IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーロファーマ ラボラトリオス エス.エイ.の特許一覧 ▶ ウニベルシダード フェデラル ド リオ デ ジャネイロ-ユーエフアールジェイの特許一覧

特表2024-528253NAV 1.7及び/又はNAV 1.8を阻害することができるN-アシルヒドラゾン化合物、その調製方法、それを使用して治療するための組成物、使用、方法並びにキット
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】NAV 1.7及び/又はNAV 1.8を阻害することができるN-アシルヒドラゾン化合物、その調製方法、それを使用して治療するための組成物、使用、方法並びにキット
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/86 20060101AFI20240719BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 307/68 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/443 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/4436 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 213/87 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 239/28 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 333/38 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/421 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 263/34 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 31/433 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 271/06 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 277/56 20060101ALI20240719BHJP
   C07D 285/08 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07D213/86
C07D409/12 CSP
A61K31/381
A61K31/341
C07D307/68
A61P25/04
A61P43/00 111
A61K31/5377
A61K31/443
C07D405/12
A61K31/4418
A61K31/4436
C07D213/87
C07D239/28
A61K31/505
C07D333/38
A61K31/421
C07D263/34
A61K31/4245
A61K31/426
A61K31/433
C07D271/06
C07D277/56
C07D285/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506878
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 BR2022050304
(87)【国際公開番号】W WO2023010192
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/228,516
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524043961
【氏名又は名称】ユーロファーマ ラボラトリオス エス.エイ.
(71)【出願人】
【識別番号】524043972
【氏名又は名称】ウニベルシダード フェデラル ド リオ デ ジャネイロ-ユーエフアールジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】バレイロ,ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】サンタナ,ダニロ ペレイラ デ
(72)【発明者】
【氏名】ガンバ,ルイス エドゥアルド レイナ
(72)【発明者】
【氏名】フラガ,カルロス アルベルト マンスール
(72)【発明者】
【氏名】バレイロ,エリエゼル ジェズス デ ラセルダ
(72)【発明者】
【氏名】リマ,リディア モレイラ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA03
4C086BB02
4C086BC17
4C086BC19
4C086BC42
4C086BC69
4C086BC71
4C086BC73
4C086BC82
4C086BC86
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、Nav 1.7及び/又はNav 1.8阻害剤であるN-アシルヒドラゾン化合物に関する。より具体的には、本発明は、置換基R1~R4が本明細書で定義される基から独立して選択される式(I)のN-アシルヒドラゾン化合物、並びにその調製方法、これらの化合物の少なくとも1つを含む組成物、使用、疼痛関連病態を治療又は予防するための治療方法、及びキットに関する。本発明は、医薬化学、有機合成、並びに疼痛関連障害の治療の分野にある。
【化85】
式(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を含むことを特徴とする化合物
【化27】
式(I)
又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体:
(式中、
Aは、
【化28】
からなる群から選択され、
-R1は、水素、ハロゲン、直鎖若しくは分枝C1-6アルコキシ、2-モルホリノエトキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、又はC1-5ハロアルキルオキシからなる群から選択され;
-R2及びR4は、独立して、水素又は分枝若しくは直鎖C1-6アルキルからなる群から選択され;
-R3は、水素、複素環若しくは置換複素環又はR6からなる群から選択され;
-R5は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルからなる群から選択される。
-R6は、
【化29】
であり、
-R7、R8、R9、R10及びR11は、独立して、水素、ハロゲン、直鎖若しくは分枝C1-6アルコキシからなる群から選択される)。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
-R1が、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ、ブトキシ、2-モルホリノエトキシ、シクロプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロブチルオキシ又はトリフルオロメトキシからなる群から選択され;
-R2及びR4が、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルからなる群から選択され;
-R3が、水素、チオフェン、フラン、1H-ピロール-2-イル、1-メチル-1H-ピロール-2-イル、1-エチル-1H-ピロール-2-イル、1H-イミダゾール-5-イル、1H-ピラゾール-5-イル、2-オキサゾール、2-チアゾール、5-オキサゾール、5-チアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、3-イソオキサゾール、5-イソオキサゾール、3-イソチアゾール、5-イソチアゾール、イソオキサゾールピリジン-3-イル;ピリジン-4-イル、ピリジン-2-イル;2-モルホリノピリジン-3-イル、4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル、又はR6からなる群から選択され;
-R5が、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はトリフルオロメチルからなる群から選択され;
-R7、R8、R9、R10及びR11が、独立して、水素、塩素、フッ素、臭素、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロキシからなる群から選択されることを特徴とする、化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物であって、
-R1が、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ、ブトキシ、2-モルホリノエトキシ、シクロプロポキシ;シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロブチルオキシ又はトリフルオロメトキシからなる群から選択され;
-R2及びR4が、独立して、水素又はメチルから選択され;
-R3が、水素、チオフェン、ピリジン-3-イル;ピリジン-4-イル、ピリジン-2-イル;2-モルホリノピリジン-3-イル、4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル、又はR6からなる群から選択され;
-R5が、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ又はトリフルオロメチルからなる群から選択され;
-R7が、水素、塩素、フッ素又はメトキシから選択され;
-R8及びR10が、独立して、水素又はメトキシから選択され;
-R9が水素であり;
-R11が、水素、塩素又はフッ素からなる群から選択されることを特徴とする、化合物。
【請求項4】
以下からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物:
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物1);
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物2);
(E)-5-(4-エトキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物3);
(E)-5-(4-エトキシフェニル)-N’-((2-モルホリノピリジン-3-イル)メチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物4);
(E)-N’-((4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル)メチレン)-5-(4-エトキシフェニル)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物5);
