IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-528299自動車の識別子発信機を測位するための方法、並びに、自動車の識別子発信機を測位するための自動車の機能装置及び自動車
<>
  • 特表-自動車の識別子発信機を測位するための方法、並びに、自動車の識別子発信機を測位するための自動車の機能装置及び自動車 図1
  • 特表-自動車の識別子発信機を測位するための方法、並びに、自動車の識別子発信機を測位するための自動車の機能装置及び自動車 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自動車の識別子発信機を測位するための方法、並びに、自動車の識別子発信機を測位するための自動車の機能装置及び自動車
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G01S5/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507981
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022069233
(87)【国際公開番号】W WO2023016727
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021004100.3
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ベッツ コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ライト マルコ
(72)【発明者】
【氏名】センドラー ヨッヘン
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062BB05
5J062CC11
5J062EE01
(57)【要約】
本発明は、自動車(1)の機能装置(2)を用いて、自動車(1)の識別子発信機(3)を測位するための方法(8)に関する。この方法(8)では、識別子発信機(3)が測位信号を送出し、機能装置(2)が本来の測位信号(10)及び反射された測位信号(11、12、13)を受信する。機能装置(2)は、測位信号(10、11、12、13)それぞれから、識別子発信機(3)までの距離を特定する。機能装置(2)は、反射された測位信号(11、12、13)が本来の測位信号(10)の短距離反射に相当するか否かを検査する。これに応じて、機能装置(2)は識別子発信機(3)を測位する。また本発明は、機能装置(2)、及び機能装置(2)を備えた自動車(1)にも関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)の機能装置(2)を用いて、前記自動車(1)の識別子発信機(3)を測位するための方法(8)において、
-前記識別子発信機(3)は、測位信号を送出し、前記機能装置(2)は、前記識別子発信機(3)の本来の測位信号(10)及び前記識別子発信機(3)の少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)を受信し、
-前記機能装置(2)は、受信した前記本来の測位信号(10)及び前記受信した少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)それぞれから、前記識別子発信機(3)までの距離を特定し、
-前記機能装置(2)は、前記特定された距離に基づいて、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当するか否かを検査し、
-前記機能装置(2)は、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当するか又は相当しないかに応じて、前記識別子発信機(3)を測位する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
-前記機能装置(2)は、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当する場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車(1)内に存在するものとして測位し、
-前記機能装置(2)は、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当しない場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車(1)外に存在するものとして測位する
ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記機能装置(2)は、前記特定された距離を相互に比較し、前記比較に基づいて、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当するか又は相当しないかを確認する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
-前記機能装置(2)は、前記測位信号の短距離反射の回数を特定し、
-前記機能装置(2)は、前記測位信号の短距離反射の回数が所定の閾値回数を上回る場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車内に存在するものとして測位し、
