(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】圧縮機組立体
(51)【国際特許分類】
F04C 23/00 20060101AFI20240719BHJP
F04C 23/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F04C23/00 F
F04C23/02 D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024508474
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022069934
(87)【国際公開番号】W WO2023016751
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】スワーツ トーマス ルク
(72)【発明者】
【氏名】デ フロー トム ライモント ヨーゼフ ヘンドリク
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA01
3H129AA18
3H129AA24
3H129AB11
3H129BB31
3H129CC02
3H129CC07
3H129CC08
3H129CC09
3H129CC16
3H129CC17
(57)【要約】
圧縮機組立体(1)は、圧縮機要素(3)の少なくとも1つの圧縮機ロータ(5、6)並びにオイルポンプ(18、63)を駆動するモータシャフト(7)を有するモータ(2)を備え、圧縮機ロータ(6)は、圧縮機ロータ部分(35)を備え、圧縮機ロータ部分(35)は、組立駆動シャフト(45)を形成するように、直接連結器(40)によってモータシャフト(7)に結合された圧縮機ロータシャフト(33)に取り付けられ、オイルポンプ(18)は、組立駆動シャフト(45)上に、又は別の圧縮機ロータシャフト(32)上に直接取り付けられている。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機組立体(1)であって、前記圧縮機組立体(1)は、圧縮機要素(3)の少なくとも1つの圧縮機ロータ(5、6)並びに前記圧縮機組立体(1)のオイル循環システム(20)を通してオイル(53)をポンプ送給するためのオイルポンプ(18、63)を駆動するモータシャフト(7)を有するモータ(2)を備え、
前記少なくとも1つの圧縮機ロータ(6)は、圧縮機ロータ部分(35)を備え、前記圧縮機ロータ部分(35)は、圧縮機ロータシャフト(33)に取り付けられ、前記圧縮機ロータシャフト(33)は、組立駆動シャフト(45)を形成するように、直接連結器(40)によって前記モータシャフト(7)に連結され、前記オイルポンプ(18)は、前記組立駆動シャフト(45)上に又は前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)の別の圧縮機ロータシャフト(32)上に直接取り付けられていることを特徴とする、圧縮機組立体(1)。
【請求項2】
前記オイルポンプ(18)は、一体構造の非中空シャフト(73)又はシャフト(7、32、33)の一体構造の非中空部分(88)に取り付けられている、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項3】
前記オイルポンプ(18)は、前記モータシャフト(7)が前記直接連結器(40)によって前記圧縮機要素(3)の関連する前記圧縮機ロータシャフト(33)に結合される駆動側(9)とは反対側である、前記モータ(2)又は前記圧縮機要素(3)の非駆動側(51、52)に取り付けられている、請求項2に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項4】
前記オイルポンプ(18)は、ジロータポンプ(63)である、請求項2又は3に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項5】
前記直接連結器(40)は、可撓性連結器(46)である、請求項1から4の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項6】
前記モータシャフト(7)と前記圧縮機ロータシャフト(33)との間の前記直接連結器(40)は、剛性連結器(57)である、請求項1から5の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項7】
前記モータシャフト(7)と前記圧縮機ロータシャフト(33)との間の前記剛性連結器(57)は、剛性圧入連結器である又は剛性熱収縮連結器である、請求項6に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項8】
前記モータシャフト(7)と前記圧縮機ロータシャフト(33)との間に前記剛性直接連結器(57)を形成するために、前記モータシャフト(7)及び前記圧縮機ロータシャフト(33)の一方は、軸方向に延びる経路(70)を中央に備える中空シャフト(69)として実施され、前記経路(70)は、前記中空シャフト(69)を貫通して延び、前記中空シャフト(69)の軸方向に延びる前記経路(70)内には、接続スタッド(71)が設けられており、前記接続スタッド(71)は、第1の端部(72)で、中空シャフトではない、又は非中空シャフト(73)として実施される前記モータシャフト(7)及び前記圧縮機ロータシャフト(33)の他方の中に延び、前記接続スタッド(71)は、前記第1の端部(72)で前記非中空シャフト(73)に固定的に結合されており、前記接続スタッド(71)の反対側の第2の端部(76)には、前記中空シャフト(69)に関して前記接続スタッド(71)に張力を加えるための張力手段(77)が設けられている、請求項6又は7に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項9】
前記非中空シャフト(73)は、前記接続スタッド(71)の前記第1の端部(72)を受け入れるための雌ねじ付き穴(74)を備え、前記接続スタッド(71)の前記第1の端部(72)は、前記非中空シャフト(73)の前記雌ねじ(74)と協働することができる雄ねじ(75)を備える、請求項8に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項10】
前記接続スタッド(71)の前記第2の端部(76)は、雄ねじ(78)を備え、前記雄ねじ(78)は、前記中空シャフト(69)に対して力を加えて前記接続スタッド(71)を締め付けるために、雌ねじ(80)を有するナット(79)と協働することができる、請求項8又は9に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項11】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)の前記圧縮機ロータ(5、6)は、各々が圧縮機ロータシャフト(32、33)に取り付けられる圧縮機ロータ部分(34、35)を備え、前記圧縮機ロータシャフト(32、33)の各々は、一対の軸受(36-39)によって支持されている、請求項1から10の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項12】
前記モータシャフト(7)は、単一の軸受(58)によって、又は前記モータシャフト(7)が前記直接連結器(40)によって直接結合されている前記圧縮機ロータシャフト(33)の前記一対の軸受(38、39)によってのみ支持されている、請求項1から11の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項13】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)は、オイルフリー又はオイルレス圧縮機(3)である、請求項1から12の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項14】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)は、ダブルロータ圧縮機要素(3)である、請求項1から13の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項15】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)は、ツース又はスクリュー圧縮機要素(3)である、請求項1から14の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項16】
前記圧縮機組立体(1)の前記モータ(2)は、モータハウジング(24)内に挿入されるモータステータ(26)と、前記モータステータ(26)を貫通して延びる前記モータシャフト(7)上に取り付けられるモータロータ(25)と、を備える電気モータ(2)である、請求項1から15の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項17】
