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特表2024-528340多波長光放射の変調光源に適用される多相ロックイン分光計アセンブリ、ならびに関連する方法および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-29
(54)【発明の名称】多波長光放射の変調光源に適用される多相ロックイン分光計アセンブリ、ならびに関連する方法および使用
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/433 20060101AFI20240722BHJP
   G01J 3/10 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G01J3/433
G01J3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578179
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 IB2022055691
(87)【国際公開番号】W WO2023275662
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】2106958
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523475251
【氏名又は名称】サントル サイエンティフィック エ テクニク デュ バティマン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティンソン、クリストフ
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020BA02
2G020BA12
2G020CB21
2G020CB43
2G020CC01
2G020CC26
2G020CD03
(57)【要約】
本発明は、多波長光放射の変調光源(1b)に適用される多相ロックイン分光計アセンブリ(1)に関し、光源から来るビームは2つの同一の直交変調ビームに分割され、2つのビームは、多波長光放射の変調光源(1b)の振幅スペクトルおよび位相スペクトルを計算するために少なくとも1つの分光計によって取得される。本発明はまた、関連する方法および使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多波長光放射の変調光源(1b)に適用されるように構成された多相ロックイン分光計アセンブリ(1、1’)であって、前記変調光源(1b)によって放出された多波長光放射を集光するように構成された集光アセンブリ(3)を備え、
前記集光アセンブリ(3、3’)が少なくとも1つの集光光学系(3a)を備え、少なくとも2つの同一の光源光放射ビームを出力するように構成されることと、
前記分光計アセンブリ(1、1’)が、
前記光放射源(1b)によって放出された前記光放射の位相および変調周波数に基づいて少なくとも1つの基準信号を生成するように構成されたロックインアセンブリ(4)、
2つの分光計(6)、
前記少なくとも1つの基準信号に基づいて、各分光計(6)が複数のスペクトルを取得することを制御するように構成された変調アセンブリ(5、5’)
を備えることと
を特徴とし、
前記スペクトルが、光放射波長の少なくとも1つの波長範囲に関する情報を含み、
各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nが1以上の整数であり、各時間部分が、期間
【数1】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数2】

だけ離間され、fが、前記少なくとも1つの基準信号から得られる前記変調アセンブリを制御するために使用される周波数であり、
第1の分光計(6)が、前記集光アセンブリ(3、3’)によって集光された前記光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成され、
第2の分光計(6)が、前記第1の時間部分に対して位相直交である、第2の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成され、
前記第1の分光計が、前記変調アセンブリ(5、5’)に頼ることなく、前記第1の光源光放射ビーム(I(λ))のスペクトル量を測定するように構成され、
前記第2の分光計が、前記変調アセンブリ(5、5’)に頼ることなく、前記第2の光源光放射ビーム(Q(λ))のスペクトル量を測定するように構成され、
前記分光計アセンブリ(1、1’)が、スペクトル(I(λ))を得るために前記スペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、およびスペクトル(Q(λ))を得るために前記スペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように構成されたローパスフィルタユニットを備え、かつ
前記分光計アセンブリ(1、1’)が、以下の式:
【数3】

および
【数4】

を使用して、前記集光アセンブリ(3、3’)によって集光された前記光放射の振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))を計算するように構成された計算ユニット(7)を備える、
分光計アセンブリ(1、1’)。
【請求項2】
多波長光放射の変調光源(1b)に適用されるように構成された多相ロックイン分光計アセンブリ(10)であって、前記変調光源(1b)によって放出された多波長光放射を集光するように構成された集光アセンブリ(3)を備え、
前記集光アセンブリ(3)が、少なくとも1つの集光光学系(3a)を備え、少なくとも1つの光源光放射ビームを出力するように構成されることと、
前記分光計アセンブリ(10)が、
前記光放射源(1b)によって放出された前記光放射の位相および変調周波数に基づいて基準信号を生成するように構成されたロックインアセンブリ(4)、
単一の分光計(6)、
前記基準信号に基づいて、前記分光計(6)が複数のスペクトルを取得することを制御するように構成された変調アセンブリ(50)
を備え、
前記スペクトルが、光放射波長の少なくとも1つの波長範囲に関する情報を含み、
各スペクトルが、前記光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nが1以上の整数であり、各時間部分が、期間
【数5】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数6】

だけ離間され、fが、前記基準信号から得られる前記変調アセンブリ(50)を制御するために使用される周波数であることと、
前記分光計(6)が、前記集光アセンブリによって集光された前記光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を、次いで、前記第1の時間部分に対して位相直交である、前記第1の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、
前記分光計(6)が、前記第1の時間部分での前記スペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})、および前記第2の時間部分での前記スペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})の取得を少なくとも1回連続して実行するように構成されることと、
前記分光計(6)が、前記変調アセンブリに頼ることなく、前記第1の光源光放射ビーム(I(λ)=Q(λ))のスペクトル量を測定するように構成されることと、
前記分光計アセンブリ(10)が、スペクトル(I(λ))を得るために前記スペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、およびスペクトル(Q(λ))を得るために前記スペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように構成されたローパスフィルタユニットを備えることと、
前記分光計アセンブリ(10)が、以下の式:
【数7】

および
【数8】

を使用して、前記集光アセンブリ(3)によって集光された前記光放射の振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))を計算するように構成された計算ユニット(7)を備えることと
を特徴とする、分光計アセンブリ(10)。
【請求項3】
多波長光放射の変調光源(1b)に適用されるように構成された多相ロックイン分光計アセンブリ(100)であって、前記変調光源(1b)によって放出された多波長光放射を集光するように構成された集光アセンブリ(300)を備え、
前記集光アセンブリ(300)が、少なくとも1つの集光光学系(3a)を備え、少なくとも4つの同一の光源光放射ビームを出力するように構成されることと、
前記分光計アセンブリ(100)が、
前記光放射源によって放出された前記光放射の位相および変調周波数に基づいて少なくとも1つの基準信号を生成するように構成されたロックインアセンブリ(400)、
4つの分光計(6)、
前記少なくとも1つの基準信号に基づいて、各分光計(6)が複数のスペクトルを取得することを制御するように構成された変調アセンブリ(500)
を備え、
前記スペクトルが、光放射波長の少なくとも1つの波長範囲に関する情報を含み、
各スペクトルが、前記光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nが1以上の整数であり、各時間部分が、期間
【数9】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数10】

だけ離間され、fが、前記少なくとも1つの基準信号から得られる前記変調アセンブリ(500)を制御するために使用される周波数であることと、
第1の分光計(6)が、前記集光アセンブリ(300)によって集光された前記光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトル(I1i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、
第2の分光計(6)が、前記第1の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第2の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトル(Q1i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、
第3の分光計(6)が、前記第2の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第3の光源光放射ビームの第3の時間部分上のスペクトル(I2i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、
第4の分光計(6)が、前記第3の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第4の光源光放射ビームの第4の時間部分上のスペクトル(Q2i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、
前記分光計アセンブリ(100)が、スペクトル(I(λ))を得るために前記スペクトル(I1i(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、スペクトル(Q(λ))を得るために前記スペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、スペクトル(I(λ))を得るために前記スペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、およびスペクトル(Q(λ))を得るために前記スペクトル(Q2i(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように構成されたローパスフィルタユニットを備えることと、
前記分光計アセンブリ(100)が、以下の式:
【数11】

