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特表2024-528409自動車両のドライバーのためのリラックスまたは刺激サービスを選択するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】自動車両のドライバーのためのリラックスまたは刺激サービスを選択するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240723BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240723BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W40/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577318
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022066412
(87)【国際公開番号】W WO2022263567
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2106317
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ル-イル, ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】モッゾ, デニス
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA51
3D241BA70
3D241BB03
3D241BB17
3D241BB42
3D241BB51
3D241CC08
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE05
3D241DD02Z
3D241DD04Z
3D241DD07Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181LL07
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
自動車両のドライバーを対象としたサービスのリストからそのドライバーのためのサービスを選択するための方法であって、本方法は、ドライバーの快適さおよび安全を最適化するように、ドライバーと車両と外部環境とに関係するコンテキストに従って選択を行うことを可能にする。サービスのリストからの少なくとも1つのリラックスまたは刺激サービスの選択(E101、E102)が、ドライバーの生理的状態に従ってまたはドライバーの要求に従って、ドライバーのアベイラビリティのレベルに従って、ドライバーの使用選好に従って、および車両のドライバーの経験のレベルを特徴づけるデータに従って、行われる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーを対象としたサービスのリストが記憶された少なくとも1つのメモリユニット(11)を装備した自動車両(1)の前記ドライバーのためのリラックスまたは刺激サービスを選択するための方法(100)であって、前記方法は、
前記車両の監視ユニット(16)を介して前記ドライバーの生理的状態を検出するステップ(E1)、または前記車両のヒューマンマシンインターフェースを介して前記ドライバーのニーズについての情報を与えるステップ(E1´)と、
1つまたは複数の運転支援システム(19)、1つまたは複数の測定部材(18)、前記車両の位置特定手段(15)、または接続されたデバイス、のうちの少なくとも1つを介して、前記車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストを検出するステップ(E2)と、
前記車両の前記外部のコンテキストおよび/または前記内部のコンテキストに関係するデータに基づいて、前記ドライバーのアベイラビリティのレベルを計算するステップ(E3)と、
前記車両のメモリユニット(11)に保存された前記ドライバーの使用選好を調べるステップ(E4)と、
前記ドライバーが有する、前記リラックスサービスまたは刺激サービスを使用した経験の少なくとも1つのレベルを特徴づけるデータを調べるステップ(E5)と、次いで、
前記ドライバーの前記生理的状態に基づいてまたは前記ドライバーの前記ニーズに基づいて、前記ドライバーの前記アベイラビリティのレベルに基づいて、前記ドライバーの前記使用選好に基づいて、および前記車両の前記ドライバーの前記経験のレベルを特徴づける前記データに基づいて、実行される、サービスの前記リストからの少なくとも1つのリラックスまたは刺激サービスの選択(E101、E102、E103)と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
サービスの前記リスト内の、少なくとも1つのサービスを含む、サービスの第1のサブセットを選択する第1の選択段階(A1)であって、前記第1の選択段階(A1)が、前記ドライバーの検出された前記状態を補正するために前記ドライバーの前記生理的状態に基づいて実行されるか、または前記第1の選択段階(A1)が、前記ドライバーのニーズに対処するために前記ニーズに基づいて実行される、第1の選択段階(A1)を含み、前記方法は、次いで、前記ドライバーの前記アベイラビリティのレベルに基づいて、前記ドライバーの前記使用選好に基づいて、および前記ドライバーの前記経験のレベルに基づいて実行される、前記第1のサブセット内の、サービスの第2のサブセットを選択する第2の選択段階(A2)を含む、請求項1に記載の選択方法(100)。
【請求項3】
前記ドライバーの前記生理的状態または前記ドライバーの前記ニーズと、
前記アベイラビリティのレベルと、
前記使用選好と、
前記ドライバーの前記経験のレベルと
に基づく少なくとも1つのサービスの前記選択の終了時に複数のサービスが利用可能であるときに実施される、ランダム選択ステップ(E7)を含む、請求項1または2に記載の選択方法(100)。
【請求項4】
前記ドライバーの状態を検出する前記ステップ(E1)が、
前記ドライバーの少なくとも1つの感情パラメータおよび/もしくは生理的パラメータを測定するサブステップ(E11)、ならびに/または
少なくとも1つの運転支援システム(19)を介して、および/もしくは前記車両中に取り付けられた測定部材(18)を介して少なくとも1つの異常なもしくは危険な運転挙動を検出するサブステップ(E13)と、
前記ドライバーの前記生理的パラメータに基づいておよび/もしくは前記ドライバーの前記運転挙動に基づいて、前記ドライバーの前記状態を分類するサブステップ(E12、E12´)であって、前記ドライバーの異常状態が検出されたときにサービスが選択される、前記ドライバーの前記状態を分類するサブステップ(E12、E12´)と
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の選択方法(100)。
【請求項5】
前記ドライバーの前記経験のレベルを調べる前記ステップ(E5)は、前記ドライバーが前記サービスを実行した回数に基づいて、前記サービスを使用した前記経験のレベルを決定するステップ(E51)と、各サービスに固有の、前記サービスを正しく実行するために前記ドライバーによって必要とされる最小の経験のレベルを定義する、経験指数を前記経験のレベルと比較するステップ(E52)とを含み、前記サービスは、前記経験指数が前記ドライバーの検出された前記経験のレベル以下であるときに選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の選択方法(100)。