前記圧縮機組立体(1)は、少なくとも第1の圧縮機段(60)と第2の圧縮機段(61)とを備える多段圧縮機組立体(59)であり、前記圧縮機段(60、61)の各々は、請求項1から16の1又は2以上の圧縮機組立体(1)で形成され、前記圧縮機段(60、61)の各々は、モータシャフト(7)を有するモータ(2)、及び圧縮機要素(3)並びにオイルポンプ(18)を備え、前記モータシャフト(7)によって前記圧縮機要素(3)及び前記オイルポンプ(18)の両方が駆動され、前記モータシャフト(7)は、組立駆動シャフト(45)を形成するように、直接連結器(40)によって関連する前記圧縮機要素(3)のロータシャフト(33)に結合され、前記オイルポンプ(18)は、前記組立駆動シャフト(45)上に、又は、前記圧縮機段(60、61)の関連する前記圧縮機要素(3)の別のロータシャフト(32)上に直接取り付けられ、前記圧縮機段(60、61)の各々は、前記圧縮機段(60、61)の関連する前記オイルポンプ(18)を含む別個のオイル循環システム(20)を備え、オイル(53)が前記多段圧縮機組立体(59)の異なる前記圧縮機段(60、61)の前記オイル循環システム(20)の間で交換されないようになっている、請求項1から16の1又は2以上に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項18】
前記多段圧縮機組立体(59)の前記圧縮機段(60、61)の各々の前記モータシャフト(7)は、単一の軸受(58)によって支持されている、請求項17に記載の圧縮機組立体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機要素の少なくとも1つの圧縮機ロータを駆動するモータシャフトを有するモータを含む圧縮機組立体に関する。
【0002】
モータは、典型的には電気モータであるが、内燃機関とすることもでき、もしくは、原理的には、何らかの他のタイプの回転駆動装置又は作動装置又は回転運動を発生させるための装置の組み合わせとすることができる。
【0003】
圧縮機組立体の圧縮機要素は、流体、典型的には空気又は酸素、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム又は水素のような別のガスのようなガス状流体を圧縮又は加圧することを目的としている。しかしながら、圧縮機が、水蒸気などのようなより密度の高い流体を圧縮又は加圧するために使用されることは本発明から除外されない。
【0004】
本発明は、圧縮機要素がオイルフリー又はオイルレス圧縮機要素である圧縮機組立体に特に関連するものであり、これは、潤滑用オイルが圧縮機ロータ自体の間に注入されないことを意味する。
【0005】
オイルフリー圧縮機要素は、オイルが全く使用されない圧縮機要素ではなく、一般に潤滑又は冷却目的でオイル循環システムを備える。オイルによる潤滑又は冷却を必要とする圧縮機組立体の要素又は構成要素には、一般に、圧縮機組立体のタイミングギア又は圧縮機とモータとの間の歯車動力伝達装置の歯車などの歯車;圧縮機出口;圧縮機要素シャフト又は圧縮機ロータシャフト軸受;モータシャフト軸受などが含まれる。
【0006】
オイルフリー又はオイルレス圧縮機要素を使用する理由は、圧縮機要素内で加圧又は圧縮される流体が、オイルを含まない又はオイルによって汚染されない状態に保たれるからである。これは例えば、食品加工用途などで非常に重要である。
【0007】
圧縮機要素で流体を圧縮又は加圧するために、様々な技術を使用することができる。本発明は、圧縮機組立体に関し、圧縮機要素は、回転運動のためにモータによって駆動される圧縮機ロータを有する回転圧縮機要素である。
【0008】
本発明は、特に、潤滑剤及び/又は冷却剤としてオイルを使用するオイルフリーのダブルロータ圧縮機要素を含む圧縮機組立体に関するが、本発明はこの実施例に限定されない。ダブルロータ圧縮機要素は、例えば、スクリュー圧縮機要素又はツース圧縮機要素とすることができる。
【0009】
それにもかかわらず、本発明は、オイルフリー又はオイルレス圧縮機要素を備える圧縮機組立体に限定されず、例えば、オイル注入圧縮機要素を備える圧縮機組立体も本発明から除外されない。
【0010】
また、本発明は、回転圧縮機要素を備える圧縮機組立体に限定されるものではなく、他のタイプの圧縮機要素を使用することもできる。
【0011】
別の観点からは、本発明は、圧縮機組立体の上述のオイル循環回路を通してオイルをポンプ送給するためのオイルポンプを備える圧縮機組立体、及び圧縮機組立体のこのオイルポンプに関して可能性のある改良にも関する。このようなオイルポンプは、典型的には、オイルリザーバ又はオイルサンプから圧縮機組立体の構成要素にオイルをポンプ送給し、オイルリザーバ又はオイルサンプに戻すために使用される。
【0012】
さらに、本発明は、モータシャフトが、関連する圧縮機要素の圧縮機ロータのロータシャフトに連結される技術に関する。
【背景技術】
【0013】
一般的な従来の圧縮機組立体では、圧縮機組立体のモータは、中間ギアボックス又はギア動力伝達装置を介して間接的に圧縮機組立体の圧縮機要素の圧縮機ロータシャフトを駆動している。モータシャフト及び圧縮機ロータシャフトに固定的に取り付けられた各歯車は、互いに直接的に、又はモータシャフト及び圧縮機ロータシャフト上の関連する各歯車と噛み合う他の歯車を介して相互作用する。
【0014】
通常、モータシャフトは、圧縮機要素の雄型圧縮機ロータのロータシャフトを駆動しているが、必ずしもそうとは限らない。
【0015】
中間ギア動力伝達装置又はギアボックスは、圧縮機ロータシャフトを間接的に非常に高速で駆動することを可能にするが、モータシャフトは低い中程度のモータ速度で回転している。
【0016】
中間ギア動力伝達装置又はギアボックスは、同じモータによって複数の段、すなわち複数の圧縮機要素を間接的に駆動するために使用することもできる。また、オイルポンプのロータなどの圧縮機組立体の他の回転構成要素は、このようなギア動力伝達装置又はギアボックスの介在によって、同じモータによって間接的に駆動することもできる。
【0017】
モータシャフトと圧縮機ロータシャフトを相互連結するために中間ギア動力伝達装置又はギアボックスを使用することの明らかな欠点は、圧縮機組立体が大きなスペースをとることである。詳細には、このような中間ギア動力伝達装置又はギアボックスは、通常、大きなブルギヤを備え、また、周囲のギアボックスは無視できない大きさを有する。これは、圧縮機組立体のコンパクトな設計を困難にする。
【0018】
このような中間ギア動力伝達装置又はギアボックスを適用する別の欠点は、関連する歯車間の摩擦損失などによるエネルギー損失を示唆することであり、これは圧縮機組立体の効率及び全体的な性能に悪影響を及ぼす。
【0019】
説明したように、圧縮機組立体の構成要素の冷却と潤滑のために、通常、オイル循環回路が適用され、オイルポンプによってオイルがポンプ送給される。オイルポンプは多くの場合、電気モータのような駆動手段によって駆動される。
【0020】
既存の圧縮機組立体のさらに別の問題は、オイルポンプの駆動手段が故障した場合、圧縮機組立体が依然としてフル稼働している場合でも、圧縮機組立体の構成要素の冷却及び潤滑が停止することである。オイルポンプ又はその駆動手段の故障時に、制御手段及び圧縮機組立体を停止させるための手段を用いて、このような状況を防ぐための多くの対策を講じることができる。通常、この目的のために電子制御手段が使用される。これ自体はかなり複雑であり、さらに、このようなシステムの設置は実用的とは言い難い。さらに、電子機器は高温及び高圧の条件下ではかなり脆弱である。このような状況は、改善された解決策を必要とする。
【0021】
さらに、オイルポンプとその駆動手段は、圧縮機組立体の近くに設置されるか又は圧縮機組立体のハウジングに取り付けられる。これらの構成要素は同様に大きなスペースをとり、圧縮機組立体のコンパクトな設計を困難にする。
【0022】
従来技術では、多段の圧縮機組立体を形作る異なる圧縮機要素に潤滑及び冷却目的でオイルを供給するために、単一のオイルポンプ及びオイル循環回路を備えた多段圧縮機組立体を提供することも標準的な方法である。
【0023】
しかしながら、このような設計の問題点は、多段圧縮機組立体の1つの圧縮機段で発生したオイルの汚染が、例えばその圧縮機段の特定の構成要素の異常、損耗、又は磨耗に起因して、他の全ての圧縮機段に簡単に伝わり、他の圧縮機段の構成要素に害を及ぼす可能性があることである。要するに、従来技術で知られているこの種の設計では、いわゆる相互汚染の問題が起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、上述の問題の1又は2以上、及び/又は、場合によってはさらに他の問題を解消することである。
【0025】
