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特表2024-528302スピン軌道トルク磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・アレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】スピン軌道トルク磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・アレイ
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240719BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20240719BHJP
   H10N 50/20 20230101ALI20240719BHJP
【FI】
H10B61/00
H01L29/82 Z
H10N50/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508031
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2022056619
(87)【国際公開番号】W WO2023017338
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】17/401,394
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ワーレッジ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハシェミ、ポウヤ
(72)【発明者】
【氏名】デブロッセ、ジョン、ケネス
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA01
4M119AA03
4M119AA11
4M119BB01
4M119CC05
4M119CC10
4M119DD06
4M119DD32
4M119DD37
4M119DD45
4M119DD55
4M119EE22
4M119EE26
4M119GG01
5F092AA04
5F092AA12
5F092AB08
5F092AC12
5F092AC26
5F092AD25
5F092BB10
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB43
5F092BB55
5F092BC03
5F092BC12
5F092EA01
5F092EA05
5F092EA06
(57)【要約】
スピン軌道トルク磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイスが、トランジスタのアレイを形成することであり、アレイの1列が、その列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を含む、形成することと、その行のトランジスタのドレイン接点に接触するスピン軌道トルク(SOT)線を形成することと、単位セルのアレイを形成することであり、各単位セルが、SOT線の上に配置され、SOT線に電気的に接触するスピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セル・スタックを含み、SOT-MRAMセル・スタックが、自由層、トンネル接合層、および基準層を含み、ダイオード構造体が、SOT-MRAMセル・スタックの上に位置し、SOT-MRAMセル・スタックに電気的に接触し、上部電極が、ダイオード構造体の上に配置され、ダイオード構造体に電気的に接触する、形成することとによって形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体であって、
スピン軌道トルク(SOT)MRAMセルのアレイを備え、
前記アレイのSOT-MRAMセルが、トランジスタ、磁気トンネル接合(MTJ)、および前記MTJの上に配置されたダイオードを備え、
前記アレイの1列が、前記列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を備え、前記ソース線が、前記MRAM構造体の第1の金属層に配置され、
前記アレイの1行が、前記行の各トランジスタのドレイン接点に接触するSOT線を備え、前記SOT線が、前記MRAM構造体の第2の金属層に配置される、MRAM構造体。
【請求項2】
前記列が、前記列の各ダイオードに接触するビット線を備え、前記ビット線が、前記ソース線に対して平行に、前記MRAM構造体の第3の金属層に配置される、請求項1に記載のMRAM構造体。
【請求項3】
前記MTJが、前記SOT線に隣接して自由層を備える、請求項1または3に記載のMRAM構造体。
【請求項4】
前記ダイオード構造体が、円形の構造体を構成する、請求項2に記載のMRAM構造体。
【請求項5】
前記ダイオード構造体が、正方形の構造体を構成する、請求項2に記載のMRAM構造体。
【請求項6】
前記ダイオード構造体が、SOT-MRAMスタック上部電極に接触して配置される、請求項2に記載のMRAM構造体。
【請求項7】
前記アレイの前記行が、前記行の各トランジスタのゲートに接触するワード線を備え、前記ワード線が、前記ソース線に直交して配置される、請求項1に記載のMRAM構造体。
【請求項8】
前記MTJが、前記SOT線の上に配置され、前記SOT線に隣接して自由層を備える、請求項7に記載のMRAM構造体。
【請求項9】
前記MTJが、前記トランジスタの上に配置される、請求項1または7に記載のMRAM構造体。
【請求項10】
前記SOT線が、前記ソース線に直交して配置される、請求項1または7に記載のMRAM構造体。
【請求項11】
前記ダイオード構造体が、SOT-MRAMスタック上部電極に接触して配置される、請求項1または7に記載のMRAM構造体。
【請求項12】
前記アレイの前記列が、前記列の各ダイオードに接触するビット線を備え、前記ビット線が、前記MRAM構造体の第3の金属層に配置され、前記アレイの前記行が、前記行の各トランジスタのゲートに接触するワード線を備える、請求項1に記載のMRAM構造体。
【請求項13】
前記ソース線および前記ビット線が平行に配置される、請求項12に記載のMRAM構造体。
【請求項14】
前記SOT線が、前記ソース線に直交して配置される、請求項12に記載のMRAM構造体。
