(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】低レイテンシ、ブロードバンドパワードメインのオフセット補正信号レベル回路の実装
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H03K19/0175 210
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506779
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022037377
(87)【国際公開番号】W WO2023014491
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523257761
【氏名又は名称】アイディーケイ・エルエルシー・ディービーエー・インディー・セミコンダクター
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モハンマド・ラドファー
(72)【発明者】
【氏名】青木 一朗
(72)【発明者】
【氏名】スコット・デイヴィッド・キー
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA11
5J056DD51
(57)【要約】
インターフェース回路が、第1の接地または基準電圧を有する第1のパワードメインの入力ノードにおける入力電気信号を、第2の接地または基準電圧を有する第2のパワードメインの出力ノードにおける出力電気信号に変換し得る。特に、インターフェース回路のレベルシフト回路が、入力ノードおよび出力ノードを選択的に電気的に結合し得る。したがって、電気的結合があるとき、レベルシフト回路は、第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間でレベルシフトを行い得る。レベルシフトは、第1のフィルタを使用して、第1のコーナー周波数を下回る入力電気信号の周波数を通すことと、第1のフィルタと並列の第2のフィルタを使用して、第2のコーナー周波数を上回る入力電気信号の周波数を通すことと、出力電気信号として第1のフィルタおよび第2のフィルタの出力を組み合わせることとを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェース回路を備える集積回路であって、前記インターフェース回路が、
第1のパワードメインの、入力電気信号を受信するように構成された入力ノードであって、前記第1のパワードメインが、第1の接地または基準電圧を有する、入力ノードと、
第2のパワードメインの、出力電気信号を出力するように構成された出力ノードであって、前記第2のパワードメインが、第2の接地または基準電圧を有する、出力ノードと、
前記入力ノードおよび前記出力ノードに選択的に電気的に結合され、前記第1のパワードメインと前記第2のパワードメインとの間でレベルシフトを行うように構成されたレベルシフト回路であって、
第1のコーナー周波数を下回る前記入力電気信号の周波数を通すように構成された第1のフィルタ、および
前記第1のフィルタと並列の、第2のコーナー周波数を上回る前記入力電気信号の周波数を通すように構成された第2のフィルタ
を備える、レベルシフト回路と
を備え、
前記レベルシフト回路が、前記出力電気信号として、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタの出力を組み合わせるように構成される、集積回路。
【請求項2】
前記第1のコーナー周波数が、前記第2のコーナー周波数に等しい、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記第1のコーナー周波数が、第1の3dB周波数を含み、前記第2のコーナー周波数が第2の3dB周波数を含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記第1のフィルタが、スイッチトキャパシタ回路を含み、前記第2のフィルタが、受動フィルタを含み、
前記集積回路が、前記スイッチトキャパシタ回路において第1のスイッチを選択的に開き、第2のスイッチを選択的に閉じる制御信号を提供するように構成された制御論理を含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項5】
前記受動フィルタが、前記第1のパワードメインと前記第2のパワードメインとの間にAC結合キャパシタを備える、請求項4に記載の集積回路。
【請求項6】
前記スイッチトキャパシタ回路が、前記第1の接地または基準電圧と前記第2の接地または基準電圧との差に対して、前記入力電気信号中のDCコンテンツを補正するように構成され、前記出力電気信号が、前記補正されたDCコンテンツを含む、請求項4に記載の集積回路。
【請求項7】
前記第1のフィルタが、抵抗を駆動するように構成されたバッファ回路を備える、請求項4に記載の集積回路。
【請求項8】
前記入力電気信号および前記出力電気信号が、時間に応じた共通の波形を有する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項9】
