IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロ モーション インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-528221無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体
<>
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図1
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図2
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図3
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図4
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図5A
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図5B
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図6A
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図6B
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図6C
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図7A
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図7B
  • 特表-無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】無線信号が通過可能なメータ電子機器筐体
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20240719BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20240719BHJP
   G01F 15/061 20220101ALI20240719BHJP
【FI】
G01F1/84
G01F1/00 Y
G01F15/061
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506728
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2021110226
(87)【国際公開番号】W WO2023010269
(87)【国際公開日】2023-02-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チー, スフン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, フア
【テーマコード(参考)】
2F030
2F031
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CE09
2F031AE09
2F035JA02
(57)【要約】
金属をさらに含む本体201を備えるハウジング2が提供される。本体201に結合可能なカバー200が設けられ、アンテナスロット202がハウジング2に形成され、アンテナスロット202はコンパウンド210で充填されている。金属からハウジングを形成するステップ及びそれにアンテナスロットを形成するステップを含む、ハウジングを形成する方法が提供される。ハウジングはエッチングされ、アンテナスロットにコンパウンドが挿入される。メータ電子機器がハウジングの内部に収容され、無線データ信号がコンパウンドを通して送信され、メータ電子機器と通信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを形成する方法であって、
金属から前記ハウジングを形成するステップと、
前記ハウジングにアンテナスロットを形成するステップと、
前記ハウジングをエッチングするステップと、
前記アンテナスロットにコンパウンドを挿入するステップと、
前記ハウジングを組み立てるステップであって、メータ電子機器が前記ハウジングの内部に収容されるステップと、
前記コンパウンドを通して送信される無線データ信号を用いて前記メータ電子機器と通信するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ハウジングが流量計に接続される、請求項1に記載のハウジングを形成する方法。
【請求項3】
前記コンパウンドが繊維強化樹脂を含む、請求項1に記載のハウジングを形成する方法。
【請求項4】
