(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-26
(54)【発明の名称】肺の炎症を治療するための、吸入薬物送達のための新規オメガ3担体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/202 20060101AFI20240719BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240719BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240719BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20240719BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20240719BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240719BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/232 20060101ALI20240719BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20240719BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240719BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/685 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/4418 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/4035 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/4409 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240719BHJP
A61K 31/7036 20060101ALI20240719BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K31/202
A61P11/00
A61P31/14
A61P11/06
A61P31/06
A61P35/00
A61P11/16
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K31/232
A61K9/72
A61K9/12
A61K47/24
A61K31/685
A61K31/4045
A61K31/58
A61K31/05
A61K31/4418
A61K31/4035
A61K31/44
A61K31/46
A61K31/496
A61K31/4409
A61K31/47
A61K31/352
A61K31/7036
A61P7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531740
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 IB2022057208
(87)【国際公開番号】W WO2023012690
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202141035170
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202141053853
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524049686
【氏名又は名称】レイウティス ファーマシューティカルズ エルエルピー
【氏名又は名称原語表記】LEIUTIS PHARMACEUTICALS LLP
【住所又は居所原語表記】Plot No. 23, TIE 1st Phase, Balanagar, Hyderabad, India
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コチェールラコタ チャンドラシェカール
(72)【発明者】
【氏名】ブレナ ジェームズ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コタパッリ セシャ ドゥルガ クマール
(72)【発明者】
【氏名】バンダ ナガラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ナララ アージュン
(72)【発明者】
【氏名】アクラ スリナス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA93
4C076AA95
4C076BB27
4C076CC04
4C076CC14
4C076CC15
4C076CC27
4C076CC31
4C076CC35
4C076DD23
4C076DD25
4C076DD38
4C076DD63
4C086AA01
4C086BA08
4C086BC11
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC28
4C086BC50
4C086CB22
4C086DA12
4C086DA34
4C086EA09
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA57
4C086NA10
4C086NA13
4C086ZA54
4C086ZA59
4C086ZA60
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206DA05
4C206DB09
4C206DB43
4C206DB47
4C206DB48
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA42
4C206MA43
4C206MA77
4C206NA10
4C206NA13
4C206ZA54
4C206ZA59
4C206ZA60
4C206ZB11
4C206ZB26
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
肺の炎症性障害は、COVID-19疾患、喘息、および多数の他の障害によって誘導される。オメガ3脂肪酸(O3FA)、特にドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)またはエイコサペンタエン酸(EPA)は、抗炎症性および分解促進性を有することが知られている。肺の病状および炎症の軽減は、当技術分野で公知の製剤および噴霧装置を用いた噴霧に適したO3FAを混合した混合物によって達成される。O3FAは、エチルエステル(EE)または遊離脂肪酸(FFA)油または非リン酸含有グリセロ脂質またはリン脂質(PL)または当技術分野で公知の任意の他の形で送達されてもよい。この混合物は、当技術分野で公知の他の吸入用の形状である吸入液滴または吸入固形物のいずれかで送達することもできる。患者は、炎症を軽減し呼吸を改善するために、治療上有効な期間吸入する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはDHA、DPA、EPAの任意の2種もしくは3種すべての組み合わせを含む、オメガ3脂肪酸の新規吸入製剤。
【請求項2】