【請求項15】
前記ワード線が、前記ソース線に直交して配置される、請求項12に記載のMRAM構造体。
【請求項16】
前記ソース線が、第1のデバイス・レベルに配置され、前記SOT線が、前記第1のレベルより上の第2のデバイス・レベルに配置され、前記ビット線が、前記第2のレベルより上の第3のデバイス・レベルに配置される、請求項12に記載のMRAM構造体。
【請求項17】
半導体デバイスを製作する方法であって、
トランジスタのアレイを形成することであり、
前記アレイの1列が、前記列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を備える、前記形成することと、
前記アレイの1行の前記トランジスタのドレイン接点に接触するスピン軌道トルク(SOT)線を形成することと、
単位セルのアレイを形成することであり、各単位セルが、前記SOT線の上に配置され、前記SOT線に電気的に接触するスピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セル・スタックを備え、前記SOT-MRAMセル・スタックが、自由層、トンネル接合層、および基準層を備え、ダイオード構造体が、前記SOT-MRAMセル・スタックの上に位置し、前記前記SOT-MRAMセル・スタックに電気的に接触し、上部電極が、前記ダイオード構造体の上に配置され、前記ダイオード構造体に電気的に接触する、前記形成することとを含む方法。
【請求項18】
前記自由層が、前記SOT線に隣接して配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記行の前記トランジスタの各々のゲート接点に接触するワード線を形成することをさらに含み、前記ワード線が、前記SOT線に対して平行に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
1列の前記単位セルの前記上部電極の上に配置され、前記上部電極に電気的に接触するビット線を形成することをさらに含み、前記ビット線が、前記ソース線に対して平行に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記ダイオード構造体を420℃未満の処理温度で形成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体に関する。本発明は、詳細には、スピン軌道トルクMRAMセルのアレイに関し、各セルはダイオードと一体化される。
【背景技術】
【0002】
MRAMは、トンネル磁気抵抗(TMR)を使用して情報を記憶する一種の固体状態不揮発性メモリである。MRAMは、磁気トンネル接合(MTJ)と呼ばれる磁気抵抗メモリ要素の電気的に接続されたアレイから構成される。各MTJは、自由層および固定層を含み、各層は磁性材料層を含み、非磁性絶縁トンネル障壁によって分離される。自由層は、スピン・ホール効果層と呼ばれることもあるスピン軌道トルク層に隣接して配置される。自由層は可変の磁化方向を有し、固定層は不変の磁化方向を有する。MTJは、自由層の磁化状態を切り換えることによって情報を記憶する。自由層の磁化方向が固定層の磁化方向に対して平行であるとき、MTJは低抵抗状態になる。逆に、自由層の磁化方向が固定層の磁化方向に対して逆平行であるとき、MTJは高抵抗状態になる。MTJの抵抗の差を使用して、論理「1」または「0」を示すことができ、それによって1ビットの情報を記憶する。MTJのTMRが、高抵抗状態と低抵抗状態との間の抵抗の差を決定する。高抵抗状態と低抵抗状態との間の差が比較的大きい場合、MRAM内の読み取り動作が容易になる。MRAMセルは、デバイスの規模を維持しまたはさらに低減させながら、デバイス・メモリ・セル要素の密度を増大させるための垂直スタックを可能にするデバイス設計オプションとして形成することができる。
【0003】
スピン軌道トルク(SOT)MRAMセルは、MRAMの磁気トンネル接合(MTJ)構造体に接触しているスピン軌道トルクまたはスピン・ホール効果(SHE)層を含む。SHEは、典型的に、白金またはタンタルなどの導電性重金属である。セルに書き込む場合、電流はSHE層を通過するが、MTJ構造体は通過せず、セルを読み取る場合、電流はMTJを通過する。高圧の書き込みエネルギーはMRAMセルのMTJを通過しないため、SOT MRAMはより信頼性が高く、より寿命が長い傾向がある。書き込みエネルギーがMTJを通過しないため、SOT MRAMの書き込みにより少ないエネルギーが使用される。また、書き込み電流をSHE層に通し、MTJ構造体に通さないことで、書き込みエラーがより少なくなり、書き込み速度がより高くなり、1回の書き込み動作に必要とされるエネルギーがさらに低減される。
【0004】
標準的なSOT-MRAMセルに対する読み取り機能および書き込み機能の制御は、典型的に、第1のトランジスタによってセルを通る読み取り電流を制御することと、第2のトランジスタによってセルのSHE線を通る書き込み電流を制御することとを含む。したがって、そのようなSOT-MRAMセルに対する関連する回路ダイ面積は、SOT-MRAMセルおよび2つの制御トランジスタを含む。数十億のデバイスMRAMセルにわたって、第2のトランジスタによって必要とされる追加の空間が、相当なダイ空間を消費している。
【発明の概要】
【0005】
以下、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を提供するための概要を提示する。本概要は、主要または重要な要素を識別することや、特定の実施形態の範囲または特許請求の範囲を定めることを意図したものではない。本概要の唯一の目的は、後に提示するより詳細な説明に対する導入として、簡略化された形で概念を提示することである。
【0006】
一態様では、スピン軌道トルク磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ・デバイスが、トランジスタのアレイを形成することであり、アレイの1列が、その列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を含む、形成することと、その行のトランジスタのドレイン接点に接触するスピン軌道トルク(SOT)線を形成することと、単位セルのアレイを形成することであり、各単位セルが、SOT線の上に配置され、SOT線に電気的に接触するスピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セル・スタックを含み、SOT-MRAMセル・スタックが、自由層、トンネル接合層、および基準層を含み、ダイオード構造体が、SOT-MRAMセル・スタックの上に位置し、SOT-MRAMセル・スタックに電気的に接触し、上部電極が、ダイオード構造体の上に配置され、ダイオード構造体に電気的に接触する、形成することとによって形成される。このSOT-MRAM構造体は、アレイの行に沿った線パターンの使用によって、SOTセルに対して増大されたダイ密度を提供するとともに、SOT-MRAMセル・アレイのパターンの複雑さを低減させる。開示する実施形態は、現在のFinFETおよびナノシート技術、ならびにあらゆる低温製作技術に適合している。