-前記機能装置(2)は、前記測位信号の短距離反射の回数が前記所定の閾値回数を上回らない場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車(1)外に存在するものとして測位する
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記識別子発信機(3)は、UWB測位信号を送出し、前記機能装置(2)は、前記識別子発信機の本来のUWB測位信号(10)及び前記識別子発信機(3)の少なくとも1つの反射されたUWB測位信号(11、12、13)を受信及び評価する
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
自動車(1)の識別子発信機(3)を測位するための前記自動車(1)の機能装置(2)であって、
-前記機能装置(2)は、前記識別子発信機(3)の測位信号(10、11、12、13)を受信する少なくとも1つの受信ユニット(5)を有し、
-前記機能装置(2)は、前記識別子発信機(3)の前記受信した測位信号(10、11、12、13)を評価する評価ユニットを有し、
-前記機能装置(2)は、請求項1~5のいずれか一項記載の方法(8)を実施するように設計されている
ことを特徴とする、機能装置(2)。
【請求項7】
前記機能装置(2)の前記少なくとも1つの受信ユニット(5)は、前記識別子発信機(3)のUWB測位信号(10、11、12、13)を受信するように設計されており、前記機能装置(2)の前記評価ユニットは、前記識別子発信機(3)の前記受信したUWB測位信号(10、11、12、13)を評価するように設計されている
ことを特徴とする、請求項6記載の機能装置。
【請求項8】
自動車(1)であって、
-前記自動車(1)は、測位信号を送信する識別子発信機(3)を有し、
-前記自動車(1)は、請求項7記載の識別子発信機(3)を測位する機能装置(2)を有し、
-前記機能装置(2)は、少なくとも1つの受信ユニット(5)を有し、前記少なくとも1つの受信ユニット(5)は、前記自動車(1)の外側に取り付けられている
ことを特徴とする、自動車(1)。
【請求項9】
-前記識別子発信機(3)は、UWB測位信号を送信するUWB無線ユニットを備えたスマートフォン(4)であり、
-前記受信ユニット(5)は、前記識別子発信機(3)のUWB測位信号(10、11、12、13)を受信するように設計されており、前記評価ユニットは、前記識別子発信機(3)の前記受信したUWB測位信号(10、11、12、13)を評価するように設計されている
ことを特徴とする、請求項8記載の自動車。
【請求項10】
-前記機能装置(2)は、少なくとも4つ、好ましくは丁度4つのUWB受信ユニット(5)を有し、
-少なくとも4つ、好ましくは丁度4つの前記UWB受信ユニット(5)は、前記自動車(1)の外側において、前部では前照灯にそれぞれ隣接して、後部では後部灯にそれぞれ隣接して、前記自動車(1)に取り付けられている
ことを特徴とする、請求項9記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、自動車の識別子発信機を測位するための方法に関する。また、本発明は、上記の方法を実施するための自動車の機能装置にも関する。また、本発明は、上記の機能装置を備えた自動車にも関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102018005763号明細書から、機能装置を用いて、自動車の鍵を測位することが既に公知である。このために、鍵は、LF測位信号(LF:Low Frequency)を送信し、このLF測位信号は、自動車の相互に離隔された少なくとも2つのLF受信ユニットによって受信される。LF測位信号は、150kHzを下回る周波数を有する低周波信号である。この場合、機能装置は、LF測位信号に基づいて、鍵から各LF受信ユニットまでの距離を評価し、鍵の位置を2次元座標系において特定する。これによって、自動車においてキーレスゴー機能を実現することができる。
【0003】
将来的には、自動車におけるキーレスゴー機能も、例えばスマートフォンの形態の能動的な識別子発信機を用いて実装される必要がある。識別子発信機は、メモリ領域に、車両のアクセスシステム及び車両の運転認証システムに必要とされる認証データを含む。これはディジタル式の鍵(ディジタルキー)と呼ばれる。このために、識別子発信機は、機能装置によって、鍵と同等の方法で位置が特定可能でなければならない。識別子発信機の位置に依存して(応じて)、自動車において、鍵の場合と同様に、キーレスゴー機能を実装することができる。鍵とは異なり、スマートフォン若しくは能動的な識別子発信機は、LF無線ユニットを有しないので、自動車のLF受信ユニットを介してスマートフォンの位置特定をすることができない。スマートフォン若しくは能動的な識別子発信機の位置を特定するには、UWB(UWB:Ultra Wide Band)測位信号を送信するためのスマートフォン若しくは能動的な識別子発信機のUWB無線ユニットと、自動車のUWB受信ユニットとが使用される必要がある。UWB方法は、少なくとも500MHzの帯域幅を使用する送信方法である。
【0004】
