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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】操舵システムを監視するための方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240719BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506799
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022066141
(87)【国際公開番号】W WO2023011788
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021208486.9
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルヌルフ ハイリヒ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック エーベルト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フリーデル
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
3D232CC34
3D232CC38
3D232DA03
3D232DA04
3D232DA15
3D232DA23
3D232DA25
3D232DA62
3D333CB02
3D333CB19
3D333CC15
3D333CC18
3D333CD09
3D333CD14
3D333CE08
3D333CE20
3D333CE30
3D333CE32
3D333CE39
(57)【要約】
本発明は、操舵システム(10)、特に車両(12)における動作期間中の操舵システム(10)を監視するための方法を起点とするものであり、操舵システム(10)は、少なくとも1つの転舵アクチュエータ(14)を含み、操舵システム(10)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、転舵アクチュエータ(14)の少なくとも1つの動作信号(16)が求められて評価される。ここでは、操舵システム(10)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、動作信号(16)からジャーク信号(18)が求められ、変化について監視されることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵システム(10)、特に車両(12)における動作期間中の操舵システム(10)を監視するための方法であって、前記操舵システム(10)は、少なくとも1つの転舵アクチュエータ(14)を含み、前記操舵システム(10)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、前記転舵アクチュエータ(14)の少なくとも1つの動作信号(16)が求められて評価される、操舵システム(10)を監視するための方法において、
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱を特定するために、前記動作信号(16)からジャーク信号(18)が求められ、変化について監視されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記ジャーク信号(18)内の少なくとも1つの信号ピーク値(20,22,24)に基づいて特定され、及び/又は、前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記ジャーク信号(18)が閾値(26)を上回った場合に特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作信号(16)として、前記転舵アクチュエータ(14)の位置信号、速度信号又は加速度信号が使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ジャーク信号(18)は、前記動作信号(16)の経時変化率に基づいて求められ、及び/又は、前記動作信号(16)の時間導関数を用いて求められる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、センサトレイン(28)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱、及び/又は、サーボトレイン(30)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱に相当する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記操舵システム(10)は、少なくとも1つのトラクション手段(32)及び/又は少なくとも1つの許容リングを含み、前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記トラクション手段(32)及び/又は前記許容リングの空転、スリップ、及び/又は、スキップによって引き起こされる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱を特定するために、イベントカウンタが使用され