(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器および冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/04 20060101AFI20240719BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20240719BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20240719BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20240719BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F25D23/04 Z
F25D11/02 Z
F25D25/00 E
F25D17/08 303
F25D23/00 307
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506842
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2022107162
(87)【国際公開番号】W WO2023016227
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202121870753.X
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121872635.2
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522029969
【氏名又は名称】チンダオ ハイアール レフリジレーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Haier Industry Park, Haier Road No. 1 Laoshan District Qingdao,Shandong 266101, China
(71)【出願人】
【識別番号】521161200
【氏名又は名称】ハイアール スマート ホーム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】リー モンチォン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ ビン
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ シァォビン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ユーニン
(72)【発明者】
【氏名】イー イャォ
(72)【発明者】
【氏名】スー シァンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー タオ
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045BA01
3L045BA03
3L045CA02
3L045KA00
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA30
3L345BB10
3L345DD16
3L345DD51
3L345DD55
3L345KK04
(57)【要約】
冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器および冷蔵庫である。鮮度保持貯蔵容器は、内部に被貯蔵物を載置するための貯蔵室が設けられた貯蔵ボックスと、平板状に構成され、貯蔵ボックスの一側壁に配置され、貯蔵室に作用する磁界を発生させるために使用され、前記磁界の磁界強度範囲は1~200Gsである1つまたは複数の磁界発生部品と、を含む。該鮮度保持貯蔵容器および冷蔵庫によれば、磁界がより安定し、被貯蔵物の品質を効果的に向上させることができ、新たな鮮度保持機能を提供し、スマート冷蔵庫に対するユーザのますます増加する使用ニーズを満たし、さらにスマートホーム、スマートライフに対するユーザの品質要求を満たすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被貯蔵物を載置するための貯蔵室が設けられた貯蔵ボックスと、
平板状に構成され、前記貯蔵ボックスの一側壁に配置され、前記貯蔵室に作用する磁界を発生させるために使用され、前記磁界の磁界強度範囲は1~200Gsである1つまたは複数の磁界発生部品と、を含む、冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項2】
前記磁界発生部品は永久磁石板であり、前記磁界発生部品の数は2つであり、2つの前記永久磁石板はそれぞれ前記貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、2つの前記永久磁石板の磁界方向は同じであり、それぞれ所在する前記側壁に対して垂直であり、前記貯蔵室を貫通する磁界を形成する、請求項1に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項3】
前記永久磁石板の形状は所在する前記貯蔵ボックスの側壁形状に適合され、前記貯蔵室の前記永久磁石板を含む平面への投影は前記永久磁石板の外周輪郭範囲内に位置する、請求項2に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項4】
前記永久磁石板の前記貯蔵ボックスに背向する側に貼着された均一磁性板をさらに含み、前記貯蔵室の前記均一磁性板を含む平面への投影は、前記均一磁性板の外周輪郭範囲内に位置する、請求項2に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項5】
前記永久磁石板の寸法は所在する前記貯蔵ボックスの前記側壁よりも小さく、同一側に配置された前記永久磁石板および前記均一磁性板の中心は、それぞれ所在する前記貯蔵ボックスの前記側壁の中心に対向する、請求項4に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項6】
前記永久磁石板の面積は、前記貯蔵室の前記永久磁石板を含む平面への投影面積に対して30%~98%の範囲である、請求項5に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項7】
前記磁界発生部品は電磁発生部品であり、各前記電磁発生部品は前記貯蔵ボックスの一側壁に貼着され、その内部に電磁コイルが巻回され、前記電磁コイルは、前記側壁に対向する磁極を有する磁界を発生させるために通電される、請求項1に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項8】
前記電磁発生部品の数は2つであり、それぞれ前記貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、2組の電磁発生部品の磁界方向は、前記磁界が前記貯蔵室を貫通するように同じである、請求項7に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項9】