前記脂肪酸が、遊離脂肪酸(FFA)、またはエチルエステル(EE)、またはリン脂質(PL)、またはトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロールおよび/またはモノアシルグリセロールを含む群から選択される非リン酸含有グリセロ脂質として存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記製剤が、当技術分野で公知の任意の方法による噴霧または吸入に適している、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤がリン脂質をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記製剤が懸濁剤または乳剤である、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記製剤が、ピルフェニドン、アプレミラスト、ロフルミラスト、臭化チオトロピウム、ニンテダニブ、イソニアジド、ストレプトマイシン、モンテルカスト、テトラヒドロカンナビノールおよびこれらを含む群から選択される治療有効成分をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
COVID-19および他の肺障害の治療用である、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
肺におけるIL-6の病的レベルを減少させるために用いられる、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
肺におけるTNF-αの病的レベルを減少させるために用いられる、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
肺におけるIL-10の病的レベルを減少させるために用いられる、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
肺におけるTGF-βの病的レベルを減少させるために用いられる、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
細気管支炎、喘息、嚢胞性線維症、COPD、肺炎、結核、肺気腫、肺水腫、肺癌、急性呼吸困難症候群(ARDS)、石綿肺、気管支拡張症、サルコイドーシスを含む間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症およびCNS障害を含む群から選択される障害の治療に用いられる、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
治療有効量のメラトニンをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
治療有効量のブデソニドをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
治療有効量のカンナビジオールをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
NSAIDが禁忌の患者に投与する、請求項13、14および15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
急性肺血栓症、急性もしくは慢性の肺炎症、心臓およびその血管の炎症状態を含む群から選択される状態を予防または治療するため、または任意で速効性の気管支拡張薬と組み合わせて気管支収縮を抑制するために患者に投与する、請求項13、14および15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
治療有効量のリン脂質を含む製剤であって、前記リン脂質が、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはDHA、DPA、EPAのうち任意の2種もしくは3種すべて組のみ合わせを送達する、製剤。
【請求項19】
治療有効量のメラトニンをさらに含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
治療有効量のブデソニドをさらに含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
治療有効量のカンナビジオールをさらに含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項22】
治療有効量のグリセロ脂質を含む製剤であって、前記グリセロ脂質が、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはDHA、DPA、EPAの任意の2種もしくは3種すべての組み合わせを送達する、製剤。
【請求項23】
治療有効量のメラトニンをさらに含む、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
治療有効量のブデソニドをさらに含む、請求項22に記載の製剤。
【請求項25】
治療有効量のカンナビジオールをさらに含む、請求項22に記載の製剤。
【請求項26】
オメガ3脂肪酸の新規吸入製剤であって、治療有効量のドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはDHA、DPA、EPAの任意の2種もしくは3種すべての組み合わせを含み、且つ懸濁剤または乳剤である、製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接吸入によってCOVID-19、喘息および多数の他の障害を含む病状と関連する炎症を軽減するための、噴霧またはその他の手段による肺への医薬送達が可能な新規形態の医薬品グレードのオメガ3脂肪酸(O3FAまたはOFA)、特にドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)を提供する。
【背景技術】
【0002】
高度不飽和脂肪酸(HUFA)であるオメガ3(ω3またはn-3)、特に、ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6n-3)、ドコサペンタエン酸(DPA、22:5n-3)およびエイコサペンタエン酸(EPA、20:5n-3)は、魚、魚油、イカ油、オキアミ油、海洋油サプリメントおよび微細藻類のような海産物中に見出される天然型の健康な脂肪である。植物由来のオメガ3は、唯一のオメガ3必須脂肪酸であるα-リノレン酸(ALA)の形で得られる。ALAは、身体により、より長鎖のオメガ3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)に自然に変換される。植物源には、ALAを豊富に含有するチアシード、芽キャベツ、クルミ、亜麻仁、大豆油などのナッツおよび種子が含まれ、またより少ない量で含有する緑葉野菜および豆も含まれる。オメガ3は、哺乳動物組織に偏在し、細胞膜リン脂質の生物活性成分であり、タンパク質を細胞膜に固定し、エイコサノイドおよびドコサノイドなどのシグナル伝達分子の前駆体として機能する。生合成阻害または受容体介在作用によるオメガ3の変化は、依然として、アスピリン、非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェン、ナプロキセン)およびロイコトリエン受容体阻害薬(ザフィルルカスト、モンテルカスト、ジロートン)などのOTC薬および処方薬に用いられる有益な薬物標的を開発するための有力な戦略である。エイコサノイドおよびドコサノイドは、身体の心血管系、肺系、神経系、免疫系および内分泌系において広範な機能を有している。
【0003】
SARS-CoV-2ウイルスによる世界的なCOVID-19パンデミックは、ヒトからヒトへの空気感染性(through-air transmissibility)を含んでいる可能性のある完全な無症状から診断後数日以内の呼吸不全および死亡まで、その症状の極端な範囲のために謎の部分がある。中国の武漢で最初のCOVID-19患者が発生して以来、約220の国および地域が影響を受け、2021年7月2日の時点で、世界中で183,849,133人以上が陽性と診断され、3,979,872人が死亡している。「サイトカインストーム」という用語は、以前は専門誌に限られていたが、暴走する炎症の重症度のために一般紙にも登場するようになった。さらなる顕著な事象は、SARSおよびMERSに類似した肺の病的症状を伴う広範な血栓症である。小動脈血管の血小板-フィブリン血栓は、凝固障害と一致する。末期には重篤な肝障害を伴う多臓器不全が認められ、血栓性微小血管症と一致する。炎症と血栓症はともに、HUFAに由来するシグナル伝達分子、より正確には膜内に常に存在するそれらの相互混合物によって媒介される。
