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特表2024-528235自動車の変位可能なシート装置の背もたれ部に配設されるエアバッグ装置を備えるシート装置
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  • 特表-自動車の変位可能なシート装置の背もたれ部に配設されるエアバッグ装置を備えるシート装置 図
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自動車の変位可能なシート装置の背もたれ部に配設されるエアバッグ装置を備えるシート装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/231 20110101AFI20240719BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B60R21/231
B60R21/207
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506788
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2022071750
(87)【国際公開番号】W WO2023012187
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021004054.6
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ギャートナー,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ガイスラー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】クァーク,ルーツ
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA04
3D054AA07
3D054AA22
3D054CC03
3D054CC04
3D054DD13
3D054FF16
(57)【要約】
【課題】自動車の後席領域における乗員の保護を改善することができるエアバッグ装置及びシート装置を提供する。
【解決手段】本発明は、自動車(10)の変位可能なシート装置(12)の背もたれ部(16)に配設するためのエアバッグ装置(14)に関し、エアバッグ装置は、制御信号に基づいて、エアバッグ装置(14)の展開機器(24)により受止め位置(28)に展開される少なくとも1つの第1のガスバッグ(22)を備え、第1のガスバッグ(22)は、受止め位置(28)において、背もたれ部(16)の方を向く自動車(10)の乗員(20)の身体部分(30)を受け止めるように形成され、エアバッグ装置(14)は、少なくとも受止め位置(28)において、背もたれ部(16)と第1のガスバッグ(22)との間で展開される第2のガスバッグ(32)を有する。更に、本発明はシート装置(12)にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)の背もたれ部(16)を備えたシート装置(12)であって、前記背もたれ部(16)に配設されるエアバッグ装置(14)と、前記シート装置(12)の長手変位方向(18)に見て前記シート装置(12)の後方に位置して前記背もたれ部(16)の方を向く前記自動車(10)の乗員(20)の身体部分(30)を、受止め位置(28)において受け止めるように形成され、制御信号に基づいて前記エアバッグ装置(14)の展開機器(24)により前記受止め位置(28)に展開される少なくとも1つの第1のガスバッグ(22)とを備えるシート装置において、
前記エアバッグ装置(14)は、少なくとも前記受止め位置(28)において、前記背もたれ部(16)と前記第1のガスバッグ(22)との間で展開される第2のガスバッグ(32)を有し、
前記第1のガスバッグ(22)は、積極的に充填される管状構造とバルブフィルムとを含む管状構造バッグとして形成される
ことを特徴とする、シート装置。
【請求項2】
前記展開機器(24)は、前記第1のガスバッグ(22)と前記第2のガスバッグ(32)とを展開させるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載のシート装置(12)。
【請求項3】
前記エアバッグ装置(14)は、前記第2のガスバッグ(32)を展開させるように形成されている少なくとも1つの別の展開機器を有する
ことを特徴とする、請求項1記載のシート装置(12)。
