(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】筋収縮を誘発するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506746
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022039202
(87)【国際公開番号】W WO2023014735
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524044348
【氏名又は名称】サヒウニ, ロナルド
(71)【出願人】
【識別番号】524044359
【氏名又は名称】アブラハム, ミッキー エリス
(71)【出願人】
【識別番号】524044360
【氏名又は名称】ゴールデンバーグ, ハーバート ツビ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サヒウニ, ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム, ミッキー エリス
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンバーグ, ハーバート ツビ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB12
4C053BB23
4C053JJ01
4C053JJ14
4C053JJ24
(57)【要約】
本発明は、屈曲を標的筋肉内で誘発するための方法、装置、およびシステムに関する。患者の標的筋肉を作動させるための装置は、筋電計(EMG)と、マルチチャネルカフ電極(MCE)と、外部構成要素および埋込可能構成要素の両方を有する、パルス発生器とを含む。EMGは、屈曲に応じて、弱入力を標的筋肉から受信し、MCEは、標的筋肉を神経支配する、運動神経上または内に埋め込まれることができる。パルス発生器は、電流をMCEの2つ以上のチャネル間で駆動し、標的筋肉の屈曲を誘発する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の標的筋肉を作動させるための装置であって、
前記標的筋肉を神経支配する、運動神経上または中に埋め込まれるように構成される、電極アセンブリと、
外部構成要素および埋込可能構成要素を備える、パルス発生器であって、前記パルス発生器は、電流を前記電極アセンブリに送達し、前記標的筋肉の運動を誘発するように構成される、パルス発生器と
を備え、
前記外部構成要素は、(1)センサまたはドライバによって発生された駆動信号を受信し、刺激信号を前記埋込可能構成要素に経表皮的に送達するように構成される、回路網と、(2)電力を前記埋込可能構成要素に誘導的に送達するように構成される、電力供給源とを備え、
前記内部構成要素は、(1)前記刺激信号を前記外部構成要素から受信し、刺激電流を前記電極に送達するように構成される、回路網と、(2)前記外部構成要素への電力を誘導的に受信するように構成される、電力供給源とを備える、装置。
【請求項2】
前記駆動信号を発生させるように構成される、センサまたはドライバをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記標的筋肉にわたって外部から搭載され、前記標的筋肉の試行された屈曲を検出し、それに応答して、屈曲信号を発生させるように構成される、筋電計(EMG)センサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記EMGセンサは、パッチ電極を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記電極アセンブリは、前記運動神経の周囲に巻着されるように構成される、カフ電極を備える、請求項1-4に記載の装置。
【請求項6】
前記カフ電極は、マルチチャネルカフ電極(MCE)を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記刺激信号は、前記MCEの2つ以上のチャネル間で駆動される、電流を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記MCEは、少なくとも4つの円周方向に分散されたアクティブ電極要素を備える、請求項5-7に記載の装置。
【請求項9】
前記MCEはさらに、少なくとも1つのアクティブリング電極要素を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記MCEはさらに、少なくとも1つの接地電極要素を備える、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記パルス発生器の前記外部構成要素の回路網は、前記屈曲信号を前記EMG信号から受信するための増幅器と、前記刺激信号を発生させるための信号処理回路網と、前記刺激信号を前記埋込可能構成要素に経表皮的に送達するための送信機とを備える、請求項1-10に記載の装置。
【請求項12】
前記パルス発生器の前記外部構成要素の電力供給源は、電力を前記埋込可能構成要素に送達するために、再充電可能バッテリと、誘導コイルとを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
屈曲を患者の標的筋肉内で誘発するための方法であって、前記方法は、
駆動信号を外部から発生させることと、
前記駆動信号をパルス発生器の外部構成要素内で受信することと、