【0007】
一態様では、MRAM(磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ)構造体が、スピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セルのアレイを含み、アレイのSOT-MRAMセルが、磁気トンネル接合(MTJ)、MTJの上に配置されたダイオード、および単一のトランジスタを含み、アレイの1列が、その列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を含み、ソース線は、MRAM構造体の第1の金属層に配置され、アレイの1行が、その行の各トランジスタのドレイン接点に接触するSOT線を含み、SOT線は、MRAM構造体の第2の金属層に配置される。このSOT-MRAM構造体は、アレイの行に沿った線パターンの使用によって、SOTセルに対する増大されたダイ密度を提供するとともに、SOT-MRAMセル・アレイのパターンの複雑さを低減させる。開示する実施形態は、現在のFinFETおよびナノシート技術、ならびにあらゆる低温製作技術に適合している。
【0008】
一態様では、MRAM(磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ)構造体が、スピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セルのアレイを含み、アレイのSOT-MRAMセルが、磁気トンネル接合(MTJ)、MTJの上に配置されたダイオード、および単一のトランジスタを含み、アレイの1列が、その列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を含み、ソース線は、MRAM構造体の第1の金属層に配置され、その列は、その列の各ダイオードに接触するビット線を含み、ビット線は、MRAM構造体の第3の金属層に配置され、アレイの1行が、その行の各トランジスタのドレイン接点に接触するSOT線を含み、SOT線は、MRAM構造体の第2の金属層に配置される。このSOT-MRAM構造体は、アレイの行に沿った線パターンの使用によって、SOTセルに対する増大されたダイ密度を提供するとともに、SOT-MRAMセル・アレイのパターンの複雑さを低減させる。開示する実施形態は、現在のFinFETおよびナノシート技術、ならびにあらゆる低温製作技術に適合している。
【0009】
一態様では、MRAM(磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ)構造体が、スピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セルのアレイを含み、アレイのSOT-MRAMセルが、磁気トンネル接合(MTJ)、MTJの上に配置されたダイオード、および単一のトランジスタを含み、アレイの1列が、その列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を含み、ソース線は、MRAM構造体の第1の金属層に配置され、アレイの1行が、その行の各トランジスタのドレイン接点に接触するSOT線を含み、SOT線は、MRAM構造体の第2の金属層に配置され、アレイの行は、その行の各トランジスタのゲートに接触するワード線を含む。このSOT-MRAM構造体は、アレイの行に沿った線パターンの使用によって、SOTセルに対する増大されたダイ密度を提供するとともに、SOT-MRAMセル・アレイのパターンの複雑さを低減させる。開示する実施形態は、現在のFinFETおよびナノシート技術、ならびにあらゆる低温製作技術に適合している。
【0010】
一態様では、MRAM(磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ)構造体が、スピン軌道トルク(SOT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)セルのアレイを含み、アレイのSOT-MRAMセルが、磁気トンネル接合(MTJ)、MTJの上に配置されたダイオード、および単一のトランジスタを含み、アレイの1列が、その列の各トランジスタのソース接点に接触するソース線を含み、ソース線は、MRAM構造体の第1の金属層に配置され、アレイの列は、その列の各ダイオードに接触するビット線を含み、ビット線は、MRAM構造体の第3の金属層に配置され、アレイの1行が、その行の各トランジスタのドレイン接点に接触するSOT線を含み、SOT線は、MRAM構造体の第2の金属層に配置され、アレイの行は、その行の各トランジスタのゲートに接触するワード線を含む。このSOT-MRAM構造体は、アレイの行に沿った線パターンの使用によって、SOTセルに対する増大されたダイ密度を提供するとともに、SOT-MRAMセル・アレイのパターンの複雑さを低減させる。開示する実施形態は、現在のFinFETおよびナノシート技術、ならびにあらゆる低温製作技術に適合している。
【0011】
添付の図面における本発明のいくつかの実施形態のより詳細な説明によって、本発明の上記および他の目的、特徴、および利点がより明らかになり、本発明の実施形態において、同じ参照は全体として同じ構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、頂部電極および上部ハード・マスクを含むMTJ、ならびに底部電極およびデバイス・トランジスタ接点に接触するSHEレール層を示す。
図2】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、MTJスタック、上部電極、およびハード・マスクのカプセル化後のデバイスを示す。
