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▶ アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】回転圧縮機駆動ライン
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
F04C23/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506653
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022070365
(87)【国際公開番号】W WO2023016766
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2021/5642
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】マティス フリップ フランス
(72)【発明者】
【氏名】スワーツ トーマス ルク
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス ウィリアム マリア ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】デ フロー トム レイモンド ヨーゼフ ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】デウィル ディミトリ
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA01
3H129AA24
3H129BB44
3H129CC08
3H129CC16
(57)【要約】
本発明は、駆動系に関し、詳細には、回転圧縮機の駆動系に設けられた駆動シャフトと従動シャフトとの直接連結に関する。さらに、本発明は、この駆動系における、関連する全ての流路及び構成要素を含む潤滑油回路の統合に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルフリーの回転圧縮機(100)の駆動系(10)のためのカップリング(3)であって、前記カップリング(3)は、
-オイルフリーの圧縮室内に可動に配置された歯又は歯セットなどの圧縮要素を駆動するように構成された従動シャフト(1)と、
-モータなどの駆動要素によって駆動される駆動シャフト(2)と、
を直接連結するように構成されており、
-前記カップリング(3)は、
-前記従動シャフト(1)の従動端部上に配置されたカップリングハブ(31)と、
-前記駆動シャフト(2)の駆動端部に取り付けられる及び/又は一体化されたカップリングディスク(32)と、
を備え、
-前記駆動シャフト(2)は、全長にわたる中空通路(21)を備え、前記カップリング(3)は、前記駆動シャフト(2)の前記中空通路(21)内に配置された細長いスタッド(4)を備え、前記スタッドは、前記従動シャフト(1)の従動端部に連結され、前記カップリングディスク(32)を前記カップリングハブ(31)にクランプするように構成されている、ことを特徴とするカップリング(3)
【請求項2】
前記カップリング(3)は、前記スタッド(4)上に取り付けられた張力要素(41)をさらに備え、前記張力要素(41)は、前記カップリング(3)に、好ましくは調整可能なクランプ力を加えるために、前記駆動シャフト(2)の非駆動端部に接触してスタッド(4)を保持するように構成されている、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項3】
前記スタッド(4)は、前記駆動シャフト(2)の前記非駆動端部に接触して前記スタッド(4)を固定するために、相補的な雌ねじの張力要素(41)を締結することができる雄ねじの端部を備え、好ましくは、前記張力要素(41)は、ロックナットで構成されている、請求項2に記載のカップリング(3)。
【請求項4】
前記カップリング(3)は、前記カップリングハブ(31)の表面と前記カップリングディスク(32)の当接面との間に配置された摩擦ディスク(34)を備え、前記摩擦ディスク(34)は、前記当接面の間の摩擦係数を増加させるように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のカップリング(3)。
【請求項5】
前記カップリングハブ(31)の表面と前記カップリングディスク(32)の当接面は、複数の嵌合半径方向溝(33)を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のカップリング(3)。
【請求項6】
前記嵌合半径方向溝(33)は、45°から75°の間、好ましくは50°から70°の間、より好ましくは55°から65°の間、さらに好ましくは約60°のプロファイル角度を有するハース型である、請求項5に記載のカップリング(3)。
【請求項7】
前記カップリング(3)は、前記従動シャフト(1)の前記従動端部と前記カップリングハブ(31)との間に配置され、前記従動シャフト(1)を前記カップリングハブ(31)にクランプするように構成された円錐形クランプリング(5)を備え、好ましくは、連続して配置された複数の円錐形クランプリング(5)を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のカップリング(3)。
【請求項8】
前記カップリング(3)は、前記従動シャフト(1)の前記従動端部と前記スタッド(4)との間に配置され、前記スタッド(4)よりも大きな直径を有し、前記スタッド(4)を前記従動シャフト(1)に連結するように構成された締結部分(6)を備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のカップリング(3)。
【請求項9】
前記スタッド(4)は、雄ねじ付きの端部を備え、前記締結部分(6)は、前記スタッド(4)をねじ込むことができる相補的な雌ねじ付きの開口部(62)を備え、好ましくは、前記締結部分(6)は、開口部(62)を備えたボルト頭部(61)を有するボルトを備える、請求項8に記載のカップリング(3)。
【請求項10】
前記カップリング(3)は、前記駆動シャフト(2)の前記駆動端部と前記カップリングディスク(32)との間に配置され、前記駆動シャフト(2)を前記カップリングディスク(32)にクランプするように構成された締結要素(7)を備え、好ましくは、前記締結要素(7)は、前記駆動シャフト(2)の前記駆動端部にねじ込まれるボルトを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のカップリング(3)。
【請求項11】
前記カップリングハブ(31)は、前記カップリングハブ(31)の側面に配置され、噴射された潤滑油を前記カップリング(3)の潤滑を必要とする構成要素、好ましくは前記カップリングハブ(31)に隣接して配置された軸受(106)に向けるように構成された斜面(82)を備える、請求項1から10のいずれか1項に記載のカップリング(3)。
【請求項12】
前記駆動シャフト(2)の前記非駆動端部は、前記駆動シャフト(2)上に配置された潤滑油ポンプ(9)に結合するように構成され、前記スタッド(4)は、前記潤滑油ポンプ(9)を越えて突出している、請求項1から11のいずれか1項に記載のカップリング(3)。
【請求項13】
オイルフリーの回転圧縮機(100)であって、
-オイルフリーの圧縮室内に可動に配置された圧縮要素、例えば歯又は歯セットと、前記圧縮要素を駆動するように構成された従動シャフト(1)と、
-モータなどの駆動要素と、前記駆動要素によって駆動される駆動シャフト(2)と、
-前記従動シャフト(1)と前記駆動シャフト(2)とを直接連結するための、請求項1から12のいずれか1項に記載のカップリング(3)と、
を備える、オイルフリーの回転圧縮機(100)。
【請求項14】
オイルなどの潤滑油をカップリングハブ(31)の側面に噴射するように構成された噴射ノズル(81)を有する潤滑油インジェクタ(8)をさらに備え、前記カップリングハブ(31)は、噴射された潤滑油を、潤滑を必要とする前記カップリング(3)の構成要素に、好ましくは、前記カップリングハブ(31)に隣接して配置された円錐形クランプリング(5)に向けるように構成された、前記カップリングハブ(31)の側面に配置された斜面(82)を備える、請求項13に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項15】
潤滑油回路を駆動するように構成された、オイルポンプなどの潤滑油ポンプ(9)をさらに備え、前記潤滑油ポンプ(9)は、前記駆動シャフト(2)の非駆動端部上に配置され、前記駆動シャフト(2)が前記潤滑油ポンプ(9)の動作を駆動するように結合されている、請求項13又は14に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項16】
前記潤滑油ポンプ(9)は、前記潤滑油ポンプ(9)に配置された凹部によって前記駆動シャフト(2)に結合され、前記凹部は、前記駆動シャフト(2)の端部に配置された突出要素と結合するように構成される又はその逆も同様であり、好ましくは、前記駆動シャフト(2)は、キー溝(94)と、前記キー溝(94)内に配置されたキー(95)とを備える、請求項13から15のいずれか1項に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項17】
前記潤滑油ポンプ(9)は、外側ロータ(91)と、前記外側ロータ(91)内に回転可能に配置された内側ロータ(92)とを備え、前記外側ロータ(91)及び前記内側ロータ(92)は、相補的なトロコイドプロファイル形状を有する、請求項13から16のいずれか1項に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項18】
オイルフリーの回転圧縮機100の駆動系(10)において、従動シャフト(1)と駆動シャフト(2)とを直接連結するための、請求項1から12のいずれか1項に記載のカップリングの使用。
【請求項19】
オイルフリーの圧縮空気を生成するための、請求項13から17のいずれか1項に記載の回転圧縮機(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルフリーの回転圧縮機の駆動系に関し、詳細には、回転歯圧縮機のオイルフリーの圧縮室内に可動に配置された圧縮要素、特に歯又は可動歯セットを駆動するために、駆動シャフトを従動シャフトに直接連結するためのカップリングに関する。さらに、本発明は、全ての関連する流路及び構成要素を含む、潤滑油回路のこの駆動系への直接結合にも関する。
【背景技術】
【0002】
オイルフリーの回転圧縮機は、半導体から医薬品、製紙まで、幅広い製品の生産に使用できる。オイルフリーとは、圧縮室に潤滑油がないことを指す。典型的なオイルフリーの回転圧縮機は、オイルフリーの圧縮室内に配置された圧縮要素、具体的には歯又は可動歯セット、及び圧縮要素の運動を引き起こすモータで構成される。
