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特表2024-528228電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両
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  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図1
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図2
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図3
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図4
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図5
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図6-8
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図9
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図10
  • 特表-電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両 図
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法、送信デバイス、検出デバイス、および車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20240719BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240719BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/931
G01C3/06 120Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506771
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022071505
(87)【国際公開番号】W WO2023012087
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021120225.6
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、パール
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス、アプル
(72)【発明者】
【氏名】ウェンスー、チョン
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112CA04
2F112CA05
5J084AA05
5J084AB01
5J084AB07
5J084AB16
5J084AB17
5J084AC02
5J084AC03
5J084AC04
5J084AC07
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA36
5J084CA03
5J084CA11
5J084EA18
(57)【要約】
本発明は、電磁信号(44)の送信デバイス(22)を動作させるための方法と、送信デバイス(22)と、少なくとも1つの監視領域を監視するための検出デバイスと、少なくとも1つの検出デバイスを備える車両と、に関連する。本方法では、少なくとも1つの信号源(28)が電磁信号を発信することを目的として電気供給エネルギーの供給を受け、少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響が補償される。温度の影響を補償するために、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が、少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁信号(44)の送信デバイス(22)を動作させるための方法であって、前記方法では、少なくとも1つの信号源(28)が前記電磁信号(44)を発信することを目的として電気供給エネルギーの供給を受け、前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響が補償される、方法であって、
温度の前記影響を補償するために、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)が適合される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの信号源(28)がパルス出力曲線を有する電気供給エネルギーの供給を受け、
および/または、前記少なくとも1つの信号源(28)が電気供給エネルギーの供給を受けるときの供給継続時間が、少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)を適合させることを目的として前記少なくとも1つの温度変数に基づいて適合される、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの信号源(28)のための前記電気供給エネルギーが、特にはパルスである、少なくとも1つのトリガー信号(42)を使用して制御され、
および/または、少なくとも1つの信号源(28)のための前記電気供給エネルギーを制御するための少なくとも1つのトリガー信号(42)のトリガー信号継続時間(SD)が、前記少なくとも1つの温度変数に基づいて適合される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、前記電気供給エネルギーのパルス出力曲線のパルスの数によって適合され、
および/または、少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、前記少なくとも1つの信号源(28)のための前記供給エネルギーを制御するためにパルス・トリガー信号(42)のパルスの前記数によって適合される、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、支配的温度のために予め定められた少なくとも1つの補正変数(KF)によって適合され、
および/または、少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、現在の少なくとも1つの温度変数のために予め定められた補正変数(KF)によって適合される、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの温度変数が前記少なくとも1つの送信デバイス(22)の動作中に確認され、
ならびに/または、少なくとも1つの温度変数が少なくとも1つのセンサー(36)を使用して確認され、