前記駆動信号に応答して前記外部構成要素によって発生された刺激信号を、前記パルス発生器の皮下に埋め込まれた内部構成要素に無線で伝送することと、
前記パルス発生器の前記内部構成要素によって生産された刺激電流を、前記標的筋肉を神経支配する、運動神経に送達し、前記筋肉の運動を誘発することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記駆動信号は、前記標的筋肉の試行された屈曲の筋電計(EMG)信号特性に応答して発生された屈曲信号である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的筋肉は、患者の二頭筋を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記屈曲信号は、前記刺激電流を前記標的筋肉に送達する、電極の遠位の位置において、前記標的筋肉にわたって位置するパッチ電極によって生産される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項17】
前記パッチ電極は、前記パルス発生器の前記外部構成要素に有線で接続される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パッチ電極は、前記パルス発生器の前記外部構成要素に無線で接続される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記刺激信号は、少なくとも部分的に、デジタルである、請求項13-18に記載の方法。
【請求項20】
前記刺激信号は、少なくとも部分的に、アナログである、請求項13-18に記載の方法。
【請求項21】
前記刺激電流は、前記運動神経の周囲に巻着される、カフ電極によって、前記運動神経に送達される、請求項13-19に記載の方法。
【請求項22】
前記カフ電極は、前記パルス発生器の前記埋め込まれた構成要素に皮下で有線で接続される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記外部構成要素内の電力供給源を使用して、前記パルス発生器の前記埋込可能構成要素内のバッテリを誘導的に再充電することをさらに含む、請求項13-22に記載の方法。
【請求項24】
前記パルス発生器の前記外部構成要素を前記パルス発生器の前記埋め込まれた構成要素にわたって磁気的に固着させることをさらに含む、請求項13-23に記載の方法。
【請求項25】
前記駆動信号は、0.1mA~20mAの範囲内の電流を有する、請求項13-24に記載の方法。
【請求項26】
前記駆動信号は、1パルス/秒~50パルス/秒の範囲内の反復を有する、請求項13-25に記載の方法。
【請求項27】
前記駆動信号は、10μs~200μsの範囲内の持続時間における電流を有する、請求項13-26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2021年8月3日に出願された、米国仮出願第63/228,754号(弁理士整理番号第61435-703.101号)の利益を主張する。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、概して、医療デバイスおよび方法に関し、より具体的には、屈曲を標的筋肉内で誘発するための方法、装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
脳および脊髄の移動制御面積(中枢神経系、「CNS」)への損傷は、虚弱および麻痺をもたらす。傷害されたCNSから送信される、信号は、損なわれすぎて、作業末梢神経系(PNS)と通信することができない。本作業接続を伴わずに、PNSは、移動を始動させることができない。脳卒中は、最も一般的CNS傷害のうちの1つであって、全世界で約4千万人の脳卒中後患者に後遺症として四肢欠陥が残っている。本数は、年間、8.3~9.4百万人ずつ増えている。これらの欠陥の機能的改善は、現在、約数ヶ月~数年の長期リハビリテーションに基づいている。しかしながら、成果は、6ヶ月で停滞する。四肢欠陥を伴う、全ての脳卒中生存者の合計50%は、日常生活の活動のために、それらの腕を有意義に使用することが不可能であろう。脊髄損傷(全ての米国麻痺の27.3%)、複数の硬化症、MS(18.6%)、および脳性麻痺CP(8.3%)を含む、他のCNS損傷条件もまた、後遺症として四肢欠陥を残す。脳卒中後回復は、殆ど参入されていない市場であって、現在、四肢復活のための認証された侵襲性の技術的補助物はない。
【0004】
これまで、そのような患者を適正に治療し得る、デバイスは、あったとしても、殆ど存在していない。仏国におけるグループが、最近、術中試験の間、前腕における橈骨および正中神経の周囲に巻着される、マルチカフ電極(MCE)を使用して、上肢における筋群を選択的に刺激している。下記に引用される、Tigra et al.を参照されたい。Tigraの開示は、(1)近位移動のための明確な目標を伴わずに、遠位(すなわち、前腕)に焦点を当てており、(2)機能的または埋込可能臨床デバイスのいずれでもなく、(3)単一カフシステムを使用し、したがって、神経線維束を選択的に活性化することができず、(4)リング電極あたり4箇所の接点に限定され、(5)閉ループデバイスではなく、6)長期的データを欠いており、(7)脳卒中母集団への明確な変換を伴わずに、四肢麻痺を患う脊髄損傷患者を標的化している。
【0005】