【請求項4】
前記エアバッグ装置(14)は、前記第1のガスバッグ(22)と前記第2のガスバッグ(32)とを互いに独立して展開させるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項記載のシート装置(12)。
【請求項5】
前記エアバッグ装置(14)は、前記第1のガスバッグ(22)と前記第2のガスバッグ(32)とを一緒に展開させるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか一項記載のシート装置(12)。
【請求項6】
前記エアバッグ装置(14)は、展開した状態において、前記乗員(20)の方を向き前記第1のガスバッグ(22)の前で展開される第3のガスバッグ(34)を有する
ことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか一項記載のシート装置(12)。
【請求項7】
前記第3のガスバッグ(34)は、管状構造バッグとして形成されている
ことを特徴とする、請求項6記載のシート装置(12)。
【請求項8】
前記第3のガスバッグ(34)は、前記第1のガスバッグ(22)に空気圧的に結合されている
ことを特徴とする、請求項6または請求項7記載のシート装置(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の自動車の変位可能なシート装置の背もたれ部に配設されるエアバッグ装置に関する。本発明は更に、対応するエアバッグ装置を備えたシート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、例えば自動車の運転者若しくは同乗者用に設計されているエアバッグ装置が知られている。更に、自動車は、いわゆる後席領域を有することもあり、いわゆる後席用エアバッグによって後席領域にいる人を保護することができる。これらのエアバッグは、例えば、前席のシートバック(背もたれ部)に組み込まれている、いわゆる管状構造エアバッグ(RSB)であり得る。このエアバッグ装置は、前面衝突時に後部の外側の席(後部座席)の後席乗員に作用する負荷を軽減する。その場合、前席が長さ方向に変位可能であることにより、エアバッグ装置と後席乗員との距離を変えることができる。後席用エアバッグの有効範囲は、シートバックに対して常に同じである。前席が変位すると、エアバッグ装置の有効範囲も変位する。すなわち前席が最前のポジションにある場合、乗員の体重及び身体寸法によっては、乗員がエアバッグ装置との相互作用を得られないということが起きる可能性がある。
【0003】
下記特許文献1には、特に斜め方向からの衝突の場合、又は中央部での作動ではない場合のエアバッグの保護作用を改善すべきであることが記載されている。このために、充填又は展開状態において、所定の支持力配分を有するガスバッグと、このガスバッグを展開させるため、又はガスバッグの支持力を局所的に高めるためにガスバッグに取り付けられている少なくとも1つのエネルギー吸収要素とを備えた車両乗員安全システム若しくは拘束システムが提案される。1つ又は複数のエネルギー吸収要素が配置され、それにより、少なくとも1つのエネルギー吸収要素が乗員に当接し、少なくとも限度内で乗員の動きに少なくとも部分的に追従することができ、乗員保護機能を有するように、並びに/或いは支持される乗員に対してガスバッグが漏斗機能を有するようになっている。この漏斗機能によって、乗員は、衝突時にエアバッグの中央に誘導され、場合によっては側壁によって側面からも保護される。
【0004】
下記特許文献2は、収納位置から拘束位置へ移動可能である支持構造と、支持構造によってその拘束位置に形成されるエアバッグの拘束ボリュームを取り囲む被覆体と、拘束ボリューム内に延在している少なくとも1つの接続要素とを備え、接続要素によって支持構造の中空体及び/又は被覆体の面領域が互いに接続されている、特に自動車用のエアバッグに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2008 037 810 A1号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2007 052 246 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、特に自動車の後席領域における乗員の保護を改善することができるエアバッグ装置及びシート装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、独立請求項に記載のエアバッグ装置及びシート装置により解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の一態様は、自動車の変位可能なシート装置の背もたれ部に配置するためのエアバッグ装置に関し、エアバッグ装置の展開機器により制御信号に依存して受止め位置に展開される少なくとも1つの第1のガスバッグを備え、当該ガスバッグは、受止め位置において、自動車の乗員の身体部分を受け止めるように形成されており、乗員は背もたれ部の方を向いている。