自動車に含まれるUWB受信ユニットの数がLF受信ユニットの数よりも少ないことは欠点である。通常、自動車の前部に2つのUWB受信ユニットが配置され、後部に2つのUWB受信ユニットが配置される。例えば、スマートフォンが自動車の後部トランク又はフランク若しくは前部トランク(後部荷物入れ又は前部トランク若しくは前部荷物入れ)にある場合、スマートフォンのUWB測位信号は、後部UWB受信ユニットによってのみ、又は前部UWB受信ユニットによってのみ受信されるので、スマートフォンの位置特定は必ずしも明確ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、上述の欠点が克服される、改善された、又は少なくとも代替的な方法、この方法を実施するための相応の機能装置、及び機能装置を備えた自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明によれば、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
自動車の機能装置を用いて、自動車の能動的な識別子発信機を測位する方法が提供される。この方法では、識別子発信機が、測位信号を送出(発信)し、機能装置が、識別子発信機の本来の(オリジナルの)測位信号及び識別子発信機の少なくとも1つの反射された測位信号を受信する。機能装置は、受信した本来の測位信号及び受信した少なくとも1つの反射された測位信号それぞれから、識別子発信機までの距離を特定する。その後、機能装置は、特定された距離に基づいて、少なくとも1つの反射された測位信号が本来の測位信号の短距離反射に相当するか否かを検査する。少なくとも1つの反射された測位信号が本来の測位信号の短距離反射に相当するか又は相当しないかに応じて、機能装置は識別子発信機を測位する。測位とは、自動車に対する識別子発信機の位置を特定することである。
【0008】
本来の測位信号とは、本発明との関係において、識別子発信機から直接的な経路を通って機能装置に到達する、識別子発信機の測位信号である。反射された測位信号とは、本発明との関係において、識別子発信機から機能装置までの経路において、物体で少なくとも一回は反射された、識別子発信機の測位信号である。
【0009】
本発明による方法では、以下の考察が使用される。識別子発信機の測位信号は、より短い伝搬経路と、通常、少なくとも1つの別のより長い伝搬経路とを伝搬する。ここで、より短い伝搬経路は、識別子発信機と機能装置とを直接的に結ぶことによって生じる。より長い伝搬経路は、近くの物体での測位信号の反射によって生じる。識別子発信機が外部領域にある場合、近くの物体は、例えば壁又は地面であり得る。反射された測位信号は、本来の測位信号よりも大幅に長い距離を辿る(カバーする)。相応に、反射された測位信号に基づいて特定された識別子発信機の距離は、本来の測位信号自体から特定された識別子発信機の距離よりも大幅に長くなる。これは、測位信号の長距離反射と言える。識別子発信機が自動車内、特に後部トランク又はフランク若しくは前部トランクにある場合、近くの物体は、例えばトランクの壁であり得る。反射された測位信号は、本来の測位信号の距離に類似する距離を辿る(カバーする)か、又は顕著な偏差を示さない。相応に、反射された測位信号に基づいて特定された識別子発信機の距離は、本来の測位信号自体から特定された識別子発信機の距離に類似するか、若しくは本来の測位信号自体から特定された識別子発信機の距離に比べて顕著に長くならない。これは、測位信号の短距離反射と言える。
【0010】
反射された測位信号に対応付けられた距離と本来の測位信号に対応付けられた距離とが、所定の閾値係数を上回らない係数だけ異なる場合、及び/又は所定の閾値量(大きさ)を上回らない量だけ異なる場合、測位信号の短距離反射が存在すると考えられる。反射された測位信号に対応付けられた距離と本来の測位信号に対応付けられた距離とが、所定の閾値係数を上回る係数だけ異なる場合、及び/又は所定の閾値量を上回る量だけ異なる場合、測位信号の長距離反射が存在すると考えられる。
【0011】
機能装置は、有利には、識別子発信機の測位信号を受信する少なくとも1つの受信ユニットと、識別子発信機の受信した測位信号を評価する評価ユニットと、を有することができる。ここで機能装置は、本発明による方法において、反射された測位信号が短距離で反射されたものであるか、又は長距離で反射されたものであるかを検査することができ、またこの検査から、識別子発信機が外部領域に存在するか又は自動車内に存在するかを特定することができる。本来の測位信号及び少なくとも1つの反射された測位信号が機能装置の単一の受信ユニットによって受信されると即座に、識別子発信機を明確に位置特定することができる。これによって、自動車において別の受信ユニットは不要となり、機能装置若しくは自動車のコスト、設置スペース及び重量を低減することができる。更に、本方法は、従来の解決手段と比較して簡略化されており、より高速に、若しくは応答時間を劣化させることなく、識別子発信機を位置特定することができる。更に、本発明による方法によって、識別子発信機を動作させるための所要エネルギーも、機能装置を動作させるための所要エネルギーも低減される。
【0012】
機能装置は、少なくとも1つの反射された測位信号が測位信号の短距離反射に相当する場合、識別子発信機を、自動車内に存在するものとして測位することができる。少なくとも1つの反射された測位信号が本来の測位信号の短距離反射に相当しない場合、機能装置は、識別子発信機を、自動車外に存在するものとして測位することができる。これによって、本方法では、識別子発信機を明確に測位することができ、またキーレスゴー機能を自動車において簡略化された方法で実現(実装)することができる。