Polasek et al.(2009) IEEE Trans Neural Syst Rehabil Eng 17(5): 428-437は、ヒト神経を刺激し、筋収縮を誘出するためのマルチチャネル渦巻カフ電極の使用を説明している。電極は、経皮的にアクセスされた、または完全に埋め込まれた。開ループシステムが、随意移動を検出し、続いて、神経を刺激し、四肢機能を復元するために使用された。
【0006】
これらの理由から、屈曲または他の移動を標的筋肉において誘発するための改良された装置、システム、および方法を提供することが望ましいであろう。特に、初期埋込後に生じる、再充電、再プログラム、アップグレード、ならびに他の通信および電力管理タスクのための、システムの埋込可能構成要素への経表皮的アクセスの必要性を最小限にする、または排除する、装置、システム、および方法を提供することが有益であるであろう。
【0007】
(2.背景技術のリスト)
関連技術は、Polasek et al. (2009) IEEE Trans Neural Syst Rehabil Eng 17(5): 428-437; Tigra et al. (2020) J Neuroeng Rehabil 17:66、第WO2002/087683号、第WO2019/046547号、第US11331493号、第US9272139号、第US10751532号、第US2010/031230号、第US19293151号、第US2004/0024439号、第US8942824号、第US9114246号、第US7324853号、第US4750499号、第US2019/0183472号、および第US9895546号を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Polasek et al.(2009) IEEE Trans Neural Syst Rehabil Eng 17(5): 428-437
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要約)
本発明は、PNS内の機能的神経を直接刺激することによって、損傷されたCNSをバイパスし、虚弱した四肢に対する機能を復元する、閉ループデバイスを備える。CNSは、腕屈曲を始動させようと試行し、弱化された信号をPNSに送信する。埋め込まれたまたは外部筋電計(EMG)電極が、本信号を検出し、腕の1つ以上の無傷神経(すなわち、筋皮神経)または他の神経の周囲に外科的に埋め込まれている、マルチカフ電極(MCE)または他の電極アセンブリに接続される、パルス発生器を直接刺激する。各電極アセンブリは、神経線維束の一意の亜集団を刺激し、例えば、四肢における離散筋肉(すなわち、上腕二頭筋)を選択的に活性化する。腕は、それに応答して、屈曲する。具体的実装では、本発明の装置は、(1)特殊電流操向および刺激選択性のために、リング電極あたり8つ以上のチャネルを提供し、(2)閉ループ回路を利用して、エンドユーザのために使いやすさを促進し、(3)複数の神経の周囲の多数のカフの埋込を可能にし、それによって、腕全体の部分的または完全な復活および腕機能の復元を提供する。
【0011】
EMG電極が、説明されるが、本発明のシステムおよび方法は、脳波(EEG)、神経電気記録(ENG)、および同等物を含む、そのような筋肉移動を誘発し得る、筋肉移動または信号を検出することが可能である、任意の電極または他のセンサと動作可能であることを理解されたい。加えて、パルス発生器は、例えば、リハビリテーションのためにプログラムされたパターンに応答して、または患者または他のユーザ入力に応答して、筋肉移動を始動させるようにプログラムされる、外部または内部ドライバによって制御されてもよく、例えば、患者は、コマンドに応じて、患者が筋肉移動を始動させることを可能にする、インターフェースを有してもよい。
【0012】
本発明による、デバイスは、腕虚弱または麻痺を患う患者のための脳卒中管理市場の一端として、脳卒中後回復を標的化してもよい。米国では、約7百万人の脳卒中後患者が存在する。合計50~88%は、積極的リハビリテーション後も、慢性上肢障害を有し、現在、我々のデバイスから利益を享受し得る、3.5~6百万人の患者の現在の市場占有率につながるであろう。米国における脳卒中の年間発生率は、610,000例の新症例/年であって、年間で、我々のデバイスから利益を享受し得る、305,000~536,000人の新しい患者の付加的市場占有率につながる。欧州では、約9百万人の生存脳卒中後患者が存在する。欧州における脳卒中の年間発生率は、825,000例の新症例/年であって、年間で、我々のデバイスから利益を享受し得る、412,000~726,000人の新しい患者につながる。
【0013】
特に、本発明のデバイスおよびシステムは、それらの腕を肘において屈曲させる際に困難を被っているが、そうでなければ、それらの手を開閉することが可能である、急性または慢性脳卒中患者だけではなく、CNSに影響を及ぼす、他の病理学の中でもとりわけ、脊髄損傷、外傷性脳損傷、外傷性神経損傷から回復する患者を治療するために有用であろう。例えば、米国では、SCIを患う約294,000人の生存者が存在し、年間、17,800例の新症例が推定される。欧州では、SCIを患う約500,000人の生存者が存在し、年間、8,900例の新症例が推定される。
【0014】
本発明の原理による、具体的デバイスは、筋電計(EMG)入力を利用して、内部パルス発生器(IPG)をトリガし、末梢神経の周囲のマルチチャネルカフ電極(MCE)を刺激し、運動を復元する。例えば、後遺症として虚弱を患う脳卒中患者における肘屈曲の復元では、EMGリードは、虚弱した腕屈筋(例えば、上腕二頭筋または烏口腕筋)の近傍に埋め込まれ、または設置され、その弱運動は、筋皮神経の周囲のマルチチャネルカフ電極をトリガし、完全肘屈曲強度を復元するであろう。