【請求項6】
自動車両のドライバーをリラックスさせるかまたは刺激するための方法(200)であって、前記方法は、最初に、請求項1から5のいずれか一項に記載の選択方法(100)のステップを含み、次いで、少なくとも1つのサービスを実施するための少なくとも1つの手段(300)によって選択された前記少なくとも1つのサービスを実行するステップ(E6)であって、前記実行ステップ(E6)は、前記選択方法(100)の終了時に選択されたサービスの数が1以上であるときに実施される、少なくとも1つのサービスを実行するステップ(E6)と、前記選択方法(100)の終了時に選択されたサービスの数が0であるときに実施される、前記実行方法を早期に中断するステップ(E8)とを含む、方法(200)。
【請求項7】
事前定義されたしきい値を下回る持続時間の間隔内でのサービスの連続実行を防ぐように、前記方法の実行サイクル(n)中にサービスを実行するステップ(E6)の後に実施される、前記選択方法(100)のステップの繰り返しを妨げるステップ(E9)を含む、請求項6に記載のリラックスまたは刺激方法(200)。
【請求項8】
サービスの実行(E6)の後に、前記サービスに関係する前記ドライバーの前記経験のレベルを保存するステップ(E61)、または前記サービスに関係する前記ドライバーの、前に記憶された経験のレベルを変更するステップ(E62)を含む、請求項6または7に記載のリラックスまたは刺激方法。
【請求項9】
自動車両(1)のドライバーのためのリラックスまたは刺激サービスを選択するためのシステム(12)であって、前記システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の選択方法(100)を実施するハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を備え、前記ハードウェア要素が、前記ドライバーを対象としたサービスのリストが記憶された少なくとも1つのメモリユニット(11)と協働するように構成された少なくとも1つのデータ処理ユニット(13)を備える、システム(12)。
【請求項10】
請求項9に記載の選択システムと、1つまたは複数のリラックスまたは刺激サービスを実施するための少なくとも1つの手段(300)とを装備した、自動車両。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、自動車両のドライバーのためのリラックスまたは刺激サービスを選択するための方法に関する。本発明はまた、サービスを選択するためのシステムと、そのようなシステムを装備した車両とに関する。本発明はまた、言及した方法を実施するコンピュータプログラムに関する。
【0002】
自動車産業では、ドライバーの状態または気分に影響を及ぼすことを意図されたサービス、特にリラックスサービスあるいは刺激サービスを提供するシステムを車両に装備することが知られている。そのようなサービスは、特に、車両が停止しているとき、または車両が移動しているときに提供され、実行され得る。
【0003】
多種多様な既存のサービスにより、既存のシステムは、一方では、ドライバーのために好適でないサービスを、および/または、他方では、ドライバーがいる特定の状況のために好適でないサービスを提供しがちであり得る。
【0004】
本発明は、この文脈の範囲内に入り、低コストで上述の欠点を克服することを可能にするドライバー向けのサービスを選択するための方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、ドライバーを対象としたサービスのリストが記憶された少なくとも1つのメモリユニットを装備した自動車両のドライバーのためのリラックスまたは刺激サービスを選択するための方法を提案する。本選択方法は、
ドライバーの生理的状態を検出するステップ、またはドライバーのニーズについての情報を与えるステップと、
車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストを検出するステップと、
車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストに関係するデータに基づいて、ドライバーのアベイラビリティのレベルを計算するステップと、
ドライバーの使用選好を調べるステップと、
ドライバーが有する、リラックスサービスまたは刺激サービスを使用した経験の少なくとも1つのレベルを特徴づけるデータを調べるステップと、次いで、
ドライバーの生理的状態に基づいてまたはドライバーのニーズに基づいて、ドライバーのアベイラビリティのレベルに基づいて、ドライバーの使用選好に基づいて、および車両のドライバーの経験のレベルを特徴づけるデータに基づいて実行される、サービスのリストからの少なくとも1つのリラックスまたは刺激サービスの選択と
を含む。
【0006】
本選択方法は、サービスのリスト内の、少なくとも1つのサービスを含む、サービスの第1のサブセットを選択する第1の選択段階であって、第1の選択段階が、ドライバーの検出された状態を補正するためにドライバーの生理的状態に基づいて実行されるか、または第1の選択段階が、ドライバーのニーズに対処するために前記ニーズに基づいて実行される、第1の選択段階を含み得る。本方法は、次いで、ドライバーのアベイラビリティのレベルに基づいて、ドライバーの使用選好に基づいて、およびドライバーの経験のレベルに基づいて実行される、第1のサブセット内の、サービスの第2のサブセットを選択する第2の選択段階を含み得る。
【0007】
本選択方法は、ドライバーの生理的状態に基づくまたはドライバーのニーズに基づく、およびドライバーのアベイラビリティのレベルと、使用選好と、経験のレベルとに基づく、少なくとも1つのサービスの選択の終了時に複数のサービスが利用可能であるときに実施される、ランダム選択ステップを含み得る。
【0008】
ドライバーの状態を検出するステップは、
ドライバーの少なくとも1つの感情パラメータおよび/もしくは生理的パラメータを測定するサブステップ、ならびに/または
少なくとも1つの運転支援システムを介して、および/もしくは車両中に取り付けられた測定部材を介して少なくとも1つの異常なもしくは危険な運転挙動を検出するサブステップと、
ドライバーの生理的パラメータに基づいておよび/もしくはドライバーの運転挙動に基づいて、ドライバーの状態を分類するサブステップであって、ドライバーの異常状態が検出されたときにサービスが選択される、ドライバーの状態を分類するサブステップと
を含み得る。
【0009】
ドライバーのアベイラビリティのレベルを計算するステップは、車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストに関係するデータに基づいて、ドライバーのアベイラビリティのレベルを分類するサブステップを含み得る。
【0010】
さらに、本選択方法は、サービスのリスト中に含まれているサービスの全部または一部に関係する、ドライバーの少なくとも1つの選好についての情報を与える少なくとも1つのステップを含み得、情報提供ステップは、特に車両が停止しているときに、ドライバーの状態を検出するステップの前に、またはドライバーのニーズについての情報を与えるステップの前に実行することが可能であり、および/または情報提供ステップは、サービスの選択の後に実行することが可能である。
