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特表2024-528423荷電粒子ビーム顕微鏡における試料の送り、データ取得、分析、およびそれらの自動化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム顕微鏡における試料の送り、データ取得、分析、およびそれらの自動化
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/24 20060101AFI20240723BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20240723BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20240723BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01J37/24
H01J37/20 B
H01J37/22 501Z
H01J37/22 502H
G01N1/00 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577779
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022033698
(87)【国際公開番号】W WO2022266269
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,983
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.BLUETOOTH
3.ANDROID
4.WINDOWS
5.UNIX
6.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】512208578
【氏名又は名称】オウン,クリストファー,ス-ヤン
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】オウン,クリストファー,ス-ヤン
【テーマコード(参考)】
2G052
5C101
【Fターム(参考)】
2G052CA04
2G052CA05
2G052CA45
2G052CA48
2G052DA05
2G052DA23
2G052DA33
2G052GA33
2G052HC15
2G052HC32
2G052HC42
2G052JA06
2G052JA09
5C101AA02
5C101BB03
5C101BB06
5C101BB09
5C101CC13
5C101EE22
5C101FF09
5C101FF31
5C101FF32
5C101FF42
5C101FF45
5C101FF46
5C101FF48
5C101JJ04
5C101JJ09
(57)【要約】
【課題】荷電粒子ビーム顕微鏡における試料の送り、データ取得、分析、およびそれらの自動化を提供する。
【解決手段】試料を撮像するための荷電粒子ビーム顕微鏡であって、試料を保持するためのステージと、複数の試料の中から試料を繰り返し自動的に交換するための自動試料フィーダと、を有する顕微鏡。荷電粒子ビームカラムは、荷電粒子ビームを試料に向けるために設けられる。カラムは、電子ビームを生成する荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビームを試料に収束させる荷電粒子ビーム光学系と、を含む。試料から放出される荷電粒子を検出して画像データを生成するために、検出器が設けられる。コントローラは、人工知能アルゴリズムを実行して画像データを分析する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料を撮像する荷電粒子ビーム顕微鏡システムであって、
試料を撮像領域に保持するステージと、
複数の試料の中から試料を繰り返し自動的に交換し、前記試料を前記撮像領域に送り、前記撮像領域から前記試料を除去する自動試料フィーダと、
前記撮像領域内の前記試料に荷電粒子ビームを照射する荷電粒子ビームカラムであって、荷電粒子ビームカラムは、
電子ビームを発生する荷電粒子ビーム源と、
前記荷電粒子ビームを前記撮像領域内の前記試料に収束させる荷電粒子ビーム光学系と、
前記試料から放出される荷電粒子を検出して画像データを生成する検出器と、
を含む、前記荷電粒子ビームカラムと、
前記検出器から前記画像データを受信し、前記画像データを処理するためのコントローラであって、前記画像データに対して人工知能アルゴリズムを実行して前記画像を分析するように適合されている、前記コントローラと、
を備えた、荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項2】
前記自動試料フィーダは、前記複数の試料の各々の識別パターンを読み取ることによって、前記複数の試料の各々を一意に識別するように適合された、請求項1に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項3】
前記試料は関連しており、前記コントローラは、前記試料の関連する識別に基づいて前記画像データを処理して、前記試料間の関係に従って所定の方法で編成された画像データを構築するように適合されている、請求項2に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項4】
前記自動試料フィーダは、前記複数の試料のうちの前記複数の試料のいずれかのランダムアクセスを実行するように適合されている、請求項1に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項5】
前記自動試料フィーダは、複数の試料スティックを有するマガジンを備え、前記試料スティックの各々は、前記試料のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項6】
前記自動試料フィーダは、前記マガジンから前記試料スティックの各々を把持して引き出すための移送アームを備える、請求項5に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項7】
前記撮像領域で真空を維持するために前記撮像領域を囲む真空チャンバをさらに備え、
前記自動試料フィーダが前記試料を繰り返し自動的に交換し、前記真空チャンバの通気を必要とせずに前記撮像領域に前記試料を送り、前記撮像領域から前記試料を除去することを可能にするエアロックをさらに備える、請求項5に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項8】
前記試料を調製し、前記試料を前記自動試料フィーダに提供するための試料調製システムをさらに備え、
前記コントローラは、前記試料調製システムを制御および自動化するように適合される、請求項1に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項9】
前記荷電粒子ビームカラムは、前記試料を横切って前記荷電粒子ビームを走査するためのビームスキャナをさらに備え、
前記コントローラは、前記ビームスキャナを制御するように適合される、請求項1に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項10】
複数の試料を撮像する荷電粒子ビーム顕微鏡システムであって、
試料を撮像領域に保持するステージと、
複数の試料の中から試料を繰り返し自動的に交換し、前記試料を前記撮像領域に送り、前記撮像領域から前記試料を除去するための自動試料フィーダであって、前記自動試料フィーダは、複数の試料スティックを有するマガジンを含み、各試料スティックは1つまたは複数の試料を含む、前記自動試料フィーダと、
前記撮像領域内の前記試料に荷電粒子ビームを照射する荷電粒子ビームカラムであって、前記荷電粒子ビームカラムは、
電子ビームを発生する荷電粒子ビーム源と、
前記荷電粒子ビームを前記撮像領域内の前記試料に収束させる荷電粒子ビーム光学系と、
前記試料から放出される荷電粒子を検出して画像データを生成する検出器と、
を含む、前記荷電粒子ビームカラムと、
前記検出器から前記画像データを受信し、前記画像データを処理するコントローラと、
を備えた、荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項11】
前記自動試料フィーダは、前記複数の試料の各々の識別パターンを読み取ることによって、前記複数の試料の各々を一意に識別するように適合される、請求項10に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記画像データに対して人工知能アルゴリズムを実行して前記画像を分析するように適合されている、請求項10に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項13】
前記自動試料フィーダは、前記試料スティックの各々を把持して前記マガジンから引き出すための移送アームを備える、請求項10に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項14】
前記撮像領域において真空を維持するために前記撮像領域を囲む真空チャンバをさらに備え、
前記自動試料フィーダが前記試料を繰り返し自動的に交換し、前記真空チャンバの通気を必要とすることなく前記撮像領域に前記試料を送り、前記撮像領域から前記試料を除去することを可能にするエアロックをさらに備える、請求項10に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項15】
前記試料を調製し、前記試料を前記自動試料フィーダに提供するための試料調製システムをさらに備え、前記コントローラは、前記試料調製システムを制御し、自動化するように適合される、請求項10に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項16】
前記荷電粒子ビームカラムは、前記試料を横切って前記荷電粒子ビームを走査するためのビームスキャナをさらに備え、前記コントローラは、前記ビームスキャナを制御するように適合される、請求項10に記載の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項17】
複数の試料を撮像および分析するための一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システムであって、前記一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システムは、
複数の荷電粒子ビーム顕微鏡システムであって、各荷電粒子ビーム顕微鏡システムは、
試料を撮像領域に保持するステージと、
複数の試料の中から試料を繰り返し自動的に交換し、前記試料を前記撮像領域に送り、前記撮像領域から前記試料を除去する自動試料フィーダと、
前記撮像領域内の試料に荷電粒子ビームを照射する荷電粒子ビームカラムであって、前記荷電粒子ビームカラムは、
電子ビームを発生する荷電粒子ビーム源と、
前記荷電粒子ビームを前記撮像領域内の前記試料に収束させる荷電粒子ビーム光学系と、
前記試料から放出される荷電粒子を検出して画像データを生成する検出器と、
を含む、前記荷電粒子ビームカラムと、
前記複数の荷電粒子ビームシステムを電子的に制御し、前記荷電粒子ビームシステムから前記画像データを受信し、前記画像データを処理するコントローラと、
を備えた、荷電粒子ビームシステム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記画像データに対して人工知能アルゴリズムを実行して前記画像を分析するように適合されている、請求項17に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項19】
前記自動試料フィーダは、前記試料の各々の識別パターンを読み取ることによって、前記複数の試料の各々を一意に識別するように適合される、請求項17に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項20】
前記試料は関連しており、前記コントローラは、前記試料の関連する識別に基づいて前記画像データを処理して、前記試料間の関係に従って所定の方法で編成された画像データを構築するように適合されている、請求項19に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項21】
前記自動試料フィーダは、前記複数の試料のうちの前記複数の試料のいずれかのランダムアクセスを実行するように適合される、請求項17に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項22】
前記自動試料フィーダの各々は、複数の試料スティックを有するマガジンを備える、請求項17に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項23】
前記自動試料フィーダの各々は、前記マガジンから前記試料スティックの各々を把持して引き出すための移送アームを備える、請求項22に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項24】
前記荷電粒子ビーム顕微鏡システムの各々は、前記撮像領域を包囲して前記撮像領域において真空を維持する真空チャンバを更に有し、前記荷電粒子ビーム顕微鏡システムの各々は、前記自動試料フィーダが前記試料を繰り返し且つ自動的に交換し、前記真空チャンバの通気を必要とすることなく前記試料を前記撮像領域に送り且つ前記撮像領域から取り出すことができるようにするエアロックを更に有する、請求項22に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項25】