【0015】
具体的事例では、本発明は、閉ループデバイスを提供し、虚弱または麻痺における運動機能を復元し、典型的には、1)入力(例えば、EMG-有線/無線、EEG-有線/無線、ENG-有線/無線、または他の入力)と、2)入力を受信する、パルス発生器と、3)1つ以上の神経の周囲に巻着される、1つ以上のチャネルを備える、1つ以上のカフまたは他の電極の形態における、出力とを備える。
【0016】
本発明による、デバイスは、典型的には、神経と界面接触し得る、1つ以上の電極を備える。本デバイスはさらに、受信機刺激装置と、接地電極と、他の構成要素とを備えてもよく、本デバイスは、典型的には、無線または有線のいずれかで、EMG、ENG、またはEEG情報を受信するための容量を有する。本発明のデバイスは、麻痺または虚弱を治療または低減させるために有用であって、本デバイスを使用する方法は、(a)本デバイスを麻痺した四肢内に埋め込むことであって、複数の電極が、神経(例えば、筋皮神経)の周囲に巻着される、ことと、(b)表皮または筋内電子デバイスを筋肉内に設置することであって、すなわち、EEGデータは、筋収縮またはEEG活動を検出すると、入力としての役割を果たす、こと、または入力および出力能力を伴う付加的電極または刺激リードからのENG入力を受信することと、(c)プログラムおよび段階化された刺激を適切な電極に提供し、それによって、麻痺した側上の対応する筋肉の対称収縮を発生させることとを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスは、四肢の虚弱または麻痺に苦しむ患者において動的および自発的移動を達成することを補助する。
【0018】
いくつかの実施形態では、対象における麻痺および/または虚弱を治療する方法は、(a)筋肉内のEMG活動、EEG活動、またはENG(神経電気記録)活動を検出することと、(b)弱または麻痺した四肢上の対応する筋肉または神経線維の直接標的化された刺激によって、麻痺を治療することとを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、対象における麻痺および/または虚弱もしくは損傷を治療する方法は、(a)個々の筋肉の収縮のレベルまたはEEG信号またはENG信号を検出することと、(b)麻痺した四肢の対応する神経線維の直接標的化された刺激によって、麻痺を治療することとを含む。
【0020】
ある実施形態では、閉ループデバイスは、虚弱または麻痺における運動機能を復元する。外部パルス発生器(EPG)が、筋電計(EMG)信号を使用して、弱筋肉活動を有線または無線で集める。これは、EMG信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を処理し、無線周波数(RF)信号にエンコードし、それを受信機-刺激装置コイル(RSC)に送信する。密閉してシールされた刺激装置は、電力をRF信号から導出し、信号をデコーディングし、それを電気電流に変換し、それらを神経の周囲に巻着されるマルチチャネルカフ電極(MCE)に沿って送信する、アクティブ電子回路を含有する。ワイヤの端部における電極は、末梢神経を刺激し、虚弱または麻痺を患う患者における運動を復元する。
【0021】
他の実施形態では、本システムは、弱神経パルスを検出し、次いで、神経を刺激し、筋肉の収縮または屈曲を誘発し得る、入力および出力能力を伴う、単一カフ電極を有してもよい。そのようなカフ電極は、感知および刺激能力の両方を有するように構成されるであろう。
【0022】
本発明の第1の具体的側面では、患者の標的筋肉を作動させるための装置は、電極アセンブリと、外部構成要素および埋込可能構成要素を含む、パルス発生器とを備える。電極アセンブリは、典型的には、標的筋肉を神経支配する、運動神経上または中に埋め込まれるように構成され、パルス発生器は、典型的には、アセンブリの2つ以上のチャネル間で電流を電極アセンブリに駆動し、標的筋肉の屈曲を誘発するように構成されてもよい。しかしながら、いくつかの事例では、電極アセンブリは、標的神経を刺激し、筋肉屈曲または他の移動を誘発するように構成される、単一リングまたは他の電極を備える、それから本質的に成る、またはそれから成ってもよい。
【0023】
パルス発生器の外部構成要素は、典型的には、(1)EMGによって発生された屈曲信号を受信し、刺激信号を埋込可能構成要素に経表皮的に送達するように構成される、回路網と、(2)電力を埋込可能構成要素に誘導的に送達するように構成される、電力供給源とを備える。パルス発生器の内部構成要素は、典型的には、(1)刺激信号を外部構成要素から受信し、刺激電流を電極に送達するように構成される、回路網と、(2)外部構成要素への電力を誘導的に受信するように構成される、電力供給源とを備える。
【0024】
本装置はさらに、随意に、パルス発生器による刺激電流の発生を始動させるためのセンサまたはドライバを備える。最も一般には、本装置は、初期標的筋肉屈曲または移動を検出する、センサ、典型的には、標的筋肉にわたって外部から搭載され、標的筋肉の試行された屈曲を検出し、それに応答して、屈曲信号を発生させるように構成され、典型的には、パッチ電極である、EMGセンサを備えるであろう。他の好適なセンサは、脳波記録(EEG)、神経電気記録(ENG)、および同等物を含み、これは、試行されたまたは初期筋肉屈曲または移動を示す、患者の脳または患者の周辺または中心神経内の活動を検出することができる。
