IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノボキュア ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-528321腫瘍治療電場を被験者の身体に送達する際にエッジ効果を減らすための電極アレイ形のトランスデューサ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】腫瘍治療電場を被験者の身体に送達する際にエッジ効果を減らすための電極アレイ形のトランスデューサ装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20240719BHJP
   A61N 1/40 20060101ALI20240719BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/40
A61N1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508523
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 IB2022057571
(87)【国際公開番号】W WO2023017490
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/232,329
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/232,361
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/698,457
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/886,382
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タル・マルチャーノ
(72)【発明者】
【氏名】スマダル・アルヴァッツ
(72)【発明者】
【氏名】ボアズ・マルサルト
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB06
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053LL20
(57)【要約】
被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、トランスデューサ装置は、互いに電気結合された電極素子のアレイを備え、アレイは、トランスデューサ装置上に存在する全ての電極素子を備え、アレイは、アレイの面が被験者の身体に面して被験者の身体上に位置決めされるように構成され、アレイの面に垂直な方向から見た場合、アレイの電極素子を実質的にたどるアレイの外周は、丸みを帯びた凸形状を有し、アレイのいくつかの電極素子は、アレイの外周を画定する周面電極素子であり、周面電極素子は、アレイの任意の他の電極素子を実質的に囲み、各周面電極素子では、周面電極素子の周面の長さの少なくとも一部はアレイの外周に接している、トランスデューサ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、前記トランスデューサ装置は、
互いに電気結合された電極素子のアレイを備え、前記アレイは、前記トランスデューサ装置上に存在する全ての電極素子を備え、前記アレイは、前記アレイの面が前記被験者の身体に面して前記被験者の身体上に位置決めされるように構成され、
前記アレイの前記面に垂直な方向から見た場合、前記アレイの前記電極素子を実質的にたどる前記アレイの外周は、丸みを帯びた凸形状を有し、
前記アレイのいくつかの前記電極素子は、前記アレイの前記外周を画定する周面電極素子であり、前記周面電極素子は、前記アレイの任意の他の電極素子を実質的に囲み、
各周面電極素子では、前記周面電極素子の周面の長さの少なくとも一部は前記アレイの前記外周に接している、トランスデューサ装置。
【請求項2】
前記外周は、いかなるコーナも有しておらず、
任意選択で、前記外周は、実質的に円形、長円形、まゆ形、卵形、または楕円形である、請求項1に記載のトランスデューサ装置。
【請求項3】
前記外周の一部は、前記外周の前記一部に沿った全ての点が前記外周の内側の点から等距離にあるような形状をしている、請求項1または2に記載のトランスデューサ装置。
【請求項4】
前記アレイ内の前記電極素子の少なくとも1つは、三角形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に三角形状、切頂三角形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に切頂三角形状、楔形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に楔形状、切頂楔形状、または丸みを帯びたコーナを備えた実質的に切頂楔形状を有する、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項5】
前記アレイ内の前記電極素子の少なくとも1つは、
前記アレイの中心部に対して径方向外向き方向に延びる第1の縁部、
前記アレイの前記中心部に対して径方向外向き方向に延びる第2の縁部、および
前記アレイの前記中心部から径方向に離れて置かれた前記電極素子の端部で前記第1の縁部を前記第2の縁部に接続する丸みを帯びた縁部、を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項6】
前記アレイ内の各電極素子は、前記外周に接している周面電極素子である、請求項1から5のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項7】
前記アレイ内の少なくとも1つの電極素子は、前記アレイの1つ以上の周面電極素子によって囲まれ、前記外周に接しない、請求項1から5のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項8】
前記周面電極素子の各々では、前記周面電極素子の前記周面の前記長さの少なくとも10%は前記外周に接している、請求項1から7のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項9】
前記電極素子のアレイは、容量結合されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項10】
前記電極素子のアレイは、容量結合されていない、請求項1から8のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【請求項11】
被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、前記トランスデューサ装置は、
互いに電気結合され、前記トランスデューサ装置の平面内にアレイを形成する複数の電極素子を備え、
前記平面に垂直な方向から見た場合、
前記アレイの外周は前記複数の電極素子を囲む形状適合凸形状によって画定され、
前記外周の長さの少なくとも30%は、前記複数の電極素子の1つ以上の電極素子に接する、トランスデューサ装置。
【請求項12】
前記外周は、前記外周に接している前記1つ以上の電極素子の、1つ以上の湾曲縁部をたどる、請求項11に記載のトランスデューサ装置。
【請求項13】
前記外周は、実質的に円形状、長円形状、まゆ形状、卵形状、または楕円形状である、請求項11または12に記載のトランスデューサ装置。
【請求項14】
被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、前記トランスデューサ装置は、
互いに電気結合された電極素子のアレイを備え、前記アレイは、前記トランスデューサ装置上に存在する全ての電極素子を備え、前記アレイは、前記アレイの面が前記被験者の身体に面して前記被験者の身体上に位置決めされるように構成され、
前記アレイの前記面に垂直な方向から見た場合、
前記電極素子のアレイに外接する外周は、実質的に円形状、長円形状、まゆ形状、卵形状、または楕円形状であり、
前記電極素子のアレイ内の少なくとも1つの電極素子は、前記外周の長さの少なくとも5%に沿って前記外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有する、トランスデューサ装置。
【請求項15】
前記電極素子のアレイ内の電極素子の合計数の少なくとも50%は、前記外周の前記長さの少なくとも5%に沿って前記外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有し、
