(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】インプラント上での歯科再建のための接続デバイスおよび接続システム、インプラント上の歯科再建物、ならびにインプラント上での歯科再建を行うための方法
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508426
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022070751
(87)【国際公開番号】W WO2023016787
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524052723
【氏名又は名称】アジュスト、サール
【氏名又は名称原語表記】AJUST Sarl
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】レミ、タニムラ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA03
4C159AA43
4C159AA44
4C159AA48
(57)【要約】
歯科再建物は、アンカー(1)に支承される第1の端部と、補綴物(3)を支持する第2の端部とを持つ接続装置(2)を備える。断面は、第1の端部と第2の端部との間で縮小する。接続装置(2)は、貫通孔(9)と、アバットメント(10)とを画定する。締付けねじ(4)は、接続装置(2)を締め付けるためにアンカー(1)の雌ねじ部(6)にねじ込まれる。ブロッカー(11)は、締付けねじ(4)が貫通孔(9)に挿入されると増加する断面を有する。ブロッカー(11)は、接続装置(2)を覆う補綴物(3)の溝(12)に嵌合する。ねじ頭部(4a)は、ブロッカー(11)を変形させて、ブロッカー(11)を補綴物(3)の溝(12)に嵌合させるために、ブロッカー(11)に支承される円形断面を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科修復補綴物(3)を上顎インプラント固定具(1)に留めるための連結装置(2)であって、前記連結装置(2)は、
足端部および頭端部を持つ長手方向に延在する本体であって、前記本体が、前記足端部から前記頭端部まで延在し、固定ねじ(4)を受け入れるように設計された貫通孔を画定し、前記足端部が、前記上顎インプラント固定具(1)に支承されるように設計される、本体と、
前記連結装置(2)を前記上顎インプラント固定具(1)に固定するために前記固定ねじ(4)のねじ頭部(4a)を阻止するように設計されたストッパ(10)と、
前記本体に固定されたブロッカー(11)であって、前記ブロッカー(11)が変形可能であり、後退位置および伸長位置を有し、前記伸長位置が前記後退位置の断面よりも大きい外部断面を有し、前記伸長位置では、前記ブロッカーが、前記連結装置(2)を覆う補綴物(3)の少なくとも1つの凹部(12)に挿入されて、前記長手方向に沿って前記連結要素(2)上に前記補綴物(3)を固定化するように設計される、ブロッカー(11)と、
前記連結装置(2)に対する前記補綴物(3)の回転を防止するように設計された外部回転防止装置(7b)の第1の部分と、
を備え、
前記ブロッカー(11)が、前記固定ねじ(4)がない状態で前記補綴物(3)を前記連結装置(2)上に固定的に装着するための、前記伸長位置である静止位置を有し、
前記本体が、前記足端部から前記頭端部に向かって縮小する外部断面を有し、前記本体の外部壁が、前記足端部から外部回転防止装置(7b)の前記第1の部分を形成し、
前記本体の内面が、前記上顎インプラント固定具(1)から突出する頭部(5)を受け入れるように設計された空洞を画定し、前記空洞が、前記足端部から上面に向かって縮小する断面を有し、前記貫通孔が、前記固定ねじ(4)を通すために前記上面に開口し、前記足部ゾーンが、前記頭部(5)の周りにリングを形成し、前記空洞が、前記長手方向に対して垂直に前記外部回転防止装置(7b)の前記第1の部分に面し、
前記ストッパ(10)が、前記長手方向において前記ブロッカー(11)と前記空洞との間に配置されることを特徴とする、連結装置(2)。
【請求項2】
前記ブロッカー(11)が形状記憶合金から作製され、前記ブロッカー(11)が、前記ねじ頭部(4a)を前記ストッパ(10)まで挿入することによって前記後退位置から前記伸長位置に塑性変形するように設計される、請求項1に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結装置(2)。
【請求項3】
前記空洞を画定する前記本体の前記内壁が、前記頭部(5)に対する前記連結装置の回転を阻止するように構成された内部回転防止装置(7a)の第1の部分を形成し、前記内部回転防止装置(7a)が、前記足部部域から前記頭部部域に向かって延在し、前記内部回転防止装置(7a)の前記第1の部分が、前記長手方向軸に対して垂直に前記外部回転防止装置(7b)の前記第1の部分に面する、請求項1および2のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結装置(2)。
【請求項4】
前記本体の前記外壁が、圧縮性ポリマー材料から作られたコーティング層によって覆われている、請求項1から3のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結装置(2)。
【請求項5】
前記外部回転防止装置(7b)が前記ブロッカー(11)とは別個であり、前記外部回転防止装置(7b)が前記本体の前記足部領域から、または前記補綴物(3)の足部を受け入れるように設計された周縁から延在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結装置(2)。
【請求項6】
前記外部回転防止装置(7b)が、前記長手方向軸に垂直な観察面において前記ブロッカー(11)の断面よりも大きい断面を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結装置(2)。
【請求項7】
前記貫通孔内へのねじ頭部(4a)の駆動とは無関係に前記ブロッカー(11)の一定の変形を有するように、断面が円形の前記ねじ頭部(4a)を有する固定ねじ(4)を備え、前記ねじ頭部(4a)が前記ストッパ(10)に支承されているときに、前記ねじ頭部(4a)が、前記ブロッカー(11)の前記伸長位置から前記後退位置への変形を防止する障害物を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結装置(2)。
【請求項8】
前記固定ねじ(4)が、前記連結装置(2)の長さよりも短い長さを有し、前記長さが、前記長手方向軸に沿って測定される、請求項7に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結システム。
【請求項9】
顎骨内に設置されるように設計された固定具(1)を備え、前記固定具(1)が、凸形状の頭部(5)を有し、歯肉から突き出るように設計され、前記頭部(5)が、長手方向に延在し、前記歯肉および前記顎骨の外側に少なくとも部分的に延在するタップ部(6)を画定し、前記頭部(5)が、前記空洞の前記内側断面と相補的な外側断面を有し、前記頭部(5)および空洞が、前記長手方向軸に平行な軸の周りの前記頭部(5)に対する前記連結装置(2)の回転を防止するように構成された回転ブロッカー(7a)を形成し、前記固定ねじ(4)が、前記タップ部(6)にねじ込まれ、前記連結装置(2)が、前記頭部(5)に対して取り外し可能に嵌合される、請求項7および8のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結システム。
【請求項10】
前記タップ部(6)が、前記固定具(1)上の前記連結装置(2)による重なりの高さを超えて延在しない、請求項9に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結システム。
【請求項11】
前記連結装置(2)および前記固定具(1)が、弾性変形によって前記連結装置(2)を前記固定具(1)に固定するように構成されたクリップ装置(16、17)を画定する、請求項9および10のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結システム。
【請求項12】
前記固定具(1)が、環状溝(19)を画定するインプラントアバットメントを有し、前記連結装置(2)の前記足部部域が、前記環状溝(19)に嵌合する突出部(20)を有し、前記足部部域が、前記突出部(20)から半径方向外側に延在して、前記インプラントアバットメント上の支承部域と接触する基部部域を形成する、請求項9および11のいずれか一項に記載の歯科修復補綴物(3)のための連結システム。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載の連結システムを備え、前記連結装置(2)の前記貫通孔(9)上に開口する貫通孔(15)を有する補綴物(3)を備え、前記補綴物(3)の前記貫通孔(15)が、その根尖端部からその歯冠端部まで広がっている、歯科修復物。
【請求項14】
前記固定ねじ(4)が前記補綴物(3)と接触していない、請求項13に記載の歯科修復物。
【請求項15】
前記補綴物(3)が前記固定具(1)と接触していない、請求項13および14のいずれか一項に記載の歯科修復物。
【請求項16】
歯科修復を行うための方法であって、
実験室モデルの顎骨上に固定されるように設計された固定具(1)を提供するステップであって、前記固定具(1)が、歯肉に対して突き出て装着されるように設計された頭部(5)を有し、前記頭部(5)が、前記歯肉および前記顎骨の外側に少なくとも部分的に延在するタップ部(6)を画定する、ステップと、
