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特表2024-528204物体をコーティングするためのコーティング設備、物体をコーティングする方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】物体をコーティングするためのコーティング設備、物体をコーティングする方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20240719BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20240719BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C23C14/24 B
C23C14/56 D
C23C26/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506638
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022065710
(87)【国際公開番号】W WO2023011782
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021120004.0
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
【住所又は居所原語表記】Kaiser-Wilhelm-Strasse 100,47166 Duisburg Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン シュヴァート
【テーマコード(参考)】
4K029
4K044
【Fターム(参考)】
4K029AA02
4K029AA25
4K029BA18
4K029CA01
4K029DA04
4K029DB03
4K029DB09
4K029DB12
4K029DB13
4K029DB18
4K029DB19
4K029KA03
4K044AA02
4K044AB02
4K044BA10
4K044BB01
4K044BC02
4K044CA13
4K044CA71
(57)【要約】
本発明は、例えば鋼帯などの物体(2)をコーティングするためのコーティング設備(1)に関する。コーティング設備(1)は、-コーティングチャンバ(4)と、-蒸発部(7)及びノズル部(8、9)を有する材料(6)を気相堆積させるための装置とを備える。鋼帯は、例えば搬送ローラ(3a、3b)を用いて、矢印(5)の方向にコーティングチャンバ(4)を通って導かれる。ノズル部(8、9)は、材料を過熱するように形成され、材料は過熱された気相においてノズル部から出る。本発明はまた、物体をコーティングする方法及び使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相にある材料を用いて物体(2)、好ましくは帯、特に金属帯をコーティングするためのコーティング設備(1)であって、前記コーティング設備(1)は、
-前記物体(2)を通過させるためのコーティングチャンバ(4)と、
-材料(6)を気相堆積させるための装置であって、前記材料を前記気相中に蒸発させるための蒸発部(7)と前記蒸発部(7)に連結されたノズル部(8、9)とを有し、前記ノズル部(8、9)は、ノズル出口から流出する気相にある材料が表面に凝結し、それにより前記コーティングを形成することによって、前記表面を前記材料で連続的にコーティングするために、前記コーティングチャンバ(4)を通って前記ノズル出口の傍らを通り過ぎる前記物体(2)のコーティング対象表面へ、前記気相にある材料を方向を定めて導いて前記ノズル出口から外へ放出するために、前記コーティングチャンバに開口する前記ノズル出口を含むノズル(8)を有し、
前記ノズル部(8、9)は、前記材料を過熱するために、前記蒸発部(7)における蒸発後に、前記蒸発部から前記ノズル部(8、9)に到達する前記材料が前記ノズル部(8、9)を通った後に過熱されて前記ノズル部から出るように形成されている、コーティング設備(1)。
【請求項2】
前記ノズル部(8、9)がノズル(8)と、蒸発部(7)とノズル(8)の間に配置された連結部材(9)とを有することを特徴とする、請求項1に記載のコーティング設備(1)。
【請求項3】
前記連結部材(9)内に配置された連結部材過熱器(9’)を有する、
請求項2に記載のコーティング設備(1)。
【請求項4】
前記連結部材過熱器(9’)は、例えば燃焼によって、又は化学的プロセスによって、或いは誘導又は抵抗により加熱される熱交換器として形成され、前記熱交換器は、
チューブ束熱交換器として、及び/又は
好ましくは互いにずらした開口を有する、穴付きプレート熱交換器として、及び/又は
好ましくはタイル又は焼結材料から形成され、空洞を有する材料ブロックとして、
形成されているか、或いは、抵抗熱交換器及び/又は誘導熱交換器として形成されている、
請求項3に記載のコーティング設備(1)。
【請求項5】
前記連結部材(9)及び/又は前記ノズル(8)は、部分的又は完全に導電性材料、好ましくはグラファイトからなり、前記材料に、誘導コイルによって生成される誘導場を結合可能である、
請求項2~4のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項6】