前記ハウジングをエッチングするステップが、20から500nmの深さを有する細孔をエッチングすることを含み、前記アンテナスロットにコンパウンドを挿入するステップが、前記細孔をコンパウンドで充填することを含む、請求項1に記載のハウジングを形成する方法。
【請求項5】
前記ハウジングをエッチングするステップが、20から300nmの深さを有する細孔を前記金属に形成することを含み、前記アンテナスロットにコンパウンドを挿入するステップが、前記細孔をコンパウンドで充填することを含む、請求項1に記載のハウジングを形成する方法。
【請求項6】
前記ハウジング内に前記アンテナスロットを形成するステップが、複数の樹脂戻り止めを形成することを含む、請求項1に記載のハウジングを形成する方法。
【請求項7】
ハウジング(2)であって、
金属を含む本体(201)と、
前記本体(201)に結合可能なカバー(200)と、
前記ハウジング(2)に形成されたアンテナスロット202であって、前記アンテナスロット202がコンパウンド(210)で充填されている、アンテナスロット202と、
を備える、ハウジング(2)。
【請求項8】
前記コンパウンド(210)が、無線データ伝送を通すことが可能である、請求項7に記載のハウジング(2)。
【請求項9】
メータ電子機器(20)が内部に収容され、前記メータ電子機器(20)が、前記コンパウンド(210)を通して無線データ伝送の送信及び受信の少なくとも一方を行うことができる、請求項7に記載のハウジング(2)。
【請求項10】
前記コンパウンドが繊維強化樹脂を含む、請求項7に記載のハウジング(2)。
【請求項11】
前記アンテナスロット(202)に近接する前記ハウジング(2)がエッチングされている、請求項7に記載のハウジング(2)。
【請求項12】
前記エッチングされたハウジングが、20から500nmの深さを有する細孔を含む、請求項11に記載のハウジング(2)。
【請求項13】
前記エッチングされたハウジングが、20から300nmの深さを有する細孔を含む、請求項11に記載のハウジング(2)。
【請求項14】
前記アンテナスロット(202)が、複数の樹脂戻り止めを備える、請求項7に記載のハウジング(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明される実施形態は、インターフェースを有する計器に関し、より詳細には、無線信号を通過させる、メータ電子機器のための筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コリオリ質量流量計、液体密度計、気体密度計、液体粘度計、気体/液体比重計、気体/液体相対密度計、および気体分子量計などの振動計は一般に知られており、流体の特性を測定するために使用される。一般に、振動計は、センサアセンブリとメータ電子機器とを備える。センサアセンブリ内の材料は、流動していてもよく、静止していてもよい。振動計は、センサアセンブリ内の材料の質量流量、密度、またはその他の特性を測定するために使用できる。メータ電子機器は、典型的には、計算を実行して、センサアセンブリ内の材料の質量流量、密度、及びその他の特性の値を決定する。
【0003】
メータ電子機器は、通常、センサアセンブリに通信可能及び/または機械的に結合された、送信機と呼ばれることがあるインターフェース内に配置される。より具体的には、メータ電子機器は、典型的には剛性構造であるハウジング内に配置される場合がある。図1は、従来技術のハウジングを示す。送信器の外部構造は金属であり、典型的にはアルミニウムである。金属筐体の性質及びその固有の遮蔽能力により、ブルーツース(登録商標)信号を含むUHF電波などのワイヤレス信号は、ハウジングを通過することができない。したがって、無線操作及び/または制御は、ハウジング内に位置する電子機器に送信することも、電子機器から受信することもできない。
【0004】
UHF伝送のためのハウジング内の開口は、ハウジングのサイズと寸法、及びその関連する構成に基づいて、常に可能であるとは限らない。さらに、危険区域で使用される製品は、開口部サイズの調整を制限する、特別な間隔の考慮を必要とすることが多い。
【0005】
したがって、危険な雰囲気、さらには爆発性の雰囲気に設置するために必要な構造的完全性を依然として維持する、無線通信が通過可能な金属ハウジングが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態によれば、ハウジングを形成する方法が提供される。この方法は、金属からハウジングを形成するステップと、ハウジングにアンテナスロットを形成するステップとを含む。ハウジングがエッチングされ、コンパウンドがアンテナスロットに挿入される。ハウジングが組み立てられ、メータ電子機器がハウジングの内部に収容される。メータ電子機器は、コンパウンドを通して送信される無線データ信号と通信する。
【0007】