(E)-5-(4-エトキシフェニル)-N’-(ピリジン-3-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物6);
(E)-5-(4-イソプロポキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物7);
(E)-N’-((4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル)メチレン)-5-(4-イソプロポキシフェニル)フラン-2-
カルボヒドラジド(化合物8);
(E)-5-(4-(2-モルホリノエトキシ)フェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物9);
(E)-6-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物10);
(E)-6-(4-クロロフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物11);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物12);
(E)-6-(4-イソプロポキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物13);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-メトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物14);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-プロポキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物15);
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ニコチノヒドラジド(化合物16);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ニコチノヒドラジド(化合物17);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-エトキシフェニル)ニコチノヒドラジド(化合物18);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-イソプロポキシフェニル)ニコチノヒドラジド(化合物19);
(E)-2-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)イソニコチノヒドラジド(化合物20);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物21);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-エトキシフェニル)イソニコチノヒドラジド
(化合物22);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-イソプロポキシフェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物23);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-イソプロポキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物24);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)ニコチノヒドラジド
(化合物25);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-プロポキシフェニル)ニコチノヒドラジド
(化合物26);
(E)-5-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ニコチノヒドラジド
(化合物27);
(E)-5-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ニコチノヒドラジド(化合物28);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物29);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-プロポキシフェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物30);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物31);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-(2-フルオロベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物32);
(E)-N’-(2-クロロベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物33);
(E)-N’-(2,6-ジクロロベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物34);
(E)-N’-(2-クロロ-6-フルオロベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド
(化合物35);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-(2-メトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物36);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-((2-モルホリノピリジン-3-イル)メチレン)ピコリノヒドラジド(化合物37);
(E)-2-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)イソニコチノヒドラジド
(化合物38);
(E)-2-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)イソニコチノヒドラジド(化合物39);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピコリノヒドラジド(化合物40);
(E)-6-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物41);
(E)-4-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物42);
(E)-4-(4-クロロフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物43);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物44);
(E)-4-(4-エトキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物45);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-イソプロポキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物46);
(E)-4-(4-イソプロポキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物47);
(E)-4-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物48);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピコリノヒドラジド(化合物49);
(E)-4-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物50);
(E)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピコリノヒドラジド(化合物51);
(E)-2-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物52);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-エトキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物53);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物54);
(E)-2-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物55;
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物56);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物57);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-プロポキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド
(化合物58);
(E)-2-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物59);
(E)-4-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物60);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-エトキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物61);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物62);
(E)-4-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物63);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物64);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-メトキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物65);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-プロポキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物66);