前記ノズル(8)内に配置されたノズル過熱器(8’)を有する、請求項2~5のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項7】
前記ノズル過熱器(8’)は、例えば燃焼によって、又は化学的プロセスによって、或いは誘導又は抵抗により加熱される熱交換器として形成され、前記熱交換器は、
チューブ束熱交換器として、及び/又は
好ましくは互いにずらした開口を有する、穴付きプレート熱交換器として、及び/又は
好ましくはタイル又は焼結材料から形成され、空洞を有する材料ブロックとして、
形成されているか、或いは抵抗熱交換器及び/又は誘導熱交換器として形成されている、請求項6に記載のコーティング設備(1)。
【請求項8】
前記連結部材(8)及び/又は前記ノズル(8)は、部分的又は完全に導電性材料、好ましくはグラファイトからなり、前記材料に、前記誘導コイルによって生成された誘導場を結合可能である、
請求項2~7のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項9】
-前記蒸発部(7)は、前蒸発部と、好ましくは坩堝として形成された後蒸発部とを有し、
前記前蒸発部は、出発材料として存在するコーティング材料を処理するためのスプレーヘッドとインジェクタチューブとを有し、前記インジェクタチューブは、前記スプレーヘッドにおいて処理された前記コーティング材料を前記後蒸発部へ送るように形成され、かつ前記処理されたコーティング材料を前記後蒸発部の中に導き、そこで前記気相に移すように前記後蒸発部に連結され、
好ましくは、前記スプレーヘッドは、ワイヤスプレーに導入された出発材料のアーク溶融及び/又はアーク蒸発のためのワイヤスプレーであり、
前記スプレーヘッドの中に出発材料を供給する供給速度によって前記コーティングの速度の設定が行われるか、又は
-前記材料を気相堆積させるための装置がジェット蒸着設備である、先行する請求項のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項10】
好ましくは請求項1~9のいずれか一項に記載の特徴を有するコーティング設備(1)の動作によって、物体(2)をコーティングする方法において、
a)蒸発部(7)の蒸発器にコーティング材料を導入する工程と、
b)前記コーティング材料を蒸発させるために前記蒸発器によって前記コーティング材料を加熱する工程と、
c)前記蒸発したコーティング材料を前記蒸発部に連結された、ノズル(8)を有するノズル部(8、9)に送る工程と、
d)前記ノズル部(8、9)によって前記蒸発したコーティング材料を過熱する工程と、
e)前記過熱された蒸発したコーティング材料をノズル出口の前を通り過ぎて搬送されるコーティング対象物体(2)に向けて前記ノズル(8)の前記ノズル出口から外へ送る工程とを包含する方法。
【請求項11】
前記蒸発したコーティング材料は、ケルビンスケールで前記蒸発したコーティング材料の蒸発温度よりも10~50%、特に好ましくは20~40%高い温度に過熱されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記蒸発したコーティング材料は、前記コーティング設備(1)の動作時に許容される圧力範囲及び温度範囲内での前記過熱された蒸発した材料の凝結が回避されるように過熱されることを特徴とする、請求項10~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
帯(2)、好ましくは金属帯、特に好ましくは鋼帯をコーティングするための請求項1~9のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体をコーティングするためのコーティング設備に関する。本発明はさらに、物体をコーティングする方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が対象とするコーティング設備は、コーティング対象物体を通過させることができるコーティングチャンバを有する。このために、コーティングチャンバが加熱されたコーティング流路を有することが好ましい。
【0003】
コーティング設備は、気相にある材料を提供するために、材料を気相堆積させるための装置を有する。材料を気相堆積させるための装置は、少なくとも1つの蒸発部を有する。蒸発部は、出発材料として提供される材料を蒸発によって、材料が部分的又は完全に気相にあるように処理するために用いられる。次いで、蒸発によって気相に移された材料は、コーティングされる予定のコーティング対象物体の表面の方向に到達し、そこでの層形成に寄与する。
【0004】
材料を気相堆積させるための装置はまた、蒸発部に連結されたノズル部を有する。ノズル部は、蒸発部で気相に移された材料をコーティング対象表面の方向に導く機能のために用いられる。すなわち、気相にある材料は、物体のコーティング対象表面の方向に導かれ、コーティングチャンバに開口するノズル部のノズル出口から外へ、このノズル部から放出される。
【0005】
物体のコーティング対象表面は、物体がコーティングチャンバを通ってノズル出口の傍らを通り過ぎ、ノズル出口から流出する気相にある材料でコーティングされることによりコーティングされ、その際、気相にある材料が物体の表面に凝結し、それによって所望のコーティングを形成する。
【0006】
