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特表2024-528435ジルコニウム/ハフニウム酸化物ナノ粒子および金属ナノ粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ジルコニウム/ハフニウム酸化物ナノ粒子および金属ナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 27/02 20060101AFI20240723BHJP
   C04B 35/488 20060101ALI20240723BHJP
   C01G 25/02 20060101ALI20240723BHJP
   A61L 2/23 20060101ALI20240723BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20240723BHJP
【FI】
C01G27/02
C04B35/488 500
C01G25/02
A61L2/23
B82Y40/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578094
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2022088505
(87)【国際公開番号】W WO2022262417
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110681730.2
(32)【優先日】2021-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522359202
【氏名又は名称】趙 遠雲
【氏名又は名称原語表記】ZHAO, Yuanyun
【住所又は居所原語表記】Room 1401, Building 7, Shanhu Garden, No. 1 Kaide Road, Dalingshan Town Dongguan, Guangdong 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】趙 遠雲
(72)【発明者】
【氏名】李 彦軍
【テーマコード(参考)】
4C058
4G048
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058JJ03
4G048AA03
4G048AB02
4G048AC08
4G048AD03
4G048AE05
(57)【要約】
本発明は、ナノ酸化Zr/Hfおよび金属ナノ粒子の製造方法に関する。まず、金属原料からZr/HfとAl/Znを主成分とする初期合金を製造し、初期合金を熱塩基溶液に溶解して中間溶液を得る。次いで中間溶液の塩基濃度および/または温度を低下させることにより、濃度および/または温度が低下した後に中間溶液からZr/Hfを含む固体凝集生成物が析出し、低結晶性ナノ酸化Zr/Hfが得られる。さらなる熱処理により、結晶性ナノ酸化Zr/Hfが得られる。初期合金に貴金属元素が固溶している場合、金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化物Zr/Hfもこの方法で製造できる。また、複合生成物からナノ酸化Zr/Hfを除去し、金属ナノ粒子を製造する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ酸化Zr/Hfの製造方法であって、
M、T、Aの3種類の元素を含み、主にM-T金属間化合物から構成される相組成を有する初期合金を提供する工程1であって、前記MがZrおよびHfのうち少なくとも1つの元素を含み、前記TがAlおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含み、前記Aが、O、H、Na、K、Mg、Ca、LiおよびSiのうち少なくとも1つの元素を含む工程1と、
前記初期合金を第1の濃度の塩基溶液と、Tの温度で反応させることで、前記初期合金を前記塩基溶液に溶解させて中間溶液を得る工程2であって、T≧75℃である工程2と、
前記中間溶液の塩基濃度を第2の濃度未満に低下させる、前記中間溶液の温度をT温度未満に低下させる、または前記中間溶液の塩基濃度と温度を同時に前記第2の濃度未満およびT温度未満に低下させることで、濃度および/または温度の低下した前記中間溶液から、M含有固体生成物を析出する工程3であって、前記第2の濃度は前記第1の濃度より低く、Tの温度はTの温度より低い工程3と、
M含有固体生成物を回収し、ナノ酸化Zr/Hfを主成分とする生成物を得る工程4であって、前記ナノ酸化Zr/Hfは、主に低結晶性ナノ酸化Zr/Hfであり、水酸化物Mを含有している、すなわち低結晶性水酸化物Mは低結晶性ナノ酸化物Mの一形態とみなされうる工程4と、
を含むことを特徴とするナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、前記初期合金の元素組成が主にAであり、x、y、zが対応する元素の原子百分率含有量であり、かつ、0<x≦15%、45%≦y<95%、5%≦z<55%であることを特徴とするナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、75℃≦T≦Tf溶液であり、前記Tf溶液は、常圧下での反応に関与する前記塩基溶液の沸点温度であることを特徴とするナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、前記初期合金と第1濃度の塩基溶液との反応過程において、反応界面が5μm/minより大きい平均速度で前記初期合金の表面から内側に進むことを特徴とするナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、前記中間溶液の塩基濃度を低減する方法が、前記中間溶液を希釈溶媒で希釈することを含み、かつ、前記希釈溶媒には、界面活性剤および改質剤の少なくとも一方の物質が含まれることを特徴とするナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載のナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、前記ナノ酸化Zr/Hfの粒径が1.0nm~150nmであることを特徴とするナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載のナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、前記ナノ酸化Zr/Hfは、主に低結晶性のナノ酸化Zr/Hfであることを特徴とするナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項8】
