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特表2024-528273静電容量を用いたヘマトクリットおよびヘモグロビンの検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】静電容量を用いたヘマトクリットおよびヘモグロビンの検出
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20240719BHJP
   G01N 27/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01N27/22 B
G01N27/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506989
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022071919
(87)【国際公開番号】W WO2023012267
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】2111393.1
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046494
【氏名又は名称】オスラー ダイアグノスティックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Osler Diagnostics Limited
【住所又は居所原語表記】King Charles House, Park End Street, Oxford, OX1 1JD, UK
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハロップ,ブライアン・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】グッドウィン,ショーン・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス,フラビオ・セサル・ベダティ
(72)【発明者】
【氏名】トッド,アレクサンダー・ドリュー
(72)【発明者】
【氏名】デ・ブルカ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ソコロフ,スタニスラフ
(72)【発明者】
【氏名】オコンネル,マイケル・アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA07
2G060AE16
2G060AF06
2G060AF10
2G060AG03
2G060FA01
2G060KA06
(57)【要約】
血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定する方法であって、血液試料の複数の複素静電容量値に基づいて、所定の虚成分値における複素静電容量を計算することであって、血液試料の前記複数の複素静電容量値の各々は対応する周波数を有する、計算することと、計算された複素静電容量または計算された複素静電容量の実成分に基づいて、ヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定することと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定する方法であって、
前記血液試料の複数の複素静電容量値に基づいて、所定の虚成分値における複素静電容量を計算することであって、前記血液試料の前記複数の複素静電容量値の各々は対応する周波数を有する、計算することと、
前記計算された複素静電容量または前記計算された複素静電容量の実成分に基づいて、前記ヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
所定の虚成分値における複素静電容量を計算することは、前記複数の複素静電容量値から外挿することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
外挿することは、円弧を静電容量空間内の前記複数の複素静電容量値にフィッティングすることと、前記弧を外挿して前記所定の虚成分値における前記複素静電容量を計算することと、を含み、任意選択的に、前記円弧フィッティングは重み付き通常最小二乗フィッティングに変換される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対応する周波数fは最大値fmaxを有し、前記弧は周波数f≦fmaxの範囲についてフィッティングされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記対応する周波数fは最小値fminを有し、前記円弧は周波数fmin≦fの範囲についてフィッティングされる、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記円弧は、非線形パラメータの最小二乗推定のためのアルゴリズムを適用することによってフィッティングされる、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記計算された複素静電容量または前記計算された複