各前記電磁発生部品は平板状の環状リング構造であり、前記電磁コイルは前記環状リングの環状周面に巻回されている、請求項7または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項10】
前記電磁発生部品の前記貯蔵ボックスに背向する側に貼着された均一磁性板をさらに含み、前記貯蔵室の前記均一磁性板を含む平面への投影は、前記均一磁性板の外周輪郭範囲内に位置する、請求項7または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項11】
各前記電磁発生部品は、
内部に前記電磁コイルが配置された防水ハウジングをさらに含む、請求項7または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項12】
前記貯蔵ボックスは、
前方に開口した筒体と、
前記筒体内に引き出し可能に配置された引き出しと、を含む、請求項2または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項13】
2つの前記磁界発生部品はそれぞれ前記筒体の上方および下方に配置されている、請求項12に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項14】
2つの前記磁界発生部品はそれぞれ前記筒体の頂壁の内側および前記筒体の底壁の内側に配置されている、請求項12に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項15】
前記貯蔵ボックス内に冷気を供給するように構成されたエアインレットダクトアセンブリをさらに含み、
前記筒体上に還気口がさらに開設され、前記還気口は前記筒体内の空気を排出するために使用される、請求項12に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器を備える、冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用冷凍装置に関し、特に、冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器および冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家庭用冷蔵庫などを利用した家庭用冷凍装置は、従来の食品の冷蔵冷凍に限定されなくなっている。ユーザの使用ニーズがますます高くなり、貯蔵食材の鮮度保持効果に対する要求がより高くなっている。肉類、魚、海老類といった食材の場合、貯蔵過程で汁が失われ味が悪くなったり、色が黒ずんだりするという問題がある。特に、一部の高級食材は、一定の貯蔵時間が経過すると品質が大幅に低下する。
【0003】
先行技術では、急速冷凍により結晶化速度を加速するなど、多くの鮮度保持貯蔵の改良方法が提案され、最近の関連分野でも、圧力変換、超音波、電界、電磁波などを介して貯蔵食材に影響を与える方法が登場したが、これらの技術のいくつかは、鮮度保持貯蔵効果が理想的ではなく、いくつかは実現コストが高く、家庭用冷蔵庫に適用することは容易ではない。上記改良方法では、理論的な研究によると、磁界は細胞や組織などの生物学的製品が受ける低温損傷を良好に軽減させ、細胞の機能および形態をよりよく保存し、良好な貯蔵品質を維持することができる。家庭用冷蔵庫分野でも、鮮度保持可能な貯蔵を実現するために磁界の応用が盛んに研究されている。しかしながら、実用化においては、磁界の種類および磁界強度の違いによって、貯蔵食材に与える影響も異なり、良好な貯蔵品質を実現することが困難である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、貯蔵品質を効果的に向上させる冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器および冷蔵庫を提供することである。
【0005】
本発明のもう1つの目的は部品コストを低減することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、鮮度保持貯蔵容器を冷蔵庫に適用しやすくすることである。
【0007】
特に、本発明は冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器を提供し、それは、内部に被貯蔵物を載置するための貯蔵室が設けられた貯蔵ボックスと、平板状に構成され、貯蔵ボックスの一側壁に配置され、貯蔵室に作用する磁界を発生させるために使用され、前記磁界の磁界強度範囲は1~200Gsである1つまたは複数の磁界発生部品と、を含む。
【0008】
選択的に、磁界発生部品は永久磁石板であり、磁界発生部品の数は2つであり、2つの永久磁石板はそれぞれ貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、2つの永久磁石板の磁界方向は同じであり、それぞれ所在する前記側壁に対して垂直であり、貯蔵室を貫通する磁界を形成する。
【0009】
選択的に、永久磁石板の形状は所在する貯蔵ボックスの側壁形状に適合され、貯蔵室の永久磁石板を含む平面への投影は永久磁石板の外周輪郭範囲内に位置する。
【0010】
選択的に、上記冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器は、永久磁石板の貯蔵ボックスに背向する側に貼着された均一磁性板をさらに含み、貯蔵室の均一磁性板を含む平面への投影は、均一磁性板の外周輪郭範囲内に位置する。
【0011】
選択的に、永久磁石板の寸法は所在する貯蔵ボックスの側壁よりも小さく、同一側に配置された永久磁石板および均一磁性板の中心は、それぞれ所在する貯蔵ボックスの側壁の中心に対向する。
【0012】
選択的に、永久磁石板の面積と貯蔵室の永久磁石板を含む平面への投影面積の比例範囲は30%~98%である。
【0013】
選択的に、磁界発生部品は電磁発生部品であり、各電磁発生部品は貯蔵ボックスの一側壁に貼着され、その内部に電磁コイルが巻回され、電磁コイルは、側壁に対向する磁極を有する磁界を発生させるために通電される。
【0014】
選択的に、電磁発生部品の数は2つであり、それぞれ貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、2組の電磁発生部品の磁界方向は、磁界が貯蔵室を貫通するように同じである。
【0015】
選択的に、各電磁発生部品は平板状の環状リング構造であり、電磁コイルは環状リングの環状周面に巻回される。
【0016】
選択的に、上記冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器は、電磁発生部品の貯蔵ボックスに背向する側に貼着された均一磁性板をさらに含み、貯蔵室の均一磁性板を含む平面への投影は、均一磁性板の外周輪郭範囲内に位置する。
【0017】
選択的に、各電磁発生部品は、内部に電磁コイルが配置された防水ハウジングをさらに含む。
【0018】
選択的に、貯蔵ボックスは、前方に開口した筒体と、筒体内に引き出し可能に配置された引き出しと、を含む。
【0019】
選択的に、2つの磁界発生部品はそれぞれ筒体の上方および下方に配置される。
【0020】
選択的に、2つの磁界発生部品はそれぞれ筒体頂壁の内側および筒体の底壁の内側に配置される。
【0021】