および
【数12】

を使用して、前記集光アセンブリ(300)によって集光された前記光放射の振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))を計算するように構成された計算ユニット(7)を備えることと
を特徴とする、分光計アセンブリ(100)。
【請求項4】
前記集光アセンブリ(3;3’)が、光放射ビーム分割アセンブリ(3c)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10)。
【請求項5】
前記集光アセンブリ(300)が、前記光放射源(1b)によって放出された前記光放射を集光するように構成された集光光学系(3a)を、分光計(6)と少なくとも同じ数備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(100)。
【請求項6】
前記集光光学系(3a、3b)の少なくとも1つが、望遠鏡、積分球、写真対物レンズ、収束レンズ、照度測定セル、および輝度測定セルの中から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10;100)。
【請求項7】
前記変調アセンブリ(5;5’;500)が、少なくとも1つの光変調器(5a)を備え、前記少なくとも1つの光変調器(5a)が、好ましくは機械的変調器、電気光学変調器、および音響光学変調器の中から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;100)。
【請求項8】
前記変調アセンブリ(50)が、各分光計(6)に統合され、トリガ信号によって各分光計(6)の前記取得を制御するように構成されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(10)。
【請求項9】
前記変調アセンブリ(5;5’;50;500)が、前記光放射源によって放出された前記光放射の前記変調周波数を制御周波数fとして使用するように構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10;100)。
【請求項10】
前記変調アセンブリ(5;5’;50;500)が、前記振幅スペクトル(R(λ))および前記位相スペクトル(θ(λ))が前記光放射源と前記集光アセンブリ(3)との間に位置する媒体(2)の非線形性を特徴付けるように、前記光放射源(1b)によって放出される前記光放射の前記変調周波数の高調波周波数を前記制御周波数fとして使用するように構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10;100)。
【請求項11】
前記ロックインアセンブリ(4;4’;400)が、前記光放射源(1b)への電力供給に応じて前記少なくとも1つの基準信号を生成する信号発生器を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10;100)。
【請求項12】
前記分光計アセンブリ(1;1’;10)が、前記光放射源(1b)によって放出された前記光放射の前記変調周波数および位相をリアルタイムで測定するように構成された光検出アセンブリ(8)をさらに備えることと、前記ロックインアセンブリ(4;4’)が、前記測定された位相および前記測定された変調周波数に応じて前記少なくとも1つの基準信号を生成するように前記光検出アセンブリ(8)に接続されることとを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10)。
【請求項13】
前記集光アセンブリ(3’)が、前記光検出アセンブリ専用の少なくとも1つの集光光学系(3b)を備えることを特徴とする、請求項12に記載の分光計アセンブリ(1’)。
【請求項14】
前記光放射ビーム分割アセンブリ(3c)が、前記光検出アセンブリ(8)に出力されるように構成された少なくとも1つの追加の光放射ビームを出力するように構成されることを特徴とする、請求項4に従属する場合の請求項12に記載の分光計アセンブリ(1)。
【請求項15】
前記光検出アセンブリ(8)、前記ロックインアセンブリ(4;4’)、および前記変調アセンブリ(5;5’;50)の間の少なくとも1つの通信チェーンが、少なくとも部分的に、VLC(可視光通信)、Li-Fi、Wi-Fi、電力線搬送(PLC)、携帯電話、好ましくは5G、無線周波数プロトコル、または独自仕様のプロトコルの中から選択される電気通信技術を使用して実行されることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10)。
【請求項16】
前記集光アセンブリ(3)を複数の光放射源(1b)に向かって順に導くことができる電動プラットフォーム(9)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(200)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の分光計アセンブリ(1;1’;10;100)の使用であって、
前記集光アセンブリ(3;3’;300)が環境内に配置された少なくとも1つの照明要素に連続的に照準を合わせることができるように分光計アセンブリ(1;1’;10;100)を位置決めし、前記分光計アセンブリ(1;1’;10;100)が光放射源(1b)として各照明要素を連続的に使用することができるようにするステップであって、各照明要素が多波長光放射の変調光源(1b)である、ステップと、
前記分光計アセンブリ(1;1’;10;100)を使用して、各照明要素と前記集光アセンブリ(3;3’;300)との間に位置する空気中に存在する少なくとも1つの要素の濃度を測定するための差分吸収分光法技術を実施するステップと
を含むことを特徴とする、使用。
【請求項18】
前記少なくとも1つの照明要素が、少なくとも青色スペクトル範囲で発光し、前記分光計アセンブリ(1;1’;10;100)が、前記空気中のNOの濃度および前記空気の濁度指数を測定するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記分光計アセンブリ(1;1’;10;100)が、日光の存在下で前記使用を実行することを可能にするために、主変調周波数で前記少なくとも1つの照明要素によって放出される前記光放射の時間変調を利用し、前記主変調周波数が、好ましくは90Hz~130Hzであることを特徴とする、請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
多波長光放射の変調光源に適用されるロックイン分光法であって、
前記光源からの光放射を受け取るステップと、
前記受け取った光放射から、少なくとも1つの光源光放射ビームを生成するステップであって、すべての前記光源光放射ビームが同一である、ステップと、
前記少なくとも1つの光源光放射ビームから、同相と呼ばれる前記光放射ビームの複数の第1の時間部分と、前記第1の時間部分に対して位相直交である前記光放射ビームの複数の第2の時間部分とを生成するステップと、
少なくとも1つの分光計によって、各光源光放射ビームのスペクトル量I(λ)、Q(λ)を測定するステップと、
前記少なくとも1つの分光計によって、前記少なくとも1つの光源光放射ビームの前記第1の時間部分上のスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが前記光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
前記少なくとも1つの分光計によって、前記少なくとも1つの光源光放射ビームの前記第2の時間部分上のスペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが前記光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと
ローパスフィルタユニットによって、スペクトルI(λ)を得るために前記スペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を、およびスペクトルQ(λ)を得るために前記スペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})をフィルタリングするステップと、
計算ユニットを使用して、以下の式:
【数13】

および
【数14】

を使用して、前記集光された光放射の振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を計算するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項21】
請求項3に記載の多相ロックイン分光計(100)のための、多波長光放射の変調光源に適用されるロックイン分光法の方法であって、
前記集光アセンブリ(300)によって、前記光源からの光放射を受け取るステップと、
前記受け取った光放射から、同一の第1の光源光放射ビーム、第2の光源光放射ビーム、第3の光源光放射ビーム、および第4の光源光放射ビームを生成するステップと、
前記第1、第2、第3および第4の光源光放射ビームから、同相と呼ばれる前記光放射ビームの複数の第1の時間部分と、前記第1の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である前記光放射ビームの複数の第2の時間部分と、前記第2の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である前記光放射ビームの複数の第3の時間部分と、前記第3の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である前記光放射ビームの複数の第4の時間部分とを生成するステップと、
前記第1の分光計によって、前記第1の時間部分上の前記スペクトル(I1i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、前記光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
前記第2の分光計によって、前記第2の時間部分上の前記スペクトル(Q1i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、前記光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
前記第3の分光計によって、前記第3の時間部分上の前記スペクトル(I2i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、前記光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
前記第4の分光計によって、前記第4の時間部分上の前記スペクトル(Q2i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、前記光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
前記ローパスフィルタユニットを使用して、スペクトル(I(λ))を得るために前記スペクトル(I1i(λ)、i∈{1,…,N})を、スペクトル(Q(λ))を得るために前記スペクトル(Q1i(λ)、i∈{1,…,N})を、スペクトル(I(λ))を得るために前記スペクトル(I2i(λ)、i∈{1,…,N})を、およびスペクトル(Q(λ))を得るために前記スペクトル(Q2i(λ)、i∈{1,…,N})をフィルタリングするステップと、
前記計算ユニットを使用して、以下の式:
【数15】

および
【数16】

を使用して、前記集光された光放射の振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を計算するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光法による光学測定の技術分野に関し、より詳細には、多相ロックイン分光計アセンブリおよび関連する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ロックイン分光法は、変調光源によって放出された光放射のスペクトルの交流成分のみを検出することを可能にする。この技術は、測定中の周囲迷光放射または日光を廃棄するという特定の利点を有する。
【0003】
この技術は、例えば、ロックイン増幅器に関連する変調ビーム走査分光計を使用して実施され、次いで、集光された多色光を単色光ビームに分割するためにモノクロメータまたはスペクトルフィルタの使用を必要とする。各測定について、これはスペクトル、波長ごとの波長、および各波長における電気的ロックイン検出を走査することを意味する。変調ビーム走査分光法は、実験室で広く使用されている精密な技術であるが、非実験室測定では時間がかかり輸送が困難であるという欠点を有する。
【0004】
その結果、従来技術の解決策には依然として欠点があり、改善が可能である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、特に、分析対象の光放射の時間変調を使用してそのスペクトルパワー分布またはスペクトルを測定する分光計アセンブリを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の別の目的は、分析対象の光放射の変調周波数を使用することである。
【0007】
本発明の別の目的は、分析対象の光放射の変調周波数の高調波周波数を使用することである。
【0008】
本発明の別の目的は、純粋に光学的なロックイン検出を実施する分光計アセンブリを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、光放射のすべての波長で同時にロックイン検出を可能にするように構成された多相ロックイン分光計アセンブリを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、ロックイン処理を並列化することを可能にするために、1つ、2つまたは4つの安価な小型分光計の使用を可能にすることである。
【0011】
本発明の別の目的は、振幅スペクトルおよび位相スペクトルからなる複素スペクトルの測定を可能にすることである。
【0012】
本発明の別の目的は、空気中に存在する少なくとも1つの要素の濃度を測定するための差分吸収分光法(DOAS)技術を実施するように構成された分光計アセンブリを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、空気中のNO濃度測定を実行するように構成された分光計アセンブリを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、空気濁度測定を実行するように構成された分光計アセンブリを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、環境内に配置された照明要素を光放射源として使用するように構成された分光計アセンブリを提供することである。
【0016】
したがって、本発明は、多波長光放射の変調光源に適用される多相ロックイン分光計アセンブリを目的とし、前記分光計アセンブリは、変調光源によって放出された多波長光放射を集光するように構成された集光アセンブリを備え、集光アセンブリが、少なくとも1つの集光光学系を備え、少なくとも2つの同一の光源光放射ビームを出力するように構成されることと、分光計アセンブリが、光放射源によって放出された光放射の位相および変調周波数に基づいて少なくとも1つの基準信号を生成するように構成されたロックインアセンブリ、2つの分光計、少なくとも1つの基準信号に基づいて、各分光計が複数のスペクトルを取得することを制御するように構成された変調アセンブリを備え、スペクトルが、光放射波長の少なくとも1つの波長範囲に関する情報を含み、各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nが1以上の整数であり、各時間部分が、期間
【数1】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数2】

だけ離間され、fが、少なくとも1つの基準信号から得られる変調アセンブリを制御するために使用される周波数であることと、第1の分光計が、集光アセンブリによって集光された光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、第2の分光計が、第1の時間部分に対して位相直交である、第2の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、第1の分光計が、変調アセンブリに頼ることなく、第1の光源光放射ビーム(I(λ))のスペクトル量を測定するように構成されることと、第2の分光計が、変調アセンブリに頼ることなく、第2の光源光放射ビーム(Q(λ))のスペクトル量を測定するように構成されることと、分光計アセンブリが、スペクトル(I(λ))を得るためにスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、およびスペクトル(Q(λ))を得るためにスペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように構成されたローパスフィルタユニットを備えることと、分光計アセンブリが、以下の式:
【数3】