蒸発部における材料の蒸発には、種々異なるメカニズムを利用できる。概念的に単純な手順は、出発物質を熱蒸発させ、次いで、これをノズル部へ送り、ノズル部を通過させることである。例えば蒸発部とコーティングチャンバの間の圧力差が気相にある材料を移動させるために寄与する。それに加えて、任意的に、例えば不活性ガスからなるキャリアガス流を蒸発部に、その次にノズル部に通して、蒸発した材料を移送するために用いることができる。
【0007】
材料を気相堆積させるための装置の一例は、ジェット蒸着設備であり、当業者は、この設備を、コーティング材料が熱蒸発によって気相に移され、次いで、例えば、典型的には、しかし必ずしもそうではないが、不活性ガスからなるキャリアガス流で、好ましくは音速を超えるガス流速、好ましくは500m/秒を超えるガス流速で基板に搬送される設備と理解する。動作原理は、例えば、『Handbook of Deposition Technologies for Films and Coatings(Third Edition)』のレビュー記事、Science,applications and Technology、2010年、881~901ページ、https://doi.org/10.1016/B978-0-8155-2031-3.00018-1から読み取れる(出願日のリンク先)。そのようなジェット蒸着設備を用いても本発明を実施することができる。
【0008】
しかし、本発明はさらに、全く一般的に、冒頭で述べた種類のすべてのコーティング装置、すなわち、コーティングするための材料が坩堝を有する蒸発部内で気相に移され、次いで、気相にある材料がノズル部を通って、物体のコーティング対象表面へ方向を定めてノズル部の出口から外へ放出されるすべてのコーティング装置に利用可能である。
【0009】
特に、本発明は、キャリアガスのキャリアガス流を蒸発部に供給するために、及びこの蒸発部を通ってコーティング材料を基板表面に向かって随伴するためにキャリアガスのキャリアガス流供給口が蒸発部内に通じている下位分類のコーティング装置用にも企図されている。上述のこの種類のコーティング装置の一変形形態が、例えば国際公開第2016/042079号公報から知られている。このコーティング装置では、コーティング材料として2本のワイヤが連続的に供給される。コーティング材料はスプレーヘッドに到達し、そこで2本の材料ワイヤがカソード及びアノードとして直流電圧源に接続される。カソードとアノードの間の直流電圧の結果として、2つの材料ワイヤの間に電気アークが形成され、それによって2つの材料ワイヤの形態で供給された出発材料が蒸発及び/又は液化される。スプレーヘッドをガス流が通り抜け、このガス流が蒸発及び/又は液化したコーティング材料を連れ去り、インジェクタチューブを介して坩堝に搬送する。次いで、坩堝に移送されたコーティング材料が加熱された坩堝内で完全に蒸発し、坩堝から外へ導かれ、コーティング対象基板の方を指すように方向が定められるこのコーティング装置は、ジェット蒸着設備でも知られている要素と、アーク蒸着の原理で動作する設備から知られている要素との組み合わせを有する。この装置は、キャリアガス流によるコーティング材料の移送に基づいている。気相にある材料としてコーティング材料を提供するために、このコーティング装置は、前蒸発部と坩堝として形成された後蒸発部とから構成される蒸発部を利用する。前蒸発部は、スプレーヘッド及びインジェクタチューブ内の材料を処理し、これを後蒸発のために、すなわち、まだ存在する固体成分又は液体成分の少なくとも大部分を気相に移し、坩堝に提供する。
【0010】
冒頭で述べた種類の設備すべてに、そのコンセプトの実現に基づき、コーティング対象物を通過させるコーティングチャンバを備え、特に大規模な技術的実装のために利用でき、その利点を発揮するという共通点がある。とりわけ、その結果としての、例えばコーティングチャンバの対応するサイズや、技術的真空の提供における労力及びコストに依存する制約などの境界条件により、コーティング設備の動作においては、物体をコーティングする際に高いプロセス信頼性を保証できるということに特別な課題がある。例えば、作製されるコーティングの特性の高い再現性、及び/又は設備の経済的稼働及び/又は作製される層の高い品質を保証できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2016/042079号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】『Handbook of Deposition Technologies for Films and Coatings (Third Edition)』のレビュー記事、Science,applications and Technology、2010年、881~901ページ、https://doi.org/10.1016/B978-0―8155―2031-3.00018-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このことを背景として、本発明は、冒頭で述べた種類のコーティング設備の動作のプロセス信頼性を改善するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、請求項1の特徴を有するコーティング設備、請求項10の特徴を有する方法、及び請求項13の特徴を有する使用によって解決される。コーティング設備は、物体、好ましくは帯をコーティングするために用いられる。物体は、例えば、金属帯、好ましくは鋼帯であり得る。コーティング用に使用される材料の不都合な反応プロセス、例えば大気酸素による酸化を回避するために、コーティングチャンバ内のコーティングプロセスは、好ましくは、技術的真空中で、場合によっては不活性ガスを添加して行われる。