前記第1のパワードメインと前記第2のパワードメインとの間の前記レベルシフトが、あらかじめ定義された値未満のレイテンシで行われる、請求項1に記載の集積回路。
【請求項10】
前記入力電気信号および前記出力電気信号が、アナログ電気信号を含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項11】
前記入力電気信号および前記出力電気信号が、複数の論理レベルと、前記論理レベル間の時間的遷移点を有する論理信号を含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項12】
前記論理信号が、非同期論理と関連している、請求項11に記載の集積回路。
【請求項13】
前記レベルシフト回路が、多相の実装形態を有する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項14】
システムであって、
集積回路を備え、前記集積回路が、インターフェース回路を含み、前記インターフェース回路が、
第1のパワードメインの、入力電気信号を受信するように構成された入力ノードであって、前記第1のパワードメインが、第1の接地または基準電圧を有する、入力ノードと、
第2のパワードメインの、出力電気信号を出力するように構成された出力ノードであって、前記第2のパワードメインが、第2の接地または基準電圧を有する、出力ノードと、
前記入力ノードおよび前記出力ノードに選択的に電気的に結合され、前記第1のパワードメインと前記第2のパワードメインとの間でレベルシフトを行うように構成されたレベルシフト回路であって、
第1のコーナー周波数を下回る前記入力電気信号の周波数を通すように構成された第1のフィルタ、および
前記第1のフィルタと並列の、第2のコーナー周波数を上回る前記入力電気信号の周波数を通すように構成された第2のフィルタ
を備える、レベルシフト回路と
を備え、
前記レベルシフト回路が、前記出力電気信号として、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタの出力を組み合わせるように構成される、システム。
【請求項15】
前記第1のコーナー周波数が、前記第2のコーナー周波数に等しい、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のフィルタが、スイッチトキャパシタ回路を含み、前記第2のフィルタが、受動フィルタを含み、
前記集積回路が、前記スイッチトキャパシタ回路において第1のスイッチを選択的に開き、第2のスイッチを選択的に閉じる制御信号を提供するように構成された制御論理を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記スイッチトキャパシタ回路が、前記第1の接地または基準電圧と前記第2の接地または基準電圧との差に対して、前記入力電気信号中のDCコンテンツを補正するように構成され、前記出力電気信号が、前記補正されたDCコンテンツを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のフィルタが、抵抗を駆動するように構成されたバッファ回路を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
第1のパワードメインから第2のパワードメインへDC成分を含む電気信号を通信するための方法であって、
インターフェース回路によって、
前記第1のパワードメインの入力ノードで、入力電気信号を受信するステップであって、前記第1のパワードメインが、第1の接地または基準電圧を有する、ステップと、
前記入力ノード、および第2の接地または基準電圧を有する前記第2のパワードメインの出力ノードにレベルシフト回路を選択的に電気的に結合するステップと、
前記レベルシフト回路が前記入力ノードおよび前記出力ノードに電気的に結合されると、前記レベルシフト回路を使用して、前記第1のパワードメインと前記第2のパワードメインとの間でレベルシフトを行うステップであって、前記レベルシフトが、
第1のフィルタを使用して、第1のコーナー周波数を下回る前記入力電気信号の周波数を通すこと、
前記第1のフィルタと並列の第2のフィルタを使用して、第2のコーナー周波数を上回る前記入力電気信号の周波数を通すこと、および
出力電気信号として、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタの出力を組み合わせること
を含む、ステップと、
前記出力ノードで、前記出力電気信号を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記入力電気信号および前記出力電気信号が、アナログ電気信号、または複数の論理レベルと、前記論理レベル間の時間的遷移点とを有する論理信号を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低周波数および/またはDCコンテンツを含む電気信号をパワードメイン間で通信するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの既存のシグナリング技法では、送信機モジュールおよび受信機モジュールが、接地ノードと供給ノードとの間で大きい電圧オフセットを生じる可能性がある2つの異なるパワードメインに位置している。さらに、電圧オフセットのために、受信機モジュールでの受信電気信号が、受信機モジュールの入力範囲外になることがあり、またはアイダイアグラム要件に反することがある。結果として、受信電気信号は、回復されないことがある。