任意選択で、前記電極素子のアレイ内の全ての電極素子は、前記外周の前記長さの少なくとも5%に沿って前記外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有する、請求項14に記載のトランスデューサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全て本明細書に組み込まれている、2022年8月12日に出願した台湾特許出願第111130491号、2022年8月11日に出願した米国特許出願第17/886,382号、2022年3月18日に出願した米国特許出願第17/698,457号、2021年8月12日に出願した米国特許出願第63/232,329号、および2021年8月12日に出願した米国特許出願第63/232,361号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場(TTField)は、特許文献1に記載されるような、腫瘍を治療するために使用され得る、中間周波数範囲(例えば、50から550kHzなどの50kHzから1MHz)内の低強度(例えば、1から4V/cm)交流電場である。TTField治療は、再発膠芽腫(GBM)に対する認可された単独治療、および新しく診断されたGBM患者に対する化学療法との認可された組合せ治療である。TTFieldは、被験者の身体の他の部分(例えば、肺、卵巣、膵臓)内の腫瘍を治療するために使用することもできる。例えば、TTField治療は、悪性胸膜中皮腫(MPM)に対する化学療法との認可された組合せ治療である。TTFieldは、(例えば、Novocure Optune(商標)システムを使用して)被験者の身体上にトランスデューサ(例えば、容量結合された電極素子のアレイ)を直接置き、トランスデューサ間にAC電圧を加えることによって、関心領域内に非侵襲的に誘導される。
【0003】
TTFieldを発生させるために使用される従来のトランスデューサは、複数のセラミックディスクを含んでいる。各セラミックディスクの一方の側は、患者の皮膚に対して位置決めされ、各ディスクの他方の側は、導電性バッキングを有する。この導電性バッキングに電子信号が加えられ、これらの信号はセラミックディスクを通して患者の身体内に容量結合される。従来のトランスデューサ設計は、直線の行および列で(例えば、3×3配置で)互いに整列されたセラミックディスクの矩形アレイを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,565,205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、被験者の身体にTTFieldを送達するための、被験者の身体内にある1つ以上のがん(腫瘍)を治療するために使用される例示的なトランスデューサ装置を記載している。
【0006】
TTFieldが被験者の身体に加えられると、被験者の身体の温度は、誘導電場に比例して上昇し得る。規制により、トランスデューサを通して駆動することができる電流の量は、被験者の身体上の位置の測定温度を温度閾値未満に維持する量に制限されている。当技術分野で実施されるように、トランスデューサによって駆動される動作電流を減少させ、得られたTTFieldの強度を減少させることによって、被験者の身体上のトランスデューサの位置の温度は、温度閾値未満になるように制御される。これはその後、腫瘍を治療するために使用することができるTTField強度に関する決定的な制限になる。したがって、当技術分野では、被験者の皮膚での温度閾値を超えることなく、より高いTTField強度に安全にアクセスする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、電極素子のアレイを備えたトランスデューサ上で、アレイの縁部に沿って置かれた電極素子は、アレイの中間に向けて置かれた電極素子と比較してそこを通して流れる電流への抵抗がより低いことを発見した。これは、概して、アレイの縁部(例えば、外周)上の点において電荷の濃度がより高くなることにつながる可能性がある。さらに、アレイの縁部内のコーナまたは同様の鋭角の屈曲部に置かれた電極素子は、縁部に沿ったおよびアレイの中心にある他の電極素子よりも高い電荷の濃度を有する。アレイの縁部に沿って、特にコーナに置かれた電極素子を通してより高い量の電流を駆動するトランスデューサの傾向を、本明細書では「エッジ効果」と呼ぶ。
【0008】
エッジ効果によるトランスデューサのアレイを通した電流の不均一な分配は、アレイの遠いコーナでおよび縁部に沿って形成するより高い温度区間(または「ホットスポット」)につながる可能性がある。これらのホットスポットは、最初に閾値温度に到達する位置であり、したがって電流を減少させるための要件を制御する位置である。このように、エッジ効果によるホットスポットの生成は、トランスデューサによって駆動され得る最大動作電流、および得られたTTFieldの強度を制限する。
【0009】
本発明者らは次に、エッジ効果を減少させるまたは最小限に抑え、トランスデューサへより高い動作電流を加えることを可能にする電極素子アレイレイアウトを有するトランスデューサに対する必要性があることを認識した。増加した電流で動作されるトランスデューサは、被験者の身体内により強いTTFieldを誘導することができ、最終的に患者のより良い結果につながる。開示したトランスデューサ装置の各々は、レイアウト内に位置決めされ、エッジ効果を減少させるまたは最小限に抑える形状を有する電極素子のアレイを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】被験者の頭部上に置かれたトランスデューサの例を示す図である。
図2】被験者の胴体上に置かれたトランスデューサの例を示す図である。
図3A】様々なトランスデューサの構造の例の断面図である。
図3B】様々なトランスデューサの構造の例の断面図である。
図3C】3×3配置の直線の行および列で互いに位置合わせされたセラミックディスクの従来の矩形電極アレイの熱画像を示す図である。
図4】トランスデューサ装置上の電極素子のアレイの例示的なレイアウトを示す図である。
図5図4のアレイの電極素子を示す図である。
図6】トランスデューサ装置上の電極素子のアレイの別の例示的なレイアウトを示す図である。
図7】トランスデューサ装置上の電極素子のアレイの別の例示的なレイアウトを示す図である。
図8】トランスデューサ装置上の電極素子のアレイの別の例示的なレイアウトを示す図である。
図9】トランスデューサ装置上の電極素子のアレイの別の例示的なレイアウトを示す図である。
図10】トランスデューサ装置上の電極素子のアレイの別の例示的なレイアウトを示す図である。
図11A】異なる形状を有する電極素子のアレイからの電場強度の例を示す図である。
図11B】異なる形状を有する電極素子のアレイからの電場強度の例を示す図である。
図11C】異なる形状を有する電極素子のアレイからの電場強度の例を示す図である。
図12】異なる外周形状を有する電極アレイ用のアレイ表面積に対する平均電極損失のプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な実施形態が、添付の図面を参照して以下に詳細に記載され、同様の参照番号は同様の要素を示す。
以上
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明、例、図面および特許請求の範囲、およびその前後の記載を参照することによってより容易に理解することができる。しかし本発明は、そうでないと特定されない限り、開示された特定の装置、デバイス、システム、および/または方法に限定されるものではなく、したがって当然ながら変更することができることを理解されたい。
【0013】
見出しは単に便宜上提供されており、いずれかの方法で本発明を限定するように解釈されるものではない。見出し、または開示の任意の部分で例示された実施形態は、同じまたは任意の他の見出しまたは開示の他の部分で例示された実施形態を組み合わせてもよい。
【0014】
その全ての可能な変更形態で本明細書に記載された要素の任意の組合せは、本明細書にそうでないと示されている、または内容によって明らかに矛盾しない限り、本発明に含まれる。
【0015】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形、「a」、「an」および「the」は、内容が明らかにそうでないと示されない限り、複数への指示を含む。
【0016】
図1は、被験者の身体の頭部に位置決めされたトランスデューサ100を示している。図1は、トランスデューサ100が様々な位置および/または配向に配置された被験者の頭部の一例を示している。被験者の頭部上のトランスデューサ100のこのような配置は、被験者の脳の領域内の腫瘍にTTFieldを加えることが可能である。トランスデューサの配置のために、被験者の頭部上の様々な他の位置および/または配向が選択されてもよいことに留意されたい。
【0017】
各トランスデューサ100は、本明細書に記載されるように、上に配置された電極素子のアレイを有してもよい。各トランスデューサ100は、電極素子のアレイの面が被験者の頭部に面して、被験者の頭部上に配置されてもよい。トランスデューサ100は、電極素子のアレイの面が頭部の外形と一致するように、被験者の頭部上に置かれてもよい。
【0018】