および
【数4】

を使用して、集光アセンブリによって集光された光放射の振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))を計算するように構成された計算ユニットを備えることとを特徴とする。
【0017】
この実施形態によれば、分光計アセンブリは、2つの、好ましくは同一の分光計を備える。好ましい方式では、各分光計は、量子収率較正および暗電流較正を実行することによって測定前に較正される。
【0018】
多相ロックイン分光計アセンブリは、分析対象の光放射の時間変調を使用して、そのスペクトルパワー分布、言い換えれば、その「スペクトル」を測定する。
【0019】
多相ロックイン分光計アセンブリは、いくつかの、好ましくは同一の分光計を光放射源の時間変調に対して位相直交で同期させることによって、電子ロックイン増幅器に頼ることなく、純粋に光ロックイン検出を実施する。
【0020】
本発明によれば、「変調アセンブリに頼ることなく」という表現は、変調アセンブリが「通過」位置に設定されているときに、無修正の光源光放射ビーム上で分光計を使用して測定が実行される、言い換えれば、変調アセンブリによって変更されないという事実を指す。
【0021】
測定されるスペクトルは、可視光の赤色から青色までの各スペクトル成分の光放射振幅を表す振幅スペクトルR(λ)と、基準成分に対する各スペクトル成分の時間遅延を表す相対位相を表す位相スペクトルθ(λ)とから構成される複素スペクトルである。
【0022】
振幅スペクトルR(λ)は、ロックイン検出なしで測定された「従来の」スペクトルのように、スペクトル成分の強度に関連する。しかしながら、ロックインモードでの測定は、例えば自然放射線、バックグラウンド放射線または迷光など、変調アセンブリを制御するために使用される周波数で変調されない放射線を拒絶することを可能にする。
【0023】
位相スペクトルθ(λ)は、放出された光放射の異なる波長の時間シフトを測定する。光の場合、それは、例えば、LED発光体の励起および脱励起などの光生成のダイナミクスに関する情報を含む。
【0024】
位相スペクトルθ(λ)はまた、異なる波長に応じて、光放射源と検出システムとの間の光路に沿って観察される伝播差に関する情報を含む。
【0025】
位相スペクトルθ(λ)は、振幅スペクトルR(λ)と相補的な情報を搬送する光放射源のシグネチャを構成する。
【0026】
追加的な情報を得るために、異なる変調周波数で振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を測定することも可能である。
【0027】
ローパスフィルタユニットは物理的であり、したがって、ローパスフィルタリングが、取得時間中に各分光計の検出器の受光素子内の光電荷の蓄積によって得られるか、またはN個のスペクトルiのローパスデジタルフィルタリングによる計算を使用する。ローパスデジタルフィルタの例は、N個のスペクトルiを平均することである。
【0028】
好ましい方式では、I(λ)およびQ(λ)スペクトルを測定するために使用される時間部分の数Nは同一であるが、代替の実施形態によれば、I(λ)およびQ(λ)に対して異なる数の時間部分を使用することができることが理解されよう。
【0029】
周波数fは、典型的には100Hzの値を有するが、本発明はこの点に関して限定されない。
【0030】
本発明は、変調多波長光放射源に適用される多相ロックイン分光計アセンブリを別の目的とし、前記分光計アセンブリは、変調光源によって放出された多波長光放射を集光するように構成された集光アセンブリを備え、集光アセンブリが、少なくとも1つの集光光学系を備え、少なくとも1つの光源光放射ビームを出力するように構成されることと、分光計アセンブリが、光放射源によって放出された光放射の位相および変調周波数に基づいて基準信号を生成するように構成されたロックインアセンブリ、単一の分光計、基準信号に基づいて、分光計が複数のスペクトルを取得することを制御するように構成された変調アセンブリを備え、スペクトルが、光放射波長の少なくとも1つの波長範囲に関する情報を含み、各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nが1以上の整数であり、各時間部分が、期間
【数5】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数6】

だけ離間され、fが基準信号から得られる変調アセンブリを制御するために使用される周波数であることと、分光計が、集光アセンブリによって集光された光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を、次いで、第1の時間部分に対して位相直交である、第1の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、分光計が、第1の時間部分でのスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})、および第2の時間部分でのスペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})の取得を少なくとも1回連続して実行するように構成されることと、分光計が、変調アセンブリに頼ることなく、第1の光源光放射ビーム(I(λ)=Q(λ))のスペクトル量を測定するように構成されることと、分光計アセンブリが、スペクトル(I(λ))を得るためにスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、およびスペクトル(Q(λ))を得るためにスペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように構成されたローパスフィルタユニットを備えることと、分光計アセンブリが、以下の式:
【数7】

および
【数8】

を使用して、集光アセンブリによって集光された光放射の振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))を計算するように構成された計算ユニットを備えることとを特徴とする。
【0031】
この実施形態は、前の実施形態の適合であり、前の実施形態と同じ利点を享受しながら、単一の分光計を使用することを可能にする。しかしながら、この実施形態は、スペクトルI(λ)およびスペクトルQ(λ)に対して実行される取得を同時に実行することはできず、連続して実行しなければならないという事実に起因して、集光される光放射の安定性に対してより敏感である。
【0032】
好ましくは、各分光計は、量子収率較正および暗電流較正を実行することによって測定前に較正される。
【0033】
本発明はまた、変調多波長光放射源に適用される多相ロックイン分光計アセンブリを別の目的とし、前記分光計アセンブリは、変調光源によって放出された多波長光放射を集光するように構成された集光アセンブリを備え、集光アセンブリが、少なくとも1つの集光光学系を備え、少なくとも4つの同一の光源光放射ビームを出力するように構成されることと、分光計アセンブリが、光放射源によって放出された光放射の位相および変調周波数に基づいて少なくとも1つの基準信号を生成するように構成されたロックインアセンブリ、4つの分光計、少なくとも1つの基準信号に基づいて、各分光計が複数のスペクトルを取得することを制御するように構成された変調アセンブリを備え、スペクトルが、光放射波長の少なくとも1つの波長範囲に関する情報を含み、各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nが1以上の整数であり、各時間部分が、期間
【数9】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数10】

だけ離間され、fが、少なくとも1つの基準信号から得られる変調アセンブリを制御するために使用される周波数であることと、第1の分光計が、集光アセンブリによって集光された光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、第2の分光計が、第1の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第2の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、第3の分光計が、第2の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第3の光源光放射ビームの第3の時間部分上のスペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、第4の分光計が、第3の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第4の光源光放射ビームの第4の時間部分上のスペクトル(Q2i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するように構成されることと、分光計アセンブリが、スペクトル(I(λ))を得るためにスペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、スペクトル(Q(λ))を得るためにスペクトル(Q1i(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、スペクトル(I(λ))を得るためにスペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように、およびスペクトル(Q(λ))を得るためにスペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})に適用されるように構成されたローパスフィルタユニットを備えることと、分光計アセンブリが、以下の式:
【数11】