【0003】
たとえば、いくつかの既存のシグナリング技法は、パワードメイン間でAC結合キャパシタを使用する。これらの手法は、パワードメイン間の接地オフセットに対処し得るが、パワードメイン間で通信される電気信号の低周波数のコンテンツまたは成分(DCを含む)をフィルタリングする場合もある。したがって、これらの手法は、電気信号が低周波数に情報を含む用途または規格で使用するには好適ではない可能性がある。同様に、パワードメイン間で変圧器を使用する既存のシグナリング技法もまた、低周波数のコンテンツを伝搬することができない場合があり、したがって、多くの用途または規格において好適ではない可能性がある。
【0004】
他の既存のシグナリング技法は、たとえば、AC結合キャパシタに関連する高域通過フィルタリングを通過するために、低周波数および/またはDCコンテンツをより高い周波数に移すために電気信号をアップコンバートすることによってこれらの課題に対処する。さらに、パワードメイン間の境界を越えた後、アップコンバートされた電気信号は、受信電気信号を回復するために受信機モジュールにおいてダウンコンバートされ得る。これらの手法は、信号経路に能動回路を含む場合があり、これは伝播遅延を生じる可能性があることに留意されたい。したがって、これらの手法は、低レイテンシ要件がある用途または規格ではさらなる課題または複雑化した問題に直面し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
集積回路の実施形態について説明する。この集積回路は、第1のパワードメインに、入力電気信号を受信する入力ノードを有するインターフェース回路を含み、第1のパワードメインは、第1の接地または基準電圧を有する。さらに、インターフェース回路は、第2のパワードメインに、出力電気信号を出力する出力ノードを有し、第2のパワードメインは、第2の接地または基準電圧を有する。さらに、インターフェース回路は、第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間でレベルシフトを行う、入力ノードおよび出力ノードに選択的に電気的に結合されたレベルシフト回路を含む。レベルシフト回路は、第1のコーナー周波数を下回る入力電気信号の周波数を通過させる第1のフィルタと、第1のフィルタと並列の、第2のコーナー周波数を上回る入力電気信号の周波数を通過させる第2のフィルタとを含む。加えて、レベルシフト回路は、出力電気信号として、第1のフィルタおよび第2のフィルタの出力を組み合わせる。
【0006】
第1のコーナー周波数は、第2のコーナー周波数に等しくてもよいことに留意されたい。代替または追加として、第1のコーナー周波数は、第1の3dB周波数を含んでもよく、第2のコーナー周波数は、第2の3dB周波数を含んでもよい。
【0007】
さらに、第1のフィルタは、スイッチトキャパシタ(switched-capacitor)回路を含んでもよく、第2のフィルタは、受動フィルタを含んでもよく、集積回路は、スイッチトキャパシタ回路において第1のスイッチを選択的に開き、第2のスイッチを選択的に閉じる制御信号を提供する制御論理を含んでもよい。たとえば、受動フィルタは、第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間にAC結合キャパシタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、スイッチトキャパシタ回路は、第1の接地または基準電圧と第2の接地または基準電圧との差に対して、入力電気信号中のDCコンテンツを補正してもよく、出力電気信号は、補正されたDCコンテンツを含んでもよい。さらに、第1のフィルタは、抵抗を駆動するバッファ回路を含んでもよい。
【0008】
加えて、入力電気信号および出力電気信号は、時間に応じた共通の波形を有してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間のレベルシフトは、あらかじめ定義された値未満のレイテンシで行われてもよい。たとえば、レイテンシは、最小レイテンシであってもよい。
【0010】
入力電気信号および出力電気信号は、アナログ電気信号を含み得ることに留意されたい。代替または追加として、入力電気信号および出力電気信号は、複数の論理レベルと、論理レベル間の時間的遷移点とを有する論理信号を含んでもよい。たとえば、論理信号は、非同期論理と関連していてもよい。
【0011】
さらに、レベルシフト回路は、多相実装形態を有してもよい。
【0012】
別の実施形態が、集積回路を含む電気デバイスを提供する。
