(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】同期結合Boost回路、Boost回路及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508460
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2022113504
(87)【国際公開番号】W WO2023020607
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110964772.7
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111067107.4
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524052860
【氏名又は名称】深▲セン▼市新思電能科技有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】呉 臻員
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AA18
5H730AS04
5H730BB14
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5H730FG05
5H730FG07
5H730ZZ17
(57)【要約】
本発明は、同期結合Boost回路、Boost回路及び電源装置を開示し、該同期結合Boost回路は、結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子、第1の下部トランジスタのドレインにソースが接続され、電源出力端子にドレインが接続された第1の上部トランジスタと、結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子、第2の下部トランジスタのドレインにソースが接続され、電源出力端子にドレインが接続された第2の上部トランジスタと、を含み、第1の下部トランジスタのソースが接地され、第2の下部トランジスタのソースが接地される。本発明によれば、整流ダイオードの電圧降下損失、整流トランジスタボディダイオードの逆回復電荷損失、インダクタ電流の不連続時にインダクタと寄生容量の共振によるパワー因子及び高調波因子が悪くなる問題、及び下ブリッジトランジスタのターンオン損失問題を解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期結合Boost回路であって、
電源入力端子及び電源出力端子と、
第1の巻線と第2の巻線とを含み、前記第1の巻線と前記第2の巻線の同極性端子が共通端子として相互接続され、前記共通端子が前記電源入力端子に接続された結合インダクタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子にボディダイオードのアノード端子が接続され、前記電源出力端子にボディダイオードのカソード端子が接続された第1の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地された第1の下部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子にボディダイオードのアノード端子が接続され、前記電源出力端子にボディダイオードのカソード端子が接続された第2の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地された第2の下部トランジスタと、を含み、
前記第1の巻線、第1の上部トランジスタ及び第1の下部トランジスタが第1のBoostブランチ回路として組み合わされ、
前記第2の巻線、第2の上部トランジスタ及び第2の下部トランジスタが第2のBoostブランチ回路として組み合わされ、
第1のBoostブランチ回路と第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、且つ、メイン電流が前記第2の上部トランジスタを流れる際に、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に前記第1の上部トランジスタの電流が負になるように、前記第1の上部トランジスタのターンオンを制御し、
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、且つ、メイン電流が前記第1の上部トランジスタを流れる際に、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に前記第2の上部トランジスタの電流が負になるように、前記第2の上部トランジスタのターンオンを制御する
ことを特徴とする同期結合Boost回路。
【請求項2】
前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの等価電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにし、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの等価電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項3】
前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにし、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が前記既定の周波数値以上となるようにする
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項4】
前記結合インダクタは、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3の巻線をさらに含み、前記第3の巻線は、同極性端子が前記電源入力端子に接続され、逆極性端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項5】
前記同期結合Boost回路は、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3のインダクタをさらに含み、前記第3のインダクタは、入力端子が前記電源入力端子に接続され、出力端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項6】
前記同期結合Boost回路の結合インダクタの第1の巻線が第1のインダクタに替えられ、第2の巻線が第2のインダクタに替えられた
ことを特徴とする請求項5に記載の同期結合Boost回路。
【請求項7】
第1の巻線と第2の巻線とは、同じコアにあり、且つ、同じ巻数と同じ巻き方とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項8】
前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせることにより、同じコアに巻設されている
ことを特徴とする請求項7に記載の同期結合Boost回路。
【請求項9】
前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせてなる複数のワイヤパイを有し、前記第1の巻線の複数のワイヤパイと前記第2の巻線の複数のワイヤパイとが交互に同じコアに巻設されている
ことを特徴とする請求項8に記載の同期結合Boost回路。
【請求項10】
前記結合インダクタの電流が流れる大地帰還回路にサンプリング抵抗器が直列に接続され、
前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項11】
前記第1の下部トランジスタボディダイオードのアノード端子及び前記第2の下部トランジスタボディダイオードのアノード端子とグランドとの間にサンプリング抵抗器が直列に接続され、
前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項12】
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の下部トランジスタボディダイオードのカソード端子との間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の下部トランジスタボディダイオードのカソード端子との間に変流器が直列に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項13】
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子との間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子との間に変流器が直列に接続されている
ことを特徴とする請求項12に記載の同期結合Boost回路。
【請求項14】
前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するように制御し、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項15】
前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて減少し続け、前記電源入力電圧の減少につれて増大し続けるように制御し、
前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて減少し続け、前記電源入力電圧の減少につれて増大し続けるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項16】
前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて増大し続け、前記電源入力電圧の減少につれて減少し続けるように制御し、
前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて増大し続け、前記電源入力電圧の減少につれて減少し続けるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項17】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第1の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第1の上部トランジスタが第2の上部トランジスタよりも先にターンオフするように制御し、前記第1の上部トランジスタがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第1の下部トランジスタがターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第2の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第2の上部トランジスタが第1の上部トランジスタよりも先にターンオフするように制御し、前記第2の上部トランジスタがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第2の下部トランジスタがターンオンするように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項18】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオンしてから前記第2の下部トランジスタがターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオンしてから前記第1の下部トランジスタがターンオンするように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項19】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタが既定期間動作してから、第2の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタが既定期間動作してから、第1の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御する
ことを特徴とする請求項18に記載の同期結合Boost回路。
【請求項20】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第1の上部トランジスタが前記第2の上部トランジスタより先にターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第2の上部トランジスタが前記第1の上部トランジスタより先にターンオンするように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項21】
前記第1のBoostブランチ回路と前記第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作するように制御する場合、1つの制御周期の前半周期において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、
第1の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオフし、
第2の時刻において、前記第1の下部トランジスタがターンオンし、
第3の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオフし、
第4の時刻において、前記第1の下部トランジスタがターンオフし、
第5の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオンし、
第6の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオンする動作シーケンスであり、
1つの制御周期の後半周期において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、
第7の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオフし、
第8の時刻において、前記第2の下部トランジスタがターンオンし、
第9の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオフし、
第10の時刻において、前記第2の下部トランジスタがターンオフし、
第11の時刻において、前記第2の上部トランジスタはターンオンし、
