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特表2024-528330複数の無線信号の時間周波数分離のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】複数の無線信号の時間周波数分離のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/00 20150101AFI20240719BHJP
【FI】
H04B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530072
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 IL2022050822
(87)【国際公開番号】W WO2023012784
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】285296
(32)【優先日】2021-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519423194
【氏名又は名称】エルビット システムズ イーダブリュー アンド シギント-エリスラ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ、ヤニブ
(72)【発明者】
【氏名】シャリブ、オフェル
(72)【発明者】
【氏名】ベルコビッチ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュコ、アナト
(72)【発明者】
【氏名】マンデルバウム(マンデルバウム)、エラッド
(57)【要約】
1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のためのシステムであって、本システムは、画像分析を使用して、無線信号のうちの2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいる、スペクトログラムのうちの少なくとも1つの領域を決定することであって、重複する無線信号が、スペクトログラムのうちの少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である、決定することと、領域内の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを別個の信号表現に分解することであって、別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現が所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される、分解することと、別個の信号表現を利用して、1つ又は複数の行為を実行することとを行うように構成された処理回路を備える、時間周波数分離のためのシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のためのシステムであって、前記システムは、
画像分析を使用して、前記無線信号のうちの2つ以上の重複する無線信号であって、前記スペクトログラムのうちの少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいる、前記スペクトログラムのうちの前記少なくとも1つの領域を決定し、
前記領域内の前記2つ以上の重複する無線信号の前記重ね合わせを、別個の信号表現であって、前記別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現が前記所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される、別個の信号表現に分解し、
前記別個の信号表現を利用して1つ又は複数の行為を実行する
ように構成された処理回路を備える、システム。
【請求項2】
(a)前記処理回路が、前記別個の信号表現のうちの少なくとも1つの別個の信号表現について、前記対応するバウンディング・ボックスに基づいて1つ又は複数のパラメータを決定するようにさらに構成され、(b)前記1つ又は複数の行為が、前記パラメータにも基づいて実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記別個の信号表現の前記パラメータが、
(a)波長、
(b)周波数、
(c)立上り時間、
(d)立下り時間、
(e)持続時間、
(f)電力、
(g)占有帯域幅、
(h)スペクトル密度、
(i)アクティビティ・プロファイル、又は
(j)偏波
のうちの1つ又は複数を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路は、
前記2つ以上の重複する無線信号の前記重ね合わせを分解すると、前記複数の無線信号の複数の追加のスペクトログラムであって、(a)前記追加のスペクトログラムの第1の追加のスペクトログラムが第1の解像度を有し、(b)前記追加のスペクトログラムの第2の追加のスペクトログラムが第2の解像度を有し、(c)前記第1の解像度が前記第2の解像度とは異なる、複数の追加のスペクトログラムを生成し、
前記別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現について、前記追加のスペクトログラムと前記対応するパラメータとを利用して、前記対応するパラメータの精度よりも高い精度を有する、前記所与の別個の信号表現の1つ又は複数の微調整されたパラメータを決定する
ようにさらに構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
時間とともに受信される前記複数の無線信号の前記スペクトログラムの前記画像分析が、連続的に又は周期的に実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理回路が、前記2つ以上の重複する無線信号の前記重ね合わせを分解すると、前記スペクトログラム内の前記所与の別個の信号表現の前の発生に基づいて、前記別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現に関連する1つ又は複数の統計パラメータを決定するようにさらに構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記統計パラメータが、
(a)信号アクティビティ・レベル、
(b)発生の確率、
(c)傍受の確率、
(d)電力分布、
(e)周波数安定度、又は
(f)平均持続時間
のうちの1つ又は複数を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記行為が、
(a)前記重複する無線信号を放出したエミッタを識別すること、
(b)前記重複する無線信号を放出した前記エミッタを分類すること、
(c)時間とともに受信される前記複数の無線信号の圧縮表現を生成すること、
(d)前記重複する無線信号のサンプルを抽出し、それによって無線信号分析を可能にすること、
(e)前記重複する無線信号を1つ又は複数の外部システムに与えること、又は
(f)前記重複する無線信号を前記システムのユーザに与えること
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記重複する無線信号の前記重ね合わせの前記分解が、直線多角形分解(RPD)に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記重複する無線信号の前記重ね合わせの前記分解が、人工ニューラル・ネットワーク(ANN)に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記領域の前記決定が、時間とともに受信される前記複数の無線信号の帯域にも基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記領域が、前記領域の周りのバウンディング・ボックスを識別することによって決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記スペクトログラムが、前記複数の無線信号の信号対ノイズ比(SNR)を最適化するために使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のための方法であって、前記方法は、
処理回路によって、画像分析を使用して、前記無線信号のうちの2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいる、前記スペクトログラムのうちの少なくとも1つの領域を決定するステップであって、前記重複する無線信号が、前記スペクトログラムのうちの前記少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である、ステップと、
前記処理回路によって、前記領域内の前記2つ以上の重複する無線信号の前記重ね合わせを別個の信号表現に分解するステップであって、前記別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現が、前記所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される、ステップと、