特に本発明の目的は、現在知られている圧縮機組立体の設計と比較して、よりコンパクトな設計の圧縮機組立体を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、エネルギーの観点からより効率的であり、費用対効果の高い解決策を提供することである。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、圧縮機組立体の動作信頼性及び機能安全性を高めることであり、特に、圧縮機組立体の動作中の潤滑及び冷却機能を効率的かつ信頼性の高い方法で保証することである。
【0028】
また、本発明の目的は、多段圧縮機組立体のよりモジュール的な構成を可能にする圧縮機組立体設計を提供することであり、各「モジュール」又は圧縮機段は、圧縮機組立体の他の「モジュール」又は圧縮機段に実質的に影響を与えない別個のユニットとして機能する。
【0029】
本発明のさらなる目的は、圧縮機組立体を通してオイルをポンプ送給する手段の統合が改善された圧縮機組立体の設計を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
この目的のために、本発明は、圧縮機組立体に関し、圧縮機組立体は、圧縮機要素の少なくとも1つの圧縮機ロータ並びに圧縮機組立体のオイル循環システムを通してオイルをポンプ送給するためのオイルポンプを駆動するモータシャフトを有するモータを備え、上記の少なくとも1つの圧縮機ロータは、組立駆動シャフトを形成するように直接連結器によってモータシャフトに結合されるロータシャフト上に取り付けられ、オイルポンプは、組立駆動シャフト上又は圧縮機組立体の圧縮機要素の別のロータシャフト上に直接取り付けられている。
【0031】
本発明によるこのような圧縮機組立体の第1の大きな利点は、モータシャフトが圧縮機組立体のロータシャフトに直接連結されているため、モータと、モータによって駆動される圧縮機要素とを相互連結するための中間ギア動力伝達装置又はギアボックスが不要であることである。
【0032】
このようにして、非常にコンパクトな圧縮機組立体を得ることができ、多くのスペースが節約される。
【0033】
このような中間ギア動力伝達装置又はギアボックスがないことに関連する追加の利点は、ギア動力伝達装置ではギアホイール間のトルク伝達の間、一定の損失が生じるのに対して、モータシャフトから結合された圧縮機ロータシャフトへのトルク伝達のためのエネルギー損失がないことである。結果として、本発明によるこのような圧縮機組立体は、よりエネルギー効率が高く、全体的に高い性能を有する。
【0034】
本発明による圧縮機組立体の別の重要かつ非常に有利な態様は、オイルポンプが、直接連結器によって直接相互連結され、その組み合わせが組立駆動シャフトを形成するモータシャフトとロータシャフトの組み合わせに直接取り付けられるか、又は圧縮機組立体の圧縮機要素の別のロータシャフトに取り付けられることである。
【0035】
このような構成の大きな利点は、第1に、オイルポンプが同じモータによって圧縮機要素と一緒に駆動されることである。このことは、モータが故障すると、オイルポンプと同様に圧縮機要素も停止することを意味する。このようにして、オイルポンプが別個の駆動手段によって駆動される場合に起こり得る、圧縮機要素が依然として作動している間にオイルポンプが機能しないという状況は起こらない。
【0036】
別の大きな利点は、オイルポンプが圧縮機組立体のコア、すなわち圧縮機組立体の駆動要素の近く、より具体的には組立駆動シャフト上に又は別のロータシャフト上に完全に統合されることである。オイルポンプが圧縮機組立体の周辺位置に配置されないため、圧縮機組立体の非常にコンパクトな設計が保証される。
【0037】
本発明によるこのような圧縮機組立体のさらに別の利点は、実施例によって本文中に詳細に示されるように、多段圧縮機組立体のよりモジュール的な構成を可能にすることである。
【0038】
本発明によるこのような圧縮機組立体は、より多くの高速駆動装置又はモータ及び軸受が開発されて利用できるようになっている、現代技術のトレンドにもより適合していることを理解されたい。実際、モータシャフトを、中間ギア動力伝達装置なしで圧縮機ロータシャフトに直接連結することは、モータが、圧縮機要素における流体の現実的な圧縮を実現するために必要である所要の高い速度で圧縮機ロータシャフトを駆動することができる場合にのみ意味がある。
【0039】
しかしながら、モータシャフトと圧縮機ロータシャフトとの間の直接連結器の選択は、自明とは言い難く、モータシャフトと圧縮機ロータシャフトとの間の直接連結器は、状況に応じて適切な技術で設計又は構成する必要がある。この設計は、多くの要因によって制約を受ける可能性がある。
【0040】
例えば、大きなトルク脈動は、ツース圧縮機要素だけでなく、他の圧縮機要素でも一般的に発生し、その結果、直接連結器によって伝達される定格トルクに対する厳しい要求が生じる。これは、直接連結器によって伝達される定格ピークトルクと、直接連結器の定格トルクとの間に大きな比率があることを意味する。
【0041】
モータシャフトと圧縮機ロータシャフトとの間の信頼性の高い直接連結器の設計を複雑にするもう1つのパラメータは、圧縮機要素を通る実際の圧縮又は十分に高い圧縮比又は流体流量を実現するために、そのような圧縮機用途で必要とされる高い運転速度である。
【0042】
また、直接連結器が動作する必要がある環境は、その設計に厳しい制約を課す。この環境は、通常、オイルで汚染された高温環境である。
【0043】
さらに、多くの場合、直接連結器によって連結されるモータシャフト及び圧縮機モータシャフトは、異なる材料で製造され、一般に、例えば異なる熱膨張係数のような異なる物理的特性を有する。このことは、検討中の種類の信頼性の高い直接連結器を設計する作業をさらに複雑にする。
【0044】
従って、モータシャフトと圧縮機のロータシャフトとの間に、サービス又はメンテナンスの必要がない寿命の長い直接連結器を実現し設計することは、大きな課題である。
【0045】
圧縮機組立体に直接連結器を使用することを妨げるもう1つの要因は、圧縮機組立体のハウジング内のその位置であり、それはむしろ、モータと圧縮機組立体の圧縮機要素との間の、見通しの悪い、アクセスできない位置である。
【0046】
また、直接連結器の適用は、圧縮機要素の側で可能な修正に制限を持ち込む可能性があり、従って、これはいわゆる「凍結設計(frozen design)」と考えられる。
【0047】
モータシャフトが圧縮機組立体のロータシャフトに直接連結されるだけでなく、同時にオイルポンプが圧縮機組立体に統合され、圧縮機組立体の圧縮機要素と同じモータによって駆動されるため、本発明で提案される構成はさらに困難である。
【0048】
このようなオイルポンプを、圧縮機組立体の組立駆動シャフト又は別のロータシャフトに直接取り付けることは、自明ではない。というのも、これらのシャフトは、圧縮プロセスには適しているが、ポンプ送給プロセスには必ずしも適していない非常に高い回転速度で回転しているからである。
【0049】
このような回転シャフトの中心軸からの距離が大きいほど、そのシャフトに取り付けられた回転要素が受ける局所速度が高くなる。
【0050】
結果として、オイルポンプのロータの半径方向サイズが大きくなると、ロータ先端で受ける速度も大きくなる。しかしながら、ロータ先端及び圧送オイルの速度があるレベル以上に上昇すると、低い周囲圧力(高地など)では、キャビテーションが発生する危険性が高くなる。
【0051】
そのため、オイルポンプの半径方向サイズは、キャビテーションを回避するためにできるだけ小さくする必要がある。他方で、組立駆動シャフト又は別のロータシャフトは、これらのシャフトに加わる高トルク及び速度に対応できるように、少なくとも特定の最小値を超えるサイズ又は直径を有する。これら2つの異なる要件、すなわち、高速条件下でオイルポンプの半径方向サイズをできるだけ小さく保つという要件と、高速条件及びトルク条件に対応できるよう、十分に大きな直径又は半径方向サイズの駆動軸を有するという要件は、明らかに矛盾している。従って、この矛盾する2つの要件の間に適切なバランスを見出すことは、非常に困難である。
【0052】
結論として、モータシャフトを圧縮機ロータシャフトに直接連結するために圧縮機組立体に適用するための信頼性の高い直接連結器を設計すること、及び、オイルポンプが圧縮機組立体の組立駆動シャフト又は別のロータに直接取り付けられることによって圧縮機組立体に統合されることは、実際に実現するのは容易ではないが、多くの利点を有すると言える。
【0053】
本発明による圧縮機組立体の好ましい実施形態では、オイルポンプは、一体構造の非中空シャフト又はシャフトの一体構造の非中空部分に取り付けられている。
【0054】
本発明による圧縮機組立体の特定の実施形態のこの詳細は、一見、どちらかというと恣意的に見えるかもしれないが、本文でさらに明らかになる現実性を根拠としている。
【0055】
実際、モータシャフトと圧縮機ロータ要素の関連するロータシャフトとの間の剛性直接連結器を実現するために、それは同時に、例えば連結部の組立及び分解のために使用するのが実用的であるが、他の理由からも、中空シャフト及びスタッド構成を利用することが好都合である。
【0056】