請求項1から6のいずれか一項に記載の連結装置(2)を提供するステップと、
貫通孔(15)を画定する補綴物(3)を提供するステップと、
前記連結装置(2)および前記歯科補綴物(3)を前記頭部(5)上に配置するステップであって、前記連結装置が前記頭部(5)と前記補綴物(3)との間に位置する、ステップと、
前記補綴物(3)の前記貫通孔(15)および前記連結装置(2)の前記貫通孔(9)に固定ねじ(4)を通すステップと、
前記固定ねじ(4)が前記ストッパ(10)に押し当たるまで、前記固定ねじ(4)を前記タップ領域(6)にねじ込むステップであって、前記固定ねじ(4)が、前記連結装置(2)を前記固定具(1)上に固定し、前記ブロッカー(11)が前記補綴物(3)の前記少なくとも1つの凹部(12)に挿入されるように前記ブロッカー(11)を変形させて、前記連結装置(2)および前記補綴物(3)を前記長手方向に固定的に組み立てる、ステップと、
前記固定ねじ(4)を取り外し、前記連結装置(2)および前記補綴物(3)によって形成されたアセンブリを実験室モデルの前記固定具(1)から切り離すステップと、
前記連結装置(2)および前記補綴物(3)によって形成された前記アセンブリを口の中に嵌合させ、次いで前記固定ねじ(4)を用いてこのアセンブリを前記固定具(1)に留めるステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント上での歯科修復のための連結装置、連結システム、インプラント上の歯科修復物、インプラント上での歯科修復を行うための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インプラント上での歯科修復を行うために、インプラントを顎骨内に固定し、次いで歯科補綴物をインプラント上に直接またはアバットメントによって固定することが一般的に行われている。アバットメントは、インプラント上に固定され、歯科補綴物を取り付ける目的にかなう中間要素である。アバットメントは、インプラントと歯科補綴物との間に位置する。アバットメントは、一般にアバットメントスクリューと併せて、歯科補綴物とインプラントとの間の機械的接続を提供する。インプラントは、補綴物が固定されるねじ山付きの内側セクションを有する。ねじは、補綴物およびアバットメントを貫通して、歯科修復のための固定具として機能するインプラントを押圧する。従来の方法では、インプラントは、歯科補綴物を直接的または間接的に固定することを可能にするタップセクションを有する。インプラントを実現する様々な例が、日本特許第5519985号公報、特表2018-538014号公報、欧州特許第1943978号明細書、欧州特許第2053985号明細書、欧州特許第3421004号明細書、欧州特許出願公開第3777760号明細書、国際公開第2004/032786号パンフレット、国際公開第2013/125924号パンフレット、国際公開第2017/121898号パンフレット、米国特許第5,482,463号明細書、米国特許第8,033,826号明細書、米国特許第8,317,515号明細書、米国特許出願公開第2011/0213425号明細書、米国特許出願公開第2012/301850号明細書および米国特許出願公開第2015/182309号明細書の文献に示されている。欧州特許第2480161号明細書の文献は、いくつかの部品を備えるアバットメントを示している。欧州特許出願公開第2127612号明細書および米国特許第6,663,388号明細書の文献もまた、補綴物の固定軸を画定する頭部を持つ2つの部品を備えるアバットメントを示している。補綴物の固定軸は、インプラントの軸と同一直線上にない。米国特許第6,932,606号明細書および米国特許第7,300,283号明細書の文献は、アバットメントの空洞に挿入された変形可能アームによって形成された回転防止装置を示している。
【0003】
多数のインプラント修復物は、歯科補綴物をアバットメントに固定するために接着剤またはセメントの使用を必要とする。しかしながら、接着剤またはセメントを使用しないことが特に有利である。接着は、特に使用される厚さおよび接着剤の品質に関して、実際には再現性のある方法ではない。口の中の過剰分の除去はしばしば困難である。さらに、接着は可逆的ではなく、固着した修復物に取り組む必要がある場合、長時間の面倒な作業をもたらす。接着剤は、アセンブリがインプラントに再挿入される前に、口の外側の補綴物(補綴物とアバットメントとの間)に塗布され得る。そのため、これはねじ留め式補綴物と呼ばれる。この構造は滅菌されておらず、オートクレーブ(134℃)に入れることができない。
【0004】
補綴物の挿入軸がインプラントの軸の軸と一致しない場合、上述のアバットメントを使用することが可能である。しかしながら、歯科補綴物の接触点の調整が常に行われなければならないため、この操作は、インプラント内に貫通固定されることになる補綴物に以前に固着されたアバットメントでは非常に困難になり得る。例えば、セラミック補綴物に対して行われるアップグレードは、新しい加熱操作を必要とすることがあり、接着剤は、高温加熱によって事前に除去されなければならない。そのため、酸化および汚染現象がアバットメント上で観察されることがある。
【0005】
機械加工されたセラミックから完全に製造され、接着なしでインプラントに直接ねじ込まれる補綴物の場合、インプラント修復物の異なる構成要素間でシーリングの問題が観察されている。このアセンブリ上での咀嚼段階では、力の集中も不十分である。この力の分散不良は、公差の問題および/または部品の完全な一致の欠如と相まって、歯科補綴物または構成要素の破損につながることがある。
【0006】
したがって、連結装置には、接着剤を用いずにねじによって貫通固定された歯科補綴物を使用することにより、インプラント修復物の異なる構成要素の寸法をより良好に制御することができるという利点がある。
【0007】
アバットメント上の連結装置の異なる構成は、米国特許出願公開第2020/0138552号明細書の文献に示されている。この文献は、セメントでシールされた修復物のためにアバットメントにねじ込まれた連結装置を示している。この文献にはさらに、連結装置なしでアバットメントに直接ねじ留めされた歯科補綴物が記載されている。使用すると、そのような実施形態は使用が困難であることが分かる。米国特許第10,010,384号明細書の文献は、変形可能な頭部と歯科補綴物とを持つアバットメントを示している。固定ねじは、アセンブリが補綴物に挿入される前にアバットメントに嵌合される。アバットメントの貫通固定ねじは、アバットメントに事前に挿入されて、そのサイズを縮小し、したがってサイズが縮小された歯科補綴物の貫通孔へのスクリュードライバの挿入を可能にする。歯科補綴物は、アバットメントねじ頭部によるアバットメントの頭部の拡張を可能にする溝を下側面に有し、これらの2つの要素の固定を行う。このねじは、補綴物をインプラントに留め、補綴物がアバットメントにしっかりと留められるように、アバットメント頭部の逆変形を防止する。アバットメントは、補綴物の阻止を直接担う。この構成では、インプラントの接続軸と同一であるアバットメントの接続軸が補綴物の挿入軸と適合しなければならないため、補綴物の接触点の調整が複雑になる。これらの軸は、同一直線上にないことが多い。さらに、アバットメントは定位置に嵌合され、数回取り外されなければならず、その結果、インプラント周囲組織の付着が破壊され、インプラント周囲組織が汚染される。
【0008】
韓国登録特許第10-1943437号公報の文献は、タップセクションを有するインプラント内に固定されたアバットメントを用いたインプラント修復物に関する実質的に同一の教示を提示している。単一の歯の形態の歯科補綴物は、固定ねじが貫通するように設計された貫通孔によって穿孔される。歯科補綴物は、同様に貫通孔を有するアバットメント上に配置される。固定ねじは、歯科補綴物およびアバットメントを貫通する。固定ねじは、インプラントとの歯科補綴物の固定を行うために、インプラントのタップセクションと連動して動作する。
【0009】
アバットメントおよびインプラントは、固定ねじによって実現される回転軸の周りのインプラントに対するアバットメントの回転を防止する回転防止手段を有する。アバットメントは、その歯冠部に可動アームを有する。固定ねじを取り付けると可動アームが外側に広がるように、固定ねじは、その足部からその頭部まで断面が増加する。可動アームは、歯科補綴物の空洞に挿入されて、歯科補綴物と固定装置との間に回転防止手段を形成する。固定ねじの頭部の形状および歯科補綴物の貫通孔の形状は、互いに補完して、強力な機械的固定を確実にする。歯科補綴物は、それ自体がインプラントを押圧しているアバットメントを押圧する。
【0010】
実質的に同等の教示が、顎骨内に固定されたインプラント、インプラントに対して押圧して嵌合されるアバットメント、およびアバットメントに対して押圧して嵌合される歯科補綴物を提示する、米国特許出願公開第2020/0015940号明細書の文献に存在する。歯科補綴物およびアバットメントはそれぞれ貫通孔を有する。2つの貫通孔は、インプラントのタップ部を延伸する。アバットメントはインプラントに嵌合され、次いで歯科補綴物は、固定ねじが挿入される前にアバットメントに嵌合される。固定ねじは、その足部からその頭部まで断面が増加する。アバットメントの頭部には、インプラントに対してねじを固定する際に歯科補綴物の空洞に挿入されるいくつかの変形可能なアームが設けられる。インプラント内のねじの固定は、変形可能なアームの変形および歯科補綴物とアバットメントとの間の分離を防止する。この構成では、連結装置はなく、固定ねじのみがアバットメントおよびフィンの阻止を行って、歯科補綴物を留める。この構成は、先の例と同様に、補綴物の挿入軸と同一直線上にあるインプラント軸を必要とする。実際には、この状況に遭遇することはほとんどない。インプラントの軸は、補綴物の挿入軸とは異なる。固定ねじは、固定アバットメントのねじ山付き領域に取り付けられるねじ山付き下端部を有する。固定ねじはまた、中間要素の上側部の固定フィンに作用するフレア状頭部と、中間要素の下側部のストッパに支承されるようになる別のフレア状領域とを有する。固定ねじを固定アバットメントにねじ込むことによって、固定ねじは、中間要素の下側部を固定アバットメントに押し付け、フィンを変形させて、補綴物を中間要素の上側部にしっかりと装着する。ねじは、フレア状頭部と、中間要素に載置された、同様にフレア状の中間部分とを有するため、固定スタッドへのねじの貫通の深さは、中間要素の下側部と固定スタッドとの間に加えられる圧力、および中間要素の上側部と補綴物との間に加えられる圧力を規定する。この構成は、固定ねじ、補綴物、固定アバットメント、中間要素の下側部および中間要素の上側部の製造偏差に応じて調整することが困難である。これらの調整の困難さは、補綴物、固定ねじおよび中間片の複数回の分解および再組立てにつながる。さらに、この構成は、補綴物が固定アバットメントに対する回転をロックするのを効果的に防止できるようには見えない。