一実施形態によれば、ハウジングは、金属をさらに備える本体と、本体に結合可能なカバーとを備える。アンテナスロットがハウジングに形成され、アンテナスロットはコンパウンドで充填されている。
【0008】
[態様]
一態様によると、ハウジングを形成する方法は、金属からハウジングを形成するステップと、ハウジングにアンテナスロットを形成するステップと、ハウジングをエッチングするステップと、アンテナスロットにコンパウンドを挿入するステップと、ハウジングを組み立てるステップとを含み、メータ電子機器はハウジング内に収容される。
【0009】
好ましくは、前記ハウジングは流量計に接続される。
【0010】
好ましくは、前記コンパウンドは繊維強化樹脂を含む。
【0011】
好ましくは、前記ハウジングをエッチングするステップは、20から500nmの深さを有する細孔をエッチングすることを含み、前記アンテナスロットにコンパウンドを挿入するステップは、前記細孔をコンパウンドで充填することを含む。
【0012】
好ましくは、前記ハウジングをエッチングするステップは、20から300nmの深さを有する細孔を前記金属に形成することを含み、前記アンテナスロットにコンパウンドを挿入するステップは、前記細孔をコンパウンドで充填することを含む。
【0013】
好ましくは、前記ハウジングに前記アンテナスロットを形成するステップは、複数の樹脂戻り止めを形成することを含む。
【0014】
一態様によると、ハウジングは、金属を含む本体と、前記本体に結合可能なカバーと、前記ハウジング内に形成されたアンテナスロットとを備え、前記アンテナスロットは、コンパウンドで充填されている。
【0015】
好ましくは、前記コンパウンドは、無線データ伝送を通すことが可能である。
【0016】
好ましくは、メータ電子機器がその内部に収容され、前記メータ電子機器は、コンパウンドを通して無線データ伝送の送信及び受信の少なくとも一方を行うことができる。
【0017】
好ましくは、前記コンパウンドは繊維強化樹脂を含む。
【0018】
好ましくは、前記アンテナスロットに近接する前記ハウジングはエッチングされている。
【0019】
好ましくは、前記エッチングされたハウジングは、20から500nmの深さを有する細孔を含む。
【0020】
好ましくは、前記エッチングされたハウジングは、20から300nmの深さを有する細孔を含む。
【0021】
好ましくは、前記アンテナスロットは、複数の樹脂戻り止めを備える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
すべての図面において、同じ参照番号は同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
図1図1は、従来技術の振動計ハウジングを示す。
図2図2は、一実施形態に係る改良されたハウジングを有する振動計5を示す。
図3図3は、一実施形態に係る振動計5センサアセンブリを示す。
図4図4は、一実施形態に係るハウジング2を示す。
図5A図5Aは、一実施形態に係るカバー200を示す。
図5B図5Bは、図5Aのカバー200の別の図を示す。
図6A図6Aは、アンテナスロット202を有する図5A及び5Bに示されるカバー200を示す。
図6B図6Bは、材料接続点206が示された図6Aに示されるカバー200を示す。
図6C図6Cは、図6Bのカバー200の別の図を示す。
図7A図7Aは、充填されたアンテナスロット202を有するカバー200を示す。
図7B図7Bは、図7Aのカバー200の別の図を示す。
図8図8は、無線データ伝送が通過可能なハウジングを形成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図8及び以下の説明は、メータ電子機器のための筐体の実施形態の最良の形態をどのように作製し、使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様が単純化又は省略されている。当業者は、本明細書の範囲内に入るこれらの実施例からの変形を理解するであろう。当業者は、以下に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて、筐体を使用する複数のバリエーションを形成できることを理解するであろう。その結果、以下に説明する実施形態は、以下に説明する具体例に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される。
【0024】
図2は、一実施形態に係るハウジング2を有する振動計5を示す。図2に示すように、振動計5は、フィードスルー15を介してハウジング2に機械的にかつ通信可能に結合されたセンサアセンブリ10を含む。センサアセンブリ10は、フランジ10a、10bでプロセスライン(図示せず)に挿入され、材料を受け取って測定し、プロセスラインに戻すことができる。ハウジング2は、メータ電子機器を収容することができる。
