(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】スチレンアクリルエマルジョン及びその製造方法、負極シート、二次電池並びに電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20240723BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240723BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20240723BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/133
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559066
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2022099153
(87)【国際公開番号】W WO2023240535
(87)【国際公開日】2023-12-21
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲啓▼凡
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼明
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050DA09
5H050DA10
5H050DA18
5H050FA17
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA14
5H050HA15
(57)【要約】
本願は、スチレンアクリルエマルジョン、負極シート及びその製造方法、二次電池並びに電力消費装置に関する。ここで、スチレンアクリルエマルジョン中のラテックス粒子のDv50粒子径は350-900nmであり、好ましくは350-800nmである。負極シートは、負極集電体及び前記負極集電体の少なくとも1つの表面に位置する負極活物質層を含み、前記負極活物質層の成分は、ハードカーボン材料及び上記スチレンアクリルエマルジョンに由来する接着剤を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンアクリルエマルジョンであって、前記スチレンアクリルエマルジョンのラテックス粒子のDv50粒子径が350-900nmであり、好ましくは350-800nmであることを特徴とするスチレンアクリルエマルジョン。
【請求項2】
前記ラテックス粒子はスチレンアクリル酸エステル共重合体であり、前記スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は10-70℃であり、好ましくは10-60℃であることを特徴とする請求項1に記載のスチレンアクリルエマルジョン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスチレンアクリルエマルジョンの製造方法であって、
前記製造方法は、
一部の乳化剤、一部のアクリル酸エステル系モノマー、一部のスチレン系モノマーを水と混合してプレエマルジョンを調製するステップと、
別の一部の乳化剤、別の一部のアクリル酸エステル系モノマー、別の一部のスチレン系モノマーを水と混合し、さらに開始剤を加えて重合を開始し、シードエマルジョンを調製するステップと、
前記プレエマルジョンを滴下方式で前記シードエマルジョンに加え、開始剤を加えて重合反応を行い、ラテックス粒子のDv50粒子径が350-900nmであるスチレンアクリルエマルジョンを製造するステップと、を含み、
前記乳化剤の総質量は調製モノマーの総質量の0.7%-5%であり、好ましくは1%-4.5%であり、前記調製モノマーはアクリル酸エステル系モノマーとスチレン系モノマーを含むことを特徴とするスチレンアクリルエマルジョンの製造方法。
【請求項4】
前記調製モノマーの総質量に基づいて、質量百分率で、前記スチレンアクリルエマルジョンは、スチレン系モノマー30%-80%、アクリレート系モノマー20%-70%及び機能性モノマー0%-10%を含み、
好ましくは、前記機能性モノマーは、前記プレエマルジョン及び/又は前記シードエマルジョンを調製するステップにおいて添加され、
好ましくは、前記機能性モノマーは、アクリル系モノマー、リン酸エステル系モノマー及びフッ素含有アクリレート系モノマーのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
負極シートであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも1つの表面に位置する負極活物質層と、を含み、
前記負極活物質層の成分は、ハードカーボン材料と、請求項1又は2に記載のスチレンアクリルエマルジョンに由来する接着剤とを含むことを特徴とする負極シート。
【請求項6】
前記負極活物質層の成分は、導電剤及び分散剤をさらに含み、前記負極活物質層において、質量百分率で、前記ハードカーボン材料は85%-97%であり、前記スチレンアクリル酸エステル共重合体は1%-8%であり、前記導電剤は0.3%-5%であり、前記分散剤は0.5%-4%であることを特徴とする請求項5に記載の負極シート。
【請求項7】
前記負極活物質層の塗布重量は2-13mg/cm
2であり、好ましくは5-12mg/cm
2であることを特徴とする請求項5又は6に記載の負極シート。
【請求項8】
前記ハードカーボン材料は、異形粒子、球状粒子及び略球状粒子のうちの少なくとも1種であり、好ましくは、前記ハードカーボン材料は、異形粒子であることを特徴とする請求項5-7のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項9】
前記ハードカーボン材料のDv50粒子径は1-10μmであり、好ましくは4-9μmであることを特徴とする請求項5-8のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項10】
前記ハードカーボン材料は、異形粒子であり、前記負極活物質層と前記負極集電体との間の接着力が10-40N/mであり、前記負極活物質層の凝集力が150-800N/mであることを特徴とする請求項5-9のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項11】
前記ハードカーボン材料は、球形粒子及び略球形粒子のうちの少なくとも1種であり、前記負極活物質層と前記負極集電体との間の接着力は、10-30N/mであり、前記負極活物質層の凝集力は、150-600N/mであることを特徴とする請求項5-9のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項12】
請求項5から11のいずれか1項に記載の負極シートを備えることを特徴とする二次電池。
【請求項13】
請求項12に記載の二次電池を備えることを特徴とする電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、二次電池の技術分野に属し、具体的にはスチレンアクリルエマルジョン及びその製造方法、負極シート、二次電池並びに電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、軽量、無汚染、無記憶効果などの優れた特徴を有するため、各種の消費系電子製品及び電動車両に広く用いられている。
【0003】
現在、リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池等の二次電池において、その負極活物質としてハードカーボン材料を用いることができる。ハードカーボン材料は、低いエネルギー貯蔵電圧、高い容量及び良好なサイクル安定性の利点を有し、さらに、ソースが豊富で、製造プロセスが簡単であるなどの利点を有し、現在最も応用可能な負極材料の一つであり、リチウムイオン電池及びナトリウムイオン電池のいずれにも大きな応用市場がある。
【発明の概要】
【0004】
背景技術に存在する技術的課題に鑑み、本願は、良好な接着力、凝集力及び柔軟性を兼ね備えることができるハードカーボン材料を含む負極シートを提供し、それを含む二次電池に良好なサイクル安定性を持たせることを目的とする。
【0005】
上記目的を実現するために、本願の第1の態様は、スチレンアクリルエマルジョンを提供し、前記スチレン-アクリルエマルジョンにおけるラテックス粒子のDv50粒子径は350-900nmであり、好ましくは350-800nmである。
【0006】
本願の任意の実施形態において、前記ラテックス粒子はスチレンアクリル酸エステル共重合体であり、前記スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は10-70℃であり、好ましくは10-60℃である。
【0007】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様で提供されるスチレンアクリルエマルジョンの製造方法を提供する。当該製造方法は、
一部の乳化剤、一部のアクリル酸エステル系モノマー、一部のスチレン系モノマーを水と混合してプレエマルジョンを調製するステップと、
別の一部の乳化剤、別の一部のアクリル酸エステル系モノマー、別の一部のスチレン系モノマーを水と混合し、さらに開始剤を加えて重合を開始し、シードエマルジョンを調製するステップと、
前記プレエマルジョンを滴下方式で前記シードエマルジョンに加え、開始剤を加えて重合反応を行い、ラテックス粒子のDv50粒子径が350-900nmであるスチレンアクリルエマルジョンを製造するステップと、を含み、
前記乳化剤の総質量は調製モノマーの総質量の0.7%-5%であり、好ましくは1%-4.5%であり、前記調製モノマーはアクリル酸エステル系モノマーとスチレン系モノマーを含む。