【0013】
機能装置は、特定された距離を相互に比較し、その比較に基づいて、少なくとも1つの反射された測位信号が測位信号の近距離反射に相当するか又は相当しないかを確認することができる。機能装置は、一方の距離と他方の距離とを比較する際に、2つの距離が所定の閾値係数を上回らない係数だけ異なる場合、又は所定の閾値量を上回らない量だけ異なる場合、少なくとも1つの反射された測位信号を、測位信号の短距離反射として特定することができる。
【0014】
機能装置は、測位信号の短距離反射の回数を特定することもできる。測位信号の短距離反射の回数が所定の閾値回数を上回る場合、機能装置は、識別子発信機を、自動車内に存在するものとして測位することができる。測位信号の短距離反射の回数が所定の閾値回数を上回らない場合、機能装置は、識別子発信機を、自動車外に存在するものとして測位することができる。所定の閾値回数は、例えば、1以上とすることができる。
【0015】
本方法の有利な発展形態では、識別子発信機が、UWB測位信号を送出することを提供する。この場合、機能装置は、識別子発信機の本来のUWB測位信号及び識別子発信機の少なくとも1つの反射されたUWB測位信号を受信することができ、またそれらのUWB測位信号を評価することができる。識別子発信機は、例えば、いわゆるディジタル式の鍵であってもよいし、UWB無線ユニットを備えたスマートフォンであってもよい。これによって、自動車におけるキーレスゴー機能を、スマートフォンによっても実現することができる。
【0016】
また本発明は、自動車の識別子発信機を測位するための自動車の機能装置にも関する。機能装置は、識別子発信機の測位信号を受信する少なくとも1つの受信ユニットと、識別子発信機の受信した測位信号を評価する評価ユニットと、を有する。ここで、機能装置は、上述の方法を実施するように設計されている。
【0017】
既に上記において述べたように、機能装置の少なくとも1つの受信ユニットを、識別子発信機のUWB位置信号を受信するように設計することができ、機能装置の評価ユニットを、識別子発信機の受信したUWB位置信号を評価するように設計することができる。このケースにおいて、自動車においてキーレスゴー機能をスマートフォンによって実現することができるように、識別子発信機を、UWB無線ユニットを備えたスマートフォンとすることができる。
【0018】
本発明は、測位信号を送信する識別子発信機を備える自動車にも関する。自動車は、識別子発信機を測位するための上述の機能装置を有する。既に上述したように、機能装置は、識別子発信機の測位信号を受信する少なくとも1つの受信ユニットと、識別子発信機の受信した測位信号を評価する評価ユニットと、を有する。この場合、機能装置の少なくとも一つの受信ユニットは、自動車の外側に取り付けられている。
【0019】
既に上記に説明したように、識別子発信機は、UWB測位信号を送信するUWB無線ユニットを備えたスマートフォンであってもよい。相応に、受信ユニットを、識別子発信機のUWB測位信号を受信するように設計することができ、評価ユニットを、識別子発信機の受信したUWB測位信号を評価するように設計することができる。
【0020】
更に、機能装置は、少なくとも4つ、好ましくは丁度4つのUWB受信ユニットを有することができる。この場合、少なくとも4つ、好ましくは丁度4つのUWB受信ユニットは、自動車の外側において、前部では前照灯にそれぞれ隣接して、後部では後部灯にそれぞれ隣接して、自動車に取り付けられている。特に有利には、上述の方法を用いて、少なくとも4つ又は丁度4つのUWB受信ユニットのうちの1つを用いて、後部トランクにおいても、若しくはフランク又は前部トランクにおいても、識別子発信機を明確に位置特定することができる。
【0021】
本発明の更に重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面を参照した図面に関連する説明から明らかである。
【0022】
上記に挙げた特徴、及び以下に更に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ示された組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、他の組み合わせにおいても又は単独でも使用可能であると解されたい。
【0023】
本発明の好適な実施形態を図面に図示し、下記においてより詳細に説明するが、同一の参照符号は、同一若しくは類似の、又は機能的に同一の構成要素を表す。
【0024】
図面は次のものをそれぞれ模式的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】自動車の識別子発信機を測位するための従来の機能装置を備えた一般的な自動車の部分図を示す。