前記処理回路によって、前記別個の信号表現を利用して1つ又は複数の行為を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記処理回路によって、前記別個の信号表現のうちの少なくとも1つの別個の信号表現について、前記対応するバウンディング・ボックスに基づいて1つ又は複数のパラメータを決定するステップをさらに含み、前記1つ又は複数の行為が、前記パラメータにも基づいて実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記別個の信号表現の前記パラメータが、
(a)波長、
(b)周波数、
(c)立上り時間、
(d)立下り時間、
(e)持続時間、
(f)電力、
(g)占有帯域幅、
(h)スペクトル密度、
(i)アクティビティ・プロファイル、又は
(j)偏波
のうちの1つ又は複数を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2つ以上の重複する無線信号の前記重ね合わせを分解すると、前記処理回路によって、前記複数の無線信号の複数の追加のスペクトログラムを生成するステップであって、(a)前記追加のスペクトログラムの第1の追加のスペクトログラムが第1の解像度を有し、(b)前記追加のスペクトログラムの第2の追加のスペクトログラムが第2の解像度を有し、(c)前記第1の解像度が前記第2の解像度とは異なる、ステップと、
前記別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現について、前記処理回路によって、前記追加のスペクトログラムと前記対応するパラメータとを利用して、前記対応するパラメータの精度よりも高い精度を有する、前記所与の別個の信号表現の1つ又は複数の微調整されたパラメータを決定するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
時間とともに受信される前記複数の無線信号の前記スペクトログラムの前記画像分析が、連続的に又は周期的に実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記2つ以上の重複する無線信号の前記重ね合わせを分解すると、前記スペクトログラム内の前記所与の別個の信号表現の前の発生に基づいて、前記別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現に関連する1つ又は複数の統計パラメータを決定するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記統計パラメータが、
(a)信号アクティビティ・レベル、
(b)発生の確率、
(c)傍受の確率、
(d)電力分布、
(e)周波数安定度、又は
(f)平均持続時間
のうちの1つ又は複数を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記行為が、
(a)前記重複する無線信号を放出した前記エミッタを識別すること、
(b)前記重複する無線信号を放出した前記エミッタを分類すること、
(c)時間とともに受信される前記複数の無線信号の圧縮表現を生成すること、
(d)前記重複する無線信号のサンプルを抽出し、それによって無線信号分析を可能にすること、
(e)前記重複する無線信号を1つ又は複数の外部システムに与えること、又は
(f)前記重複する無線信号を前記システムのユーザに与えること
のうちの1つ又は複数を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記重複する無線信号の前記重ね合わせの前記分解が、直線多角形分解(RPD)に基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記重複する無線信号の前記重ね合わせの前記分解が、人工ニューラル・ネットワーク(ANN)に基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記領域の前記決定が、時間とともに受信される前記複数の無線信号の帯域にも基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記領域が、前記領域の周りのバウンディング・ボックスを識別することによって決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記スペクトログラムが、前記複数の無線信号の信号対ノイズ比(SNR)を最適化するために使用される、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
それとともに実施されるコンピュータ可読プログラム・コードを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読プログラム・コードが、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のための方法を実行するために、コンピュータの少なくとも1つの処理回路によって実行可能であり、前記方法は、
処理回路によって、画像分析を使用して、前記無線信号のうちの2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいる前記スペクトログラムのうちの少なくとも1つの領域を決定するステップであって、前記重複する無線信号が、前記スペクトログラムのうちの前記少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である、ステップと、
前記処理回路によって、前記領域内の前記2つ以上の重複する無線信号の前記重ね合わせを別個の信号表現に分解するステップであって、前記別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現が、前記所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される、ステップと、
前記処理回路によって、前記別個の信号表現を利用して、1つ又は複数の行為を実行するステップと
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の時間周波数分離のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の周波数において無線周波数(RF:Radio Frequency)通信を受信し、分析する広帯域RFシステムは、多くのドメイン、たとえば自動車レーダー・ソリューション、セルラー及びWi-Fiカバレージ分析、通信インテリジェンス・システムなどにおいて重要である。現在の広帯域RF分析は、広帯域RFシステムのユーザにとって関心のある信号を含んでいる傍受されたRF通信内のエリアを検出するために、複数のソースから複数の周波数において放出された、傍受されたRF通信のエネルギー・レベルを分析するための1次元信号処理方法を利用する。現在の広帯域RFシステムは、狭帯域であり、静的な周波数又は循環的に変化する周波数を有し、知られている変調(たとえば、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、周波数変調(FM:Frequency Modulation)、周波数シフト・キーイング(FSK:Frequency Shift Keying)など)を有し、標準のグリッド上にある、限られた数の通信ソースから放出される通信を処理するように設計されている。現在の広帯域RFシステムは、広帯域であり、アドホック・ネットワークにおいて使用される多くの現代のRFトランシーバなど、適応型周波数ホッピング・スペクトラム拡散通信方式を有し得る、複数の通信ソースから放出される複雑なRF通信を分析するために十分には適していない。これらの現在の広帯域RF分析システムは、バースト通信ソース、(ビデオ・フィード、マルチメディア・フィードなど)広帯域メッセージ、複数の通信ソース、高度の変調を用いたソース、及び豊富な通信プロトコルを処理するためには適していない。
【0003】
特に、現在の広帯域RFシステムは複数の通信ソースから複数の信号を受信する。これらの着信信号は互いに干渉し、これにより広帯域RFシステムは重ね合わせられた信号を受信することになり得る。重ね合わせられた信号を複数の着信信号に分離するために1次元信号処理方法を利用する現在の広帯域RF分析システムは、性能及び分離能力が限られている。
【0004】
したがって、広帯域RF分析のための新しい方法及びシステム、特に、未知であるか、広帯域であるか、バースト通信を使用するか、複素変調を使用するか、又は標準の/事前に識別されるグリッドを有しないことがある1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの時間周波数分離のための、新しい方法及びシステムが当技術分野で必要である。
【0005】
今回開示する主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に記載する。本明細書での参考文献の承認は、これらが今回開示する主題の特許性にとって、いかなる点においても関連することを意味するとして推論されるべきではない。
【0006】