【0013】
別の実施形態が、集積回路を含むシステムを提供する。
【0014】
別の実施形態が、第1のパワードメインから第2のパワードメインへDC成分を含む電気信号を通信するための方法を提供する。この方法は、インターフェース回路によって行われる動作の少なくともいくつかを含む。
【0015】
この発明の概要は、本明細書に記載する主題のいくつかの態様の基本的な理解を与えるために、いくつかの例示的な実施形態を説明する目的で提供される。したがって、上記で説明した特徴は例であり、いかなる形でも本明細書に記載する主題の範囲または趣旨を狭めるように解釈されるべきではないことを諒解されよう。本明細書に記載する主題の他の特徴、態様、および利点は、以下の発明を実施するための形態、図面、および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態によるインターフェース回路におけるレベルシフト回路の一例を示すブロック図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、低周波数のコンテンツをサンプリングするためにスイッチトキャパシタ回路を使用し、高周波数のコンテンツを高域通過フィルタに通す、レベルシフト回路の一例を示すブロック図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、低周波数のコンテンツをサンプリングするためにスイッチトキャパシタ回路を使用し、高周波数のコンテンツを高域通過フィルタに通す、多相レベルシフト回路の一例を示すブロック図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、負の接地オフセットの場合の模擬入出力電気信号を示す図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、正の接地オフセットの場合の模擬入出力電気信号を示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、第1のパワードメインから第2のパワードメインへDC成分を含む電気信号を通信するための方法の一例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
同様の参照番号は図面全体を通して対応する部分を指すことに留意されたい。さらに、同じ部分の複数のインスタンスは、ダッシュによってインスタンス番号から分離された共通のプレフィックスによって示されている。
【0018】
集積回路について説明する。この集積回路は、第1のパワードメインに、入力電気信号を受信する入力ノードを有するインターフェース回路を含んでもよく、第1のパワードメインは、第1の接地または基準電圧を有する。さらに、インターフェース回路は、第2のパワードメインに、出力電気信号を出力する出力ノードを有し、第2のパワードメインは、第2の接地または基準電圧を有する。さらに、インターフェース回路は、入力ノードおよび出力ノードに選択的に電気的に結合された、第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間でレベルシフトを行うレベルシフト回路を含んでもよい。レベルシフト回路は、第1のコーナー周波数を下回る入力電気信号の周波数を通過させる第1のフィルタと、第1のフィルタと並列の、第2のコーナー周波数を上回る入力電気信号の周波数を通過させる第2のフィルタとを含んでもよい。加えて、レベルシフト回路は、出力電気信号として、第1のフィルタおよび第2のフィルタの出力を組み合わせてもよい。
【0019】
第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間で電気信号を通信することによって、これらの回路技術は、著しい接地電圧差が存在する場合でも、低周波数のコンテンツ(DC成分を含む)が伝達されることを可能にし得る。さらに、電気信号は、減少したまたは最小のレイテンシで第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間で通信され得る。これらの能力は、低周波数のコンテンツを含む、かつ/または低レイテンシの要件を有する用途または規格において、電気信号が通信されることを可能にし得る。たとえば、回路技術は、ユニバーサルシリアルバス(USB)2.0モジュールが様々な電力供給/充電構成で使用されることを可能にすると同時に、電気信号が第2のパワードメインで回復されることを可能にし得る。さらに、回路技術は、インターフェース回路のコストを簡素化および低減する可能性があり、通信性能を改善する可能性がある。結果として、回路技術は、インターフェース回路をよりロバストかつ信頼できるものにする可能性があり、したがって多種多様なシステム、電子デバイス、および用途でのインターフェース回路の使用を促進し得る。
【0020】