【0003】
従来システムでは、駆動は、例えば一連のギアを介した、駆動モータと被駆動圧縮要素との間の間接的な連結によって達成される。後者の場合、駆動ギアは、モータによって駆動されるシャフト(駆動シャフト又はドライブシャフト)に取り付けることができ、これはピニオンを介して圧縮要素を駆動するシャフト(従動シャフト)に作用する。
【0004】
駆動系に特別な設計が必要であるという事実がなければ、回転圧縮機の駆動シャフトと従動シャフトの直接連結が特定の利点をもたらすことができることは明らかである。明確にしておくと、ギア比を使用して低いエンジン回転速度を補正することができないため、直接駆動シャフトは、高い運転回転速度で大きなトルク負荷を受けることになる。これは、メンテナンスフリーのカップリングが何らかの形の損傷及び摩耗を防ぐために非常に頑丈である必要があることを意味する。また、全ての部品の材料特性は、例えば熱膨張係数、摩擦係数などを注意深く考慮する必要がある。
【0005】
直接連結設計を複雑にする可能性のあるさらなる要因は、一般的にオイル又は他の汚染物質で汚染された高温環境である。しかしながら、圧縮機は、駆動シャフトの周りに配置された軸受など、特定の内部構成要素を冷却、シール、及び/又は潤滑するために、何らかの形の潤滑油を必要とする。潤滑を必要としない代替構成要素、例えば「グリース封入型(greased for life)」又は磁気軸受はよく知られているが、一般に、長寿命、高荷重、及び/又は高回転速度が要求される用途には適さないか又は複雑さ及び/又はエネルギー消費の増大を引き起こす。
【0006】
通常、必要な潤滑油は、統合されたオイル回路によって供給され、潤滑油は、外部の、例えば電気駆動ポンプによって必要な噴射圧で供給される。しかしながら、外部駆動ポンプは、追加の駆動装置及び関連する制御ユニットの存在を必要とし、これは、圧縮機の複雑さを増大させる。これは、例えば電力故障又は制御エラーの結果、外部ポンプが偶発的に故障し、必要な潤滑なしで駆動系がいつまでも運転し続ける原因になり、構成要素の加速された摩耗につながるリスクを生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、従来技術の欠点を克服する解決策を開発する必要がある。詳細には、回転圧縮機の駆動系に特有の高出力及び/又は高速トルクを、一方では駆動シャフトと、他方では回転圧縮機の駆動系に配置された従動シャフトとの間で達成することができる直接連結に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記ニーズ及び従来技術の欠点に対応するために、圧縮機の駆動系に典型的な高出力及び/又は高回転速度を有するトルクを、回転圧縮機の駆動系に配置された一方の駆動シャフトと他方の従動シャフトとの間で達成することができるカップリングを提供した。また、本明細書に記載のカップリングは、非常に高温の環境下及び/又はオイル又は汚染物質で汚染された環境下であっても駆動系の寿命を大幅に改善することができ、メンテナンスの必要性がないか又はその必要性が制限される。加えて、本明細書に記載のカップリングは、見えない又はアクセス困難な空間における駆動系の容易かつ迅速な取り付け及び/又は取り外し(すなわち、シャフトの連結解除)、並びに損傷又は摩耗した部品の容易かつ迅速な取り付け及び交換を可能にすることもできる。加えて、本明細書に記載されるカップリングは、単純かつ堅牢な構造を可能にし、圧縮機及び駆動系の別個の構成要素の数を低減することができ、これはまた、より信頼性が高く、よりコンパクトで、より少ない冷却、より少ない潤滑、及び/又は、より少ないメンテナンスを必要とする実施形態につながる。
【0009】
本明細書から明らかになるように、本明細書に記載のカップリングは、潤滑油回路を駆動するように構成されたオイルポンプなどの潤滑油ポンプを、同一の駆動系に統合することをさらに可能にすることができる。このような統合は、圧縮機駆動に典型的な高速に起因して困難であり、潤滑油ポンプに連結するためには、キャビテーションのリスクを回避するために駆動シャフトの外径を小さくする必要がある(すなわち、ポンプ内の動圧を低減するために回転速度を制限する必要がある)。さらに明らかにされたように、クランプ力によって得られたカップリングの寸法は、制限することができる。
【0010】
本発明の一態様は、回転圧縮機の駆動系のためのカップリングに関し、カップリングは、
-オイルフリーの圧縮室内に可動に配置された歯又は歯セットなどの圧縮要素を駆動するように構成された従動シャフトと、
-モータなどの駆動要素によって駆動される駆動シャフトと、
を直接連結するように構成されており、
カップリングは、
-従動シャフトの従動端部上に配置されたカップリングハブと、
-駆動シャフトの駆動端部に取り付けられる及び/又は一体化されたカップリングディスクと、
を備え、
-駆動シャフトは、全長にわたる中空通路を備え、カップリングは、駆動シャフトの中空通路内に配置された細長いスタッドを備え、スタッドは、従動シャフトの従動端部に連結され、カップリングディスクをカップリングハブにクランプするように構成されている。
【0011】
一実施形態では、カップリングは、スタッド上に配置された張力要素をさらに備え、張力要素は、カップリングに、好ましくは制御可能なクランプ力を付与するために、駆動シャフトの非駆動端部に接触してスタッドに張力を付与するように構成されている。
【0012】
一実施形態では、スタッドは、スタッド上に配置された張力要素によって駆動シャフトの非駆動端部に接触して固定され、張力要素は、カップリング上に、好ましくは制御可能なクランプ力を及ぼす。
【0013】
一実施形態では、スタッドは雄ねじ付き端部を含み、雄ねじ付き端部の上に相補的な雌ねじの張力要素を締結して、スタッドを駆動シャフトの非駆動端部に接触して固定することができ、好ましくは、張力要素はナットを含み、より好ましくはロックナットである。
【0014】
一実施形態では、カップリングハブの表面とカップリングディスクの当接面は、複数の嵌合半径方向溝を含む。
【0015】
好ましい実施形態では、嵌合半径方向溝はハース型(Hirth type)であり、好ましくは、プロファイル角度は、50から70度、より好ましくは約60度である。
【0016】
一実施形態では、カップリングは、カップリングハブの表面とカップリングディスクの当接面との間に配置された摩擦ディスクを含み、摩擦ディスクは、当接面の間の摩擦係数を増加させるように構成されている。
【0017】
一実施形態では、カップリングは、従動シャフトの従動端部とカップリングハブとの間に配置された円錐形クランプリングを備え、クランプリングは、従動シャフトをカップリングハブにクランプするように構成されており、好ましくは、連続的に配置された複数の円錐形クランプリングである。
【0018】
一実施形態では、カップリングは、従動シャフトの従動端部とスタッドとの間に配置され、スタッドよりも大きな直径を有し、スタッドを従動シャフトに連結するように構成された締結部分を備える。
【0019】
一実施形態では、スタッドは、雄ねじ付き端部を備え、締結部分は、スタッドをねじ込むことができる相補的な雌ねじ付き開口部を備え、好ましくは、締結部分は、開口部を備えたボルト頭部を有するボルトを含む。
【0020】
一実施形態では、カップリングは、駆動シャフトの駆動端部とカップリングディスクとの間に配置された締結要素を備え、締結要素は、駆動シャフトをカップリングディスクにクランプするように構成されており、好ましくは、複数の締結要素である。
【0021】
一実施形態では、締結要素は、駆動シャフトの駆動端部にねじ込まれるボルトを含む。
【0022】
一実施形態では、駆動シャフトの非駆動端部は、駆動シャフト上に配置された潤滑油ポンプに結合するように構成され、スタッドは、潤滑油ポンプを越えて突出している。
【0023】
一実施形態では、カップリングハブは、カップリングハブの側面に配置され、噴射された潤滑油を、カップリングの潤滑を必要とする構成要素、好ましくは、カップリングハブに隣接して配置された円錐形クランプリングに向けるように構成された、斜面(bevel、ベベル)を備える。
【0024】
本発明のさらなる態様は、回転圧縮機の駆動系に関し、駆動系は、
-オイルフリーの圧縮室内に可動に配置された、歯又は歯セットのような圧縮要素を駆動するように構成された従動シャフトと、
-モータなどの駆動要素によって駆動される駆動シャフトと、
-従動シャフトと駆動シャフトを直接連結するための本明細書に記載のカップリングと、
を備える。
【0025】
本発明のさらなる態様は、回転圧縮機に関し、回転圧縮機は、
-オイルフリーの圧縮室内に可動に配置された、歯又は歯セットのような圧縮要素と、圧縮要素を駆動するように構成された従動シャフトと、
-モータなどの駆動要素と、駆動要素によって駆動される駆動シャフトと、
-従動シャフトと駆動シャフトを直接連結するための本明細書に記載のカップリングと、
を備える。
【0026】
一実施形態では、回転圧縮機は、カップリングハブの側面にオイルなどの潤滑油を噴射するように構成された噴射ノズルを有する潤滑油インジェクタを備え、カップリングハブは、噴射された潤滑油を、潤滑を必要とするカップリングの構成要素に、好ましくは、カップリングハブに隣接して配置された軸受に、向けるように構成された、カップリングハブの側面に配置された斜面を備える。
【0027】
一実施形態では、回転圧縮機は、潤滑油回路を駆動するように構成されたオイルポンプなどの潤滑油ポンプを備え、潤滑油ポンプは、駆動シャフトの非駆動端部上に配置され、駆動シャフトが潤滑油ポンプの動作を駆動するように結合されている。
【0028】
一実施形態では、潤滑油ポンプは、潤滑油ポンプに配置された凹部によって駆動シャフトに結合され、凹部は、駆動シャフトの端部に配置された突出要素と結合するように構成される又はその逆も同様であり、好ましくは、駆動シャフトは、キー溝と、キー溝内に配置されたキーとを備える。
【0029】
一実施形態では、潤滑油ポンプは、外側ロータと、外側ロータ内に回転可能に配置された内側ロータ(92)とを備え、外側ロータ及び内側ロータは、相補的なトロコイドプロファイル形状を有する。
【0030】
特に本発明の様々な態様に関して、実施形態のさらなる変形例及び/又は組み合わせが可能であることは明らかである。
【0031】
本発明の特徴、構造又は特性をより良く示すために、本発明のいくつかの実施形態は、非限定的に添付図面に示されている。これらの添付図面に関する以下の説明は単なる例示であり、主題、その用途、及び/又はその使用を限定することを意図するものではない。添付図面に使用される符号は、例示の要素及び/又は本発明の実施形態を限定することなく、特定の要素をより容易に特定するために役立つ。
【0032】