、前記イベントカウンタのカウンタ値が限界値を上回った場合にシステム反応が導入される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱を特定する際に、少なくとも1つの妥当性検査変数(34)が考慮に入れられ、前記妥当性検査変数(34)は、センサトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、サーボトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、及び/又は、前記車両(12)の走行状態に相関する動作信号及び/又は捕捉信号である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記操舵システム(10)は、複数の歯を有する歯付きベルトの形態の少なくとも1つのトラクション手段(32)を含み、前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記ジャーク信号(18)内の信号ピーク値(20,22,24)に基づいて特定され、前記ジャーク信号(18)内の前記信号ピーク値(20,22,24)の数に基づいて、スキップされた歯の数が推定される、少なくとも請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法を実施するための計算ユニット(38)を備えている制御装置(36)。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法を実施するための少なくとも1つの転舵アクチュエータ(14)と、計算ユニット(38)とを備えている操舵システム(10)。
【請求項12】
車両(12)、特に自動車であって、請求項11に記載の操舵システム(10)を備えている車両(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、操舵システムを監視するための方法を起点とする。さらに、本発明は、そのような方法を実施するための計算ユニットを備えた制御装置、そのような方法を実施するための計算ユニットを備えた操舵システム、及び、そのような操舵システムを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102008021849号明細書のような従来技術からは、操舵システムを監視するための方法が公知であり、ここでは、ベルトスキップの識別及びその結果としての操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱の識別のために、ベルトスキップ識別装置が使用され、このベルトスキップ識別装置は、操舵ホイールに加えられた手動モーメント、操舵ホイールに加えられた手動角度、及び、車両ホイールの転舵角度又は転舵アクチュエータの動作信号の評価によりベルトスキップを識別する。しかしながら、捕捉された手動モーメントに基づくベルトスキップの識別は、例えば、自律走行する車両又はステアバイワイヤ操舵システムの場合に問題につながる。さらに、この場合の識別は、システム剛性による影響を受け、場合によっては改ざんされることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008021849号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特に、効率に関して改善された特性を有する操舵システムを監視するための方法を提供することにある。この課題は、請求項1、請求項10、請求項11及び請求項12の特徴部分によって解決され、一方、本発明の好適な実施形態及び発展形態は従属請求項から読み取ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
本発明は、特に車両における動作期間中に操舵システムを監視するための方法であって、操舵システムは、少なくとも1つの転舵アクチュエータを含み、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、転舵アクチュエータの少なくとも1つの動作信号が求められて評価される、方法を起点とする。
【0006】
ここでは、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、動作信号からジャーク信号が求められ、変化について監視されることが提案される。その際、好適には、ジャーク信号の経時経過が、特に監視時間間隔全体にわたって求められて評価される。この評価は、ここでは、好適には、時間領域において行われる。ただし、基本的には、ジャーク信号は、周波数領域で評価することもできる。この実施形態により、特に効率、とりわけ、検出効率、計算効率、及び/又は、コスト効率を向上させることができる。さらに、好適には、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱のロバストな識別及び/又は評価を達成し、動作信頼性を高めることができる。さらに、特に高い柔軟性及び/又は可変性を達成することができる。
【0007】