【0015】
コーティング設備は、
-物体を通過させるためのコーティングチャンバと、
-材料を気相堆積させるための装置であって、材料を気相中に蒸発させるための蒸発部と
-蒸発部に連結されたノズル部とを有し、ノズル部は、コーティングチャンバに開口するノズル出口を含むノズルを有する。
【0016】
ノズル部は、気相にある材料をコーティングチャンバを通ってノズル出口の傍らを通り過ぎる物体、例えば帯のコーティング対象表面へ向けて、気相にある材料を方向を定めて導いてノズル出口から外へ放出するために用いられる。これにより、ノズル出口から流出する気相にある材料が表面に凝縮し、それによってコーティングを形成することにより表面の連続的なコーティングが行われることが達成される。
【0017】
蒸発部はコーティング設備のすべての機器装置の総体であり、コーティングに使用される予定の出発材料を気相に移す。このために、蒸発部は出発材料の供給口(Zufuehrung)を有し、それを通じて蒸発部に出発材料が供給され、これが蒸発する。
【0018】
明細書全体の範囲内で、説明される技術の分野で一般的であるため気相及び蒸発という用語が使用される。その場合、気相という用語は、気相にある材料のわずかな重量部、例えば30重量%まで、好ましくは10重量%以下が、物理的な意味での純粋な気体としてではなく、その代わりに例えばエアロゾル及び/又はクラスタとして存在する可能性があるということを含む。蒸発という用語は、使用される材料及び使用される技術に応じて、粒子の気相への移行が少なくとも部分的に他のメカニズム、例えば昇華によっても行われることを含む。したがって、蒸発という用語は、厳密に物理的な意味での蒸発、つまり液体→気相の移行に加えて、特に昇華などの他のメカニズムも含まれる。
【0019】
コーティングチャンバは、入口通路及び出口通路を有することが好ましく、特に好ましくはコーティングチャンバ内に配置され、対象物を導入及び導出するための入口開口及び出口開口を有するコーティング流路を有する。例えば、コーティング設備が金属帯をコーティングするために企図されている場合、コーティングチャンバは、コーティングチャンバの外側に搬送ローラ及び支持ローラを有し、それにより帯がコーティングチャンバを通って導かれる帯コーティング設備であり得る。
【0020】
本発明によれば、ノズル部は、材料を過熱するように形成されることが企図されている。過熱は、材料が蒸発部において蒸発した後、蒸発部から気相にある材料としてノズル部に到達し、ノズル部を通った後に過熱され、すなわち、過熱されたガスとしてノズル部から流出する。
【0021】
すでに説明したように、蒸発部は材料を蒸発させるために用いられる。その場合、蒸発は、気相にある材料の一部が物理的な意味では気相になく、材料はエアロゾル及び/又はクラスタとして存在するように行われ、厳密には、この場合、蒸発部の最後には、材料の液体成分及び固体成分がまだ存在しているか、或いは少なくとも材料蒸気が常に液体状態及び/又は固体状態の相境界にあるか、又は相境界に近い状態にあるという意味で材料蒸気が存在するということである。これは、気相中の材料の温度が蒸発温度に相当するか、又は蒸発温度と大きく変わらないということと同じ意味である。すなわち、材料蒸気の体積の少なくとも一部が準安定状態にある状況が存在する。
【0022】
本発明により企図される、蒸発部の終わりに存在する、この点で材料蒸気とも呼ぶことができる、後に行われる気相にある材料の過熱により2つのことが達成される。一方で、過熱後に材料の液体成分も固体成分も存在しなくなるということが達成される。他方で、材料の温度が蒸発点を超えることが達成される。
【0023】
過熱は、ノズル部のノズルのノズル出口から出た後に過熱された材料が存在するように行われる。実験は、過熱されてノズル出口から出るガス、換言すると、気相にある過熱された材料によるコーティングの実行により、液滴又は粉塵の形態の液体又は固体の凝結が早期に形成されることを阻止できるか、又は少なくとも大幅に阻止できることを示した。過熱という措置によって、結果として、洗浄措置/廃棄措置がないことで、製品品質の低下と、それに伴うコストを回避することができる。
【0024】
ノズル部は、蒸発部において蒸発した後に蒸発部からノズル部に到達する材料が、ノズル部を通った後に物体、例えば帯のコーティング対象表面に到達するまで過熱され、ここで初めて凝結が起こるよう、材料を過熱するように形成されている。換言すれば、過熱温度は、過熱された材料がノズル出口に存在するだけでなく、コーティング対象表面への搬送全体において過熱ガスが存在するように十分に高く選択される。このために必要な過熱温度は、例えば進んだ距離、及びコーティングチャンバ内の流れの状況など、多数のパラメータ及び条件に依存するため、過熱温度は当業者により選択される必要がある。しかし基本的に、所与の設備において、コーティングの試みを温度というパラメータに依存して実行さえすればよく、それにより当業者にある程度の労力が必要ではあるが、予測可能な努力で成果を得るのにほとんど困難はないため、当業者は、この認識を出発点として特に困難なく適切な温度を決定することが可能である。例えば、コーティング設備において、例えばコーティングチャンバの内部のジオメトリに起因する流れに基づいて、そしてそれにより引き起こされる流れ状況又は背景熱放射によって、ガスが過熱されない、又はガスの過熱が少なすぎることで、温度変化及び/又は圧力変化が引き起こされ、それが局所的に不都合な凝結をもたらす可能性がある。これは結局、本発明の実施を委ねられた当業者が、コーティングチャンバの不都合な箇所で凝結が起こらないように過熱温度を十分に高くしなければならないことを意味する。したがって、蒸発部において蒸発した後に、蒸発部からノズル部に到達する材料がノズル部を通った後に過熱されてノズル部から出ることが重要であり、選択されるべき過熱温度自体は当業者が選択する必要がある。