【0009】
エアバッグ装置は、少なくとも受止め位置において、背もたれ部と第1のガスバッグとの間で展開される第2のガスバッグを有することが企図されている。
【0010】
特に、これによって、変位可能なシート装置が様々に異なる調整ポジションにある場合でも、衝突時に後席領域の乗員が確実に保護されることが可能になる。特に、いわば、第1のガスバッグは、背もたれ部において、自動車のいわゆる後席領域における乗員の方に向けられている。その場合、前面衝突時に、身体部分、例えば乗員の頭部は、背もたれ部の方向に移動し、その際、少なくとも第1のガスバッグ及び/又は第2のガスバッグによって身体部分を受け止めることができる。したがって、第2のガスバッグは、特に自動車の変位可能な長さ部分を乗り越える。それにより、シート装置が後席領域若しくは乗員に対して最前方の位置にある場合でも、乗員をエアバッグ装置によって確実に受け止めることができることを確保することができる。
【0011】
第2のガスバッグは、特に、いわゆる従来のエアバッグ装置若しくは従来のガスバッグとして形成することができ、これは、特にシートバック部分と第1のガスバッグとの間で膨張し、それによって、特に既に充填された第1のガスバッグは、その有効範囲を含めて乗員の方向に変位され、そこで乗員への負荷が軽減される。乗員と前席との間の距離が大きい場合、第1のガスバッグは自由に展開でき、追加の第2のガスバッグは第1のガスバッグを乗員の方向に変位させることができる。乗員と前席との間の距離が非常に小さい場合に、第2のガスバッグが完全に展開しないことがあったとしても、追加の第1のガスバッグがいずれにしても展開する。その場合、この組み合わせは、常に、乗員への負荷を軽減すること、及び必要に応じて座席と頭部の接触を回避することができる。
【0012】
有利な実施形態によれば、少なくとも第1のガスバッグは管状構造バッグとして形成されている。特に、特に第1のガスバッグは管状構造エアバッグである。その場合、管状構造ガスバッグ若しくは管状構造エアバッグは、能動的に充填される管状構造と、エアバッグシェルを取り囲み、周囲空気を用いてエアバッグを従来の体積で展開させるバルブフィルムとからなる。これらの特性により、エアバッグは障害物と接触した場合に制限的にしか展開しない。これは、管が充填時に障害物にぶつかると、管がこれをかわすように移動することを意味し、その場合、空気バッグを完全には充填できず、体積が比較的小さくなる。しかしながら、管状構造バッグが展開されないか、若しくは完全には展開されない場合でも受け止めを確実に実現できるということが第2のガスバッグによって妨げられる可能性がある。したがって、特に、受止め位置において、管状構造バッグによって支持構造が形成され、この支持構造は、周囲空気又は加圧ガスのいずれかで満たすことができる被覆体によって取り囲まれている。換言すると、この場合、エアバッグの展開は、相応のガスによって、又は機械的に拡大される支持構造によって達成される。その場合、包囲体若しくは機械部品は互いに接続され、骨組み若しくは枠組みなどとされる。例えば、事故シナリオの過程で乗用車の着座者がエアバッグにぶつかった場合に、可能な限り良好な拘束作用が達成されるべきである。特に、支持構造若しくは関連する被覆体が周囲空気を包囲している場合、拘束作用は、例えば、拘束体積内に延在する少なくとも1つの接続要素が設けられ、この接続要素が支持構造及び/又は被覆体に接続されていることによって最適化される。これは特に、乗員がぶつかる時点において、拘束体積若しくはその内圧も基本的に従来のエアバッグの場合よりも、どちらかと言えば低いため重要である。拘束のための内圧は、とりわけぶつかる乗員自身によって前方移動の際に生成される。したがって、拘束するためのこの圧力増圧を可能な限り効率的に行うことが特に重要である。これは、特に接続要素によって行われ、例えば支持構造若しくは拘束体積の制御されないウェブの動き(Webbewegen)が接続要素によって確実に防がれ、それにより完全な拘束機能を保証することができる。
【0013】