【0011】
国際公開第2018/138630号パンフレットの文献は、変形可能な連結要素を受け入れるセラミックから作製されたインプラントおよびインプラントを押圧する歯科補綴物による歯科修復物を開示している。インプラントは、固定ねじを直接受け入れるように設計されたタップセクションを有しないが、回転防止システムを持つ頭部と、連結要素の変形可能な底部分を受け入れる半径方向の溝とによって設計される。連結要素の底部および上部の両方には、変形可能なアームが設けられる。連結要素は、固定ねじが挿入される前にインプラントにクリップ留めされる。歯科補綴物は、連結装置の上部にクリップ留めされる。固定ねじがタップセクションに締め付けられると、連結装置の変形可能なアームはこれ以上変形することができず、歯科補綴物はインプラントに固定的に嵌合される。この雌ねじ付きインサートを持つ連結要素は、タップセクションのないセラミックインプラント上に直接セラミック歯科補綴物を組み立てることに関する。実用的な観点から、補綴物の挿入の困難、接触点の調整の困難、および構成要素の適合公差に関する困難がここでもまた存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】日本特許第5519985号公報
【特許文献2】特表2018-538014号公報
【特許文献3】欧州特許第1943978号明細書
【特許文献4】欧州特許第2053985号明細書
【特許文献5】欧州特許第3421004号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第3777760号明細書
【特許文献7】国際公開第2004/032786号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2013/125924号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2017/121898号パンフレット
【特許文献10】米国特許第5,482,463号明細書
【特許文献11】米国特許第8,033,826号明細書
【特許文献12】米国特許第8,317,515号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2011/0213425号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2012/301850号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2015/182309号明細書
【特許文献16】欧州特許第2480161号明細書
【特許文献17】欧州特許出願公開第2127612号明細書
【特許文献18】米国特許第6,663,388号明細書
【特許文献19】米国特許第6,932,606号明細書
【特許文献20】米国特許第7,300,283号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2020/0138552号明細書
【特許文献22】米国特許第10,010,384号明細書
【特許文献23】韓国登録特許第10-1943437号公報
【特許文献24】米国特許出願公開第2020/0015940号明細書
【特許文献25】国際公開第2018/138630号パンフレット
【発明の概要】
【0013】
本発明の1つの目的は、これらの欠点を改善すること、より具体的には、歯科補綴物を固定具と連結するための従来技術の装置よりも良好な性能を示す連結装置を提供することにある。
【0014】
これらの欠点は、インプラント上の歯科修復のための連結装置によって克服される傾向があり、連結装置は、
足端部および頭端部を持つ長手方向に延在する本体であって、本体が、固定ねじを受け入れるように設計された貫通孔を画定し、前記固定ねじのねじ頭部のためのストッパを画定し、貫通孔が、ストッパから足部領域の方向に広がって、タップ部が設けられた上顎インプラント固定具の頭部を覆うように設計された空洞を形成し、本体が、足端部から頭端部に向かって縮小する外側断面を有する、本体と、
長手方向軸に垂直な方向に空洞の反対側に延在する外部回転防止装置を形成する外壁を有する本体であって、補綴物が、長手方向軸に対して垂直に頭部に面するように設計されている、本体と、
を備える。
【0015】
空洞を画定する本体の内壁は、頭部に対する連結装置の回転を阻止するように構成された内部回転防止装置を形成し、内部回転防止装置は足部部域から延在し、内部回転防止装置は、長手方向軸に対して垂直に外部回転防止装置に面する。
【0016】
ブロッカーは、本体に固定され、後退位置と伸長位置との間で移動可能に嵌合され、伸長位置は、後退位置の断面よりも大きい外側断面を有し、ブロッカーは、固定ねじと接触すると変形するように連結装置の貫通孔を部分的に閉塞し、ブロッカーは、連結装置を覆う補綴物の溝または凹部に挿入されて、長手方向において連結装置上に補綴物を固定化するように設計されている。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、ブロッカーは、連結装置の上半分に配置され、ストッパと本体の根尖端部との間に位置する。好ましくは、ストッパは、ブロッカーと外部回転防止装置の第1の部分とを分離し、および/またはブロッカーと空洞とを分離する。
【0018】
優先的な方法では、ブロッカーは形状記憶合金から作製される。
【0019】
特定の実施形態では、本体の外壁は、圧縮性ポリマー材料から作製された被覆層によって覆われている。
【0020】
有利には、本体の外壁は、少なくとも1つの円錐台形部分を有する。
【0021】
本発明のさらなる目的は、従来技術の連結システムよりも効率的な連結システムを提供すること、特に補綴物を固定具に連結することである。
【0022】
この結果は、構成のいずれか1つによる連結装置を備え、貫通孔へのねじ頭部の挿入の深さとは無関係にブロッカーの一定の変形を有するように、断面が円形の頭部を有する固定ねじを備え、ねじ頭部がストッパを押圧しているときに円形断面がブロッカーを変形させる、歯科修復補綴物のための連結システムによって達成される傾向がある。
【0023】
有利には、ねじ頭部は、ねじ頭部がストッパを押圧しているときに貫通孔に完全に埋め込まれる。
【0024】
特定の実施形態では、固定ねじは、連結装置の長さよりも短い長さを有し、その長さは、長手方向軸に沿って測定される。
【0025】
優先的には、固定具は、歯肉から突き出るように設計された頭部を有し、頭部は、長手方向に延在し、歯肉および顎骨の外側に少なくとも部分的に延在するタップ部を画定し、頭部は、空洞の内側断面と相補的な外側断面を有し、頭部および空洞は、長手方向軸に平行な軸の周りの頭部に対する連結装置の回転を防止するように構成された回転ブロッカーを形成し、固定ねじは、タップ部にねじ込まれ、連結装置は、頭部に対して取り外し可能に嵌合される。
【0026】
有利な方法では、タップ部は、固定具上の連結装置による重なりの高さを超えて延在しない。
【0027】
特定の実施形態では、連結装置および固定具は、弾性変形によって連結装置を固定具に固定するように構成されたクリップ装置を画定する。
【0028】
本発明のさらなる目的は、従来技術の構成よりも実施が簡単な歯科修復物を提供することである。
【0029】
この結果は、前述の構成のいずれか1つによる連結システムを備え、連結装置の貫通孔上に開口する貫通孔を有する補綴物を備え、補綴物の貫通孔が、その歯冠端部からその根尖端部まで広がっている、歯科修復物によって達成される傾向がある。
【0030】
有利な方法では、固定ねじは補綴物との接触がない。
【0031】
優先的には、補綴物は固定具との接触がない。
【0032】
本発明のさらなる目的は、従来技術の構成よりも実施が簡単な歯科修復を行うための方法を提供することである。
【0033】
この結果は、歯科修復を行うための方法によって達成される傾向があり、方法は、
実験室モデルの顎骨上に固定されるように設計された固定具を提供するステップであって、固定具が、歯肉に対して突き出て装着されるように設計された頭部を有し、頭部が、歯肉および顎骨の外側に少なくとも部分的に延在するタップ部を画定する、ステップと、
前述の構成のいずれか1つによる連結装置を提供するステップと、
貫通孔を画定する補綴物を提供するステップと、
連結装置を補綴物に挿入し、次いでアセンブリを頭部上に配置するステップであって、連結装置が頭部と補綴物との間に位置する、ステップと、
補綴物の貫通孔および連結装置の貫通孔に固定ねじを通すステップと、
固定ねじがストッパに押し当たるまで、固定ねじをタップ領域にねじ込むステップであって、固定ねじが、連結装置をアバットメントまたはインプラント上に固定し、ブロッカーが補綴物の溝または凹部に挿入されるようにブロッカーを変形させて、連結装置および補綴物を長手方向に固定的に組み立てる、ステップと、