図2は、被験者の身体の胴体上で、それぞれ第1および第2の位置に位置決めされた第1および第2のトランスデューサを示している。特に、図2は、被験者の右胸部の前部に置かれた第1のトランスデューサ200、および被験者の左太腿の前部に置かれた第2のトランスデューサ201を示している。被験者の胴体上の様々な他の位置が、1つ以上の対のトランスデューサの配置のために選択され得ることに留意すべきである。
【0019】
図2は、被験者の身体に取り付けられたトランスデューサ200および201を示している。一例として、トランスデューサ200および201は、各トランスデューサの表面の上に医療的に適当な糊を塗布することによって、被験者の身体に貼られてもよい。他の実施形態では、トランスデューサ200および201は、例えば、シャツおよびパンツなどの1つ以上の衣類(図示略)に取り付けられてもよい。一例では、トランスデューサ200および201は、接着剤を使用して衣類に取り付けられてもよい。別の例では、トランスデューサ200および201は、トランスデューサ200および201を衣類内に組み込むことによって、衣類に取り付けられてもよい。トランスデューサが被験者の頭部上の位置に配置されている例では、対応するトランスデューサは、別のタイプの衣類(例えば、帽子)に一体化されていてもよい。
【0020】
トランスデューサ200および201の各々は、本明細書に記載されるように、上に配置された電極素子のアレイを有していてもよい。各トランスデューサ200および201は、電極素子のアレイの面が被験者の身体に面して、被験者の身体上に置かれていてもよい。トランスデューサ200および201は、電極素子の対応するアレイの面が被験者の身体の外形に一致するように、被験者の身体上に置かれていてもよい。
【0021】
第1のトランスデューサ200および第2のトランスデューサ201の両方で、電極素子のアレイは、(図2で破線によって画定される)外周206内に配置されるまたは置かれていてもよい。一例では、各トランスデューサ上のアレイの外周206は、実質的に丸みを帯びた縁部を有していてもよい。一例では、各トランスデューサ上のアレイの外周206は、実質的に円形状、長円形状、まゆ形状、卵形状、または楕円形状であってもよい。外周206の他の形状も可能であり得る。
【0022】
電極素子のアレイは、トランスデューサの動作中にエッジ効果を減少させるまたは最小限に抑える、本明細書に開示された多数の異なるレイアウトを含んでいてもよい。レイアウトは、例えば、周面電極素子が、丸みを帯びた外周206に一致するような形状をしたもの、丸みを帯びた外周206の長さの特定の割合が、アレイの電極素子に接するもの、周面電極素子が、丸みを帯びた外周206の長さの少なくとも特定の割合に接するような形状をしたもの、および/または、アレイの電極素子がそれぞれ、外周206に沿ってまたは隣接して配置されているもの、のうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0023】
図3Aおよび図3Bは、トランスデューサの構造の例の断面図を示している。例えば、図3Aに示すように、トランスデューサ300Aは、複数の電極素子302Aおよび基板304Aを有する。基板304Aは、トランスデューサ300Aを被験者の身体に取り付けるように構成されている。基板304Aに適切な材料として、例えば、布、発泡体、および可塑性プラスチックが挙げられる。一例では、基板304Aは、約0.5mm以上の厚さを有する導電性医療用ゲルを含んでいる。より特定の例では、基板304Aは、0.5mmの最小厚さを有するヒドロゲルの層である。このような状況では、トランスデューサ300Aは、基板304Aを通して被験者の身体に取り付けられている。
【0024】
複数の電極素子302Aは、基板304A上に位置決めされている。電極素子の各々は、基板304Aに向けて面する、上に配置された誘電性層を備えた導電プレートを有していてもよい。任意選択で、1つ以上のセンサを、Novocure Optune(登録商標)システムで使用される従来の配置と同様の方法で、電極素子302Aの各々の下に位置決めしてもよい。一例では、1つ以上のセンサは温度センサ(例えば、サーミスタ)である。
【0025】
図3Bは、トランスデューサ300Bの構造の別の例の断面図を示している。この例では、トランスデューサ300Bは複数の電極素子302Bを含む。複数の電極素子302Bは、基板なしで互いに電気的および機械的に接続されている。一例では、電極素子302B同士は、導電性ワイヤ304Bを通して互いに接続されている。
【0026】
図3Aおよび図3Bに示すように、トランスデューサ300Aおよび300Bはそれぞれ、実質的に平らな電極素子302Aおよび302Bのアレイを備えている。図3Aおよび図3Bの各々では、電極素子のアレイは容量結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、電極素子302Aおよび302Bは、複数の平らな導体の上に位置決めされた非セラミック誘電材料である。平らな導体上に位置決めされた非セラミック誘電材料の例として、プリント基板上のパッドの上、または平らな金属片の上に配置されたポリマーフィルムが挙げられる。他の実施形態では、電極素子302Aおよび302Bはセラミック素子である。
【0027】
容量結合されていない電極素子のアレイを使用するトランスデューサを使用してもよい。この状況では、各電極素子302Aおよび302Bは、導電性素子と身体との間に絶縁誘電層なしで、被験者の身体に対しての配置のために構成された導電性材料の領域を使用して実装されてもよい。
【0028】
(a)TTFieldを被験者の身体に送達することが可能であり、(b)被験者の身体の位置に位置決めすることが可能である限り、本発明の実施形態での使用のためにトランスデューサを実装するための他の代替構成を使用してもよい。
【0029】
図3Aおよび図3Bは、図に示された3次元座標軸によって画定されるY-Z平面に垂直な方向からトランスデューサ300Aおよび300Bを示している。図示されたように、電極素子302Aおよび302Bは、Y軸に平行な方向に沿って分配されている。加えて、電極素子302Aおよび302Bは、X軸に平行な方向に沿って分配されていてもよい。このように、トランスデューサ300Aおよび300Bはそれぞれ、アレイの面に沿って分配され、X-Y平面に平行な平面に、それぞれ電極素子302Aおよび302Bのアレイを備えていてもよい。(X-Y平面に平行な)アレイの面は、トランスデューサが被験者の身体の上に位置決めされた場合に、被験者の身体に面するように構成されている。同様の3次元座標軸が、残りの図に示されている。
【0030】
図3Cは、縁部に沿って、特にアレイのコーナで、より高い温度区間または「ホットスポット」の存在を示す、使用の際の9電極トランスデューサアレイ(電極の3×3矩形アレイ)の熱ヒートマップを示している。上に論じたように、エッジ効果によるホットスポットの生成は、トランスデューサによって駆動され得る最大動作電流、および得られたTTFieldの強度を制限する。
【0031】
図4および図6から図10はそれぞれ、開示した実施形態による、トランスデューサ上の電極素子の例示的なレイアウトを示している。本明細書(例えば、図4および図6から図10)に記載された電極素子の各例示的なレイアウトでは、レイアウトは電極素子のアレイの面に垂直(すなわち、X-Y平面に垂直)な方向から見ている。電極素子のアレイは、アレイのこの面が被験者の身体に面して、被験者の身体上に位置決めされるように構成されている。本明細書に(例えば、図4および図6から図10に)記載された各例示的なレイアウトでは、「電極素子のアレイ」は、トランスデューサ装置(例えば、図4では400)上に存在する全ての電極素子(例えば、図4では402Aから402H)を備えている。
【0032】
図4および図6から図10に示すように、トランスデューサ(例えば、図4の400)は、電極素子が上に配置された基板(例えば、図4の404)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態(例えば、図9)では、基板は、被験者の身体の丸みを帯びた縁部上への基板の配置を容易にするように、中に形成された切れ目、スリット、または穿孔を有していてもよい。上に論じたように、トランスデューサの他の実施形態は基板を含んでいなくてもよい。開示した電極素子レイアウトは、基板が存在するトランスデューサ、および基板が存在しないトランスデューサに等しく適用されてもよい。
【0033】
本明細書に(例えば、図4および図6から図10に)記載された各電極素子レイアウトでは、アレイのいくつかの電極素子は、「周面電極素子」である。図4図6図7図9および図10では、例えば、トランスデューサ上に存在する全ての電極素子は周面電極素子である。図8に示すような別の例では、トランスデューサ上の電極素子(例えば、図8では802Aから802H)のサブセットのみが周面電極素子である。このような実施形態では、周面電極素子(例えば、図8では802Aから802H)は、アレイの全ての他の電極素子(例えば、図8では802I)を実質的に囲んでいてもよい。「実質的に囲んでいる」という用語は、全ての他の(非周面)電極素子を囲むまたは入れた全ての周面電極素子の質量中心を通過する凸形状のことを言ってもよい。以下に記載する各図では、周面電極素子は、電極素子のアレイの外周(例えば、図4では406)を画定してもよい。以下に記載する各図では、トランスデューサ上の電極素子のアレイは、少なくとも6つの電極素子を含んでいる。一例では、トランスデューサ上の電極素子のアレイは、少なくとも8つの電極素子を含んでいる。