【0004】
(2003)SARS-CoVウイルスのスパイクタンパク質は、HUFA環境の一般的な炎症性/向血栓性ポテンシャル以上に、エイコサノイド合成の重要な合成酵素の1つであるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を誘導する。さらに、COX-2の誘導は、同じくコロナウイルスであるマウス肝炎ウイルスの効率的な初期複製に必要である可能性がある。これがSARS-CoV-2に当てはまる限りにおいて、ウイルスのCOX-2誘導に対して強固なCOX-2反応を示し、それによってウイルスの急速な複製を支える個体は、向血栓性/炎症誘発性HUFA環境に対して特に感受性が高いと考えられる。公知の阻害薬(たとえばセレコキシブ(Celebrex(登録商標))によって感染初期にCOX-2を阻害すれば、ウイルス複製を減少させることが期待される。COX-2選択的阻害薬は、高用量オメガ3HUFAと同様に関節炎に有効であり、ランダム化比較試験(RCT)のエビデンスは、「抗炎症食ポートフォリオ」を背景とする、オメガ3を豊富に含むサケの定期的な摂取が、関節リウマチの症状を軽減することを示している。トロンボキサンおよびトロンボキサンA2の産生を増やすようなCOX-1によるエイコサノイド環境のリバランスに起因する血栓性イベントの増強故に、大部分のCOX-2選択的阻害薬は市場から取り除かれた。重篤なCOVID-19は、本質的に向血栓性イベントであると考えられるため、COX-2選択的阻害薬はそれに対して有効ではなく、症状を悪化させる可能性がある。
【0005】
しかしながら、バランスのとれたHUFA環境は、COX-2によって増強されたサイトカインストーム、または血栓性ストームの特徴を有する過凝固障害(hypercoagulopathy)の回避に特に重要となり得る。遺伝性の遺伝子リスク因子は、重篤なCOVID-19などの過凝固能亢進期(hypercoagulable period)において血栓性イベントのリスクを増加させるか、またはリスク増加に対して相乗効果を有する可能性がある。
【0006】
肺の炎症の治療薬の選択肢は、コルチコステロイドまたはグルココルチコイドまたはロイコトリエン受容体拮抗薬を含んでもよく、他の多くの薬、たとえば、ブデソニド、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンまたはモンテルカストを含んでもよい。しかしながら、これらの薬の多くは、さらなる健康リスクまたは身体的不快感を引き起こす可能性のある好ましくない副作用を伴う。オメガ3脂肪酸(O3FA)は天然型で食用であり、サプリメントとしても利用可能である。オメガ3脂肪酸は、COVID-19、喘息、嚢胞性線維症、COPD、肺炎、結核、肺気腫、肺水腫、肺癌、急性呼吸困難症候群(ARDS)、石綿肺、気管支拡張症、サルコイドーシスを含む間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症および自己免疫疾患などのいくつかのタイプの肺疾患を防ぐことが示されている。
【0007】
オメガ3脂肪酸は、常に全身投与され、主に経口投与されるが、静脈内投与はそれほど一般的ではない。経口投与される場合、オメガ3脂肪酸は主に4つの一般的な形、すなわちエチルエステル(EE)として、トリアシルグリセロール(TG)、ジアシルグリセロールおよび/またはモノアシルグリセロールを含む群から選択される非リン酸含有グリセロ脂質として、リン脂質(PL)として、ならびに非エステル化脂肪酸(NEFA)としても知られる遊離脂肪酸(FFA)として提供される。食品では、TAGおよびPLが圧倒的に主な形態であり、FFAは少量含有される。ヒトにはFA、EEは少量しか存在せず、通常はエタノール(アルコール)の摂取によって内因的に合成される。FA EEは、通常、天然型(主にTAG)から工業プロセスによって合成され、さらに精製される。静脈内に投与する場合、オメガ3は主にTAGとして乳剤で提供されるが、乳化剤に由来する可能性もあるPLとしても少量含有される。FA EEは、乳剤としてIV投与してもよい。
【0008】
これらのいずれの形であっても、全身投与によりすべての形の急速な加水分解(「脂肪分解」)が起こり、生成した遊離FFAは、FAを血流に輸送・分配するために存在する通常の生化学経路に入り、全臓器を灌流する。少量のO3FAは捕捉され、細胞内の様々な脂質クラスに再エステル化される。血流中では、O3FAはすべての組織に非標的的に迅速に取り込まれ、それによって経口用量または静脈内用量が全臓器に分配される。よって、投与した用量のごく一部が肺などの特定の組織に取り込まれる。
【0009】
病変に対するO3FAの生物活性/有効性は、標的組織、より具体的には標的組織の標的脂質中のO3FA濃度に依存する。たとえば、肺の病状に対する有効性は、肺組織中のO3FAの特定の濃度、より具体的には細胞膜およびおそらくは界面活性脂質に存在するPL中の濃度に依存する。全身投与の非標的性のため、任意の特定の用量は、標的器官に直接に送達される等価用量よりも効果が少ない。より具体的には、任意の特定の用量は、肺に直接に投与される等価用量と比較して、一般的な形の1つとして全身投与される場合、肺の病状の治療には効果が低い。
【0010】
肺の脂質は、肺の界面活性脂質の高分泌が必要なため、組織の中でも特徴的である。肺の界面活性物質は、表面張力を低下させ、ガス交換のための大きな表面積を可能にすることが要求される。肺の界面活性物質は、高飽和PLで構成されている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、肺の炎症と関連する危険因子の低減のための、吸入または噴霧の形で投与可能な新規医薬組成物を提供する。本発明はまた、炎症に関連する肺障害、たとえば、細気管支炎、喘息、嚢胞性線維症、COPD、肺炎、結核、肺気腫、肺水腫、肺癌、急性呼吸困難症候群(ARDS)、石綿肺、気管支拡張症、サルコイドーシスを含む間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、自己免疫疾患、急性肺血栓症、急性もしくは慢性の肺の炎症、心臓およびその血管の炎症状態、を治療する方法、または任意で速効性の気管支拡張薬と組み合わせて気管支収縮を抑制する方法、COVID-19などの急性呼吸困難と関連している状態を抑制する方法に関し、さらには炎症性CNS障害を含む中枢神経系障害にも関する。患者は、新生児から高齢者までどの年齢であってもよい。
【0012】
本発明は、治療有効量のドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはDHA、DPA、EPAの任意の2種もしくは3種すべての組み合わせを含むオメガ3脂肪酸の新規医薬組成物を提供する。これらの脂肪酸は、トリアシルグリセロール(TG)、ジアシルグリセロールおよび/またはモノアシルグリセロールを含む群から選択される遊離脂肪酸(FFA)またはエチルエステル(EE)またはリン脂質(PL)または非リン酸含有グリセロ脂質として存在する。
【0013】
医薬組成物は、薬学的に許容される担体と、O3FAまたはO3FAとメラトニンもしくはブデソニドとの組み合わせと、を含んでもよい。他の実施形態では、医薬組成物は、O3FA単独、O3FAとCBD、O3FAとリン脂質、O3FAとグリセロ脂質、O3FAと他の薬物との組み合わせを含む。有効成分を含む医薬組成物は、吸入または噴霧または吸入に適合する他の経路によって投与してもよい。本発明の組成物は、肺の炎症を治療するためにヒトまたは動物に投与することができる。本組成物は、懸濁剤または乳剤として製剤化してもよく、また食用で天然型のO3FAを含むため安全である。
【0014】
本製剤は、治療有効量のドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはDHA、DPA、EPAの任意の2種もしくは3種すべての組み合わせを送達するためのリン脂質および/またはグリセロ脂質を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】8日目および15日目に観察された肺の相対重量