(E)-4-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物67);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)-4-フルオロピコリノヒドラジド(化合物68);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)-4-トリフルオロメチル)ピコリノヒドラジド(化合物69);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-エトキシフェニル)-4-フルオロニコチノヒドラジド(化合物70);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物71);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボヒドラジド(化合物72);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)オキサゾール-5-カルボヒドラジド(化合物73);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェノール)オキサゾール-4-カルボヒドラジド(化合物74);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-3-(4-メトキシフェノール)-1,2,4-オキサジアゾール-5-カルボヒドラジド(化合物75);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)チアゾール-4-カルボヒドラジド(化合物76);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-チアジアゾール-3-カルボヒドラジド(化合物77);
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-N-メチルフラン-2-カルボヒドラジド(化合物78);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)-N-メチルピコリノヒドラジド(化合物79)。
【請求項5】
電位依存性ナトリウムチャネルNav 1.7及び/又はNav 1.8の選択的阻害剤であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
治療有効量の、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の1又はそれ以上の化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体と、1又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項7】
経口、舌下、経鼻、非経口、注射、筋肉下、局所、経皮、眼又は直腸組成物として製剤化されることを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
神経障害性疼痛に関連する病態を治療するための医薬品を調製するためのものであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の(1又は複数の)化合物の使用。
【請求項9】
前記病態が、末梢神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、複合性局所疼痛、ウイルス感染に関連する神経障害、腫瘍浸潤に続発する神経障害、糖尿病性神経障害、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛及び術後神経痛からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
神経障害性疼痛関連病態を治療、予防、緩和、抑制及び/又は制御する方法であって、有効量の、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体を投与する工程を特徴とする方法。
【請求項11】
末梢神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、複合性局所疼痛、ウイルス感染に関連する神経障害、腫瘍浸潤に続発する神経障害、糖尿病性神経障害、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛及び術後神経痛の治療又は予防のためのものであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(I)の少なくとも1つの化合物の投与が、経口的、舌下的、経鼻的、非経口的、注射、筋肉下的、局所的、経皮的、眼的及び直腸的を含む群から選択されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を得るための方法であって、
以下の工程を含むことを特徴とする方法:
(a)式IIIの中間体:
【化30】
式III
を、式IVの中間体:
【化31】
式IV
のヒドラジン分解反応から形成する工程
(b)R4が水素である式Iの化合物:
【化32】
式I
を、式IIの中間体:
【化33】
式II:
と式IIIとの、触媒及び適切な溶媒の存在下又は非存在下での、縮合から得る工程;
(式中、
Aは、
【化34】
からなる群から選択され、
-R1は、水素、ハロゲン、直鎖若しくは分枝C1-6アルコキシ、2-モルホリノエトキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、又はC1-5ハロアルキルオキシからなる群から選択され;
-R2及びR4は、独立して、水素又は分枝若しくは直鎖C1-6アルキルからなる群から選択され;
-R3は、水素、複素環若しくは置換複素環又はR6からなる群から選択され;
-R5は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルからなる群から選択される。
-R6は、
【化35】
であり、
-R7、R8、R9、R10及びR11は、独立して、水素、ハロゲン、直鎖若しくは分枝C1-6アルコキシからなる群から選択される)。
【請求項14】
無機塩基及び極性非プロトン性溶媒の存在下で、工程(b)で得られた化合物の直鎖又は分枝C1-6アルキルハライドによる求核置換反応から、R4が直鎖又は分枝C1-5アルキルである式(I)の化合物を形成する工程(c)をさらに含むことをさらに特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)において、前記触媒が、濃塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又はギ酸から選択され、前記溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、又はそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)において、前記無機塩基がK2CO3又はNaHから選択されることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項6に記載の医薬組成物及び適用装置を含むことを特徴とするキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Nav 1.7及び/又はNav 1.8阻害剤であるN-アシルヒドラゾン化合物、その調製方法、これらを含有する組成物、疼痛関連病態を治療又は予防するための使用、キット及び治療方法に関する。本発明は、医薬化学、有機合成、並びに疼痛関連障害の治療の分野に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
生理的疼痛は、身体に、その完全性を危険にさらす可能性がある実際の又は潜在的な損傷を警告するために発達した重要な保護機構である。一般的に、生理的疼痛は、侵害受容性疼痛と炎症性疼痛とに分類することができる。侵害受容性疼痛は、それを発生させた刺激が排除されるまで残る高い活性化閾値を示すことを特徴とする。組織損傷に対する応答として生じる炎症性疼痛は、低い活性化閾値を特徴とし、侵害受容器を感作する炎症過程の細胞及び分子メディエーターの活性の結果である(Schaible.Langenbecks Arch.Surg.2004,389,237)。これらの侵害受容過程が有害刺激の非存在下又は非有害刺激に応答下で存続している場合、疼痛の保護的及び修復的役割はその機能性を失い、神経可塑性の不適応フレームワークを構成し、結果として慢性疼痛の病理学的状態を構成する。この分類に含まれる症候群の中で、神経障害性疼痛は、今日では高い有病率及び影響を有する(Smith.Pain.2020,161,1:S127;Cavalli.Int.J.Immunopathol.Pharmacol.2019,33:2058738419838383;Bouhassira.Rev Neurol(Paris).2019,175(1-2):16;Scholz.Nature Neurosci.,2002,5,1062;Costigan.Annu.Rev.Neurosci.,2009,32,1)。
【0003】
神経障害性疼痛は、中枢神経系及び/又は末梢神経系における一次機能不全又は損傷によって開始又は引き起こされる疼痛として、国際疼痛研究協会(International Association for the Study of Pain)(IASP)によって定義されている(Dworkin.Clin.J.Pain,2002,18(6),343)。中枢神経障害性疼痛は、脊髄損傷又は中枢神経系の疾患、例えば多発性硬化症又はパーキンソン病に由来する(Ducreux.Brain,2006,129,963)。一方、末梢神経障害性疼痛は、とりわけ、外傷、代謝障害、化学的神経毒性、感染又は腫瘍浸潤によって引き起こされ得る。最も一般的な神経障害性疼痛症候群には、化学療法誘発性神経障害、複合性局所疼痛、ウイルス感染に関連する神経障害、腫瘍浸潤に続発する神経障害、糖尿病性神経障害、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛及び術後神経痛がある(Pak.Curr.Pain Headache Rep.,2018,22(2),9)。
【0004】
現在、神経障害性疼痛に関連する病態の制御のための具体的な治療法はない。しかし、第一選択の選択肢は、オピオイド鎮痛薬の使用、及びアジュバントとしての局所麻酔薬、抗痙攣薬及び抗うつ薬の使用からなる。それにもかかわらず、有害作用及び不十分な有効性は、様々な疼痛関連病態の制御におけるこれらの薬剤の使用を劇的に制限する(Kushnarev.Expert Opin.Investig.Drugs,2020,29(3),259;Emery.Expert Opin.Ther.Targets,2016,20(8),975)。
【0005】