更に、展開機器が第1のガスバッグと第2のガスバッグを展開させるように形成されている場合が有利である。したがって、特に、第1のガスバッグと第2のガスバッグを充填できる単一の展開機器が設けられている。例えば、これはガス発生器又は相応の火工技術(火工品)により行うことができる。したがって、第1のガスバッグ及び第2のガスバッグの展開を、部品点数を減らして実現することができる。
【0014】
更に、エアバッグ装置が別の展開機器を有し、その別の展開機器が第2のガスバッグを展開させるように形成されている場合が有利であることがわかった。それにより、特に、各ガスバッグは、例えばガス発生器として、又は火工技術によって作成される独自の展開機器を有することができる。特に、これにより、例えば、第1のガスバッグと第2のガスバッグの異なる制御も実現され得ることを実現できる。例えば、これらを時間的に順次若しくは連続的にトリガすることができる。それによって、特に、衝突強度に応じた変位可能なシート装置の着座位置に応じて、例えば第1のガスバッグ、又は第2のガスバッグ、或いはこれらを一緒に展開させることができ、それによって状況に応じて高い安全性を実現することができる。更に、展開機器のうちの1つが故障した場合でも、少なくとも別のガスバッグを展開させることができる。
【0015】
エアバッグ装置が、第1のガスバッグと第2のガスバッグを互いに独立して展開させるように形成されている場合も有利である。特に、例えば、最初に第1のガスバッグを、次に第2のガスバッグを互いに独立して展開させることができる。これに基づいて、例えば、少なくとも第1のガスバッグが完全な大きさに膨張させ、それによって乗員の保護を保証できることを実現することができる。次いで、第2のガスバッグを展開させることによってもまた改善された保護を実現することができる。特に、それにより、状況に応じて第1のガスバッグと第2のガスバッグの展開を実現することができる。
【0016】
別の有利な実施形態では、エアバッグ装置は、第1のガスバッグと第2のガスバッグを一緒に展開させるように形成されている。例えば、単一の制御信号に依存して、例えば単一の展開機器に依存して、第1のガスバッグと第2のガスバッグが一緒に展開されることを企図することができる。それにより、衝突時に乗員の完全な範囲の保護を実現することができる。
【0017】
別の有利な実施形態によれば、エアバッグ装置は、展開状態において第1のガスバッグの前で展開され、したがって乗員の方を向いた第3のガスバッグを有する。したがって、特に、自動車の主進行方向で見て、最初にシートバック、次に第2のガスバッグ、次に第1のガスバッグ、そして第3のガスバッグが配置され、この場合も乗員は第3のガスバッグの方を向いて座っている。特に、第3のガスバッグは、第1のガスバッグとは別個に展開される。乗員と前席との間の距離が非常に大きい場合、2つのガスバッグが展開する可能性がある。乗員と前席との間の距離が非常に小さい場合、第1のガスバッグのみが展開し、第2のガスバッグは乗員と早期に接触することにより自由に展開できない。したがって、衝突時に、シート装置の様々に異なるポジションにおいて、乗員を確実に受け止めることを実現できる。
【0018】
更に、第3のガスバッグが管状構造バッグとして形成されている場合が有利であることがわかった。したがって、特に、第3のガスバッグにも相応の受止め構造を提供することができ、それにより特に全面衝突時に乗員の確実かつ安全な受止めを実現することができる。
【0019】
別の有利な実施形態では、第3のガスバッグが第1のガスバッグに空気圧的に結合されている。例えば、第1のガスバッグと第3のガスバッグは、対応するバルブを介して互いに空気圧的に結合されていてもよい。それによって、第1のガスバッグの単一の展開機器により第3のガスバッグも充填できることが可能になる。
【0020】
本発明の別の態様は、前述の態様による少なくとも1つのエアバッグ装置を備えた自動車用の背もたれ部を有するシート装置に関する。
【0021】
本発明の更に別の態様は、前述の態様によるシート装置を備えた自動車に関する。
【0022】
本発明の別の独立した態様は、自動車の変位可能なシート装置の背もたれ部に提供されるエアバッグ装置を動作させる方法に関する。エアバッグ装置の第1のガスバッグは、制御信号に依存して、展開機器により受止め位置に展開され、第1のガスバッグは自動車の乗員の身体部分を受け止めるための受止め位置に提供され、乗員は背もたれ部の方を向いている。エアバッグ装置の第2のガスバッグによって、少なくとも受止め位置において、背もたれ部と第1のガスバッグとの間で第2のガスバッグが展開されることが企図されている。
【0023】
エアバッグ装置の有利な実施形態は、シート装置、自動車、及び方法の有利な実施形態と見なすことができる。エアバッグ装置、シート装置、及び自動車は、特に、方法及びその有利な実施形態の実行を可能にする客観的特徴を有する。