以下の符号は、図面、特許請求の範囲、及び説明を通して使用される。すなわち、駆動系10;駆動系シャフト11;回転圧縮機100;従動シャフト1;駆動シャフト2;中空通路21;カップリング3;従動部分3´;カップリングハブ31;カップリングディスク32;半径方向溝33(例えば、ハース(Hirth)カップリング);摩擦ディスク34;細長いスタッド4;張力要素41(例えば,ナット);クランプリング5(例えば,円錐形クランプリング);圧力リング51;締結部分6(例えば,ボルト);ボルトヘッド61;開口部62,締結要素7(例えば,ボルト);潤滑油インジェクタ8;インジェクタノズル81;斜面82;潤滑油ポンプ9;外側ロータ91;内側ロータ92;キー溝94;キー95;オイルパン97;オイルフィルタ96;第1の圧縮機要素101、第2の圧縮機要素102、タイミングギア103、タイミングギア104、ピニオン105、軸受106、軸受107、軸受108、軸受109、モータ200、軸受201、軸受202、ハウジング300、伝達ギア302、軸受303、軸受304、フレキシブルカップリング305、ハウジング900、軸方向クランプ力A;半径方向クランプ力Rである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】回転圧縮機の駆動系10のためのカップリング3の一実施形態の概略図である。
図2】回転圧縮機の駆動系10のためのカップリング3の代替実施形態の概略図である。
図3】駆動系10の一実施形態においてトルク伝達を行うことができるクランプ力の概略図である。
図4】駆動系10の代替実施形態においてトルク伝達を行うことができるクランプ力の概略図である。
図5】カップリング3の実施形態の概略図であり、摩擦ディスク34が、カップリングハブ31とカップリングディスク32との間に配置されている。
図6】カップリング3の好ましい実施形態の概略図であり、カップリングハブ31とカップリングディスク32との間に複数の半径方向溝33が設けられている。
図7】カップリング3の代替実施形態の概略図であり、複数の半径方向溝33がカップリングハブ31とカップリングディスク32との間に設けられている。
図8】カップリング3の一実施形態の概略図であり、従動シャフト1は、円錐形クランプリング5によってクランプされ、圧力リング51及び締結部分6によってスタッド4に固定されている。
図9】カップリング3の一実施形態の概略図であり、従動シャフトは、複数の円錐形クランプリング5によってさらにクランプされている。
図10】カップリング3の実施形態の概略図であり、駆動シャフト2は、締結要素7によってカップリングディスク32にさらに取り付けられている。
図11】カップリング3の好ましい実施形態の概略図であり、スタッド4がさらに潤滑油ポンプ9に結合されている。
図12】カップリング3´の従動部分の実施形態の断面図であり、従動シャフト1がカップリングハブ31の中に圧入されている。
図13】カップリング3´の従動部分の好ましい実施形態の断面図であり、従動シャフト1が円錐形クランプリング5によってカップリングハブ31内にクランプされている。
図14】カップリング3´の従動部分の好ましい実施形態の断面図であり、従動シャフト1が複数の円錐形クランプリング5によってカップリングハブ31内にクランプされている。
図15A】圧縮機100の好ましい実施形態の側面斜視図である。
図15B】カップリング3´の従動部分の詳細図を示す。
図16】回転圧縮機100の駆動系10のカップリング3の好ましい実施形態の分解斜視図である。
図17】カップリング3´´の駆動部分の好ましい実施形態の正面斜視図である。
図18】カップリング3´´の駆動部分の好ましい実施形態の断面斜視図である。
図19】カップリング3´´の駆動部分の好ましい実施形態の側面斜視図である。
図20】圧縮機100の従動部分3´の実施形態における潤滑油インジェクタ8の側面斜視図である。
図21】圧縮機100の従動部分3´の実施形態における潤滑油インジェクタ8の断面図である。
図22A】回転圧縮機100の好ましい実施形態の部分断面斜視図である。
図22B】カップリング3の詳細図を示す。
図22C】潤滑油ポンプ9の詳細図を示す。
図23A】回転圧縮機100の好ましい実施形態の部分断面斜視図である。
図23B】カップリング3の詳細図を示す。
図23C】潤滑油ポンプ9の詳細図を示す。
図24A】回転圧縮機100の好ましい実施形態の側面斜視図である。
図24B】潤滑油ポンプ9の詳細斜視図を示す。
図24C】潤滑油ポンプ9の詳細正面図を示す。
図25】潤滑油ポンプ9の結合部の一実施形態の概略斜視図であり、駆動シャフト2がキー溝94を備える。
図26】潤滑油ポンプ結合部の一実施形態の概略斜視図であり、潤滑油ポンプ9がキーによって駆動シャフト2にキー止めされている。
図27】先行する図面と同様のカップリング3を有する組立体の実施形態の概略図である。
図28】先行技術によるフレキシブルカップリングを有する組立体の図27と同様の概略図である。
図29】先行技術によるギアカップリングを有する組立体の図27と同様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の態様及び実施形態を説明する前に、当該態様及び実施形態はもちろん変わる場合があるので、本発明は、本明細書に記載されるような特定のシステム、方法、及び/又は組み合わせに限定されないことを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書に記載される特定の態様及び実施形態は、限定を意図するものではないことも理解されたい。同様に、本明細書及び添付の特許請求の範囲における参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0035】
使用される場合、用語「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、又は「含む(contain)」、「含んでいる(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包含的又は開放的であり、追加の明示されていない部材、要素、構成要素、及び/又は方法ステップを排除するものではない。本発明の特定の実施形態における特定の部材、要素、構成要素、及び/又は方法ステップに言及する場合、他の部材、要素、構成要素、及び/又は方法ステップの存在の可能性は排除されない。
【0036】
単数形「a」、「the」、「the」は、明確にそうでないとの指示がない限り、単数形と複数形の両方を含む。
【0037】
「第1の」、「第2の」、「第3の」等の連続する用語は、そうでないとの記載がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも連続的又は時系列的な順序を記述するために使用されるものではない。これらの用語は、適切な状況下では交換可能であり、本明細書に記載された本発明の実施形態は、本出願に記載又は図示された以外の順序で動作し得ることを理解されたい。
【0038】
用語「約(approximately)」は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、所定の値が、記載された値又は数値範囲より「少し上」又は「少し下」であってもよいことを規定することによって、数値範囲に柔軟性を与えるために使用される。例えば、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値に言及する場合、その変動が本明細書に記載の発明において機能するのに適切である限りにおいて、規定値の±10%以下、好ましくは±5%以下、より好ましくは±1%以下、さらに好ましくは±0.1%以下の変動を含むことが意図される。用語「約」が言及する値は、それ自体も開示されていることを理解されたい。数値範囲による数値の列挙及び/又は羅列は、列挙された端点と同様に、関連する範囲内に含まれる全ての数値及び分数を含む。
【0039】
用語「実質的に」、「本質的に」又は「ほとんど」は、作用、特性、性質、状態、構造、対象、及び/又は結果の完全な又はほぼ完全な範囲又は程度に言及する。例えば、「本質的に」囲まれている物体は、その物体が完全に囲まれているか又はほぼ完全に囲まれていることを意味する。例えば、「実質的に」垂直な物体とは、物体が基準面に対して完全に又はほぼ完全に垂直であることを意味する。場合によっては、絶対的完全性からの正確な許容される逸脱の程度は、特定の文脈に依存する場合がある。しかしながら、一般的に、完全の程度は、全体的な結果が絶対的かつ完全な完成に対するものと同じになるようなものであろう。作用、特性、性質、状態、構造、対象、又は結果が完全に又はほとんど完全に欠如していることを意味する否定的な意味合いで使われる場合にも、「本質的に」の使用は同様に適用される。例えば、粒子を「ほとんど含まない」組成物は、粒子を完全に含まないか又は粒子をほとんど含まないため、結果は、組成物が粒子を完全に含まない場合と同様であろう。換言すれば、成分又は元素を「ほとんど含まない」組成物は、その測定可能な効果がない場合、そのような成分又は元素を依然として含む場合がある。
【0040】
「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」などの相対的な用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、説明目的で使用されており、これらの用語が使用される文脈によっては、必ずしも恒久的な位置又は向きを表すものではない。使用される用語は、例えば、本明細書に記載される実施形態が、図示又は記載される位置又は向き以外の位置又は向きでも使用できるように、適切な状況下で交換可能であることが理解される。
【0041】
互いに「隣接する」、「隣り合う」、又は「接触する」という用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、説明目的で使用されており、これらの用語が使用される文脈に応じて、必ずしも恒久的な位置を説明するものではない。例えば、互いに「隣接する」と記載された物体は、その用語が使用される文脈に応じて、互いに物理的に接触する、近接する、又は同じ一般的な領域又は区域内にある場合がある。
【0042】
以下の節では、本発明の様々な態様がさらに規定される。このように規定された態様は、そうでないことが明記される場合を除いて、他の1又は複数の態様と組み合わせることができる。特に、「好ましい」又は「好都合な」と呼ばれる特徴は、「好ましい」及び/又は「好都合な」と呼ばれる他の特徴又は属性と組み合わせることができる。本明細書における「1つの実施形態」又は「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の機能、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に適用可能であることを意味する。「1つの実施形態において」又は「一実施形態」という語句が本明細書の異なる箇所で言及される場合、これを排除するものではないが、これらは必ずしも同じ実施形態に言及するのではない。さらに、開示された特徴、構造又は特性は、本明細書に基づいて当業者に明らかになるように、何らかの適切な方法で組み合わせることができる。添付の特許請求の範囲に記載され請求された実施形態は、何らかの組み合わせで使用することができる。