【0011】
ドライバーの経験のレベルを調べるステップは、ドライバーがサービスを実行した回数に基づいて、サービスを使用した経験のレベルを決定するステップと、各サービスに固有の、サービスを正しく実行するためにドライバーによって必要とされる経験の最小レベルを定義する、経験指数を経験のレベルと比較するステップとを含み得、サービスは、経験指数がドライバーの経験の検出されたレベル以下であるときに選択される。
【0012】
本発明はまた、自動車両のドライバーをリラックスさせるかまたは刺激するための方法に関し、本方法は、最初に、上記で開示した選択方法のステップを含み、次いで、選択方法の終了時に選択されたサービスの数が1以上であるときに実施される、少なくとも1つの選択されたサービスを実行するステップ、または、選択方法の終了時に選択されたサービスの数が0であるときに実施される、実行方法を早期に中断するステップを含む。
【0013】
本リラックスまたは刺激方法は、事前定義されたしきい値を下回る持続時間の間隔内でのサービスの連続実行を防ぐように、本方法の実行サイクル中にサービスを実行するステップの後に実施される、選択方法のステップの繰り返しを妨げるステップを含み得る。
【0014】
本リラックスまたは刺激方法は、サービスの実行の後に、前記サービスに関係するドライバーの経験のレベルを保存するステップ、または前記サービスに関係するドライバーの経験の、前に記憶されたレベルを変更するステップを含み得る。
【0015】
本発明はまた、自動車両のドライバーのためのリラックスまたは刺激サービスを選択するためのシステムに関し、本システムは、本発明による選択方法を実施するハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を備え、ハードウェア要素は、ドライバーを対象としたサービスのリストが記憶された少なくとも1つのメモリユニットと協働するように構成された少なくとも1つのデータ処理ユニットを備える。
【0016】
本発明はまた、上記で説明した選択システムと、1つまたは複数のリラックスまたは刺激サービスを実施するための少なくとも1つの手段とを装備した自動車両に関する。
【0017】
本発明はまた、プログラムコード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード命令は、前記プログラムがコンピュータ上で動作するときに、選択方法のステップを実施するために、および/またはリラックスもしくは刺激方法のステップを実施するために、コンピュータ可読媒体上に記憶される、コンピュータプログラム製品にまで及ぶ。代替として、そのようなコンピュータプログラム製品は、通信ネットワークからダウンロードされること、ならびに/またはコンピュータ可読および/もしくはコンピュータ実行可能データ媒体上に記憶されることが可能であり得、コンピュータプログラム製品は、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに選択方法および/またはリラックスもしくは刺激方法を実施させる命令を含む。
【0018】
本発明はまた、本発明による選択方法および/またはリラックスもしくは刺激方法を実施するためのプログラムコード命令を含むコンピュータプログラムがそれの上に記録されたコンピュータ可読データ記憶媒体に関し得る。言い換えれば、そのような記憶媒体は、命令がコンピュータによって実行されたときに、前記コンピュータに選択方法および/またはリラックスもしくは刺激方法を実施させる命令を含む。
【0019】
本発明は、最後に、上記で開示したコンピュータプログラム製品を搬送するデータ媒体信号に関する。
【0020】
他の詳細、特徴および利点は、限定ではなく、例として、以下の図に示されている様々な例示的な実施形態を参照しながら、以下に与える発明を実施するための形態を読むとより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】選択システムを装備した車両の一実施形態を概略的に示す図である。
図2】選択方法の実行の全般的なフローチャートである。
図3】選択方法のドライバーの状態を検出するステップの実行の一例の詳細なフローチャートである。
図4】ドライバーの状態を検出するステップの実行の代替的な一例の詳細なフローチャートである。
図5】選択方法の1つの代替的な実行モードの全般的なフローチャートである。
図6】選択方法の1つの特定の実行モードの全般的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による自動車両1を概略的に示している。車両1は任意の種類のものであり得る。特に、車両1は、自家用車両、特定用途車両、トラックまたはバスであり得る。車両はまた、自律的車両または非自律的車両であり得る。
【0023】
車両1は、ドライバーに様々なサービス、特にリラックスまたは刺激サービスを提供するような形で装備される。この意味では、車両1は、そのようなサービスを実施するための手段300、たとえば、内部照明システム、空調システム、暖房システム、内部オーディオシステム、嗅覚雰囲気を作り出すためのシステム、または視覚および/もしくは触覚雰囲気を作り出すためのシステムを装備し得る。車両はまた、サービス、特にドライバーを対象としたリラックスまたは刺激サービスのリストが記憶された少なくとも1つのメモリユニット11を装備する。車両1は、さらに、図2図6に示されているサービスを選択するための方法100を実施することが可能なハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を備える、ドライバー向けのサービスを選択するためのシステム12を備える。
【0024】
システム12は、特に、少なくとも1つのデータ処理ユニット13を備える。特定の一例によれば、本システムは、サービスのリストが記憶されたメモリユニット11を備え得るか、または代替として、本システムは、車両1中に含まれているメモリユニット11とデータを交換するように構成され得る。さらに、システム12は、システム12に固有である少なくとも1つのメモリ要素14を含み得る。
【0025】
処理ユニット13は、ハードウェアリソースとソフトウェアリソースとを備える少なくとも1つの計算ユニット、より具体的には、メモリユニット11および/またはメモリ要素14と協働する少なくとも1つのプロセッサまたはマイクロプロセッサを備える。この計算ユニットは、コンピュータプログラムを実施するために命令を実行することが可能である。
【0026】
選択システム12は、さらに、
道路インフラストラクチャ中の車両1の位置を特定するための位置特定手段15、ならびに/または
ユーザの状態を監視するための監視ユニット16、ならびに/または
接続されたデバイスおよび/もしくはデータベースと通信するための通信モジュール17、ならびに/または
車両1に関係するデータ、特に車両1の縦方向速度を測定するための1つまたは複数の測定部材18、ならびに/または
1つまたは複数の運転支援システム19
など、車両の様々な要素を備えるか、またはそのような要素とデータを交換することが可能であり得る。
【0027】
