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特表2024-528320表面付近の腫瘍のために被験者の身体に対して腫瘍治療電場を送達するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】表面付近の腫瘍のために被験者の身体に対して腫瘍治療電場を送達するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20240719BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20240719BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20240719BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/32
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508522
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 IB2022057570
(87)【国際公開番号】W WO2023017489
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,294
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/232,329
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/698,457
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/886,371
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タル・マルチャーノ
(72)【発明者】
【氏名】スマダル・アルヴァッツ
(72)【発明者】
【氏名】ボアズ・マルサルト
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053LL20
(57)【要約】
腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するための方法。この方法は、被験者の身体内の腫瘍の表面付近の部分を決定するステップであって、腫瘍の表面付近の部分が、腫瘍の他の部分よりも被験者の身体の表面に対してより近くに位置する、ステップと、被験者の身体上において腫瘍付近の位置を決定するステップであって、被験者の身体上における腫瘍付近の位置が、被験者の身体の他の位置よりも腫瘍の表面付近の部分に対してより近くに位置する、ステップと、トランスデューサの外周部を決定するステップであって、トランスデューサが、互いに電気結合された複数の電極素子を備え、トランスデューサの複数の電極素子が、外周部内に位置する、ステップと、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになるトランスデューサの外周部の部分を特定するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するためのコンピュータ実装方法であって、
前記被験者の身体内の腫瘍の表面付近の部分を決定するステップであって、前記腫瘍の前記表面付近の部分は、前記腫瘍の他の部分よりも前記被験者の身体の表面に対してより近くに位置する、ステップと、
前記被験者の身体上において腫瘍付近の位置を決定するステップであって、前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置は、前記被験者の身体の他の位置よりも前記腫瘍の前記表面付近の部分に対してより近くに位置する、ステップと、
腫瘍治療電場を印加するために前記被験者の身体上に配置されることになる1対のトランスデューサのうちの第1のトランスデューサに関して、前記第1のトランスデューサの外周部を決定するステップであって、前記第1のトランスデューサは、互いに電気結合された複数の電極素子を備え、前記第1のトランスデューサの前記複数の電極素子は、前記外周部内に位置する、ステップと、
前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる前記第1のトランスデューサの前記外周部の部分を特定するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記腫瘍の前記表面付近の部分が、前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置から80mm以下の位置に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のトランスデューサの前記外周部内において中心に位置する前記第1のトランスデューサの中心部分を決定するステップと、
前記被験者の身体に対して腫瘍治療電場を印加する場合の、前記第1のトランスデューサの前記外周部の前記部分における電力密度および前記第1のトランスデューサの前記中心部分における電力密度を決定するステップと
をさらに含み、
前記第1のトランスデューサの前記外周部の前記部分における前記電力密度は、前記第1のトランスデューサの前記中心部分における前記電力密度の100%~300%である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記被験者の身体の両側部上に第1の端点および第2の端点を有し、前記腫瘍の前記表面付近の部分と交差する線分に関して、前記第1の端点は、前記被験者の身体上の前記腫瘍付近の位置と交差し、前記第1の端点と前記腫瘍の表面付近の部分との間の距離は、前記第2の端点と前記腫瘍の前記表面付近の部分との間の距離の50%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のトランスデューサは、前記第1のトランスデューサのある面が前記被験者の身体に面する状態において、前記被験者の身体上に位置決めされるように構成され、
前記第1のトランスデューサの前記面に対して垂直方向から見た場合に、前記腫瘍の前記表面付近の部分は、前記第1のトランスデューサの前記外周部内に実質的に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置は、前記第1のトランスデューサの前記外周部内に実質的に位置し、前記トランスデューサの前記外周部から重心までの距離の0%~50%である前記外周部からの距離に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のトランスデューサは、前記第1のトランスデューサのある面が前記被験者の身体に面する状態において、前記被験者の身体上に位置決めされるように構成され、
前記第1のトランスデューサの前記面に対して垂直方向から見た場合に、前記第1のトランスデューサの前記電極素子のうちの複数が、前記第1のトランスデューサの前記外周部を画定する周縁電極素子であり、前記周縁電極素子は、前記第1のトランスデューサの任意の他の電極素子を実質的に取り囲む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のトランスデューサの前記電極素子のうちの少なくとも1つが、前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる前記第1のトランスデューサの前記外周部の前記部分に接触する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる前記第1のトランスデューサの前記外周部の前記部分は、前記外周部の20%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる前記第1のトランスデューサの前記外周部の複数の部分を特定するステップと、
前記第1のトランスデューサの前記外周部の前記複数の部分のうちの少なくとも1つを選択するステップと、
腫瘍治療電場を印加するための前記被験者の身体上における前記トランスデューサの前記位置を決定するために、前記第1のトランスデューサの前記外周部の前記複数の部分のうちの前記選択された少なくとも1つを出力するステップと
をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記被験者の身体上における前記腫瘍付近の位置に前記第1のトランスデューサの前記外周部の前記部分を実質的に配置するために、前記被験者の身体上における前記第1のトランスデューサの複数の向きを特定するステップと、
前記第1のトランスデューサの前記複数の向きのうちの少なくとも1つを選択するステップと、
腫瘍治療電場を印加するための前記被験者の身体上における前記トランスデューサの前記位置を決定するために、前記第1のトランスデューサの前記複数の向きのうちの前記選択された少なくとも1つを出力するステップと
をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するためのコンピュータ実装方法であって、
腫瘍治療電場を印加するために前記被験者の身体上に配置されることになる1対のトランスデューサのうちの第1のトランスデューサに関して、前記第1のトランスデューサのエッジを決定するステップであって、前記第1のトランスデューサは、互いに電気結合された電極素子アレイを備える、ステップと、
前記被験者の身体内の腫瘍の表面付近の位置と前記被験者の身体の表面上における腫瘍最直近の位置とを決定するステップと、
前記被験者の身体上に位置決めされることになる前記第1のトランスデューサのある面に対して垂直方向から見た場合に、前記腫瘍の前記表面付近の位置に実質的に重畳する前記第1のトランスデューサの前記エッジのセグメントを特定するステップであって、前記エッジの前記セグメントは、前記第1のトランスデューサの重心よりも前記被験者の身体の前記表面上における前記腫瘍付近の位置に対してより近くに位置する、ステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記第1のトランスデューサの前記面に対して前記垂直方向から見た場合に、前記被験者の身体の前記表面上における前記腫瘍付近の位置は、前記トランスデューサの前記エッジから前記トランスデューサの前記重心までの距離の0%~50%である前記トランスデューサの前記エッジからの距離に位置する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
腫瘍を有する被験者の身体に対して腫瘍治療電場を印加する方法であって、
前記被験者の身体上に第1の対のトランスデューサおよび前記被験者の身体上に第2の対のトランスデューサを配置するステップと、
前記第1の対のトランスデューサ間に第1の電場および前記第2の対のトランスデューサ間に第2の電場を交互に印加するステップと
を含み、
前記第1の対のトランスデューサのうちの第1のトランスデューサが、前記第1のトランスデューサのある面が前記被験者の身体に面する状態において、前記被験者の身体上に位置決めされるように構成され、
前記第1のトランスデューサは、互いに電気結合された複数の電極素子を有し、
前記第1のトランスデューサの前記面に対して垂直方向から見た場合に、前記第1のトランスデューサの前記電極素子のうちの複数が、前記第1のトランスデューサの凸形状周縁を画定する周縁電極素子であり、前記周縁電極素子は、前記第1のトランスデューサの任意の他の電極素子を実質的に取り囲み、