【0008】
本願の任意の実施形態において、前記調製モノマーの総質量に基づいて、質量百分率で、前記スチレンアクリルエマルジョンは、スチレン系モノマー30%-80%、アクリレート系モノマー20%-70%及び機能性モノマー0%-10%を含む。
【0009】
好ましくは、前記機能性モノマーは、前記プレエマルジョン及び/又は前記シードエマルジョンを調製するステップにおいて添加される。
【0010】
好ましくは、前記機能性モノマーは、アクリル系モノマー、リン酸エステル系モノマー及びフッ素含有アクリレート系モノマーのうちの少なくとも1種である。
【0011】
本願の第3態様は、負極シートを提供し、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも1つの表面に位置する負極活物質層と、を含み、前記負極活物質層の成分は、ハードカーボン材料及び本願の第1の態様に係るスチレンアクリルエマルジョンに由来する接着剤を含む。
【0012】
本願の任意の実施形態において、前記負極活物質層の成分は、導電剤及び分散剤をさらに含み、前記負極活物質層において、質量百分率で、前記ハードカーボン材料は85%-97%であり、前記スチレンアクリル酸エステル共重合体は1%-8%であり、前記導電剤は0.3%-5%であり、前記分散剤は0.5%-4%である。
【0013】
本願の任意の実施形態において、前記負極活物質層の塗布重量は2-13mg/cm2であり、好ましくは5-12mg/cm2である。
【0014】
本願の任意の実施形態において、前記ハードカーボン材料は、異形粒子、球状粒子及び略球状粒子のうちの少なくとも1種であり、好ましくは、前記ハードカーボン材料は、異形粒子である。
【0015】
本願の任意の実施形態において、前記ハードカーボン材料のDv50の粒子径は1-10μmであり、好ましくは4-9μmである。
【0016】
本願の任意の実施形態において、前記ハードカーボン材料は異形粒子であり、前記負極活物質層と前記負極集電体との間の接着力は10-40N/mであり、前記負極活物質層の凝集力は150-800N/mである。
【0017】
本願の任意の実施形態において、前記ハードカーボン材料は、球状粒子及び略球状粒子のうちの少なくとも1種であり、前記負極活物質層と前記負極集電体との間の接着力は、10-30N/mであり、前記負極活物質層の凝集力は、150-600N/mである。
【0018】
本願の第4の態様は、本願の第3の態様で提供される負極シートを含む二次電池を提供する。
【0019】
本願の第5の態様は、本願の第4の態様で提供される二次電池を含む電力消費装置を提供する。
【0020】
従来技術に対して、本願は少なくとも以下の有益な効果を含む。
【0021】
本願は、Dv50の粒子径が350-900nmであるスチレン-アクリルエマルジョンを提供し、創造的にそれを接着剤としてハードカーボン材料を負極活物質として製造された負極シートの接着力、凝集力及び柔軟性の問題を改善する。本願の上記負極シートの負極活物質層は、ハードカーボン材料を負極活物質として採用し、且つラテックス粒子の粒子径Dv50が特定の範囲にあるスチレンアクリル酸エステル共重合体を負極活物質層の接着剤として採用し、接着剤としてのスチレン-アクリルエマルジョンにおけるラテックス粒子は、粒子径が大きく、且つ分散して凝集していないため、ハードカーボン材料と負極集電体、及びハードカーボン材料内部の有効な接着性を効果的に向上させ、ハードカーボン材料と負極集電体との間の接着力及びハードカーボン材料とハードカーボン材料との間の凝集力を向上させることができる。このように、上記負極シートは、負極活物質層と負極集電体との間の接着力、負極活物質層の凝集力を向上させるだけでなく、優れた柔軟性を有し、負極活物質層の塗布重量が高い場合であっても、依然として負極シートの高い接着力及び柔軟性を維持することができる。本願の上記負極シートは、二次電池に適用され、電池のエネルギー性能に影響を与えないとともに、負極シートの性能の安定性を確保し、二次電池に良好なサイクル安定性を持たせる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本願の技術案をより明確に説明するために、本願で使用される図面を以下で簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は、本願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力をかけずに、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】は本願のある実施形態に係る負極シートの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図4】は電池モジュールのある実施形態の模式図である。
【
図5】は電池パックのある実施形態の模式図である。
【
図7】は二次電池を電源として用いた電力消費装置のある実施形態の模式図である。
【0023】
符号の説明:
1:電池パック、2:上部筐体、3:下部筐体、4:電池モジュール、5:二次電池、51:ケース、52:電極アセンブリ、53:蓋板、6:電力消費装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、具体的な実施形態を参照しながら、本願をさらに説明する。これらの具体的な実施形態は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではないことを理解されるべきである。
【0025】
簡潔にするために、本明細書は、いくつかの数値範囲のみを具体的に開示する。しかしながら、任意の下限は任意の上限と組み合わせて明示的に記載されていない範囲を形成することができ、また任意の下限は他の下限と組み合わせて明示的に記載されていない範囲を形成することができ、同様に任意の上限は他の上限と組み合わせて明示的に記載されていない範囲を形成することができる。また、それぞれ単独で開示された点または単一の数値自体を下限または上限として任意の他の点または単一の数値と組み合わせたり、他の下限または上限と組み合わせたりして、明確に記載されていない範囲を形成してもよい。
【0026】
本明細書の説明において、特に説明しない限り、「以上」、「以下」は本数を含み、「1種又は複数種」における「複数種」の意味は2種以上である。
【0027】
本明細書の説明において、特に説明しない限り、用語「又は(or)」は包括的である。すなわち、語句「A又は(or)B」とは、「A、B、又はA及びBの両方」を意味する。より具体的には、Aが真(または存在)であり、かつ、Bが偽(または存在せず)であるか、Aが偽(または存在せず)であり、かつ、Bが真(または存在)であるか、または、AおよびBの両方が真(または存在)であることは何れも条件「AまたはB」を満たす。特に説明しない限り、本願で使用される用語は、当業者が通常理解する公知の意味を有する。特に説明しない限り、本願で言及される各パラメータの数値は、本分野でよく使用される様々な測定方法で測定することができる(例えば、本願の実施例で提供される方法で測定することができる)。
【0028】
ハードカーボン材料は、二次電池の負極活物質であり、ハードカーボンが結晶分散し、格子間隔が大きく、シート層同士が化学結合を主とし、ハードカーボン粒子同士がメカニカルリベット接続を主とし、且つ比表面積が大きいことを特徴とする。しかし、ハードカーボン粒子のこれらの特徴により、ハードカーボン負極シートの接着力が非常に低くなり、特に負極活物質層の塗布重量が大きい場合、より顕著に現れ、これにより、負極シートの塗布過程において脱炭しやすくなり、正常生産を継続できないという問題が生じる。
【0029】
現在、いくつかの技術は、ハードカーボン材料を含む負極シートの接着力を向上させることを試みている。例えば、接着力の強いポリアクリルアミド共重合体などの水溶性接着剤を使用するが、このような方法によれば、負極シートの剛性と脆性が高く、冷間プレスで破断し、巻き割れの問題をもたらし、また、このような方法は、接着力の向上にも限界がある。また、接着剤の使用量を大幅に向上させることにより負極シートの接着力を向上させる技術があるが、接着剤の使用量の向上は電池のエネルギー密度を損失する。また、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water-based acrylic resin)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)などのいくつかの従来の接着剤も上記問題を解決することができないため、ハードカーボン材料を含む負極シートを如何に良好な接着力、凝集力及び柔軟性を両立させるかは早急に解決すべき問題である。
【0030】
[スチレンアクリルエマルジョン]
本願は、負極活物質層の接着剤とするスチレンアクリルエマルジョンを提供し、ハードカーボン材料を負極活物質とする負極材料に、良好な接着力、凝集力及び柔軟性を両立させるという問題を解決することができる。
【0031】
本願は、スチレンアクリルエマルジョンを提供し、該スチレンアクリルエマルジョンにおけるラテックス粒子のDv50粒子径は350-900nmである。その中で、ラテックス粒子はスチレンアクリル酸エステル共重合体である。
【0032】
一般的に、現在、スチレンアクリルエマルジョンの高い安定性、長期に保存できる目的を保証するため、ほとんどのスチレンアクリルエマルジョンにおけるラテックス粒子のDv50粒子径は300nm以下であり、且つ従来の負極シートの接着力を改善する考え方は、エマルジョン系接着剤の粒子径をできるだけ低減し、比表面積を向上させて電極シートの接着力を向上させることである。
【0033】