素静電容量の実成分に基づいて前記ヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定することは、較正曲線を使用することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記計算された複素静電容量または前記計算された複素静電容量の前記実成分は、無限大に向かう傾向がある周波数での前記血液試料の前記静電容量に対応する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記血液試料の前記複数の複素静電容量値の各対応する周波数は、1000kHz以下である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記血液試料の前記複数の複素静電容量値の各対応する周波数は、0.1Hz以上である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記所定の虚成分値は、500pF/mm以下、好ましくは200pF/mm以下、より好ましくは100pF/mm以下、さらにより好ましくは実質的に0である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定する方法であって、
前記血液試料の複数の複素インピーダンス値を決定することであって、前記複数の複素インピーダンス値の各々は対応する周波数を有する、決定することと、
前記複数の複素インピーダンス値に基づいて、前記血液試料の複数の複素静電容量値を計算することと、
前記複数の複素静電容量値を使用して、先行する請求項のいずれかに記載の方法を実行することと、を含む、方法。
【請求項13】
1つまたは複数のプロセッサによって実行された場合、前記1つまたは複数のプロセッサに請求項1~11のいずれかに記載の方法を実行させる命令を備えるコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定するためのシステムであって、
前記血液試料を受け取るように構成されたセルと、
前記血液試料の複数の複素インピーダンス値を決定するように構成された装置と、
請求項13に記載のコンピュータ可読媒体と、
前記コンピュータ可読媒体の前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項15】
血液試料のヘマトクリットを測定する装置であって、2つの電極を備え、前記電極間の距離が2mm以下である、装置。
【請求項16】
前記2つの電極は、前記電極が血漿中に浸漬されるとき、前記血漿の溶液抵抗が20kΩ未満であるように配置される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記電極のうちの1つと対応する電極コンタクトとの間のトラックのトラック抵抗は1kΩ以下である、請求項15または16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定する方法、それを決定するための命令を備えるコンピュータ可読媒体、それを決定するためのシステム、およびそれを決定するように構成された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ヘマトクリットは、血液試料中の赤血球と血漿の比である。ヘマトクリットの電気化学的測定のための現在の業界標準方法は、血液試料の導電率を測定することを含む。赤血球の導電率が非常に低く、赤血球が懸濁している血漿の導電率が比較的高いため、血液の導電率はヘマトクリットが増加するにつれて低下する。これは、Maxwell-Fricke方程式が基づく基本原理であり、これはヘマトクリットと血液の抵抗性との間の関係を説明する。
【0003】
【数1】
【0004】
ここで、Rs=血液/溶液の抵抗、Rp=血漿の抵抗、φ=ヘマトクリットである。
ヘマトクリットは、純粋な血漿および純粋な赤血球についてそれぞれ0から1の間で変化する(任意選択的にパーセンテージとして表される)値である。溶液抵抗を得るための最も単純な方法は、抵抗測定に対する二重層容量効果の影響を低減しながら、単一の高周波で溶液のインピーダンスを測定して溶液抵抗を決定することである。Maxwell-Frick法は、正確なヘマトクリット値を得るために正確な血漿抵抗値に依存するが、血漿抵抗値は、塩、コロイド電解質、タンパク質および抗凝固剤を含む電解質含有量および濃度に依存する。これらの因子が正常値から変動する場合、臨床状態または臨床手順のいずれかによって、血漿抵抗も変動する。これは、Maxwell-Fricke法によって導出されたヘマトクリット値に有意な誤差を加える可能性がある。Maxwell-Fricke法の血漿抵抗の正確な値に依存することは、ポイントオブケア装置の問題である。これらの装置は、試験した各サンプルの血漿抵抗測定値を得ることができず、代わりに、内部に記憶された平均血漿抵抗値を使用し、これは、正しくない場合、ポイントオブケア測定の誤差を増やす。したがって、ヘマトクリットを測定する改善された方法が必要とされている。ヘマトクリットは血液ヘモグロビン濃度と密接に相関しているため、ヘマトクリットを測定する改善された方法を使用してヘモグロビン濃度を測定することもできる。
【0005】