第12の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオンする動作シーケンスである
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項22】
Boost回路であって、
電源入力端子及び電源出力端子と、
入力端子が前記電源入力端子に接続されたインダクタと、
アノード端子が前記インダクタの出力端子に接続され、カソード端子が前記電源出力端子に接続されたダイオードと、
前記インダクタの出力端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地されたトランジスタと、を含み、
インダクタ電流が連続モードにあり、且つ、入力電圧が変化し続けている場合に、少ない磁気損失増大を代価としてより多くのスイッチング損失の低減を実現することを原則として、前記トランジスタのスイッチング周波数変化を制御する
ことを特徴とするBoost回路。
【請求項23】
前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、
前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するようにする
ことを特徴とする請求項22に記載のBoost回路。
【請求項24】
前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする
ことを特徴とする請求項23に記載のBoost回路。
【請求項25】
前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、
前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記スイッチング周波数が電圧の増大につれて減少し続け、電圧の減少につれて増大し続けるようにする
ことを特徴とする請求項22に記載のBoost回路。
【請求項26】
前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする
ことを特徴とする請求項25に記載のBoost回路。
【請求項27】
前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、
前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記スイッチング周波数が電圧の増大につれて増大し続け、電圧の減少につれて減少し続けるようにする
ことを特徴とする請求項22に記載のBoost回路。
【請求項28】
前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする
ことを特徴とする請求項27に記載のBoost回路。
【請求項29】
請求項1から21の何れか一項に記載の同期結合Boost回路を含む
ことを特徴とする電源装置。
【請求項30】
請求項22から28の何れか一項に記載のBoost回路を含む
ことを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路の技術分野に関するものであり、特に同期結合Boost回路、Boost回路及び電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Boost回路は、パワーエレクトロニクス技術の分野で広く使用されている最もシンプルな昇圧式コンバータ回路である。従来の高電圧Boost回路は高効率のために、Qrr(逆回復電荷)が比較的小さいデバイスを用いて整流を行うのが一般的であった。SiCダイオードや超高速回復ダイオードのように整流するだけであってもよく、また、GanFET又はSicFETのように同期且つ整流であってもよい。一般的なSiトランジスタはQrrが非常に大きいため、通常はSi MOSFETを直接用いて同期整流することはない。従来の高電圧Boost回路には、整流ダイオードの電圧降下損失問題、整流トランジスタボディダイオードのQrr損失問題、インダクタ電流の不連続時にインダクタと寄生容量の共振によるPF(パワー因子)及びTHD(高調波因子)が悪くなる問題、及び下ブリッジトランジスタのターンオン損失問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、上記の問題を解決するための同期結合Boost回路、Boost回路及び電源装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明は同期結合Boost回路を提案し、前記同期結合Boost回路は、
電源入力端子及び電源出力端子と、
第1の巻線と第2の巻線とを含み、前記第1の巻線と前記第2の巻線の同極性端子が共通端子として相互接続され、前記共通端子が前記電源入力端子に接続された結合インダクタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子にボディダイオードのアノード端子が接続され、前記電源出力端子にボディダイオードのカソード端子が接続された第1の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地された第1の下部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子にボディダイオードのアノード端子が接続され、前記電源出力端子にボディダイオードのカソード端子が接続された第2の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地された第2の下部トランジスタと、を含む。
【0005】
前記第1の巻線、第1の上部トランジスタ及び第1の下部トランジスタが第1のBoostブランチ回路として組み合わされ、
前記第2の巻線、第2の上部トランジスタ及び第2の下部トランジスタが第2のBoostブランチ回路として組み合わされ、
第1のBoostブランチ回路と第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、且つ、メイン電流が前記第2の上部トランジスタを流れる際に、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に前記第1の上部トランジスタの電流が負になるように、前記第1の上部トランジスタのターンオンを制御する。
【0006】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、且つ、メイン電流が前記第1の上部トランジスタを流れる際に、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に前記第2の上部トランジスタの電流が負になるように、前記第2の上部トランジスタのターンオンを制御する。
【0007】
好ましくは、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの等価電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにし、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの等価電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする。
【0008】
好ましくは、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。
【0009】
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が前記既定の周波数値以上となるようにする。
【0010】
好ましくは、前記結合インダクタは、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3の巻線をさらに含み、前記第3の巻線は、同極性端子が前記電源入力端子に接続され、逆極性端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている。
【0011】
好ましくは、前記同期結合Boost回路は、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3のインダクタをさらに含み、前記第3のインダクタは、入力端子が前記電源入力端子に接続され、出力端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている。
【0012】
好ましくは、前記同期結合Boost回路の結合インダクタの第1の巻線が第1のインダクタに替えられ、第2の巻線が第2のインダクタに替えられる。
【0013】
好ましくは、第1の巻線と第2の巻線とは、同じコアにあり、且つ、同じ巻数と同じ巻き方とを有する。
【0014】
好ましくは、前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせることにより、同じコアに巻設される。
【0015】
好ましくは、前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせてなる複数のワイヤパイを有し、前記第1の巻線の複数のワイヤパイと前記第2の巻線の複数のワイヤパイとが交互に同じコアに巻設されている。
【0016】
好ましくは、前記結合インダクタの電流が流れる大地帰還回路にサンプリング抵抗器が直列に接続され、
前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である。
【0017】
好ましくは、前記第1の下部トランジスタボディダイオードのアノード端子及び前記第2の下部トランジスタボディダイオードのアノード端子とグランドとの間にサンプリング抵抗器が直列に接続され、
前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である。
【0018】
好ましくは、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の下部トランジスタボディダイオードのカソード端子との間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の下部トランジスタボディダイオードのカソード端子との間に変流器が直列に接続されている。
【0019】
好ましくは、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子との間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子との間に変流器が直列に接続されている。
【0020】
好ましくは、前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するように制御し、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するように制御する。
【0021】
好ましくは、前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて減少し続け、前記電源入力電圧の減少につれて増大し続けるように制御し、
前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて減少し続け、前記電源入力電圧の減少につれて増大し続けるように制御する。
【0022】
好ましくは、前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて増大し続け、前記電源入力電圧の減少につれて減少し続けるように制御し、
前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて増大し続け、前記電源入力電圧の減少につれて減少し続けるように制御する。
【0023】
好ましくは、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第1の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第1の上部トランジスタが第2の上部トランジスタよりも先にターンオフするように制御し、前記第1の上部トランジスタがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第1の下部トランジスタがターンオンするように制御する。
【0024】
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第2の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第2の上部トランジスタが第1の上部トランジスタよりも先にターンオフするように制御し、前記第2の上部トランジスタがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第2の下部トランジスタがターンオンするように制御する。
【0025】
好ましくは、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオンしてから前記第2の下部トランジスタがターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオンしてから前記第1の下部トランジスタがターンオンするように制御する。
【0026】
好ましくは、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタが既定期間動作してから、第2の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタが既定期間動作してから、第1の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御する。
【0027】
好ましくは、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第1の上部トランジスタが前記第2の上部トランジスタより先にターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第2の上部トランジスタが前記第1の上部トランジスタより先にターンオンするように制御する。
【0028】
好ましくは、前記第1のBoostブランチ回路と前記第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作するように制御する場合、1つの制御周期の前半周期において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、
第1の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオフし、