図3】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、パターン化されたハード・マスクの追加後のデバイスを示す。
図4】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、SHEレールのパターン化されたエッチング後のデバイスを示す。
図5】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、ハード・マスクを除去してSOT-MRAMセル上部電極を露出させた後のデバイスを示す。
図6】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、ダイオード層およびダイオード上部電極の堆積後のデバイスを示す。
図7】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、パターン化されたマスキングおよび選択的エッチングによってSOT-MRAMセル・ダイオードを形成した後のデバイスを示す。
図8】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、ダイオードおよび上部ダイオード電極をカプセル化した後のデバイスを示す。
図9】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、SOT-MRAMビット線または読み取り線の製作後のデバイスを示す。
図10】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの断面図である。本図は、SOT-MRAMビット線または読み取り線の製作後のデバイスの別の図を示す。
図11】SOT-MRAMセルのアレイの概略斜視図である。
図12】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの平面図である。本図は、SOT線、MTJ、ダイオード、およびビット線の形成前のデバイスを示す。
図13】本発明の一実施形態による半導体デバイスの製作におけるステップの平面図である。本図は、SOT線、MTJ、およびダイオード、ならびにビット線の形成後のデバイスを示す。
図14】本発明の一実施形態による半導体デバイスを形成するための動作ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの実施形態について、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照してより詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な方法で実装することができ、したがって本明細書に開示する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0014】
本発明の態様について、所与の例示的な構成の点から説明するが、他の構成、構造体、基板材料、ならびにプロセスの特徴およびステップは、本発明の態様の範囲内で変更することができることを理解されたい。
【0015】
層、領域、または基板などの要素が別の要素の「上(on)」または「上(over)」にあるものとして参照されるとき、この要素は、他方の要素の上に直接位置してもよいし、または介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「上に直接(directly on)」または「上に直接(directly over)」あるものとして参照されるとき、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されたものとして参照されるとき、この要素は、他方の要素に直接接続もしくは結合されてもよいし、または介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続」または「直接結合」されたものとして参照されるとき、介在する要素は存在しない。
【0016】
本実施形態は、集積回路チップのための設計を含むことができ、これは、グラフィカル・コンピュータ・プログラミング言語で作成することができ、コンピュータ記憶媒体(ディスク、テープ、物理ハード・ドライブ、または仮想ハード・ドライブ、たとえばストレージ・アクセス・ネットワークなど)に記憶することができる。設計者がチップまたはチップを製作するために使用される光リソグラフィ・マスクを製作しない場合、設計者は、結果として得られる設計を、物理的手段によって(たとえば、設計を記憶する記憶媒体のコピーを提供することによって)、または電子的に(たとえば、インターネットによって)、そのような実体へ直接的または間接的に伝送することができる。次いで、記憶された設計は、光リソグラフィ・マスクの製作のために適当な形式(たとえば、GDSII)に変換され、これは典型的に、ウエハ上に形成されるべき当該チップ設計の複数のコピーを含む。光リソグラフィ・マスクは、エッチングまたは他の方法で処理されるべきウエハ(またはウエハ上の層あるいはその両方)の面積を画定するために利用される。
【0017】
本明細書に記載する方法は、集積回路チップの製作で使用することができる。結果として得られる集積回路チップは、製作者が生ウエハの形態で(すなわち、複数のパッケージ化されていないチップを有する単一のウエハとして)、ベア・ダイとして、またはパッケージ化された形態で流通させることができる。後者の場合、チップは、単一のチップ・パッケージ(マザーボードまたは他の高次キャリアに取り付けられたリードを有するプラスチック・キャリアなど)、またはマルチチップ・パッケージ(表面相互接続または埋込み相互接続の一方または両方を有するセラミック・キャリアなど)内に取り付けられる。いずれにせよ、次いでチップは、(a)マザーボードなどの中間製品、または(b)最終製品の一部として、他のチップ、ディスクリート回路要素、または他の信号処理デバイスあるいはその組合せと一体化される。最終製品は、玩具および他の低価格の用途から、ディスプレイ、キーボード、または他の入力デバイス、および中央処理装置を有する高度なコンピュータ製品に及ぶ、集積回路チップを含む任意の製品とすることができる。
【0018】
材料化合物について、記載の元素、たとえばSiGeの点から説明することも理解されたい。これらの化合物は、化合物内に異なる割合の元素を含み、たとえばSiGeは、SixGe1-xを含み、ここでxは1以下などである。加えて、他の元素を化合物内に含むこともでき、それらの元素もなお本原理に従って機能することができる。本明細書では、追加の元素を含む化合物を合金と呼ぶ。
