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特表2024-528379分離エレメント及び当該分離エレメントを有する油圧アキュムレータ
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  • 特表-分離エレメント及び当該分離エレメントを有する油圧アキュムレータ 図1
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  • 特表-分離エレメント及び当該分離エレメントを有する油圧アキュムレータ 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】分離エレメント及び当該分離エレメントを有する油圧アキュムレータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/16 20060101AFI20240723BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240723BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240723BHJP
   F16J 3/04 20060101ALI20240723BHJP
   F16J 15/52 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F15B1/16
B22F10/28
B33Y80/00
F16J3/04 B
F16J3/04 D
F16J15/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572560
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022063977
(87)【国際公開番号】W WO2022258359
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021002971.2
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
(72)【発明者】
【氏名】トルステン クッセロー
【テーマコード(参考)】
3H086
3J043
3J045
4K018
【Fターム(参考)】
3H086AA25
3H086AA28
3H086AD07
3H086AD15
3H086AD25
3H086AD33
3H086AD38
3J043DA10
3J043FA07
3J043FB20
3J045CB04
3J045DA10
4K018AA06
4K018AA14
4K018AA33
4K018BA03
4K018BA08
4K018BA17
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
3D印刷法で製造された、特にベローズ型アキュムレータ用の分離エレメントであって、断面で見ると転向点30で円弧状に転向されて多数のベローズ襞28を形成する単一の膜からなり、これらの転向点30はベローズ襞28を外側と内側で限定しており、膜内でイソテンソイド又は実質的にイソテンソイドの応力プロファイルを得るために、各転向点30でそれぞれ境を接する隣接した膜面34の仮想延長部32が少なくとも初期状態で互いに鋭角αをなす。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷法で製造された、特にベローズ型アキュムレータ用の分離エレメントにおいて、
前記分離エレメントは、断面で見ると転向点(30)で円弧状に転向されて多数のベローズ襞(28)を形成する単一の膜からなり、前記転向点(30)はベローズ襞(28)を外側と内側で限定しており、膜内でイソテンソイド又は実質的にイソテンソイドの応力プロファイルを得るために、各転向点(30)でそれぞれ境を接する隣接した膜面(34)の仮想延長部(32)が少なくとも初期状態で互いに鋭角(α)をなす分離エレメント。
【請求項2】
それぞれ断面で見ると、円弧状の前記転向点(30)は、少なくとも部分的に半円弧から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の分離エレメント。
【請求項3】
前記鋭角(a)は、30°以下、好ましくは20°以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離エレメント。
【請求項4】
前記膜の膜材は、膜の共通の側に位置する2つの隣接する転向点(30)の間で、好ましくは中央で、肉厚(40)が減少していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の分離エレメント。
【請求項5】