第2の時刻において、前記第1の下部トランジスタがターンオンし、
第3の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオフし、
第4の時刻において、前記第1の下部トランジスタがターンオフし、
第5の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオンし、
第6の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオンする動作シーケンスであり、
1つの制御周期の後半周期において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、
第7の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオフし、
第8の時刻において、前記第2の下部トランジスタがターンオンし、
第9の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオフし、
第10の時刻において、前記第2の下部トランジスタがターンオフし、
第11の時刻において、前記第2の上部トランジスタはターンオンし、
第12の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオンする動作シーケンスである。
【0029】
本発明は、Boost回路を提案し、前記Boost回路は、
電源入力端子及び電源出力端子と、
入力端子が前記電源入力端子に接続されたインダクタと、
アノード端子が前記インダクタの出力端子に接続され、カソード端子が前記電源出力端子に接続されたダイオードと、
前記インダクタの出力端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地されたトランジスタと、を含み、
インダクタ電流が連続モードにあり、且つ、入力電圧が変化し続けている場合に、少ない磁気損失増大を代価としてより多くのスイッチング損失の低減を実現することを原則として、前記トランジスタのスイッチング周波数変化を制御する。
【0030】
好ましくは、前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するようにする。
【0031】
好ましくは、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。
【0032】
好ましくは、前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記スイッチング周波数が電圧の増大につれて減少し続け、電圧の減少につれて増大し続けるようにする。
【0033】
好ましくは、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。
【0034】
好ましくは、前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記スイッチング周波数が電圧の増大につれて増大し続け、電圧の減少につれて減少し続けるようにする。
【0035】
好ましくは、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。
【0036】
本発明は、上述した同期結合Boost回路又は上述したBoost回路を含む電源装置をさらに提案する。
【0037】
本発明の同期結合Boost回路によれば、結合インダクタの第1の巻線、第1の上部トランジスタ及び第1の下部トランジスタにより構成された第1のBoostブランチ回路の充放電シーケンス、及び結合インダクタの第2の巻線、第2の上部トランジスタ及び第2の下部トランジスタにより構成された第2のBoostブランチ回路の充放電シーケンスを制御することにより、従来の整流ダイオードの電圧降下損失の問題、整流トランジスタのボディダイオードのQrr損失の問題、従来のPFCインダクタ電流の不連続時のインダクタ及び寄生容量の共振によるPF及びTHD悪化の問題、及び第1の下部トランジスタと第2の下部トランジスタのターンオン損失の問題を解決する。
【0038】
本発明の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に説明する。下記説明における添付図面は本発明の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面に示す構造に基づいて他の添付図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の同期結合Boost回路の一実施例の回路構成模式図である。
【
図2】本発明の同期結合Boost回路の別の実施例の回路構成模式図である。
【
図3】結合インダクタの一実施例の回路構成模式図である。
【
図4】
図1又
図2における同期結合Boost回路の一実施例の等価回路構成模式図である。
【
図5】本発明の同期結合Boost回路における各スイッチのシーケンス制御図である。
【
図6】本発明のBoost回路の一実施例の回路構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本発明の目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
以下では、本発明の実施例における添付図面と組み合わせ、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本発明の全ての実施例ではなく、一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得る全ての他の実施例は、本発明の保護の範囲に属す。
【0041】
もし本発明の実施例で方向性指示(例えば上、下、左、右、前、後…)に関わる場合、当該方向性指示はある特定の姿勢(添付図面に示す)における各部品間の相対的位置関係、運動状況等を説明するためだけに用いられ、仮に当該特定の姿勢が変わる場合、当該方向性指示もそれ相当に変わることは説明すべきである。
【0042】
また、本発明の実施例において「第一」、「第二」等の説明に関わる場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。これにより、「第一」、「第二」に限定された特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。また、各実施例の技術案はお互いに組み合わせることができる。ただし、当業者が実現できることはその基礎である。技術案の組み合わせに矛盾が生じるか、実現できない場合には、このような技術案の組み合わせが存在しない、且つ本発明が主張する保護範囲にないと理解すべきである。
【0043】
本明細書の用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明し、3つの関係が存在し得ることを意味するだけである。例えば、A及び/又はBの場合、Aのみが存在する、AとBが同時に存在する、Bのみが存在するという3つの状況を表すことができる。なお、本明細書における符号「/」は通常、前後の関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0044】
本発明は、同期結合Boost回路を提案する。
【0045】
図1から
図4を参照し、本発明の一実施例において、該同期結合Boost回路は、
電源入力端子VIN及び電源出力端子VOUTと、
第1の巻線と第2の巻線とを含み、前記第1の巻線と前記第2の巻線の同極性端子が共通端子として相互接続されている結合インダクタLmと、
前記結合インダクタLmの第1の巻線の逆極性端子にボディダイオードのアノード端子が接続され、前記電源出力端子VOUTにボディダイオードのカソード端子が接続された第1の上部トランジスタQ
1upと、
前記結合インダクタLmの第1の巻線の逆極性端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地された第1の下部トランジスタQ
1dnと、
前記結合インダクタLmの第2の巻線の逆極性端子にボディダイオードのアノード端子が接続され、前記電源出力端子VOUTにボディダイオードのカソード端子が接続された第2の上部トランジスタQ
2upと、
前記結合インダクタLmの第2の巻線の逆極性端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地された第2の下部トランジスタQ
2dnと、を含む。
【0046】
ここで、第1の下部トランジスタQ1dnと第2の下部トランジスタQ2dnとは、IGBT、MOSFET、SicFET、GanFET等のボディダイオードを有するトランジスタを用いて実現することができ、第1の上部トランジスタQ1upと第2の上部トランジスタQ2upとは、MOSFET、SicFET、GanFET等のボディダイオードを有し、且つ、オン抵抗が小さいトランジスタを用いて実現することができる。
【0047】
本実例において、前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子は前記電源入力端子VINに接続され、
図4におけるLeffは結合インダクタLmの等価自己インダクタンスであり、Lk1、Lk2は結合インダクタLmの第1の巻線と第2の巻線の漏れインダクタンスである。
【0048】
本実施例において、前記結合インダクタLmの第1の巻線、第1の上部トランジスタQ1up及び第1の下部トランジスタQ1dnは、第1のBoostブランチ回路として組み合わされ、前記結合インダクタLmの第2の巻線、第2の上部トランジスタQ2up及び第2の下部トランジスタQ2dnは、第2のBoostブランチ回路として組み合わされる。
【0049】
第1のBoostブランチ回路と第2のBoostブランチ回路は交互にメインパワー回路として機能することができ、具体的には、第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能する際に、第1の巻線がメイン電流を負担する。第1の下部トランジスタQ1dnがターンオンすると、結合インダクタLmが第1の巻線を介してエネルギーを蓄積し、第1の下部トランジスタQ1dnがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、第1の上部トランジスタQ1upがターンオンし、結合インダクタLm上の電流が第1の巻線を介して第1の上部トランジスタQ1upを経て電源出力端子VOUTに出力され、電源の昇圧が実現される。
【0050】
第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能する場合、第2の巻線がメイン電流を負担する。第2の下部トランジスタQ2dnがターンオンすると、結合インダクタLmが第2の巻線を介してエネルギーを蓄積し、第2の下部トランジスタQ2dnがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、第2の上部トランジスタQ2upがターンオンし、結合インダクタLm上の電流が第2の巻線を介して第2の上部トランジスタQ2upを経て電源出力端子VOUTに出力され、電源の昇圧が実現される。
【0051】
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、且つ、メイン電流が前記第2の上部トランジスタを流れる際に、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に前記第1の上部トランジスタの電流が負になるように、前記第1の上部トランジスタのターンオンを制御する。
【0052】
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、メイン電流が前記第2の上部トランジスタを流れ、且つ、第1の上部トランジスタがターンオンした直後、第1の上部トランジスタQ1upを流れるのは主に漏れインダクタンスとVA点寄生容量の共振電流であり、その数値はVout、漏れインダクタンス値、寄生容量の容量値に依存し、メイン電流に比べて非常に小さい。電源入力端子VINに入力される電圧Vinが電源出力端子VOUTの電圧Voutよりも小さいので、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2の値が概ね同じである場合、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2における電流はともに概ね同じ速度で減少する。漏れインダクタンスLk1と第1の上部トランジスタQ1upとがあるパスの初期電流(主に共振電流)が比較的小さいため、十分な電流変動において、第1のBoostブランチ回路上の電流I1は徐々に負の値になり、この負の電流はさらに、次の段階の第1の下部トランジスタQ1dnのソフトターンオンのために用いられる。
【0053】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、且つ、メイン電流が前記第1の上部トランジスタを流れる際に、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に前記第2の上部トランジスタの電流が負になるように、前記第2の上部トランジスタのターンオンを制御する。
【0054】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、メイン電流が前記第1の上部トランジスタを流れ、且つ、第2の上部トランジスタがターンオンした直後、第2の上部トランジスタQ2upを流れるのは主に漏れインダクタンスとVB点寄生容量の共振電流であり、その数値はVout、漏れインダクタンス値、寄生容量の容量値に依存し、メイン電流に比べて非常に小さい。電源入力端子VINに入力される電圧Vinが電源出力端子VOUTの電圧Voutよりも小さいので、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2の値が概ね同じである場合、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2における電流はともに概ね同じ速度で減少する。漏れインダクタンスLk2と第2の上部トランジスタQ2upとがあるパスの初期電流(主に共振電流)が比較的小さいため、十分な電流変動において、第2のBoostブランチ回路上の電流I2は徐々に負の値になり、この負の電流はさらに、次の段階の第2の下部トランジスタQ2dnのソフトターンオンのために用いられる。
【0055】