【0034】
本明細書に(例えば、図4および図6から図10に)記載されたいくつかの電極素子レイアウトでは、アレイの電極素子を実質的にたどるアレイの外周(例えば、図4では406)は、丸みを帯びた凸形状を有する。「丸みを帯びた凸形状」という用語は、1)曲率半径を備えたその少なくとも一部分を有する(すなわち、形状が少なくとも部分的に丸みを帯びている)、および2)いかなる凹状部分も有していない、任意の2次元形状のことを言う。特定のトランスデューサでは、例えば、図4図6から図8および図10に示すように、丸みを帯びた凸状外周は、いかなるコーナ(例えば、2つの直線縁部が点で接する鋭いコーナ、丸みを帯びたコーナなど)も有していない。丸みを帯びた凸状外周は、図4図6から図8および図10に示すように、実質的に円形、長円形、まゆ形、卵形、または楕円形であってもよい。他のトランスデューサでは、例えば、図9に示すように、丸みを帯びた凸状外周906は丸みを帯びたコーナを有する。例えば、丸みを帯びた凸状外周は、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に矩形、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に多角形、または丸みを帯びたコーナを備えた他の凸状形であってもよい。
【0035】
本明細書に(例えば、図4および図6から図10に)記載された各電極素子レイアウトは、エッジ効果を減少させるまたは最小限に抑え、電極素子のアレイの外周に形成されたホットスポットの存在または強度を減少させるように設計されている。これは、電極素子の(外周によって画定された)アレイ全体の幾何形状を操作する、個別の電極素子の幾何形状を操作する、および/またはアレイ周面電極素子の全ての電極素子を作ることによって達成され得る。このような方法で電極素子のアレイの幾何形状を設定することにより、アレイにわたって、またはアレイの縁部にわたって電流が比較的一定であるように、アレイの個別の電極から出力される電流を平衡化することができる。これにより、被験者の身体上の温度を閾値温度未満に維持しながら、トランスデューサに供給される電流を増加させることが可能になる。
【0036】
図4は、基板404の上に配置されていてもよい電極素子402の例示的なレイアウトを備えたトランスデューサ400を示している。図示するように、トランスデューサ400の電極素子402は互いに結合されている。図4では、電極素子のトランスデューサのアレイは、8つの電極素子402Aから402Hを備え、その全てが周面電極素子である。
【0037】
図4は、破線で外周406を示している。外周406は、上に記載したように、アレイの電極素子402を実質的にたどる丸みを帯びた凸状周面である。外周406は、電極素子402を囲む形状適合凸形状によって画定され得る。さらに、図示するように、外周406は、電極素子402のアレイに外接する。図4の実施形態では、外周406は、アレイの全ての電極素子402Aから402Hの縁部に接する。
【0038】
図4に示すように、各周面電極素子(例えば、各電極素子402Aから402H)の周面の長さの少なくとも一部が、外周406に接している。図4における各電極素子402Aから402Hは、外周406に沿って単一の点より多くの箇所で外周406に接してもよい。一例として、外周406は、外周406に接する電極素子402の1つ以上の湾曲縁部(例えば、414)をたどる。全ての電極素子402および/または全ての周面電極素子が丸みを帯びた凸状外周406に接する/たどる周面の長さを有している実施形態では、電極素子402を通して出力される電流はより効果的に平衡化され得る。
【0039】
一例では、アレイ内の電極素子402Aから402Hは、アレイに関して互いに実質的に等距離の間隔をおいて配置されていてもよい。図4では、例えば、外周406に接する各対の隣接する周面電極素子(例えば、402Aおよび402H)は、ほぼ同じ距離(例えば、408)をその間に有する。より詳細には、一対の隣接する周面電極素子の間の距離は、アレイの任意の他の対の隣接する周面電極素子の間の距離より5%以下大きい。他の例では、「実質的に等距離の」間隙は、アレイの任意の他の対の隣接する周面電極素子の間の距離より2%以下大きい、より詳細には1%以下大きい一対の隣接する周面電極素子の間の距離のことを言ってもよい。例えば、図4の電極素子402Aと402Hの間の距離408は、電極素子402Aと402Bとの間、電極素子402Bと402Cとの間、電極素子402Cと402Dとの間、電極素子402Dと402Eとの間、電極素子402Eと402Fとの間、電極素子402Fと402Gとの間、および電極素子402Gと402Hとの間の距離のいずれか1つより5%以下だけ大きい、より詳細には2%以下だけ大きい、およびより詳細には1%以下だけ大きい。一例では、一対の隣接する電極素子の間の距離は、第1の電極素子が外周406に交差するまたは接する点から、第2の隣接する電極素子が外周406に交差するまたは接する点まで、の最短距離であってもよい。一例では、一対の隣接する電極素子の間の距離は、外周406の長さ(直線または弧)に沿って測定され得る。外周406に沿って互いから実質的に等距離の間隔をおいて配置されるように電極素子402を配置することにより、アレイの電極素子402の間の電磁遮蔽を平衡化して、より平衡化された電流出力に貢献することができる。
【0040】
また、個別の電極素子402の特定の形状により、アレイを通る電流を平衡化するのを助けることができる。一例では、アレイ内の電極素子402の少なくとも1つは、三角形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に三角形状、切頂三角形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に切頂三角形状、楔形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に楔形状、切頂楔形状、または丸みを帯びたコーナを備えた実質的に切頂楔形状を有していてもよい。図4は、径方向の内部に面した丸みを帯びたコーナ、および2つの残りのコーナの間の径方向の外部に面した丸みを帯びた縁部を備えた実質的に楔形状を有する電極素子402の各々を示している。電極素子402Cを参照して図示するように、1つ以上の電極素子402は、アレイの中心部411に対して径方向外向き方向に延びる第1の縁部410、アレイの中心部411に対して径方向外向き方向に延びる第2の縁部412、およびアレイの中心部411から径方向に離れて置かれた電極素子の端部で第1の縁部410を第2の縁部412に接続する丸みを帯びた縁部414、を備えていてもよい。図示するように、丸みを帯びたコーナ416は、中心部411に向けて径方向に置かれた電極素子の対向する端部で第1の縁部410を第2の縁部412に接続してもよい。図示しないが、他の実施形態では、第1の縁部410を丸みを帯びた縁部414に接続するコーナ、および第2の縁部412を丸みを帯びた縁部414に接続するコーナはそれぞれ、丸みを帯びたコーナ416と同様の丸みを帯びたコーナであってもよい。丸みを帯びた縁部414の曲率半径は、丸みを帯びたコーナ416の曲率半径より大きくてもよい。
【0041】
全ての電極素子402は、アレイの中心部411から外向きに実質的に対称に放射するように位置決めされているので、図4の電極素子402の形状は、電極素子402を通して出力される電流間に追加の平衡を提供することができる。加えて、丸みを帯びた縁部414は、アレイの丸みを帯びた外周406をたどる。これにより、アレイの形状全体におけるコーナがなくなり、エッジ効果による電流の高い集中が防止され得る。
【0042】
本明細書に(例えば、図4および図6から図10に)記載した各電極素子レイアウトでは、アレイ内の任意の数の電極素子402は、実質的に同様の形状を有していてもよい。例えば、図4では、全ての電極素子402Aから402Hは、上に記載するように実質的に同様の形状を有する。他の実施形態では(図4および図6から図10)、アレイ内の1つ以上の電極素子は、実質的に互いに異なる形状を有していてもよい。図4に示すように、アレイ内の各電極素子402Aから402Hは、ほぼ同じ表面積を有し、さらに、個別の電極素子から出力される電流を平衡化させることができる。
【0043】