電位依存性ナトリウムチャネル(Nav)は、疼痛関連刺激の伝達において重要な役割を果たす。これらのチャネルは、膜の脱分極に応答して活性化され、膜を横切るナトリウムイオンの流れを制御することによってニューロン(及び他の電気的に励起可能な細胞)における活動電位の発生及び伝播を可能にする。構造的に、電位依存性ナトリウムチャネルは、αサブユニット及び2つのヘルパーβサブユニットからなるヘテロマー膜貫通タンパク質である。αサブユニットは、各々が6つの膜貫通セグメント(S1~S6)を有する4つの相同ドメイン(I~IV)に組織化される。各ドメインのS4セグメントは、ニューロンの細胞内及び細胞外電気環境のセンサとして作用するアルギニン残基の保存領域を特徴とする。この機構は、細胞電場の変化を特定の配座変化に変換することを可能にし、それは次に、電位依存性ナトリウムチャネルの活性化、脱活性化及び不活性化を調節する(Catterall.Nat.Chem.Biol.,2020,16,1314;Wisedchaisri.Cell.,2019,178(4),993;Clairfeuille.Science,2019,363,1302)。
【0006】
哺乳動物では、9つのαサブユニット(Nav 1.1~Nav 1.9)及び4つのβヘルパーサブユニット(β1~β4)が同定されている。αサブユニットはまた、テトロドトキシン遮断に対する感受性(TTX)に関して分類することができ、テトロドトキシン感受性(Nav 1.1、Nav 1.2、Nav 1.3、Nav 1.4、Nav 1.6及びNav 1.7)又はテトロドトキシン耐性(Nav 1.5、Nav 1.8及びNav 1.9)として分類される(Lera-Ruiz.J.Med.Chem.,2015,58(18),7093;Bagal.J.Med.Chem.,2013,56(3),593)。これらのαサブユニットはそれぞれ、それらの一部が心臓及び/又は脳などの器官の適切な機能に不可欠であるように、差次的な発現及び機能プロファイルを示す。したがって、これらのチャネルの非選択的遮断は、とりわけ、片頭痛、てんかん、麻痺並びに筋肉及び心臓症候群などのいくつかの種類の有害作用に関連している(Bagal.J.Med.Chem.,2013,56(3),593;Bagal.Channels,2015,9(6),360)。
【0007】
一般に、ナトリウムチャネルは、主に中枢神経系及び末梢神経系、ニューロン及びグリアに分布している。Navチャネル1.1、1.2及び1.3は主に脳で発現される。Nav 1.4及びNav 1.5チャネルは、それぞれ主に骨格筋及び心筋に見られる。Nav 1.6チャネルは中枢神経系及び末梢神経系で発現され、Nav 1.9チャネルは後根神経節のC型侵害受容線維で選択的に発現される。一方、Nav 1.7及びNav 1.8チャネルは主に末梢神経系に見られ、疼痛伝達過程に直接関連している(Law.Drug Discovery Today,2019,24(7),1389;Bagal.Channels(Austin),2015,9(6),360;Lera-Ruiz.J.Med.Chem.,2015,58(18),7093)。
【0008】
Nav 1.7ナトリウムチャネルは、嗅上皮、交感神経節及び後根神経節において広く発現され、主にC及びAδ侵害受容線維において優勢に発現される。大量のエビデンスが、疼痛伝達過程におけるNav 1.7ナトリウムチャネルの重要な役割を裏付けている。例えば、Nav 1.7ナトリウムチャネルをコードする遺伝子(SCN9A)における機能獲得関連変異は、先天性疼痛過敏症、発作性激痛症及び原発性紅痛症などの激痛症に関連する。一方、遺伝子(SCN9A)機能の喪失に関連する突然変異は、一般的に運動障害又は認知障害がない個体における疼痛に対する先天性不感覚に関連している(Vetter.Pharmacology&Therapeutics,2017,172,73;Ahuja.Science,2015,350(6267),1491;Kingwell.Nat.Rev.Drug Discov.,2019,18,321;Safina.J.Med.Chem.,2021,64,2953;Luo.J.Med.Chem.,2019,62,831;Bankar.Cell Reports,2018,24,3133)。
【0009】
Nav 1.8ナトリウムチャネルは、末梢神経系、主に(排他的ではないが)後根神経節のC型侵害受容線維における発現増加を示す。慢性疼痛状態におけるNav 1.8発現レベルの上昇、Nav 1.8ノックアウト動物データ、及びとりわけNav 1.8に特異的な脱感作オリゴデオキシヌクレオチドの鎮痛活性(Brown.Bioorg.Med.Chem.,2019,27(1),230;Payne.Br.J.Pharmacol.,2015,172(10),2654;Bagal.Med.Chem.Lett.2015,6(6)650;Kort.J.Med.Chem.2008,51,407;Zhang.Neuropharmacology,2010,59,201 and 207)を含む最近のエビデンスは、疼痛関連病態の発症及び過程におけるNav 1.8ナトリウムチャネルの役割を裏付けている(Kingwell.Nat.Rev.Drug Discov.,2019,18,321;Law.Drug Discovery Today,2019,24(7),1389;Bagal.Channels(Austin),2015,9(6),360;Lera-Ruiz.J.Med.Chem.,2015,58(18),7093)。
【0010】
このようにして、電位依存性ナトリウムチャネルNav 1.7及びNav 1.8は、神経障害性疼痛関連機能不全の治療のための有望な治療標的と考えられている(Kornecook.J.Pharmacol.Exp.Ther.,2017,362,146;Kingwell.Nat.Rev.Drug Discov.,2019,18,321;Bagal.Channels(Austin),2015,9(6),360;Lera-Ruiz.J.Med.Chem.,2015,58(18),7093;Deuis.Neuropharmacology,2017,127,87 and 108;Kushnarev.Expert Opin.Investig.Drugs,2020,29(3),259;McKerrall.Bioorganic&Medicinal Chemistry Lett.,2018,28,3141;Emery.Expert Opin.Ther.Targets,2016,20(8),975;Bagal.Bioorganic&Medicinal Chemistry Lett.,2014,24,3690)。
【0011】
多数の化合物が、Nav 1.7及び1.8ナトリウムチャネルの遮断薬として作用する能力について文献に記載されている。しかし、それらは大きな構造的多様性、すなわち共通の薬理学的グループの確立を可能にするものではないという事実を提示している。
【0012】
特許文献は、ナトリウムチャネル遮断薬として作用する化合物のいくつかの例を含む。特に、選択的ナトリウムチャネルNav 1.7の遮断薬は、米国特許第10550080号明細書、米国特許第9765029号明細書及び米国特許第10000475号明細書に記載されている。さらに、いくつかの文献、例えば国際公開第2020261114号パンフレット、国際公開第2020092667号パンフレット、米国特許第9163042号明細書、国際公開第2014120808号パンフレット、国際公開第2014120815号パンフレット、国際公開第2018213426号パンフレット、国際公開第2019014352号パンフレット、国際公開第2015006280号パンフレット及び米国特許第7928107号明細書には、Nav 1.8ナトリウムチャネルの選択的遮断薬が記載されている。これらの文献は、本発明の異なる構造を有する化合物を開示している。
【0013】
さらに、Nav 1.7及び1.8の二重阻害剤を記載する特許文献があり、それらには国際公開第2018235851号パンフレット、米国特許第8629149号明細書、日本特許第2017001991号明細書が含まれ、それぞれピリジルアミン、オキソピペラジン誘導体及びベンゾオキサゾロンを開示している。しかしながら、これらの先行技術の文献はすべて、本発明とは異なる構造及び物理化学的特性を有する化合物を開示している。
【0014】
これに関連して、十分な薬理学的作用を有し、好ましくは軽減された有害作用を提供するNav 1.7及び/又はNav 1.8の阻害剤として作用することができる化合物の新しい代替物を開発することが有利である。したがって、本発明は、疼痛関連疾患の治療の代替物及び/又は補完物として新規かつ進歩性を備えたN-アシルヒドラゾン誘導体に関する。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、疼痛関連病態に対するNav 1.7及び/又は1.8の阻害活性を有するN-アシルヒドラゾン化合物を、組成物、使用、キット、治療方法及び関連する調製方法に加えて開示する。
【0016】
本発明は、式(I)の(1又は複数の)化合物:
【化1】
式(I)
又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体に関する:
(式中、
Aは、
【化2】
からなる群から選択され、
-R1は、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝C1-6アルコキシ、2-モルホリノエトキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、又はC1-5ハロアルキルオキシからなる群から選択され;
-R2及びR4は、独立して、水素又は分枝若しくは直鎖C1-6アルキルからなる群から選択され;
-R3は、水素、複素環若しくは置換複素環又はR6からなる群から選択され;
-R5は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルからなる群から選択される。
-R6は、
【化3】
であり、
-R7、R8、R9、R10及びR11は、独立して、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝C1-6アルコキシからなる群から選択される)。
【0017】
さらに、本発明はまた、式(I)の1又はそれ以上の(1又は複数の)化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物及び異性体と、1又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物に関する。
【0018】
さらに、本発明によるキットは、そのような組成物と、アンプル、シリンジなどを含み得る適用装置とを含み得る。代替的には、本発明によるキットは、1又はそれ以上の剤形(限定するものではないが、錠剤を含む)で配置された複数の式(I)の化合物を、投与説明書と一緒に含む。
【0019】
本発明はさらに、神経障害性疼痛に関連する疾患を治療、予防、緩和、抑制及び/又は制御する方法に関する。神経障害性疼痛関連病態を治療するための医薬品を調製するための、一般式(I)の(1又は複数の)化合物の使用も教示される。最後に、本発明は、一般式(I)の(1又は複数の)化合物を得る方法を教示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、第1の実施形態では、式(I)の化合物:
【化4】
式(I)