一実施例において、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの等価電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする。同様に、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの等価電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする。
【0056】
リップル電流降下値が実質的に安定すると、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に、第1の上部トランジスタをターンオフする際に正確な負電流及び正確な共振エネルギーを得ることができるため、第1の下部トランジスタのソフトターンオンの際に正確なシーケンス制御を実現し、第1の下部トランジスタのターンオン損失を最大限に低減させることができる。
【0057】
リップル電流降下値が実質的に安定すると、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前に、第2の上部トランジスタをターンオフする際に正確な負電流及び正確な共振エネルギーを得ることができるため、第2の下部トランジスタのソフトターンオンの際に正確なシーケンス制御を実現し、第2の下部トランジスタのターンオン損失を最大限に低減させることができる。
【0058】
一実施例において、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。同様に、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が前記既定の周波数値以上となるようにする。スイッチング周波数の最小値を制御することにより、オーディオノイズの発生を防止し、システムの過度に遅い応答を防止することができる。
【0059】
図3を参照し、本実施例において、同期結合Boost回路内の結合インダクタは、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3の巻線をさらに含んでもよく、第3の巻線は、同極性端子が電源入力端子に接続され、逆極性端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている。本実例において、
図4におけるLeffは結合インダクタLmの、第3の巻線を含む等価自己インダクタンスであり、Lk1、Lk2は結合インダクタLmの第1の巻線と第2の巻線の漏れインダクタンスである。
【0060】
第1の巻線、第2の巻線及び第3の巻線を巻回する際に、まずA点から一方向にPターンだけ巻回して1つの独立した巻線である第3の巻線ANを形成し、そして、N点から前の方向にQターンだけ巻回して1つの独立した巻線である第1の巻線NBを形成し、最後に、N点からQを前の方向にQターンだけ巻回して1つの独立した巻線である第2の巻線NCを形成する方法で巻回することができる。これら3つの巻線のコイルは、合理的な空間配置により、第1の巻線及び第2の巻線の適切な漏れインダクタンス(すなわち漏れインダクタンスLk1及びLk2)を得ることができる。
【0061】
一実例において、前記同期結合Boost回路は、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3のインダクタをさらに含み、前記第3のインダクタは、入力端子が前記電源入力端子に接続され、出力端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている。本実例において、
図4におけるLeffは、第3のインダクタのインダクタンス値に結合インダクタLmを足した等価自己インダクタンスであり、Lk1、Lk2は、それぞれ、結合インダクタLmの第1の巻線と第2の巻線の漏れインダクタンスである。
【0062】
一実例において、前記同期結合Boost回路の結合インダクタの第1の巻線は第1のインダクタに替えられ、第2の巻線は第2のインダクタに替えられ、前記第3のインダクタの入力端子は前記電源入力端子に接続され、前記第3のインダクタの出力端子は前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタの入力端子に接続され、前記第1のインダクタの出力端子は第1の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子に接続され、前記第2のインダクタの出力端子は第2の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子に接続されている。本実例において、
図4におけるLeffは第3のインダクタのインダクタンス値であり、Lk1、Lk2は、それぞれ、第1のインダクタと第2のインダクタのインダクタンス値である。
【0063】
一実施例において、第1の巻線と第2の巻線とは、同じコアにあり、且つ、同じ巻数と同じ巻き方とを有する。第1の巻線と第2の巻線との同じ巻数と同じ巻き方により、第1の巻線と第2の巻線との対称性、同じ漏れインダクタンスを最大限に保証することができる。
【0064】
一実施例において、前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせることにより、同じコアに巻設される。電流が第1の巻線から第2の巻線へ、又は第2の巻線から第1の巻線へと切り替えるときの切替速度は、Lk1、Lk2及び出力電圧により共同で決定され、Lk1及びLk2が非常に小さいときに、変換率が速く、第1の巻線と第2の巻線とはいずれも大きい高周波成分を持つ。複数本のワイヤを撚り合わせることにより、第1の巻線及び第2の巻線の高周波損失を最大限に低減させることができる。
【0065】
巻線の高周波損失をさらに低減するために、別の実施例において、前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせてなる複数のワイヤパイを有し、前記第1の巻線の複数のワイヤパイと前記第2の巻線の複数のワイヤパイとが交互に同じコアに巻設されている。
【0066】
一実施例において、前記結合インダクタの電流が流れる大地帰還回路にサンプリング抵抗器が直列に接続され、前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である。
【0067】
本実例において、サンプリング抵抗器は、任意の時点で結合インダクタの電流を表すことができ、サンプリング抵抗器の電圧は、高速オペアンプにより差動増幅された後、コントローラにより読み出されることができる。
【0068】
一実施例において、前記第1の下部トランジスタボディダイオードのアノード端子及び前記第2の下部トランジスタボディダイオードのアノード端子とグランドとの間にサンプリング抵抗器が直列に接続され、前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である。
【0069】
本実例において、サンプリング抵抗器は、第1の下部トランジスタと第2の下部トランジスタとの両方がオンになっているときにのみ結合インダクタの電流を表すことができ、サンプリング抵抗器の電圧は、高速オペアンプにより差動増幅された後、コントローラにより読み出されることができる。
【0070】
一実施例において、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の下部トランジスタボディダイオードのカソード端子との間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の下部トランジスタボディダイオードのカソード端子との間に変流器が直列に接続されている。
【0071】
好ましくは、さらに、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子との間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の上部トランジスタボディダイオードのアノード端子との間に変流器が直列に接続されている。
【0072】
本実例において、変流器を用いて結合インダクタの各巻線又は全体の電流値を取得し、変流器を使用するとかさばるが、1次側と2次側との分離及びより速い周波数応答が可能になる。
【0073】
図1から
図5を参照し、一実施例において、前記同期結合Boost回路の電源入力端子VINに入力される電源電圧をVinとし、前記同期結合Boost回路の電源出力電圧をVoutとし、前記第1の下部トランジスタQ
1dnのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として徐々に減少するように制御する。前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するように制御する。
【0074】
別の実施例において、前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて減少し続け、前記電源入力電圧の減少につれて増大し続けるように制御し、
前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて減少し続け、前記電源入力電圧の減少につれて増大し続けるように制御する。
【0075】
別の実施例において、前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて増大し続け、前記電源入力電圧の減少につれて減少し続けるように制御し、
前記電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が前記電源入力電圧の増大につれて増大し続け、前記電源入力電圧の減少につれて減少し続けるように制御する。
【0076】
一実施例を例として、さらに、第1のBoostブランチ回路と第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作し、同一時刻に1つのブランチ回路のみがメインパワーブランチ回路として動作している。結合インダクタの磁束変化については、第1のブランチ回路と第2のブランチ回路のパラメータが一致している場合、同一のブランチ回路が動作していると見なすことができ、以下の分析は、1つのブランチ回路に等価変換する場合に基づいている。
【0077】
本例において、結合インダクタの磁気平衡を考慮して、同期結合Boost回路のスイッチングデューティ比Dを以下の式(1)で表すことができる。
【数1】
【0078】
磁束変化に対応する結合インダクタのリップル電流の大きさIrippleは、以下の式(2)により表される(Lk1及びLk2はLeffに対して非常に小さいのでここでは無視する)。
【数2】
【0079】
式(1)で算出されたデューティ比を、式(2)に代入すると、以下の式を得ることが出来る。
【数3】
【0080】
ここで、Vinは電源入力端子VINに入力されるリアルタイムの電圧、Voutは出力電圧、Leffは結合インダクタLmの等価自己インダクタンス、Tは第1の下部トランジスタQ1dnと第2の下部トランジスタQ2dnとを一体としてみなした等価スイッチング周期である。
【0081】
以上の計算式によれば、Vin=3Vout/10~7Vout/10 の時、リップル電流が放物線の頂点範囲に達し、特にVout/2時に、最大となる。リップル電流は、電源入力端子VINに入力される電圧Vinに応じて変化し、Vin=を中心Vout/2として両側へ徐々に減少し続ける。PFCではVinがVout/2から離れている場合、リップル電流が非常に小さいので、この場合、スイッチング周波数を適度に下げて、リップル電流を増大させてもよい。すなわち、比較的小さい磁気損失の増大を代価として、より多くのスイッチング損失を低減させる。具体的には、第1の下部トランジスタQ1dnと第2の下部トランジスタQ2dnのスイッチング周波数の適度な変更より実現することができ、例えば、入力電源電圧が徐々にVout/2まで増大する過程において、第1の下部トランジスタQ1dnと第2の下部トランジスタQ2dnのスイッチング周波数を一定の速度で徐々に増大させ、入力電源電圧がVout/2に達してから、第1の下部トランジスタQ1dnと第2の下部トランジスタQ2dnのスイッチング周波数を徐々に減少させてもよい。本実例において、スイッチング損失は、大きな電流が漏れインダクタンスLk1(漏れインダクタンスLk2)から漏れインダクタンスLk2(漏れインダクタンスLk1)に切り替わる磁気スイッチング損失としても表される。従来のPFCのCrCM(臨界通電)モードでは、Vinの増大につれてリップル電流Irippleが増大するのに対し、本発明では第1の下部トランジスタQ1dnと第2の下部トランジスタQ2dnのスイッチング周波数を能動的に変化させることにより、Irippleが一定又は一定範囲内であることを保証することができる。
【0082】
図1から
図5を参照し、一実施例において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第1の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第1の上部トランジスタQ
1upが第2の上部トランジスタQ
2upよりも先にターンオフするように制御し、前記第1の上部トランジスタQ
1upがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第1の下部トランジスタQ
1dnがターンオンするように制御する。
【0083】
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第2の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第2の上部トランジスタQ2upが第1の上部トランジスタQ1upよりも先にターンオフするように制御し、前記第2の上部トランジスタQ2upがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第2の下部トランジスタQ2dnがターンオンするように制御する。
【0084】
第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前は、第1の上部トランジスタQ1upがオン状態にあり、第1の巻線の電流I1が負であり、漏れインダクタンスLk1と第1の上部トランジスタQ1upとが同一パス上にある。第1の上部トランジスタQ1upがターンオフし、VA点が電流I1により放電され、VA点の電圧が低下し続け、Lk1の漏れインダクタンスエネルギーが十分である場合、第1の下部トランジスタQ1dnのボディダイオードがターンオンし、第1の下部トランジスタQ1dnのドレイン-ソース間電圧VDSがクランプされる。この場合、第1の下部トランジスタQ1dnをターンオンすれば、完全なソフトターンオンを実現することができる。
【0085】