【0025】
例示的に行われた実験では、蒸発してから過熱されたコーティング材料がノズル出口から出るときに、その蒸発温度よりもケルビンスケールで10~50%、特に好ましくは20~40%高い温度を有する場合に、大抵は非常に良好な結果が得られることが明らかになった。したがって、好ましくは、材料を過熱するためのノズル部は、蒸発部で蒸発した後にこの蒸発部からノズル部に到達する材料がノズル部を流れた後にケルビンスケールでその蒸発温度よりも10~50%、特に好ましくは20~40%高い温度でノズル部から出るように形成されることが企図されている。
【0026】
したがって、本発明は、特に、蒸発部の下流、すなわちノズル部内で、蒸発部から出る部分的又は完全に蒸発した、概して、例えば蒸発温度の+/-5%の蒸発温度を有する材料が、この値を超えて過熱され、その結果、過熱された気相にある材料がノズル部から、より厳密には、ノズル部のノズルのノズル出口から外へ出ることを企図する。
【0027】
最も単純なケースでは、蒸発部は坩堝からなる。最も単純なケースでは、ノズル部はノズル出口を有するノズルからなる。
【0028】
好ましくは、ノズル部は、ノズルと、蒸発部とノズルの間に配置されるように設けられた連結部材とを有する。連結部材が存在することの利点は、存在する蒸発部に異なったノズルを配置できることである。有利な変形形態では、ノズル部は、ノズルと、蒸発部とノズルの間に配置されるように設けられた連結部材とを有し、ノズルは、任意的に、連結部材により回転可能に蒸発部に配置されている。ノズルが蒸発部に回転可能に配置された任意的な実施形態では、コーティングがよりフレキシブルになる。
【0029】
過熱器が連結部材に配置されているか、又は連結部材によってなることを企図することができ、この場合、過熱器は本出願の範囲内で連結部材加熱器と呼ばれる。代替的に、過熱器がノズルに配置されているか、又はノズルによってなることを企図することができ、この場合、過熱器は本出願の範囲内でノズル過熱器と呼ばれる。
【0030】
連結部材内に熱交換器が配置されていることが好ましい。熱交換器を、例えばチューブ束熱交換器として、穴付きプレート熱交換器として、好ましくはタイル又は焼結材料からなる空洞を有する材料ブロックとして形成することができ、上述の熱交換器のうちのいくつかを連結部材内に順次配置することもできる。穴付きプレート熱交換器には、好ましくは互いにずらした開口が設けられている。熱交換器は、例えば燃焼によって、又は化学的プロセスによって、或いは誘導又は電気抵抗により加熱され、それによってガスの過熱のために利用される。当然のことながら、温度は相応に高くなければならない。換言すれば、過熱が部分的又は完全に連結部材内で行われることを企図することができる。これには、ノズル自体が交換可能であり続け、それ自体、設計上特に容易に形成できる物体で有り続けるという利点がある。
【0031】
代替的又は追加的に、抵抗熱交換器及び/又は誘導熱交換器が連結部材内に配置されることを企図することができる。抵抗熱交換器を、例えば電流で加熱される抵抗熱源とすることができる。好ましくは、セラミック加熱要素、例えばセラミックマトリックス複合材料(CMC、例えばATN=Al2O3/TiN混合セラミック、Al2O3/MoSi2混合セラミック、Si3N4/MoSi2など)又はハイブリッド加熱要素が使用される。
【0032】
誘導熱交換器を、例えば、殊にグラファイトからなる導電性物体として形成でき、例えば、連結部材の外側にある誘導コイルを用いて加熱することができる。任意的に、誘導コイルはコーティング設備の構成要素である。
【0033】
代替的又は追加的に、連結部材自体が部分的又は完全に導電性材料からなることができ、この導電性材料に、誘導コイルによって生成された誘導場を結合することができ、その結果、連結部材が加熱される。例えば、連結部材が、部分的又は完全にグラファイトからなるインナジャケットを有することを企図することができる。
【0034】
連結部材において過熱が行われるという上記の考えに代えて、又は加えて、過熱が部分的又は完全にノズル内で行われること、すなわちノズル過熱器が設けられていることを企図することができる。例えば、抵抗加熱可能な熱交換器をノズル内に配置することができ、この熱交換器は、連結部材との関連で上記したのと同じように形成することができる。
【0035】
抵抗熱交換器、誘導熱交換器、及び/又はノズル自体を金属材料、好ましくはグラファイトから形成して誘導コイルによって上述のように結合可能であることを企図することもできる。
【0036】
例えば冒頭で述べたコーティング設備などのコーティング設備の特別な実施形態では、蒸発部は、特にスプレーヘッドを有する前蒸発部と、スプレーヘッドから後蒸発部として形成された坩堝へのインジェクタチューブとを備える。出発材料は、好ましくはワイヤの形態又は帯の形態でスプレーヘッドに供給される。スプレーヘッドにおいて出発物質が処理され、これは、出発材料の成分を蒸発させ、及び/又は、好ましくはカソードとして接続された出発材料とアノードとして接続された出発材料の間のアーク蒸発によって液相にある粒子として出発材料から分離することを意味する。処理された出発材料は完全に気相にあるわけではなく、特に気相と液体粒子又は部分的に液体の粒子との混合物からなり、この処理された出発材料は、坩堝を通過させ、そこで後蒸発させるのに、すなわち、そこで行われる過熱によって完全に、又はほぼ完全に気相に移行するのに適している。