【0025】
さらに他の事例では、本装置はさらに、典型的には、療法のために、事前に選択されたパターンにおいて、標的筋肉を刺激するようにプログラムされる、ドライバを備えてもよい。事前に選択されたパターンは、例えば、療法のために、反復的であることができる、または、要求に応じて、例えば、手動、口頭、または他の入力信号を使用して、患者が筋肉移動を始動させることを可能にするように提供され得る。
【0026】
例示的実施形態では、電極アセンブリは、例えば、マルチチャネルカフ電極(MCE)を備える、運動神経の周囲に巻着されるように構成される、カフ電極を備える。MCEは、通常、スリーブが、神経の周囲に巻着される、または別様に、それにわたって埋め込まれるとき、神経の外部表面に接触するように構成される、その内面にわたって形成される、電極要素の2次元アレイを有する、スリーブまたは他の基材を備えるであろう。電極アレイは、2~50個の個々の電極要素、通常、2~20個の個々の電極要素、典型的には、8~12個の個々の電極要素を備えてもよい。個々の電極要素は、通常、0.001mm2~0.1mm2、通常、0.005mm2~0.05mm2の範囲内、殆どの場合、約0.1mm2(典型的には、0.1mm×0.1mm)の暴露された接触面積(すなわち、スリーブが神経の周囲に巻着されるとき、外側神経表面に接触する、面積)を有するであろう。
【0027】
そのような電極アレイ内の個々の電極要素は、通常、直線パターンで配列される(スリーブが、神経の周囲に巻着される、または別様に、それにわたって埋め込まれるとき、軸方向および円周方向線に沿って配置される)であろうが、また、渦巻、不規則的、または他のパターンでも配列され得る。個々の電極要素は、典型的には、リード内の個々のワイヤによって、パルス発生器に接続可能であろうが、多重化および/または無線接続が、いくつかの事例では、提供され得る。
【0028】
他の実施形態では、電極アセンブリは、0.1mm~0.5mmの範囲内の軸方向における幅と、0.2cm~2cm、通常、0.1cm~1cm、殆どの場合、約0.4cm~0.6cmの範囲内の内径(神経を中心として配置されるとき)とを有する、1つ、2つ、またはそれを上回る円周方向リング電極を備えてもよい。
【0029】
図示される実施形態では、MCEは、通常、4つ以上の電極要素の少なくとも2つの軸方向に分離される環状構造を備える、カフが神経の周囲に巻着されるとき、環状パターンで配列される、少なくとも4つの円周方向に分散されたアクティブ電極要素を備える。加えて、または代替として、MCEはさらに、1つ以上のアクティブリング電極要素および/または少なくとも1つの接地電極要素を備えてもよい。
【0030】
さらなる事例では、パルス発生器の外部構成要素の回路網は、入力信号をセンサまたはドライバから、例えば、屈曲信号をEMG信号から受信するための増幅器と、刺激信号を発生させるための信号処理回路網と、刺激信号を埋込可能構成要素に経表皮的に送達するための送信機とを備えてもよい。多くの場合、パルス発生器の外部構成要素の電力供給源は、電力を埋込可能構成要素に送達するために、再充電可能バッテリと、誘導コイルとを備える。
【0031】
本発明の第2の具体的側面では、屈曲または他の移動を患者の標的筋肉において誘発するための方法は、運動または駆動信号を発生させること、例えば、標的筋肉の試行された屈曲の筋電計(EMG)信号特性に応答して、屈曲信号を外部から発生させることと、屈曲信号をパルス発生器の外部構成要素内で受信することとを含む。屈曲信号に応答して外部構成要素によって発生された刺激信号は、パルス発生器の皮下に埋め込まれた内部構成要素に無線で伝送され、パルス発生器の内部構成要素によって生産された刺激電流は、標的筋肉を神経支配する、運動神経に送達され、該筋肉の屈曲を誘発する。
【0032】
代替として、本方法はさらに、典型的には、療法のために、標的筋肉を事前に選択されたパターンで刺激することを含んでもよい。事前に選択されたパターンは、例えば、療法のために、反復的であることができる、または、要求に応じて、例えば、手動、口頭、または他の入力信号を使用して、患者が筋肉移動を始動させることを可能にするように提供され得る。
【0033】
標的筋肉は、多くの場合、患者の二頭筋を備え、標的神経は、二頭筋を制御する、筋皮神経を備えるが、本明細書の方法およびデバイスはまた、標的筋肉を神経支配および制御する、様々な他の標的筋肉および標的神経と併用されることができる。他の標的筋肉は、僧帽筋神経等の脳神経によって神経支配されるものを含む。
【0034】
本明細書の方法の例示的実施形態では、屈曲信号は、標的筋肉にわたって位置するパッチ電極によって生産され、パッチ電極は、パルス発生器の外部構成要素に有線または無線で接続されてもよい。
【0035】
具体的実施形態では、刺激信号は、少なくとも部分的に、デジタルであってもよい一方、他の実施形態では、刺激信号は、少なくとも部分的に、アナログであってもよい。
【0036】
図示される実施形態では、刺激電流は、運動神経の周囲に巻着される、カフ電極によって、運動神経に送達されるが、他の電極インターフェースもまた、使用され得る。カフ電極は、典型的には、パルス発生器の埋め込まれた構成要素に皮下で有線で接続されるであろう。
【0037】
本明細書における方法は、通常、外部構成要素内の電力供給源を使用して、パルス発生器の埋込可能構成要素内のバッテリを誘導的に再充電することをさらに含み、いくつかの事例ではさらに、パルス発生器の外部構成要素をパルス発生器の埋め込まれた構成要素にわたって磁気的に固着させることを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明の原理に従って構成される、第1のシステムを図示する。