および
【数12】

を使用して、集光アセンブリによって集光された光放射の振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))を計算するように構成された計算ユニットを備えることとを特徴とする。
【0034】
この実施形態は、前述の実施形態の適合であり、前述の実施形態と同じ利点を享受しながら、光源光放射ビームを100%は変調しないいわゆる「不完全」変調アセンブリの使用を可能にする。「不完全」変調アセンブリは、例えば、電気通信光ファイバに使用される電気光学変調器または音響光学変調器を使用することができる。これらの光変調器は、チョッパなどの機械的変調器よりも小型で堅牢であるという利点を提示する。
【0035】
代わりに、この実施形態は、4つの、好ましくは同一の分光計の使用を必要とする。好ましい方式では、各分光計は、量子収率較正および暗電流較正を実行することによって測定前に較正される。
【0036】
一実施形態によれば、集光アセンブリは、光放射ビーム分割アセンブリをさらに備える。
【0037】
光放射ビーム分割アセンブリの使用は、集光アセンブリを使用して集光された光放射ビームを、必要に応じて同数の光源光放射ビームに分割することを可能にする。
【0038】
一実施形態によれば、集光アセンブリは、光放射源によって放出された光放射を集光するように構成された集光光学系を、分光計と少なくとも同じ数備える。
【0039】
この実施形態は、例えば、各光源光放射ビームを得るために専用の集光光学系を使用することを可能にする。
【0040】
一実施形態によれば、集光光学系の少なくとも1つは、望遠鏡、積分球、写真対物レンズ、収束レンズ、照度測定セルおよび輝度測定セルから選択される。
【0041】
上に列挙した集光光学系は、異なる条件下で光放射を集光するのに特に適した「古典的」集光光学系を表す。しかしながら、代替形態として、分光計アセンブリは、光放射を集光するのに適した任意の種類の集光光学系を使用することができることが理解されよう。
【0042】
一実施形態によれば、変調アセンブリは、少なくとも1つの光変調器を備え、少なくとも1つの光変調器は、好ましくは、機械的変調器、電気光学変調器、および音響光学変調器の中から選択される。
【0043】
光放射ビームを100%は変調しない、いわゆる「不完全」光変調器の使用は、好ましくは四分光計の実施形態のために確保される。電気光学変調器は、例えばポッケルスセルであってもよい。音響光学変調器は、例えばブラッグセルであってもよい。好ましくは、一分光計または二分光計の実施形態は、光放射ビームを100%変調するように構成された光変調器を使用する。そのような光変調器の例は、機械的変調器、すなわち「チョッパ」である。
【0044】
一実施形態によれば、変調アセンブリは、各分光計に統合され、トリガ信号を使用して各分光計の取得を制御するように構成される。
【0045】
この実施形態では、ロックインアセンブリは、各分光計に統合された変調アセンブリに基準信号を直接送達し、変調アセンブリは、各所望の時間区間で各分光計の取得を制御するように構成されたトリガ信号を生成する。
【0046】
一実施形態によれば、変調アセンブリは、光放射源によって放出された光放射の変調周波数を、制御周波数fとして使用するように構成される。
【0047】
一実施形態によれば、変調アセンブリは、振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))が光放射源と集光アセンブリとの間に位置する媒体の非線形性を特徴付けるように、光放射源によって放出される光放射の変調周波数の高調波周波数を、制御周波数fとして使用するように構成される。
【0048】
使用される高調波周波数は、例えば、光放射源によって放出される光放射の変調周波数の2倍または3倍であってもよい。媒体は、例えば、固体、液体または気体であってもよい。
【0049】
この実施形態は、例えば、非線形光学結晶、半導体または生物学的媒体を特徴付けるために使用することができる。照明の分野では、この実施形態は、例えば、動作中のLED発光体の非線形挙動を研究するために使用することができる。この特徴は、非破壊試験において非常に有用である。
【0050】
一実施形態によれば、ロックインアセンブリは、光放射源への電力供給に応じて少なくとも1つの基準信号を生成する信号発生器を備える。
【0051】
この実施形態は、AC電源を知ることによって光放射源によって放出された光放射の位相および変調周波数を得ることを可能にし、これにより、基準信号を生成するために光放射を廃棄することが可能になる。例えば、変調光源へのAC電源の周波数の2倍の周波数の信号を基準信号として使用することができる。例えば、商用電源が50Hzであるフランスでは、光放射源、例えばLEDまたは放電ランプの時間変調は、50×2=100Hzの高調波成分を含む。
【0052】
一実施形態によれば、分光計アセンブリは、光放射源によって放出された光放射の変調周波数および位相をリアルタイムで測定するように構成された光検出アセンブリをさらに備え、ロックインアセンブリは、測定された位相および測定された変調周波数の関数として少なくとも1つの基準信号を生成するように光検出アセンブリに接続される。
【0053】
この実施形態は、光放射を表す振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を得ることを可能にするように、光放射源によって放出された光放射の位相および変調周波数を精密にかつリアルタイムで測定することを可能にする。
【0054】
一実施形態によれば、集光アセンブリは、光検出アセンブリ専用の少なくとも1つの集光光学系を備える。
【0055】
一実施形態によれば、光放射ビーム分割アセンブリは、光検出アセンブリに出力されるように構成された少なくとも1つの追加の光放射ビームを出力するように構成される。
【0056】
この実施形態は、光検出アセンブリのための専用の集光光学系の使用を必要としないという利点を提供する。
【0057】
一実施形態によれば、光検出アセンブリ、ロックインアセンブリ、および変調アセンブリの間の少なくとも1つの通信チェーンは、少なくとも部分的に、VLC(可視光通信)、Li-Fi(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、電力線搬送(PLC)、携帯電話、好ましくは5G、無線周波数プロトコル、または独自仕様のプロトコルの中から選択される電気通信技術を使用して実行される。
【0058】
上に列挙した技術のうちの1つの使用は、分光計アセンブリの要素間の高速かつ効率的な通信を可能にするが、分光計アセンブリの要素間で情報を送信することを可能にする任意のタイプの通信を代替形態として使用することができることが理解されよう。
【0059】
VLC(可視光通信)およびLi-Fi技術は、送信された情報の少なくとも一部が光放射源を制御することができるように符号化され得る特定の実施形態を可能にし、その結果、前記情報は光放射源によって放出された光放射において符号化される。
【0060】
一実施形態によれば、分光計アセンブリは、集光アセンブリを複数の光放射源に向かって順に導くことができる電動式プラットフォームをさらに備える。
【0061】
この実施形態は、環境内に配置された異なる光放射源を使用して連続的に測定を実行することを可能にする。プラットフォームは、好ましくは、様々な光放射源の照準を自動化するようにサーボ制御されることが理解されよう。
【0062】
本発明はまた、上記実施形態のうちの1つによる分光計アセンブリの使用であって、集光アセンブリが環境内に配置された少なくとも1つの照明要素を連続的に標的とし、分光計アセンブリが各照明要素を光放射源として連続的に使用することができるように分光計アセンブリを設定するステップと、分光計アセンブリを使用して、各照明要素と集光アセンブリとの間に位置する、空気中に存在する少なくとも1つの要素の濃度を測定するための差分吸収分光法(DOAS)技術を実施するステップとを含むことを特徴とする、使用に関する。
【0063】
この使用は、特に、空気中の汚染物質濃度を測定することを可能にする。この使用は、公共の照明器具など、環境内に既に位置している照明要素を利用し、追加の光放射源を必要とせずに測定を可能にするという利点を有する。
【0064】
この使用のために、測定は、好ましくは光放射源と集光アセンブリとの間の数百メートルの距離で実行される。さらに、検出はロックイン方式で実行されるため、太陽光に関連する干渉なしに、日中に測定を実行することができる。
【0065】
一実施形態によれば、少なくとも1つの照明要素は、少なくとも青色のスペクトル範囲で発光し、分光計アセンブリは空気中のNO濃度および空気濁度指数を測定するように構成される。
【0066】
一実施形態によれば、分光計アセンブリは、日光の存在下でその使用を実現することを可能にするために、主変調周波数で少なくとも1つの照明要素によって放出される光放射の時間変調を利用し、主変調周波数は好ましくは90Hz~130Hzである。
【0067】
例えば、商用電源の光放射源の場合、時間変調の周波数は、光放射源に供給するAC電圧の周波数の関数である。この場合、変調周波数は、フランスでは約100Hz、米国または日本では約120Hzとなる。
【0068】
一実施形態によれば、変調光放射源は、少なくとも1つの変調周波数で少なくとも1つの光放射を放出するように構成された、制御された光源である。
【0069】
特に、制御された光放射源の使用は、制御パラメータの関数として光放射源に関する情報を得るために、分光計アセンブリを使用して測定を行うことを可能にする。
【0070】
さらに、制御された光放射源の使用は、分光計アセンブリの測定のおかげで、光放射源と集光アセンブリとの間に位置する媒体に関する情報を得るために、特定の波長での光放射の放出を可能にすることができる。媒体は、例えば、固体、液体または気体であってもよい。
【0071】
一実施形態によれば、制御された変調光放射源は、変調ポンプレーザによって励起されたサンプル、AC電気励起源によって励起されたサンプル、変調熱励起源によって励起されたサンプルのうちの1つである。
【0072】
一実施形態によれば、分光計アセンブリは、黒体放射、二次発光、透過特性の変化、反射特性の変化、熱伝達、電荷散乱、光散乱、および蛍光のうちの少なくとも1つを表す振幅スペクトル(R(λ))および位相スペクトル(θ(λ))を得るように構成される。
【0073】
本発明はまた、以下の用途:
‐照明および表示源の分光光度法であって、分光計アセンブリが照度測定セル(スペクトル照度測定)または輝度測定セル(スペクトル輝度測定)に接続されている、分光光度法、
‐大気汚染物質濃度の光学的測定、
‐迷光の排除を可能にする、人工光源を使用したリモートセンシング、
‐変調光源の発光スペクトルの振幅および位相を測定するための積分球、照度測定セルまたは輝度測定セルに接続された分光計アセンブリを用いた、変調光源の分光光度法、
‐光源によって放出された光が迷光放射を排除するように意図的に変調される、変調されていない光源の分光光度法、
‐変調光への眼曝露の特性評価、
‐画像取得に関連する照明の特性評価、
‐散乱媒体の物理化学的分析、
‐光源の非破壊試験、
‐変調光熱分析
のうちの1つまたは複数のための本発明によるロックイン分光計アセンブリの使用を目的とする。
【0074】
本発明はまた、変調多波長光放射源に適用されるロックイン分光法の方法を目的とし、方法は、以下のステップ:
光源からの光放射を受け取るステップと、
受け取った光放射から、少なくとも1つの光源光放射ビームを生成するステップであって、すべての光源光放射ビームが同一である、ステップと、
少なくとも1つの光源光放射ビームから、同相と呼ばれる光放射ビームの複数の第1の時間部分と、第1の時間部分に対して位相直交である光放射ビームの複数の第2の時間部分とを生成するステップと、
少なくとも1つの分光計によって、各光源光放射ビームのスペクトル量I(λ)、Q(λ)を測定するステップと、
少なくとも1つの分光計によって、少なくとも1つの光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
少なくとも1つの分光計によって、少なくとも1つの光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
スペクトルI(λ)を得るためにスペクトル(I(λ)、i∈{1,…,N})を、およびスペクトルQ(λ)を得るためにスペクトル(Q(λ)、i∈{1,…,N})をローパスフィルタユニットによってフィルタリングするステップと、
‐計算ユニットを使用して、以下の式:
【数13】