【0019】
本明細書では、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」、ならびにその他の変形の参照は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造体、特性などが、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって様々な場所に見られる「一実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」という語句ならびにあらゆる他の変形への言及は、必ずしもすべて同じ実施形態を参照するわけではない。
【0020】
「/」、「~または…あるいはその両方(and/or)」、および「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」のいずれかの使用は、たとえば「A/B」、「AまたはBあるいはその両方(A and/or B)」、および「AおよびBのうちの少なくとも1つ(at least one of A and B)」の場合、第1の記載の選択肢(A)のみの選択、または第2の記載の選択肢(B)のみの選択、または選択肢(AおよびB)の両方の選択を包含することが意図されることが理解されよう。さらなる例として、「A、B、またはCあるいはその組合せ(A,B,and/or C)」および「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ(at least one of A,B,and C)」の場合、そのような語句は、第1の記載の選択肢(A)のみの選択、または第2の記載の選択肢(B)のみの選択、または第3の記載の選択肢(C)のみの選択、または第1および第2の記載の選択肢(AおよびB)のみの選択、または第1および第3の記載の選択肢(AおよびC)のみの選択、または第2および第3の記載の選択肢(BおよびC)のみの選択、または3つすべての選択肢(AおよびBおよびC)の選択を包含することが意図される。これは、本技術および関連技術の当業者には容易に明らかであるように、記載の項目数だけ拡張することができる。
【0021】
本明細書に使用される術語は、特定の実施形態について説明することのみを目的とし、例示的な実施形態を限定する傾向はない。本明細書では、文脈上別途明白に指示しない限り、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数形も同様に含むことが意図される。「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、または「含む(including)」あるいはその組合せの用語は、本明細書で使用されるとき、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素、または構成要素あるいはその組合せの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、またはそれらの群あるいはその組合せの存在または追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0022】
本明細書では、説明を容易にするために、「下(beneath)」、「下(below)」、「下部の(lower)」、「上(above)」、「上部の(upper)」などの空間的に相対的な用語を使用して、図に示されている1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係について説明することができる。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用または動作中のデバイスの異なる向きも包含することが意図されることが理解されよう。たとえば、図中のデバイスを反転させた場合、他の要素または特徴の「下(below)」または「下(beneath)」に位置すると説明された要素は、他の要素または特徴の「上(above)」に位置する向きになるはずである。したがって、「下(below)」という用語は、上および下の向きをどちらも包含することができる。デバイスは他の向きにする(90度または他の向きに回転させる)ことができ、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈することができる。加えて、層が2つの層の「間」にあるものとして参照されるとき、これは2つの層の間の唯一の層であってもよいし、または1つもしくは複数の介在する層が存在してもよいことを理解されたい。
【0023】
本明細書では、第1、第2などの用語を使用して様々な要素について説明することがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。したがって、本概念の範囲から逸脱することなく、以下に論じる第1の要素を第2の要素と呼ぶこともできる。
【0024】
スピン伝達トルク(STT)磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)は、読み取り動作および書き込み動作の各々の間に、メモリ・セルの磁気トンネル接合に電流を通す。高い書き込みエネルギーは、デバイス材料を劣化させることによって、デバイスの寿命を低減させる可能性がある。スピン軌道トルク(SOT)MRAMデバイスは、比較的低い読み取り動作エネルギーのみをMRAMセルの磁気トンネル接合に直接通すことよって、この問題を解決する。SOT MRAMセルのSOTまたはスピン・ホール効果(SHE)板は、自由層を実質的に変えてセルに書き込むために、MRAMセル・スタックの残りに等しいまたはそれより大きい断面積を有していなければならない。SOT MRAMセルへの書き込みは、SOT MRAMセル・スタックにエネルギーを通すことを必要としない。典型的なSOT-MRAMセル構造体は2つのトランジスタを含み、1つはセルに値を書き込むことに関連付けられ、1つはセルの値を読み取ることに関連付けられる。2つのトランジスタを含む構造体は、各セルに対して追加のダイ面積を必要とする。開示する実施形態は、SOT-MRAMセル・スタックの周りに円筒形のダイオードを組み込み、単一のトランジスタによってセルに対して読み取り動作および書き込み動作の両方の制御を可能にする。
【0025】