ならびに/または、少なくとも1つの温度変数が、前記少なくとも1つの信号源(28)にパワーを供給するために、少なくとも1つの供給エネルギー変数から、特には供給電流および/もしくは供給電圧から、確認される、ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの電磁信号(44)を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源(28)を有し、および、前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、電磁信号(44)の送信デバイス(22)であって、
前記送信デバイス(22)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)を適合させるための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、ことを特徴とする送信デバイス(22)。
【請求項8】
少なくとも1つの特にはトリガー可能な制御要素(30)が、特には少なくとも1つのトランジスタが、前記少なくとも1つの信号源(28)の少なくとも1つのエネルギー供給経路(32)内に配置構成され、
および/または、少なくとも1つの信号発生器(34)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の少なくとも1つのエネルギー供給経路(32)内に位置する少なくとも1つの制御要素(30)を制御するための少なくとも1つのトリガー信号(42)を生成することを目的として提供される、ことを特徴とする、請求項7に記載の送信デバイス(22)。
【請求項9】
前記送信デバイス(22)が、前記少なくとも1つの温度変数に基づいて前記信号継続時間(SD)の特性を示す変数を実装するための少なくとも1つの手段(34)を有する、ことを特徴とする、請求項7または8に記載の送信デバイス(22)。
【請求項10】
少なくとも1つの監視領域(14)を監視するための検出装置(12)であって、
少なくとも1つの電磁信号(44)を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源(28)を有し、
前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有し、
反射電磁信号(44)を受信するためのおよび前記反射電磁信号(44)を電気的変数に変換するための少なくとも1つの受信デバイス(24)を有し、ならびに、
前記検出装置(12)を制御するためのおよび前記少なくとも1つの受信デバイス(24)によって確認された電気的変数を評価するための少なくとも1つの制御評価デバイス(26)を有する、
検出装置(12)であって、
前記検出装置(12)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)を適合させるための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、ことを特徴とする、検出装置(12)。
【請求項11】
少なくとも1つの監視領域(14)を監視するための少なくとも1つの検出装置(12)を有する車両(10)であって、前記少なくとも1つの検出装置(12)が、
少なくとも1つの電磁信号(44)を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源(28)と、
前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段(26、34、36)と、
反射電磁信号(44)を受信するためのおよび前記反射電磁信号(44)を電気的変数に変換するための少なくとも1つの受信デバイス(24)と、
前記検出装置(12)を制御するためのおよび前記少なくとも1つの受信デバイス(24)によって確認された電気的変数を評価するための少なくとも1つの制御評価デバイス(26)と、
を有する、車両(10)であって、
前記検出装置(12)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)を適合させるための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、ことを特徴とする、車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁信号の送信デバイスを動作させるための方法に関し、本方法では、少なくとも1つの信号源が電磁信号を発信することを目的として電気供給エネルギーの供給を受け、少なくとも1つの信号源の送信パワー(power)に対しての温度の影響が補償される。
【0002】
さらに、本発明は、少なくとも1つの電磁信号を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源を有し、および、少なくとも1つの信号源の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段を有する、電磁信号の送信デバイスに関する。
【0003】
さらに、本発明は、少なくとも1つの監視領域を監視するための検出装置に関し、この検出装置が、
少なくとも1つの電磁信号を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源を有し、
少なくとも1つの信号源の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段を有し、
反射電磁信号を受信するためのおよび反射電磁信号を電気的変数に変換するための少なくとも1つの受信デバイスを有し、ならびに、
検出装置を制御するためのおよび少なくとも1つの受信デバイスによって確認された電気的変数を評価するための少なくとも1つの制御評価デバイスを有する。
【0004】
加えて、本発明は、少なくとも1つの監視領域を監視するための少なくとも1つの検出装置を有する車両に関し、少なくとも1つの検出装置は、
少なくとも1つの電磁信号を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源と、
少なくとも1つの信号源の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段と、
反射電磁信号を受信するためのおよび反射電磁信号を電気的変数に変換するための少なくとも1つの受信デバイスと、
検出装置を制御するためのおよび少なくとも1つの受信デバイスによって確認された電気的変数を評価するための少なくとも1つの制御評価デバイスと、
を有する。
【背景技術】
【0005】