第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前は、第2の上部トランジスタQ2upがオン状態にあり、第2の巻線の電流I2が負であり、漏れインダクタンスLk2と第2の上部トランジスタQ2upとが同一パス上にある。第2の上部トランジスタQ2upがターンオフし、VB点が電流I2により放電され、VB点の電圧が低下し続け、Lk2の漏れインダクタンスエネルギーが十分である場合、第2の下部トランジスタQ2dnのボディダイオードがターンオンし、第2の下部トランジスタQ2dnのドレイン-ソース間電圧VDSがクランプされる。この場合、第2の下部トランジスタQ2dnをターンオンすれば、完全なソフトターンオンを実現することができる。
【0086】
第1の上部トランジスタQ1up(又は第2の上部トランジスタQ2up)がターンオフする時刻において、漏れインダクタンスLk1の負の電流がVA点(又は漏れインダクタンスLk2の負の電流がVB点)を介して放電され、共振が開始される。VA点(又はVB点)がゼロ電圧に降下することはできないが、漏れインダクタンスのエネルギーが尽きた際に、VA点(又はVB点)の電圧は最も低くなり、この時に、第1の下部トランジスタQ1dn(又は第2の下部トランジスタQ2dn)の損失が最小になり、すなわち部分ソフトターンオンする。
【0087】
第1の下部トランジスタQ1dn(又は第2の下部トランジスタQ2dn)がターンオンした後に、Lk1及びLk2はLeffに比べて非常に小さいので、この時点でLeffが第2の上部トランジスタQ2up(又は第1の上部トランジスタQ1up)の電流変化速度に与える影響を無視することができ、第2の上部トランジスタQ2up(又は第1の上部トランジスタQ1up)の電流が0よりも大きい場合、電流は、Vout/(Lk1+Lk2)の速度で減少する。漏れインダクタンスにより、第2の上部トランジスタQ2up(又は第1の上部トランジスタQ1up)の電流の変化速度が制限されるので、第2の上部トランジスタQ2up(又は第1の上部トランジスタQ1up)のボディダイオードのQrr損失を大幅に減少させることができる。この回路構成は簡単で、追加の補助素子や回路を設計する必要がなく、複雑な制御方式も必要なく、1つの磁気素子、4つのトランジスタを使用するだけで、トランジスタ及びそのボディダイオードのソフトスイッチング特性を実現し、コンバータの効率を向上させることができるため、高周波化、高パワー密度設計に有利である。
【0088】
従来のBoost回路は整流ダイオードを使用しており、Boostインダクタの電流が0になった時、ダイオードのカットオフにより、Boostインダクタンスと終端寄生容量とが共振する。このとき電流が非線形に変化し、電流が暴走状態となるため、PFCのPF値(パワー因子)とTHD値(高調波因子)が非常に悪くなる。
【0089】
図1から
図5を参照し、一実施例において、整流トランジスタの制御可能な導通性を利用すれば、整流トランジスタの双方向の電流導通を実現することができる。第1の上部トランジスタQ
1upと第2の上部トランジスタQ
2upの両方は、完全に同期する整流を採用するのではなく、第1の上部トランジスタQ
1upと第2の上部トランジスタQ
2upとの両方において電流が負になることを許容することにより、Boost回路が連続した線形な電流を得られるようにし、従来の整流ダイオードにおける電流を負になることができないために発生するLC共振を回避する。第1のBoostブランチ回路がメインパワーブランチ回路として機能する前に、第1の上部トランジスタQ
1upと第2の上部トランジスタQ
2upとが、第1の上部トランジスタQ
1upがターンオフまで、トランジスタ内の電流が0以下に下がっても、オン状態を維持する。第2のBoostブランチ回路がメインパワーブランチ回路として機能する前に、第1の上部トランジスタQ
1upと第2の上部トランジスタQ
2upとが、第2の上部トランジスタQ
2upがターンオフまで、トランジスタ内の電流が0以下に下がっても、オン状態を維持する。第1の下部トランジスタQ
1dn又は第2の下部トランジスタQ
2dnがターンオンした後、結合インダクタの電流は線形的に増大し続け、LC共振は発生しない。以上から、結合インダクタの電流は常に線形で連続した状態にあり、完全に制御可能であるため、PFCのPF値(パワー因子)及びTHD値(高調波因子)を効果的に改善することができる。
【0090】
図1から
図5を参照し、一実施例において、
図5の破線のように、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオンしてから前記第2の下部トランジスタがターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオンしてから前記第1の下部トランジスタがターンオンするように制御する。
【0091】
第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、且つ、第1の下部トランジスタQ1dnがオン状態にあるとき、VB点は、共振により最終的にQ2dnボディダイオードにより電圧がクランプされ、このとき、第2の下部トランジスタQ2dnをターンオンさせ、且つ、第1の下部トランジスタQ1dnがターンオフする前に、第2の下部トランジスタQ2dnを適時にターンオフさせる。
【0092】
第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、且つ、第2の下部トランジスタQ2dnがオン状態にあるとき、VA点は、共振により最終的にQ1dnボディダイオードにより電圧がクランプされ、このとき、第1の下部トランジスタQ1dnをターンオンさせ、且つ、第2の下部トランジスタQ2dnがターンオフする前に、第1の下部トランジスタQ1dnを適時にターンオフさせる。
【0093】
図1から
図5を参照し、一実施例において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタが既定期間動作してから、第2の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御する。第1の下部トランジスタが第2の下部トランジスタ以後にターンオフすることにより、メイン電流が第1の下部トランジスタを流れることを保証し、その後、第1の下部トランジスタがターンオフし、第1の上部トランジスタがターンオンした後、第2の上部トランジスタには限られた電流しか流れない。
【0094】
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタが既定期間動作してから、第1の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御する。第2の下部トランジスタが第1の下部トランジスタ以後にターンオフすることにより、メイン電流が第2の下部トランジスタを流れることを保証し、その後、第2の下部トランジスタがターンオフし、第2の上部トランジスタがターンオンした後、第1の上部トランジスタには限られた電流しか流れない。
【0095】
図1から
図5を参照し、一実施例において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第1の上部トランジスタが前記第2の上部トランジスタより先にターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第2の上部トランジスタが前記第1の上部トランジスタより先にターンオンするように制御する。
【0096】
第1の下部トランジスタQ1dnがターンオフした後に、第1の巻線の電流がVA点を充電し、最終的にVA点の電圧がVOUT点の電圧を超え、第1の上部トランジスタQ1upボディダイオードが導通し、このとき、第1の上部トランジスタQ1upがターンオンする。VA点の電圧が上昇する過程で、VB点の電圧も、漏れインダクタンスの共振により、VA点の電圧に追従して上昇するが、時間的にはVA点より遅れ、VB点の電圧は最終的にVOUT点の電圧を超え、第2の上部トランジスタQ2upボディダイオードが導通し、このとき、第2の上部トランジスタQ2upがターンオンする。第1の上部トランジスタQ1upと第2の上部トランジスタQ2upのターンオンでは、ダイオードの電圧降下損失をトランジスタの抵抗損失に替えるため、抵抗値の非常に小さいトランジスタを用いれば、ここでの損失を最大に低減させることができる。
【0097】
第2の下部トランジスタQ2dnがターンオフした後に、第2の巻線の電流がVB点を充電し、最終的にVB点の電圧がVOUT点の電圧を超え、第2の上部トランジスタQ2upボディダイオードが導通し、このとき、第2の上部トランジスタQ2upがターンオンする。VB点の電圧が上昇する過程で、VA点の電圧も、漏れインダクタンスの共振により、VB点の電圧に追従して上昇するが、時間的にはVB点より遅れ、VA点の電圧は最終的にVOUT点の電圧を超え、第1の上部トランジスタQ1upボディダイオードが導通し、このとき、第1の上部トランジスタQ1upがターンオンする。第1の上部トランジスタQ1upと第2の上部トランジスタQ2upのターンオンでは、ダイオードの電圧降下損失をトランジスタの抵抗損失に替えるため、抵抗値の非常に小さいトランジスタを用いれば、ここでの損失を最大に低減させることができる。
【0098】
図5を参照し、
図5は、第1のBoostブランチ回路及び前記第2のBoostブランチ回路内の各スイッチのシーケンス制御図である。一実施例において、前記第1のBoostブランチ回路と前記第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作するように制御する場合、1つの制御周期の前半周期において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、以下である。
【0099】
第1の時刻t1の前に、漏れインダクタンスLk1と第1の上部トランジスタQ1upとが同一パス上にあり、電流I1は負である。
【0100】
第1の時刻t1において、前記第1の上部トランジスタQ1upがターンオフし、VA点が負の電流I1により放電され、VA点の電圧が低下し続ける。
【0101】
第2の時刻t2において、VA点の電圧が最低点まで低下し、前記第1の下部トランジスタQ1dnが導通し、このとき、第1の下部トランジスタQ1dnのターンオン損失が最小となる。
【0102】
第3の時刻t3において、前記第2の上部トランジスタQ2upがターンオフし、ターンオフの前に第2の上部トランジスタQ2upの電流が正でる場合、第2の上部トランジスタQ2upを流れる電流はそのボディダイオードを流れるようになり、Lk2上の電流は一定の速度で減少し、最終的には0となり、第2の上部トランジスタQ2upボディダイオードはソフトターンオフされるので、第2の上部トランジスタQ2upボディダイオードの逆回復電荷による損失が非常に小さいため、整流トランジスタボディダイオードのQrr損失の問題が解決される。その後、Lk2とVB点の寄生容量とが共振し、最終的には、VB点の電圧がQ2dnボディダイオードによりクランプされる。ターンオフの前に第2の上部トランジスタQ2upの電流が負であれば、VB点はすぐに共振して、最終的にはQ2dnボディダイオードによりクランプされて、整流トランジスタのボディダイオードのQrr損失は非常に小さい。VB点の電圧がクランプされた後、Lk2の電流は負からゼロに変わり、合理的なリップル電流を制御して漏れインダクタンスと寄生容量の共振電流よりも大きくすることで、Lk2電流が0の近くで振動して徐々に0に戻るようにすることができる。
【0103】
第4の時刻t4において、等価自己インダクタンスLeff上の電流の増大が完了し、この時点で第1の下部トランジスタQ1dnがターンオフする。第1の下部トランジスタQ1dnのターンオフとともに、結合インダクタLmが第1の巻線を介してVA点を充電し、VA点の電圧を上昇させる。VA点の上昇により、漏れインダクタンスLk1、漏れインダクタンスLk2とVB点の寄生容量とが共振することにより、VB点の電圧も上昇し続ける。
【0104】
第5の時刻t5において、VA点の電圧がVoutを超え、第1の上部トランジスタQ1upボディダイオードが導通し、この時点で、第1の上部トランジスタQ1upがソフトターンオンする。
【0105】
第6の時刻t6において、VB点の電圧も最終的にVoutを超え、第2の上部トランジスタQ2upボディダイオードが導通し、この時点で、第2の上部トランジスタQ2upがソフトターンオンする。
【0106】
第2の上部トランジスタQ2upがソフトターンオンしてから第2の上部トランジスタQ2upがターンオフするまでの間(第6の時刻t6~第7の時刻t7)、第2の上部トランジスタQ2upを流れるのは主に漏れインダクタンスとVB点寄生容量の共振電流であり、その数値はVout、漏れインダクタンス値、寄生容量の容量値に依存し、メイン電流に比べて非常に小さい。電源入力端子VINに入力される電圧Vinが電源出力端子VOUTの電圧Voutよりも小さいので、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2の値が同じ又は基本的に同じである場合、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2における電流はともに同じ又は基本的に同じ速度で減少する。漏れインダクタンスLk2と第2の上部トランジスタQ2upとがあるパスの初期電流(主に共振電流)が比較的小さいため、第2のBoostブランチ回路上の電流I2は徐々に負の値になり、この負の電流はさらに、次の段階の第2の下部トランジスタQ2dnのソフトターンオンのために用いられる。
【0107】
1つの制御周期の後半周期において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、
第7の時刻t7の前に、漏れインダクタンスLk2と第1の上部トランジスタQ1upとが同一パス上にあり、電流I2は負である。
【0108】
第7の時刻t7において、前記第2の上部トランジスタQ2upがターンオフし、VB点が負の電流I2により放電され、VB点の電圧が低下し続ける。
【0109】
第8の時刻t8において、VB点の電圧が最低点まで低下し、前記第2の下部トランジスタQ2dnが導通し、このとき、第2の下部トランジスタQ2dnのターンオン損失が最小となる。
【0110】