【0043】
本明細書では、その一部を構成し、本発明の特定の実施形態を示す添付図面を参照する。特定の要素に関連する括弧内又は太字の数字は、要素を限定することなく、例示的に関連する要素を示している。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いること及び構造的又は論理的な変更を加えることができることを理解されたい。以下の詳細な説明は限定的に解釈されるものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される
【0044】
特に定義しない限り、技術用語及び科学用語を含む本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される全ての用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる案内のために、本発明の説明で使用される用語のさらなる説明のための定義が組み込まれている。本明細書で引用した全ての文献は、参照により開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
従来技術の上述の必要性及び欠点に対応するために、本発明者らによって、モータなどの駆動要素によって直接的又は間接的に駆動されるように構成された「駆動シャフト」又は「ドライブシャフト」と、回転圧縮機の、好ましくはオイルフリーの圧縮室内に可動に配置された圧縮要素、特に回転歯又は歯セットを直接的又は間接的に駆動するように構成された「従動シャフト」とを結合するための手段が開発されている。
【0046】
詳細には、本発明は、直接連結に関し、これによって、回転圧縮機の動作に典型的な、高出力及び/又は高回転速度のトルクを、この回転圧縮機の駆動ライン内で、当接し、好ましくは駆動系軸に沿って互いに略一直線上に配置される、一方の駆動シャフトと他方の従動シャフトとの間で達成することができる。本明細書に記載される直接連結は、非常に高温の及び/又は潤滑油で汚染された環境下であっても、メンテナンスの必要なしで又は限られたメンテナンスで、この駆動系の寿命を著しく改善することができる。加えて、本明細書に記載のカップリングは、見えない又はアクセス困難な領域におけるこの駆動系の取り付け及び/又は取り外し(すなわち、連結シャフトの切り離し)を容易にすることもできる。
【0047】
本明細書に記載の直接連結のさらなる利点は、オイルフリーの回転圧縮機の駆動系に適している点である。本明細書におけるオイルフリーとは、圧縮室内に潤滑油がないことを意味する。供給される圧縮空気の純度は、ISO規格によってISOクラス0-5に分類することができ。ISOクラス1とは、供給される圧縮空気中のオイル濃度が、1バール(bar(a))14.5psia、20℃で最大0.01mg/m3であることを意味する。ISOクラス1基準を満たす圧縮空気溶液(solution)は、「技術的にオイルフリー」とも呼ばれる。一方、ISOクラス0は、100%オイルフリーの圧縮空気、すなわちオイル濃度の痕跡のない圧縮空気を意味する。ISOクラス0基準に適合する圧縮空気は、「完全オイルフリー」とも呼ばれる。本明細書では、さらに同じ命名法を用いることになる。
【0048】
本明細書からさらに明らかになるように、本明細書に記載の直接連結は、統合オイル回路を駆動するように構成されたオイルポンプのような潤滑ポンプを、同じ駆動系に、好ましくは、直接連結されたシャフトと一直線上に、すなわち駆動系の同じ長手方向軸又は「駆動ライン軸」に沿って統合することを可能にすることもできる。このような統合は通常困難であり、その理由は、オイルポンプの駆動シャフトが、回転圧縮機駆動に典型的な高出力及び/又は高回転速度に起因するキャビテーションのリスクを回避するために(すなわち、ポンプ内の動圧を低減するために回転速度を制限する必要がある)、より小さな外径を必要とするからである。さらに詳細に説明するように、適用されるクランプ力によって有利に達成される、記載された直接連結において、配置されたスタッドの直径が、その非駆動端部における駆動シャフトの最大外径によって制限されるため、直径の寸法が有利に制限されることは明らかである。明らかに、この適用されるクランプ力は、従動シャフトの従動端部と駆動シャフトの非駆動端部との間に連結された配置されたスタッドに張力を加えることによって連結要素に適用されるプリテンションの量によって決定される。
【0049】
以下、本発明の様々な態様の最初の概要を説明する。この最初の概要は、読み手が本明細書に記載された技術的概念をより迅速に理解するのを助けることを意図したものであるが、それらの主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図したものでもない。
【0050】
当業者は、特に明記しない限り、以下に記載される態様は、より単純な方法で組み合わせることができることを理解する。また、特定の態様の特定の実施形態は、その別個の考察なしで、別の態様の特定の実施形態として解釈することができる。例えば、本明細書に記載のカップリングの実施形態は、当該カップリングの製造、当該カップリングの使用などに関する実施形態も構成する。同じことが、包括的な態様において統合された場合に特定の実施形態の利点に適用され、例えば回転圧縮機の駆動系における本明細書に記載のカップリングの統合である。
【0051】
図1は、回転圧縮機の駆動系10において従動シャフト1と駆動シャフト2とを直接連結するためのカップリング3の一実施形態を示す。駆動系10の長手方向軸(以下、駆動系シャフト11と呼ぶ)は、点線で概略的に表されている。図示されたカップリング3は、互いに隣接して配置されたカップリングハブ31とカップリングディスク32とを備え、カップリングハブ31の表面は、カップリングディスク32の当接面に接触して又はその近くに配置されている。図示されているように、カップリングハブ31は、このカップリングハブ31によって駆動することができる被駆動シャフト1の端部(被駆動端部)の上に配置されている。同様に、カップリングディスク32は、このカップリングディスク32を駆動することができる駆動シャフト2の端部(駆動端部)の上に配置されている。
【0052】
カップリング3の構成要素は、スタッド4と、このスタッド4を駆動シャフト2に固定する関連する張力要素41によって及ぼされるクランプ力によって、互いに連結することができる。図示されているように、スタッド4は、少なくとも2つの端部、すなわち、従動シャフト1の従動端部に直接又は間接的に連結又は取り付けられる第1の端部と、好ましくは駆動シャフト2の非駆動端部(すなわち、カップリングディスク32を駆動せず、従って従動シャフト1を駆動しない駆動シャフト2の端部である-このことは、当該非駆動端部が他の要素を駆動できること又は駆動することになることを排除するものではない)において、駆動シャフト2に直接又は間接的に連結又は取り付けられる第2の端部とを有する。
【0053】
図1にさらに示すように、駆動シャフト2は、このスタッド4を配置するのに適した内径を有する中空通路21を備える。図示の実施形態では、中空通路21は、駆動シャフト2の全長にわたって、すなわち駆動シャフト2の駆動端部から非駆動端部まで延びている。図示の実施形態は、スタッド4及び随意的に関連する張力要素41が駆動シャフト2の端部に沿って容易にアクセスできるという点で、カップリングの取り付け/取り外しを容易にできるという利点を有する。
【0054】
図1にさらに示されているように、スタッド4は、カップリング3に好ましくは制御可能なクランプ力を及ぼす張力要素41によって、駆動シャフト2の非駆動端部に接触して固定することができる。換言すれば、張力要素41はスタッド4を駆動シャフトの非駆動端部に締結し、カップリング3にクランプ力を加える。換言すれば、図示のように一端が従動シャフトに連結されたスタッド4は、スタッド4の別の一端を駆動シャフト2の非駆動端部に対して直接的又は間接的に張力を加えるこの張力要素41によって係合される。換言すれば、スタッド4は、この張力要素41によって、スタッド4の長手方向に沿って引張荷重を受ける、又は、換言すれば、この張力要素41によって、スタッド4に所定のプリテンションが導入され、このプリテンションは、一方では従動シャフト1との連結を介して、他方では駆動シャフト2に接触する張力要素41を介して、カップリング3に伝達され、カップリングハブ31及びカップリングディスク32は、スタッド4の長手方向に沿って互いに向かって押し進められる。これによって、スタッド4が発生するクランプ力は軸方向であり、スタッド4は軸方向に沿って、換言すればスタッド4の長手方向に沿って、駆動シャフト2の非駆動端部に接触して引っ張られることは明らかである。一実施形態では、張力要素41はスタッド4の本体の周り、好ましくはスタッド4の端部上に配置することができ、スタッド4の端部に対する張力要素41の相対位置がクランプ力の程度を決定する。このために、張力要素41は、駆動系シャフト11に沿ってスタッド4上で締結することができる。
【0055】
一実施形態では、張力要素41はナットを含むことができる。このために、スタッド4は、少なくとも部分的に雄ねじが設けられた端部を含むことができ、その上に、相補的な雌ねじが設けられたナット41を締結することができる。さらに、振動によってナット41が緩むのを防ぐために、ナット41と駆動シャフト2の端部との間にロックワッシャを追加することができる。一実施形態では、張力要素41は、プラスチックリングなどのロック要素が既に組み込まれているロックナットを含むことができる。
【0056】
図2は、カップリングディスク32が少なくとも部分的に駆動シャフト2に組み込まれて「一体型カップリングディスク」32を形成しているカップリング3の実施形態を示す。具体的には、当接面に接触して又はその近くに設けられている駆動シャフト2の駆動端部は、カップリングディスク32の機能を提供することができる。この実施形態は、駆動系10の複雑さを簡素化できるという利点があるが、摩耗した場合には全部の駆動シャフト2を交換する必要がある。
【0057】
スタッド4を、一方では従動シャフト1の従動端部に、他方では駆動シャフト2の非駆動端部に締結することにより、カップリングハブ31及びカップリングディスク32の当接面の間に軸方向(すなわち実質的に駆動系シャフト11の方向)のクランプ力を生じさせることができる。この「軸方向のクランプ力」Aは、図3及び4において、カップリングハブ31及びカップリングディスク32の当接面の間に位置付けられている、互いに向かって指向する矢印によって概略的に表されている。
【0058】