特許文献1には、無線信号スペクトル特徴テンプレートに基づく信号識別方法が開示されている。その方法は、複数の無線信号のスペクトル特徴を抽出することによって信号テンプレート・ライブラリを構築することと、信号テンプレート・ライブラリ中の信号テンプレートの表現形式に従って識別すべき信号を前処理することと、識別すべき信号のタイプとスペクトル特徴パラメータとを得るために、識別すべき前処理された信号を信号スペクトル・テンプレート・ライブラリと比較し、照合することとを含む。本発明はまた、テンプレート構築ユニットと、前処理ユニットと、照合ユニットとを備える、無線信号スペクトル特徴テンプレートに基づく信号識別システムを提供する。本発明では、スペクトル・テンプレートは様々なタイプの信号を表すことができ、信号識別アルゴリズムは、信号識別の精度を保証しながらさらに簡略化される。
【0007】
非特許文献1には、変調識別がインテリジェント受信機のための重要な機能であることが開示されている。コグニティブ・レーダー、ソフトウェア無線(SDR:Software-Defined Radio)、及び効率的なスペクトル管理において多数の適用例がある。通信及びレーダー波形を識別するために、それらの変調タイプを分類する必要がある。DARPAのスペクトラム協調チャレンジは、共有RFスペクトルの需要を管理する必要性を強調する。ここで、変調方式を効果的に識別するために、これらのタイプの適用例において、どのように学習技法を活用することができるかを示す。
【0008】
非特許文献2には、無線環境特徴付けのための画像処理技法に基づく新規のフレームワークが開示されている。特に、各ポイントにおいて検出された周波数に従って所与のシナリオをデジタル化した後に、画像のピクセル強度が無線-電気条件をキャプチャする画像を構築することができる。非線形フィルタ処理及びオブジェクト検出動作を通して、提案されたフレームワークは、いくつかの周波数を検出することができる同質領域を識別することを可能にする。この方法は、スイッチオン・プロシージャ又はスペクトルの2次利用を容易にするためのフレキシブルなスペクトル・シナリオにおいて端末にスペクトル認識を与えるためのデータベースの構築、セル及びRAT選択のための適切なストラテジーを考案するためのサポートなど、様々なコンテキストにおいて使用することができる。
【0009】
非特許文献3には、コグニティブ無線が、既存のレガシー・ワイヤレス・システムへの変更なしに現在のスペクトル需要の増大と過少利用とを調停するためのソリューションを提供するワイヤレス通信のための新しいパラダイムであることが開示されている。2次ユーザは、1次ユーザによって占有されていない空間的及び時間的スペクトル・ホールを識別し、1次受信機への干渉を生じることなしに、それらを日和見的に使用することが可能であるべきである。その目的で、適切な2次ユーザ動作を保証するために、1次ネットワークの知識を有することが必要とされる。このコンテキストでは、1次ネットワークと2次ネットワークとの間に協働がないことを仮定して、本明細書は、異なる1次送信機の位置を推定するために、2次センサーによって収集された異なる地理的位置におけるいくつかの検知されたサンプルを組み合わせることを目的とする、画像処理技法に基づく、新しいフレームワークを提案する。その結果は、1次受信機を妨害することなしに、2次ネットワークが使用することができる周波数を発見するために使用することができる。現実的なシナリオにおいて実行された我々の結果は、送信機位置を推定する際の提案されたフレームワークの効果を示している。
【0010】
特許文献2には、フラッター信号の時間周波数グラフを得るために短時間フーリエ変換を使用することによって実際に測定されたフラッター信号に対して時間周波数分析を実行するステップと、次いで、畳み込みニューラル・ネットワークの強力な画像処理能力を使用することによって画像特性をマイニングするステップと、フラッター特性の抽出と、十分な接続層及び損失関数を通して計算することによる後続の信号の分析とを実現するステップとを含む、畳み込みニューラル・ネットワークと短時間フーリエ変換とに基づくフラッター信号分析方法が開示されている。本発明は、畳み込みニューラル・ネットワークをフラッター信号の短時間フーリエ変換と組み合わせ、実際に測定されたフラッター・データの分析のための良好な信頼性と精度とを有し、人工知能を空力弾性(aeroelasticity)と組み合わせる研究をさらに発展させるための確かな基礎を築き、実際的なエンジニアリング適用値を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2016/082562号
【特許文献2】中国特許出願公開第110866448号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Algorithms to antenna: train deep-learning networks with synthesized radar and comms signals (Gentile et al.) published on November 20, 2019
【非特許文献2】On the applicability of image processing techniques in the radio environment characterization (Perez-Romero et al.) published on April 2009
【非特許文献3】Image processing techniques as a support to transmitter positioning determination in cognitive radio networks (Bolea et al.) published on May 2010
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
今回開示する主題の第1の態様によれば、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のためのシステムであって、画像分析を使用して、無線信号のうちの2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいるスペクトログラムのうちの少なくとも1つの領域を決定することであって、重複する無線信号が、スペクトログラムのうちの少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である、決定することと、領域内の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを別個の信号表現に分解することであって、別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現が所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される、分解することと、別個の信号表現を利用して1つ又は複数の行為を実行することとを行うように構成された処理回路を備える、時間周波数分離のためのシステムが提供される。
【0014】
場合によっては、処理回路は、別個の信号表現のうちの少なくとも1つの別個の信号表現について、対応するバウンディング・ボックスに基づいて1つ又は複数のパラメータを決定するようにさらに構成され、1つ又は複数の行為は、パラメータに基づいても実行される。
【0015】
場合によっては、別個の信号表現のパラメータは、(a)波長、(b)周波数、(c)立上り時間、(d)立下り時間、(e)持続時間、(f)電力、(g)占有帯域幅、(h)スペクトル密度、(i)アクティビティ・プロファイル、又は(j)偏波のうちの1つ又は複数を含む。
【0016】
場合によっては、処理回路は、2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを分解すると、複数の無線信号の複数の追加のスペクトログラムを生成することであって、(a)追加のスペクトログラムの第1の追加のスペクトログラムが第1の解像度を有し、(b)追加のスペクトログラムの第2の追加のスペクトログラムが第2の解像度を有し、(c)第1の解像度が第2の解像度とは異なる、生成することと、別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現について、追加のスペクトログラムと対応するパラメータとを利用して、対応するパラメータの精度よりも高い精度を有する、所与の別個の信号表現の1つ又は複数の微調整されたパラメータを決定することとを行うようにさらに構成される。
【0017】
場合によっては、時間とともに受信される複数の無線信号のスペクトログラムの画像分析は、連続的に又は周期的に実行される。
【0018】
場合によっては、処理回路は、2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを分解すると、スペクトログラム内の所与の別個の信号表現の前の発生に基づいて、別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現に関連する1つ又は複数の統計パラメータを決定するようにさらに構成される。
【0019】
場合によっては、統計パラメータは、(a)信号アクティビティ・レベル、(b)発生の確率、(c)傍受の確率、(d)電力分布、(e)周波数安定度、又は(f)平均持続時間のうちの1つ又は複数を含む。