前記膜の互いに反対側に位置する2つの隣接する転向点(30)の間のそれぞれの膜面(34)は、波形パターンを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の分離エレメント。
【請求項6】
個々の膜面(34)の波形パターンは、膜面(34)が互いに重なってブロックになると前記膜面(34)が互いに面一に折り畳まれるように、同一に形成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の分離エレメント。
【請求項7】
膜の波形において、積み重ね順で膜面(34)は円弧状の転向点(30)に対して、前記転向点(30)で境を接する隣接の膜面(34)よりも強い傾斜を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の分離エレメント。
【請求項8】
前記膜を構成する材料は、チタン、ステンレス鋼、又はアルミニウムであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の分離エレメント。
【請求項9】
前記膜は、印刷が完了した状態で一種の中空円筒を形成することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の分離エレメント。
【請求項10】
油圧アキュムレータ、特にベローズ型アキュムレータであって、アキュムレータハウジング(10)と、その中に配置されたベローズ状の分離エレメント(14)とを有し、分離エレメント(14)はアキュムレータハウジング(10)内で2つの媒体室(16、18)を互いに分離する、油圧アキュムレータにおいて、
前記分離エレメント(14)が請求項1~9のいずれか1項に従って形成されていることを特徴とする油圧アキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にベローズ型アキュムレータ用の分離エレメントであって、断面で見ると転向点で円弧状に転向されて多数のベローズ襞を形成する単一の膜からなり、これらの転向点はそれぞれのベローズ襞を外側と内側で限定しているものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(独国特許第10009865号明細書)により、ベローズ型アキュムレータの形態で設計された油圧空気圧アキュムレータ、特にパルセーションダンパが知られており、これは、少なくとも、
予圧を発生するガス充填を収容するための流体室、及び油圧媒体を収容するための別の流体室を含むアキュムレータハウジングと、
両流体室を互いに分離する金属ベローズと、この金属ベローズの一方の端部はエンドプレートによって閉じられ、他方の端部はアキュムレータハウジングと接続されていて、その内部が油圧媒体のための別の流体室を形成するようになっており、
アキュムレータハウジングの壁内に形成され、別の流体室に開口する通路と、
金属ベローズのエンドプレートの動きを制限するストップ装置と、を有する。
【0003】
金属ベローズのエンドプレートの内側と外側に当たるそれぞれ1つのストッパを備えたストップ装置により、分離ベローズの収縮と伸長のいずれにも機械的なストローク制限が提供される。これにより、金属ベローズは過大な負荷から効果的に保護され、長期間使用しても機能を維持することができる。
【0004】
一体的な金属ベローズを得るには、まず膜の出発材料として薄肉チューブが製造され、これはエンドレス法で長手方向シーム溶接によって作製できる。次に、そのようなチューブシリンダがベローズに成形され、その際にベローズ襞として環状波形が形成されなければならない。これには主として油圧成形法が用いられる。更に、機械的なロール成形によって波形ベローズを得ることも可能である。
【0005】
しかしながら、両製造方法に共通するのは、ベローズ襞が中実材料から個々に次々と製造され、その際に各ベローズ襞はそれぞれの転向点において断面で見ると円弧状、特に半円形に形成されている点である。公知のベローズ製造法により、例えば円弧状パターンを有する転向点の領域において、ベローズの耐用年数に影響を及ぼす肉厚の減少がほぼ防止される。しかしながら、連続した個々の膜である分離ベローズの各サイズについて最初に対応するサイズのチューブを製造しなければならず、そのため製造コストが増大する点が短所である。更に、膜の伸長運動前の初期状態では、ベローズ襞に付帯する膜面が互いに平行に延びているため、分離ベローズの運転中に多数の伸長過程と収縮過程により、膜材中に不都合な応力が導入され、その結果、少なくとも長期的には、特に転向点の領域で材料破壊が発生する可能性が高い。
【0006】