本願が提供するスチレンアクリルエマルジョンにおけるスチレンアクリル酸エステル共重合体は球状であり、より大きい粒子径寸法になり、例えば本願のDv50の粒子径は350-900nmであり、安定に存在する。また、ラテックス粒子の粒子径が特定のDv50の粒子径範囲であるラテックス粒子を採用すると、スチレンアクリル酸エステル共重合体を負極活物質層とする接着剤について、接着剤としてのスチレンアクリルエマルジョンにおけるラテックス粒子は、粒子径が大きく、且つよく分散することで凝集していないため、ハードカーボン材料と負極集電体、及びハードカーボン材料内部の有効な接着性を効果的に向上させ、ハードカーボン材料と負極集電体との間の接着力及びハードカーボン材料とハードカーボン材料との間の凝集力を向上させることができる。このように、上記負極シートは、負極活物質層と負極集電体との間の接着力、負極活物質層の凝集力を向上させるだけでなく、優れた柔軟性を有し、負極活物質層の塗布重量が高い場合であっても、依然として負極シートの高い接着力及び柔軟性を維持することができる。本願の上記負極シートは、二次電池に適用され、電池のエネルギー性能に影響を与えないとともに、負極シートの性能の安定性を確保し、二次電池に良好なサイクル安定性を持たせる。
【0034】
本願は、以下のステップS11-S13を含むスチレンアクリルエマルジョンの製造方法をさらに提供する。
【0035】
ステップS11:予備乳化プロセス。一部の乳化剤、一部のアクリル酸エステル系モノマー、一部のスチレン系モノマーを水と混合し、必要に応じて機能性モノマーを加え、均一で安定で、層分離しないプレエマルジョンを製造する。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステップS11における混合温度は30℃-80℃であり、混合時間は0.5h-2hである。
【0037】
ステップS12:シードエマルジョンを調製する。別の部分の乳化剤、別の部分のアクリレート系モノマー、別の部分のスチレン系モノマーを水と混合し、必要に応じて機能性モノマーを加え、さらに一部の開始剤を加えて重合を開始してシードエマルジョンを得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ステップS12において、混合温度が50℃-90℃であり、混合時間が0.1h-1hであり、1/4の開始剤を添加して重合を開始してシードエマルジョンを得る。
【0039】
ステップS13:連続滴下段階。ステップS11で製造されたプレエマルジョンを滴下方式でステップS12で製造されたシードエマルジョンに加え、他の一部の開始剤を加えて重合反応を行い、Dv50粒子径が350-900nmのスチレンアクリルエマルジョンを製造する。
【0040】
上記スチレンアクリルエマルジョンの調製モノマーは、アクリレート系モノマー及びスチレン系モノマーを含み、必要に応じて機能性モノマーを含んでもよい。上述したように、機能性モノマーは、プレエマルジョン及び/又はシードエマルジョンを調製するステップにおいて加えられる。換言すれば、機能性モノマーは、プレエマルジョンまたはシードエマルジョンを調製するステップにおいて加えられてもよく、または両方のステップにおいてそれぞれ加えられてもよい。
【0041】
ここで、乳化剤の総質量は、調製モノマーの総質量の0.7%-5%である。乳化剤の使用量を主に調節することにより、スチレンアクリルエマルジョンにおけるラテックス粒子のDv50粒子径を調節することができる。さらに、乳化剤の質量は、調製モノマーの総質量の1%-4.5%である。
【0042】
いくつかの実施形態では、プレエマルジョンが1-5h内で滴下されるように制御する。
【0043】
いくつかの実施形態では、ステップS13において開始剤を加えた後、反応系の温度を50℃-90℃に制御し、保温時間を1-4hに制御して、反応しきれない遊離モノマーをさらに重合させる。
【0044】
さらに、ステップS11における各原料の開始剤以外の使用量は、対応する原料の総質量の3/4-2/3である。それに応じて、ステップS12における各原料の開始剤以外の使用量は、対応する原料の総質量の1/4-1/3である。
【0045】
ステップS12において、開始剤の使用量は、開始剤の総質量の1/4-1/3である。ステップS13において、開始剤の使用量は、開始剤の総質量の3/4-2/3である。
【0046】
さらに、ステップS13において、他の一部の開始剤を加えて重合反応を行った後、冷却し、pH調整剤を用いて体系のpH値を6-9に調整し、濾過して、スチレンアクリルエマルジョンを得るステップをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、スチレンアクリルエマルジョンの調製モノマーは、質量百分率で、スチレン系モノマー30%-80%、アクリレート系モノマー20%-70%及び機能性モノマー0%-10%を含む。機能性モノマーは、アクリル系モノマー、リン酸エステル系モノマーおよびフッ素含有アクリレート系モノマーのうちの少なくとも1種である。機能性モノマーは、スチレンアクリルエマルジョンの安定性を向上させ、スチレンアクリルエマルジョンを接着剤として形成された接着フィルムの力学的性能を向上させる役割を果たす。
【0048】
さらに、スチレンアクリルエマルジョンの調製モノマーは、質量百分率で、スチレン系モノマー30%-80%、アクリレート系モノマー19%-70%及び機能性モノマー1%-10%を含む。
【0049】
スチレン系モノマーは、スチレン及びその誘導体を含む。さらに、スチレンの誘導体には、アルキル置換スチレンが含まれる。いくつかの実施形態では、スチレン系モノマーは、スチレン及びメチルスチレンから選択されてもよく、スチレンが選択されてもよい。
【0050】
アクリル酸エステル系モノマーとは、アクリル酸のエステル類及びアクリル酸の同系物のエステル類の総称である。いくつかの実施形態では、アクリル酸エステル系モノマーは、アクリル酸C1-C16アルキルエステル及びメタクリル酸C1-C16アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種であってもよい。アクリル酸エステル系モノマーは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロニトリルのうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。
【0051】
さらに、アクリレート系モノマーは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル及びアクリル酸n-ブチルのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、機能性モノマーは、アクリルモノマー、リン酸エステルモノマー、およびフッ素含有アクリレートモノマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
アクリルモノマーは、アクリル酸及びその同族体のうちの少なくとも1種を含み、メタクリル酸及びアクリル酸のうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。
【0054】
リン酸エステル系モノマーは、リン酸のエステル誘導体である。リン酸エステル系モノマーは、多官能性酸性アクリル酸エステルリン酸エステル、アルキルアクリル酸エステルリン酸エステル、エチレングリコールメタクリレートリン酸エステル、2-ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート、シロキサンリン酸エステル、2-ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート、ビニルアルコキシリン酸エステル(PAM100)、メタクリレートアルコキシリン酸エステル(PAM200)、単官能性アクリル酸リン酸エステル(PAM300)、ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル(PAM4000)、アルキルリン酸エステル系特殊モノマー(PAM5000)、COPS-3、アルキル(アリール)リン酸エステル、脂肪族アルコール(アルキルフェノール)ポリオキシエチレンエーテルリン酸エステル、アルキルアルコールアミドリン酸エステル、イミダゾリン系リン酸エステル、ヒドロキシエチルリン酸エステル、高分子ポリリン酸エステル及びシロキサンリン酸エステルのうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。
【0055】
フッ素含有アクリレート系モノマーは、フッ素を含有するアクリレート系モノマーである。フッ素含有アクリレート類は、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートを含むが、これに限定されない。パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートは、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、パーフルオロポリエーテルメタクリレートのうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態では、機能性モノマーは、メタクリル酸、アクリル酸、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、パーフルオロポリエーテルメタクリレート、多官能性酸性アクリレートホスフェート、アルキルアクリレートホスフェート、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート、アルキルホスフェート系特殊モノマー、シロキサンホスフェートなどのリン酸エステル、リン酸エステル、2-ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート、ビニルアルコキシホスフェート(PAM100)、メタクリレートアルコキシホスフェート(PAM200)、単官能性アクリルホスフェート(PAM300)、ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェート(PAM4000)、アルキルホスフェート系特殊モノマー(PAM5000)、COPS-3、アルキル(アリール)ホスフェート、脂肪族アルコール(アルキルフェノール)ポリオキシエチレンエーテルホスフェート、アルキルアルコールアミドホスフェート、イミダゾリン系ホスフェート、ヒドロキシエチルホスフェート、高分子ポリホスフェート及びシロキサンホスフェートから選択される少なくとも1種である。