本質的に、静電容量は、印加された電位に起因して界面に蓄積される電荷である。理論に拘束されることを望むものではないが、1つの電極が溶液と接触している場合、界面容量は以下によって与えられる。
【0006】
【数2】
【0007】
ここで、εrは液体の比静的誘電率(一般に誘電率と呼ばれる)であり、ε0は真空の誘電率であり、kは逆デバイ長(LD=1/k)であり、kはk=[(2e2N)/εrε0kBT)]1/2で与えられる。Nは、溶液中の任意の分極可能な種のモル濃度であり、これは、各種にkが存在し、総静電容量が一般にすべての種の静電容量の合計であることを意味する。静電容量は、電極/溶液界面でのイオンの再配列または双極子(1つの種内)の振動によって引き起こされ得る充電/放電プロセスに基づく。言い換えれば、電極表面への電荷の蓄積である。電極/電解質界面は、異なる周波数で共振する異なるプロセスによって複雑である。したがって、複素静電容量は、印加される電位および摂動の時間、すなわち、例えば電気化学インピーダンス分光法(EIS:electrochemical impedance spectroscopy)測定における入力信号の周波数に依存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
この概要は、詳細な説明でより詳細に説明される概念を紹介する。これは、特許請求される主題の本質的な特徴を特定するために使用されるべきではなく、特許請求される主題の範囲を限定するためにも使用されるべきではない。
【0009】
一態様では、血液試料のヘマトクリットを決定する方法は、血液試料の複数の複素静電容量値に基づいて、所定の虚成分値での複素静電容量を計算することを含み得る。理解されるように、血液試料の複数の複素静電容量値の各々は、対応する周波数を有する。対応する周波数は、複素静電容量値を測定するために使用される入力信号の周波数であってもよい。本方法は、計算された複素静電容量または計算された複素静電容量の実成分に基づいてヘマトクリットを決定することをさらに含み得る。本方法はまた、必要な変更を加えてヘモグロビン濃度を決定するために使用され得る。
【0010】
この方法は、血液試料のインピーダンスの抵抗成分を考慮してヘマトクリットを決定する、Maxwell-Fricke法などの従来の「インピーダンス」法とは対照的に、本明細書では「静電容量」法と呼ばれることがある。Maxwell-Fricke法と異なり、静電容量法は、必ずしも既知の血漿抵抗を想定していない。以下に実証されるように、静電容量法は、Maxwell-Fricke法と比較して、塩に対する感受性および他のドナー間変動性の減少を示し、ヘマトクリット検出性能の改善をもたらすことが見出されている。
【0011】
所定の虚成分値における複素静電容量を計算することは、複数の複素静電容量値から外挿することを含むことができる。外挿は、円弧を静電容量空間内の複数の複素静電容量値にフィッティングすることと、所定の虚成分値における複素静電容量を計算するために弧を外挿することとを含むことができる。静電容量空間は、複素静電容量の実成分対複素静電容量の虚成分のプロットである。円弧フィッティングは、重み付き通常最小二乗フィッティングに変換することができ、変換動作の例は、詳細な説明において以下に説明される。弧をフィッティングする場合、複数の複素静電容量値は、少なくとも4つの複素静電容量値であってもよい。
【0012】
対応する周波数fは最大値fmaxを有し、円弧をフィッティングすることは、周波数f≦fmaxの範囲について弧をフィッティングすることを含むことができる。追加的または代替的に、対応する周波数fは最小値fminを有し、円弧は周波数fmin≦fの範囲にフィッティングされる。円弧は、Levenberg-Marquardtアルゴリズムまたは減衰最小二乗法などの非線形パラメータの最小二乗推定のためのアルゴリズムを適用することによってフィッティングすることができる。血液試料の複数の複素静電容量値の対応する各周波数は、1000kHz以下、500kHz以下、200kHz以下または100kHz以下であってもよい。血液試料の複数の複素静電容量値の対応する各周波数は、0.1Hz以上、10Hz以上、または1kHz以上であってもよい。
【0013】
計算された複素静電容量または計算された複素静電容量の実成分に基づいてヘマトクリットを決定することは、較正曲線を使用することを含むことができる。任意選択的に、較正曲線は、反転線形較正曲線であり、
【0014】
【数3】
【0015】
式中、φはヘマトクリットであり、Cは計算された複素静電容量または計算された複素静電容量の実成分であり、αは切片であり、βは勾配である。
【0016】
計算された複素静電容量または計算された複素静電容量の実成分は、無限大に向かう傾向がある周波数での血液試料の静電容量に対応し得る。周波数が無限大に近づくにつれて、複素静電容量の虚成分は有意でなくなり、したがって、計算された複素静電容量と計算された複素静電容量の実成分は実質的に等しい意味値になり、どちらの値もヘマトクリットを確実に決定するために使用することができる。無限大に向かう傾向がある周波数(例えば、100または1000kHzを超える周波数、例えば)では、イオンの濃度からの有意な影響はなく、ヘマトクリット測定に対する可変塩濃度の影響が減少する。所定の虚成分値は、500pF/mm以下、好ましくは200pF/mm以下、より好ましくは100pF/mm以下、さらにより好ましくは実質的に0であってもよい。
