(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電池プレリチウム化方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20240719BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240719BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/60 20060101ALI20240719BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240719BHJP
H01M 50/627 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/052
H01M10/0569
H01M4/587
H01M4/48
H01M4/485
H01M4/60
H01M4/38 Z
H01M50/627
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507932
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2022089791
(87)【国際公開番号】W WO2023178790
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210300876.2
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522450819
【氏名又は名称】天津中能▲里▼▲業▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA ENERGY LITHIUM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.100, The 9th Avenue Of Xinye, West TEDA, Tianjin 300457, China
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孔 ▲徳▼▲玉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲旬▼ ▲慶▼娜
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 兆勇
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】牟 瀚波
【テーマコード(参考)】
5H023
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H023AA03
5H023BB10
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL11
5H029AL15
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029CJ15
5H029CJ28
5H029DJ02
5H029HJ02
5H029HJ14
5H050AA19
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB11
5H050CB19
5H050GA16
5H050GA27
5H050HA02
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、下記の工程を含む電池プレリチウム化方法を提供する。工程一:リチウム源ハーフセルを提供し、前記リチウム源ハーフセルは、単極と、電解液と、前記単極及び電解液を封止するハウジングとを含み、前記ハウジングには、ハウジング内部の流体と連通する外部導管と、流体の外部導管における流動を制御するマイクロ流体ポンプとが設けられている;工程二:プレリチウム化すべき電池を提供し、前記プレリチウム化すべき電池上に孔開けしてプレリチウム化チャネルを形成する;工程三:外部導管をプレリチウム化チャネルに接続し、マイクロ流体ポンプをオンにし、リチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池の電解液の間の循環を実現する;工程四:リチウム源ハーフセルの電極およびプレリチウム化すべき電池の負極を外部電源に接続し、プレリチウム化すべき電池をプレリチウム化する;工程五:プレリチウム化した後に、外部導管を取り外し、プレリチウム化チャネルを密閉し、プレリチウム化された電池を得る。本発明のプレリチウム化方法は、操作が簡単で安全性が高く、適用性が強い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含むことを特徴とする電池プレリチウム化方法。
工程一:リチウム源ハーフセルを提供し、前記リチウム源ハーフセルは、単極と、電解液と、前記単極及び電解液を封止するハウジングとを含み、前記ハウジングには、ハウジング内部の流体と連通する外部導管と、流体の外部導管における流動を制御するマイクロ流体ポンプとが設けられており、前記単極の電極活物質がリチウム含有金属又はリチウム含有酸化物である;