図5は、図4の電極素子402Cをより詳細に示している。図5は、(小さな破線で)電極素子402Cの周面500、および(大きな破線で)電極素子402Cに接している外周406の部分を示している。図示するように、電極素子402Cの周面500の長さの少なくとも10%は、(例えば、湾曲縁部414に沿って)外周406に接している。例示的なトランスデューサでは、外周406に接する各電極素子402は、その周面500の長さの少なくとも10%が外周406に接していてもよい。本明細書に記載された実施形態の各々では、アレイの外周に接する各電極素子は、例えば、その周面の長さの5%から30%、または10%から15%、または10%から20%、または10%から30%がアレイの外周に接しているなど、その周面の長さの少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、または少なくとも5%がアレイの外周に接していてもよい。したがって、各周面電極素子の実質的部分は、外周406の縁部に沿っており、個別の点のみで外周に接する電極(例えば、ディスク形電極)を備えたトランスデューサと比較して、トランスデューサの縁部に沿って電流のより平衡化された分配を提供する。
【0044】
次に図4に戻って、アレイの電極素子が、外周406の全長の少なくとも特定の割合に接することが望ましい。例えば、アレイ内の少なくとも1つの電極素子406Cは、外周406の長さの少なくとも5%に沿って外周406の湾曲部に接する湾曲縁部414を有する。本明細書に記載した実施形態の各々では、アレイ内の少なくとも1つの電極素子は、例えば、外周の長さの5%から10%、または5%から15%、または5%から20%、または10%から30%など、外周の長さの少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、または少なくとも5%に沿って、外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有する。一例では、アレイ内の電極素子の合計数の少なくとも50%は、外周の長さの少なくとも5%に沿って、外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有していてもよい。本明細書に記載した実施形態の各々では、アレイ内の電極素子の合計数の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%は、外周の長さの少なくとも5%に沿って、外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有していてもよい。例えば、アレイ内の電極素子の合計数の50%から60%、または50%から70%、または50%から80%、または50%から90%は、外周の長さの少なくとも5%に沿って、外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有していてもよい。さらに、アレイ内の電極素子の合計数の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%は、外周の長さの少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、または少なくとも5%に沿って、および同じ関連範囲内に、外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有してもよい。一例では、アレイ内の少なくとも6つの電極素子は、外周の少なくとも5%に沿って、外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有していてもよい。図4では、アレイ内の全ての電極素子は、外周406の長さの少なくとも5%に沿って、外周406の湾曲部に接する湾曲縁部(例えば、414)を有する。これは、電極素子402のアレイの全体形状がコーナなしで丸みを帯びているように、丸みを帯びた凸状周面に沿って電極素子402を広げるのを助ける。
【0045】
一例では、外周406の合計長さの少なくとも30%は、アレイ内の1つ以上の電極素子402に接する。さらに、外周406の長さの少なくとも50%は、アレイ内の1つ以上の電極素子402に接する。図4に示すように、個別の電極素子402の形状により、外周406の長さの少なくとも60%、より詳細には少なくとも80%、およびより詳細には少なくとも90%が、アレイの電極素子402に接してもよい。このように、電極素子に接している外周406の量を増加させるまたは最大限にすることにより、さらに、電極素子の縁部の大部分を丸みを帯びた形状に適合させることによって、アレイを通して出力される電流を平衡化することができる。本明細書に記載された実施形態の各々では、例えば、外周の全体長さの30%から60%、または30%から70%、または30%から80%、または30%から90%、または50%から60%、または50%から70%、または50%から80%、または50%から90%がアレイ内の1つ以上の電極素子に接するように、外周の合計長さの少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%は、アレイ内の1つ以上の電極素子に接する。
【0046】
図6は、基板604上に配置され得る、電極素子602の例示的なレイアウトを備えたトランスデューサ600を示している。電極素子602のレイアウトは図4のレイアウトと同様であるが、異なる形状および不均一に間隔をおいて配置された電極素子602である。加えて、トランスデューサ600の層状構造は図6に示されている。図示するように、トランスデューサ600は、電極素子602と基板604の間のプリント基板(PCB)レベル605を含んでいてもよい。PCBレベル605は、電極素子602を互いに電気結合する導電性経路を含んでいてもよい。PCBレベル605は、リードをトランスデューサ600に接続するための点を提供する電気コネクタ部分622を含んでいてもよい。図示するように、電気コネクタ部分622は、アレイの電極素子602によって囲まれた、トランスデューサ600の中心部分611に配置されてもよい。トランスデューサの他の実施形態は、トランスデューサ上のどこかに置かれている電気コネクタ部分を特徴としてもよい。
【0047】
図6では、電極素子のトランスデューサのアレイは、8つの電極素子602Aから602Hを備え、全て周面電極素子である。アレイの外周606は、破線で示されている。外周606は、アレイの電極素子602を実質的にたどる丸みを帯びた凸状周面である。図示するように、外周606は、電極素子602のアレイに外接する。図6の実施形態では、外周606は、アレイ内の全ての電極素子602Aから602Hの縁部に接する。各周面電極素子602Aから602Hの周面の長さの少なくとも一部は、外周606に接している。
【0048】
図6に示した電極素子602はそれぞれ、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に楔形状を有していてもよい。電極素子602はそれぞれ、径方向の内部に面した丸みを帯びたコーナ(例えば、616)、および2つの残りのコーナの間の径方向の外部に面した丸みを帯びた縁部(例えば、614)を有する。1つ以上の電極素子602は、アレイの中心部611に対して径方向外向き方向に延びる第1の縁部610、アレイの中心部611に対して径方向外向き方向に延びる第2の縁部612、およびアレイの中心部611から径方向に離れて置かれた電極素子の端部で第1の縁部610を第2の縁部612に接続する丸みを帯びた縁部614を備えていてもよい。図示するように、丸みを帯びたコーナ616は、中心部611に向けて径方向に置かれた電極素子の対向する端部で第1の縁部610を第2の縁部612に接続してもよい。図示するように、丸みを帯びたコーナ618は、第1の縁部610を丸みを帯びた縁部614に接続し、別の丸みを帯びたコーナ620は、第2の縁部612を丸みを帯びた縁部614に接続してもよい。図6は、上に記載したのと実質的に同様の形状を有する全ての電極素子602を示している。しかし、他の実施形態では、アレイ内の1つ以上の電極素子は、互いに実質的に異なる形状を有していてもよい。アレイ内の各電極素子602は、ほぼ同じ表面積を有していてもよい。
【0049】
図7は、互いに結合され、基板704上に配置され得る、電極素子702の例示的なレイアウトを有するトランスデューサ700を示している。電極702のレイアウトは図4のレイアウトと同様であるが、異なる形状の電極素子702であり、異なる形状の外周706である。図7では、電極素子のトランスデューサのアレイは、8つの電極素子702Aから702Hを備え、全て周面電極素子である。
【0050】
図7は、アレイの電極素子702を実質的にたどる丸みを帯びた凸状周面である外周706を示している。外周706は、複数の電極素子702を囲む形状適合凸形状によって画定され、したがって、電極素子702のアレイに外接する。外周706は円形であってもよい。図示するように、外周706は、外周706に沿った全ての点が外周706の内側の点(例えば、アレイの質量中心)から等間隔で離れるような形状をしていてもよい。
【0051】
外周706は、アレイ内の全ての電極素子702Aから702Hの縁部に接する。図示するように、各電極素子(702Aから702H)の周面の長さの少なくとも一部は、外周706に接している。より詳細には、外周706は、外周706に接する電極素子702の1つ以上の湾曲縁部(例えば、湾曲縁部714)をたどる。
【0052】