【0037】
前蒸発部は、特に、出発材料として存在するコーティング材料を処理するためのスプレーヘッドとインジェクタチューブを含む。インジェクタチューブは坩堝に連結され、スプレーヘッドにおいて処理されたコーティング材料を坩堝に送るように形成されている。処理されたコーティング材料は坩堝に到達する。まだ気相にないコーティング材料の成分は坩堝内で蒸発し、この目的で出発材料の蒸発温度を超える温度に加熱される。
【0038】
処理された出発物質を気相に転移させるために、坩堝が加熱される。坩堝を加熱する温度はコーティング材料によって異なる。まだ液体の蒸発材料が存在する限り、坩堝と接触したときに坩堝の表面が、液体のまだ蒸発すべき材料の蒸発温度に近い温度になる。したがって、本発明又は本発明の発展形態を実施する場合に、開始温度、すなわちエネルギー供給場所の温度を、例えば坩堝の内部の誘導電流又は外壁の放射によって、出発材料の蒸発温度よりも高い値に調整する必要があることを考慮しなければならない。
【0039】
サイクロン形状はガス流が坩堝を通って効率的に誘導されることを可能にする省スペース設計であるため、坩堝はサイクロンとして形成されることが好ましい。サイクロン形状で形成された坩堝の別の利点は、通過する材料をほぼ完全に蒸発させる信頼性が高いことであり、それによって、適切に適用した場合に、まだ液相にあるコーティング材料での帯のコーティングがほぼ排除できるため、堆積したコーティングの高い品質が保証される。しかし、実際には、どのサイクロンもいわゆる下方選択性(untere Trennschaerfe)、すなわち、引き止められた液滴の最小径を有し、それにより現実の動作では常にいくつかの、小さいとはいえ液体の粒子が坩堝から出る。本発明による手順は、他でもないこの問題に、上述のように適切に過熱することによってこれらの液体粒子も大部分又は完全に蒸発させることにより対処する。
【0040】
変形例では、蒸発部の中に向いたキャリアガス流供給口が、キャリアガスのキャリアガス流を蒸発部に供給し、蒸発部を通してコーティング材料を随伴するように蒸発部に配置されている。
【0041】
前蒸発部がスプレーヘッドを有する冒頭で説明した実施例の実施形態が好ましく、キャリアガス流供給口はスプレーヘッドに配置されており、それによりキャリアガスがスプレーヘッドを通って送られ、そこで処理された、例えば粒子又はクラスタの形態の出発材料を連れ去り、これをインジェクタチューブを通して坩堝の中に送る。
【0042】
例えば、スプレーヘッドをワイヤスプレーとして形成することができ、それによりスプレーヘッドと呼ばれ、このスプレーヘッドに出発材料がワイヤ状又は帯状で導入され、その結果、アーク溶融及び/又はアーク蒸発によってこれが処理され、すなわちさらなる蒸発のために準備される。
【0043】
これまでに説明したコーティング設備との関連で単独でも実行可能な本発明の別の思想は、好ましくは冒頭で述べた種類の、又はその発展形態のコーティング設備の動作によって物体をコーティングする方法に関する。以下に挙げる工程が企図されている。
a)蒸発部の蒸発器にコーティング材料を導入する工程と、
b)コーティング材料を蒸発させるために蒸発器によってコーティング材料を加熱する工程。これは特に、蒸発したコーティング材料がまだ液体及び/又は固体の成分を、例えば10重量%まで、場合によっては30重量%まで含むことが許され、特に材料蒸気がほぼ蒸気温度に相当する温度(その場合、例えば、ケルビンスケールで蒸発温度から最大で20%の偏差、好ましくは2~15%の偏差、特に好ましくは5~10%の偏差)を有するという意味である。
c)蒸発したコーティング材料を、蒸発部に連結されたノズルを有するノズル部に送る工程、
d)蒸発したコーティング材料を、例えばケルビンスケールで蒸発温度よりも好ましくは10~50%、特に好ましくは20~40%高い目標温度で、ノズル部によって過熱する工程。前述の値は、十分な過熱性能と技術的実現可能性との良好な妥協であることが明らかになった。
e)過熱された蒸発したコーティング材料を、ノズルのノズル出口から外へ、ノズル出口の前を通って移送されるコーティング対象物体に向けて送る工程。
【0044】
ノズル部内の過熱は、コーティング設備の発展形態との関連で上述した
-連結部材過熱器を有する、及び/又は
-ノズル過熱器を有する、及び/又は
-連結部材を部分的又は完全に過熱器として形成する、及び/又は
-ノズルを部分的又は完全に過熱器として形成する、ことによるノズル部の実現の範囲内で行われる。
【0045】