前記腫瘍は、前記腫瘍の他の部分よりも前記被験者の身体の表面上の腫瘍付近の位置に対してより近くに位置する前記腫瘍の表面付近の部分を有し、
前記第1のトランスデューサの前記凸形状周縁の腫瘍付近の部分が、前記第1のトランスデューサの他の部分よりも前記腫瘍の前記表面付近の部分のより近くに位置する、方法。
【請求項15】
前記第1のトランスデューサは、前記被験者の身体の前記表面上における前記腫瘍付近の位置が前記第1のトランスデューサの外周部内に実質的に位置し、前記トランスデューサの前記外周部から重心までの距離の0%~50%である前記外周部からの距離に位置するように、位置決めされる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年8月12日に出願された台湾特許出願第111130490号、2022年8月11日に出願された米国特許出願第17/886,371号、2022年3月18日に出願された米国特許出願第17/698,457号、2021年8月12日に出願された米国特許出願第63/232,329号、および2021年8月12日に出願された米国特許出願第63/232,294号の優先権を主張し、これらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場(TTフィールド)は、中間周波数の範囲(例えば50kHz~1MHz、例えば50~500kHzなど)内の低強度(例えば1~4V/cm)交流電場であり、米国特許第7,565,205号に記載されるように腫瘍を治療するために使用され得る。TTフィールド療法は、再発性グリア芽細胞腫(GBM)のための承認済みの単核球症治療、および新規診断されたGBM患者のための化学療法と組み合わされる承認済みの併用療法である。TTフィールドは、被験者の身体の他の部分(例えば肺、卵巣、膵臓など)における腫瘍を治療するためにも使用され得る。例えば、TTフィールド療法は、悪性胸膜中皮腫(MPM)のための化学療法と組み合わされる承認済みの併用療法である。TTフィールドは、(例えばNovocure Optune(商標)システムなどを使用して)患者の身体上に直接配置され、トランスデューサ間にAC電圧を印加するトランスデューサ(例えば容量結合電極素子アレイなど)によって、関心領域中に非侵襲的に誘発される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,565,205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
GBMのコンテクストにおいて、これらのトランスデューサを位置決めするための従来のアプローチは、前頭部および後頭部の上に第1の対のトランスデューサを位置決めし、右側頭部および左側頭部の上に第2の対のトランスデューサを位置決めするというものである。中皮腫治療のコンテクストにおいては、これらのトランスデューサを位置決めするための従来のアプローチは、胴体の前部および後部の上に第1の対のトランスデューサを位置決めし、胴体の右側部および左側部の上に第2の対のトランスデューサを位置決めするというものである。AC電圧発生器が、第1の時間間隔(例えば1秒)の間にわたり第1の対のトランスデューサ間にAC電圧(例えばGBMのコンテクストでは200kHzまたは中皮腫のコンテクストでは150kHz)を印加し、これにより、概して前後方向に延在する力線を有する電場が発生する。次いで、このAC電圧発生器は、第2の時間間隔(例えば1秒)の間にわたり第2の対のトランスデューサ間にAC電圧を同一周波数にて印加し、これにより、概して左右方向に延在する力線を有する電場が発生する。次いで、このシステムは、治療期間にわたりこの2ステップシーケンスを反復する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】TTフィールドを印加するために被験者の身体上においてトランスデューサの位置を決定する一例を示す流れ図である。
図2】腫瘍を有する被験者の身体に対してTTフィールドを印加するための一例を示す流れ図である。
図3】TTフィールドを印加するために腫瘍の位置に基づいて被験者の身体上においてトランスデューサの位置を決定する一例を示す図である。
図4A】複数の結合電極素子を有するトランスデューサの構造体の例を示す図である。
図4B】複数の結合電極素子を有するトランスデューサの構造体の例を示す図である。
図5A】トランスデューサの構造体の例を示す図である。
図5B】トランスデューサの構造体の例を示す図である。
図6A】腫瘍治療電場を送達するために被験者の身体に対してトランスデューサを装着する例を示す図である。
図6B】腫瘍治療電場を送達するために被験者の身体に対してトランスデューサを装着する例を示す図である。
図7A】電場が被験者の頭部に対して種々のサイズのトランスデューサを介して印加される場合の電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図である。
図7B】電場が被験者の頭部に対して種々のサイズのトランスデューサを介して印加される場合の電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図である。
図8A】電場が被験者の頭部に対して種々の形状のトランスデューサを介して印加される場合に組織により吸収される電力の例示のシミュレーション結果を示す図である。
図8B】電場が被験者の頭部に対して種々の形状のトランスデューサを介して印加される場合に組織により吸収される電力の例示のシミュレーション結果を示す図である。
図8C】電場が被験者の頭部に対して種々の形状のトランスデューサを介して印加される場合に組織により吸収される電力の例示のシミュレーション結果を示す図である。
図9A】トランスデューサの長さに応じて腫瘍に対して送達される電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図であり、(a)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部内の中央に位置するようにトランスデューサを位置決めした場合と、(b)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部のエッジに位置するようにトランスデューサを位置決めした場合とを比較している図である。
図9B】トランスデューサの長さに応じて腫瘍に対して送達される電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図であり、(a)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部内の中央に位置するようにトランスデューサを位置決めした場合と、(b)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部のエッジに位置するようにトランスデューサを位置決めした場合とを比較している図である。
図9C】トランスデューサの長さに応じて腫瘍に対して送達される電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図であり、(a)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部内の中央に位置するようにトランスデューサを位置決めした場合と、(b)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部のエッジに位置するようにトランスデューサを位置決めした場合とを比較している図である。被験者の頭部の表面までの異なる距離ごとの関係性を示しており、ここでは被験者の頭部の表面に対して最も近い距離を示す。
図9D】トランスデューサの長さに応じて腫瘍に対して送達される電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図であり、(a)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部内の中央に位置するようにトランスデューサを位置決めした場合と、(b)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部のエッジに位置するようにトランスデューサを位置決めした場合とを比較している図である。被験者の頭部の表面に対するそれぞれ異なる距離ごとの関係性を示す。
図9E】トランスデューサの長さに応じて腫瘍に対して送達される電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図であり、(a)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部内の中央に位置するようにトランスデューサを位置決めした場合と、(b)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部のエッジに位置するようにトランスデューサを位置決めした場合とを比較している図である。被験者の頭部の表面に対するそれぞれ異なる距離ごとの関係性を示す。
図9F】トランスデューサの長さに応じて腫瘍に対して送達される電場強度の例示のシミュレーション結果を示す図であり、(a)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部内の中央に位置するようにトランスデューサを位置決めした場合と、(b)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部のエッジに位置するようにトランスデューサを位置決めした場合とを比較している図である。被験者の頭部の表面に対するそれぞれ異なる距離ごとの関係性を示す。
図10】被験者の身体の不確かさ推定による腫瘍セグメンテーションを生成するための装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付の図面を参照して、様々な実施形態を詳細に説明する。これらの図面において、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0007】
効果的な腫瘍治療電場(TTフィールド)治療を被験者に対して提供するためには、標的腫瘍に対して高い電場強度を送達するように被験者の身体上においてトランスデューサを正確な位置に配置することが必要となる。これらのトランスデューサの位置を決定するために、被験者の身体の他の位置に比べて腫瘍の少なくとも一部分に対してより近い、被験者の身体上における1つまたは複数の腫瘍付近の位置が決定される。次に、典型的には、被験者の身体上におけるトランスデューサの位置は、トランスデューサの中心部分または近中心部分が1つまたは複数の腫瘍付近の位置におかれる状態で決定される。
【0008】
電極素子アレイを備えるトランスデューサにおいて、このアレイのエッジに沿って位置する電極素子は、アレイの中間部の付近に位置する電極素子に比べて通過電流に対する抵抗がより低くなり得ることに本発明者らは気づいた。これにより、一般的に、電荷濃度はアレイのエッジ(例えば外周部)上の箇所においてより高くなり得る。さらに、アレイのエッジのコーナーまたは同様の鋭角屈折部に位置する電極素子は、アレイのエッジに沿って位置するおよびアレイの中心に位置する他の電極素子よりも高い濃度を有することになる。本明細書においては、アレイのエッジに沿って位置するおよび具体的にはコーナーに位置する電極素子により多量の電流を通過させるトランスデューサの傾向を「エッジ効果」と呼ぶ。