更に、特許文献2(独国特許出願公開第102006014456号明細書)により、アキュムレータハウジングを備えた油圧アキュムレータが知られており、このアキュムレータハウジングの内部には多数の個々の膜ディスクを有する金属ベローズが配置され、膜ディスクの縁部は溶接シームによって相互に接続されており、そのため金属ベローズはガス側と流体側との間の可動分離エレメントを形成し、ガス側と流体側の容積はアキュムレータハウジング内で金属ベローズが軸方向に伸長されたり圧縮されたりすることによって可変である。膜ディスクの少なくとも一部で溶接シームは、膜ディスクの厚さ方向に測定した溶接シームの厚さが最大でも溶接される膜ディスクの全厚に等しくなるように寸法設定されていることにより、他の先行技術に示されているように、金属ベローズが高い外部圧力により生み出された圧力差によって完全に圧縮される場合よりも、膜ディスクにとってはるかに好都合な負荷状態が生じる。
【0007】
既知の解決策では、円形の膜ディスクを互いに溶接して中空円筒形の金属ベローズに形成することもでき、これらの金属ベローズは先端が尖った溶接シームの間にそれぞれ金属ベローズの長手方向軸線と同心に延びる波形をした輪郭形状を有する。そのような波形をした膜ディスクが、同様に構成されて溶接された隣接の膜ディスクと共に「ブロック」になると、金属ベローズは完全に圧縮されて、波形膜ディスクは特別有利な仕方で支え合う。そのため、このとき発生し得る横方向力が、溶接シームの領域で故障を招く可能性のある膜ディスク相互の滑動を意図せず引き起こすことはない。もちろん、このような波形による追加的な安全性にもかかわらず、多数の溶接シームを考慮すると、たとえそれらが最新のレーザー溶接装置によって製造されたとしても基本的に故障を排除することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第10009865号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006014456号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、先行技術から出発して、簡単で廉価に製造することができ、しかも長期間にわたって故障することなく運転できる、特に油圧アキュムレータに使用するための分離エレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有する分離エレメント、並びに特許請求項10の特徴を有する油圧アキュムレータによって解決される。
【0011】
本発明によれば、一体的な個々の膜からなる分離エレメントは、個々のベローズ襞と共に3D印刷法若しくは付加製造法によって製造される。この場合、いわゆる電子ビーム溶解法は、3D印刷法として特に適していることが証明されている。電子ビーム溶解(Electronic Beam Melting)では、金属粉末が層ごとに溶融され、ベローズ襞と共に分離エレメントとして転写される。金属粉末を局所的にのみ溶融させる選択的レーザー溶融法も適している。同様に選択的レーザー焼結法を使用することも可能であり、この場合は金属粉末をレーザーで短時間加熱して溶融させ、それから再び凝固させて金属製の分離エレメントを形成する。上述したすべての3D印刷法は、最広義の焼結法及び粉末印刷法のジャンルに属する。
【0012】
各分離エレメントは、膜材を層ごと造形することによって三次元物体として個別に得ることができ、個数の多い量産も可能である。このようにして、分離エレメントは、油圧成形プロセス、ロール成形プロセス及び/又は溶接プロセスを必要とすることなく、簡単で廉価に得られる。
【0013】
更に、3D印刷法と、ベローズ襞の転向点が断面で見ると円弧状に形成されて、各転向点でそれぞれ境を接する隣接した膜面の仮想延長部が少なくとも初期状態で互いに鋭角をなす分離エレメントの特殊な幾何学的形状とを組み合わせることにより、分離エレメントの各運転状態で膜内にイソテンソイド(等しい曲面、isotensoid)又は実質的にイソテンソイドの応力プロファイルが達成され、その結果として、例えば慣用的な油圧アキュムレータ用途の枠内での動的運転においても材料に損傷を与えるような過負荷が回避されることが証明された。個々のベローズ襞を円弧状若しくは丸みを帯びた転向点を備えて設計することにより、動的運転においても膜全体における均一な応力導入と応力分布につながる。
【0014】
膜状分離エレメント内の好都合な応力プロファイルのために、それぞれ断面で見ると円弧状の転向点が、少なくとも部分的に半円弧から形成されていると好都合であることが証明されている。この場合更に好ましくは、初期状態で境を接する2つの膜面の間の鋭角は、30°以下、好ましくは20°以下であるようにされている。
【0015】
本発明による分離エレメントの特に好適な実施形態では、膜の膜材が、膜の共通の側に位置する2つの隣接する転向点の間で、好ましくは中央で、肉厚が減少するようにされている。このように肉厚が減少しているにもかかわらず、膜内への均一で改善された応力導入が達成されて、膜の長寿命化に寄与することは、平均的な当業者にとって驚くべきことである。
【0016】