受入れ可能な程度で行われる不都合な凝結が設備内で起こらないことを確保できるようにするために、本発明の実施を委ねられた当業者によって、過熱された蒸発した材料の凝結が、所与の設備において、その動作時にすべての許容される動作パラメータで、例えば許容される圧力範囲及び温度範囲内で回避されるか、又は大幅に回避されるかどうかを経験的実験によって決定されなければならない。すなわち、コーティングチャンバ内でどの温度状況及びどの圧力状況が予想されるのかを決定する必要があり、局所的最小許容温度及び/又は最大許容圧力のための設計基準は、蒸発される材料の相図から得られる。これに基づいて、又はこれに代えて、設備の動作時に、可能と考えられる温度について(実験的に有意義な間隔で)、どの臨界過熱温度を上回るとノズル出口において、又は蒸気移動方向でノズル出口の後ろで不都合な凝結が見られなくなるか、又は当業者によって具体的な事例において受入れ可能と見なされる程度を上回らなくなるのかが検査されることにより経験的に措置をとることができ、この臨界過熱温度を、任意的に(例えば概算で50Kの)安全マージンを加えて、上記の工程d)において過熱を調整するために用いることができる。
【0046】
本発明は、帯、好ましくは金属帯、特に好ましくは鋼帯をコーティングするためのコーティング設備の使用にも関する。
【0047】
本発明の主題のさらなる詳細、特徴及び利点は、本発明の例示的な実施形態が示されている図面と関連する以下の説明から明らかになる。当然のことながら、上述の、及び以下に説明する特徴は、それぞれ記載された組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1A】コーティング設備の例示的な実施形態の図である。
図1B図1Aのコーティング設備のノズル部の例示的な実施形態である。
図1C図1Aのコーティング設備のノズル部の例示的な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1Aは、ここでは帯2として形成されている物体2をコーティングするためのコーティング設備1の例示的な実施形態を示す。帯コーティング設備として形成されたコーティング設備1は、技術的真空が存在するコーティングチャンバ4を有し、帯2は、搬送ローラ3a及び3bによって矢印5の方向にコーティングチャンバ4を通って導かれる。コーティング設備は、材料6を気相堆積させるための装置を有する。この装置は、材料を気相中に蒸発させるための蒸発部7と、ノズル8とアダプタとして用いられる連結部材9とから構成されるノズル部8、9とから構成されている。例示的に坩堝として形成された蒸発部7において蒸発した材料は、ノズル部8、9を通ってコーティングチャンバ4に導かれ、そこで帯2に到達し、それによってコーティングを形成する。ノズル部8、9は、蒸発部7において蒸発した材料を過熱するように形成されている。
【0050】
図1Bは、連結部材9内に連結部材過熱器9’が配置された実施形態を示す。図1Cは、ノズル8内にノズル過熱器8’が配置された実施形態を示す。
【0051】
実験は、例えば冒頭で述べたように、及び国際公開第2016/042079号から知られているように、材料を気相堆積させるための装置を有するコーティング設備を用いて行った。材料を気相蒸着させるための装置は、前蒸発部と、坩堝として形成された後蒸発部とを含む蒸発部を有し、坩堝はサイクロンとして形成されている。
【0052】
前蒸発部は、出発材料として存在するコーティング材料を処理するためのスプレーヘッドとインジェクタチューブとを有し、インジェクタチューブは、スプレーヘッドで処理されたコーティング材料を後蒸発部に送るように形成され、かつ後蒸発部に連結されている。出発物質として亜鉛を選択した。
【0053】
前蒸発は、インジェクタチューブ内の亜鉛がその融点である摂氏419.53度を決して下回らないように実行された。これを確保するために、インジェクタチューブ内の温度を摂氏600度に維持した。予め温度調節された窒素をスプレーガスとして使用した。
【0054】
さらなる蒸発の大部分は坩堝内で起こり、坩堝において、コーティング材料である亜鉛が蒸発する。そのために、坩堝内壁において亜鉛の局所的沸点を確実に達成するために、坩堝の温度として摂氏1000度を選択した。なぜなら、この設定温度では、サイクロンの底に「亜鉛溜まり」が形成されないことが判明したためであり、すなわち、選択された温度によって、坩堝内壁における大量のZnの凝結を効果的に阻止することができた。
【0055】
坩堝とノズルは、チューブとして形成された連結部材に接続されている。連結部材の壁は、上記で指定された温度を超えて過熱するようになっていなければならない。この場合、坩堝とノズルの両方において、局所的な圧力条件には摂氏1200度で十分であると経験的に判断され、これは、ケルビンスケールで亜鉛の蒸発温度を20~30パーセント上回ることに相当する。
【0056】
接続されたノズルも、連結部材に接続した状態で摂氏1200度まで加熱される。その後、Znが過熱されて、ノズルのノズル出口から出るが、コーティング対象物体にぶつかるまで、Znの早期の凝結を効果的に回避できることが観察された。スプレーガスの供給後、コーティングチャンバ内は、約50mbarのNのガス圧で技術的真空状態になった。
【0057】
使用したチューブと使用したノズルはグラファイトからなり、外部から誘導加熱された。
図1A
図1B
図1C
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相にある材料を用いて物体(2)、好ましくは帯、特に金属帯をコーティングするためのコーティング設備(1)であって、前記コーティング設備(1)は、
-前記物体(2)を通過させるためのコーティングチャンバ(4)と、