【0009】
この問題を理解することにより、被験者の身体上における腫瘍付近の位置にトランスデューサのエッジ(例えば外周部)を配置することによってTTフィールドの印加を行うアプローチを本発明者らは発見した。腫瘍付近の位置にトランスデューサの外周部を配置することにより、トランスデューサのエッジ効果を利用することができ、したがって標的腫瘍部位に対してより高い電場強度を送達し、それによりTTフィールドの治療効果に対してプラスの影響をもたらすことができる。
【0010】
本発明は、以下の詳細な説明、例、図面、および特許請求の範囲、ならびにそれらの前述および後述の説明を参照することによってさらに容易に理解されよう。しかし、本発明は、別様のことが明示されない限り、本開示の具体的な装置、デバイス、システム、および/または方法に限定されるものではなく、したがって当然ながら変更可能なものである点を理解されたい。
【0011】
見出しは、便宜上の目的のみで設けられており、本発明をいかなる点においても限定するように解釈されるべきではない。任意の見出しの下においてまたは本開示の任意の箇所において説明される実施形態は、同一のもしくは任意の他の見出し、あるいは本開示の他の箇所の下において説明される実施形態と組み合わされてもよい。
【0012】
本明細書において別様のことが示されるかまたは文脈によって明確に否定されない限り、本明細書に記載される要素のあらゆる可能なバリエーションでのあらゆる組合せが、本発明に包含される。
【0013】
本明細書において開示されるいくつかのまたはすべての実施形態は、体内に位置する腫瘍を治療するために身体上にトランスデューサを配置することに関し得る。本明細書において開示されるいくつかのまたはすべての実施形態は、例えば脳内など、頭部内に位置する腫瘍を治療するために頭部上にトランスデューサを配置することに関し得る。本明細書において開示されるいくつかのまたはすべての実施形態は、胴部内または身体の他の部分内に位置する腫瘍を治療するために胴部上または身体の他の部分上にトランスデューサを配置することに関し得る。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「1つの(a、an)」および「その(the)」という単数形は、文脈により別様のことが明示されない限り、複数の言及対象を含む。
【0015】
図1は、TTフィールドを印加するために被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定する一例の方法100を示す流れ図である。この例では、電場は、1対のトランスデューサ間に印加される。しかし、方法100は、2つの電場が2つの対のトランスデューサ間に印加される場合における各電場についても同様に適用される点に留意されたい。各対のトランスデューサは、被験者の身体内にTTフィールドを発生させるためのチャネルに相当する。
【0016】
本方法100のいくつかのステップが、コンピュータにより実施されるステップとして説明される。このコンピュータは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによるアクセスが可能なメモリとを備える任意のデバイスであってもよく、メモリは、1つまたは複数のプロセッサにより実行された場合にコンピュータによる本方法100の関連ステップの実施を促す命令を格納する。
【0017】
図1を参照すると、ステップS102において、方法100は、被験者の身体表面の最も近くに位置する、被験者の身体内の腫瘍の表面付近の部分を決定するステップを含む。腫瘍の表面付近の部分の決定は、例えば被験者の身体内の腫瘍の位置、腫瘍のサイズおよび形状、ならびに腫瘍のタイプに基づく。一例では、腫瘍の表面付近の部分は、画像データにより決定される。この画像データは、被験者の身体の一部分の1つまたは複数の画像を含むものであってもよい。これらの画像データには、例えば1つまたは複数のX線画像、磁気共鳴画像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)画像、超音波画像、または被験者の身体の内部可視化をもたらす被験者の身体の任意の画像などが含まれ得る。各画像は、被験者の身体の一部分の外部形状と、被験者の身体内の腫瘍に対応する領域とを含むものであってもよい。一実施形態では、腫瘍の1つまたは複数の表面付近の部分が決定され得る。一例では、腫瘍の1つまたは複数の表面付近の部分が、被験者の身体の表面までの距離に基づいて分類され得る。
【0018】
ステップS104において、方法100は、被験者の身体の他の部分に比べて腫瘍の表面付近の部分により近くに位置する、被験者の身体上における腫瘍付近の位置を決定するステップを含む。一例では、被験者の身体上における腫瘍付近の位置の決定は、例えば1つまたは複数のX線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像、被験者の身体の内部可視化をもたらす被験者の身体の任意の画像などの、画像データに基づく。各画像は、被験者の身体の一部分の外部形状と、被験者の身体内の腫瘍に対応する領域とを含むものであってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、腫瘍は、被験者の身体表面付近に位置する。一実施形態では、例えば、腫瘍の表面付近の部分は、被験者の身体上における腫瘍付近の位置から80mm以下の位置に存在する。別の例としては、腫瘍の表面付近の部分は、被験者の身体上における腫瘍付近の位置から66mm以下の位置に存在する。他の実施形態では、腫瘍の表面付近の部分は、被験者の身体上における腫瘍付近の位置から100mm以下、90mm以下、80mm以下、70mm以下、66mm以下、60mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下の位置に、またはさらには20mm未満の位置に存在する。他の実施形態では、例えば、腫瘍の表面付近の部分と交差する線分を引いた場合に、この線分は、被験者の身体の両側部上に第1の端点および第2の端点を有し、第1の端点は、被験者の身体上の腫瘍付近の位置と交差し、第1の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離は、第2の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離の50%以下である。別の例としては、第1の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離は、第2の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離の25%以下である。他の実施形態では、第1の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離は、第2の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離の50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、またはさらには10%未満である。
【0020】
一例では、腫瘍の位置は、被験者の身体の頭部内である。この例では、腫瘍付近の位置は、被験者の頭部の表面上である。例えば、腫瘍付近の位置は、頭蓋骨上に位置してもよい。別の例では、腫瘍の位置は、被験者の胴部内である。この例では、腫瘍付近の位置は、被験者の胴部の表面上である。例えば、腫瘍付近の位置は、被験者の胸部、背部、または腹部の上である。図6A図6Bでは、頭部および胴部に対して使用するためのトランスデューサの例を示し、以降でこれについてさらに論じる。
【0021】
ステップS106において、本方法は、TTフィールドを印加するために被験者の身体上に配置されることになる第1の対のトランスデューサのうちの第1のトランスデューサに関して、この第1のトランスデューサの外周部を決定するステップを含む。一例では、第1のトランスデューサは、相互に電気的に結合された複数の電極素子を備え、第1のトランスデューサのこれらの複数の電極素子は、外周部内に位置する。一例では、第1のトランスデューサの外周部は、実質的に正方形、矩形、正多角形、非正多角形、円形、楕円形、近似楕円形、卵形、または長円形である。本実施形態では、実質的な正方形、矩形、正多角形、または非正多角形の外周部は、丸い頂点を有する実質的な正方形、矩形、正多角形、または非正多角形を含む。一例では、第1のトランスデューサの表面積は、5000mm2以上である。別の例では、第1のトランスデューサの表面積は、6500mm2以上である。他の実施形態では、第1のトランスデューサの表面積は、1000mm2以上、2000mm2以上、3000mm2以上、4000mm2以上、5000mm2以上、6000mm2以上、6500mm2以上、7000mm2以上、8000mm2以上、9000mm2以上、10000mm2以上、15000mm2以上、20000mm2以上、25000mm2以上、50000mm2以上、または75000mm2以上である。一般的には、第1のトランスデューサの表面積は、75000mm2(750cm2)以下であるが、最大表面積は、治療対象となるヒト(または動物)のサイズにより決定される。例えば、第1のトランスデューサの表面積は、1000~75000mm2であってもよく、または2000~60000mm2であってもよく、または4000~50000mm2であってもよく、または4000~25000mm2であってもよい。
【0022】
一実施形態では、第1のトランスデューサの外周部は、第1のトランスデューサのエッジである。別の実施形態では、第1のトランスデューサの外周部は、第1のトランスデューサの凸形状周縁である。一例では、この凸形状周縁は、第1のトランスデューサの電極素子のすべてを囲む。別の例では、この凸形状周縁は、電極素子のうちの少なくとも3つに接触する。
【0023】
一例では、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部の部分は、第1のトランスデューサの電極素子のうちの少なくとも1つに接触する。他の実施形態では、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部のこの部分は、第1のトランスデューサの電極素子のうちの少なくとも2つまたは少なくとも3つに接触する。別の例では、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部のこの部分は、外周部の20%以下である。別の例として、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部のこの部分は、外周部の10%以下、またはさらには5%未満である。
【0024】
一実施形態では、第1のトランスデューサは、第1のトランスデューサのある面が被験者の身体に面する状態において、被験者の身体上に位置決めされるように構成される。一例では、第1のトランスデューサのこの面に対して垂直方向から見た場合に、第1のトランスデューサの電極素子のうちの複数が、第1のトランスデューサの外周部を画定する周縁電極素子となり、これらの周縁電極素子は、第1のトランスデューサの任意の他の電極素子を実質的に取り囲む。別の例では、第1のトランスデューサのこの面に対して垂直方向から見た場合に、腫瘍の表面付近の部分は、第1のトランスデューサの外周部内に実質的に位置する。