図2】自動車の識別子発信機を測位するための本発明による機能装置を備えた本発明による自動車の部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、自動車1aの識別子発信機3aを測位するための従来の機能装置2aを備えた従来の自動車1aの部分図を示す。識別子発信機3aは、ここでは、UWB測位信号を送信するためのスマートフォン4aとして表されており、機能装置2aは、2つの前部UWB受信ユニット5aと、2つの後部UWB受信ユニット(但しここでは見えない)と、を有する。機能装置2aは、従来の方法8aを用いて、スマートフォン4aからUWB受信ユニット5aまでの距離と、これらの距離から幾何学的にスマートフォン4aの位置とを決定することによって、スマートフォン4aを測位することができる。図1において、スマートフォン4aは、例示的に2つの位置、つまり自動車1aの外部領域6a及び自動車1aのフランク7aに示されている。これら両位置では、スマートフォン4aのUWB測位信号は、前部UWB受信ユニット5aによってのみ受信可能である。しかしながら、これら両位置ではスマートフォン4aとUWB受信ユニット5aとの間の距離は等しいため、従来の方法8aでは、機能装置2aは、示されているスマートフォン4aのこれらの位置を区別することができない。スマートフォン4aを確実に位置特定するために、更なるUWB受信ユニット5aが必要になる。
【0027】
図2は、自動車1の識別子発信機3を測位するための本発明による機能装置2を備えた本発明による自動車1の部分図を示す。ここでも、識別子発信機3は、UWB測位信号を送信するためのスマートフォン4として表されており、機能装置2は、2つの前部UWB受信ユニット5と、2つの後部UWB受信ユニット(但しここでは見えない)と、を有する。図2において、スマートフォン4は2つの位置、つまり自動車1の外部領域6及び自動車1のフランク7に示されている。これらの位置は、図1に示した例示的な位置に対応している。本発明による方法8を用いて、更なるUWB受信ユニット5を用いることなく、スマートフォン4を明確に位置特定することができる。
【0028】
スマートフォン4が外部領域6に存在する場合、UWB受信ユニット5は、スマートフォン4の本来のUWB測位信号10及び反射されたUWB測位信号11を受信する。本来のUWB測位信号10は、スマートフォン4から、直接的な経路を辿って(を通って)UWB受信ユニット5に到達する。反射されたUWB測位信号11は、スマートフォン4からUWB受信ユニット5までの経路において、一回、ここでは例として地面12で反射される。反射されたUWB測位信号11は、ここでは区別しやくするために破線で示されている。機能装置の評価ユニット(ここでは不図示)は、受信したUWB測位信号10及び11それぞれから、スマートフォン4までの距離を特定して、これらの距離を比較することができる。反射されたUWB測位信号11は、本来のUWB測位信号10よりも大幅に(著しく)長い距離を辿る(通る、移動する)ので、2つの距離も大きく異なる。この場合、評価ユニットは、受信した、反射されたUWB測位信号11を、本来のUWB測位信号10の短距離反射ではないと評価し、スマートフォンを自動車1内に存在しないものとして測位する。
【0029】
スマートフォン4がフランク7内に存在する場合、UWB受信ユニット5は、本来のUWB測位信号10並びに2つの反射されたUWB測位信号12及び13を受信する。反射されたUWB測位信号12及び13は、ここでは区別しやすくするために破線で示されている。この場合、本来のUWB測位信号10は、スマートフォン4から、直接的な経路を辿ってUWB受信ユニット5に到達する。反射されたUWB測位信号12及び13は、スマートフォン4からUWB受信ユニット5までの経路において、フランク7の壁で反射される。機能装置2の評価ユニットは、受信したUWB測位信号10、12及び13それぞれから、スマートフォン4までの距離を特定して、これらを相互に比較することができる。しかしながら、全てのUWB測位信号10、12、13が辿った(移動した)距離はほぼ等しいか、又は少なくとも大きく異ならない。従って、上述の距離も相互に大きく異ならない。評価ユニットは、反射されたUWB測位信号12及び13それぞれを、本来のUWB測位信号10の短距離反射と評価し、スマートフォンを自動車1内に存在するものとして測位する。
【0030】
反射路/反射経路11が本来の(元の)経路に対して短い距離を有する、つまり短距離反射に対応するケースも十分に起こり得る(例えば、地面での反射が、それほど大きな付加的な経路を意味しないかもしれない)。しかしながら、車両のフランク/内部では、更なる短距離反射が見込まれる(予想される)。この例では、13は12から近距離にある。外部空間(外部領域)では、別の反射経路は隣接する物体、例えば壁を介して生じると考えられ、従って近距離にはないと考えられる。
【0031】
本発明による方法8により、機能装置2の単一のUWB受信ユニット5によって、スマートフォン4を明確に測位することができる。これによって、付加的なUWB受信ユニットは不要である。追加コスト、付加的な設置スペース及び付加的な重量を要することなく、自動車1において、スマートフォン4によってキーレスゴー機能を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018005763号明細書
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)の機能装置(2)を用いて、前記自動車(1)の識別子発信機(3)を測位するための方法(8)において、