一例では、アレイ内の電極素子702Aから702Hは、アレイに関して互いから実質的に等距離の間隔をおいて配置されていてもよい。図7では、例えば、外周706に接する各対の隣接する周面電極素子(例えば、702Aおよび702H)は、図4で距離408に関して上に記載したように、ほぼ同じ距離(例えば、708)をその間に有していてもよい。
【0053】
図7は、径方向の外部に面する丸みを帯びた縁部(例えば、714)を備えた楔形状を有する電極素子702の各々を示している。電極素子702Cを参照して図示するように、1つ以上の電極素子702は、アレイの中心部711に対して径方向外向き方向に延びる第1の縁部710、アレイの中心部711に対して径方向外向き方向に延びる第2の縁部712、およびアレイの中心部711から径方向に離れて置かれた電極素子の端部で第1の縁部710を第2の縁部712に接続する丸みを帯びた縁部714を備えていてもよい。アレイ内の任意の数の電極素子702は、実質的に同様の形状を有していてもよい。例えば、図7では、全ての電極702は、上に記載したように実質的に同様の形状を有している。しかし、他の実施形態では、アレイ内の1つ以上の電極素子は、互いに実質的に異なる形状を有していてもよい。アレイ内の各電極素子702は、ほぼ同じ表面積を有していてもよい。
【0054】
図7のアレイ内の少なくとも1つの電極素子は、外周706の長さの少なくとも5%に沿って、外周706の湾曲部に接する湾曲縁部714を有する。図7に示すように、アレイ内の全ての電極素子は、外周706の長さの少なくとも5%に沿って、外周706の湾曲部に接する湾曲縁部(例えば、714)を有する。図7の外周706の合計長さの少なくとも30%、より詳細には、少なくとも50%は、アレイ内の1つ以上の電極素子702に接する。
【0055】
図8は、互いに結合され、基板804上に配置され得る、電極802の例示的なレイアウトを有するトランスデューサ800を示している。図8に示すトランスデューサ800は、図6を参照して記載したPCB層と同様の、PCB層805を有する。電極802のレイアウトは図6のレイアウトと同様であるが、異なる形状および異なる配置の電極素子802である。図8では、電極素子のトランスデューサのアレイは、8つの周面電極素子802Aから802Hおよび1つの非周面電極素子802Iを含む、9つの電極素子802Aから802Iを備えている。図示するように、アレイ内の少なくとも1つの電極素子(例えば、802I)は、アレイの1つ以上の周面電極素子によって囲まれてもよく、外周806に接しない。
【0056】
図8では、外周806は、アレイの電極素子802を実質的にたどる丸みを帯びた凸状周面である。外周806は、全ての周面電極素子802Aから802Hの縁部に接する。図示するように、各周面電極素子(802A-802H)の周面の少なくとも一部は、外周806に接している。
【0057】
図8に示した周面電極素子802はそれぞれ、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に切頂楔形状を有する。1つ以上の電極素子802は、アレイの中心部に対して径方向外向き方向に延びる第1の縁部810、アレイの中心部に対して径方向外向き方向に延びる第2の縁部812、およびアレイの中心部から径方向に離れて置かれた電極素子の端部で第1の縁部810を第2の縁部812に接続する丸みを帯びた縁部814を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、全ての周面電極素子は実質的に同様の形状を有していてもよい。他の実施形態では、周面電極素子の1つ以上は、互いに実質的に異なる形状を有していてもよい。図8に示された非周面電極素子802Iは、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に矩形状を有し、アレイの中心部に配置されている。他の数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の非周面電極素子は、他の実施形態に含まれていてもよい。非周面電極素子は、これに限らないが、方形状、矩形状、六角形状または多角形状、1つ以上の丸みを帯びたコーナを備えた実質的に方形状、矩形状、六角形状または多角形状、不規則形状、または円形状、長円形状、まゆ形状、卵形状、または楕円形状を含む、任意の所望の形状をとってもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の非周面電極素子があってもよい。いくつかの実施形態では、全ての非周面電極素子は、実質的に同様の形状を有していてもよい。他の実施形態では、非周面電極素子の1つ以上は、互いに実質的に異なる形状を有していてもよい。
【0058】
図9は、互いに結合され、基板904上に配置され得る、電極素子902の例示的なレイアウトを備えたトランスデューサ900を示している。図9に示されたトランスデューサ900は、リードをトランスデューサ900に接続するための点を提供するために、電気コネクタ部922を含んでいてもよいPCB層905を有する。電極素子902のレイアウトは、図6のレイアウトと同様であるが、異なる形状/配置の電極素子902および異なる形状の外周906である。図9では、電極素子のトランスデューサのアレイは、8つの電極素子902Aから902Hを備え、全て周面電極素子である。
【0059】
図9は、アレイの電極素子902を実質的にたどる丸みを帯びた凸状周面である外周906を示している。外周906は、電極素子902のアレイに外接する。図示するように、外周906は、丸みを帯びたコーナを備えた矩形であってもよい。一例では、外周906は、外周906の各丸みを帯びたコーナで、丸みを帯びたコーナ部に沿った全ての点は外周906の内側の点から等距離にあるような形状をしていてもよい。外周906は、アレイ内の全ての電極素子902Aから902Hの縁部に接する。図示するように、各周面電極素子(902Aから902H)の周面の少なくとも一部は、外周906に接している。図9は、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に矩形状を有する電極素子902の各々を示している。
【0060】
図10は、互いに結合され、基板1004上に配置され得る、電極素子1002の例示的なレイアウトを備えたトランスデューサ1000を示している。図10に示されたトランスデューサ1000は、リードをトランスデューサ1000に接続するための点を提供するために、電気コネクタ部1022を含んでいてもよいPCB層1005を有する。電極素子1002のレイアウトは、図6のレイアウトと同様であるが、異なる位置に置かれた電極素子1002である。図10では、電極素子のトランスデューサのアレイは、8つの電極素子1002Aから1002Hを備え、全て周面電極素子である。いくつかの実施形態では、全ての電極素子は実質的に同様の形状を有していてもよい。他の実施形態では、電極素子の1つ以上は、互いに実質的に異なる形状を有していてもよい。
【0061】
図10は、電極素子1002のアレイに外接する丸みを帯びた凸状周面である外周1006を示している。図示するように、外周1006は、アレイ内の全ての電極素子1002の縁部に接する、またはこれに隣接して延びている。例えば、外周1006は、電極素子1002A、1002D、1002Eおよび1002Hに接する。外周1006は、電極素子1002B、1002C、1002Fおよび1002Gの各々の縁部に隣接して延びている。図10に示すように、アレイ内の全ての電極素子1002Aから1002Hは、外周1006から離れた特定の距離未満に置かれた縁部を有する。例えば、電極1002Bから外周1006までの距離1024は、電極素子1002Bの外周の長さの20%未満であってもよい。電極素子1002C、1002Fおよび1002Gは同様に、外周1006からこの量未満の距離であってもよい。他の電極素子1002A、1002D、1002Eおよび1002Hは、外周1006に接し、したがって、その縁部は外周1006から距離が離れていない。本明細書に開示されたアレイの実施形態の各々では、アレイ内の全ての電極素子は、例えば、電極素子の周面の1%から30%、または1%から20%、または1%から10%、または1%から5%、または5%から30%、または5%から20%、または5%から10%が、アレイに外接する外周から離れた距離など、電極素子の周面の30%未満、または20%未満、または10%未満、または5%未満、または2%未満、または1%未満が、アレイに外接する外周から離れた距離に置かれた縁部を有する。
【0062】
例えば、アレイ内の電極素子1002Aから1002Hは、アレイに関して互いから実質的に等距離の間隔をおいて配置されていてもよい。図10では、例えば、アレイ内の各対の隣接する電極素子(例えば、1002Aおよび1002H)は、図4で距離408に関して上に記載したように、ほぼ同じ距離(例えば、1008)をその間に有していてもよい。
【0063】
図11A図11B、および図11Cは、異なる外周形状を有する電極素子のアレイ用の頭皮上のアレイにおける比吸収率(SAR)を示している。SARは、生物組織によって吸収されるエネルギーを測定し、組織で誘導される温度上昇の測定を行う。所与の位置で、SARは、等式(1)で提供されるように消散電力と質量密度の間の比として計算される。