【
図3】8日目および15日目に観察されたBALF中のIL-6
【
図4】8日目および15日目に観察されたBALF中のTNF-α
【
図5】8日目および15日目に観察された血漿中のIL-10
【
図6】8日目および15日目に観察された血漿中のTGF-β
【発明を実施するための形態】
【0016】
大量の炎症誘発性オメガ6アラキドン酸(AA)は、抗炎症性オメガ3であるDHA、DPA、EPAの合成と細胞膜への蓄積を抑制する。AA由来のエイコサノイドは、炎症反応から組織リモデリングに至るまでの免疫病理学的プロセスを制御する。AA由来のプロスタグランジン(PG)の合成は、PLA2による膜内のAAの遊離時に起こるため、PG合成はAAの供給によって制限される。AAの代替となるDHAは、シクロオキシゲナーゼによるPG合成の阻害剤であることが知られている。食用のEPAおよびAAは、膜リン脂質への取り込みで競合するが、生合成酵素が同じであるため、それぞれのFA前駆体からの生合成でも競合する。AA由来の代謝物は肺疾患における炎症を媒介するが、DHA、DPA、EPA由来の代謝物は、炎症および凝固を解消する。
【0017】
本発明は、吸入経路で肺の炎症を治療する簡便かつ極めて有効な方法である。製剤は、リポ多糖(LPS)誘発急性肺炎症Wistarラットモデルで試験した。試験には、投与時に6~8週齢の雄ラットを選択した。ラットは、層別無作為化法を用いてその体重に基づいて選択し、群分けした。無作為化後、各群ラットを6匹ずつ11群に分けた(表16)。
【0018】
動物およびヒトでの複数の研究によって、吸入および全身性コルチコステロイドの両方が免疫抑制を引き起こし、COVID-19を含む様々な呼吸器ウイルスに対する抗ウイルスI型インターフェロン応答の誘導を阻害することが示された。これらは、通常望ましくない副作用である。インドおよび世界の他の地域では、コルチコステロイド投与による侵襲性アスペルギルス症または命に関わる血管侵襲性顎顔面真菌感染症であるムコール症などの真菌感染症の発生率の有意な増加が、COVID-19を患っている多くの個体、特に糖尿病患者で報告されている。非常に強いウイルス性疾患患者では、広範な免疫抑制は得策ではない可能性がある。この新規発明は、コルチコステロイドと比べて大きな利点を有する。O3FAは食用で天然型であり、抗炎症性かつ抗血栓性であり、経口および静脈内脂質乳剤の安全性および有効性は幼児および成人において確立されている。二重盲検無作為化臨床試験では、O3FAが、重症のCOVID-19患者のいくつかの呼吸機能および腎機能パラメータのレベルを改善することが示された。本発明は、実質的な有害作用または副作用のないO3FAの投与を含む。
【0019】
本発明者らは、O3FAを用いる新規抗炎症製剤を見出した。ラットの実験において、DHA、DPA、EPAの相対的な含有量が、肺の病状および炎症の有意な減少を引き起こした。発明者らはまた、O3FAとメラトニンまたはブデソニド、O3FAとカンナビノイド(CBD)、O3FAとリン脂質およびグリセロ脂質との組み合わせを用いたが、これらもまた炎症の軽減を示した。他の組み合わせは、O3FAと、ピルフェニドン、アプレミラスト、ロフルミラスト、臭化チオトロピウム、ニンテダニブ、イソニアジド、ストレプトマイシン、テトラヒドロカンナビノール(THC)、モンテルカスト、他のさらなる有効成分との組み合わせを含む。
【0020】
本発明の医薬組成物は、急性症状を治療するために用いることもできるし、「継続療法」として用いることもできる。継続療法では、症状を抑制するために必要に応じて医薬組成物を投与することができ、各投与の用量は、症状の改善に応じて同じでも異なっていてもよい。本医薬組成物は、アラキドン酸のような炎症誘発性オメガ6脂肪酸によって引き起こされる局所炎症を正常化することができる、O3FAの局所欠乏の正常化に用いることもできる。
【0021】
本発明は、喘息、嚢胞性線維症を含む慢性閉塞性肺疾患および慢性副鼻腔炎、間質性線維症、COVID-19などの肺の炎症性障害の治療と、細気管支炎、肺炎、結核、肺気腫、肺水腫、肺癌、急性呼吸困難症候群(ARDS)、石綿肺、気管支拡張症、サルコイドーシスを含む間質性肺疾患(ILD)、特発性肺線維症、自己免疫疾患、CNS障害などの肺の他の障害の治療のための方法を提供する。実施形態によれば、本方法は、噴霧を吸入することによる抗炎症性および抗血栓性天然型O3FA剤の投与を含む。抗炎症剤および抗血栓剤は、単独で投与することもできるし、1つまたは複数の添加剤、たとえばメラトニン、CBD、リン脂質とともに投与することもできる。O3FAは、リン脂質のエステル化成分とすることができる。
【0022】
本発明者らは、LPS誘発急性肺炎症を軽減するための、懸濁剤または乳剤として噴霧で送達されるO3FA製剤を初めて見出した。これらの製剤は、NSAIDが禁忌の患者に投与される。
【0023】
O3FAは、肺組織への取り込みを高め、リポイド肺炎を最小限に抑えるために、主にFFAの形で送達された。エチルエステル(O3EE)を用いた単剤治療群は、経口O3サプリメントの最も一般的な形態であった。過剰な脂質蓄積に関連した症状は認められず、O3EE治療はLPSの影響を治療するのに最も有効であった。
【0024】
COVID-19のロングホーラー(long hauler)とは、急性疾患から生還し、長期症状を有する人のことをいう。彼らは、線維筋痛症、疲労、睡眠障害に苦しんでいることが明らかになった。O3FAは、その抗炎症作用により、関節炎と、線維筋痛症症候群(FMS)に関連している神経因性疼痛の治療に有益であることが知られている。メラトニンは、COVID-19患者における不安、肺線維症の軽減、不眠症の管理に役立つ。本実施形態では、ロングホーラーのFMSを解消し、患者がよりよい睡眠を得られるようにするために、O3FAとメラトニンの組み合わせを投与することができる。
【0025】
オメガ3FAはエンドカンナビノイドの合成の前駆体である。オメガ3FA由来のエンドカンナビノイドエポキシドは強力な抗炎症性を有する。カンナビジオールは、広範囲の抗炎症効果および免疫調節効果を発揮し、急性肺損傷時の制御不能なサイトカインストームを抑制することができる。本実施形態では、COVID-19患者における肺の炎症を解消するために、O3FAとCBDの2種投与(dual administration)を用いる。
【0026】
COPDは、2019年に323万人の死亡を引き起こしており、世界の主要死因の第3位である。呼気凝縮液試料中のIL-6レベルの上昇は、COPD患者の気道炎症に関連している。ヒトモデルおよび動物モデルの両方でのTNF-αの過剰発現は、肺気腫と肺線維症の両方に一致する病理学的変化を示した。マウスの肺の組織学とコンピュータ断層撮影画像によって、気腔の拡大、小気腔の減少、コラーゲンの増加、および胸膜隔壁の肥厚を含む変化が示された。COPD患者から採取した肺試料ではTGF-βの発現増加が認められる。COPD患者ではIL-10レベルが上昇している。血清IL-1βレベルの上昇は、COPD患者の気道炎症と関連している。オメガ3脂肪酸の高摂取量は、COPD患者の重症の増悪のリスクの低下と、健康関連の生活の質の改善と、呼吸器症状の軽減とに関連する。
【0027】
いくつかの研究で、NSCLCにおける重要な腫瘍促進サイトカインとしてIL-6が示されている。IL-6レベルは、NSCLC患者からの血清および呼気凝縮液試料中で上昇しており、腫瘍サイズと関連している。肺癌細胞の上皮間葉転換を誘発することによって、IL-6とTNF-αは、NSCLCの侵襲と転移を促進することができる。TGF-βの発現の増加は、NSCLCにおけるリンパ節転移および腫瘍血管新生と関連していることが見出された。後期NSCLC患者では、IL-10の発現増加が腫瘍関連マクロファージに認められる。IL-1βは、NSCLCにおける炎症反応開始の重要なメディエーターであり、またCOX2-PGE2経路の強力な誘導因子であり、免疫抑制をもたらす。肺癌では、悪液質が煩瑣に認められる。化学放射線療法を受けているNSCLC患者では、オメガ3経口補充療法により体重が維持された。血漿リン脂質のEPA濃度が高い肺癌患者は、体重の維持がより良好であった。我々のO3FA試験治療薬の大部分は、IL-6、TNF-α、TGF-β、IL-10、IL-1βのレベルを有意に低下させた。
