(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】良好な膨張挙動を有する喫煙具用のフィルタ材料
(51)【国際特許分類】
A24D 3/10 20060101AFI20240723BHJP
D21H 27/08 20060101ALI20240723BHJP
D21H 13/08 20060101ALI20240723BHJP
D04H 1/26 20120101ALI20240723BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20240723BHJP
D04H 1/4258 20120101ALI20240723BHJP
A24D 3/02 20060101ALI20240723BHJP
A24D 3/14 20060101ALI20240723BHJP
A24D 3/16 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A24D3/10
D21H27/08
D21H13/08
D04H1/26
D04H1/425
D04H1/4258
A24D3/02
A24D3/14
A24D3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574737
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2022057374
(87)【国際公開番号】W WO2022263030
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115450.2
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512252548
【氏名又は名称】デルフォルトグループ、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DELFORTGROUP AG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ディートマー、フォルガー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、バッハマン
【テーマコード(参考)】
4B045
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA07
4B045BB10
4B045BC07
4L047AA08
4L047AA10
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4L055AA02
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4L055AF09
4L055AF10
4L055AG10
4L055AG34
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4L055AG41
4L055AG42
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4L055AG46
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4L055AG48
4L055AG51
4L055AG64
4L055AH01
4L055AH17
4L055AH50
4L055BE20
4L055EA03
4L055EA04
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA19
4L055EA26
4L055FA22
4L055GA31
(57)【要約】
喫煙具用のセグメントを製造するためのフィルタ材料が示される。前記フィルタ材料は、ウェブ状であるとともに、前記フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含み、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m2~最大で60g/m2の坪量を有し、ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、少なくとも25μm~最大で1000μmであり、前記フィルタ材料は、機械方向と、これに直交するとともに前記フィルタ材料の前記ウェブの平面内にある横方向と、を有し、前記フィルタ材料は、前記横方向において特徴的な塑性変形性を有し、前記特徴的な塑性変形性は、ISO1924‐2:2008に準拠した前記横方向における引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙具用のセグメントを製造するためのフィルタ材料において、
前記フィルタ材料は、ウェブ状であるとともに、前記フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含み、
前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m
2~最大で60g/m
2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、少なくとも25μm~最大で1000μmであり、
前記フィルタ材料は、機械方向と、これに直交するとともに前記フィルタ材料の前記ウェブの平面内にある横方向と、を有し、
前記フィルタ材料は、前記横方向において特徴的な塑性変形性を有し、
前記特徴的な塑性変形性は、ISO1924‐2:2008に準拠した前記横方向における引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とする、
フィルタ材料。
【請求項2】
前記フィルタ材料は、水流絡合不織布または紙である、
請求項1に記載のフィルタ材料。
【請求項3】
前記フィルタ材料中のセルロース繊維の割合は、前記フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも60%~最大で100%、好適には少なくとも70%~最大で95%である、
請求項1または2に記載のフィルタ材料。
【請求項4】
前記セルロース繊維は、パルプ繊維、再生セルロース製繊維、またはこれらの混合物により形成される、
請求項1~3の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項5】
前記パルプ繊維は、単数の針葉樹材または複数の針葉樹材、単数の落葉樹材または複数の落葉樹材、または特に麻、亜麻、ジュート、ラミー、ケナフ、カポック、ココナッツ、アバカ、サイザル麻、竹、綿である他の植物、またはエスパルト草、またはこれら種々の調達源のパルプ繊維の混合物から調達される、
請求項4に記載のフィルタ材料。
【請求項6】
再生セルロースから作製される繊維の割合が、前記フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも5%~最大で50%、好適には少なくとも10%~最大で45%、特に好適には少なくとも15%~最大で40%である、
請求項4または5に記載のフィルタ材料。
【請求項7】
前記再生セルロース製繊維は、少なくとも部分的に、特に少なくとも70%まで、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル(R)繊維、テンセル(R)繊維、またはこれらの混合物により形成される、
請求項4~6の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項8】
少なくとも18g/m
2~最大で55g/m
2、好適には少なくとも20g/m
2~最大で50g/m
2の坪量を有する、
請求項1~7の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項9】
前記フィルタ材料は、前記横方向において特徴的な塑性変形性を有し、
前記特徴的な塑性変形性は、ISO1924‐2:2008に準拠した前記横方向における前記引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも15%~最大で40%、好適には少なくとも15%~最大で35%、特に少なくとも18%~最大で32%であることを特徴とする、
請求項1~8の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項10】
アルキルケテンダイマー(AKD)、特にアルケニルコハク酸無水物(ASA)である酸無水物、ポリビニルアルコール、ワックス、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、キトサン、湿潤強度剤、または特に有機もしくは無機の酸もしくは塩基であるpHを調整する物質、またはこれらの添加剤の2つ以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、
請求項1~9の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項11】
特にクエン酸三ナトリウムまたはクエン酸三カリウムであるクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、特に酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムである酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α‐ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩化物、および炭酸水素塩、またはこれらの添加剤の2つ以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、
請求項1~10の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項12】