好適には、車両は、自動車として構成され、特に、操舵システムと、転舵アクチュエータの少なくとも1つの動作信号を捕捉するために設けられた捕捉センサ系とを含む。さらに、操舵システムは、本発明によれば、従来の操舵システム、特に電動パワーステアリングとして構成されるものとしてよく、機械的貫通グリップを含み得る。しかしながら、代替的に、操舵システムは、操舵設定が純粋に電気的に車両ホイールに転送されるステアバイワイヤ操舵システムとして構成されるものとしてもよい。さらに、「転舵アクチュエータ」とは、少なくとも部分的に電気的及び/又は電子的に構成されたアクチュエータユニットを意味するものと理解されるべきであり、これは、転舵トルクを提供し、それによって好適には車両の走行方向に影響を与えるように設けられている。好適には、転舵アクチュエータは、操舵ハンドルに加えられる手動モーメントを支援するための転舵トルク、及び/又は、車両の走行方向を自動的及び/又は自律的に制御するための転舵トルクを提供するために設けられている。この目的のために、転舵アクチュエータは、少なくとも1つの電気モータを含み得る。
【0008】
さらに、車両は、操舵システムを監視するための方法を実施するために設けられた計算ユニットを含む。「計算ユニット」とは、特に、情報入力端、情報処理部及び情報出力端を有する電気的及び/又は電子的ユニットを意味するものと理解されるべきである。好適には、計算ユニットは、さらに少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの動作メモリ、少なくとも1つの入力及び/又は出力手段、少なくとも1つの動作プログラム、少なくとも1つの制御ルーチン、少なくとも1つの計算ルーチン、少なくとも1つの算出ルーチン、少なくとも1つの評価ルーチン、及び/又は、少なくとも1つの監視ルーチンを有する。特に、計算ユニットは、動作信号を求め、特にそれを捕捉センサ系から呼び出し及び/又は受信し、評価するために設けられている。さらに、計算ユニットは、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、動作信号からジャーク信号を求め、変化について監視するために設けられている。好適には、計算ユニットは、ここでは、車両の制御装置、例えば、中央車両制御装置、又は、操舵システムの制御装置に、特に操舵制御装置の形態で統合されている。「摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱」とは、特にこの文脈において、操舵システムの相互に摩擦結合的に及び/又は形状結合的に接続された2つの部品間の突発的相対運動及び/又は急激な相対運動及び/又はそれらの部品間の摩擦結合の少なくとも短期的な中断及び/又は解離を意味するものと理解されるべきである。摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、ここでは特に、操舵支援の少なくとも短期的な損失につながる。さらに、摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、基本的に、操舵システムにおける、特に操舵システムのセンサトレイン及び/又はサーボトレインにおけるオフセットにもつながる可能性があり、したがって、例えば測定された操舵角度と、実際の転舵角度との間のオフセットを引き起こす可能性がある。その上さらに、「ジャーク信号」とは、特に、操舵システム内において出現するジャーク、すなわち、加速度の経時変化と相関する信号を意味するものと理解されるべきである。「設けられる」とは、特に、専用にプログラミングされ、設計され、及び/又は、装備されることを意味するものと理解されるべきである。対象物が特定の機能のために設けられているとは、特に、この対象物が、この特定の機能を少なくとも1つの用途及び/又は動作状態において満たすこと及び/又は実行することを意味するものと理解されるべきである。
【0009】
さらに、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、ジャーク信号内の少なくとも1つの信号ピーク値、特に1つのピーク値に基づいて特定されることが提案され、これにより、特に、操舵システムにおける例えば空転及び/又はスキップなどの短期的な摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱の特に簡単な識別が達成可能になる。
【0010】
代替的又は付加的に、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、ジャーク信号が特に定義された閾値及び/又は定義可能な閾値を上回った場合に特定されることが提案される。付加的に、この場合、ジャーク信号が閾値を上回っている期間を監視及び/又は求めることも可能であり、これにより、好適には、摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱の種類を推定することが可能になる。その際、ジャーク信号が閾値を短時間だけ、例えば数ミリ秒だけ上回る場合には、特に操舵システムにおける一時的な摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱、例えば空転及び/又はスキップなどを推定することができる。それに対して、ジャーク信号が長期間又は永続的に閾値を上回る場合には、特に操舵システムの損傷、例えば変形又は破損などを推定することができる。
【0011】
さらに、動作信号として、転舵アクチュエータの位置信号、速度信号又は加速度信号が使用されることが提案され、これにより、ジャーク信号を好適には容易に求めることができる。位置信号は、好適には、転舵アクチュエータの、特に転舵アクチュエータの電気モータのロータ位置信号であるものとしてよい。速度信号は、好適には、転舵アクチュエータの、特に転舵アクチュエータの電気モータのロータ速度信号であるものとしてよい。さらに、加速度信号は、好適には、転舵アクチュエータの、特に転舵アクチュエータの電気モータのロータ加速度信号であるものとしてよい。