EP1039597B1が、発光ダイオードおよびレーザーダイオードの光学出力パワー(光パワー)を安定させるための方法を開示しており、ダイオード電流および順方向電圧の組み合わせが、発光ダイオードまたはレーザーダイオードによって発せられる光パワーのための明瞭な評価尺度として使用され、一定の光パワーにおいて温度から独立して順方向電圧がダイオード電流の関数となり、特定の一定の光パワーにおいてダイオード電流から順方向電圧が達成されるときの関数が、多様な温度において一定の光パワーでのダイオード電流および順方向電圧の測定によって確認され、その安定化のために、発光ダイオードまたはレーザーダイオードが、測定によって確認された順方向電圧とダイオード電流との間の関数関係に適合するように、動作させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上で言及した種類の方法、送信デバイス、検出装置、および車両を案出するという目的に基づき、少なくとも1つの信号源の送信パワーに対しての温度の影響が、より良好に、特にはより単純におよび/またはより正確に、補償され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的が、本発明に従って、温度の影響を補償するために、少なくとも1つの信号源の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が適合される方法を用いて達成される。
【0008】
発信される電磁信号の送信エネルギーが大幅に増大すると、送信パワーが増大し、送信パワーを発信するときの信号継続時間が長くなる。多くの信号源では、特にはレーザーでは、送信パワーに関する効率が温度に依存し、特には信号源に依存する。したがって、発信される電磁信号の送信パワーおよびひいてはさらに送信エネルギーが温度と共に変化する。
【0009】
本発明によると、発信される電磁信号の送信パワーおよびひいては送信エネルギーに対しての温度の影響を補償するために、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が適合される。こうすることで、送信パワーの温度依存変化が信号継続時間の対応する変化によって補償される。したがって、これにより、発せられる送信エネルギーが少なくとも1つの信号源の温度から独立することが保証される。
【0010】
信号継続時間は少なくとも1つの温度変数に基づいて適合される。少なくとも1つの温度変数が少なくとも1つの信号源の温度の特性を示す。こうすることで、特には少なくとも1つの信号源の、温度のための評価尺度が適切な温度変数を使用して確認され得る。
【0011】
少なくとも1つの温度変数が、有利には、電圧値および/または電流値によって実現され得る。こうすることで、少なくとも1つの温度変数が電気的に処理され得る。
【0012】
有利には、少なくとも1つの温度変数がアナログ値を用いて実現され得る。こうすることで、温度変数がアナログ的に確認および処理され得る。
【0013】
別法としてまたは加えて、少なくとも1つの温度変数がデジタル値を用いて実現され得る。こうすることで、少なくとも1つの温度変数がデジタル的に処理され得る。
【0014】
本発明に従って温度の影響を補償するためには、電気供給エネルギーを提供するエネルギー源を、特には電流源を、適合させる必要がない。本発明は、少なくとも1つの信号源のための特には駆動回路の制御機能の複雑さを単純化するのを可能にする。
【0015】
電磁信号を発信することを目的として、少なくとも1つの信号源が電気供給エネルギーの供給を受ける。この目的のため、少なくとも1つの信号源が、エネルギー源の、特には電圧源の、電流路内に配置構成され得る。電気供給エネルギーは、少なくとも1つの信号源に印加される電圧からおよび少なくとも1つの信号源を通って流れる電流から生じる。
【0016】
有利には、少なくとも1つの信号源が、光信号の、特にはレーザー信号の、形態である電磁信号を送信するのに使用され得る。光信号は、特には信号飛行時間測定である、種々の機能を実装するのに使用され得る。
【0017】
有利には、少なくとも1つの信号源がパルス電磁信号を送信するのに使用され得る。パルス信号は、信号飛行時間測定をより良好に実行するのに使用され得る。
【0018】
有利には、送信デバイスは、少なくとも1つの監視領域を監視するための検出装置の一部となり得る。こうすることで、少なくとも1つの監視領域は、本発明に従って発信される電磁信号を使用して、より正確に、特には再現可能に、サンプリングされ得る。
【0019】
有利には、検出装置は、信号飛行時間法(signal time-of-flight method)に従って、特には信号パルス飛行時間法に従って、動作することができる。信号パルス飛行時間法に従って動作する検出装置は、飛行時間(TOF:time-of-flight)システム、間接的飛行時間(iTOF:indirect time-of-flight)システム、光検出測距(LiDAR:light detection and ranging)システム、またはレーザー検出測距(LaDAR:laser detection and ranging)システムなどとして構成され得、そのように称され得る。
【0020】
有利には、検出装置は走査システムとして構成され得る。この事例では、監視領域が電磁信号を使用してサンプリングされ得、つまり走査され得る。この目的のため、電磁信号の伝播方向が監視領域の上で修正され得、特には旋回させられ得る。この事例では、少なくとも1つの信号検出デバイス、特には、走査システムまたは偏向鏡デバイスなどが使用され得る。別法としてまたは加えて、検出装置は、いわゆるフラッシュシステムとして、特にはフラッシュLiDARとして、構成され得る。この事例では、適切に拡散する電磁信号が、監視領域の比較的大部分または監視領域全体に同時に当たることができる。
【0021】
有利には、検出装置はレーザー・ベースの距離測定システムとして構成され得る。レーザー・ベースの距離測定システムは、信号源として、レーザー、特にはダイオード・レーザーを有することができる。レーザーは、電磁信号として特にはパルス・レーザー・ビームを送信するのに使用され得る。レーザーは、ヒト眼球にとって可視であるかまたは可視ではない波長範囲内の電磁信号を発信するのに使用され得る。したがって、検出装置の受信機は、発信される電磁信号の波長のために設計されたセンサーを有することができるかまたはこのようなセンサーから構成され得、特には、ポイント・センサー、ライン・センサー、および/または表面センサーを有することができるかまたはこれらから構成され得、特には、(アバランシェ)フォトダイオード、フォトダイオード・ライン、CCDセンサー、能動ピクセル・センサー、または特にはCMOSセンサーなどを有することができるかまたはこれらから構成され得る。レーザー・ベースの距離測定システムは、有利には、レーザー・スキャナとして構成され得る。レーザー・スキャナは、具体的にはレーザー・ビームなどの、特にはパルス・レーザー信号を使用して監視領域をサンプリングするのに使用され得る。
【0022】
本発明は、有利には、車両内で、特には自動車内で、使用され得る。本発明は、有利には、特には、乗用車、トラック、バス、もしくは二輪車などの、陸上車、特にはドローンなどの、飛行機、および/または、船で使用され得る。さらに、本発明は自律的にまたは少なくとも半自律的に動作させられ得る車両内で使用され得る。しかし、本発明は車両のみに限定されない。本発明は静止オペレーションでも使用され得、ロボット工学および/または機械でも使用され得、特には、クレーンまたは掘削機などの建設機械または輸送機械で使用され得る。
【0023】
検出装置は、有利には、車両または機械の少なくとも1つの電子制御装置に、特には運転補助システムに、接続され得るか、またはこのような制御装置の一部となり得る。こうすることで、車両または機械の機能のうちの少なくとも一部が自律的にまたは半自律的に実施され得る。