【0039】
【
図2】
図2は、本発明の原理に従って構成される、第2のシステムを図示する。
【0040】
【
図3】
図3は、それぞれが、シリコーンエンクロージャ内で90度離れるように配列される、4つの長方形白金電極を有する、2つの並列電極リングを含む、8-チャネルMCEを有する、プロトタイプMCEの画像(パネルA)、ネコの顔面神経FN上枝および下枝に埋め込まれた、2つのMCEの術中画像(パネルB)、およびMCEから生じるオス型Omneticsコネクタの画像(パネルC)を提供する。
【0041】
【
図4】
図4は、それぞれが、シリコンエンクロージャ内で90°離れるように4つの長方形(1.5×0.25×0.038mm)白金電極を伴う、2電極「リング」を伴う、(左)8-チャネルMCEの画像である。電流源は、二相性電気82μsパルスを送達する、8-チャネルデジタル/アナログコンバータ(TDT RX8)によって制御される。(右)は、埋め込まれるMCEの術中画像である。
【0042】
【
図5】
図5は、電極アセンブリと、外部構成要素および埋込可能構成要素を備える、パルス発生器とを含む、本発明による、装置を図示する。
【0043】
【
図6】
図6は、個々の電極要素の配列を示す、
図5の電極アセンブリの展開図である。
【0044】
【
図7】
図7は、
図5のパルス発生器の外部および埋込可能構成要素内の回路網を示す、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(発明の詳細な説明)
図1を参照すると、本発明のシステムは、埋込可能パルス発生器(IPG)10と、埋込可能感知リード12とを含む。IPGは、チタンケースの内側に、電子機器と、バッテリとを含有する。外科医が、IPGを上胸部内の鎖骨の下方または腋窩内の皮下に埋め込み、IPGを感知リードに接続し、刺激が、マルチチャネルカフ電極(MCE)14に接続される。アルゴリズムが、腕屈曲が試行されると、弱筋電計(EMG)信号を検出し、刺激電流を、患者の二頭筋BMを神経支配する、筋皮神経MNの周囲に巻着される、MCE14の1つ以上のチャネルに送達する。IPGは、典型的には、MRIと互換性があって、経表皮的磁気充電コイルを介して無線で充電されるための能力を有するであろう。マルチチャネルカフ電極(MCE)14は、2-mm~6-mmの直径および1-cm~2-cmの長さのカフを有する。カフ電極接点は、2つ以上の「リング」内に配列され、区間リングは、リングの周囲の0、90、180、および270度に位置付けられる、シリコーン内に埋設される、4つの個々の2-mm×1-mm長方形(三極)白金または90/10白金/イリジウム接点を含有する。1-mm~5-mmの間隔が、接点からカフ縁まで1-mmの空間を伴って、接点間で維持される。本配列は、離散神経場所の単極刺激ならびに2つの接点間の双極刺激を可能にする。これらの寸法は、例示的であることが意味され、いかようにも、限定することを意味するものではない。
【0046】
カフは、埋設された縫合糸をシリコーン内に有し、カフ設置を促進することができる。外科医は、MCEを患者の筋皮神経の周囲に位置付け、リードのコネクタ先端端部をIPGに接続する。カフ電極は、腕を肘において屈曲させる、筋皮神経を刺激する、電気電流を印加する。感知リードは、上腕二頭筋内に設置されてもよく、試行された腕屈曲の間、弱EMG信号を検出するための、筋電計(EMG)センサを含有する。
【0047】
IPGは、外部ハンドヘルドデバイスと無線でインターフェースをとるように構成される。ハンドヘルドデバイスは、インプラントにわたって皮膚上に設置され、患者がIPGをアクティブ化し、(医師処方限界内で)刺激パラメータを調節し、バッテリステータスをチェックし、随意に、無線で充電するための非侵襲性手段を提供してもよい。
【0048】
IPGはさらに、タブレットコンピュータと、遠隔計測ヘッドを有する、遠隔計測ケーブルとを備え得る、医師プログラマと無線でインターフェースをとるように構成される。遠隔計測ヘッドは、短距離高周波(RF)遠隔計測を介して、皮膚を通して、IPGと通信する。遠隔計測通信は、医師が、非侵襲性に、IPG設定を照会および構成することを可能にする。医師プログラマは、EMG波形を監視し、刺激モードを構成し、刺激パラメータ値を調節し、波形および設定を記憶するための能力を有する。
【0049】
本システムは、典型的にはさらに、EMGステッカ電極を備え、これは、身体内の任意の機能的筋肉にわたって、皮膚上に設置され、患者または医師が、短距離RF遠隔計測を介してIPGに送達されるべきである、身体内の任意の筋肉からのEMG入力を使用するための非侵襲性手段を提供することができる。EMGステッカ電極は、代替入力源を埋め込まれたEMG感知リードに提供する。
【0050】