結晶性ナノ酸化Zr/Hfの製造方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法により製造された生成物を熱処理して、主に結晶性ナノ酸化Zr/Hfからなる生成物を得ることを特徴とする結晶性ナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたナノ酸化Zr/Hfのセラミック材料、複合材料、高性能電子デバイス、半導体デバイスを含む用途への応用。
【請求項10】
均一に混合された混合粉末を製造する工程S1であって、前記混合粉末は、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたナノ酸化Zr/Hfと追加粉末を含み、前記混合粉末中のナノ酸化Zr/Hfのモル百分率含有量がVであり、前記混合粉末中の追加粉末のモル百分率含有率量がVであり、かつ、前記追加粉末が、Al、CaO、MgO、SiO、B、BeO、TiC、およびSiCのうちの少なくとも1つを含み、ここで、1%≦V≦100%、0≦V≦99%である工程S1と、
前記混合粉末をプレスしてグリーン体にし、高温で焼成し、ナノ酸化Zr/Hfを含むセラミック材料を得る工程S2と、
を含むことを特徴とするナノ酸化Zr/Hfを含むセラミック材料の製造方法。
【請求項11】
金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法であって、
M、TおよびDの3種類の元素を含み、主にD成分元素が固溶したM-T金属間化合物から構成される相組成を有する初期合金を提供する工程1であって、MがZrおよびHfのうちの少なくとも1つの元素を含み、TがAlおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含み、DがRu、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、AuおよびCuのうちの少なくとも1つの元素を含む工程1と、
前記初期合金を第1の濃度の塩基溶液とTの温度で反応させることで、初期合金中のM、T元素を上記塩基溶液に溶解させ、同時に、元のM-T金属間化合物中の固溶したD元素の原子を再凝集させてD元素を主成分とするナノ粒子を生成させ、Dナノ粒子を含む中間溶液を得る工程2であって、T≧75℃である工程2と、
前記中間溶液の塩基濃度を第2の濃度未満に低下させ、濃度低下後の中間溶液からM含有固体物を析出させると同時にDナノ粒子と複合化させる工程3と、
M含有固体物とDナノ粒子の複合生成物を回収し、Dナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfを得る工程4と、
を含むことを特徴とする金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、前記初期合金の元素組成が主にDであり、x、y、zが対応する元素の原子百分率含有量であり、かつ、0<x≦7.5%、45%≦y<95%、5%≦z<55%であることを特徴とする金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、75℃≦T≦Tf溶液であり、前記Tf溶液は、常圧下での反応に関与する前記塩基溶液の沸点温度であることを特徴とする金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、前記初期合金と第1濃度の塩基溶液との反応過程において、反応界面が前記初期合金の表面から内側に、5μm/minより大きい平均速度で進むことを特徴とする金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、工程2における前記中間溶液の塩基濃度を低減する方法が、前記中間溶液を希釈溶媒で希釈することを含み、前記希釈溶媒には界面活性剤および改質剤の少なくとも一方の物質が含まれることを特徴とする金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項16】
金属ナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zr/Hfの製造方法において、請求項11~15のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hfを熱処理して、Dナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zr/Hfを得ることを特徴とする金属ナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zr/Hfの製造方法。
【請求項17】
金属ナノ粒子の製造方法において、請求項11~14のいずれか1項に記載の製造方法の工程2で得られたDナノ粒子を含む中間溶液を固液分離してDナノ粒子を得ることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項18】
金属ナノ粒子の製造方法において、請求項11~15のいずれか1項に記載の製造方法の工程4で得られたDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hf中のナノ酸化Zr/Hfを、Dナノ粒子を残したまま酸溶液反応により溶解し、固液分離してDナノ粒子を得ることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項19】