固定ねじを取り外し、連結装置および補綴物によって形成されたアセンブリを実験室モデルの固定具から切り離すステップと、
連結装置および補綴物によって形成されたアセンブリを口の中で調整し、次いで固定ねじを用いてアセンブリを固定具に留めるステップと、
を備える。
【0034】
他の利点および特徴は、非限定的な例示目的のためにのみ与えられ、添付の図面に表される本発明の特定の実施形態および実施態様の以下の説明からより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1の実施形態によるインプラント修復物の側面図を概略的に示す。
【
図2】第2の実施形態によるインプラント修復物の反対側の側面図を概略的に示す。
【
図3】歯科補綴物を備えないインプラント修復物の分解図を概略的に示す。
【
図4】第3の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図5】固定具上に直接ある、第4の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図6】第5の実施形態によるインプラント修復物の根尖部の断面図を概略的に示す。
【
図8】第6の実施形態によるインプラント修復物の上部の断面図を概略的に示す。
【
図9】第7の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図10】連結装置に嵌合されたブロッカーの別の実施形態の上面図を概略的に示す。
【
図11】第8の実施形態によるインプラント修復物の根尖部の断面図を概略的に示す。
【
図12】インプラント修復物の周辺部の断面図を概略的に示す。
【
図13】歯科補綴物のないインプラント修復物の別の実施形態の分解図を概略的に示す。
【
図14a】固定具上に直接ある、第5の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図14b】インプラントアバットメントと連結装置との間の接続の拡大断面図を概略的に示す。
【
図15】第6の実施形態によるインプラント修復物の側面図を概略的に示す。
【
図16b】第6の実施形態によるインプラント修復物の側面図を概略的に示す。
【
図17】第7の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図18】第8の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図19a】側面図および第7の実施形態によるインプラント修復物を概略的に示す。
【
図19b】伸長位置および後退位置におけるブロッカーの上面図を概略的に示す。
【
図19c】伸長位置および後退位置におけるブロッカーの側面図を概略的に示す。
【
図20】第9の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図21】第10の実施形態によるインプラント修復物の断面図を概略的に示す。
【
図22】補綴物と連結装置との間の分離ステップの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
歯科修復物は、少なくとも1つのインプラント1a、優先的にはインプラント1aおよびアバットメント1bが設けられた固定具1を有する。歯科修復物にはまた、本体を持つ連結装置2と、歯科補綴物3と、補綴物ねじとも呼ばれる固定ねじ4とが設けられる。歯科修復物は、インプラント歯科修復物、すなわち、少なくとも1つのインプラント1aを有する固定具1によって固定される歯科修復物である。歯科修復物は、有利には、単一の歯のためのインプラント修復物、すなわちクラウン、またはいくつかの歯のためのインプラント修復物、すなわちブリッジである。歯科修復物はまた、ヒーリングカラー、コーピング、インプリント転写装置であり得る。
【0037】
固定具1は、顎骨内にしっかりと固定され、骨を越えて延在する。固定具1は、骨および歯肉から突き出る頭部5が終端となる。頭部5は凸状であり、歯肉から突き出る。
【0038】
インプラント1aは、顎骨に挿入されるように設計された歯科用インプラントである。インプラント1aは、骨と面一に配置される。インプラント1aは、一旦設置されると、顎骨(下側または上側)から取り外し不可能である。インプラント1aは、歯科修復のための固定具1として機能する。インプラント1aは、好ましくはチタン、チタン合金またはセラミック、有利にはジルコニアから作製される。インプラント1aは、好ましくは、骨内に固定されるように外壁上に存在する雄ねじ部1aを有する。凸状の突き出た頭部5を持つインプラント1aは、当業者に知られている構成に従って実現されることができる。金属またはセラミック材料から(優先的にはジルコニアから)頭部5を製造することが有利である。
【0039】
一実施形態では、固定具1は、インプラント1aと、インプラント1aに対して取り外し可能なアバットメント1bとを有する。アバットメント1bは、インプラント1aの雌ねじに挿入される雄ねじを有する。インプラント1aは歯肉から突き出ておらず、アバットメント1bの終端となる頭部5のみが歯肉から突き出ている。別の構成では、固定具1は単一部品である。インプラント1aはまた、その後取り外し不可能であるアバットメント1bを形成する。
図5は、単一部品の固定具1を示し、一方で
図1、
図2および
図4は、取り外し可能なアバットメント1bを持つインプラント1aを示す。
図1は、インプラント1a内のアバットメント1bの固定の特定の実施形態を示す。
【0040】
図3に示すように、固定具1は、頭部5から開口するタップ部6を画定する。タップ部6は、固定ねじ4を受け入れて連結装置2を固定具1上に固定するように設計された雌ねじを持つ部分である。固定ねじ4は、頭部4aと、タップ部6と連動して動作するねじ部4bとを有し、歯科補綴物3を固定具1に留める。
【0041】
突き出た凸状の頭部5を備えた固定具1の使用により、補綴物3の支持が骨に対してオフセットされることが可能になり、それによって感染のリスクが低減する。頭部5は、固定具1aが配置されるときに、または骨結合中に埋め込まれた場合に固定具1aが露出されるときに、固定具1aに設置される高さが低く断面が小さい凸状要素である。
【0042】
しかしながら、頭部5のこのような構成は、補綴物3の直接的な設置を困難にする。頭部5の外壁と補綴物3の空洞との間に存在する寸法差により、実際に大きな応力が発生することになる。接着による、特にこの目的のために設計されたアバットメントによる固定がない場合、セラミック補綴物が最終的には破壊することは一般的である。金属補綴物の場合、界面の早期摩耗が誘発される。
【0043】
したがって、補綴物3と固定具1との間、より具体的には補綴物3と頭部5との間の機械的接続を行う連結装置2を使用することが特に有利である。連結装置2は、頭部5に嵌合される。連結装置2は、固定具1に対して取り外し可能に嵌合され、それによって他の歯および固定具1に対する補綴物3の調整が容易になる。
【0044】
固定具1が顎骨に設置されると、連結装置2は、固定具1に対していかなる動作も実行する必要なく嵌合および取り外しが可能であり、それによって固定具1の過度の応力および接着剤による固定具1の汚染が回避される。
【0045】
連結装置2は、金属から、またはポリマー材料から、または部分的に金属から、および部分的にポリマーから作製することができる。使用される金属材料は、チタンまたはチタン合金であり得る。連結要素2を形成するために、形状記憶合金、例えばニッケルおよびチタンを主に含む合金を使用することが特に有利である。相変化温度が100℃以上の形状記憶合金を使用することが好ましい。使用されるポリマー材料は、優先的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそれらの誘導体から選択される。必要な機械的性能および生体適合性を示す他の材料も可能である。一般的に、連結装置2を形成するために選択される1つまたは複数の材料は、連結装置が固定ねじの長手方向に圧縮力を受けたときに変形しにくいことを意味する。金属および/またはポリマー材料から連結装置2を製造することは、連結装置2の寸法をより良好に制御することを可能にし、その寸法も十分に制御される頭部5上の固定具1への固定のより良好な制御をもたらすので、特に有利である。連結装置2は、顎の構成に適合しなければならない特注の部品ではなく、このことは、連結装置を頭部5と同じ寸法制御で製造することができることを意味する。これにより、頭部5と補綴物3との間の機械的接続と比較して、頭部5と連結装置2との間のより良好な機械的接続を確実にする。
【0046】
頭部5の上面は、連結装置2の空洞の内壁に押し当たる。頭部5の外面は、咀嚼力が適切に吸収されることを確実にするために、連結装置2内に画定された空洞の内面と相補的であるか、または可能な限り相補的であることが有利である。連結装置2により、補綴物3を固定具1に固定するために使用される接触面を増加させることができる。
【0047】
連結装置2の設置を容易にするために、頭部5の足部領域から上部領域まで単調に縮小する外壁を有する頭部5を提供することが特に有利である。頭部5の外面は、連結装置2の内面の形状と相補的な形状を有する。頭部5の上面は、頭部5を受け入れるように設計された空洞の上面と接触するように設計されている。
【0048】
頭部5と連結装置2との間の回転を防止するように構成された第1の回転ブロッカー7aは、頭部5に対する連結装置2の回転を防止し、したがって固定具1に対する補綴物3の回転を防止するために優先的に存在する。固定ねじ4の長手方向軸と平行な軸の周りの回転が防止される。第1の回転ブロッカー7aは、頭部5の外面上に形成された多角形、好ましくは凸状の多角形と、連結装置2に出現する内部空洞によって形成された相補的な形状とによって形成されることができる。2つの相補的な形状の使用により、回転を防止することが可能になり、機械的力の吸収を促進する強力な接触が確実になる。他の構成も可能である。