図2を参照すると、本発明の代替システムは、刺激リードによって埋込可能マルチチャネルカフ電極(MCE)24に接続される、埋込可能受信機刺激装置コイル(RSC)20を含む。RSCは、典型的には、MRと互換性がある。外科医は、RSC22を上胸部内の鎖骨の下方または腕の腋窩内の皮下に埋め込み、刺激リードに接続する。MCE24は、典型的には、2-mm~6-mmの直径と、1-cm~2-cmの長さとを有する、カフを備える。カフ電極接点は、2つ以上の「リング」内に配列され、区間リングは、リングの周囲の0、90、180、および270度に位置付けられる、シリコーン内に埋設される、4つの個々の2-mm×1-mm長方形(三極)白金または90/10白金/イリジウム接点を含有する。接点は、接点からカフ縁まで1-mmの空間を伴って、1-mm~5-mmの間隔を有する。本配列は、離散神経場所の単極刺激ならびに2つの接触間の双極刺激を可能にする。カフは、随意に、埋設された縫合糸をシリコーン内に有し、カフ設置を促進することができる。外科医は、典型的には、MCEを患者の筋皮神経の周囲に位置付け、リードのコネクタ先端端部をRSCに接続する。カフ電極は、筋皮神経を刺激し、腕を肘において屈曲させる、電気電流を印加するように構成される。
【0051】
第1の実施形態と対照的に、代替システムは、外部パルス発生器(EPG)と、外部コイルとを採用し、埋め込まれたRSCを給電する。EPGおよびコイルは、典型的には、筐体26内に配置され、これは、
図2における矢印28によって示されるように、RSC20にわたって位置し、外部および内部コイルを整合させることができる。EPGは、チタンケースの内側に、電子機器と、バッテリとを含有し、外部EMGセンサを備え、またはそれに接続され、さらに、プロセッサまたはコントローラを備え、これは、腕屈曲が試行されると、弱筋電計信号をEMG電極から検出する、アルゴリズムでプログラムされる。アルゴリズムはさらに、EPGが、刺激を、筋皮神経の周囲に巻着される、MCEの1つ以上のチャネルに送達するため、送達するようにプログラムされる。ステッカ電極からのEMG入力は、EPGに送信され、これは、典型的には、外部から磁気的に取り付けられ、皮膚を通して、埋め込まれたRSCとインターフェースをとるであろう。
【0052】
代替システムは、典型的にはさらに、インプラントにわたって皮膚上に設置され、患者が、RSCをアクティブ化し、(医師処方限界内で)刺激パラメータを調節し、バッテリステータスをチェックするための非侵襲性手段を提供するように構成される、移動遠隔装置、典型的には、ハンドヘルドデバイスを備えるであろう。
【0053】
代替システムはまた、典型的には、例えば、医師がIPG設定を非侵襲的に照会および構成することを可能にする、短距離高周波(RF)遠隔計測を介して、皮膚を通して、IPGと通信する、タブレットコンピュータと、遠隔計測ケーブル/ヘッドとを備える、第1の実施形態のものに類似する、医師プログラマを備えるであろう。医師プログラマは、EMG波形を監視し、刺激モードを構成し、刺激パラメータ値を調節し、波形および設定を記憶するための能力を有する。
【0054】
外部EMGステッカ電極が、身体内の任意の機能的筋肉にわたって、皮膚上に設置されることができ、患者または医師がRSCに送達されるべき身体内の任意の筋肉からのEMG入力を使用するための非侵襲性手段を提供する。EMG電極は、有線または無線方式において、EPGと通信することができる。
【0055】
図3および4を参照すると、本発明の原理に従って設計された4つのカスタム8-チャネルマルチチャネルカフ電極(MCE)が、MicroProbes for Life Science(Gaithersburg,MD,USA)によって加工されている。各カフは、シリコンエンクロージャ内で90度(0°、90°、180°、270°)毎に同心状に配列される、4つの100pmの長方形白金接点の2つの別個のリングを伴って、1.5mmの内径を有している。リングおよび接点の配列は、神経上の一意の空間場所の単極刺激を可能にしている。第2の並列リングは、場操向が可能であって、その中で同一カフの2つの電極が、同時に刺激され、増幅された応答を誘出し得る。電荷注入容量は、82pSの位相持続時間(0.5~1.5KC/位相)を伴って、1inAにおいて-164pC/cm
2であった。電極インピーダンスは、1,000Hzにおいて0.5kflであった。
【0056】
図4におけるデバイスは、単相または二相性である、動作刺激パラメータを有し、電流は、典型的には、1~50パルス/秒の範囲内の反復および10~200μsの範囲内の持続時間において、0.1~20mAの範囲内である。本デバイスは、例えば、腕屈曲の正常使用を模倣するために、医師プログラム可能かつ機械学習能力を介して患者適合可能であるように設計および構築されている。
【0057】
電極構造は、任意の数の電極要素または他の接点にわたって、電流を分散させ、任意の数の電極の独立および/または同期アクティブ化を可能にすることができる。各電極要素または接点は、刺激のアクティブ位相の間、アノードまたはカソードとして構成されることができる。刺激パラメータは、強度(0.1mA~2.5mAの範囲)、パルス幅(10μs~500μsの範囲)、および周波数(10Hz~50kHzの範囲)等にプログラムされることができる。
【0058】
刺激波形は、典型的には、アクティブ位相と回復位相との間に100μsの遅延を伴って、二相性、非対称、かつ電荷平衡であろう。電流強度は、40μA~2,000μAに及ぶ。
【0059】
本発明の装置は、1つ以上のカフ電極を備えてもよく、これは、1つ以上の神経および/または単一神経上の複数の場所を刺激するように構成されることができる。各カフ電極は、神経を刺激するために使用される、1つ以上の接点を含有することができる。電極構成は、単一リング電極ほど単純であることができる、または複数のリングを伴って、より複雑であることができる。
【0060】
ここで