位置特定手段15は、道路インフラストラクチャ中の車両1の位置を特定することを可能にする。位置特定手段15は、たとえば、車両の位置を特定するための位置特定システム、および/または道路インフラストラクチャの地図を組み込んでいる。特に、車両1のロケーションはGPS(「全地球測位システム」の頭字語)システムによって与えられ得る。代替または追加として、位置特定手段15は、車両1にオンボードで格納された位置特定システムであり得る。車両1のロケーションは、地図データベースから、車両1の位置の周囲の半径数百メートル以内の道路インフラストラクチャおよび/またはトポロジーおよび/または地勢に関する情報を抽出することを可能にする。
【0028】
監視ユニット16は、ドライバーの生理的状態を監視し、限定はしないが、運転中のドライバーの挙動に影響を及ぼしやすい、前記ドライバーの疲労、眠気、あるいはストレスまたは心配の状態を検出することを可能にするように構成される。監視ユニット16は、特に、注視方向、頭部の動き、心拍数または皮膚電位(electrodermal activity)の中から、ドライバーの少なくとも1つの生理的パラメータを測定することが可能な、車両1の乗員室中に配置されたカメラ、または車両1の要素、たとえばステアリングホイール中に取り付けられたセンサーなど、少なくとも1つの監視センサーを備え得る。
【0029】
通信モジュール17は、車両1が、低周波または高周波ワイヤレスリンクを介して、接続されたデバイスから、たとえば、接続された電話から、接続された遠隔車両から、あるいは接続された都市または道路インフラストラクチャ要素から、データベースからのデータを受信することを可能にする。これは、たとえば、「セルラー」、「Bluetooth」または「Wi-Fi」技術(登録商標)に基づくワイヤレスリンクであり得る。そのようなデータは、ドライバーに、たとえば、接続されたデバイスの継続中の使用、またはダイアリー中にスケジュールされたイベントに関係するかあるいは、車両1の外部のコンテキストに、たとえば、天候条件、交通条件、またはトポロジー的もしくは地理的条件に、非網羅的に関係し得る。
【0030】
1つまたは複数の測定部材18は、限定はしないが、縦方向速度、車両の加速度および/または減速度、ブレーキペダルに加えられた圧力、あるいはブレーキペダルに加えられた圧力の割合など、車両1の1つまたは複数のパラメータに関する測定を実行することが可能である。代替として、前記パラメータの全部または一部が運転支援システム19によって測定され得る。
【0031】
図示のように、車両1は、特に、たとえばレーダーおよび/またはライダーおよび/またはカメラなど、車両1の環境を検出するための少なくとも1つの検出手段191を備える、少なくとも1つの運転支援システム19を装備し得る。非限定的な例として、「運転支援システム」は、AEB(「自動緊急制動(Automatic Emergency Braking)」)システムとしても知られる自律的緊急制動システム、近くの車両を検出するための検出システム、および/または駐車支援システムを意味すると理解される。特に、車両1は複数の運転支援システム19を備え得る。
【0032】
選択システム12の処理ユニット13は、このようにして、メモリユニット11と情報を交換することが可能であるが、上記で開示した、位置特定手段15から、および/または監視ユニット16から、および/または通信モジュール17から、および/または少なくとも1つもしくは複数の測定部材18から、および/または1つもしくは複数の運転支援システム19から、データを受信することも可能であり、そのようなデータは、次いで、ドライバーのためのサービスを選択することを可能にするために、以下で開示する方法において使用される。処理ユニット13はまた、車両中に取り付けられた、場合によっては、たとえば選択システム12中に含まれている、制御ユニット20とのやりとりを実行し得る。そのような制御ユニット20は、たとえば、上述の様々な構成要素11、14、15、16、17、18もしくは19に、および/または1つもしくは複数のリラックスもしくは刺激サービスを実施するための手段300に作用することが可能であり、ならびに/あるいは、それらの動作ステータス、たとえば実行されたパラメータまたは設定を制御することが可能であり得る。
【0033】
選択方法100の全般的なフローチャートおよび特定の一実行例が、それぞれ図2および図6に示されている。選択方法100はまた、本発明による選択システム12を動作させるための方法であるか、またはそのようなシステムを装備した自動車両1を動作させるための方法であると考えられ得る。本方法は、特に、ドライバーの生理的状態に基づいて、少なくとも1つのリラックスまたは刺激サービスの実行を目的としてそのようなサービスの選択を実施し、それにより、たとえば、ドライバーの感情状態を間接的に検出することを可能にするために構成される。特に、本方法によって選択されるサービスは、次いで、そのような状態を少なくとも部分的に補正しようとし得る。代替として、本発明による方法は、特にドライバーによって与えられる、ドライバーのニーズに基づいて実行され得る。次いで、そのようなニーズに対処するためにサービスが選択される。本方法はまた、ドライバーのアベイラビリティのレベル、ドライバーの使用選好、および車両のドライバーの専門技術のレベルを特徴づけるデータ、ならびに/またはサービスを使用した経験のレベルに基づいて、そのような選択を実施するために構成される。図2および図6はまた、本発明による選択方法100のステップを含む、ドライバーをリラックスさせるかまたは刺激するための方法200を示している。
【0034】
選択方法100は、ドライバーの状態を検出するステップE1、またはドライバーのニーズについての情報を与えるステップE1´を含む。
【0035】
本方法が、ドライバーの生理的状態を検出するステップE1を含むとき、本方法は、特に、ドライバーの正常なまたは安定した状態と異常な状態とを検出し、それらの状態を区別することを可能にする。特に、本方法は、ドライバーの異常なまたは不安定な状態が検出されたときにのみ、本方法が継続するように、条件付きで実行され得る。本方法は、次いで、ドライバーを正常なまたは安定した状態に戻すために、そのような検出された異常な状態を補正しようとする。言い換えれば、本方法は、車両1によって特定されたドライバーのニーズに対処しようとする。代替として、正常なまたは安定した状態が検出されたとき、1つまたは複数のサービスがそのような状態を維持することを可能にするかどうかに従って、それらのサービスが選択され得る。
【0036】
非限定的な例として、ドライバーの異常な状態は、ストレスまたは心配の状態に、すなわち、ドライバーが過剰に刺激され、リラックスサービスを必要とする状態に関係するか、または、疲労、眠気もしくは退屈の状態に、すなわち、ドライバーが刺激または活性化サービスを必要とする刺激不足状態に関係し得る。
【0037】
図3において詳述されているように、検出ステップE1は、ドライバーの少なくとも1つの生理的パラメータを直接測定するサブステップE11を含み得る。たとえば、監視ユニット16は、ドライバーの注視方向、頭部の動き、心拍数または皮膚電位を測定し得、そのようなパラメータは、とりわけ、特にドライバーのストレスまたは心配の状態を表す興奮を検出することを可能にし、監視ユニット16は、次いで、これらの測定値を処理ユニット13に送信する。選択システム12は、次いで、ドライバーの生理学的基準値に基づいてドライバーの状態を分類するサブステップE12を実行する。言い換えれば、処理ユニット13は、計算および比較演算を実行することが可能であり、計算および比較演算は、1つまたは複数の測定された基準値が、上限値または下限値として、少なくとも1つの所与の基準しきい値を超えたかどうかを決定することが可能であり、したがって、適用可能な場合、上述の様々な状態の中からドライバーの状態を特定することが可能になる。