-材料(6)を気相堆積させるための装置であって、前記材料を前記気相中に蒸発させるための蒸発部(7)と前記蒸発部(7)に連結されたノズル部(8、9)とを有し、前記ノズル部(8、9)は、ノズル出口から流出する気相にある材料が表面に凝結し、それにより前記コーティングを形成することによって、前記表面を前記材料で連続的にコーティングするために、前記コーティングチャンバ(4)を通って前記ノズル出口の傍らを通り過ぎる前記物体(2)のコーティング対象表面へ、前記気相にある材料を方向を定めて導いて前記ノズル出口から外へ放出するために、前記コーティングチャンバに開口する前記ノズル出口を含むノズル(8)を有し、
前記ノズル部(8、9)は、前記材料を過熱するために、前記蒸発部(7)における蒸発後に、前記蒸発部から前記ノズル部(8、9)に到達する前記材料が前記ノズル部(8、9)を通った後に過熱されて前記ノズル部から出るように形成されている、コーティング設備(1)。
【請求項2】
前記ノズル部(8、9)がノズル(8)と、蒸発部(7)とノズル(8)の間に配置された連結部材(9)とを有することを特徴とする、請求項1に記載のコーティング設備(1)。
【請求項3】
前記連結部材(9)内に配置された連結部材過熱器(9’)を有する、
請求項2に記載のコーティング設備(1)。
【請求項4】
前記連結部材過熱器(9’)は、例えば燃焼によって、又は化学的プロセスによって、或いは誘導又は抵抗により加熱される熱交換器として形成され、前記熱交換器は、
チューブ束熱交換器として、及び/又は
好ましくは互いにずらした開口を有する、穴付きプレート熱交換器として、及び/又は
好ましくはタイル又は焼結材料から形成され、空洞を有する材料ブロックとして、
形成されているか、或いは、抵抗熱交換器及び/又は誘導熱交換器として形成されている、
請求項3に記載のコーティング設備(1)。
【請求項5】
前記連結部材(9)及び/又は前記ノズル(8)は、部分的又は完全に導電性材料、好ましくはグラファイトからなり、前記材料に、誘導コイルによって生成される誘導場を結合可能である、
請求項2~4のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項6】
前記ノズル(8)内に配置されたノズル過熱器(8’)を有する、請求項2~のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項7】
前記ノズル過熱器(8’)は、例えば燃焼によって、又は化学的プロセスによって、或いは誘導又は抵抗により加熱される熱交換器として形成され、前記熱交換器は、
チューブ束熱交換器として、及び/又は
好ましくは互いにずらした開口を有する、穴付きプレート熱交換器として、及び/又は
好ましくはタイル又は焼結材料から形成され、空洞を有する材料ブロックとして、
形成されているか、或いは抵抗熱交換器及び/又は誘導熱交換器として形成されている、請求項6に記載のコーティング設備(1)。
【請求項8】
前記連結部材()及び/又は前記ノズル(8)は、部分的又は完全に導電性材料、好ましくはグラファイトからなり、前記材料に、誘導コイルによって生成された誘導場を結合可能である、
請求項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項9】
-前記蒸発部(7)は、前蒸発部と、好ましくは坩堝として形成された後蒸発部とを有し、
前記前蒸発部は、出発材料として存在するコーティング材料を処理するためのスプレーヘッドとインジェクタチューブとを有し、前記インジェクタチューブは、前記スプレーヘッドにおいて処理された前記コーティング材料を前記後蒸発部へ送るように形成され、かつ前記処理されたコーティング材料を前記後蒸発部の中に導き、そこで前記気相に移すように前記後蒸発部に連結され、
好ましくは、前記スプレーヘッドは、ワイヤスプレーに導入された出発材料のアーク溶融及び/又はアーク蒸発のためのワイヤスプレーであり、
前記スプレーヘッドの中に出発材料を供給する供給速度によって前記コーティングの速度の設定が行われるか、又は
-前記材料を気相堆積させるための装置がジェット蒸着設備である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)。
【請求項10】
好ましくは請求項1~のいずれか一項に記載の特徴を有するコーティング設備(1)の動作によって、物体(2)をコーティングする方法において、
a)蒸発部(7)の蒸発器にコーティング材料を導入する工程と、
b)前記コーティング材料を蒸発させるために前記蒸発器によって前記コーティング材料を加熱する工程と、
c)前記蒸発したコーティング材料を前記蒸発部に連結された、ノズル(8)を有するノズル部(8、9)に送る工程と、
d)前記ノズル部(8、9)によって前記蒸発したコーティング材料を過熱する工程と、
e)前記過熱された蒸発したコーティング材料をノズル出口の前を通り過ぎて搬送されるコーティング対象物体(2)に向けて前記ノズル(8)の前記ノズル出口から外へ送る工程とを包含する方法。
【請求項11】
前記蒸発したコーティング材料は、ケルビンスケールで前記蒸発したコーティング材料の蒸発温度よりも10~50%、特に好ましくは20~40%高い温度に過熱されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記蒸発したコーティング材料は、前記コーティング設備(1)の動作時に許容される圧力範囲及び温度範囲内での前記過熱された蒸発した材料の凝結が回避されるように過熱されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
帯(2)、好ましくは金属帯、特に好ましくは鋼帯をコーティングするための請求項1~のいずれか一項に記載のコーティング設備(1)の使用。
【国際調査報告】