【0024】
検出装置は、静止物体または移動物体を、特には、車両、人間、動物、植物、障害物、特には穴もしくは岩などの道路の異物(roadway irregularity)、道路の境界線、交通標識、特には駐車スペースなどのオープン・スペース、または降雨、ならびに/あるいは、動きおよび/またはジェスチャーを、検出するために使用され得る。
【0025】
本方法の1つの有利な構成では、
少なくとも1つの信号源が、パルス出力曲線を有する電気供給エネルギーの供給を受けることができ、
および/または、少なくとも1つの信号源が電気供給エネルギーの供給を受けるときの供給継続時間が、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間を適合させることを目的として少なくとも1つの温度変数に基づいて適合され得る。
【0026】
有利には、少なくとも1つの信号源が、パルス出力曲線を有する電気供給エネルギーの供給を受けることができる。この事例では、パルス出力曲線が電流パルスによって達成され得る。この目的のため、少なくとも1つの信号源のための電気供給経路がパルス的に切り替えられ得る。こうすることで、供給経路のための単純な電圧制御装置および/または電流制御装置が活用され得るようになり、制御装置はスイッチ・オン状態とスイッチ・オフ状態との間で制御されることのみを必要とする。
【0027】
別法としてまたは加えて、少なくとも1つの信号源が電気供給エネルギーを受けるときの供給継続時間が、少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間を適合させるのに使用され得る。こうすることで、信号継続時間は、電気供給エネルギーの制御装置によって適合され得る。
【0028】
有利には、少なくとも1つの電磁信号が少なくとも1つの信号パルスを有することができる。こうすることで、電磁信号が少なくとも1つの信号パルスの継続時間にわたって発せられる。
【0029】
有利には、少なくとも1つの電磁信号は、信号継続時間にわたって送信される複数の信号パルスを有することができる。パルス電磁信号を使用することにより、動作中の少なくとも1つの信号源の加熱を低減することが可能となる。したがって、信号継続時間は信号パルスの数によって指定され得る。
【0030】
本方法の別の有利な構成では、
少なくとも1つの信号源のための電気供給エネルギーが、特にはパルスである、少なくとも1つのトリガー信号を使用して制御され得、
および/または、少なくとも1つの信号源のための電気供給エネルギーを制御するための少なくとも1つのトリガー信号のトリガー信号継続時間が、少なくとも1つの温度変数に基づいて適合され得る。
【0031】
トリガー信号は、単純に、特にはデジタル的に、実現され得る。パルス・トリガー信号は少なくとも1つの信号源のパルス化(pulsed activation)に適する。こうすることで、パルス電磁信号が発せられ得る。
【0032】
別法としてまたは加えて、少なくとも1つのトリガー信号のトリガー信号継続時間が、少なくとも1つの温度変数に基づいて適合され得る。こうすることで、前もって、電磁信号の信号継続時間が制御デバイスにより単純に予め定められ得る。
【0033】
有利には、少なくとも1つのトリガー信号が、特には、方形波信号、三角波信号、正弦波信号、またはノコギリ波信号などの、周期信号となり得る。周期信号は単純に再現可能に実現され得る。方形波信号、三角波信号、正弦波信号、およびノコギリ波信号は、単純に画定され得る。
【0034】
本方法の別の有利な構成では、
少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が、電気供給エネルギーのパルス出力曲線のパルスの数によって適合され得、
および/または、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が、少なくとも1つの信号源のための供給エネルギーを制御するためにパルス・トリガー信号のパルスの数によって適合され得る。こうすることで、特には電気供給エネルギーおよび/または周期トリガー信号の周期出力曲線の事例では、少なくとも1つの信号源の信号継続時間およびひいては出力パワーが単純に適合され得る。
【0035】
本方法の別の有利な構成では、
少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が、支配的温度のために予め定められた少なくとも1つの補正変数によって適合され得、
および/または、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が、現在の少なくとも1つの温度変数のために予め定められた補正変数によって適合され得る。こうすることで、支配的温度または少なくとも1つの温度変数と温度の対応する影響を補償するのに必要である信号継続時間との間の関係が単純に実現され得る。
【0036】
有利には、少なくとも1つの補正変数が、特には、少なくとも1つの電磁信号のための予め定められる基本トリガー信号継続時間および/または予め定められる基本信号継続時間などの、信号継続時間を予め定める変数を適合させるのを可能にする係数となり得る。
【0037】
有利には、電磁信号のための所望の送信エネルギーを提供する基本信号継続時間および/または基本トリガー信号継続時間が、最適な温度での動作のために予め定められ得る。最適な温度から逸脱する事例では、基本信号継続時間および/または基本トリガー信号継続時間が、実際の支配的温度に属する補正変数を使用して、特には増倍されることにより、適合され得る。最適な温度から逸脱する温度の事例において信号源およびひいては信号出力パワーの効率が低下する場合、基本信号継続時間および/または基本トリガー信号継続時間が適切な補正変数によって増倍され得、結果として、信号継続時間またはトリガー信号継続時間が延長され得る。
【0038】
有利には、温度、特には少なくとも1つの温度変数と、少なくとも1つの補正変数との間の関係が、参照テーブルに、特には少なくとも1つの信号源に、予め保存され得る。したがって、補正変数を迅速に確認することが可能となる。
【0039】
温度、特には少なくとも1つの温度変数と、少なくとも1つの補正変数、特には少なくとも1つの参照テーブルとの間の関係が、有利には、少なくとも1つの送信デバイスおよび/または検出装置の対応する記憶媒体に保存され得る。有利には、信号源のための既知の関係が予め定められ得る。
【0040】
別法としてまたは加えて、この関係が、少なくとも1つの試験測定により、特には製造ラインの終わりに、確認され得る。こうすることで、この関係が単純に決定され得る。
【0041】
本方法の別の有利な構成では、
少なくとも1つの温度変数が少なくとも1つの送信デバイスの動作中に確認され得、
ならびに/または、少なくとも1つの温度変数が少なくとも1つのセンサーを使用して確認され得、
ならびに/または、少なくとも1つの温度変数が、少なくとも1つの信号源にパワーを供給するために、少なくとも1つの供給エネルギー変数から、特には供給電流および/もしくは供給電圧から、確認され得る。
【0042】