図1に戻ると、スタッド4の端部に配置されたナットのような張力要素41を締結することによって、駆動シャフト2に軸方向の押圧力を加えることができる。軸方向の押圧力は、結果としてカップリングハブ31に押し付けられる、換言すれば、軸方向のクランプ力Aによって駆動シャフト2とカップリングハブ31との間にクランプされる、カップリングディスク32に伝達される。換言すれば、このように、細長いスタッド4がカップリングディスク32をカップリングハブ31にクランプするように構成されていることは明らかである。図1に示す例によれば、このことは、例えば、カップリングディスク32をカップリングハブ31に接触してクランプすることによって達成することができるが、さらに詳細に説明するように、代替実施形態も可能であり、その場合、カップリングディスク32をカップリングハブ31にクランプする際に、カップリングディスク32とカップリングハブ31との間に、例えば、摩擦ディスク及び/又は他の適切な要素のような、1又は2以上の適切な要素が存在する。駆動シャフト2を駆動する場合、荷重はカップリングディスク32を介してカップリングハブ31に伝達することができ、後述するように、カップリングハブ31は従動シャフト1を駆動することができる。従って、図示された駆動系10における軸方向のクランプ力Aは、カップリングハブ31及びカップリングディスク32の当接面の間に存在する摩擦によってトルク伝達を行うことができることが理解される。しかしながら、達成される最大トルクは、高トルク脈動を伴う回転圧縮機駆動では典型的に高くなることになるため、必要な軸方向クランプ力Aの大きさを小さくすることが有利な場合がある。
【0059】
図5は、カップリングハブ31の表面とカップリングディスク32の当接面との間に摩擦ディスク34が配置されたカップリング3の一実施形態を示す。この摩擦ディスク34は、摩擦係数を増加させるように構成することができ、それによって必要なクランプ力を減少させて高いトルク伝達を可能にすることもできる。一実施形態では、摩擦ディスク34は、例えばダイヤモンド微粒でコーティングされた、マトリックス材料に結合された微粒/結晶を含むことができる。従って、これらの微粒は、十分に高い表面圧力の影響下で、カップリングハブ31及びカップリングディスク32の当接面に作用する。摩擦ディスク34は、好ましくは、2倍、好ましくは3倍、より好ましくは4倍、さらに好ましくは5倍、又はそれ以上で、当接面の間の摩擦係数を増加させる。適切な摩擦ディスク34の例は、「EKAgrip」(登録商標)(3M社製)又は「DiaNiP-G」(Atela社製)であるが、本技術分野で知られている他の摩擦ディスク34も同様に適切である。
【0060】
図6はカップリング3の好ましい実施形態を示しており、カップリングハブ31の表面及びカップリングディスク32の当接面は、複数の嵌合半径方向溝33を備える。一実施形態では、嵌合半径方向溝は、クラウン歯車又はかさ歯車を含むことができる。例えば、ボールカップリング又は他の適切なカップリングなど、さらなる代替実施形態が可能であることは明らかである。このような半径方向溝33を設けると、必要なクランプ力を低減して高いトルク伝達を可能にできるという利点がある。例えば、半径方向溝33は、カップリングハブ31及び/又はカップリングディスク32の表面に機械加工することができる。表面に半径方向溝を設けることは、上述した摩擦ディスク34を適用するよりも複雑であるが、構成要素の組み立てにおける公差の蓄積を制限するために追加の位置合わせ構造を設ける必要がないという利点がある。
【0061】
図7はカップリング3の好ましい実施形態を示しており、カップリングハブ31の表面及び駆動シャフト2の当接面には、複数の嵌合半径方向溝33が形成されており、これによって、駆動シャフト2の当接端部は、「一体型」カップリングディスク32の機能を果たす。駆動シャフト2の表面に半径方向溝を加工することは、カップリングディスクの表面をミリング加工(milling)するよりも確かに複雑であるが、構成要素の組み立てにおける公差の蓄積を低減できるという追加の利点がある。
【0062】
好ましい実施形態では、嵌合半径方向溝33は、本技術分野で知られているようなハース(Hirth)型とすることができる。ハースカップリングには、自己調心性があり、以下に説明する実施形態によっては、限られたプリテンションで大きなトルク伝達を達成できるという追加の利点がある。図16に、カップリングハブ31及びカップリングディスク32の当接面に設けられたハースカップリングの例を示す。他の例は、以下の文章を通して説明されることになる。
【0063】
ハースカップリングは、通常、シャフトの表面にミリング加工された溝によって形成された複数の半径方向歯からなる。ハースカップリングの特性は、歯の数、並びに接触面に対して測定される歯のプロファイル角度によってほぼ決定される。当業者は、歯のプロファイル角度に関して標準化された測定システムがないことを理解している。典型的には、歯の厚さ(歯の強度)、接線接触面の角度、トルクを伝達するのに必要なプリテンション、及び位置合わせ(位置合わせ力)の間でトレードオフを行うことができる。例示的に、プロファイル角度が0°の極端なケースでは、すべてが軸方向の摩擦によって伝達され、非常に大きなクランプ力が必要になるが、90°の他の極端なケースでは、実際にはクランプ力は必要ない。本明細書に記載の実施形態では、適切なプロファイル角度は、これらの極端なケースの間で選択されることが理解される。
【0064】
一実施形態では、ハースカップリングのプロファイル角度は、45°から75°、好ましくは50°から70°、より好ましくは55°から65°、さらに好ましくは約60°、例えば59°又は61°である。当業者は、上述したパラメータに基づいてハースカップリングの好適な実施形態を選択することができ、好ましい値は、より限定されたプリテンションに対してより大きなトルク伝達を達成するためのハースカップリングの好ましい実施形態である。
【0065】
連結シャフト1、2の間のさらなるトルク伝達は、従動シャフト1及びカップリングハブ31のそれぞれの当接側面との間、及び駆動シャフト2とカップリングディスク32との間にクランプ力を与えることによって達成することができる。従動シャフト1の従動端部の周りにカップリングハブ31を配置することにより、従動シャフト1及びカップリングハブ31の当接面の間の半径方向(すなわち、駆動系シャフト11に対して実質的に垂直方向)のクランプ力を達成することができる。この「半径方向のクランプ力」Rは、図3及び4において、従動シャフト1及びカップリングハブ31の当接面の間に位置付けられている、互いに向かって指向する矢印によって概略的に表されている。
【0066】
一実施形態では、この半径方向のクランプ力Rは、従動シャフト1をカップリングハブ31の内径に圧入することによって、好ましくはプレス嵌め又は焼き嵌めによって達成することができる。しかしながら、当業者は、シャフトとハブを固定するために適切に設計された他の圧力嵌め又は成形嵌め結合は、圧入後に従動シャフト1がカップリングハブ31に対してもはや相対移動できないと仮定すれば、同様に適切であることを理解することができる。図13は、従動シャフト1がプレス嵌めによってカップリングハブ31にクランプされているカップリング3の実施形態の一例を示す。
【0067】
一実施形態では、この半径方向のクランプ力Rは、従動シャフト1の周りに、好ましくは従動シャフト1の従動端部とカップリングハブ31との間に、円錐形クランプリング5を配置することによって達成することができ、円錐形クランプリング5は、従動シャフト1をカップリングハブ31にクランプするように構成され、かつ、当接するカップリングハブ31の(回転)運動によって駆動される場合に従動シャフトを駆動するように構成されている。この場合、クランプリング5は、半径方向に従動シャフト1の従動端部とカップリングハブ31との間に配置されていることが明らかである。
【0068】
図8は、1つの円錐形クランプリング5が従動シャフト1の周りに配置されたカップリング3の実施形態を示す。円錐形クランプリング5の利点は、カップリングハブ31と従動シャフト1との間で大きなトルク伝達を達成できることであり、これは、回転圧縮機によく見られるような高トルク脈動に非常に適している。好適な円錐形ロック要素の一例は、例えば、従来技術で知られており、例えば、Ringfederという商品名で販売されており、例えば、https://www.ringfeder.com/globalassets/downloads/02-product-paper/product- paper-tech-paper-ringfeder-locking-elements-en-08-2019.pdfに記載されており、軸方向に当接する2つのリングを備えており、この当接するリングは、軸方向に互いに移動する場合、一方のリングの直径の拡大と他方のリングの直径の縮小を達成するように構成されており、これにより、シャフトと、円錐形ロック要素のリングが配置されたハブとの間で摩擦ベースの連結を行うことができる。図13にはカップリング3の代替実施形態の別の例が示されており、同様に、従動シャフト1は、円錐形クランプリング5によってカップリングハブ31にクランプされている。
【0069】
図9は、複数の円錐形クランプリング5が従動シャフト1の周りに連続して配置されたカップリング3の実施形態をさらに示す。具体的には、この図では、連続する2つの円錐形クランプリング5が示されているが、示されている円錐形クランプリングの数は単なる例示であり、より多い数、例えば3又は4の円錐形クランプリング5も同様に好適であることが理解される。適切な数量は、特に、カップリングハブ31の長さ、要求されるトルク力、並びに駆動シャフトの所望の複雑さに依存する。当業者であれば、円錐形クランプリング5の数は、駆動シャフトの取り付け及びメンテナンスをより簡単にするために、好ましくはあまり多く選択されないことを理解するであろう。図14は、カップリング3の代替実施形態の別の例を示しており、同様に、従動シャフト1は、複数の円錐形クランプリング5によってカップリングハブ31にクランプされている。
【0070】