【0024】
本発明のその他の利点、構成要件、及び具体的事項は、好ましい実施形態についての以下の説明から、並びに図面を参照して、明らかとなる。上の記述で挙げた構成要件や構成要件の組み合わせ、並びに以下に図面の説明で挙げる、及び/又はただ1つの図面に単独で示す構成要件や構成要件の組み合わせは、それぞれ記載されている組み合わせとしてだけでなく、本発明の枠組みから外れることなくそれ以外の組み合わせでも、或いは単独でも、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】エアバッグ装置の一実施形態を有するシート装置の一実施形態を有する自動車の一実施形態の内部の概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図において、同一の要素又は機能が同一の要素には同じ参照符号を付している。
【0027】
図1は、シート装置12の一実施形態を有する自動車10の一実施形態の概略側面図を示す。シート装置12は、少なくとも1つのエアバッグ装置14と背もたれ部16とを有する。例えば、シート装置12は、自動車10の運転者用又は自動車10の同乗者用に設計されている。その場合、シート装置12は、特に変位可能であり、特に長手変位方向18に沿って変位可能に取り付けられ、それにより、例えば自動車10の運転者は長手変位方向18に沿って対応するポジションをとることができる。シート装置12は少なくともエアバッグ装置14を有し、エアバッグ装置14は乗員20用に形成されており、乗員20は、この長手変位方向18に見てシート装置12の後方に位置し、例えば自動車10の後席領域にいることができる。
【0028】
エアバッグ装置14は、例えばエアバッグ装置14の電子計算器26からの制御信号に基づいて、エアバッグ装置14の展開機器24により受止め位置28に展開される少なくとも1つの第1のガスバッグ22を有し、第1のガスバッグ22は、乗員20が背もたれ部16の方を向いている際に、乗員20の身体部分30、ここでは頭部を受け止めるように形成されている。エアバッグ装置14は、少なくとも受止め位置28において、背もたれ部分16と第1のガスバッグ22との間で展開される、少なくとも1つの第2のガスバッグ32を有する。第1のガスバッグ22は、特に、いわゆる管状構造バッグとして形成されている。
【0029】
その場合、展開機器24を、特に、第1のガスバッグ22と第2のガスバッグ32とを展開させるように形成することができる。或いは、エアバッグ装置14は、第2のガスバッグ32を別個に展開させるように形成された第2の展開機器を有することもできる。
【0030】
特に、エアバッグ装置14が第1のガスバッグ22と第2のガスバッグ32を互いに独立して展開させるように形成されていることが更に企図される。或いは、エアバッグ装置14が第1のガスバッグ22と第2のガスバッグ32を一緒に展開させることを企図することができる。
【0031】
図1は更に、エアバッグ装置14が、好ましくは同様に管状構造バッグとして形成されている第3のガスバッグ34を有することもできることを示し、第3のガスバッグ34は、展開状態において、第1のガスバッグ22の前で展開され、したがって、乗員20の方を向いている。その場合、第3のガスバッグ34が第1のガスバッグ22に空気圧的に結合されていてもよい。
【0032】
したがって、特に、エアバッグ装置14は、自動車10の後席領域用に提供され、これは特に前席、特に背もたれ部16に配置されるが、長手変位方向18に沿って変位可能であることによって背もたれ部16に対して異なった距離がとられる場合でも乗員20にとって安全な受止めベースを提供する。その場合、特に、距離の適合を引き受ける第2のガスバッグ32が、背もたれ部16と第1のガスバッグ22との間に配置されることが提案される。
【0033】
追加的に、第3のガスバッグ34を設けることができ、第3のガスバッグは、同様に構造エアバッグとして形成され、また別の領域において、相応の管及び受止め体を有し、同様に更に別の空き空間を埋めることができる。その場合、特に、両方とも好ましくは管状構造バッグとして形成されている第1のガスバッグ22と第3のガスバッグ34とが空気圧的に結合され、例えば、バルブ又はスロットルを介してのみ互いに分離され、それにより一緒に充填することが実現できることを企図することができる。しかしその場合、第3のガスバッグ34を、第1のガスバッグ22から時間的に遅れて充填することができる。
【0034】