【0028】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0029】
以下の実施形態を動物モデルで試験した。
シリア
ル番号 群 治療 希釈剤/製剤
1 群1 正常対照 生理食塩水
2 群2 疾患対照 生理食塩水+LPS
3 群3 試験製剤1 プラセボ乳剤
4 群4 試験製剤2 OFA乳剤(50mg/mL)
5 群5 試験製剤3 生理食塩水で25mg/mLに希釈したOFA乳剤
6 群6 試験製剤4 FO乳剤
7 群7 対照製剤1 ブデソニド(0.25mg/mL)
8 群8 対照製剤2 モンテルカストナトリウム(4mg/mL)
9 群9 対照製剤3 OFA中のメラトニン(1mg/mL)
10 群10 - モンテルカストナトリウム(4mg/mL)+
OFA乳剤
11 群11 試験製剤5 OFA+LPC乳剤
【0030】
【0031】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。90%のMilli-Q水を製造容器に取り、これにグリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを加え、400rpmで3分間撹拌して溶解させた。上記の溶液に、Lipoid E 80 Sを加え、55℃(50℃~60℃)の温度に保った水浴上で加熱溶解した。
【0032】
乳剤の調製
高剪断均質化
得られた混合物を、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0033】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0034】
【0035】
【0036】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0037】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ脂肪酸油を製造容器に取り、これにLipoid E 80 Sを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0038】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解して水相を調製した。
【0039】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0040】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0041】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表4】
【0042】
【0043】
実施例3:(試験製剤3、群5)、生理食塩水で50%に希釈した試験製剤2
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【0044】
【0045】
【0046】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0047】
油相の調製
正確に計量した魚油量を製造容器に取り、これにLipoid E 80 Sを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0048】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解して水相を調製した。
【0049】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0050】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
製造方法
90%Milli-Q水を製造容器に取った。計量した量のモンテルカストナトリウムを加え、400rpmで撹拌して溶解させた。残量のMilli-Q水で容量を調整した。試料は、2~8℃で遮光して保存した。
【0055】
【0056】
【0057】
製造方法
90%オメガ脂肪酸油を製造容器に取った。計量した量のメラトニンを加え、400rpmで撹拌して溶解させた。残量のOFAで容量を調整した。試料は、2~8℃で遮光して保存した。
【0058】
【0059】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0060】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ脂肪酸油を製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。混合物を40℃に冷却し、カンナビジオール(Cannabidiol)(LPC)を加えて溶解して油相を得た。
【0061】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解して水相を調製した。
【0062】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0063】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0064】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表14】
【0065】
表15:オメガ脂肪酸およびLPCの物理的パラメータデータ
乳剤
【表15】
【0066】
急性肺炎症試験
WistarラットモデルでのLPS誘発急性肺炎症に対する試験製剤の有効性の評価。
【0067】
合計66匹の雄のWistarラットを用い、1群あたり動物6匹(06匹)を含む11群(群1(G1)~G11)に割り付けた(群(G)の説明および治療薬を表16に示す)。実験を行う専門家は、治療薬/対照薬について盲検化され、群番号(G1、G2など)のみを知っていた。
【0068】
各投与日に、滅菌生理食塩水を用いて2mg/mLの新しいLPS溶液を調製した。群G2~群G11の動物に1日1回2mg/kg体重の投与量でLPSを腹腔内投与した。群G1の動物にはLPSの投与を行わなかった。LPSは1日1回投与し、試験品または対照品は1日2回投与した。
【0069】
LPS注入は1日1回午前中に行った。その1時間後、それぞれの群に試験品または対照品治療薬を投与した。午後に再び試験品または対照品治療薬を投与した。これを7日間または14日間毎日続けた。
【0070】
全動物を拘束し、標準的なネブライザーを用いて試験品または対照品を吸入暴露した。動物は、全投与期間中および試験終了までの明らかな臨床徴候について観察され、試験品の投与中および投与後の局所効果も観察された。
【0071】
実験期間中、全動物で体重が増加した。試験期間中、死亡は観察されなかった。
【0072】
研究室に到着後、ラットは無治療で7日間ケージに順化させた。順化期間中、どの動物も臨床徴候を示さなかった。治療期間中、群G6(治療薬4)、群G9(治療薬7)および群G11(治療薬9)の動物にいくつかの臨床徴候が認められた。噴霧治療後、直ちに眼への刺激および涙液分泌が認められた。これらの臨床効果は噴霧後30分以内に鎮静化した。治療装置内で、ラットの眼はネブライザーによる試験薬/対照薬の蒸気に暴露される。
【0073】
7日間の治療が終了した後、その1日後、すなわち治療開始後8日目に、各群のラット3匹を、イソフルランを用いて麻酔し、血液を採取した。さらなる分析のために血漿を分離した。次いで動物を安楽死させ、気管支肺胞洗浄液(BALF)および肺組織試料を採取した。肺組織試料は速やかに採取し、さらなる組織病理学的分析のプロセスのために10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中に保存した。
【0074】
14日間の治療が終了した後、その1日後、すなわち治療開始後15日目に、各群の残りのラット3匹を、イソフルランを用いて麻酔し、血液を採取した。さらなる分析のために血漿を分離した。次いで動物を安楽死させ、気管支肺胞洗浄液(BALF)および肺組織試料を採取した。肺組織試料は速やかに採取し、さらなる組織病理学的分析のプロセスのために10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中に保存した。