本発明によれば、このような中空シャフト又はシャフトの中空部分にオイルポンプを取付けることは実際には実現可能ではなく、その理由は、キャビテーションの問題などの上述の理由から、そのようなシャフトの直径が、その直径を超えるオイルポンプのロータを取り付けるために依然として許容されるには大きすぎるためである。
【0057】
本発明による提案は、オイルポンプのロータを、その中心軸から外径まで完全に実体化(materialized)され、非常に高い回転速度での高トルク負荷を受け、さらにオイルポンプのロータを駆動するのに必要な力を受けるのに十分な強度を有するシャフト又はシャフト部分に取り付けることである。中実のオイルポンプシャフトは、より剛で、より強いという利点もある。従って、ポンプ出口圧力の作用荷重下でのオイルポンプシャフトのたわみは小さくなる。ポンプシャフトのたわみを小さくすることで、オイルポンプが損傷する危険性が低くなる。このような完全に実体化されたシャフト又はシャフト部分は、全ての関連する荷重に対処するために十分な強度を有する、小さな寸法で実施することもできる。
【0058】
本発明による圧縮機組立体のこのような実施形態の大きな利点は、結果として、モータシャフトとロータシャフトとの間に剛性直接連結器を実現することができることであり、この直接連結器は、使用上も非常に好都合であり、同時に、オイルポンプは、圧縮機組立体の駆動シャフトに依然として取り付けられるので、圧縮機組立体に完全に徹底的に統合される。
【0059】
本発明による圧縮機組立体の好ましい実施形態では、オイルポンプは、モータシャフトが直接連結器によって圧縮機要素の関連するロータシャフトに連結される駆動側とは反対側である、モータ又は圧縮機要素の非駆動側に取り付けられている。
【0060】
本発明による圧縮機組立体のこのような実施形態の大きな利点は、オイルポンプが圧縮機組立体の外側で、ロータシャフトの自由端又はモータシャフトの自由端のいずれかに設けられることである。このように、オイルポンプは、例えば、メンテナンスのために、オイルラインを接続するために、オイルポンプを組み立てるため又は分解するためになど、容易にアクセスすることができる。
【0061】
本発明による圧縮機組立体のさらに別の好ましい実施形態では、オイルポンプはジロータポンプ(gerotor pump)である。
【0062】
ジロータポンプは、小さな寸法で容易に実施することができ、圧縮機組立体に適用される高い回転速度での使用に適した、非常に単純なポンプである。ジロータポンプの駆動に必要な駆動力又はトルクは、かなり限られる。実際、これは統合型オイルポンプ、特にジロータオイルポンプの主な利点の一つであり、その理由は小さな消費電力で効率的に所定のオイル流量を供給できるからである。また、ジロータポンプのクリアランスは、容積効率を最適化するために非常に小さい。これは、他のタイプのオイルポンプと比較して、ジロータポンプの漏れ率が低いことを意味する。
【0063】
本発明による圧縮機組立体の可能性のある実施形態では、直接連結器は可撓性連結器である。
【0064】
本発明による圧縮機組立体のそのような実施形態は、可撓性連結器が、可撓性直接連結器の減衰要素によって提供される減衰特性を有し、モータシャフトと圧縮機ロータシャフトとの間の連結器によって形成される駆動系に存在するねじり振動を低減する点で好都合である。
【0065】
本発明による圧縮機組立体のこのような実施形態の別の利点は、可撓性直接連結器が比較的容易に組み立てられ設計されることである。実際、可撓性直接連結器は、組立体の公差に関する限り高い要求がなく、圧縮機組立体の構成要素間の可能性のある位置合わせ不良に対応することができる。
【0066】
本発明による圧縮機組立体のこのような実施形態のさらに別の利点は、オイルポンプを圧縮機組立体に容易に統合することができ、モータシャフトの又は圧縮機ロータの一方のいずれかのあらゆる利用可能な非駆動側に組み込むことができることである。
【0067】
本発明による圧縮機組立体の別の可能な実施形態では、モータシャフトとロータシャフトとの間の直接連結器は、剛性直接連結器である。
【0068】
これは、上述したような多くの理由から、圧縮機組立体のモータシャフトと圧縮機ロータシャフトとを直接的に相互連結するための依然として自明でない選択であるかもしれないが、圧縮機組立体の駆動系をさらにコンパクトにすることを可能にする。
【0069】
まず第1に、比較的大きな可撓性連結器はもう必要ない。さらに、駆動系に可撓性直接連結器の代わりに剛性直接連結器を使用することで、圧縮機組立体の他の構成要素を省くことができる。この場合、例えば、駆動側のモータ軸受、この軸受に関連するオイル潤滑流路、及び関連するシーリングを除去することができる。
【0070】
実際、剛性直接連結器が使用される場合、剛性直接連結器によって圧縮機シャフトに直接連結されたモータシャフトの組み合わせは、単一の組立駆動シャフトと考えることができる。この組立駆動シャフトは、一方では、組立駆動シャフトのロータシャフト側を支持するための一対のロータシャフト軸受によって、他方では、組立駆動シャフトのモータシャフト部分を支持するために、モータの非駆動側に設けられた単一のモータシャフト軸受によって、圧縮機組立体ハウジング内で十分に回転可能に支持される。
【0071】
さらに別の実施形態では、モータの垂下設計(hanging design)が得られるように、モータシャフトを支持するために軸受を全く使用しないことも考えられる。
【0072】
本発明による圧縮機組立体の好ましい実施形態では、モータシャフトとロータシャフトとの間の剛性直接連結器は、剛性圧入連結器である又は剛性熱収縮連結器である。本発明による圧縮機組立体のさらに別の実施形態では、モータシャフトとロータシャフトとの間の剛性直接連結器は、締まり嵌め連結器、プレス嵌め連結器、又は摩擦嵌め連結器である。
【0073】
本発明による圧縮機組立体のこのような実施形態の大きな利点は、モータシャフトを圧縮機ロータシャフトに圧入又は熱収縮させて、剛性連結器を形成できることである。これらの製造方法は、非常に効率的であり、比較的容易に実行でき、費用効果が高い。
【0074】
本発明による圧縮機組立体のさらに別の好ましい態様は、モータシャフトとロータシャフトとの間に剛性直接連結器を形成するために、好ましくは、モータシャフト及びロータシャフトの一方は、軸方向に延びる経路を中央に備える中空シャフトとして実施され、この経路は、中空シャフトを貫通して延び、中空シャフトの軸方向に延びる経路内には、接続スタッドが設けられており、接続スタッドは、第1の端部で、中空シャフトとして実施されない、モータシャフト及びロータシャフトの他方の中に延び、接続スタッドは、第1の端部で非中空シャフトに固定的に結合されており、接続スタッドの反対側の第2の端部には、中空シャフトに関してスタッドに張力を加えるための張力手段が設けられている。
【0075】
本発明による圧縮機組立体のこのような実施形態の大きな利点は、モータシャフトと関連する圧縮機ロータシャフトとが、接続スタッドによってシャフト端面を互いに軸方向又は円錐クランプによって、剛性的に連結されることである。張力手段は、モータシャフトと圧縮機ロータシャフトの端面を互いに押し付ける軸方向の力を与え、両端面の間にクランプ力を発生させる。
【0076】
その結果、モータシャフトと圧縮機ロータシャフトの強固な相互連結が得られ、エネルギー損失なしにこれらのシャフト間でトルクが伝達される。
【0077】
軸方向のクランプ力を発生させるために接続スタッドが使用される、剛性直接連結器によるこのような相互連結の別の利点は、連結器を、事例によってはモータシャフト又は圧縮機ロータシャフトである、関連する中空シャフトの非駆動側から締結すること又は緩めることができることである。このように、圧縮機組立体のハウジング全体を開放することなく、分解を開始することができる。
【0078】
また、剛性連結器を実現するために半径方向プレス嵌めが適用される場合、接続スタッドは、剛性直接連結器を簡単に分解するために必要になることがある。
【0079】
実際、半径方向プレス嵌め(又は焼き嵌め)を剛性連結器に使用する場合、外側シャフトを加熱して内側シャフト上に持っていく。剛性連結器は、外側シャフトを冷却して収縮させた後に得られる。
【0080】
このようなプレス嵌め又は焼き嵌めの剛性連結器を分解する必要がある場合、通常、相互に連結された2つのシャフトの間に圧力下のオイルが施される。さらに、取り去られるシャフトは同時に引張力を受け、この力は、他方のシャフト上に押し込み力を加えることによって生じる。この他方のシャフト上の押し込み力は、上述した構成の接続スタッドによって、実用的な方法で実現することができる。
【0081】
本発明による圧縮機組立体の好ましい実施形態では、連結器上の適切なトルク伝達を保証し、剛性直接連結器を適切に機能させるために必要なクランプ力は、モータシャフトと圧縮機ロータシャフトの各端面の間の摩擦シム(friction shims)又はいわゆるハースカップリング(Hirth coupling)又はセレーション(serration)を用いて低減される。
【0082】