次に、回路技術の実施形態について説明する。回路技術は、インターフェース回路(集積回路に含まれる場合がある)を使用して実装され得る。このインターフェース回路は、第1のパワードメインと第2のパワードメインとを含み得る。第1のパワードメインおよび第2のパワードメインは、異なる接地または基準電圧を有し得る。さらに、インターフェース回路は、第1の接地または基準電圧を有する、時間に応じた入力電気信号を受信してもよく、異なる第2の接地または基準電圧を有する、時間に応じた出力電気信号を最小レイテンシで出力してもよい。さらに、インターフェース回路の出力電気信号は、入力電気信号と同じ波形(同じ大きさまたは振幅および位相など)を有してもよい。入力電気信号および出力電気信号は、アナログ信号および/または論理信号(たとえば、2つの論理レベルおよび論理レベル間の時間的遷移点)を含んでもよい。たとえば、論理信号は、非同期論理と関連していてもよく、インターフェース回路におけるエッジ時間伝播が有界(bounded)であること(たとえば、低レイテンシ)を必要とし得る。いくつかの実施形態では、インターフェース回路は、高周波数の経路と、低周波数の経路とを含む。低周波数の経路は、入力電気信号中のDCコンテンツを補正してもよく、高周波数の経路は、入力信号中の高周波数コンテンツに低レイテンシを実現してもよい。たとえば、低周波数の経路は、抵抗を駆動してもよく、高周波数の経路は、キャパシタンスを駆動してもよく、インターフェース回路は、レベルシフトを行うために、低周波数の経路および高周波数の経路と関連する信号を組み合わせてもよい。低周波数の経路はスイッチトキャパシタ回路を含み得ることに留意されたい。
【0021】
開示する回路技術は、2つの異なる供給および/または接地領域間の電気信号をレベルシフトするためのオンチップソリューションを提供し得る。既存のシグナリング技法(AC結合キャパシタまたは変圧器など)と比較して、回路技術は、所与のプロセスノードに、ひずみが著しく低く、より高い帯域幅での信号転送のためのよりロバストな、波形に依存しない手法を提供し得る。さらに、回路技術は、波形アグノスティック(agnostic)であってもよい。この可能性は、変圧器などの電磁構成要素の必要なしに、小さいダイフットプリントと一体的に実現され得る。さらに、接地領域は、時間とともにランダムに変化していく可能性があるが、より低い帯域幅においてである。加えて、回路技術は、通常電力の大部分が消費される高速動作する信号経路に能動回路を必要としないので、電力消費を減らすことがある。
【0022】
特に、回路技術は、低域通過フィルタ経路および高域通過フィルタ経路を含む2つのフィルタ経路に電気信号を通す、完全にオンチップのブロードバンド低レイテンシの(数ナノ秒未満、たとえば1ns、およびより一般的にはあらかじめ定義された値未満など)ソリューションを提供するアーキテクチャを使用して、既存のシグナリング技法における問題および課題に対処し得る。これは、
図1に示され、
図1は、接地オフセットのレベルシフト回路などの、インターフェース回路100におけるレベルシフト回路118の一例のブロック図を提供している。このインターフェース回路は、第1の接地または基準電圧を有する第1のパワードメイン112の入力ノード110と、第2の接地または基準電圧を有する第2のパワードメイン116の出力ノード114とを含む。入力ノード110は、入力電気信号を受信してもよく、出力ノード114は出力電気信号を出力してもよい。低域通過フィルタ120(能動スイッチトキャパシタ回路など)の低域の周波数および高域通過フィルタ122(受動フィルタなど)の高域のコーナーまたは極周波数が同じであるとき、電気信号の高周波数および低周波数のコンテンツは、少なくとも
図1の経路を通過し、レベルシフト回路118は、周波数に応じて平坦な利得を有し得ることに留意されたい。
【0023】
図2は、低周波数のコンテンツをサンプリングするためにスイッチトキャパシタ回路210を使用し、高周波数のコンテンツを高域通過フィルタに通すレベルシフト回路200の一例を示すブロック図である。この実装形態では、入力ノード110(たとえば、論理ゲート)と出力ノード114(たとえば、別の論理ゲート)との間の下部の(高周波数の)経路は、3dBのコーナー周波数が1/(2πR
1C
1)の高域通過フィルタである。この高周波数の経路での受動回路または構成要素の使用は、能動回路と比較して遅延の減少をもたらし得ることに留意されたい。さらに、高周波数のコンテンツは、能動回路の最大帯域幅によって限定されず、電力消費は、能動回路と比較して減少し得る。
【0024】
さらに、
図2の上部の(低周波数の)経路には、異なる相または動作モードがあってもよい。第1の相または動作モードの間、制御論理212からの制御信号φ1が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116においてスイッチを閉じて、それらがC
3で2つの接地または基準電圧の差(たとえば、1~2V)をサンプリングするようにしてもよく、制御論理212からの制御信号φ2が、残りのスイッチを開いてもよい。次いで、相間の遷移の間、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチは開いていて、それによって接地または基準電圧への経路を遮断してもよい。さらに、第2の相または動作モードでは、制御信号φ2は、第1のパワードメイン112のスイッチを閉じて、それがC