前記試料を調製し、前記試料を前記自動試料フィーダのうちの1つ以上に提供するための1つ以上の試料調製システムをさらに備え、
前記コントローラは、前記1つ以上の試料調製システムを制御し、自動化するように適合される、請求項17に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【請求項26】
前記荷電粒子ビームカラムの各々が、前記試料にわたって前記荷電粒子ビームを走査するためのビームスキャナをさらに備える、請求項17に記載の一群の荷電粒子ビーム顕微鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、荷電粒子ビーム顕微鏡法における試料の送り、データ取得、分析、およびそれらの自動化に関する。
【0002】
優先権
本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づいて、2021年6月15日に提出された仮出願63/210,983を基礎として優先の利益を享受し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
荷電粒子ビーム顕微鏡システムは、1つ以上の試料を非常に小さな寸法で観察するために使用され得る。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査型透過型電子顕微鏡(STEM)、または集束イオンビーム(FIB)顕微鏡は、ナノメートルスケールで試料を画像化し、分析するために有利に適応され、使用され得る。
【0004】
しかしながら、従来の荷電粒子ビーム顕微鏡は、典型的には、速度とコストの点で多くの実際的な欠点を抱えている。従来の手段で多数の試料を画像化すると、時間がかかり、費用がかかる場合がある。たとえば、複数の試料の連続イメージングでは、試料を挿入するために頻繁なポンプサイクルと人間の手動介入が繰り返し必要になる場合がある。別の例として、透過型電子顕微鏡(TEM)では、試料の広い領域または試料全体を画像化するために、頻繁でゆっくりとしたステージ移動が必要になる場合があり、広い領域の画像化に時間がかかり、コストが高くなる。さらに、多数の試料を画像化する場合、デジタル画像に関連して各試料のアイデンティティを追跡することは困難であり、多大な労力を要する場合がある。
このように、比較的高速かつ低コストで多数の試料を画像化できる荷電粒子ビーム顕微鏡を提供することが望ましい。また、荷電粒子ビーム顕微鏡によって画像化されている複数の試料のそれぞれの正体を確実かつ効率的に追跡できることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、試料を画像化するための荷電粒子ビーム顕微鏡が提供される。顕微鏡は、試料を保持するステージと、複数の試料の中から試料を繰り返し自動で交換する自動試料供給装置と、を備える。荷電粒子ビームカラムは、荷電粒子ビームを試料に向けるために設けられている。荷電粒子ビームカラムは、電子ビームを生成する荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビームを試料に収束させる荷電粒子ビーム光学系と、を備える。試料から放出される荷電粒子を検出して画像データを生成する検出器が提供される。画像データを分析して画像を生成するためにコントローラが提供され、コントローラは画像を分析するために人工知能アルゴリズムを実行するように適合されている。
【0006】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明はいずれも例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本明細書に記載される透過型電子顕微鏡のいくつかの実施形態および態様を示し、説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0008】
図1図1は、ビームスキャナを備えたTEMカラムの例示的な実施形態の概略図である。
【0009】
図2図2は、対象となる試料領域上のTEMの視野の上面図の概略図である。
図3図3は、対象となる試料領域上のTEMの視野の上面図の概略図である。
図4図4は、対象となる試料領域上のTEMの視野の上面図の概略図である。
図5図5は、対象となる試料領域上のTEMの視野の上面図の概略図である。
図6図6は、対象となる試料領域上のTEMの視野の上面図の概略図である。
【0010】
図7図7は、従来のステージのみのラスタリングでの時間がどのように使用されるか、およびステージとビームを組み合わせたラスタリングでの時間がどのように使用されるかを比較する一例の概略的なタイムラインである。
【0011】
図8A図8Aは、皮質組織切片試料の組み合わせステージビームラスタリングの一部として、電子ビームによって9フィールドスーパータイルを走査する実施形態の一例のグレースケール図である。
図8B図8Bは、皮質組織切片試料の組み合わせステージビームラスタリングの一部として、電子ビームによって9フィールドスーパータイルを走査する実施形態の一例のグレースケール図である。
【0012】
図9図9は、グリッドスティック、チップスティック、エアロック、およびマガジンの実施形態の一例を示す概略図である。
【0013】
図10図10は、グリッドスティックの異なる実施形態の6つの例の断面図および上面図をそれぞれ示す。
【0014】
図11A図11Aは、グリッドスティックの別の例示的実施形態の斜視図である。
【0015】
図11B図11Bは、チップスティックの別の例示的実施形態の斜視図である。
【0016】
図11C図11Cは、サンプルクランプの代わりになることができるチップスティックの断面および上面斜視図を示し、チップスティックの特別にパターン化された機械的キャリアは、サンプルサポートとしても機能する。
【0017】
図12図12は、開口の一次元配列を有するグリッドスティックの実施例のサンプルトレイの斜視図である。
【0018】
図13A図13Aは、ランダムにアクセスされるグリッドスティックまたはチップスティックの位置で分割されるマガジンの実施例の概略図であり、アドレス指定されたグリッドスティックまたはチップスティックにアクセスする機構である。
【0019】
図13B図13Bは、グリッドスティックまたはチップスティックを順次供給するマガジンの一実施形態の概略図である。
【0020】
図14図14は、カートリッジを真空チャンバ内に挿入し、観察領域内でサンプルを移動することを可能にするエアロックを有する荷電粒子ビーム顕微鏡の一実施形態の概略側面図である。
【0021】
図15図15は、試料スティックをキャリアで保持するカートリッジの一実施形態の斜視図であり、キャリア上に試料を保持する。
【0022】
図16図16は、グリッドテープローダ (GTL) を含む自動試料フィーダの一実施形態の概略図である。
【0023】
図17A図17Aは、図16のグリッドテープローダにサンプルテープのリールを装填する一実施形態の段階の三次元レンダリング斜視図である。
図17B図17Bは、図16のグリッドテープローダにサンプルテープのリールを装填する一実施形態の段階の三次元レンダリング斜視図である。
図17C図17Cは、図16のグリッドテープローダにサンプルテープのリールを装填する一実施形態の段階の三次元レンダリング斜視図である。
図17D図17Dは、図16のグリッドテープローダにサンプルテープのリールを装填する一実施形態の段階の三次元レンダリング斜視図である。
【0024】
図18図18は、顕微鏡ハードウェア、コントローラ、および複数のクライアント間の通信の概略図である。
【0025】
図19図19は、自動化されたサンプル準備、配信、荷電粒子ビームイメージング、および分析パイプラインにおけるワークフローの実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)や集束イオンビーム(FIB)顕微鏡などの荷電粒子ビーム顕微鏡は、試料を撮像して分析するために有利に適合させて使用することができる。顕微鏡は、1つまたは複数の荷電粒子ビーム(電子ビームなど)で試料を照明し、試料からの放射を検出して試料の画像を生成することができる。TEMは、例えば、電子ビームを試料上の「視野」に収束させて、その視野を撮像する。一方、SEMやSTEMでは、プローブ状に形成された電子ビームを試料上で走査し、画素毎に画像を生成する。画像は、試料の特性を識別するために、顕微鏡の人間のユーザなどによって、または自動的に評価され得る。
【0027】
顕微鏡装置の例は、例えば、2019年3月15日に出願されたChristopher S.Ownの米国特許出願第16/355,704号、および、2019年9月19日公開のChristopher S.Ownらの米国特許出願公開第2019/0287759号明細書、名称「Transmission Electron Microscopy」に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
図1は、TEMである荷電粒子ビーム顕微鏡1000の実施形態の一例の概略図である。顕微鏡1000は、ビームスキャナ1115およびビームデスキャナ1190を有するTEMカラム1110を備える。カラム1110は、電子源1120と、1つ以上のコンデンサレンズ1130と、ビームスキャナ1115と、任意選択的に撮像される試料1140と、対物レンズ1150と、環状アパーチャ1160と、1つ以上の投影レンズ1170と、ビームデスキャナ1190と、検出器1180とを有する。画像平面1200が図に示されている。電子源1120およびコンデンサレンズ1130は、様々な照明条件を提供するように構成される。ビームスキャナ1115およびビームデスキャナ1190は、試料(試料1140)を横切って実質的に平行な電子ビームを走査する(離散的にシフトすることを含む)ように適合されている。荷電粒子ビーム顕微鏡は、試料を傾斜させることを含み得る1つ以上の自由度で試料(すなわち、試料1140)を移動させるためのステージ(例えば、ステージ1185)を備えてもよい。荷電粒子ビーム顕微鏡10は、顕微鏡の動作を制御するためのコントローラ(例えば、コントローラ600)を含むことができる。
【0029】
顕微鏡は、顕微鏡の構成要素に電力を供給する電源を含むか、またはそれに接続されてもよい。電源は、異なる電圧に設定されるか、または別様に異なる形態をとるような、1つ以上の個々の電源を含んでもよい。電源から電力を受け取る荷電粒子ビーム顕微鏡の構成要素は、例えば、荷電粒子ビーム源(例えば、電子ビーム1120)、コンデンサレンズ(例えば、コンデンサレンズ1130)、対物レンズ(例えば、対物レンズ1150)、検出器(例えば、検出器1180)、およびステージ(例えば、ステージ1185)を含むことができる。電源はまた、顕微鏡10のポンプ、および電力を消費する顕微鏡10の任意の他の構成要素に電力を供給する。荷電粒子ビーム顕微鏡の一実施形態では、顕微鏡10の光学系は、すべてのそのような構成要素について約2.5kW未満の総電力消費を有する。電力効率のために設計された別の実施形態では、顕微鏡10は、約1kw未満の総電力消費を有する荷電粒子ビーム顕微鏡である。非常に高い効率のために最適化されたさらに別の実施形態では、顕微鏡10は、約100w未満の総電力消費を有する荷電粒子ビーム顕微鏡である。
【0030】
荷電粒子ビーム顕微鏡では、電源は、荷電粒子ビームを加速するための1つ以上の電圧を提供することができる。1つのバージョンでは、電源は、いくつかのレンズに使用され得る少なくとも1つの高電圧電源を含む。一次ビームエネルギーを提供するために使用され得る単一の高電圧源は、高電圧源の一次高電圧値の比である複数の値を異なるレンズに提供するように抵抗器で修正され得る。これらの抵抗器は、一定であっても、コントローラによってプログラム可能であってもよい。このようにして、高電圧信号に存在し得る不安定性を複数のレンズに実質的に等しく提供することができ、不安定性の影響を軽減することができる。電源はまた、双極子、四重極、および八重極等の非円形レンズに、より低い電圧を提供するように、1つ以上の低電圧源を含んでもよい。
【0031】
荷電粒子ビーム顕微鏡のステージは、観察領域内の1つまたは複数の試料を支持し、正確に移動させるためのカートリッジを備えることができる。カートリッジは、従来の試料ステージよりも撮像領域の内側または近く(例えば、真空チャンバ内)に配置されたモータなどの1つまたは複数のアクチュエータを含むことができる。1つのバージョンでは、カートリッジは、撮像のための装置の内部で1つ以上の試料を支持する試料スティックを保持するように適合される。そのような「カートリッジ」の実施形態のいくつかの例は、Christopher S.Ownの米国特許出願第16/355,704号、および、Christopher S.Ownらの米国特許出願公開第2019/0287759号に記載されている。
【0032】
1つのバージョンでは、顕微鏡は、「スーパータイル」内および「スーパータイル」間のステージ-ビームラスタライズの組み合わせのために、ビームスキャナ(例えば、ビームスキャナ1115およびビームデスキャナ1190)およびステージ(例えば、ステージ1185)の1つ以上を制御するTEMである。このTEMは、連続するステージ移動の間に1回または複数回、試料を横切る荷電粒子ビームの視野をシフトさせるように構成することができる。ステージ移動の間に、ビームスキャナは、磁場および/又は電場を生成して、電子ビームを場から場へと走査することができる。「スーパータイル」内の全ての視野が撮像されると、ステージは次の「スーパータイル」を撮像するために移動される。「スーパータイル」にわたるそのような組み合わせステージ-ビームラスタリングは、従来のステージのみのラスタリングTEMと比較して、試料の大きな領域の取得および分析が迅速かつ確実に実行されることを可能にし得る。
