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特表2024-528404フッ素化アミドを含む複合材料および電気化学セルにおけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】フッ素化アミドを含む複合材料および電気化学セルにおけるその使用
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/056 20100101AFI20240723BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240723BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240723BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240723BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20240723BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240723BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20240723BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20240723BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20240723BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01M10/056
H01M10/052
H01M4/36 C
H01M4/62 Z
H01B1/06 A
C08L101/00
C08K5/20
C08K3/00
C08K5/06
C08K3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577163
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 CA2022050978
(87)【国際公開番号】W WO2022261785
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】3,122,820
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, シュエウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ダイグル, ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】キム, チス
【テーマコード(参考)】
4J002
5G301
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002BB031
4J002BB121
4J002BC031
4J002BG001
4J002CF001
4J002CG001
4J002CH001
4J002CK021
4J002CL001
4J002CM041
4J002CN011
4J002CN031
4J002CN061
4J002CP031
4J002CQ011
4J002DA019
4J002DA039
4J002DA069
4J002DD009
4J002DE066
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE116
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE186
4J002DE199
4J002DF039
4J002DG026
4J002DH009
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DK006
4J002DK009
4J002DL006
4J002DM006
4J002ED036
4J002EP017
4J002EU119
4J002EU169
4J002EV259
4J002EV269
4J002EV287
4J002EW049
4J002EX077
4J002EY019
4J002FA049
4J002FD016
4J002FD028
4J002FD119
4J002GQ00
4J002GQ02
5G301CA02
5G301CA04
5G301CA12
5G301CA16
5G301CA18
5G301CA28
5G301CA30
5G301CD01
5G301CE01
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK04
5H029AK05
5H029AK07
5H029AK15
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM16
5H029CJ08
5H029DJ08
5H029DJ09
5H029DJ16
5H029EJ04
5H029EJ05
5H029EJ07
5H029EJ08
5H029EJ12
5H029EJ14
5H029HJ01
5H029HJ02
5H050AA07
5H050AA12
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA10
5H050CA11
5H050CA19
5H050CA22
5H050CA25
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB04
5H050CB05
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA10
5H050DA11
5H050DA13
5H050EA08
5H050EA09
5H050EA10
5H050EA12
5H050EA14
5H050EA15
5H050EA23
5H050EA24
5H050EA28
5H050FA16
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA02
(57)【要約】
本発明の技術は、無機粒子、フッ素化アミド化合物、および必要に応じて電解質ポリマー、可塑剤および/または塩を含む複合材料、ならびに複合材料を調製するための方法に関する。本発明の複合材料を含む固体電解質および電極材料、ならびにそれらを含む電気化学セルおよび蓄電池におけるそれらの使用についても記述されている。本出願は、有機添加物を含むポリマー-セラミック複合電解質、それらの製造方法、およびそれらを含む電気化学セルに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子、フッ素化化合物および必要に応じてポリマーを含む複合材料であって、前記フッ素化化合物が、式I:
【化5】
[式中、
およびRは、各出現において独立して、必要に応じて置換されている直鎖状または分枝鎖状C1~8アルキル基、必要に応じて置換されているC3~8シクロアルキル基、必要に応じて置換されているCアリール基、必要に応じて置換されているC3~8ヘテロシクロアルキル基および必要に応じて置換されているC5~6ヘテロアリール基から選択され、
は、OおよびNHから選択されるか、またはXは存在せず、
は、C(O)、S(O)およびSi(R)から選択され、ここで、RおよびRは、各出現において独立して、必要に応じて置換されている直鎖状または分枝鎖状C1~8アルキル基であるか、またはXは存在せず、
ここで、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、1個または複数のフッ素原子によって置換されている基である]
のものである、複合材料。
【請求項2】
が存在せず、Xが、C(O)、S(O)およびSi(R)から選択される、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
が、OおよびNHから選択され、Xが存在しない、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
およびXが存在しない、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
が、1個または複数のフッ素原子によって置換されている基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
が過フッ素化基である、請求項5に記載の複合材料。
【請求項7】
が、直鎖状もしくは分枝鎖状C1~8アルキル基、または直鎖状もしくは分枝鎖状C1~4アルキル基、またはC1~2アルキル基である、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
が、1個または複数のフッ素原子によって置換されている基である、請求項1から7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
が過フッ素化基である、請求項8に記載の複合材料。
【請求項10】
が、直鎖状もしくは分枝鎖状C1~8アルキル基、または直鎖状もしくは分枝鎖状C1~4アルキル基、またはC1~2アルキル基である、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
が、必要に応じて置換されているC3~8シクロアルキル基、または必要に応じて置換されているC3~6シクロアルキル基、または必要に応じて置換されているC5~6シクロアルキル基である、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項12】
前記化合物が、N-メチルトリフルオロアセトアミド(NMTFAm)、N-メチルペンタプロピオンアミド(NMPPPAm)、N-シクロペンチルトリフルオロアセトアミド(NCPTFAm)、N-トリフルオロメチルスルホニルトリフルオロアセトアミド(NTFMSTFAm)、N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(NTMSTFAm)およびビストリフルオロアセトアミド(BTFAm)から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項13】
前記複合材料中における前記化合物の濃度が、1重量%から90重量%、または1重量%から70重量%、または1重量%から50重量%、または1重量%から40重量%、または5重量%から30重量%、または10重量%から25重量%、または15重量%から20重量%の範囲内である、請求項1から12のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項14】
前記ポリマーが存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項15】
前記ポリマーが架橋非プロトン性ポリマーである、請求項14に記載の複合材料。
【請求項16】
前記ポリマーが、分枝鎖状ポリマー、好ましくは多分枝型のものである、請求項14または15に記載の複合材料。
【請求項17】
前記ポリマーが、イオン伝導性セグメントであるポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリエステル、ポリチオエステル、ポリカーボネート、ポリチオカーボネート、ポリイミド、ポリスルホンイミド、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリホスファゼン、およびイオン非伝導性セグメントであるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くのコポリマーもしくは組合せから選択される少なくとも1つのポリマーセグメントを含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項18】
前記ポリマーが、架橋ポリマーの結晶化度を低減させるために、少なくとも2つの異なる繰り返し単位を有するブロックコポリマーを含む少なくとも1つのポリマーセグメントを含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項19】
前記ポリマーセグメントが、架橋前に、少なくとも1つのアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン溶媒和セグメントと、架橋可能な単位を含む架橋可能なセグメントとを含む、ブロックコポリマーを含む、請求項18に記載の複合材料。