請求項11~18のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hf、またはDナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zr/Hf、またはDナノ粒子のポリマー系ナノ複合材料、触媒材料、セラミック材料、複合材料、高性能電子デバイス、廃水分解材料、殺菌コーティング、および防食塗料を含む用途への応用。
【請求項20】
Ag含有殺菌性セラミック材料の製造方法であって、請求項11~16のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zr/Hf、またはDナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zr/Hfを必要成分としてセラミック配合粉末に添加し、前記Dナノ粒子の主成分がAg元素であり、グリーン体のプレス-高温焼成後、Ag含有殺菌性セラミック材料を得ることを特徴とするAg含有殺菌性セラミック材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ材料の技術分野に関し、特にナノZrおよび/またはHf酸化物および金属ナノ粒子の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノHfOとナノZrOの主な製造方法としては、水熱法、マイクロエマルジョン法、ゾルゲル法、共沈法、蒸発法、超臨界合成法などがある。しかし、これらの方法は、高温・高圧などの過酷な設備や環境条件を必要とするか、あるいは複数の反応物を必要とし、多段階の反応プロセスを経るため、ナノHfO、ナノZrO、およびそれらに対応するセラミック材料の低コスト製造や幅広い応用が大幅に制限される。
【0003】
ドープされた金属ナノ粒子は、ナノHfOやナノZrOの機能的応用に非常に重要な影響を与える。現在、ナノHfOやナノZrOに金属ナノ粒子をドーピングする方法としては、異なる反応系でナノ金属酸化物とナノ金属粒子を製造し、次に両者を機械的に混合するという2段階法がよく用いられている。これらの製造方法は煩雑で、より多くの反応物質が含まれ、過酷な反応条件が必要とする。
【0004】
金属ナノ粒子の製造方法が多いが、各種の方法がいずれも一定の限定性があり、特に大量生産のスケールアップが難しいなどの問題がある。従って、大規模生産に適している金属ナノ粒子の新規な製造方法を開発することは、重要な意義を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づき、上記の技術的課題に対して、低コストで大大規模生産に適しているナノ酸化Zrおよび/またはHfの製造方法を提供することが必要である。上記製造方法は、反応物とプロセスが単純で、条件が温和であり、低純度の工業グレードの原料を通じて高純度のナノ酸化Zrおよび/またはHfおよび金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHfを製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ナノ酸化Zrおよび/またはHfを製造する方法であって、以下の製造工程を含むことを特徴とする方法。
【0007】
工程1: 初期合金を提供し、上記初期合金は、M、T、Aの3種類の元素を含み、ここで、MがZrおよびHfのうちの少なくとも1つの元素を含み、TがAlおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含み、AがO、H、Na、K、Mg、Ca、LiおよびSiのうちの少なくとも1つの元素を含む。上記初期合金の相組成は、主にM-T金属間化合物から構成される。
【0008】
工程2:上記初期合金をTの温度で第1の濃度の塩基溶液と反応させ、初期合金を上記塩基溶液に溶解させて中間溶液を得る。ここで、T≧75℃である。
【0009】
工程3:工程2に記載の中間溶液の塩基濃度を第2の濃度未満に低下させ、または工程2に記載の中間溶液の温度をT温度未満に低下させ、または工程2に記載の中間溶液の塩基濃度と温度を同時に第2の濃度未満およびT温度未満に低下させ、低下した濃度および/または温度で中間溶液からM含有固体生成物が析出するようにする。ここで、第2の濃度は第1の濃度より低く、T温度はT温度より低い。
【0010】
工程4:M含有固体生成物を回収し、ナノ酸化Zrおよび/またはHfを主成分とする生成物を得る。
【0011】
上記工程1において、
【0012】
さらに、上記TがAlを含み、さらにTがAlである。
【0013】
さらに、上記TがZnを含み、さらにTがZnである。
【0014】
さらに、上記MがZrおよび/またはHfを含み、本明細書における「M」は「Zrおよび/またはHf」と同義である。
【0015】
さらに、上記Aが、O、H、Siの少なくとも1つを含む。
【0016】
さらに、上記初期合金の元素組成は主にAxTyMzであり、x、y、zが対応する元素の原子百分率含有量であり、かつ、0<x≦15%、45%≦y<95%、5%≦z<55%である。
【0017】
さらに、0.3%<x≦15%、45%≦y<94.7%、5%≦z<54.7%である。
【0018】
さらに、0%<x≦10%、45%≦y<95%、5%≦z<55%である。
【0019】
さらに、0.05%<x≦10%、45%≦y<75.95%、24%≦z<54.95%である。
【0020】
さらに、0.5%<x≦10%、50%≦y<69.5%、30%≦z<49.5%である。
【0021】
さらに、1%<x≦10%、50%≦y<69%、30%≦z<49%である。
【0022】
さらに、1.5%<x≦10%、45%≦y<93.5%、5%≦z<53.5%である。
【0023】
さらに、上記初期合金では、A元素の原子百分率含有量が、通常の市販の高純度Tや高純度Mを製錬して得られる初期合金に含まれるA元素の原子百分率含有量よりも高い。
【0024】
さらに、上記初期合金は、T、M、Aを含む合金溶湯を凝固させることにより製造され、合金凝固過程において、主にM-T金属間化合物からなる凝固組織が形成される。
【0025】
さらに、上記初期合金凝固組織において、A元素がM-T金属間化合物中に固溶体として存在するか、または非固溶体の形態で初期合金中に存在する。
【0026】
さらに、上記初期合金溶湯の凝固速度が、0.01K/s~10K/sである。
【0027】
さらに、上記初期合金は主にM-T金属間化合物から構成される。