【0012】
好適には、ジャーク信号は、動作信号の経時変化率に基づいて求められ、及び/又は、動作信号の時間導関数を用いて求められる。好適には、動作信号としてここでは、転舵アクチュエータからの位置信号を使用することができ、ジャーク信号は、例えば、位置信号の3次の時間導関数に基づいて求めることができる。しかしながら、代替的に、動作信号として転舵アクチュエータの速度信号を使用し、ジャーク信号を例えば速度信号の2次の時間導関数に基づいて求めることもできる。さらに、動作信号として転舵アクチュエータの加速度信号を使用し、ジャーク信号を例えば加速度信号の1次の時間導関数に基づいて求めることもできる。これにより、いずれにせよ既存の信号又は呼び出し可能な信号を使用することによって、特に有利で低コストの解決手段を提供することができる。
【0013】
さらに、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、センサトレインにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱、及び/又は、サーボトレインにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱に相当し、これにより、特に、操舵システムの可変の監視及び/又は包括的な監視が達成され得る。センサトレインは、例えば、操舵システムの操舵軸及び/又はステアリングコラムに相当し得るものであり、それに対して、サーボトレインは、特に操舵システムの転舵ギアに相当し得るものである。
【0014】
さらに、摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、操舵システム内の任意の機械的インタフェースの空転、スリップ、及び/又は、スキップによっても引き起こされ得る。しかしながら、一実施形態によれば、操舵システムは、少なくとも1つの、特に摩擦結合的に及び/又は形状結合的に作用するトラクション手段、及び/又は、少なくとも1つの、特に摩擦結合的に及び/又は形状結合的に作用する許容リングを含み、摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、トラクション手段及び/又は許容リングの空転、スリップ、及び/又は、スキップによって引き起こされることが提案される。トラクション手段は、ここでは特に、例えば転舵アクチュエータを転舵ギアに接続するための連結ギアの一部で、特にベルト、好適には歯付きベルトとして構成されるものとしてよい。許容リングは、例えば、スリップクラッチ及び/又はスクリュー歯車ギアの一部であるものとしてよい。これにより、特に、本方法の効率を高めることができ、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱についての主な原因を監視することができる。
【0015】
さらに、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、イベントカウンタを使用することも提案される。特に、この場合、ジャーク信号の評価によって、特に、ジャーク信号内の信号ピーク値及び/又は異常に基づいて、最初にイベントカウンタのカウンタ値が増分され、イベントカウンタのカウンタ値が制限値、例えば3又は4を上回った場合、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱が推定される。次いで、その結果として、システム反応が、好適にはセキュリティ対策の形態で、導入及び/又は実行され得る。このシステム反応は、例えば、指示メッセージの生成、及び/又は、操舵システム若しくは車両の経年劣化を含み得る。特に好適には、イベントカウンタのカウンタ値は、さらに、定義された及び/又は定義可能な時間内においてジャーク信号内に信号ピーク値及び/又は異常が出現しない場合、リセットされ、特にゼロに戻される。これにより、特に、ロバスト性及び/又は動作信頼性をさらに高めることができる。
【0016】
好適には、さらに、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定する際に、特にロバスト性を高めるために及び/又は妥当性検査のために、少なくとも1つの妥当性検査変数を考慮に入れることが提案される。好適には、この妥当性検査変数は、ここではセンサトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、例えば手動モーメント及び/又は操舵ハンドルの変位などであり、また、サーボトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、例えば、転舵アクチュエータのトルク、回転角度、回転数、好適にはロータ回転数の平均値、及び/又は、転舵アクチュエータの加速度、及び/又は、車両の走行状態と相関する動作信号及び/又は捕捉信号、例えば車両速度及び/又はヨーモーメントなどである。特に好適には、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定する際に、複数の妥当性検査変数、例えば少なくとも2つ又は少なくとも3つの妥当性検査変数を、考慮に入れることができ、及び/又は、相互に結合することもできる。これにより、特に、ロバスト性のさらなる向上を達成することができる。