および
【数14】

を使用して、集光された光放射の振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を計算するステップと
を含む。
【0075】
光源光放射ビームの少なくとも1つは、光学装置(チョッパ…)によって、または電子的に光源から来る光放射から得ることができる。
【0076】
1つまたは2つの光源光放射ビームおよび1つまたは2つの分光計を使用することが可能である。
【0077】
本発明はまた、多波長光放射の変調光源に適用されるロックイン分光法の方法を目的とし、方法は、以下のステップ:
光源からの光放射を受け取るステップと、
受け取った光放射から、同一の第1の光源光放射ビーム、第2の光源光放射ビーム、第3の光源光放射ビーム、および第4の光源光放射ビームを生成するステップと、
第1、第2、第3および第4の光源光放射ビームから、同相と呼ばれる光放射ビームの複数の第1の時間部分と、第1の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である光放射ビームの複数の第2の時間部分と、第2の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である光放射ビームの複数の第3の時間部分と、第3の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である光放射ビームの複数の第4の時間部分とを生成するステップと、
第1の分光計によって、第1の時間部分上のスペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
第2の分光計によって、第2の時間部分上のスペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
第3の分光計によって、第3の時間部分上のスペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
第4の分光計によって、第4の時間部分上のスペクトル(Q2i(λ)、i∈{1,…,N})を取得するステップであって、各スペクトルが、光源光放射ビームのN個の時間部分上で測定される、ステップと、
ローパスフィルタユニットを使用して、スペクトル(I(λ))を得るためにスペクトル(I1i(λ)、i∈{1,…,N})を、スペクトル(Q(λ))を得るためにスペクトル(Qi(λ)、i∈{1,…,N})を、スペクトル(I(λ))を得るためにスペクトル(Ii(λ)、i∈{1,…,N})を、およびスペクトル(Q(λ))を得るためにスペクトル(Q2i(λ)、i∈{1,…,N})をフィルタリングするステップと、
計算ユニットを使用して、以下の式:
【数15】

および
【数16】

を使用して、集光された光放射の振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を計算するステップと
を含む。
【0078】
本発明の実施形態および本発明による使用を、添付の図面を参照して非限定的な例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明の第1の実施形態による分光計アセンブリの概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態による分光計アセンブリの概略図である。
図3】本発明の第3の実施形態による分光計アセンブリの概略図である。
図4】本発明の第4の実施形態による分光計アセンブリの概略図である。
図5】本発明の第5の実施形態による分光計アセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図において、破線は光放射ビームを表し、実線は通信リンクを表す。
【0081】
図1図5を参照すると、分光計アセンブリ1は、間に媒体2が位置する多波長光放射の変調光源1bに適用される測定アセンブリ1aを備えていることが分かる。図1図5において、媒体2は、気体の形態で概略的に表されている。しかしながら、本発明は気体に限定されず、媒体2は、固体または液体などの光放射が伝播することができる任意の媒体とすることができることが理解されよう。
【0082】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による分光計アセンブリ1が示されていることが分かる。この第1の実施形態によれば、分光計アセンブリ1は、2つの、好ましくは同一の分光計6を備える。分光計アセンブリ1は、集光アセンブリ3と、ロックインアセンブリ4と、変調アセンブリ5と、計算ユニット7と、光検出アセンブリ8とをさらに備える。
【0083】
図1に示すように、第1の実施形態によれば、集光アセンブリ3は、光放射源1bによって放出された光放射からの光放射ビームを、媒体2内を伝播した後に集光するように構成された集光光学系3aと、集光された光放射ビームを、変調アセンブリ5に出力されるように意図された2つの同一の光源光放射ビームと、光検出アセンブリ8に出力されるように意図された、光源光放射ビームと同一の追加の光放射ビームとに分割するように構成された光放射ビーム分割アセンブリ3cとを備える。
【0084】
光検出アセンブリ8は、光放射の位相および変調周波数を正確にかつリアルタイムで測定し、この情報をロックインアセンブリ4に伝送するように構成される。
【0085】
ロックインアセンブリ4は、光検出アセンブリ8によって測定された位相および変調周波数に基づいて基準信号を生成するように構成される。
【0086】
特に、基準信号は、変調アセンブリ5を制御するために使用される制御周波数fを含む。
【0087】
ロックインアセンブリ4は、基準信号を変調アセンブリ5に伝送するために変調アセンブリ5に接続されている。
【0088】
第1の実施形態によれば、変調アセンブリ5は、基準信号に応じて第1の光源光放射ビームおよび第2の光源光放射ビームを変調するように構成される。そして、変調されたビームは分光計6に出力される。
【0089】
図1に示すように、第1の実施形態によれば、変調アセンブリ5は単一の光変調器5aを備え、光変調器5aは、好ましくは機械式チョッパ型変調器である。
【0090】
変調アセンブリ5は、各分光計6による複数のスペクトルの取得を制御するように構成される。
【0091】
スペクトルは光放射のすべての波長に関する情報を含み、各スペクトルは光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nは1以上の整数である。
【0092】
各時間部分は、期間
【数17】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数18】

だけ離間され、fは、基準信号から得られる変調アセンブリ5を制御するために使用される周波数である。
【0093】
第1の分光計6は、集光アセンブリ3によって集光された光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトルI(λ)(i∈{1,…,N})を取得するように構成される。
【0094】
第2の分光計6は、第1の時間部分に対して位相直交である、第2の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトルQ(λ)(i∈{1,…,N})を取得するように構成される。
【0095】
さらに、第1の分光計6は、変調アセンブリ5とは独立して、言い換えれば、第1の分光計6に入射するビームが第1の無修正の光放射ビームである場合に、第1の光源光放射ビームI(λ)のスペクトル量を測定するように構成される。
【0096】
第2の分光計6は、変調アセンブリ5とは独立して、言い換えれば、第2の分光計6に入射するビームが第2の無修正の光放射ビームである場合に、第2の光源光放射ビームQ(λ)のスペクトル量を測定するように構成される。
【0097】
図1に示すように、分光計6は、分光計6によって取得されたスペクトルを処理するために計算ユニット7に接続されている。
【0098】
分光計アセンブリ1はまたローパスフィルタユニットを備える。ローパスフィルタユニットは、スペクトルI(λ)を得るためにスペクトルI(λ)(i∈{1,…,N})に、およびスペクトルQ(λ)を得るためにスペクトルQ(λ)(i∈{1,…,N})に適用されるように構成される。
【0099】
好ましくは、スペクトルI(λ)およびQ(λ)を測定するために使用される時間部分の数Nは同一であるが、代替形態によれば、I(λ)およびQ(λ)に対して異なる数の時間部分を使用することができることが理解されよう。
【0100】
本発明によれば、ローパスフィルタユニットは、物理的にまたは計算によって実施することができる。
【0101】
ローパスフィルタユニットが物理的なものである場合、分光計の積分時間でローパスフィルタリングが実行され、言い換えれば、取得時間中に各分光計の検出器の受光素子における光電荷の蓄積によってローパスフィルタリングが得られる。感光性素子は、いくつかの時間部分の間露光されたままであり、その後取得が実行される。
【0102】
ローパスフィルタユニットが計算を伴う場合、ローパスフィルタユニットは計算ユニット7に統合され、ローパスフィルタリングはスペクトルのデジタルフィルタリングによって実行される。デジタルローパスフィルタリングの例は、N個のスペクトルiを平均することである。
【0103】
次いで、計算ユニットは、以下の式:
【数19】

および
【数20】

を使用して、集光アセンブリ3によって集光された光放射の振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を計算するように構成される。
【0104】
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態による分光計アセンブリ1が示されていることが分かる。第1の実施形態と同一の要素は同じ参照番号を記載するが、異なる要素は、「’」文字を有する同じ参照番号を記載する。この第2の実施形態によれば、分光計アセンブリ1’はまた、2つの、好ましくは同一の分光計6を備える。第2の実施形態は、以下に説明する点を除き、第1の実施形態と同様である。
【0105】
図2に示すように、第2の実施形態によれば、分光計アセンブリ1’の集光アセンブリ3’は、光検出アセンブリ8専用の集光光学系3bを備える。光検出アセンブリ8専用のこの集光光学系3bは、第1の実施形態と同じ測定、言い換えれば、光放射の位相および変調周波数の測定を実行するために、光放射から光放射ビームを集光し、この光放射ビームを光検出アセンブリ8に送達するように構成される。光放射ビーム分割アセンブリ3cは、集光された光放射ビームを変調アセンブリ5’に出力されるように意図された第1の光源光放射ビーム、および第2の同一の光源光放射ビームに分割するように構成される。図1に示す第1の実施形態とは異なり、光放射ビーム分割アセンブリ3cは、光検出アセンブリ8に出力されるように意図された追加の光放射ビームを提供しない。
【0106】
第2の実施形態によれば、変調アセンブリ5’は2つの光変調器5aを備える。第1の光変調器5aは第1の光源光放射ビームを変調するように構成され、第2の光変調器5aは第2の光源光放射ビームを変調するように構成される。
【0107】
第2の実施形態によれば、ロックインアセンブリ4’は、制御周波数fに基づいて変調を制御するために、2つの光変調器5aに出力される2つの基準信号を生成するように構成される。
【0108】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様にしてスペクトルを取得する。
【0109】
図3を参照すると、本発明の第3の実施形態による分光計アセンブリ10が示されている。第1の実施形態と同一の要素は同じ参照番号を記載するが、異なる要素は、同じ参照番号に10を乗じたものを記載する。この第3の実施形態によれば、分光計アセンブリ10は単一の分光計6を備える。最初の2つの実施形態と同様に、第3の実施形態によれば、分光計アセンブリ10は集光アセンブリ3と、ロックインアセンブリ4と、変調アセンブリ50と、計算ユニット7と、光検出アセンブリ8とをさらに備える。
【0110】
図3に示すように、第3の実施形態によれば、集光アセンブリ3は、光放射源1bによって放出された光放射からの光放射ビームを、媒体2内を伝播した後に集光するように構成された集光光学系3aと、光放射ビーム分割アセンブリ3cとを備える。
【0111】
第3の実施形態によれば、光放射ビーム分割アセンブリ3cは、集光された光放射を、変調アセンブリ50に出力されるように意図された光源光放射ビームと、光検出アセンブリ8に出力されるように意図された追加の同一の光放射ビームとに分割するように構成される。
【0112】
最初の2つの実施形態と同様に、第3の実施形態によれば、光検出アセンブリ8は、光放射の位相および変調周波数をリアルタイムで正確に測定し、この情報をロックインアセンブリ4に伝送するように構成される。
【0113】
第3の実施形態によれば、ロックインアセンブリ4は、光検出アセンブリ8によって測定された位相および変調周波数に基づいて基準信号を生成するように構成される。
【0114】
特に、基準信号は、変調アセンブリ50を制御するために使用される制御周波数fを含む。
【0115】
ロックインアセンブリ4は、基準信号を変調アセンブリ50に伝送するために変調アセンブリ50に接続されている。
【0116】
図3に示すように、第3の実施形態によれば、変調アセンブリ50は分光計6に統合される。次いで、基準信号はトリガ信号として使用され、変調アセンブリ50は、分光計6による複数のスペクトルの取得を制御するように構成される。
【0117】
スペクトルは光放射のすべての波長に関する情報を含み、各スペクトルは光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nは1以上の整数である。
【0118】
各時間部分は、期間
【数21】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数22】