選択的に、上記冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器は、貯蔵ボックス内に冷気を供給するように構成されたエアインレットダクトアセンブリをさらに含み、筒体上に還気口がさらに開設され、還気口は筒体内の空気を排出するために使用される。
【0022】
本発明の別の側面によれば、上記のいずれか1つの冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器を備えた冷蔵庫を提供する。
【0023】
本発明の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器では、貯蔵ボックスの側壁に配置された磁界発生部品は、占有空間を節約するために平板状に構成され、磁界発生部品は貯蔵室に作用する磁界を発生させ、磁界の磁界強度範囲は1~200Gsである。磁界は、貯蔵品質の向上に寄与し、凍結時間を短縮させ、食品の汁損失率および栄養損失率を低減し、細胞や組織などの生物学的製品の冷凍過程で受ける低温損傷を良好に低減し、細胞の機能および形態を良好に保存し、微生物および細菌数を低減し、鮮度保持周期を延長することができる。
【0024】
いくつかの実施態様では、本発明の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器は2つの永久磁石板を磁界発生部品として使用し、2つの永久磁石板は貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、2つの永久磁石板の磁界方向は同じである。これにより、貯蔵ボックス内の貯蔵室を貫通する磁界を形成する。永久磁石板によって形成された永久磁界は、より安定した磁界を有し、電磁素子の発熱による貯蔵品質への影響を回避することができる。
【0025】
さらに、本発明の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器では、貯蔵室の永久磁石板を含む平面への投影は、永久磁石板の外周輪郭範囲内に位置しているので、貯蔵室全体が死角なく磁界範囲内に位置し、磁界の不感帯が回避される。
【0026】
別のいくつかの実施態様では、本発明の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器は、電磁発生部品を磁界発生部品として使用し、貯蔵ボックスの側壁に電磁発生部品が配置され、電磁発生部品の内部に電磁コイルが巻回され、電磁コイルは側壁に対向する磁極を有する磁界を発生させるために通電される。
【0027】
またさらに、2つの電磁発生部品はそれぞれ貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、磁界方向は、磁界が貯蔵室を貫通するために同じである。
【0028】
またさらに、本発明の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器では、均一磁性板を利用することもでき、磁性材料の使用量を節約することができる。これにより、多すぎたり大きすぎたりする磁性部材の使用によるコスト上昇および重量増加を回避することができる。同時に、均一磁性板は磁界の磁界分布を変えることができ、磁界が貯蔵室内でより均一に分布される。
【0029】
またさらに、本発明の鮮度保持貯蔵容器では、均一磁性板および磁界発生部品(永久磁石板または電磁発生部品)の構造を最適化することにより、鮮度保持貯蔵容器の構造をよりコンパクトにすることができる。特に、貯蔵引き出しのような構造に適し、比較的平坦な貯蔵室内で磁界による鮮度保持を実現することができる。
【0030】
またさらに、本発明の冷蔵庫では、冷凍環境下に上記鮮度保持貯蔵容器を配置することにより、食材が磁界環境下に貯蔵され、氷結晶の成長が抑制され、氷結晶の成長速度が水分子移動速度よりも高く、生成された氷結晶が小さくなる。このため、細胞への損傷が低減され、汁の損失が回避され、食材のより良い食感が確保され、冷凍貯蔵品質が向上し、貴重な食材の貯蔵品質に対するユーザの要求を満たすことができる。
【0031】
またさらに、本発明の冷蔵庫では、磁界により貯蔵品質が向上し、スマート冷蔵庫に新たな鮮度保持機能を提供する。これにより、スマート冷蔵庫に対するますます増加しているユーザの使用ニーズに応え、スマートホーム、スマートライフの品質に対するユーザの要求をさらに満たすことができる。
【0032】
以下の添付図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明することにより、本発明の上記およびその他の目的、利点および特徴は、当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施例による冷蔵庫の概略図である。
【
図2】本発明の一実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図3】本発明の別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図4】
図3に示す鮮度保持貯蔵容器の部品分解図である。
【
図5】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図6】
図5に示す鮮度保持貯蔵容器の部品分解図である。
【
図7】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図8】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図9】本発明の一実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器中の電磁発生部品の概略図である。
【
図10】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図11】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図12】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図13】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図15】本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図16】本発明の一実施例による引き出し構造の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図17】本発明の別の実施例による引き出し構造の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
【
図18】本発明の一実施例による引き出し構造の鮮度保持貯蔵容器中の送風構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のいくつかの具体的な実施例を、添付図面を参照して例示的かつ限定的でない方法を用いて以下で詳細に説明する。添付図面における同一符号は同一または類似の部品または部分を示す。これらの添付図面は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを当業者は理解すべきである。
【0035】