【0020】
場合によっては、行為は、(a)重複する無線信号を放出したエミッタを識別すること、(b)重複する無線信号を放出したエミッタを分類すること、(c)時間とともに受信される複数の無線信号の圧縮表現を生成すること、(d)重複する無線信号のサンプルを抽出し、それによって無線信号分析を可能にすること、(e)重複する無線信号を1つ又は複数の外部システムに与えること、又は(f)重複する無線信号をシステムのユーザに与えることのうちの1つ又は複数を含む。
【0021】
場合によっては、重複する無線信号の重ね合わせの分解は直線多角形分解(RPD:Rectilinear Polygon Decomposition)に基づく。
【0022】
場合によっては、重複する無線信号の重ね合わせの分解は人工ニューラル・ネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)に基づく。
【0023】
場合によっては、領域の決定は、時間とともに受信される複数の無線信号の帯域にも基づく。
【0024】
場合によっては、領域は、領域の周りのバウンディング・ボックスを識別することによって決定される。
【0025】
場合によっては、別個の信号表現の各々は、別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される。
【0026】
場合によっては、スペクトログラムは、複数の無線信号の信号対ノイズ比(SNR:Signal-to-Noise Ratio)を最適化するために使用される。
【0027】
今回開示する主題の第2の態様によれば、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のための方法であって、処理回路によって、画像分析を使用して、無線信号の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいるスペクトログラムのうちの少なくとも1つの領域を決定することであって、重複する無線信号が、スペクトログラムのうちの少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である、決定することと、処理回路によって、領域内の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを別個の信号表現に分解することであって、別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現が、所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される、分解することと、処理回路によって、別個の信号表現を利用して1つ又は複数の行為を実行することとを含む、方法が提供される。
【0028】
場合によっては、処理回路によって、別個の信号表現のうちの少なくとも1つの別個の信号表現について、対応するバウンディング・ボックスに基づいて1つ又は複数のパラメータを決定することをさらに含む方法であって、1つ又は複数の行為はパラメータにも基づいて実行される。
【0029】
場合によっては、別個の信号表現のパラメータは、(a)波長、(b)周波数、(c)立上り時間、(d)立下り時間、(e)持続時間、(f)電力、(g)占有帯域幅、(h)スペクトル密度、(i)アクティビティ・プロファイル、又は(j)偏波のうちの1つ又は複数を含む。
【0030】
場合によっては、2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを分解すると、処理回路によって、複数の無線信号の複数の追加のスペクトログラムを生成することであって、(a)追加のスペクトログラムの第1の追加のスペクトログラムが第1の解像度を有し、(b)追加のスペクトログラムの第2の追加のスペクトログラムが第2の解像度を有し、(c)第1の解像度は第2の解像度とは異なる、生成することと、別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現について、処理回路によって、追加のスペクトログラムと対応するパラメータとを利用して、対応するパラメータの精度よりも高い精度を有する、所与の別個の信号表現の1つ又は複数の微調整されたパラメータを決定することとをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【0031】
場合によっては、時間とともに受信される複数の無線信号のスペクトログラムの画像分析は、連続的に又は周期的に実行される。
【0032】
場合によっては、2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを分解すると、スペクトログラム内の所与の別個の信号表現の前の発生に基づいて、別個の信号表現のうちの少なくとも1つの所与の別個の信号表現に関連する1つ又は複数の統計パラメータを決定することをさらに含む方法。
【0033】
場合によっては、統計パラメータは、(a)信号アクティビティ・レベル、(b)発生の確率、(c)傍受の確率、(d)電力分布、(e)周波数安定度、又は(f)平均持続時間のうちの1つ又は複数を含む。
【0034】
場合によっては、行為は、(a)重複する無線信号を放出したエミッタを識別すること、(b)重複する無線信号を放出したエミッタを分類すること、(c)時間とともに受信される複数の無線信号の圧縮表現を生成すること、(d)重複する無線信号のサンプルを抽出し、それによって無線信号分析を可能にすること、(e)重複する無線信号を1つ又は複数の外部システムに与えること、又は(f)重複する無線信号をシステムのユーザに与えることのうちの1つ又は複数を含む。
【0035】
場合によっては、重複する無線信号の重ね合わせの分解は直線多角形分解(RPD)に基づく。
【0036】
場合によっては、重複する無線信号の重ね合わせの分解は人工ニューラル・ネットワーク(ANN)に基づく。
【0037】
場合によっては、領域の決定は、時間とともに受信される複数の無線信号の帯域にも基づく。
【0038】
場合によっては、領域は、領域の周りのバウンディング・ボックスを識別することによって決定される。
【0039】
場合によっては、別個の信号表現の各々は、別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される。
【0040】
場合によっては、スペクトログラムは、複数の無線信号の信号対ノイズ比(SNR)を最適化するために使用される。
【0041】
現在開示している主題の第3の態様によれば、それとともに実施されるコンピュータ可読プログラム・コードを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ可読プログラム・コードが、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のための方法を実行するために、コンピュータの少なくとも1つの処理回路によって実行可能であり、本方法は、処理回路によって、画像分析を使用して、無線信号のうちの2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいるスペクトログラムのうちの少なくとも1つの領域を決定することであって、重複する無線信号が、スペクトログラムのうちの少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である、決定することと、処理回路によって、領域内の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを別個の信号表現に分解することであって、別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現が、所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される、分解することと、処理回路によって、別個の信号表現を利用して、1つ又は複数の行為を実行することとを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0042】
次に、今回開示する主題を理解するために、また、それが実際にはどのように実行され得るかを確かめるために、添付の図面を参照しながら、非限定的な例としてのみ、主題について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A】今回開示する主題による、1つ又は複数の入力信号の表現をもつ例示的な入力スペクトログラムの概略図である。
図1B】今回開示する主題による、しきい値を上回る入力信号のうちの1つ又は複数の信号の表現をもつ例示的なスペクトログラムの概略図である。
図1C】今回開示する主題による、ピクセルの1つ又は複数の識別されたグループの表現をもつ例示的なスペクトログラムの概略図である。
図1D】今回開示する主題による、マーキングされた境界をもつ1つ又は複数のグループの表現をもつ例示的なスペクトログラムの概略図である。
図2】今回開示する主題による、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のためのシステムの1つの実例を概略的に示すブロック図である。