【0033】
図2は、撮像されることが所望される試料の領域940およびTEMの視野950の例を示す概略上面図である。示されるように、視野950は、試料領域940の一部であり得る。TEMの視野は、典型的には、画像の所望の倍率、物理的検出器サイズ、および検出器画素アレイサイズのパラメータによって制限される。これらのパラメータは共に、光学系が完全な顕微鏡解像度でこの視野よりも大きい画像を形成することが可能であり得るという事実にもかかわらず、検出器から取得される画像の最大視野およびまた最終解像度を制限する。この視野は、最大取得レートを制限し、非常に大きな試料領域のタイル化取得のために必要とされる重複画素(タイル位置合わせのために使用された後に破棄される)の量を増加させる。一例では、説明のために、視野は、約16μmの幅または直径を有することができる。
【0034】
図3は、同じ試料領域940および視野950の例の概略上面図であり、試料を保持するステージの移動によって視野950を試料領域940に対してどのようにシフトさせることができるかを示す。図4は、電子ビームに対して試料を保持するステージの5つの連続的な移動によって横断される試料のステップ経路960の一例を示す概略上面図である。ラスタ走査では、1つの走査軸を「速」軸と呼ぶことができ、直交軸を「遅」軸と呼ぶ。例えば、「遅」軸に沿ったシフトは、全てのシフトが「速」軸に沿ったラスタラインにおいて実行された後にのみ実行されてもよい。図示の例では、コントローラは、速軸に沿って下方向に2回、遅軸に沿って右方向に1回、次いで速軸に沿って上方向に2回、ステージを移動させる。
【0035】
図5は、同じ試料領域940および視野950の一例の概略上面図であり、ステージ移動なしにステップ経路970に沿って電子ビームを走査することによって、視野950が試料領域940に対してどのように代替的にシフトされ得るかを示す。この例では、コントローラは、電子ビームを速軸に沿って上向きに2回、遅軸に沿って左向きに1回、次いで速軸に沿って下向きに2回シフトさせる。
【0036】
図6は、視野950と、ステージ移動のないビーム走査の範囲内にある異なる視野内の隣接する視野980との一例の概略上面図である。これらの9つの視野950、980のすべては、集合的に「スーパータイル」990と呼ぶことができる。図示の例では、電子ビームは最初に中心視野950に位置決めされる。次に、電子ビームは、別の視野980に左にシフトされる。次いで、電子ビームは、一連の後続の視野980内の各々に時計回りのパターンでシフトされる。この例では、スーパータイル990が撮像された後、次のスーパータイル内の中心視野1000への移動は、ステージ移動によって達成される。そして、これは、さらに別のスーパータイル1010について繰り返され、以下同様である。各軸に沿って、機械的ステージ移動の数は、その軸に沿って取得されたスーパータイルサブ画像の数である係数だけ低減され、それに応じて、機械的ステージ移動の総数は、正方形スーパータイルの場合、スーパータイルサブ画像カウントの2乗だけ低減される。
【0037】
図7は、従来のステージのみのラスタリングにおいて時間がどのように使用されるかと、ステージとビームの組み合わせのラスタリングにおいて時間がどのように使用されるかとの比較の一例のタイムラインの図である。ステージの移動時間には、ステージ自体の大まかな移動だけでなく、各移動後のステージの位置が定まる時間を加えてもよい。この図に示すように、ステージビームラスタ化による「スーパータイル化」は、ステージ移動の間に(異なるサブ画像の)いくつかの連続した撮像サイクルを提供することができ、その結果、ステージのみのラスタ化によるよりも著しく高速な撮像が得られる。
【0038】
ステージ移動ではなくビーム走査によって、撮像のためのセットアップ時間を短縮し、連続する視野にわたるシフト間の遅延を実質的に排除することにより、従来のTEMよりも1桁以上速いピクセルごとの取得をもたらすことができる。一実施形態では、例えば、自動結合ステージ-ビームラスタリング構成を有する顕微鏡は、従来の機器よりも少なくとも4桁速いデータレートで画像を取得することができる。例えば、撮像は、約0.1Mpixel/s(メガピクセル毎秒)よりも速い顕微鏡カラムによって実行され得る。
【0039】
図8Aは、結合ステージ-ビームラスタリングの一部としての電子ビーム1050による9視野スーパータイル990の走査の例の図である。電子ビーム1050は、皮質組織切片の視野が撮像される9つの視野のそれぞれに順次走査される。図8Bは、単一ステージ位置で得られる皮質組織切片の撮像された9視野スーパータイル990を示す。
【0040】
上述の例では、スーパータイルは9つの視野を含む。しかしながら、他の実施形態も可能である。例えば、スーパータイルは、4つの視野を包含することができ、電子ビームは、時計回り、反時計回り、またはスーパータイル内の1つの視野から次の視野への別のパターンで走査される。
【0041】
TEMまたは走査顕微鏡(例えば、STEMまたはSEM)では、正確な走査経路は、特定の用途に従って定義され得る。例えば、ビームプローブまたは視野の位置は、走査経路に沿って、任意の持続時間にわたって任意の位置に設定することができる。
【0042】
1つのバージョンでは、新しい画像が取得されているとき、コントローラは、新しい画像を1つまたは複数の以前に生成された画像に位置合わせするか、または他の方法で適合させる。例えば、コントローラは、新たに検出されたピクセルデータを処理して、将来の撮像位置を決定又は変更し、例えば、撮像のギャップを埋めるか、又は新たな画像を以前に生成された画像のうちの1つ以上と垂直又は水平に位置合わせしようとすることができる。別の例では、コントローラは、新たに検出されたピクセルデータを処理して、将来の画像解像度または特定の位置で費やされる時間を決定または変更する。例えば、コントローラは、所定の位置における画像のありそうな重要性を推定することができ、コントローラは、その推定値を使用して、その位置または近くでの撮像のための解像度または別の画質パラメータを増加または減少させることができる。これらの調整は、代替的に又は追加的に、画像取得の次の新しいサイクルに影響を与えるために、撮像サイクル間で計算され得る。
【0043】
一実施形態では、コントローラは、ステージおよび/又はビームスキャナを制御して、確率論的、経路依存的、又は自己補正的にビーム又はプローブを試料に対して移動させる。これは、走査信号に対する電子ビームの比較的速い応答時間に起因して、電子ビーム顕微鏡法にとって特に有利であり得る。例えば、コントローラは、ビームスキャナのうちの選択された1つを使用して電子ビームを少量シフトさせることによって画像の作成を開始することができる。次いで、コントローラは、実際に生成されたシフトの大きさを測定し、その測定値を使用して、次のシフトの量および方向を変更することができる。さらなるシフトおよび測定が実行された後、コントローラは、ビームスキャナおよび/またはステージの強度、方向、および再現性を学習することができる。次いで、コントローラは、この学習された情報を使用して、より大きな画像をつなぎ合わせるのに適した距離で、実質的に直交する、または意図的に方向付けられたシフトを生成することができる。さらに、コントローラは、最適なシフトを使用して取得されていないが、初期画像を使用して、シフトを特徴付けるのに費やされる時間が無駄にならないように、ステッチされた画像を準備することができる。
【0044】
画像がライブで取得されている間にこれらのステップを実行することが可能であり、好ましい動作モードであり得るが、分析はオフラインで実行されてもよい。以前に取得された画像について、それが発生した後にシフトを最適化することは可能ではないかもしれないが、その画像は、将来の画像取得のための有用な情報を提供することができ、または試料もしくは完全に処理されたときの動作不安定性についてのより完全な情報を提供することができ、または試料が反応性環境において時間的にどのように進化するかなどの、試料における時間依存事象についての情報をさらに提供することができる。
【0045】
別の例として、画像がタイリングされると、低コントラストまたはゼロコントラストの領域が識別され得る。その領域からの画像が次に撮像されるとき、撮像システムは、その領域に費やす時間を短縮するか、またはより低い解像度でそれを測定することができる。これは、通常の品質の画像を取得する場合よりも速い速度で行うことができ、重要な領域における画像の品質に影響を与えずに、総画像取得時間の高速化をもたらすことができる。より低い品質の画像は、それらが実際に低関心領域を表すことを保証するためにチェックされることができ、それらがそうでないと決定される場合、画像は、より高い又は通常の解像度で再取得されることができる。
【0046】
コントローラはまた、対象となる特徴またはその近くの画像の品質を高め、その対象となる特徴からの距離が増加するにつれて(撮像速度を増加させながら)画像の品質を低下させるように適合されてもよい。
【0047】
コントローラは、また、ステージおよび/またはビームスキャナを制御して、代替の走査パターンを生成することができる。例えば、コントローラは、空間充填曲線パターンで試料を横切ってビーム又はプローブを走査することができる。空間充填曲線は、例えば、ヒルベルト曲線、ペアノ曲線、または別の好適な種類の漸進的により微細な走査曲線を含んでもよい。これらのスキャンは、曲線の次数を徐々に増加させることなどによって、経時的に漸進的により細かい詳細を達成することができ、ユーザが、より粗い、より早いデータに基づいてスキャンを継続するかどうかを決定することを可能にする。
【0048】
上記の方法は、データが取得され、直ちにユーザに示されるので、データにリアルタイムで適用することができる。次いで、ユーザは、必要に応じて取得をキャンセルするか、又はより高い品質で取得することができる関心領域を手動で強調表示することができる。
【0049】
荷電粒子ビーム顕微鏡は、試料を荷電粒子ビーム顕微鏡の撮像領域に迅速かつ確実に出し入れするための1つまたは複数の自動試料フィーダを備えることができる。これは、低いオーバーヘッドおよび少量の人間の介入(または介入なし)で、試料から試料への移動を可能にし得る。
典型的には、試料は試料保存媒体に含まれる。1つのバージョンでは、例えば、自動試料フィーダは、試料スティックを含む試料貯蔵媒体を顕微鏡に供給するためのマガジンシステムを含む。別のバージョンでは、自動試料フィーダは、顕微鏡の撮像領域を通して複数の試料を含む可撓性テープを備える試料記憶媒体を供給するためのグリッドテープローダ(GTL)を備える。
【0050】
さらに、試料は、識別および追跡され得る。試料がテープによってEMに供給される場合、例えば、試料を一意に識別するために、識別(ID)コードが、試料に隣接して、または試料に対して所定の位置にテープ上に配置されてもよい。IDコードは、例えば、視覚的パターン、QRコード、バーコードであってもよい。
【0051】
試料保存媒体は、機械的キャリア(例えば、コンベア材料)および試料基板(例えば、TEM支持フィルム)を含み得る。機械的キャリアおよび試料基板は、2つの別個の目的を果たすことができるが、組み合わされると、撮像およびデータ取得を伴う試料調製の要素をともに結び付けることができる。例えば、キャリアは、中規模(すなわち、人間規模)ハンドリングとインタフェースしてもよく、基板は、データ取得(すなわち、ナノスケール)ハンドリングとインタフェースしてもよく、確実かつロバストな試料の送りを通して、パイプライン化されたプロセスの2つのセグメントをともに結び付ける。
【0052】
そのような試料保存媒体のバージョンは、「試料スティック」の実施形態を含む。試料スティックの数多くの例が、Christopher S.Ownの米国特許出願第17/079,413号に記載されている。これらの試料スティックは、例えば、Christopher S.Ownの米国特許出願第16/355,704号で参照されている「試料スティック」として使用することができる。本明細書で参照されるカートリッジは、顕微鏡検査、検査、または分析のための装置内のグリッドスティックまたはチップスティックを支持し得る。
【0053】
1つのバージョンでは、試料スティックは、本体を形成し、ステージモータ位置決めに対する位置精度を可能にするように適合された機械的キャリア(または「スティック」)を含む「グリッドスティック」である。図9は、グリッドスティック100である試料スティック90の実施形態の一例を示す。グリッドスティック100の機械的キャリア110は、アルミニウム、ベリリウム、チタン、リン青銅、グラファイト、シリコン、またはセラミックを含み得る。さらに、グリッドスティック100は、撮像に影響を及ぼす可能性がある電荷蓄積を防止するために、装置の荷電粒子ビームに曝される表面に塗布された導電性コーティングを有することができる。
【0054】
機械的キャリア110は、一次元または二次元の開口のアレイを有し得る。例えば、各機械的キャリア110は、例えばTEMでの使用に適した約10~約100個の開口120を含むことができる。一実施例では、開口120は、直径(または長さおよび幅寸法)が約0.5mm~約3mmであるようにサイズ決定されてもよい。
【0055】