【0038】
代替として、または測定ステップE11と組み合わせて、ドライバーの運転を分析することによってドライバーの生理的状態が間接的に検出され得る。本方法は、次いで、車両1の1つもしくは複数の運転支援システム19を介しておよび/または1つもしくは複数の測定部材18を介して実行される、少なくとも1つの異常なまたは危険な運転挙動を検出するサブステップE13を含み得る。ドライバーの少なくとも1つの感情パラメータおよび/または生理的パラメータは、その場合、ドライバーの運転によって間接的に定義され得る。たとえば、AEBシステムによって実施される制動など、危険な状況を防ぐことを目的とする、1つまたは複数の運転支援システム19によって開始されるイベントの少なくとも1回のまたは繰り返しのトリガは、ドライバーが眠りに落ちつつある状態の特性を示し得る。別の例によれば、1つまたは複数の測定部材による異常に不規則な縦方向速度の検出が、ドライバーのストレスの状態の特性を示すものとして定義され得る。
【0039】
随意には、そのような検出E13は、車両1の外部の環境、たとえば、特に位置特定手段15によって与えられる天候条件または地理位置情報をも考慮に入れ得る。
【0040】
本方法は、次いで、ドライバーの状態を分類するステップE12´を含み、ステップE12´は、上記で開示した分類ステップE12と同様であるが、この場合は、それが、1つまたは複数の運転支援システムおよび/または車両1中に取り付けられた1つまたは複数の測定部材18を介して検出されたドライバーの運転挙動に基づいて実行される点が異なる。
【0041】
図3に示されている例示的な実施形態によれば、検出ステップが、ドライバーの少なくとも1つの感情基準値および/または生理学的基準値を測定するサブステップE11と、検出サブステップE13とを含むとき、前記サブステップは、少なくとも部分的に互いと同時に実行され得る。本方法は、次いで、特にサブステップE11および/またはサブステップE13のシーケンスから異常な状態が特定されるとすぐに継続し得る。
【0042】
代替として、図4に示されているように、前記サブステップE11、E13の一方は、前記サブステップの他方において検出された状態を確認するような形で実行され得る。たとえば、運転支援システム19は、緊急制動が繰り返しトリガされたことにより、ドライバーの眠気の状態を検出し得、次いで、監視ユニット16は、ドライバーの心拍数またはまばたきの回数の測定値に基づいて、そのような状態を確認し得る。言い換えれば、サブステップE11、E13は、その場合、互いに連続して実行される。逆の動作も実施され得る、すなわち、運転支援システム19および/または1つもしくは複数の測定部材は、監視ユニット16によって検出されたドライバーの状態を確認することを可能にする。
【0043】
サービスは、特にドライバーの検出された状態を補正するような形で状態に基づいて選択される、すなわち、そのようなサービスはドライバーを安定した状態に戻すことを目的とする。各サービスは、したがって、識別子と、各サービスが対象とする検出された状態および/または各サービスが対処するニーズに対応する、少なくとも1つの状態指数および/またはニーズ指数とに関係する、データによって特徴づけられる。たとえば、いくつかの呼吸法サービスまたはヨガエクササイズサービスは、過剰刺激の状態、すなわちストレスまたは心配の状態を呈しているドライバーを対象とし、リラックスさせるニーズに対処する。本方法は、したがって、サブステップE11および/またはサブステップE13の実行の後に、所与の時間においてドライバーの生理的状態に好適なサービスを選択することを可能にするために、ドライバーの検出された状態を、各サービスに固有の状態指数および/またはニーズ指数と比較するサブステップE15を含む。
【0044】
本システムはまた、車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストを検出するステップE2を実行する。そのようなデータは、次いで、ドライバーのアベイラビリティのレベルを定義するために選択システム12によって使用され得る。言い換えれば、本方法は、その場合、車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストに関係するデータに基づいてドライバーのアベイラビリティのレベルを計算するステップE3を含む。図2図5に示されている本方法の実行モードに従って、ステップE2および/またはステップE3の全部または一部が、上記で開示したステップE1と同時に実行され得る。
【0045】
「アベイラビリティ」のレベルは、ドライバーが呼び掛けに応じることが可能である程度、または、サービスを実行するときに必要とされ得るドライバーの注意の程度を定義することを目的とするパラメータを意味すると理解される。そのようなパラメータは、特に、不適当な時間に、さらには危険な状況または危険を生じやすい状況において、ドライバーに呼び掛けたりドライバーの邪魔をしたりしないような形で実行されるように、サービスを適応させることを目的とする。
【0046】
ドライバーのアベイラビリティのレベルを計算するステップE3は、ドライバーの状態に関して上記で開示したことと同様に、ドライバーのアベイラビリティを様々なレベルに分類するサブステップE31を含む。非限定的な例として、ドライバーのアベイラビリティは、以下の少なくとも3つのレベルに従って分類され得る。
実施されるサービスが、たとえば、特にドライバーの注意の全部または一部を喚起することによって、いかなる危険もなしに、またはいかなる不便も生じることなしに、ドライバーに呼び掛け得る、完全なアベイラビリティのレベル、
実行されるサービスが、慎重であるべきであり、ドライバーに呼び掛けたりドライバーを呼び出したりすべきでない、完全な非アベイラビリティのレベル、
ドライバーの注意が部分的に喚起され得る、完全なアベイラビリティのレベルと完全な非アベイラビリティのレベルとの間の、アベイラビリティの少なくとも1つの中間レベル。
【0047】
車両の内部コンテキストに関係するデータは、特に、車両1のステータス、すなわち、特に、車両が停止しているかどうか、運転段階にあるかどうか、あるいは技術的なインシデントが検出されたかどうかに関し得る。これらのデータは、たとえば、車両中に取り付けられた1つまたは複数の測定部材18によって選択システム12の処理ユニット13に送信され、車両1の少なくとも1つのエンジンのステータス、サイドブレーキのステータス、車両の縦方向速度、またはそのような速度の規則性に関し得る。これらのデータはまた、たとえば、運転の円滑さ、実行された追い越し操作の回数、または関連がある可能性がある任意の他の値について選択システム12に通知するために、1つまたは複数の運転支援システム19によって通信され得る。したがって、車両1が停止しているとき、または車両1が低い縦方向速度、たとえば15km/h未満で移動している場合、選択システムは、それの計算の後に、ドライバーが完全なアベイラビリティの状態にあると推論し得る。反対に、車両1が移動しており、高い縦方向速度を有する場合、ドライバーは、中間アベイラビリティを有するか、または非アベイラブルであると考えられ得る。