【0017】
さらに特に効率的な方法は、特に、操舵システムが、複数の歯を有する歯付きベルトの形態の少なくとも1つのトラクション手段を含み、操舵システムにおける摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱が、ジャーク信号内の信号ピーク値に基づいて特定され、ここで、ジャーク信号内の信号ピーク値の数に基づいて、スキップされた歯の数が推定される場合に、及び/又は、スキップされた歯の数が求められる場合に達成することができる。
【0018】
操舵システムを監視するための方法は、本明細書においては、上述された用途及び実施形態に限定されるべきではない。特に、操舵システムを監視するための方法は、本明細書において説明する機能を満たすために、本明細書において挙げられる個々の要素、部品及びユニットの数とは異なる数を有し得る。
【0019】
さらなる利点は、以下の図面の説明から明らかになる。これらの図面には、本発明の実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】操舵システムを備えた例示的な車両を示した概略図である。
図1b】操舵システムを備えた例示的な車両を示した概略図である。
図2】操舵システムを監視するための様々な信号を示した線図である。
図3】操舵システムを監視するための方法の主な方法ステップを伴う例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施例の説明
図1a及び図1bは、複数の車両ホイール40と、操舵システム10とを備えた乗用車として構成された例示的な車両12を概略的に示している。この操舵システム10は、本発明の場合には、特に前輪として構成された車両ホイール40との作用的な接続部を有し、車両12の走行方向に影響を与えるために設けられている。さらに、操舵システム10は、電動アシスト操舵システムとして構成されており、したがって、パワーステアリングの形態の電動パワーアシストを有する。しかしながら、基本的には、操舵システムを、特に液圧パワーアシストを有する液圧アシスト操舵システムとして構成することも考えられる。さらに、操舵システムは、基本的にステアバイワイヤ操舵システムとして構成することもできる。
【0022】
操舵システム10は、本発明の場合には、例示的に操舵ホイールとして構成されかつ手動モーメントを加えるための操舵ハンドル42と、例示的にラックアンドピニオン型転舵ギアとして構成されかつ転舵調整要素46を含みかつ操舵ハンドル42における操舵入力を車両ホイール40の転舵運動に変換するために設けられている転舵ギア44と、操舵ハンドル42を転舵ギア44と特に機械的に接続するための操舵軸48とを含む。操舵軸48は、操舵システム10のセンサトレイン28を規定している。転舵ギア44は、操舵システム10のサーボトレイン30を規定している。代替的に、操舵ハンドルは、操舵レバー又は操舵ボールなどとして構成することもできる。さらに、操舵ハンドルを省略することも考えられる。その上さらに、操舵軸は、例えば、ステアバイワイヤ操舵システムのように、操舵ハンドルを一時的にのみ転舵ギアと接続し及び/又は機械的に分離することもできる。
【0023】
その上さらに、操舵システム10は、転舵アクチュエータ14を含む。この転舵アクチュエータ14は、少なくとも部分的に電気的及び/又は電子的に構成されている。転舵アクチュエータ14は、転舵ギア44との作用的な接続部を有する。転舵アクチュエータ14は、操舵ハンドル42に加えられる手動モーメントの支援のための転舵トルクを提供し、それを転舵調整要素46に伝達するために設けられている。この目的のために、転舵アクチュエータ14は、電気モータ(明示的に図示せず)を含む。この電気モータは、本発明の場合には、特に、永久励磁同期モータとして構成され、転舵トルクの生成のために設けられている。基本的には、転舵アクチュエータは、複数の電気モータを含むこともあり得る。
【0024】
転舵アクチュエータ14を転舵ギア44に接続するために、操舵システム10は、さらに連結ギア50を含む。この連結ギア50は、本発明の場合には、トラクション手段駆動部として構成され、少なくとも1つのトラクション手段32を含む。連結ギア50は、ここでは、ベルト駆動部として構成されており、したがって、ベルトとして、本発明の場合は特に歯付きベルトとして構成されたトラクション手段32を含む。連結ギア50は、トラクション手段32を用いて転舵アクチュエータ14の転舵トルクを転舵ギア44に伝達するために設けられている。しかしながら、代替的に、トラクション手段駆動部として構成された連結ギアは、チェーン駆動部などとして構成することも、及び/又は、平ベルト、丸ベルト、Vベルト及び/又はポリVベルトとして構成されたトラクション手段を含むこともあり得る。さらに、連結ギアをスクリュー歯車ギア及び/又はウォーム歯車ギアとして構成することも考えられる。さらに、連結ギア及び/又は操舵システムは、許容リングを含むこともあり得る。
【0025】
さらに、操舵システム10は、操舵軸48に配置されたそれ自体公知の操舵センサ系52を含む。この操舵センサ系52は、本発明によれば、トルクセンサとして構成されている。操舵センサ系52は、操舵ハンドル42の操作と相関するセンサ信号54、特に操舵ハンドル42に加えられた手動モーメント及び/又はトルクを捕捉するために設けられている。本発明の場合には、このセンサ信号54は、ここでは、トーションバー信号に相当する。代替的に、操舵センサ系は、トルクセンサとは異なるセンサとして、例えば、回転角センサ、及び/又は、組み合わせられたトルク及び回転角センサとして構成することもできる。