機械的キャリア110内の開口120はそれぞれ、開口内の試料を支持するために、その中に試料支持体130を有することができる。試料支持体130は、例えば、メッシュグリッド、バーグリッド、六角形グリッド、又はオープン/アパーチャグリッドなどの従来のTEM支持グリッドであってもよい。試料支持体130は、約0.5mm~約20mmの面内寸法など、約3mmの面内寸法など、手持ち式ピンセットを使用して操作可能な寸法を有することができる。試料支持体は、約10μm~約1mmの厚さを有し得る。試料支持体130は、機械的キャリア110について説明した材料、又は半導体若しくはセラミック材料のうちの1つ以上を含み得る。
【0056】
機械的キャリア110又は試料支持体130はまた、試料支持体130の各々の上に膜140を備えてもよい。膜140は、試料150を保持するのに十分に機械的に安定であるべきである。試料支持体130、膜140、および試料150の組み合わせは、従来の意味で「TEM試料」と呼ばれることがある。例えば、試料支持体130、膜140、および試料150の組み合わせは、Christopher S. Ownらの米国特許出願公開第2019/0287759号明細書における「試料キャリア650」として使用することができる。膜140は、約10nm~約800nmの厚さを有することができる。膜140は、例えば、炭素、Formvar、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ポリイミド、又は薄い堆積金属を含むことができる。
【0057】
機械的キャリア110又は試料支持体130は、グリッドスティック100又は収容された試料支持体130が比較的大きな開口内に比較的大きな試料を保持する能力を強化するために、パターン化された構造的特徴145を有してもよい。そのような構造的特徴145は、例えば、根太およびリブを含んでもよい。
【0058】
試料識別器155は、各識別器155が個々の試料150を一意に識別するように、試料150の近くに作成され得る。試料識別器155は、例えば、バーコード、QRコード、人間可読数字、またはRFIDタグを含み得る。例えば、試料識別器155は、図1の例に示されるように、試料支持体130上に提供されてもよい。試料識別器155は、多数の試料150を取り扱うときに、個々の試料150の効率的かつ正確な追跡を可能にすることができる。例えば、試料識別器155は、試料150の順序付けられたセットが非連続的に撮像され、次いで、画像が意図されるように自動的に並べ替えられることを可能にし得る。
【0059】
図10は、グリッドスティック100に実装された試料支持体130、膜140、構造的特徴145、試料150、および試料識別器155の異なる実施形態の6つの例をそれぞれ示す断面図および上面斜視図である。
【0060】
あるいは、試料スティック90は、「チップスティック」を含み得る。図1はまた、チップスティック160の実施形態の一例を示す。チップスティック160はまた、試料150が保持される開口120に複数の支持膜140のアレイパターンを有するようにモノリシックに製造された機械的キャリア110を含み得る。チップスティック160において、機械的キャリア110の特別にパターン化されたバージョンは、試料支持体130の代わりになり得る。キャリア材料は、例えば、半導体または銅であってもよい。支持膜140は、約0.5mm~約1cmの面内寸法を有することができる一方で、プローブ放射線、例えば高速電子に対する透過性を依然として維持する。支持膜140は、約1nm~約500nmの厚さを有することができる。支持材料は、例えば、窒化ケイ素または有機系膜であってもよい。
【0061】
図11Aおよび図11Bは、グリッドスティック100の実施形態の別の例の斜視図および側面図をそれぞれ示す。グリッドスティック100は、開口120の二次元アレイを有する。この実施形態では、グリッドスティック100は、試料トレイ170と、各開口120の部位でそれらの間に複数の支持膜(例えば、「グリッド」)140をクランプする試料クランプ180と、を備える。それにより、支持膜140は、開口120内の試料150を支持する。他の実施形態では、クランプ180の代わりに接着剤が使用されるか、またはクランプ180の代わりに部分的なクランプがあってもよい。
【0062】
チップスティック160の場合、チップスティック160は、試料クランプ180および場合によっては試料トレイ170の代わりをすることができ(例えば、チップスティック160は、繊細な膜140を保護するために上下逆に配置されてもよい)、一方、チップスティック160の特別にパターン化された機械的キャリア110は、試料支持体130としても作用する。図11Cは、そのようなチップスティック160の断面図および上面斜視図をそれぞれ示す。
【0063】
図12は、グリッドスティック100の実施形態のさらに別の例の試料トレイ170の斜視図を示す。この実施形態では、グリッドスティック100は、開口120の1次元アレイを有する。グリッドスティック100のこのバージョンは、連続プロセスにおいて連続的に堆積された多数の試料を有し得るテープのより大きな連続リールから取られた複数の試料を各テープ部分が含むテープの切断部に使用され得る。
【0064】
1つのバージョンでは、グリッドスティック100またはチップスティック160のそれぞれの準備は、試料150を拾い上げ、それらをスティック100、160の試料支持体または支持膜に配置することを含む。一実施形態では、試料150は、ループを使用してウォーターボートからピックアップされる。試料150は、例えば、ダイヤモンドナイフまたはミクロトームによる連続切片化によって調製されていてもよい。ループは、その端部にワイヤループと、水のメニスカス力を利用することによって薄い切片を輸送するために使用することができる操作用のハンドルとを有するツールである。ワイヤループは、ピックアップされる流体および試料とより確実に相互作用するその特性を強化するために、例えば、コーティングで処理されてもよい。ループは、並進および傾斜を含む1つまたは複数の自由度で1つまたは複数のモータによって操作され得る。ピックアップされた後、試料150は、ウォーターボートから移送された液滴または他の量の液体の表面張力によってループ内に保持される。ループは、スティックの1つに試料150を付着させるために使用される。堆積の間、液体の一部はまた、試料スティック100、160に移動してもよく、その液体は、試料スティック100、160に適切な熱を加えることなどによって蒸発されてもよい。試料150のピックアップおよび/または堆積は、人間のオペレータまたはロボットのいずれかによって行われてもよく、ピックアップおよび堆積プロセスの信頼性およびロバスト性を確保するためにマシンビジョンによって支援されてもよい。
【0065】
半導体プロセスは、試料150の堆積中または試料の堆積後のいずれかに試料を操作および/または感知するように適合され得る支持体130または機械的キャリア110への回路、磁気構造、および/または光学的特徴(例えば、基準)の効率的なパターニングを可能にする。例えば、静電場および/または磁場の印加を使用して、典型的には繊細であり、ピンセットなどの巨視的な機械的ツールを使用して容易に操作することができない試料を操作することができる。したがって、支持体130または機械的キャリア110にパターン化されたそのような特徴を使用して、試料を所望の方向に配向するか、または所望の量の張力を試料150に印加して、試料150を真っ直ぐにすることができる。
【0066】
様々な例では、電磁コイル、ヒータ、および静電ガイドワイヤのうちの1つ以上が、膜140内にパターン形成されてもよい。試料150はまた、試料150の存在を操作および/または感知する能力を高めるために、膜140のパターンと相補的な特徴を有してもよい。これらのフィーチャは、標準的な半導体リソグラフィ物理蒸着およびエッチングプロセス、または化学蒸着もしくは原子層堆積などのより洗練された方法を使用してパターン形成することができ、複雑な異種構造を様々な効率でパターン形成することができる。
【0067】
グリッドスティック100またはチップスティック160は、異種であってもよい。例えば、チップスティック160は、機械的キャリア110の下に金属基板を有して、その靭性を高めることができる。グリッドスティック100またはチップスティック160はまた、人間または機械オペレータがグリッドスティック100またはチップスティック160を取り扱うことを可能にするために、1つ以上の操作特徴(例えば、中規模、人間またはロボットオペレータの規模で)を有してもよい。
【0068】
図13Aに戻ると、複数のグリッドスティック100および/またはチップスティック160をマガジン240に格納し、必要に応じてマガジン240からアクセスすることができる。マガジン240は、一次元(例えば、「スタック」)、二次元、または三次元アレイなどのアレイ構成でスティックを格納することができる。マガジン240は、数十から数百のグリッドスティック100またはチップスティック160を格納し、それらへのアクセスを可能にするように適合され得る。マガジン240は、真空チャンバが連続的にまたはランダムアクセスによって顕微鏡検査、検査、または分析のためのものであるかどうかにかかわらず、真空チャンバ内へのグリッドスティック100またはチップスティック160の効率的で信頼性のある堅牢な移送を可能にし得る。マガジン240はまた、グリッドスティック100またはチップスティック160およびその中に担持される試料150の擦過または衝突損傷を防止するように適合されてもよい。グリッドスティック100および/またはチップスティック160は、マガジン形態で積み重ねられたときに試料150を損傷から保護するために、ウェルまたはチャネルなどの特徴を有することができる。
【0069】
マガジン240は、グリッドスティック100またはチップスティック160へのランダムまたは順次アクセスを可能にすることができる。図13Aは、そのような方式の実施形態の一例の概略図である。マガジン240は、ランダムにアクセスされる試料スティック90(例えば、グリッドスティック100またはチップスティック160)の位置で分割することができ、機構(例えば、把持フィンガなどのエフェクタを有する移送アームなどの摩擦機構)は、アドレス指定されたスティック90にアクセスすることができる。アドレス指定されたスティック90は、機構によって把持され、引き出され得る。
【0070】
顕微鏡1000の撮像領域250に試料150を送り、かつ/または撮像領域250から試料150を除去するために、自動試料フィーダが提供されてもよい。例えば、自動試料フィーダは、装置の真空チャンバ270の内部と、グリッドスティック100またはチップスティック160の1つまたは複数のマガジン240などの外部保管ユニットとの間で試料150を移送することができる。
【0071】
一実施形態では、マガジン240は、グリッドスティック100またはチップスティック160を順次供給することができる。図13Bは、連続自動試料供給スキームの実施形態の一例の概略図である。スティック100、160は、エレベータによって移動されているソースマガジン240Aの上部または下部から順次引き出されてもよい。処理後、スティック100、160は、やはりエレベータによってシフトされている搬送先マガジン240Bの上部または底部に順次格納されてもよい。
【0072】
マガジン240は、グリッドスティック100またはチップスティック160が顕微鏡検査、検査、または分析のためにアクセスされる間、大気中に保持され得る。あるいは、マガジン240は真空に保持されてもよい。別の実施形態では、マガジン240は、大気圧で隔離された清浄なエアロック280内に保持される。さらに別の実施形態では、顕微鏡コントローラは、撮像が行われている間にエアロック280内の圧力を変更し、この実施形態では、エアロック280が大気圧に戻された後にマガジンを再構成することができる。
【0073】
マガジン240は、グリッドスティック100またはチップスティック160を加熱、冷却、またはガス処理するようにさらに適合されてもよい。例えば、マガジン240は、その中に含まれる全てのスティックを同時に加熱して、試料から不純物を追い出し、撮像品質を向上させてもよい。
【0074】
さらに、グリッドスティック100およびチップスティック160は、試料150の割り出しを単純化することができ、それによって試料150の全体積を単純かつ効率的に追跡することができる。各開口120(すなわち、試料)は、別々にアドレス指定され得る。あるいは、スティック100、160のうち1つの上の開口120の全てが一緒にアドレス指定されてもよく、またはスティック100、160のマガジン240のうちの1つの中の開口120の全てが一緒にアドレス指定されてもよい。
【0075】
1つ以上の識別パターン330は、個々の試料スティック100を一意に識別するために、一時的または恒久的に試料スティック100、160上に作成されてもよい。
160を含む。例えば、識別パターン330は、試料スティック100、160上に配置されるか、または装置が電子顕微鏡である例では高電流で調整された電子顕微鏡の電子ビームを使用して試料スティック100、160上にパターン化される、取り外し可能な試料ラベルであってもよい。パターニングは、例えば、ビーム感応性犠牲ポリマー、又は荷電粒子若しくは光ビームへの曝露によって触媒されるエッチング可能な基板を含む、試料スティック100、160のビーム感応性ラベル領域上で実行することができる。あるいは、識別パターン330は、試料スティック100、160上にエッチングされてもよい。一例では、識別パターン330は、チップスティック160を製造するプロセスにおけるリソグラフィステップによってチップスティック160上にエッチングされる。識別パターン330は、パターンが1つまたは複数の手段によって読み取られるときに決定することができる一意の識別コードを含むことができる。例えば、識別パターン330は、小型バーコード、QRコード、又は幾何学的パターンに基づく別のタイプのコードを含むことができる。パターンは、光子および/または荷電粒子に可視であってもよい。別の例では、識別パターン330は、RFIDチップに登録されてもよい。識別コードは、その試料スティック上の試料のパターン化された画像のメタデータに挿入されてもよく、試料150の便利な追跡を提供する。