図1は、本発明の一実施例による鮮度保持貯蔵容器200が配置された冷蔵庫10の概略透視図である。本実施例の冷蔵庫10は一般に庫体120、扉本体110、および冷凍システム(図示せず)を備える。庫体120内に少なくとも1つ(通常、複数)の前方に開放された貯蔵室、例えば冷蔵貯蔵室、冷凍貯蔵室、温度可変貯蔵室などが設けられている。具体的な貯蔵室の数および機能は所定のニーズに応じて設定されてもよい。
【0036】
本実施例の冷蔵庫10は空冷式冷蔵庫であってもよく、庫体120内に送風システムが備えられ、送風機を用いて熱交換器(蒸発器)によって熱交換を経た冷気を送風口から貯蔵室に送り、還気口から送風ダクトに空気を戻して冷凍を実現する。このような冷蔵庫の庫体120、扉本体110、冷凍システム自体はいずれも周知であり、当業者であれば容易に実現可能である。このため、本願発明のポイントを曖昧にし、ぼやけさせないために、以下では、庫体120、扉本体110、冷凍システム自体の詳細な説明を省略する。
【0037】
冷蔵庫10の1つまたは複数の貯蔵室の内部に鮮度保持貯蔵容器200が配置されていてもよい。鮮度保持貯蔵容器200が冷凍貯蔵室に載置されると、冷凍食材を冷凍して鮮度保持し、氷結晶成長を抑制する。これにより氷結晶成長速度が水分子移動速度よりも高くなり、生成された氷結晶が小さくなり、細胞への損傷が低減され、汁の損失が回避され、冷凍過程が加速され、凍結時間が短縮される。鮮度保持貯蔵容器200を冷蔵貯蔵室で使用すると、食材の酸化還元反応速度を低下させ、栄養や水分の損失を抑え、食材の変色を止め、細菌の繁殖を抑制し、食材鮮度保持期を延長することができる。
【0038】
鮮度保持貯蔵容器200の数および配置可能な貯蔵室タイプは、ユーザのニーズに応じて設定され得る。例えば、冷蔵庫10内に1つまたは複数の鮮度保持貯蔵容器200が配置されていてもよい。鮮度保持貯蔵容器200は冷蔵貯蔵室、冷凍貯蔵室、温度可変貯蔵室に配置されていてもよく、上記貯蔵室内で磁界により鮮度保持を補助する。鮮度保持貯蔵容器200は冷蔵庫10の独立した室としてもよく、冷蔵庫10が独立して温度制御を行ってもよい。例えば、冷蔵庫10は、鮮度保持貯蔵容器200を配置するための室を形成したり、鮮度保持貯蔵容器200を冷蔵庫10の室として直接形成したりすることができる。
【0039】
図2は、本発明の一実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。鮮度保持貯蔵容器200は貯蔵ボックス210および1つまたは複数の磁界発生部品221を含んでもよい。貯蔵ボックス210内には、被貯蔵物を載置するための貯蔵室が設けられている。貯蔵ボックス210は箱状であってもよい。いくつかの実施例では、貯蔵ボックス210は全体的に平坦な矩形状を有してもよい(すなわち高さ方向に沿った距離が奥行き方向に沿った距離および左右横方向に沿った距離よりも著しく小さい)。当業者であれば、所望の貯蔵室に応じて貯蔵ボックス210の構造および寸法を設定し、箱状、庫体状または引き出し構造などを利用することができる。
【0040】
各磁界発生部品221は平板状に構成され、貯蔵ボックス210の一側壁に配置されている。磁界発生部品221は貯蔵室に作用する磁界を発生させるために使用され、磁界の磁界強度範囲は1~200Gsである。磁界発生部品221の形状は、所在する貯蔵ボックス210の側壁の形状に適合したものとなっている。例えば、矩形状の貯蔵ボックスの場合、磁界発生部品221の外郭は対応する側壁に応じた矩形であってもよい。
【0041】
なお、
図2では、2つの磁界発生部品221が配置されていることを概略的に示したが、本明細書の説明に基づいて、当業者は1つまたは2つ以上の磁界発生部品221の配置を容易に実現することができる。
【0042】
図3は、本発明の別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。
図4は、
図3に示す鮮度保持貯蔵容器200の部品分解図である。本実施例では、磁界発生部品221は具体的に永久磁石板221aであり、その数は2つである。すなわち、鮮度保持貯蔵容器200は貯蔵ボックス210および永久磁石板221aを含んでもよい。
【0043】
2つの永久磁石板221aはそれぞれ貯蔵ボックス210の対向する1組の側壁に配置されている。永久磁石板の形状は所在する貯蔵ボックスの側壁形状に適合したものとなっている。例えば、矩形状の貯蔵ボックスの場合、永久磁石板221aは対応する側壁に応じた矩形であってもよい。
【0044】
2つの永久磁石板221aは貯蔵ボックス210自体の形状に応じて貯蔵ボックス210の横方向左右両側、頂底両側、または前後両側に配置されるように選択されてもよい。貯蔵ボックス210全体が平坦形状であって、特に貯蔵ボックスが引き出し構造である場合、2つの永久磁石板221aは貯蔵ボックス210の頂部および底部に優先的に配置される。このような配置により、2つの永久磁石板221a間の距離を短くすることができ、磁界強度および均一性を向上させることができる。
【0045】
2つの永久磁石板221aの磁界方向は同じであり、それぞれ所在する側壁に対して垂直であり、貯蔵室を貫通する磁界を形成し、磁界強度範囲は1~200Gsである。冷凍環境に適用される場合、磁界強度範囲は5~60GS、例えば約20Gsであることが好ましい。冷蔵環境に適用される場合、磁界強度範囲は20~160GSであり、好ましくは40~80Gsであり、例えば約60Gsである。2つの永久磁石板221aが貯蔵ボックス210の頂部および底部に配置される実施例では、2つの永久磁石板221aのN極を上向きとし、S極を下向きとし、
図3に示す貯蔵室を下から上へ貫通する磁界を形成する。同様の技術思想に基づいて、磁極方向を調整することにより逆方向の磁界を実現できる。すなわち2つの永久磁石板221aのS極を上向きとし、上から下への磁界を実現することは、当業者にとって容易である。上記永久磁石板221aによって形成された永久磁界は静磁界であり、貯蔵室内を常に一定の強度の磁界にすることができる。
【0046】
多数の検証の結果、上記磁界強度範囲にある磁界は、被貯蔵物の貯蔵品質を効果的に向上させ、所望の鮮度保持効果を達成することができることが分かった。
【0047】
永久磁石板221aは、貯蔵室のすべての位置で均一な磁界を形成できるようにすることが要求される。すなわち、貯蔵室は死角なく磁界範囲内にある。いくつかの実施例では、貯蔵室の永久磁石板221aを含む平面への投影は、永久磁石板の外周輪郭範囲内に位置している。すなわち、永久磁石板221aは貯蔵室に対応する側面の大きさとほぼ同じ、または側面面積よりもわずかに大きい。例えば、貯蔵ボックス210の頂部に位置する永久磁石板221aは貯蔵室の頂部領域を覆うことができ、貯蔵ボックス210の底部に位置する永久磁石板221aは貯蔵室の底部領域を覆うことができる。
【0048】
図5は、本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。
図6は、
図5に示す鮮度保持貯蔵容器200の部品分解図である。本実施例中の鮮度保持貯蔵容器200はさらに均一磁性板222を含む。均一磁性板222は永久磁石板221aの貯蔵ボックス210に背向する側に貼着されている。
【0049】