図5を参照すると、本発明の原理による、標的筋肉を作動させるためのシステム30が、説明されるであろう。システム30は、EMGセンサ32と、電極アセンブリ34と、パルス発生器36とを備える。パルス発生器36は、埋込可能構成要素38と、外部構成要素40とを含み、外部構成要素は、リード48によって、電極アセンブリ34に接続され、埋込可能構成要素40は、リード60によって、EMGセンサ32に接続される。埋込可能構成要素38は、埋込可能筐体39内に位置する、回路網52と、誘導コイル54とを含み、外部構成要素40は、外部筐体41内に位置する、回路網62と、誘導コイル64とを含む。埋込可能筐体39は、上胸部内の鎖骨の下方または腋窩内等の上記に説明される場所のいずれかにおいて皮下に埋め込まれるように適合または構成され、外部筐体41は、埋め込まれた筐体39の場所に近接する場所において、好ましくは、埋め込まれる筐体を直接覆って、患者の皮膚に固着され、パルス発生器36の外部構成要素と埋め込まれた構成要素との間の通信を向上させるように適合または構成される。最適には、磁気結合要素(
図7における破線46によって図式的に示される)が、外部筐体41を埋め込まれた筐体39にわたって位置決めおよび不動化することに役立つために提供されてもよい。
【0061】
図6に最良に見られるように、電極アセンブリ34は、好ましくは、その内面にわたって形成される、複数の電極要素44を有する、カフ42、典型的には、マルチ電極カフを備える。電極要素44は、カフ42のための基材または他の支持マトリクスの内面上に形成され、基材は、電極要素のいくつかまたは全てを神経の外面に対して係合させるために、標的神経にわたって、折畳または巻回されてもよい。電極要素は、異なるサイズおよび配向を備えてもよく、例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれを上回るチャネル電極44aが、基材が神経にわたって巻回または折畳されると、それらが神経に外接するように、基材の内面にわたって円周方向に分散されてもよい。加えて、または代替として、リング電極44bが、カフの内面に持続的に外接するように形成されてもよく、接地電極44cが、双極動作が所望されるとき、提供されてもよい。代替として、当然ながら、チャネル電極44または1つ以上のチャネル電極およびリング電極および/または接地のうちの任意の2つが、接続され、双極モードで動作してもよい。
【0062】
ここで
図7を参照すると、それぞれ、埋込可能構成要素38および外部構成要素40内の回路網52および62のさらなる説明が、提供されるであろう。埋込可能構成要素38内の回路網52は、典型的には、埋込可能構成要素38と外部構成要素40との間の低電力データ(デジタルおよび/またはアナログ)の経表皮的伝送および受信のために構成される、送信機/受信機XMTR/RECを含む。送信機/受信機は、電力を電力供給源PSから受信し、これはまた、電力を信号処理ユニットSPおよび刺激装置ユニットSTIMに提供する。電力供給源PSは、典型的には、バッテリまたはコンデンサを含み、これは、誘導コイル54を介して再充電されることができ、これは、充電を外部構成要素40内の誘導コイル64から受信する。信号処理ユニットSPは、命令を外部構成要素40から受信し、それらの命令に従って、刺激装置STIMのパラメータを制御および/または調節ようにプログラムされるであろう。刺激装置STIMは、ひいては、標的筋肉を作動させるために、電流を発生させ、カフ34に接続される、リード48の個々のワイヤまたはチャネル50に選択的に送達する。
【0063】
外部構成要素40内の回路網62は、典型的には、埋込可能構成要素38との低電力データ(デジタルおよび/またはアナログ)の経表皮的伝送および受信のために構成される、送信機/受信機XMTR/RECを含む。送信機/受信機は、電力を電力供給源PSから受信し、これはまた、電力を信号処理ユニットSPおよび増幅器AMPに提供する。電力供給源PSは、ひいては、ハンドヘルドデジタルデバイスに関して一般的であるように、有線または無線様式において再充電され得る、再充電可能バッテリによって給電される。示されないが、外部構成要素40は、典型的には、ディスプレイと、I/O能力とを有し、内部論理をプログラムおよび更新することを可能にするであろう。増幅器AMPは、リード60によってEMG電極12に外部から接続されるように構成されるが、無線通信もまた、使用され得る。
【0064】
本開示のある実施形態または実施例が、詳細に説明されたが、本明細書に説明される全ての特徴およびその利益を提供するわけではない場合がある、実施形態または実施例を含む、変形例および修正が、当業者に明白であろう。本開示は、具体的に開示される実施形態または実施例を超えて、他の代替または付加的実施例もしくは実施形態および/または用途ならびに明白な修正およびそれらの均等物まで拡張することが、当業者によって理解されるであろう。加えて、いくつかの変形例が、種々の詳細に示され、説明されたが、本開示の範囲内に該当する他の修正が、本開示に基づいて、当業者に容易に明白であろう。また、実施形態および実施例の具体的特徴ならびに側面の種々の組み合わせまたは副次的組み合わせが、行われ、依然として、本開示の範囲内に該当し得ることも検討される。故に、開示される実施形態の種々の特徴および側面は、本開示の種々の様態または実施例を形成するために、相互と組み合わせられる、または代用され得ることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される本開示の範囲は、上記に説明される特定の開示される実施形態または実施例によって限定されるべきではないことが意図される。上記に説明される実施形態および実施例の全てに関して、いずれの方法のステップも、例えば、連続的に実施される必要はない。
【国際調査報告】