【0025】
一実施形態では、第1のトランスデューサの電極素子同士は、容量結合される。別の実施形態では、第1のトランスデューサの電極素子同士は、容量結合されない。一実施形態では、第1のトランスデューサの電極素子は、セラミックディスクを備える。一例では、各セラミックディスクは、約2cmの直径と、約1mmの最大厚さとを有する。他の実施形態では、第1のトランスデューサの電極素子は、非ディスク形状のセラミック素子である。別の実施形態では、第1のトランスデューサの電極素子は、非セラミック誘電体材料である。非セラミック誘電体材料の例としては、ポリマーフィルムが含まれる。図4A図4Bおよび図5A図5Bでは、これらの実施形態の例を示し、以降でこれについてさらに論じる。
【0026】
TTフィールドの電力密度は、腫瘍に対して送達されるTTフィールド線量を示すために用いられ得る。印加されるTTフィールドの電力密度は、例えばワット/体積などに換算され得る。一例では、印加されるTTフィールドの電力密度は、例えばmW/cm3などの単位であってもよい。第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に印加されるTTフィールドの電力密度は、以下の等式により計算することができる。
P=1/2σE2 等式1
ここで、Pは印加されるTTフィールドの電力密度であり、σは組織の導電率であり、Eは印加されるTTフィールドの電場の大きさである。
【0027】
上記で論じたように、電極素子アレイを備えるトランスデューサにおいては、このアレイのエッジに沿って位置する電極素子は、このアレイの中心付近に位置する電極素子に比べてより高い電流量を流し得る(例えばエッジ効果)。したがって、等式1によれば、トランスデューサのエッジに沿った電力密度は、トランスデューサの中心部分よりも高くなり得る。一実施形態では、トランスデューサの外周部における電力密度は、トランスデューサの中心部分の電力密度の100%~300%であってもよい。例えば、トランスデューサの外周部における電力密度は、その下限がトランスデューサの中心部分の電力密度の100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、または200%となり、その上限がトランスデューサの中心部分の電力密度の150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、または300%となる範囲内であってもよく、例えばトランスデューサの中心部分の電力密度の120~280%または150%~250%などの範囲内であってもよい。
【0028】
したがって、腫瘍が被験者の身体の表面付近に位置する場合に、すなわち第1のトランスデューサに対して近くに位置する場合に、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に第1のトランスデューサのエッジを(中心部分ではなく)配置することにより、腫瘍に対してより高い電場出力を送達することができる。なぜならば、エッジにおける電力密度はトランスデューサの中心部分における電力密度よりも高いからである。腫瘍が被験者の身体の表面から遠くに位置する場合には、すなわち第1のトランスデューサから遠くに位置する場合には、第1のトランスデューサのエッジではなく中心部分または中心付近の部分を被験者の身体上の腫瘍付近の位置に配置することにより、腫瘍に対してより高い電場出力が送達され得る。なぜならば、トランスデューサのエッジおよび中心部分の累積電場出力が腫瘍に対して送達され得るからである。図9A図9Fでは、これらの実施形態の例を示し、以降でこれについてさらに論じる。
【0029】
ステップS108では、方法100は、被験者の身体上において腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部の複数の部分をまたは第1のトランスデューサの複数の向きを特定するステップを含む。一例として、第1のトランスデューサの外周部が実質的に正方形、矩形、正多角形、または非正多角形である場合に、外周部の複数の部分は、1つまたは複数のコーナー(例えば鋭角もしくは丸い頂点)と、実質的に正方形、矩形、正多角形、または非正多角形の1つまたは複数のエッジとを備え得る。一例として、第1のトランスデューサの外周部が実質的に円形、楕円形、近似楕円形、卵形、または長円形である場合には、外周部の複数の部分は、実質的に円形、楕円形、近似楕円形、卵形、もしくは長円形の円弧または周囲部分からなり得る。
【0030】
ステップS110では、本方法は、外周部の複数の部分のうちの少なくとも1つを、または第1のトランスデューサの複数の向きのうちの少なくとも1つを選択するステップを含む。一例では、第1のトランスデューサの外周部の複数の部分のうちの少なくとも1つの選択は、外周部の形状、外周部上における電極素子の分布、および/または腫瘍のサイズおよび形状に基づく。一例として、第1のトランスデューサの外周部が実質的に正方形、矩形、正多角形、または非正多角形である場合に、1つまたは複数のコーナー(例えば鋭角または丸い頂点)のうちの少なくとも1つが選択され得る。一例として、第1のトランスデューサの外周部が実質的に円形、楕円形、近似楕円形、卵形、または長円形である場合には、円弧または周囲部分のうちの少なくとも1つまたは複数が選択され得る。別の例として、外周部の選択される少なくとも1つの部分は、第1のトランスデューサの電極素子のうちの少なくとも1つに接触する。他の実施形態では、外周部の選択される少なくとも1つの部分は、第1のトランスデューサの電極素子のうちの少なくとも2つまたは少なくとも3つに接触する。
【0031】
一実施形態では、第1のトランスデューサの外周部は、第1のトランスデューサのエッジである。この例では、本方法は、第1のトランスデューサのエッジ(例えば外周部)のあるセグメントを特定および出力するステップを含み得る。被験者の身体上に位置決めされることになる第1のトランスデューサの面に対して垂直方向から見た場合に、エッジのこのセグメントは、腫瘍の表面付近の位置に実質的に重畳する。一例では、エッジのこのセグメントは、第1のトランスデューサの重心に比べて腫瘍の表面付近の位置に対してより近くに位置する。
【0032】
別の実施形態では、第1のトランスデューサの外周部は、第1のトランスデューサの凸形状周縁である。この例では、方法100は、第1のトランスデューサの他の部分に比べて腫瘍の表面付近の位置に対してより近くに位置する、被験者の身体上に配置されることになる第1のトランスデューサの凸形状周縁の腫瘍付近の部分を特定および出力するステップを含み得る。
【0033】
ステップS112では、方法100は、ステップS110にて選択された、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる外周部の複数の部分のうちの少なくとも1つを、または第1のトランスデューサの複数の向きのうちの少なくとも1つを出力するステップを含む。一実施形態では、外周部の複数の部分のうちの少なくとも1つまたは第1のトランスデューサの複数の向きのうちの少なくとも1つが、出力デバイスにおいて出力される。
【0034】
図2は、腫瘍を有する被験者の身体に対してTTフィールドを印加するための一例の方法200を示す流れ図である。この例では、2つの電場が、2つの対のトランスデューサ間において交互に印加される。
【0035】
図2を参照すると、ステップS202では、本方法200は、被験者の身体上に第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサを配置するステップを含む。一例では、第1の対のトランスデューサは、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサを備え、第2の対のトランスデューサは、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサを備える。第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサの各トランスデューサは、電極素子アレイを有するトランスデューサであってもよい。一例では、第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサのうちのトランスデューサのうちの少なくとも1つを配置する位置が、方法100によって決定される。
【0036】
一例では、第1の対のトランスデューサの第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサが容量結合され、第2の対のトランスデューサの第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサが容量結合される。別の例では、第1の対のトランスデューサの第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサが容量結合されず、第2の対のトランスデューサの第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサが容量結合されない。
【0037】
一例では、第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサは、被験者の身体の頭部上に配置される。別の例では、第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサのそれぞれの第1のトランスデューサが、被験者の身体の頭部上に配置され、第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサのそれぞれの第2のトランスデューサが、被験者の身体の頸部上に配置される。別の例では、第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサは、被験者の身体の胴部上に配置される。別の例では、第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサのそれぞれの第1のトランスデューサが、被験者の身体の胴部上に配置され、第1の対のトランスデューサおよび第2の対のトランスデューサのそれぞれの第2のトランスデューサが、被験者の身体の胴部よりも下方に配置される。
【0038】
ステップS202では、方法200は、第1の対のトランスデューサ間に第1の腫瘍治療電場(TTフィールド)を、および第2の対のトランスデューサ間に第2の腫瘍治療電場(TTフィールド)を交互に発生させるステップを含む。第1のTTフィールドは、第1の時間間隔の間にわたり第1の対のトランスデューサ間において第1のAC発生器により発生された第1のAC電圧を印加することによって生成され、例えば低強度(例えば1~4V/cm)および中間周波数範囲(例えば125~250kHzまたはいくつかの例では50~500kHz)を有する。一例では、第1のTTフィールドの周波数は、150kHzである。第1のAC電圧は、第1の時間間隔(例えば1秒)の間にわたり第1の対のトランスデューサに対して印加される。第1の時間間隔の後、第1のTTフィールドの発生が終了する。次に、第2のTTフィールドが、第2の時間間隔の間にわたり第2の対のトランスデューサ間において第2のAC発生器により発生された第2のAC電圧を印加することによって生成され、例えば低強度(例えば1~4V/cm)および中間周波数範囲(例えば125~250kHzまたはいくつかの例では50~500kHz)を有する。一例では、第2のTTフィールドの周波数は、150kHzである。第2のAC電圧は、第2の時間間隔(例えば1秒)の間にわたり第2の対のトランスデューサに対して印加される。第2の時間間隔と第1の時間間隔は同じであっても異なってもよい。第2の時間間隔の後、第2のTTフィールドの発生が終了する。次に、この方法は、第1の時間間隔の間にわたり第1の対のトランスデューサ間において第1のTTフィールドを発生させ、第2の時間間隔の間にわたり第2の対のトランスデューサ間において第2のTTフィールドを発生させることを交互に行うプロセスを反復する。