上述したように、1又は2以上の円錐形クランプリング5をロックするために、換言すれば、カップリングハブ31を従動シャフト1にクランプするためのクランプ力を発生させるために必要なプリテンションは、スタッド4に安全に加えることができる値よりも高くなる場合がある。このため、従動シャフト1とスタッド4との間、すなわち軸方向、換言すればスタッド4の長手方向に沿って、好ましくは1又は2以上の円錐形クランプリング5とスタッド4との間に、加圧リング51及び締結部分6を配置することができる。これにより、締結部分6は、図示のように、圧力リング51を介してクランプリングにプリテンションを加えるように構成され、換言すれば、クランプリング5にこのクランプ力を加えるためのプリテンションは、この締結部分6に加えられ、この締結部分6によって吸収される引張応力によって与えられる。従って、クランプリング5のためのこのプリテンションは、スタッド4によって供給される必要はなく、又は、もはやスタッド4によって完全に供給される必要はなく、スタッド4は、依然としてカップリングディスク32とカップリングハブ31との間にクランプ力を発生させるために引張荷重を受ける。換言すれば、締結部分6を備えたこのような実施形態は、締結部分6でクランプリング5にクランプ力を発生させるためのプリテンションを吸収すること、又は締結部分6とスタッド4とに分散させることを可能にする。適切な加圧リング51の例は、締結部分6のタップ端部を挿入し、締結部分6のボルト頭部61に当接するように構成された開口部を有し、ボルト頭部61から発生する加圧力をクランプリング5に向かって伝達するように構成された、リング又はワッシャとも呼ばれる円形パネルである。好ましくは、適切な加圧リング51は、クランプリング5を押圧する際のクリアランスを吸収し、クランプリング5の表面に張力を分散させることができる。さらなる代替実施形態が可能であることは明らかであり、例えば、締結部分6及びスタッド4は一体に形成され、換言すれば、スタッド4は、好ましくはより大きな直径を有する部分を備え、この部分が、1又は2以上のクランプリング5が締結されたときに発生する張力の少なくとも一部を吸収するように構成された締結部分6として機能し、スタッド4のより細い部分が、その後、カップリングディスクをカップリングハブで軸方向にクランプするために上述と同様に使用される。
【0071】
例えば図8から11に示す例示的な実施形態によれば、従動シャフト1の従動端部とスタッド4との間に、スタッド4よりも大きな直径を有し、スタッド4を従動シャフト1に結合するように構成された締結部分6が配置されている。一実施形態では、従動シャフト1におけるスタッド4の端部には雄ねじが設けられ、締結部分6は、スタッド4をねじ込むことができる相補的な雌ねじが設けられた開口部62を含むことができる。
【0072】
このような実施形態によれば、図示のように、締結部分6は、好ましくは、スタッド4の端部をねじ込むことができる開口部62を有するボルト頭部61と、従動シャフト1の対応する開口部、特に従動シャフト1の当接面に設けられた開口部にねじ込むことができるタップ端部とを有する、例えばボルトで構成される。このようにして、ボルトはスタッド4を従動シャフト1に長手方向に連結することができる。当業者は、この変形例が同様に適していることを理解ずることができ、例えば、ボルト6は、スタッド4にねじ込むことができる、又は、従動シャフト1の従動端部は、ボルト6にねじ込むことができる。しかしながら、スタッド4をボルト6にねじ込むことは、代替実施形態と比較して、取り付け及び取り外しを単純化できるという利点がある。
【0073】
図8は、スタッド4がボルト6によって従動シャフト1に連結される、換言すれば締結されるカップリング3の実施形態を示す。具体的には、スタッド4は、ボルト頭部61に設けられた開口部62に配置されている。図8は、ボルト6の上、詳細にはボルト頭部61と円錐形クランプリング5との間に加圧ワッシャ51が配置されていることをさらに示す。
【0074】
上述したように、カップリングディスク32は、駆動シャフト2に直接組み込むことができる、もしくはトルク伝達を行うために張力要素で駆動シャフト2に固定される別個の部品として設けることができる。第2のケースでは、カップリング3の実施形態に応じて、半径方向及び/又は軸方向のクランプ力を、駆動シャフト2及びカップリングディスク32の当接面の間に与えることができる。以下、いくつかの適切な例をより詳細に説明する。
【0075】
図3に示すように、駆動シャフト2の駆動端部の軸方向表面(すなわち、駆動シャフト2の駆動系シャフト11の方向における端面)は、カップリングディスク32の当接面に接触して配置することができる。駆動シャフト2の駆動端部とカップリングディスク32とを締結することで、従動シャフト及びカップリングハブ31の当接面の間での軸方向のクランプ力を達成することができる。この「軸方向のクランプ力」Aは、駆動シャフトとカップリングディスク32との間に位置付けられている、互いに向かって指向する矢印によって図3に概略的に表されている。
【0076】
図10は、カップリングディスク32が複数の締結要素7によって駆動シャフト2に締結されているカップリング3の実施形態を示す。具体的には、この図には2つの締結要素7が示されているが、当業者は、図示された数は単なる例示であり、駆動系10を組み立てる場合の所望の複雑さ及び単純さに応じて、別の数、例えば1、4、8等の締結要素7が同様に適していることを理解することができる。これにより、締結要素の適切な数は、好ましくは、カップリング3とカップリングディスク32との間の所望の軸方向クランプ力を保証するのに十分な大きさであり、好ましくは、例えば、締結要素7を取り付けるためにこの接触面に設けられた開口部の結果として、カップリングディスク32の例えば半径方向溝の接触面をできるだけ小さくするために十分に少ないことが明らかである。
【0077】
一実施形態では、締結要素7は、好ましくはボルト頭部とタップ端部とを有するボルトで構成され、このボルトは、駆動シャフト2の対応する開口部、詳細には駆動シャフト2の当接面に設けられた開口部にねじ込むことができる。このように、ボルト7は、カップリングディスク32を駆動シャフト2に長手方向に連結することができる。当業者は、例えばボルト7をカップリングディスク32にねじ込むことができるような変形例も同様に適切であることを理解することができる。しかしながら、ボルトを駆動シャフト2にねじ込むことは、代替実施形態と比較して、取り付け及び取り外しを単純化できるという利点を有する。図18は、カップリングディスク32が4本のボルト7によって駆動シャフト2に固定されている実施形態の例を示す。図18は、これらのボルト7が駆動シャフト2の駆動端部にどのように配置されているかをさらに示す。
【0078】
図4に示されているように、駆動シャフト2の駆動端部の半径方向表面は、カップリングディスク32の当接面に接触して配置することができ、詳細には、この駆動シャフト2は、細径の細長い駆動端部を有し、カップリングディスク32は、駆動シャフト2のこの駆動端部の周りに配置されている。このような実施形態では、駆動シャフト1とカップリングハブ31との間の上述の結合と同等に、駆動シャフト2及びカップリングディスク32の当接面の間に「半径方向のクランプ力」Rを達成することができる。当業者は、従動シャフト1とカップリングハブ31とを連結するための上述の実施形態を、駆動シャフト2とカップリングディスク32との等価な連結に転用することができると考えることができる。
【0079】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載のカップリング3を備える駆動系10、及び/又は本明細書に記載のカップリング3を備える回転圧縮機100に関する。詳細には、本発明は、駆動系10を含む回転圧縮機100に関し、駆動シャフト2及び従動シャフト1は、好ましくは、本明細書に記載のカップリング3によって互いに直接連結され、好ましくは、互いに一直線上に、すなわち駆動系シャフト11に沿って配置されている。本明細書に記載のカップリング3の好ましい実施形態は、駆動系10及び/又は回転圧縮機100の好ましい実施形態も構成することが理解される。
【0080】
一実施形態では、回転圧縮機100は、駆動要素、具体的には、本明細書に記載の駆動系10を駆動するのに適したトルクを発生させることができるモータと、駆動要素によって駆動することができる駆動シャフト2とを含むことができる。好ましい実施形態では、駆動要素は、電気モータを含むことができる。というのも、このようなタイプのモータは、通常、回転圧縮機を駆動するのに必要な十分な高出力及び/又は高回転速度を達成することができるからである。当業者は、本明細書に記載のカップリング3が、駆動要素の特定の実施形態に限定されないことを理解することができる。
【0081】
一実施形態では、回転圧縮機は、好ましくはオイルフリーの圧縮室と、圧縮室内に可動に配置された圧縮要素、詳細には、従動シャフト1によって駆動される歯又は歯のセットを含むことができる。本明細書での圧縮要素は、従動要素を形成し、回転圧縮機は、上述の駆動要素によって駆動系により直接駆動することができる従動要素を備えることが理解される。当業者は、本明細書に記載の圧縮機が、圧縮要素、詳細には歯の特定の実施形態に限定されるものではなく、原理的に、例えば、形状、幾何学的形状、サイズなどの公知の変形形態を有する、従来技術で知られているような何らかのタイプの歯が適切であると考えることができることを理解することができる。
【0082】
一実施形態では、回転圧縮機は、潤滑を必要とする可能性のある回転圧縮機の構成要素、特に駆動系に潤滑油を供給するように構成された潤滑油回路を含むことができる。回転圧縮機は、潤滑油回路で必要な圧力を生成するように構成された、従来技術で公知のオイルポンプなどの潤滑油ポンプをさらに含むことができる。当業者は、オイル又はオイルを含有する液体混合物が、回転圧縮機の潤滑油として一般的に使用されることを理解するが、原理的には、従来技術で公知の他のタイプの潤滑油を使用することができる。
【0083】
潤滑油回路、好ましくは、オイル回路は、潤滑を必要とする可能性のある駆動系の構成要素、すなわち、回転圧縮機内の全ての関連する流路及び構成要素を含む構成要素への適切な潤滑油供給を保証するために必要な全ての構成要素を含むことが理解される。例えば、オイル回路は、通常、オイル貯蔵用のオイルパン97と、そこを流れるオイルから汚染物質を除去するためのオイルフィルタ96とを含む。簡潔にするため、他の構成要素については個別に説明しないが、当業者は、オイル回路は、通常、シール、フィルタ、プラグ、ドレンなどを含むことも理解することができる。
【0084】
一実施形態では、潤滑油回路は、潤滑油インジェクタ8を備えることができ、インジェクタは、潤滑を必要とする可能性のあるカップリング3の構成要素に潤滑油を供給するように構成されている。このために、潤滑油インジェクタ8は、必要な圧力下で潤滑油を液体ジェットとしてカップリング3のこの構成要素に噴射する噴射ノズル81を含むことができる。噴射ノズル81がこの構成要素に向けられていることは好都合である。別の実施形態では、噴射ノズル81は、例えば噴射されたジェットを拡散及び/又は跳ね返すことによって噴射された潤滑油を、潤滑を必要とする可能性のあるカップリング3の構成要素に送る、カップリング3の構成要素に向けることができる。このために、カップリング3は、噴射された潤滑油をカップリング3の潤滑を必要とする部分に向ける面取りされた側面82(bevelled side)を備えることができ、好ましくは、供給された、好ましくは噴射された潤滑油の分配を促進するようになっている。
【0085】
図15Aは、カップリングハブ31に沿って配置された潤滑油インジェクタ8の実施形態を示す。図15Bは、潤滑油インジェクタ8が、駆動系シャフト11に対して約90度の噴射角度で配向された噴射ノズル81を備えることをさらに示す。これにより、噴射ノズル81は、カップリングハブ31の側面に直接潤滑油を噴射して、従動シャフト1の周りに取り付けられた軸受106などのカップリングの従動部分3´の構成要素を潤滑することができる。