【0064】
【数1】
【0065】
式中、σは組織の電気伝導率、Eは誘導電場の大きさを示し、ρは質量密度(kg/m)であり、Tは温度(度ケルビン)である。
【0066】
図11Aは、卵形または楕円形外周を有するアレイにおけるSARを示し、図11Bは円形外周を有するアレイにおけるSARを示し、図11Cは矩形外周を有するアレイにおけるSARを示している。SARは温度を示し、同じ最大温度が実際の使用の際に存在する温度閾値をシミュレーションするために使用されているので、3つの形状全ての画像は、同じ最大SAR値を示している。図11Aおよび図11Bに示すように、楕円形および円形アレイの両方におけるSARは、アレイの外側縁部全体に沿って比較的一定である。同様の結果が、実質的にまゆ形または卵形外周を有するアレイから見られ得る。楕円形および円形アレイに対する領域全体上の(最大温度に対応する)最大SARは、アレイによって運ばれるより高い電流につながる。しかし、矩形アレイでは、「ホットスポット」がコーナのみで起こり、中心におけるブラック(より冷たい)領域ははるかに大きく、電荷の大部分がコーナ内に集中して、あまり活動的でない温度領域につながることを示す。コーナでの上昇温度は、アレイによって運ばれる電流を制限する。
【0067】
実質的に矩形のアレイ(例えば、図3Cの矩形3×3アレイ、または図11Cに示す矩形アレイ)から実質的に円形、長円形、まゆ形、卵形、または楕円形アレイ(図11Aおよび11B)に位置を変えることにより、エッジ効果を減少させるまたは最小限に抑え、それにより、ホットスポットを減少させるまたは除去することができる。電極素子アレイの全体形状内のコーナを取り除くことによって、開示されたトランスデューサは、縁部周りにより均一な電場強度を提供して、より強いTTFieldを被験者の身体を過熱することなく誘導することが可能になる。
【0068】
図12は、異なる外周形状(矩形、円形および楕円形)を有する電極アレイのアレイ表面積1204(mm)に対する平均電力損失1202(mW/cm)のプロット1200を示している。TTField電力損失密度は、TTFieldによって身体内に堆積した単位時間当たりのエネルギーを示している。各電極アレイ形状について、プロット1200で示された関係は、3つの異なる表面積1204(例えば、4,160mm、7,865mm、および12,740mm)を有するアレイから脳を通した平均電力損失1202をシミュレーションすることによって判断された。シミュレーションされた平均電圧損失は、式(2)に示されるように、アレイによって出力されるTTFieldの電場強度の大きさの二乗に比例する。
【0069】
電力損失=0.5σE 式(2)
【0070】
式中、σは組織の電気伝導率であり、Eは誘導電場の大きさを示す。シミュレーションによる結果は、プロット1200で示されている。トレンドライン1206は、矩形状アレイに対する平均電力損失1202とアレイ表面積1204との間の関係を示す。トレンドライン1208は、円形状アレイに対する平均電力損失1202とアレイ表面積1204との間の関係を示す。トレンドライン1210は、楕円形状アレイに対する平均電力損失1202とアレイ表面積1204との間の関係を示す。図示するように、楕円形状アレイ(1210)は各表面積1204に対して最高電力損失1202を有し、矩形状アレイ(1206)は各表面積1204に対する最低電力損失1202を有し、円形状アレイ(1208)は楕円形および矩形アレイの間の電力損失1202を有する。これは、同じ温度で、楕円形アレイ1210が円形アレイ1208より強いTTFieldを誘導することが可能であり、円形アレイ1208が矩形アレイ1206より強いTTFieldを誘導することが可能であることを意味する。矩形アレイ1206は、エッジ効果によりその4つのコーナで起こる電流/熱集中(ホットスポット)による最低性能を提供する。
【0071】
以下の表1は、各表面積に対する異なる形状のアレイの間の差分電力損失(パーセント)を示している。
【0072】
【表1】
【0073】
表1に示すように、トランスデューサが小さい(例えば、より低いアレイ表面積である)場合、矩形状、円形状、および楕円アレイ形状の間の差は、トランスデューサが大きい(例えば、より高いアレイ表面積である)場合と比較して、それほど顕著ではない。電力損失の最大差は、任意の表面積において、しかし特に最大表面積(12,740mm)において、矩形状および楕円形状アレイの間にある。
【0074】
シミュレーションの結果は、同じアレイ形状を有するアレイの表面積を増加させることが、同じトランスデューサ表面積に対してアレイ形状を単純に変更するよりも、TTField強度を増加させるためのより非効率的な方法であり得ることを示している。プロット1200は、第1の標準的アレイ「INE」(「Insulated Nine Electrodes(絶縁された9つの電極)」)の表面積のサイズを示す垂直線1212、および第2の標準的アレイ(「ウルトラアレイ」)の表面積のサイズを示す別の垂直線1214を示している。INE表面積サイズ(1212)からウルトラアレイ表面積サイズ(1214)に矩形アレイ1206を増大させることにより、プロット1200に示されるように電力損失の最大20%ゲインを提供することができる。しかし、同じINEサイズ(1212)で矩形アレイ1206から楕円形アレイ1210に単に変更することにより、電力損失の最大50%ゲインを提供することができる。同様に、7,865mm(おおよそINEサイズ)の面積においてアレイ形状を矩形から楕円形に変更することにより、矩形面積を7,865mmから12,740mm(おおよそウルトラアレイサイズ)に増加させるよりも、36%多く脳内の平均電力損失が増加する。
【0075】
本発明は、以下のような他の条項を含む。
【0076】
条項1:被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、トランスデューサ装置は、互いに電気結合された電極素子のアレイを備え、アレイは、トランスデューサ装置上に存在する全ての電極素子を備え、アレイは、アレイの面が被験者の身体に面して被験者の身体上に位置決めされるように構成され、アレイの面に垂直な方向から見た場合、アレイの電極素子を実質的にたどるアレイの外周は、丸みを帯びた凸形状を有し、アレイのいくつかの電極素子は、アレイの外周を画定する周面電極素子であり、周面電極素子は、アレイの任意の他の電極素子を実質的に囲み、各周面電極素子では、周面電極素子の周面の長さの少なくとも一部はアレイの外周に接している、トランスデューサ装置。
【0077】
条項2:外周は、いかなるコーナも有していない、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0078】
条項3:外周は、実質的に円形、長円形、まゆ形、卵形、または楕円形である、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0079】
条項4:外周の一部は、外周の一部に沿った全ての点が外周の内側の点から等距離にあるような形状をしている、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0080】
条項5:アレイ内の電極素子の少なくとも1つは、三角形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に三角形状、切頂三角形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に切頂三角形状、楔形状、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に楔形状、切頂楔形状、または丸みを帯びたコーナを備えた実質的に切頂楔形状を有する、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0081】
条項6:アレイ内の電極素子の少なくとも1つは、アレイの中心部に対して径方向外向き方向に延びる第1の縁部、アレイの中心部に対して径方向外向き方向に延びる第2の縁部、およびアレイの中心部から径方向に離れて置かれた電極素子の端部で第1の縁部を第2の縁部に接続する丸みを帯びた縁部、を備えている、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0082】
条項7:アレイ内の各電極素子は、外周に接している周面電極素子である、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0083】
条項8:アレイ内の少なくとも1つの電極素子は、アレイの1つ以上の周面電極素子によって囲まれ、外周に接しない、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0084】
条項9:周面電極素子の各々は、周面電極素子の周面の長さの少なくとも10%は外周に接している、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0085】