図3】今回開示する主題による、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のために実行される動作のシーケンスの1つの実例を示すフローチャートである。
図4A】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図4B】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図4C】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図4D】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図4E】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図4F】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図4G】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図4H】今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号の表現をもつスペクトログラム内の例示的な領域の概略図である。
図5】今回開示する主題による、1つ又は複数の分離された信号の表現をもつ例示的なスペクトログラムの概略図である。
図6】今回開示する主題による、2つの例示的な分離された信号の表現をもつ、良好な時間解像度をもつ例示的なスペクトログラム、及びその2つの例示的な分離された信号の表現をもつ、良好な周波数解像度をもつ例示的なスペクトログラムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の詳細な説明では、今回開示する主題の完全な理解を与えるために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、今回開示する主題はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者によって理解されよう。他の事例では、今回開示する主題を不明瞭にしないように、よく知られている方法、プロシージャ及び構成要素については詳細に説明していない。
【0045】
記載されている図面及び説明では、同等の参照符号は、異なる実施例又は構成に共通である構成要素を示す。
【0046】
別段に明記されていない限り、以下の説明から明らかなように、本明細書の説明全体にわたって、「決定する」、「分解する」、「実行する」、「更新する」、「分離する」などの用語を利用することは、データを操作し及び/又は他のデータに変換するコンピュータの行為及び/又はプロセスを含み、前記データは、たとえば電子量など物理量として表され、及び/又は前記データは物理的対象を表すことを諒解されたい。「コンピュータ」、「プロセッサ」、「処理リソース」、「処理回路」及び「コントローラ」という用語は、非限定的な例として、パーソナル・デスクトップ・コンピュータ/パーソナル・ラップトップ・コンピュータ、サーバ、計算システム、通信デバイス、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、スマート・テレビジョン、プロセッサ(たとえばデジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、マイクロコントローラ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)など)、様々なタスクの性能を共有する複数の物理マシンのグループ、単一の物理マシン上に共に常駐する仮想サーバ、他の電子計算デバイス、及び/又はそれらの任意の組合せを含む、データ処理能力をもつあらゆる種類の電子デバイスをカバーするように広く解釈されるべきである。
【0047】
本明細書の教示による動作は、所望の目的のために特別に構築されたコンピュータによって実行され得るか、又は非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータ・プログラムによって所望の目的のために特別に構成された汎用コンピュータによって実行され得る。「非一時的」という用語は、本明細書では、一時的な伝搬信号を除外するために使用されるが、さもなければ、適用例に好適な揮発性又は不揮発性コンピュータ・メモリ技術を含むために使用される。
【0048】
本明細書で使用する際、「たとえば」、「など」、「例としては」というフレーズ及びそれらの異形は、今回開示する主題の非限定的な実施例を表す。「1つの場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」又はそれらの異形への本明細書での言及は、実施例に関して説明される特定の特徴、構造又は特性が、今回開示する主題の少なくとも1つの実施例中に含まれることを意味する。したがって、「1つの場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」というフレーズ又はそれらの異形の出現は必ずしも同じ実施例を指すとは限らない。
【0049】
別段に明記されていない限り、明快のために、別個の実施例のコンテキストにおいて説明される、今回開示する主題のいくつかの特徴も、単一の実施例において組み合わせて与えられ得ることを諒解されたい。反対に、簡潔のために、単一の実施例のコンテキストにおいて説明される、今回開示する主題の様々な特徴はまた、別々に与えられ得るか、又は任意の好適なサブコンビネーションにおいて与えられ得る。
【0050】
今回開示する主題の実施例では、図3に示されたものよりも少ない、より多い及び/又はそれらとは異なる段階が実行され得る。今回開示する主題の実施例では、図3に示された1つ又は複数の段階が異なる順序で実行され得、並びに/或いは段階の1つ又は複数のグループが同時に実行され得る。図1A図1D図2図4A図4H図5は、今回開示する主題の一実施例による、システム構成要素及びフローの一般的な概略図を示す。図1A図1D図2図4A図4H図5に示された各モジュール及び結果は、本明細書で定義され、説明される機能を実行するソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアの任意の組合せから構成することができる。図1A図1D図2図4A図4H図5に示されたモジュール及び結果は、1つのロケーションに集中させられ得るか、2つ以上のロケーションにわたって分散させられ得る。今回開示する主題の他の実施例では、本システムは、図1A図1D図2図4A図4H図5に示されたものよりも少ない、多い及び/又はそれとは異なるモジュールを備え得る。
【0051】
本明細書での方法への言及は、その方法を実行することが可能なシステムに準用されるべきであり、また、コンピュータによって実行されると、その結果、その方法が実行される命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0052】
本明細書でのシステムへの言及は、そのシステムによって実行され得る方法に準用されるべきであり、また、そのシステムによって実行され得る命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体に準用されるべきである。
【0053】
本明細書での非一時的コンピュータ可読媒体への言及は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することが可能なシステムに準用されるべきであり、また、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令を読み取るコンピュータによって実行され得る方法に準用されるべきである。
【0054】
このことを念頭に置いて、今回開示する主題による、1つ又は複数の入力信号の表現をもつ例示的な入力スペクトログラムの概略図である、図1Aに注目する。
【0055】
入力スペクトログラムは、傍受された通信の1つ又は複数の入力信号110を表す2次元画像である。入力スペクトログラムは、広帯域受信機、たとえば、ある時間期間にわたって1つ又は複数のエミッタによって放出された様々なRF通信(たとえば、無線通信、セルラー通信、Wi-Fi通信、レーダー通信など)を傍受する、広帯域RF受信機(たとえば、スペクトラム・アナライザ)によって収集することができる。入力スペクトログラムは、広帯域RF分析システムのために関心のある信号を含んでいる傍受された通信内のエリアを検出するために、画像分析方法を利用して分析することができる。
【0056】
入力スペクトログラムはグラフであり、X軸は傍受の時間(たとえば、ミリ秒単位)を表し、Y軸は傍受の周波数(たとえば、メガヘルツ(MHz:MegaHertz)単位)を表す。グラフ内の所与のX、Y位置に位置する各ピクセルの色(又はグレー・スケール)は、広帯域RF受信機によって時間Xにおいて周波数Yで傍受されたエネルギー・レベル(たとえば、デシベル(dB:deciBel)単位)に関連する。色付きのピクセルのシーケンスは入力信号110を表し得る。たとえば、図1Aは、グラフのY軸上の、ピクセル1500とピクセル2000との間に位置する明るい色のピクセル・グループの再発シーケンスを示す。これらのピクセル・グループは、ピクセル1500とピクセル2000との間で傍受された(これらのピクセルの輝度レベルによって表される)所与のエネルギー・レベルをもつ再発入力信号110を表す。