【0086】
潤滑油インジェクタ8の動作をさらに説明するために、図15Aの実施形態の詳細図を示す図20を参照すると、噴射される潤滑油の流れが点線によって概略的に示されている。具体的には、噴射ノズル81から、カップリングハブ31の側面に設けられた斜面82に向かって、潤滑油で構成される又は潤滑油を含む液体流れを噴射することができ、この斜面82は、液体流れを隣接する円錐形クランプリング5に向かって実質的に直角に反射する。
【0087】
当業者は、駆動系シャフト11に対する斜面端部82の表面の角度として定義される斜面角度は、例えば軸受106のような潤滑を必要とする可能性のあるカップリング3の構成要素の位置に対する潤滑油インジェクタ8の位置、詳細にはインジェクタノズル81の噴射角度に適合させる必要があることを理解する。一実施形態では、斜面82は、駆動系シャフト11に対して80°から10°、好ましくは70°から20°、より好ましくは60°から30°、さらに好ましくは55°から35°、さらに好ましくは50°から40°、さらに好ましくは実質的に45°、例えば、44°又は46°の斜面角度を有する。当業者が適切な斜面角度を選択するのを助けるために、例示的な実施形態を以下により詳細に説明することになる。
【0088】
図20の断面図を示す図21にさらに示すように、潤滑油は、潤滑油ポンプ9によって駆動される潤滑油回路によって供給することができる。図21は、潤滑油が、駆動系シャフト11に対して90°の噴射角度で、カップリングハブ31の側面に配置された斜面82上に噴射されることを示す。この斜面82は、駆動系シャフト11に対して45°の斜面角度を有しており、これにより、噴射された潤滑油は、駆動系シャフト11に沿って配置された軸受106に向かって移動する。駆動シャフト1の周りに配置されたカップリングハブ31及び軸受106の回転は、軸受106の実質的に全ての部分を潤滑するのを保証することになる。
【0089】
上述したように、本明細書に記載の駆動系10は、潤滑油ポンプ9を同じ駆動シャフト2又はその延長部に直接連結する可能性をさらに提供することができ、本明細書に記載のカップリング3と同様に、この潤滑油ポンプ9によって駆動される潤滑油回路は、同じ駆動シャフト2によって駆動することができる。一実施形態では、潤滑油ポンプ9は、連結されたシャフト1、2と同じ駆動系シャフト11に沿って、好ましくは駆動シャフト2と一直線上に、従って本明細書に記載のカップリング3とも一直線上に配置することができる。潤滑油ポンプ9の駆動系10への直接的な連結は、外部駆動式オイルポンプ、すなわち外部駆動装置によって駆動されるオイルポンプとは区別される「一体型潤滑油ポンプ」を構成することが理解される。
【0090】
図11は、潤滑油ポンプ9が駆動シャフト2の非駆動端部に隣接して配置されたカップリング3の好ましい実施形態を示す。図示の実施形態では、駆動シャフト2は、より細い直径の延長端部を有し、潤滑油ポンプ9は、駆動シャフト2のこの延長端部の周りに配置されている。当業者であれば、延長端部は、駆動シャフト2の非駆動端部に連結又は取り付けられた単独の構成要素とすること、もしくは潤滑油ポンプ9の構成要素とすることができることを理解する。しかしながら、図示の実施形態は、より堅牢な連結を可能にするという利点を有する。
【0091】
さらに図示されているように、中空通路21は、駆動シャフト2の全長にわたって、すなわち、駆動シャフト2の駆動端部から、その上に又はそれに接触して潤滑油ポンプ9が配置される非駆動端部まで延びている。スタッド4の第2の端部、すなわち駆動シャフト2の非駆動端部に面する端部は、上述の実施形態と同様に、駆動シャフト2の非駆動端部にナットのような緊締要素41で締結することができる。好ましくは、これは駆動シャフト2の非駆動端部上にクランプするだけであり、その動作を妨げないように、潤滑油ポンプ9とは直接接触しない。
【0092】
図22Aは、図11の好ましい実施形態、詳細には一体型オイルポンプ9を備えたカップリング3を含む回転圧縮機100の実施形態を示す。図22Bは、このカップリング3を詳細に示し、図22Cは、スタッド4へのオイルポンプ9の結合部をさらに示す。さらに図22Aは、オイルパン97及びオイルフィルタ96などの、オイルポンプ9によって駆動することができるオイル回路の複数の構成要素を示す。
【0093】
また、図23Aは、図11の好ましい実施形態を備えた回転圧縮機100の実施形態、詳細には一体型オイルポンプ9を備えたカップリング3を示す。続いて、図23Bは、カップリング3の詳細を示し、図23Cは、スタッド4へのオイルポンプ9の結合部をさらに示す。
【0094】
一実施形態では、潤滑油ポンプ9は、外側ロータ91と、外側ロータ91内に回転可能に配置された内側ロータ92とを含むことができ、内側ロータ92は、外側ロータ91に対して回転して、潤滑油回路を駆動するために必要な流量を生成するように構成されている。好ましい実施形態では、潤滑油ポンプ9は、従来技術で公知のようなジェロータポンプ(gerotor pump)で構成されている。適切なジェロータの例は、トロコイドポンプであり、内側ロータ92のプロファイルは、好ましくは、外側ロータ91のプロファイルによって決定されるエピトロコイドプロファイルの等距離として生成される、トロコイドプロファイル形状を有し、外側ロータ91及び内側ロータ92は、相補的なトロコイドプロファイル形状を有するようになっている。当業者は、本明細書に記載のジェロータは、外側ロータ91及び/又は内側ロータ92の特定の実施形態に限定されるものではなく、原理的に、本技術分野で公知の、好ましくはトロコイドプロファイル形状を有する何らかのタイプのロータが適切であると考えられることを理解することができる。
【0095】
図24Aは、図11の好ましい実施形態、詳細には一体型オイルポンプ9を備えたカップリング3を備えた回転圧縮機100の実施形態を示し、このオイルポンプ9はジェロータで構成される。図24Bにより詳細に示されているように、オイルポンプは、駆動シャフト2の周りに配置された外側ロータ91及び内側ロータ92を備え、スタッド4の端部は、このオイルポンプ9の中心を通るようになっている。オイルポンプ9に隣接して、張力要素41は、スタッド4の上に配置され、この張力要素41は、上述したように、カップリング3にクランプ力を及ぼす。張力要素41は、好ましくは駆動シャフト2の端部のみをクランプし、従って、その動作を妨げないように潤滑油ポンプ9と直接接触しない。続いて、図24Cは、外側ロータ91及び内側ロータ92の相補的なトロコイドプロファイル形状を詳細に示す。
【0096】
一実施形態では、潤滑油ポンプ9は、機械的結合によって駆動シャフトに結合することができる。このために、例えば、潤滑油ポンプ9に凹部を設けることができ、この凹部は、駆動シャフト2に設けられた対応する突出部又はストッパと結合するように構成され、その逆も同様である。
【0097】
図25は、適切な潤滑油ポンプ結合部の実施形態を示し、駆動シャフト2の端部はキー溝94を備える。続いて、図26は、図25の実施形態の潤滑油ポンプ9が、このキー溝94に設けられたキー95によってどのように結合することができるかを示しており、このキー95は、潤滑油ポンプ9の対応する凹部に結合するように構成されている。このキー95は、この結合によって、駆動シャフト2の回転時に内側ロータ92を直接回転駆動するように配置することができる。当業者であれば、キー溝94及びキー95は、駆動シャフト2の端部から突出した突出部又はストッパ、例えばD字形突出部によって簡単な方法で置き換えることができることを理解できるはずである。
【0098】
図27は、回転圧縮機100をモータ200に連結するために、上述と同様のカップリング3を使用したオイルフリーの回転圧縮機100を含む組立体の一実施形態を概略的に示す。さらに、図示されているように、この組立体は、潤滑ポンプ9も備えており、このポンプは、上述と同様に駆動シャフト2に結合されている。同じ要素は、同じ参照符号で示されており、上述と同様の方法で機能する。図示されているように、駆動系10のためのカップリング3は、駆動シャフト1及び駆動シャフト2が、剛性連結によって軸方向に一直線に結合されること、換言すれば、結合状態で一体化された駆動シャフトとして動作することを可能にする。これにより、図示のように、軸方向に従って、回転圧縮機100の側の駆動シャフト10が既にジャーナル支持(journaled)されているため、モータ200の側の駆動シャフト2を1つの軸受201のみで支持することができる。図示されている例示的な実施形態によれば、駆動シャフト10は、圧縮機要素101の両側に軸方向に配置された2つの軸受106、108によって、回転圧縮機100の側でジャーナル支持されている。しかしながら、別の実施形態が可能であり、その場合、回転圧縮機100内の軸受の異なる数又は位置決めが可能であり、少なくとも1つの軸受106が、従動シャフト1上のカップリング3の軸方向反対側に配置されることが理解される。
【0099】
さらに、本明細書において概略的に図示されている軸受は、組立体の1又は2以上のハウジング内で駆動シャフト10などの回転構成要素を支えることは明らかである。図示されている例示的な実施形態によれば、組立体のハウジングは、一緒に配置された複数のサブハウジングを備える。従って、図示されている例示的な実施形態によれば、駆動シャフトの軸方向に沿って、回転圧縮機100のハウジングは、カップリング3のハウジング300に配置され、このハウジングは、モータ200のハウジングに配置され、このモータ200は、潤滑油ポンプ9のハウジング900に配置される。
【0100】
図示の実施形態では、例えば、アトラスコプコ社がZT15-22、ZR/ZT30-45、ZT22 VSD、ZR/ZT37-55 VSDの商品名で販売しているオイルフリーの回転歯圧縮機として知られているものと同様の回転圧縮機100が示されており、例えば、https://www.atlascopco.com/content/dam/atlas-copco/local-countries/belgium/documents/oil-free-air/Olievrije-tandrotor-compressoren-ZT-15-22-en-ZR_ZT-30-45-en-ZT-22-VSD-en-ZR_ZT-37-55-VSD.pdf、に詳細に説明されている。このようなロータは、ガスを圧縮するために互いに接近して回転するように構成された2つの圧縮機要素101、102を含む。図示されているように、第1の圧縮機要素101は、従動シャフト1上に配置され、従動シャフト1は、回転圧縮機100のハウジング内で2つの軸受106、108によってジャーナル支持され、タイミングギア103を備える。第2の圧縮機要素102は、第1の圧縮機要素101と協働するように、従動シャフト1に平行なシャフト上に設けられ、このシャフトは、圧縮機要素102の両側の2つの軸受107、109によって同様にジャーナル支持され、タイミングギア104を備える。第2の圧縮機要素102のシャフトのタイミングギア104は、第2の圧縮機要素102の回転を第1の圧縮機要素101の回転と同期させるように、第1の圧縮機要素101のタイミングギアと協働するように構成されている。回転圧縮機100の代替実施形態が可能であることは明らかであり、その場合、構成要素の構成、並びに、例えば圧縮機要素101、102の具体的な実施形態は、上述の実施形態とは異なる。例えば、タイミングギア103、104の代わりに、圧縮機要素101、102の回転を同期させるための他の適切な要素を使用することなどが可能である。