【0039】
図3は、TTフィールドを印加する腫瘍の位置に基づいて被験者の身体上においてトランスデューサの位置を決定する一例を示す。
【0040】
図3に示す例では、腫瘍301が、被験者の身体300内に位置する。この例では、腫瘍301は、被験者の頭部内に位置する。腫瘍301の表面付近の部分302が決定される。一例では、腫瘍301の表面付近の部分302は、腫瘍301の他の部分に比べて被験者の身体の表面に対してより近くに位置する。被験者の頭部上の腫瘍付近の位置304は、表面付近の部分302に基づいて決定される。一例では、腫瘍付近の位置304は、被験者の身体の他の部分に比べて腫瘍301の表面付近の部分302に対してより近くに位置する。線分303が、表面付近の部分302および腫瘍付近の位置304と交差する。一例では、この線分303は、被験者の身体の両側部上に第1の端点および第2の端点を有する。この例では、第1の端点は、腫瘍付近の位置304であり、第2の端点305は、被験者の頭部の対向側に位置する。
【0041】
一例では、表面付近の部分302と腫瘍付近の位置304との間の距離は、80mm以下である。別の例では、表面付近の部分302と腫瘍付近の位置304との間の距離は、66mm以下である。他の例では、表面付近の部分302と腫瘍付近の位置304との間の距離は、80mm以下、70mm以下、66mm以下、60mm以下、55mm以下、50mm以下、45mm以下、40mm以下、もしくは35mm以下、またはさらには30mm以下であり、例えば30~80mm、35~80mm、もしくは40~80mmの間である。別の例では、腫瘍付近の位置304と表面付近の部分302との間の距離は、第2の端点305と表面付近の部分302との間の距離の50%以下である。別の例では、腫瘍付近の位置304と表面付近の部分302との間の距離は、第2の端点305と表面付近の部分302との間の距離の25%以下である。他の実施形態では、腫瘍付近の位置304と表面付近の部分302との間の距離は、第2の端点305と表面付近の部分302との間の距離の50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、10%以下、またはさらには5%以下である。例えば、腫瘍付近の位置304と表面付近の部分302との間の距離は、第2の端点305と表面付近の部分302との間の距離の5%~50%または5%~30%の間であってもよい。
【0042】
一実施形態では、被験者の身体上における第1の対のトランスデューサのうちの第1のトランスデューサの位置は、腫瘍付近の位置304に基づいて決定される。一例では、第1のトランスデューサは、第1のトランスデューサの外周部の一部分が腫瘍付近の位置304に実質的に位置する状態において、配置される。一実施形態では、第1のトランスデューサの面に対して垂直方向から見た場合に、被験者の身体の表面上に位置する腫瘍付近の位置は、トランスデューサの外周部からトランスデューサの重心までの距離の10%未満、またはさらには5%未満、例えば0%~5%の間などである、第1のトランスデューサの外周部からの距離に位置する。別の実施形態では、第1のトランスデューサの面に対して垂直方向から見た場合に、被験者の身体の表面上における腫瘍付近の位置は、トランスデューサの外周部からトランスデューサの重心までの距離の50%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満である、第1のトランスデューサの外周部からの距離に位置する。別の実施形態では、第1のトランスデューサの面に対して垂直方向から見た場合に、被験者の身体の表面上における腫瘍付近の位置は、トランスデューサの外周部からトランスデューサの重心までの距離の0%~50%、または5%~50%、または0%~30%、またはさらには5%~30%の間である、第1のトランスデューサの外周部からの距離に位置する。別の実施形態では、被験者の身体上における第1の対のトランスデューサのうちの第2のトランスデューサの位置が、第2の端点305に基づいて決定される。一例では、第2のトランスデューサは、第2のトランスデューサの中心部分が第2の端点305に実質的に位置する状態で配置される。第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサの一例は、トランスデューサアレイであり、各トランスデューサアレイは、複数の電気結合された電極素子を備える。
【0043】
図4Aおよび図4Bは、トランスデューサの構造体の例である。例えば、図4Aに示すように、トランスデューサ400Aは、基板401Aおよび複数の電極素子402Aを有する。基板401Aは、被験者の身体に対してトランスデューサを装着するために構成される。基板401Aに適した材料は、導電性材料であるかまたは導電性材料を含み、この材料としては、例えば布、発泡材、および可撓性プラスチックなどが含まれ得る。一例では、基板401Aは、導電性医療用ゲルであるかまたは導電性医療用ゲルを含み、この導電性医療用ゲルは、典型的には約0.5mm以上の厚さを有してもよく、または基板材料(例えば布、発泡材、可撓性プラスチック等)中に注入/吸収されてもよい。別の例では、基板401Aは、導電性接着剤であるかまたは導電性接着剤を含み、この導電性接着剤は、約20μm以上の厚さを有してもよく、または基板材料(例えば布、発泡材、可撓性プラスチック等)中に注入/吸収されてもよい。さらに具体的な一例では、基板401Aは、0.5mmの最小厚さを有する導電性ヒドロゲル層である。一例では、トランスデューサ400Aは、トランスデューサの面403Aが被験者の身体に対して面する状態で、被験者の身体上に位置決めされるように構成される。
【0044】
複数の容量結合された電極素子402Aが、基板401A上に位置決めされ、各容量結合された電極素子が、導電性プレートを有し、この導電性プレートは、基板に面する状態で配設された誘電体層を上に有する。任意には、1つまたは複数のセンサが、Novocure Optune(登録商標)システムにおいて用いられる従来の構成と同様の様式で、各電極素子の下方に位置決めされてもよい。一例では、これらの1つまたは複数のセンサは、温度センサ(例えばサーミスタ)である。
【0045】
図4Bは、トランスデューサ400Bの構造体の別の例を示す。この例では、トランスデューサ400Bは、複数の電極素子401Bを備える。これらの複数の電極素子401Bは、基板を用いずに相互に対して電気的かつ機械的に接続される。一例では、これらの電極素子401Bは、導電性ワイヤ402Bを介して相互に接続される。
【0046】
図5Aおよび図5Bは、被験者の身体に面するトランスデューサの面に対して垂直方向から見た場合における、複数の電気結合された電極素子を有するトランスデューサの構造体の例を示す。
【0047】
図5Aに示す例では、トランスデューサ500Aは、基板501Aおよび複数の電極素子502A(例えば502-1A~502-8A、および506A)を有する。基板501Aは、被験者の身体に対してトランスデューサを装着するために構成される。基板501Aに適した材料としては、上記で論じたように例えば布、発泡材、および可撓性プラスチックなどが含まれる。
【0048】
複数の容量結合された電極素子502A(例えば502-1A~502-8A、および506A)が、基板501A上に位置決めされ、各容量結合された電極素子502Aが、誘電体層を有する導電性プレートを有し、この誘電体層は、基板上に配設される。任意には、1つまたは複数のセンサが、Novocure Optune(登録商標)システムにおいて用いられる従来の構成と同様の様式で、各電極素子の下方に位置決めされてもよい。一例では、これらの1つまたは複数のセンサは、温度センサ(例えばサーミスタ)である。
【0049】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ500Aの電極素子502-1A~502-8A中の複数が、トランスデューサの外周部を画定する。一例では、トランスデューサ500Aの外周部504Aは、外周部の電極素子の重心503Aにより決定される。この例では周縁電極素子502-1A~502-8Aの重心が、外周部504Aを画定する。この例では、外周部504Aは矩形である。
【0050】
別の例では、トランスデューサ500Aの外周部505Aは、外周部の電極素子のうちの複数を囲み接触する形状によって決定される。この例では、周縁電極素子502-1A~502-8Aの最外エッジが、外周部505Aを画定する。
【0051】
一例では、周縁電極素子502-1A~502-8Aは、他の電極素子(例えばトランスデューサ500Aの中心に位置する電極素子506A)を取り囲む。
【0052】
一実施形態では、実質的に被験者の身体上における腫瘍付近の位置にトランスデューサ500Aの外周部を配置する場合に、周縁電極素子502-1A~502-8Aのうちの少なくとも1つが、実質的に腫瘍付近の位置に配置される。
【0053】
図5Bは、非セラミックの電気結合された電極素子502-B(例えば502-1B~502-8B)を有するトランスデューサ500Bの一例を示す。この例では、トランスデューサ500Bは、基板501Bおよび複数の非セラミック電極素子502-B(例えば502-1B~502-8B)を有する。一実施形態では、これらの非セラミック電極素子は、可撓性誘電体材料を含む。可撓性誘電体材料の例としては、誘電体ポリマーまたは誘電体コポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、非セラミック電極素子502-1B~502-8Bは、非円形形状を有する。この例では、電極素子502-1B~502-8Bは、実質的に三角形形状またはウェッジ形状を有する。別の実施形態では、トランスデューサ500Bは、基板を備えない。この例では、非セラミック電極素子502-1B~502-8Bは、被験者の身体に対して直接的に装着される。
【0054】
いくつかの実施形態では、電極素子502-1B~502-8Bのうちの複数が、トランスデューサ500Bの外周部を画定する。図5Bに示す例では、トランスデューサ500Bの外周部503Bは、楕円形状を有する。この例では、周縁電極素子502-1B~502-8Bの最外エッジが、外周部503Bを画定する。
【0055】
さらに、容量結合されない電極素子アレイを使用するトランスデューサが使用されてもよい。この状況では、トランスデューサ500Aおよび500Bは、被験者の身体に対接して配置されるように構成された導電性材料のある領域を使用して実装され得る。ここで、絶縁誘電体層は、導電性素子と身体との間に配設されない。
【0056】
図6Aおよび図6Bは、腫瘍治療電場を送達するために被験者に身体に対してトランスデューサを装着する例を示す。
【0057】