工程二:プレリチウム化すべき電池を提供し、前記プレリチウム化すべき電池上に孔開けしてプレリチウム化チャネルを形成する;
工程三:前記外部導管を前記プレリチウム化チャネルに接続し、マイクロ流体ポンプをオンにし、前記リチウム源ハーフセルと前記プレリチウム化すべき電池の電解液の間の循環を実現する;
工程四:前記リチウム源ハーフセルの電極および前記プレリチウム化すべき電池の負極を外部電源に接続し、前記プレリチウム化すべき電池をプレリチウム化する;
工程五:プレリチウム化した後に、外部導管を取り外し、プレリチウム化チャネルを密閉し、プレリチウム化された電池を得る。
【請求項2】
前記リチウム含有酸化物は、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄マンガンリチウム、チタン酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム(LiMn
2O
4)、LiMnO
2、ニッケル酸リチウム、ニッケルーマンガン酸リチウム、ニッケルーコバルトーマンガン三元系材料、ニッケルーコバルトーアルミニウム三元系材料及び過リチウム化物を包含し、前記リチウム含有金属は、金属リチウム、及びリチウムとAg、Al、Au、Ba、Be、Bi、B、C、Ca、Cd、Co、Cr、Cs、Fe、Ga、Ge、Hf、Hg、In、Ir、K、Mg、Mn、Mo、N、Na、Nb、Ni、Pt、Pu、Rb、Rh、S、Se、Si、Sn、Sr、Ta、Te、Ti、V、Y、Zn、Zr、Pb、Pd、Sb及びCuのうちの少なくとも1種の元素との合金を包含することを特徴とする請求項1に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項3】
前記プレリチウム化チャネルは、電池の上端及び/又は下端に位置し、チャネル径が1mm~10mmであることを特徴とする請求項1に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項4】
前記プレリチウム化過程は、電極間電流、環境温度、プレリチウム化時間及びマイクロ流体ポンプの回転速度を調節することによって制御されることを特徴とする請求項1に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項5】
前記工程四において印加される電流が1mA~5000mAであることを特徴とする請求項4に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項6】
プレリチウム化温度が35℃~65℃であり、好ましい温度が45℃であり、プレリチウム化時間が1時間~240時間であることを特徴とする請求項4に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項7】
前記マイクロ流体ポンプの回転速度が1rpm~30rpmであることを特徴とする請求項4に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項8】
前記リチウム源ハーフセルと前記プレリチウム化すべき電池における電解液は、同じ又は異なり、それぞれエステル系電解液又はエーテル系電解液から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項9】
前記プレリチウム化すべき電池の負極活性材料は、カーボン材料、ケイ素、一酸化ケイ素、チタン酸リチウム、金属-有機構造体材料、共有結合性有機構造体材料及びこれらの複合体を包含することを特徴とする請求項1に記載の電池プレリチウム化方法。
【請求項10】
前記リチウム源ハーフセルのハウジングには2つの外部導管が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池プレリチウム化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池技術分野に属し、特に電池プレリチウム化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池(LIBs)は、高エネルギー密度、高作動電圧及びメモリ効果なし等の特徴により、広く適用される電気化学エネルギー蓄積システムの1種となっている。しかし、常用される黒鉛負極は、容量が相対的に低い(372mAh g-1)ので、市場の高エネルギー密度の電池への要求を完全に満たすことはできない。研究者は、理想的な電位幅、より高い容量、優れたレート特性及び長いサイクル寿命などのメリットを有する新規の負極材料を求めつつあるが、これらの材料はいずれも初期活性リチウムの損耗が大きいという欠点が存在している。従って、プレリチウム化技術についての研究が重要な研究方向となっている。
【0003】