【請求項20】
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン溶媒和セグメントが、式II:
【化6】
[式中、
Rは、H、C~C10アルキルおよび-(CH-O-R)から選択され、
は、(CH-CH-O)であり、
は、C~C10アルキル基である]
の繰り返し単位を含むホモポリマーおよびコポリマーから選択される、請求項19に記載の複合材料。
【請求項21】
前記架橋可能な単位が、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニル、水酸化物、エポキシド、アルデヒド、カルボン酸、ハロフェニル、ハロベンジル、アルキン、アジド、アミン、チオールおよびそれらの任意の組合せから選択される官能基を含む、請求項19または20に記載の複合材料。
【請求項22】
前記ポリマーが、前記複合材料中に、1重量%から80重量%、5重量%から70重量%、または10重量%から50重量%、または20重量%から40重量%の範囲内の濃度で存在する、請求項14から21のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項23】
前記無機粒子が、非晶質、セラミックまたはガラスセラミック型の無機化合物、例えば、酸化物、硫化物または酸硫化物を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項24】
前記非晶質、セラミックまたはガラスセラミック型の無機化合物が、酸化物である、請求項23に記載の複合材料。
【請求項25】
前記無機粒子が、Al、Mg、NaO・2B、xMgO・yB・zHO、TiO、ZrO、ZnO、Ti、SiO、Cr、CeO、B、BO、SrBiTi15、LLTO、LLZO、LAGP、LATP、Fe、BaTiO、γ-LiAlO、モレキュラーシーブおよびゼオライト(例えば、アルミノケイ酸塩の、メソポーラスシリカの)、硫化物セラミック(Li11等)、ガラスセラミック(例えばLIPON等)および他のセラミック、ならびにそれらの組合せから選択されるセラミックを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項26】
前記セラミックが、Al、Mg、NaO・2B、xMgO・yB・zHO、TiO、ZrO、ZnO、Ti、SiO、Cr、CeO、B、BO、SrBiTi15、LLTO、LLZO、LAGP、LATP、Fe、BaTiO、γ-LiAlO、モレキュラーシーブおよびゼオライト(例えば、アルミノケイ酸塩、メソポーラスシリカ)、ガラスセラミック(例えばLIPON等)、ならびにそれらの組合せから選択される、請求項25に記載の複合材料。
【請求項27】
前記無機粒子が、球状粒子、ロッド、ニードル、ナノチューブ、またはそれらの組合せの1つの形態である、請求項1から26のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項28】
前記無機粒子が、式:
Li1+zAl2-z(PO
[式中、Mは、Ti、Geまたはそれらの組合せであり、zは、0<z<1となるようなものである]
の化合物から選択される化合物を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項29】
zが、0.1から0.9の、または0.3から0.7の、または0.2から0.4の範囲内である、請求項28に記載の複合材料。
【請求項30】
前記無機粒子が、式:
Li7-xLaZr 12およびLi3yLa(2/3)-yTi1-y’ y’
[式中、
は、Al、Ga、Ta、FeおよびNbから選択され、
は、Ba、B、Al、SiおよびTaから選択され、
xは、0≦x≦1となるようなものであり、
yは、0<y<0.67となるようなものであり、
y’は、0≦y’<1となるようなものである]
の化合物から選択される化合物を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項31】
xが0から0.5の範囲内であり、好ましくはxがゼロであり、Mが存在しない、請求項30に記載の複合材料。
【請求項32】
前記無機粒子含有量が、1重量%から95重量%まで、または5重量%から90重量%まで、または5重量%から80重量%まで、または5重量%から70重量%まで、または5重量%から60重量%まで、または5重量%から50重量%まで、または5重量%から40重量%まで、または5重量%から25重量%まで、または5重量%から15重量%までの範囲内である、請求項1から31のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項33】
前記ポリマーが存在し、前記複合材料が可塑剤をさらに含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項34】
前記可塑剤が、グリコールジエーテル系の液体(テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)等)、炭酸エステル、イオン液体等から選択される、請求項33に記載の複合材料。
【請求項35】
前記可塑剤が、前記複合材料中に、0.1重量%から50重量%の、または10重量%から50重量%の、または20重量%から40重量%の範囲内の濃度で存在する、請求項33または34に記載の複合材料。
【請求項36】
塩をさらに含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項37】
前記塩が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、好ましくはアルカリ金属(好ましくはLi)のカチオンと、アニオンであるヘキサフルオロホスフェート(PF )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((FSI)(TFSI))、2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(TDI)、4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(DCTA)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(BETI)、ジフルオロホスフェート(DFP)、テトラフルオロボレート(BF )、ビス(オキサラト)ボレート(BOB)、硝酸イオン(NO )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、フッ化物イオン(F)、過塩素酸イオン(ClO )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、トリフルオロメタンスルホネート(SOCF )(Tf)、フルオロアルキルホスフェート[PF(CFCF ](FAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ボレート[B(OCOCF(TFAB)、ビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O’)ボレート[B(C(BBB)、ジフルオロ(オキサラト)ボレート(BF(C)(FOB)、式BF のアニオン(式中、R=C2~4アルキル)、およびそれらの組合せの1つ、例えばLiTFSIまたはLiFSIから選択されるアニオンとを含む、請求項36に記載の複合材料。
【請求項38】
請求項1から37のいずれか一項に記載の複合材料の層を含む、固体電解質。
【請求項39】
負極、正極および固体電解質を含み、ここで、前記正極、前記負極および前記電解質のうちの少なくとも1つが、請求項1から37のいずれか一項に記載の複合材料を含む、電気化学セル。
【請求項40】
負極、正極および固体電解質を含み、ここで、前記固体電解質が、請求項38に記載の通りである、電気化学セル。
【請求項41】
負極、正極および固体電解質を含み、ここで、前記固体電解質が、請求項38に記載の通りであり、前記負極および前記正極のうちの少なくとも1つが、請求項1から37のいずれか一項に記載の複合材料を含む、電気化学セル。
【請求項42】
前記正極が、必要に応じて集電体上にある、正極の材料を含み、ここで、前記正極の材料が、正極の電気化学的に活性な材料を含む、請求項39から41のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項43】
前記正極の電気化学的に活性な材料が、金属リン酸塩、リチウム化金属リン酸塩、金属酸化物およびリチウム化金属酸化物から選択される、請求項42に記載の電気化学セル。
【請求項44】
前記正極の電気化学的に活性な材料が、LiM’PO[式中、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはそれらの組合せである]、LiV、VF、LiV、LiMn、LiM’’O[式中、M’’は、Mn、Co、Ni、またはそれらの組合せである](NMC、LiMnCoNi等、ここで、x+y+z=1)、Li(NiM’’’)O(式中、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、Zr、またはそれらの組合せである)、元素硫黄、セレンもしくはヨウ素、フッ化鉄(III)、フッ化銅(II)、ヨウ化リチウム、グラファイト等の炭素をベースとした活性材料、有機カソード活性材料(ポリイミド、ポリ(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシ-4-イルメタクリレート)(PTMA)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸四リチウム(PTCLi)、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、π共役ジカルボキシレートおよびアントラキノン等)、または互いに適合する場合、これらの材料の2つもしくはそれよりも多くの組合せである、請求項42に記載の電気化学セル。
【請求項45】
前記正極の電気化学的に活性な材料が、(例えば、ポリマー、セラミック、炭素、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くの組合せで)必要に応じてコーティングされている粒子の形態である、請求項42から44のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項46】
前記正極の材料が、例えば、カーボンブラック(例えば、Ketjenblack(商標)またはSuper P(商標))、アセチレンブラック(例えば、シャウィニガンブラックまたはDenka(商標)ブラック)、グラファイト、グラフェン、炭素繊維もしくはナノファイバー(例えば、気相成長炭素繊維(VGCF))、カーボンナノチューブ(例えば、単層(SWNT)、多層(MWNT))または金属粉末のうちの少なくとも1つを含む電子伝導性材料をさらに含む、請求項42から45のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項47】
前記正極の材料が、バインダーをさらに含む、請求項42から46のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項48】
前記バインダーが、請求項15から21に定義されるポリマー、またはゴム系バインダー(SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、HNBR(水素化NBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、ACM(アクリル酸ゴム)等)もしくはフッ素化ポリマー系バインダー(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびそれらの組合せ等)から選択されるバインダーであり、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の添加物を必要に応じて含む、請求項47に記載の電気化学セル。
【請求項49】
前記正極の材料が、塩、セラミックもしくはガラス型の無機粒子、または他の適合する活性材料(例えば、硫黄)をさらに含む、請求項42から48のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項50】