又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体を特徴とする:
(式中、
Aは、
【化5】
からなる群から選択され、
-R1は、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝C1-6アルコキシ、2-モルホリノエトキシ、C3-6シクロアルキルオキシ、又はC1-5ハロアルキルオキシからなる群から選択され;
-R2及びR4は、独立して、水素又は分枝若しくは直鎖C1-6アルキルからなる群から選択され;
-R3は、水素、複素環若しくは置換複素環又はR6からなる群から選択され;
-R5は、水素、ハロゲン、トリフルオロメチルからなる群から選択される。
-R6は、
【化6】
であり、
-R7、R8、R9、R10及びR11は、独立して、水素、ハロゲン、直鎖又は分枝C1-6アルコキシからなる群から選択される)。
【0021】
一実施形態では、Aは
【化7】
である。別の好ましい実施形態では、Aは
【化8】
である。さらなる好ましい実施形態では、Aは
【化9】
である。別の好ましい実施形態では、Aは
【化10】
である。別の好ましい実施形態では、Aは、
【化11】
又は
【化12】
から選択される。さらに好ましい実施形態では、Aは、
【化13】
又は
【化14】
からなる群から選択される。
【0022】
一実施形態では、R1は、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ、ブトキシ、2-モルホリノエトキシ、シクロプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロブチルオキシ又はトリフルオロメトキシからなる群から選択される。好ましい実施形態では、R1は、水素、クロロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ、ブトキシ、2-モルホリノエトキシ、シクロペンチルオキシ又はトリフルオロメトキシからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、R1は、クロロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ又は2-モルホリノエトキシからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、R1は、クロロ、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、プロポキシ、ブトキシ、トリフルオロメトキシ又はシクロペンチルオキシからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、R1はメトキシである。
【0023】
一実施形態では、R2及びR4は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルからなる群から選択される。好ましい実施形態では、R2及びR4は、独立して、水素又はメチルから選択される。さらに好ましい実施形態では、R2及びR4はそれぞれ水素である。さらに好ましい実施形態では、R4は水素又はメチルから選択される。
【0024】
一実施形態では、R3は、水素、チオフェン、フラン、1H-ピロール-2-イル、1-メチル-1H-ピロール-2-イル、1-エチル-1H-ピロール-2-イル、1H-イミダゾール-5-イル、1H-ピラゾール-5-イル、2-オキサゾール、2-チアゾール、5-オキサゾール、5-チアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、3-イソオキサゾール、5-イソオキサゾール、3-イソチアゾール、5-イソチアゾール、イソオキサゾールピリジン-3-イル;ピリジン-4-イル、ピリジン-2-イル;2-モルホリノピリジン-3-イル、4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル、又はR6からなる群から選択される。好ましい実施形態では、R3は、水素、チオフェン、ピリジン-3-イル;ピリジン-4-イル、ピリジン-2-イル;2-モルホリノピリジン-3-イル、4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル、又はR6からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、R3は、チオフェン、4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル、ピリジニル、2-モルホリノピリジン-3-イル又はR6からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、R3は、チオフェン、2-モルホリノピリジン-3-イル又はR6からなる群から選択される。別の好ましい実施形態では、R3はチオフェン又はR6である。別の好ましい実施形態では、R3はR6である。
【0025】
一実施形態では、R5は、水素、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はトリフルオロメチルからなる群から選択される。好ましい実施形態では、R5は、水素、フルオロ、又はトリフルオロメチルからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、R5は水素又はフルオロから選択される。
【0026】
一実施形態では、R7、R8、R9、R10及びR11は、独立して、水素、塩素、フッ素、臭素、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロキシからなる群から選択される。
【0027】
好ましい実施形態では、R7は、水素、塩素、フッ素又はメトキシから選択される。さらに好ましい実施形態では、R7は水素である。
【0028】
好ましい実施形態では、R8及びR10は、独立して、水素又はメトキシから選択される。
【0029】
好ましい実施形態では、R9は水素である。
【0030】
好ましい実施形態では、R11は、水素、塩素又はフッ素からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、R11は水素である。
【0031】
好ましい実施形態では、式(I)の(1又は複数の)化合物は、以下からなる群から選択される:
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物1);
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物2);
(E)-5-(4-エトキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物3);
(E)-5-(4-エトキシフェニル)-N’-((2-モルホリノピリジン-3-イル)メチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物4);
(E)-N’-((4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル)メチレン)-5-(4-エトキシフェニル)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物5);
(E)-5-(4-エトキシフェニル)-N’-(ピリジン-3-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物6);
(E)-5-(4-イソプロポキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物7);
(E)-N’-((4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イル)メチレン)-5-(4-イソプロポキシフェニル)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物8);
(E)-5-(4-(2-モルホリノエトキシ)フェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物9);
(E)-6-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物10);
(E)-6-(4-クロロフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物11);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物12);
(E)-6-(4-イソプロポキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物13);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-メトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物14);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-プロポキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物15);
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ニコチノヒドラジド(化合物16);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ニコチノヒドラジド(化合物17);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-エトキシフェニル)ニコチノヒドラジド(化合物18);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-イソプロポキシフェニル)ニコチノヒドラジド(化合物19);
(E)-2-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)イソニコチノヒドラジド(化合物20);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物21);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-エトキシフェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物22);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-イソプロポキシフェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物23);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-イソプロポキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物24);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)ニコチノヒドラジド(化合物25);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-プロポキシフェニル)ニコチノヒドラジド(化合物26);