摩擦シムは、関連するシャフトの各端面の間の摩擦を増大させるので、このような摩擦シムが使用されず、端面の摩擦が増大しない場合に必要とされる軸方向のクランプ力と比較して、より小さな軸方向のクランプ力によって、これらの端面の間の回転運動を防止することができる。もちろん、その目的は、所定の加えられた軸方向クランプ力の下で、シャフトの端面間のスリップなしで一方のシャフトから他方のシャフトにトルクを伝達することである。
【0083】
実際、互いに接触している平面は、平面に対して接線方向又は平行方向に向けられた少なくとも最小限の力を作用させることによって、互いに対して移動させることができることが知られている。必要な接線方向最小力は、表面を互いに押し付けるために加えられる垂直力に依存する(比例する)。加えられた同じ垂直力に関して、この必要な接線方向力は、表面間の摩擦が低い場合は、表面間の摩擦が高い場合に比べ低いことになる。
【0084】
このような摩擦シムを適用することで、接続スタッドのサイズ又は直径を小さくすることもできる。
【0085】
ハースカップリング又はセレーションが使用される場合、トルク伝達中にロータシャフト及びモータシャフトの各端面の間でスリップが発生する大きな危険がないか又は危険が全くなく、その理由は、そのような連結器又はセレーションが、シャフトの機械的噛み合いから一緒にされる場合に相補的である、それぞれの端面に設けられた歯を備えるからである。
【0086】
本発明は、図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】従来技術による圧縮機組立体の実施形態を示す概略図である。
【
図2】従来技術による圧縮機組立体の実施形態を示す概略図である。
【
図3】
図1及び
図2と同じような方法で、本発明による可撓性直接連結器を備える圧縮機組立体の実施形態を示す。
【
図4】
図1及び
図2と同じような方法で、本発明による剛性直接連結器を備える圧縮機組立体の実施形態を示す。
【
図5】2つの
図4に示された圧縮機組立体で形成された2段圧縮機組立体の概略図である。
【
図7】
図4に示された実施形態の好ましい代替例である本発明による圧縮機組立体の実施形態を示す。
【
図8】
図7のF08で示される部品をより大きなスケールで詳細に示す。
【
図9】
図7のF09で示される部品をより大きなスケールで詳細に示す
【
図10】
図9と同様に、ロータシャフト及びモータシャフトの端面における代替的な相互連結のための関連部品をより大きなスケールで示す。
【
図11】
図9と同様に、ロータシャフト及びモータシャフトの端面における代替的な相互連結のための関連部品をより大きなスケールで示す。
【
図12】
図10のF12で示される部品を斜視図で拡大して示す。
【
図13】
図11のF13で示される部品を正面図で拡大して示す。
【
図14】本発明による圧縮機組立体のさらに他の実施形態を示し、これは
図7に示される実施形態の代替例である。
【
図15】本発明による圧縮機組立体のさらに他の実施形態を示し、これは
図7に示される実施形態の代替例である。
【
図16】本発明による圧縮機組立体のさらに他の実施形態を示し、これは
図7に示される実施形態の代替例である。
【
図17】本発明による圧縮機組立体のさらに他の実施形態を示し、これは
図7に示される実施形態の代替例である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図1は、従来技術による圧縮機組立体1を示す。圧縮機組立体1は、圧縮機要素3を駆動するモータ2を備える。圧縮機組立体1は、モータ2と圧縮機要素3を相互連結するために、モータ2と圧縮機要素3との間に配置される中間歯車動力伝達装置4を備える。
【0089】
冒頭で説明したように、このような構成の大きな利点は、モータ2の回転速度を比較的低く保つことができることである。この比較的低い回転速度は、圧縮機要素3の圧縮機ロータ5及び6の駆動に必要な中間歯車伝動装置4によって、より高い回転速度に変換される。
【0090】
モータは、駆動側9で一端8が歯車動力伝達装置シャフト10に連結されたモータシャフト7を有し、歯車動力伝達装置シャフト10は、一対の軸受12及び13によって中間歯車動力伝達装置ハウジング11内に回転可能に支持されている。
【0091】
モータシャフト7と歯車動力伝達装置シャフト10との間の連結は、中間連結器14によって実現される。
【0092】
駆動歯車15は、歯車動力伝達装置シャフト10に固定的に取り付けられており、圧縮機要素3の圧縮機ロータ6の一方の圧縮機ロータシャフト17に固定的に取り付けられた従動ピニオンホイール16と噛み合っている。
【0093】
また、圧縮機組立体1は、オイルポンプ18を備え、オイルポンプ18は、圧縮機組立体1に統合されておらず、オイルリザーバ21から圧縮機組立体1へ及びオイルリザーバ21へ戻るオイル循環システム20を介してオイルをポンプ送給するために、別の電気モータ19によって駆動される。
【0094】
図2は、従来技術による別の圧縮機組立体1を示し、圧縮機組立体1は、2段圧縮機組立体1であり、上述の場合と同様の第1の圧縮機要素3及び第2の圧縮機要素22を備える。
【0095】
2つの圧縮機要素3及び22は、同じモータ2及びモータシャフト7によって、この場合も中間歯車動力伝達装置4によって駆動される。
【0096】
このとき、中間歯車動力伝達装置4の駆動歯車15は、第1の圧縮機要素3によって形成された第1段を駆動するための従動ピニオンホイール16、並びに、第2の圧縮機要素22によって形成された第2段を駆動するための同様の従動ピニオンホイール23と噛み合っている。
【0097】
これは明らかに、1つのモータ2によって2つの圧縮機段を同時に駆動するための実用的な方法である。他方では、2つの圧縮機段3及び22の回転速度を互いに独立して制御する柔軟性はない。
【0098】
オイルポンプ18は、2つの圧縮機ステージ3、16にオイルを供給しているが、これは、冒頭で説明したように、いわゆる相互汚染の高いリスクを示唆する。
【0099】
図3は、本発明による圧縮機組立体1を示す。圧縮機組立体1は、この場合電気モータであるモータ2を備え、モータ2は、モータハウジング24に取り付けられ、モータハウジング3を貫通して軸方向XX’に延びるモータシャフト7を備える。モータシャフト7は、モータハウジング24内に固定的に取り付けられたモータステータ巻線26内でモータシャフト7と共に回転するモータロータ25を備えている。
【0100】
モータ2の駆動側9では、圧縮機要素3がモータ2に連結されている。
【0101】
冒頭で説明したように、本発明は、この圧縮機要素3がオイルフリー又はオイルレス圧縮機要素3である、圧縮機組立体1に特に関連する。
【0102】
本発明によれば、圧縮機組立体1の圧縮機要素3は、好ましくはダブルロータ圧縮機要素3であり、より詳細には、圧縮機組立体1の圧縮機要素3は、好ましくはツース圧縮機要素3又はスクリュー圧縮機要素3である。
【0103】
圧縮機要素3は、圧縮機要素ハウジング27に取り付けられ、圧縮機入口29で圧縮機要素3に供給される流体28を圧縮するために互いに協働することができる圧縮機ロータ5及び6を備える。圧縮又は加圧された流体30は、加圧又は圧縮された流体30の消費者又は消費者ネットワークに供給するために、圧縮機出口31で排出される。
【0104】
この場合、流体は、圧縮機要素3の周囲から取り込まれた空気であるが、必ずしもそうである必要はない。
【0105】
圧縮機ロータ5及び6の各々は、圧縮機ロータシャフト、それぞれ圧縮機ロータシャフト32及び圧縮機ロータシャフト33を備え、中央部に圧縮機ロータ部分、それぞれ圧縮機ロータ部分34及び圧縮機ロータ部分35が設けられている。
【0106】
圧縮機ロータ部分34は、他の圧縮機ロータ部分35を形成する雄型ロータ部分35と協働する雌型ロータ部分34とすること、又はその逆とすることができる。実際には、圧縮機ロータ部分34及び35の各々は、例えばスクリュー圧縮機要素のスクリューロータ、又はツース圧縮機要素のツースロータとすることができるが、他のタイプも本発明から除外されない。
【0107】
圧縮機要素シャフト32及び33の各々は、一対の圧縮機ロータシャフト軸受、それぞれ一対の圧縮機ロータシャフト軸受36及び37並びに一対の圧縮機ロータシャフト軸受38及び39によって、圧縮機要素ハウジング27内で回転可能に支持されている。
【0108】
電気モータ2によって圧縮機要素3、より正確には圧縮機要素3の圧縮機ロータ5及び6を駆動するために、本発明によれば、モータシャフト7は、関連するシャフト7及び33の直接連結器40によって、圧縮機ロータ6の圧縮機ロータシャフト33に直接的に連結されている。直接連結器40は、モータシャフト7の自由端41と圧縮機ロータシャフト33の自由端42との間に設けられ、モータハウジング24と圧縮機エレメントハウジング27との間に設けられた中間ハウジング区画43に配置されている。
【0109】
モータハウジング24、圧縮機ハウジング27及び中間ハウジング区画43は、協働して圧縮機組立体ハウジング44を形成する。
【0110】