従来のプレリチウム化方法は、それぞれ負極にリチウム源を添加する方法、正極にリチウム源を添加する方法、犠牲電極法及び追加のリチウム源を添加する方法の4種類がある。負極にリチウム源を添加する方法は、条件が厳しく、製造コストの上昇が避けられず、かつ、リチウムが予め埋め込まれた負極は、高反応性により安全性の問題が存在し、大規模の適用を実現しにくい。正極に添加されるリチウム源材料は、リチウムイオンを放出した後、残りの材料が不活性材料、ひいては、絶縁材料となり、電池全体のエネルギー密度の向上に不利である。負極ペースト均一化過程において添加される追加のリチウム源は、一般にFMC Corporation(米国)製の安定したリチウム金属粉末(SLMP)であるが、この方法は、短絡を引き起こしやすく、かつ、リチウム金属粉末は安全性のリスクが非常に高い。犠牲電極法は、相対的に実用性が高いが、電池の組み立て過程において金属箔組み立て工程を増加する必要があり、電池をプレリチウム化する際に、金属リチウム電極と負極の間に作動電圧が印加され、電池が正常に作動するときに、この金属リチウム電極が電池の作動に寄与しない。プレリチウム化が終了した後、この金属リチウム電極が取り外されず、電池のエネルギー密度の低下を招いてしまう。
【0004】
以上より、操作が簡単で、安全性が高く、適用性が強い電池プレリチウム化方法の提供が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術における欠点に対して、本発明は、安全性が高く、適用性が強いプレリチウム化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
本発明は、下記の工程を含む電池プレリチウム化方法を提供する。
工程一:リチウム源ハーフセルを提供し、前記リチウム源ハーフセルは、単極と、電解液と、前記単極及び電解液を封止するハウジングとを含み、前記ハウジングには、ハウジング内部の流体と連通する外部導管と、流体の外部導管における流動を制御するマイクロ流体ポンプとが設けられており、前記単極の電極活物質がリチウム含有金属又はリチウム含有酸化物である;
工程二:プレリチウム化すべき電池を提供し、前記プレリチウム化すべき電池上に孔開けしてプレリチウム化チャネルを形成する;
工程三:前記外部導管を前記プレリチウム化チャネルに接続し、マイクロ流体ポンプをオンにし、前記リチウム源ハーフセルと前記プレリチウム化すべき電池の電解液の間の循環を実現する;
工程四:前記リチウム源ハーフセルの電極および前記プレリチウム化すべき電池の負極を外部電源に接続し、前記プレリチウム化すべき電池をプレリチウム化する;
工程五:プレリチウム化した後に、外部導管を取り外し、プレリチウム化チャネルを密閉し、プレリチウム化された電池を得る。
【0008】
幾つかの実施態様において、前記リチウム含有酸化物は、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄マンガンリチウム、チタン酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、LiMnO2、ニッケル酸リチウム、ニッケルーマンガン酸リチウム、ニッケルーコバルトーマンガン三元系材料、ニッケルーコバルトーアルミニウム三元系材料及び過リチウム化物を包含し、前記リチウム含有金属は、金属リチウム、及びリチウムとAg、Al、Au、Ba、Be、Bi、B、C、Ca、Cd、Co、Cr、Cs、Fe、Ga、Ge、Hf、Hg、In、Ir、K、Mg、Mn、Mo、N、Na、Nb、Ni、Pt、Pu、Rb、Rh、S、Se、Si、Sn、Sr、Ta、Te、Ti、V、Y、Zn、Zr、Pb、Pd、Sb及びCuのうちの少なくとも1種の元素との合金を包含する。
【0009】
幾つかの実施態様において、前記プレリチウム化チャネルは、電池の上端及び/又は下端に位置し、チャネル径が1mm~10mmである。
【0010】
幾つかの実施態様において、前記プレリチウム化過程は、電極間電流、環境温度、プレリチウム化時間及びマイクロ流体ポンプの回転速度を調節することによって制御される。
【0011】
幾つかの実施態様において、前記工程四において印加される電流が1mA~5000mAである。
【0012】
幾つかの実施態様において、プレリチウム化温度が35℃~65℃であり、好ましい温度が45℃である。
【0013】
幾つかの実施態様において、プレリチウム化時間が1時間~240時間である。
【0014】
幾つかの実施態様において、マイクロ流体ポンプの回転速度が1rpm~30rpmである。
【0015】
幾つかの実施態様において、前記リチウム源ハーフセルと前記プレリチウム化すべき電池における電解液は、同じ又は異なり(異なることが好ましい)、それぞれエステル系電解液又はエーテル系電解液から選ばれる。
【0016】
幾つかの実施態様において、エステル系電解液は、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を包含する。
【0017】
幾つかの実施態様において、エーテル系電解液は、ジフェニルエーテル、エチレングリコールビスプロピオニトリルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)、ジオキソラン(DOL)、メチルノナフルオロ-n-ブチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル等を包含する。