【0057】
さらに、機能性モノマーは、アクリル酸、アクリレートホスフェート及びパーフルオロオクチルエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、乳化剤は、反応性乳化剤、アニオン性乳化剤およびノニオン性乳化剤から選択される1種である。
【0059】
さらに、反応性乳化剤は、アリルオキシノニルフェノールポリオキシエチレンエーテル硫酸アンモニウム(KL-100)、アリルオキシヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム(COPS-1)、2-プロペニルフタルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、SR-10、3-アリルオキシ-1-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、3-アリルオキシ-1-ヒドロキシ-プロパンリン酸塩、ビニルスルホン酸ナトリウム、脂肪族アルコールエーテルビニルスルホン酸ナトリウム塩、デカパーフルオロノナン酸アミン、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(2A1)、SR-10、1-アリルオキシ-3-(4-ノニルフェノール)-2-プロパノールポリオキシエチレン(10)エーテル硫酸アンモニウム、ER-10、ビニルスルホン酸ナトリウムのうちの1種又は複数種の混合物を含むが、これらに限定されない。さらに、反応性乳化剤は、アリルオキシノニルフェノールポリオキシエチレンエーテル硫酸アンモニウム(KL-100)及びアリルオキシヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム(COPS-1)から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0060】
さらに、アニオン性乳化剤は、ノニルフェノールポリエーテルスルホコハク酸モノエステルナトリウム塩(A-103)、ノニルフェノールポリオキシエチレンエーテル硫酸アンモニウム塩(CO-436)、ジアルキル硫酸ナトリウム(SLS)、ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、アリルポリオキシエチレンエーテル硫酸アンモニウム、ステアリン酸ナトリウムの1種又は複数種の混合物を含むが、これらに限定されない。さらに、アニオン性乳化剤は、ノニルフェノールポリエーテルスルホコハク酸モノエステルナトリウム塩(A-103)を選択することができる。
【0061】
さらに、ノニオン性乳化剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TW-20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TW-80)、ポリオキシエチレンエーテル、Span、Tween、アリルポリオキシエチレンエーテル、ビニルポリオキシエチレンエーテルのうちの1種又は複数種の混合物を含むが、これらに限定されない。好ましくは、ノニオン性乳化剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TW-20)及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TW-80)から選ばれる少なくとも1種である。
【0062】
いくつかの実施形態では、開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種である。
【0063】
いくつかの実施形態では、pH調整剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、N,N-ジメチルエタノールアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であり、水酸化ナトリウムを選択することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、調製されたスチレンアクリルエマルジョンの固形分は35%-50%であり、25℃での粘度は10-60mPa・sであり、pHは6-9である。
【0065】
[二次電池]
二次電池とは、電池の放電後、充電により活物質を活性化させて継続的に使用可能な電池を指す。
【0066】
通常、二次電池は、正極シート、負極シート、セパレータ及び電解質を含む。電池の充放電過程において、活性イオンは、正極シートと負極シートとの間に往復して挿入及び脱離する。セパレータは、正極シートと負極シートとの間に設けられ、隔離の役割を果たす。電解質は、正極シートと負極シートとの間でイオンを伝導する役割を果たす。
【0067】
[負極シート]
二次電池において、前記負極シートは、通常、負極集電体と、負極集電体の少なくとも1つの表面に設けられた負極活物質層とを含み、負極活物質層は、ハードカーボン材料と、本願の上記したスチレンアクリルエマルジョンに由来する接着剤とを含む。すなわち、上記スチレンアクリルエマルジョン中のラテックス粒子(スチレンアクリル酸エステル共重合体)を接着剤とし、ラテックス粒子のDv50粒子径は350-900nmである。
【0068】
任意の理論に限定されないが、本願の上記負極シートの負極活物質層は、ハードカーボン材料を負極活物質として採用し、且つラテックス粒子の粒子径が特定Dv50の範囲にあるスチレンアクリル酸エステル共重合体を負極活物質層の接着剤として採用し、接着剤としてのスチレンアクリル酸エステル共重合体は、粒子径が大きく、且つ分散が良好で凝集しないため、ハードカーボン材料と負極集電体、及びハードカーボン材料内部の有効な接着性を効果的に向上させ、ハードカーボン材料と負極集電体との間の接着力及びハードカーボン材料とハードカーボン材料との間の凝集力を向上させることができる。このように、上記負極シートは、負極活物質層と負極集電体との間の接着力、負極活物質層の凝集力を向上させるだけでなく、優れた柔軟性を有し、負極活物質層の塗布重量が高い場合であっても、依然として負極シートの高い接着力及び柔軟性を維持することができる。本願の上記負極シートは、二次電池に適用され、電池のエネルギー性能に影響を与えないとともに、負極シートの性能の安定性を確保し、二次電池に良好なサイクル安定性を持たせる。
【0069】
前記負極集電体は、従来の金属箔又は複合集電体を採用することができる(例えば、金属材料を高分子基材に設けて複合集電体を形成することができる)。一例として、負極集電体は銅箔を用いることができる。
【0070】
負極活物質層は、ハードカーボン材料と本願のスチレンアクリルエマルジョンとを含む負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレス、切断などのプロセスを経て得られる。その中で、ハードカーボン材料を負極活物質とし、スチレンアクリルエマルジョンを接着剤とする。
【0071】
上記負極スラリーは、必要に応じて、導電剤及び他の任意の助剤を含んでもよい。上記負極スラリーは、負極集電体に負極活物質層を形成するために用いられる。上記負極スラリーは溶媒をさらに含むことが理解される。
【0072】
また、上記負極シートの製造プロセスが簡単であり、コストが低い。
【0073】
好ましくは、負極シートにおけるスチレンアクリル酸エステル共重合体のDv50粒子径は350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nmであってもよい。さらに、負極シートにおけるスチレンアクリル酸エステル共重合体のDv50粒子径は350-800nmである。当該更なる選定範囲内において、製造された負極シートは、より優れた柔軟性、接着力、凝集力を有し、製造された二次電池は、より小さいDCR及びより優れたサイクル性能を有し、より小さいDCRは、より優れた大電流放電能力を有することを示すため、二次電池が良好なサイクル安定性及び大電流放電能力を兼ね備えることができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、負極活物質層の成分は、導電剤及び分散剤をさらに含む。
【0075】
さらに、負極活物質層において、質量百分率で、ハードカーボン材料は85%-97%であり、スチレンアクリル酸エステル共重合体は1%-8%であり、導電剤は0.3%-5%であり、分散剤は0.5%-4%である。このようにハードカーボン材料とスチレンアクリル酸エステル共重合体との組み合わせを採用することにより、接着剤であるスチレンアクリル酸エステル共重合体の使用量を増加させることなく、負極活物質層と負極集電体との間の接着力及び負極活物質層の凝集力を向上させることができる。
【0076】
さらに、負極活物質層において、質量百分率で、スチレンアクリル酸エステル共重合体は2%-5%である。
【0077】
いくつかの実施形態では、負極活物質層の塗布重量は、2-13mg/cm2であり、例えば2mg/cm2、5mg/cm2、7mg/cm2、8mg/cm2、10mg/cm2、11mg/cm2、12mg/cm2、13mg/cm2である。このようにハードカーボン材料とスチレンアクリル酸エステル共重合体の組み合わせを採用することは、負極活物質層の塗布重量が大きい場合にも適用でき、その接着力と凝集力の要求を満たす。好ましくは、負極活物質層の塗布量は、5-12mg/cm2である。