図1~
図6、
図8、
図9、および
図12~
図22に示す構成では、回転防止装置は、凸状の正多角形、例えば六角形によって形成される。多角形の他の形状も、凸状の非正多角形または非凸状の多角形でさえ可能である。回転を防止する任意の形状を提供することも可能である。回転を防止するために、
図11に示すように、歯科補綴物3の対応するタブおよび/または溝に挿入されるか、またはそれらを受け入れる溝8および/またはタブを連結装置2に形成することが可能である。
【0049】
連結装置2の本体は、固定ねじを受け入れるように設計された貫通孔9を画定する。連結装置2の貫通孔9は、固定具1のタップ部6に連続して位置する。
【0050】
連結装置2には、ストッパ10が設けられている。ストッパ10は、連結装置2を固定具1に当てて阻止し、固定ねじの長手方向の並進運動を防止するように、固定ねじの頭部4aを阻止する。回転ブロッカー7aは、固定具1に対する固定ねじの長手方向軸の周りの連結装置2の回転を防止する。固定ねじ4がストッパ10を押圧すると、連結装置2が固定具1に対して移動不可能に設置される。
図4、
図5および
図8、
図14a、
図17、
図18、
図20~
図22は、本体によって形成されたストッパ10を示し、一方で
図6、
図9、
図11および
図12は、本体から取り外し可能なストッパを示す。
【0051】
歯科補綴物3は、連結装置2の本体に接続されたブロッカー11によって固定具1に固定される。ロック装置11は、補綴物3を連結装置2に留めるように構成される。一実施形態では、ストッパ10は、ねじ頭部4aと直接接触している。代替実施形態では、ねじ頭部4aは、ストッパ10をそれ自体が押圧しているブロッカー11を押圧している(
図9)。
【0052】
連結装置2は、後退位置と呼ばれる第1の位置と、伸長位置と呼ばれる第2の位置とを提示するように構成された少なくとも1つのブロッカー11を有する。伸長位置では、ブロッカー11の外側断面は後退位置よりも大きい。ブロッカー11は、様々な方法で製造することができる。ブロッカー11は、連結要素2の本体から取り外し可能または分離不可能であるように設計することができる。
【0053】
優先的には、ブロッカー11は、伸長位置に対応する静止位置を有する。補綴物3の設置が行われると、ブロッカー11は、ブロッカー11が補綴物3の1つまたは複数の凹部12を貫通して再び延びるまで、伸長位置と後退位置との間で弾性的に変形する。補綴物3が連結装置2の周りに設置されると、ブロッカー11は優先的には静止位置にある。ブロッカー11の静止位置は、ブロッカー11が固定ねじ4によって付勢されていないときのブロッカー11の位置である。
【0054】
ブロッカー11は、連結装置2を覆う補綴物3の少なくとも1つの凹部12に挿入されて、補綴物3を連結要素2上に固定するように設計される。補綴物3の凹部12は、環状溝とすることができる。環状溝は、補綴物3とブロッカー11との間の回転防止装置の形成を防止する。代替として、いくつかの別個の凹部が可能である。
【0055】
第1の位置から第2の位置への移動は、歯科補綴物3と接触するように歯科補綴物3の方向への横方向の拡張に対応する。伸長位置では、ブロッカー11は、凹部12に挿入されることによって、連結要素2上に歯科補綴物3の機械的固定を行う。歯科補綴物3は、連結装置2から分離不可能となる。ブロッカー11および凹部12は協働して、歯科補綴物3を連結装置2上、したがって固定具1上に固定する。伸長位置では、ブロッカー11は、補綴物3を連結装置2上に固定し、固定ねじ4の長手方向軸に沿った並進を防止する。
【0056】
歯科補綴物3の破損のリスクを低減するために、少なくとも1つの凹部12を歯科補綴物3の上部、すなわち大量の材料を有する領域に形成することが有利である。図示の例示的な実施形態では、ブロッカー11は、歯科補綴物3を過度に弱めないために、凹部12が補綴物3の上部分にあるように、すなわち、連結装置2の足部の端部から離れた領域にあるように、本体の頭部領域2cに位置する。
【0057】
優先的には、ブロッカー11は、連結装置2の貫通孔9を部分的に閉塞する。ブロッカー11は、連結装置2の貫通孔9に挿入されたねじ頭部4aによって優先的に変形される。ねじ頭部4aは、ねじ部4bよりも幅が広い。ねじ頭部4aが連結装置2に挿入されると、ねじ頭部4aは、ブロッカー11を押圧するまで移動する。ねじ頭部4aは、外側に向かって延在するブロッカー11に力を加え、補綴物3に力またはより大きな力を加える。
【0058】
特定の実施形態では、ねじ頭部4aは、変形によって後退位置から伸長位置に移動するブロッカー11に応力を加える。ねじ頭部4aが連結装置2のストッパ10に当たっているとき、ブロッカー11は伸長位置にあり、伸長位置に留まる。
【0059】
その静止位置により補綴物3および連結装置2が一緒に固定されることが可能になるブロッカー11を使用することによって、補綴物3および連結装置2によって形成されたアセンブリを同時に設置または取り外すことが可能であり、それによって取り扱いを低減し、したがって脱落または摂取のリスクを低減する。これはまた、連結装置2と補綴物3との間の接着剤の層の必要性を回避する。固定ねじ4の最初の設置がブロッカー11の塑性変形をもたらすときに同等の結果を達成することができ、これは固定ねじ4が取り外された後でさえも補綴物3および連結装置2を一緒に固定する効果を有する。
【0060】
特に有利には、ねじ頭部4aは、固定ねじの長手方向軸に対して垂直にブロッカー11に面するように設計された、その高さの少なくとも一部にわたって一定の直径の円形断面を有する。円形断面は、固定ねじ4が連結装置および固定具1の中にどれだけ押し込まれるかにかかわらず、一定の力がブロッカー11、したがって補綴物に加えられることを確実にする。これにより、連結装置2と固定具1との間に加えられる力と、ブロッカー11と補綴物3との間に加えられる力とを分離させることが可能になる。
【0061】
固定ねじ4がストッパ10に当接しているとき、すなわち固定ねじ4が頭部5上に固定されているとき、ねじ頭部4aは、ブロッカー11が後退位置に向かって、すなわち補綴物3と連結装置2との間の係合解除を可能にする位置に向かって変形するのを防止する障害物を形成する。ねじ頭部4aは、ブロッカー11を締め付ける。
【0062】
図1~
図5、
図14a、
図17、
図21、
図22に示す実施形態では、ブロッカー11は、連結装置2の本体の側壁から切り出される1つまたは複数のフィン13によって形成されることができる。1つまたは複数のフィン13は、側壁の切断によって形成される。
【0063】
優先的な方法では、いくつかのフィン13が、連結装置2の本体の側壁に配置される。有利には、フィン13は、連結装置2の本体の周囲にわたって均一に分布している。構成に応じて、フィン13は、ねじ頭部4aを伸長位置に移動させるためにねじ頭部4aに力が加えられたときに、フィン13の上端部または底端部を変形させるように嵌合される。フィン13は、固定ねじの長手方向軸に垂直な回転軸の周りを移動することができる。固定ねじ4の長手方向軸に平行な軸の周りを移動するようにフィン13を設けることも可能である。
【0064】
フィン13は、任意の形状とすることができる。フィン13の可動部には、固定ねじ4の長手方向軸に沿った溝/凹部のサイズを小さくするように、少なくとも1つの凹部、例えば歯科補綴物3の溝12に挿入される突き出た部分が設けられることが有利である。突き出た部分は、任意の形状、例えば平坦な形状、丸みを帯びた形状、または尖った形状とすることができる。優先的な方法では、フィン13は、連結装置2の上半分に形成される。連結装置2の本体の上側円形部分、すなわち頭部領域2cにフィン13を形成することが有利である。
【0065】
図6~
図12、
図16b、
図18、
図19および
図20に示す代替実施形態では、ブロッカー11は、連結装置2の本体に対して取り外し可能な部分である。ブロッカー11は、リングまたはC字形部品の形態であり得る。ブロッカー11は、連結装置2の本体の1つまたは複数の開口14を貫通する。ブロッカー11は、本体を部分的に取り囲むC字形要素11とすることができる。ブロッカー11は、連結装置2の貫通孔9を部分的に閉塞する静止位置を有する。連結装置2に固定ねじを挿入すると、少なくとも1つの凹部12、例えば溝または孔内を移動するブロッカー11が押圧されて、外側側壁を越えて延在する。移動は横方向または半径方向である。
【0066】
図16a、
図16b、
図18、
図19aおよび
図20に示すさらなる実施形態では、ブロッカー11は、
図16c、
図19bおよび
図19cに示すように、保持要素、好ましくはリングの形態の、好ましくは「C」の形態の取外し可能部を有する。連結装置2の頭部領域2cは、ブロッカー11の取外し可能部を受け入れるように設計された環状溝を有する。環状溝は、連結装置の周りに延在し、フィン13と重なる。フィン13の外向きの変形は、取外し可能部を変形させ、補綴物3の分解を防止する。ブロッカー11が弾性変形ゾーンで機能し、固定ねじ4がない場合、ブロッカー11がフィン13を後退位置に押し込んで、補綴物3の挿入を容易にすることが有利である。ねじ頭部4aがストッパ10を押圧すると、それはフィン13に力を加え、ブロッカー11を変形させ、補綴物3の溝12に力を加え、咀嚼努力中であっても補綴物3が連結装置2から係合解除するのを防止する。好ましい実施形態では、ブロッカー11は、形状記憶合金、例えばNiTiで作られる。形状記憶合金は、機械加工および溶接が困難である。全体が形状記憶合金で作られた、またはフィン13が形状記憶合金で作られた連結装置2と同じ利点を享受しながら、実施を容易にするために単純な形状でブロッカー11を形成することが有利である。例えば、連結装置2への固定ねじ4の最初の挿入によって塑性変形された後に、外部応力がない状態で補綴物3を連結装置2に留める形状記憶合金ブロッカー11を使用することが有利である。連結装置2、ブロッカー11、および補綴物3が形状記憶材料の変態温度を超えて加熱されると、ブロッカー11は、補綴物3を連結装置2から係合解除する構成に戻る。