【0048】
車両の内部のコンテキストはまた、接続されたデバイス、たとえば電話の使用、あるいは、図示されていない、車両にオンボードで格納されているシステム、たとえばマルチメディアシステムの使用に関し得る。言い換えれば、選択システム12はまた、少なくとも1つの接続されたデバイス、特にこれがどのように使用されているかを考慮に入れるために構成され得る。たとえば、呼び出しが継続している場合、ドライバーは非アベイラブルであると考えられる。
【0049】
代替または追加として、ドライバーのアベイラビリティのレベルは、車両1の外部のコンテキストに関係するデータ、すなわち、たとえば、天候条件、地形学的条件、地理的条件に関係するデータ、あるいは交通に関係するデータに基づいて定義され得る。たとえば、これらのデータは、1つまたは複数の運転支援システム19、1つまたは複数の測定部材、位置特定手段15または接続されたデバイスのうちの少なくとも1つによって送信され得る。混雑した交通状況、悪天候条件、山岳地のまたは危険な道路は、たとえば、「非アベイラブルな」レベルのまたは「中間アベイラビリティ」のレベルの特性を示し得る。ドライバーのアベイラビリティのレベルを分類するステップE31は、ドライバーのアベイラビリティのレベルを直接定義するために、ドライバーのアベイラビリティに関係するすべての受信されたデータを同時に考慮に入れるような形で実行され得る。代替として、選択システム12は、あらかじめ、ドライバーのアベイラビリティのレベルを、各タイプのデータと関連付け、次いで、それに基づいて、アベイラビリティの全般的なレベルを計算し得る。特に、本システムは、少なくとも1つのタイプのデータ、たとえば接続されたデバイスの使用が、ドライバーの非アベイラビリティの状態を示す場合に、ドライバーのアベイラビリティの全般的なレベルが「非アベイラブル」と認定されるように構成され得る。
【0050】
したがって、いくつかの非限定的な例によれば、ドライバーが現在電話で会話している場合、ドライバーは、ドライバーが交通量の少ない高速道路上を移動している場合、またはドライバーが停止している場合でも、非アベイラブルであると考えられる。その場合、第1のサブセットのサービスの中から、ドライバーからのいかなる寄与も必要としない、控えめであるか、さらには知覚不能であるサービスを選択する必要がある。たとえば、そのようなサービスは、ドライバーからのいかなる調整または介入も必要とすることなしに、乗員室内の温度、あるいは乗員室内の明るさを調整することを含み得る。反対に、たとえば旅程の終了時に、車両1が、特に駐車場で停止しており、ドライバーがアベイラブルであると考えられるとき、第1のサブセット中に含まれているサービスの中から、ドライバーを大きく関与させるサービス、たとえば、目が見開かせ、閉じさせさえする、呼吸法またはヨガエクササイズが選定され得る。
【0051】
サブステップE31に続いて、本方法は、ドライバーのアベイラビリティの計算されたレベルを、実行されることが可能であるべきサービスのために必要とされるドライバーのアベイラビリティのレベルを定義する、各サービスに固有のアベイラビリティ指数と比較するサブステップE32を含む。言い換えれば、サービスが、ドライバーのアベイラビリティの計算されたレベル以下のアベイラビリティ指数を有する場合に、そのサービスが選択される。
【0052】
本方法はまた、ドライバーの使用選好、特に、車両中にまたは選択システム12中に含まれているメモリユニット11に保存された選好を調べるステップE4を含む。代替として、そのような選好は選択システム12のメモリ要素14中に保存され得る。「選好」基準値は、ドライバーの好みおよび/または選定に基づいて定義される。この意味では、本方法は、サービスのリスト中に含まれているサービスの全部または一部に関係するドライバーの少なくとも1つの選好についての情報を与える少なくとも1つのステップE41を含み得る。そのようなステップは、調査ステップE4の前に、たとえば、車両1が停止しているときに、または車両1の選択システム12を調整するときに実行され得る。代替として、情報提供ステップE41は、選択方法100の実行サイクルの終了時に、すなわち、たとえば選択されたサービスが実施された後に実行され得る。図示されていない1つの代替形態によれば、本方法は、あるステップが本方法の開始時に実行され、他のステップが本方法の終了時に実行されるような、選好についての情報を与える複数のステップを含み得る。
【0053】
情報提供ステップE41は、したがって、たとえば、サービスを等級付けまたは評価するためのシステムによって定義された選好を入力するサブステップを含み、そのような選好を保存するサブステップ、または前記選好に関係する、前に記憶されたデータを変更するサブステップをも含み得る。選好は、たとえば車両1中に取り付けられたヒューマンマシンインターフェース上に提示される特定のメニューを介して、手動入力によって入力され得る。ドライバーは、その場合、サービスを選択するか、選択解除するか、あるいは等級付けし得る。別の例示的な実施形態によれば、そのような選好は、本方法の前の実行サイクルにおいて車両1によって検出されていることがある。たとえば、サービスは、ユーザが、そのサービスが完全な形で実行されることを許した場合、または、上記で開示したドライバーの少なくとも1つの生理学的基準値が、ドライバーがそのサービスを好むことを示している場合に、好ましいと考えられ得る。反対に、サービスは、ドライバーが、特にヒューマンマシンインターフェースを介して手動でそのサービスを中断した場合、またはそのようなサービスが、ドライバーを正常なまたは安定した状態からさらに遠ざけると思われる場合、たとえば、前記サービスがドライバーにとってストレスまたは追加のいら立ちを生じる場合に、望ましくないと考えられ得る。
【0054】
ドライバーの「専門技術」のレベルは、特に、リスト中に含まれている様々なサービスを実施することに関するドライバーの経験のレベル、すなわち、前記サービスを使用するドライバーの能力と、前記サービスに関するドライバーの熟知度とに関する。実際、ドライバーがサービスの実行中に寄与することが必要とされる場合、特に、サービスが運転段階中に実行され、ドライバーの注意を過度にそらさないことが不可欠である場合、困難なしに、または少なくとも過大な困難なしに、ドライバーがそのような寄与を実行することが可能であることが好ましい。
【0055】
本方法は、したがって、ドライバーの専門技術のレベルの特性を示すデータを調べるステップE5を含み、これは、少なくとも、ドライバーが有する、サービスを使用した経験のレベルに基づいて定義される。言い換えれば、本方法は、ドライバーの専門技術のレベル、および/またはドライバーが有する、サービスを使用した経験のレベルの特性を示す、データを調べるステップE5を含む。ドライバーの経験のレベルは、例示的な一実施形態によれば、少なくとも、ドライバーがサービスを実行した回数に基づいて、サービスを使用した経験のレベルを決定するサブステップE51を介して定義され得る。たとえば、選択システム12は、検討中のサービスがドライバーによって特に完全な形で実施されるとすぐに、前記サービスの実行の回数を増加させるように構成されたカウンタを備え得る。次いで、検討中のサービスの実行の回数のしきい値に基づいてドライバーの経験の様々なレベルが定義され得る。
【0056】