【0018】
幾つかの実施態様において、前記プレリチウム化すべき電池の負極活性材料は、カーボン材料(黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラフェン等)、ケイ素、一酸化ケイ素、チタン酸リチウム、金属-有機構造体材料、共有結合性有機構造体材料及びこれらの複合体を包含する。
【0019】
幾つかの実施態様において、リチウム源ハーフセルのハウジングには2つの外部導管が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のプレリチウム化方法は、少なくとも下記のメリットを有する。
1.プレリチウム化方法の操作過程が簡単で便利である。
2.プレリチウム化過程において使用される材料が安定し、安全性が高い。
3.プレリチウム化方法では、外部リチウム源を採用し、プレリチウム化すべき電池に対して「輸液」することに相当し、適用性が強い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明においてリチウム源ハーフセルを用いてプレリチウム化を行う概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1の電池D1の充放電容量グラフである。
【
図3】
図3は、本発明の実施例2の電池D2の充放電容量グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のプレリチウム化方法は、
図1に示すように、まず、リチウム源ハーフセルを提供し、前記リチウム源ハーフセルは、単極2と、電解液3と、前記単極及び電解液を封止するハウジング(封止材料)1とを含み、前記ハウジング1には、ハウジングの内部流体と連通する外部導管4と、流体の外部導管における流動を制御するマイクロ流体ポンプ5とが設けられている。次に、プレリチウム化すべき電池6の上端及び/又は下端にプレリチウム化チャネルを孔開けし、外部導管によってリチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池とを接続する。外部導管の接続箇所をシールした後、リチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池は、1つの連通装置となり、マイクロ流体ポンプの制御によって電解液の電池間での流動を制御し、さらに電解液の循環を実現する。リチウム源ハーフセルの電極とプレリチウム化すべき電池の負極をリード線7によって外部電源8に接続することにより、プレリチウム化すべき電池をプレリチウム化することができる。
【0023】
リチウム源ハーフセルの作製
リチウム-銅複合テープをリチウム源ハーフセルの単極として使用し、普通のエステル系電解液(具体的に、リチウム塩がヘキサフルオロリン酸リチウムであり、溶媒がエチレンカーボネートである)をリチウム源ハーフセルの電解液として採用し、アルミプラスチックフィルムを採用して単極と電解液を封止し、アルミプラスチックフィルムには外部導管が設けられている。
【0024】
正極シートの作製
コバルト酸リチウムを正極活性材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をバインダーとして、導電カーボン(SP)を導電剤として用い、正極活物質:PVDF:SP=95:3:2(質量比)の割合でN-メチルピロリドン(NMP)中に溶解し、均一に撹拌して正極ペーストに作製し、そして、銅箔上に均一に塗布し、乾燥させて正極シートを得る。
【0025】
リチウム補充すべき負極シートの作製:
導電カーボン(SP)を電子導電材料として、ケイ素-炭素複合材料(一酸化ケイ素:炭素=55:45(質量比)であり、ケイ素-炭素複合材料の初回充放電効率が低く、約65%である)をイオン導電材料として、カルボキシメチルセルロース(CMC)をポリマーとして用い、割合で脱イオン水中に溶解し、均一に撹拌してペーストに作製し、中でも、SP:ケイ素-炭素複合材料:CMC=8:85:7(質量比)である。そして、ペーストを銅箔上に均一に塗布して乾燥させて、負極シートの含水量が200ppm未満であり、ホットプレス、スライスした後、リチウム補充すべき負極シートを得る。
【0026】
上記の正極シートと、リチウム補充すべき負極シートと、セラミック層をコーティングしたセパレータとを積層し、積層過程は、露点が-50℃である乾燥室で行う必要がある。積層終了後、セルをアルミプラスチックバッグ内に入れてサイドシールする。電解液(ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)の濃度が1mol/Lであり、溶媒の割合がエチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1:1である)を注入して、トップシールを行い、プレリチウム化すべき電池を得る。6本の電池を組み立て、電池の番号をそれぞれD1~D6と記す。
【0027】
実施例1
電池D1を取って充放電テストを行い、電池の充電容量及び放電容量を記録し、電池のクーロン効率を算出する。
【0028】
実施例2