相互連結されたモータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト33及び直接連結器40の組み合わせは、組立(composed)駆動シャフト45を形成すると考えることができる。
【0111】
図3の実施形態では、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33との間の直接連結器40は、可撓性直接連結器46である。一般的に、このような可撓性直接連結器46は、1又は2以上の減衰要素を備えることができ、これは、駆動系の振動減衰に寄与し、関連するシャフト7と33の間の小さな位置合わせ不良に対応することができる。
【0112】
この場合、可撓性直接連結器46が使用されるため、ロータシャフト7は、一対のモータシャフト軸受47及び48によって、モータハウジング24内で回転可能に支持されている。
【0113】
その結果、圧縮機要素3の圧縮機ロータ6は、モータシャフト7によって直接駆動される。他方の圧縮機ロータ5は、圧縮機ロータシャフト32及び圧縮機ロータシャフト33のそれぞれの非駆動端51に取り付けられた2つのタイミングギア49と50との間の相互作用によって間接的に駆動される。
【0114】
最後に、モータ2の非駆動側52、すなわちモータ2が圧縮機要素3に連結されている駆動側9とは反対側において、圧縮機組立体1は、オイルポンプ18をさらに備えている。このオイルポンプ18は、今度はモータハウジング24に統合されるか、又はモータハウジング24又はそのモータハウジング24のモータハウジングカバー上に取り付けられている。
【0115】
本発明にとって重要なのは、このオイルポンプ18が、電気モータ2のモータシャフト7に、より一般的には、組立駆動シャフト45に又は圧縮機要素3の別の圧縮機ロータシャフト32に直接取り付けられているという特徴である。このようにして、圧縮機組立体1のオイルポンプ18の徹底した統合が得られ、圧縮機組立体の非常にコンパクトな設計を実現することができる。
【0116】
冒頭で説明したように、オイルポンプ18を上述のシャフト7、32又は45のうちの1つに直接取り付けるという選択は、これらのシャフト7、32又は45が非常に高い回転速度で回転するため、自明とは言い難い。
【0117】
勿論、オイルポンプ18は、圧縮機組立体1のオイル循環システム20内でオイル53を循環させるための駆動力を提供するためのものである。このオイル循環システム20は、潤滑目的又は冷却目的、あるいはその両方の目的で、圧縮機組立体1の構成要素にオイル53を供給するためのものである。
【0118】
オイル53は、好ましくは圧縮機組立体ハウジング44に、例えばモータハウジング24の真下に直接取り付けられることで同様に統合されているオイルリザーバ21又はオイルサンプ21から、吸い込みライン55を通ってオイルポンプ入口54に吸い込まれる。オイルはさらに、オイルポンプ圧力ライン56を通って圧縮機組立体1の関連する構成要素にポンプ送給され、オイルリザーバ又はオイルサンプ21に戻される。オイル循環システム20には、通常、オイルクーラー及びオイルフィルターもあるが、図には示されていない。
【0119】
通常、潤滑を必要とする圧縮機組立体1の構成要素は、例えば、モータシャフト軸受47及び48、又は圧縮機ロータシャフト軸受36-39のような軸受、又はタイミングギア32及び33のようなギアである。冷却を必要とする構成要素は、例えば電気モータ2、圧縮機要素3の出口31の圧縮流体30、圧縮機要素3自体、又は圧縮機組立体1の他の要素である。
【0120】
本発明による圧縮機組立体1のこのような実施形態は、圧縮機組立体内の構成要素の非常に手の込んだ統合が実現されるという点で非常に興味深いことは明らかである。
【0121】
しかしながら、
図4は、
図3の実施形態と比較して、要素がさらに統合されているか又はいくつかの要素が取り除かれている、本発明による圧縮機組立体の別の実施形態を示す。
【0122】
この場合、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33は、やはり直接連結器40によって相互連結されるが、直接連結器40は、今度は、剛性直接連結器57である。
【0123】
図4の例では、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33との間のこの剛性直接連結器57は、剛性圧入連結器又は剛性熱収縮連結器57である。
【0124】
この剛性直接連結器57を実現するための最初のステップでは、モータシャフト7の端部8が、その半径方向のサイズを大きくするために加熱される。次に、半径方向の寸法が大きくなったこの加熱された端部8が、圧縮機ロータシャフト33の端部42の上にもたらされる。冷却後、モータシャフトの端部8は収縮し、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33との間に強固な剛性相互連結が得られる。
【0125】
図3に示された本発明による圧縮機組立体の実施形態との別の相違点は、
図4の実施形態では、モータシャフト7が、単一のモータシャフト軸受58のみによってモータハウジング24内で回転可能に支持されていることである。実際には、剛性直接連結器57によって剛性的に相互連結されたモータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33の組み合わせは、剛性の組立駆動シャフト45であると考えられ、この剛性の組立駆動シャフト45は、圧縮機要素ハウジング27内の(圧縮機ロータ6の)一対の軸受38及び39と、モータハウジング24内の単一のモータシャフト軸受58とによって回転可能に支持されている。
【0126】
もちろん、剛性の組立駆動シャフト45を支持するために、他の構成の軸受配置を適用することもできる。
【0127】
図5は、本発明による圧縮機組立体1の一実施形態を示し、圧縮機組立体1は、多段圧縮機組立体59、詳細には、第1の圧縮機段60及び第2の圧縮機段61を備える2段圧縮機組立体59である。
【0128】
第1の圧縮機段60及び第2の圧縮機段61の各々は、
図4に示される実施形態の正確なコピーである圧縮機組立体1として実施される。
【0129】
各段60及び61は、直列に接続されている。ここで、第1段60の圧縮機要素3の圧縮機出口31は、流体ダクト62によって、第2段61の圧縮機要素3の圧縮機入口29と相互接続されている。このように、第1段60で圧縮された圧縮流体30は、第2段61の入口29に供給され、そこでさらに圧縮され、第2段61の圧縮機要素3の圧縮機出口30で排出される。
【0130】
各圧縮機段60又は61は、モータシャフト7を有するモータ2並びに、圧縮機要素33及びオイルポンプ18を備え、これらは両方ともモータシャフト7によって駆動される。各圧縮機段60又は61のモータシャフト7は、組立駆動シャフト45を形成するように、直接連結器40によって、関連する圧縮機要素3のロータシャフト33に結合されている。各圧縮機段60又は61のオイルポンプ18は、この場合、組立駆動シャフト45上に直接取り付けられているが、これらのオイルポンプ18は、このような圧縮機段60又は61の関連する圧縮機要素3の別のロータシャフト32上に同様に取り付けることもできる。
【0131】
各圧縮機段60又は61は、別個のオイル循環システム20を備え、これは、多段圧縮機組立体59の異なる圧縮機段60又は61のオイル循環システム20の間でオイル53が交換されないように、その圧縮機段60又は61の関連するオイルポンプ18を備える。このようにして、相互汚染は明らかに回避される。
【0132】
図4の例のように、多段圧縮機組立体59の各圧縮機段60又は61のモータシャフト7は、単一の軸受58によって支持される。
【0133】
本発明によれば、圧縮機組立体1のオイルポンプ18は、好ましくはジロータポンプ63である。
図6にはそのようなタイプのオイルポンプ18が示されている。ジロータポンプ63は、内側ロータ64及び外側ロータ65を備える容積式ポンプである。内側ロータ64はn個の歯66、すなわち図示の場合は7個の歯を有し、外側ロータ65はn+1個の歯67、すなわちこの場合は8個の歯67を有する。
【0134】
ロータ64及び65は、それぞれの中心軸、それぞれ中心軸Aと中心軸Bの周りで回転するが、これらの軸は一致しておらず、互いに少し離隔している。回転中、内側ロータ64の歯66と外側ロータ65の歯67との間の容積68は、恒久的に増減し、その結果、ポンプ作用が生じる。
【0135】
このようなジロータポンプ63の大きな利点は、比較的小さな寸法で作ることができ、優れたキャビテーション特性を有する非常に堅牢で信頼性の高いポンプであることである。
【0136】
図7は、本発明による圧縮機組立体1の別の実施形態を示し、この場合も圧縮機組立体1のモータ2のモータシャフト7と圧縮機組立体1の圧縮機要素3の圧縮機ロータシャフト33とを相互連結するために、剛性直接連結器57が適用されている。
【0137】