【0075】
肺重量
結果は、ラット3匹の平均±SD/時点(8日目および15日目)として
図1に示す。一元配置分散分析およびDunnettの多重比較を用いて対照群(G1)の肺の相対重量を全治療群(G2~G11)と比較した。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。
【0076】
肺の組織学
10%NBFで固定した肺組織試料について病理組織学的観察を行った。各動物について1枚のスライドを作成し、H&E染色で染色した。すべての肉眼的病変を検査した。
【0077】
病理組織学的評価 外部所見-肉眼病理学
正常対照群(G1)、疾患対照群(G2)および治療群(G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、G10、G11)の雄動物の外部検査では、病理学的意義のある病変は認められなかった。
【0078】
内部所見-肉眼病理学
正常対照(G1)、疾患対照(G2)および治療群(G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、G10、G11)に属する雄動物の内部検査では、病理学的異常は認められなかった。
【0079】
顕微鏡所見
正常対照(G1)、疾患対照(G2)および治療群(G3~G11)における様々な顕微鏡的変化を
図2に示す。
【0080】
肺には、軽微の肺胞組織球症[2/6(G2)、3/6(G3)、3/6(G4)、3/6(G5)、1/6(G6)、1/6(G7)、2/6(G9)、4/6(G10)、2/6(G11)]と、軽度の肺胞組織球症[3/6(G2)、1/6(G4)、1/6(G5)、1/6(G6)、3/6(G8)]と、中等度の肺胞組織球症[1/6(G2)]とが認められた。
【0081】
肺には、軽微の空胞形成が認められる肺胞中隔[2/6(G3)、1/6(G4)、2/6(G5)]と、軽度の空胞形成が認められる肺胞中隔[1/6(G6)]とが認められた。
【0082】
異なる群における肺胞組織球症の平均重症度スコアは、G1-0.0、G2-1.83、G3-0.50、G4-0.83、G5-0.83、G6-0.50、G7-0.17、G8-1.0、G9-0.33、G10-0.67、G11-0.33であった。
【0083】
異なる群における空胞形成が認められる肺胞中隔の平均重症度スコアは、G1-0.0、G2-0.0、G3-0.33、G4-0.17、G5-0.33、G6-0.33、G7-0.0、G8-0.0、G9-0.0、G10-0.0、G11-0.0であった。
【0084】
すべての結果において、統計的有意性は以下のように表されている。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。
【0085】
1匹のスコアが軽度であり、残りのスコアが正常であったことに基づいて、ブデソニド(B-ref)の動物のスコアが最も低かった。O3を含む治療薬は、Cdと比較して重症度スコアが半分未満であった。
【0086】
EPL、O3、O3-0.5およびO3EE群において、動物1~2匹に軽微の空胞形成が認められた。
【0087】
免疫パラメータ
採取したBALF試料は、全動物についてIL-6、IL-1βおよびTNF-αレベルを分析した。IL-10およびTGF-βについては、血漿試料で推定した。
【0088】
IL-6
IL-6レベルの結果を
図3に示す。
図3では、ラット3匹の平均±SD/時点(8日目および15日目)が示されている。一元配置分散分析およびDunnettの多重比較を用いてLPS対照群(G2)のIL-6値を全治療群(G3~G11)と比較した。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。
【0089】
TNF-α
TNF-αレベルの結果を
図4に示す。
図4では、ラット3匹の平均±SD/時点(8日目および15日目)が示されている。一元配置分散分析およびDunnettの多重比較を用いてLPS対照群(G2)のTNF-α値を全治療群(G3~G11)と比較した。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。
【0090】
IL-10
IL-10レベルの結果を
図5に示す。
図5では、ラット3匹の平均±SD/時点(8日目および15日目)が示されている。一元配置分散分析およびDunnettの多重比較を用いてLPS対照群(G2)のIL-10値を全治療群(G3~G11)と比較した。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。
【0091】
TGF-β
TGF-βレベルの結果を
図6に示す。
図6では、ラット3匹の平均±SD/時点(8日目および15日目)が示されている。一元配置分散分析およびDunnettの多重比較を用いてLPS対照群(G2)のTGF-β値を全治療群(G3~G11)と比較した。*p<0.05;***p<0.001。
【0092】
免疫データの解釈
COVID-19は謎である。COVID-19患者では、炎症誘発性サイトカインと抗炎症性サイトカインの両方が上昇することが複数の研究で示されていることがDharらによってレビューされた。IL-6およびIL-10によって、COVID-19疾患の重症度が予測されることが見出された。IL-6およびIL-10レベルの劇的な上昇は、COVID-19患者におけるサイトカインストームの特徴である。持続的なウイルス刺激と、IL-6、IL-10およびTNF-αレベルは、COVID-19患者におけるT細胞消耗の指標である。IL-6およびTNF-αレベルの上昇は、COVID-19重症度と死亡の有意な予測因子である。
【0093】
COVID-19患者では、炎症誘発性IL-6レベルの上昇は、体温上昇、CRPおよびフェリチン炎症マーカーの上昇、肺の炎症、ならびに広範な肺障害と関連している。試験治療薬は、IL-6レベルを有意に減少させた(
図3)。
【0094】
組織壊死因子α(TNF-α)は、周知の炎症誘発性分子である。TNF-αは、大部分の炎症状態で発現が上昇し、血液凝固の変化に寄与する。IL-6およびIL-10とともにTNF-αが上昇することは、過剰炎症反応(hyper inflammatory response)の指標であり、COVID-19患者におけるサイトカインストームの原因となる。COVID-19患者における過剰な量のフェリチンもまた、TNF-αレベルの余剰を反映している。試験治療薬は、TNF-αレベルを有意に減少させた(
図4)。
【0095】
IL-10は、多機能性(pleiotropic)サイトカインであり、大部分の組織におけるその主要な機能は、炎症反応を抑制することである。しかしながら、COVID-19では、IL-10は劇的に上昇している。COVID-19におけるこの現象は、炎症を抑制するための負のフィードバック機構であると考えられている。IL-10は、ウイルス感染時にT細胞にエネルギーをもたらすことが知られている。試験治療薬は、治療薬なしの陽性対照LPS群と比較してIL-10レベルを有意に減少させた(
図5)。
【0096】
トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)は、炎症状態において主要な役割を果たす多機能性サイトカインである。TGF-βは、IL-6とともに、炎症を促進し、自己免疫状態を強化するヘルパーT17(Th17)細胞の分化を促進する。さらに、TGF-βは、IL-10を産生するT細胞の分化を促進するが、このT細胞は、抑制機能を欠き、ひいては組織炎症を促進する。TGF-βは、COVID-19患者における肺線維症を促進する。試験治療薬は、TGF-βレベルを減少させた(
図6)。
【0097】
