業方向Wに対して横方向に所望される分だけ変位可能である。個々のタンピング工具6、16、17、18は、それぞれ個別に又は群ごとにリニア式のつき固め駆動部34によって駆動される。これらは、互いに独立して制御可能である。つき固め駆動部は、スクイーズ運動距離と締め固め振動とを提供する、距離センサ34が装着された液圧シリンダである。作業キャビン29を介して、機械運転手は、タンピングユニット3、4への視界を得る。
【0025】
図2は、図示されたつき固め機Aでも実現可能でもある、公知の配置のタンピングユニット3、4を示す。内側のタンピング工具は、これらが互いに間隔8を有し、対向して振動運動するときに衝突しないように互いに対して配置されている。互いに向き合う内側のタンピング工具同士の間にバラスト粒体が食い込むのを防止できず、これにより、突き入れ抵抗が付加的に高まる。作業方向Wに対して横方向に外方へ旋回可能なタンピング工具は、リニア式のタンピング駆動部34が作用するタンピング工具アーム12によって案内される。軸線14を中心に、タンピング工具を有するタンピング工具アーム12は、つき固め及びスクイーズ運動のために旋回され、これにより、タンピング工具の開放幅を調整できる。図示のタンピング工具の各々に対して独自の駆動部15が存在し、駆動部15によって、タンピング工具は、作業方向Wに対して横方向に外方へ旋回可能である。
【0026】
図3は、本発明に係る配置を示す。本発明に係る配置では、両方のタンピングユニット3及び4が、軌道横方向に互いに所定の距離だけ横方向に摺動されていて、これにより、タンピング工具16及び17が寸法dO1.3i、dO2.4iの分だけ更に開放でき、その際、内側のタンピング工具16、17は、作業方向Wに対して横方向に見て互いに部分的に重畳する。外側の2つのタンピング工具6、18の間に内側のタンピング工具16、17が配置されていて、外側の2つのタンピング工具6、18のポジション01a、02aは、内側のタンピング工具16、17の開口幅がこのようにして図示の寸法dO1.3i、dO2.4iの分だけ増大する場合、不変に維持できる。
【0027】
図4は、
図2による公知の配置を平面図で示す。ユニット1と3及び2と4は、作業方向Wに対して横方向に一軸線上に配置されていて、特にこのことは分岐器つき固めのために必要であるが、それぞれ一緒に又は個別に横方向摺動ドライブ31によって作業方向W対して横方向に変位可能である。内側のタンピング工具16、17は、作業方向Wにおいて非同期的10に、具体的には逆向きに振動するように運転され、したがって、互いに対して相応して大きな間隔Aaが存在したはずである。この間隔は、少なくとも2倍の振幅Aに所定の安全間隔Akを加えたものに相当する。タンピング工具が同期的に、具体的には同じ向きに同一に振動11するときには安全間隔Akしか生じないようである。タンピング工具端部におけるつき固め振動が典型的な5mmから10mmの場合、専ら非同期的な振動モードによって、約20mm増大した間隔が生じる。有効な突き入れ面8、9は、鎖線の円として示唆されている。
【0028】
図5は、
図3による本発明による配置を示す。タンピングユニット1と3及び2と4は、路盤へのタンピング工具16、17の有効な突き入れ面8、9を縮小するために、作業方向Wに相前後して配置されたタンピングユニット1と3及び2と4の互いに向き合う内側のタンピング工具16、17が互い違いに設置されるように、互いに対して距離dVだけ横方向摺動ドライブ31によってオフセットされている。加えて、内側のタンピング工具16、17の開放幅は、内側のタンピング工具16、17が互いに作業方向Wに対して横方向に見て少なくとも部分的に重畳するように、寸法dO1.3i、dO2.4iの分だけ増大される。
【0029】
有効な突き入れ面8、9は、
図4に示された標準運転の突き入れ面8、9と比較して著しく減少している。本発明によれば、タンピング工具16、17は、同期して、具体的には同一の振動11で振動し、したがって、タンピング工具16、17は、これらが互いに向き合って振動するよりも、より近付けることができる。タンピング工具が非同期10運動すると、タンピング工具は、衝突してしまうだろう。タンピングユニット1と2及び3と4は、距離dVだけ互いに対して軌道横方向に摺動されていて、内側のタンピング工具開放幅は、dO1.3i及びdO2.4iだけさらに開かれる。これに対して、外側のタンピング工具6、18の開放幅O1a、O2aは、不変に維持できる。