現在の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数が、少なくとも1つの送信デバイスの動作中に確認され得る。
【0043】
別法としてまたは加えて、少なくとも1つの温度変数が少なくとも1つのセンサーを使用して確認され得る。こうすることで、少なくとも1つの温度変数が直接に確認され得る。
【0044】
別法としてまたは加えて、少なくとも1つの温度変数が少なくとも1つの供給エネルギー変数から確認され得る。こうすることで、別個の温度センサーが省かれ得る。少なくとも1つの温度変数は、有利には、少なくとも1つの信号源のための供給電流から、および/または供給電圧から、確認され得る。
【0045】
さらに、本目的は、本発明に従って送信デバイスを用いて達成され、送信デバイスは、少なくとも1つの信号源の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間を適合させるための少なくとも1つの手段を有する。
【0046】
本発明によると、少なくとも1つの手段が、少なくとも1つの信号源の温度の特性を示す温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間を適合させるのに使用され得る。
【0047】
有利には、送信デバイスおよび/または送信デバイスを有する検出装置が、本発明による方法を実行するための少なくとも1つの手段を有する。
【0048】
有利には、特には少なくとも1つの温度に基づいて信号継続時間を適合させることを目的として、本発明による方法を実行するための少なくとも1つの手段がソフトウェアおよび/またはハードウェアによって実装され得、特には、送信デバイスおよび/または送信デバイスを備える検出装置を使用して実装され得る。こうすることで、何らかのかたちで存在する構成要素および/または機能が本発明を実装するのに使用され得る。
【0049】
1つの有利な実施形態では、
少なくとも1つの特にはトリガー可能な制御要素が、特には少なくとも1つのトランジスタが、少なくとも1つの信号源の少なくとも1つのエネルギー供給経路内に配置構成され得、
および/または、少なくとも1つの信号発生器が、少なくとも1つの信号源の少なくとも1つのエネルギー供給経路内に位置する少なくとも1つの制御要素を制御するための少なくとも1つのトリガー信号を生成することを目的として提供され得る。
【0050】
制御要素が、少なくとも1つの信号源の少なくとも1つのエネルギー供給経路を制御するのに、特には閉じたり開けたりするのに、使用され得る。
【0051】
トリガー可能な制御要素が、エネルギー供給経路を閉じたり開けたりすることを目的としてトリガー信号によって作動され得る。
【0052】
有利には、少なくとも1つの制御要素が少なくとも1つのトランジスタを有することができるかまたは少なくとも1つのトランジスタから構成され得る。トランジスタがトリガー信号を使用して単純に制御され得、特には切り替えられ得る。
【0053】
別法としてまたは加えて、少なくとも1つの信号発生器が提供され得る。信号発生器がトリガー信号を生成するのに使用され得る。トリガー信号は少なくとも1つの制御要素に送信され得る。
【0054】
有利には、送信デバイスおよび/または送信デバイスを備える検出装置は少なくとも1つの信号発生器を有することができる。こうすることで、コンパクトなデザインが実現され得る。
【0055】
別の有利な実施形態では、送信デバイスは、少なくとも1つの温度変数に基づいて信号継続時間の特性を示す変数を実装するための少なくとも1つの手段を有することができる。
【0056】
有利には、トリガー信号の信号継続時間が、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間の特性を示す変数となり得る。こうすることで、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間がトリガー信号を使用して予め定められ得る。
【0057】
別法としてまたは加えて、トリガー信号のパルスの数が信号継続時間の特性を示す変数となり得る。こうすることで、少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間が離散的な値を使用して予め定められ得る。
【0058】
さらに、本目的は本発明に従って検出装置を用いて達成され、検出装置は、少なくとも1つの信号源の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間を適合させるための少なくとも1つの手段を有する。
【0059】
検出装置の用途に依存して、特には間接的飛行時間システムとしてまたは別の種類のLiDARシステムとして、特には光パルスなどの複数の信号パルスを有する特には光信号などの電磁信号が、画定された送信エネルギー、特には画定された光エネルギーを生成することを目的として、1回の測定で発せられ得る。
【0060】
加えて、本目的は本発明に従って車両を用いて達成され得、検出装置は、少なくとも1つの信号源の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号の信号継続時間を適合させるための少なくとも1つの手段を有する。
【0061】
本発明によると、車両は、監視領域を監視するのに使用され得る少なくとも1つの検出装置を有する。こうすることで、監視領域内の物体が検出され得る。
【0062】
有利には、少なくとも1つの検出装置が、車両の外側のおよび/または車両の内部の少なくとも1つの監視領域を、特には物体を、監視するのに使用され得る。こうすることで、車両の周囲にあるかまたは車両内にある物体に関する情報が確認され得る。
【0063】
有利には、車両は少なくとも1つの運転補助システムを有することができる。運転補助システムが車両を自律的にまたは半自律的に動作させるのに使用され得る。
【0064】
有利には、少なくとも1つの検出装置が少なくとも1つの運転補助システムに機能的に接続され得る。こうすることで、少なくとも1つの検出装置を使用して取得される監視領域に関する情報、特には物体情報が、車両の自律的なまたは半自律的な動作を制御することを目的として少なくとも1つの運転補助システムによって使用され得る。
【0065】
さらに、本発明による方法、本発明による送信デバイス、本発明による検出装置、および本発明による車両に関連して示される特徴および利点、ならびにそのそれぞれの有利な構成は、相互に対応するように、および可逆的に、適用される。個別の特徴および利点は、もちろん、互いに組み合わされ得、個別の効果の総和を超越する別の有利な効果が達成され得る。
【0066】
図面を参照して本発明の例示の実施形態をより詳細に説明する以下の記述から、本発明の別の利点、特徴、および細部が明らかとなる。さらに、当業者であれば、図面、記述、および特許請求の範囲との組み合わせで開示される特徴を便宜的に個別に考察し、有意義な別の組み合わせを形成するようにこれらの特徴を組み合わせることになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】運転補助システムと、車両の前方の移動方向内の物体を検出するためのLiDARシステムと、を有する車両を示す正面図である。