第9の時刻t9において、前記第1の上部トランジスタQ1upがターンオフする。ターンオフの前に第1の上部トランジスタQ1upの電流が正であれば、第1の上部トランジスタQ1upを流れる電流はそのボディダイオードを流れるようになる。Lk1上の電流は一定の速度で減少し、最終的には0となり、第1の上部トランジスタQ1upボディダイオードはソフトターンオフされるので、第1の上部トランジスタQ1upボディダイオードの逆回復電荷による損失が非常に小さいため、整流トランジスタボディダイオードのQrr損失の問題が解決される。その後、Lk1とVA点の寄生容量とが共振し、最終的には、VA点の電圧がQ1dnボディダイオードによりクランプされる。ターンオフの前に第1の上部トランジスタQ1upの電流が負であれば、VA点はすぐに共振して、最終的にはQ1dnボディダイオードによりクランプされて、整流トランジスタのボディダイオードのQrr損失は非常に小さい。VA点の電圧がクランプされた後、Lk1の電流は負からゼロに変わり、合理的なリップル電流を制御して漏れインダクタンスと寄生容量の共振電流よりも大きくすることで、Lk1電流が0の近くで振動して徐々に0に戻るようにすることができる。
【0111】
第10の時刻t10において、等価自己インダクタンスLeff上の電流の増大が完了し、この時点で第2の下部トランジスタQ2dnがターンオフする。第2の下部トランジスタQ2dnのターンオフとともに、結合インダクタLmが第2の巻線を介してVB点を充電し、VB点の電圧を上昇させる。VB点の上昇により、漏れインダクタンスLk1、漏れインダクタンスLk2とVA点の寄生容量とが共振することにより、VA点の電圧も上昇し続ける。
【0112】
第11の時刻t11において、VB点の電圧がVoutを超え、第2の上部トランジスタQ2upボディダイオードが導通し、この時点で、第2の上部トランジスタQ2upがソフトターンオンする。
【0113】
第12の時刻t12において、VA点の電圧も最終的にVoutを超え、第1の上部トランジスタQ1upボディダイオードが導通し、この時点で、第1の上部トランジスタQ1upがソフトターンオンする。
【0114】
第1の上部トランジスタQ1upがソフトターンオンしてから第1の上部トランジスタQ1upがターンオフするまでの間(第12の時刻t12~第1の時刻t1)、第1の上部トランジスタQ1upを流れるのは主に漏れインダクタンスとVA点寄生容量の共振電流であり、その数値はVout、漏れインダクタンス値、寄生容量の容量値に依存し、メイン電流に比べて非常に小さい。電源入力端子VINに入力される電圧Vinが電源出力端子VOUTの電圧Voutよりも小さいので、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2の値が概ね同じである場合、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2における電流はともに概ね同じ速度で減少する。漏れインダクタンスLk1と第1の上部トランジスタQ1upとがあるパスの初期電流(主に共振電流)が比較的小さいため、第1のBoostブランチ回路上の電流I1は徐々に負の値になり、この負の電流はさらに、次の段階の第1の下部トランジスタQ1dnのソフトターンオンのために用いられる。
【0115】
図1から
図4を参照し、一実施例において、前記同期結合Boost回路は、同期並列モードで動作し、第1のBoostブランチ回路と第2のBoostブランチ回路とが並列接続されたブランチ回路として同期して動作し、電流を分担する。
【0116】
第1の上部トランジスタQ1up、第2の上部トランジスタQ2upとしてQrrの非常に小さいトランジスタ(GanFet又はSicFetを含むがこれらに限定されない)を用いると、第1の上部トランジスタQ1up、第2の上部トランジスタQ2upが同時にターンオン/ターンオフし、第1の下部トランジスタQ1dn、第2の下部トランジスタQ2dnも同時にターンオン/ターンオフし、その動作モードは2つの従来のBoost回路を並列接続したようなものである。このモードでは、結合インダクタLmのコイルが完全に利用され、インダクタの抵抗損失の低減効果が得られる。従来のBoost回路と比べて、このモードの違いは、第1の下部トランジスタQ1dn、第2の下部トランジスタQ2dnが漏れインダクタンスにより分離され、ターンオン時にトランジスタが独立してターンオンし、第1の下部トランジスタQ1dn、第2の下部トランジスタQ2dnが並列して発振することがないことにある。また、第1の上部トランジスタQ1upと第2の上部トランジスタQ2upも漏れインダクタンスにより分離されて使用され、並列発振は発生しない。
【0117】
本発明は、結合インダクタの第1の巻線、第1の上部トランジスタQ1up及び第1の下部トランジスタQ1dnを組み合わせて第1のBoostブランチ回路を形成する場合の充放電シーケンス、及び結合インダクタの第2の巻線、第2の上部トランジスタQ2up及び第2の下部トランジスタQ2dnを組み合わせて第2のBoostブランチ回路を形成する場合の充放電シーケンスを制御することにより、整流ダイオードの電圧降下損失の問題、整流トランジスタのボディダイオードのQrr損失の問題、インダクタ電流の不連続時及び寄生容量の発振によるPF及びTHD悪化の問題、及び下ブリッジトランジスタ(第1の下部トランジスタQ1dn及び第2の下部トランジスタQ2dn)のターンオン損失の問題を解決する。
【0118】
本発明は、上述した同期結合Boost回路を含む電源装置をさらに提案する。
【0119】
前記電源装置は、上述した同期結合Boost回路を含む。該同期結合Boost回路の詳しい構造は上記実施例を参照でき、ここでは説明を省く。本発明の電源装置では上記同期結合Boost回路が使用されるので、本発明の電源装置の実施例は上記同期結合Boost回路の全ての実施例の全ての技術案を含み、且つ、達成する技術的効果も完全に同様なので、ここで説明を省く。
【0120】
本発明は、Boost回路を提案し、
図6を参照し、該Boost回路は、
電源入力端子VIN及び電源出力端子VOUTと、
入力端子が前記電源入力端子Vinに接続されたインダクタL1と、
アノードが前記インダクタL1の出力端子に接続され、カソードが前記電源出力端子Voutに接続されたダイオードD1と、
前記インダクタL1の出力端子にボディダイオードのカソード端子が接続され、ボディダイオードのアノード端子が接地されたトランジスタQ1と、を含み、
インダクタ電流が連続モードにあり、且つ、入力電圧が変化し続けている場合に、少ない磁気損失増大を代価としてより多くのスイッチング損失の低減を実現することを原則として、前記トランジスタのスイッチング周波数変化を制御する。
【0121】
一実施例において、前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、インダクタL1の値をLeffとし、前記トランジスタQ1のスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するようにする。好ましくは、前記トランジスタQ1のスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。
【0122】
別の実施例において、前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも大きい場合、前記スイッチング周波数が電圧の増大につれて減少し続け、電圧の減少につれて増大し続けるようにする。好ましくは、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。
【0123】
別の実施例において、前記Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、電源入力電圧が3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの既定の電圧値よりも小さい場合、前記スイッチング周波数が電圧の増大につれて増大し続け、電圧の減少につれて減少し続けるようにする。好ましくは、前記トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにする。
【0124】
一実施例を例として、さらに、本実施例において、インダクタ電流が連続モードにある場合、インダクタの磁気平衡を考慮して、Boost回路のスイッチングデューティ比Dを以下の式(4)で表すことができる。
【数4】
【0125】
リップル電流の大きさIrippleは、次式(5)で表される。
【数5】
【0126】
式(4)で算出されたデューティ比を、式(5)に代入すると、以下の式を得ることが出来る。
【数6】
【0127】
ここで、Vinは電源入力端子VINに入力される入力電圧、Voutは電源出力端子VOUTの出力電圧、LeffはインダクタL1のインダクタンス値、TはトランジスタQ1のスイッチング周期である。
【0128】
以上の計算式によれば、Vin=3Vout/10~7Vout/10の時、リップル電流が放物線の頂点範囲に達し、特にVout/2時に、最大となる。リップル電流は、電源入力端子VINに入力される電圧Vinに応じて変化し、Vin=を中心Vout/2として両側へ徐々に減少し続ける。PFCではVinがVout/2から離れている場合、リップル電流が非常に小さいので、この場合、スイッチング周波数を適度に下げて、リップル電流を適度に増大させてもよい。すなわち、比較的小さい磁気損失の増大を代価として、より多くのスイッチング損失を低減させる。具体的には、トランジスタQ1のスイッチング周波数の適度な変更より実現することができ、例えば、入力電源電圧が徐々に Vout/2まで増大する過程において、トランジスタQ1のスイッチング周波数を一定の速度で徐々に増大させ、入力電源電圧がVout/2に達してから、トランジスタQ1のスイッチング周波数を徐々に減少させてもよい。従来のPFCのCrCM(臨界通電)モードでは、Vinの増大につれてリップル電流Irippleが増大するのに対し、本発明ではトランジスタQ1のスイッチング周波数を能動的に変化させることにより、Irippleが一定又は一定範囲内であることを保証することができる。
【0129】
本発明は、上述したBoost回路を含む電源装置をさらに提案する。
【0130】
前記電源装置は、上述したBoost回路を含む。該Boost回路の詳しい構造は上記実施例を参照でき、ここでは説明を省く。本発明の電源装置では上記Boost回路が使用されるので、本発明の電源装置の実施例は上記Boost回路の全ての実施例の全ての技術案を含み、且つ、達成する技術的効果も完全に同様なので、ここで説明を省く。
【0131】
以上に述べたことは本発明の好ましい実施例にすぎず、それによって本発明の特許の範囲を制限するわけではない。本発明の構想の下で、本発明の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた均等構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本発明の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
Q1up 第1の上部トランジスタ
Q1dn 第1の下部トランジスタ
Q2up 第2の上部トランジスタ
Q2dn 第2の下部トランジスタ
Lm 結合インダクタ
Q1 トランジスタ
L1 インダクタ
D1 ダイオード
VIN 電源入力端子
VOUT 電源出力端子
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期結合Boost回路であって、
電源入力端子及び電源出力端子と、
第1の巻線と第2の巻線とを含み、前記第1の巻線と前記第2の巻線の同極性端子が共通端子として相互接続され、前記共通端子が前記電源入力端子に接続された結合インダクタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子に
ソースが接続され、前記電源出力端子に
ドレインが接続された第1の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子に
ドレインが接続され、
ソースが接地された第1の下部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子に
ソースが接続され、前記電源出力端子に
ドレインが接続された第2の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子に
ドレインが接続され、
ソースが接地された第2の下部トランジスタと、を含み、
前記第1の巻線、第1の上部トランジスタ及び第1の下部トランジスタが第1のBoostブランチ回路として組み合わされ、
前記第2の巻線、第2の上部トランジスタ及び第2の下部トランジスタが第2のBoostブランチ回路として組み合わされ、
第1のBoostブランチ回路と第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作し、
2つの動作方式のうちの少なくとも1つの動作方式が存在し、
第1の動作方式において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第2の上部トランジスタのソースからドレインへ流れる際に、前記第1の上部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第1の上部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御し、
第1の動作方式において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第1の上部トランジスタのソースからドレインへ流れる際に、前記第2の上部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第2の上部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御し、
第2の動作方式において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第2の下部トランジスタのドレインからソースへ流れ、且つ、前記第2の下部トランジスタがオン状態を維持する際に、前記第1の下部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御し、
第2の動作方式において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第1の下部トランジスタのドレインからソースへ流れ、且つ、前記第1の下部トランジスタがオン状態を維持する際に、前記第2の下部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御する
ことを特徴とする同期結合Boost回路。
【請求項2】
前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの
入力電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにし、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの
入力電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項3】
前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が既定の周波数値以上となるようにし、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記スイッチング周波数が前記既定の周波数値以上となるようにする
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項4】
前記結合インダクタは、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3の巻線をさらに含み、前記第3の巻線は、同極性端子が前記電源入力端子に接続され、逆極性端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項5】
前記同期結合Boost回路は、前記電源入力端子と前記共通端子との間に挿入された第3のインダクタをさらに含み、前記第3のインダクタは、入力端子が前記電源入力端子に接続され、出力端子が前記第1の巻線と前記第2の巻線の共通端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項6】
前記同期結合Boost回路の結合インダクタの第1の巻線が第1のインダクタに替えられ、第2の巻線が第2のインダクタに替えられた
ことを特徴とする請求項5に記載の同期結合Boost回路。
【請求項7】
第1の巻線と第2の巻線とは、同じコアにあり、且つ、同じ巻数と同じ巻き方とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項8】
前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせることにより、同じコアに巻設されている
ことを特徴とする請求項7に記載の同期結合Boost回路。
【請求項9】
前記第1の巻線と前記第2の巻線とはいずれも、複数本のワイヤを撚り合わせてなる複数のワイヤパイを有し、前記第1の巻線の複数のワイヤパイと前記第2の巻線の複数のワイヤパイとが交互に同じコアに巻設されている
ことを特徴とする請求項8に記載の同期結合Boost回路。
【請求項10】
前記結合インダクタの電流が流れる大地帰還回路にサンプリング抵抗器が直列に接続され、
前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項11】
前記第1の下部トランジスタ
のソース及び前記第2の下部トランジスタ
のソースとグランドとの間にサンプリング抵抗器が直列に接続され、
前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項12】
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の下部トランジスタ
のドレインとの間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の下部トランジスタ
のドレインとの間に変流器が直列に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項13】
前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記第1の下部トランジスタ及び前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、最大値が3Vout/10~7Vout/10内にあるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項14】
前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するように制御し、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、3Vout/10~7Vout/10のうちのいずれかの値を中心として両側へ徐々に減少するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項15】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第1の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第1の上部トランジスタが第2の上部トランジスタよりも先にターンオフするように制御し、前記第1の上部トランジスタがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第1の下部トランジスタがターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作を開始する前であって、前記第2の上部トランジスタの電流が負である時に、前記第2の上部トランジスタが第1の上部トランジスタよりも先にターンオフするように制御し、前記第2の上部トランジスタがターンオフしてから1つのデッドタイムの後に、前記第2の下部トランジスタがターンオンするように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項16】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオンしてから前記第2の下部トランジスタがターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオンしてから前記第1の下部トランジスタがターンオンするように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項17】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタが既定期間動作してから、第2の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタが既定期間動作してから、第1の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御する
ことを特徴とする請求項
1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項18】
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第1の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第1の上部トランジスタが前記第2の上部トランジスタより先にターンオンするように制御し、
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタがターンオフしてから、前記第2の上部トランジスタが前記第1の上部トランジスタより先にターンオンするように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項19】
前記第1のBoostブランチ回路と前記第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作するように制御する場合、1つの制御周期の前半周期において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、
第1の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオフし、
第2の時刻において、前記第1の下部トランジスタがターンオンし、
第3の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオフし、
第4の時刻において、前記第1の下部トランジスタがターンオフし、
第5の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオンし、
第6の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオンする動作シーケンスであり、
1つの制御周期の後半周期において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として機能し、トランジスタの動作シーケンスは、
第7の時刻において、前記第2の上部トランジスタがターンオフし、
第8の時刻において、前記第2の下部トランジスタがターンオンし、
第9の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオフし、
第10の時刻において、前記第2の下部トランジスタがターンオフし、
第11の時刻において、前記第2の上部トランジスタはターンオンし、
第12の時刻において、前記第1の上部トランジスタがターンオンする動作シーケンスである
ことを特徴とする請求項1に記載の同期結合Boost回路。
【請求項20】
請求項1から
19の何れか一項に記載の同期結合Boost回路を含む
ことを特徴とする電源装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
Boost回路は、パワーエレクトロニクス技術の分野で広く使用されている最もシンプルな昇圧式コンバータ回路である。従来の高電圧Boost回路は高効率のために、Qrr(逆回復電荷)が比較的小さいデバイスを用いて整流を行うのが一般的であった。SiCダイオードや超高速回復ダイオードのように整流するだけであってもよく、また、GaN FET又はSiC FETのように同期且つ整流であってもよい。一般的なSiトランジスタはQrrが非常に大きいため、通常はSi MOSFETを直接用いて同期整流することはない。従来の高電圧Boost回路には、整流ダイオードの電圧降下損失問題、整流トランジスタボディダイオードのQrr損失問題、インダクタ電流の不連続時にインダクタと寄生容量の共振によるPF(パワー因子)及びTHD(高調波因子)が悪くなる問題、及び下ブリッジトランジスタのターンオン損失問題が存在する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明は同期結合Boost回路を提案し、前記同期結合Boost回路は、
電源入力端子及び電源出力端子と、
第1の巻線と第2の巻線とを含み、前記第1の巻線と前記第2の巻線の同極性端子が共通端子として相互接続され、前記共通端子が前記電源入力端子に接続された結合インダクタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子にソースが接続され、前記電源出力端子にドレインが接続された第1の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子にドレインが接続され、ソースが接地された第1の下部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子にソースが接続され、前記電源出力端子にドレインが接続された第2の上部トランジスタと、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子にドレインが接続され、ソースが接地された第2の下部トランジスタと、を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
前記第1の巻線、第1の上部トランジスタ及び第1の下部トランジスタが第1のBoostブランチ回路として組み合わされ、
前記第2の巻線、第2の上部トランジスタ及び第2の下部トランジスタが第2のBoostブランチ回路として組み合わされ、
第1のBoostブランチ回路と第2のBoostブランチ回路とが交互にメインパワー回路として動作し、
好ましくは、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第2の上部トランジスタのソースからドレインへ流れる際に、前記第1の上部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第1の上部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御し、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第1の上部トランジスタのソースからドレインへ流れる際に、前記第2の上部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第2の上部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
好ましくは、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第2の下部トランジスタのドレインからソースへ流れ、且つ、前記第2の下部トランジスタがオン状態を維持する際に、前記第1の下部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御し、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第1の下部トランジスタのドレインからソースへ流れ、且つ、前記第1の下部トランジスタがオン状態を維持する際に、前記第2の下部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
好ましくは、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの入力電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにし、
前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの入力電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
好ましくは、前記第1の下部トランジスタのソース及び前記第2の下部トランジスタのソースとグランドとの間にサンプリング抵抗器が直列に接続され、
前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
好ましくは、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の下部トランジスタのドレインとの間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の下部トランジスタのドレインとの間に変流器が直列に接続されている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