前記正極の材料が、請求項1から37のいずれか一項に記載の複合材料をさらに含む、請求項42から48のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項51】
前記負極が、負極の電気化学的に活性な材料を含む、請求項39から50のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項52】
前記負極の電気化学的に活性な材料が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む金属フィルムを含む、請求項51に記載の電気化学セル。
【請求項53】
前記金属フィルムが、1000ppm未満(または0.1質量%未満)の不純物を含むリチウムを含む、請求項52に記載の電気化学セル。
【請求項54】
前記金属フィルムが、リチウムと、リチウム以外のアルカリ金属(Na、K、RbおよびCs等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、SrおよびBa等)、希土類金属(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)、ジルコニウム、銅、銀、ビスマス、コバルト、マンガン、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、スズ、アンチモン、カドミウム、水銀、鉛、モリブデン、鉄、ホウ素、インジウム、タリウム、ニッケルおよびゲルマニウム(例えば、Zr、Cu、Ag、Bi、Co、Zn、Al、Si、Sn、Sb、Cd、Hg、Pb、Mn、B、In、Tl、NiまたはGe)から選択される元素との合金を含む、請求項52に記載の電気化学セル。
【請求項55】
前記合金が、少なくとも75重量%のリチウム、または85重量%から99.9重量%の間のリチウムを含む、請求項54に記載の電気化学セル。
【請求項56】
前記負極の電気化学的に活性な材料が、金属間化合物(例えば、SnSb、TiSnSb、CuSb、AlSb、FeSb、FeSnおよびCoSn)、金属酸化物、金属窒化物、金属リン化物、金属リン酸塩(例えば、LiTi(PO)、金属ハロゲン化物(例えば、金属フッ化物)、金属硫化物、金属酸硫化物、炭素(例えば、グラファイト、グラフェン、還元型酸化グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、膨張グラファイトおよび非晶質炭素)、ケイ素(Si)、ケイ素-炭素複合材(Si-C)、酸化ケイ素(SiO)、酸化ケイ素-炭素複合材(SiO-C)、スズ(Sn)、スズ-炭素複合材(Sn-C)、酸化スズ(SnO)、酸化スズ-炭素複合材(SnO-C)、および適合する場合、それらの組合せを含む、請求項51に記載の電気化学セル。
【請求項57】
前記金属酸化物が、式M’’’’の化合物(式中、M’’’’は、Ti、Mo、Mn、Ni、Co、Cu、V、Fe、Zn、Nb、またはそれらの組合せであり;bおよびcは、c:b比が2から3の範囲内となるような数字である)(例えば、MoO、MoO、MoS、VおよびTiNb)、酸化スピネル(例えば、NiCo、ZnCo、MnCo、CuCoおよびCoFe)およびLiM’’’’’O(式中、M’’’’’は、Ti、Mo、Mn、Ni、Co、Cu、V、Fe、Zn、Nb、またはそれらの組合せである)(例えば、チタン酸リチウム(LiTi12等)または酸化リチウムモリブデン(LiMo13等))から選択される、請求項56に記載の電気化学セル。
【請求項58】
前記負極の電気化学的に活性な材料が、(例えば、ポリマー、セラミック、炭素、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くの組合せで)必要に応じてコーティングされている粒子の形態である、請求項56または57に記載の電気化学セル。
【請求項59】
前記負極の材料が、例えば、カーボンブラック(例えば、Ketjenblack(商標)またはSuper P(商標))、アセチレンブラック(例えば、シャウィニガンブラックまたはDenka(商標)ブラック)、グラファイト、グラフェン、炭素繊維もしくはナノファイバー(例えば、気相成長炭素繊維(VGCF))、カーボンナノチューブ(例えば、単層(SWNT)、多層(MWNT))または金属粉末のうちの少なくとも1つを含む電子伝導性材料をさらに含む、請求項58に記載の電気化学セル。
【請求項60】
前記負極の材料が、バインダーをさらに含む、請求項58または59に記載の電気化学セル。
【請求項61】
前記バインダーが、請求項15から21に定義されるポリマー、またはゴム系バインダー(SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、HNBR(水素化NBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、ACM(アクリル酸ゴム)等)もしくはフッ素化ポリマー系バインダー(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびそれらの組合せ等)から選択されるバインダーであり、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の添加物を必要に応じて含む、請求項60に記載の電気化学セル。
【請求項62】
前記負極の材料が、塩、セラミックもしくはガラス型の無機粒子、または他の適合する活性材料をさらに含む、請求項58から61のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項63】
前記負極の材料が、請求項1から37のいずれか一項に記載の複合材料をさらに含む、請求項58から62のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項64】
請求項39から63のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気化学セルを含む、電気化学蓄電池。
【請求項65】
前記電気化学蓄電池が、リチウムバッテリーまたはリチウムイオンバッテリーである、請求項64に記載の電気化学蓄電池。
【請求項66】
モバイルデバイス、例えば携帯電話、カメラ、タブレットもしくはノートパソコンにおける、電気自動車もしくはハイブリッド自動車における、または再生可能エネルギー貯蔵における、請求項64または65に記載の電気化学蓄電池の使用。
【請求項67】
請求項1から37のいずれか一項に記載の複合材料を調製するための方法であって、前記無機粒子、前記フッ素化化合物および必要に応じて前記ポリマーを混合するステップを含む、方法。
【請求項68】
前記混合するステップが、前記ポリマーおよび必要に応じて架橋剤を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記混合するステップが、前記架橋剤を含み、前記方法が、ポリマー架橋ステップをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、適用法下で、2021年6月18日に出願されたカナダ特許出願第3,122,820号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、有機添加物を含むポリマー-セラミック複合電解質、それらの製造方法、およびそれらを含む電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
リチウムイオン伝導性ポリマー電解質は、より安全でより手頃な価格の製造方法の開発を可能にし、これらは、大判全固体状態バッテリーのために簡単にスケールアップされる(例えば、米国特許第6,903,174号を参照)。しかしながら、低いイオン伝導率は、室温におけるその適用を限定し、従来のリチウムイオンバッテリーと比較して比較的低い充/放電率をもたらす。
【0004】
他方で、固体無機電解質は、液体電解質に匹敵するより高いリチウムイオン伝導率を提供することから、固体状態バッテリーのための有望な候補である。加えて、無機電解質の独自のイオン伝導特性は、リチウム金属界面におけるより低い濃度分極を可能にし、高速バッテリー充電および放電を許容する。高密度塊の相におけるその高いイオン伝導率にもかかわらず、セラミック固体電解質を使用する完全なセルは、セラミック粒子の粒界における、ならびに活性材料粒子、炭素添加物および固体電解質の混合物から作製された複合電極の粒子間における、有意な界面抵抗により、乏しい電気化学的性能に悩まされる。Li+イオン伝導は粒子間モードで行われなくてはならないことから、電気化学的性能は、固体電解質粒子の乏しい分布によっておよび粒子間における空隙の存在によって限定される。
【0005】
ポリマーおよび固体電解質粒子を含む種々の複合型電解質の最近の総説が、S.Tangらのグループによって公開された(Adv. Energy Mater., 2021, 11, 2000802 (1~29頁))。イオン伝導率を改善するために、種々の有機溶媒(炭酸エステル等)および他の可塑剤(1-プロペン-1,3-スルトン、グリセリン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)またはヘキサフルオロプロピレン(HFP)等)を複合材に添加することができる。しかしながら、これらは、例えば、過剰な分量で存在する場合、機械的強度を低減させることができる。これらの複合電解質を用いると、特に電解質層とリチウム金属電極等の電極の1つとの間の界面において、電気化学的不安定性の問題に遭遇する場合もある。実際に、Tangらによれば、複合電解質において達成された進歩にもかかわらず、これらは、イオン伝導率、電気化学的安定性および界面相互作用の観点から種々の難題に依然として直面する。
【0006】
Zhuらのチームは、固体無機-有機複合電解質のイオン伝導率および界面適合性を増大させるために使用され得るいくつかの戦略についても最近記述している(Energy Storage Materials, 2021, 36, 291-308を参照)。イオン伝導率を増大させるための戦略は、無機粒子含有量を調整すること、粒径および形態学を最適化すること、無機粒子を配向させること、無機粒子の表面を(例えば、ポリドーパミン、シラン等で)修飾すること、または小分子の形態の可塑剤等の添加物(スクシノニトリル、TEGDME等)を添加することを含む。固体複合電解質の界面適合性を改善するために記述されている戦略は、対称または非対称多層配置、ポリマー(ポリカプロラクトン等)と無機粒子との間の相互作用、2つの異なるポリマー(ポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびホウ素化ポリ(エチレングリコール)(BPEG)等)の混合物と粒子との間の相互作用等を含む。
したがって、上記で言及した側面のうちの少なくとも1つを改善しながら、それに一般的に関連する利点がある、固体電解質の開発が常に必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,903,174号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
第1の態様によれば、本発明の技術は、無機粒子、フッ素化化合物および必要に応じてポリマーを含む複合材料であって、フッ素化化合物が、式I:
【化1】
[式中、
およびRは、各出現において独立して、必要に応じて置換されている直鎖状または分枝鎖状C1~8アルキル基、必要に応じて置換されているC3~8シクロアルキル基、必要に応じて置換されているCアリール基、必要に応じて置換されているC3~8ヘテロシクロアルキル基、および必要に応じて置換されているC5~6ヘテロアリール基から選択され、
は、OおよびNHから選択されるか、またはXは存在せず、
は、C(O)、S(O)およびSi(R)から選択され、ここで、RおよびRは、各出現において独立して、必要に応じて置換されている直鎖状または分枝鎖状C1~8アルキル基であるか、またはXは存在せず、
ここで、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、1個または複数のフッ素原子によって置換されている基である]
のものである、複合材料に関する。
【0009】
一実施形態によれば、Xは存在せず、Xは、C(O)、S(O)およびSi(R)から選択されるか、またはXはOおよびNHから選択され、Xは存在しないか、またはXおよびXはいずれも存在しない。
【0010】