トリアセチン、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセローラ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、およびクエン酸トリエチルからなる群から選択される少なくとも1つの物質、またはこれらの物質の2つ以上の混合物を含む、
請求項1~11の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項13】
前記セルロース繊維の少なくとも一部が充填材を含み、
前記充填材は、好適には鉱物粒子、特に炭酸カルシウム粒子により形成される、
請求項1~12の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項14】
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、少なくとも30μm~最大で800μm、好適には少なくとも35μm~最大で600μmである、
請求項1~13の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項15】
ISO1924‐2:2008に準拠して測定した前記横方向における前記フィルタ材料の幅に対する引張強さが、なくとも0.05kN/m~最大で5kN/m、好適には少なくとも0.07kN/m~最大で4kN/mである、
請求項1~14の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項16】
ISO1924‐2:2008に準拠して測定した前記横方向における前記フィルタ材料の破断伸びは、少なくとも0.5%~最大で50%、好適には少なくとも0.8%~最大で40%である、
請求項1~15の一項に記載のフィルタ材料。
【請求項17】
横方向にギャザーを寄せたフィルタ材料を備える喫煙具用のセグメントにおいて、
前記フィルタ材料は、前記フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含み、
前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m
2~最大で60g/m
2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、少なくとも25μm~最大で1000μmであり、
前記フィルタ材料は横方向を有し、前記横方向において、前記フィルタ材料にギャザーが寄せられ、
ギャザーを寄せていない状態の前記フィルタ材料は、前記横方向において特徴的な塑性変形性を有し、
前記特徴的な塑性変形性は、ISO1924‐2:2008に準拠した前記横方向における引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とする、
セグメント。
【請求項18】
前記フィルタ材料は、請求項2~16に規定された特徴のうちの1つ以上を有する、
請求項17に記載のセグメント。
【請求項19】
前記セグメントは、少なくとも3mm~最大で10mm、好適には少なくとも4mm~最大で9mm、特に好適には少なくとも5mm~最大で8mmの直径を有する円筒形である、および/または、
前記セグメントは、少なくとも4mm~最大で40mm、好適には少なくとも6mm~最大で35mm、特に好適には少なくとも10mm~最大で28mmの長さを有する、
請求項17または18の一項に記載のセグメント。
【請求項20】
ISO6565:2015に準拠した前記セグメントの単位長さ当たりの前記セグメントの吸引抵抗が、少なくとも1mmWG/mm~最大で12mmWG/mm、好適には少なくとも2mmWG/mm~最大で10mmWG/mmである、
請求項17~19のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項21】
前記包装材料は、紙またはフィルムにより形成される、
請求項17~20の一項に記載のセグメント。
【請求項22】
前記包装材料は、少なくとも20g/m
2~最大で150g/m
2、好適には少なくとも30g/m
2~最大で130g/m
2のISO536:2019に準拠した坪量を有する、
請求項17~21の一項に記載のセグメント。
【請求項23】
請求項17~22の一項に記載のセグメントを製造するためのプロセスにおいて、
請求項1~16の一項に記載の前記フィルタ材料を、クリンプ加工またはプリーツ加工し、
クリンプ加工またはプリーツ加工したフィルタ材料の好適に連続するトウを形成し、
クリンプ加工またはプリーツ加工した前記トウを包装材料で巻き、
巻いた前記トウを、所定長さの個々のロッドに切断する、
プロセス。
【請求項24】
エアロゾル形成材料を含むセグメントと請求項17~22の一項に記載のセグメントとを備える喫煙具において、
請求項17~22の一項に記載の前記セグメントは、好適には、口端部に最も近く位置する前記喫煙具の前記セグメントである、
喫煙具。
【請求項25】
前記喫煙具は、フィルタ付きたばこであり、
前記エアロゾル形成材料は、タバコである、またはこれを含む、
請求項24に記載の喫煙具。
【請求項26】
前記喫煙具は、その意図された使用中に、前記エアロゾル形成材料を加熱するのみで燃焼させない喫煙具であり、
前記エアロゾル形成材料は、好適には、タバコ、再構成タバコ、ニコチン、グリセローラ、プロピレングリコール、またはこれらの混合物からなる群から選択される材料を備える、
請求項24に記載の喫煙具。
【請求項27】
前記エアロゾル形成材料は、液体の形態で存在するとともに、前記喫煙具内の対応する容器に配置される、
請求項26に記載の喫煙具。
【請求項28】
A1‐セルロース繊維を備える繊維ウェブを提供するステップであって、前記繊維ウェブは、機械方向と、これに直交するとともに前記ウェブ平面内にある横方向と、を有するステップと、
A2‐前記繊維ウェブに向けた水ジェットにより前記繊維ウェブを水流絡合させて、水流絡合繊維ウェブを作製するステップと、
A3‐前記水流絡合繊維ウェブを乾燥させるステップと、
を備えるフィルタ材料を製造するためのプロセスにおいて、
ステップA1において、前記繊維ウェブ中のセルロース繊維の量または割合を、ステップA3における乾燥後に、前記フィルタ材料の質量に対して前記フィルタ材料が少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含むように選択し、
ステップA2において、前記水ジェットの個数、圧力および/または配置を、前記フィルタ材料に前記横方向において特徴的な塑性変形性が提供されるように選択し、前記特徴的な塑性変形性は、ステップA3における乾燥後に前記横方向においてISO1924‐2:2008に準拠して前記フィルタ材料に実施される引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とし、
ステップA3における乾燥後に、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m
2~最大で60g/m
2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、ステップA3における乾燥後に、少なくとも25μm~最大で1000μmである、
プロセス。
【請求項29】
複数の水ジェットを、ステップA2の水流絡合を実施するように使用し、
前記水ジェットを、前記繊維ウェブの前記機械方向を横断するように少なくとも1列に配置する、
請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
ステップA2における水流絡合を、前記繊維ウェブに向けた少なくとも2列の水ジェットにより実施し、
好適には、前記水ジェットは、前記繊維ウェブの2つの側面の各々に作用する、
請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
B1‐セルロース繊維を備える水性懸濁液を作製するステップと、
B2‐ステップB1からの前記懸濁液を走行ワイヤに塗布するステップと、
B3‐前記懸濁液を前記走行ワイヤを通して脱水し、繊維ウェブを形成するステップと、
B4‐ステップB3からの前記繊維ウェブを乾燥させるステップと、
を備えるフィルタ材料を製造するためのプロセスにおいて、
ステップB1において、前記繊維ウェブ中のセルロース繊維の量または割合を、ステップB4における乾燥後に、前記フィルタ材料の質量に対して前記フィルタ材料が少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含むように選択し、
前記繊維ウェブの機械方向が、ステップB3における前記ワイヤの走行方向により規定されるとともに、横方向が、これに対して直交するとともに前記繊維ウェブの平面内にある方向により規定され、
ステップB2において、前記懸濁液を、前記走行ワイヤの速度よりも遅い速度で前記走行ワイヤに塗布し、これらの速度間の差を前記フィルタ材料に前記横方向において特徴的な塑性変形性が提供されるように選択し、前記特徴的な塑性変形性は、ステップB4における乾燥後に前記横方向においてISO1924‐2:2008に準拠して前記フィルタ材料に実施される引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とし、
ステップB4における乾燥後に、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m
2~最大で60g/m
2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、ステップB4における乾燥後に、少なくとも25μm~最大で1000μmである、
プロセス。
【請求項32】
C1‐セルロース繊維を備える水性懸濁液を作製するステップと、
C2‐ステップB1からの前記懸濁液を走行ワイヤに塗布するステップと、
C3‐前記懸濁液を走行ワイヤを通して脱水し、繊維ウェブを形成するステップと、