だけ離間され、fは、基準信号から得られる変調アセンブリ50を制御するために使用される周波数である。
【0119】
分光計6は、集光アセンブリ3によって集光された光放射に対して同相であると言われる、光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトルI(λ)(i∈{1,…,N})を、次いで第1の時間部分に対して位相直交である、第1の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトルQ(λ)(i∈{1,…,N})を取得するように構成される。
【0120】
第3の実施形態によれば、分光計6は、第1の時間部分上のスペクトルI(λ)(i∈{1,…,N})、および第2の時間部分上のスペクトルQ(λ)(i∈{1,…,N})の取得を連続して、少なくとも1回実行するように構成される。取得は、所望の精度に応じて数回繰り返されることが理解されよう。
【0121】
さらに、分光計6は、変調アセンブリ50とは独立して、言い換えれば、無修正の光源放射ビーム上で、光源光放射ビームI(λ)=Q(λ)のスペクトル量を測定するように構成される。
【0122】
図3に示すように、分光計6は、分光計6によって取得されたスペクトルを処理するために計算ユニット7に接続されている。
【0123】
第3の実施形態によれば、最初の2つの実施形態と同様に、分光計アセンブリ10はローパスフィルタユニットをさらに備える。ローパスフィルタユニットは、スペクトルI(λ)を得るためにスペクトルI(λ)(i∈{1,…,N})に、およびスペクトルQ(λ)を得るためにスペクトルQ(λ)(i∈{1,…,N})に適用されるように構成される。
【0124】
第3の実施形態によれば、最初の2つの実施形態と同様に、好ましくは、スペクトルI(λ)およびQ(λ)を測定するために使用される時間部分の数Nは同一であるが、代替形態によれば、I(λ)およびQ(λ)に対して異なる数の時間部分を使用することができることが理解されよう。
【0125】
第3の実施形態によれば、ローパスフィルタユニットは計算により実施される。ローパスフィルタユニットは、計算ユニット7に統合されており、スペクトルのデジタルフィルタリングによりローパスフィルタリングが実行される。デジタルローパスフィルタリングの例は、N個のスペクトルiを平均することである。
【0126】
次いで、計算ユニットは、以下の式:
【数23】

および
【数24】

を使用して、集光アセンブリ3によって集光された光放射の振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を計算するように構成される。
【0127】
第3の実施形態は、最初の2つの実施形態の適合であり、2つの分光計の実施形態と同じ利点を享受しながら、単一の分光計を使用することを可能にする。しかしながら、この第3の実施形態は、スペクトルI(λ)およびスペクトルQ(λ)に対して実行される取得を同時に実行することはできず、連続して実行しなければならないという事実に起因して、集光される光放射の安定性に対してより敏感である。
【0128】
図4を参照すると、本発明の第4の実施形態による分光計アセンブリ100が示されていることが分かる。第1の実施形態と同一の要素は同じ参照番号を記載するが、異なる要素は同じ参照番号に100を乗じたものを記載する。この第4の実施形態によれば、分光計アセンブリ100は4つの分光計6を備える。第4の実施形態によれば、分光計アセンブリ100は、集光アセンブリ300と、ロックインアセンブリ400と、変調アセンブリ500と、計算ユニット7とをさらに備える。
【0129】
図4に示すように、第4の実施形態によれば、集光アセンブリ300は4つの集光光学系3aを備え、集光光学系3aの各々は、光放射源1bによって放出された光放射からの光放射ビームを、媒体2内を伝播した後に集光するように構成される。第4の実施形態は最初の3つの実施形態とは異なり、光放射ビーム分割アセンブリ3cを含まない。
【0130】
第4の実施形態によれば、各集光光学系3aは、光源光放射ビームを変調アセンブリ500に出力するように構成され、すべての光源光放射ビームは最初の3つの実施形態と同一である。
【0131】
第4の実施形態によれば、ロックインアセンブリ400は、基準信号を生成するように構成され、4つの基準信号を生成する信号発生器を備える。基準信号は、好ましくは、光放射源1bへの電力供給に応じて生成される。代替的に、例えば外部クロックに基づいて、他の手段によって基準信号を生成することもできる。
【0132】
第4の実施形態によるロックインアセンブリ400は、光放射源1bに供給する交流電流の波形を知ることによって、光放射源1bによって放出される光放射の位相および変調周波数を得ることを可能にし、これにより、基準信号を生成するための光放射に関する測定を排除することを可能にする。
【0133】
基準信号は、特に、変調アセンブリ500を制御するために使用される制御周波数fを含む。
【0134】
ロックインアセンブリ400は、基準信号を変調アセンブリ500に伝送するために変調アセンブリ500に接続されている。
【0135】
第4の実施形態によれば、変調アセンブリ500は、基準信号に応じて、第1の光源光放射ビーム、第2の光源光放射ビーム、第3の光源光放射ビーム、および第4の光源光放射ビームを変調するように構成される。そして、変調されたビームは分光計6に出力される。
【0136】
図4に示すように、第4の実施形態によれば、変調アセンブリ500は4つの光変調器5aを備え、光変調器5aは好ましくは電気光学変調器または音響光学変調器である。
【0137】
変調アセンブリ500は、各分光計6による複数のスペクトルの取得を制御するように構成される。
【0138】
スペクトルは、光放射のすべての波長に関する情報を含み、各スペクトルは光源光放射ビームのN個の時間部分で測定され、Nは1以上の整数である。
【0139】
各時間部分は、期間
【数25】

に対応する持続時間を有し、同じタイプの時間部分から期間
【数26】

だけ離間され、fは、基準信号から得られる変調アセンブリ500を制御するために使用される周波数である。
【0140】
第1の分光計6は、集光アセンブリ3によって集光された光放射に対して同相であると言われる、第1の光源光放射ビームの第1の時間部分上のスペクトルI1i(λ)(i∈{1,…,N})を取得するように構成される。
【0141】
第2の分光計6は、第1の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第2の光源光放射ビームの第2の時間部分上のスペクトルQ1i(λ)(i∈{1,…,N})を取得するように構成される。
【0142】
第3の分光計6は、第2の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第3の光源光放射ビームの第3の時間部分上のスペクトルI2i(λ)(i∈{1,…,N})を取得するように構成される。
【0143】
第4の分光計6は、第3の時間部分に対して位相直交かつ位相前進である、第4の光源光放射ビームの第4の時間部分上のスペクトルQ2i(λ)(i∈{1,…,N})を取得するように構成される。
【0144】
図4に示すように、分光計6は、分光計6によって取得されたスペクトルを処理するために計算ユニット7に接続されている。
【0145】
最初の3つの実施形態と同様に、第4の実施形態によれば、分光計アセンブリ100はまた、ローパスフィルタユニットを備える。ローパスフィルタユニットは、スペクトルI(λ)を得るためにスペクトルI1i(λ)(i∈{1,…,N})に、スペクトルQ(λ)を得るためにスペクトルQ1i(λ)(i∈{1,…,N})に、スペクトルI(λ)を得るためにスペクトルI2i(λ)(i∈{1,…,N})に、スペクトルQ(λ)を得るためにスペクトルQ2i(λ)(i∈{1,…,N})に適用されるように構成される。
【0146】
好ましくは、スペクトルI(λ)、Q(λ)、I(λ)およびQ(λ)を測定するために使用される時間部分の数Nは同一であるが、代替の実施形態によれば、I(λ)、Q(λ)、I(λ)およびQ(λ)に対して異なる数の時間部分を使用することができることが理解されよう。
【0147】
第1および第2の実施形態と同様に、第4の実施形態によれば、ローパスフィルタユニットは、物理的または計算的に実施することができる。
【0148】
ローパスフィルタユニットが物理的なものである場合、分光計の積分時間でローパスフィルタリングが実行され、言い換えれば、取得時間中に各分光計の検出器の受光素子における光電荷の蓄積によってローパスフィルタリングが得られる。感光性素子は、いくつかの時間部分の間露光されたままであり、その後取得が実行される。
【0149】
ローパスフィルタユニットが計算を使用する場合、ローパスフィルタユニットは計算ユニット7に統合され、ローパスフィルタリングはスペクトルのデジタルフィルタリングによって実行される。デジタルローパスフィルタリングの例は、N個のスペクトルiを平均することである。
【0150】
次いで、計算ユニットは、以下の式:
【数27】