-前記識別子発信機(3)は、測位信号を送出し、前記機能装置(2)は、前記識別子発信機(3)の本来の測位信号(10)及び前記識別子発信機(3)の少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)を受信し、
-前記機能装置(2)は、受信した前記本来の測位信号(10)及び前記受信した少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)それぞれから、前記識別子発信機(3)までの距離を特定し、
-前記機能装置(2)は、前記特定された距離に基づいて、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当するか否かを検査し、
-前記機能装置(2)は、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当するか又は相当しないかに応じて、前記識別子発信機(3)を測位する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
-前記機能装置(2)は、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当する場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車(1)内に存在するものとして測位し、
-前記機能装置(2)は、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当しない場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車(1)外に存在するものとして測位する
ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記機能装置(2)は、前記特定された距離を相互に比較し、前記比較に基づいて、前記少なくとも1つの反射された測位信号(11、12、13)が前記本来の測位信号(10)の短距離反射に相当するか又は相当しないかを確認する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
-前記機能装置(2)は、前記測位信号の短距離反射の回数を特定し、
-前記機能装置(2)は、前記測位信号の短距離反射の回数が所定の閾値回数を上回る場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車内に存在するものとして測位し、
-前記機能装置(2)は、前記測位信号の短距離反射の回数が前記所定の閾値回数を上回らない場合、前記識別子発信機(3)を前記自動車(1)外に存在するものとして測位する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記識別子発信機(3)は、UWB測位信号を送出し、前記機能装置(2)は、前記識別子発信機の本来のUWB測位信号(10)及び前記識別子発信機(3)の少なくとも1つの反射されたUWB測位信号(11、12、13)を受信及び評価する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
自動車(1)の識別子発信機(3)を測位するための前記自動車(1)の機能装置(2)であって、
-前記機能装置(2)は、前記識別子発信機(3)の測位信号(10、11、12、13)を受信する少なくとも1つの受信ユニット(5)を有し、
-前記機能装置(2)は、前記識別子発信機(3)の前記受信した測位信号(10、11、12、13)を評価する評価ユニットを有し、
-前記機能装置(2)は、請求項1記載の方法(8)を実施するように設計されている
ことを特徴とする、機能装置(2)。
【請求項7】
前記機能装置(2)の前記少なくとも1つの受信ユニット(5)は、前記識別子発信機(3)のUWB測位信号(10、11、12、13)を受信するように設計されており、前記機能装置(2)の前記評価ユニットは、前記識別子発信機(3)の前記受信したUWB測位信号(10、11、12、13)を評価するように設計されている
ことを特徴とする、請求項6記載の機能装置。
【請求項8】
自動車(1)であって、
-前記自動車(1)は、測位信号を送信する識別子発信機(3)を有し、
-前記自動車(1)は、請求項7記載の識別子発信機(3)を測位する機能装置(2)を有し、
-前記機能装置(2)は、少なくとも1つの受信ユニット(5)を有し、前記少なくとも1つの受信ユニット(5)は、前記自動車(1)の外側に取り付けられている
ことを特徴とする、自動車(1)。
【請求項9】
-前記識別子発信機(3)は、UWB測位信号を送信するUWB無線ユニットを備えたスマートフォン(4)であり、
-前記受信ユニット(5)は、前記識別子発信機(3)のUWB測位信号(10、11、12、13)を受信するように設計されており、前記評価ユニットは、前記識別子発信機(3)の前記受信したUWB測位信号(10、11、12、13)を評価するように設計されている
ことを特徴とする、請求項8記載の自動車。
【請求項10】
-前記機能装置(2)は、少なくとも4つ、好ましくは丁度4つのUWB受信ユニット(5)を有し、
-少なくとも4つ、好ましくは丁度4つの前記UWB受信ユニット(5)は、前記自動車(1)の外側において、前部では前照灯にそれぞれ隣接して、後部では後部灯にそれぞれ隣接して、前記自動車(1)に取り付けられている
ことを特徴とする、請求項9記載の自動車。
【国際調査報告】