【0076】
グリッドスティック100やチップスティック160に基準パターンを配置し、基準パターンを撮像することで、焦点合わせ、回転校正、倍率校正などの荷電粒子ビーム顕微鏡の迅速な校正を可能にしてもよい。例えば、顕微鏡は、この較正を実質的に自動的に実行することができる。基準パターンは、スティック100、160の所定の位置に配置することができる。同じ基準パターンを異なるスティック上で使用して、基準パターンを撮像することによって顕微鏡1000を較正することができる。
【0077】
さらに、パターンが識別コードを提供し、同じパターンが装置(電子顕微鏡など)の較正にも使用される、組み合わせ識別/基準パターンが提供されてもよい。このバージョンでは、装置は、試料スティック100、160の挿入時に、パターンから識別コードを読み取り、同時に、パターンに基づいて顕微鏡1000を較正し、試料150の撮像のために顕微鏡1000を準備することができる。
【0078】
顕微鏡は、撮像領域内の1つ以上の試料150を支持し、正確に移動させるためのカートリッジを有してもよい。カートリッジは、従来の試料ステージよりも撮像領域の内側または近く(例えば、真空チャンバ内)に配置されたモータなどの1つまたは複数のアクチュエータを含むことができる。1つのバージョンでは、カートリッジは、1つ以上の試料150を支持する試料スティック90を保持するように適合される。
【0079】
図14は、荷電粒子ビーム顕微鏡の一実施形態の一例と、真空チャンバ420内に挿入されて試料150を撮像領域430内で移動させるカートリッジ400との概略側面図を示す。カートリッジ400は、カートリッジ400自体の上、またはカートリッジ400によって保持される試料スティックの上などで、前述のステージ1185を実装し得る。
【0080】
カートリッジ400は、直線方向および回転方向を含み得る複数の方向で試料150に移動を与え得る。例えば、図15に図示される一実施形態では、カートリッジ400は、「x」および「y」方向の移動を提供する。しかしながら、加えて、カートリッジ400は、図15に示されるように、「z」方向および1つ、2つ、または3つの回転方向のうちの1つ以上における試料150の移動を提供してもよい。
【0081】
撮像領域430の内側又は近く(例えば、真空チャンバ420内)にアクチュエータを配置することにより、損失の多い又は不安定なリンケージおよび/又は干渉を低減することができる。機械的リンク機構における損失は、例えば、リンク機構におけるヒステリシス、回転シャフトリンク機構における必要なクリアランスからの不正確さ、またはレバーの非弾性変形を含むことができる。不安定性は、例えば、リンク機構のレバーまたは複雑なリンク機構の共振によって増幅される振動に対する感度を含むことができる。
【0082】
カートリッジ400のアクチュエータは、試料の動きと同じまたは実質的に同様のオーダーの大きさのアクチュエータの動きによって試料150に動きを与えるように構成されてもよい。この文脈における同様の桁は、例えば、2桁または3桁以下であってもよい。対照的に、従来のステージは、約4または7の移動の大きさのオーダーの低減を試みることができる。
【0083】
アクチュエータは、スティックスリップ、ピエゾウォーカー、またはピエゾもしくはマイクロアクチュエータに基づく振動モータを含み得る。例えば、モータは、ミリ秒またはマイクロ秒のオーダーの短い露光が実際に達成され得るように、ステージを非常に迅速かつ滑らかに移動させることができる1つ以上の圧電モータを含み得る。圧電モータはまた、非常に高い位置精度で試料150を移動させるように適合されてもよい。あるいは、アクチュエータは、例えば、ボイスコイルを含んでもよい。
【0084】
顕微鏡1000の真空チャンバ420の外側の環境からカートリッジ400を機械的に分離して、真空チャンバ420の外側に起因する不安定性からの試料150の機械的分離を改善することも有利であり得る。従来の装置では、撮像領域から実質的に離れた動きを発生させることによって、撮像領域の内部または近くで試料の小さな動きを生成することは、非効率的かつ不正確であり得る。そのような小さな動きは、ナノメートルのオーダー以下であり得る。TEMまたはSTEMの場合、「離れた」は、例えば、少なくとも約20cmの距離を指し得る。
【0085】
カートリッジ400は、撮像領域430の外側からの試料移動の熱的分離をさらに改善することができる。熱変調は、例えば、材料の膨張および/または収縮を引き起こす可能性があり、これは、試料の位置決め、したがって撮像品質に予想外に影響を及ぼす。
【0086】
さらに、カートリッジ400は、試料移動の電磁分離を改善し得る。例えば、試料ステージ用のステッパモータは、荷電粒子ビーム1050に悪影響を及ぼす可能性がある電磁干渉を生成する可能性がある。したがって、改善された電磁分離は、パルス幅変調(PWM)などの電磁的にノイズの多いタイプの信号で動作し得るステッパモータ駆動回路に対する撮像システムの耐性を有利に改善することができる。
【0087】
カートリッジ400は、限られたサイズの開口を通して真空チャンバ420内に挿入されるような形状およびサイズにすることができる。例えば、カートリッジ400は、複数の次元における移動を提供するために複数のアクチュエータを含み得るが、カートリッジ400は、フォームファクタにおいて実質的にコンパクトであるように適合され得る。一実施形態では、カートリッジ400は、10cm×10cm×10cmよりも小さい。
【0088】
図14に戻ると、真空チャンバ420の通気を必要とせずに空気への通気を可能にするためにエアロック440を設けることができる。したがって、エアロック440は、真空チャンバ420の通気を必要とすることなく、真空チャンバ420に対するカートリッジ400の取り外しおよび挿入を可能にすることができる。エアロック440は、エアロック440内の雰囲気を真空チャンバ420内の雰囲気から選択的に隔離するための1つ以上のバルブ450を含み得る。エアロック440はまた、エアロック440の内部へのアクセスを可能にするために開くことができ、エアロック440の内部を真空排気する前に閉じることができるドア460を有してもよい。エアロック440は、エアロック440内部の雰囲気の排気を可能にするために、ポンピング出口470をさらに有してもよく、専用の真空ポンプを有してもよい。例えば、一実施形態では、エアロック440は、約10分未満の真空サイクル速度を有することができる。カートリッジ400、または試料スティック410だけでも、真空チャンバ420内の真空を維持しながら挿入または除去することができる。
【0089】
挿入可能カートリッジ400とエアロック440との組み合わせは、試料交換および/または移送、試料位置決め、ならびに関連するユーザ介入に関連するオーバーヘッドを大幅に低減または排除し得る。
【0090】
アンカー485は、真空チャンバ420内でカートリッジ400を支持するために設けられ得る。アンカー485は、対物レンズ磁極片180Aなどの観察領域430に対して実質的に安定するように構成することができる。アンカー485の機械的安定性は、例えば、位置的および熱的安定性を含み得る。一実施形態では、アンカー485は、真空チャンバ420の壁に直接または支持構造490によって取り付けられるなど、装置のフレームに堅固に取り付けられる。TEMまたはSTEMなどの別の実施形態では、アンカー485は、対物レンズの磁極片に強固に結合されてもよい。一方、アンカー485は、真空チャンバ420の外部の環境から分離され得る。アンカー485は、例えば、アンカーおよびカートリッジ上の相補的な摩擦要素によってカートリッジ400を保持することができる。
【0091】
移送アーム500は、エアロック440と真空チャンバ420との間、および/または外部環境とエアロック440との間で、カートリッジ400、または試料スティック90のみを移送するために提供されてもよい。移送アーム500は、手動で、または自動などのロボットで操作することができる。移送アーム500は、例えば、ねじ保持機構、クランプもしくは把持機構、または磁気もしくは電磁把持器を使用して、カートリッジ400の移動のためにカートリッジ400に、または試料スティック410の移動のために試料スティック410にそれ自体を取り付けることができる。移送アーム500はまた、把持フィンガを有してもよく、把持フィンガは、歯車、プーリ、または任意の他の好適な機構によって作動されてもよい。カートリッジ400は、移動中に移送アーム500を確実に取り付けるために移送アーム500と接触するように実質的に堅牢な取り付け領域を有することができる。
【0092】
カートリッジ400は、真空保持壁を横切る信号送信および/または受信のために、真空チャンバ420の外側の環境に通信可能に結合され得る。信号は、電気的または光学的に送信され得る。例えば、信号は、コントローラからなど、真空チャンバ420の外側からカートリッジ400のアクチュエータに送信され得る。さらに、カートリッジ400に関するフィードバックを提供するなどのために、カートリッジ400から真空チャンバ420の外側に信号を送信することができる。一例では、マイクロエンコーダが、カートリッジ400の作動位置に関するフィードバックをコントローラに提供する。
【0093】
1つのバージョンでは、カートリッジ400は、細い高度に可撓性の電線425によって真空チャンバ420の外側に通信可能に結合され得る。これらは、例えば、28AWGよりも薄いゲージの1つ以上の撚りマルチフィラー導体を含み得る。電線425は、束ねられおよび/又はシールドされてもよい。
【0094】
別のバージョンでは、カートリッジ400は、無線または光伝送などの電磁伝送によって真空チャンバ420の外側に通信可能に結合され得る。例えば、送信は、Wi-FiまたはBluetoothプロトコルを使用して実装され得る。
【0095】
試料スティック100、160は、試料スティック100、160のマガジン415などから、自動的に撮像領域に出し入れされてもよい。例えば、エアロック280は、顕微鏡検査、検査、または分析顕微鏡1000の真空チャンバ270の通気を必要とすることなく、空気への通気を可能にするために提供されてもよい。移送アーム290は、エアロック280と真空チャンバ270との間、および/または外部環境320とエアロック280との間で、カートリッジ300を移送するために、または試料スティック100、160を直接移送するために設けられてもよい。移送アーム290は、手動で、または自動などのロボットで操作することができる。移送アーム290は、例えば、ねじ保持機構、クランプ若しくは把持機構、又は磁気若しくは電磁グラバを使用して、カートリッジ300の移動のためにカートリッジ300に、又はスティック100、160の移動のために試料スティック100、160にそれ自体を取り付けることができる。移送アーム290はまた、把持フィンガ310を有してもよく、把持フィンガ310は、歯車、プーリ、または任意の他の好適な機構によって作動されてもよい。カートリッジ300またはスティック100、160は、移動中の移送アーム290の確実な取り付けのために移送アーム290と接触するように実質的に堅牢な取り付け領域を有することができる。
【0096】
別のバージョンでは、自動試料フィーダは、追加的にまたは代替的に、カートリッジ300をエアロック280の内部から真空チャンバ270内の観察領域内のアンカーに移動させるためのトラックまたはベルトコンベヤを含むことができる。試料150は、カートリッジ300およびエアロック280および/または複数の試料150を含む試料スティック100、160を使用して、連続的に装填され、独立してインデックス付けされ得る。
【0097】
自動試料フィーダの別のバージョンは、複数の試料を含む可撓性テープを備える試料記憶媒体を供給するためのグリッドテープローダ(GTL)を備えてもよい。図16は、グリッドテープローダ700の実施形態の一例の概略図である。1つ以上のリール710A、Bを使用して、テープ580を格納することができる。テープ580は、供給ハウジング720A内の供給リール710A上に巻かれる。巻き取り(すなわち、回収)リール710Bは、巻き取りハウジング720B内に設けられ得る。動作中、試料を有するテープ580は、供給リール710Aによって提供され、システムを通って前進し、巻き取りリール710Bに巻き取られて格納される。
【0098】
供給リール710Aおよび/または巻き取りリール710Bは、真空で保管され得る。一実施形態では、両方のリール710A、Bは、荷電粒子ビームカラムの外側に格納することができる。自動試料フィーダ700は、容易なテープ装填を可能にするロードロックハウジング730を有することができる。代替実施形態(図示せず)では、リール710A、Bの一方または両方は、荷電粒子ビームカラムの外側ではなく、荷電粒子ビームカラムの本体内に格納することができる。
【0099】