C4‐ステップC3からの前記繊維ウェブを支持ワイヤに移送するステップと、
C5‐前記繊維ウェブに水ジェットを向けることにより前記繊維ウェブを水流絡合させて水流絡合繊維ウェブを形成するステップと、
C6‐前記水流絡合繊維ウェブを乾燥させるステップと、
を備えるフィルタ材料を製造するためのプロセスにおいて、
ステップC1において、前記繊維ウェブ中のセルロース繊維の量または割合を、ステップC6における乾燥後に、前記フィルタ材料の質量に対して前記フィルタ材料が少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含むように選択し、
ステップC3において、前記繊維ウェブの機械方向が前記ワイヤの走行方向により規定され、横方向がこれに対して直交するとともに前記繊維ウェブの平面内にある方向により規定され、
ステップC6における乾燥後に、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m
2~最大で60g/m
2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、ステップC6における乾燥後に、少なくとも25μm~最大で1000μmであり、
ステップC2において、前記懸濁液を、前記走行ワイヤの速度よりも遅い速度で前記走行ワイヤに塗布し、ステップC2におけるこれらの速度間の差、およびステップC5における前記水ジェットの個数、圧力および/または配置を、前記フィルタ材料に前記横方向において特徴的な塑性変形性が提供されるように選択し、前記特徴的な塑性変形性は、ステップC6における乾燥後に前記横方向においてISO1924‐2:2008に準拠して前記フィルタ材料に実施される引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とする、
プロセス。
【請求項33】
ステップB1またはステップC1における前記水性懸濁液は、最大で3.0%、特に好適には最大で1.0%、より特に好適には最大で0.2%、特に最大で0.05%の固形分含量をそれぞれ有する、
請求項31または32に記載のプロセス。
【請求項34】
ステップB2およびステップB3、またはステップC2およびステップC3の前記走行ワイヤは、水平方向に対して前記繊維ウェブの前記機械方向において上方に少なくとも3°~最大で40°の角度で、好適には少なくとも5°~最大で30°の角度で、特に好適には少なくとも15°~最大で25°の角度でそれぞれ傾斜する、
請求項31~33の一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記プロセスは、前記走行ワイヤの2つの前記側面間の圧力差を生成してステップB3またはステップC3それぞれにおける前記懸濁液の脱水を支援するステップをさらに備え、
前記圧力差を、特に好適には、真空ボックスまたは適切な形状を有するホイルにより生成する、
請求項31~34の一項に記載のプロセス。
【請求項36】
ステップA3、ステップB4、またはステップC6における乾燥を、少なくとも部分的に、熱風との接触により、赤外線放射により、またはマイクロ波放射によりそれぞれ実施する、
請求項28~35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記プロセスにより製造される前記フィルタ材料は、請求項1~16の一項に記載のフィルタ材料である、
請求項28~36の一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記プロセスは、1つ以上の添加剤を前記繊維ウェブに塗布するさらなるステップを備え、
前記1つ以上の添加剤は、アルキルケテンダイマー(AKD)、特にアルケニルコハク酸無水物(ASA)である酸無水物、ポリビニルアルコール、ワックス、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、キトサン、湿潤強度剤、または特に有機もしくは無機の酸もしくは塩基であるpHを調整する物質、およびこれらの混合物からなる群から選択される、
請求項28~37の一項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記プロセスは、1つ以上の添加剤を前記繊維ウェブに塗布するさらなるステップを備え、
1つ以上の前記添加剤は、特にクエン酸三ナトリウムまたはクエン酸三カリウムであるクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、特に酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムである酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α‐ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩化物、および炭酸水素塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される、
請求項28~38の一項に記載のプロセス。
【請求項40】
1つ以上の前記添加剤を、
‐ステップA1とステップA3との間に、または、
‐ステップB3とステップB4との間に、または、
‐ステップC3とステップC4との間、またはステップC4とステップC5との間、またはステップC5とステップC6との間に、
塗布する、または、
1つ以上の前記添加剤を、
‐ステップA3の後に、または、
‐ステップB4の後に、または、
‐ステップC6の後に、
塗布し、
その後前記繊維ウェブを乾燥させるさらなるステップが続く、
請求項38または39に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具のセグメントを製造するのに適したフィルタ材料に関する。フィルタ材料は横方向に有利な塑性変形性を有するため、喫煙具用のセグメントをこれから効率的に製造することができる。また、本発明は、このフィルタ材料から製造される喫煙具用のセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙具は、典型的には、互いに並んで配置された少なくとも2つのロッド状のセグメントから構成されるロッド状の物品である。1つのセグメントは、加熱時にエアロゾルを形成することができる材料を含み、少なくとも1つのさらなるセグメントは、エアロゾルの特性に影響を与える役割を果たす。
【0003】
喫煙具は、フィルタ付きたばことすることができる。ここで、第1セグメントがエアロゾル形成材料、特にタバコを含み、さらなるセグメントがフィルタとして設計されるとともにエアロゾルをフィルタリングするように作用する。ここで、エアロゾルは、エアロゾル形成材料の燃焼により発生し、フィルタは、エアロゾルをフィルタリングするとともに、フィルタ付きたばこに所定の吸引抵抗を与える役割を主として果たす。
【0004】
しかしながら、喫煙具は、加熱式たばこ製品として知られるものでもあり得る。この場合、エアロゾル形成材料を加熱するだけで燃焼させない。これは、エアロゾル中の健康を害する物質の数および量が減少することを意味する。このような喫煙具も、少なくとも2つ、より多くの場合、特に4つのセグメントから構成される。1つのセグメントが、典型的にはタバコ、再構成タバコ、または他のプロセスで調製されたタバコを備えるエアロゾル形成材料を含む。さらに、加熱式たばこ製品の任意のセグメントは、エアロゾルを移送する、エアロゾルを冷却する、またはエアロゾルをフィルタリングする役割を果たす。
【0005】
セグメントは、通常、包装材料で巻かれている。紙が包装材料として使用されることが非常に多い。
【0006】
以下で明示的に記載されるか文脈から直接的に明瞭でない限り、「セグメント」とは、エアロゾル形成材料を含まない喫煙具のセグメントであって、例えばエアロゾルを移送する、冷却する、またはフィルタリングする役割を果たすセグメントを指すと理解すべきである。
【0007】
先行技術において、酢酸セルロースやポリラクチド等のポリマーからこのようなセグメントを形成することが知られている。喫煙具の消費後、喫煙具は適切に廃棄されなくてはならない。しかしながら、多くの場合、消費者は、単に使用済みの喫煙具を環境中に排気している。そして、情報や罰金によりこの行動を制限しようとする試みはほとんど成功していない。
【0008】
酢酸セルロースやポリラクチドは、環境中での生分解が非常に遅いため、紙およびセルロース系不織布の重要性が増している。
【0009】
一例として、セグメントを製造する際、紙またはセルロース系不織布のウェブを連続的なトウ(短い糸の詰めもの)に形成して包装材料で巻く前に、これを最初に縦方向にクリンプ加工することができる。そして、連続的なトウをさらなる加工に適する断片に切断する。
【0010】
クリンプ加工中に、ウェブはパターンが設けられた2つのローラを通過し、これらが当該パターンをウェブにエンボス加工する。一例として、このパターンは、ウェブの機械方向に配向されたラインパターンである。エンボス加工されたラインは、ウェブを機械方向に直交する方向である横方向に引き伸ばして変形させる。このため、ウェブに横方向にギャザーを寄せることにより、連続的なトウをより容易に形成することができる。
【0011】
しかしながら、クリンプ加工中に、ウェブが横方向に断裂することがある。したがって、このような欠点のないフィルタ材料、またはその程度が低いだけでそれ以外は好適なフィルタ材料と可能な限り同一であるフィルタ材料に対するニーズが存在している。
【0012】
同一発明者による公開前の国際特許出願PCT/EP2019/085125に、本発明によるフィルタ材料の出発点となり得る水流絡合フィルタ材料が記載されている。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、高い生産性で喫煙具のセグメントに加工できる喫煙具用のウェブ状フィルタ材料であって、それ以外では好適なフィルタ材料と性質が可能な限り類似しているウェブ状フィルタ材料を提供することである。