別の実施形態によれば、Rは、1個または複数のフッ素原子によって置換されている基であり、例えば、Rは過フッ素化基であることができる。一実施形態では、Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状C1~8アルキル基、または直鎖状もしくは分枝鎖状C1~4アルキル基、またはC1~2アルキル基である。
【0011】
一部の実施形態では、Rは、1個または複数のフッ素原子によって置換されている基であり、例えば、Rは過フッ素化基であることができる。一実施形態によれば、Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状C1~8アルキル基、または直鎖状もしくは分枝鎖状C1~4アルキル基、またはC1~2アルキル基である。代替として、Rは、必要に応じて置換されているC3~8シクロアルキル基、または必要に応じて置換されているC3~6シクロアルキル基、または必要に応じて置換されているC5~6シクロアルキル基である。
【0012】
一部の実施形態では、フッ素化化合物は、N-メチルトリフルオロアセトアミド(NMTFAm)、N-メチルペンタプロピオンアミド(methylpentaproprionamide)(NMPPPAm)、N-シクロペンチルトリフルオロアセトアミド(cylcopentyltrifluoroacetamide)(NCPTFAm)、N-トリフルオロメチルスルホニルトリフルオロアセトアミド(NTFMSTFAm)、N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(NTMSTFAm)およびビストリフルオロアセトアミド(BTFAm)から選択される。
【0013】
一実施形態では、複合材料中における化合物の濃度は、1重量%から90重量%、または1重量%から70重量%、または1重量%から50重量%、または1重量%から40重量%、または5重量%から30重量%、または10重量%から25重量%、または15重量%から20重量%の範囲内である。
【0014】
別の実施形態では、ポリマーが存在し、架橋非プロトン性ポリマーおよび/または分枝鎖状ポリマー、好ましくは多分枝型のものであってよい。一実施形態によれば、ポリマーは、イオン伝導性セグメントであるポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリエステル、ポリチオエステル、ポリカーボネート、ポリチオカーボネート、ポリイミド、ポリスルホンイミド、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリホスファゼン、およびイオン非伝導性セグメントであるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くのコポリマーもしくは組合せから選択される少なくとも1つのポリマーセグメントを含む。
【0015】
別の実施形態によれば、ポリマーは、架橋ポリマーの結晶化度を低減させるために、少なくとも2つの異なる繰り返し単位を有するブロックコポリマーを含む少なくとも1つのポリマーセグメントを含み、例えば、ポリマーセグメントは、架橋前に、少なくとも1つのアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン溶媒和セグメントと、架橋可能な単位を含む架橋可能なセグメントとを含む、ブロックコポリマーを含む。ある実施形態によれば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン溶媒和セグメントは、式II:
【化2】
[式中、
Rは、H、C~C10アルキルおよび-(CH-O-R)から選択され、
は、(CH-CH-O)であり、
は、C~C10アルキル基である]
の繰り返し単位を含むホモポリマーおよびコポリマーから選択される。
【0016】
一実施形態では、架橋可能な単位は、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニル、水酸化物、エポキシド、アルデヒド、カルボン酸、ハロフェニル、ハロベンジル、アルキン、アジド、アミン、チオールおよびそれらの任意の組合せから選択される官能基を含む。
【0017】
一部の実施形態では、ポリマーは、複合材料中に、1重量%から80重量%、5重量%から70重量%、または10重量%から50重量%、または20重量%から40重量%の範囲内の濃度で存在する。
【0018】
別の実施形態によれば、無機粒子は、非晶質、セラミックまたはガラスセラミック型の無機化合物、例えば、酸化物、硫化物または酸硫化物を含む。好ましくは、非晶質、セラミックまたはガラスセラミック型の無機化合物は、酸化物である。別の実施形態では、無機粒子は、Al、Mg、NaO・2B、xMgO・yB・zHO、TiO、ZrO、ZnO、Ti、SiO、Cr、CeO、B、BO、SrBiTi15、LLTO、LLZO、LAGP、LATP、Fe、BaTiO、γ-LiAlO、モレキュラーシーブおよびゼオライト(例えば、アルミノケイ酸塩、メソポーラスシリカ)、硫化物セラミック(Li11等)、ガラスセラミック(例えばLIPON等)および他のセラミック、ならびにそれらの組合せから選択されるセラミックを含む。好ましくは、セラミックは、Al、Mg、NaO・2B、xMgO・yB・zHO、TiO、ZrO、ZnO、Ti、SiO、Cr、CeO、B、BO、SrBiTi15、LLTO、LLZO、LAGP、LATP、Fe、BaTiO、γ-LiAlO、モレキュラーシーブおよびゼオライト(例えば、アルミノケイ酸塩、メソポーラスシリカ)、ガラスセラミック(例えばLIPON等)、ならびにそれらの組合せから選択される。
【0019】
一実施形態によれば、無機粒子は、球状粒子、ロッド、ニードル、ナノチューブ、またはそれらの組合せの1つの形態である。
【0020】
一実施形態によれば、無機粒子は、式Li1+zAl2-z(PO[式中、Mは、Ti、Geまたはそれらの組合せであり、0<z<1であり、例えば、ここで、zは、0.1から0.9の、または0.3から0.7の、または0.2から0.4の範囲内であることができる]の化合物から選択される化合物を含む。
【0021】
別の実施形態では、無機粒子は、式Li7-xLaZr 12およびLi3yLa(2/3)-yTi1-y’ y’[式中、Mは、Al、Ga、Ta、FeおよびNbから選択され;Mは、Ba、B、Al、SiおよびTaから選択され;xは、0≦x≦1となるようなものであり;yは、0<y<0.67となるようなものであり;y’は、0≦y’<1となるようなものである]の化合物から選択される化合物を含む。例えば、xは、0から0.5の範囲内であってよいか、またはxはゼロであり、Mは存在しない。
【0022】
一実施形態によれば、無機粒子含有量は、1重量%から95重量%まで、または5重量%から90重量%まで、または5重量%から80重量%まで、または5重量%から70重量%まで、または5重量%から60重量%まで、または5重量%から50重量%まで、または5重量%から40重量%まで、または5重量%から25重量%まで、または5重量%から15重量%までの範囲内である。
【0023】
別の実施形態によれば、複合材料は、ポリマーおよび追加で可塑剤を含む。例えば、可塑剤は、液体グリコールジエーテル(テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)等)、炭酸エステル、イオン液体等から選択されてよい。一実施形態では、可塑剤は、複合材料中に、0.1重量%から50重量%の、または10重量%から50重量%の、または20重量%から40重量%の範囲内の濃度で存在してよい。
【0024】
別の実施形態によれば、複合材料は塩をさらに含む。例えば、塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、好ましくはアルカリ金属(好ましくはLi)のカチオンと、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、(フルオロスルホニル(flurosulfonyl))(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((FSI)(TFSI))、2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(TDI)、4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(DCTA)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(BETI)、ジフルオロホスフェート(DFP)、テトラフルオロボレート(BF )、ビス(オキサラト)ボレート(BOB)、硝酸イオン(NO )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、フッ化物イオン(F)、過塩素酸イオン(ClO )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、トリフルオロメタンスルホネート(SOCF )(Tf)、フルオロアルキルホスフェート[PF(CFCF ](FAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ボレート[B(OCOCF(TFAB)、ビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O’)ボレート[B(C(BBB)、ジフルオロ(オキサラト)ボレート(BF(C)(FOB)、式BF のアニオン(式中、R=C2~4アルキル)、およびそれらの組合せの1つ、例えばLiTFSIまたはLiFSIから選択されるアニオンとを含んでよい。
【0025】
第2の態様によれば、本文書は、本明細書で定義されている通りの複合材料の層を含む、固体電解質に関する。
【0026】
第3の態様によれば、本発明の技術は、負極、正極および固体電解質を含み、ここで、正極、負極および電解質のうちの少なくとも1つが、本明細書で定義されている通りの複合材料を含む、電気化学セルに関する。一実施形態によれば、電気化学セルは、負極、正極および固体電解質を含み、ここで、固体電解質は、本明細書で定義されている通りである。別の実施形態によれば、固体電解質は、本明細書で定義されている通りであり、負極および正極のうちの少なくとも1つは、本明細書で定義されている通りの複合材料を含む。
【0027】
一実施形態によれば、正極は、必要に応じて集電体上にある、正極の材料を含み、ここで、正極の材料は、正極の電気化学的に活性な材料を含む。別の実施形態によれば、正極の電気化学的に活性な材料は、金属リン酸塩、リチウム化金属リン酸塩、金属酸化物およびリチウム化金属酸化物から選択される。さらに別の実施形態によれば、正極の電気化学的に活性な材料は、LiM’PO[式中、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはそれらの組合せである]、LiV、VF、LiV、LiMn、LiM’’O[式中、M’’は、Mn、Co、Ni、またはそれらの組合せである](NMC、LiMnCoNi等、ここで、x+y+z=1)、Li(NiM’’’)O(式中、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、Zr、またはそれらの組合せである)、元素硫黄、セレンもしくはヨウ素、フッ化鉄(III)、フッ化銅(II)、ヨウ化リチウム、グラファイト等の炭素をベースとした活性材料、有機カソード活性材料(ポリイミド、ポリ(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシ-4-イルメタクリレート)(PTMA)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸四リチウム(PTCLi)、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、π共役ジカルボキシレートおよびアントラキノン等)、または互いに適合する場合、これらの材料の2つもしくはそれよりも多くの組合せである。
【0028】
一実施形態によれば、正極の電気化学的に活性な材料は、(例えば、ポリマー、セラミック、炭素、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くの組合せで)必要に応じてコーティングされている粒子の形態である。
【0029】
別の実施形態によれば、正極の材料は、例えば、カーボンブラック(例えば、Ketjenblack(商標)またはSuper P(商標))、アセチレンブラック(例えば、シャウィニガンブラックまたはDenka(商標)ブラック)、グラファイト、グラフェン、炭素繊維もしくはナノファイバー(例えば、気相成長炭素繊維(VGCF))、カーボンナノチューブ(例えば、単層(SWNT)、多層(MWNT))または金属粉末のうちの少なくとも1つを含む電子伝導性材料をさらに含む。