均一磁性板222は、保磁力が低く透磁率の高い材質からなり、例えば珪素鋼板または類似の材料からなる。2つの均一磁性板222はそれぞれ永久磁石板221aの外側に配置されている。例えば、頂部の永久磁石板221aの上方に頂部均一磁性板222が配置され、底部の永久磁石板221aの下方に底部均一磁性板222が配置されている。均一磁性板222の一側板面は磁界伝導のために対応する永久磁石板221aに貼着される。いくつかの実施例では、均一磁性板222と永久磁石板221aは溶接、接着によって固定されてもよい。
【0050】
永久磁石板221aは貯蔵室に対応する側面の大きさとほぼ同じ、または側面面積よりもわずかに大きい。均一磁性板222が配置されることによって、永久磁石板221aの寸法を小さくすることができる。均一磁性板222は永久磁石板221aの磁界分布をより均一になるように変化させる。いくつかの実施例では、永久磁石板221aの寸法は貯蔵ボックス210の対応側壁よりも小さく、貯蔵室の均一磁性板222を含む平面への投影は均一磁性板222の外周輪郭範囲内に位置する。すなわち、永久磁石板221aの寸法が小さくてもよく、均一磁性板222により磁界の被覆領域が拡大される。均一磁性板222は貯蔵室に対応する側面の大きさとほぼ同じ、または側面面積よりもわずかに大きい。例えば、貯蔵ボックス210の頂部に位置する均一磁性板222は貯蔵室の頂部領域を覆うことができ、貯蔵ボックス210の底部に位置する均一磁性板222は貯蔵室の底部領域を覆うことができる。
【0051】
同一側に配置された永久磁石板221aおよび均一磁性板222の中心は所在する貯蔵ボックス210の側壁の中心に対向する。すなわち、頂部の永久磁石板221aおよび均一磁性板222は貯蔵室の頂部と中心が同じ位置にあり、底部の永久磁石板221aおよび均一磁性板22は貯蔵室の底部と中心が同じ位置にある。大寸法の均一磁性板222は永久磁石板221aの磁界範囲を広げることができ、貯蔵室が死角なく磁界範囲内に収まる。
【0052】
さらに、均一磁性板222を利用することにより、磁性材料の使用量を削減することができ、鮮度保持貯蔵容器200のコストを低減することができる。永久磁石板221aの面積は、貯蔵室の永久磁石板221aを含む平面への投影面積の30%~98%の範囲である。いくつかの好ましい実施例では、この範囲は50%~95%であってもよい。すなわち、頂部の永久磁石板221aの面積は貯蔵室の頂部領域面積の30%~98%(例えば50%~95%)であり、貯蔵室上面の中央位置にある。底部の永久磁石板221aの面積は貯蔵室の底部領域面積の30%~98%(例えば50%~95%)であり、貯蔵室底面の中央位置にある。上記の面積は実際に検証され、磁界が均一磁性板222を介して貯蔵室全体で分布するのを達成することができ、磁界強度は設定された要求を満たすことができる。
【0053】
図3~6の永久磁石板221aと貯蔵ボックス210の嵌合構造および上記説明に基づいて、永久磁石板221aの左右配置、または前後配置は当業者にとって容易である。
【0054】
図7は、本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。本実施例では、2つの永久磁石板221aは左右に配置され、一方が貯蔵ボックス210の右側に配置され、他方が貯蔵ボックス210の左側に配置されている。2つの永久磁石板221aの磁極は左側に向き、右から左への磁界方向を実現できる。同様の技術思想に基づいて、磁極方向を調整することにより逆方向の磁界を実現できる。すなわち左から右への磁界を実現することは、当業者にとって容易である。
【0055】
上記左右に配置された永久磁石板221aは同様に均一磁性板を含んでもよく、永久磁石板221aの寸法を小さくし、均一磁性板により磁界分布を変え、貯蔵室が死角なく磁界範囲内に収まる。
【0056】
均一磁性板のない鮮度保持貯蔵容器200では、永久磁石板221aの面積を増加することにより磁界の死角ない分布を実現できる。すなわち、貯蔵ボックス210の左側にある永久磁石板221aは貯蔵室の左側を覆うことができ、貯蔵ボックス210の右側にある永久磁石板221aは貯蔵室の右側を覆うことができる。均一磁性板が配置されるとき、左側の均一磁性板により貯蔵室の左側を覆い、右側の均一磁性板により貯蔵室の右側を覆う。
【0057】
図8は、本発明のもう1つの実施例の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。
図9は、本発明の一実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器中の電磁発生部品の概略図である。本実施例では、磁界発生部品221は具体的に電磁発生部品221bである。すなわち、鮮度保持貯蔵容器200は貯蔵ボックス210および1つまたは複数の電磁発生部品221bを含んでもよい。
【0058】
各電磁発生部品221bは平板状に構成され、貯蔵ボックス210の一側壁に貼着され、その内部に電磁コイル2211が巻回されている。電磁コイル2211は側壁に対向する磁極を有する磁界を発生させるために通電され、磁界の磁界強度範囲は1~200Gsである。電磁発生部品221bの形状は所在する貯蔵ボックス210の側壁形状に適合される。例えば、矩形状の貯蔵ボックスの場合、電磁発生部品221bの外郭は対応する側壁に応じた矩形であってもよい。
【0059】
材料および重量を節約するために、電磁発生部品221bは平板状の環状リング構造であってもよく、電磁コイル2211は環状リングの環状周面の周りに巻回されている。電磁発生部品は防水ハウジング2212をさらに含んでもよく、防水ハウジング2212内に電磁コイル2211が配置されている。防水ハウジング2212は環状リング構造に形成され、全体として平板状であり、貯蔵ボックス210に面する側に平面が形成され、電磁発生部品221bは貯蔵ボックス210の側壁に貼着されている。電磁コイル2211のターン数は貯蔵室の大きさおよび磁界強度に応じて設定される。鮮度保持要求を満たす磁界強度範囲は1Gs~200Gsであってもよく、冷凍環境に適用される場合、磁界強度範囲は好ましくは5~60GSであり、例えば約20Gsである。冷蔵環境に適用される場合、磁界強度範囲は20~160GSであり、好ましくは40~80Gsであり、例えば約60Gsである。すなわち、貯蔵室内で上記磁界強度範囲を完全に覆う鮮度保持磁界を形成することができる。防水ハウジング2212は浸漬塗装、樹脂封止、シールリングなどを用いた密閉ハウジングにより内部の電磁コイル2211を保護する。
【0060】
電磁発生部品221bによって発生した磁界は磁界強度が一定の定磁界であってもよい。多数の検証の結果、上記磁界強度範囲の定磁界は被貯蔵物の貯蔵品質を効果的に向上させ、所望の鮮度保持効果を達成することができる。
【0061】
鮮度保持貯蔵容器200が1つの電磁発生部品221bを有する場合、電磁発生部品221bは貯蔵室の構造に応じてその対応する位置が設定される。すなわち、貯蔵ボックス210自体の形状に応じて貯蔵ボックス210の横方向左右両側の一方に、頂底両側の一方、または前後両側の一方に配置されるように選択されてもよい。貯蔵ボックス210は全体として平坦形状であり、特に貯蔵ボックス210が引き出し構造の場合、電磁発生部品221bは貯蔵ボックス210の頂部または底部に優先的に配置される。
【0062】
電磁発生部品221bが貯蔵ボックス210の頂部または底部に優先的に配置される実施例では、電磁発生部品221bの磁極方向は縦方向に設定され、鮮度保持貯蔵容器200内の貯蔵室で下から上への磁界が形成され得る。