特に、少なくとも第1のガスバッグ22と第2のガスバッグ32とを一緒に充填でき、例えば、ガス発生器又は火工技術として形成された展開機器24も有することを企図することができる。或いは、ガスバッグ22、32、34の各々がそれ自体の展開機器24を有することもできる。更に、それぞれの展開機器24を一段階で制御することも可能であり、それにより第1のガスバッグ22と第2のガスバッグ32が、例えば同時に展開することができるか、又は同じ様に展開することができる。或いは、多段階の変形形態も可能であり、その場合、例えば第1のガスバッグ22と第2のガスバッグ32を、例えば体積増加若しくは圧力増加により、それに続いてバルブを介して相応に充填することができる。特に、その場合、例えば最初に第1のガスバッグ22が充填され、次に第2のガスバッグ32が多段階で充填されることを企図することができる。2つ以上の展開機器24の場合、これらを同様に一緒に制御することができ、その際、一緒にとは、特に同時に、と理解することができ、或いは、2段階若しくは多段階で行われ、それにより、例えば第1のガスバッグ22はいつも展開するが、第2のガスバッグ32は、他のパラメータに基づいてのみ展開され、その場合、展開時間若しくは展開開始もこれらのパラメータに基づいて行うことができる。この場合、同様にシート装置12のシート調整と、とりわけ背もたれ部分16の進行方向のポジション、特にシート装置が長手方向に移動したかどうかが、第2のガスバッグ32を作動させるための影響量として、これが利用可能な場合に利用することができる。既に説明したように、追加の情報若しくはパラメータがなくても作動を行うことができ、それにより第2のガスバッグ32は、第1のガスバッグ22の作動にのみ依存し、いわば「感知されずに」制御される。
【符号の説明】
【0035】
10 自動車
12 シート装置
14 エアバッグ装置
16 背もたれ部
18 長手変位方向
20 乗員
22 第1のガスバッグ
24 展開機器
26 電子計算器
28 受止め位置
30 頭部
32 第2のガスバッグ
34 第3のガスバッグ
【図
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)の背もたれ部(16)を備えたシート装置(12)であって、前記背もたれ部(16)に配置されるエアバッグ装置(14)と、前記シート装置(12)の長手変位方向(18)に見て前記シート装置(12)の後方に位置して前記背もたれ部(16)の方を向く前記自動車(10)の乗員(20)の身体部分(30)を、受止め位置(28)において受け止めるように形成され、制御信号に基づいて前記エアバッグ装置(14)の展開機器(24)により前記受止め位置(28)に展開される少なくとも1つの第1のガスバッグ(22)とを備えるシート装置において、
前記エアバッグ装置(14)は、少なくとも前記受止め位置(28)において、前記背もたれ部(16)と前記第1のガスバッグ(22)との間で展開される第2のガスバッグ(32)を有し、
前記第1のガスバッグ(22)は、積極的に充填される管状構造とバルブフィルムとを含む管状構造バッグとして形成され
前記エアバッグ装置(14)は、展開した状態において、前記乗員(20)の方を向き前記第1のガスバッグ(22)の前で展開される第3のガスバッグ(34)を有す
ことを特徴とする、シート装置。
【請求項2】
前記展開機器(24)は、前記第1のガスバッグ(22)と前記第2ガスバッグ(32)とを展開させるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載のシート装置(12)。
【請求項3】
前記エアバッグ装置(14)は、前記第2のガスバッグ(32)を展開させるように形成されている少なくとも1つの別の展開機器を有する
ことを特徴とする、請求項1記載のシート装置(12)。
【請求項4】
前記エアバッグ装置(14)は、前記第1のガスバッグ(22)と前記第2のガスバッグ(32)とを互いに独立して展開させるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載のシート装置(12)。
【請求項5】
前記エアバッグ装置(14)は、前記第1のガスバッグ(22)と前記第2のガスバッグ(32)とを一緒に展開させるように形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載のシート装置(12)。
【請求項6】
前記第3のガスバッグ(34)は、管状構造バッグとして形成されている
ことを特徴とする、請求項記載のシート装置(12)。
【請求項7】
前記第3のガスバッグ(34)は、前記第1のガスバッグ(22)に空気圧的に結合されている
ことを特徴とする、請求項または請求項記載のシート装置(12)。
【国際調査報告】