【0057】
広帯域RF分析システムは、それの非限定的な例が図1Bに提示されている、フィルタ処理された傍受された通信画像を生成するために、入力スペクトログラムを任意で処理することができる。入力スペクトログラムの所与のX、Y位置に位置する対応する所与のピクセルの色が、色しきい値を上回る(たとえば、-40dBmを表す色を上回る)場合に、所与のX、Y位置に位置する、フィルタ処理された傍受された通信画像のピクセルが「オン状態」にある。入力スペクトログラムの対応する所与のピクセルが色しきい値を下回る場合、本明細書で詳述するように、そのピクセルは、フィルタ処理された傍受された通信画像において「オフ状態」になり、追加の処理ステップの一部にはならない。「オン状態」で残っているピクセルは、しきい値を上回る信号120を表す。図1Bの非限定的な例では、X軸の開始においてピクセル1500に位置する入力信号110のうちの、色しきい値を下回る入力信号は、削除され、しきい値信号を上回る信号120の一部にはならない。
【0058】
同様に、広帯域RF分析システムは、任意で、フィルタ処理された傍受された通信画像を処理し、ノイズフィルタ処理された傍受された通信画像を生成し、ノイズしきい値を上回るピクセルをなくすことができる。ノイズしきい値は、所望の感度ターゲットに応じてスペクトログラムごとに決定され得る。フィルタ処理段階は、広帯域RF分析システムが、しきい値信号を上回る信号120を有し、ノイズフィルタ処理された信号である入力スペクトログラムの部分のみを処理することを可能にし、それによって、入力スペクトログラム内の信号を識別するためのより良い結果を与える。
【0059】
広帯域RF分析システムは、フィルタ処理された傍受された通信画像内のピクセルのグループを検出するために、局所距離グループ化アルゴリズム(たとえば、2Dバイナリ画像中の接続された構成要素をラベル付けするラベリング・アルゴリズム)を利用して、しきい値を上回る信号通信画像を処理する。広帯域RF分析システムはまた、任意で、ピクセルのいずれかのグループの一部であるべき、局所距離グループ化アルゴリズムによって見つけられなかったピクセルを、フィルタ処理して除去することができる。ピクセルの識別されたグループ130のうちの各識別されたグループは、とりわけ図4A図4Hを参照しながら、本明細書でさらに詳述するように、傍受された通信内の識別された信号を表すことができ、本システムは、そのような信号に対して、1つ又は複数の行為、たとえば、識別されたグループの2つ以上のサブグループとして表される2つ以上の重複する無線信号を実現するピクセルのグループによって表される重複する無線信号を識別することを実行することができる。得られた処理された画像の非限定的な例が図1Cに示されている。
【0060】
図1Dは、識別されたグループ130を境界でマーキングし、それによって、ピクセルのグループの各々を個々にマーキングする、識別されたグループ130の周りの境界をもつグループとして識別されるピクセルである、マーキングされた境界をもつグループ140を生じる、非限定的な例である。処理のこのフェーズは、任意で、フィルタ処理された傍受された通信画像、又は入力スペクトログラム自体を使用することができることに留意されたい。さらに、説明したシステムは、波長、周波数、偏波など、識別された信号の1つ又は複数のパラメータを決定することができる。
【0061】
例示的な入力スペクトログラムと、1つ又は複数の識別された信号140を識別するための入力スペクトログラムの処理とについて手短に説明したが、今回開示する主題による、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のためのシステムの1つの実例を概略的に示すブロック図である、図2に注目する。
【0062】
システム200は、とりわけ、入力スペクトログラム、フィルタ処理された傍受された通信画像、ノイズフィルタ処理された傍受された通信画像、処理された画像、しきい値、識別された信号140の特性などを含む、データを記憶するように構成された、データ・リポジトリ210(たとえば、データベース、記憶システム、読取り専用メモリROM、ランダム・アクセス・メモリRAM、又は任意の他のタイプのメモリを含むメモリなど)を備えることができるか、又は、さもなければそれらに関連付けることができる。場合によっては、データ・リポジトリ210は、さらに、その上に記憶されるデータの取出し及び/又は更新及び/又は削除を可能にするように構成することができる。場合によっては、データ・リポジトリ210は分配することができることに留意されたい。場合によっては、データ・リポジトリ210はクラウドベースのストレージに記憶することができることに留意されたい。
【0063】
システム200は、さらに、ネットワーク・インターフェース220を備え、ネットワーク・インターフェース220は、システム200をネットワークに接続することを可能にし、また、システム200が、場合によっては、たとえば広帯域RF受信機から、時間とともに収集されるRF信号を表す1つ又は複数のスペクトログラムを受信することを含む、ネットワークを通してデータを送り、システム200に送られるデータを受信することを可能にする。非限定的なサンプル・セットアップでは、システム200は、毎秒数百個の信号を放出する複数のエミッタ(エミッタのうちのいくつかはバースト通信エミッタ及び/又は周波数ホッピング・エミッタであり得る)を含む、40MHzスペクトルを表すスペクトログラムをリアルタイムで分析することができる。場合によっては、ネットワーク・インターフェース220は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:Local Area Network)に、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN:Wide Area Network)に、又はインターネットに接続することができる。場合によっては、ネットワーク・インターフェース220はワイヤレス・ネットワークに接続することができる。
【0064】
システム200は処理回路230をさらに備える。処理回路230は、関連するシステム200のリソースを制御するために、及びシステム200のリソースに関係する動作を可能にするために単独で又は協働的にデータを処理するように適応された、多重処理回路ユニット及び/又は並列処理回路ユニット及び/又は分散処理回路ユニットを含む、1つ又は複数の処理回路ユニット(たとえば、中央処理ユニット)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(たとえば、マイクロコントローラ・ユニット(MCU:MicroController Unit))又は任意の他の計算デバイス若しくはモジュールであり得る。
【0065】
処理回路230は、以下のモジュール、すなわち時間周波数分離モジュール240を備える。
【0066】
時間周波数分離モジュール240は、とりわけ図3を参照しながら、本明細書でさらに詳述するように、時間周波数分離プロセスを実行するように構成することができる。
【0067】
図3は、今回開示する主題による、1つ又は複数のエミッタから時間とともに受信される複数の無線信号の1つ又は複数のスペクトログラムの画像分析に基づく時間周波数分離のために実行される動作のシーケンスの一例を示すフローチャートである。
【0068】
今回開示する主題のいくつかの例によれば、システム200は、入力スペクトログラム内に表される重複する無線信号の識別及び分解のために、たとえば、時間周波数分離モジュール240を利用して、時間周波数分離プロセス300を実行するように構成することができる。重複する無線信号は、2つ以上のエミッタが、重複する周波数内で無線信号を同時に放出したときに、広帯域RF受信機によって収集することができる。重複する無線信号は、2つ以上の重複する無線信号を実現するピクセルのグループとして入力スペクトログラムの領域によって表される。図4Aは、今回開示する主題による、1つ又は複数の重複する信号を表す入力スペクトログラム内の例示的な領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ)の概略図である。システム200は、領域のうちの少なくとも1つが、重複する無線信号の重ね合わせ表現を含んでいるかどうかを決定するために、その領域を分析し、重複した信号を別個の信号表現に分解する。この目的のために、システム200は、画像分析を使用して、無線信号の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの表現を含んでいるスペクトログラムのうちの少なくとも1つの領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ)を決定するように構成することができ、重複する無線信号は、スペクトログラムのうちのその少なくとも1つ内の共通の時間周波数を共有する無線信号の表現である(ブロック310)。システム200は、入力スペクトログラム内の少なくとも1つの領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ)を決定するために入力スペクトログラムを分析する。領域の決定は、重複しない無線信号を表すオブジェクトに関連付けられたすべてのピクセルをマスクする機械学習モデル(たとえば、人工ニューラル・ネットワーク(ANN)、ランダム・フォレスト、決定木など)を使用することによって、又は任意の他の画像分析技法によって達成することができる。領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ)の決定は、時間とともに受信され、入力スペクトログラム内に表される複数の無線信号の帯域(たとえば、高周波数(HF:High Frequency)帯域、超短波(VHF:Very High Frequency)帯域、極超短波(UHF:Ultra High Frequency)帯域など)にも基づくことができる。