条項10:電極素子のアレイは、容量結合されている、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0086】
条項11:電極素子のアレイは、容量結合されていない、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0087】
条項12:電極素子は、セラミック誘電層を備えている、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0088】
条項13:電極素子は、ポリマーフィルムを備えている、条項1に記載のトランスデューサ装置。
【0089】
条項14:被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、トランスデューサ装置は、互いに電気結合され、トランスデューサ装置の平面内にアレイを形成する複数の電極素子を備え、平面に垂直な方向から見た場合、アレイの外周は、複数の電極素子を囲む形状適合凸形状によって画定され、外周の長さの少なくとも30%は、複数の電極素子の1つ以上の電極素子に接する、トランスデューサ装置。
【0090】
条項15:平面に垂直な方向から見た場合、外周の長さの少なくとも50%は、複数の電極素子の1つ以上の電極素子に接する、条項14に記載のトランスデューサ装置。
【0091】
条項16:外周は、外周に接している1つ以上の電極素子の、1つ以上の湾曲縁部をたどる、条項14に記載のトランスデューサ装置。
【0092】
条項17:外周に接している1つ以上の電極素子の各々は、電極素子の周面の長さの少なくとも10%は外周に接している、条項14に記載のトランスデューサ装置。
【0093】
条項18:外周は、実質的に円形状、長円形状、まゆ形状、卵形状、または楕円形状である、条項14に記載のトランスデューサ装置。
【0094】
条項19:被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、トランスデューサ装置は、互いに電気結合された電極素子のアレイを備え、アレイは、トランスデューサ装置上に存在する全ての電極素子を備え、アレイは、アレイの面が被験者の身体に面して被験者の身体上に位置決めされるように構成され、アレイの面に垂直な方向から見た場合、電極素子のアレイに外接する外周は、実質的に円形状、長円形状、まゆ形状、卵形状、または楕円形状であり、電極素子のアレイ内の少なくとも1つの電極素子は、外周の長さの少なくとも5%に沿って外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有する、トランスデューサ装置。
【0095】
条項20:電極素子のアレイ内の電極素子の合計数の少なくとも50%は、外周の長さの少なくとも5%に沿って外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有する、条項19に記載のトランスデューサ装置。
【0096】
条項21:電極素子のアレイ内の少なくとも6つの電極素子は、外周の長さの少なくとも5%に沿って外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有する、条項19に記載のトランスデューサ装置。
【0097】
条項22:電極素子のアレイ内の全ての電極素子は、外周の長さの少なくとも5%に沿って外周の湾曲部に接する湾曲縁部を有する、条項19に記載のトランスデューサ装置。
【0098】
条項23:被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、トランスデューサ装置は、互いに電気結合された電極素子のアレイを備え、アレイは、アレイの面が被験者の身体に面して被験者の身体上に位置決めされるように構成され、アレイの面に垂直な方向から見た場合、被験者の身体上に位置決めされる電極素子のアレイに外接する外周は、アレイ内の全ての電極素子の縁部に接する、またはこれに隣接して延びている、トランスデューサ装置。
【0099】
条項24:アレイの面に垂直な方向から見た場合、アレイ内の全ての電極素子は、アレイに外接する外周から離れて電極素子の周面の20%未満の距離に置かれた縁部を有する、条項23に記載のトランスデューサ装置。
【0100】
条項25:アレイの電極素子は、アレイに関して互いから実質的に等距離の間隔をおいて配置されている、条項23に記載のトランスデューサ装置。
【0101】
条項26:被験者の身体に腫瘍治療電場を送達するためのトランスデューサ装置であって、トランスデューサ装置は、互いに電気結合された電極素子のアレイを備え、アレイは、アレイの面が被験者の身体に面して被験者の身体上に位置決めされるように構成され、アレイの面に垂直な方向から見た場合、被験者の身体上に位置決めされる電極素子のアレイに外接する外周は、丸みを帯びた凸形状を有し、アレイ内の各電極素子は、周面に接する縁部を有する、またはアレイに外接する外周から離れて電極素子の周面の20%未満の距離に置かれた縁部を有する、トランスデューサ装置。
【0102】
条項27:アレイの電極素子は、アレイに関して互いから実質的に等距離の間隔をおいて配置されている、条項26に記載のトランスデューサ装置。
【0103】
条項28:電極素子のアレイは、少なくとも6つの電極素子を備えている、条項1から27のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【0104】
条項29:各電極素子は、ほぼ同じ表面積を有している、条項1から27のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【0105】
条項30:外周は、丸みを帯びたコーナを備えた実質的に矩形である、条項1から27のいずれか一項に記載のトランスデューサ装置。
【0106】
本発明を特定の実施形態を参照して開示したが、記載した実施形態への多くの変更、修正、および変形は、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本発明は記載した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の表現、およびその等価物によって定義される完全な範囲を有することを意図している。
【符号の説明】
【0107】
100 トランスデューサ
200 トランスデューサ
201 トランスデューサ
206 トランスデューサ
300A トランスデューサ
300B トランスデューサ
302A 電極素子
302B 電極素子
304A 基板
304B 導電性ワイヤ
400 トランスデューサ装置
402 電極素子
402A 電極素子
402B 電極素子
402C 電極素子
402D 電極素子
402E 電極素子
402F 電極素子
402G 電極素子
402H 電極素子
406 第1の縁部
408 第2の縁部
410 縁部
411 中心部
412 縁部
414 縁部
416 コーナ
500 周面
600 トランスデューサ
602 電極素子
602A 電極素子
602B 電極素子
602C 電極素子
602D 電極素子
602E 電極素子
602F 電極素子
602G 電極素子
602H 電極素子
604 基板
605 プリント基板レベル
610 縁部
611 中心部
612 縁部
614 縁部
616 コーナ
618 コーナ
620 コーナ
622 電気コネクタ部分
700 トランスデューサ
702 電極素子
702A 電極素子
702B 電極素子
702C 電極素子
702D 電極素子
702E 電極素子
702F 電極素子
702G 電極素子
702H 電極素子
706 外周
708 距離
710 縁部
711 中心部
712 縁部
714 縁部
800 トランスデューサ
802 電極素子
802A 第1のグループ
802B 第2のグループ
802C 電極素子
802D 電極素子
802E 電極素子
802F 電極素子
802G 電極素子
802H 電極素子
802I 電極素子
805 PCB層
806 外周
810 縁部
812 縁部
814 縁部
900 トランスデューサ
902 電極素子
902A 電極素子
902B 電極素子
902C 電極素子
902D 電極素子
902E 電極素子
902F 電極素子
902G 電極素子
902H 電極素子
905 PCB層
906 外周
922 電気コネクタ部
1000 トランスデューサ
1002 電極素子
1002A 電極素子
1002B 電極素子
1002C 電極素子
1002D 電極素子
1002E 電極素子
1002F 電極素子
1002G 電極素子
1002H 電極素子
1005 PCB層
1006 外周
1008 距離
1022 電気コネクタ部
1024 距離
1202 平均電力損失
1204 アレイ表面積
1206 矩形状アレイ
1208 円形状アレイ
1210 楕円形状アレイ
1212 垂直線、INE表面積サイズ
1214 垂直線、ウルトラアレイ表面積サイズ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
【国際調査報告】