例として、ドライバーの経験のレベルは、ドライバーが、検討中のサービスの使用における「初心者」であるか「熟練者(well-versed)」であるか「エキスパート」であるかによって定義され得る。実際、ドライバーを妨害しないためには、したがって、危険な状況を生じないためには、特にいくつかのサービスが、ドライバーの注意をより大いに喚起することを伴うときに、そのようなサービスに対するアクセスを制限するか、さらには阻止することが好ましいことがある。非限定的な一例によれば、ドライバーは、ドライバーが検討中のサービスを実行した回数が3回未満であるときはそのサービスの初心者であると考えられ、ドライバーがそのサービスを3~5回実行したときは熟練者であると考えられ、ドライバーがそのサービスを6回以上実行したときはエキスパートであると考えられ得る。
【0057】
そのようなサブステップE51に続いて、ドライバーの経験のレベルを前記サービスの各々に固有の経験指数と比較するサブステップE52が行われ、そのような指数は、サービスを正しく実行するためにドライバーによって必要とされる経験の最低レベルを定義する。たとえば、「エキスパート」の経験指数を有する呼吸法エクササイズは、初心者ドライバーにとってアクセス不可能にされ、経験指数がより低い同様のサービスの実行の後にのみ利用可能にされ得る。言い換えれば、サービスは、そのサービスがドライバーの検出された経験レベル以下の経験指数を有するときに選択される。
【0058】
追加または代替として、各サービスは様々な難易度設定を有し得、前記設定の各々は、その設定に固有である専門技術指数によって定義される。サービス、たとえば上述の「エキスパート」設定の呼吸法エクササイズの「エキスパート」設定は、その場合、事前に「初心者」および/または「熟練者」設定を実行していないドライバーにとってアクセス不可能にされ得る。選択システム12は、次いで、上記で開示したように、各設定の実行の回数をカウントし、下位レベルの設定の事前定義された回数の実行を条件として、定義された設定をもつサービスに対するアクセス可能性を与え得る。
【0059】
図2に破線で示されている特定の例示的な一実施形態によれば、サービスに固有の経験指数も、上記で開示したように、ドライバーの生理的状態に関係するデータに基づいて、ならびに/または車両の外部のコンテキストおよび/もしくは内部のコンテキストに関係するデータに基づいて、処理ユニットによって調整され得る。上記で引用した「エキスパート」レベルをもつ呼吸法エクササイズの経験指数は、それにより、前記データに基づいて変更され得る。たとえば、車両1のステータスが、車両1が停止していることを示すときに、このサービスに関する経験の「初心者」レベルを有するドライバーにとってサービスがアクセス可能になるように、経験指数が引き下げられ得る。本方法は、その場合、たとえばステップE1またはステップE52の前に実行される、少なくとも1つのサービスに固有の経験指数を調整するサブステップE53を含み得る。
【0060】
随意には、ドライバーの専門技術を調べるステップE21の実行中に、選択システム12はまた、特に、あらかじめ前記ドライバーによって与えられる、ドライバーの運転免許の年数に対応する、ドライバーの運転レベルを考慮に入れ得る。たとえば、それの年数が3年超である運転免許を有するドライバーは経験のあるドライバーとして分類され得る。反対に、運転免許の年数が3年未満であるドライバーは若年ドライバーまたは初心者ドライバーであると考えられ得る。
【0061】
このようにして、ドライバーの生理的状態またはニーズと、ドライバーのアベイラビリティのレベルと、ドライバーの使用選好と、ドライバーの専門技術のレベルとに基づく、メモリユニット11および/またはメモリ要素14に記憶されたリストからの、少なくとも1つのリラックスまたは刺激サービスの選択E100は、初期リスト中に含まれているサービスの数よりも厳密に小さいサービスの数を有するサービスのサブセットを取得する結果を有する。サブセットは、したがって、有利には、ドライバーに関係するコンテキストにとって、車両の内部コンテキストにとって、および車両1の外部のコンテキストにとって好適な1つまたは複数のサービスを含む。
【0062】
選択方法100の実行に続いて、図2または図5に示されているように、車両は、上記で引用したリラックスまたは刺激方法200の一部として、選択されたサービスを実行するステップE6を実施し得る。実行ステップE6は、特に、選択方法の終了時にサービスのサブセット中に含まれている選択されたサービスの数が1以上であるときに実施される。サブセットが単一のサービスからなる場合、車両1はこの実行ステップE6を直接実施する。
【0063】
随意には、サブセットが複数のサービスを含むとき、選択方法100は、実行されるべき単一のサービスのみを選択するように、ここでは破線で示されているランダム選択ステップE7をさらに含む。そのような選択は特に処理ユニット13によって実施される。車両1は、次いで、上記で開示した選択されたサービスを実行し得る。
【0064】
随意には、単一のサービスがサービスのリストから選択されると、すなわち、選択E100に続いて、または選択E7に続いて、本方法は、選択されたサービスを実施するための少なくとも1つの手段300のステータスを検査するステップE201を含み得る。制御ユニット20および/または処理ユニット13は、次いで、少なくとも1つの手段300のリアルタイムでのステータスに関係するデータを検出する、すなわち、たとえば手段300が現在動作しているかどうかを検出するか、あるいは、手段300が現在使用されている場合、実行されたパラメータおよび設定を検出し得る。制御ユニット20は、次いで、少なくとも1つの手段300の検出されたステータスに関係するデータを、特に、選択されたサービスの実行を可能にするために実施されるべきパラメータまたは設定に対応する実行されるべきステータスに関係する、メモリユニット11および/またはストレージメモリ14に記憶されたデータと比較し得る。制御ユニット20および/または処理ユニット13が、これらのデータが同一であること、すなわち、たとえばリラックスまたは刺激方法の前の実行サイクルにより、選択されたサービスがすでに実行されていることを検出したとき、選択方法は、その場合、直ちにまたは後で繰り返され得る。そのようなデータが異なるとき、すなわち、選択されたサービスが現在実行されていないとき、車両1は前記サービスを実行し得る。たとえば、視覚雰囲気作成システムに冷色調の照明を実施することを要求するリラックスサービスについて、制御ユニット20および/または処理ユニット13が、前記システムがすでに現在これらの同じパラメータまたは設定とともに使用されていることを検出した場合、本方法は、特に、サービスのリスト内の新しいサービスを選択することを可能にするために繰り返され得る。
【0065】
図2および図5に示されているように、サブセットが空である場合、すなわち、サブセットが0個のサービスからなる場合、リラックスまたは刺激方法を早期に中断するステップE8が実行され得る。本方法は、その場合、直ちにまたは後で繰り返され得る。
【0066】
システム12は、次いで、サービスの実行E6に続いて、前記サービスに関係するユーザの経験のレベルを保存するステップE61、または前記サービスに関係するユーザの経験の、前に記憶されたレベルを変更するステップE62を実行する。ドライバーの経験のレベルは、このようにして、リラックスまたは刺激方法の各実行サイクルの後に更新され、選択方法100の後続の実行中に行われる、サービスの将来の選択が最適化され得る。