【0030】
一部の実施形態では、正極の材料は、バインダーをさらに含み、例えば、バインダーは、上記で定義した通りのポリマー、またはゴム系バインダー(SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、HNBR(水素化NBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、ACM(アクリル酸ゴム)等)もしくはフッ素化ポリマー系バインダー(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびそれらの組合せ等)から選択されるバインダーであり、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の添加物を必要に応じて含む。他の実施形態によれば、正極の材料は、塩、セラミックもしくはガラス型の無機粒子、または他の適合する活性材料(例えば、硫黄)をさらに含む、および/あるいは正極の材料は、本明細書で定義されている複合材料をさらに含む。
【0031】
別の実施形態では、電気化学セルの負極は、負極の電気化学的に活性な材料を含む。
【0032】
一実施形態によれば、負極の電気化学的に活性な材料は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む金属フィルムを含む。例えば、金属フィルムは、1000ppm未満(または0.1質量%未満)の不純物を含むリチウムを含む。代替として、金属フィルムは、リチウムと、リチウム以外のアルカリ金属(Na、K、RbおよびCs等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、SrおよびBa等)、希土類金属(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)、ジルコニウム、銅、銀、ビスマス、コバルト、マンガン、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、スズ、アンチモン、カドミウム、水銀、鉛、モリブデン、鉄、ホウ素、インジウム、タリウム、ニッケルおよびゲルマニウム(例えば、Zr、Cu、Ag、Bi、Co、Zn、Al、Si、Sn、Sb、Cd、Hg、Pb、Mn、B、In、Tl、NiまたはGe)から選択される元素との合金を含み、合金は、好ましくは、少なくとも75重量%のリチウム、または85重量%から99.9重量%の間のリチウムを含む。
【0033】
別の実施形態では、負極の電気化学的に活性な材料は、金属間化合物(例えば、SnSb、TiSnSb、CuSb、AlSb、FeSb、FeSnおよびCoSn)、金属酸化物、金属窒化物、金属リン化物、金属リン酸塩(例えば、LiTi(PO)、金属ハロゲン化物(例えば、金属フッ化物)、金属硫化物、金属酸硫化物、炭素(例えば、グラファイト、グラフェン、還元型酸化グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、膨張グラファイトおよび非晶質炭素)、ケイ素(Si)、ケイ素-炭素複合材(Si-C)、酸化ケイ素(SiO)、酸化ケイ素-炭素複合材(SiO-C)、スズ(Sn)、スズ-炭素複合材(Sn-C)、酸化スズ(SnO)、酸化スズ-炭素複合材(SnO-C)、および適合する場合、それらの組合せを含む。別の実施形態によれば、金属酸化物は、式M’’’’の化合物(式中、M’’’’は、Ti、Mo、Mn、Ni、Co、Cu、V、Fe、Zn、Nb、またはそれらの組合せであり;bおよびcは、c:b比が2から3の範囲内となるような数字である)(例えば、MoO、MoO、MoS、VおよびTiNb)、酸化スピネル(例えば、NiCo、ZnCo、MnCo、CuCoおよびCoFe)およびLiM’’’’’O(式中、M’’’’’は、Ti、Mo、Mn、Ni、Co、Cu、V、Fe、Zn、Nb、またはそれらの組合せである)(例えば、チタン酸リチウム(LiTi12等)または酸化リチウムモリブデン(LiMo13等))から選択される。
【0034】
一部の実施形態では、負極の電気化学的に活性な材料は、(例えば、ポリマー、セラミック、炭素、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くの組合せで)必要に応じてコーティングされている粒子の形態である。
【0035】
一実施形態では、負極の材料は、例えば、カーボンブラック(例えば、Ketjenblack(商標)またはSuper P(商標))、アセチレンブラック(例えば、シャウィニガンブラックまたはDenka(商標)ブラック)、グラファイト、グラフェン、炭素繊維もしくはナノファイバー(例えば、気相成長炭素繊維(VGCF))、カーボンナノチューブ(例えば、単層(SWNT)、多層(MWNT))または金属粉末のうちの少なくとも1つを含む電子伝導性材料をさらに含む。
【0036】
別の実施形態では、負極の材料は、バインダーをさらに含み、例えば、バインダーは、上記で定義した通りのポリマー、またはゴム系バインダー(SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、HNBR(水素化NBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、ACM(アクリル酸ゴム)等)もしくはフッ素化ポリマー系バインダー(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびそれらの組合せ等)から選択されるバインダーであり、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の添加物を必要に応じて含む。
【0037】
さらに別の実施形態によれば、負極の材料は、塩、セラミックもしくはガラス型の無機粒子、または他の適合する活性材料、および/あるいは本明細書で定義されている通りの複合材料をさらに含む。
【0038】
第4の態様によれば、本発明の技術は、本明細書で定義されている通りの少なくとも1つの電気化学セルを含む電気化学蓄電池に関する。一実施形態によれば、電気化学蓄電池は、リチウムバッテリーまたはリチウムイオンバッテリーである。
【0039】
第5の態様によれば、本文書は、モバイルデバイス、例えば携帯電話、カメラ、タブレットもしくはノートパソコンにおける、電気自動車もしくはハイブリッド自動車における、または再生可能エネルギー貯蔵における、本明細書で定義されている通りの電気化学蓄電池の使用に関する。
【0040】
最後の態様によれば、本発明の技術は、本明細書で定義されている通りの複合材料を調製するための方法であって、無機粒子、フッ素化化合物および必要に応じてポリマーを混合するステップを含む方法にも関する。一実施形態によれば、混合するステップは、ポリマーおよび必要に応じて架橋剤を含む。別の実施形態によれば、混合するステップは、ポリマーおよび架橋剤を含み、方法は、ポリマー架橋ステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、(a)LATP、(b)NMTFAm、(c)DAEDAm、(d)NMTFAm/LATP混合物および(e)DAEDAm/LATP混合物についての赤外分光法結果を示す。
【0042】
図2図2は、固体状態NMR結果:(a)1H NMTFAmおよびNMTFAm/LATP混合物、(b)6Li LATP、(c)6Li NMTFAm/LATP混合物を示す。
【0043】
図3図3は、実施例1(d)において調製された膜のヤング率を示す。
【0044】
図4図4は、(a)においてセル1から6および8から15について、ならびに(b)においてセル7について、LATP粉末と比較した、温度の関数としてのイオン伝導率結果を示す。
【0045】
図5図5は、C/3から5Cにまで及ぶ電流密度でサイクルさせたセル4についての時間の関数としての電位を示す。
【0046】
図6図6は、3.5Vから5Vにまで及ぶ電圧で行ったセル4についての電気化学的安定性結果を示す。
【0047】
図7図7は、実施例3(e)(i)に従うNMC/Liセルの、サイクル数の関数としての容量およびクーロン効率を示す。
【0048】
図8図8は、実施例3(e)(ii)に従うLFP/Liセルの、サイクル数の関数としてのC/6における定電流充電および放電曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語および表現は、本発明の技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。それでもなお、使用される用語および表現の一部の定義が以下で提供される。
【0050】
用語「約」は、この文書で使用される場合、およそ、そのあたりおよび前後を意味する。用語「約」が数値に関係して使用される場合、該用語は数値を、例えば、公称値から10%の変動だけ上下に修正する。この用語は、例えば、測定デバイスの実験誤差または値の丸めを考慮することもできる。
【0051】
値の範囲が本出願において言及される場合、範囲の下限および上限は、別段の定めがない限り、定義に常に含まれる。
【0052】
ここで記述される化学構造は、当分野の慣習に従って描かれている。また、描かれている炭素原子などの原子が、不完全な原子価を含むように見える場合、原子価は、明示的に描かれていないとしても、1個または複数の水素原子によって満たされていることが想定されるであろう。
【0053】
本文書は、無機粒子、フッ素化アミドおよび必要に応じてポリマーを含む、複合材料を提示する。好ましくは、フッ素化アミドは、式I:
【化3】
[式中、
およびRは、各出現において独立して、必要に応じて置換されている直鎖状または分枝鎖状C1~8アルキル基、必要に応じて置換されているC3~8シクロアルキル基、必要に応じて置換されているCアリール基、必要に応じて置換されているC3~8ヘテロシクロアルキル基、および必要に応じて置換されているC5~6ヘテロアリール基から選択され、
は、OおよびNHから選択されるか、またはXは存在せず、
は、C(O)、S(O)およびSi(R)から選択され、ここで、RおよびRは、各出現において独立して、必要に応じて置換されている直鎖状または分枝鎖状C1~8アルキル基であるか、またはXは存在せず、
ここで、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、1個または複数のフッ素原子によって置換されている基である]
の化合物である。
式Iの化合物の一部の例は、
- Xが存在せず、Xが、C(O)、S(O)およびSi(R)から選択される、
- Xが、OおよびNHから選択され、Xが存在しない、または
- XおよびXが存在しない
化合物を含む。
【0054】
一部の例によれば、Rは、1個または複数のフッ素原子で置換されている基であり、例えば、Rは過フッ素化基であることができる。この基は、直鎖状もしくは分枝鎖状C1~8アルキル基、または直鎖状もしくは分枝鎖状C1~4アルキル基、またはC1~2アルキル基であってよい。
【0055】
基は、1個または複数のフッ素原子で置換されている基、例えば、過フッ素化基であってよい。この基は、直鎖状もしくは分枝鎖状C1~8アルキル基、または直鎖状もしくは分枝鎖状C1~4アルキル基、またはC1~2アルキル基であってよい。代替として、Rは、必要に応じて置換されているC3~8シクロアルキル基、または必要に応じて置換されているC3~6シクロアルキル基、または必要に応じて置換されているC5~6シクロアルキル基であってよい。
【0056】
フッ素化化合物の非限定的な例は、化合物N-メチルトリフルオロアセトアミド(NMTFAm)、N-メチルペンタプロプリオンアミド(NMPPPAm)、N-シクロペンチルトリフルオロアセトアミド(NCPTFAm)、N-トリフルオロメチルスルホニルトリフルオロアセトアミド(NTFMSTFAm)、N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(NTMSTFAm)およびビストリフルオロアセトアミド(BTFAm)を含む。
【0057】
複合材料中における化合物の濃度は、例えば、1重量%から90重量%、または1重量%から70重量%、または1重量%から50重量%、または1重量%から40重量%、または5重量%から30重量%、または10重量%から25重量%、または15重量%から20重量%の範囲内であってよい。
【0058】