開示する実施形態は、行および列で配置されたSOT-MRAMセルのアレイを提供する。各単位セルSOT-MRAMは、SOT-MRAMセルのSHEレールの下に配置された単一のトランジスタと、SHEレールに電気的に接触するトランジスタのドレイン接点と、SHEレールに接触するセルのMTJと、MTJの上に配置され、SOT-MRAMセルの上部電極に接触するダイオードと、SOT-MRAMセルに対するダイオードおよび読み取り線に接触する上部電極とを含む。
【0026】
各セルに対して単一のトランジスタを使用することで、より高いセル密度が可能になり、デバイス要素の追加の一体化に対応する。SOT-MRAMセル・スタックのMTJと上部電極との間に形成されたダイオードを組み込むことで、単一のトランジスタを使用したSOT-MRAMセルに対する読み取り機能および書き込み機能の制御が可能になる。SOT-MRAMセルのアレイに対する配線パターンは、アレイのSOT-MRAMセルの列の下に平行に配置され、その列の各トランジスタのソース接点に接触するトランジスタ・ソース線と、アレイのSOT-MRAMセルの行の下に平行に接触して配置され、その行の単位セルのトランジスタのゲート接点に接触するワード線と、ワード線に平行に配置され、その行のトランジスタのドレイン接点に接触する、その行のSOT-MRAMセルのSHE(SOT)レールと、セルのダイオードの上に配置されて電気的に接触するビット線または読み取り線とを含む。アレイに対するビット線は、ソース線およびそのアレイのSOT-MRAMセルの列に対して平行に配置される。
【0027】
一実施形態では、下にある半導体デバイス上に堆積された材料層から、垂直SOT MRAMセル・スタックがエッチングされる。開示するデバイスは、SOT-MRAMセルの行を含み、各セルは、SOT-MRAMセルの行で共用される共通のSOT線またはSHEレールによって、フロント・エンド・オブ・ライン(FEOL)トランジスタ(図示せず)のドレイン接点に接触する。
【0028】
図1に示すように、デバイス100は、底部電極(図示せず)および誘電体材料125の上に配置されたSHE層120を含む。一実施形態では、SHE層120は、β-Ta、β-W、CuPt1-x、Cu1-xTa、PdPt1-x、AuPt1-x、P、BiSe、WTe、PtTe、TaS、PtRh1-xなどの1つもしくは複数の導電性重金属、または平均原子量が80を上回る任意の金属合金、あるいは類似の導電性金属、およびこれらの組合せからなる。一実施形態では、SHE層120は、約1nm~約50nmの厚さを有する。一実施形態では、SHE層120はタングステンからなる。一実施形態では、SHE層120は、連続して堆積されたTaおよびPtなどの重金属の複数の層からなる。SHE層120の堆積は、たとえば化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、原子層堆積(ALD)、または類似のプロセスを含む堆積プロセスによって行われる。
【0029】
図1は、一連の材料層の堆積後のデバイスを示す。一連の層は、磁気トンネル接合(MTJ)、上部電極、および上部ハード・マスクを含むSOT-MRAMセルを形成する。図1に示すように、MTJスタックのための層は、簡単に示されているMTJ130を含み、MTJ130は、自由磁性層132(切換可能な磁気双極子モーメントを有する層)、トンネル障壁層134、および基準磁性層136(固定の磁気双極子モーメントを有する層)から構成される。SOT-MRAMセル・スタックは、上部電極140およびハード・マスク層150をさらに含む。この実施形態では、MTJ130はシード層(図示せず)を含み、シード層上に自由層132が成長させられている。いくつかの実施形態では、シード層は、たとえばタンタル(Ta)またはタンタル・マグネシウム(TaMg)を含むことができる。自由層132は、たとえばコバルト鉄ホウ素(CoFeB)を含むことができる。それぞれの層は、PVDによって形成することができる。次に、自由層132上にトンネル障壁層134が形成される。トンネル障壁層134は、酸化マグネシウム(MgO)などの非磁性絶縁材料を含むことができる。一実施形態では、トンネル障壁層134は、厚さ約0.3nm~約2nmである。トンネル障壁層134の形成に続いて、トンネル障壁層134の上に基準層136が形成される。基準層136は、たとえば1つまたは複数の界面層またはスペーサ、およびルテニウム、コバルト、パラジウム、タンタル、鉄、ホウ素、コバルト白金(Co|Pt)またはコバルト・パラジウム(Co|Pd)を、多層または混合物で含むことができる。一実施形態では、基準層136は、厚さ約3nm~約10nmである。それぞれの層は、PVDによって形成することができる。自由層132および基準層136は、直交磁気異方性を有する。
【0030】
上部電極層140は、TiN、TaN、W、または他の導電性金属もしくは合金を含むことができる。ハード・マスク層150は、SiN、SiO、Siなどを含むことができる。一実施形態では、ハード・マスク層150は、CVDまたはPVDによって約20nm~約60nmの厚さまで堆積させられたTaNまたはTiNからなる。一実施形態では、ハード・マスク層150は、窒化物、酸化物、酸化物窒化物二重層、または別の好適な材料からなる。いくつかの実施形態では、ハード・マスク層150は、酸化ケイ素(SiO)などの酸化物、窒化ケイ素(SiN)などの窒化物、酸窒化ケイ素(SiON)などの酸窒化物、これらの組合せなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、ハード・マスク層150は、Siなどの窒化ケイ素である。
【0031】
図1は、デバイス・ダイの表面にわたって順次堆積させられた関連する材料の層のスタックからのMTJ130、上部電極140、および誘電体ハード・マスク150の堆積およびパターン化されたエッチング後のデバイス100を示す。パターン化されたリソグラフィを使用して、積み重ねられた層をマスキングした後、反応性イオン・ビーム・エッチングなどの選択的エッチングを施して、これらの層のマスキングされていない部分を除去することができる。選択的エッチングは、SHEレール層120の上面で停止する。
【0032】
図2は、SOT-MRAMセル・スタックの周りにSiN、SiO、Siなどのカプセル化用誘電体材料層210を堆積させ、それに続いてCMPプロセスによって誘電体材料をハード・マスク層150の上面まで凹ませた後のデバイス100を示す。CMPプロセスにより、次の製作ステップに備えて研磨された上面が得られる。