図2図1からの運転補助システムおよびLiDARシステムを有する車両を示すブロック図である。
図3】第1の例示の実施形態による、図1および図2からのLiDARシステムの送信デバイスを示す回路図である。
図4図3からの送信デバイスのレーザーを作動させるための、基本信号継続時間を有するトリガー信号の時間特性を示すグラフである。
図5】2倍の基本信号継続時間を有する図4からのトリガー信号の時間特性を示すグラフである。
図6】レーザーの温度の関数として図3からの送信デバイスのレーザーの効率を示すグラフである。
図7】レーザーの温度に対しての、図3からのレーザーの効率の温度依存性を補償するのに使用される補正係数の依存性を示すグラフである。
図8】レーザーの温度の関数として、図3からの送信デバイスのレーザーによって送信されるレーザー信号のレーザー送信エネルギーを示すグラフであり、図7による温度依存補正係数を使用して効率の温度依存性が補償される。
図9】レーザーの温度の関数として、図3からの送信デバイスのレーザーによって送信されるレーザー信号のレーザー送信エネルギーを示すグラフであり、効率の温度依存性が補償されない。
図10】第2の例示の実施形態による、図1および2からのLiDARシステムの送信デバイスを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図では、同一の要素には同一の参照符号が与えられる。
【0069】
図1は、例えば乗用車の形態である、車両10の正面図を示す。
【0070】
車両10は、例えばLiDARシステム12の形態である、検出装置を有する。図2は、LiDARシステム12を有する車両10のブロック図である。
【0071】
例として、LiDARシステム12は車両10のフロント・バンパー内に配置構成され得る。LiDARシステム12は、物体18のために、車両10の前方の移動方向16内の監視領域14を監視するのに使用され得る。LiDARシステム12はさらに、車両10上の別のポイントに配置構成され得、多様に方向付けされ得る。LiDARシステム12はさらに、内部を監視するように車両10内に配置構成され得る。LiDARシステム12は、例えば、車両10またはLiDARシステム12に対しての物体18の距離、方向、および速度などの、あるいは、特性を示す対応する変数などの、物体情報を確認するのに使用され得る。LiDARシステム12はさらに、例えば人間などの、ジェスチャーを検出するのに使用され得る。
【0072】
物体18は、例えば、他の車両、人間、動物、植物、障害物、例として穴または岩などの道路の異物、道路の境界線、交通標識、例として駐車スペースなどのオープン・スペース、あるいは降雨などの、静止物体または移動物体となり得る。
【0073】
LiDARシステム12は車両10の運転補助システム20に接続される。運転補助システム20は、車両10を自律的にまたは半自律的に動作させるのに使用され得る。
【0074】
LiDARシステム12は、例として、送信デバイス22、受信デバイス24、および制御評価デバイス26を備える。
【0075】
制御評価デバイス26、送信デバイス22、および受信デバイス24の機能は、少なくとも部分的に、集中型でまたは分散型で実装され得る。さらに、制御評価デバイス26の機能および/または対応する構成要素の一部分は、送信デバイス22および/または受信デバイス24に一体化され得、逆も同様である。さらに、制御評価デバイス26および運転補助システム20は部分的に組み合わされ得る。送信デバイス22、受信デバイス24、および制御評価デバイス26の機能は、ソフトウェアおよびハードウェアによって実装され得る。
【0076】
図3は、制御評価デバイス26に接続された、第1の例示の実施形態による送信デバイス22の回路図を示す。
【0077】
送信デバイス22は、レーザー28の形態である信号源と、レーザー28の電流路32のためのトランジスタ30の形態である制御要素と、制御要素30をトリガーすることを目的としてトリガー信号42を生成するための信号発生器34と、レーザー28の温度を検出するための温度検出デバイス36と、を備える。
【0078】
電流路32はレーザー28のためのエネルギー供給経路を形成する。レーザー28の電流路32は、一方側で制御要素30を介してアース端子38に接続され、もう一方側で電圧源40に接続される。電圧源40は、レーザー28に電気供給エネルギーを供給するのに使用され得るエネルギー供給デバイスを形成する。電圧源40は、例えば、LiDARシステム12の集中型電源(centralized voltage supply)となり得る。
【0079】
トランジスタ30の基部が信号発生器34の信号出力部に接続される。トランジスタ30のエミッタおよびコレクターが電流路32内に位置する。電流路32はトランジスタ30の適切な作動によって閉じられたり開けられたりされ得る。
【0080】
信号発生器34の制御入力部が制御評価デバイス26に接続される。制御評価デバイス26は、トリガー信号42を生成することを目的として制御入力部を介して信号発生器34を作動させるのに使用され得る。図4は、例として、基本信号継続時間SDを有するこのようなトリガー信号42を示す。トリガー信号42は例えば、例として方形波信号などの、パルス信号である。図5は、信号継続時間SDまたはSDをそれぞれ有するトリガー信号42を示す。
【0081】
トリガー信号42はトランジスタ30をパルス的に作動させるのに使用され、その結果、それに応じて電流路32がパルス的に閉じられるようになる。したがって、レーザー28はパルス出力曲線を有する電気供給エネルギーの供給を受ける。レーザー28は、トリガー信号42のパルス曲線および信号継続時間SDに従ってパルス・レーザー信号44を生成するのに使用される。生成されるパルス・レーザー信号44は、トリガー信号42のトリガー信号継続時間SDに対応する信号継続時間SDを有する。したがって、トリガー信号継続時間およびレーザー信号44の信号継続時間は、以下では、参照符号「SD」によって示される。
【0082】
温度検出デバイス36は、レーザー28の近傍に配置構成された温度センサーを備える。温度検出デバイス36は、例えば電圧値またはデジタル値である、レーザー28の温度の特性を示す温度変数を確認するのに使用され得る。温度検出デバイス36は制御評価デバイス26に接続される。こうすることで、確認された温度変数が制御評価デバイス26に送信され得る。
【0083】
例として、レーザー28はダイオード・レーザーとして実装される。図6に例として示されるように、レーザー28のレーザー効率LEはレーザー28の温度に依存する。レーザー効率LEは、図9に示されるように、送信されるレーザー信号44のレーザー送信エネルギーEつまり光エネルギーに影響を与える。例としてレーザー効率LEに関して最適な温度Tである場合、レーザー効率LEがその最大値を有する。温度が最適な温度Tから例えば一方で下限温度Tまでおよびもう一方で上限温度Tまで逸脱するときに、レーザー効率LEが低下する。下限温度Tおよび上限温度Tは、レーザー28が普通に動作させられ得るときの例示の温度である。図6では、レーザー効率LEの温度曲線が、例として、最適な温度Tに関してほぼ対称に示される。レーザー効率LEの温度曲線およびひいてはレーザー送信エネルギーEの温度曲線は別の形状を有することもできる。