【0017】
別の態様では、血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定する方法は、血液試料の複数の複素インピーダンス値を決定することであって、複数の複素インピーダンス値の各々は対応する周波数を有する、決定することと、複数の複素インピーダンス値に基づいて、血液試料の複数の複素静電容量値を計算することと、複数の複素静電容量値を使用して、上述したような方法を実行することと、を含む。本方法は、全血または溶解血液に対して実施され得る。
【0018】
別の態様では、コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数のプロセッサによって実行された場合、1つまたは複数のプロセッサに前述した方法のうちのいずれかを実行させる命令を備える。
【0019】
別の態様では、血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定するためのシステムは、血液試料を受け取るように構成されたセルと、血液試料の複数の複素インピーダンス値を決定するように構成された装置と、上述のコンピュータ可読媒体と、コンピュータ可読媒体の命令を実行するように構成されたプロセッサと、を備える。理解されるように、コンピュータ可読媒体の命令の実行は、複数の複素インピーダンス値に基づいており、そこから対応する複素静電容量値が決定される。プロセッサは、複数の複素インピーダンス値に基づいて血液試料の複数の複素静電容量値を計算するようにさらに構成され得る。
【0020】
別の態様では、血液試料のヘマトクリットまたはヘモグロビン濃度を決定するように構成された装置は、2つの電極を備える。電極間の距離は、2mm、1mmまたは0.5mm以下であってもよい。2つの電極は、電極が血漿中に浸漬されるとき、血漿の溶液抵抗が20kΩ未満、10kΩ未満、または5kΩ未満であり得るように配置され得る。電極のうちの1つと対応する電極コンタクトとの間のトラックのトラック抵抗は、1kΩ、0.7kΩ、または0.5kΩ以下であり得る。電極は、血液試料を受け取るように構成されたセル内にあってもよい。装置は、複数の周波数で血液試料のインピーダンスを決定するように構成されたポテンショスタットなどの電子機器をさらに備えることができる。装置は、基準電極などの追加の電極を備えてもよい。セルは、1~20μLの内部容積を有し得る。装置は、インビトロ、すなわちヒトまたは動物の体外で測定を行うためのものであり得る。装置は、インビボ移植に適していない可能性がある。装置は、上述のシステムに統合されてもよく、および/または上述のシステムのセルは、上述の構成を有する電極を有してもよい。
【0021】
図面の簡単な説明
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ヘマトクリットが未知である血液試料についての複素静電容量データのナイキストプロットを示す。
図2a】血液試料のヘマトクリットを決定するための方法を示す。
図2b】血液試料のヘマトクリットを決定するための方法を示す。
図3】血液試料のヘマトクリットを決定するためのシステムを示す。
図4a】ヘマトクリットが65%である血漿および全血の静電容量データを示し、ナイキストプロットである。
図4b】ヘマトクリットが65%である血漿および全血の静電容量データを示し、実静電容量のボードプロットである。
図4c】ヘマトクリットが65%である血漿および全血の静電容量データを示し、虚静電容量のボードプロットである。
図5a】固定ナトリウム濃度に対するヘマトクリット検出性能を示し、異なるヘマトクリット濃度に対する導出された静電容量適合円弧のナイキストプロットである。
図5b】固定ナトリウム濃度に対するヘマトクリット検出性能を示し、線形回帰勾配(黒線)および95%予測区間(灰色の陰影)を含む、複素静電容量C’interceptの実成分の軸の推定切片に対する観察されたヘマトクリットφを示す較正プロットである。
図5c】固定ナトリウム濃度に対するヘマトクリット検出性能を示し、線形回帰勾配(実線)および1:1線(破線)を含む、Maxwell-Fricke法を使用して回復されたヘマトクリットに対する観察されたヘマトクリットφのプロットである。
図5d】固定ナトリウム濃度に対するヘマトクリット検出性能を示し、ヘマトクリットφがC’intercept較正(静電容量法)によって回復されることを除いて、図5cと同様である。
図5e】ヘモグロビン濃度の決定に関し、線形回帰勾配(黒線)および95%予測区間(灰色の陰影)を含む、複素静電容量C’interceptの実成分の軸の推定切片に対する観察されたヘモグロビン濃度を示す較正プロットである。
図5f】ヘモグロビン濃度の決定に関し、線形回帰勾配(実線)を含む、C’intercept較正(静電容量法)によって回復されたヘモグロビン濃度に対する観測されたヘモグロビン濃度のプロットである。
図6a】固定ナトリウム濃度に対するヘマトクリット検出誤差分析を示し、Maxwell-FrickeおよびC’intercept較正(静電容量)法に対するヘマトクリットφ回復誤差の分布を示す一連のヒストグラムである。