【0078】
一例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0079】
一例として、分散剤はカルボキシメチルセルロースナトリウムCMC-Naであってもよい。さらに、負極活物質層は、例えばPTCサーミスタ材料などの他の任意の助剤を含んでもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、使用されたスチレンアクリルエマルジョン中のラテックス粒子(スチレンアクリル酸エステル共重合体)のガラス転移温度Tgは10-70℃である。スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は、スチレンアクリル酸エステルのモノマー比率に関係する。従って、スチレンアクリルエマルジョンを調製する際のモノマー比率を調整することにより、スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度を10-70℃にすることができる。
【0081】
本願の技術者は、スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が製造された負極シートの柔軟性に関連することを発見した。スチレンアクリル酸エステル共重合体のTgが低すぎると、電解液の膨潤が大きい場合にスチレンアクリル酸エステル共重合体が溶解するおそれがあり、二次電池における負極活物質層の安定性が悪くなる。スチレンアクリル酸エステル共重合体のTgが大きいと、負極シートが硬くて脆くなりやすく、電池の加工性能にも影響し、例えば、冷間プレス切断、巻回破断、ダイカットによる粉落ちなどの問題がある。従って、ガラス転移温度Tgが10-70℃であるスチレンアクリル酸エステル共重合体を接着剤として用いることが好ましく、製造された負極シートは、良好な安定性を有するだけでなく、良好な柔軟性も有し、加工製造を完全に満たすことができる。
【0082】
好ましくは、使用されるスチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度Tgは、10℃、12℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、25℃、28℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃であってもよい。また、使用されるスチレンアクリルエマルジョン中のラテックス粒子(スチレンアクリル酸エステル共重合体)のガラス転移温度Tgは10-60℃である。当該更なる選定範囲内において、製造された負極シートは、より優れた柔軟性を有し、製造された二次電池は、より小さいDCR及びより優れたサイクル性能を有し、より小さいDCRは、より優れた大電流放電能力を有することを示すため、二次電池が良好なサイクル安定性及び大電流放電能力を兼ね備えることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、ハードカーボン材料は、異形粒子、球状粒子及び略球状粒子のうちの少なくとも1種である。なお、ハードカーボン材料は、異形粒子、例えば角を有する粒子である場合、従来の接着剤を採用することにより存在する硬さ及び脆さの問題がより顕著で深刻になる。本願で提供されるスチレンアクリルエマルジョンは、このような形態のハードカーボン材料による負極シートの接着力及び凝集力の問題を改善するために特に適しており、このスチレンアクリルエマルジョンを接着剤として使用することによる接着力及び凝集力への改善もより顕著である。
【0084】
さらに、本願の技術者が大量に研究したところ、本願の上記負極シートにおいて、上記Dv50の粒子径が350-900nmであるスチレンアクリルエマルジョンを接着剤として採用し、ハードカーボン材料が異形粒子である場合、製造された負極シートにおいて、負極活物質層と負極集電体との間の接着力が10-40N/mであり、負極活物質層の凝集力が150-800N/mであることを発見した。
【0085】
さらに、本願の技術者が大量に研究したところ、本願の上記負極シートにおいて、上記Dv50の粒子径が350-900nmであるスチレンプロピレンエマルジョンを接着剤として採用し、ハードカーボン材料が球形粒子及び類球形粒子のうちの少なくとも1種であり、製造された負極シートにおいて、負極活物質層と負極集電体との間の接着力が10-30N/mであり、負極活物質層の凝集力が150-600N/mであることを発見した。
【0086】
さらに、ハードカーボン材料のDv50の粒子径は1-10μmであり、好ましくは4-9μmである。
【0087】
図1に示すように、
図1に示す具体例において、一つの具体例の負極シート(具体的には、後述する実施例2で製造された負極シート)における負極活物質層の走査型電子顕微鏡(SEM)を示し、その中から分かるように、ハードカーボン材料は、不規則な形態で角を有する粒子であり、そのDv50の粒子径が5μmであり、接着剤としてのスチレンアクリル酸エステル共重合体が冷間プレス後にハードカーボン粒子の表面に入り、スチレンアクリル酸エステル共重合体のDv50の粒子径が450nmである。図から分かるように、スチレンアクリル酸エステル共重合体の分散性は非常に良い。
【0088】
上記材料は、特に説明しない限り、市販品として入手することができる。
【0089】
正極シート
二次電池において、前記正極シートは、通常、正極集電体及び正極集電体に設けられた正極膜層を含み、前記正極膜層は、正極活物質を含む。
【0090】
前記正極集電体は、従来の金属箔又は複合集電体(金属材料を高分子基材に設けて複合集電体を形成してもよい)を用いることができる。一例として、正極集電体はアルミニウム箔を用いることができる。
【0091】
前記正極活物質の具体的な種類は限定されず、本分野で公知の二次電池正極に使用可能な活物質を採用することができ、当業者は実際のニーズに応じて選択することができる。
【0092】
一例として、前記正極活物質は、リチウムイオン活物質を含んでもよく、リチウムイオン活物質が、リチウム遷移金属酸化物、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩及びそれぞれの変性化合物のうちの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。リチウム遷移金属酸化物の例として、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物及びその変性化合物のうちの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例として、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料及びその変性化合物のうちの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。これらはいずれも商業的に入手可能である。
【0093】
正極活物質は、ナトリウムイオン活物質をさらに含んでもよく、ナトリウムイオン活物質は、当該分野で公知のナトリウムイオン電池用の正極活物質を採用することができる。一例として、ナトリウムイオン活物質は、プルシアンブルー(PBA)型((NaxMA[MB(CN)6]・zH2O(MA及びMBは遷移金属イオン))であって、ナトリウム、遷移金属及びシアノ基からなる化合物であって、例えば、Na4Fe2(CN)6、Na4Fe(CN)6、Na1.72MnFe2(CN)6、NaMnMn(CN)6、NaNiFe(CN)6などであり、酸化物型(NaxMO2(0<x≦1、Mは遷移金属元素))であって、遷移金属酸化物からなり、かかる変価遷移金属は、主として、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)であり、これらの中でも、資源が豊富なマンガン及び鉄の使用が最も一般的であり、例えば、NaCrO2、NaMnO2、NaMnO2、Na0.61Ti0.48Mn0.52O2、Na[Fe0.5Co0.5]O2、NaMnO2、Na[Ni0.25Fe0.5Mn0.25]O2などであり、並びにポリアニオン化合物型(NaxMy〔(XOm)n-〕z (Mは、可変価数を有する金属イオンであり、XはP、S及びV等の元素))であって、ナトリウム、遷移金属及びアニオンからなり、ここで、遷移金属は、主に鉄、バナジウム、コバルト等であり、アニオンは、主に、リン酸基、ピロリン酸基、フルオロリン酸基及び硫酸根であり、例えば、NaMnFe2(PO4)6、Na2MnP2O7、Na3V2(PO4)3、Na2Fe2(SO4)3、NaFePO4、Na3V2(PO4)2F3、Na4Co3(PO4)2(P2O7)である。
【0094】
いくつかの実施形態では、上記各材料の変性化合物は、材料に対してドーピング変性及び/又は表面被覆変性を行うことができる。
【0095】
前記正極膜層は、通常、接着剤、導電剤及び他の選択可能な助剤を含んでもよい。
【0096】
一例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、Super P(SP)、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの1種又は複数種であってもよい。
【0097】
一例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water-based acrylic resin)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの1種又は複数種であってもよい。