【0026】
さらに、操舵システム10は、転舵アクチュエータ14に割り当てられた捕捉センサ系56を含む。この捕捉センサ系56は、ロータ位置センサとして構成され、転舵アクチュエータ14の少なくとも1つの動作信号16、特に本発明の場合には、電気モータのロータ位置信号を捕捉するために設けられている。しかしながら、代替的又は付加的に、捕捉センサ系は、ロータ位置センサとは異なるセンサとして、例えば速度センサ及び/又は加速度センサとして構成することもできる。
【0027】
さらに、車両12は、制御装置36を有する。この制御装置36は、例示的に操舵制御装置として構成されており、したがって、操舵システム10の一部である。制御装置36は、転舵アクチュエータ14との電気的接続部を有する。さらに、制御装置36は、操舵センサ系52及び捕捉センサ系56との電気的接続部を有する。制御装置36は、操舵センサ系52からのセンサ信号54と、捕捉センサ系56からの動作信号16とを受信するために設けられている。さらに、制御装置36は、転舵アクチュエータ14の駆動制御のために設けられている。
【0028】
この目的のために、制御装置36は、計算ユニット38を含む。この計算ユニット38は、例えばマイクロプロセッサの形態の少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つの動作メモリとを含む。さらに、計算ユニット38は、動作メモリに格納された少なくとも1つの動作プログラムを含み、この動作プログラムは、少なくとも1つの制御ルーチン、少なくとも1つの計算ルーチン、少なくとも1つの算出ルーチン、少なくとも1つの評価ルーチン、及び、少なくとも1つの監視ルーチンを有する。しかしながら、基本的には、制御装置を操舵システムとは別個に構成することも考えられる。この場合、車両は、例えば中央計算ユニットを有する単一の中央制御装置を備えることもできる。
【0029】
操舵システム10の適正な機能を維持するためには、操舵システム10における永続的な摩擦結合が基本的に必要である。ただし、特定の走行状況及び/又は動作状況は、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱につながる可能性がある。しかしながら、この種の摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、十分に正確な検出なしでは、危機的安全性の走行状況につながる可能性がある。
【0030】
この理由から、以下においては、車両12内における動作期間中の操舵システム10を監視するための方法を説明する。ここでは、特に、計算ユニット38は、本方法を実施するために設けられており、さらに、この目的のために、対応するプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムを備えている。
【0031】
本発明によれば、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、転舵アクチュエータ14の少なくとも1つの動作信号、特に本発明の場合には、捕捉センサ系56を用いて捕捉された動作信号16が求められて評価される。この目的のために、動作信号16からジャーク信号18が生成され、変化について監視される。操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、ここでは、ジャーク信号18内の少なくとも1つの信号ピーク値20,22,24に基づいて、又は、閾値26の超過に基づいて求めることができる(特に図2参照)。本発明によれば、ここでは、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱の際に、非常に大きいロータ加速度が生成されることが利用され、このロータ速度度は、対応するジャーク信号18の評価によって求めることが可能である。ただし、基本的には、ジャーク信号は、周波数領域でも評価することができる。さらに、ジャーク信号の勾配を監視し、評価することも考えられる。
【0032】
さらに例示的に摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、サーボトレイン30における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱に相当し、トラクション手段32の空転、スリップ、及び/又は、スキップによって引き起こされる場合がある。しかしながら、基本的には、摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱は、操舵システム10内の例えば許容リングなどの他の任意の機械的インタフェースによって引き起こされる場合もあり、例えば、センサトレイン28内において、又は、センサトレイン28及びサーボトレイン30内において出現し得る。
【0033】
さらに、動作信号16として例示的に転舵アクチュエータ14の位置信号、特にロータ位置信号が使用され、この場合、ジャーク信号18は、動作信号16の時間導関数を用いて、特に本発明によれば、動作信号16の3次の時間導関数に基づいて求めることができる。しかしながら、代替的に、動作信号として転舵アクチュエータの速度信号又は加速度信号を使用することもできる。