図6b】固定ナトリウム濃度に対するヘマトクリット検出誤差分析を示し、Maxwell-Fricke法からのヘマトクリットφ回復誤差に対する観察されたヘマトクリットφであり、平均誤差±1.96標準偏差がD’AgostinoおよびPearson正常性試験からのp値と並んで示されている(破線)。
図6c】固定ナトリウム濃度に対するヘマトクリット検出誤差分析を示し、ヘマトクリットφの回復誤差がC’intercept較正(静電容量法)からのものであることを除いて、図6bと同様である。
図7a】様々なNa濃度スパイクを除いて、図5a~図5dと同様である。
図7b】様々なNa濃度スパイクを除いて、図5a~図5dと同様である。
図7c】様々なNa濃度スパイクを除いて、図5a~図5dと同様である。
図7d】様々なNa濃度スパイクを除いて、図5a~図5dと同様である。
図8a】様々なNa濃度スパイクを除いて、図6a~図6cと同様である。
図8b】様々なNa濃度スパイクを除いて、図6a~図6cと同様である。
図8c】様々なNa濃度スパイクを除いて、図6a~図6cと同様である。
図9】血液試料に対してインピーダンス測定を実行するためのセルを示す。
図10】血液試料のヘマトクリットを決定するように構成された装置を示す。
図11a】2.4mmの電極間隔を使用した静電容量法の較正曲線を示す。
図11b】0.6mmの電極間隔を有する最適化されたセル設計を使用した静電容量法の較正曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
図1は、ヘマトクリットが未知のである血液試料についての複素静電容量データのナイキストプロット(すなわち、静電容量空間におけるプロット)である。縦軸は複素静電容量C"の虚成分に相当し、横軸は複素静電容量C’の実成分に相当する。
【0024】
各複素静電容量値は、特定の周波数で測定された血液試料の複素インピーダンスから導出されており、したがって対応する周波数も有する。図1では、周波数は、200kHz(各血液試料について最も左側の点)から25Hz(各血液試料について最も右側の点)までの範囲であり、25ポイント/ディケードである。最低周波数は、最小周波数レベルfminと呼ばれる。
【0025】
インピーダンス測定は、従来のポテンショスタット(EMStat Pico、Palmsens社、ハウテン、オランダ)を使用して行った。入力信号の振幅は、スクリーン印刷炭素電極(SPCE)に対して0.0Vの電位付近で10mVであった。血液試料体積は10μlであり、測定は30°Cで行った。フローセルの寸法は、2.4mm×9.7mm×225μmであった。電極は、0.6mmの間隔を有する0.3mm×2mmの寸法を有する矩形電極であった。図では、静電容量は電極面積に対して正規化されているが、これは必須ではない。各インピーダンス測定は、特定の周波数において(すなわち、上述の複数の周波数のうちの1つにおいて)行われる。図では、データを正規化するために定数(例えば較正中に決定されるような、0%ヘマトクリットについての-1*最小外挿されたC’-後述)を追加することによってC’軸を再基準化している。これは最終的なヘマトクリットの結果に影響せず、静電容量法の必須部分ではない。
【0026】
複素インピーダンス測定結果は、実部Z’と虚部Z"の2つの値からなる。複素インピーダンス測定結果は、以下の式を使用して複素静電容量のC’およびC"を計算するために使用される。
【0027】
【数4】
【0028】
【数5】
【0029】
ここで、fはそれぞれの周波数であり、|Z|は複素平面における複素インピーダンスの実成分および虚成分のベクトルの大きさである。
【0030】
図2aは、血液試料のヘマトクリットを決定するための方法を示す。本方法は、血液試料の複数の複素静電容量値に基づいて、所定の虚成分値における複素静電容量を計算すること101を含み、血液試料の複数の複素静電容量値の各々は、上述したように、対応する周波数を有する。
【0031】
この例では、血液試料の複数の複素静電容量値は、図1の点の複素静電容量値である。所定の虚成分値は、C"=0pFmm-2であり、横軸の切片またはC’切片としても知られる。
【0032】
図2aの方法は、計算された複素静電容量または計算された複素静電容量の実成分に基づいてヘマトクリットを決定すること103をさらに含み、これについては後述する。代替的または追加的に、ヘモグロビン濃度を決定することができ、これについても後述する。
【0033】
図3bを参照すると、この例では、所定の虚成分値における複素静電容量を計算すること101は、複数の複素静電容量値に対応する周波数の最大周波数値fmaxを決定すること105を含む。複数の複素静電容量値に対応する周波数の最小周波数値fminも決定される107。
【0034】
円弧は、周波数fmin≦f≦fmaxの範囲について、静電容量空間内の複数の複素静電容量値にフィッティングされる109。すなわち、周波数fmin≦f≦fmaxの範囲において、
【0035】
【数6】
【0036】
を満たす円弧は、R>0、A≧0およびB≦0であるように、フィッティングされる109。
【0037】
AおよびBの初期推定値は、それぞれC’およびC"の中央値である。Rの初期推定値として、C’の最小値および最大値における(C’、C")点間のユークリッド距離の半分が使用される。
【0038】
【数7】
【0039】
は非線形コスト関数を表すものとする。
【0040】
【数8】
【0041】