電池D2を取って、電池の上端及び下端にプレリチウム化チャネルを孔開けし、リチウム源ハーフセルに接続させる。マイクロ流体ポンプをオンにして2本の電池間の電解液を循環させる。この時、リチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池の負極間電流を50mA、環境温度を45℃、マイクロ流体ポンプの回転速度を10rpm、プレリチウム化時間を60minとする。
【0029】
実施例3
電池D3を取って、電池の上端及び下端にプレリチウム化チャネルを孔開けし、リチウム源ハーフセルに接続させる。マイクロ流体ポンプをオンにして2本の電池間の電解液を循環させる。この時、リチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池の負極間電流を50mA、環境温度を45℃、マイクロ流体ポンプの回転速度を10rpm、プレリチウム化時間を120minとする。
【0030】
実施例4
電池D4を取って、電池の上端及び下端にプレリチウム化チャネルを孔開けし、リチウム源ハーフセルに接続させる。マイクロ流体ポンプをオンにして2本の電池間の電解液を循環させる。この時、リチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池の負極間電流を50mA、環境温度を45℃、マイクロ流体ポンプの回転速度を20rpm、プレリチウム化時間を60minとする。
【0031】
実施例5
電池D5を取って、電池の上端及び下端にプレリチウム化チャネルを孔開けし、リチウム源ハーフセルに接続させる。マイクロ流体ポンプをオンにして2本の電池間の電解液を循環させる。この時、リチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池の負極間電流を50mA、環境温度を55℃、マイクロ流体ポンプの回転速度を10rpm、プレリチウム化時間を60minとする。
【0032】
実施例6
電池D6を取って、電池の上端及び下端にプレリチウム化チャネルを孔開けし、リチウム源ハーフセルに接続させる。マイクロ流体ポンプをオンにして2本の電池間の電解液を循環させる。この時、リチウム源ハーフセルとプレリチウム化すべき電池の負極間電流を200mA、環境温度を45℃、マイクロ流体ポンプの回転速度を10rpm、プレリチウム化時間を10minとする。
【0033】
各実施例の電池のプレリチウム化条件を統計し、表1に示し、各実施例の電池のクーロン効率を算出した。
【0034】
【0035】
表1からわかるように、プレリチウム化が行われなかった電池D1のクーロン効率がそれぞれ64.7%であった。電池D1の充放電容量グラフは、
図2に示される通りであり、図からわかるように、電池D1の充電容量と放電容量との間に大きな差が存在し、これは、初回の放電過程において、負極表面での固形電解質膜の形成により、正極におけるリチウムイオンが消耗されたからである。電池D2は、プレリチウム化が行われた後、電池の放電容量が明らかに向上し、電池D2の充放電グラフは、
図3に示される通りであり、図からわかるように、電池D2は、プレリチウム化された後、電池の充電容量が290mAhとなり、電池の放電容量が238mAhとなり、電池のクーロン効率が81%であり、これは、プレリチウム化により初回の放電過程において負極表面での固形電解質膜の形成により消耗されたリチウムイオンが補給され、電池D2のクーロン効率が向上し、プレリチウム化方法が有効であることを示している。プレリチウム化時間を60minから120minまで延長した後、電池D3のクーロン効率が100%となり、これは、当該プレリチウム化条件で、電池D3の初回放電時に消耗されたリチウムイオンが完全に補給され、電池の初回充放電が正極材料におけるリチウムイオンを消耗しなくなることを示している。
【0036】
プレリチウム化時間の延長よりも、マイクロ流体ポンプの回転速度の向上、及び環境温度の向上は、クーロン効率の向上への寄与が少なく、これは主にマイクロ流体ポンプの回転速度及び環境温度の向上が電解液中のリチウムイオンの拡散に有利であるが、電池容量への寄与がほとんどないからである。電池D6からもわかるように、プレリチウム化電流を増加させた後、短時間で電池のプレリチウム化を完成することができる。
【0037】
本発明の実施例において、具体的な正極及び負極活物質、集電体、電解液、セパレータ、バインダー及び導電剤に結びついて本発明に係るプレリチウム化方法を詳しく説明しているが、これらは法的要件を満たすための説明に過ぎず、本発明は、以上に記載されている実施例に制限されないことが理解され得るであろう。当業者であれば、明細書の開示及び教示に基づいて、適切な操作によってプレリチウム化方法の複製を完成することができる。
【0038】
上記明細書の開示及び教示に基づき、本発明が所属する分野の技術者は、上記実施形態を適宜変更及び修正することができる。従って、本発明は、以上に開示及び説明している具体的な実施形態に限定されず、本発明に対する幾つかの修正及び変更も本発明の保護請求範囲内に含まれるべきである。なお、本明細書では、幾つかの特定の用語を用いたが、これらの用語は説明の便宜上のものであり、本発明に何ら制限を加えるものではない。
【国際調査報告】