および
【数28】

を使用して、集光アセンブリ3によって集光された光放射の振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を計算するように構成される。
【0151】
この第4の実施形態は、第1、第2および第3の実施形態の適合であり、前述の実施形態と同じ利点を享受しながら、光源光放射ビームを100%は変調しないいわゆる「不完全」変調アセンブリ500の使用を可能にする。いわゆる「不完全」変調アセンブリ500は、例えば、電気通信光ファイバに使用される電気光学変調器または音響光学変調器を使用することができる。これらの光変調器5aは、チョッパなどの機械的変調器よりも小型でより堅牢であるという利点を提供する。
【0152】
一方、第4の実施形態では、4つの、好ましくは同一の分光計6を使用する必要がある。
【0153】
ここで図5を参照すると、第5の実施形態による分光計アセンブリ200が示されていることが分かる。第1の実施形態と同一の要素は同じ参照番号を記載する。第5の実施形態による分光計アセンブリ200は、以下に詳述する点を除いて、前述の実施形態のいずれかと同一である。
【0154】
図5に示すように、第5の実施形態によれば、分光計アセンブリ200は、光放射源1bのすぐ近くに位置する遠隔光検出アセンブリ8を備える。光放射源1bによって放出された光放射から、専用の集光光学系3bを使用して集光された光放射ビームは、光放射の位相および変調周波数を測定することができるように光検出アセンブリ8に出力される。光検出アセンブリ8は、光検出アセンブリ8によって測定された情報をロックインアセンブリ4に送信するように構成された無線通信アセンブリ11に接続されている。
【0155】
代替として、情報を有線で送信することもできることが理解されよう。
【0156】
図5に示すように、第5の実施形態によれば、分光計アセンブリ200はまた、集光アセンブリ3を複数の光放射源1bに向かって順に導くことができる電動プラットフォーム9を備え、環境内に配置された異なる光放射源1bを使用して測定を連続的に実行することを可能にする。
【0157】
好ましくは、プラットフォーム9は、様々な光放射源1bの照準を自動化するようにスレーブであることが理解されよう。
【0158】
第5の実施形態は、分光計アセンブリ200の使用に特に適合し、以下のステップ:分光計アセンブリ200が各照明要素を光放射源1bとして連続的に使用するように、集光アセンブリ3が環境内に配置されたいくつかの照明要素、好ましくは公共の照明器具に連続的に照準を合わせることができるように分光計アセンブリ200を位置決めするステップと、分光計アセンブリ200を使用して、各照明要素と集光アセンブリ3との間に位置する媒体2、好ましくは空気中に存在するいくつかの要素、好ましくは汚染物質の濃度を測定するための差分吸収分光法(DOAS)技術を実施するステップとを含む。
【0159】
この使用は、公共の照明器具など、環境内に既に配置されている照明要素を利用し、追加の光放射源1bを必要とせずに測定を可能にするという利点を有する
【0160】
この使用のために、測定は、好ましくは光放射源1bと集光アセンブリ3との間の数百メートルの距離で実行される。さらに、検出はロックイン方式で実行されるため、太陽光に関連する干渉なしに日中に測定を実行することができる。
【0161】
好ましくは、各照明要素は青色スペクトル範囲で発光し、分光計アセンブリ200は、空気中のNO濃度および空気濁度指数を測定するように構成される。
【0162】
さらにより好ましくは、分光計アセンブリ200は、日光の存在下で使用を実行することを可能にするために、主変調周波数で照明要素によって放出される光放射の時間変調を利用する。主変調周波数は、好ましくは90Hz~130Hzである。
【0163】
例えば、商用電源の光放射源1bの場合、時間変調は、光放射源に供給するAC電圧の周波数の関数である。この場合、変調周波数は、フランスでは約100Hz、米国または日本では約120Hzとなる。
【0164】
例えば、変調光放射源1bが少なくとも1つの変調周波数で少なくとも1つの光放射を放出するように構成された、制御された光源である場合の使用など、本発明による分光計アセンブリ1、1’、10、100、200には他の使用も可能であることが理解されよう。
【0165】
特に、制御された光放射源1bの使用は、制御パラメータの関数として光放射源1bに関する情報を得るために、分光計アセンブリ1、1’、10、100、200を使用して測定を行うことを可能にする。さらに、制御された光放射源1bの使用は、分光計アセンブリ1、1’、10、100、200の測定のおかげで、光放射源1bと集光アセンブリ3との間に位置する媒体2に関する情報を得るために、特定の波長での光放射の放出を可能にすることができる。媒体は、例えば、固体、液体または気体であってもよい。
【0166】
非限定的な例によれば、制御された変調光放射源1bは、変調ポンプレーザによって励起されたサンプル、AC電気励起源によって励起されたサンプル、または変調熱励起源によって励起されたサンプルであってもよい。
【0167】
非限定的な例によれば、分光計アセンブリ1、1’、10、100、200は、黒体放射、二次発光、透過特性の変化、反射特性の変化、熱伝達、電荷散乱、光散乱、または蛍光を表す振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)を得るように構成することができる。
【0168】
本発明による分光計アセンブリ1、1’、10、100、200のいくつかの可能な用途を以下に説明する。
【0169】
本発明による分光計アセンブリの使用は、2つのタイプ、すなわち現場使用および実験室使用に分類することができる。
【0170】
現場での使用のために、集光アセンブリは、好ましくは望遠鏡、写真レンズまたは別の同様の光学照準システムを備える。
【0171】
実験室での使用のために、集光アセンブリは、好ましくは、積分球、照度測定セルまたは輝度測定セルを備える。
【0172】
第一に、現場での使用に関して、これは、例えば照明または表示源の分光光度法を含むことができる。本発明による分光計アセンブリの最も明白な用途は、日光または迷光/寄生光の存在下で、屋内または屋外照明用のランプまたは照明器具などの変調光源のスペクトルを測定することを可能にすることである。この場合、集光アセンブリは、好ましくは照度測定セル(スペクトル照度測定)または輝度測定セル(スペクトル輝度測定)を備える。これにより、照明および表示設備、例えば、屋内および屋外の両方で、日中に照明標識または広告を測定することが可能になる。これにより、設備の性能および適合性をチェックすることがはるかに容易かつ安価になり、夜間に作業する必要がなくなる。
【0173】
これは、既に上述した屋外大気汚染物質濃度の光学的測定にも使用することができる。そのような用途の1つは、例えば、好ましくは街路灯、好ましくはLEDを使用して、長経路DOAS技術によるNO濃度および濁度指数の測定を可能にする。二酸化窒素(NO)の分子吸収特性に対応するため、LEDによって放出される光の「青色」スペクトル範囲が利用される。照明器具によって放出される光の時間変調は、100Hz、または米国および日本では120Hzの主周波数で利用される。本発明による分光計アセンブリは、動作中の公共の照明器具から大気中を透過する光ビームのスペクトルを、白昼に長距離、好ましくは100m~5kmの距離で測定することを可能にする。この種の使用のために、集光アセンブリは、好ましくは望遠鏡を備え、より好ましくは、望遠鏡として市販されているニュートニアン型またはカセグレン型の望遠鏡を備える。光放射ビームは、好ましくは、ファイバ光学的に誘導される。
【0174】
さらにより好ましくは、この種の使用のために、分光計アセンブリは、好ましくは照明器具に位置し、LED照明器具によって放出されたスペクトルをその場で測定し、発光スペクトルをロックインアセンブリに、好ましくは、光無線リンク、例えば、照明器具によって放出された光に重ね合わされたVLCもしくはLiFi(登録商標)変調によって、電力線搬送(PLC)リンクによって、または無線周波数リンク、例えば、5G、Lora(登録商標)、Sigfox(登録商標)などによって送信するように構成された光検出アセンブリを含む。
【0175】
人工光源を使用する他のリモートセンシング技術の他の使用も挙げることができる。例えば、LIDAR技術の場合、レーザ源の変調により、本発明による分光計アセンブリを使用して、迷光/寄生光の存在下で反射光のスペクトルを迅速に測定することが可能になる。マルチスペクトルまたはハイパースペクトルイメージングを使用するリモートセンシング技術の場合、本発明による分光計アセンブリを使用して、ハイパースペクトルイメージャの取得時間を改善し、周囲光に対する耐性を高めることができる。
【0176】
ここで、我々の関心を実験室用途に向けると、1つの例は、変調光源の分光光度法である。好ましくは、集光アセンブリは、変調光源の振幅および位相発光スペクトル(「複素」スペクトル)の実験室測定のための積分球、照度測定セルまたは輝度測定セルを備える。この使用は追加の特性評価を構成し、本発明による分光計アセンブリで使用することができる標準的な小型分光計よりも複雑で、感度が低く、高価な高速CMOS検出器に基づく非常にハイエンドの分光計に頼らなければ従来の分光法ではアクセスすることができなかった、光生成の動態に関する物理的情報を提供する。
【0177】
代替的に、電子ロックイン検出を用いた光学分光法も挙げることができる。本発明による分光計アセンブリの別の使用は、選択された変調周波数で成分を提示しない寄生放射または周囲放射を排除することができるように、放出された光を意図的に変調することによって、任意の無変調光放射源の測定の感度を改善することである。この使用は、例えば化学分析において、例えば分析分光法を通じて使用される、ロックイン検出を伴う走査光学分光法の新規の代替形態である。しかしながら、この場合、ロックイン検出は、従来電子的に実行され、光学的には実行されない。本発明による分光計アセンブリの利点は、信号処理の複雑さの低減、コストの低減、およびスペクトル取得時間の非常に顕著な短縮である。低減係数はスペクトルチャネルの数にほぼ等しく、これは、典型的には、可視波長範囲における400の係数に対応する。