【0084】
最適な温度Tから開始して温度が逸脱すると、レーザー効率LEの温度曲線に従ってレーザー送信エネルギーEが各々低下する。レーザー効率LEの温度曲線に対応するレーザー送信エネルギーEの温度曲線が図9に示される。図9はグラフを示しており、レーザー28によって送信される送信信号44のレーザー送信エネルギーEがレーザー28の温度の関数として示される。
【0085】
光信号44のレーザー送信エネルギーEは、レーザー出力パワーと、信号継続時間SDと、トリガー信号42のデューティー・サイクルとの積に比例する。トリガー信号42は、例えば、50%のデューティー・サイクルを有する方形波信号である。別法として、光信号44のためのレーザー送信エネルギーEは、信号継続時間SDの範囲内でトリガー信号42の方形波パルスの数に比例にするように示され得る。最適な温度Tから開始してレーザー28の温度が上昇または低下すると、図9に示されるように、一定の信号継続時間SDにおける光信号44のためのレーザー送信エネルギーEが低下する。
【0086】
しかし、LiDARシステム12を使用して正確で再現可能な測定を実行するのを可能にするためには、可能な限り一定であるレーザー送信エネルギーEを有するレーザー信号44を送信することが必要である。これが例示のLiDARシステム12で達成され、レーザー信号44の信号継続時間SDは、レーザー28の温度に基づいて、または、温度の特性を示す温度変数に基づいて、適合される。この目的のため、温度が最適な温度Tから逸脱する場合、基本信号継続時間SDが例えば支配的温度のための補正係数KFによって例えば増倍されて補正される。
【0087】
基本信号継続時間SDは例えば、最適な温度Tにおいて所望の例えば予め定められたレーザー送信エネルギーEL0を用いてレーザー信号44が送信されることになるように、予め定められ得る。支配的温度のための補正係数KFは、例えば参照テーブルから取得される。補正係数KFと温度と間の関係は、例えば、レーザー28のためのレーザー効率LEの既知のまたは所定の温度曲線に基づいて確認される。
【0088】
レーザー効率LEは各レーザー28において個別であり、例えば試験測定の過程において予め確認され得るかまたは製造業者の仕様から予め確認され得る。レーザー効率LEの曲線は、例えば、制御評価デバイス26において参照テーブル内に保存され得る。
【0089】
制御評価デバイス26は、例えば図6に示されるレーザー効率LEの温度曲線から、図7に示されるように補正係数KFの対応する温度曲線を確認するのに使用され得る手段を有する。別法として、補正係数KFの温度曲線は、制御評価デバイス26の対応する参照テーブルに直接に保存されてもよい。
【0090】
支配的温度または対応する温度変数に割り当てられた補正係数KFの補助により、レーザー効率LEの温度依存性を補償するのを可能にする必要な信号継続時間SDを確認することが可能となる。信号発生器34は、トリガー信号42を生成することを目的として確認された信号継続時間SDにわたって作動される。信号発生器34は、その一部において、トランジスタ30を制御するのにトリガー信号42を使用し、その結果、レーザー28が、対応するレーザー送信エネルギーEで信号継続時間SDにわたって対応するパルス・レーザー信号44を発信するようになる。
【0091】
例えば、最適な温度Tでは補正係数KF=1である。補正係数KFは各々の事例において下限温度Tに向かうにつれてまたは上限温度Tに向かうにつれて増大し、最終的に補正係数KF=2となる。これは、例えば、下限温度Tであるかまたは下限温度Tである場合にトリガー信号42の基本信号継続時間SDおよびひいてはレーザー信号44の信号継続時間が、各々、図5に示されるように2倍となり、それぞれ信号継続時間SDまたはSDとなる、ことを意味する。温度変数に基づいて信号継続時間SDを適合させることにより、レーザー送信エネルギーEL0のための一定の温度曲線が図8に示されるように得られる。
【0092】
LiDARシステム12は、スキャニングLiDARシステムとしてまたはフラッシュLiDARシステムとして構成され得る。送信デバイス22は、任意選択で、生成されたレーザー信号44に相応に影響を与えるのに、特には生成されたレーザー信号44を拡散および/または集中させるのに、使用され得る例えば光学レンズなどの少なくとも1つの光学システムを有することができる。
【0093】
さらに、送信デバイス22は、任意選択で、レーザー信号44を監視領域14の中まで誘導するのに使用され得る例えば鏡などの信号偏向デバイスを有することができる。信号偏向デバイスの偏向部分は修正可能となり得、例えばレーザー28に対して枢動可能または回転可能となり得る。こうすることで、レーザー信号44の伝播方向が旋回させられ得るようになり、監視領域14がサンプリングまたは走査され得るようになる。レーザー信号44は送信デバイス22を使用して監視領域14の中まで送信される。
【0094】
物体18で反射する受信デバイス24の方向のレーザー信号44が受信デバイス24によって受信される。受信デバイス24は、任意選択で、反射レーザー信号44を受信デバイス24の受信機まで偏向させるのに使用され得る、例えば光学レンズなどの、信号偏向デバイスおよび/または光学システムをその入力部側に有することができる。
【0095】
例として、受信デバイス24の受信機は、ポイント・センサー、ライン・センサー、または表面センサーとして構成され得、例えば、(アバランシェ)フォトダイオード、フォトダイオード・ライン、CCDセンサー、能動ピクセル・センサー、または特にはCMOSセンサーなどとして構成され得る。受信機は、制御評価デバイス26まで送信され得る電気信号へと反射レーザー信号44を変換するのに使用される。
【0096】
制御評価デバイス26を使用して電気信号が処理される。例として、LiDARシステム12および/または車両10に対して検出される物体18の距離、方向、および速度のそれぞれの特性を示す、例えば、距離変数、方向変数、および/または速度変数などの物体変数が、制御評価デバイス26により電気信号から確認される。
【0097】
確認された物体変数が制御評価デバイス26により運転補助システム20に送信される。運転補助システム20は、車両10を自律的にまたは半自律的に動作させることを目的として物体変数を使用するのに使用される。
【0098】
図10は、図1および2からのLiDARシステムの送信デバイス22の第2の例示の実施形態を示す。図3からの第1の例示の実施形態の要素と同様の要素は同じ参照符号を与えられる。第2の例示の実施形態は、温度検出デバイス36が温度センサーの代わりに電気抵抗器46および測定変換器48を備えるという点で、第1の例示の実施形態とは異なる。電気抵抗器46はレーザー28の電流路32内に配置構成される。測定変換器48は、電流路32を閉じているときに電気抵抗器46に印加された電圧を、レーザー28の温度の特性を示す温度変数を実現する対応する信号へと変換するのに使用される。温度変数は測定変換器48から制御評価デバイス26まで送信される。制御評価デバイス26は、第1の例示の実施形態と同じ手法で信号発生器34を作動させるのに使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-8】