は2次重み関数を表すものとする。
円弧は、反復的なLevenberg-Marquardt非線形最小二乗アルゴリズム(非線形パラメータの最小二乗推定のためのアルゴリズム)を適用することによってフィッティングされ109、重み付き二乗和を最小化するA、B、およびRの最適な推定値が求められる。
【0042】
【数9】
【0043】
フィッティングした円弧を外挿して111、原点に最も近いC’切片を決定し113、これは、周波数が+∞に向かう傾向にあるときの理論静電容量を表す。
【0044】
【数10】
【0045】
すなわち、この例における所定の虚成分値は、0pFmm-2である。フィッティングおよび外挿された弧を図1に示す。
【0046】
理解されるように、0pFmm-2に近い他の所定の虚成分値も使用することができ、この点での複素静電容量または複素静電容量の実成分の両方を使用することができるが、これは、これらが原点に最も近いC’切片と同様の値を有するためである。
【0047】
さらに、等価な非物理的推定量は、原点から最も遠いC'切片によって与えられる。
【0048】
【数11】
【0049】
本開示では、物理的推定量からの結果のみが提示されるが、非物理的推定量を使用して同一の回復性能が達成される。
【0050】
フィッティングプロセスを単純化するために、パラメータBは0に等しいと仮定することができ、その場合、Bは上記の式から除外することができる。
【0051】
任意選択的に、円弧フィッティングは、重み付き通常最小二乗フィッティングに変換されてもよい。
【0052】
実成分C’および虚成分C"ならびに対応する周波数fを各々有するN個の複素静電容量値について、fmaxは、N個の複素静電容量値に対応する周波数の最大周波数であり、変換変数XおよびY、ならびにフィッティング重みWが計算さる。
【0053】
【数12】
【0054】
【数13】
【0055】
【数14】
【0056】
次に、重み付き通常最小二乗法を適用して、重みWに従って(X、Y)を通る最尤フィットを推定する。
【0057】
【数15】
【0058】
【数16】
【0059】
【数17】
【0060】
【数18】
【0061】
次に、パラメータAおよびRを、以下を使用して推定する。
【0062】
【数19】
【0063】
【数20】
【0064】
この例では、パラメータBは0に設定されている。
有利には、この変換または同様の変換を使用することにより、より少ない計算リソースまたはあまり強力でない計算ソフトウェアを使用してC’切片を計算することが可能になり得る。
【0065】
図2aに戻って参照すると、本例では、計算された複素静電容量または計算された複素静電容量の実成分に基づいてヘマトクリットを決定すること103は、ヘマトクリット較正曲線を使用することを含み、較正曲線は、反転線形較正曲線である。
【0066】
【数21】
【0067】
式中、φはヘマトクリットであり、Cは原点に最も近いC’切片であり、αは切片であり、βは勾配である。ヘモグロビン濃度は、代わりにヘモグロビン濃度較正曲線を使用して決定することができる。
【0068】
定数αおよびβは、既知のヘマトクリット値を有する複数の血液試料のC’切片値を決定し、(線形)最小二乗最良フィッティングを使用して対応するαおよびβ値を計算することによって従来の方法で計算される。ヘモグロビン濃度較正曲線の定数αおよびβは、同様の方法で決定することができる。以下に説明する図5aおよび図5bは、ヘマトクリットが既知である血液試料の静電容量データから較正曲線を作成するための試料データ、および得られた較正曲線を示す。ヘモグロビン較正曲線を図5eに示す。
【0069】
血液試料のヘマトクリットを決定するためのマイクロヘマトクリット毛細管法などの標準的な方法は当業者に公知である。例えば、この方法を使用して、血液試料を毛細管に引き込み、遠心分離し、次いで、赤血球対血漿の比(すなわち、ヘマトクリット)を測定し、小数または百分率として表すことができる。ヘマトクリットが既知である血液試料は、1)天然試料のヘマトクリットを測定すること、2)血液試料を遠心分離すること、および3)血漿を除去または添加して、ヘマトクリットを所望の値に調整することによって調製することができる。
【0070】
ヘモグロビン濃度較正曲線は、典型的なヘモグロビン濃度(例えば157g/L)を有する血液試料を採取し、ドナー血漿を除去または添加して様々なヘモグロビン濃度を有する一連の血液試料を作成することによって得ることができる。次いで、例えばHemoCue Hb201+システムを使用して、各調整された血液試料の濃度を測定する。次いで、例えば図5eに示すように、静電容量法を使用して試料を測定し、C’切片がヘモグロビン濃度に対してプロットされる。
【0071】