【0067】
図19bおよび
図19cは、側面図および上面図における伸長位置と後退位置との間のC字形ブロッカーの変形を示す。
図19aは、補綴物3がブロッカー11を押圧している状態の、後退位置におけるC字形ブロッカーを示す。
【0068】
図6および
図7は、ねじ頭部4aがブロッカー11から歯科補綴物3の方向に部分的に延在するときに、ねじ頭部4aがブロッカー11を押圧してブロッカー11をストッパ10に押し当てる実施形態を示している。
【0069】
図8は、ブロッカー11が2つの部品から構成される実施形態を示す。第1の部品は、貫通孔9を部分的に閉塞し、少なくとも1つの凹部12、例えば溝12または本体の孔を貫通する第2の部品を押圧するアームを形成する。ねじ頭部4aが第1の部品をストッパ10に押し当てると、アームが第2の部品を押圧し、次いで第2の部品が補綴物3に挿入されて、歯科補綴物3を連結装置2から分離不可能にする。
【0070】
図9および
図10は、ブロッカー11が連結装置2のストッパ10上に配置されたリングである実施形態を示す。ねじ頭部4aは、ストッパ10の方向にブロッカー11を押圧し、ブロッカー11は、少なくとも1つの凹部12、例えば歯科補綴物3の溝12の方向に変形して、歯科補綴物3を連結装置2から分離不可能にする。
【0071】
ブロッカー11は、歯科補綴物3の内側空洞の溝12などの少なくとも1つの凹部12に挿入されるように設計されている。ブロッカー11は、歯科補綴物3に横方向または半径方向の力を加えて、歯科補綴物3を連結装置2上にしっかりと留める。ブロッカー11により歯科補綴物3および連結装置2が固定的に嵌合されることが可能になり、伸長位置から後退位置への逆移動が可能になって、歯科補綴物3および連結装置2を互いに分離できるようになるように、ブロッカー11は可逆的に嵌合される。
【0072】
このようにして、固定ねじ4を取り外すことによって、ブロッカー11によってもたらされる機械的固定が除去され、固定具1に触れることなく、特に固定具1に回転力を加えることなく、補綴物3を取り外すことが可能である。
【0073】
補綴物3を固定具1上に固定するための中間部としての連結装置2の使用は、特に有利である。前述のように、その設置を容易にするために、固定具1は、補綴物3に強い力を生成する傾向がある寸法の小さい頭部5を有するので、長くて広いアバットメントねじによる補綴物の固定を行うための中空固定具の使用を促す。接着によって補綴物3を受け入れる特定のアバットメントが使用される場合、これは接着剤に関して上述の問題を引き起こす。
【0074】
連結装置2の使用により、補綴物3とのより大きな接触面を提供することが可能になり、補綴物3との界面における力が低減される。これにより、特に、補綴物3がセラミックで作られている場合に、内壁の摩耗または補綴物3の破損のリスクを低減することが可能になる。
【0075】
足部領域2aから頭部領域2cまで単調に縮小する外側断面を呈するように連結装置2を設けることが特に有利である。足部領域2aは、固定具1と接触する。頭部領域2cは、反対側の端部に対応し、補綴物3の上部の近くに位置する。単調な縮小は、ブロッカー11を考慮に入れることなく観察される。補綴物3の内側空洞の相補的な形状に関連するそのような構成により、補綴物3を、歯科補綴物内の材料の厚さがその足部よりもその上部でより大きい状態で形成することが可能になる。そのため、補綴物3は、好ましくは少なくとも2倍大きい咀嚼応力に耐えることがより容易である。連結装置2の外部断面を縮小させることによって、補綴物3の上側部の貫通孔の断面が縮小し、それによってその機械的強度が増加する。
【0076】
歯科補綴物3は、異なる材料、例えばセラミック、ポリマー材料または金属合金から作製することができる。歯科補綴物3は、1本または複数本の歯の形状を再現することができる。歯科補綴物3は、化粧品材料によって覆われ得るか、または化粧品材料を含み得る。歯科補綴物3は、長手方向に延在する貫通孔15を画定する。貫通孔15は、歯科補綴物3の歯冠端部から根尖端部まで延在している。歯冠端部は、反対側の歯と接触するように設計されているが、根尖端部は、連結装置2および/または場合によってはインプラント1aと接触するように設計されている。歯科補綴物3は、1つまたは複数の歯を置き換えるように特注されているため、その寸法は、連結装置2および頭部5の寸法に比べて十分に制御されていない。したがって、固定具1上での固定を行い、歯科補綴物3の固定をオフセットするために、金属から作製された連結装置2を使用することが特に有利である。そのような構成は、歯科補綴物3が固定具1の頭部に完全に嵌合しない場合に生じる感染のリスクを低減する。
【0077】
連結装置2の外形および補綴物3の空洞の形状は、補綴物3と固定具1との間の力の良好な伝達を実現するために、可能な限り相補的である。空洞は、連結装置2を押圧する。特定の実施形態では、補綴物3は、固定具1とのいかなる接触もない。有利な方法では、連結装置2の上面は、歯科補綴物3が連結装置2のこの部分を押圧し、固定ねじの長手方向の力の一部を吸収するように、歯科補綴物3によって覆われている。
【0078】
補綴物3が連結装置2に嵌合されると、貫通孔15は貫通孔9の延長部に入る。歯科補綴物3は、根尖部を介して、すなわち上部から連結装置2に設置され、これにより歯科補綴物3の設置がより容易になる。
【0079】
固定ねじ4は、補綴物3の上部を介して挿入される。固定ねじ4は、貫通孔15を貫通して、貫通孔9およびストッパ10に至る。優先的な方法では、補綴物3の貫通孔15は、固定ねじ4が直に貫通することを可能にする断面を有する。固定ねじ4は、貫通孔15を自由に貫通することができる。貫通孔15は、固定ねじ4の最大断面よりも大きい最小断面を有する。言い換えると、貫通孔15により、固定ねじ4が歯科補綴物3を直に貫通することが可能になる。貫通孔15の根尖端部は、連結装置2を受け入れる空洞を画定するように先細になっている。連結装置2を受け入れるように設計された空洞は、その底端部からその上端部まで縮小する断面を有する。
【0080】
連結装置2は、頭部5と補綴物3との間の機械的接続を提供する。連結装置は、補綴物3との間の接触面が頭部5と連結装置2との間の接触面よりも大きくなるように、長手方向に頭部5を越えて延在する。連結装置2は、固定具の頭部5を受け入れるように設計された内部空洞を画定し、空洞は、連結装置の台座領域、すなわち頭部5の全体にわたって固定具と接触するように設計された領域から、固定ねじ4を受け入れるように設計された貫通孔まで延在する。空洞は、固定ねじ4のための貫通孔を画定する台座領域から上面まで縮小する断面を有する。好ましくは、断面は連続的に縮小している。空洞は、ストッパ10と台座領域との間に位置し、これにより、コンパクトな構成およびより良好な力吸収を実現することがより容易になる。補綴物3は、連結装置2の外面上に載置され、連結装置2の内面は、頭部5上に載置される。補綴物3および頭部5は、固定ねじ4の長手方向軸である貫通孔の長手方向軸に垂直な断面平面において、連結装置2の外面および内面において互いに対向する。対面装着は、補綴物3と頭部5との間のより良好な力伝達を確実にする。固定ねじ4が設置されると、固定ねじ4、頭部5、連結装置2および補綴物3は、固定ねじ4の長手方向軸に垂直な同じ平面に属する。
【0081】
補綴物3の貫通孔15は、湾曲させることができ、または連結装置2の貫通孔9の軸からオフセットされた軸を有することができる。
【0082】
連結装置2は、貫通孔15を画定する内壁の一部のみを覆う。重なりは、固定ねじ4の長手方向軸に垂直な方向に観察される。貫通孔15の歯冠端部は、連結装置2によって覆われていない。
【0083】
タップ部6は、歯肉の終端面を越えて、すなわち下顎骨の上側終端面および上顎骨の下側終端面を越えて配置される。
【0084】
連結装置2は、例えば機械加工によって、優れた寸法精度で製造されることを可能にする単純な形状を有する。製造精度が高いため、寸法が十分に制御されており、力を良好に伝達するための正確な機械的接続を固定具1と形成することができる。有利な方法では、連結装置2は、1つまたは複数の円形セクションおよび/または1つまたは複数の円錐台形セクションによってのみ形成される。貫通孔9の長手方向に力を良好に伝達するために、頭部5の円錐台形部分と、本体の内面に相補的な円錐台形部分とを有することが有利である。
【0085】
図1~
図6、
図8、
図9、
図11、
図13~
図22に示す実施形態では、連結装置2は、連結装置2の長手方向に連続的に嵌合する複数の別個の部分に分解される。
図1~
図5に示す実施形態では、連結装置2は、底端部から上端部までの3つの領域または少なくとも3つの領域を連続的に備える。円錐台形状の足部領域2aと、それに続く同様に円錐台形状のくびれ領域2bと、円形状の頭部領域2cとが存在する。2つの円錐台形領域は、それらの底部分からそれらの上部分に向けて幅が狭くなる。くびれ領域2bによってもたらされる断面のくびれは、足部領域2aによってもたらされる断面のくびれよりも大きい。くびれ領域2bは、歯科補綴物3と連結装置2との間の機械的力の良好な伝達のために歯科補綴物3を支持する。頭部領域2cは円形であり、その上部はより良好な応力吸収のために補綴物3によって覆われている。
【0086】
図6、
図8、および
図9に示す代替実施形態では、連結装置2は、円錐台形状の足部領域2aと、それに続く円形頭部領域2cとを有する。歯科補綴物3は、
図7または