ポリマーは、複合材料中に存在する場合、イオン伝導性セグメントであるポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリエステル、ポリチオエステル、ポリカーボネート、ポリチオカーボネート、ポリイミド、ポリスルホンイミド、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリホスファゼンから、あるいはイオン非伝導性セグメントであるポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くのコポリマーもしくは組合せから選択される少なくとも1つのポリマーセグメントを含んでよい。ポリマーは、これらのセグメントのうちの2つもしくはそれよりも多くの単位、またはこれらのうちの2つもしくはそれよりも多くの組合せを含むコポリマーであってもよい。コポリマーは、ランダムコポリマー、統計コポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー等であってよい。
【0059】
ポリマーは、好ましくは架橋非プロトン性ポリマーおよび/または分枝鎖状ポリマーであり、好ましくは多分枝型(星状配置、櫛状配置等)のものである。例えば、ポリマーは、架橋ポリマーの結晶化度を低減させるために、少なくとも2つの異なる繰り返し単位を有するブロックコポリマーを含む少なくとも1つのポリマーセグメントを含む。例えば、ポリマーセグメントは、架橋前に、少なくとも1つのアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン溶媒和セグメントと、架橋可能な単位を含む架橋可能なセグメントとを含む、ブロックコポリマーを含んでよい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン溶媒和セグメントの例は、式II:
【化4】
[式中、
Rは、H、C~C10アルキルおよび-(CH-O-R)から選択され、
は、(CH-CH-O)であり、
は、C~C10アルキル基である]
の繰り返し単位を含むホモポリマーおよびコポリマーから選択される。
【0060】
架橋可能な単位の非限定的な例は、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニル、水酸化物、エポキシド、アルデヒド、カルボン酸、ハロフェニル、ハロベンジル、アルキン、アジド、アミン、チオールおよびそれらの任意の組合せから選択される官能基を含む。別の例によれば、複合材料は架橋ポリマーを含み、ここで、架橋可能な基は、その架橋バージョンに変換されている。
【0061】
複合材料中におけるポリマー濃度は、一般的に、1重量%から80重量%、5重量%から70重量%、または10重量%から50重量%、または20重量%から40重量%の範囲内であってよい。
【0062】
無機粒子は、好ましくは、非晶質、セラミックまたはガラスセラミック型の無機化合物、例えば、酸化物、硫化物または酸硫化物、好ましくは酸化物を含む。無機化合物は、イオン伝導性であってもなくてもよく、好ましくはイオン伝導性である。
【0063】
無機化合物の非限定的な例は、化合物またはセラミックAl、Mg、NaO・2B、xMgO・yB・zHO、TiO、ZrO、ZnO、Ti、SiO、Cr、CeO、B、BO、SrBiTi15、LLTO、LLZO、LAGP、LATP、Fe、BaTiO、γ-LiAlO、モレキュラーシーブおよびゼオライト(例えば、アルミノケイ酸塩の、メソポーラスシリカの)、硫化物セラミック(Li11のような)、ガラスセラミック(LIPON等)および他のセラミック、ならびにそれらの組合せを含み、好ましくは、Al、Mg、NaO・2B、xMgO・yB・zHO、TiO、ZrO、ZnO、Ti、SiO、Cr、CeO、B、BO、SrBiTi15、LLTO、LLZO、LAGP、LATP、Fe、BaTiO、γ-LiAlO、モレキュラーシーブおよびゼオライト(例えば、アルミノケイ酸塩の、メソポーラスシリカの)、ガラスセラミック(LIPON等)、ならびにそれらの組合せから選択される。無機化合物は、好ましくは粒子状形態であり、粒子は、種々の形状、例えば、球状粒子、ロッド、ニードル、ナノチューブ、またはそれらの組合せの1つの形態である。
【0064】
例えば、無機粒子は、式Li1+zAl2-z(PO[式中、Mは、Ti、Geまたはそれらの組合せであり、0<z<1であり、例えば、zは、0.1から0.9の、または0.3から0.7の、または0.4から0.6の、または0.2から0.5の、または0.2から0.4の範囲内であることができる]の化合物から選択される化合物を含む。
【0065】
他の例によれば、無機粒子は、式Li7-xLaZr 12およびLi3yLa(2/3)-yTi1-y’ y’[式中、Mは、Al、Ga、Ta、FeおよびNbから選択され;Mは、Ba、B、Al、SiおよびTaから選択され;xは、0≦x≦1となるようなものであり;yは、0<y<0.67となるようなものであり;y’は、0≦y’<1となるようなものである]の化合物から選択される化合物を含み、好ましくは、xは、0から0.5の範囲内であるか、またはxはゼロであり、Mは存在しない、好ましくは、y’は、0から0.5の範囲内であるか、またはy’は0であり、Mは存在しない。
【0066】
複合材料中における無機粒子の含有量は、1重量%から95重量%の、または5重量%から90重量%の、または5重量%から80重量%の、または5重量%から70重量%の、または5重量%から60重量%の、または5重量%から50重量%の、または5重量%から40重量%の、または5重量%から25重量%の、または5重量%から15重量%の範囲内であってよい。
【0067】
一部の例によれば、複合材料は、ポリマーおよび可塑剤を含む。可塑剤の非限定的な例は、グリコールジエーテル系の液体(テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)等)、炭酸エステル、イオン液体等を含む。存在する場合、複合材料中における可塑剤の濃度は、0.1重量%から50重量%の、または10重量%から50重量%の、または20重量%から40重量%の範囲内であってよい。
【0068】
好ましい例によれば、複合材料は、リチウム塩、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、好ましくはアルカリ金属(好ましくはLi)のカチオンと、アニオンとを含む塩をさらに含む。アニオンの非限定的な例は、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((FSI)(TFSI))、2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾレート(TDI)、4,5-ジシアノ-1,2,3-トリアゾレート(DCTA)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(BETI)、ジフルオロホスフェート(DFP)、テトラフルオロボレート(BF )、ビス(オキサラト)ボレート(BOB)、硝酸イオン(NO )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、フッ化物イオン(F)、過塩素酸イオン(ClO )、ヘキサフルオロアルセネート(AsF )、トリフルオロメタンスルホネート(SOCF )(Tf)、フルオロアルキルホスフェート[PF(CFCF ](FAP)、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)ボレート[B(OCOCF(TFAB)、ビス(1,2-ベンゼンジオラト(2-)-O,O’)ボレート[B(C(BBB)、ジフルオロ(オキサラト)ボレート(BF(C)(FOB)、式BF のアニオン(式中、R=C2~4アルキル)、およびそれらの組合せの1つ、例えばLiTFSIまたはLiFSIを含む。
【0069】
本発明の複合材料は、無機粒子、フッ素化化合物および必要に応じてポリマー、ならびに本明細書で記述される通りの他の必要に応じた要素を混合する少なくとも1つのステップを含む方法に従って調製される。方法の混合するステップは、故に、ポリマーおよび必要に応じて架橋剤を含んでよい。そのような方法の混合するステップには、次いで、架橋ステップが続いてよい。
【0070】
複合材料は、固体電解質層または電極材料の組成物に組み込まれ得る。
【0071】
例えば、電解質は、本明細書で定義されている通りの複合材料を固体層中に含む。この層は、無機粒子、電解質ポリマーもしくはその前駆体、フッ素化アミドならびに必要に応じて溶媒、可塑剤および/または塩を任意の順序で混合すること、ならびに、混合物を支持体にコーティングすることによって形成され得る。支持体は一時的(ステンレス鋼、ポリプロピレン等の支持体等)であってよく、電気化学セルの残りとの組み立て前に除去されてよい。支持体は、電極材料の表面上にあってもよく、これは事前に調製されているであろう。
【0072】
ポリマー前駆体が使用される場合、コーティングされた層は、例えば、熱処理、照射(UV、マイクロ波、ガンマ線、X線、電子ビーム等)、または両方の組合せにより、必要に応じて開始剤の存在下で、ポリマーを重合するまたは架橋するように処理される。溶媒が存在する場合、材料は、例えば架橋または電気化学セルの他の成分との組み立て前に、好ましくは乾燥させられる。
【0073】
本発明の複合材料は、電気化学セルにおいて、電解質、正極または負極の少なくとも1つ中に、好ましくは電解質層中に存在する。
【0074】
正極の材料は、一般的に、電気化学的に活性な材料を含み、自立し得るかまたは集電体に適用され得る。正極の電気化学的に活性な材料は、数ある中でも、金属リン酸塩、リチウム化金属リン酸塩、金属酸化物およびリチウム化金属酸化物から選択されてよい。
【0075】
電気化学的に活性な材料の例は、LiM’PO[式中、M’は、Fe、Ni、Mn、Co、またはそれらの組合せである]、LiV、VF、LiV、LiMn、LiM’’O[式中、M’’は、Mn、Co、Ni、またはそれらの組合せである](NMC、LiMnCoNi等、ここでx+y+z=1)、Li(NiM’’’)O(式中、M’’’は、Mn、Co、Al、Fe、Cr、Ti、Zr、またはそれらの組合せである)、元素硫黄、セレンもしくはヨウ素、フッ化鉄(III)、フッ化銅(II)、ヨウ化リチウム、グラファイト等の炭素をベースとした活性材料、有機カソード活性材料(ポリイミド、ポリ(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシ-4-イルメタクリレート)(PTMA)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸四リチウム(PTCLi)、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物(NTCDA)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、π共役ジカルボキシレートおよびアントラキノン等)、または互いに適合する場合、これらの材料の2つもしくはそれよりも多くの組合せを含む。
【0076】
正極の電気化学的に活性な材料は、好ましくは、(例えば、ポリマー、セラミック、炭素、またはこれらの2つもしくはそれよりも多くの組合せで)必要に応じてコーティングされている粒子の形態である。
【0077】
電極材料は、例えば、カーボンブラック(例えば、Ketjenblack(商標)またはSuper P(商標))、アセチレンブラック(例えば、シャウィニガンブラックまたはDenka(商標)ブラック)、グラファイト、グラフェン、炭素繊維もしくはナノファイバー(例えば、気相成長炭素繊維(VGCF))、カーボンナノチューブ(例えば、単層(SWNT)、多層(MWNT))または金属粉末のうちの少なくとも1つを含む電子伝導性材料をさらに含んでもよい。
【0078】
電極材料は、展延用の支持体が固体電解質層または集電体の表面であってよいことを除き、電解質層と同じ方式で調製されてよい。
【0079】
正極の材料が複合材料を含まない場合、正極の材料は、本明細書で定義されている通りの電気化学的に活性な材料、バインダーならびに必要に応じて本明細書で定義されている通りの電子伝導性材料および/または塩を含んでよい。
【0080】
電極材料バインダーの非限定的な例は、複合材料に関係して上述したポリマーだけでなく、ゴム系バインダー(SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、HNBR(水素化NBR)、CHR(エピクロロヒドリンゴム)、ACM(アクリル酸ゴム)等)またはフッ素化ポリマー系バインダー(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびそれらの組合せ等)も含む。ゴムバインダー等の一部のバインダーは、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の添加物を含んでもよい。