【0069】
領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ)は、入力スペクトログラム内の1つ又は複数のエリアからのピクセルの1つ又は複数のグループであり得、これらのエリアは入力スペクトログラムの不連続エリアであり得ることに留意されたい。たとえば、1つの領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ)は、入力スペクトログラムの左上隅からのピクセルのグループと、入力スペクトログラムの右下隅からのピクセルのグループとを含むことができる。
【0070】
領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)を決定した後に、システム200は、領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)内の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを別個の信号表現に分解するようにさらに構成することができ、別個の信号表現のうちの各所与の別個の信号表現は、所与の別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される(ブロック320)。システム200は、1つ又は複数の分解アルゴリズム(たとえば、直線多角形分解(RPD)など)を採用することによって、及び/又は2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを別個の信号表現に分解するようにトレーニングされた1つ又は複数の機械学習モジュール(たとえば、人工ニューラル・ネットワーク(ANN)、ランダム・フォレスト、決定木など)を使用することによって、領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)内の2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせを分解する。
【0071】
システム200は、分離された信号表現のうちの少なくとも1つの周りのバウンディング・ボックスを決定し、描く。バウンディング・ボックスは、時間ドメインと周波数ドメインとにおける信号の境界を描写する。バウンディング・ボックスはスペクトログラム内の分離された信号のロケーションをマーキングする。これらのバウンディング・ボックスは、分離された信号表現を表し、分離された信号の1つ又は複数のパラメータを決定するために、分離された信号についての追加の情報を抽出するために、スペクトログラムと一緒に利用することができる。これは、対応するバウンディング・ボックス自体を分析することによって、たとえば、バウンディング・ボックスのX軸及びY軸におけるロケーション、バウンディング・ボックスの形状、バウンディング・ボックスの色、バウンディング・ボックスのサイズなどを分析することによって実行される。バウンディング・ボックスを分析することから演繹することができるパラメータは、対応する分離された信号の波長、対応する分離された信号の周波数、対応する分離された信号の立上り時間、対応する分離された信号の立下り時間、対応する分離された信号の持続時間、対応する分離された信号の電力、対応する分離された信号の占有帯域幅、対応する分離された信号のスペクトル密度、対応する分離された信号のアクティビティ・プロファイル、対応する分離された信号の偏波などを含む。
【0072】
場合によっては、システム200は、分離された信号の生成されたパラメータを微調整することができる。システム200は、多重解像度時間周波数解析法を適用することによってこれを達成する。これにより、システム200は、分離された信号の周りのバウンディング・ボックスの精度及び解像度をさらに高めることと、パラメータのより正確な推定を演繹することとが可能になる。多重解像度解析では、システム200は、分離された信号表現とそれらのバウンディング・ボックスとがそこにおいて識別されたスペクトログラムのために使用される、同じ受信された複数の無線信号の複数の追加のスペクトログラムを生成する。これらの追加のスペクトログラムは異なる解像度を有し得る。追加のスペクトログラムは、正確な信号パラメータの推定を演繹するために、及びそれらのパラメータを微調整するために使用される。ガボール(Gabor)の不確定性原理によって与えられる制限により、単一のスペクトログラムを使用して信号の時間特性と周波数特性の両方を正確にキャプチャすることは、理論上可能ではないので、単一のスペクトログラムを使用して信号を分析するときに、信号の良好な時間解像度表現と同じ信号の良好な周波数解像度表現との間にトレードオフがある。システム200は、良好な時間解像度表現の追加スペクトログラムと良好な周波数解像度表現の追加スペクトログラムの両方を生成し、それらを利用して、分離された信号のバウンディング・ボックスから演繹されるパラメータを微調整する。追加のスペクトログラム解像度は、信号持続時間と信号帯域幅とに依存し、時間ドメインと周波数ドメインとにおいて交互に最適な精度を与えるために生成される。したがって、時間ドメインに関連するパラメータは高時間解像度の追加スペクトログラムから抽出され、周波数ドメインに関連するパラメータは高周波数解像度の追加スペクトログラムから抽出される。信号時間パラメータ及び信号周波数パラメータの推定及び微調整は、時間ドメインにおける分離された信号のバウンディング・ボックスと、周波数ドメインにおける信号のスペクトル・パワー・エンベロープとを分析することによって、別個に行うことができる。図6は、スペクトログラムA600-aが良好な時間解像度を有する、システム200によって生成された追加のスペクトログラムの非限定的な例である。分離された信号A520-aはシステム200によって分解され、それらの周りに対応するバウンディング・ボックスが描かれる。システム200はまた、同じ受信された無線信号について、良好な周波数解像度をもつ追加のスペクトログラムを示す、スペクトログラムB600-b中に示されている例示的なスペクトログラムを生成する。スペクトログラムA600からの同じ分離された信号は、分離された信号B520-bとしてスペクトログラムB600-bにも示されている。分離された信号B520-bの特性(たとえば、ロケーション、形状など)及びそれらの対応するバウンディング・ボックスは、解像度が異なるので、良好な周波数解像度スペクトログラム中で異なり、したがって、このスペクトログラムから周波数に関係する微調整されたパラメータを演繹することができることに留意されたい。同様に、システム200は、スペクトログラムA600-aに示されている良好な時間解像度を有する追加のスペクトログラムを使用することによって、時間に関係するパラメータを微調整することができる。
【0073】
場合によっては、システム200は、入力スペクトログラムのシーケンスをフレームごとに連続的に又は周期的に処理することによってスペクトログラム内の無線信号表現を検出することができる。複数の無線信号は所与の時間期間にわたって受信されるので、それらの表現は、所与の時間期間にわたって連続的に又は周期的に生成される1つ又は複数のスペクトログラム中に現れ得る。システム200は、スペクトログラムのシーケンス間で同様のバウンディング・ボックス又は変化するバウンディング・ボックスを有する同じ信号を検出することができる。信号バウンディング・ボックスは、統計パラメータ及び時間パラメータを演繹するためにフレームごとに処理することができる。統計パラメータ及び時間パラメータは検出された信号上で抽出され得る。そのような情報は、信号アクティビティ・レベル、発生及び傍受の確率、電力分布、周波数安定度、平均持続時間などを含むことができる。システム200は、着信スペクトログラムごとに信号表現を連続的に処理することができる。システム200は、スペクトログラムのうちの少なくともいくつかについて周期的処理を実行することができる。
【0074】
2つ以上の重複する無線信号の重ね合わせの非限定的な例は以下のステップを含むが、ステップのうちの少なくともいくつかは任意であることを留意されたい。
入力表現をダウンサンプリングする。システム200は、それの実例が図4Bに示されているダウンサンプリングされたスペクトログラムを生成するために、図4Aに示されているように、入力スペクトログラム内の領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)を処理する。ダウンサンプリングは、サンプルベースの離散化プロセス、たとえば最大値プーリング(max-pooling)を使用することによって達成することができる。ダウンサンプリングは、得られたダウンサンプリングされたスペクトログラム中の信号対ノイズ比(SNR)を改善することができる。