IL-1βは、感染症、抗微生物免疫炎症および自己免疫炎症に対する宿主防御反応に非常に重要な炎症誘発性サイトカインである。IL-1βレベルは、COVID-19患者のサブセットにおけるサイトカインストームと関連している。IL-1βの発現レベルは、喘息患者の気管支壁で有意に増加していることが見出されている。一方で、健康なヒトボランティアにおいて、魚油治療薬はIL-1β産生を減少させた。我々のO3FA試験治療薬O3EEは、両時点でIL-1βレベルを有意に減少させ、その減少はB-Ref群よりも良好であった。
【0098】
表16:試験品および対照品による群分けおよび治療薬
無作為化後、ラットを各群ラット6匹ずつ11群に分けた。各群の動物に、1日2回7日間(3匹/群)または14日間(3匹/群)、噴霧によってそれぞれの治療薬を投与した。各群の噴霧の濃度および投与量を下表に示す。
【表16】
【0099】
【0100】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0101】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0102】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールを溶解して水相を調製した。
【0103】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0104】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0105】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表18】
【0106】
【0107】
【0108】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0109】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0110】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムの順に溶解して水相を調製した。
【0111】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0112】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0113】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表21】
【0114】
【0115】
【0116】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0117】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0118】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムの順に溶解して水相を調製した。
【0119】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0120】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0121】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表24】
【0122】
【0123】
【0124】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0125】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0126】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムの順に溶解して水相を調製した。
【0127】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0128】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0129】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表27】
【0130】
【0131】
【0132】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0133】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0134】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムの順に溶解して水相を調製した。
【0135】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0136】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0137】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表30】
【0138】
【0139】
【0140】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0141】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0142】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムの順に溶解して水相を調製した。
【0143】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0144】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0145】
乳剤の物理的パラメータ、粒径分布およびゼータ電位(ZP)を測定した。
【表33】
【0146】
【0147】
【0148】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0149】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0150】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解し、次いでピルフェニドンを分散させて水相を調製した。
【0151】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0152】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0153】
【0154】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0155】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでアプレミラストを溶解/分散させて油相を得た。
【0156】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解して水相を調製した。
【0157】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0158】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0159】
【0160】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0161】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでロフルミラストを溶解/分散させて油相を得た。
【0162】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解して水相を調製した。
【0163】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0164】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0165】