【0014】
この目的は、請求項1に記載のフィルタ材料、請求項17に記載の喫煙具用のセグメント、および請求項24に記載の喫煙具、ならびに請求項23に記載のセグメントを製造するためのプロセス、および請求項28、31、および32に記載の本発明によるフィルタ材料を製造するためのプロセスにより達成される。有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0015】
本発明者らは、この目的が、喫煙具用のセグメントを製造するための以下のフィルタ材料により達成され得ることを見出した。前記フィルタ材料は、ウェブ状であるとともに、前記フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含み、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m2~最大で60g/m2坪量を有する。
【0016】
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さは、少なくとも25μm~最大で1000μmである。厚さは、喫煙具のセグメントに充填され得るフィルタ材料の量に、ひいては喫煙具の吸引抵抗およびフィルタリング効率に影響を及ぼすだけでなく、特に喫煙具のセグメントの製造のためにフィルタ材料がクリンプ加工またはプリーツ加工される場合に、その加工性に影響を及ぼす。このような加工ステップでは、大きすぎる厚さは不利であり、前記区間の厚さであれば、喫煙具のセグメントを形成するための本発明によるフィルタ材料の特に良好な加工性が得られる。
【0017】
さらに、前記フィルタ材料は、機械方向と、これに直交するとともに前記フィルタ材料の前記ウェブの平面内にある横方向と、を有する。さらに、前記フィルタ材料は、前記横方向において特徴的な塑性変形性を有し、前記特徴的な塑性変形性は、ISO1924‐2:2008に準拠した前記横方向における引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とする。この特徴的な塑性変形性は、一般的なフィルタ材料の場合よりも顕著である。
【0018】
フィルタ材料の製造および加工に際して、フィルタ材料は、いわゆる機械方向である方向において走行して機械を通る。フィルタ材料は、機械方向に直交するとともにフィルタ材料のウェブの平面内にある方向、すなわち横方向を有する。
【0019】
フィルタ材料を喫煙具のセグメントに加工する際、フィルタ材料を、好適にはクリンプ加工する。ここで、フィルタ材料を、例えば、パターンが設けられた2つのローラを通過させ、これらがウェブにこのパターンをエンボス加工する。好適には、このパターンは、ウェブの機械方向に配向されたラインパターンである。エンボス加工されたラインは、フィルタ材料を、機械方向に直交する方向、すなわち横方向に引き伸ばして変形させる。このように変形させたフィルタ材料では、横方向により容易にギャザーを寄せることができるため、セグメントを製造するための連続的なトウが作製され得る。
【0020】
このプロセスの問題点は、フィルタ材料に所望の変形を生じさせるために、2つのローラはウェブに横方向に高い伸びを及ぼさなくてはならないため、フィルタ材料が横方向に断裂し得る危険があることである。当業者であれば、横方向におけるフィルタ材料の破断伸びを大きくすることで、フィルタ材料が断裂することなくより大きな変形に耐え得るようにしようと考えるであろう。しかしながら、本発明者は、横方向における永久変形を達成するためには、伸びをさらに大きくしなければならず、横方向における破壊強度を超える惧れがさらに増大するため、これでは問題を解決できないことを見出した。
【0021】
本発明者らの知見によれば、フィルタ材料がクリンプ加工中に受ける横方向の伸びにおいて、弾性変形ではなく永久的な塑性変形がもたらされることが重要である。このような塑性変形がクリンプ中にローラがより離間した状態で達成されるのであれば、加工中にフィルタ材料が横方向に断裂するリスクは減少する。一般に、フィルタ材料を横方向にその破断伸びの約半分まで引き伸ばせば十分であろう。
【0022】
本発明者らは、適切なプロセスにより、フィルタ材料に横方向における良好な塑性変形性を可能にすることでクリンプ加工を単純にすることができる構造を与えられることを見出した。これに適したプロセスを以下にさらに説明する。
【0023】
横方向におけるこの塑性変形性は、ISO1924‐2:2008に準拠した引張試験により特徴付けられる。この引張試験において、15mmの幅を有するストリップをサンプルから横方向に切り出し、20mm/分の速度でこれが破断するまで引き伸ばす。このとき、伸びεおよび加えられた力Fを記録することで、力‐伸び曲線F(ε)が得られる。また、破断伸びεbおよび引張強さF(εb)も記録される。フィルタ材料が破断伸びの半分εb/2まで吸収する変形エネルギーは、以下のようになる。
【0024】
【数1】
ここで、実際には、積分は数値的に計算される。
【0025】
この変形エネルギーは、弾性部分と塑性部分とからなる。弾性変形エネルギーは、荷重を除くと解除されるため、クリンプ加工の結果には寄与しない。これに対して、塑性変形は不可逆的であるため、2つのローラにおける伸びが小さくても、全変形エネルギーに対する塑性変形エネルギーの割合が先行技術の同等なフィルタ材料よりも高ければ、良好なクリンプ加工結果が期待できる。
【0026】
一般に、弾性変形は、伸びと力との比例関係に関連している。フィルタ材料が破断伸びの半分まで理想的に直線的に弾性変形するという架空の仮定の下で、破断伸びの半分までの変形エネルギーElinは次式で計算される。
【0027】
【0028】
そして、フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーのうち、直線変形エネルギーを超える非線形部分Enlは、以下のようになる。
【0029】
【0030】
本発明者らの知見によれば、横方向の破断伸びの半分まで吸収される変形エネルギーの非線形部分が、横方向の破断伸びの半分まで吸収される全変形エネルギーの少なくとも10%であれば、すなわち次式であれば、クリンプ加工時に非常に良好な結果が達成され得る。
【0031】
【0032】
塑性挙動を定量化するためのこのような考察は、ISO1924‐2:2008に準拠して引張試験を実施したときに得られる
図1に示す表により説明することができる。x軸10に伸びεが示され、y軸11にこの伸びを生じさせるために加えられた力F(ε)が示されている。圧力を加えていない状態12を始点として、伸びεを20mm/分の速度で増加させながら、同時に力F(ε)を測定する。こうして、力‐伸び曲線13を作成する。これにより、伸びをサンプルが状態14で断裂するまで増加させて、ここから破断伸びε
bおよび引張強さF(ε
b)を決定する。
【0033】
フィルタ材料からセグメントを製造する際、フィルタ材料に、ある位置で、例えば破断伸びの約半分εb/2であるポイント15まで、対応する力F(εb/2)で負荷をかけることで、状態16に至る。
【0034】
ポイント12と16とをつなぐライン17は、架空の線形弾性挙動を表し得る。線形変形エネルギーElinは、ポイント12、16、および15により形成される三角形の領域に対応する。これに対して、総変形エネルギーは、ポイント12からポイント15までのラインとポイント15からポイント16までのライン、およびポイント16からポイント12までのライン13に囲まれた領域に対応する。本発明の文脈において本発明によるフィルタ材料を特徴付けるために使用される変形エネルギーの非線形部分Enlは、ポイント12とポイント16との間に各々あるライン17およびライン13により規定される領域に対応する。力‐伸び曲線が上方に強く屈曲するほど、そして、架空の線形弾性挙動から逸脱するほど、塑性変形、ひいては不可逆的変形の可能性が大きくなる。
【0035】
本発明によるフィルタ材料からセグメントを製造するに際して、横方向の伸びは、クリンプ加工中に破断時の伸びの半分から当然に逸脱し得るが、破断時の伸びの半分までの変形エネルギーの非線形部分は、実際に適用された伸びおよび実際の弾性‐塑性挙動に依存せず、本発明によるフィルタ材料の構造を特徴付け、かつクリンプ加工中のフィルタ材料の挙動を予測するのに適したパラメータであることが見出された。
【0036】
比較のために、
図2に本発明によらない非常に一般的なフィルタ材料の挙動を示す。ここでも、ISO1924‐2:2008に準拠した引張試験をサンプルに対して横方向に実施する。x軸20に伸びεが示され、y軸21にこの伸びを生じさせるために加えられた力F(ε)が示されている。圧力を加えていない状態22を始点として、伸びεを20mm/分の速度で増加させながら、同時に力F(ε)を測定する。こうして、力‐伸び曲線23を作成する。これにより、伸びをサンプルが状態24で断裂するまで増加させて、ここから破断伸びε
bおよび引張強さF(ε
b)を決定する。
【0037】
フィルタ材料からセグメントを製造する際、フィルタ材料に、例えば破断伸びの約半分εb/2であるポイント25まで対応する力F(εb/2)で負荷をかけることで、状態26に至る。
【0038】
ポイント22と26とをつなぐライン17は、線形弾性挙動を表し得る。対応する変形エネルギーE
linは、ポイント22、26、および25により形成される三角形の領域に対応する。これに対して、総変形エネルギーEは、ポイント22からポイント25までのライン、ポイント25からポイント26までのライン、およびポイント26からポイント22までのライン23に囲まれた領域に対応する。変形エネルギーの非線形部分E
nlは、ポイント22とポイント26との間に各々あるライン27およびライン23により規定される領域に対応する。非常に類似した破断伸びにおいて、また、非常に類似した変形エネルギーのリニア部分に対して、非線形変形エネルギーの部分は実質的に小さいことが分かる。したがって、このようなフィルタ材料は、変形に対して主として弾性的に反応し、負荷の除去後は、本質的に変形全体を元に戻すであろう。