【0067】
図示されていない1つのオプションによれば、本システム、特に制御ユニット20および/または処理ユニット13は、選択されたサービスの適正な実行を検査するステップを実施し得る。そのようなステップはステップE201からの原理と同様の原理に従って実施される。本方法は、その場合、サービスの実行において異常が検出されたときに、すなわち、サービスを実施するための少なくとも1つの手段300のステータスに関係する検出されたデータが、サービスが適正に実行されたときに観測されるべきである、ステータス、パラメータまたは設定に特に関係する、記憶されたデータとは異なるときに、本方法が繰り返されるように構成され得る。
【0068】
選択方法の1つの代替の実行モードによれば、選択方法100は、上述のように、ドライバーの生理的状態を検出するステップE1ではなく、ドライバーのニーズについての情報を与えるステップE1´を含み得る。そのような実行の代替形態は、上記で詳述した実行モードと実質的に同等であり、したがって、上記説明は、この代替形態に、必要な変更を加えて適用される。ドライバーは、たとえばヒューマンマシンインターフェースを介して、手動でまたは音声でニーズについての情報を与え得る。そのようなステップE1´は、次いで、本発明による方法の実施をトリガし得る。
【0069】
図5に示されている1つの実行オプションによれば、選択システム12は、事前定義された時間間隔内で、それぞれリラックスまたは刺激方法200の別個の実行サイクルに固有の、複数のサービスの実行を防ぐようにプログラムされ得る。言い換えれば、リラックスまたは刺激方法200の実行サイクルn中に実施されるサービスを実行するステップE6に続いて、選択システム12は、本方法の実行サイクルnの最後の実行ステップE6以後に経過した持続時間が、持続時間しきい値よりも小さい、たとえば15分未満であるときに、実行サイクルnx+1中の選択方法100のステップの実行を阻止するステップE9を実施するために構成され得る。言い換えれば、選択システム12は、前の実行ステップE6の実施以後に経過した持続時間をカウントするように構成され得る。
【0070】
図6は、上記で説明したことと同様に、本発明による選択方法の実行の特定の一例を示しており、したがって、上記の説明ならびに様々なモードおよび代替形態は、必要な変更を加えて適用される。実行のこの例は、互いに連続する、サービスを選択する2つの別個の段階を含むという点で前の例とは異なる。
【0071】
特に、本方法は、サービスのリスト内の、少なくとも1つのサービスを含む、サービスの第1のサブセットを選択する第1の選択段階A1を含み、第1の選択段階A1は、ドライバーの生理的状態に基づいて少なくとも1つのサービスを選択することE101を可能にするか、または第1の選択段階は、ドライバーのニーズに対処するために前記ニーズに基づいて実行される。言い換えれば、第1の選択段階A1において、ドライバーの生理的状態を検出するステップE1、またはドライバーのニーズについての情報を与えるステップE1´が実行される。特に、本方法は、車両を介してドライバーの状態を検出することによって開始され得る。
【0072】
システム12、特に処理ユニット13は、サービスのリスト内の、サービスの第1のサブセットを選択する第1の選択段階を実施する。第1のサブセットは少なくとも1つのサービスを含む。上記で開示したことと同様に、本方法が、ドライバーの状態を検出するステップE1を含むとき、選択され、サービスの第1のサブセット中に組み込まれた1つまたは複数のサービスは、ドライバーの検出された状態を補正しようとする、すなわち、そのようなサービスはドライバーを安定した状態に戻そうとする。
【0073】
随意には、本方法は、ドライバーの異常な状態、すなわち不安定な状態が検出されたときに実行されるようにプログラムされ得る。そのような場合、選択E101、次いで第2の選択段階A2は、ステップE1においてドライバーの異常な状態が検出されたときに実施され得る。言い換えれば、本方法は、ドライバーの正常なまたは安定した状態が検出されたとき、検出ステップE1の後に停止するように構成され得る。代替として、正常なまたは安定した状態が検出されたとき、1つまたは複数の第1のサブセット中に組み込まれた1つまたは複数のサービスがそのような状態を維持することを可能にするかどうかに従って、そのようなサービスが選択され得る。
【0074】
本方法は、次いで、第1のサブセット内の、サービスの第2のサブセットを選択する第2の選択段階A2を含む。第2の選択段階A2は、上記で開示したように、ドライバーのアベイラビリティのレベルと、ドライバーの使用選好と、ドライバーの専門技術のレベルとに基づいて、選択E102が実行されることを可能にする。第2の選択段階A2は、その場合、ドライバーのアベイラビリティのレベルと、選好と、専門技術のレベルとに関係する、様々なステップおよびサブステップの全部または一部を含む。特に、第2の選択段階A2は、少なくとも、
車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストに関係するデータに基づいて、ドライバーのアベイラビリティのレベルを計算するステップE3と、
ドライバーの使用選好を調べるステップE4と、
少なくとも、ドライバーが有する、サービスを使用した経験のレベルに基づいて定義されるドライバーの経験のレベルを特徴づけるデータを調べるステップE5と
を含み得る。
【0075】
随意には、第2の段階は、上記で開示した、車両の外部のコンテキストおよび/または内部のコンテキストを検出するステップE2を含み得る。
【0076】
そのようなモードは、有利には、選択システム12が相応にプログラムされている場合に、選択システム12が、状況がこれを必要とするときにのみ第2の選択段階A2を実行するような形で、車両のリソースを最適化することを可能にする。
【0077】
第2の選択段階A2が実行されると、本システムは、したがって、ドライバーに関係するコンテキストと、車両1のコンテキストと、車両1の外部のコンテキストとにとって好適な、第1のサブセットから、したがってサービスの初期リストから得られる、サービスの第2のサブセットを取得する。随意には、サブセットが複数のサービスを含むとき、本方法は、ここでは第3の選択段階に対応する、上記で説明したランダム選択ステップE7を含み得る。また、本方法は、随意には、上記で開示した検査ステップE201を含み得る。車両1は、その場合、上記で開示したように、選択されたサービスを実行し得る。
【0078】
本発明は、したがって、ドライバーを対象とした複数のサービスのリストの中から、自動車両のドライバー向けのサービスを選択するための方法を提案し、本方法は、特に、車両中にすでに組み込まれている機器を実施することによって、低いコストでドライバーの快適さと安全とを最適化するように、ドライバーに関係するコンテキストと、車両と、外部環境とにとって好適な選択を可能にする。
【0079】
本発明は、しかしながら、本明細書で説明および図示されている手段および構成に限定されず、任意の等価な手段または構成にまでも及び、そのような手段の任意の技術的に実現可能な組合せが、本文書で説明および図示されている機能を最終的に果たすという条件で、そのような組合せにまで及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】