【0166】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0167】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。
【0168】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解し、次いで臭化チオトロピウムを溶解して水相を調製した。
【0169】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0170】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0171】
【0172】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0173】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでニンテダニブを溶解/分散させて油相を得た。
【0174】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロールおよび炭酸水素ナトリウムを溶解して水相を調製した。
【0175】
乳剤の調製
高剪断均質化
油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0176】
高圧均質化
得られた粗乳剤に、異なる圧力での3種のパス、すなわち10,000psiでのパス1、18,000psiでのパス2、および18,000psiでのパス3で高圧均質化を行い、その後製品を室温まで冷却して乳剤を得た。
【0177】
【0178】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0179】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでストレプトマイシンを溶解/分散させて油相を得た。
【0180】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、薬物、炭酸水素ナトリウムを順に溶解して水相を調製した。
【0181】
乳剤の調製
高剪断均質化
薬物を含む油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0182】
高圧均質化
得られた粗乳剤は、10,000psiから18,000psiまでの異なる圧力での第1~第3パスで高圧均質化を行い、次いで製品を室温まで冷却した。
【0183】
【0184】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0185】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解して油相を得た。THCを油混合物に溶解する。
【0186】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムを順に溶解して水相を調製した。
【0187】
乳剤の調製
高剪断均質化
薬物を含む油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗乳剤を作成した。
【0188】
高圧均質化
得られた粗乳剤は、10,000psiから18,000psiまでの異なる圧力での第1~第3パスで高圧均質化を行い、次いで製品を室温まで冷却した。
【0189】
【0190】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0191】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでピルフェニドンを分散/溶解して油相を得た。
【0192】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムを順に溶解して水相を調製した。
【0193】
懸濁剤の調製
高剪断均質化
薬物を含む油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗分散剤を作成した。
【0194】
高圧均質化
得られた粗分散剤は、10,000psiから18,000psiまでの異なる圧力での第1~第3パスで高圧均質化を行い、次いで製品を室温まで冷却した。
【0195】
【0196】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0197】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでニンテダニブを分散/溶解して油相を得た。
【0198】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムを順に溶解して水相を調製した。
【0199】
懸濁剤の調製
高剪断均質化
薬物を含む油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗分散剤を作成した。
【0200】
高圧均質化
得られた粗分散剤は、10,000psiから18,000psiまでの異なる圧力での第1~第3パスで高圧均質化を行い、次いで製品を室温まで冷却した。
【0201】
【0202】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0203】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでアプレミラストを分散/溶解して油相を得た。
【0204】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムを順に溶解して水相を調製した。
【0205】
懸濁剤の調製
高剪断均質化
薬物を含む油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗分散剤を作成した。
【0206】
高圧均質化
得られた粗分散剤は、10,000psiから18,000psiまでの異なる圧力での第1~第3パスで高圧均質化を行い、次いで製品を室温まで冷却した。
【0207】
【0208】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0209】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでロフルミラストを分散/溶解して油相を得た。
【0210】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムの順に溶解して水相を調製した。
【0211】
懸濁剤の調製
高剪断均質化
薬物を含む油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗分散剤を作成した。
【0212】
高圧均質化
得られた粗分散剤は、10,000psiから18,000psiまでの異なる圧力での第1~第3パスで高圧均質化を行い、次いで製品を室温まで冷却した。
【0213】
【0214】
製造方法
すべての成分は、製造処方に従って計量した。
【0215】
油相の調製
正確に計量した量のオメガ3酸エチルエステルを製造容器に取り、これに卵レシチンを加え、55℃(50℃~60℃)の水浴上で加熱溶解した。計量した量のカンナビジオールを上記の混合物に加え、45℃(40℃~50℃)の水浴上で加熱溶解し、次いでイソニアジドを分散/溶解して油相を得た。
【0216】
水相の調製
90%Milli-Q水を別の製造容器に取り、マグネチックスターラー上で温度を55℃(50℃~60℃)に保ちながら400rpmで撹拌し、グリセロール、炭酸水素ナトリウムの順に溶解して水相を調製した。
【0217】
懸濁剤の調製
高剪断均質化
薬物を含む油相を水相に加え、品温を45℃(40℃~50℃)に保ちながら8500rpmで15分間ホモジナイズした。その後、残量のMilli-Q水で容量を必要なレベルに調整し、8500rpmで15分間ホモジナイズして粗分散剤を作成した。
【0218】
高圧均質化
得られた粗分散剤は、10,000psiから18,000psiまでの異なる圧力での第1~第3パスで高圧均質化を行い、次いで製品を室温まで冷却した。
【国際調査報告】