【0033】
図3は、有機平坦化層(OPL)などのSHEレール・マスク310、またはハード・マスク層(TiN、TaNなど)の堆積、リソグラフィ・マスキング、および選択的除去後のデバイス100を示す。パターン化されたマスク310は、SHE層120から形成されるSHEレールに対して所望の断面のマスクを提供する。
【0034】
図4は、カプセル化用誘電体材料210、SHE層120の一部分、およびパターン化されたマスク310の選択的除去後のデバイス100を示す。これらの材料を除去する際には、反応性イオン・エッチングを使用することができる。エッチングは、下にあるFEOLデバイスの誘電体層125で停止する。
【0035】
図5は、カプセル化用誘電体210を再充填し、ハード・マスク150および保護用誘電体210に上部電極140の上面までCMPを施した後のデバイス100を示す。
【0036】
図6は、ショットキー・ダイオードを形成するWSe、SnSe2、グラフェンなど、ポリGe(P/N)(低温堆積およびレーザ・アニーリング)、および一連のW/TiOx/Ni層を含む2D材料などのダイオード接合材料610、ならびに上部ハード・マスク/上部ダイオード電極層620の堆積後のデバイス100を示す。形成されたダイオードは、円形または正方形の断面を含むことができる。一実施形態では、ダイオード接合材料の堆積によるダイオードの形成は、約420℃を下回る温度などの温度に適合しているバック・エンド・オブ・ラインで行われる。
【0037】
図7は、RIE、異方性エッチング、または他の選択的エッチング方法によるダイオード接合材料610および上部電極材料620のパターン・マスキングおよび選択的除去後のデバイス100を示す。
【0038】
図8は、SiO、SiONなどの誘電体材料210の層によってダイオード接合610および上部電極620をカプセル化し、カプセル化層に上部電極620の上面までCMPを施した後のデバイス100を示す。
【0039】
図9は、上部ビット線/読み取り線910の形成後のアレイの1列におけるデバイス100を示す。ビット線910は、導電性金属電極材料層を堆積させ、それに続いて電極材料にリソグラフィ・マスキングおよび選択的除去を施してそのアレイに対するビット線を形成することによって形成することができる。各ビット線は、アレイのSOT-MRAMセルの1列に対応する。各ビット線は、アレイのその列の各SOT-MRAMセルのダイオードの上部電極に接触する。
【0040】
図10は、上部ビット線/読み取り線910の形成後のアレイの1行におけるデバイス100を示す。本図に示すように、SHEレール120は、単位SOT-MRAMセル上で関連付けられたFEOLトランジスタのドレイン接点1010に接触する。
【0041】
図11は、アレイのSOT-MRAMセルに対する配線パターンを示す。本図に示すように、ソース線(SLi-1~SLi+3)が、SOT-MRAMセルの列に対して平行に配置され、アレイのそれぞれの列のセルに関連付けられたFEOLトランジスタのソース接点に接触する。ワード線WLは、アレイの行iに対して平行に配置され、行iのFEOLトランジスタのゲートに接触する。共通のSOTレールが、アレイの行iに沿って配置され、関連付けられたFEOLトランジスタのドレインと、その行のSOT-MRAMセルのMTJとの両方に接触する。ビット線(BLi-1~BLi+2)が、アレイの列およびソース線に対して平行に配置され、それぞれのアレイ列の各SOT-MRAMセルの上部ダイオード電極に電気的に接触する。
【0042】
SOT-MRAMセルを読み取ることは、FEOLトランジスタによって読み取り電極/ビット線と接地との間で、ダイオードおよびMTJセル・スタックに既知の電圧を印加し、スタックを通る電流を測定することを含む。一例として、MTJi,jを含むSOT-MRAMセルの値を読み取ることは、BLを1に設定することを含み、他のすべてのBLは0に設定され、WLが1に設定され、すべてのSLが0に設定される。電流は、BLからダイオードおよびMTJi,jを通り、SOTおよびトランジスタを通って、SLおよびSLi+1へ流れる。スタックの抵抗は、電圧および電流によって決まる。この抵抗は、「0」または「1」のセル値を示す。SOT-MRAMセルにおける順方向にバイアスされたダイオードの存在により、電流がビット線からソース線へ流れることが可能になるが、SOTまたはソース線からビット線へは流れない。
【0043】
各セルは、2つの書き込みコマンドを有する。第1の書き込みコマンドは、トランジスタと書き込み電極との間で、セルのSHEレールに負の電圧を印加し、この書き込みコマンドが、SOT-MRAMの自由層をスタックの基準層に対して平行状態から逆平行状態に切り換える。一例として、MTJi,jを含むSOT-MRAMセルの場合、この書き込みコマンドは、WLを1に設定し、SLi+1…を1に、SLi-1、SLを0に、すべてのBLを0にバイアスすることによって実行される。電流は、SLi+1からトランジスタおよびSOTを通ってSLへ流れ、MTJi,jの状態を1に変化させる。第2の書き込みコマンドは、トランジスタと書き込み電極との間で、セルのSHEレールに正の電圧を印加し、この書き込みコマンドが、SOT-MRAMの自由層をスタックの基準層に対して逆平行状態から平行状態に切り換える。一例として、MTJi,jを含むSOT-MRAMセルの場合、この書き込みコマンドは、WLを1に設定し、SLi+1…を0に、SLi-1、SLを1に、すべてのBLを0にバイアスすることによって実行される。電流は、SLからトランジスタおよびSOTを通ってSLi+1へ流れ、MTJi,jの状態を0に変化させる。
【0044】
SOT-MRAMセル・スタック内にダイオードを組み込むことで、スタックを通る電流の方向を、読み取り電極からスタックを通り、トランジスタを通って接地へ向かう方向に制限する。この制限により、単一のトランジスタによってセルに対して書き込みコマンドおよび読み取りコマンドの両方の制御が可能になる。開示する実施形態のダイオードの場所、接合材料、接合高さ、および厚さは、SOT-MRAMセルのダイオードにおける電圧降下を調整するために変更することができる。
【0045】