【0098】
セパレータ
いくつかの実施形態では、二次電池は、セパレータをさらに含む。本願では、セパレータの種類は特に限定されず、良好な化学的安定性および機械的安定性を有する任意の公知の多孔質構造セパレータを選択することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種であってもよい。セパレータは、単層フィルムであってもよいし、多層複合フィルムであってもよく、特に限定されない。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同一でも異なっていてもよく、特に限定されない。
【0100】
電解液
二次電池は、正極と負極との間でイオンを伝導する電解液を含んでいてもよい。電解液は、電解質塩および溶媒を含んでいてもよい。
【0101】
一例として、電解質塩は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiDFOB)、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)、リチウムジフルオロオキサレートホスフェート(LiDFOP)およびリチウムテトラフルオロオキサレートホスフェート(LiTFOP)から選択される1種または複数種であってもよい。
【0102】
一例として、前記溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)から選択される1種又は複数種であってもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、電解液は、添加剤をさらに含む。例えば、添加剤は、負極成膜添加剤を含んでもよく、正極成膜添加剤を含んでもよく、電池のある性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤などを含んでもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、本願の二次電池はリチウムイオン二次電池である。
【0105】
本分野の通常の方法に従って二次電池を製造することができ、例えば、正極シート、セパレータ、負極シートを順に巻回(又は積層)し、セパレータが正極シートと負極シートとの間に位置して隔離の役割を果たし、セルを得て、セルを外装に置き、電解液を注入して封口し、二次電池を得る。
【0106】
本願の実施例は、二次電池の形状を特に限定せず、円柱形、方形又は他の任意の形状であってもよい。
図2は、一例としての角型構造の二次電池5である。
【0107】
いくつかの実施例において、二次電池は外装を含むことができる。該外装は、正極シート、負極シート及び電解液を封止するために用いられる。
【0108】
いくつかの実施例では、
図3を参照して、外装は、ケース51と蓋板53とを含んでもよい。ケース51は、底板と、底板に接続された側板とを含んでもよく、底板と側板とが囲んで収容キャビティを形成する。ケース51は、収容キャビティに連通する開口を有し、蓋板53は、前記開口に覆設され、前記収容キャビティを密閉することができる。
【0109】
正極シート、負極シート及びセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、前記収容キャビティにパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に含浸されている。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、1つ又は複数であってもよく、必要に応じて調整することができる。
【0110】
いくつかの実施例において、二次電池の外装は、硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、スチールケースなどの硬質ケースであってもよい。二次電池の外装はソフトパック、例えば袋式ソフトパックであってもよい。ソフトバッグの材質はプラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)などのうちの1種又は複数種を含んでもよい。
【0111】
いくつかの実施例において、二次電池は電池モジュールに組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は複数であってもよく、具体的な数は電池モジュールの応用及び容量に応じて調整することができる。
【0112】
図4は、一例としての電池モジュール4である。電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並んで設けられてよい。もちろん、他の任意の方式で配置してもよい。さらに、この複数の二次電池5を締結具により固定してもよい。
【0113】
好ましくは、電池モジュール4は、複数の二次電池5が収容される収容空間を有するケーシングをさらに備えてもよい。
【0114】
いくつかの実施例において、上記電池モジュールは、電池パックに組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの用途及び容量に応じて調整することができる。
【0115】
図5及び
図6は、一例としての電池パック1である。電池パック1には、電池ボックスと、電池ボックスに設けられた複数の電池モジュール4とが含まれていてもよい。電池ボックスは、上筐体2と下筐体3とを含み、上筐体2は、下筐体3に覆設され、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成することができる。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ボックスに配列されてもよい。
【0116】
電力消費装置
本願は、前記二次電池、電池モジュール、又は電池パックのうちの少なくとも1種を含む電力消費装置をさらに提供する。前記二次電池、電池モジュール又は電池パックは、前記装置の電源として用いられてもよく、前記装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記装置は、移動機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば、純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0117】
前記装置は、その使用ニーズに応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0118】
図7は、一例としての装置である。この電力消費装置6は、純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車等である。該装置の二次電池の高出力及び高エネルギー密度に対する要求を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0119】
他の例としての装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどであってもよい。この装置は、一般的に薄型化が求められており、二次電池を電源として用いることができる。
【0120】
以下、実施例を参照しながら本願の有益な効果をさらに説明する。
【0121】
実施例
本願が解決する技術的課題、技術案及び有益な効果をより明確にするために、以下、実施例及び図面を参照しながらさらに詳細に説明する。明らかに、説明された実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、実際には説明的なものに過ぎず、本願及びその応用を制限するものではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力なしに取得した他の全ての実施例は、本願の保護範囲に属する。
【0122】
本願の実施例に用いられる材料は、いずれも市販されている。
【0123】
一、スチレンアクリルエマルジョンの調製及び性能測定
1、スチレンアクリルエマルジョン1-9の調製
スチレンアクリルエマルジョン1-9の調製モノマーは、質量百分率で、スチレン系モノマー30-80%、アクリレート系モノマー20-70%及び機能性モノマー0-10%を含む。スチレンアクリルエマルジョンの製造原料は、上記調製モノマーに加えて、乳化剤、開始剤、pH調整剤及び水をさらに含む。
【0124】
開始剤は過硫酸アンモニウムであり、その質量は調製モノマーの総質量の0.5%である、
乳化剤はアリルオキシノニルフェノールポリオキシエチレンエーテル硫酸アンモニウムであり、その質量は調製モノマーの総質量の0.7%-5%であり、具体的な含有量は表1に示す。
【0125】
pH調整剤は水酸化ナトリウムであり、その質量は調製モノマーの総重量の0.2%である。
【0126】
水の質量は、調製モノマーの総重量の150%であった。
【0127】
調製手順は以下の通りである。
【0128】
予備乳化プロセス:3/4質量の水、乳化剤、アクリル酸エステル系モノマー、スチレン系モノマー、機能性モノマーを50℃で1h撹拌し、均一で安定で、層分離しないプレエマルジョンを製造し、一旦ストックする。
【0129】
シードエマルジョンの製造:1/4質量の水、乳化剤、アクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、機能性モノマーを温度50℃で1h撹拌し、1/4質量の開始剤を加えて重合を開始してシードエマルジョンを得た。
【0130】
連続滴下段階:プレエマルジョンをシードエマルジョンに滴下し、滴下時間を2hとし、残りの3/4質量の開始剤を加えた。滴下終了後、0.5h反応させ、85℃で3h保温し、反応しきれない遊離モノマーを除去した。
【0131】
最終処理段階:体系を40℃に冷却し、pH調整剤で8-9の間に調整し、濾過し、排出する。