【0028】
さらに、上記M-T金属間化合物とは、金属間化合物の相組成がM-T金属間化合物相であること、すなわち、上記M-T金属間化合物のXRD相分析結果がM-T金属間化合物相であり、かつM-T金属間化合物の主な化学量論的関係には、MT、MT、M、およびMTのうちの少なくとも1つが含まれることを意味する。
【0029】
さらに、上記M-T金属間化合物とは、金属間化合物の相組成がM-T金属間化合物相であること、すなわち、上記M-T金属間化合物のXRD相分析結果がM-T金属間化合物相であることを意味し、この場合、M-T金属間化合物相は、MおよびT以外の他の元素、例えばA元素を含んでいてもよい。
【0030】
さらに、上記M-T金属間化合物が、HfAl、HfAl、HfAl、HfAl、ZrAl、ZrAl、ZrAl、ZrAl金属間化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
さらに、上記初期合金の形状が、三次元方向のいずれかの次元の平均サイズが4μmより大きい。
【0032】
さらに、上記初期合金の形状が、三次元方向のいずれかの次元の平均サイズが10μmより大きい。
【0033】
さらに、上記初期合金の形状が、三次元方向のいずれかの次元の平均サイズが15μmより大きい。
【0034】
さらに、上記初期合金は粉末またはリボンの形状であり、粉末粒子またはリボンは、三次元方向の少なくとも1つの寸法が5mm未満である。
【0035】
さらに、上記初期合金は粉末またはリボンは、三次元方向のうち少なくとも1つの次元の寸法が500μm未満である。
【0036】
好ましくは、上記初期合金は粉末またはリボンは、三次元方向のうち少なくとも1つの次元の寸法が50μm未満である。
【0037】
さらに、上記初期合金は、A、T、M元素を含む金属原料を溶融し、次いで合金溶融物を凝固させることによって製造される。
【0038】
さらに、上記初期合金中のA元素の供給源は、T原料導入、M原料導入、および初期合金溶融工程導入の少なくとも1つを含む。
【0039】
さらに、上記初期合金溶融工程導入は、炉内ライニング材料が脱落によって導入されることと、溶融雰囲気が導入されることとのうちの少なくとも一方を含む。
【0040】
さらに、上記T原料中のA元素の含有量が、通常の市販の高純度T原料中のA元素の含有量よりも高い。例えば、Alの場合、市販の高純度Alの不純物含有量は0.01%未満であるのに対して、安価な工業用低純度アルミニウムインゴット(例えば、グレードAl99.00)中のSiの重量百分率含有量は、0.42%にも達し、原子百分率含有量に換算すると0.4%になる。したがって、本発明では、工業用低純度アルミニウムインゴット、あるいは工業用低純度アルミニウムインゴットよりも純度の低いアルミニウム原料を使用することができる。
【0041】
さらに、上記M原料中のA元素の含有量が高純度M中のA元素の含有量よりも高い。例えば、国家基準によると、工業用グレードのジルコニウムスポンジ(グレードHZr-1およびHZr-2)に含まれるO不純物の重量百分率含有量は0.1%~0.14%であり、原子百分率含有量に換算すると0.57%~0.79%になり、H不純物の重量百分率含有量は0.0125%であり、原子百分率含有量に換算すると1.12%になる。
【0042】
工業グレードのハフニウムスポンジ(グレードHHf-1)のO不純物の重量百分率含有量は0.13%であり、原子百分率含有量に換算すると1.43%になり、H不純物の重量百分率含有量は0.005%であり、原子百分率含有量に換算すると0.88%になる。したがって、本発明は、初期合金を製造するために、ジルコニウムおよび/またはハフニウムスポンジ、またはジルコニウムおよび/またはハフニウムスポンジよりも純度の低いジルコニウムおよび/またはハフニウム原料を使用することができる。
【0043】
T原料とM原料がA元素を含む低純度原料を選択した場合、A元素が同時に合金溶湯に導入され、初期合金にもA元素が含まれることになる。例えば、通常のスポンジZrとスポンジHf原料にはO、H元素が固溶しており、工業用AlインゴットにはSi元素が多く含まれているため、初期合金にも一定量のO、H、Si元素が含まれることになる。
【0044】
さらに、上記A元素は、合金の溶解過程における雰囲気の導入または炉内ライニングの導入にも由来する。
【0045】
溶解過程において、大気中のO、Hおよび他の元素は必然的に溶湯に混入し、溶解過程において溶解るつぼの炉内ライニングに含まれるA元素も溶湯に混入する可能性があるため、初期合金にはより多くのA元素を含む。本発明において解決すべき重要な問題の一つは、合金溶液がより多くのA元素を含む場合でも、低純度の原料を採用することにより、依然として高純度のM含有ナノ金属酸化物を製造することが可能であり、これにより、製造工程を大幅に簡略化し、原料コストを低減することができる。
【0046】
さらに、合金の溶解工程は大気環境で行われる。
【0047】
さらに、初期合金がリボンの形状である場合、溶融ストリップキャストを含む方法によって製造することができる。
【0048】
さらに、初期合金が粉末の形状である場合、鋳造法によってより大きな初期合金インゴットを製造し、次いで粉砕して初期合金粉末とすることができる。
【0049】
上記工程2において、
【0050】
さらに、上記塩基溶液が、NaOH、KOH、LiOH、RbOH、Ba(OH)、Ca(OH)、およびSr(OH)溶液のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
さらに、上記塩基溶液の溶媒が、水を含み、好ましくは、上記塩基溶液の溶媒が、水である。
【0052】
さらに、上記第1濃度の塩基溶液中の塩基の濃度が、5~30mol/Lである。
【0053】
好ましくは、上記第1濃度の塩基溶液中の塩基の濃度が、5~15mol/Lである。
【0054】
さらに好ましくは、上記第1濃度の塩基溶液中の塩基の濃度が、7~12mol/Lである。
【0055】
さらに、初期合金と反応する第1濃度の塩基溶液中の塩基は過剰量であり、第1濃度の塩基溶液の体積は初期合金の体積の5倍以上であり、より高い塩基濃度で常時反応を進行させることができる。
【0056】
さらに、第1濃度の塩基溶液の体積は、初期合金の体積の10倍以上である。