記載された方法は、コンピュータ実行可能命令を使用して実施することができる。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、コンピュータ実行可能命令を備えるかまたは格納することができる。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、CD、DVD、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および/または情報が任意の期間(例えば、長期間、恒久的、短時間、一時的なバッファリング、および/または情報のキャッシュ)記憶される任意の他の記憶媒体を備えることができる。コンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能命令を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、有形または非一時的なコンピュータ可読媒体であってもよい。「コンピュータ可読」という用語は、「機械可読」を包含する。したがって、一態様では、1つまたは複数のプロセッサによって実行された場合、1つまたは複数のプロセッサに図2aおよび/または図2bの方法を実行させる命令を備えるコンピュータ可読媒体が提供される。
【0072】
図3は、血液試料のヘマトクリットを決定するためのシステム200の図である。システム200は、中央バス構造と、血液試料を受け取るように構成されたセル201と、セル201および中央バス構造に接続され、セル201内の血液試料の複数の複素インピーダンス値を決定するように構成されたポテンショスタット203と、中央バス構造に接続され、上述のコンピュータ可読媒体を記憶するメモリ205などのデータ処理リソースと、中央バス構造に接続され、コンピュータ可読媒体の命令を実行するように構成されたプロセッサ207と、ディスプレイアダプタ209と、ディスプレイ装置211と、1つまたは複数のユーザ入力装置アダプタ213と、キーボードおよび/またはマウスなどの1つまたは複数のユーザ入力装置215と、1つまたは複数の通信アダプタ217とを備え、これらはすべて中央バス構造に接続されている。ディスプレイ装置211は、タッチ入力機能を有するため、ユーザ入力装置215としても機能する。
【0073】
ポテンショスタットは、測定データを処理するためのさらなるプロセッサおよびさらなるデータ処理リソースを含むか、またはそれらと通信することができ、またはインピーダンスおよび静電容量データを測定および/または計算するためにシステムのメモリ205およびプロセッサ207を使用することができる。
【0074】
実績データ
図4aは、血液(ヘマトクリット65%、正方形点)および純粋な血清/血漿(ヘマトクリット0%、円形点)のインピーダンス由来静電容量のナイキストプロットである。図4aは、原点付近の領域の拡大図を含む。高周波データ点は左側にあり、低周波測定値は右側にある。したがって、血漿中のイオンによる静電容量への寄与が大きくなるため、周波数が低いほど静電容量が大きくなることが分かる。また、血漿は、特定の周波数でヘマトクリット65%の血液よりも静電容量が高いことが分かる。これは、血球自体の静電容量が比較的小さい一方で、イオン濃度を効果的に低下させるためである。
【0075】
図4bは、実静電容量C’の対応するボード線プロットを示し、図4c)は、虚静電容量C"の対応するボード線プロットを示し、緩和Rf周波数は、C"の最小プラトーによって示される。
【0076】
充放電が電位の振動と調和する周波数は、緩和周波数Rfとして知られ、システムの界面静電容量Ciを示す。本方法では、緩和周波数Rfを求める必要はない。
【0077】
図4aのナイキストプロットの「半円」は、緩和周波数Rfで正確に終了し(図4cも参照)、グラフがシステムの界面静電容量Ciである実静電容量C’軸に接触する投影を与える。この血漿/血球システムでは、Ciは血漿中のイオンの充放電が支配的であり、Rfは10Hz付近であり、低周波数と考えられる。理論に束縛されるものではないが、高周波数(例えば、10Hz超)では、入力信号の振動は十分に速く、イオンの再配列は起こらない。したがって、静電容量は、分極性種の双極子の振動によって支配されるようになる。したがって、高周波数(無限大に向かう傾向がある周波数)で血液の静電容量を測定する場合、イオンおよび他のイオン種からの出力信号への寄与はわずかになる。したがって、本発明者らは、血液のイオン強度に比較的影響されにくい高周波数で血液試料の静電容量を計算することにより、血液の塩濃度が変化することによって生じる誤差をはるかに少なくしてヘマトクリットを計算できることを確認した。高周波数では、以下の式によって予測されるように、静電容量信号はヘマトクリットの増加と共に増加することに留意されたい(図5b参照)。
【0078】
【数22】
【0079】
式中、Nは赤血球のモル濃度である。
図5a~図5dは、上述の「静電容量」法および従来のMaxwell-Fricke法を使用した固定ナトリウム濃度についてのヘマトクリット検出性能を示す。図5aは、ヘマトクリット0および20~65%の範囲の血液試料について、血液試料に追加のイオンを添加することなく(すなわち、以下でさらに論じるNaスパイクは0mMである)、5%増分で静電容量フィッティングされた円弧のナイキストプロットである。図4aと同様に、低周波数では、予想されるように、ヘマトクリットが増加するにつれて静電容量が減少することが分かる。
【0080】
図5bは、線形回帰勾配(黒線)および95%予測区間(灰色の陰影)を含む、複素静電容量C’interceptの実成分の軸の推定切片に対する観察されたヘマトクリットφを示す較正プロット(図5aのデータから導出された)である。
【0081】