【0063】
図10は、本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。本実施例では、電磁発生部品221bは貯蔵ボックス210の背部に配置されてもよく、その磁極方向は前後の奥行き方向に設定されてもよい。鮮度保持貯蔵容器200内の貯蔵室で前後方向の磁界が形成され得る。該構造は特に前後の奥行き方向に浅い貯蔵室に適する。
【0064】
図11は、本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。本実施例では、電磁発生部品221bは貯蔵ボックス210の左側または右側に配置されてもよく、その磁極方向は左右横方向に設定されてもよい。鮮度保持貯蔵容器200内の貯蔵室で左右方向の磁界が形成され得る。該構造は特に左右横方向に狭い貯蔵室に適する。
【0065】
磁界強度および均一性を向上させるように、いくつかの実施例では、2つの電磁発生部品221bを配置してもよい。
図12は、本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器の概略図である。2つの電磁発生部品221bはそれぞれ貯蔵ボックス210の対向する1組の側壁に配置されている。2つの電磁発生部品221bは貯蔵ボックス210自体の形状に応じて、貯蔵ボックス210の横方向左右両側、頂底両側、または前後両側に配置されるように選択されてもよい。貯蔵ボックス210は全体として平坦形状であり、特に貯蔵ボックスが引き出し構造の場合、2つの電磁発生部品221bは貯蔵ボックス210の頂部および底部に優先的に配置される。このような配置により、2つの電磁発生部品221b間の距離を小さくし、磁界強度および均一性を向上させることができる。
【0066】
2つの電磁発生部品221bの磁界方向は同じであり、それぞれ所在する側壁に対して垂直であり、貯蔵室を貫通する磁界を形成する。2つの電磁発生部品221bが貯蔵ボックス210の頂部および底部に配置される実施例では、2つの電磁発生部品221bのN極を上向きとし、S極を下向きとし、貯蔵室を下から上へ貫通する磁界を形成する。同様の技術思想に基づいて、磁極方向を調整することにより逆方向の磁界を実現してもよい。すなわち、2つの電磁発生部品221bのS極を上向きとし、上から下への磁界を実現することは、当業者にとって容易である。上記電磁発生部品221bによって形成された磁界は静磁界であり、貯蔵室内を常に一定強度を有する磁界にすることができる。
【0067】
電磁発生部品221bは貯蔵室の全ての位置で均一な磁界が形成されるように保証される。すなわち、貯蔵室が死角なく磁界範囲内に収まる。両側の電磁発生部品221bは磁界をより均一にし、鮮度保持効果をより良く実現することができる。
【0068】
図12は、2つの電磁発生部品221bが貯蔵ボックス210の頂部および底部に配置される実施例を示す。これに基づいて、電磁発生部品221bは、貯蔵ボックス210自体の形状および冷蔵庫10内の位置に応じて、貯蔵ボックス210の横方向両側、頂底両側、または前後両側に配置されるように選択されてもよい。
【0069】
図13は、本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。
図14は、
図13に示す鮮度保持貯蔵容器200の部品分解図である。本実施例中の鮮度保持貯蔵容器200はさらに均一磁性板222を含んでもよい。均一磁性板222は電磁発生部品221bの貯蔵ボックス210に背向する側に貼着されている。
【0070】
均一磁性板222は保磁力が低く透磁率の高い材質からなり、例えば珪素鋼板または類似材料からなる。2つの均一磁性板222はそれぞれ電磁発生部品221bの外側に配置されている。例えば頂部にある電磁発生部品221bの上方に頂部均一磁性板222が配置され、底部にある電磁発生部品221bの下方に底部均一磁性板222が配置されている。均一磁性板222の一側板面は、磁界伝導のために対応する電磁発生部品221bに貼着されている。いくつかの実施例では、均一磁性板222と電磁発生部品221bは溶接、接着によって固定され得る。
【0071】
均一磁性板222は電磁発生部品221bの磁界分布をより均一にするように変える。いくつかの実施例では、電磁発生部品221bの寸法は貯蔵ボックス210の対応側壁よりも小さくてもよく、貯蔵室の均一磁性板222を含む平面への投影は均一磁性板222の外周輪郭範囲内に位置する。すなわち、電磁発生部品221bの寸法は小さくてもよく、均一磁性板222により磁界の被覆領域が拡大される。均一磁性板222は貯蔵室に対応する側面の大きさとほぼ同じ、または側面の面積よりもわずかに大きい。例えば、貯蔵ボックス210の頂部にある均一磁性板222は貯蔵室の頂部領域を覆うことができ、貯蔵ボックス210の底部にある均一磁性板222は貯蔵室の底部領域を覆うことができる。
【0072】
同一側に配置された電磁発生部品221bおよび均一磁性板222の中心はいずれも所在する貯蔵ボックス210の側壁の中心に対向する。すなわち、頂部にある電磁発生部品221bおよび均一磁性板222は貯蔵室の頂部と中心が同じ位置にあり、底部にある電磁発生部品221bおよび均一磁性板222は貯蔵室の底部と中心が同じ位置にありる。大寸法の均一磁性板222により電磁発生部品221bの磁界範囲を広げることができ、貯蔵室が死角なく磁界範囲内に収まる。
【0073】
さらに、均一磁性板222は鮮度保持貯蔵容器200のコストおよび重量を低減することができる。頂部にある電磁発生部品221bは貯蔵室上面の中央位置に位置し、底部にある電磁発生部品221bは貯蔵室底面の中央位置に位置する。均一磁性板222は磁界を貯蔵室内全体で分布させ、磁界強度が設定された要求を満たすことができる。
【0074】
図13に示す実施例では、2つの電磁発生部品221bのN極を上向きとし、S極を下向きとし、貯蔵室を下から上へ貫通する磁界を形成する。同様の技術思想に基づいて、磁極方向を調整することにより逆方向の磁界を実現してもよい。すなわち、2つの電磁発生部品221bのS極を上向きとし、上から下への磁界を実現することは、当業者にとって容易である。
【0075】
上記の説明に基づいて、均一磁性板222による電磁発生部品221bの左右配置、または前後配置は、当業者にとって容易である。
【0076】
図15は、本発明のさらに別の実施例による冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。本実施例では、2つの電磁発生部品221bは左右に配置され、一方は貯蔵ボックス210の右側に配置され、他方は貯蔵ボックス210の左側に配置されている。2つの電磁発生部品221bの磁極は左側に向かっており、右から左への磁界方向を実現している。同様の技術思想に基づいて、磁極方向を調整することにより逆方向の磁界を実現してもよい。すなわち、左から右への磁界を実現することは、当業者にとって容易である。
【0077】
上記左右に配置された電磁発生部品221bは同様に均一磁性板222をさらに含んでもよく、均一磁性板222により磁界分布を変え、2つの電磁発生部品221bの左右外側にそれぞれ左右側面を覆う均一磁性板222が配置されて、貯蔵室が死角なく磁界範囲内に収まる。
【0078】