【0178】
変調光への眼の曝露の特性評価にも使用することができる。光源によって放出された変調光への人間の曝露は、フリッカ、ストロボまたはファントムグレーティング効果などの望ましくない視覚効果、ならびに片頭痛および視覚疲労などの健康への影響の原因である。本発明による分光計アセンブリは、変調光への人間の曝露を、それらのスペクトルではなく光変動の時間波形のみを測定するフリッカメータなどの現在利用可能な測定装置よりも包括的に特徴付けることを可能にする。眼の平面内で受け取られた変調光の複素スペクトルを測定するための使用には、例えば、時間光変調、すなわち「クロマティックフリッカ」の有彩色効果の視覚的知覚の研究、および主観的な色の外観のフェヒナー・ベンハムメカニズムの研究が含まれる。
【0179】
また、画像取得に関連する照明を特徴付けるために使用することもできる。複雑な照明スペクトルは、変調光および周期的な色パターンの存在下で画像センサによって生成される望ましくない人工効果「モアレ」を説明するために使用することができる。したがって、例えばマシンビジョンおよび映画での使用が可能である。
【0180】
散乱媒体の物理化学的分析に使用することができる。本発明による分光計アセンブリを使用して、散乱媒体、例えば液体またはエアロゾル、例えば煙の振幅および位相の透過スペクトルを測定して、それらの光学特性を研究することができる。例えば100MHzから数GHz程度の高い変調周波数を使用することにより、位相スペクトルは、波長に応じてこれらの媒体における伝播時間に関する情報にアクセスすることを可能にする。
【0181】
また、照明に使用される光源の非破壊試験にも使用することができる。この場合、光生成のダイナミクスに特徴的なパラメータを決定し、LEDのキャパシタンス、接合抵抗およびインダクタンス、ならびに蛍光体の時定数などのこれらのパラメータのドリフトを検出できるように、いくつかの変調周波数における複素スペクトル、振幅および位相スペクトルを取得する必要がある。
【0182】
最後に、変調光熱分析の使用を挙げることができる。変調光熱分析法は、吸収材料、例えば、金属、半導体、複合材料または生体組織の光学的、弾性的および熱的特性を研究するために実験室で使用される。例としては、光熱放射測定および光熱顕微鏡が挙げられる。これらの技術は、変調励起レーザまたは「ポンプレーザ」を使用して、分析対象の材料に交互の熱散乱を生じさせる。この交互の熱散乱は、例えば黒体熱放射に関連する受動的、または例えば第2のプローブレーザビームの偏向もしくは散乱に関連する能動的であり得る光学シグネチャによって検出される。変調光熱法はすべて、電子ロックイン検出を使用して、励起レーザの変調周波数で変調された成分を含む光学的シグネチャを測定する。本発明による分光計アセンブリは、光熱励起のスペクトルシグネチャの検出を、電子ロックイン増幅器に頼ることを回避し、同時にレーザ励起による振幅および位相ロックインのスペクトルを提供することによって改善することを可能にする。スペクトルシグネチャは、例えば研究中の材料の黒体熱放射の変調成分、または研究中の媒体によって散乱されたプローブビームのスペクトルの変調成分である。
【0183】
本発明によれば、所望の測定値に応じて、変調アセンブリを制御するために使用される周波数fmは、光放射源によって放出される光放射の変調周波数、または光放射の変調周波数の高調波、例えば光放射の変調周波数の2倍周波数または3倍周波数に対応することができる。変調アセンブリが、制御周波数fとして、光放射源によって放出された光放射の変調周波数の高調波周波数を使用するように構成されている場合、得られた振幅スペクトルR(λ)および位相スペクトルθ(λ)は、光放射源と集光アセンブリとの間に位置する媒体の非線形性を特徴付ける。媒体は、例えば、固体、液体または気体であってもよい。高調波周波数の使用は、非線形光学結晶、半導体または生物学的媒体を特徴付けるために有用であり得る。照明の分野では、この実施形態は、例えば動作中のLED発光体の非線形挙動を研究することができる。この機能は、非破壊試験において非常に有用である。
【0184】
本発明によれば、集光光学系は、光放射源によって放出された光放射からの光放射ビームを集光することを可能にする任意の要素または装置とすることができる。
【0185】
集光光学系は、例えば、光放射源の性質、集光アセンブリと光放射源との間の距離、および所望の用途に応じて、望遠鏡、積分球、写真レンズ、収束レンズ、照度測定セル、または輝度測定セルのうちの1つであってもよい。
【0186】
本発明によれば、計算ユニットはそれ自体マイクロコンピュータの形態で提示されるが、代替的に、例えばプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け構成要素(ASIC)、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリに関連するプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、デジタル計算を実行することを可能にする任意のタイプの装置であってもよい。
【0187】
本発明によれば、光検出アセンブリはそれ自体フォトダイオードの形態で提示されるが、代替的に、例えばフォトトランジスタ、マイクロボロメータ、CCDもしくはCMOSイメージセンサ、焦電センサまたは光電池などの、光放射の位相および変調周波数を測定することができる任意のセンサを備えてもよい。
【0188】
本発明によれば、光放射ビーム分割アセンブリは、入力光放射ビームを受け取り、必要に応じて入力光放射ビームと同一の出力光放射ビームを出力するように構成されたアセンブリである。本発明によれば、光放射ビーム分割アセンブリは、好ましくは、1つの入力ファイバと、2つ、3つまたは4つの出力ファイバとを有する光ファイバの束、いわゆる「分岐」ファイバ束、ビームスプリッタ、またはビーム分割プリズムである。
【0189】
本発明によれば、好ましい方式では、変調アセンブリが光変調器を含む場合、変調アセンブリは、光変調器を制御するように構成されたスレーブPLLを含む。
【0190】
本発明によれば、好ましい方式では、分光計アセンブリが光検出アセンブリを備える場合、ロックインアセンブリは、光検出アセンブリからアナログ電気信号を受け取り、好ましくはTTL型論理電気信号の形態の基準信号を生成するように構成されたアナログ-デジタル変換電子回路を備える。アナログ-デジタル変換電子回路は、例えば、信号のDC成分のための減結合段と、分圧器ブリッジによる固定電気バイアス段と、集積演算増幅器または比較器を使用する、固定バイアスの周りの対称閾値ヒステリシスコンパレータ段、またはシュミットフリップフロップとを備えるTTL変換器から構成されてもよい。
【0191】
本発明によれば、基準信号が光放射源の電源から得られると、電気基準信号は、好ましくは、例えばシュミットフリップフロップによってTTL論理信号に変換され、「周波数二倍器」電子ブロックも関連付けられて、電源周波数の2倍の周波数で変調された光信号を検出する。例えば、フランスでは、電源周波数は一般に50Hzであり、変調周波数は50×2=100Hzである。
【0192】
好ましい方式では、分光計アセンブリ内のすべての分光計は同一であるが、代替形態として、分光計は異なっていてもよいことが理解されよう。分光計が異なる場合、それらは同じ分光感度および同じ波長分解能を有することが好ましい。
【0193】
好ましくは、各分光計は、好ましくは量子収率較正および暗電流較正を実行することによって、測定前に較正されることも理解されよう。
【0194】
本発明によれば、光放射ビームは、例えば空気中または光ファイバ中などの任意の手段によって伝導され得ることが理解されよう。
【0195】
分光計アセンブリの様々な要素間の情報転送を可能にする通信技術は本発明によって限定されず、例えば、VLC(可視光通信)、Li-Fi(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、電力線搬送(PLC)、携帯電話、好ましくは5G、無線周波数プロトコル、または独自のプロトコルによる通信など、分光計アセンブリの要素間で情報を伝送することを可能にする任意のタイプの通信を使用することができることも理解されよう。
【0196】
VLC(可視光通信)およびLi-Fi(登録商標)技術は、送信された情報の少なくとも一部が光放射源を制御することができるように符号化され得る1つの特定の実施形態を可能にし、その結果、前記情報は光放射源によって放出された光放射において符号化される。
【0197】
最後に、上述した5つの実施形態は非限定的な例として与えられ、上述したような変調光放射源、媒体、集光アセンブリ、ロックインアセンブリ、変調アセンブリ、分光計、計算ユニットおよび光検出アセンブリの他の組み合わせが分光計アセンブリを実施することが可能であることが理解されよう。
【0198】
例えば、第4の実施形態の代替形態は、ロックインアセンブリの信号発生器の代わりに、またはそれに加えて、専用の光学素子を備えるか否かにかかわらず、光検出アセンブリを使用することができる。第4の実施形態の別の代替形態は、単一の集光光学系と、4つの同一の光源光放射ビームを提供するように構成された光放射ビーム分割アセンブリとを有する集光アセンブリを使用することができる。
【0199】
さらなる例として、第3の実施形態の代替形態は、直交スペクトルの4つのグループを測定することができ、第4の実施形態について提示された計算時間式を使用することができる。
【0200】
第1、第2または第4の実施形態の1つの代替形態は、第3の実施形態について提示されたタイプの分光計一体型変調アセンブリを使用することができる。
【0201】
第2または第4の実施形態の1つの代替形態は、単一の光変調器を備える変調アセンブリを使用することができる。
【0202】
第1の実施形態の1つの代替形態は、2つの光変調器を備える変調アセンブリを使用することができる。
【0203】
当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成または使用も可能であることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】