図5cは、線形回帰勾配(実線)および1:1線(破線)を含む、ある範囲の血液試料について、Maxwell-Fricke法を使用して回復されたヘマトクリットに対する既知のヘマトクリットφである。図5dは、ヘマトクリットφが図5bのC’intercept較正によって、すなわち本開示の静電容量法を使用して回復されることを除いて、図4cと同様である。図5cおよび図5dの比較から分かるように、静電容量法の固定ナトリウム濃度でのヘマトクリット精度は、Maxwell-Fricke法よりも優れている。図5fは、線形回帰勾配(実線)を含む、C’intercept較正(静電容量法)によって回復されたヘモグロビン濃度に対する観察されたヘモグロビン濃度のプロットである。したがって、静電容量法を使用して、血液中のヘモグロビン濃度を妥当な精度で決定することもできることが分かる。
【0082】
図6aは、Maxwell-Fricke(インピーダンス)法およびC’intercept較正(静電容量)法についてのヘマトクリットφ回復誤差の分布を示す一連のヒストグラムである。図から分かるように、静電容量法を使用する場合、誤差ははるかに小さい。図6bは、Maxwell-Fricke法からのヘマトクリットφ回復誤差に対する観察されたヘマトクリットφであり、平均誤差±1.96標準偏差がD’AgostinoおよびPearson正常性試験からのp値と一緒に示されている(破線)。図6cは、ヘマトクリットφの回復誤差がC’intercept較正法からのものであることを除いて、図6bと同様である。やはり、静電容量法を使用する場合、誤差がはるかに小さいことが分かる。
【0083】
図7a~図7dは、様々なNa濃度スパイクを除いて、図5と同様である。図7aは、0.0、10.0および25.0mMの固定ヘマトクリットおよびNaスパイクを有する血液の静電容量データを示す。
【0084】
図8a~図8cは、様々なNa濃度スパイクを除いて、図6a~図6cと同様である。図から分かるように、インピーダンス法の代わりに静電容量法を使用した場合、回復したヘマトクリット誤差ははるかに低い。したがって、静電容量法は、インピーダンス法よりも血漿導電率/イオン強度の変動に対する感度が低いことになる。
【0085】
ヘマトクリットセンサ
図9は、血液試料に対してインピーダンス測定を実行するためのセル300を示す。
【0086】
セル300は、血液試料を受け入れるためのチャンバ301を備える。チャンバ301は、2つの電極303、305を備える。電極は、白金、金、ガラス状炭素、または任意の他の適切な電極材料で作られてもよい。チャンバ301は、2つより多くの電極303、305を備えてもよく、例えば、チャンバは、基準電極を備えてもよい。電極303、305間の距離は0.6mmである。2つの電極が血漿中に浸漬される場合、血漿の溶液抵抗は5kΩ未満である。セルは、2つの電極コンタクト307、309をさらに備える。各電極303、305は、トラック(図示せず)を介して電極コンタクト307、309のそれぞれに接続されている。各トラックの抵抗は0.7kΩである。
【0087】
図10は、血液試料のヘマトクリットを決定するように構成された装置400を示す。装置は、セル300内の血液試料の複数の複素インピーダンス値を決定するように構成されたポテンショスタット401と電気的に連絡している図9のセル300を備える。セル300はまた、図3のシステムに、すなわちセル201を置き換えることによって組み込まれてもよい。
【0088】
Maxwell-Frickシステムなどの抵抗ベースのシステムのための従来のヘマトクリットセンサ設計は、低い血液抵抗と高い血液抵抗との間の信号の差が大きくなるように高い溶液抵抗を有するように最適化された2つの平行な導電性電極を使用する。本発明者らは、この手法が上記で開示された静電容量法には最適ではなく、血液試料から低い勾配応答を有する較正曲線を作成することを確認した。トラック抵抗(例えば、より大きな断面積を有するトラックを使用することによる)および溶液抵抗(例えば、可能な限り最も近い間隔を有する電極を使用することによる)に関して電極設計から多くの抵抗を除去することによって、性能を最適化することができる。
【0089】
図11aおよび図11bは、静電容量法のためのセルの最適化の効果を示し、最も顕著には、データポイント間の分離を改善する較正曲線の勾配の約2倍の改善を示す。
【0090】
図11aは、2.4mmの電極間隔を使用した静電容量法の較正曲線を示す。直線の方程式は、y=0.311x-12.9であり、R^2値は0.9940である。図11bは、0.6mmの電極間隔を有する最適化されたセル設計を使用した静電容量法の較正曲線を示す。直線の方程式は、y=0.609x-36.1であり、R^2値は0.9935である。
【0091】
図面に示され、上述された本発明の実施形態は、例示的な実施形態にすぎず、特許請求の範囲内に含まれる任意の均等物を含む、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。様々な修正が可能であり、当業者には容易に明らかであろう。本明細書に記載の相互に排他的ではない特徴の任意の組み合わせが本発明の範囲内にあることが意図される。すなわち、記載された実施形態の特徴は、上述の任意の適切な態様と組み合わせることができ、任意の1つの態様の任意の特徴は、任意の他の適切な態様と組み合わせることができる。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11a
図11b
【国際調査報告】