図10に示すもののような、リングの形態の、またはC字形を有するブロッカー11を受け入れるように設計された溝12の形状を有する少なくとも1つの凹部を画定する。特定の一事例では、ブロッカー11を受け入れるスロットは、足部領域2aと頭部領域2cとを分離する。別の特定の事例では、スロットは足部領域2aに位置し、足部領域2aはスロットの後に頭部領域2cまで延在する。
【0087】
図示されていない代替実施形態では、連結装置2は、円錐台形状の足部領域2aと、それに続く円錐台形状の頭部領域2cとを有する。頭部領域2cは、足部領域2aよりも顕著な傾斜を有する。傾斜は、外側側壁と、固定ねじ4を受け入れるように設計された孔の中心の長手方向軸との間に存在する角度である。
【0088】
図11は、
図1~
図4のような3つの連続領域を持つ連結装置2を示し、ブロッカー11を受け入れるスロットは、くびれ領域2bと頭部領域2cとの間に位置する。
【0089】
優先的な方法では、ねじ頭部4aは、ブロッカー11と接触するように設計されたその部分において、円錐台形ではなく円形の断面を有する。円形断面は、連結装置2の本体内に延在する。断面が円形の場合、ねじ頭部4aの窪みの深さに関係なく、ブロッカー11の変形は一定である。ねじ頭部4aの直径は、変形、したがってブロッカー11によって補綴物3に加えられる保持力を規定する。ストッパ10に対するねじ頭部4aの押圧の強度は、固定具1に対する連結装置2の保持力を規定するので、固定具1に対する補綴物3の保持力を部分的に規定する。この構成により、補綴物3に加えられる固定力をより良好に制御することが可能になり、それによって補綴物の破損、特にセラミック補綴物3の破損のリスクが低減される。この構成により、固定ねじ4から離れる長手方向における歯科補綴物3に対する機械的応力が制限される。図示の構成は、韓国登録特許第10-1943437号公報または米国特許出願公開第2020/0015940号明細書の文献に提示されている構成よりも有利である。
【0090】
連結装置2によって補綴物3との接触面を増加させることにより、補綴物に加えられる応力を低減して、補綴物が固定具1に対して変位するのを防止する。応力が低減されると、より幅の狭いおよび/またはより短い固定ねじを使用することが可能である。より幅の狭い固定ねじを使用することにより、補綴物3を貫通する貫通孔15の断面を縮小することができる。そして、補綴物3の少なくとも上部においてより多くの材料が利用可能となり、強度の向上および審美性の改善をもたらす。
【0091】
より短いねじ4の使用により、貫通孔15をより湾曲させやすくする。固定ねじの挿入を容易にするために、および/または貫通孔15を見えにくくするために、貫通孔15の上端部の位置を画定することがより容易である。
【0092】
より短いねじ4の使用により、固定具1におけるタップ部6の深さを減少させることもまた可能になる。これは、固定具1がアバットメント1bを有する場合、アバットメントの高さを低減することができるので、特に有利である。タップ部6は、インプラントの高さの半分未満まで、優先的にはインプラントの上部3分の1のみに、さらにより優先的には顎骨の上方に位置する部分のみに延在することができる。タップ部が頭部5内にのみ位置すること、および/または連結装置2を超えて延在しないことが有利である。
【0093】
より短いおよび/またはより幅の狭い固定ねじの使用により、インプラント1aの挿入軸に対してオフセットされるタップセクション6を使用することがより容易になる。ねじ締めされた補綴物に対して、ねじ留めされた角度のついたアバットメントを使用することが有利である。補綴物3の設置および固定を容易にするために、角度のついたアバットメントによってインプラントの窪み軸に対して傾斜したねじによって補綴物を固定することが知られている。補綴物3との接触を改善する連結装置2の使用により、固定ねじに対する寸法制約を低減することが可能になり、それによってアクセス可能な角度範囲を増加させることが可能になる。長手方向軸がインプラントの長手方向軸に対して少なくとも15°、好ましくは少なくとも20°、またはさらには少なくとも30°傾斜したタップ部6を形成することが可能である。
【0094】
優先的な方法では、歯科補綴物3は、回転防止装置を形成することなく伸長位置でブロッカー11を受け入れるように、環状溝の形状を有する少なくとも1つの凹部12を画定する。代替として、歯科補綴物3は、ブロッカー11の突き出た領域、例えばフィン13を受け入れるように設計された複数の凹部を画定する。
【0095】
長手方向における補綴物3の固定機能と、補綴物3と連結装置2との間の回転防止機能とを分離することが有利である。第2の回転ブロッカー7bは、本体と補綴物3との間で使用される。連結装置2が補綴物3との接触面を増加させることができるので、第2の回転ブロッカー7bに対する寸法制約が低減される。第2の回転防止装置とも呼ばれる、連結装置2に対する補綴物3の回転を防止するように構成された第2の回転ブロッカー7bは、連結装置2の外壁上の多角形と、歯科補綴物3の空洞内の相補的な形状とによって形成されることができる。固定ねじ4の長手方向軸と平行な軸の周りの回転が防止される。他の構成も可能である。回転ブロッカー7bを連結装置2の下側部に設置すると、回転ブロッカー7bが補綴物3の足部領域に配置され、利用可能な断面が増加するためより効果的になる。
【0096】
連結装置2の外壁に形成された回転防止装置7bを有することが特に有利であり、これは、このことが大きな使用可能な表面積を提供し、補綴物3の寸法が頭部5の場合よりも十分に制御されていないため、補綴物3と連結装置2との間の力の伝達を容易にするからである。利用可能な本体断面が大きく、補綴物3と連結装置2との間で力を伝達して補綴物3の回転を防止することがより容易になるので、ストッパ10と連結装置2の台座領域との間に配置された回転防止装置7bを有することが特に有利である。好ましくは、回転防止装置7bは、空洞高さの50%未満にわたって延在する。有利には、回転防止装置7bは、本体の足部から延在する。回転防止装置7bが本体の外面上の正多角形によって形成されることを実現することは特に興味深い。
【0097】
特に有利な方法では、第1の回転防止装置7aおよび第2の回転防止装置7bは、固定ねじ4の長手方向軸に垂直な1つの同じ平面に属する。第1の回転防止装置は、好ましい第2の回転防止装置を取り囲む。第1の回転防止装置は、第2の回転防止装置の形状と同一または異なる形状を有することができる。同一の形状である2つの回転ブロッカーを有することが有利である。
図1~
図5は、凸状の正多角形の形態の第1の回転ブロッカー7aおよび第2の回転ブロッカー7bを示し、
図11は、長手方向に延在するタブ15および溝の形成を示す。
【0098】
歯科補綴物3がいくつかの歯を形成する場合、複数の歯科補綴物(ブリッジ)の挿入を容易にするために、連結装置2と複数の固定具1との間に回転ブロッカー7aを使用しないことが好ましい。補綴物3は、連結装置2および固定ねじ4によってキャップされたいくつかの固定具1によって顎骨に固定される。
【0099】
優先的な実施形態では、補綴物3内に配置された空洞の内面と接触している連結装置2の外面は、ポリマー材料から作製された被覆層によって覆われている。コーティングとも呼ばれる被覆層は、連結装置2と補綴物3との間に気密性を与えるシールを形成する。代替として、または補足として、被覆層は、頭部5と補綴物3との間にシールを形成するように頭部5の外壁に形成される。
【0100】
優先的な方法では、ポリマー層は、15μm~150μmの間、好ましくは75μm~100μmの間、より優先的には50μm~100μmの間に含まれる厚さを有する。優先的な方法では、被覆層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)またはそれらの誘導体、例えばそれらのフッ素化誘導体によって構成されるか、またはそれらを含む。これらの材料は、チタン、チタン合金、および例えばニチノールなどの形状記憶材料にも適合するため、特に有利である。このコーティングには、生体適合性を有する他の材料を使用することができる。疎水性ポリカチオン性ポリマー、例えば米国特許第10,500,317号明細書の文献に開示されているものを使用することも可能である。疎水性コーティング層の使用により、固定具1、特に頭部5および/または連結装置2上のバイオフィルムの形成が抑制される。
【0101】
コーティング層は、連結装置2の垂直部分および/または固定具1の突き出た部分を覆い、強度を高めることができる。
【0102】
特定の実施形態では、コーティング層は、歯の色に近い白色または歯肉の色に近いピンク色を呈するように着色される。コーティング層の着色は、透過性によって歯科補綴物3を介して連結装置2および/または固定具1を形成する金属材料の色をマスクする。
【0103】
連結装置2の外面が、コーティング層、好ましくは30μm~75μmの間に含まれる厚さを有するコーティング層によって覆われるようにすることが特に有利である。コーティング層の厚さは均一にすることができるが、フィン13および拡張要素11上により大きな厚さを与えることが有利である。
【0104】
優先的な方法では、連結装置2には、連結装置の底端部を形成し、歯科補綴物3の周辺底端部を支持するように設計された周辺リム2dが設けられる。周辺リム2dはまた、コーティング層の平均厚さよりも大きい厚さ、例えば少なくとも10%大きい厚さを有するコーティング層によって覆うことができる。周辺リム2dは、優先的には固定具1によって支持される。好ましくは、周辺リム2dは、被覆層によってのみ覆われるか、または少なくともその上側部が被覆層によって覆われる。
【0105】
好ましくは、
図13、
図14aおよび
図14bに示す実施形態では、固定具1は、連結装置2が固定具1上に支持されるように、連結装置2の周辺リムを受け入れるように設計された周辺肩部18を持つインプラントアバットメントを有する。グリップは、固定ねじ4の長手方向の力を吸収するように設計されている。
【0106】