【0034】
その上さらに、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、イベントカウンタを使用することができる。このイベントカウンタは、例えば、計算ユニット38に統合されるものとしてよい。この場合、ジャーク信号18の評価によって、特に、ジャーク信号18内の信号ピーク値20,22,24及び/又は異常に基づいて、最初にイベントカウンタのカウンタ値が増分され、イベントカウンタのカウンタ値が限界値、例えば3又は4を上回った場合、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱が推定される。次いで、その結果として、システム反応が導入及び/又は実行され得る。このシステム反応は、例えば、指示メッセージの生成、及び/又は、操舵システム10若しくは車両12の経年劣化を含み得る。ただし、基本的には、この種のイベントカウンタを省略することもできる。この場合、対応するシステム反応は、既に一回の信号ピーク値の際に、及び/又は、ジャーク信号18が閾値26を上回っている期間に基づいて起こることがあり得る。
【0035】
本方法のロバスト性をさらに高めるために、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定する際に、さらに少なくとも1つの妥当性検査変数34を考慮に入れることができる(特に図2参照)。この妥当性検査変数34として、本発明の場合には、サーボトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、詳細には特に転舵アクチュエータ14のトルクが用いられる。しかしながら、代替的又は付加的に、センサトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、例えばセンサ信号54など、及び/又は、車両12の走行状態と相関する動作信号及び/又は捕捉信号、例えば車両速度及び/又はヨーモーメントなどを妥当性検査変数として使用することもできる。さらに、転舵アクチュエータ14のトルクとは異なるサーボトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、例えば転舵アクチュエータ14の回転角度及び/又は回転数、好適にはロータ回転数の平均値などを妥当性検査変数として使用することが考えられる。その上さらに、基本的には妥当性検査変数を完全に省略することも考えられる。
【0036】
図2は、操舵システム10を監視するための様々な信号の例示的な線図を示す。
【0037】
第1の縦軸58は、変数軸として構成され、ジャークを[1/s]単位で示す。第1の横軸60は、時間を[s]単位で示す。第1の特性曲線62は、ジャーク信号18の経時経過を示す。第2の縦軸64は、さらなる変数軸として構成され、トルクを[Nm]単位で示す。第2の横軸66にも、同様に時間が[s]単位で示されている。第2の特性曲線68は、妥当性検査変数34、又は、本発明の場合においては転舵アクチュエータ14のトルクの経時経過を示す。
【0038】
特性曲線62に基づけば、約8.5秒後に、ジャーク信号18内において複数の信号ピーク値20,22,24の出現を認識することができ、これらは、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特徴付けるものである。複数の歯を有する歯付きベルトの形態のトラクション手段32を使用する場合、ジャーク信号18内の信号ピーク値20,22,24の数に基づけば、スキップされた歯の数をさらに推定することができる。本発明の場合においては、これは、トラクション手段32の3つの歯がスキップされたことを意味する。
【0039】
さらに、特性曲線68は、操舵システム10におけるロバスト性向上のために、及び/又は、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱の妥当性検査のために使用することができる。妥当性検査変数34の経過に基づけば、ジャーク信号18内において第1の信号ピーク値20の直前に転舵アクチュエータ14のトルクの落ち込みが起きていることを認識することができる。この転舵アクチュエータ14のトルクの落ち込みは、ジャーク信号18内の時系列的信号ピーク値20,22,24に関連して、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱についての間接証拠として用いられる。
【0040】
最後に、図3は、操舵システム10を監視するための方法を主要な方法ステップを用いて例示的にフローチャートを示す。
【0041】
方法ステップ70においては、転舵アクチュエータ14の動作信号16が求められる。
【0042】
方法ステップ72においては、動作信号16からジャーク信号18が求められる。本発明の場合においては、このことは、動作信号16の時間導関数によって、特に本発明によれば、動作信号16の3次の時間導関数に基づいて行われる。
【0043】
方法ステップ74においては、ジャーク信号18が監視され、評価される。本発明の場合においては、ここでは特に、ジャーク信号18内に信号ピーク値20,22,24が存在するかどうか、及び/又は、ジャーク信号18が閾値26を上回っているかどうかが監視される。このことが該当する場合、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱が推定され、方法ステップ76に続く。