【0030】
タンピングユニット3の内側のタンピング工具のうちの1つ32が、レール構造上の障害の結果、作業方向Wで隣に位置するユニット4の内側のタンピング工具33によって振動を妨害されるとき、障害となるタンピング工具33の開放幅は、電子制御装置24を介して、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって、駆動部15を用いてタンピング工具32が作業方向Wに対して横方向に外方へ旋回可能であるように、減少できる。
【0031】
機械オペレータからの制御要求を介して、タンピングユニット1、2、3、4を、
図4による基本位置に自動的に設置することも同様に可能である。
図5による位置では、機械オペレータによって、軌道長手方向に対して横方向にタンピングユニットを互いに対して摺動Vするための要求が所望されるとき、内側のタンピング工具16、17は、自動的に、互いに対して安全間隔Akを維持して摺動Vが可能であるまで閉じられる。摺動後、タンピング工具16、17は、新たにより広く開放できる。というのも、この位置は、より小さな有効な突き入れ面8、9を達成するために貫入動作中にだけ必要となるからである。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業方向(W)に軌道走行可能なつき固め機(A)を用いて路盤のバラストを締め固める方法であって、つき固め機(A)には、つき固めのために複数のタンピング工具(6、16、17、18)が装着されていて、前記タンピング工具(6、16、17、18)にはタンピングユニット(1、2、3、4)が割り当てられていて、前記タンピングユニット(1、2、3、4)は、リニア式のタンピング駆動部と、タンピングピック(O1a、O1i、O2a、O2i)のタンピング距離及び開放幅を把握する距離センサ(34)とを有し、互いに独立して鉛直に変位可能な前記タンピングユニット(1、2、3、4)が、作業方向(W)に相前後して配置されていて、横方向摺動ドライブ(31)によって、互いに対して、作業方向(W)に対して横方向に変位可能である、方法において、
タンピングユニット(1、3及び2、4)を、路盤へのタンピング工具(16、17)の有効な突き入れ面(8、9)を縮小するために、互いに対して距離dVの分だけ横方向摺動ドライブ(31)によってオフセットし、作業方向(W)に相前後して配置された前記タンピングユニット(1、3及び2、4)の互いに向き合う内側のタンピング工具(16、17)は、互い違いに設置されていて、前記内側のタンピング工具(16、17)の開放幅を、前記内側のタンピング工具(16、17)が作業方向(W)に対して横方向に見て互いに好ましくは部分的に重畳するように、所定の寸法(d01.3i、dO2.4i)の分だけ拡大することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記内側のタンピング工具(16、17)を、少なくともタンピング工具(16、17)を路盤に突き入れるときに、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって、前記内側のタンピング工具(16、17)が常に作業方向(W)に同期振動するように、同じ向きに振動(11)させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タンピングユニット(3)の内側のタンピング工具(32)のうちの1つが、レール構造上の障害の結果、作業方向(W)で隣に位置するユニット(4)の内側のタンピング工具(33)によって振動を妨げられるとき、障害となるタンピング工具(33)の開放幅を、前記タンピング工具(32)が駆動部(15)によって作業方向(W)に対して横方向に外方へ旋回可能であるように、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって低減させることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記駆動部(15)によって前記タンピング工具(32)を外方へ旋回させるために、少なくとも、外方へ旋回されるべき前記タンピング工具(32)の開放幅を、重畳する寸法(dO1.3i、dO2.4i)の分だけ新たに低減することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