本発明による分離エレメントの別の好適な実施形態では、膜の互いに反対側に位置する2つの隣接する転向点の間のそれぞれの膜面は、波形パターンを有するようになっている。この場合、自己安定化の文脈において、個々の波形膜面が互いに重なってブロックになると、少なくとも部分的に互いに面一に折り畳まれることができて、全体として安定性を高める。
【0017】
有利には、膜の波形において、積み重ね順で見て膜面は円弧状転向点に対して、この転向点で境を接する隣接の膜面よりも強い傾斜を有するようになっており、積み重ね順でそれぞれ上に位置する膜面は、その下に位置するより平坦な膜面によって相応に支持されて、動的運転におけるベローズ伸長挙動及び収縮挙動が全体として好都合になる。
【0018】
3D印刷法で得られる分離エレメントに好適に使用される材料は、チタン、ステンレス鋼、又はアルミニウムである。
【0019】
特に好適には、分離エレメント若しくは膜は、印刷が完了した状態で一種の中空円筒を形成し、そのため分離エレメントは流体を運ぶ配管用の補償エレメントの枠内で補償装置としても問題なく使用できる。
【0020】
しかしながら特に好適には、ベローズ状の分離エレメントをベローズ型アキュムレータの形態の油圧アキュムレータの枠内で使用し、この分離エレメントがアキュムレータハウジング内で使用されて2つの媒体室若しくは流体室を互いに分離するようになっており、分離エレメント上述したように設計されていることが好ましい。
【0021】
以下では、本発明による分離エレメント及び油圧アキュムレータを、様々な実施例に基づき図面により詳細に説明する。図面は原理図であり、縮尺通りに表現されていない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、アキュムレータハウジングの内部に可動分離エレメントを備えた油圧アキュムレータの著しく図式的に簡略化された縦断面図であり、金属ベローズが伸長された状態で示されている。
図2図2は、アキュムレータハウジングの内部に可動分離エレメントを備えた油圧アキュムレータの著しく簡略化した縦断面図であり、金属ベローズがブロックに収縮された状態で示されている。
図3図3は、襞が直線的に延びている分離エレメントの襞配置の部分図である。
図4図4は、図3による襞パターンから生じる中空円筒形の金属ベローズを示す図である。
図5図5は、波形の襞パターンを有するベローズ状分離エレメントの別の実施例を示す図である。
図6図6は、図5の表現から生じる襞パターンを更に両側で示した図である。
図7図7は、図5及び図6の表現による襞配置から生じる中空円筒形ベローズの半分を切り取った斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び図2によるベローズ型アキュムレータとして設計された油圧アキュムレータは、例として円筒形のアキュムレータハウジング10を備えており、このアキュムレータハウジング10の内部には金属ベローズ12が設けられていて、アキュムレータハウジング10の内部においてガス側16を流体側18から分離する可動分離エレメント14として機能する。このような油圧アキュムレータで通常のように、アキュムレータハウジング10には、作動ガス、好ましくは窒素ガスのためのガス側16に通じる接続部20と、流体側若しくは液体側18に通じる流体接続部22とが設けられている。
【0024】
金属ベローズ12若しくは分離エレメント14は、図1及び図2を見る方向で下側の開いた端部で、アキュムレータハウジング10の内壁に固持された固定リング24と溶接されている。金属ベローズ12の他方の端部は、好ましくは溶接されたエンドプレート26によって流体密に閉じられている。金属ベローズ12は、エンドプレート26と固定リング24との間に多数(複数)の個々の連続するベローズ襞28を有しており、その構成について以下の図を参照してより詳細に説明する。
【0025】
図1は、ガス側16のガス圧が低いか又は全くない運転状態の油圧アキュムレータを示しており、それに対応して金属ベローズ12は伸長した状態で表現されていて、ベローズの外側に位置するガス側16の自由体積は減少し、金属ベローズ12の内側に接する流体側18の体積は増加している。
【0026】
これに対して、図2は、流体側若しくは液体側18の流体圧が低いか又は全くない運転状態を示しており、金属ベローズ12若しくは分離エレメント14は完全に圧縮されていて、個々のベローズ襞28は互いに押し付けられて相互に支持されているが、これは専門的には「ブロック位置」又は「ブロックになる」と呼ばれる。この点で金属ベローズ12は極めて耐圧性の高い構造を形成しているため、油圧アキュムレータは、非常に高いガス圧レベルでも、流体圧が低いか又は全くない場合でも運転上の安全性を維持する。
【0027】