図1に示すフィルタ材料と同様の塑性変形エネルギーを導入するためには、ライン28で示すように、フィルタ材料をポイント29まで引き伸ばす必要があろう。必要な伸びはかなり大きくなり、とりわけ、必要な力は横方向の引張強さに近づく。機械のわずかな偏差やフィルタ材料の品質のばらつきにより、フィルタ材料は、横方向に断裂し得る。これに対して、本発明による
図1からのフィルタ材料は、小さな伸びで横方向の永久変形を可能にする構造を既に有している。このため、喫煙具用のセグメントを、このフィルタ材料からより確実に製造できる。
【0039】
本発明によるフィルタ材料は、ウェブ状であるため、クリンプ加工に極めて適している。
【0040】
フィルタ材料の好適な実施形態において、フィルタ材料は、水流絡合(水で絡まった(hydrogentangled))不織布または紙である。
【0041】
フィルタ材料の好適な実施形態において、フィルタ材料は、水流絡合不織布である。
【0042】
フィルタ材料の好適な実施形態において、フィルタ材料は、紙である。
【0043】
「水流絡合」という用語は、第1に基礎となる製造プロセスを指すが、水流絡合不織布は、特徴的な構造特性を有しており、この構造特性により、水流絡合不織布は他の不織布から区別されるとともに、本発明者らの知る限り、この構造特性は、他の製造プロセスにより同一の態様で得ることができないことに留意すべきである。例えば、強度が主として水素結合に起因する紙であって、繊維が主として紙の平面内に配向されている紙以外では、水流絡合不織布の強度は、繊維の絡合により達成される。水流絡合不織布は、特に多孔質構造を有することにより、喫煙具のセグメント用のフィルタ材料として特に適している。
【0044】
フィルタ材料が紙である場合、好適には、同様の多孔質構造が傾斜ワイヤ抄紙機により作製され得る。したがって、下記の本発明によるフィルタ材料、フィルタ材料から製造される本発明によるセグメント、およびセグメントから製造される本発明による喫煙具の特性は、本発明によるフィルタ材料が水流絡合不織布であっても紙であっても無関係に保持される。
【0045】
特に、下記の本発明によるフィルタ材料を製造するための本発明による第3のプロセスは、製紙ステップと水流絡合ステップとを組み合わせて備えるため、得られるフィルタ材料は、紙または水流絡合不織布として一義的に指定されない。
【0046】
本発明によるフィルタ材料は、セルロース繊維を含む。本発明者らの知見によれば、セルロース繊維は、セグメントに加工できるようフィルタ材料に十分な強度を与えるために必要である。本発明によれば、フィルタ材料中のセルロース繊維の割合は、フィルタ材料の質量の少なくとも50%~最大で100であるが、好適にはフィルタ材料の質量に対して各々少なくとも60%~最大で100%、特に好適には少なくとも70%~最大で95%である。
【0047】
セルロース繊維は、パルプ繊維、再生セルロース製繊維、またはこれらの混合物であり得る。
【0048】
パルプ繊維は、好適には、針葉樹材、落葉樹材、または麻、亜麻、ジュート、ラミー、ケナフ、カポック、ココナッツ、アバカ、サイザル麻、竹、綿等の他の植物、またはエスパルト草から調達される。また、種々の調達源のパルプ繊維の混合物が、水流絡合フィルタ材料を製造するために使用され得る。特に好適には、パルプ繊維は針葉樹材から調達される。なぜならば、このような繊維は、小さい割合でもフィルタ材料に良好な強度を与えるからである。
【0049】
本発明によるフィルタ材料は、再生セルロース製繊維を含み得る。好適には、再生セルロース製繊維の割合は、フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも5%~最大で50%、特に好適には少なくとも10%~最大で45%、より特に好適には少なくとも15%~最大で40%である。
【0050】
再生セルロース製繊維は、好適には、ビスコース繊維、モダール繊維、リヨセル(R)繊維、テンセル(R)繊維、またはこれらの混合物により少なくとも部分的に、特に70%を超えて形成される。これらの繊維は良好な生分解性を有し、フィルタ材料の強度を最適化するとともにこれから製造した喫煙具用セグメントのフィルタリング効率を調整するように使用することができる。製造プロセスにより、これらの繊維は、天然源から調達されるパルプ繊維よりもばらつきが少ないため、フィルタ材料から製造されるセグメントの特性が、パルプ繊維のみを使用した場合よりもばらつかないということに寄与する。しかしながら、その製造には手間がかかり、通常パルプ繊維よりも高価である。
【0051】
本発明によれば、フィルタ材料の坪量は、少なくとも15g/m2~最大で60g/m2、好適には少なくとも18g/m2~最大で55g/m2、特に好適には少なくとも20g/m2~最大で50g/m2である。坪量は、フィルタ材料の引張強さに影響を与える。一般に、坪量が高いほど引張強さが高くなる。しかしながら、坪量は高すぎてはならない。なぜならば、フィルタ材料を喫煙具用のセグメントに高速で加工できなくなるからである。値は、ISO536:2019に準拠して測定した坪量を指す。
【0052】
本発明によるフィルタ材料について、ISO1924‐2:2008に準拠した横方向における引張試験において、フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%である。
【0053】
好適には、フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも15%~最大で40%であり、特に好適には、非線形部分は、少なくとも15%~最大で35%、特に少なくとも18%~最大で50%である。好適な区間および特に好適な区間において、クリンプ加工時の非常に良好な結果が適度な伸びで達成され得るとともに、フィルタ材料が横方向に断裂するリスクが非常に低い。
【0054】
特定の特性を得るために、本発明によるフィルタ材料は、アルキルケテンダイマー(AKD)、特にアルケニルコハク酸無水物(ASA)である酸無水物、ポリビニルアルコール、ワックス、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、キトサン、湿潤強度剤、または特に有機もしくは無機の酸もしくは塩基であるpHを調整する物質等の添加剤を含み得る。代替的または追加的に、本発明によるフィルタ材料は、クエン酸三ナトリウムまたはクエン酸三カリウム等のクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム等の酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α‐ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩化物、および炭酸水素塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含み得る。
【0055】
当業者であれば、経験からこのような添加剤の種類と量を判断することができる。
【0056】
本発明によるフィルタ材料は、フィルタ材料のフィルタリング効率を酢酸セルロースのフィルタリング効率にもっと良好に一致させるさらなる物質をも備え得る。本発明によるフィルタ材料の好適な実施形態において、フィルタ材料は、トリアセチン、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセローラ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、クエン酸トリエチル、またはこれらの混合物からなる群から選択される物質を備える。
【0057】
フィルタ材料の好適な実施形態において、セルロース繊維の少なくとも一部が充填材を含み、充填材は、特に好適には鉱物粒子、特に炭酸カルシウム粒子により形成される。フィルタ材料の構造は非常に多孔質であるため、充填材を保持するのに適していない。そこで、セルロース繊維に充填材を含ませることで、それをフィルタ材料の構造内に保持することが有利である。充填材は、フィルタ材料に特殊な特性を提供する役割を果たし得る。
【0058】
ISO534:2011に準拠して測定したフィルタ材料の1つの層の厚さは、少なくとも25μm~最大で1000μm、好適には少なくとも30μm~最大で800μm、特に好適には少なくとも35μm~最大で600μmである。
【0059】
フィルタ材料の機械的特性は、本発明によるフィルタ材料を喫煙具のセグメントに加工するために重要である。ISO1924‐2:2008に準拠して測定した横方向における幅に対するフィルタ材料の引張強さは、好適には少なくとも0.05kN/m~最大で5kN/m、特に好適には少なくとも0.07kN/m~最大で4kN/mである。
【0060】
したがって、ISO1924‐2:2008に準拠して測定した横方向におけるフィルタ材料の破断伸びは、好適には少なくとも0.5%~最大50%、特に好適には少なくとも0.8%~最大で40%である。破断伸びは、主として繊維の長さによって決定される。繊維が長いほど、破断伸びが高くなる。このため、破断伸びを、フィルタ材料に固有の要件に合わせて広い範囲で調整することができる。
【0061】
喫煙具用の本発明によるセグメントを、先行技術において既知のプロセスに従って、本発明によるフィルタ材料から製造することができる。これらのプロセスは、例えば、フィルタ材料をクリンプ加工するステップと、クリンプ加工したフィルタ材料から連続的なトウを形成するステップと、連続的なトウを包装材料で巻くステップと、巻かれたトウを所定長さの個々のロッドに切断するステップと、を備える。多くの場合、このようなロッドの長さは、本発明による喫煙具において後に使用されるセグメントの長さの整数倍であるため、ロッドは、喫煙具の製造前または製造中に、所望の長さのセグメントに切断される。
【0062】
喫煙具用の本発明によるセグメントは、本発明によるフィルタ材料と包装材料とを備える。
【0063】