(E)-5-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ニコチノヒドラジド(化合物27);
(E)-5-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ニコチノヒドラジド(化合物28);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物29);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-プロポキシフェニル)イソニコチノヒドラジド(化合物30);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物31);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-(2-フルオロベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物32);
(E)-N’-(2-クロロベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物33);
(E)-N’-(2,6-ジクロロベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物34);
(E)-N’-(2-クロロ-6-フルオロベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物35);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-(2-メトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物36);
(E)-6-(4-エトキシフェニル)-N’-((2-モルホリノピリジン-3-イル)メチレン)ピコリノヒドラジド(化合物37);
(E)-2-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)イソニコチノヒドラジド(化合物38);
(E)-2-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)イソニコチノヒドラジド(化合物39);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピコリノヒドラジド(化合物40);
(E)-6-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物41);
(E)-4-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物42);
(E)-4-(4-クロロフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物43);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-エトキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物44);
(E)-4-(4-エトキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物45);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-イソプロポキシフェニル)ピコリノヒドラジド(化合物46);
(E)-4-(4-イソプロポキシフェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物47);
(E)-4-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピコリノヒドラジド(化合物48);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピコリノヒドラジド(化合物49);
(E)-4-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)ピコリノヒドラジド(化合物50);
(E)-N’-(チオフェン-2-イルメチレン)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピコリノヒドラジド(化合物51);
(E)-2-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物52);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-エトキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物53);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物54);
(E)-2-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物55);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物56);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物57);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-プロポキシフェニル)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物58);
(E)-2-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-4-カルボヒドラジド(化合物59);
(E)-4-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物60);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-エトキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物61);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-イソプロポキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物62);
(E)-4-(4-(シクロペンチルオキシ)フェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物63);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物64);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-メトキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物65);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-4-(4-プロポキシフェニル)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物66);
(E)-4-(4-ブトキシフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)ピリミジン-2-カルボヒドラジド(化合物67);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)-4-フルオロピコリノヒドラジド(化合物68);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)-4-トリフルオロメチル)ピコリノヒドラジド(化合物69);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-エトキシフェニル)-4-フルオロニコチノヒドラジド(化合物70);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)フラン-2-カルボヒドラジド(化合物71);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボヒドラジド(化合物72);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)オキサゾール-5-カルボヒドラジド(化合物73);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェノール)オキサゾール-4-カルボヒドラジド(化合物74);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-3-(4-メトキシフェノール)-1,2,4-オキサジアゾール-5-カルボヒドラジド(化合物75);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-2-(4-メトキシフェニル)チアゾール-4-カルボヒドラジド(化合物76);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-5-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-チアジアゾール-3-カルボヒドラジド(化合物77);
(E)-5-(4-クロロフェニル)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-N-メチルフラン-2-カルボヒドラジド(化合物78);
(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-エトキシフェニル)-N-メチルピコリノヒドラジド(化合物79)。
【0032】
一実施形態では、式(I)の(1又は複数の)化合物は、電位依存性ナトリウムチャネルNav 1.7及び/又はNav 1.8の選択的阻害剤である。好ましい実施形態では、式(I)の(1又は複数の)化合物は、電位依存性ナトリウムチャネルNav 1.7及びNav 1.8の二重阻害剤である。
【0033】
いくつかの実施形態では、式(I)の(1又は複数の)化合物は、本質的に塩基性であり得、したがって、薬学的に許容される塩は、有機酸又は無機酸の添加によって得ることができる。使用され得る有機酸の非限定的な例は、とりわけ、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、乳酸である。無機酸の中では、とりわけ、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸を挙げることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、式(I)の(1又は複数の)化合物は結晶の形態で得られてもよく、それは任意選択的に薬学的に許容される溶媒和物として提示され、溶媒は化学量論的割合で、又はそのような割合ではなく結晶格子に組み込まれ得る。さらなる実施形態では、結晶化溶媒は水であり、薬学的に許容される水和物が得られる。