別のバージョンでは、リールは空気圧で保管される。キャリア上の試料に損傷を与えることなく異なるボリューム間の移送を可能にするために、空気ボリュームと真空ボリュームとを接続するフィードスルーが設けられる。これは、空気と真空との間の遷移を提供するスリットまたは一連のスリットを備え得る「ホイッスラー」インタフェースの形態をとり得る。スリットベースのインタフェースの別の実施形態は、粘性であるが不活性な流体、例えば強磁性流体の懸濁液を含むセパレータを提供することができ、これは各スリット位置に保持されるが、試料を損傷することなく、または流体残留物を残すことなく、テープおよび試料の自由な進行を可能にする。
【0100】
1つのバージョンでは、自動試料フィーダは、図16に示すように、2つの駆動部を使用してテープを前進させる。例えば、2つの駆動部740A、740Bは、顕微鏡の内側にある自動試料フィーダ700の分析部750の周りに対称的に配置されてもよく、分析部750の各側に1つの駆動部を備える。テープ580は、一方向または両方向(2つの方向は、後方および前方である)のいずれかに進行させることができる。駆動部740A、Bの各々は、テープ580を挟む2つのホイールを備える摩擦(すなわち、ピンチ)駆動部であってもよく、これらのうちの少なくとも1つは、モータによって駆動されるホイールである。ホイールが駆動されている間にテープ580が前進するように、少なくとも1つのホイール表面がテープ580を把持する。テープ580を駆動する別の方法は、スプロケット駆動を使用することである。駆動システムにクラッチを設けて、駆動部740A、740Bにかかるトルクを制限して、テープ580に張力がかかり過ぎるのを防止することができる。
【0101】
別のバージョン(図示せず)では、システムは、代替的に、制御可能なクランプと組み合わせて単一のアクティブ駆動部のみを使用してもよい。この駆動システムは、非対称であってもよく、分析部の両側に駆動部およびクランプを備える。この場合、自動試料フィーダは、単一の駆動部の完全な制御と組み合わされたクランプのための単一のオン-オフ制御を使用して動作することができる。これは、2つの完全に制御可能なアクティブ駆動部が使用される2駆動システムとは対照的である。非対称駆動/クランプシステムの場合には、テープに過剰な張力がかかるのを防止するために、クランプ力リミッタを設けることができる。
【0102】
1つまたは2つの駆動部は、テープ580が解放および巻き取り中にリール710A、B上にコンパクトにパックされることを確実にするために、供給および巻き取りリール710A、Bの一方または両方に小さな(非破壊的な)トルクを加えてもよい。自動試料フィーダ700はまた、可撓性テープ580の張力を測定するための専用張力計760を有してもよい。テープ580の測定された張力は、テープ張力を一定に保つように、または張力を臨界値未満に保つことによってテープ580上に担持された繊細なフィルムまたは試料への損傷を防止するように、2つの駆動部の相対速度を制御するために、コントローラなどによって使用されてもよい。張力計760はまた、任意の滑り、テープの破損、またはテープ駆動部のモータ故障を検出することができる。
【0103】
一実施形態では、張力計760は、テープ580を案内するために使用されるローラ770に取り付けられた歪みゲージを含む。ローラ770は、ホイールの形状を有することができ、テープ580は、ローラ770上を滑ることができる。ローラ770は、試料がローラ表面と直接接触することなくローラ770上を自由に通過することができるように、ローラ770とテープ580との試料の両側への接触を可能にするために、その表面に逆シルクハット形状を有してもよい。テープ580は、ローラ770の半径をトレースすることができ、その結果、テープ580の凹面側がローラ770に力を及ぼす。ローラ770が回転する軸は、この力を、フレームを介して弾性曲げ要素に伝達することができ、弾性曲げ要素はカートリッジの本体に固定することができる。この弾性曲げ要素は、その表面に接着された歪みゲージを有する薄い金属シートを含むことができる。金属シートが力に応じて曲がると、ひずみゲージは、テープ580の張力の変化に対応する、測定されたひずみの変化を報告する。したがって、張力計760は、テープ580の現在の張力を報告することができる。
【0104】
グリッドテープローダ700は、顕微鏡10の分析部750の中へ横断し、分析部750の中へテープを誘導し、その中で試料を支持するように適合される、カートリッジ770を有してもよい。分析部750は、顕微鏡10の対物レンズの内部、例えば、対物レンズの上部極片780Aと下部極片780Bとの間にあってもよい。カートリッジ770は、試料を分析部750に移送するために、その本体を通して(またはその周りに)テープを案内するように構成され得る。さらに、カートリッジ770は、対物レンズの通常の動作を著しく妨げることなく、分析部750内に嵌合するようなサイズおよび形状にすることができる。
【0105】
カートリッジ770は、分析部750内で各試料を並進および/または傾斜させるようにさらに構成され得る。一実施形態では、基準面(例えば、カラムロードロックインタフェース)に対してそれ自体の本体を移動させることにより、カートリッジ770は、軸方向(すなわち、テープ送り方向に沿った「x軸」)テープ送り方向に沿った移動を示す。この実施形態では、カートリッジ770は、分析部750内にあるテープ580の部分を保持するキャリッジ790をカートリッジ770の残りの部分に対して移動させることによって、高さ(すなわち、「z軸」)および傾斜(αおよび/またはβ)移動を提供することができる。マイクロモータアセンブリ785は、カートリッジ770の移動を駆動し得る。
【0106】
最後に、この実施形態では、キャリッジ790は、キャリッジ790に対して試料を移動させることによって、テープ送り方向を横断し、テープ580に平行な軸(すなわち、「y軸」)における試料の動きを提供することができる。y軸は、y軸に移動するキャリッジ790の部分の移動質量が小さいことなどに起因して、「速」軸および最も応答性の高い軸として使用され得る。例えば、キャリッジ790は、1μm/ms以上の速さで試料を平行移動させ、約500msよりも速く安定させることができる。
【0107】
キャリッジ790は、小型モータアセンブリを使用して試料を移動させることができる。さらに、小型モータアセンブリは、主にまたは排他的に非磁性かつ真空安定性の材料を含むことができる。そのような小型モータアセンブリのいくつかの例は、ピエゾモータアセンブリ、ボイスコイル駆動部、EMレンズ場の磁場に対して作用するコイル駆動部、または外力を分析部に接続する機械的リンク機構(例えば、レバー、ピストン、プーリ)を含む。
【0108】
キャリッジ790は、撮像中に分析部内でテープ580を実質的に平坦、均一、かつ安定に保つためのクランプ機構を有することができる。このクランプシステムは、テープとキャリッジ本体との間の確実な電気接触を提供するようにも機能し得る。このクランプ機構は、試料に加えられる張力がテープ駆動部によってテープの軸方向に容易に克服されるばね荷重フレームまたはフレーム要素を含むことができる。
【0109】
さらに、ばね式クランプは、例えば、ピエゾアクチュエータを使用して、その張力を一時的に減少させるか、または完全に解放し、テープが自由に前進することを可能にする、能動的解放システムを有してもよい。あるいは、クランプは、クランプが作動されるときを除いてテープが自由に前進するように、ピエゾアクチュエータを作動させることによってオンにされるアクティブクランプであってもよい。
【0110】
カートリッジ770は、上述のIDコードを読み取るために、テープ経路に沿ってIDリーダ870を組み込むことができる。例えば、IDリーダは、分析部の近傍に配置された光学センサを有してもよい。IDリーダは、任意選択で、テープからIDコードを読み取るのに便利なシステム内のどこにでも配置することができる。
【0111】
動作のために自動試料フィーダを準備するために、試料を含むテープが供給リールに装填されてもよい。一例を図17Aに示す。テープのリーダ(すなわち、最初の)部は、供給部から分析部を通って巻き取り部に通されてもよい。リーダテープは、供給リール部からロードロック内に前進させることができる。次いで、リーダテープは、ロードロックの外側でカートリッジに通されてもよい。カートリッジは、ロードロックに挿入され得る。(この特定の態様におけるカートリッジは、装填中に顕微鏡システム内にテープを移送するアームとして作用し得る。)(「y軸」駆動部を有する)キャリッジを含むカートリッジの先端は、リーダテープの短い部分を保持し、分析部(例えば、対物レンズ極片間)を通って巻き取り側までそれを移送する。一例を図17Bに示す。リーダテープは、捕捉され、巻き取りロードロックを通って巻き取り部内に前進され、最終的に巻き取りリール上に通されてもよい。一例を図17Cに示す。
【0112】
一実施形態では、テープのロードまたはアンロード中に、カラムおよびリールハウジング全体を空気にさらしてもよい。システムが空気圧下にあるとき、テープをカートリッジ内に装填することができ、カートリッジをカラムおよびロードロックアセンブリ内に挿入および固定することができる。次いで、リールを装填して閉じることができ、カラムを動作真空までポンプダウンすることができる。一例を図17Dに示す。
【0113】
試料および試料媒体を調製するための多くの異なる方法がある。これらの方法は、様々な困難さ、コスト、および効率を有し得る。試料調製方法は、所望の試料に関する情報に合わせて選択または適合させることができる。
【0114】
試料調製の一例では、組織を染色し、固定することができる(例えば、タンパク質を所定の位置に固定し、正確な構造計測のために組織を硬化させ、試料の取り扱い堅牢性を高める)。次いで、固定された組織を連続切片化し、連続試料支持体上に配置することができる。この場合、試料は互いに直列に関連する。試料中のギャップ(例えば、損傷またはミスカットに起因する)は、取得されたデータセットの完全性に有害であり得る。
【0115】
しかしながら、自動化された顕微鏡システムは、試料内のそのようなギャップがデータセットの完全性に極めて有害または致命的であることを防止することができる。例えば、コントローラは、1つまたは複数のパターン認識アルゴリズムを含む撮像アルゴリズムを実行して、欠落または損傷部分を自動的に検出することができる。
【0116】
自動顕微鏡システムはまた、自動試料フィーダ内のコンベヤベルトまたはグリッドテープの張力を特定の制限下に保ち、かつ/または誤送りを検出するための機構を含み得る。コントローラがミスフィードを検出した場合、コントローラは、例えば、画像データの取得を一時停止し、人間の支援を求めるか、又は有限回数の再試行を試みて、状況を修正するか、又は問題に関するより多くの情報を学習することを試みることができる。
【0117】
試験プロトコルはまた、特定の機械的調整の調整を通して最小化され得る故障モードの分類につながる故障モードの識別を可能にする。機械的調整の例は、トラクション、スリップ閾値クラッチ、瞬間的なスリップを考慮したオーバー駆動部、およびサスペンション調整である。Voxa(商標)は、実際の試料を含む基板よりも価値の低い基板を使用して、加速試験とシミュレートされた試料交換移動との組み合わせを行う。本発明者らは、システム全体の信頼性を大規模に予測するために必要な統計を有する故障モードの予測制御および識別を可能にするクラウドベースの「フリートマネージャ」を有する。「フリートマネージャ」は、それぞれの顕微鏡で実行される試験を推奨することもできる。
【0118】
試料調製の別の例では、建設または解体廃棄物が希釈され、試料支持体上に蒸発される。このような方法の利点は、極めて単純であり、高度に自動化可能であり、並列流体処理システムを使用して並列化可能であることを含み得る。
【0119】
さらに別の例では、空気中の有害なナノ粒子または生物学的作用物質または工業用作用物質は、溶解、濃縮、次いで流体移動および基板上への蒸発によって捕捉膜を移動させることによって検出され得る。
【0120】
試料調製の別の例は、分子スレッディングなどのマイクロメカニカル堆積を含む。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Payne AC, Andregg M, Kemmish K, Hamalainen M, Bowell C, et al. (2013) Molecular Threading: Mechanical Extraction, Stretching and Placement of DNA Molecules from a Liquid-Air Interface. PLoS ONE 8(7): e69058. doi:10.1371/journal.pone.0069058を参照。
【0121】
試料調製のさらに別の実施例では、定方向位置決めの方法が、試料スティック上の試料を所望の場所および配向に位置付けるために使用される。これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、例えば、試料スティックの一部に磁性粒子を埋め込むことと、印加された磁場を使用して、それらの埋め込まれた磁性粒子に1つ以上の力を印加し、試料が試料スティック上に配置されたときに試料スティックの位置を正確に操作することとを含み得る。
【0122】
荷電粒子ビーム顕微鏡(例えば、顕微鏡1000)のコントローラ(例えば、コントローラ600)は、例えば、人間のユーザからの入力を受信し、顕微鏡の構成要素に命令または他の信号を提供し、および/または顕微鏡によって検出された信号のデータ処理を実行して、画像を生成および処理することができる。例えば、コントローラは、例えば、荷電粒子ビーム源(例えば、源1120)、ビームスキャナ(例えば、ビームスキャナ1115およびビームデスキャナ1190)、および検出器(例えば、検出器1180)、並びにステージ(例えば、ステージ1185)などの顕微鏡の光学カラムの構成要素を制御することができる。別の例として、コントローラは、制御コマンドおよびデータを送受信することによって、荷電粒子ビーム源フィラメント用の電源を制御し、かつ/または電源からデータを読み返すことができる。コントローラはまた、画像を生成するために計算的に処理される検出器からの信号を受信してもよい。