【0025】
図3は振動計5を示しており、明瞭化のためにハウジング2は図示されていない。振動計5は、センサアセンブリ10及びメータ電子機器20を備え、メータ電子機器20は図1に示すハウジング2内に配置される。センサアセンブリ10は、プロセス材料の質量流量及び密度に応答する。メータ電子機器20は、リード線100を介してセンサアセンブリ10に接続され、ポート26を介して密度、質量流量及び温度情報、ならびに他の情報を提供する。
【0026】
センサアセンブリ10は、一対のマニホールド150及び150’、フランジネック110及び110’を有するフランジ103及び103’、一対の平行な導管130及び130’、ドライバ180、抵抗温度検出器(RTD)190、並びに一対のピックオフセンサ170l及び170rを含む。導管130及び130’は、2つの本質的に直線の入口脚131、131’及び出口脚134、134’を有し、これらは導管取り付けブロック120及び120’で互いに向かって収束する。導管130、130’は、それらの長さに沿った2つの対称位置で屈曲し、それらの長さ全体にわたって本質的に平行である。ブレースバー140及び140’は、各導管130、130’がその周りで振動する軸W及びW’を規定する働きをする。導管130、130’の脚部131、131’及び134、134’は、導管取り付けブロック120及び120’に固定して取り付けられ、これらのブロックは、さらにマニホールド150及び150’に固定して取り付けられる。これは、センサアセンブリ10を通る連続的な閉じた材料経路を提供する。
【0027】
孔102及び102’を有するフランジ103及び103’が、入口端104及び出口端104’を介して、測定されているプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されると、材料は、フランジ103内のオリフィス101を通って計器の入口端104に入り、マニホールド150を通って表面121を有する導管取り付けブロック120に導かれる。マニホールド150内で材料は分割され、導管130、130’を通って送られる。導管130、130’から出ると、プロセス材料は、表面121’とマニホールド150’を有するブロック120’内で単一の流れに再結合され、その後、穴102’を有するフランジ103’によってプロセスラインに接続された出口端104’に送られる。
【0028】
導管130、130’は、曲げ軸W-W及びW’-W’についてそれぞれ実質的に同じ質量分布、慣性モーメント及びヤング率を有するように選択され、導管取り付けブロック120、120’に適切に取り付けられる。これらの曲げ軸は、ブレースバー140、140’を通る。導管のヤング率は、温度とともに変化し、この変化は、流量及び密度の計算に影響を及ぼすため、RTD190は、導管130’に取り付けられ、導管130’の温度を連続的に測定する。導管130’の温度、したがってそこを通過する所定の電流についてのRTD190の両端に現れる電圧は、導管130’を通過する材料の温度によって支配される。RTD190の両端に現れる温度依存電圧は、導管温度のあらゆる変化による導管130、130’の弾性係数の変化を補償するために、メータ電子機器20によって周知の方法で使用される。RTD190は、RTD信号195を伝送するリード線によって、メータ電子機器20に接続されている。
【0029】
導管130、130’の両方は、ドライバ180によって、それぞれの曲げ軸W及びW’の周りで反対方向に、流量計のいわゆる第1の位相外れ曲げモードで駆動される。このドライバ180は、導管130’に取り付けられた磁石及び導管130に取り付けられ、両導管130、130’を振動させるための交流電流が通る対向コイルなどの多くの周知の構成のうちのいずれか一つを備えることができる。適切な駆動信号185が、リード線を介してメータ電子機器20によってドライバ180に印加される。
【0030】
メータ電子機器20は、リード線上のRTD信号195を受信し、左右のセンサ信号165l、165rのそれぞれを伝送するリード線100上に現れるセンサ信号165を受信する。メータ電子機器20は、ドライバ180へのリード線に現れる駆動信号185を生成し、導管130、130’を振動させる。メータ電子機器20は、左右のセンサ信号165l、165r、及びRTD信号195を処理して、センサアセンブリ10を通過する材料の質量流量及び密度を計算する。この情報は、他の情報と共に、信号として経路26を介してメータ電子機器20によって適用される。振動計5及びメータ電子機器20のより詳細な議論は以下の通りである。
【0031】
質量流量計測値
【数1】

は、次式に従って生成することができる。
【数2】