図6Aに示す例では、トランスデューサ601A、602A、603A、および604Aは、被験者の頭部に対してTTフィールドを印加するために被験者の頭部に対して装着される。一実施形態では、2つの電場が、2つの対のトランスデューサの間に交互に印加される。各対のトランスデューサは、被験者の身体内にTTフィールドを発生させるためのチャネルに相当する。対のトランスデューサに関して、トランスデューサ601Aおよび603Aは、第1の対のトランスデューサを構成し、トランスデューサ602Aおよび604Aは、第2の対のトランスデューサを構成し得る。
【0058】
図6Bに示す例では、トランスデューサ601B、602B、603B、および604Bは、被験者の胴部に対してTTフィールドを印加するために被験者の身体に対して装着される。一実施形態では、2つの電場が、2つの対のトランスデューサの間に交互に印加される。各対のトランスデューサは、被験者の身体内にTTフィールドを発生させるためのチャネルに相当する。図6Bに示す例では、トランスデューサ601Bは、被験者の右胸前部に対して装着され、トランスデューサ602Bは、被験者の右大腿前部に対して装着され、トランスデューサ603Bは、被験者の左胸背部に対して装着され、トランスデューサ604Bは、被験者の左大腿後部に対して装着される。対のトランスデューサに関して、トランスデューサ601Bおよび604Bは、第1の対のトランスデューサを構成し、トランスデューサ602Bおよび603Bは、第2の対のトランスデューサを構成し得る。
【0059】
図7Aおよび図7Bは、電場が被験者の頭部に対して種々のサイズのトランスデューサを介して印加される場合の電場強度の例示のシミュレーション結果を示す。図7Aおよび図7Bに示す例では、トランスデューサは、導電性可撓性シートである。さらに、同一の周波数および電圧を有する同一のTTフィールドが、図7Aおよび図7Bに示すシミュレーション結果を取得するために使用される。
【0060】
図7Aは、被験者の頭部の三次元モデルの側面画像と、この三次元モデルにわたる電場強度分布を示すこの三次元モデルの頭部の水平方向スライスとを含む。この例では、80×52mm2のサイズの矩形形状トランスデューサが、被験者の頭部に対してTTフィールドを送達するようにシミュレーションされる。この例では、矩形トランスデューサの表面積は、4,160mm2である。図7Aにおいて頭部の水平方向スライスで示すように、頭部の表面付近の電場強度は、約3.5V/cmであり(オレンジ色/赤色)、この電場強度は、トランスデューサの長さ方向に沿って実質的に均一に分布する。そのため、図7Aのシミュレーション結果は、エッジ効果を示さない。
【0061】
図7Bは、被験者の頭部の三次元モデルの側面画像と、この三次元モデルにわたる電場強度分布を示すこの三次元モデルの頭部の水平方向スライスとを含む。この例では、140×91mm2のサイズを有する矩形形状トランスデューサが、被験者の頭部に対してTTフィールドを送達するようにシミュレーションされる。この例では、矩形トランスデューサの表面積は、12,740mm2である。図7Bにおいて頭部の水平方向スライスで示すように、トランスデューサのエッジの箇所における頭部の表面付近の電場強度は、約3.5V/cmであり(オレンジ色/赤色)、トランスデューサの2つのエッジ間における頭部の表面付近雄電場強度は、約2V/cmである(黄色/緑色)。そのため、図7Bのシミュレーション結果は、エッジ効果を示す。
【0062】
図8A図8Cは、電場が被験者の頭部に対して種々の形状のトランスデューサを介して印加される場合に、トランスデューサアレイの下方の組織により吸収される電力の例示的なシミュレーション結果を示す。図8A図8Cに示す例では、トランスデューサは、導電性可撓性シートである。さらに、同一の周波数および電圧を有する同一のTTフィールドが、図8A図8Cに示すシミュレーション結果を取得するために使用される。図8A図8Cは、エッジ効果の種々の例を示す。
【0063】
図8Aに示す例では、楕円形状のトランスデューサが、TTフィールドを送達するために被験者の頭部上に配置される。図8Aに示すように、楕円形トランスデューサの外周部により被験者の頭部に対して送達される電力は、約70W/kgであり(黄色)、楕円形トランスデューサの中心により送達される電力は、ほぼゼロである(黒色/濃青色)。さらに、中心と外周部との間に位置する楕円形トランスデューサの部分により送達される電力は、約12W/kgである(青色)。
【0064】
図8Bに示す例では、円形形状トランスデューサが、TTフィールドを送達するために被験者の頭部上に配置される。図8Bに示すように、円形トランスデューサの外周部により被験者の身体に対して送達される電力は、約50W/kgであり(オレンジ色/黄色)、楕円形トランスデューサの中心により送達される電力は、ほぼゼロである(黒色/濃青色)。さらに、中心と外周部との間に位置する円形トランスデューサの部分により送達される電力は、約12W/kgである(青色)。
【0065】
図8Cに示す例では、矩形形状トランスデューサが、TTフィールドを送達するために被験者の頭部上に配置される。図8Cに示すように、矩形トランスデューサの外周部のコーナーにより被験者の身体に対して送達される電力は、約70W/kgであり(黄色)、外周部のエッジにより送達される電力は、約42W/kgである(赤色)。さらに、矩形トランスデューサの中心により送達される電力は、ほぼゼロであり(黒色/濃青色)、中心と外周部との間に位置する矩形トランスデューサの部分により送達される電力は、約12W/kgである(青色)。
【0066】
図8A図8Cに示す例同士を比較すると、楕円形トランスデューサ(図8A)の電力は、トランスデューサの外周部の周囲に沿って最も均等に分布する。さらに、矩形トランスデューサ(図8C)の電力は、トランスデューサの外周部の周囲に沿って最も不均等に分布する。さらに、円形トランスデューサ(図8B)の電力は、楕円形トランスデューサに比べるとこのトランスデューサの外周部の周囲に沿った分布の均等性においてより劣り、矩形トランスデューサに比べると分布の均等性においてより優れている。さらに、電力がほぼゼロである楕円形トランスデューサの中心のサイズは、最小であり、矩形トランスデューサの中心のサイズは、最大であり、円形トランスデューサの中心のサイズは、楕円形トランスデューサの場合と矩形トランスデューサの場合との間となる。
【0067】
図9A図9Fは、矩形トランスデューサの長さに応じて腫瘍に対して送達される電場強度の例示のシミュレーション結果を示す。いずれの例においても、(a)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部内の中央に位置するようにトランスデューサを位置決めした場合と、(b)腫瘍がトランスデューサアレイ外周部のエッジに位置するようにトランスデューサを位置決めした場合とを比較している。図9C図9Fはそれぞれ、被験者の頭部の表面に対するそれぞれ異なる距離ごとの関係性を示しており、図9Cは、被験者の頭部の表面に対して最も近い距離を示す。示すように(9C)、表面付近の腫瘍に対して、トランスデューサのエッジ効果はより高い電場強度を示し得る。
【0068】
図9Aは、矩形トランスデューサがTTフィールドを送達するために被験者の頭部上に配置された状態にある、被験者の頭部の三次元モデルの側面図画像である。この例では、矩形トランスデューサ903の幅は65mmである。矩形トランスデューサ903の長さLは、80mm~130mの間で変動する(図9C図9Fのグラフのx軸を参照)。この画像は、2つの腫瘍位置901Aおよび902Aを含み、各腫瘍位置は、図9Bに示すように4つの深さ位置(これらの位置は表面から10mmずつ逐次的に遠ざかる)を有する。
【0069】
図9Bは、被験者の頭部の表面に対して4つの距離を有する8つの腫瘍位置を示す、図9Aの被験者の身体の三次元モデルの上面図である。腫瘍位置901A(図9A、トランスデューサの右側)は、位置901-1B、901-2B、901-3B、および901-4B(図9B、右側位置)を含む。腫瘍位置902A(図9A、トランスデューサの中心)は、位置902-1B、902-2B、902-3B、および902-4B(図9B、左側位置)を含む。図9Bに示す例では、腫瘍位置901-1Bおよび902-1Bは、被験者の頭部の表面に対して最も近くに位置し(表面までの901-1Bの距離=4cm)、腫瘍位置901-4Bおよび902-4Bは、被験者の頭部の表面に対して最も遠くに位置し(表面までの901-4Bの距離=7cm)、腫瘍位置901-2B、902-2B(表面までの901-2Bの距離=5cm)、および腫瘍位置901-3B、902-3B(表面までの901-3Bの距離=6cm)は、腫瘍位置901-1Bおよび902-1Bと腫瘍位置901-4Bおよび902-4Bとの間に位置する。このトランスデューサは、図9Bにおける位置902-1B、902-2B、902-3B、および902-4Bがトランスデューサの中心より奥に整列し(図9Aに示すように)、図9Bにおける位置901-1B、901-2B、901-3B、および901-4Bがトランスデューサの右側エッジの奥に整列するように(図9Aに示すように)、図9Bの下方側に位置する。
【0070】
図9Aおよび図9Bを考察した場合に、腫瘍位置901-1B~901-4Bに関して、シミュレーション結果は、トランスデューサの外周部の一部分(図9Aにおける腫瘍位置901Aに対応)により腫瘍に対して送達される電場強度である。同様に、腫瘍位置902-1B~902-4Bに関して、シミュレーション結果は、トランスデューサの中心部分(図9Aにおける腫瘍位置902Aに対応)により腫瘍に対して送達される電場強度である。
【0071】
図9Cは、トランスデューサの長さに応じて腫瘍位置901-1Bおよび902-1Bに対して送達される電場強度のグラフである。図9Cでは、グラフ901Cは、腫瘍位置901-1Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの外周部の一部分により送達される電場強度である。また、グラフ902Cは、腫瘍位置902-1Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの中心部分により送達される電場強度である。トランスデューサの長さが100mm以下である場合に、トランスデューサの外周部および中心部分の電場強度は、ほぼ同一である。トランスデューサの長さが100mm超である場合に、トランスデューサの中心部分の電場強度は、ほぼ同一に留まり、一方で外周部の電場強度は、大幅に上昇する。そのため、腫瘍が、被験者の身体の表面に対して、被験者の身体の表面に対する位置1Bの距離以下の距離に位置する場合には、被験者の頭部上における腫瘍付近の位置にトランスデューサの外周部の一部分を配置することにより、腫瘍に対してより高い電場出力が送達され得る。
【0072】
図9Dは、トランスデューサの長さに応じて腫瘍位置901-2Bおよび902-2Bに対して送達される電場強度のグラフである。図9Dでは、グラフ901Dは、腫瘍位置901-2Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの外周部の一部分により送達される電場強度である。また、グラフ902Dは、腫瘍位置902-2Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの中心部分により送達される電場強度である。図9Dに示す例では、トランスデューサの外周部および中心部分の電場強度は、ほぼ同一である。(図9Dのy軸目盛は、図9Cのy軸目盛とは異なる点に留意されたい)。さらに、トランスデューサの長さが増大すると、外周部の前出の部分の電場強度は上昇するが、トランスデューサの長さが100~120mmの間である場合を除く。さらに、トランスデューサの長さが増大すると、トランスデューサの中心部分の電場強度は上昇する。そのため、腫瘍が、被験者の身体の表面に対して、被験者の身体の表面に対する位置2Bの距離と同等の距離に位置する場合には、被験者の頭部上における腫瘍付近の位置にトランスデューサの外周部の一部分を配置する場合、または被験者の頭部上における腫瘍付近の位置にトランスデューサの中心部分を配置する場合のいずれによっても、腫瘍に対して同様の電場出力がもたらされ得る。