図9
図10
【図
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁信号(44)の送信デバイス(22)を動作させるための方法であって、前記方法では、少なくとも1つの信号源(28)が前記電磁信号(44)を発信することを目的として電気供給エネルギーの供給を受け、前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響が補償される、方法であって、
温度の前記影響を補償するために、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)が適合される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの信号源(28)がパルス出力曲線を有する電気供給エネルギーの供給を受け、
および/または、前記少なくとも1つの信号源(28)が電気供給エネルギーの供給を受けるときの供給継続時間が、少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)を適合させることを目的として前記少なくとも1つの温度変数に基づいて適合される、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの信号源(28)のための前記電気供給エネルギーが、特にはパルスである、少なくとも1つのトリガー信号(42)を使用して制御され、
および/または、少なくとも1つの信号源(28)のための前記電気供給エネルギーを制御するための少なくとも1つのトリガー信号(42)のトリガー信号継続時間(SD)が、前記少なくとも1つの温度変数に基づいて適合される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、前記電気供給エネルギーのパルス出力曲線のパルスの数によって適合され、
および/または、少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、前記少なくとも1つの信号源(28)のための前記供給エネルギーを制御するためにパルス・トリガー信号(42)のパルスの前記数によって適合される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、支配的温度のために予め定められた少なくとも1つの補正変数(KF)によって適合され、
および/または、少なくとも1つの電磁信号(44)の前記信号継続時間(SD)が、現在の少なくとも1つの温度変数のために予め定められた補正変数(KF)によって適合される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの温度変数が前記少なくとも1つの送信デバイス(22)の動作中に確認され、
ならびに/または、少なくとも1つの温度変数が少なくとも1つのセンサー(36)を使用して確認され、
ならびに/または、少なくとも1つの温度変数が、前記少なくとも1つの信号源(28)にパワーを供給するために、少なくとも1つの供給エネルギー変数から、特には供給電流および/もしくは供給電圧から、確認される、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの電磁信号(44)を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源(28)を有し、および、前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、電磁信号(44)の送信デバイス(22)であって、
前記送信デバイス(22)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)を適合させるための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、ことを特徴とする送信デバイス(22)。
【請求項8】
少なくとも1つの特にはトリガー可能な制御要素(30)が、特には少なくとも1つのトランジスタが、前記少なくとも1つの信号源(28)の少なくとも1つのエネルギー供給経路(32)内に配置構成され、
および/または、少なくとも1つの信号発生器(34)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の少なくとも1つのエネルギー供給経路(32)内に位置する少なくとも1つの制御要素(30)を制御するための少なくとも1つのトリガー信号(42)を生成することを目的として提供される、ことを特徴とする、請求項7に記載の送信デバイス(22)。
【請求項9】
前記送信デバイス(22)が、前記少なくとも1つの温度変数に基づいて前記信号継続時間(SD)の特性を示す変数を実装するための少なくとも1つの手段(34)を有する、ことを特徴とする、請求項7または8に記載の送信デバイス(22)。
【請求項10】
少なくとも1つの監視領域(14)を監視するための検出装置(12)であって、
少なくとも1つの電磁信号(44)を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源(28)を有し、
前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有し、
反射電磁信号(44)を受信するためのおよび前記反射電磁信号(44)を電気的変数に変換するための少なくとも1つの受信デバイス(24)を有し、ならびに、
前記検出装置(12)を制御するためのおよび前記少なくとも1つの受信デバイス(24)によって確認された電気的変数を評価するための少なくとも1つの制御評価デバイス(26)を有する、
検出装置(12)であって、
前記検出装置(12)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)を適合させるための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、ことを特徴とする、検出装置(12)。
【請求項11】
少なくとも1つの監視領域(14)を監視するための少なくとも1つの検出装置(12)を有する車両(10)であって、前記少なくとも1つの検出装置(12)が、
少なくとも1つの電磁信号(44)を発信するための少なくとも1つの電気作動信号源(28)と、
前記少なくとも1つの信号源(28)の送信パワーに対しての温度の影響を補償するための少なくとも1つの手段(26、34、36)と、
反射電磁信号(44)を受信するためのおよび前記反射電磁信号(44)を電気的変数に変換するための少なくとも1つの受信デバイス(24)と、
前記検出装置(12)を制御するためのおよび前記少なくとも1つの受信デバイス(24)によって確認された電気的変数を評価するための少なくとも1つの制御評価デバイス(26)と、
を有する、車両(10)であって、
前記検出装置(12)が、前記少なくとも1つの信号源(28)の温度の特性を示す少なくとも1つの温度変数に基づいて少なくとも1つの電磁信号(44)の信号継続時間(SD)を適合させるための少なくとも1つの手段(26、34、36)を有する、ことを特徴とする、車両(10)。
【国際調査報告】