次に図3は、個々のベローズ襞28が互いに上下に配置された円環状の金属ベローズ12の可能な実施形態を示しており、上方と下方のベローズ襞28は完全に表現されていないが、使用方法に応じて互いに上下に配置された多数のこのようなベローズ襞28が分離エレメント14を形成することは自明である。それぞれのベローズ襞28は、外側と内側に見て個々の転向点30を形成しており、これらの転向点30は断面で見ると円弧状に延び、特に外側領域では少なくとも部分的に半円弧を有する。個々のベローズ襞28は、波の山から見て波の谷へ進み、そして再びそれに続く波の山に進む区間を通過し、それぞれ半円形の転向点30によって形成されている。更に図3から明らかなように、各転向点30でそれぞれ境を接する隣接した膜面の仮想延長部32は、図1及び図3に示す完全に伸長した初期状態で互いに30°以下の鋭角aをなしている。これに対して、金属ベローズ12が図2に示すブロック位置に入ると、それぞれ隣接する膜面34の対は互いに向かって移動し、同時に角度aは大きくなる。
【0028】
図3に示す分離エレメントは、3D印刷法で製造された単一の一体的な膜からなる。分離膜の製造には、特に粉末印刷法が使用される。3D印刷用の金属粉末には、ステンレス鋼などの鋼材、又はチタンやアルミニウムなどの材料を使用できる。ここに挙げた材料は例示的なものに過ぎず、他の適当な金属も3D印刷法で使用できることは言うまでない。
【0029】
それぞれのベローズ襞28の転向点30が断面で見ると円弧状に形成されていること、及び図3による金属ベローズ12の初期状態で、堺を接する膜面34が互いに鋭角aをなすことによって、表面全体にわたってイソテンソイド又は実質的にイソテンソイドの応力曲線を有する分離エレメント14が得られる。即ち、3次元構造全体にわたって分離エレメント14における均一な応力導入及び応力分布が達成されるため、動的運転においても膜材内の応力ピークが回避される。このことは長時間継続する運転に有利であり、高い動的負荷の下でも分離エレメント14の速い反応挙動が可能になる。これに相当するものは、先行技術には存在しない。
【0030】
図3に一部のみ示されている金属ベローズ12は、図4では全体が示されており、図2でブロックになった状態で示されている分離エレメント14を形成している。この場合、上側36はエンドプレート26と接続され、金属ベローズ12の下側38は、図1及び図2に表現に従い、分離エレメント14をアキュムレータハウジング10の内側に固持するための固定リング24と接続されている。3D印刷法の枠内で、エンドプレート26も、場合によっては固定リング24も、相応の金属材料から金属ベローズ12と一体的に形成することも基本的に可能であることは自明である。
【0031】
図5は、図3及び図4の解決策に対して変更された分離エレメントの別の解決策を示しており、これまでの説明はこの変更された実施形態にも該当し、そのため同じ構成要素には同じ参照符号を用いる。図5は、波形膜の部分を示しており、転向点30はやはり端部側に半円弧状パターンを備えている。ここでも互いに対をなす膜面34は、各転向点30における仮想延長部32と互いに20°未満の鋭角a、特に15°の角度をなしている。このようにして分離エレメントのそれぞれ外周側の端部領域に、断面で見ると一種の楔が生じる。これは金属ベローズ12が圧縮されたときに力を吸収する意味で特に効果的である。
【0032】
更に図5に見られるように、ベローズ襞28の積み重ね順でそれぞれ上に載る膜面34は、その下に位置する膜面34よりも大きい曲率を有しており、このことが曲げ強度値の増加につながる。更に、各ベローズ襞28がばね弾性的に収縮すると、膜面34によって形成されたより平坦に延びる底部により、相応に高い力の導入を伴う改良された支持効果が達成される。図5は再び、図1の表現によるベローズ襞28が互いに引き伸ばされた初期状態に関するものである。更に、個々のベローズ襞28は、伸長状態でも収縮状態でも、実質的に互いに一定の間隔で保たれている。
【0033】
図6は、外壁領域と内壁領域に転向点30が配置された波形分離膜全体に対して、図5による襞パターンを示している。
【0034】
図7による表現は、半断面を示しており、図4による表現と同様に分離エレメントを中空円筒として示している。この分離エレメントもやはりその上側36をエンドプレート26と接続でき、その下側38を固定リング24と接続できる。更に、図5及び図6から分かるように、図2の表現により個々のベローズ襞28がブロックになる場合に、膜面34はその波形構成において、少なくとも部分的にそれらの表面で互いに折り畳まれる。これにより、発生し得る横方向力に対して改良された剛性が生じる。
【0035】
更に、図3から分かるように、膜の膜材は、好ましくはベローズ襞28の隣接する2つの転向点30の間の中央で肉厚を減少させることが可能であり、このような肉厚減少の領域は図3では40で示されている。このような肉厚減少は、基本的には図5から図7による膜においても可能である。このような分離エレメントの設計分野の平均的な当業者にとって、前述の肉厚減少40にもかかわらず、曲げ特性の改良が得られるのは驚くべきことである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】