【0035】
最後に、いくつかの実施形態では、式(I)の(1又は複数の)化合物は、複数の異性体、限定するものではないが、幾何異性及び光学異性などの空間異性を含む異性体を示し得る。
【0036】
定義
本発明で使用される用語の明確化又は説明のために、以下の定義を提示するが、範囲はこれらに限定されるものではない。
【0037】
「直鎖又は分枝C1-6アルキル」という用語は、飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルを指し、これらに限定されない。
【0038】
「直鎖又は分枝C1-6アルコキシ」という用語は、ラジカル酸素に結合したアルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、イソプロキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシを指し、これらに限定されない。
【0039】
「C1-6ハロアルキルオキシ」という用語は、ハロゲンに結合したアルコキシ基を指し、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2,2-ジクロロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、3,3-ジフルオロプロポキシ、3-フルオロプロキシ、3-クロロプロポキシ、3,3-ジクロロプロポキシ、3,3,3-トリクロロプロポキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、5,5,5-トリフルオロペントキシなどの基を含み、これらに限定されない。
【0040】
「C3-6シクロアルキルオキシ」という用語は、シクロプロポキシ;シクロペンチルオキシ;シクロヘキシルオキシ;シクロブチルオキシなどの基を指し、これらに限定されない。
【0041】
「複素環」又は「置換複素環」という用語は、例えば、チオフェン、フラン、1H-ピロール-2-イル、1-メチル-1H-ピロール-2-イル、1-エチル-1H-ピロール-2-イル、1H-イミダゾール-5-イル、1H-ピラゾール-5-イル、2-オキサゾール、2-チアゾール、5-オキサゾール、5-チアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、3-イソオキサゾール、5-イソオキサゾール、3-イソチアゾール、5-イソチアゾール、イソオキサゾールピリジン-3-イル;ピリジン-4-イル、ピリジン-2-イル;2-モルホリノピリジン-3-イル、4-((ジメチルアミノ)メチル)チオフェン-2-イルの基を指し、これらに限定されない。
【0042】
第2の実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明の式(I)の(1又は複数の)化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体と、1又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物を特徴とする。
【0043】
薬学的に許容される賦形剤は、安全性について評価されており、剤形に意図的に添加される、活性な薬学的成分以外の任意の物質であると考えられる。そのような賦形剤は、目的の医薬剤形、その投与経路、有効成分との物理化学的適合性、及び有効性に対する効果に従って選択される。
【0044】
さらに、前記賦形剤は、最新技術において広く知られており、それらの機能に従って分類されており、限定するものではないが、希釈剤、結合剤、崩壊剤又は脱凝集剤、滑沢剤、懸濁剤、増粘剤、溶媒、界面活性剤、流動促進剤、固化防止剤又は流動防止剤、コーティング剤、可塑剤、甘味剤、甘味剤、等張剤、染料及び顔料、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤又は制御剤、錯化剤、キレート剤、香味剤、香味剤、粘度調整剤、乳白剤、浸透促進剤などを含む。
【0045】
医薬組成物は、限定するものではないが、経口、舌下、経鼻、非経口、注射、筋肉下、局所、経皮、眼、直腸を含む様々な経路によって投与され得る。
【0046】
第3の実施形態では、本発明は、神経障害性疼痛関連病態の治療のための医薬品を調製するための、式(I)の(1又は複数の)化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体の使用を特徴とする。
【0047】
好ましい実施形態では、前記病態は、末梢神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、複合性局所疼痛、ウイルス感染に関連する神経障害、腫瘍浸潤に続発する神経障害、糖尿病性神経障害、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛及び術後神経痛からなる群から選択される。
【0048】
第4の実施形態では、本発明は、神経障害性疼痛関連病態を治療、予防、緩和、抑制及び/又は制御する方法であって、有効量の式(I)の(1又は複数の)化合物又はその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及び異性体を投与する工程を含む方法を特徴とする。好ましい実施形態では、本方法は、末梢神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、複合性局所疼痛、ウイルス感染に関連する神経障害、腫瘍浸潤に続発する神経障害、糖尿病性神経障害、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛及び術後神経痛の治療、予防、緩和、抑制及び/又は制御のためのものである。さらに好ましい実施形態では、式(I)の少なくとも1つの化合物の投与は、経口、舌下、経鼻、非経口、注射、筋肉下、局所、経皮、眼及び直腸を含む群から選択される。
【0049】
本発明の第5の実施形態では、以下の工程を含む式(I)の(1又は複数の)化合物を得る方法が提供される:
(a)式IIIの中間体:
【化15】
式III
を、式IVの中間体:
【化16】
式IV
のヒドラジン分解反応から形成する工程:
(b)R4が水素である式Iの化合物:
【化17】
式I
を、式IIの中間体:
【化18】
式II:
と式IIIとの、触媒及び適切な溶媒の存在下又は非存在下での、縮合から得る工程;
(式中、
A、R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11は、独立して、前述の基から選択される)。
【0050】
一実施形態では、本方法は、無機塩基及び極性非プロトン性溶媒の存在下で、(b)で得られた化合物の直鎖又は分枝C1-6アルキルハライドによる求核置換反応から、R4が直鎖又は分枝C1-6アルキルである式(I)の(1又は複数の)化合物を形成する工程(c)をさらに含む。
【0051】
本方法の一実施形態では、工程(b)において、前記触媒は、濃塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、又はそれらの組み合わせから選択され、前記溶媒は、ジメチルホルムアミド、アルコール、又はそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、工程(c)において、前記無機塩基は、K2CO3又はNaHから選択され得る。
【0052】
本発明の式(I)の(1又は複数の)化合物は、一般的スキーム1に記載の合成経路から調製した。しかしながら、当業者は、本明細書で教示される方法から逸脱することなく、1又はそれ以上の工程の配置に対する追加の詳細化及び/又は修正が実行され得ることを容易に理解するであろう。そのような変更は、限定するものではないが、とりわけ、立体選択性、保護基を含む溶媒及び触媒の組み合わせであり得る。
【0053】
以下の一般的スキーム1では、式II、III及びIVの中間体の形成が、これらの中間体からの、式(I)(式中、式IaはR4が水素である化合物に対応し、式IbはR4がC1-6アルキル基(スキーム中でRで表される)である化合物に対応する)の(1又は複数の)化合物の形成に加えて記載される。
【化19】
【0054】
一般的スキーム1に例示されるように、式Iaの化合物は、濃塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又はギ酸を使用する酸触媒の非存在下又は存在下で、DMF又はアルコール、例えばメタノール、エタノール若しくはプロパノールなどの適切な溶媒中で、式IIIの中間体と式IIの中間体との縮合反応から調製することができる。式Ibの化合物(R=R4はC1-6アルキル基である)は、式Iaの化合物から出発して、K2CO3又はNaHなどの無機塩基及び極性非プロトン性溶媒の存在下で、対応するハロゲン化アルキルとの求核置換反応によって、追加の工程から得ることができる。次いで、式IIIの中間体は、方法IV-A~IV-Cに従って得られた対応するエステル(式IV)からのヒドラジン分解反応によって調製することができる。式IIの中間体は市販品として入手することができる。そのような方法論の詳細を以下に説明する。
式IVの化合物を得る工程:
方法IV-A:
中間体IV-1~IV-33/IV-52~IV-59
【化20】
【0055】
25 mL丸底フラスコに、1 mmolのメチル5-ブロモフラン-2-カルボキシレート、1.5 mmolの4-クロロフェニルボロン酸、及び0.075 mmolのPd(PPh3)2Cl2を添加した。5 mLのトルエン及び5 mLのMeOHを添加した。反応物が溶解したら、20 mmolのNa2CO3を蒸留水中2M溶液として添加した。その後、反応混合物を、80℃において撹拌させた。出発試薬の全消費後(CCFによって監視)、反応混合物をセライトで濾過し、濃縮した。その後、得られた油を蒸留水(25 mL)で溶解し、AcOEt(3×25 mL)で抽出した。有機相をプールし、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮して生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/AcOEt:100/0→60/40)によって精製した(表1)。
【0056】
化合物IV-17~IV-28については、溶媒をジオキサンに置き換え、使用した触媒はPd(PPh3)4であり、温度を110℃で12時間維持した(表1)。
【0057】
化合物IV-29~IV-33については、溶媒をジオキサンに置き換え、温度を110℃で12時間維持した(表1)。
表1.方法IV-Aに従って、対応する試薬から中間体を得た。
【表1】

方法IV-B:
中間体IV-34~IV-43:
【化21】
【0058】