均一磁性板のない鮮度保持貯蔵容器200では、電磁発生部品221bの面積を増加させることにより磁界の死角ない分布を実現してもよい。すなわち、貯蔵ボックス210の左側にある電磁発生部品221bは貯蔵室の左側を覆うことができ、貯蔵ボックス210の右側にある電磁発生部品221bは貯蔵室の右側を覆うことができる。均一磁性板222が配置された後、左側の均一磁性板222により貯蔵室の左側を覆い、右側の均一磁性板222により貯蔵室の右側を覆う。
【0079】
図16は、本発明の一実施例による引き出し構造の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。鮮度保持貯蔵容器200の貯蔵ボックス210は、筒体211および引き出し212を含み得る。筒体211は前方開口を有する。引き出し212は筒体211内に引き出し可能に配置されている。貯蔵ボックス210が引き出された後に貯蔵室213が露出し、被貯蔵物へのアクセスが実現される。引き出し212が筒体211に押し込まれると、独立した密閉空間を形成することができる。
【0080】
2つの磁界発生部品221(具体的に永久磁石板221aまたは電磁発生部品221b)はそれぞれ筒体211の上方および下方、すなわち、筒体211の頂壁の外側および底壁の外側に配置されてもよい。いくつかの実施例では、頂部にある磁界発生部品221は筒体211の頂壁に貼着され、底部にある磁界発生部品221は筒体211の底部に貼着されている。引き出し212の両側にガイドレールなどの部品があり、前側に開口があることを考慮すると、磁界発生部品221をそれぞれ筒体211の頂部および底部に配置することにより磁界発生部品221と被貯蔵物の距離を小さくし、磁界の効果的な利用率を向上させることができる。該引き出し構造の鮮度保持貯蔵容器200は引き出し212自体の貯蔵室213に与える影響が小さい。
【0081】
代替的に、磁界発生部品221が永久磁石板221aである場合、永久磁石板221aは適切に小さくてもよく、外側に貯蔵室213の対向する側面を覆う均一磁性板を追加してもよい。均一磁性板により磁界が貯蔵室213を均一に覆う。
【0082】
代替的に、磁界発生部品221が電磁発生部品221bである場合、電磁発生部品221bと合わせて均一磁性板を配置してもよい。均一磁性板により磁界が貯蔵室213を均一に覆う。
【0083】
図17は、本発明の別の実施例による引き出し構造の鮮度保持貯蔵容器200の概略図である。本実施例では、2つの磁界発生部品221(具体的に永久磁石板221aまたは電磁発生部品221b)はそれぞれ筒体211の頂壁の内側および筒体211の底壁の内側に配置されてもよい。すなわち、磁界発生部品221は筒体211内に配置されている。磁界発生部品221が筒体211の内壁に固定されることで、磁界発生部品221と被貯蔵物の距離がさらに減少し、磁界の効果的な利用率を向上させることができる。
【0084】
代替的に、磁界発生部品221と筒体211間に貯蔵室213の対向する側面を覆う均一磁性板を追加してもよい。均一磁性板により磁界が貯蔵室213内で均一に分布する。
【0085】
図18は、本発明の一実施例による引き出し構造の鮮度保持貯蔵容器200中の送風構造の概略図である。鮮度保持貯蔵容器200は空冷式内部冷凍を実現し、エアインレットダクトアセンブリ214および還気口215をさらに含む。エアインレットダクトアセンブリ214は筒体211内に冷気を供給するように構成されている。還気口215は筒体211に開設され、筒体211内の空気を排出するために使用される。
図18では、磁界発生部品221は筒体211の外側のカバープレートによって覆われており、図示されない。
【0086】
エアインレットダクトアセンブリ214は、冷蔵庫10の冷凍送風ダクトに接続され、冷凍送風ダクト内の蒸発器によって熱交換を経た低温気流を筒体211内に導入するために使用される。いくつかの実施例では、冷凍送風ダクトは貯蔵ボックス210の頂部から入り、熱交換を経た後還気口215から送り出される。本実施例では、エアインレットダクトアセンブリ214および還気口215は鮮度保持貯蔵容器200の後側に設けられ、その具体的な位置は冷蔵庫10内の送風ダクトの位置および冷凍システム構造に応じて設定すればよい。空冷式システムは、貯蔵室213を設定温度範囲内で安定させることができ、磁界の作用と併せて、被貯蔵物の磁界鮮度保持機能を実現する。
【0087】
磁界発生部品221が電磁発生部品221bである場合、引き出し式の貯蔵ボックス210の内部に導風部品がさらに配置され、冷気が電磁発生部品221bに流れる。これにより、電磁発生部品221bが通電後に発する熱が貯蔵ボックス210の内部の貯蔵温度に影響を与えることが回避される。
【0088】
磁界により冷凍貯蔵を補助する場合、冷蔵庫10は、貯蔵室に新たな被貯蔵物が置かれ、貯蔵温度が設定された温度閾値範囲内にあるときに、電磁発生部品221bを起動させ、電磁界を発生させてもよい。上記温度閾値範囲は、凍結過程中の結晶化時の温度に応じて設定されてもよく、結晶化の過程中磁界強度を高めるようにしてもよい。また、正常の貯蔵過程中、磁界は一定の磁界強度を維持し、被貯蔵物に対して着磁処理を行う。上記制御方法により、被貯蔵物が強い磁界環境で凍結され、氷結晶成長を抑制し、細胞への損傷を回避し、汁の損失を回避し、食材のより良い食感を保証し、冷凍貯蔵品質が向上し、貴重な食材の貯蔵品質に対するユーザの要求を満たすことができる。
【0089】
上記いくつかの実施例の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器では、2つの永久磁石板221aを用いて貯蔵ボックス210内の貯蔵室を貫通する磁界を形成し、磁界強度は1~200Gsである。冷凍環境に適用される場合、磁界強度範囲は好ましくは5~60GSであり、例えば約20Gsである。冷蔵環境に適用される場合、磁界強度範囲は20~160GSであり、好ましくは40~80Gsであり、例えば約60Gsである。永久磁石板221aによって形成された永久磁界は、より安定した磁界を有し、電磁素子の発熱による貯蔵品質への影響を回避する。
【0090】
均一磁性板222および磁界発生部品221(永久磁石板221aまたは電磁発生部品221b)の構造を最適化することにより、鮮度保持貯蔵容器200の構造がよりコンパクトになり、特に貯蔵引き出しのような構造に適する。磁界は貯蔵品質の向上に寄与し、凍結時間を短縮し、食品の汁損失率および栄養の損失を回避し、細胞や組織などの生物学的製品が冷凍過程で受ける低温損傷を良好に低減し、細胞の機能および形態を良好に保持し、微生物および細菌数を低減し、鮮度保持周期を延長することができる。
【0091】
本実施例の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語によって示される方位または位置関係は、添付図面に基づく方位または位置関係であり、本発明の説明および説明の簡素化のためにのみ使用され、かかる装置または素子は必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構造および操作されることを指示または暗示するものではなく、本発明の限定として理解されない。
【0092】
本発明の説明において、ある特徴があるまたはそれに含まれるいくつかの特徴を「含むまたは有する」場合、特に明記しない限り、他の特徴を含むか、他の特徴をさらに含むことが排除されないことに留意されたい。