【0081】
セラミックもしくはガラスのような無機粒子、または他の適合する活性材料(例えば硫黄)等の他の添加物が、正極の材料中に存在してもよい。
【0082】
負極は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む金属フィルムから形成され得る負極の電気化学的に活性な材料を含む。一例によれば、金属フィルムは、1000ppm未満(または0.1質量%未満)の不純物を含むリチウムからなる。代替として、金属フィルムは、リチウムと、リチウム以外のアルカリ金属(Na、K、RbおよびCs等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、SrおよびBa等)、希土類金属(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)、ジルコニウム、銅、銀、ビスマス、コバルト、マンガン、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、スズ、アンチモン、カドミウム、水銀、鉛、モリブデン、鉄、ホウ素、インジウム、タリウム、ニッケルおよびゲルマニウム(例えば、Zr、Cu、Ag、Bi、Co、Zn、Al、Si、Sn、Sb、Cd、Hg、Pb、Mn、B、In、Tl、NiまたはGe)から選択される元素との合金を含む。合金は、少なくとも75重量%のリチウム、または85重量%から99.9重量%の間のリチウムを含んでよい。
【0083】
負極の電気化学的に活性な材料の他の例は、金属間化合物(例えば、SnSb、TiSnSb、CuSb、AlSb、FeSb、FeSnおよびCoSn)、金属酸化物、金属窒化物、金属リン化物、金属リン酸塩(例えば、LiTi(PO)、金属ハロゲン化物(例えば、金属フッ化物)、金属硫化物、金属酸硫化物、炭素(例えば、グラファイト、グラフェン、還元型酸化グラフェン、硬質炭素、軟質炭素、膨張グラファイトおよび非晶質炭素)、ケイ素(Si)、ケイ素-炭素複合材(Si-C)、酸化ケイ素(SiO)、酸化ケイ素-炭素複合材(SiO-C)、スズ(Sn)、スズ-炭素複合材(Sn-C)、酸化スズ(SnO)、酸化スズ-炭素複合材(SnO-C)、および適合する場合、それらの組合せを含む。例えば、金属酸化物は、式M’’’’の化合物(式中、M’’’’は、Ti、Mo、Mn、Ni、Co、Cu、V、Fe、Zn、Nb、またはそれらの組合せであり;bおよびcは、c:b比が2から3の範囲内となるような数字である)(例えば、MoO、MoO、MoS、VおよびTiNb)、酸化スピネル(例えば、NiCo、ZnCo、MnCo、CuCoおよびCoFe)およびLiM’’’’’O(式中、M’’’’’は、Ti、Mo、Mn、Ni、Co、Cu、V、Fe、Zn、Nb、またはそれらの組合せである)(例えば、チタン酸リチウム(LiTi12等)または酸化リチウムモリブデン(LiMo13等))から選択されてよい。
【0084】
負極が金属フィルムの形態でない場合、負極は、負極の電気化学的に活性な材料の、(例えば、ポリマー、セラミック、炭素、またはそのうちの2つもしくはそれよりも多くの組合せで)必要に応じてコーティングされている粒子をむしろ含む。負極の材料は、負極について記述された通りの他の成分(電子伝導性材料、本発明の複合材料、塩、バインダー、セラミックもしくはガラス型の無機粒子、または他の適合する活性材料等)を含んでもよい。
【0085】
本文書は、本明細書で定義されている通りの少なくとも1つの電気化学セルを含む電気化学蓄電池にも関係する。例えば、電気化学蓄電池は、リチウムバッテリーまたはリチウムイオンバッテリーである。
【0086】
第5の態様によれば、本出願の電気化学蓄電池の使用は、モバイルデバイス、例えば携帯電話、カメラ、タブレットもしくはノートパソコンにおける、電気自動車もしくはハイブリッド自動車における、または再生可能エネルギー貯蔵における使用が意図されている。
【実施例
【0087】
以下の実施例は、例証を目的としており、記述されている通りの発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0088】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される成分の分量、調製条件、濃度、特性等を表現する数字は、各事例において、用語「約」によって修飾されているとして解釈されるべきである。最低限でも、各数値パラメーターは、報告された有効桁数を踏まえて、および通常の丸め技法の適用によって解釈されるべきである。したがって、別段の指示がない限り、ここで言及される数値パラメーターは、求められる特性に応じて変動し得る近似である。それでもなお、最も広い実施形態を定義しているパラメーターは近似であるが、以下の実施例において提示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、実験、測定、統計分析等における変動によって生じるある特定の誤差限界を本質的に含有する。
【0089】
以下の実施例において使用される架橋性ポリマーは、米国特許第7,897,674号において(以後「ポリマーUS’674」と称され、これは、架橋可能な単位を含む分枝鎖状多分枝型ポリマーである)または米国特許第6,903,174号において(以後「ポリマーUS’174」と称され、これは、直鎖状であり、架橋可能なペンダント基を含む)記述されている通りの架橋可能な単位を含むポリエーテルである。
(実施例1)
電解質の調製
(a)ポリマー電解質(比較例)
【0090】
2gのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)、8gのポリマーUS’674および0.08gのIrgacure(商標)を、フラスコ中、室温で混合する。均一溶液が取得されたら、溶液を薄いステンレス鋼板にコーティングする。窒素下、3分間にわたるUV照射後、固体ポリマー電解質膜がこのようにして取得される。
(b)HNTおよびDAEDAmを用いる複合電解質(比較例)
【0091】
0.5gのLiTFSI、0.77gのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)、0.25gのN,N’-ジアセチルエチレンジアミン(DAEDAm)および0.24gのハロイサイトナノチューブ(HNT)を、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.75gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(c)HNTおよびNMTFAmを用いる複合電解質
【0092】
0.5gのLiTFSI、0.69gのTEGDME、0.44gのN-メチルトリフルオロアセトアミド(NMTFAm)および0.26gのHNTを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(d)LATPおよびNMTFAmを用いる複合電解質
【0093】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのNMTFAmおよび0.26gのLi1,3Al0,3Ti1,7(PO(LATP)を、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(e)LATPおよびDAEDAmを用いる複合電解質(比較例)
【0094】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.25gのDAEDAmおよび0.24gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.75gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(f)NMTFAmを用いるポリマー電解質(比較例)
【0095】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDMEおよび0.25gのNMTFAmを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一溶液が取得されたら、0.99gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、溶液を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得されたポリマー電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(g)LATPおよびNMTFAmを用いるセラミック電解質
【0096】
0.35gのLATPおよび0.15gのNMTFAmを徹底的に混合し、モルタル中、室温で粉砕する。次いで、粉末を、120psiの圧力で、16mmの直径および420μmの厚さを持つ丸いペレットに圧縮する。純粋なLATP粉末を用いる比較試料も同じ手法で調製した。
(h)LLZOおよびNMTFAmを用いる複合電解質
【0097】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのNMTFAmおよび0.26gのLiLaZr12(LLZO)を、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(i)LATP、NMTFAmおよびポリマーUS’174を用いる複合電解質
【0098】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのNMTFAmおよび0.26gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’174および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(j)LATPおよびNMPPPAmを用いる複合電解質
【0099】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのN-メチルペンタプロプリオンアミド(NMPPPAm)および0.26gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(k)LATPおよびNCPTFAmを用いる複合電解質
【0100】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのN-シクロペンチルトリフルオロアセトアミド(NCPTFAm)および0.26gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(l)LATPおよびNTFMSTFAmを用いる複合電解質
【0101】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのN-トリフルオロメチルスルホニルトリフルオロアセトアミド(NTFMSTFAm)および0.26gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(m)LATPおよびNTMSTFAmを用いる複合電解質
【0102】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのN-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(NTMSTFAm)および0.26gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(n)LATPおよびBTFAmを用いる複合電解質
【0103】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのビストリフルオロアセトアミド(BTFAm)および0.26gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(o)LATPおよびより少ないNMTFAmを用いる複合電解質
【0104】