【0057】
さらに、第1濃度の塩基溶液の体積は、初期合金の体積の20倍以上である。
【0058】
さらに、上記塩基溶液の温度は、上記初期合金と第1濃度の塩基溶液との反応温度である。
【0059】
さらに、上記初期合金と塩基溶液との反応は、常圧または高圧で行われる。
【0060】
さらに、上記初期合金と塩基溶液との反応は、密閉容器内で行われる。
【0061】
密閉容器内では、容器内の圧力が1気圧を超えると高圧となり、容器内の反応により発生したガスが排出できない場合には、さらに高圧となることもある。
【0062】
さらに、密閉容器内で反応を行う場合、まず初期合金と塩基溶液を密閉容器内に別々に入れ、塩基溶液の温度が設定した反応温度に達すると、初期合金と塩基溶液と接触させて反応を行う。
【0063】
さらに、密閉容器内では、塩基溶液の温度が常圧での沸点温度を超えていてもよい。
【0064】
さらに、初期合金と熱塩基溶液との反応が、常圧で行われる。
【0065】
さらに、上記常圧とは、密閉容器を使用しないときの大気圧のことであり、さらに、容器が密閉されていない場合、容器内の圧力は完全に開放された環境における周囲気圧よりもわずかに高いが、このときの圧力もまた、非密閉環境であるため、常圧の範疇に入る。
【0066】
さらに、75℃≦T≦Tf溶液であり、Tf溶液が、常圧下での反応に関与する前記塩基溶液の沸点温度である。
【0067】
さらに、上記反応は常圧環境下で行われ、常圧とは一般に1標準気圧を指し、このときの水の沸点は100℃に相当する。水に塩基が溶解している場合、1標準大気圧における塩基水溶液の沸点温度は100℃より高く、かつ塩基の濃度が高くなるほど、沸点も高くなる。例えば、モル濃度5mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約108℃であり、モル濃度7mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約112℃であり、モル濃度10mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約119℃であり、モル濃度12mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約128℃であり、モル濃度15mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約140℃であり、モル濃度17mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約148℃であり、モル濃度20mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約160℃であり、モル濃度25mol/LのNaOH溶液の沸点Tf溶液が約175℃であり、モル濃度10mol/LのKOH溶液の沸点Tf溶液が約125℃であり、モル濃度12mol/LのKOH溶液の沸点Tf溶液が約136℃であり、モル濃度15mol/LのKOH溶液の沸点Tf溶液が約150℃である。
【0068】
さらに、81℃≦T≦Tf溶液である。さらに、91℃≦T≦Tf溶液である。
【0069】
さらに、100℃≦T≦Tf溶液である。さらに、100℃<T≦Tf溶液である。
【0070】
さらに、101℃≦T≦Tf溶液である。
【0071】
さらに、105℃≦T≦Tf溶液である。
【0072】
さらに、101℃≦Tf溶液-5℃≦T≦Tf溶液である。
【0073】
さらに、101℃≦Tf溶液-2℃≦T≦Tf溶液である。
【0074】
さらに好ましくは、上記塩基溶液の温度はTf溶液、すなわちT=Tf溶液である。
【0075】
反応溶液は、常圧下で加熱できる最高温度がその沸点温度(Tf溶液)であるため、その温度に達すると、それ以上加熱しても溶液の温度が上昇しない。反応温度を上げる必要がある場合は、塩基溶液の濃度を高めることでより高い沸点温度を得ることができる。したがって、沸点温度は最も簡単、単純、かつ正確に制御できる。さらに、同じ条件下での沸点温度での反応に要する反応時間は、沸点以下の他の温度での反応に要する反応時間よりも短い。
【0076】
T元素には、AlおよびZnの少なくとも1つの元素が含まれ、AlおよびZnは両性金属であり、高温の濃塩基溶液と反応して塩となり、塩基溶液に溶解する。A元素は、一般に初期合金原料または初期合金中の不純物元素であるが、Na、K、Mg、Ca、Li等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、採用可能な塩基溶液中の陽イオンと一致し、イオンとなって溶液に入る。常圧大気条件下では、O、H等の元素も塩基溶液中に存在する元素であり、Si元素の場合も、高温の濃塩基溶液と反応して溶液中に溶解することができるため、A元素もT元素も中間溶液中に溶解することができる。
【0077】
本発明は、常圧下において、上記M-T金属間化合物中のZr元素およびHf元素が第1の濃度の熱濃塩基溶液と反応すると、ZrおよびHf元素も熱濃塩基溶液に溶解することができ、およびこの溶解能力は、温度が高くなるにつれて、または第1の塩基溶液の濃度が高くなるにつれて著しく向上する。特に、特定の濃度において、この溶解現象は、反応が常圧で行われ、第1の濃度の塩基溶液の沸点温度Tで起こる場合に最も顕著であることを見出した。
【0078】
さらに、上記M元素は、上記第1濃度の塩基溶液と初期合金との反応により形成される中間溶液に溶解する。
【0079】
さらに、上記中間溶液は、主に清澄状態である。
【0080】
さらに、上記中間溶液が主に清澄状態であるとは、A、MおよびTの各元素が主として中間溶液中に存在または溶解しており、これらの元素を主成分とする固形物質がほとんど観察されず、中間溶液が清澄状態であることを意味する。
【0081】
さらに、常圧下で、上記初期合金を、温度Tと第1濃度の熱塩基溶液と一定時間反応させることにより、上記初期合金を上記塩基溶液に溶解させて中間溶液を得、上記中間溶液には、A、MおよびTの元素がいずれも主として溶解している。
【0082】
さらに、初期合金を第1濃度の塩基溶液と一定時間反応させ、この反応に必要な理論的最小時間は、A、M、T元素が第1濃度の塩基溶液によって完全に溶解する時間である。