3の一方の側を入力ノード110上の入力電圧に短絡させるようにし、それによりC
3の他方の側が同じ量だけシフトすることになり得るようにしてもよい。さらに、C
3上の電圧シフトがC
2に加えられるように、制御信号φ2が、第2のパワードメイン116においてスイッチを閉じてもよい。C
2上の生じた電圧は、入力電圧に、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116における接地または基準電圧の差をプラスしたものとなり得る。(
図2では、第1のパワードメイン112における接地または基準電圧は、第2のパワードメイン116にける電気信号の一部になることに留意されたい。)次に、単一利得バッファ(unity gain buffer)214が、(R
1 216と関連する)低周波または低域通過フィルタを介してC
2上の電圧を出力ノード114に加えてもよい。この低域通過フィルタは、1/(2πR
1C
1)、単一利得バッファ214の帯域幅(BW)、またはスイッチング周波数のうちの最小の3dBコーナー周波数を有してもよい。したがって、低域通過フィルタは、高域通過フィルタと同じコーナーまたは極周波数を有するように設計され得る。スイッチと関連する入力極および単一利得バッファ214への入力は、支配的な低域通過コーナーまたは極周波数と比較してごくわずかな影響を有し得ることに留意されたい。
【0025】
いくつかの実施形態では、制御信号は、(スイッチトキャパシタ回路210中のスイッチにAC結合され得る)メガヘルツ信号であってもよく、R1 216が100kΩに等しく、C1が2pFに等しく、C2が50fFに等しく、C3が2pFに等しい。
【0026】
図3は、低周波数のコンテンツをサンプリングするためにスイッチトキャパシタ回路310を使用し、高周波数のコンテンツを高域通過フィルタに通す、多相レベルシフト回路300の一例を示すブロック図である。一般に、
図3の実装形態は、スイッチトキャパシタブランチの各々において360/N度だけ変位するN相の駆動に一般化されてもよい。(他のコンテキストでは、この手法は「多相」と呼ばれることがあることに留意されたい。)
【0027】
図3では、第1の相または動作モードにおいて、制御論理312からの制御信号φ1が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを閉じて、それらがC
3上で2つの接地または基準電圧の差をサンプリングするようにしてもよく、制御論理312からの制御信号φ3が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを開いて、それらがC
4上で2つの接地または基準電圧の差をサンプリングしないようにしてもよく、制御論理312からの制御信号φ2が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを開いて、それらがC
3の一方の側を入力ノード110上の入力電圧に短絡しないようにし、それらがC
3上の電圧シフトをC
2に加えないようにしてもよく、制御論理312からの制御信号φ4が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを閉じて、それらがC
4の一方の側を入力ノード110上の入力電圧に短絡するようにし、またそれらがC
4上の電圧シフトをC
2に加えるようにしてもよい。次いで、第2の相または動作モードにおいて、制御論理312からの制御信号φ1が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを開いて、それらがC
3上で2つの接地または基準電圧の差をサンプリングしないようにしてもよく、制御論理312からの制御信号φ3が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを閉じて、それらがC
4上で2つの接地または基準電圧の差をサンプリングするようにしてもよく、制御論理312からの制御信号φ2が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを閉じて、それらがC
3の一方の側を入力ノード110上の入力電圧に短絡するようにし、それらがC
3上の電圧シフトをC
2に加えるようにしてもよく、制御論理312からの制御信号φ4が、第1のパワードメイン112および第2のパワードメイン116のスイッチを開いて、それらがC
4の一方の側を入力ノード110上の入力電圧に短絡しないようにし、またそれらがC
4上の電圧シフトをC
2に加えないようにしてもよい。結果として、
図3では、50%のデューティサイクルクロックが使用されてもよく、スイッチトキャパシタ回路310の一方の経路のスイッチが閉じられてもよく、他方の経路のこれらのスイッチの対応するインスタンスは開いていてもよい(その逆も同様)。しかしながら、他の実施形態では、(C
3およびC
4の一方が、それぞれ接地または基準電圧および入力ノード110およびC