図7に示す実施例では、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33との間に剛性連結器57を形成するために、モータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト33の一方は、中空シャフト69として実施され中空シャフト69は、中空シャフト69を貫通して延びる、中心に軸方向に延びる経路70を含む。
【0138】
図7の場合、モータシャフト7は中空シャフト69として実施される。中空シャフト69の軸方向に延びる経路70には、接続スタッド71が設けられており、接続スタッド71は、第1の端部72でモータシャフト7の他方で、中空シャフト69として実施されていない圧縮機ロータシャフト33又は非中空シャフト73の中に延びる。この非中空シャフト73は、ここで説明する例では圧縮機ロータシャフト33である。
【0139】
接続スタッド71は、その第1の端部72が非中空シャフト73に固定接続されている。
図7の実施例では、この固定接続は、詳細には圧縮機ロータシャフト33の自由端42で実現されている。
【0140】
接続スタッド71の第1の端部72と圧縮機ロータシャフト33の自由端42との相互連結は、
図8により詳細に示されている。その理由で、非中空シャフト73は、接続スタッド71の第1の端部72を受け入れるための雌ねじ付き穴74を備え、接続スタッド71の第1の端部72は、非中空シャフト73の雌ねじ74と協働できる雄ねじ75を備える。
【0141】
接続スタッド71の反対側の第2の端部76には、中空シャフト69に関して接続スタッド71に張力を加えるための張力手段77が設けられている。これは
図9により詳細に示されている。接続スタッド71の第2の端部76は、雄ねじ78を備え、この雄ねじ78は、中空シャフト69、この場合はモータシャフト7に対して力を加えることで接続スタッド71を締め付けるために、雌ねじを有するナット79と協働可能である。
【0142】
図10及び12は、剛性直接連結器57が実現され、接続スタッド71及び張力手段77によってクランプ力Fを生成するために、モータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト17に予荷重を加えることによってトルクが伝達される場合と比較して、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33との間の剛性直接相互連結器57が改善された実施形態を示す。詳細には、連結器57上の適切なトルク伝達を保証するために及び剛性直接連結器57の適切な機能のために必要なクランプ力Fは、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33の端面82及び83における又はその間にある、いわゆるハースカップリング(Hirth coupling)又はセレーション81を使用して低減される。
【0143】
図12により明確に詳述されているように、このようなハースセレーション81は、モータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト33の端面82及び83に、相互連結状態で端面82及び83が互いに対して回転するのを防止する相補的な相互連結歯84を設けることによって実現される。端面82及び83の互いに対する回転スリップを防止するために必要な軸方向クランプ力Fは、それほど大きくないことは明らかである。
【0144】
剛性直接連結器57がさらに相互連結された連結器である別の代替的な解決策は、剛性直接連結器57をスプライン連結器として実施することによって実現することができる。その場合、モータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト33の各端部の一方は、軸方向に延びる歯を備え、この歯は、外周に設けられると共にモータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト33の各端部の他方の内部に設けられた軸方向に延びる溝と相補的である。モータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト33を剛的に直接連結し、シャフト7と33との間でトルクを伝達するために、この歯は、軸方向に延びる溝に挿入されている。この構成では、明らかにモータシャフト7及び圧縮機ロータシャフト33の各端面の間のスリップの危険はない。
【0145】
本発明による圧縮機組立体1のさらに他の実施形態では、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33との間の剛性直接連結器57は、トルクの確実な伝達を保証する他の相補的な形状で実現することができる。
【0146】
図11及び13は、別の実施形態を示し、関連するシャフト7及び33の端面82及び83の間の摩擦は、摩擦シム85によって、それほど極端ではなく、摩擦シム85は、粗面化された側面86を有し、関連する端面82と83との間に取り付けられる一種の平らな円板状リング85である。側面86は、例えば、関連する側面86にダイヤモンド結晶又は他の粒子などの粒子を埋め込むか又は側面86に平坦又は滑らかでない断面形状を与えることによって粗面化される。
【0147】
図14は、
図7に示された実施形態に対する本発明による圧縮機組立体1の代替的かつ改良された実施形態を示す。
【0148】
実際、
図7に示す実施形態では、オイルポンプ18は、中空シャフト69として実施されるモータシャフト部分7上の組立駆動シャフト45上に取り付けられている。これは、中空シャフト69が十分に大きな肉厚T又は外径Dを備える必要がある点で問題となる可能性がある。モータシャフト7の外径寸法が大きくなると、そのモータシャフト7上に取り付けられたオイルポンプ18にも影響がある。特に圧縮機用途で適用される高い回転速度の場合、オイルポンプ18の寸法が大きくなることは問題であり、オイルポンプ18のロータ先端64/66の高い回転速度につながり、ジロータポンプ63が使用される場合でさえ、圧送オイル53のキャビテーションにつながる。
【0149】
このような状況を防止するために、
図14に示す実施形態では、オイルポンプ18は、圧縮機ロータシャフト33の非駆動側52の自由端87上に取り付けられており、この自由端87は、この実施形態では依然として組立駆動シャフト45の非中空シャフト部分73を形成している。この自由端87は、圧縮機要素ハウジング27から外に延びている。このようにして、オイルポンプは、一体構造の完全に実体化された非中空又は中実シャフト73上に、又はそのようなシャフト73の一体構造の非中空の中実部分88上に取り付けられることが保証される。従って、このシャフト73又はシャフト部分88は、場合によっては組立駆動シャフト45の中空シャフト部分69の外径寸法よりも小さい外径寸法で実施することができる。
【0150】
また、非中空シャフト73として実施される圧縮機ロータシャフト33の固体性は、剛性の向上につながる。
【0151】
他方で、中空シャフト69(モータシャフト7である)の内径及び/又は外径は、キャビテーションを回避するためのオイルポンプ18の制限された寸法の要件によって課される制約が組立駆動シャフト45のその側にもはや存在しないので、大きくすることができる。その結果、接続スタッド71は、より大きな半径方向寸法で実施することができ、モータシャフト7と圧縮機ロータシャフト33との間により大きな予荷重を加えることができる。これは、大きな安全マージンにもつながる。
【0152】
図15から17には、本発明による圧縮機組立体1のさらに他の実施形態が示されており、同じ原理が適用されている。
【0153】
図15の実施形態では、オイルポンプは、圧縮機要素3の他の圧縮機ロータシャフト32の自由端89上に取り付けられており、この圧縮機ロータシャフト32は、組立駆動シャフト45の一部ではなく、それでも剛性直接連結器57による圧縮機ロータシャフト33とモータシャフト7との相互連結によって作られている。モータシャフト7は、依然として、接続スタッド71を備えた中空シャフト69として実施される。オイルポンプ18は、
図14の例と同様に、圧縮機ロータシャフト31の一体構造の非中空部分88上に取り付けられているが、このシャフトは、完全に非中空シャフト73として実施される。
【0154】
図16に示される本発明による圧縮機組立体1の実施形態は、組立駆動シャフト45が、今度は、剛性直接連結器57によって相互に連結された、圧縮機ロータシャフト33である中空シャフト69と、モータシャフト7である非中空シャフト73で作られている点で、
図15に示される上記の実施形態と異なっている。圧縮機ロータシャフト33は、軸方向に延びる経路70を備え、この経路は中空シャフト69を貫通して延びる。接続スタッド71は、この圧縮機ロータシャフト33によって形成される中空シャフト69の軸方向に延びる経路70内に設けられている。この接続スタッド71は、第1の端部72がモータシャフト7内に延び、このモータシャフトは、今度は非中空シャフト73である。接続スタッド71は、この第1の端部72において、上記と場合と同様の方法で非中空シャフト73に固定的に結合されている。接続スタッド71の反対側の第2の端部76には、中空シャフト69に関して接続スタッド71に張力を加えるための張力手段77が設けられている。