【0083】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~1hである。
【0084】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~9.9minである。
【0085】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~4.9minである。
【0086】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~1minである。
【0087】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~30sである。
【0088】
好ましくは、常圧下では、T=Tf溶液である。
【0089】
明らかに、Tが高くなるほど、初期合金の厚さが薄くなったり、粒径が小さくなったりすると、必要な反応時間が短くなり、逆に反応時間が長くなる。
【0090】
さらに、上記反応完了までの時間が、単位時間当たりの初期合金表面から内側への反応界面の前進速度に関係し、塩基溶液の温度が高いほど、反応界面の前進速度が速くなり、反応時間が短くなる。
【0091】
反応界面の平均進行速度と初期合金のサイズに基づいて、反応が完了するのに必要な最小反応時間t計算することができる。例えば、初期合金が厚さdのリボンであり、反応界面の平均進行速度がvである場合、反応界面がリボンの上側と下側からそれぞれ進行すると考えると、t=0.5d/vとなる。同様に、初期合金が直径dの粒子であり、反応界面の平均進行速度がvである場合、t=0.5d/vとなる。
【0092】
さらに、上記初期合金と第1の濃度の塩基溶液との反応中に、反応界面が、5μm/minより大きい平均速度で初期合金表面から内側に進む。
【0093】
例えば、塩基濃度が10mol/LのNaOHの場合、実験結果によれば、O、H及びSi不純物を含有するZrAl金属間化合物の初期合金リボンと塩基溶液との反応中に、反応界面が初期合金表面から内側への進行速度は以下の通りである:
【0094】
75℃≦T≦80℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約6μm/min~9μm/minである。
【0095】
80℃<T≦90℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約9μm/min~15μm/minである。
【0096】
90℃<T≦100℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約15μm/min~30μm/minである。
【0097】
100℃<T≦110℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約30μm/min~50μm/minである。
【0098】
110℃<T≦120℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約50μm/min~120μm/minである。
【0099】
120℃<T≦Tf溶液である場合、上記反応界面の平均進行速度が120μm/minより大きい。
【0100】
したがって、O、H及びSi不純物を含有するZrAl金属間化合物の初期合金リボンは、10mol/LのNaOH溶液と沸点温度で反応し、初期合金リボンの厚さが~120μm/min程度の速度で減少し、すなわち、厚さ40μmの初期合金リボンの場合、上面と下面の反応により、10sの時間で初期合金リボンがほぼ完全に溶解し、初期合金に含まれるA、M、T元素を主に中間溶液に含有させることができる。したがって、厚さ40μmの初期合金リボンの場合、厚さの不均一性を考慮して15sでほぼ完全に溶解させることができ、平均粒径20μmの初期合金粉末の場合、粒径の不均一性を考慮して10sでほぼ完全に溶解させることができ、粒径~5mmの初期合金超粗粉の場合でも、21minで反応を終了させることができる。
【0101】
反応が完了すると、反応系は平衡に達する。この時点で、反応系を元の反応温度で保持する時間を引き続き延長することにより、中間溶液の安定性が依然として確保される。従って、初期合金と第1の濃度の熱塩基溶液との反応時間が、必要な最小限の反応時間を超える場合、例えば数時間であっても、主に清澄状態の中間溶液を得ることができる。
【0102】
上記工程3において、工程2に記載の中間溶液の塩基濃度を第2の濃度よりも低下させ、または工程2に記載の中間溶液の温度をT温度よりも低下させ、または同時に工程2に記載の中間溶液の塩基濃度および温度の両方を第2の濃度よりも低下させ、かつT温度よりも低下させることにより、濃度および/または温度が低下した後にM含有固体生成物が中間溶液から析出する。ここで、第2の濃度は第1の濃度より低く、T温度はT温度より低い。
【0103】
さらに、M含有固体生成物は、濃度および/または温度が低下した後、中間溶液から析出し、一方、TおよびA元素は、塩基濃度および/または温度が低下した後、中間溶液中に溶解し続ける。
【0104】
M含有固体生成物は、濃度および/または温度が低下した後、中間溶液から析出し、一方、TおよびA元素は、塩基濃度および/または温度が低下した後、中間溶液中に溶解し続け、この法則を利用することにより、A元素を相当量含む低純度の初期合金から、またはより一次的な低純度の金属原料から、高純度のM含有固体生成物を製造するという目的が実現されることが理解できる。
【0105】
さらに、上記第2の濃度の塩基溶液は、上記第1の濃度の塩基溶液よりも濃度が低く、状況に応じて、濃度が特定の値まで低下したときに、M含有固体生成物を塩基溶液から明確に析出させることができる。
【0106】
さらに、上記T温度はT温度よりも低く、温度がT温度よりも低くなった後に、M含有固体生成物が塩基溶液から部分的に析出することができる。
【0107】
温度を下げることによる中間溶液からM含有固体生成物を析出させる効率は高くないが、初期合金添加量が多い場合に限り、温度を下げることによって明らかにM含有固体生成物を析出させることができる。初期合金添加量が少ない場合、M含有固体生成物を析出させるのはより困難である。中間溶液からM含有固体生成物を効率よく析出させるためには、反応に関与する初期合金の添加量をできるだけ多くすることに加えて、同時に中間溶液の温度と濃度を低下させることが好ましく、濃度の低下は中間溶液からのM含有固体生成物の析出に非常に有効である。