2に常に結合される限り)50%以外のデューティサイクルが使用されてもよい。たとえば、第1の相または動作モードでは、φ1Aが短くてもよく、φ2Aが長くてもよく、第2の相または動作モードでは、φ1Bが短くてもよく、φ2Bが長くてもよい(またφ1Aがφ1Bに等しくても、等しくなくてもよく、φ2Aがφ2Bに等しくても、等しくなくてもよい)。前述のように、いくつかの実施形態では、
図3に示す手法は、N個のスイッチトキャパシタブランチの各々で360/N度だけ変位するN相の駆動(ただしNは非ゼロの整数である)に一般化されてもよい。
図3の複数の経路の使用は、精度を向上させ、サンプリング要件を緩和し得ることに留意されたい。
【0028】
図4および
図5は、それぞれ-2Vの負の接地オフセットおよび2Vの正の接地オフセットの場合の模擬入出力電気信号を示す図を提供する。これらの電気信号はDCコンテンツを含まないが、他の実施形態では、電気信号はDCコンテンツを含む場合がある。
【0029】
回路技術のいくつかの実施形態では、低域通過フィルタまたは経路は、(遅延がR1C1時定数よりはるかに少ない限り)レイテンシ制約がない可能性がある。さらに、いくつかの実施形態では、回路技術は、第1のパワードメイン112と第2のパワードメイン116との間の境界でアップコンバートおよびダウンコンバートすることと併せて使用されてもよい。代替または追加として、いくつかの実施形態では、入力電気信号は、第1のパワードメイン112と第2のパワードメイン116との間の境界を越えて伝達される前に、デジタル信号に変換されてもよい。境界の通過および/またはレベルシフト後に、デジタル信号は、もとのアナログ信号に変換されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、回路技術は、通信モジュールにおいて使用されてもよい。たとえば、通信モジュールは、USB 2.0 Transceiver Macrocell Interface(UTMI)であってもよい。より一般的には、回路技術は、多種多様な他の用途に使用されてもよい。
【0031】
次に、方法の実施形態について説明する。
図6は、インターフェース回路100(
図1)などの、インターフェース回路を使用して、第1のパワードメインから第2のパワードメインへDC成分を含む電気信号を通信するための方法600の一例を示す流れ図を提示する。動作中、インターフェース回路は、第1のパワードメインの入力ノードにおいて、入力電気信号を受信してもよく(動作610)、第1のパワードメインは、第1の接地または基準電圧を有する。次いで、インターフェース回路は、第2の接地または基準電圧を有する第2のパワードメインの入力ノードおよび/または出力ノードにレベルシフト回路を選択的に電気的に結合してもよい(動作612)。
【0032】
レベルシフト回路が入力ノードおよび出力ノードに電気的に結合される(動作612)と、インターフェース回路は、レベルシフト回路を使用して、第1のパワードメインと第2のパワードメインとの間でレベルシフトを行ってもよい(動作614)。レベルシフト(動作614)は、第1のフィルタを使用して、第1のコーナー周波数を下回る入力電気信号の周波数を通すことと、第1のフィルタと並列の第2のフィルタを使用して、第2のコーナー周波数を上回る入力電気信号の周波数を通すことと、出力電気信号として第1のフィルタおよび第2のフィルタの出力を組み合わせることとを含み得ることに留意されたい。
【0033】
次に、インターフェース回路は、出力ノードにおいて、出力電気信号を出力してもよい(動作616)。
【0034】
方法600のいくつかの実施形態では、追加の動作があってもよく、またはより少ない動作であってもよい。さらに、動作の順序は変更されてもよく、かつ/または2つ以上の動作が、単一の動作に組み合わされてもよい。
【0035】
開示するインターフェース回路および回路技術は、何らかの電子デバイスまたはシステムであることがある(またはそれに含まれることがある)。たとえば、電子デバイスは、携帯電話もしくはスマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、パーソナルもしくはデスクトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、メディアプレーヤデバイス、電子ブックデバイス、MiFi(登録商標)デバイス、スマートウォッチ、ウェアラブルコンピューティングデバイス、ポータブルコンピューティングデバイス、家庭用電子デバイス、アクセスポイント、ルータ、スイッチ、通信機器、テスト機器、車両、船舶、航空機、乗用車、トラック、バス、オートバイ、製造装置、農機具、建設機器、または別のタイプの電子デバイスを含み得る。
【0036】
インターフェース回路および/またはインターフェース回路を含む集積回路の実施形態を説明するために、特定の構成要素が使用されるが、代替実施形態では、異なる構成要素および/またはサブシステムが、インターフェース回路および/またはインターフェース回路を含む集積回路に存在する場合がある。したがって、インターフェース回路および/またはインターフェース回路を含む集積回路の実施形態は、より少ない構成要素、追加の構成要素、異なる構成要素を含む場合があり、2つ以上の構成要素が単一の構成要素に組み合わされる場合があり、単一の構成要素が2つ以上の構成要素に分離される場合があり、1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の位置が変更される場合があり、かつ/または異なるタイプの構成要素がある場合がある。