好ましくは、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の上部トランジスタのソースとの間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の上部トランジスタのソースとの間に変流器が直列に接続されている。
好ましくは、前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記第1の下部トランジスタ及び前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、最大値が3Vout/10~7Vout/10内にあるように制御する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本発明は、Boost回路を提案し、前記Boost回路は、
電源入力端子及び電源出力端子と、
入力端子が前記電源入力端子に接続されたインダクタと、
アノード端子が前記インダクタの出力端子に接続され、カソード端子が前記電源出力端子に接続されたダイオードと、
前記インダクタの出力端子にドレインが接続され、ソースが接地されたトランジスタと、を含み、
インダクタ電流が連続モードにあり、且つ、入力電圧が変化し続けている場合に、少ない磁気損失増大を代価としてより多くのスイッチング損失の低減を実現することを原則として、前記トランジスタのスイッチング周波数変化を制御する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
図1から
図4を参照し、本発明の一実施例において、該同期結合Boost回路は、
電源入力端子VIN及び電源出力端子VOUTと、
第1の巻線と第2の巻線とを含み、前記第1の巻線と前記第2の巻線の同極性端子が共通端子として相互接続されている結合インダクタLmと、
前記結合インダクタLmの第1の巻線の逆極性端子に
ソースが接続され、前記電源出力端子VOUTに
ドレインが接続された第1の上部トランジスタQ
1upと、
前記結合インダクタLmの第1の巻線の逆極性端子に
ドレインが接続され、
ソースが接地された第1の下部トランジスタQ
1dnと、
前記結合インダクタLmの第2の巻線の逆極性端子に
ソースが接続され、前記電源出力端子VOUTに
ドレインが接続された第2の上部トランジスタQ
2upと、
前記結合インダクタLmの第2の巻線の逆極性端子に
ドレインが接続され、
ソースが接地された第2の下部トランジスタQ
2dnと、を含む。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
ここで、第1の下部トランジスタQ1dnと第2の下部トランジスタQ2dnとは、IGBT、MOSFET、SiC FET等のボディダイオードを有するトランジスタ又はGaN FETを用いて実現することができ、第1の上部トランジスタQ1upと第2の上部トランジスタQ2upとは、MOSFET、SiC FET等のボディダイオードを有するトランジスタ又はGaN FETを用いて実現することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
一実施例において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第2の上部トランジスタのソースからドレインへ流れる際に、前記第1の上部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第1の上部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御する。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
一実施例において、前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第1の上部トランジスタのソースからドレインへ流れる際に、前記第2の上部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第2の上部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
一実施例において、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの入力電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする。同様に、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を制御する場合、前記結合インダクタの入力電流のリップル電流降下値の変動範囲が50%を超えないようにする。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
一実例において、前記同期結合Boost回路の結合インダクタの第1の巻線は第1のインダクタに替えられ、第2の巻線は第2のインダクタに替えられ、前記第3のインダクタの入力端子は前記電源入力端子に接続され、前記第3のインダクタの出力端子は前記第1のインダクタ及び前記第2のインダクタの入力端子に接続され、前記第1のインダクタの出力端子は第1の上部トランジスタ
のソースに接続され、前記第2のインダクタの出力端子は第2の上部トランジスタ
のソースに接続されている。本実例において、
図4におけるLeffは第3のインダクタのインダクタンス値であり、Lk1、Lk2は、それぞれ、第1のインダクタと第2のインダクタのインダクタンス値である。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
一実施例において、前記第1の下部トランジスタのソース及び前記第2の下部トランジスタのソースとグランドとの間にサンプリング抵抗器が直列に接続され、前記同期結合Boost回路は、サンプリング抵抗器の電圧を差動方式で増幅するオペアンプをさらに含み、前記オペアンプのユニティゲイン帯域は20MHz以上である。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
一実施例において、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の下部トランジスタのドレインとの間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の下部トランジスタのドレインとの間に変流器が直列に接続されている。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
好ましくは、さらに、前記結合インダクタの第1の巻線の逆極性端子と前記第1の上部トランジスタのソースとの間に変流器が直列に接続され、
前記結合インダクタの第2の巻線の逆極性端子と前記第2の上部トランジスタのソースとの間に変流器が直列に接続されている。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
本実例において、変流器を用いて結合インダクタの各巻線又は全体の電流値を取得し、変流器を使用するとかさばるが、1次側と2次側との分離及びより速い周波数応答が可能になる。
図1から図5を参照し、一実施例において、前記同期結合Boost回路の電源入力電圧をVinとし、電源出力電圧をVoutとし、前記第1の下部トランジスタ及び前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数を、前記スイッチング周波数が電源入力電圧Vinに追従して変化し、最大値が3Vout/10~7Vout/10内にあるように制御する。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作する場合、前記第2の下部トランジスタが既定期間動作してから、第1の下部トランジスタ以後にターンオフするように制御する。第2の下部トランジスタが第1の下部トランジスタ以後にターンオフすることにより、メイン電流が第2の下部トランジスタを流れることを保証し、その後、第2の下部トランジスタがターンオフし、第2の上部トランジスタがターンオンした後、第1の上部トランジスタには限られた電流しか流れない。
図1から図5を参照し、一実施例において、前記第2のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第2の下部トランジスタのドレインからソースへ流れ、且つ、前記第2の下部トランジスタがオン状態を維持する際に、前記第1の下部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第1の下部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御する。
前記第1のBoostブランチ回路がメインパワー回路として動作し、メイン電流が前記第1の下部トランジスタのドレインからソースへ流れ、且つ、前記第1の下部トランジスタがオン状態を維持する際に、前記第2の下部トランジスタの電流が導通直後のソースからドレインへの流動から、ターンオフ前の瞬間のドレインからソースへの流動となるように、前記第2の下部トランジスタのスイッチング周波数及びターンオンを制御する。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
第6の時刻t6において、VB点の電圧も最終的にVoutを超え、第2の上部トランジスタQ2upボディダイオードが導通し、この時点で、第2の上部トランジスタQ2upがソフトターンオンする。第2の上部トランジスタQ
2up
を流れるのは主に漏れインダクタンスとVB点寄生容量の共振電流であり、その数値はVout、漏れインダクタンス値、寄生容量の容量値に依存し、メイン電流に比べて非常に小さい。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
第2の上部トランジスタQ2upがソフトターンオンしてから第2の上部トランジスタQ2upがターンオフするまでの間(第6の時刻t6~第7の時刻t7)、電源入力端子VINに入力される電圧Vinが電源出力端子VOUTの電圧Voutよりも小さいので、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2の値が同じ又は基本的に同じである場合、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2における電流はともに同じ又は基本的に同じ速度で減少する。漏れインダクタンスLk2と第2の上部トランジスタQ2upとがあるパスの初期電流(主に共振電流)が比較的小さいため、第2のBoostブランチ回路上の電流I2は徐々に負の値になり、この負の電流はさらに、次の段階の第2の下部トランジスタQ2dnのソフトターンオンのために用いられる。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
第12の時刻t12において、VA点の電圧も最終的にVoutを超え、第1の上部トランジスタQ1upボディダイオードが導通し、この時点で、第1の上部トランジスタQ1upがソフトターンオンする。第1の上部トランジスタQ
1up
を流れるのは主に漏れインダクタンスとVA点寄生容量の共振電流であり、その数値はVout、漏れインダクタンス値、寄生容量の容量値に依存し、メイン電流に比べて非常に小さい。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
第1の上部トランジスタQ1upがソフトターンオンしてから第1の上部トランジスタQ1upがターンオフするまでの間(第12の時刻t12~第1の時刻t1)、電源入力端子VINに入力される電圧Vinが電源出力端子VOUTの電圧Voutよりも小さいので、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2の値が概ね同じである場合、漏れインダクタンスLk1と漏れインダクタンスLk2における電流はともに概ね同じ速度で減少する。漏れインダクタンスLk1と第1の上部トランジスタQ1upとがあるパスの初期電流(主に共振電流)が比較的小さいため、第1のBoostブランチ回路上の電流I1は徐々に負の値になり、この負の電流はさらに、次の段階の第1の下部トランジスタQ1dnのソフトターンオンのために用いられる。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0116
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0116】
第1の上部トランジスタQ1up、第2の上部トランジスタQ2upとしてQrrの非常に小さいトランジスタ(GaN FET又はSiC FETを含むがこれらに限定されない)を用いると、第1の上部トランジスタQ1up、第2の上部トランジスタQ2upが同時にターンオン/ターンオフし、第1の下部トランジスタQ1dn、第2の下部トランジスタQ2dnも同時にターンオン/ターンオフし、その動作モードは2つの従来のBoost回路を並列接続したようなものである。このモードでは、結合インダクタLmのコイルが完全に利用され、インダクタの抵抗損失の低減効果が得られる。従来のBoost回路と比べて、このモードの違いは、第1の下部トランジスタQ1dn、第2の下部トランジスタQ2dnが漏れインダクタンスにより分離され、ターンオン時にトランジスタが独立してターンオンし、第1の下部トランジスタQ1dn、第2の下部トランジスタQ2dnが並列して発振することがないことにある。また、第1の上部トランジスタQ1upと第2の上部トランジスタQ2upも漏れインダクタンスにより分離されて使用され、並列発振は発生しない。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
本発明は、Boost回路を提案し、
図6を参照し、該Boost回路は、
電源入力端子VIN及び電源出力端子VOUTと、
入力端子が前記電源入力端子Vinに接続されたインダクタL1と、
アノードが前記インダクタL1の出力端子に接続され、カソードが前記電源出力端子Voutに接続されたダイオードD1と、
前記インダクタL1の出力端子に
ドレインが接続され、
ソースが接地されたトランジスタQ1と、を含み、
インダクタ電流が連続モードにあり、且つ、入力電圧が変化し続けている場合に、少ない磁気損失増大を代価としてより多くのスイッチング損失の低減を実現することを原則として、前記トランジスタのスイッチング周波数変化を制御する。
【国際調査報告】