しきい値フィルタ処理。システム200は、それの実例が図4Cに示されているしきい値フィルタ処理されたスペクトログラムを生成するために、図4Bに示されているように、ダウンサンプリングされたスペクトログラム内の領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)を処理する。しきい値フィルタ処理されたスペクトログラムは、色しきい値を上回る(たとえば、-40dBを表す色を上回る)色を有するピクセルのみを含むことができる。入力スペクトログラムの対応する所与のピクセルが色しきい値を下回る場合、そのピクセルはしきい値フィルタ処理されたスペクトログラムにおいて「オフ状態」になる。システム200は、後続の処理ステップにおいて、色しきい値を下回るピクセルを利用し得る。これらのピクセルは「オフ状態」ピクセルとして使用され得る。場合によっては、色しきい値を下回るピクセルは、たとえば「オン状態」ピクセル・グループにおいてホールを埋めることによって、画像クロージングのために使用することができる。
ノイズフィルタ処理。システム200は、それの実例が図4Dに示されているノイズフィルタ処理されたスペクトログラムを生成するために、図4Cに示されているように、しきい値フィルタ処理されたスペクトログラム内の領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)を処理する。
オブジェクト認識。システム200は、それの実例が図4Eに示されているオブジェクト認識スペクトログラムを生成するために、図4Dに示されているように、ノイズフィルタ処理されたスペクトログラム内の領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)を処理する。オブジェクト認識は、たとえば、領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)を構成するピクセルの連続するグループである、オブジェクトを検出するために、ノイズフィルタ処理されたスペクトログラム中の接続された成分にラベル付けするラベル付けアルゴリズムを利用することによって達成することができる。
重複するオブジェクトの認識。システム200は、それの実例が図4Fに示されている重複するオブジェクト認識スペクトログラムを生成するために、図4Eに示されているように、オブジェクト認識スペクトログラム内の領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)を処理し、その領域は、その領域の周りのバウンディング・ボックスを識別することによって決定される。これは、たとえば、識別されたオブジェクトの各々を含んでいる接多角形(tangential polygon)を描くことによって達成することができる。重複する信号をもつ領域(たとえば、領域A410-a、領域B410-b、又は領域C410-cのうちの1つ又は複数)では、接多角形は、たとえば図4G及び図4Hに示されているように、重複する信号を別個の信号表現に分離し、別個の信号表現の各々は別個の信号表現の周りの対応するバウンディング・ボックスによって表される。図4Hでは、別個の信号表現は入力スペクトログラム表現の背景に示されている。図4G及び図4Hに示されている非限定的な例では、領域、すなわち、領域A410-a、領域B410-b及び領域C410-cは、別個の信号、すなわち、別個の信号A420-a、別個の信号B420-b、別個の信号C420-c及び別個の信号D420-dに分離されている。
場合によっては、重複するオブジェクトは1つ又は複数の交差430を有し、各交差430は、2つ以上のオブジェクトに共通である、オブジェクトのエリアであることに留意されたい。本実例では、交差430は別個の信号A420-aと別個の信号B420-bとに共通である。システム200は、交差430を識別し、交差430を、交差430が属するオブジェクトの各々に関連付けることができる。バウンディング・ボックスは、図5に示されているように、入力スペクトログラムのすべての領域の上に置くことができる。
【0075】
システム200はまた、別個の信号表現の信号対ノイズ比(SNR)を最適化するために入力スペクトログラムを使用することができる。
【0076】
さらに、システム200は、入力スペクトログラムが周波数ホッピング信号を含むかどうかを決定するために、パターン認識技法を採用することができる。
【0077】
システム200は、その場合、別個の信号表現(たとえば、別個の信号A420-a、別個の信号B420-b、別個の信号C420-c、又は別個の信号D420-dのうちの1つ又は複数)を利用して、1つ又は複数の行為を実行するように構成することができる(ブロック330)。行為は、ブロック320においてバウンディング・ボックスから演繹されるパラメータと、ブロック320においてシステム200によって生成される多重解像度スペクトログラムを使用して決定される微調整されたパラメータとにも基づくことができることに留意されたい。
【0078】
行為は以下のうちの1つ又は複数を含むことができる。
重複する無線信号を放出したエミッタを識別する。システム200は、各エミッタのための識別子を有することができ、分離された信号(たとえば、別個の信号A420-a、別個の信号B420-b、別個の信号C420-c、又は別個の信号D420-dのうちの1つ又は複数)の各々は異なる識別されたエミッタに関連付けられる。
重複する無線信号を放出したエミッタを分類する。システム200は、放出された帯域に従ってエミッタを分類するために、分離された信号(たとえば、別個の信号A420-a、別個の信号B420-b、別個の信号C420-c、又は別個の信号D420-dのうちの1つ又は複数)のパラメータを利用することができる。たとえば、HFエミッタ、VHFエミッタ、UHFエミッタなど。
時間とともに受信される複数の無線信号の圧縮表現を生成する。
重複する無線信号のサンプルを抽出し、それによって、重複する無線信号のうちの1つ又は複数の配置、重複する無線信号のうちの1つ又は複数の検出、又は重複する無線信号のうちの1つ又は複数の正確なパラメータ推定という無線信号分析を可能にする。
分離された信号(たとえば、別個の信号A420-a、別個の信号B420-b、別個の信号C420-c、又は別個の信号D420-dのうちの1つ又は複数)を、セルラー・カバレージ・プランナー、無線周波数使用状況監視システムなど、1つ又は複数の外部システムに与える。
分離された信号(たとえば、別個の信号A420-a、別個の信号B420-b、別個の信号C420-c、又は別個の信号D420-dのうちの1つ又は複数)を、たとえばシステム200のユーザ・インターフェース(UI:User Interface)構成要素を利用することによって、システム200のユーザに与える。
【0079】
場合によっては、分離された信号、それらの対応するバウンディング・ボックス及びパラメータは、スペクトル監視、コグニティブ無線スペクトル検知、信号分類及びクラスタ化、通信信号復調及びデータ抽出、信号方向探知及び地理位置特定、並びに他のアルゴリズム及びアプリケーションを含む、システム200の内部又は外部の、異なる信号分析アルゴリズム及びアプリケーションによって使用され得る。
【0080】
図3を参照すると、ブロックのうちのいくつかは、統合ブロックに一体化することができるか、いくつかのブロックに分割することができ、及び/又は他のブロックが追加され得ることに留意されたい。さらに、場合によっては、ブロックは、本明細書で説明した順序とは異なる順序で実行することができる。さらに、ブロックのうちのいくつかは任意であることに留意されたい。また、流れ図については、それらを実現するシステム要素に関して説明されるが、これは決して強制的なものではなく、ブロックは、本明細書で説明した要素以外の要素によって実行することができることに留意されたい。
【0081】
今回開示する主題は、それの適用例が、本明細書に含まれている説明に記載されているか又は図面に示されている詳細に限定されないことを理解されたい。今回開示する主題は、他の実施例が可能であり、様々な形で実施し、実行することが可能である。したがって、本明細書で採用された言い回し及び用語は、説明の目的のためであり、限定的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。したがって、本開示がそれに基づく概念は、今回開示する主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法及びシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを、当業者は諒解しよう。
【0082】
また、今回開示する主題によるシステムは、少なくとも部分的に、好適にプログラムされたコンピュータとして実施することができることが理解されよう。同様に、今回開示する主題は、開示された方法を実行するためのコンピュータによって読取り可能であるコンピュータ・プログラムを企図している。今回開示する主題は、さらに、開示された方法を実行するための機械によって実行可能な命令のプログラムを有形に実施する機械可読メモリを企図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5
図6
【国際調査報告】