図12は、SOTレールの形成前の製作の初期段階におけるデバイス100の平面図を提供する。本図は、デバイス100のMRAMセルのアレイの一部分を示す。本図に示すように、トランジスタ1210のアレイは、ワード線1220およびソース線1230によって相互接続される。各ワード線1220は、アレイのそれぞれの行において、トランジスタ1210のゲート接点(図示せず)に接続する。各ソース線1230は、アレイ列のトランジスタ1210の上に、アレイの列に対して平行に、ワード線1220に直交してその上に配置され、それらの列のトランジスタ1210のソース接点1240に接続される。一実施形態では、ソース線は、デバイス100の第1の金属層(M1)に形成される。図12は、トランジスタ1210のドレイン接点1250の場所をさらに示す。
【0046】
図13は、中間製作段階におけるデバイス100の平面図を提供する。本図は、デバイス100のMRAMセルのアレイの一部分を示す。本図に示すように、SOT線1310が、アレイの行に対して平行に、トランジスタ1210およびワード線1220の上に形成されており、アレイの行のトランジスタ1210のドレイン接点1250に接続される。一実施形態では、SOT線1310は、デバイス100の第2の金属線(M2)に形成される。MTJスタックおよびダイオード1320は、SOTレール1310の上に配置され、SOTレール1310に接続される。MTJスタックおよびダイオード1320は、デバイス100のM2と第3の金属層(M3)との間に製作される。ビット線1330が、ソース線に対して平行に、ダイオードの上に配置され、ダイオード1320の上部ダイオード電極に接続される。各ビット線1330は、アレイのそれぞれの列のダイオード1320の上部ダイオード電極に接続される。一実施形態では、ビット線1330は、デバイス100のM3に形成される。
【0047】
図14は、開示するSOT MRAMデバイスの製作に関連する動作ステップを示すフローチャート1400を提供する。本図によれば、ブロック1410で、FEOLトランジスタのアレイが形成される。アレイは、アレイの列に対して平行にソース線を含み、ソース線は、それぞれの列のトランジスタのソースに接触する。アレイはまた、アレイの行に対して平行に形成されたワード線を含み、ワード線は、それぞれの行のトランジスタのゲートに接触する。
【0048】
ブロック1420で、下にあるFEOLトランジスタのアレイの上に、トランジスタのアレイの各行におけるトランジスタのドレインに接触して、スピン・ホール効果(SHE)層が形成される。SHE層は、下にある半導体デバイスの上に堆積させられて、選択的にパターン化およびエッチングされた導電性金属層を含む。下にある半導体デバイスは、最終的にSOT MRAMセルの読み取り動作および書き込み動作を制御するために使用されるトランジスタを含む。下にある半導体デバイスの上面は、それぞれのデバイス・トランジスタの露出された金属ドレイン接点を含む。
【0049】
ブロック1430で、SOT MRAMセル・スタックが形成される。スタックは、一連の材料層、SHE層に接触し、切換可能な磁気双極子モーメントを有する自由層と、トンネル接合層と、固定の磁気双極子モーメントを有する基準層と、SOT-MRAMセルに対する上部電極層と、保護用ハード・マスク材料層とを含む。各層は、デバイスの断面全体にわたって形成される。
【0050】
ブロック1430で、次いでハード・マスク層がパターン化され、選択的にエッチングされて、デバイスのSOT-MRAMセルの所望のアレイのパターンで、ハード・マスク部分のアレイが形成される。次いで、残りのSOT-MRAMセル・スタック層が選択的にエッチバックされて、SHEレールに接触するSOT MRAMスタックを残す。
【0051】
ブロック1440で、デバイスのSHEレールが形成される。SOT-MRAMセルが保護用誘電体によってカプセル化され、上部ハード・マスク層が堆積させられ、マスキングされて選択的に除去される。次いで、カプセル化用誘電体およびSHE層の一部分をエッチングで除去し、下にあるアレイのトランジスタの行に対して平行に配置されてそれぞれの各行のトランジスタのドレインに接触するSHEレールを残す。
【0052】
ブロック1450で、SOT-MRAMセルの上部電極上に、SOT-MRAMセルに対するダイオード構造体が形成される。デバイス上にダイオード接合層および上部ダイオード電極/ハード・マスク層が配置され、パターン化されて選択的にエッチングされ、アレイの各SOT-MRAM単位セルに対するダイオードが与えられる。ダイオードは、円形または正方形の断面を有することができる。
【0053】
ブロック1460で、SOT-MRAMセルに対するビット線/読み取り線が、ダイオード構造体のハード・マスクおよび上部電極の上に堆積させられた金属層から形成される。この層がパターン化され、選択的にエッチングされて、SOT-MRAMセルのアレイのダイオード・スタックの上層に接触する上部読み取り電極が与えられる。読み取り電極は、保護用中間層誘電体材料内にカプセル化される。
【0054】
上述した製作ステップに続いて、知られているバック・エンド・オブ・ライン製作プロセスを完了して、デバイスの外部包装を含む最終的な半導体デバイスの製作を終了する。
【0055】
本明細書では、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「例示的な実施形態(an example embodiment)」などの参照は、記載する実施形態が特定の特徴、構造体、または特性を含むことができるが、すべての実施形態が特定の特徴、構造体、または特性を必ずしも含むわけではないことを示す。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を参照するわけではない。さらに、特定の特徴、構造体、または特性が一実施形態に関連して記載されるとき、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造体、または特性に影響を与えることは、当業者の知識の範囲内であることが提起される。
【0056】
本発明の様々な実施形態についての説明は、例示を目的として提示されており、網羅的であること、または開示する実施形態に限定されることを意図したものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更形態および変形形態が当業者には明らかであろう。本明細書に使用される術語は、実施形態の原理、実際的な応用、もしくは市場で見られる技術に対する技術的な改善について最もよく説明するために、または当業者であれば本明細書に開示する実施形態を理解することを可能にするために選択されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】