【0101】
図27から分かるように、駆動シャフト10は、3つの軸受によってジャーナル支持され、そのうち、回転圧縮機100のハウジング上の2つの軸受106、108は、従動シャフトをジャーナル支持するように構成され、モータ200のハウジング上の1つの軸受201のみが、駆動シャフト2をジャーナル支持するために配置される。カップリング3によって達成される剛性連結により、駆動シャフト10をジャーナル支持するには、この数の軸受で十分である。しかし、従動シャフト1に2つの軸受を備えたこの実施形態は、別個のモジュールとして、回転圧縮機100内の圧縮機要素101、102の位置合わせを保証するので好都合である。しかしながら、回転圧縮機100の従動シャフト1をジャーナル支持するために1つの軸受のみを設ける代替実施形態も可能であることは明らかである。
【0102】
比較のために、図28は、公知のフレキシブルカップリング305を備えた先行技術による組立体を示し、図29は、ギアカップリング及び/又は歯車伝達装置を備えた公知の組立体を示す。同じ要素は同じ参照符号で示され、上述と同様の方法で機能する。図28に示すように、フレキシブルカップリング305を有する実施形態は、フレキシブルカップリング305が従動シャフト1と駆動シャフト2との剛性連結を提供しないので、モータ200のハウジング内で駆動シャフト2をジャーナル支持するための2つの軸受201、202を有することは明らかである。さらに、歯車伝動装置を備えた実施形態では、駆動シャフト2を歯車伝動装置に連結するためにフレキシブルカップリング305が使用され、このフレキシブルカップリング305は、伝動歯車302によって、回転圧縮機100の従動シャフト1に固定されたピニオン105を駆動するので、モータ200のハウジング内で駆動シャフト2をジャーナル支持するために2つの軸受201、202が同様に必要であることは明らかである。図29に示されている例示的な実施形態によれば、図示されているように、ギアカップリングのハウジング300内の伝達ギア302をジャーナル支持するための軸受303、304のような追加の軸受が必要であることは明らかである。従って、図27を参照して明確になるように、上述のカップリング3の実施形態では、より少ない数の軸受で組立体を実現することができ、より単純で、より堅牢で、よりメンテナンスの必要がない構造をもたらし、これはより効率的な方法で製造することができることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図24C
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルフリーの回転圧縮機(100)の駆動系(10)のためのカップリング(3)であって、前記カップリング(3)は、
-オイルフリーの圧縮室内に可動に配置された歯又は歯セットなどの圧縮要素を駆動するように構成された従動シャフト(1)と、
-モータなどの駆動要素によって駆動される駆動シャフト(2)と、
を直接連結するように構成されており、
-前記カップリング(3)は、
-前記従動シャフト(1)の従動端部上に配置されたカップリングハブ(31)と、
-前記駆動シャフト(2)の駆動端部に取り付けられる及び/又は一体化されたカップリングディスク(32)と、
を備え、
-前記駆動シャフト(2)は、全長にわたる中空通路(21)を備え、前記カップリング(3)は、前記駆動シャフト(2)の前記中空通路(21)内に配置された細長いスタッド(4)を備え、前記スタッドは、前記従動シャフト(1)の従動端部に連結され、前記カップリングディスク(32)を前記カップリングハブ(31)にクランプするように構成されており、前記カップリング(3)は、前記スタッド(4)上に取り付けられた張力要素(41)をさらに備え、前記張力要素(41)は、前記カップリング(3)に、好ましくは調整可能なクランプ力を加えるために、前記駆動シャフト(2)の非駆動端部に接触してスタッド(4)を保持するように構成されていることを特徴とするカップリング(3)
【請求項2】
前記スタッド(4)は、前記駆動シャフト(2)の前記非駆動端部に接触して前記スタッド(4)を固定するために、相補的な雌ねじの張力要素(41)を締結することができる雄ねじの端部を備え、好ましくは、前記張力要素(41)は、ロックナットで構成されている、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項3】
前記カップリング(3)は、前記カップリングハブ(31)の表面と前記カップリングディスク(32)の当接面との間に配置された摩擦ディスク(34)を備え、前記摩擦ディスク(34)は、前記当接面の間の摩擦係数を増加させるように構成されている、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項4】
前記カップリングハブ(31)の表面と前記カップリングディスク(32)の当接面は、複数の嵌合半径方向溝(33)を含む、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項5】
前記嵌合半径方向溝(33)は、45°から75°の間、好ましくは50°から70°の間、より好ましくは55°から65°の間、さらに好ましくは約60°のプロファイル角度を有するハース型である、請求項4に記載のカップリング(3)。
【請求項6】
前記カップリング(3)は、前記従動シャフト(1)の前記従動端部と前記カップリングハブ(31)との間に配置され、前記従動シャフト(1)を前記カップリングハブ(31)にクランプするように構成された円錐形クランプリング(5)を備え、好ましくは、連続して配置された複数の円錐形クランプリング(5)を備える、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項7】
前記カップリング(3)は、前記従動シャフト(1)の前記従動端部と前記スタッド(4)との間に配置され、前記スタッド(4)よりも大きな直径を有し、前記スタッド(4)を前記従動シャフト(1)に連結するように構成された締結部分(6)を備える、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項8】
前記スタッド(4)は、雄ねじ付きの端部を備え、前記締結部分(6)は、前記スタッド(4)をねじ込むことができる相補的な雌ねじ付きの開口部(62)を備え、好ましくは、前記締結部分(6)は、開口部(62)を備えたボルト頭部(61)を有するボルトを備える、請求項7に記載のカップリング(3)。
【請求項9】
前記カップリング(3)は、前記駆動シャフト(2)の前記駆動端部と前記カップリングディスク(32)との間に配置され、前記駆動シャフト(2)を前記カップリングディスク(32)にクランプするように構成された締結要素(7)を備え、好ましくは、前記締結要素(7)は、前記駆動シャフト(2)の前記駆動端部にねじ込まれるボルトを含む、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項10】
前記カップリングハブ(31)は、前記カップリングハブ(31)の側面に配置され、噴射された潤滑油を前記カップリング(3)の潤滑を必要とする構成要素、好ましくは前記カップリングハブ(31)に隣接して配置された軸受(106)に向けるように構成された斜面(82)を備える、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項11】
前記駆動シャフト(2)の前記非駆動端部は、前記駆動シャフト(2)上に配置された潤滑油ポンプ(9)に結合するように構成され、前記スタッド(4)は、前記潤滑油ポンプ(9)を越えて突出している、請求項1に記載のカップリング(3)。
【請求項12】
オイルフリーの回転圧縮機(100)であって、
-オイルフリーの圧縮室内に可動に配置された圧縮要素、例えば歯又は歯セットと、前記圧縮要素を駆動するように構成された従動シャフト(1)と、
-モータなどの駆動要素と、前記駆動要素によって駆動される駆動シャフト(2)と、
-前記従動シャフト(1)と前記駆動シャフト(2)とを直接連結するための、請求項1から11のいずれか1項に記載のカップリング(3)と、
を備える、オイルフリーの回転圧縮機(100)。
【請求項13】
オイルなどの潤滑油をカップリングハブ(31)の側面に噴射するように構成された噴射ノズル(81)を有する潤滑油インジェクタ(8)をさらに備え、前記カップリングハブ(31)は、噴射された潤滑油を、潤滑を必要とする前記カップリング(3)の構成要素に、好ましくは、前記カップリングハブ(31)に隣接して配置された円錐形クランプリング(5)に向けるように構成された、前記カップリングハブ(31)の側面に配置された斜面(82)を備える、請求項12に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項14】
潤滑油回路を駆動するように構成された、オイルポンプなどの潤滑油ポンプ(9)をさらに備え、前記潤滑油ポンプ(9)は、前記駆動シャフト(2)の非駆動端部上に配置され、前記駆動シャフト(2)が前記潤滑油ポンプ(9)の動作を駆動するように結合されている、請求項12に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項15】
前記潤滑油ポンプ(9)は、前記潤滑油ポンプ(9)に配置された凹部によって前記駆動シャフト(2)に結合され、前記凹部は、前記駆動シャフト(2)の端部に配置された突出要素と結合するように構成される又はその逆も同様であり、好ましくは、前記駆動シャフト(2)は、キー溝(94)と、前記キー溝(94)内に配置されたキー(95)とを備える、請求項12に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項16】
前記潤滑油ポンプ(9)は、外側ロータ(91)と、前記外側ロータ(91)内に回転可能に配置された内側ロータ(92)とを備え、前記外側ロータ(91)及び前記内側ロータ(92)は、相補的なトロコイドプロファイル形状を有する、請求項12に記載の回転圧縮機(100)。
【請求項17】
オイルフリーの回転圧縮機100の駆動系(10)において、従動シャフト(1)と駆動シャフト(2)とを直接連結するための、請求項1に記載のカップリングの使用。
【請求項18】
オイルフリーの圧縮空気を生成するための、請求項12に記載の回転圧縮機(100)の使用。
【国際調査報告】