【0123】
コントローラは、この目的のために画像形成ユニットを含むことができる。画像形成ユニットは、顕微鏡カラムの内部または外部に配置され、直接的もしくは間接的な電子結合によって、またはネットワークを介して等、任意の様式で光学システムおよびステージと通信してもよい。
【0124】
コントローラは、顕微鏡の動作の1つ以上の態様を自動的に処理してもよく、人間のユーザから必要とされる最小限の入力で顕微鏡の動作を実質的に自動化するように適合されてもよい。コントローラは、複数の動作を自動的に実行するように適合され得る。例えば、撮像領域へのおよび撮像領域からの試料150の連続的な挿入、撮像、および除去は、実質的に又は完全に自動化され得る。例えば、コントローラは、移送アーム290ならびに顕微鏡1000の構成要素を制御してもよい。
【0125】
コントローラは、1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、処理システム、および/または回路、あるいはハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールの任意の好適な組み合わせを含んでもよい。例えば、コントローラは、IBM互換機、Apple、Macintosh、Android、または他のコンピュータプラットフォーム等の任意の数量のパーソナルコンピュータで実装されてもよい。コントローラはまた、Windows、OS/2、Unix、またはLinuxなどの任意の市販のオペレーティングシステムソフトウェア、ならびに通信ソフトウェアまたは顕微鏡監視ソフトウェアなどの任意の市販および/またはカスタムソフトウェアを含んでもよい。さらに、コントローラは、例えばタッチパッド、キーボード、マウス、マイクロフォン、または音声認識などの1つまたは複数のタイプの入力デバイスを含むことができる。
【0126】
コントローラソフトウェアは、スタンドアロンシステムまたはネットワークもしくは他の通信媒体によって接続されたシステム上で使用するために、磁気媒体、光媒体、光磁気媒体、もしくはフラッシュ媒体、フロッピーディスケット、CD-ROM、DVD、または他のメモリデバイスなどのコンピュータ可読媒体上に記憶されてもよく、および/または搬送波もしくはパケットの形態などで、ネットワークもしくは他の通信媒体を介してシステムにダウンロードされてもよい。
【0127】
荷電粒子ビーム顕微鏡は、コントローラなどを介して顕微鏡と通信するユーザインタフェース(UI)を有する少なくとも1つの端末を使用して制御することができる。各構成要素の機能のすべてまたはサブセットのいずれかが、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)などを介してUIに公開され得る。UIは、ユーザから、他の構成要素から、および/または特定の時間または場所で受信する情報に基づいて、構成要素に自動的に変更を加えることができる。それにより、UIは、顕微鏡の様々な構成要素を制御するための簡略化された方法を提供することができる。
【0128】
顕微鏡は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの形態でそのUIを提供するポータブルデバイスによって操作されてもよい。ポータブルデバイスは、例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又は他の消費者デバイスであってもよい。例えば、このUIは、顕微鏡にローカルな端末が一次インタフェースを構成する二次インタフェースであってもよい。この二次インタフェースは、顕微鏡の完全な操作など、一次ユーザインタフェースの機能の一部または全部を提供することができる。任意の数のこれらの二次インタフェースが、器具を制御するように適合され得る。
【0129】
UIは、ユーザと顕微鏡との対話を強化するためのタッチスクリーンインタフェースを含み得る。例えば、タッチスクリーン上で指または手をつまむ動きは、画像を成長または縮小させ得る。指でドラッグすることにより、ステージを移動させることができる。また、現在の画像を即座にシフトして、取得する次の画像の外観を推定してもよい。他のジェスチャは、他の動作を行うことができる(例えば、2本指のドラッグは、乱視を変更することができる等)。ユーザは、タッチスクリーンインタフェースを使用して、顕微鏡上で全ての必要なアクションを行うことができる。これらは、試料を移動させること、視野を変更すること、焦点を合わせること、非点収差補正すること、または他の方法で画像を調整すること、試料滞留時間を変更すること、解像度を変更すること、光源強度を変更することなどを含み得るUIはまた、顕微鏡に接続された複数のデバイス間で同期し、仲介するように構成されてもよい。
【0130】
コントローラおよびUIは、ユーザによる顕微鏡のフィードバックベースの制御など、人間のユーザと顕微鏡との間の双方向通信を提供することができる。例えば、ユーザは、スワイプに比例して撮像をシフトさせるステージ移動又はビーム変位を引き起こす指のスワイプなどのジェスチャをUIで行うことができる。次いで、UIは、新しい撮像位置についてユーザに提供される画像を迅速にリフレッシュすることができる。ユーザはまた、例えば、顕微鏡の検出器をオンもしくはオフにすることによって、または検出器の位置を変更するアクチュエータをトリガすることによって等、顕微鏡の検出器を制御し得る、1つ以上の撮像視点、輝度、またはコントラストを変更するために、UIにおいてジェスチャを行ってもよい。顕微鏡のフィードバックベースの制御のために、人間の視覚および触覚に関して適切に短い待ち時間でUIと顕微鏡との間の双方向通信と、ユーザに「リアルタイム」パフォーマンスの感覚を与えるために十分に迅速にユーザに画像を提供するために十分に高いスループットで顕微鏡からUIへの少なくとも一方向通信とを有することが望ましい場合がある。一実施形態では、より低い解像度の調査画像が、実質的にリアルタイムでユーザに提供されてもよく、選択された撮像位置において、ユーザは、リアルタイムで提供されないより高い解像度の画像を要求してもよい。一例では、顕微鏡10およびUIは、約100ms未満の待ち時間でステージをユーザコマンドに応答させるように適合される。別の例では、顕微鏡およびUIは、ユーザコマンドに応答し、フィードバックを与えるか、または約1,000ms未満、好ましくは500ms未満で顕微鏡からUIに完全な画像を送信するように適合される。
【0131】
図18は、コントローラ600が複数のクライアント610A~Dにサービスを提供する環境の実施形態の一例の概略図である。クライアント610A~Dは、UIを有する端末として機能してもよい。コントローラ600は、顕微鏡ハードウェア620に接続され、顕微鏡ハードウェア620は、例えば、顕微鏡の光学構成要素、検出器、ステージ、および電源を含み得る。それによって、コントローラ600は、顕微鏡を制御し、および/または顕微鏡からデータまたは他の信号を読み返すことができる。コントローラ600は、特定のタイプのクライアント610A~Dのうちの1つまたは複数のためにカスタマイズされた、調整されたUIを提供することができる。
【0132】
例えば、コントローラ600は、適合されたUIをウェブサービスとしてクライアント610A~Dに提供するウェブサーバを含んでもよく、これは、クライアントからの認証、識別、または何らかの他の要求方法に基づいて公開および提供されてもよい。これは、コントローラ600とクライアント610A~Dとの間の双方向通信を可能にすることができる。クライアント610A-Dは、例えば、撮像モニタ等の単純なクライアント、ならびに、例えば、顕微鏡コントローラ、画像ポストプロセッサ、クラウドストレージもしくは処理サービス、または顕微鏡マネージャ等の複雑なクライアントを含み得る。
【0133】
コントローラおよびUIは、可能な限り多くの動作を自動的に実行しようと試みるように適合され得る。例えば、アプリケーションを開始すること、またはデバイスをオンにすることは、ユーザが顕微鏡を操作することを望んでいると解釈することができ、顕微鏡を自動的にオンにすることを試みることができる。これは、機器自体に対して行われる動作に応答しても起こり得る。例えば、ドアを閉じることは、顕微鏡をオンにする合図として解釈され得る。顕微鏡は、電力要件または構成要素の寿命に応じて、可能な限り「オン」に保つことができる。
【0134】
一例として、荷電粒子ビーム顕微鏡(EM)における試料の交換の周りに自動化を提供することができる。試料を交換することは、いくつかの実施形態では、以前に排気されたエリアを空気に通気することを必要とし得、ソース電圧を安全なレベルまで低下させることを伴い得る。両方のステップは、ユーザが試料変更を開始するときに自動的に実行されてもよい。交換が完了すると、領域は自動的に排気され、高電圧が自動的にオンになる。(しかしながら、機器がバッテリで動作している場合、このステップは、バッテリ電力を保存するために後まで延期され得る。顕微鏡は、例えば、フィラメントの寿命が短くならないが、フィラメントに応力を加えることなく通常の動作を比較的迅速に達成することができる動作温度に十分に近い温度にフィラメントをランピングすることによって、自動的に可能な限り撮像の準備が整う。この時点で、ユーザは、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または他の消費者デバイスを開始することができ、またはウェブサイトを訪問することさえでき、その時点で、顕微鏡は自動的に完全にオンにされる(バッテリ下で動作している場合、これは、バッテリ寿命を保つために必要とされるまで撮像のための顕微鏡の準備を延期して、前述の前のステップを実行する時点であり得る)。
【0135】
撮像セッションが終了したことをユーザが示すと(これは、事前にプログラムされた時間制限、非活動期間を介して、またはアプリケーションを閉じること、ウェブサイトを離れること、デバイスをスリープさせること、または適切な代替方法のいずれかによって行われ得る)、顕微鏡は、「準備完了」状態に戻り、この状態では、フィラメントの寿命は短縮されないが、顕微鏡は、通知された瞬間に始動する準備ができている。「準備完了」状態の例は、フィラメントをその寿命を保護するために低減された電流レベルに変えながら、高電圧を通電され安定したままにすることを含み得る。バッテリ電力で動作している場合、顕微鏡は、この状態をスキップし、可能な限り早くその最小電力状態に戻ることができる。
【0136】
他のある時点で、例えば、オフボタンが押された場合、またはソフトウェアのオプションが選択された場合、または顕微鏡の電源を切る必要があるという他の何らかの指示があった場合、顕微鏡はその電源オフ状態に入ることができる。これは、主電源を顕微鏡から除去することであってもよい。この時点で、顕微鏡は、任意の残りの構成要素を安全に停止させる。
【0137】
観察部における試料20の連続的な挿入、撮像、および除去は、実質的にまたは完全に自動化され得る。装置の撮像領域430に試料を送り、かつ/または撮像領域430から試料を除去するために、自動試料フィーダを設けることができる。例えば、自動試料フィーダは、真空チャンバ420の内部と外部貯蔵ユニットとの間で試料を移送することができる。自動試料フィーダは、追加的または代替的に、カートリッジ400をエアロック440の内部からアンカー485に移動させるためのトラックまたはベルトコンベヤを含むことができる。自動試料フィーダの保管部は、現在分析されていない試料を保管することができる。例えば、格納ユニットは、試料スティック90のアレイを格納するためのマガジンを含んでもよい。
【0138】
例えば、コントローラは、移送アーム500ならびに顕微鏡の構成要素を制御してもよい。コントローラは、より小さいサブプロセスから構成され得るカスタムプロセスを実行し得る。これらのサブプロセスは、例えば、自動試料フィーダおよび装置を監視すること、特定の時間および/または条件で他のアクションを実行すること、他の外部および/または内部プロセスと相互作用すること(例えば、開始、停止、またはステータスをチェックすること)、および装置の特性を変更すること(例えば、コマンドを別のシステムに送信すること、TTLまたはCMOS信号に電圧を設定すること、要求に対する応答を送信すること、イベントを設定すること)を含み得る。複数のプロセスを1つに組み合わせることができ、任意の個々のプロセス自体をより小さいプロセスから構成することができる。
【0139】
プロセスが実行されると、コントローラは、それらを監視して、顕微鏡システムの状態(または「健全性」)を測定することができる。例えば、測定値を定期的に評価して、システム性能が長い時間スケールおよび短い時間スケールにわたって変化しているかどうかを判定することができる。プロセスは、プロセスにかかる時間、プロセスが生成する出力、およびプロセスが与えられる入力を決定することを含む、多くの方法で監視され得る。プロセス監視の結果は、単純で簡潔な方法(例えば、ウェブサイト上のアクセス可能なグラフ、生のテキストファイル、またはログファイル)で提示することができる。システム監視からの定期的なレポートは、自動的に準備され、配布されることができる。例えば、そのようなレポートは、ウェブサイト上で公開されるか、または指定された当事者に電子メールで送られ得る。
【0140】