【0132】
スチレンアクリルエマルジョン1-9の区別は、乳化剤の使用量が異なることであり、表1に示す。
【0133】
2、スチレンアクリルエマルジョンの性能試験
1)上記で製造されたスチレンアクリルエマルジョンをレーザー粒度分析器で測定して粒子径の大きさを得て、機器はマスターサイザー3000である。具体的なステップとしては、測定時にスチレンアクリルエマルジョンの試料パラメータを入力することは、屈折率が1.42であり、光吸収率が0.1であり、分散剤が水であり、分散剤の屈折率が1.33であることを含み、測定対象試料を別途処理する必要がなく、遮光度が5%-20%になるまで均一に撹拌して試料セルに直接添加し、測定を開始し、測定が完了して結果を記録すればよい。スチレンアクリルエマルジョン中のラテックス粒子(スチレンアクリル酸エステル共重合体)の粒子径Dv50を測定した。
【0134】
2)上記で製造されたスチレンアクリルエマルジョンを80℃で12h乾燥させて接着フィルムを製造し、示差走査熱量分析を用いてその中のスチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度を測定し、機器は耐馳DSC200F3である。
【0135】
スチレンアクリルエマルジョン1-9の調製モノマー、調製パラメータ及び性能測定の結果を以下の表1に示す。
【0136】
【表1】
二、負極シートの製造及び性能測定
1、負極シートの製造
負極シート1-9
【0137】
質量百分率94%のハードカーボン材料1(負極活物質)、1.0%の導電性カーボンブラック(SP)、スチレンアクリルエマルジョン(接着剤、それぞれ上記調製プロセスで製造されたスチレンアクリルエマルジョン1-9であり、その中のスチレンアクリル酸エステル共重合体として計算すると、スチレンアクリル酸エステル共重合体の質量は4%である)、1.0%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを混合し、脱イオン水に溶解させ、負極スラリーを製造した。次に、負極スラリーを厚さ6μmの銅箔に塗布し、乾燥及び冷間プレスを行って負極活物質層を形成し、負極シート1-9に切断する。
【0138】
ここで、ハードカーボン材料1は異形の粒子であり、Dv50の粒子径は5μmである。
【0139】
負極シート10-11
負極シート10は、負極シート2と基本的に同じであり、相違点は、ハードカーボン材料1が等質量のハードカーボン材料2に置き換えられ、ハードカーボン材料2が球状粒子であり、Dv50の粒子径が6μmであることである。
【0140】
負極シート11は、負極シート2と基本的に同じであり、相違点は、ハードカーボン材料1が等質量のハードカーボン材料3に置き換えられ、ハードカーボン材料3が略球状粒子であり、Dv50の粒子径が5μmであることである。
【0141】
負極シート12-15
負極シート12は負極シート2と基本的に同じであり、相違点は、負極シート2におけるスチレンアクリルエマルジョン2の代わりにスチレンブタジエンエマルジョンを採用し、且つスチレンブタジエンエマルジョンにおけるエマルジョンボールの負極シートにおける質量含有量が4%であることである。なお、スチレンブタジエンゴムエマルジョン中のラテックス粒子のDv50粒子径は120nmであった。
【0142】
負極シート13は負極シート2と基本的に同じであり、相違点は、Dv50の粒子径が280nmであるスチレンアクリルエマルジョン10を負極シート1におけるスチレンアクリルエマルジョン1の代わりに用いることであり、その中のスチレンアクリル酸エステル共重合体の負極シートにおける質量含有量が4%である。
【0143】
負極シート14は、負極シート10と基本的に同じであり、相違点は、Dv50の粒子径が280nmであるスチレンアクリルエマルジョン10を負極シート10におけるスチレンアクリルエマルジョン2の代わりに用いることであり、その中のスチレンアクリル酸エステル共重合体の負極シートにおける質量含有量が4%である。
【0144】
負極シート15は、負極シート11と基本的に同じであり、相違点は、Dv50の粒子径が200nmであるスチレンアクリルエマルジョン11を負極シート11におけるスチレンアクリルエマルジョン2の代わりに用いることであり、その中のスチレンアクリル酸エステル共重合体の負極シートにおける質量含有量が4%である。
【0145】
負極シート16
負極シート16は負極シート2と基本的に同じであり、相違点は、その中のハードカーボン材料1が等質量の黒鉛に置き換えられ、そのDv50粒子径が13μmであることにある。
【0146】
2、負極シートの性能測定
1)負極シートの柔軟性の測定方法は、以下の通りである。
【0147】
上記で製造された負極シートの柔軟性をカールピンにより測定し、縦横40mm×長さ100mmのシートサンプルを製造し、特製のカールピンに巻回し、目視と顕微鏡の組み合わせにより、電極シートの割れ状況を観察し、柔軟性レベルを判断した。
【0148】
カールピンの直径がRである。
【0149】
R≦1.0mmであると、電極シートにクラックが発生しない場合、柔軟性が一等であり、生産ニーズを満たす。
【0150】
R=1.0mmにクラックがあり、R=2.0mmにクラックがない場合、柔軟性が二等であり、生産ニーズを満たす。
【0151】
R=2.0mmにクラックがあり、R=3.0mmにクラックがある場合、柔軟性が三等であり、生産ニーズを満たさない。
【0152】
R=3.0mmにクラックがなく、R=4.0mmにクラックがある場合、柔軟性が四等であり、生産ニーズを満たさない。
【0153】
ここで、カールピンの製造方法は以下の通りである。
【0154】
従来の直径がそれぞれ1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mmである304ステンレス棒を60mm切断し、150mm×300mmの鋼板に溶接して固定して前記カールピンを得た。
【0155】
使用したカールピンの直径が小さいほど電極シートが割れないことは、電極シートの柔軟性が良いことを示し、逆に、使用したカールピンの直径が大きいほど電極シートが割れることは、電極シートの柔軟性が悪いことを示す。
【0156】
2)負極シートの接着力測定方法
機械方向(TD)に垂直な方向に沿って上記製造した負極シートを量り、大きさが20mm(幅)×(100-160)mm(長さ)の試料を切り取り、専用両面テープを鋼板に貼り付け、テープの大きさが20mm(幅)×(90-150)mm(長さ)である。切り取った電極シート試料を両面テープに貼り付けた後、2Kgのハンドローラーで同一方向に3回ローリングした。引張機を用いて電極シートの接着力を測定し、ハードカーボン電極シートにおける膜層と集電体との間の接着力が大きいほど、ハードカーボン電極シートにおける活物質と集電体との間の作用力が強いことを示し、逆に、電極シートにおける活物質と集電体との間の作用力が悪いことを示す。
【0157】
3)凝集力測定方法
機械方向(TD)に垂直な方向に沿って上記製造した負極シートを量り、大きさが20mm(幅)×100mm(長さ)の試料を切り取り、専用両面テープを鋼板に貼り付け、両面テープの大きさが20mm(幅)×100mm(長さ)である。切り取った電極シート試料を両面テープに貼り付け、次にグリーングルーテープを電極シート試料に貼り付け、グリーングルーテープの大きさは20mm(幅)×120mm(長さ)であり、電極シートに接触しない部分のグリーングルーは20mm(幅)×60mm(長さ)紙片に貼り付けられ、紙片とグリーングルーは共線に形成され、グリーングルーと紙片との継手部分はしわ糊で接着され、電極シート部分のグリーングルーに接触し、測定前に、電極シートと両面テープは均一に圧密される必要がある。引張機を用いて電極シートの凝集力を測定し、ハードカーボン電極シートにおける膜層中の活性粒子と活性粒子との間の力が大きいほど、ハードカーボン電極シートにおける活物質間の作用力が強いことを示し、逆に、電極シートにおける活物質間の作用力が悪いことを示す。
【0158】
接着力及び凝集力の測定に用いられるテープは、いずれも市販の普通テープである。
【0159】
三、電池の作製
1.正極シート:活物質LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2と、導電性カーボンブラック(SP)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを質量比96.8:2.2:1で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)に溶解し、ペースト化して得られた正極スラリーを幅400mmのアルミ箔に塗布して乾燥させ、冷間プレスし、裁断して正極シートを得た。
【0160】
2.セパレータ:ポリエチレン(PE)多孔質重合セパレータをセパレータとして使用される。
【0161】
3.負極シート:上記で製造した負極シート1-16を用いた。
【0162】
4.電解液:エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比3:6:1で混合した後、十分に乾燥したリチウム塩(LiPF6)を1mol/Lの割合で混合有機溶媒に溶解した。所望の電解液を得た。
【0163】
5.全電池アセンブリ:上記正極シート、セパレータ、負極シートを順に積層し、セパレータを正負極の中間に位置させて隔離の役割を果たし、且つ巻回してベアセルを得る。ベアセルを外装アルミニウムケースに置き、上記調製した電解液を高温乾燥後の乾電池に注入し、真空封入、静置、化成、整形などの工程を経て、表2に示すように、リチウムイオン二次電池1-16を得た。
【0164】
電池性能評価
各電池1-16の性能評価は、以下の方法で行った。
【0165】
1、電池の直流抵抗DCR(Direct Current Resistance、DCRと略称)の測定