Δt項は、振動計5を通る質量流量に関連するコリオリの影響による時間遅延などの、ピックオフセンサ信号間に存在する時間遅延を含む、操作的に導出された(すなわち、測定された)時間遅延値を含む。測定されたΔt項は、最終的に、振動計5を通って流れるときの、流動材料の質量流量を決定する。Δt項は、ゼロ流量較正定数における時間遅延を含む。Δt項は、通常、出荷時に決定され、振動計5にプログラムされる。流量が変化しても、流量ゼロでの時間遅延Δt項は変化しない可能性がある。流量計を流れる流量材料の質量流量は、測定された時間遅延に流量較正係数FCFを乗じることによって決定される。流量校正係数FCFは、流量計の物理的剛性に比例する。
【0032】
密度に関しては、各導管130、130’が振動するであろう共振周波数は、材料を有する導管130、130’の総質量で割った導管130、130’のバネ定数の平方根の関数であり得る。材料を有する導管130、130’の総質量は、導管130、130’の質量に導管130、130’内部の材料の質量を加えたものとすることができる。導管130、130’内の材料の質量は、材料の密度に正比例する。したがって、この材料の密度は、材料を含む導管130、130’が振動する周期の二乗に、導管130、130’のばね定数を乗じたものに比例し得る。したがって、導管130、130’が振動する期間を決定し、その結果を適切にスケーリングすることによって、導管130、130’によって収容される材料の密度の正確な測定値を得ることができる。メータ電子機器20は、センサ信号165及び/または駆動信号185を使用して、周期または共振周波数を決定することができる。メータ電子機器20は、以下でより詳細に説明するように、筐体2によって収容され、包囲される電子機器及び関連回路基板を含むことができる。
【0033】
図4は、一実施形態によるハウジング2を示す。振動計5は、フィードスルーを介して、ハウジング2に機械的かつ通信可能に結合される。ハウジング2は、メータ電子機器を収容することができる。カバー200は、ハウジング2の本体201に結合される。電気導管(図示せず)は、接合部204を介してハウジング2に結合することができる。
【0034】
図5A及び5Bは、筐体2のためのカバー200を示す。図5Aは外側の表面を示し、図5Bは内側の表面を示す。この性質の金属性のカバーは、UHF電波を通過させない。ただし、図5A及び図5Bに示されるように、これは、カバー200の一般的な形状を実現するための、単なる製造中の構成のカバーである。製造は、機械加工、鋳造、積層造形技術、これらの組み合わせ、及び当技術分野で公知の任意の他の製造方法の形態で行われてもよい。
【0035】
図6Aは、図5A及び5Bに図示されたカバー200の、後続のカバー200内にアンテナスロット202を形成するサブトラクティブ製造ステップ後を示す。カバー200を形成するために積層造形プロセスを使用する場合、カバー200の製造中にアンテナスロット202が形成できることは、当業者であれば理解できるであろう。一実施形態では、製造に必要な任意の一時的な支持構造を利用することができ、これを除去すると、図5に示される構造または同等の構成が得られる。
【0036】
金属カバーは、シールドとして機能し、UHF電波を減衰させるかまたは完全に遮断することから、カバー200にアンテナスロット202を形成し、これにより組み立てられたハウジング2の内外への信号経路を提供することは、利点がある。図6B及び図6Cに示される実施形態では、材料接続点206は、カバー200の必要な強度及び構造的完全性を確保するように画定または作成される。図6B及び図6Cに示される実施形態では、樹脂戻り止め208は、樹脂が占める追加のスペースを提供するように画定または作成され、これにより追加の強度を提供し、カバー200の構造的完全性を確実にする。
【0037】
図7A及び図7Bは、アンテナスロット202及び樹脂戻り止め208にUHF電波が通過可能なコンパウンド210を充填した状態を示している。これにより、Bluetooth(登録商標)などの無線データ接続が、ハウジング2内に封入されたメータ電子機器と外部電子デバイスとの間で行われることが可能になる。UHF及びBluetooth以外の他の無線データ伝送スペクトル及び規格も、それぞれコンパウンド210を通過することが企図されている。一実施形態では、コンパウンド210は、コンパウンドの線膨張係数をハウジング2に利用される金属と一致させるために、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、またはポリアミド(PA)などの樹脂に配合されたガラス繊維または炭素繊維を含む。いくつかの実施形態において、ハウジングに利用される金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、及びチタン合金のうちの一つである。このようなガラス繊維または炭素繊維で強化されたコンパウンドは、金属とプラスチックとの間の高い接着性を可能にする。
【0038】