25 mLフラスコに、1.3 mmolのメチル5-(4-ヒドロキシフェニル)ニコチネート、3当量のセシウムカーボネート、及び9 mLのアセトンを添加した。その後、アセトン1 mL中2当量のヨウ化メチルを添加した。反応混合物を、40℃において撹拌し続けた。出発試薬の全消費後(CCFによって監視)、反応混合物をH2O(25 mL)で希釈し、AcOEt(3×25mL)で抽出した。有機相をプールし、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。精製をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/AcOEt:90/10→70/30)によって行い、目的の中間体を得た(表2)。
表2.方法IV-Bに従って、対応する試薬から中間体を得た。
【表2】
【0059】
方法IV-C:
中間体IV-44~IV-51(表4)の合成のためには、前駆体IV-44i~IV-51iの合成が必要であり、これは、以下に記載されるように、2つの工程(IV-C-i及びIV-C-ii)を介して得られる。
工程IV-C-i:
前駆体IV-44i~IV-51i
【化22】
【0060】
丸底フラスコに、12.6 mmolの2,4-ジブロモピリミジン、12.8 mmolの2,4-ジブロモピリミジン、1.26 mmolのPd(dppf)Cl2CH2Cl2、25.2 mmolのNa2CO3、20 mLのMeCN及び2 mLのH2Oを添加した。その後、反応混合物を、80℃において撹拌させた。出発試薬の全消費後(CCFによって監視)、反応混合物を蒸留水(30 mL)で希釈し、AcOEt(3×10mL)で抽出した。有機相をプールし、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、濃縮して生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/AcOEt:3/1→0/1)によって精製した(表3)。
【0061】
化合物IV-47iについては、溶媒を10:1ジオキサン/H2O混合物に置き換え、触媒としてPd(dppf)Cl2CH2Cl2を使用した。
【0062】
化合物IV-48i~IV-51iについては、使用した出発試薬は2,4-ジクロロピリミジンであり、溶媒は10:1 ジオキサン/H2O混合物であった。さらに、触媒としてPd(PPh3)4を使用し、塩基としてK2CO3を使用した。
表3.方法IV-Cの工程IV-C-iに従って、対応する試薬から前駆体を得た。
【表3】

工程IV-C-ii:
中間体IV-44~IV-51:
【化23】
【0063】
5 mLのMeOH中7.4 mmolの2-ブロモ-4-(4-クロロフェニル)ピリミジンを含む丸底フラスコ中に、14.8 mmolの茶及び371μmolのPdCl2(dppf)を添加した。その後、反応混合物を脱気し、COでパージし、CO雰囲気(50 Psi)下、80℃において12時間撹拌し続けた。出発試薬の全消費後(CCFによって監視)、反応混合物を濃縮して生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/AcOEt:3/1→0/1)によって精製した(表4)。
表4.方法IV-Cの工程IV-C-iに従って、対応する試薬から前駆体を得た。
【表4】

式IVの化合物を得る工程:
中間体III-1~III-59
【化24】
【0064】
15 mLのエタノールに溶解した8.8 mmolのメチル5-(4-クロロフェニル)フラン-2-カルボキシレート(中間体IV-1)を含むフラスコに、3当量の水酸化ヒドラジンを添加した。次いで、反応媒体を50℃に加熱した。CCFによる出発エステルの総消費量が検出されたら、溶媒を減圧下で半分の体積に濃縮し、25 mLの冷蒸留水を添加して固体を沈殿させ、これを濾過し、25 mLの冷蒸留水及び15 mLのn-ヘキサンで洗浄して、目的のヒドラジドを得た(表5)。
表5.式IIIの化合物を得る工程に記載された方法に従って、対応する試薬から中間体を得た。
【表5】
【実施例
【0065】
以下の実施例は、詳細に説明されるが、本発明の保護範囲に対するいかなる限定的な特徴も有することなく、本発明の実施形態を説明するのに役立つ。
【0066】
本発明の(1又は複数の)式(I)の化合物を、一般的スキーム1に従って、限定するものではないが、先に記載された方法論に従って得られた式IIIの中間体と、式IIの市販のアルデヒドとの縮合から得た。
実施例1式(I)の化合物を得る工程:
【化25】
【0067】
10 mLのエタノールに溶解した1 mmolの5-(4-クロロフェニル)フラン-2-カルボヒドラジド(中間体III-1)を含むフラスコに、触媒量の濃HClを添加した。続いて、2 mLのエタノールに溶解した1.1 mmolのチオフェン-2-カルバルデヒドを添加した。反応媒体は、出発物質の総消費(CCFによって検出される)まで撹拌したままであった。減圧下で反応媒体の体積の半分に濃縮した後、混合物を氷浴中に保ちながら10 mLの氷冷蒸留水を添加した。濾過後、15 mLの氷水、及び15 mLのヘキサンで洗浄し、化合物1を得た(表6)。
表6.化合物1の形成について記載された方法に従って、対応する試薬から化合物を得た。
【表6】

実施例2式Ibの化合物を得る工程:
化合物78~79
【化26】
【0068】
DMF 50 mLに溶解した3.57 mmolの(E)-N’-(3,5-ジメトキシベンジリデン)-6-(4-メトキシフェニル)ピラジン-2-カルボヒドラジドを含むフラスコに、4.28 mmolのNaH(純度60%)を0℃において添加した。混合物を20℃で2時間加熱した。その後、9.86 mmolのヨウ化メタンを添加した。その後、反応混合物を、20℃において2時間撹拌させた。出発試薬の全消費後(CCFによって監視)、反応混合物をNH4Clの溶液で希釈した。生成物を濾過し、その後精製することなく使用した。232 mg(収率90%)の目的の化合物を得た(表7)。
表7.記載の方法に従って、対応する試薬から化合物を得た。
【表7】

実施例3インビトロ試験
【0069】
ヒトナトリウムチャネルNav 1.8及びNav 1.7を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で生物学的アッセイを行った。
【0070】
ホールセル構成を使用する実験的電位固定プロトコルを、自動化されたScreenPatch(登録商標)384Pプラットフォーム(SP384PE、Nanion Technologies、Livingston、NJ)で確立し、結果の記録を、Nanion 384ウェルパッチクランプチップ(NPC)(Nanion Technologies、Livingston、NJ)を用いて行った。
【0071】
式(I)の化合物を、HEPES(mM)で緩衝した生理食塩水:NaCl、137;KCl、4;CaCl2、3.8;MgCl2、1;HEPES、10;グルコース、10;pH 7.4で構成される細胞外溶液中で8つの濃度に希釈した。細胞外溶液は、(mM)でCsCl、50;CsF、90;MgCl2、5;EGTA、5;HEPES、10;pH7.2で構成される。Nav 1.7又はNav 1.8を発現する細胞の各化合物への曝露時間は少なくとも5分間であり、アッセイは室温で行った。
【0072】
Nav 1.8及びNav 1.7のナトリウム電流の測定値を、以下に記載される電圧プロトコルを使用して得た:
プロトコル1:-90 mVの保持電圧を確立し、続いて200 msの電圧位相を-120 mVまで確立し、続いてNav 1.8については10 mVの1秒間の電圧ステップ又はNav 1.7については0 mVの電圧ステップを行い、続いて-100 mV、20 ms間のステップを行い、続いてNav 1.8については10 mV、20 ms間又はNav 1.7については0 mV(TP1A)のステップを行ってから、その後-90 mVの保持電圧に戻した。
プロトコル2:-100 mVの保持電圧を確立し、続いて-40 mVで8秒間の不活性化電圧ステップを行い、続いて-100 mV、20 ms間のステップを行い、続いてNav 1.8については10 mV、20 ms間又はNav 1.7については0 mV(TP1A)のステップを行ってから、その後-100 mVの保持電圧に戻した。
【0073】
プロトコルを0.1 Hz(プロトコル1)又は0.05 Hz(プロトコル2)の周波数で繰り返し、TP1A位相ログにわたって電流振幅を定量化した。電流のピーク振幅の変動を、異なる化合物の各濃度における、チャネルを発現する細胞の曝露後に、以下に記載される式に従って評価した:
遮断%=(1-(ITP1A、分子/ITP1A、基底)×100%、
式中、ITP1A、基底及びITP1A、分子は、それぞれ、化合物への曝露前及び化合物の存在下でのナトリウム電流のTP1Aへの進入ピークを表す。
【0074】
細胞を化合物に曝露した後のピーク電流振幅の減少を使用して、以下の式に従って陽性対照に対するチャネルの相対遮断パーセントを計算した:
遮断’%=100%-((遮断%-CP%)*(100%/(V%-CP%))、
式中、V%及びCP%は、それぞれビヒクル(DMSO)及び陽性対照による電流阻害の値の平均を表す。陽性対照のナトリウム電流を100%とみなした。
遮断’%=(100%/[1+([試験]/IC50)N]、
式中、[試験]は評価された分子の濃度を表し、IC50は最大阻害の半分を生じる化合物の濃度であり、Nはヒル係数であり、遮断’%は評価された分子の各濃度で阻害されたナトリウムチャネル電流(Nav 1.8及びNav 1.7)のパーセンテージである。データは、Excel用のXLfit(Microsoft、Redmond、WA)を用いた非線形最小二乗回帰によって得た。
【0075】
化合物を少なくとも1つのアッセイで試験してIC50値を得た。2又はそれ以上のアッセイで試験した化合物について、結果をIC50値の平均として記載する。
表8.Nav 1.8及びNav 1.7チャネルにおける1~79から選択された化合物のIC50値、プロトコル1。
【表8】

ND=IC50値入手不可。10μMの濃度において10%未満の阻害パーセント。
表9.Nav 1.8及びNav 1.7チャネルにおける14~77の間の選択された化合物のIC50値、プロトコル2。
【表9】
【0076】
これらの結果から、Nav 1.7及び/又は1.8の阻害活性が証明され、その適用は、疼痛関連病態の治療における使用に加えて、式Iの前記化合物の1又はそれ以上を含み得る医薬組成物、キットにおいて当業者によって容易に行われる。
【0077】
特にそのような結果は、末梢神経障害性疼痛、化学療法誘発性神経障害、複合性局所疼痛、ウイルス感染に関連する神経障害、腫瘍浸潤に続発する神経障害、糖尿病性神経障害、幻肢痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛及び術後神経痛などの状態を治療するための医薬品の調製に式(I)の化合物を使用することの可能性を示している。
【0078】
上記の実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更がなされ得ることを理解されたい。したがって、本発明は、本出願に記載された例示的な実施形態に限定されると考えるべきではない。
【国際調査報告】