【0108】
さらに、工程2に記載の中間溶液の塩基濃度および温度を、第2の濃度未満およびT温度未満まで同時に低下させ、濃度および温度の低下後に、M含有固体生成物が中間溶液から析出するようにする。
【0109】
さらに、上記第2の濃度の塩基溶液濃度は、上記第1の濃度の塩基溶液濃度よりも低い。
【0110】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は5mol/L以下であり、さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は3mol/L以下であり、さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は2mol/L以下であり、さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は0.5mol/L以下である。
【0111】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は、上記第1の濃度の0.8倍以下である。
【0112】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は、上記第1の濃度の0.25倍以下である。
【0113】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は、上記第1の濃度の0.03倍以下である。
【0114】
さらに、T<100℃<Tである。
【0115】
さらに、T<75℃<Tである。
【0116】
さらに、T<45℃<Tである。
【0117】
さらに、上記塩基濃度を低下させるのに要する時間は20s未満であり、上記塩基濃度を低下させるのに要する時間は5s未満であり、上記塩基濃度を低下させるのに要する時間は2s未満である。
【0118】
常圧下、開放容器内で反応を行うため、中間溶液に冷溶媒(例えば水)を添加することで、温度をT温度以下に低下させながら、工程2に記載の中間溶液内の塩基溶液の濃度を第2の濃度以下に低下させることが容易である。
【0119】
さらに、工程2に記載の中間溶液の塩基溶液の濃度を低下させる方法は、溶媒希釈を含む。
【0120】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒が水を含む。
【0121】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、室温である。
【0122】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、0℃~35℃である。
【0123】
さらに、上記溶媒希釈による濃度低下後の中間溶液の温度がT<45℃である。
【0124】
さらに、工程2に記載の中間溶液の塩基濃度を低下させる方法は、溶媒希釈を含み、希釈溶媒が界面活性剤および改質剤の少なくとも一方を含む。
【0125】
界面活性剤または改質剤を添加する目的は、第2濃度以下に濃度が低下した中間溶液から析出するM含有固体生成物の粒径を制御し、それらの異常な合体や成長を抑制することである。
【0126】
さらに、上記界面活性剤または改質剤は、PVP、CTAB、およびCTACのうちの少なくとも1つを含む。
【0127】
さらに、上記M含有固体生成物は、濃度および/または温度が低下した後、中間溶液中で綿状の凝集状態にある。
【0128】
上記工程4において、
【0129】
さらに、M含有固体生成物を回収し、ナノ酸化Zrおよび/またはHfを得る。
【0130】
さらに、上記M含有固体生成物を回収する工程は、固液分離、洗浄、および乾燥工程を含む。
【0131】
さらに、上記固液分離と洗浄工程において、上記M含有固体生成物に吸着した残留塩基を除去するために、洗浄液が酸塩基中和に関与し得る適量の希酸溶液が含まれており、酸濃度が0.05mol/L以下であり、中和工程においてpH値が6以上に維持される。
【0132】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfとは、ナノ酸化Zrおよび/またはHfの組成が、ナノZrO、ナノHfO、ナノZr(Hf)O、ナノHf(Zr)O、ナノ水酸化物Hf(Zr)、およびナノ水酸化物Zr(Hf)のうちの少なくとも1つを含むことを意味する。
【0133】
さらに、上記ナノ酸化されたZrおよび/またはHfの形状には、不規則な粒状、不規則な球状、および超微細な凝集体が含まれる。
【0134】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.0nm~150nmである。
【0135】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.5nm~50nmである。
【0136】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.5nm~5nmである。
【0137】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.5nm~3nmである。
【0138】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfは、主として低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfである。
【0139】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfは、水酸化Mを含む。
【0140】
水酸化Mは、酸化MとHOの組み合わせと見なすことができるので、本発明の上記低結晶性ナノ酸化Mには水酸化Mも含まれ、すなわち、低結晶性水酸化Mは、低結晶性ナノ酸化Mの存在形態と見なすことができる。
【0141】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Mには、低結晶性ナノZrO、低結晶性ナノHfO、低結晶性ナノ(Hf-Zr)O、低結晶性水酸化ハフニウム(ジルコニウム)が含まれる。ここで、(Hf-Zr)Oは、ZrOとHfOの混合または相互ドーピングを示す。