【0093】
特に明示的に規定および限定しない限り、「取付」、「連結」、「接続」などの用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、固定してもよく、着脱可能に接続してもよく、または一体的であってもよいし、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、直接的に連結してもよく、中間媒体を介して間接的に連結してもよく、2つの素子内部の連通または2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0094】
特に限定しない限り、本実施例の説明において使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本出願が属する技術分野における一般的なものによって理解され得る意味と同じ意味を有する。
【0095】
本実施例の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「概略的な実施例」、「例示」、「具体例」、または「いくつかの例」などの参照用語は、本実施例または例示的に説明された具体的な特徴、構造、材料または特性が本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の概略的な表現は、必ずしも同一の実施例または例を指すものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例では適切な方法で組み合わせることができる。
【0096】
ここまで、本明細書で本発明の複数の例示的な実施例を網羅的かつ詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の開示内容に基づいて、本発明の原理に適合する他の多くの変形または修正を直接に決定または推論することができることが、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の範囲はそれらのすべての変形または修正をカバーすることを意図していることが理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被貯蔵物を載置するための貯蔵室が設けられた貯蔵ボックスと、
平板状に構成され、前記貯蔵ボックスの一側壁に配置され、前記貯蔵室に作用する磁界を発生させるために使用され、前記磁界の磁界強度範囲は1~200Gsである1つまたは複数の磁界発生部品と、を含む、冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項2】
前記磁界発生部品は永久磁石板であり、前記磁界発生部品の数は2つであり、2つの前記永久磁石板はそれぞれ前記貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、2つの前記永久磁石板の磁界方向は同じであり、それぞれ所在する前記側壁に対して垂直であり、前記貯蔵室を貫通する磁界を形成する、請求項1に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項3】
前記永久磁石板の形状は所在する前記貯蔵ボックスの側壁形状に適合され、前記貯蔵室の前記永久磁石板を含む平面への投影は前記永久磁石板の外周輪郭範囲内に位置する、請求項2に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項4】
前記永久磁石板の前記貯蔵ボックスに背向する側に貼着された均一磁性板をさらに含み、前記貯蔵室の前記均一磁性板を含む平面への投影は、前記均一磁性板の外周輪郭範囲内に位置する、請求項2に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項5】
前記永久磁石板の寸法は所在する前記貯蔵ボックスの前記側壁よりも小さく、同一側に配置された前記永久磁石板および前記均一磁性板の中心は、それぞれ所在する前記貯蔵ボックスの前記側壁の中心に対向する、請求項4に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項6】
前記永久磁石板の面積は、前記貯蔵室の前記永久磁石板を含む平面への投影面積に対して30%~98%の範囲である、請求項5に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項7】
前記磁界発生部品は電磁発生部品であり、各前記電磁発生部品は前記貯蔵ボックスの一側壁に貼着され、その内部に電磁コイルが巻回され、前記電磁コイルは、前記側壁に対向する磁極を有する磁界を発生させるために通電される、請求項1に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項8】
前記電磁発生部品の数は2つであり、それぞれ前記貯蔵ボックスの対向する1組の側壁に配置され、2組の電磁発生部品の磁界方向は、前記磁界が前記貯蔵室を貫通するように同じである、請求項7に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項9】
各前記電磁発生部品は平板状の環状リング構造であり、前記電磁コイルは前記環状リングの環状周面に巻回されている、請求項7または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項10】
前記電磁発生部品の前記貯蔵ボックスに背向する側に貼着された均一磁性板をさらに含み、前記貯蔵室の前記均一磁性板を含む平面への投影は、前記均一磁性板の外周輪郭範囲内に位置する、請求項7または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項11】
各前記電磁発生部品は、
内部に前記電磁コイルが配置された防水ハウジングをさらに含む、請求項7または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項12】
前記貯蔵ボックスは、
前方に開口した筒体と、
前記筒体内に引き出し可能に配置された引き出しと、を含む、請求項2または8に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項13】
2つの前記磁界発生部品はそれぞれ前記筒体の上方および下方に配置されている、請求項12に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項14】
2つの前記磁界発生部品はそれぞれ前記筒体の頂壁の内側および前記筒体の底壁の内側に配置されている、請求項12に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項15】
前記貯蔵ボックス内に冷気を供給するように構成されたエアインレットダクトアセンブリをさらに含み、
前記筒体上に還気口がさらに開設され、前記還気口は前記筒体内の空気を排出するために使用される、請求項12に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器。
【請求項16】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の冷蔵庫用の鮮度保持貯蔵容器を備える、冷蔵庫。
【国際調査報告】