【0044】
方法ステップ76においては、システム反応が導入及び/又は実行される。このシステム反応は、例えば、指示メッセージの生成、及び/又は、操舵システム10若しくは車両12の経年劣化を含み得る。
【0045】
図3の例示的なフローチャートは、ここでは、操舵システム10を監視するための方法の例示的な説明のみを意図するものである。特に、個々の方法ステップは変更することも可能であり、又は、付加的な方法ステップを追加することも可能である。例えば、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、イベントカウンタを使用することができる。さらに、操舵システム10における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定する際に、妥当性検査変数34を考慮に入れることができる。
図1a-1b】
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵システム(10)、特に車両(12)における動作期間中の操舵システム(10)を監視するための方法であって、前記操舵システム(10)は、少なくとも1つの転舵アクチュエータ(14)を含み、前記操舵システム(10)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱を特定するために、前記転舵アクチュエータ(14)の少なくとも1つの動作信号(16)が求められて評価される、操舵システム(10)を監視するための方法において、
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱を特定するために、前記動作信号(16)からジャーク信号(18)が求められ、変化について監視されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記ジャーク信号(18)内の少なくとも1つの信号ピーク値(20,22,24)に基づいて特定され、及び/又は、前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記ジャーク信号(18)が閾値(26)を上回った場合に特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作信号(16)として、前記転舵アクチュエータ(14)の位置信号、速度信号又は加速度信号が使用される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記ジャーク信号(18)は、前記動作信号(16)の経時変化率に基づいて求められ、及び/又は、前記動作信号(16)の時間導関数を用いて求められる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、センサトレイン(28)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱、及び/又は、サーボトレイン(30)における摩擦結合離脱及び/又はトルク離脱に相当する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記操舵システム(10)は、少なくとも1つのトラクション手段(32)及び/又は少なくとも1つの許容リングを含み、前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記トラクション手段(32)及び/又は前記許容リングの空転、スリップ、及び/又は、スキップによって引き起こされる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱を特定するために、イベントカウンタが使用され、前記イベントカウンタのカウンタ値が限界値を上回った場合にシステム反応が導入される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱を特定する際に、少なくとも1つの妥当性検査変数(34)が考慮に入れられ、前記妥当性検査変数(34)は、センサトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、サーボトレイン側の動作信号及び/又は捕捉信号、及び/又は、前記車両(12)の走行状態に相関する動作信号及び/又は捕捉信号である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記操舵システム(10)は、複数の歯を有する歯付きベルトの形態の少なくとも1つのトラクション手段(32)を含み、前記操舵システム(10)における前記摩擦結合離脱及び/又は前記トルク離脱は、前記ジャーク信号(18)内の信号ピーク値(20,22,24)に基づいて特定され、前記ジャーク信号(18)内の前記信号ピーク値(20,22,24)の数に基づいて、スキップされた歯の数が推定される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法を実施するための計算ユニット(38)を備えている制御装置(36)。
【請求項11】
請求項に記載の方法を実施するための少なくとも1つの転舵アクチュエータ(14)と、計算ユニット(38)とを備えている操舵システム(10)。
【請求項12】
車両(12)、特に自動車であって、請求項11に記載の操舵システム(10)を備えている車両(12)。
【国際調査報告】