【0037】
さらに、インターフェース回路および/またはインターフェース回路を含む集積回路の実施形態における回路および構成要素は、バイポーラ、PMOS、および/またはNMOSゲートまたはトランジスタを含む、アナログおよび/またはデジタル回路の任意の組合せを使用して実装され得る。さらに、これらの実施形態の信号は、近似的に離散値を有するデジタル信号、および/または連続値を有するアナログ信号を含み得る。加えて、構成要素および回路は、シングルエンドまたは差動であってもよく、電力供給は、ユニポーラまたはバイポーラであってもよい。上記の実施形態の電気的結合または接続は、直接的または間接的であってもよいことに留意されたい。上記の実施形態では、ルートに対応する単一の線が、1つまたは複数の単一の線またはルートを示し得る。
【0038】
前述のように、集積回路が、回路技術の機能の一部または全部を実装し得る。この集積回路は、回路技術と関連する機能を実装するために使用されるハードウェアおよび/またはソフトウェア機構を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する回路の1つまたは複数を含む集積回路、または集積回路の一部分を設計するためのプロセスの出力が、たとえば磁気テープまたは光もしくは磁気ディスクなどのコンピュータ可読媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体は、集積回路または集積回路の一部分として物理的にインスタンス化され得る回路を記述するデータ構造または他の情報で符号化されてもよい。そのような符号化には様々なフォーマットが使用され得るが、これらのデータ構造は一般的に、Caltech Intermediate Format(CIF)、Calma GDS II Stream Format(GDSII)、Electronic Design Interchange Format(EDIF)、OpenAccess(OA)、またはOpen Artwork System Interchange Standard(OASIS)で書かれる。集積回路設計の当業者は、上記で詳述した型の概略図および対応する説明からそのようなデータ構造を開発し、コンピュータ可読媒体上にデータ構造を符号化することができる。集積回路製作の当業者は、本明細書で説明する回路の1つまたは複数を含む集積回路を製作するためにそのような符号化されたデータを使用することができる。
【0040】
上記の実施形態における動作のいくつかは、ハードウェアまたはソフトウェアにおいて実装されたが、一般に上記の実施形態における動作は、多種多様な構成およびアーキテクチャにおいて実装され得る。したがって、上記の実施形態における動作の一部または全部は、ハードウェア、ソフトウェア、または両方において実施されてもよい。たとえば、回路技術における動作の少なくともいくつかは、プロセッサによって実行されるプログラム命令を使用して、または集積回路内のファームウェアにおいて実装されてもよい。
【0041】
さらに、上記の説明において数値の例が示されるが、他の実施形態では異なる数値が使用される。したがって、示される数値は、限定的であることを意図するものではない。
【0042】
上記の説明では、「いくつかの実施形態」に言及する。「いくつかの実施形態」は、可能なすべての実施形態の一部を表すが、常に実施形態の同じ一部を指定するとは限らないことに留意されたい。
【0043】
前述の説明は、当業者が本開示を作成および使用することができるよう意図され、特定の用途およびその要件の文脈において提供される。さらに、本開示の実施形態についての前述の説明は、単に例示および説明を目的として提示している。前述の説明は、網羅的であること、または開示した形態に本開示を限定することを意図するものではない。したがって、多くの変更形態および変形形態が当業者に容易に明らかとなり、本明細書で定義する一般原理は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく他の実施形態および用途に適用されてもよい。加えて、上記の実施形態の説明は、本開示を限定することを意図するものではない。したがって、本開示は、示した実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書で開示した原理および特徴に一致する最も広い範囲を与えられることになる。
【符号の説明】
【0044】
100 インターフェース回路
110 入力ノード
112 第1のパワードメイン
114 出力ノード
116 第2のパワードメイン
118 レベルシフト回路
120 低域通過フィルタ
122 高域通過フィルタ
200 レベルシフト回路
210 スイッチトキャパシタ回路
212 制御論理
214 単一利得バッファ
216 R1
【国際調査報告】