0.5gのLiTFSI、0.65gのTEGDME、0.37gの1,1’-ヘキサメチレンビス(1-メチルピロリジニウム)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、0.11gのNMTFAmおよび0.26gのLATPを、フラスコ中、室温で徹底的に混合する。均一分散体が取得されたら、0.60gのポリマーUS’674および0.01gのIrgacure(商標)を添加する。室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を薄いステンレス鋼板にコーティングする。このようにして取得された複合電解質膜を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。
(実施例2)
物理化学的特性
(a)粒子-アミド混合物の赤外分光法
【0105】
フッ素化アミドの存在の効果をよりよく理解するために、化学分析を行った。固体状態赤外分光法をAgilent-Cary 630(登録商標)FTIR分光計で実施した。粒子-アミド混合物は、NMTFAm/LATPについて1.7:1重量比およびDAEDAm/LATPについて1:1重量比を用い、モルタル中で細砕することによって調製した。LATP、NMTFAm、DAEDAmの、ならびにLATP/NMTFAmおよびLATP/DAEDAm混合物の赤外スペクトルを、図1(a)から(e)に示す。
【0106】
図1(d)は、LATP/NMTFAm混合物について3550cm-1前後で新たなシグナルが見られたことを示し、これは、図1(e)におけるLATP/DAEDAmの場合には存在しなかった。この新たなシグナルは、フッ素化アミドとLATPセラミックとの間に相互作用があることを指し示し、この相互作用は、非フッ素化アミドDAEDAmの場合には存在しない。
(b)NMTFAm/LATP混合物のNMR化学構造
【0107】
赤外分光法によって観察された結果を裏付けるために、NMTFAmおよびNMTFAm/LATP混合物の固体NMR分析を、MAS(マジック角スピニング)を用いる4mmの三重共鳴プローブを備えた500MHz NMR分光計で、最大15kHzにて行った。NMTFAm/LATP混合物は、2(a)において記述されている通りに調製した。NMTFAm、LATPの、およびNMTFAm/LATP混合物の、HおよびLi NMRスペクトルを、図2(a)から(c)に示す。
【0108】
図2(a)は、NMTFAmシグナルがNMTFAm/LATP混合物のものよりも広いことを示し、NMTFAmにおける分子移動度の制限を有意に低減させるNMTFAmとLATPとの間の相互作用を指し示している。加えて、NMTFAmのNHプロトンに対応するピークがより高い周波数に向かうシフトは、混合物中のより多くのNHプロトンが水素結合に関与していることを指し示している場合がある。
【0109】
図2(c)は、図2(b)と比較して、1.2ppmの追加のシグナルが、1日貯蔵後の混合物のLi NMRスペクトルにおいて見られたことを示し、NMTFAmとLATPとの間の相互作用によって新たなLiイオンが生成されたことを指し示している。
(c)膜のヤング率
【0110】
実施例1(d)において調製された膜について、ヤング率をTA Discovery DMA850で20℃にて評価した。測定用フィルムサイズは、10.7mm×5.3mm×0.167mm(長さ×幅×厚さ)であった。速度制御ひずみ傾斜手順を使用した。図3は、実施例1(d)において調製された膜のヤング率のグラフを示す。
(d)拡散係数
【0111】
実施例1(d)において調製された膜の種々の元素のイオン拡散係数を、H、Liおよび19F核のパルス磁場勾配固体状態NMR分光法によって評価した。NMR実験は、Diff50(商標)プローブならびに二重共鳴Li-19FおよびH-19F RFインサートを備えた500MHz NMR分光計で行った。
【0112】
測定は、25℃および50℃で行った。勾配パルスは0.6から2.0msまでの範囲に及び、拡散時間は核に応じて40から100msの範囲内であった。勾配の強度は、100G/cmから2500G/cmまで16ステップで変動させた。
【0113】
拡散測定には、0.06から0.6msのエコーディレイでCPMGパルス列を使用するT2関連実験が付随していた。実験1回あたり最大64エコーを収集した。結果を表1に提示する。
【表1】
【0114】
種のほとんどは試料中で高移動性であり、NMRスペクトルのより高い分解能を可能にしていた。
【0115】
Hおよび19F NMRにより測定されたNMTFAmの拡散係数は、互いに完全に一致している。
【0116】
25および50℃におけるLATP中のLiの拡散係数は、他のLATP含有試料を用いて取得された値と合致する。この観察は、NMR実験中における種の平均二乗変位が0.5から1μm前後である(10μm前後であるLATP粒径よりもはるかに小さい)ことをとりわけ考慮すると、LATP中のリチウム拡散が、ポリマーに包囲されたLATP粒子に依存していないことを裏付ける。
(実施例3)
電気化学的特性
(a)セル組み立て(対称バッテリー)
【0117】
臨界電流密度(CCD)測定用のLi/電解質/Li型のおよびイオン伝導率測定用のステンレス鋼/電解質/ステンレス鋼型の対称コインセルを組み立てた。ポリマー電解質膜ディスクを16mmの直径(イオン伝導率測定用)および14mmの直径(CCD測定用)に切断し、2つの電極間に挟み込んだ。各セルの配置は次の通りに提示される:
- セル1:電極/実施例1(a)/電極
- セル2:電極/実施例1(b)/電極
- セル3:電極/実施例1(c)/電極
- セル4:電極/実施例1(d)/電極
- セル5:電極/実施例1(e)/電極
- セル6:電極/実施例1(f)/電極
- セル7:電極/実施例1(g)/電極
- セル8:電極/実施例1(h)/電極
- セル9:電極/実施例1(i)/電極
- セル10:電極/実施例1(j)/電極
- セル11:電極/実施例1(k)/電極
- セル12:電極/実施例1(l)/電極
- セル13:電極/実施例1(m)/電極
- セル14:電極/実施例1(n)/電極
- セル15:電極/実施例1(o)/電極
電極=金属リチウムまたはステンレス鋼
(b)イオン伝導率
【0118】
電気化学インピーダンス分光法は、Bio-logic(登録商標)VMP-300システムを用い、100mVの振幅および1MHzから200mHzの周波数範囲で実施した。
【0119】
図4(a)および4(b)は、セル1から15についてのイオン伝導率結果を示す。50℃および25℃における伝導率結果を以下の表2にも示す。
【0120】
例えば、20℃でのLATP/フッ素化アミド電解質(NMTFAm、3.62×10-4S/cm)におけるイオン伝導率は、LATP/非フッ素化アミドの(DAEDAm、9.29×10-5S/cm)およびハロイサイトナノチューブ/NMTFAmの(2.64×10-5S/cm)ものよりはるかに高いことが分かる。20℃におけるイオン伝導率も、一般的に、フッ素化アミドを含むすべての電解質について、フッ素化アミドのない電解質と比較して高い。
(c)臨界電流密度
【0121】
臨界電流密度は、Bio-logic(登録商標)VMP-3システムを使用して評定した。試験は、C/24の電流密度(1C=3.0mA/cm)で開始し、漸進的に増大させる。同じ電流密度を印加して、バッテリーを充電および放電させた。
【0122】
図5は、実施例1(d)からのLATP/NMTFAm電解質を用いる対称Li/電解質/Liセルであるセル4が、25℃にて最大5C(1C=3.0mA/cm)まで安定であることを示す。結果を以下の表2にもまとめる。
【表2-1】
【表2-2】
a.ポリマーUS’174が使用されたセル9を除き、ポリマーUS’674。
b.NM:測定されず
c.電解質は、15重量%の1,1’-ヘキサメチレンビス(1-メチルピロリジニウム)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドも含む。
(d)電気化学的安定性
【0123】
実施例1(d)において調製された膜の電気化学的安定性を評定するために、20重量%のカーボンブラック(Ketjenblack(商標))を含む溶液を調製した。
【0124】
0.5gのLiTFSI、0.77gのTEGDME、0.44gのNMTFAmおよび0.26gのLi1.3Al0.3Ti1.7(PO(LATP)を、フラスコ中、室温で徹底的に混合した。均一分散体が取得されたら、0.67gのポリマーUS’674、0.01gのアゾビスイソブチロニトリル、および6mLのアセトニトリル中の0.528gのカーボンブラックの分散体を添加した。遊星型遠心ミキサーにより室温で1時間にわたって撹拌した後、分散体を伝導性カーボンでコーティングされたアルミニウム箔にコーティングした。次いで、溶媒を真空下40℃で蒸発させ、次いで、膜を窒素下100℃のオーブンに10分間にわたって入れた。実施例1(a)または実施例1(d)由来の電解質の層を、炭素膜にコーティングした。電解質層を、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させる。電気化学的安定性測定のための完全な膜がこのようにして取得される。
【0125】
コインセルを組み立てるために、膜ディスクを16mmの直径で切断した。電解質側をリチウム箔で覆う。実施例1(a)および1(d)の膜をそれぞれ含む、このようにして形成されたセルを、セル8およびセル9と命名する。
【0126】
電気化学的安定性は、Bio-logic(登録商標)VMP-3システムを使用して評価した。電圧を、2時間ごとに0.1Vの増大率で、3.5Vから5Vまで変動させた。
【0127】
図6は、実施例1(d)において調製された膜を含むセル9についておよび実施例1(a)において調製された膜を含むセル8についての電気化学的安定性を示す。
【0128】
まとめると、ポリマーUS’674およびLATP(リン酸塩型酸化物セラミック)をベースとした複合電解質へのN-メチルトリフルオロアセトアミド(NMTFAm)の添加は、25℃にてLi/電解質界面におけるイオン伝導率および安定性を大きく改善することができ(図1を参照)、酸化安定性は最大4.5Vに達することが観察され得る。この観察は、他のセラミックまたはアミドと比較した、電解質を含む対称セルにおけるイオン伝導率および臨界電流密度(CCD)によって裏付けられる。
(e)完全なセルの組み立ておよび性能
【0129】
実施例1(d)の電解質を使用する完全なセルを組み立て、それらの性能を評価した。
(i)セルNMC811/電解質/Li
【0130】
カソードは、73.2重量%のリチウム化ニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC811)活性材料を含み、およそ8mg/cmの負荷率を与えることにより、特許出願PCT/CA2022/050159号において記述されている通りに調製した。実施例1(d)の電解質分散体をカソードに直接コーティングし、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させた。電解質の厚さはおよそ40μmである。50μmの厚さを持つリチウム金属箔を、アノードとして使用した。3.8cmのコインセルを組み立てて、性能を評価した。
【0131】
性能評価は、Bio-Logic BCS-810システムで、2.75~4.2Vの電圧およびC/6~1C(1C=1.2mA/cm)の充放電率を用い、45℃にて行った。セル容量は4.4mAh(1.2mAh/cm)前後である。
【0132】
図7は、サイクル数の関数としての、セル容量およびクーロン効率を示す。
(ii)セルLFP/電解質/Li
【0133】
LiFePO(LFP)カソードは、70重量%の濃度の活性材料としてNMC811をLFPで置きかえ、およそ12mg/cmの負荷率を与えることにより、実施例3(e)(i)のように調製した。実施例1(d)の電解質分散体をカソードに直接コーティングし、窒素下、UV照射によって3分間にわたって硬化させた。電解質の厚さはおよそ40μmである。40μmの厚さを持つリチウム金属箔を、アノードとして使用した。3.8cmのコインセルを組み立てて、性能を評価した。
【0134】
性能評価は、Bio-Logic BCS-810システムで、2~3.8Vの電圧およびC/6~C/6(1C=1.2mA/cm)の充放電率を用い、45℃にて行った。セル容量は約3mAh(0.8mAh/cm)のものである。
【0135】
図8は、C/6の充電および放電速度における定電流充電および放電曲線を示す。
【0136】
企図される通りの本発明の範囲から逸脱することなく、上記の実施形態のいずれかに多数の修正がなされ得る。本出願において参照される参考文献、特許または科学文献文書は、参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】