作業方向(W)に対して横方向に見て互いに部分的に重畳する前記内側のタンピング工具(16、17)の開放幅を、前記タンピングユニット(1、3及び2、4)が互いに対して横方向に摺動する前に、重畳する寸法(dO1.3i、dO2.4i)の分だけ低減することを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
機械オペレータからの制御要求を介して、タンピングユニット1、2、3、4を、
図4による基本位置に自動的に設置することも同様に可能である。
図5による位置では、機械オペレータによって、軌道長手方向に対して横方向にタンピングユニットを互いに対して摺動Vするための要求が所望されるとき、内側のタンピング工具16、17は、自動的に、互いに対して安全間隔Akを維持して摺動Vが可能であるまで閉じられる。摺動後、タンピング工具16、17は、新たにより広く開放できる。というのも、この位置は、より小さな有効な突き入れ面8、9を達成するために貫入動作中にだけ必要となるからである。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
作業方向(W)に軌道走行可能なつき固め機(A)を用いて路盤のバラストを締め固める方法であって、つき固め機(A)には、つき固めのために複数のタンピング工具(6、16、17、18)が装着されていて、前記タンピング工具(6、16、17、18)にはタンピングユニット(1、2、3、4)が割り当てられていて、前記タンピングユニット(1、2、3、4)は、リニア式のタンピング駆動部と、タンピングピック(O1a、O1i、O2a、O2i)のタンピング距離及び開放幅を把握する距離センサ(34)とを有し、互いに独立して鉛直に変位可能な前記タンピングユニット(1、2、3、4)が、作業方向(W)に相前後して配置されていて、横方向摺動ドライブ(31)によって、互いに対して、作業方向(W)に対して横方向に変位可能である、方法において、
タンピングユニット(1、3及び2、4)を、路盤へのタンピング工具(16、17)の有効な突き入れ面(8、9)を縮小するために、互いに対して距離dVの分だけ横方向摺動ドライブ(31)によってオフセットし、作業方向(W)に相前後して配置された前記タンピングユニット(1、3及び2、4)の互いに向き合う内側のタンピング工具(16、17)は、互い違いに設置されていて、前記内側のタンピング工具(16、17)の開放幅を、前記内側のタンピング工具(16、17)が作業方向(W)に対して横方向に見て互いに好ましくは部分的に重畳するように、所定の寸法(d01.3i、dO2.4i)の分だけ拡大することを特徴とする、方法。
2.
前記内側のタンピング工具(16、17)を、少なくともタンピング工具(16、17)を路盤に突き入れるときに、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって、前記内側のタンピング工具(16、17)が常に作業方向(W)に同期振動するように、同じ向きに振動(11)させることを特徴とする、上記1の方法。
3.
タンピングユニット(3)の内側のタンピング工具(32)のうちの1つが、レール構造上の障害の結果、作業方向(W)で隣に位置するユニット(4)の内側のタンピング工具(33)によって振動を妨げられるとき、障害となるタンピング工具(33)の開放幅を、前記タンピング工具(32)が駆動部(15)によって作業方向(W)に対して横方向に外方へ旋回可能であるように、割り当てられたリニア式のタンピング駆動部によって低減させることを特徴とする、上記1又は2の方法。
4.
前記駆動部(15)によって前記タンピング工具(32)を外方へ旋回させるために、少なくとも、外方へ旋回されるべき前記タンピング工具(32)の開放幅を、重畳する寸法(dO1.3i、dO2.4i)の分だけ新たに低減することを特徴とする、上記3の方法。
5.
作業方向(W)に対して横方向に見て互いに部分的に重畳する前記内側のタンピング工具(16、17)の開放幅を、前記タンピングユニット(1、3及び2、4)が互いに対して横方向に摺動する前に、重畳する寸法(dO1.3i、dO2.4i)の分だけ低減することを特徴とする、上記1から4のいずれか一つの方法。
【国際調査報告】