具体的には、セグメントは、横方向にギャザーを寄せたフィルタ材料と包装材料とを備える。フィルタ材料は、フィルタ材料の質量に対して各々少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含む。ここで、フィルタ材料は、少なくとも15g/m2~最大で60g/m2の坪量を有する。ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さは、少なくとも25μm~最大で1000μmである。坪量を求めるには、フィルタ材料が広がっている場合(すなわちもうギャザーを寄せた状態でない場合)、その面積が使用される。このような1つの層の厚さは、当然ながら、広がったフィルタ材料を指す。フィルタ材料は横方向を有し、横方向においてフィルタ材料はギャザーを寄せられる。フィルタ材料にギャザーを寄せるステップを容易にするように、フィルタ材料をクリンプ加工またはプリーツ加工により予め形成することができる。「ギャザー」という用語は広く解釈されるべきであり、「ギャザーを寄せる」という動詞は、「ギャザーが寄せられた」状態を達成する特定の機械的方法を示唆するものではない。また、「プリーツ加工された」状態は、横方向にプリーツ加工や短縮加工を達成する機械的方法に関係なく、例えば本開示の文脈において「ギャザーを寄せた」状態である。さらに、ギャザーを寄せていない状態において、フィルタ材料は、横方向における特徴的な塑性変形性を有する。特徴的な塑性変形性は、ISO1924‐2:2008に準拠した横方向における引張試験において、フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とする。
【0064】
本発明によるセグメントの好適な実施形態において、セグメントは、少なくとも3mm~最大で10mm、特に好適には少なくとも4mm~最大で9mm、より特に好適には少なくとも5mm~最大で8mmの直径を有する円筒形である。これらの直径は、本発明によるセグメントを喫煙具に使用するのに有利である。
【0065】
本発明によるセグメントの好適な実施形態において、セグメントは、少なくとも4mm~最大で40mm、特に好適には少なくとも6mm~最大で35mm、より特に好適には少なくとも10mm~最大で28mmの長さを有する。
【0066】
セグメントの吸引抵抗は、とりわけ、喫煙具を通過する一定の体積流を生成するために、喫煙具の使用中に消費者がどの程度の圧力差を加える必要があるかを決定するため、消費者による喫煙具の受容に本質的に影響する。セグメントの吸引抵抗は、ISO6565:2015に準拠して測定され得るとともに、mmウォーターゲージ(mmWG))で与えられる。セグメントの吸引抵抗はセグメントの長さに非常に近似的に比例するため、吸引抵抗の測定は、セグメントと長さのみが異なるロッドにおいても実施することができる。セグメントの吸引抵抗を、これから簡単に計算することができる。
【0067】
前記セグメントの単位長さ当たりの前記セグメントの吸引抵抗は、好適には少なくとも1mmWG/mm~最大で12mmWG/mm、特に好適には少なくとも2mmWG/mm~最大で10mmWG/mmである。
【0068】
本発明による包装材料は、好適には紙またはフィルムである。
【0069】
本発明によるセグメントの包装材料は、好適には、少なくとも20g/m2~最大で150g/m2、特に好適には少なくとも30g/m2~最大で130g/m2のISO536:2019に準拠した坪量を有する。この好適な坪量または特に好適な坪量を有する包装材料は、これで巻かれた本発明によるセグメントに特に有利な硬度を提供する。
【0070】
本発明による喫煙具は、本発明によるセグメントから、先行技術において知られたプロセスに従って製造され得る。
【0071】
本発明による喫煙具は、エアロゾル形成材料を含むセグメントと、本発明によるフィルタ材料および包装材料を備えるセグメントと、を備える。
【0072】
本発明によるセグメントの切断面は、酢酸セルロース製セグメントのものと光学的に非常に類似しているため、好適な実施形態において、喫煙具の口端部の隣に位置するセグメントは、本発明によるセグメントである。
【0073】
好適な実施形態において、喫煙具はフィルタ付きたばこであり、エアロゾル形成材料はタバコを含む。
【0074】
好適な実施形態において、喫煙具は、その意図された使用中に、前記エアロゾル形成材料を加熱するのみで燃焼させない喫煙具であり、エアロゾル形成材料は、好適には、タバコ、再構成タバコ、ニコチン、グリセローラ、プロピレングリコール、またはこれらの混合物からなる群から選択される材料を備える。ここで、エアロゾル形成材料は、液体の形態で存在し得るとともに、喫煙具内の対応する容器に配置され得る。
【0075】
本発明者らの知見によれば、変形エネルギーの非線形部分は、フィルタ材料中の繊維をフィルタ材料の機械方向においてより強度に配向することにより得ることができる。これは、以下に説明する本発明による方法により達成され得る。
【0076】
本発明によるフィルタ材料は、ステップA1~A3を備える本発明による第1プロセスに従って製造され得る。すなわち、第1プロセスは、
A1‐セルロース繊維を備える繊維ウェブを提供するステップであって、前記繊維ウェブは、機械方向と、これに直交して前記ウェブの平面内にある横方向と、を有するステップと、
A2‐前記繊維ウェブに向けた水ジェットにより前記繊維ウェブを水流絡合させて、水流絡合繊維ウェブを作製するステップと、
A3‐前記水流絡合繊維ウェブを乾燥させるステップと、
を備え、
ステップA1において、前記繊維ウェブ中のセルロース繊維の量または割合を、ステップA3における乾燥後に、前記フィルタ材料の質量に対して前記フィルタ材料が少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含むように選択し、
ステップA2において、前記水ジェットの個数、圧力または配置を、前記フィルタ材料に前記横方向において特徴的な塑性変形性が提供されるように選択し、前記特徴的な塑性変形性は、ステップA3における乾燥後に前記横方向においてISO1924‐2:2008に準拠して前記フィルタ材料に実施される引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とし、
ステップA3における乾燥後に、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m2~最大で60g/m2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、ステップA3における乾燥後に、少なくとも25μm~最大で1000μmである。
【0077】
ステップA2において繊維ウェブに向ける水ジェットにより、セルロース繊維の絡合が生じ、横方向における有利な塑性挙動を導く構造を作り出すことができる。「水ジェットの圧力」の下で、当業者は、例えば圧力チャンバにおいて水ジェットを生成するために加えられる圧力をここで理解するであろう。本発明者らの知見によれば、フィルタ材料の有利な塑性挙動を達成するためには、フィルタ材料中の横方向に配向された繊維の割合が低く、繊維は機械方向および厚さ方向においてより多く配向されることが重要である。フィルタ材料において本発明によるこの構造を作り出すために、水ジェットを、横方向において互いに近接して配置すべきである。繊維ウェブに同時にヒットする水ジェットが近接していることにより、水は横方向よりも機械方向において広がり、繊維を当該方向に配向する。
【0078】
したがって、水ジェットの圧力を、一般に使用される圧力に比較して低減させることができる。水ジェットの距離および圧力は、水ジェットが流出する開口のサイズ、そしてとりわけ繊維ウェブの速度にも依存するため、当業者は、特定の実施形態を考慮して簡単な実験により、経験に従って特定の値を選択することができる。
【0079】
本発明による第1プロセスの好適な実施形態において、複数の水ジェットを、ステップA2の水流絡合を実施するように使用し、前記水ジェットを、前記繊維ウェブの前記機械方向を横断するように少なくとも1列に配置する。
【0080】
本発明によるプロセスの好適な実施形態において、ステップA2における水流絡合を、前記繊維ウェブに向けた少なくとも2列の水ジェットにより実施し、特に好適には、少なくとも1列の前記水ジェットは、前記繊維ウェブの2つの側面の各々に作用する。
【0081】
この第1プロセスに従って製造したフィルタ材料は、喫煙具用のセグメントでの使用に適していなければならない。これは、特にフィルタ材料が、フィルタ材料について上記した、かつフィルタ材料に関する従属請求項に規定されたすべての特徴を単独で、または組み合わせて有し得ることを意味する。
【0082】
本発明によるフィルタ材料は、ステップB1~B4を備える本発明による第2プロセスに従って製造され得る。すなわち、第2プロセスは、
B1‐セルロース繊維を備える水性懸濁液を作製するステップと、
B2‐ステップB1からの前記懸濁液を走行ワイヤに塗布するステップと、
B3‐前記懸濁液を前記走行ワイヤを通して脱水し、繊維ウェブを形成するステップと、
B4‐ステップB3からの前記繊維ウェブを乾燥させるステップと、
を備え、
ステップB1において、前記繊維ウェブ中のセルロース繊維の量または割合を、ステップB4における乾燥後に、前記フィルタ材料の質量に対して前記フィルタ材料が少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含むように選択し、
前記繊維ウェブの機械方向が、ステップB3における前記ワイヤの走行方向により規定されるとともに、横方向が、これに対して直交するとともに前記繊維ウェブの平面内にある方向により規定され、
ステップB2において、前記懸濁液を、前記走行ワイヤの速度よりも遅い速度で前記ワイヤに塗布し、これらの速度間の差を前記フィルタ材料に前記横方向において特徴的な塑性変形性が提供されるように選択し、前記特徴的な塑性変形性は、ステップB4における乾燥後に前記横方向においてISO1924‐2:2008に準拠して前記フィルタ材料に実施される引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とし、