【0073】
図9Eは、トランスデューサの長さに応じて腫瘍位置901-3Bおよび902-3Bに対して送達される電場強度のグラフである。図9Eでは、グラフ901Eは、腫瘍位置901-3Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの外周部の一部分により送達される電場強度である。また、グラフ902Eは、腫瘍位置902-3Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの中心部分により送達される電場強度である。図9Eに示す例では、トランスデューサの外周部および中心部分の電場強度は、ほぼ同一である。(図9D図9E、および図9Fのy軸目盛は、図9Cのy軸目盛とは異なる点に留意されたい)。さらに、トランスデューサの長さが増大すると、トランスデューサの外周部の前出の部分の電場強度およびトランスデューサの中心部分の電場強度は、上昇する。そのため、腫瘍が、被験者の身体の表面に対して、被験者の身体の表面に対する位置3Bの距離と同等の距離に位置する場合には、被験者の頭部上における腫瘍付近の位置にトランスデューサの外周部の一部分を配置する場合、または被験者の頭部上における腫瘍付近の位置にトランスデューサの中心部分を配置する場合のいずれによっても、腫瘍に対して送達されることになる電場出力は同様となり得る。
【0074】
図9Fは、トランスデューサの長さに応じて腫瘍位置901-4Bおよび902-4Bに対して送達される電場強度のグラフである。図9Fでは、グラフ901Fは、腫瘍位置901-4Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの外周部の一部分により送達される電場強度である。また、グラフ902Fは、腫瘍位置902-4Bに対して送達される電場強度であり、すなわち被験者の身体上における腫瘍付近の位置に配置されたトランスデューサの中心部分により送達される電場強度である。図9Fに示す例では、トランスデューサの外周部の一部分の電場強度は、トランスデューサの中心部分の電場強度よりも低い。さらに、トランスデューサの長さが増大すると、トランスデューサの中心部分の電場強度は上昇するが、トランスデューサの外周部の前出の部分の電場強度は低下する。そのため、腫瘍が、被験者の身体の表面に対して、被験者の身体の表面に対する位置4Bの距離以上の距離に位置する場合には、被験者の頭部上における腫瘍付近の位置にトランスデューサの中心部分を配置することにより、腫瘍に対してより高い電場出力が送達され得る。
【0075】
図9C図9Fを共に考察した場合に、y軸目盛は、図9Cではやや異なる点に留意されたい。図9D図9Fにおいて、電場強度データが概ね1.5~2.5V/cmの間である場合に、図9Cの曲線901Cは、エッジに位置決めされたトランスデューサに関して>6V/cmの顕著な電場強度を示す。すなわち、圧倒的に最大の顕著な効果が、身体の表面に対して最も近い位置となる位置901-1Bにて腫瘍に対して電場を印加するエッジに位置決めされたトランスデューサに関して見受けられる。しかし、この効果は、トランスデューサの長さが110mm以上である場合にのみ明白となる。図7Aおよび図7Bは、この効果を定性的に示す。図7Aは、長さがより短いトランスデューサ(L<110mm)がエッジ効果を生じさせず、すなわち電荷がトランスデューサの長さ方向に沿って均等に分布し、頭部の中心を通過する場合より短い経路が電流にとって存在しないことを示す。他方において、図7Bは、エッジ効果を生じさせない、長さがより長いトランスデューサ(L>110mm)の場合を示す。すなわち、より高い電荷濃度が、トランスデューサのエッジに位置し、さらには、あるトランスデューサから他のトランスデューサへ(あるエッジから他のエッジへ)流れる電流にとって、頭部の中心を通過する場合よりも短い経路が存在する。したがって、より長いトランスデューサの場合には、より短いトランスデューサの場合よりもより高い電場強度が、トランスデューサのエッジに存在する。
【0076】
図10は、本明細書において論じる方法を実施するための装置1000の一例を示す。この例では、装置1000は、1つまたは複数のプロセッサ1002、1つまたは複数の出力デバイス1006、メモリ1003、および1つまたは複数のユーザ入力デバイス1005を備える。
【0077】
1つまたは複数のプロセッサ1002は、汎用プロセッサ、集積回路、サーバ、他のプログラマブル論理デバイス、またはそれらの任意の組合せからなり得る。プロセッサは、従来的なプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。1つまたは複数のプロセッサは、同一のまたは異なるタイプの1つ、2つ、またはそれ以上の個数のプロセッサであってもよい。さらに、1つまたは複数のプロセッサは、コンピュータ、コンピューティングデバイス、およびユーザデバイス等であってもよい。
【0078】
メモリ1003は、1つまたは複数のプロセッサ1002によるメモリ1003からの情報の読取りおよびメモリ1003への情報の書込みが可能となるように、リンク1004を介した1つまたは複数のプロセッサ1002によるアクセスが可能である。一例では、1つまたは複数のユーザ入力デバイス1005により収集された1つまたは複数のユーザ入力が、1つまたは複数のプロセッサ1002により処理され、メモリ1003に記憶される。メモリは、プロセッサと一体であってもよく、またはプロセッサから独立したものであってもよい。メモリ1003の例としては、RAM、フラッシュ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ディスクストレージ、または任意の他の形態のストレージメディアが含まれる。メモリ1003は、1つまたは複数のプロセッサ1002により実行された場合に、本発明の1つまたは複数の実施形態の実施を促す命令を、または1つまたは複数のプロセッサ1002による本発明の1つまたは複数の実施形態の実施を促す命令を格納し得る。メモリ1003は、命令を格納する持続性コンピュータ可読媒体であってもよく、この持続性コンピュータ可読媒体は、コンピュータにより実行される場合に、本明細書において論じる例示の方法のうちの1つまたは複数の実施をコンピュータに促す。
【0079】
一例では、1つまたは複数の入力1001に基づいて、1つまたは複数のプロセッサは、被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するために外周部の複数の部分および/またはトランスデューサの複数の向きのうちの少なくとも1つを選択する。1つまたは複数の入力1001としては、画像データおよび/またはユーザ入力が含まれ得る。1つまたは複数のユーザ入力1001は、1つまたは複数の入力デバイス1005を介して受領され得る。外周部の複数の部分および/または複数の向きのうちの選択された少なくとも1つが、装置1000の1つまたは複数の出力デバイス1006において出力され得る。
【0080】
例示の実施形態
本発明は、例えば以下のような他の例示の実施形態を含む。
【0081】
例示の実施形態1.腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するためのコンピュータ実装方法。この方法は、被験者の身体内の腫瘍の表面付近の部分を決定するステップであって、腫瘍のこの表面付近の部分が、腫瘍の他の部分よりも被験者の身体の表面に対してより近くに位置する、ステップと、被験者の身体上において腫瘍付近の位置を決定するステップであって、被験者の身体上におけるこの腫瘍付近の位置が、被験者の身体の他の位置よりも腫瘍の表面付近の部分に対してより近くに位置する、ステップと、腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上に配置されることになる1対のトランスデューサの第1のトランスデューサに関して、この第1のトランスデューサの外周部を決定するステップであって、第1のトランスデューサが、互いに電気結合された複数の電極素子を備え、第1のトランスデューサのこれらの複数の電極素子が、外周部内に位置する、ステップと、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部の部分を特定するステップとを含む。
【0082】
例示の実施形態2.腫瘍の表面付近の部分が、被験者の身体上における腫瘍付近の位置から80mm以下の位置に存在する、例示の実施形態1に記載の方法。
【0083】
例示の実施形態3.腫瘍の表面付近の部分が、被験者の身体上における腫瘍付近の位置から66mm以下の位置に存在する、例示の実施形態2に記載の方法。
【0084】
例示の実施形態4.第1のトランスデューサの外周部内において中心に位置する第1のトランスデューサの中心部分を決定するステップと、被験者の身体に対して腫瘍治療電場を印加する場合の、第1のトランスデューサの外周部の前出の部分における電力密度および第1のトランスデューサの中心部分における電力密度を決定するステップとをさらに含み、第1のトランスデューサの外周部の前出の部分における電力密度が、第1のトランスデューサの中心部分における電力密度の100%~300%である、例示の実施形態2に記載の方法。
【0085】
例示の実施形態5.被験者の身体の両側部上に第1の端点および第2の端点を有し、腫瘍の表面付近の部分と交差する線分に関して、第1の端点が、被験者の身体上の腫瘍付近の位置と交差し、第1の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離は、第2の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離の50%以下である、例示の実施形態1に記載の方法。
【0086】
例示の実施形態6.第1の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離のが、第2の端点と腫瘍の表面付近の部分との間の距離の25%以下である、例示の実施形態5に記載の方法。
【0087】
例示の実施形態7.第1のトランスデューサの表面積が5000mm2以上である、例示の実施形態1に記載の方法。
【0088】
例示の実施形態8.第1のトランスデューサの表面積が6500mm2以上である、例示の実施形態1に記載の方法。
【0089】
例示の実施形態9.第1のトランスデューサが、第1のトランスデューサのある面が被験者の身体に面する状態において、被験者の身体上に位置決めされるように構成され、第1のトランスデューサのこの面に対して垂直方向から見た場合に、腫瘍の表面付近の部分が、第1のトランスデューサの外周部内に実質的に位置する、例示の実施形態1に記載の方法。
【0090】
例示の実施形態10.被験者の身体上における腫瘍付近の位置が、第1のトランスデューサの外周部内に実質的に位置し、トランスデューサの外周部から重心までの距離の10%未満である外周部からの距離に位置する、例示の実施形態1に記載の方法。
【0091】