【0155】
オイルポンプ18は、依然として、他方のロータ5の一体構造の完全に実体化された非中空圧縮機ロータシャフト31に取り付けられている。
【0156】
図17に示される本発明による圧縮機組立体1の実施形態は、
図7及び16の実施形態と類似している。
図7の実施形態との類似点は、オイルポンプ18がモータ2の非駆動側52でモータシャフト7に取り付けられていることである。
図16の実施形態との類似点は、モータシャフト7が非中空シャフト73として実施され、圧縮機ロータシャフト33に結合されていることである。この圧縮機ロータシャフト33は、この場合も中央経路70及び接続スタッド71を備えた中空シャフト69であり、剛性直接連結器57によってモータシャフト7に直接連結されている。従って、オイルポンプ18は、この場合もシャフト7の一体構造の非中空部分88に取り付けられている。
【0157】
本発明は、上述したような圧縮機組立体1の実施形態に限定されるものではなく、そのような圧縮機組立体1は、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの異なる方法で適用すること及び実施することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機組立体(1)であって、前記圧縮機組立体(1)は、圧縮機要素(3)の少なくとも1つの圧縮機ロータ(5、6)並びに前記圧縮機組立体(1)のオイル循環システム(20)を通してオイル(53)をポンプ送給するためのオイルポンプ(18、63)を駆動するモータシャフト(7)を有するモータ(2)を備え、
前記少なくとも1つの圧縮機ロータ(6)は、圧縮機ロータ部分(35)を備え、前記圧縮機ロータ部分(35)は、圧縮機ロータシャフト(33)に取り付けられ、前記圧縮機ロータシャフト(33)は、組立駆動シャフト(45)を形成するように、直接連結器(40)によって前記モータシャフト(7)に連結され、前記オイルポンプ(18)は、前記組立駆動シャフト(45)上に直接取り付けられており、前記オイルポンプ(18)は、一体構造の非中空シャフト(73)又はシャフト(7、32、33)の一体構造の非中空部分(88)に取り付けられており、前記オイルポンプ(18)は、ジロータポンプ(63)であり、前記モータシャフト(7)と前記圧縮機ロータシャフト(33)との間の前記直接連結器(40)は、剛性連結器(57)である、ことを特徴とする、圧縮機組立体(1)。
【請求項2】
前記オイルポンプ(18)は、前記モータシャフト(7)が前記直接連結器(40)によって前記圧縮機要素(3)の関連する前記圧縮機ロータシャフト(33)に結合される駆動側(9)とは反対側である、前記モータ(2)又は前記圧縮機要素(3)の非駆動側(51、52)に取り付けられている、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項3】
前記直接連結器(40)は、可撓性連結器(46)である、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項4】
前記モータシャフト(7)と前記圧縮機ロータシャフト(33)との間の前記剛性連結器(57)は、剛性圧入連結器である又は剛性熱収縮連結器である、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項5】
前記モータシャフト(7)と前記圧縮機ロータシャフト(33)との間に前記剛性直接連結器(57)を形成するために、前記モータシャフト(7)及び前記圧縮機ロータシャフト(33)の一方は、軸方向に延びる経路(70)を中央に備える中空シャフト(69)として実施され、前記経路(70)は、前記中空シャフト(69)を貫通して延び、前記中空シャフト(69)の軸方向に延びる前記経路(70)内には、接続スタッド(71)が設けられており、前記接続スタッド(71)は、第1の端部(72)で、中空シャフトではない、又は非中空シャフト(73)として実施される前記モータシャフト(7)及び前記圧縮機ロータシャフト(33)の他方の中に延び、前記接続スタッド(71)は、前記第1の端部(72)で前記非中空シャフト(73)に固定的に結合されており、前記接続スタッド(71)の反対側の第2の端部(76)には、前記中空シャフト(69)に関して前記接続スタッド(71)に張力を加えるための張力手段(77)が設けられている、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項6】
前記非中空シャフト(73)は、前記接続スタッド(71)の前記第1の端部(72)を受け入れるための雌ねじ付き穴(74)を備え、前記接続スタッド(71)の前記第1の端部(72)は、前記非中空シャフト(73)の前記雌ねじ(74)と協働することができる雄ねじ(75)を備える、請求項5に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項7】
前記接続スタッド(71)の前記第2の端部(76)は、雄ねじ(78)を備え、前記雄ねじ(78)は、前記中空シャフト(69)に対して力を加えて前記接続スタッド(71)を締め付けるために、雌ねじ(80)を有するナット(79)と協働することができる、請求項5に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項8】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)の前記圧縮機ロータ(5、6)は、各々が圧縮機ロータシャフト(32、33)に取り付けられる圧縮機ロータ部分(34、35)を備え、前記圧縮機ロータシャフト(32、33)の各々は、一対の軸受(36-39)によって支持されている、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項9】
前記モータシャフト(7)は、単一の軸受(58)によって、又は前記モータシャフト(7)が前記直接連結器(40)によって直接結合されている前記圧縮機ロータシャフト(33)の前記一対の軸受(38、39)によってのみ支持されている、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項10】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)は、オイルフリー又はオイルレス圧縮機(3)である、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項11】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)は、ダブルロータ圧縮機要素(3)である、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項12】
前記圧縮機組立体(1)の前記圧縮機要素(3)は、ツース又はスクリュー圧縮機要素(3)である、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項13】
前記圧縮機組立体(1)の前記モータ(2)は、モータハウジング(24)内に挿入されるモータステータ(26)と、前記モータステータ(26)を貫通して延びる前記モータシャフト(7)上に取り付けられるモータロータ(25)と、を備える電気モータ(2)である、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項14】
前記圧縮機組立体(1)は、少なくとも第1の圧縮機段(60)と第2の圧縮機段(61)とを備える多段圧縮機組立体(59)であり、前記圧縮機段(60、61)の各々は、請求項1から13の1又は2以上の圧縮機組立体(1)で形成され、前記圧縮機段(60、61)の各々はモータシャフト(7)を有するモータ(2)、及び圧縮機要素(3)並びにオイルポンプ(18)を備え、前記モータシャフト(7)によって前記圧縮機要素(3)及び前記オイルポンプ(18)の両方が駆動され、前記モータシャフト(7)は、組立駆動シャフト(45)を形成するように、直接連結器(40)によって関連する前記圧縮機要素(3)のロータシャフト(33)に結合され、前記オイルポンプ(18)は、前記組立駆動シャフト(45)上に、又は、前記圧縮機段(60、61)の関連する前記圧縮機要素(3)の別のロータシャフト(32)上に直接取り付けられ、前記圧縮機段(60、61)の各々は、前記圧縮機段(60、61)の関連する前記オイルポンプ(18)を含む別個のオイル循環システム(20)を備え、オイル(53)が前記多段圧縮機組立体(59)の異なる前記圧縮機段(60、61)の前記オイル循環システム(20)の間で交換されないようになっている、請求項1に記載の圧縮機組立体(1)。
【請求項15】
前記多段圧縮機組立体(59)の前記圧縮機段(60、61)の各々の前記モータシャフト(7)は、単一の軸受(58)によって支持されている、請求項14に記載の圧縮機組立体(1)。
【国際調査報告】