ステップB4における乾燥後に、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m2~最大で60g/m2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、ステップB4における乾燥後に、少なくとも25μm~最大で1000μmである。
【0083】
ここで、走行ワイヤと懸濁液の速度は、同一の基準フレームを指すと理解すべきであり、速度を変えることは、本プロセスのこの実施形態において利用される懸濁液と走行ワイヤとの相対速度をもたらす。
【0084】
この第2プロセスに従って製造したフィルタ材料は、喫煙具用のセグメントでの使用に適していなければならない。これは、特にフィルタ材料が、フィルタ材料について前記した、かつフィルタ材料に関する従属請求項に規定されたすべての特徴を単独で、または組み合わせて特に有し得ることを意味する。
【0085】
本発明によるこの第2プロセスにおいて、ステップB2において懸濁液が走行ワイヤを流れる速度とステップB2における走行ワイヤの速度とが互いに対して適切に調節されるため、繊維ウェブは所望の構造を達成する。特に、本発明者らの知見によれば、ステップB2において懸濁液がワイヤを流れる速度は、走行ワイヤの速度よりも遅くなくてはならない。速度差により、懸濁液はワイヤとともに運ばれ、懸濁液中に剪断力が生じる。剪断力は、セルロース繊維を機械方向に配向するため、本発明による横方向における塑性変形性をもたらすフィルタ材料の構造に寄与する。
【0086】
当業者は、自分の経験に従って実施形態を考慮しつつ、または簡単な実験により速度差の大きさを選択することができる。本発明者らの経験によれば、ステップB2において懸濁液を走行ワイヤに、走行ワイヤの速度の約90%でしかない速度、例えば走行ワイヤの速度の88%~93%の速度で塗布すれば、多くの場合横方向における所望の塑性変形性を有する構造を得ることができる。この値は、単に基準点としてのみのものである。速度差の適切な数値は、少なくとも部分的に残りのプロセスパラメータに依存するため、実際には、当業者が実験的に決定し得る。ガイド原理や最終的に決定的な基準は、これにより製造したフィルタ材料の横方向において得られる特徴的な塑性変形性であり、これは、上述のように、ISO1924‐2:2008に準拠した横方向における引張試験を参照して特徴付けられる。
【0087】
本発明によるフィルタ材料は、ステップC1~C6を備える本発明による第3プロセスに従って製造され得る。すなわち、第3プロセスは、
C1‐セルロース繊維を備える水性懸濁液を作製するステップと、
C2‐ステップB1からの前記懸濁液を走行ワイヤに塗布するステップと、
C3‐前記懸濁液を走行ワイヤを通して脱水し、繊維ウェブを形成するステップと、
C4‐ステップC3からの前記繊維ウェブを支持ワイヤに移送するステップと、
C5‐前記繊維ウェブに水ジェットを向けることにより前記繊維ウェブを水流絡合させて水流絡合繊維ウェブを形成するステップと、
C6‐前記水流絡合繊維ウェブを乾燥させるステップと、
を備え、
ステップC1において、前記繊維ウェブ中のセルロース繊維の量または割合を、ステップC6における乾燥後に、前記フィルタ材料の質量に対して前記フィルタ材料が少なくとも50%~最大で100%のセルロース繊維を含むように選択し、
ステップC3において、前記繊維ウェブの機械方向が前記ワイヤの走行方向により規定され、横方向がこれに対して直交するとともに前記繊維ウェブの平面内にある方向により規定され、
ステップC6における乾燥後に、前記フィルタ材料は、少なくとも15g/m2~最大で60g/m2の坪量を有し、
ISO534:2011に準拠して測定した前記フィルタ材料の1つの層の厚さが、ステップC6における乾燥後に、少なくとも25μm~最大で1000μmであり、
ステップC2において、前記懸濁液を、前記走行ワイヤの速度よりも遅い速度で前記走行ワイヤに塗布し、ステップC2におけるこれらの速度間の差、およびステップC5における前記水ジェットの個数、圧力および/または配置を、前記フィルタ材料に前記横方向において特徴的な塑性変形性が提供されるように選択し、前記特徴的な塑性変形性は、ステップC6における乾燥後に前記横方向においてISO1924‐2:2008に準拠して前記フィルタ材料に実施される引張試験において、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する変形エネルギーの非線形部分が、前記フィルタ材料が破断伸びの半分まで吸収する全変形エネルギーの少なくとも10%~最大で50%であることを特徴とする。
【0088】
本発明による第2プロセスまたは第3プロセスの好適な実施形態において、ステップB1またはC1における前記水性懸濁液は、最大で3.0%、特に好適には最大で1.0%、より特に好適には最大で0.2%、特に最大で0.05%の固形分含量をそれぞれ有する。懸濁液の特に低い固形分含量により、ステップB3において繊維ウェブを低密度で形成することができるため、これから製造されるフィルタリング効率に有利である。
【0089】
本発明による第2プロセスまたは第3プロセスの好適な実施形態において、ステップB2およびステップB3、またはステップC2およびステップC3の前記走行ワイヤは、水平方向に対して前記繊維ウェブの前記機械方向において上方に少なくとも3°~最大で40°の角度で、特に好適には少なくとも5°~最大で30°の角度で、より特に好適には少なくとも15°~最大で25°の角度でそれぞれ傾斜する。
【0090】
本発明による第2プロセスまたは第3プロセスの好適な実施形態において、前記プロセスは、前記走行ワイヤの2つの前記側面間の圧力差を生成してステップB3またはステップC3における前記懸濁液の脱水を支援するステップを備え、特に好適には、前記圧力差を真空ボックスまたは適切な形状を有するホイルにより生成する。
【0091】
本発明による第1プロセス、第2プロセス、または第3プロセスの好適な実施形態において、ステップA3、B4またはC6における乾燥を、少なくとも部分的に、熱風との接触により、赤外線放射により、またはマイクロ波放射によりそれぞれ実施する。加熱表面との直接的な接触による乾燥も可能ではあるが、フィルタ材料の厚さがこれにより減少する可能性があるため、あまり好適ではない。
【0092】
本発明による第1プロセスの好適な実施形態は、本発明による第3プロセスにも適用可能である。ステップA2がステップC5に、ステップA3がステップC6に対応する。また、本発明による第2プロセスの好適な実施形態は、本発明による第3プロセスにも適用可能である。ステップB1がステップC1に、ステップB2がステップC2に、ステップB3がステップC3に、ステップB4がステップC6に対応する。
【0093】
本発明による第1プロセス、第2プロセス、または第3プロセスの好適な実施形態において、前記プロセスは、1つ以上の添加剤を前記繊維ウェブに塗布するさらなるステップを備える。前記添加剤は、好適には、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)等の酸無水物、ポリビニルアルコール、ワックス、脂肪酸、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、キトサン、湿潤強度剤、または有機もしくは無機の酸もしくは塩基等のpHを調整する物質、およびこれらの混合物からなる群から選択される。代替的または追加的に、クエン酸三ナトリウムまたはクエン酸三カリウム等のクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム等の酢酸塩、硝酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、サリチル酸塩、α‐ヒドロキシカプリル酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、塩化物、および炭酸水素塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤が、塗布され得る。
【0094】
好適な実施形態において、1つの添加剤または複数の前記添加剤の塗布を、本発明によるプロセスのステップA2とステップA3との間に、またはステップA3の後に実施し、その後繊維ウェブを乾燥させるさらなるステップが続く。
【0095】
好適な実施形態において、1つの前記添加剤または複数の前記添加剤の塗布を、本発明によるプロセスのステップB3とステップB4との間に、またはステップB4の後に実施し、その後繊維ウェブを乾燥させるさらなるステップが続く。
【0096】
本発明による第3プロセスの好適な実施形態において、1つの前記添加剤または複数の前記添加剤の塗布を、本発明によるステップC3とステップC4との間に、またはステップC3とステップC5との間に、またはステップC5とステップC6との間に、またはステップC6の後に実施し、その後繊維ウェブを乾燥させるさらなるステップが続く。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】
図1は、一例として、本発明によるフィルタ材料の力‐伸び図を示す。
【
図2】
図2は、一例として、本発明によらないフィルタ材料の力‐伸び図を示す。
【
図3】
図3は、本発明によるフィルタ材料を製造するための本発明による第3プロセスが実施され得る装置を示す。
【
図4】
図4は、本発明による実施形態A、BおよびCの横方向において測定した力‐伸び曲線を示す。
【
図5】
図5は、本発明によらない比較例Zの横方向において測定した力‐伸び曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
フィルタ材料、フィルタ材料を製造するためのプロセス、喫煙具用のセグメント、および喫煙具のいくつかの好適な実施形態について以下に説明する。さらに、本発明によらない比較例について説明する。
【0099】
例示的実施形態A、BおよびC