例示の実施形態11.被験者の身体上における腫瘍付近の位置が、第1のトランスデューサの外周部内に実質的に位置し、トランスデューサの外周部から重心までの距離の0%~50%である外周部からの距離に位置する、例示の実施形態1に記載の方法。
【0092】
例示の実施形態12.第1のトランスデューサが、第1のトランスデューサのある面が被験者の身体に面する状態において、被験者の身体上に位置決めされるように構成され、第1のトランスデューサのこの面に対して垂直方向から見た場合に、第1のトランスデューサの電極素子のうちの複数が、第1のトランスデューサの外周部を画定する周縁電極素子であり、これらの周縁電極素子が、第1のトランスデューサの任意の他の電極素子を実質的に取り囲む、例示の実施形態1に記載の方法。
【0093】
例示の実施形態13.第1のトランスデューサの電極素子のうちの少なくとも1つが、被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部の前出の部分に接触する、例示の実施形態1に記載の方法。
【0094】
例示の実施形態14.被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部の前出の部分が、外周部の20%以下である、例示の実施形態1に記載の方法。
【0095】
例示の実施形態15.被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部の前出の部分が、外周部の10%以下である、例示の実施形態14に記載の方法。
【0096】
例示の実施形態16.第1のトランスデューサの外周部が、実質的に正方形、矩形、正多角形、非正多角形、円形、楕円形、近似楕円形、卵形、または長円形である、例示の実施形態1に記載の方法。
【0097】
例示の実施形態17.被験者の身体上における腫瘍付近の位置に実質的に配置されることになる第1のトランスデューサの外周部の複数の部分を特定するステップと、第1のトランスデューサの外周部のこれらの複数の部分のうちの少なくとも1つを選択するステップと、腫瘍治療電場を印加するための被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するために、第1のトランスデューサの外周部の複数の部分の選択されたこの少なくとも1つを出力するステップとをさらに含む、例示の実施形態1に記載の方法。
【0098】
例示の実施形態18.被験者の身体上における腫瘍付近の位置に第1のトランスデューサの外周部の前出の部分を実質的に配置するために、被験者の身体上における第1のトランスデューサの複数の向きを特定するステップと、第1のトランスデューサのこれらの複数の向きのうちの少なくとも1つを選択するステップと、腫瘍治療電場を印加するための被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するために、第1のトランスデューサの複数の向きのうちの選択された少なくとも1つを出力するステップとをさらに含む、例示の実施形態1に記載の方法。
【0099】
例示の実施形態19.電極素子同士が容量結合される、例示の実施形態1に記載の方法。
【0100】
例示の実施形態20.電極素子同士が容量結合されない、例示の実施形態1に記載の方法。
【0101】
例示の実施形態21.電極素子がポリマーフィルムを備える、例示の実施形態1に記載の方法。
【0102】
例示の実施形態22.電極素子がセラミックディスクを備える、例示の実施形態1に記載の方法。
【0103】
例示の実施形態23.腫瘍が被験者の頭部内に位置する、例示の実施形態1に記載の方法。
【0104】
例示の実施形態24.腫瘍が被験者の胴部内に位置する、例示の実施形態1に記載の方法。
【0105】
例示の実施形態25.腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するためのコンピュータ実装方法。この方法は、腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上に配置されることになる1対のトランスデューサの第1のトランスデューサに関して、この第1のトランスデューサのエッジを決定するステップであって、第1のトランスデューサが、互いに電気結合された電極素子アレイを備える、ステップと、被験者の身体内の腫瘍の表面付近の位置と被験者の身体の表面上における腫瘍最直近の位置とを決定するステップと、被験者の身体上に位置決めされることになる第1のトランスデューサのある面に対して垂直方向から見た場合に、腫瘍の表面付近の位置に実質的に重畳する第1のトランスデューサのエッジのセグメントを特定するステップであって、エッジのこのセグメントが、第1のトランスデューサの重心よりも被験者の身体の表面上における腫瘍付近の位置に対してより近くに位置する、ステップとを含む。
【0106】
例示の実施形態26.第1のトランスデューサの前出の面に対して垂直方向から見た場合に、被験者の身体の表面上における腫瘍付近の位置が、トランスデューサのエッジからトランスデューサの重心までの距離の10%未満であるトランスデューサのエッジからの距離に位置する、例示の実施形態25に記載の方法。
【0107】
例示の実施形態27.第1のトランスデューサの前出の面に対して垂直方向から見た場合に、被験者の身体の表面上における腫瘍付近の位置が、トランスデューサのエッジからトランスデューサの重心までの距離の0%~50%の範囲内であるトランスデューサのエッジからの距離に位置する、例示の実施形態25に記載の方法。
【0108】
例示の実施形態28.第1のトランスデューサの前出の面に対して垂直方向から見た場合に、電極素子のうちの複数が、第1のトランスデューサのエッジを画定する周縁電極素子であり、これらの周縁電極素子が、第1のトランスデューサの任意の他の電極素子を実質的に取り囲む、例示の実施形態25に記載の方法。
【0109】
例示の実施形態29.腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上におけるトランスデューサの位置を決定するための装置。この装置は、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによるアクセスが可能であるメモリであって、このメモリが、命令を格納し、この命令が、1つまたは複数のプロセッサにより実行された場合に、腫瘍治療電場を印加するために被験者の身体上に配置されることになる1対のトランスデューサの第1のトランスデューサに関して、この第1のトランスデューサの凸形状周縁の決定を装置に行うように促し、第1のトランスデューサが、互いに電気結合された電極素子アレイを備え、凸形状周縁が、第1のトランスデューサの電極素子のすべてを取り囲み、凸形状周縁が、電極素子のうちの少なくとも3つに接触し、さらにこの命令が、1つまたは複数のプロセッサにより実行された場合に、被験者の身体内の腫瘍の表面付近の位置を決定し、腫瘍のこの表面付近の位置が、腫瘍の他の位置よりも被験者の身体の表面に対してより近くに位置し、さらにこの命令が、1つまたは複数のプロセッサにより実行された場合に、第1のトランスデューサの他の位置よりも腫瘍の表面付近の位置に対してより近くに位置する、被験者の身体上に配置されることになる第1のトランスデューサの凸形状周縁の腫瘍付近の部分を特定する、メモリとを備える。
【0110】
例示の実施形態30.腫瘍を有する被験者の身体に対して腫瘍治療電場を印加する方法。この方法は、被験者の身体上に第1の対のトランスデューサおよび被験者の身体上に第2の対のトランスデューサを配置するステップと、第1の対のトランスデューサ間に第1の電場および第2の対のトランスデューサ間に第2の電場を交互に印加するステップとを含む。第1の対のトランスデューサのうちの第1のトランスデューサが、この第1のトランスデューサのある面が被験者の身体に面する状態において、被験者の身体上に位置決めされるように構成され、第1のトランスデューサが、互いに電気結合された複数の電極素子を有し、第1のトランスデューサのこの面に対して垂直方向から見た場合に、第1のトランスデューサの電極素子のうちの複数が、第1のトランスデューサの凸形状周縁を画定する周縁電極素子であり、周縁電極素子が、第1のトランスデューサの任意の他の電極素子を実質的に取り囲み、腫瘍が、腫瘍の他の部分よりも被験者の身体の表面上の腫瘍付近の位置に対してより近くに位置する腫瘍の表面付近の部分を有し、第1のトランスデューサの凸形状周縁の腫瘍付近の部分が、第1のトランスデューサの他の部分よりも腫瘍の表面付近の部分のより近くに位置する。
【0111】
例示の実施形態31.第1のトランスデューサが、被験者の身体の表面上における腫瘍付近の位置が、第1のトランスデューサの外周部内に実質的に位置し、トランスデューサの外周部から重心までの距離の10%未満である外周部からの距離に位置するように、位置決めされる、例示の実施形態30に記載の方法。
【0112】
例示の実施形態32.第1のトランスデューサが、被験者の身体の表面上における腫瘍付近の位置が、第1のトランスデューサの外周部内に実質的に位置し、トランスデューサの外周部から重心までの距離の0%~50%の範囲内である外周部からの距離に位置するように、位置決めされる、例示の実施形態30に記載の方法。
【0113】
特定の実施形態を参照として本発明を開示したが、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に対する多数の修正、変形、および変更が可能である。したがって、本発明は、説明される実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の文言により定義される全範囲およびその均等物を含むように意図される。
【符号の説明】
【0114】
300 身体
301 腫瘍
302 腫瘍301の表面付近の部分
303 線分
304 腫瘍付近の位置
305 第2の端点
400A トランスデューサ
400B トランスデューサ
401A 基板
402A 電極素子
401B 電極素子
402B 導電性ワイヤ
403A トランスデューサの面
500A トランスデューサ
500B トランスデューサ
501A 基板
501B 基板
502A 電極素子
502-1A~502-8A 電極素子、周縁電極素子
502-B 電極素子、非セラミック電極素子
502-1B~502-8B 電極素子、非セラミック電極素子、周縁電極素子
503A 外周部の電極素子の重心
503B トランスデューサ500Bの外周部
504A トランスデューサ500Aの外周部
505A トランスデューサ500Aの外周部
506A 電極素子
601A トランスデューサ
601B トランスデューサ
602A トランスデューサ
602B トランスデューサ
603A トランスデューサ
603B トランスデューサ
604A トランスデューサ
604B トランスデューサ
901A 腫瘍位置
901-1B 腫瘍位置
901-2B 腫瘍位置
901-3B 腫瘍位置
901-4B 腫瘍位置
902A 腫瘍位置
902-1B 腫瘍位置
902-2B 腫瘍位置
902-3B 腫瘍位置
902-4B 腫瘍位置
903 矩形トランスデューサ
1000 装置
1001 ユーザ入力
1002 プロセッサ
1003 メモリ
1004 リンク
1005 ユーザ入力デバイス
1006 出力デバイス
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A-8C】
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
【国際調査報告】