図8には、無線データ伝送が通過できるハウジング2の形成方法が示されている。ステップ800において、金属からハウジング2が形成される。上述したように、金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、及びチタン合金のうちの一つである。ハウジングは、機械加工、鋳造、積層造形、それらの組み合わせ、及び当技術分野で知られている任意の他の製造方法で形成されてもよい。ハウジングは、カバー200及び本体201を備える。
【0039】
ステップ802において、アンテナスロット202がハウジング2に形成される。アンテナスロット202は、例えば機械加工などのサブトラクティブプロセスを介して形成することができる。アンテナスロット202は、例えば、3Dプリンティングなどの積層的なプロセスを介して形成されてもよい。一時的な支持体が、これらのステップの間に形成されてもよい。材料接続点206が、これらのステップ中に形成されてもよい。樹脂戻り止め208は、これらのステップ中に、樹脂が占める追加のスペースを提供するように画定または形成することができる。
【0040】
ステップ804では、ハウジング2がエッチングされて、金属内にナノサイズの細孔が形成される。典型的には、ハウジング2は、当技術分野で知られている標準的な方法を使用して、まず脱脂され、洗浄される。
【0041】
アルミニウム合金は、まず塩基性水溶液(pH>7)に浸漬され、次いで水洗されてもよい。塩基性水溶液に用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ金属水酸化物の水酸化物、ソーダ灰(Na)、無水炭酸ナトリウム、アンモニア等が挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物(Ca、Sr、Ba、Ra)も使用することができる。水酸化ナトリウムを用いる場合には、濃度が0. 1から数%の水溶液が好ましく、ソーダ灰を用いる場合には、濃度が0. 1から数%の水溶液が好ましい。ハウジングは数分間浸漬され、アルミニウム合金の表面が処理される。塩基性水溶液に浸漬することにより、アルミニウム合金の表面が水素を放出しながらアルミン酸イオンとして溶解し、アルミニウム合金の表面が削られて新たな表面が現れる。この浸漬処理の後、これは水で洗浄される。
【0042】
代わりに、酸エッチングが、数%から40~50%の濃度の酸水溶液中、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸等を用いて、室温またはそれよりやや高い温度、例えば、20~50℃で実施されてもよい。ハウジング2は、数秒から数分間浸漬される。
【0043】
さらに、アルカリエッチング及び水洗を実施後、酸エッチングの実施を組み合わせた方法でもよい。水洗、アルカリエッチング、及び/または酸エッチングステップを続いて実施してもよい。
【0044】
アルミニウムまたはアルミニウム合金のエッチングでは、例えば、アミン化合物分子をアルミニウム合金の表面に吸着させるように、弱塩基性水溶液と同時にアミン化合物水溶液を用いて、ハウジング2をさらに微細にエッチングすることができる。溶液の例は、アンモニア、ヒドラジン、または水溶性アミン化合物の水溶液である。このようなプロセスの結果、アルミニウム合金の表面は非常に細かくエッチングされ、深さがほぼ20から500nmの間の細孔を有する。好ましい実施形態では、細孔の深さは20から300nmである。アンモニア、ヒドラジン、または水溶性アミン化合物に由来する窒素化合物は、表面上に残存する。
【0045】
このステップの目的は、アルミニウム合金の表面を繊細に攻撃して細孔を形成させ、これらの窒素含有化合物を吸着させることである。水溶性アミン系化合物としては、特にメチルアミン(CHNH)、ジメチルアミン((CH)2NH)、トリメチルアミン((CH)3N)、エチルアミン(CNH)、ジエチルアミン((C)2NH)、トリエチルアミン((C)3N)、エチレンジアミン(HNCHNH)、エタノールアミン(モノエタノールアミン(HOCH)2CH2NH2)、アリルアミン(CHCHCHNH)、ジエタノールアミン((HOCHCH)2NH)、アニリン(CN)、トリエタノールアミン((HOCHCH)3N)などが好ましい。
【0046】
例えば、3~10%ヒドラジン一水和物水溶液を40から50℃に加熱し、ハウジング2を数分間浸漬し、水で洗浄してもよい。同様に、15~25%アンモニアを15から25℃の温度で10から30分間使用し、続いて水洗してもよい。その他の水溶性アミンが使用される場合、温度、濃度及び浸漬時間は、アルミニウム合金に応じて異なる。
【0047】
チタン及びその合金については、数パーセントの濃度及び50~70℃の温度を有する二フッ化水素アンモニウムの水溶液を使用することができる。
【0048】