図3に示す装置を使用して、本発明による実施形態A、BおよびCを製造した。
【0100】
パルプ繊維および再生セルロース製繊維の懸濁液31を、貯蔵タンク32に供給した(ステップC1)。そこから懸濁液31を水平方向に対して上方に傾斜した走行ワイヤ33に圧送し(ステップC2)、真空ボックス39により脱水した(ステップC3)。これにより、繊維ウェブ34がワイヤ上に形成された。その全体移動方向を、矢印310で示す。ここで、繊維を主として機械方向に配向させるように、ワイヤ33が移動する速度を、貯蔵タンク32から流出する懸濁液31の速度よりも約10%速くなるように選択した。繊維ウェブ34をワイヤ33から外し、同じく走行している走行支持ワイヤ35に移送した(ステップC4)。ここで、装置36から、繊維ウェブ34の機械方向に対して横断する方向に複数列に配置された水ジェット311を繊維ウェブ34に向けて、繊維を絡合させるとともに繊維ウェブ34を固めて不織布にした(ステップC5)。ステップC5に続き、同様に水ジェット312をさらなる装置37により繊維ウェブ34の他側に向けた。そして、まだ湿っている不織布を乾燥ユニット38を通過させてここで乾燥させて(ステップC6)、フィルタ材料を得た。
【0101】
フィルタ材料を製造するために、針葉樹材から製造したパルプ繊維とリヨセル(R)繊維の混合物を使用した。繊維の量は、完成したフィルタ材料が65%のパルプ繊維と35%のリヨセル(R)繊維からなるように選択した。完成したフィルタ材料は、55g/m2のISO536:2019に準拠した坪量を有した。
【0102】
製造プロセスのステップC5において、最初に、
図3において3列の水ジェット311を繊維ウェブ34の第1側に向け、そして、
図3において1列の水ジェット312を繊維ウェブ34の第2側に向けた。ここで、本発明による異なるフィルタ材料A、BおよびCを得るように、水ジェットの圧力を2MPaから40MPaの間で三段階(低、中、高)に変化させた。水ジェットが流出する開口の直径を、列間で異ならせ、80μm~120μmになるように選択した。開口部の中心から中心までの距離は、0.3mmであった。
【0103】
これらのフィルタ材料からサンプルを横方向に採取して、ISO1924‐2:2008に準拠した引張試験における力‐伸び図を記録した。結果を
図4に示す。x軸40に伸び(%)を示し、y軸41に力(N)を示す。A、BおよびCで示す3つのラインは、本発明による3つのフィルタ材料A、BおよびCの力‐伸び図を示す。一例として、フィルタ材料Cに関して、破断伸びの半分まで吸収される総変形エネルギーに対する破断伸びの半分まで吸収される変形エネルギーの非線形部分の規定について説明する。
【0104】
破断伸びの半分εb/2において、対応する力F(εb/2)を求め、これから変形エネルギーの線形部分Elinを次式により計算することができる。
【0105】
【0106】
破断伸びの半分まで吸収される総変形エネルギーは、ε=0からε=εb/2までのx軸40と曲線Cのなす領域に相当し、数値積分の方法により十分な精度で問題なく求めることができる。変形エネルギーの線形部分Elinをここから差し引くと、変形エネルギーの非線形部分Enlに相当するハッチング領域が残る。
【0107】
破断伸びの半分までの変形エネルギーの測定を、すべてのフィルタ材料A、BおよびCについて実施した。結果を表1に示す。ここで、Eは総変形エネルギー、Elinは変形エネルギーの線形部分、Enlは変形エネルギーの非線形部分であり、各々は破断伸びの半分までの横方向におけるものである。変形エネルギーは、力‐伸び曲線から数値的に求めたため、正式にはN・%という単位を有する。通常の単位であるJ/m2に到達するには、サンプルの形状を考慮する必要がある。ここでは、互いに対する比率のみが重要であり、サンプルの形状は同一であるため、考慮しなかった。破断伸びεbおよび破断伸びの半分の力F(εb/2)も示されている。
【0108】
【0109】
表1の値から、本発明による実施形態A、BおよびCでは、変形エネルギーの非線形部分が約20%から約30%であることが分かる。また、水ジェットの圧力が高くなるにつれて、破断伸びが低下することも注目される。この理由により、水ジェットに対して低い圧力を選択することは有利であり得る。なぜならば、良好な塑性伸び挙動の他に、クリンプ加工中の大きな永久変形が可能になるからである。
【0110】
例示的実施形態D
本発明による例示的実施形態Dを製造するため、ステップB1~B4を備える本発明による第2プロセスを選択した。
【0111】
フィルタ材料を製造するために、針葉樹材から製造したパルプ繊維とリヨセル(R)繊維の混合物を使用した。繊維の量は、完成したフィルタ材料が80%のパルプ繊維と20%のリヨセル(R)繊維からなるように選択した。完成したフィルタ材料は、15g/m2のISO536:2019に準拠した坪量を有した。
【0112】
本発明によるプロセスのステップB2において、流出する懸濁液の速度を、走行ワイヤの速度よりも約10%遅くなるように選択した。
【0113】
このようにして得られたフィルタ材料Dから4つのサンプルを横方向に採取して、ISO1924‐2:2008に準拠した引張試験における力‐伸び図を記録した。力‐伸び図の評価は、実施形態A、BおよびCと同様に実施した。4つの測定物の結果を表2に示す。
【0114】
【0115】
表2の値から、本発明によるフィルタ材料Dは、約30%の変形エネルギーの非線形部分を有すること、および同一のサンプル材料で繰り返し測定してもばらつきが小さいことが分かる。これは、懸濁液がステップB2において走行ワイヤに低下した速度で塗布された場合、ステップB1~B3が、横方向における所望の塑性変形性に実際に寄与していることを示す。
【0116】
例示的実施形態E
一方で、水流絡合不織布において本発明による横方向における特徴的な塑性変形性を得るために、例示的実施形態A、BおよびCにおいて用いられるステップC2(懸濁液の速度の低下を伴う)の特別な実行は必要ない。これは、以下の例示的実施形態Eから分かる。本発明による例示的実施形態Eを製造するため、ステップA1~A3を備える本発明による第1プロセスを使用した。
【0117】
実施形態Eにおけるフィルタ材料を製造するため、針葉樹材製のパルプ繊維とリヨセル(R)繊維との混合物を使用した。繊維の量は、完成したフィルタ材料が80%のパルプ繊維と20%のリヨセル(R)繊維からなるように選択した。ステップA1を、第2プロセスまたは第3プロセスのそれぞれのステップB2またはステップC2のように、懸濁液の塗布速度を低下させることにより繊維ウェブ中のパルプ繊維に機械方向を横断する所望の方向を与えることなく実施した。完成したフィルタ材料は、15g/m2のISO536:2019に準拠した坪量を有した。
【0118】
水流絡合ステップA2を、例示的実施形態BのステップC5と同様に実施した。
【0119】
このようにして得られたフィルタ材料Eから2つのサンプルを横方向に採取して、ISO1924‐2:2008に準拠した引張試験における力‐伸び図を記録した。力‐伸び図の評価は、実施形態A~Cと同様に実施した。2つの測定物の結果を表3に示す。
【0120】
【0121】
表3の値から、本発明による第1プロセスに従って製造されたフィルタ材料Eは、約17%の非線形変形エネルギーの割合を有することが分かる。ステップC5における適切な水流絡合の実施とステップC2における減速した塗布速度による繊維ウェブの事前構造化との組み合わせ、すなわち本発明による第1プロセスと第2プロセスとの組み合わせにより製造された実施形態A~Cとの比較から、この組み合わせにより、約22%~約28%の非線形変形エネルギーのより大きな割合が提供されるため、クリンプ加工時のより良好な動作がもたらされ得ることが分かる。当然ながら、プロセスを組み合わせる労力は、単一の第1プロセスのものより、すなわち、実施形態Eのように、横方向における特徴的な塑性変形性がステップA2における水流絡合の適切な実施のみにより得られる場合よりわずかに大きい。実施形態Eは、このより単純なプロセスでも、本発明によるフィルタ材料が製造され得ることを示す。
【0122】
比較例Z
本発明によらないフィルタ材料を製造するために、例示的実施形態Dと同一の繊維混合物を使用した。坪量は依然として15g/m2であったが、フィルタ紙の製造に共通する機械設定のみを使用した。
【0123】
変形例Zのフィルタ材料から3つのサンプルを横方向に採取して、ISO1924‐2:2008に準拠した引張試験における力‐伸び図を記録した。力‐伸び図の評価は、実施形態A~Cと同様に実施した。3つの測定物の結果を表4に示す。
【0124】
【0125】
比較例Zの力‐伸び曲線を
図5に示す。定量的な分析をしないでも、この挙動が実質的に線形弾性挙動に近いことが既に明らかである。このため、荷重除去時の変形は、本質的に逆転し、永久変形を達成するにははるかに大きな伸びおよび力が必要である。これは、横方向における引張強さまたは破断伸びを容易に超えることを意味する。
【0126】
セグメントおよび喫煙具の製造
長さ100mm、直径7.85mmの紙で巻いたフィルタロッドを、例示的実施形態A~Eおよび比較例Zの各フィルタ材料から製造した。フィルタ材料の幅およびフィルタ製造時の機械設定は、450±10mmWGの吸引抵抗が生じるように選択した。
【0127】
フィルタロッドを、例示的な実施形態A~Eおよび比較例Zのフィルタ材料から製造することができた。しかし、製造中に、例示的実施形態A~Eのフィルタ材料について、クリンプ加工プロセスが、機械設定の変化、特にクリンプ加工時のローラ間の距離の設定に対して、比較例Zよりも敏感に反応しないことが判明した。
【0128】
フィルタ付きたばこを、先行技術から一般的なプロセスを用いて、実施形態A~Eおよび比較例Zのセグメントから製造した。この製造プロセスに何ら問題はなかった。
【0129】
したがって、本発明によるフィルタ材料から、セグメントおよび喫煙具を一般的な水流絡合不織布や紙よりも確実かつ容易に製造することができること、および有利な塑性伸び挙動を理由としてクリンプ加工時により良好な結果を得られることが分かる。
【国際調査報告】