有利には、周辺肩部18は、環状溝19を画定する。連結装置2の足部部域は、環状溝19に嵌合する突出部20を有する。好ましくは、周辺肩部18は、連結装置が環状溝の周りに支持されることを可能にするために、環状溝19から外側に延在する。突出部20を環状溝19に挿入することによって、連結装置2は、固定具1に対してより良好に定位置に保持される。これにより、力、特に横方向の応力のより良好な吸収が可能になる。これにより、固定ねじ4への横方向の力の伝達が低減し、それによってねじが緩むリスクが低減される。突出部は、例えば円形の単一の突出部であり得、または複数の突出部ゾーンによって形成され得る。周辺肩部18および連結装置2は、環状継手を形成する。
【0107】
周辺リム2dは、連結装置2の周りに連続的に延在し、歯科補綴物3は、周辺リム2dと連続的に周辺接触する。歯科補綴物3とリム2dとの間の接触は、リングを形成する。連結装置2と歯科補綴物3との間の気密性を改善するために、周辺リム2dの上面は、連結装置2の中心から周囲に向かって上方に傾斜しており、上部は、アバットメント1bまたはインプラント1aとの接触領域によって形成される底部とは対照的に、連結装置2の上部によって形成される上側面に対応する。周辺リム2dと接触するように設計された歯科補綴物3の終端部は平坦である。必要に応じてコーティング層をより良好に圧縮するために、周辺リム2dの外側部分により大きな力が存在する。
【0108】
傾き角は小さく、有利には10°未満、優先的には5°未満、さらにより優先的には0.5°~2.5°の間に含まれる。図示の実施形態では、基準面は、周辺リム2dの上面の中央部分によって形成される。周囲に向かって移動するとき、上面は傾き角分だけ上方向に傾斜する。図示の例示的な実施形態では、固定具との界面平面は、周辺リム2dの上面の中央部分によって画定される平面に平行である。
【0109】
代替実施形態では、周辺リム2dの上面は平坦であり、歯科補綴物3の底面は傾斜している。外側部分は内側部分よりも低く、前述したものと同等の結果が得られる。しかしながら、この実施形態は、セラミック歯科補綴物3で実現することがより困難である。別の手法によれば、コーティング層は、補綴物3と周辺リム2dとの間により効率的なシールを形成するように、中心から外側へのコーティングの厚さの漸進的な増加を呈する。
【0110】
優先的な方法では、周辺リム2dの横断面は、歯科補綴物3の横断面よりも大きい。有利には、歯科補綴物3の断面は、周辺リム2dの断面よりも100μm~200μmの間に含まれる値だけ小さい。このようにして、周辺リム2dは、周辺リム2dと歯科補綴物3との間の接触領域全体にわたって外側に突出し、それによって良好な気密性を与える。そのような実施形態は、
図4、
図6、
図8、
図9、
図11、
図14a、
図15、
図16b、
図17、
図18、
図19a、
図20、
図21および
図22に示されている。
【0111】
図12は、周辺リム2dが補綴物3を越えて延在する実施形態を示す。
図12はまた、周辺リム2dの外側部分が、中央部から周辺部へと補綴物3の方向に持ち上げられている実施形態を示す。図の左側の部分は、頭部5によってキャップされた固定具1を持つインプラント歯科修復物を示す。頭部5は、連結装置2によって覆われている。ブロッカー11は、頭部5を押圧するストッパ10と一体である。固定ねじは、タップ部6にねじ込まれている。ねじ頭部4aは、ストッパ10を押圧する。ねじ頭部4aは、ブロッカー11および連結装置2を頭部5に当てて阻止する本体の1つまたは複数の貫通孔を貫通するブロッカー11を変形させる。
【0112】
有利な実施形態では、コーティング層は、金属粒子または金属イオン、例えば銀の粒子または銀イオンを含む。実施形態は、米国特許第5984905号明細書の文献に既に示されている。金属イオンの使用により、細菌DNAの複製を回避する。
【0113】
特定の実施形態では、ブロッカー11は、後退位置と伸長位置との間で弾性的に変形する。固定ねじ4の設置により、ブロッカーは後退位置から伸長位置に弾性的に移動する。固定ねじ4を取り外すと、ブロッカーは伸長位置から後退位置に弾性的に移動し、補綴物3と連結装置2とを互いに分離することが可能になる。
【0114】
別の特定の実施形態では、ブロッカー11は、後退位置と伸長位置との間で塑性変形される。固定ねじ4の設置により、ブロッカーを後退位置から伸長位置に移動させ、歯科補綴物3を連結装置2に当てて阻止する。固定ねじを取り外しても、伸長位置から後退位置への移動は生じない。補綴物3および連結装置2は、互いに固定されたままであり、これにより、歯科修復物の分解を容易にすることができる。そのため、形状記憶材料からブロッカー11または連結装置2全体を製造することが有利である。ブロッカー11を閾値温度を超えて加熱することによって、ブロッカー11を後退位置に戻すことが可能であるので、歯科補綴物3と連結装置2とを互いに分離することが可能である。例えば、閾値温度を100℃より高くして、相変化や形状変化を得る。ブロッカー11は後退位置に戻る。補綴物3と連結装置2との間の分離は、扱いがより容易な固定具1から分離した後に行われる。
【0115】
前述した実施形態は、単一または複数の歯科修復物の形成に特に有利である。ねじ留めされた補綴物を形成することができ、すなわち、補綴物は、インプラント固定具1にねじ込まれた固定ねじ4によって留められ、それによって、インプラント固定具1の組立ておよび分解が容易になる。1つまたは複数の回転防止装置は、容易かつコンパクトに形成することができる。接着剤またはシーリングなしで確実な固定が得られる。
【0116】
連結装置2の寸法がより良好に制御されると、応力集中領域を生成することなく修復物の気密性を改善するためにコーティング層を堆積させることがより容易になる。
【0117】
補綴物3は、固定ねじ4が貫通する連結装置2を受け入れる空洞を画定する。固定ねじ4を困難な位置で締め付けるかまたは緩めることができるように、ねじ頭部4aの終端開口部には、優先的には、球形端部を持つスクリュードライバを受け入れるための円筒形または円筒円錐形の開口部が設けられる。そのため、スクリュードライバが固定ねじの長手方向軸にないときに、固定ねじを締め付けるかまたは緩めることがより容易になる。異なる実施形態が、国際公開第2019/168671号パンフレットおよび欧州特許出願公開第2607722号明細書の文献に提示されている。
【0118】
優先的な方法では、連結装置2は、固定具1上に連結装置2を設置する前に歯科補綴物3に固定される。歯科補綴物3に固定された連結装置2は、歯科補綴物の修正が必要な場合、抽出器によって分離することもできる。アセンブリには固定ねじ4が設けられていない。アセンブリがアバットメント1bまたはインプラント1a上に配置されると、固定ねじは貫通孔15および貫通孔9を貫通する。固定ねじ4の設置はブロッカー11に作用し、ブロッカー11は変形して歯科補綴物3を連結装置2から分離不可能にする。そのため、アバットメント1bまたはインプラント1a上にアセンブリを設置することが可能である。このアセンブリにより、歯科医が口腔の外側、すなわちこれらの構成要素を嚥下する可能性がある患者にとっていかなる危険もなくより広い領域で組立てを行うことができるので、歯科医の作業はより容易になる。
【0119】
有利な方法では、連結装置2の底端部および固定具1には、連結装置2を固定具1上にクリップ留めするように構成された1つまたは複数のクリップ装置16が設けられる。1つまたは複数のクリップ装置16は、連結装置2が固定具1上に固定され、その後固定ねじ4をねじ込む必要なく容易に取り外されることを可能にするように弾性的に変形する。クリップ装置16は、咀嚼力が支えられることを可能にせず、固定ねじ4の必要性を回避しない。図示の実施形態では、クリップ装置は、連結装置2の底部に形成されたフィンによって形成される。フィンは、アバットメント1bまたはインプラント1aの溝17に挿入されるように設計された突き出た領域が終端となる。逆の構成も可能である。連結装置2がアバットメント1bまたはインプラント1a上に固定されると、フィンが変形して溝20に挿入される。
【0120】
ブロッカー11が、応力がない状態で補綴物3に挿入されるように構成される場合、補綴物3と連結装置2との間の分離を容易にするために、
図22に示すもののような抽出器22を使用することが好ましい。この抽出器22は、ブロッカー11が閾値温度を超えて加熱されるときに、ブロッカー11が補綴物3と連結装置2との間の係合解除を可能にするように構成された形状記憶合金で作られていない場合に特に有利である。
【0121】
貫通孔9は、好ましくはストッパゾーン10、すなわちねじ頭部を受け入れるストッパ10と頭部5を受け入れる空洞との間においてねじ山が付けられることが有利である。貫通孔9のねじ部21は、ねじ山付きロッドの第1のねじ部29に沿って摺動する。抽出器26はまた、補綴物3と接触し、補綴物3の変位に対抗する把持要素25を有する。ねじ山付きロッドは、把持要素25を貫通する。ねじ山付きロッドは、連結装置2のストッパ10のねじ山21内に摺動し、ねじ山付きロッドの回転は、ねじ山付きロッドの長手方向軸に沿って連結装置2に力を発生させる。補綴物3と接触している把持要素25は、補綴物3の動きに対抗し、これにより、補綴物3と連結装置2とを切り離す効果を有する力が補綴物3と連結装置2との間に導入される。有利には、ねじ山付きロッドは、保持プレート23内に摺動する第2のねじ部30を有する。保持プレート23は、ねじ部28を有する。保持プレート23は、補綴物3および連結装置2によって形成されたアセンブリに向かって抽出器26を押すように抽出器上に載置される。第1のねじ部29は、連結装置2を保持プレート23に向かって引っ張る。固定ねじ4は、ストッパゾーンのねじ山21に沿って摺動するねじ山を有していない。
【0122】
有利な方法では、歯科修復物は実験室モデル上に形成される。
【国際調査報告】