マグネシウム及びその合金については、化学変換処理または電解酸化のいずれかが考えられる。最初にハウジングを弱酸性水溶液に短時間浸漬してファインケミカルエッチングを行う、二段階浸漬処理を用いてもよい。ファインエッチングステップでは、pH2. 0~6. 0の有機カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、フェノール、フェノール誘導体等の弱酸性水溶液を用いることができる。浸漬時間は15~40秒が好ましいが、プロセス条件によってはより長い時間が必要となる場合もある。
【0049】
マグネシウム処理の具体例が説明される。マグネシウムハウジング2は、濃度0.1~0.5%の水和クエン酸溶液中に約40℃で15から60秒間浸漬され、微細にエッチングされる。次いで、この部分が水洗される。次に、化成処理液として、過マンガン酸カリウム1~5%、酢酸0.5~2%、水和酢酸ナトリウム0.1~1.0%を含む水溶液を40~60℃で利用してもよい。 マグネシウム合金部を0.5~2分間浸漬し、水で洗浄し、60~90℃の熱風乾燥機に5~20分間入れて乾燥させる。
【0050】
マグネシウム処理の別の例では、マグネシウムハウジングは、0. 1~0. 5%濃度の水和クエン酸水溶液に約40℃で15~60秒間浸漬することによって微細にエッチングされる。次いで、この部分が水洗される。次に、化成処理液として、濃度15~20%の無水クロム(三酸化クロム)水溶液を60~80℃で調製し、これにハウジング2を2~4分間浸漬し、水洗する。これを60~90℃に設定された温風乾燥機に5~20分間入れて乾燥させる。
【0051】
これらは、アルミニウム、マグネシウム、及びチタン、ならびにそれぞれの合金のための様々な化学エッチングプロセスの例に過ぎない。他のエッチング溶液及び方法が考えられ、当業者には理解されるであろう。ナノスケールの細孔がハウジング2の表面に形成されている限り、特定のエッチング方法は本発明にとって重要ではない。
【0052】
ステップ806において、コンパウンド210がアンテナスロットに挿入される。ハウジングが射出成形機の金型に挿入され、熱可塑性樹脂材料を用いて射出成形をすることができる。高温高圧において、コンパウンド210は、処理された金属ハウジングアンテナスロット202及び樹脂戻り止め208に押し込まれ、その結果、コンパウンド210と金属表面上のナノスケールの穴が結合される。上述のように、コンパウンド210は、コンパウンドの線膨張係数をハウジング2に利用される金属と一致させるために、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、またはポリアミド(PA)などの樹脂に配合されたガラス繊維または炭素繊維を含む。ガラス繊維または炭素繊維は、最大45重量%であってもよい。
【0053】
硬化したコンパウンド210を機械加工して、仕上げ表面を提供してもよい。一実施形態では、接合部204は、コンパウンドが硬化した後にハウジング2から機械加工してもよい。
【0054】
ステップ808では、ハウジングは内部に電子機器が設けられた状態で組み立てられる。無線信号の送信、受信、または送信と受信の両方のための手段が、電子機器に備えられている。特定の電子機器、受信機、または送信器を、設計の好み及び用途に従って選択することができる。例えば、Bluetooth(登録商標)デバイスは、ハウジング内の電子機器に接続することが望まれる場合、ハウジング内で利用することができる。ハウジング2が組み立てられ完全に密封されると、無線信号はコンパウンドが充填されたアンテナスロット802を通過する。アンテナスロット802は、ハウジング2のカバー200に形成されるものとして示されているが、アンテナスロット802がハウジング2の本体201に形成されることも考えられる。
【0055】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明の説明の範囲内にあると発明者によって考えられるすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者であれば、上述の実施形態の特定の要素を様々に組み合わせたり削除したりしてさらなる実施形態を作成することができ、そのようなさらなる実施形態は本説明の範囲および教示に含まれることを認識するであろう。 また、当業者には、本説明の範囲および教示の範囲内で、上述の実施形態を全部または部分的に組み合わせて追加の実施形態を作成できることも明らかであろう。
【0056】
したがって、特定の実施形態が説明の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本説明の範囲内で様々な等価な修正が可能である。 本明細書で提供される教示は、上述し、添付の図面に示された実施形態だけでなく、メータ電子機器用の他のハウジングにも適用することができる。 したがって、上述の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】