25℃で電池に対して容量試験を行い、即ち、電池に対して化成容量を行った後、25℃で電池を10min静置した後、0.33Cで100%SOC(Sate of Charge)まで充電し、小電流で分極させた後、10min静置し、さらに0.33で0%SOCまで放電し、得られた容量は電池の0.33C容量である。その後、定電圧0.05C充電を行い、60min静置し、0.33Cで50%SOCまで放電し、60min静置し、0.33Cで20%SOCまで放電し、60min静置し、0.33Cで0%SOCまで放電し、0%SOCの開回路電圧を測定し、30sのDCRデータを整理した。
【0166】
2、サイクル性能測定
25℃の恒温環境下で、1回目の充電及び放電を行い、1.0C(即ち、1時間内に理論容量の電流値を完全に放電する)の充電電流で定電流及び定電圧充電(電流が0.05Cになるまで充電)を行い、上限電圧が4.25Vに達するまで5分間静置した後、最終電圧が2.8Vになるまで、1.0Cの放電電流で定電流放電を行い、初回サイクルの放電容量を記録し、その後、充放電サイクルを継続する。
【0167】
n回目のサイクルの容量維持率=(n回目のサイクルの放電容量/初回のサイクルの放電容量)×100%。サイクル容量維持率が80%に達した時に試験を停止し、この時のサイクル数を得る。
【0168】
負極シート1-16の一部の材料及び性能の測定結果を以下の表2に示す。
【0169】
【表2】
比較例1における負極シート12では、ハードカーボン粒子自体が硬くて脆いという特徴により、スチレンブタジエンゴム(SBR)を接着剤として作製された負極シートの接着力及び負極活物質層の凝集力がいずれも低く、柔軟性が悪くて硬くて脆い異常であり、作製された電池のDCRが大きくてサイクル性能が悪い。
【0170】
比較例2において、負極シート13におけるハードカーボン材料は不規則な粒子であり、Dv50の粒子径が280nmであるスチレンアクリルエマルジョン10を接着剤として使用し、その中のスチレンアクリル酸エステル共重合体の粒子径が小さく、接着力及び凝集力がそれぞれ3N/m及び35nmであるため、実施例に比べて、その接着力及び凝集力が依然として非常に低いため、そのサイクル性能が良くない。
【0171】
比較例3-4における負極シート14-15において、ハードカーボン材料はそれぞれ球形及び類球形粒子であり、それぞれDv50の粒子径が280nmであるスチレン-アクリルエマルジョン10及びDv50の粒子径が200nmであるスチレン-アクリルエマルジョン11を接着剤として使用し、その製造された負極シートの接着力及び凝集力は比較例1-2より向上したが、実施例よりも低いレベルであるため、そのサイクル性能は良くない。
【0172】
比較例5の負極シート16において、負極活物質として黒鉛を採用するとともに、接着剤としてスチレンアクリルエマルジョン2を採用し、製造された負極シートの接着力及び負極活物質層の凝集力が実施例2に比べて依然として低く、スチレンアクリルエマルジョンが接着剤として負極活物質がハードカーボンである負極シートの接着力及び負極活物質層の凝集力に対してより優れた改善作用を有することを示している。
【0173】
実施例1-5の負極シートに用いられるスチレンアクリルエマルジョンにおけるスチレンアクリル酸エステル共重合体のDv50粒子径は350nm-900nmであり、いずれも優れた柔軟性、接着力及び凝集力を有する。さらに、実施例5に比べて、実施例1-4で製造された負極シートは、より優れた柔軟性、接着力、凝集力を有し、製造された二次電池は、より小さいDCR及びより優れたサイクル性能を有し、より小さいDCRは、より優れた大電流放電能力を有することを示した。スチレンアクリル酸エステル共重合体のDv50粒子径は350nm-800nmであることが好ましい。
【0174】
実施例6-9の負極シートに用いられるスチレンアクリルエマルジョンにおけるスチレンアクリル酸エステル共重合体のDv50粒子径はいずれも450nmであり、主な相違点は、スチレンアクリル酸エステル共重合体のコモノマー組成が異なり、さらにそのガラス転移温度が異なることであり、実施例6-9から分かるように、スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が15-70℃であり、いずれも優れた柔軟性、接着力、凝集力及びサイクル性能を有する。さらに、実施例9に比べて、実施例6-7で製造された負極シートは、より優れた柔軟性及びサイクル特性、より小さいDCRを有するため、スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が15-60℃であることが好ましい。
【0175】
実施例10-11は、負極シートに用いられるスチレンアクリルエマルジョンにおけるスチレンアクリル酸エステル共重合体のDv50粒子径が350nm-900nm内にあり、同様に球状粒子、類球状粒子のハードカーボン材料に適用し、その負極シートの接着力及び負極活物質層の凝集力に対しても良好な改善作用を有することを示している。
【0176】
以上は、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者であれば、本願に開示された技術的範囲内において、様々な等価な修正又は置換を容易に想到することができ、これらの修正又は置換はいずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準じる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンアクリルエマルジョンであって、前記スチレンアクリルエマルジョンのラテックス粒子のDv50粒子径が350-900nmであり、好ましくは350-800nmであることを特徴とするスチレンアクリルエマルジョン。
【請求項2】
前記ラテックス粒子はスチレンアクリル酸エステル共重合体であり、前記スチレンアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は10-70℃であり、好ましくは10-60℃であることを特徴とする請求項1に記載のスチレンアクリルエマルジョン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスチレンアクリルエマルジョンの製造方法であって、
前記製造方法は、
一部の乳化剤、一部のアクリル酸エステル系モノマー、一部のスチレン系モノマーを水と混合してプレエマルジョンを調製するステップと、
別の一部の乳化剤、別の一部のアクリル酸エステル系モノマー、別の一部のスチレン系モノマーを水と混合し、さらに開始剤を加えて重合を開始し、シードエマルジョンを調製するステップと、
前記プレエマルジョンを滴下方式で前記シードエマルジョンに加え、開始剤を加えて重合反応を行い、ラテックス粒子のDv50粒子径が350-900nmであるスチレンアクリルエマルジョンを製造するステップと、を含み、
前記乳化剤の総質量は調製モノマーの総質量の0.7%-5%であり、好ましくは1%-4.5%であり、前記調製モノマーはアクリル酸エステル系モノマーとスチレン系モノマーを含むことを特徴とするスチレンアクリルエマルジョンの製造方法。
【請求項4】
前記調製モノマーの総質量に基づいて、質量百分率で、前記スチレンアクリルエマルジョンは、スチレン系モノマー30%-80%、アクリレート系モノマー20%-70%及び機能性モノマー0%-10%を含み、
好ましくは、前記機能性モノマーは、前記プレエマルジョン及び/又は前記シードエマルジョンを調製するステップにおいて添加され、
好ましくは、前記機能性モノマーは、アクリル系モノマー、リン酸エステル系モノマー及びフッ素含有アクリレート系モノマーのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
負極シートであって、
前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも1つの表面に位置する負極活物質層と、を含み、
前記負極活物質層の成分は、ハードカーボン材料と、請求項
1に記載のスチレンアクリルエマルジョンに由来する接着剤とを含むことを特徴とする負極シート。
【請求項6】
前記負極活物質層の成分は、導電剤及び分散剤をさらに含み、前記負極活物質層において、質量百分率で、前記ハードカーボン材料は85%-97%であり、前記スチレンアクリル酸エステル共重合体は1%-8%であり、前記導電剤は0.3%-5%であり、前記分散剤は0.5%-4%であることを特徴とする請求項5に記載の負極シート。
【請求項7】
前記負極活物質層の塗布重量は2-13mg/cm
2であり、好ましくは5-12mg/cm
2であることを特徴とする請求項
5に記載の負極シート。
【請求項8】
前記ハードカーボン材料は、異形粒子、球状粒子及び略球状粒子のうちの少なくとも1種であり、好ましくは、前記ハードカーボン材料は、異形粒子であることを特徴とする請求項
5に記載の負極シート。
【請求項9】
前記ハードカーボン材料のDv50粒子径は1-10μmであり、好ましくは4-9μmであることを特徴とする請求項
5に記載の負極シート。
【請求項10】
前記ハードカーボン材料は、異形粒子であり、前記負極活物質層と前記負極集電体との間の接着力が10-40N/mであり、前記負極活物質層の凝集力が150-800N/mであることを特徴とする請求項
5に記載の負極シート。
【請求項11】
前記ハードカーボン材料は、球形粒子及び略球形粒子のうちの少なくとも1種であり、前記負極活物質層と前記負極集電体との間の接着力は、10-30N/mであり、前記負極活物質層の凝集力は、150-600N/mであることを特徴とする請求項
5に記載の負極シート。
【請求項12】
請求項5から11のいずれか1項に記載の負極シートを備えることを特徴とする二次電池。
【請求項13】
請求項12に記載の二次電池を備えることを特徴とする電力消費装置。
【国際調査報告】