任意の監視された変数の許容可能な値について、コントローラで限界を定義することができる。許容範囲を超える場合、イベントを詳述するレポートを自動的に配信することができる(例えば、ウェブサイト、電子メール、テキストメッセージ、またはログメッセージ)。レポートは、即座に、または指定された間隔で、その間隔中のすべてのレポートの要約とともに送信することができる。
【0141】
健全性監視プロセスは、(i)顕微鏡の分析部内の圧力が感知可能な限界内にあるかどうかをチェックすること、および(ii)テープ張力が許容可能な限界内にあるかどうかをチェックすることなどのアクションを実行することができる。これらの値または他の値のいずれかが所定の限度外である場合、ユーザに通知すること(直接/電子メールなど)、ファイルにログインすること、またはアドレスのセットを電子メール送信することなどのアクションを実行することができる。
【0142】
上述のフレームワークを使用して、プロセスが非常に接続された方法で内部および外部システムと対話することが可能である。例えば、TTLピンをローまたはハイに設定する(またはポート上でデータを送信する、グローバルイベントを設定するなど)プロセスの任意の段階でアクションを追加することが可能である。これは、プロセスを外部システム、例えばカメラ露出トリガシステムと同期させるために使用することができる。このようにして、複雑な手順を互いに同期して並行して行うことができる。
【0143】
上述のように、自動化の一態様は、顕微鏡システムの物理的要素または画像形成要素のコンピュータ制御である。これは、顕微鏡を良好な撮像状態などの既知の状態にするための顕微鏡のレンズ、偏向器、および他の構成要素のコンピュータ制御を含むことができる。例えば、検出器は、顕微鏡のコンピュータ制御サブシステムとして扱われてもよい。コンピュータはまた、試料を位置決めおよび/または傾斜させるようにステージを制御してもよい。
【0144】
荷電粒子ビーム顕微鏡(電子顕微鏡など)は、一例では、最大で約0.5Hz(またはさらには約1Hz)のオーダーでの人間の入力に応答して更新することができる。典型的な人間の応答時間は、約500msであり得る。換言すれば、コントローラは、制御およびコマンドを実行し、例えば、約1Hz(すなわち、1秒)以下の程度等のある所望の時間スケールで(例えば、インジケータおよび状態を)提供することが可能であるべきである。人間の入力またはコンピュータ命令に基づいて、顕微鏡コントローラは、特定の目的を達成するために自動化または手順コマンドを発行し得る。これらのコマンドは、人間のオペレータが従来の荷電粒子ビーム顕微鏡上で実行した可能性がある特定の活動、ならびに人間が従来実行しなかったタスクを自動化する制御セットの変形を含むことができる。これらのタスクは、例えば、非常に反復的なアクションまたは正確なアクションまたは無数のアクション(例えば、複数の制御を同時に(一斉に)調整すること)を含み得る。
【0145】
コントローラコマンドは、プロシージャにまとめることができる。そのようなコントローラコマンドの例には、(1)画像の合焦/調整、(2)制御された正確な方法または制御されたランダムな方法での位置から位置へのステージ(すなわち、試料位置)の移動、(3)単一の制御または複数の制御(例えば、ビーム成形制御、合焦制御)を使用したビームのステアリングおよび/または成形が含まれる。
【0146】
このコンピュータ化および自動化は、顕微鏡を静的システムから動的システムに変換する。デジタル化により、顕微鏡を個別の「タイムスライス」マシンに変える。同じ試料上の小さな複数の異なる領域に動的性を拡張することができ、同じ試料上の大きな複数の異なる領域に動的性を拡張することができる。
【0147】
例えば、TEMの場合、大型の高密度画素センサを使用することができる(例えば、顕微鏡による数千倍の倍率に対応する、試料上の10μmの画像(複数の画像)を収集する)。我々は、センサ密度を増加させることによって、および並列化を通して、面積カバレッジを増加させることができる。面積被覆率は、例えば、試料当たり数mm程度に拡大され得る。
【0148】
試料の面積範囲を増大させることができる場合、顕微鏡システムは、一般に、十分な検出器速度(例えば、毎秒数十~数百の試料位置)でそのサイズまで拡大することができる。顕微鏡の制御(例えば、光学系、試料位置決めシステム)のデジタル化を使用して、これを行うことができる。
【0149】
単一の試料の面積範囲に関して、モンタージュ内の10~100個のサブ画像から構成される従来の画像が捕捉されており、顕微鏡は同じことを行うように自動化されている。しかし、高密度ピクセル検出器を用いて、各画像が、例えば、約10μmの視野サイズ(例えば、幅寸法)である、10,000以上の画像を行うことが可能であり得る。
【0150】
上述のシステムは、自動化された方法で試料を交換する能力を提供することができる。例えば、自動試料フィーダは、少なくとも3~4秒ごとに試料を移送することができる。自動試料フィーダは、高い精度で、かつバーコードまたはRFIDタグを用いて各試料を一意に識別する能力で、これを行うことができる。例えば、自動試料フィーダは、10,000のうちの1未満の誤差で各試料を識別することが可能であり得る。この文脈における「誤差」は、試料の誤移動または誤識別を指すことができる。
【0151】
顕微鏡システムのロバスト性および安全性が提供されるため、コントローラが顕微鏡を制御して試料交換を再試行し(例えば、目的試料の挿入または交換を再試行し)、無視できるほど低い誤差で試料を正確に識別することは、低コストであり、事実上労力がかからない。
【0152】
さらに、試料の大規模な領域を捕捉する能力により、顕微鏡は、人工知能アルゴリズムを実行して画像データを分析することができる。例えば、コントローラは、複数の変数が試料にわたって迅速かつ効率的に変化した製造プロセス(例えば、コンビナトリアルケミストリー)の生成物を測定することができる。他の実施例では、顕微鏡は、1つの身体からの連続的に関連する試料の画像を撮像および処理してもよい(3D組織体積再構成、生検、病理学)。
【0153】
顕微鏡コンピュータは、AIアルゴリズムを使用して、物体の物理的配置または物体の特性の、意思決定に使用することができる定量化可能な値への変換を支援する定量的または少なくとも定性的データを効率的に生成することができる。これらは、例えば、血球計数、汚染物質の同定、汚染物質の濃度、または純度の評価のために使用され得る。このAIパイプラインは、特定の目的関数を有するAIアルゴリズムに適している。
【0154】
AI識別アルゴリズムは、例えば、敵対的ネットワークまたは人間が識別した構成要素を使用する訓練データセットを含み得る。顕微鏡コンピュータは、例えば、カウントまたは形態を識別するために、異なるタイプの画像処理を実装してもよい。例えば、アスベストの識別のために、コントローラは、細長い形状を検索してもよい。その例では、試料は、好ましくは、均一または予測可能な背景上に撮像され得る。
【0155】
上述のシステムおよび要素は、完全な自動化システム(「パイプライン」)を生成するために統合されてもよい。例えば、コンピュータまたはデジタル制御、迅速かつ再現可能な試料交換、試料交換の自動化、および人工知能アルゴリズムをパイプラインに統合することができる。パイプラインは、様々な考慮事項およびトレードオフを使用して実装され得る。例えば、パイプラインは、「インピーダンス整合」(例えば、非効率性をもたらすスループットのボトルネックを回避すること)および/または要素間の他の相乗効果を用いて実装され得る。
【0156】
例えば、パイプラインは、自動化された方法で調製された無数の試料から開始することができ、それらの試料は、様々なタイプの媒体キャリア(例えば、試料スティック)のうちの1つに配置することができる。試料を含む試料媒体は顕微鏡に入り、顕微鏡は自動撮像を行い、顕微鏡は多数の画像を生成する。顕微鏡は、将来の使用のために画像を記憶してもしなくてもよい。
【0157】
ワークフローの分析部分を同時にパイプライン化することは非常に有利であり得る。これは、決定および貴重な情報に対する待ち時間を低減することができる。いくつかの例が提供される。
例1:「サブティラ」は、サブタイル(サブ画像)をモンタージュし、(モンタージュ)画像のマスターモンタージュを後で行うことをより容易にする情報を生成する。
例2:コントローラは、画像処理を実行して、特定のタイプの粒子を探索し、識別する。一実施形態では、記憶または処理の必要性を低減するために、その粒子タイプを含まない任意の画像が破棄されてもよい。
【0158】
例えば、結果の待ち時間を低減し、効率を向上させるために、データの記憶とデータの合成とのバランスをとることが有益であり得る。処理時間のような将来の必要性に対して、または財務コストに対して、(例えば、規制証明のための)アーカイブの必要性のバランスをとることが有益であり得る。
【0159】
ライブ処理対バッチ処理。これらのそれぞれのモードは、異なる使用事例に適し得る。しかし、バッチ処理は、通常、より高い待ち時間を有する。
【0160】
パイプライン内のすべての要素は、システムを通る試料処理速度が最大化されるように「インピーダンス整合」され得る。例えば、単一の要素が次のステップまたは前のステップのためにあまりにも長く待機していないことを確実にするために、連続した段階に適切なバッファを含むことが有利であり得る。
【0161】
文書の統一。試料は、移動/後続文書から利益を得ることができる。これは、現在のプロセスおよび履歴処理に関するメタデータを含むソフトウェアデータ構造の形態をとることができる。このデータ構造はまた、パイプラインの各ステップからの結果のスナップショットを含むことができ、これは、結果の品質の追跡および保証を支援することができる。
【0162】
より高いレベルでは、複数のそのようなパイプラインをより大きなパイプラインに統合することができる。これらの複数のパイプラインの各々は、特定の目的のために最適化され得る。例えば、試料配送自動化プロセス、AIプロセスなどは、特定のアプリケーションに構成することができる。これは、並列性に役立つ。上述した考慮事項およびトレードオフ(例えば、コスト、記憶、画像処理時間の削減)は、このより高いレベルでも適用され得る。
【0163】
図19は、自動試料調製、送り、荷電粒子ビーム撮像、および分析パイプラインにおけるワークフローの実施形態の一例である。
【0164】
さらに、荷電粒子ビーム顕微鏡は、大きなバッチの試料を処理するために協調して動作する複数の荷電粒子ビーム顕微鏡を含む集合体として構成することができる。例えば、UIを有する1台の携帯機器から一括して全ての荷電粒子ビーム顕微鏡を制御してもよいし、複数の携帯機器から並行して制御してもよい。ポータブルデバイスおよび/または顕微鏡のコントローラは、互いに通信して、アンサンブル内の顕微鏡の動作を調整することができる。
【0165】
前述の実施形態は、理解を明確にする目的で、例示および実施例によって詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正がなされ得ることは、本明細書の説明に照らして当業者には容易に明らかであろう。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0166】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「単独で(solely)」、「のみ(only)」などの排他的な用語を使用するため、または「否定的な」限定を使用するための先行詞としての役割を果たすことを意図している。本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載および例示される個々の態様の各々は、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、またはそれと組み合わされ得る別個の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実施することができる。
したがって、上記は例示的な例を提供するにすぎない。当業者は、本明細書で明示的に説明または図示されていないが、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる、種々の配列を考案することができるであろうことを理解されたい。
【0167】
さらに、本明細書に列挙されるすべての例および条件付き言語は、主に、本発明の原理、および当技術分野を促進するために本発明者らによって寄与される概念を読者が理解するのを助けることを意図しており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されることなく解釈されるべきである。さらに、本発明の原理および態様、ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような均等物は、現在知られている均等物および将来開発される均等物の両方、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実行する開発された任意の要素を含むことが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され説明される例示的な構成に限定されることを意図しない。
【0168】
本明細書では、添付の図面を参照しながら様々な好ましい実施形態を説明した。しかしながら、以下の特許請求の範囲のより広い範囲から逸脱することなく、様々な他の修正および変更がなされてもよく、追加の実施形態が実施されてもよいことは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
【国際調査報告】