【0142】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Mには、アモルファスナノZrO、アモルファスナノHfO、アモルファスナノ(Hf-Zr)O、アモルファスナノ水酸化ハフニウム(ジルコニウム)、アモルファスナノ水酸化ジルコニウム(ハフニウム)が含まれる。
【0143】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Mの結晶化度は50%未満である。
【0144】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Mの結晶化度は10%未満である。
【0145】
本発明はまた、結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの製造方法であって、上記工程4に記載の生成物を熱処理することにより、主に結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfからなる生成物が得られることを特徴とする方法に関する。
【0146】
さらに、上記熱処理の温度範囲が、300℃~2000℃である。
【0147】
さらに、上記熱処理の温度範囲が、500℃~2000℃である。
【0148】
さらに、上記熱処理時間が、1min~24hである。
【0149】
さらに、上記熱処理時間が、5min~24hである。
【0150】
熱処理時間が増加し、熱処理温度が上昇するにつれて、得られた結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度は完全に結晶化するまで増加し続けることが理解できる。
【0151】
さらに、異なる熱処理温度により、異なる結晶性ナノ酸化物Zr/Hfを得ることができる。例えば、単斜晶系ZrOは、1100℃未満の熱処理によって得られ、正方晶系ZrOは、1100℃~1900℃の熱処理によって得られ、立方晶系ZrOは、1900℃以上の熱処理によって得られる。
【0152】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径範囲が、2nm~300nmである。
【0153】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径範囲が、2nm~75nmである。
【0154】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径範囲が、2nm~10nmである。
【0155】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子が、多結晶構造である。
【0156】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子における粒径範囲が、2nm~100nmである。
【0157】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子における粒径範囲が、2nm~50nmである。
【0158】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子における粒径範囲が、2nm~10nmである。
【0159】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度が50%以上である。
【0160】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度が75%以上である。
【0161】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度が99%以上である。
【0162】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfが、結晶性ナノZrO、結晶性ナノHfO、結晶性ナノZr(Hf)O、Hf(Zr)Oの少なくとも1つを含む。
【0163】
本発明はまた、上記製造方法により製造されたナノ酸化Zrおよび/またはHfのセラミック材料、複合材料、高性能電子デバイス、及び半導体デバイスでの応用に関する。
【0164】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfは、低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfおよび結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの少なくとも1つを含む。
【0165】
本発明はまた、ナノ酸化Zrおよび/またはHfを含むセラミック材料の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする製造方法に関する。
【0166】
工程S1では、均一に混合された混合粉末を製造する工程であって、上記混合粉末は、上記製造方法によって製造されたナノ酸化Zrおよび/またはHfと追加粉末を含む。ここで、上記混合粉末中のナノ酸化Zrおよび/またはHfのモル百分率含有量がVであり、混合粉末中の追加粉末のモル百分率含有率量がVであり、かつ、上記追加粉末が、Al、CaO、MgO、SiO、B、BeO、TiC、およびSiCのうちの少なくとも1つを含み、ここで、1%≦V≦100%、0≦V≦99%である。
【0167】
工程S2では、混合粉末をプレスしてグリーン体にし、高温で焼成し、ナノ酸化Zrおよび/またはHfを含むセラミック材料を得る。
【0168】
上記工程S1において、
【0169】
さらに、2%≦V≦100%であり、0≦V≦98%である。さらに、10%≦V≦100%であり、0≦V≦90%である。
【0170】
さらに、25%≦V≦100%であり、0≦V≦75%である。さらに、50%≦V≦100%であり、0≦V≦50%である。
【0171】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfが、低結晶性ナノ酸化物Zrおよび/またはHfおよび結晶性ナノ酸化物Zrおよび/またはHfの少なくとも1つを含む。
【0172】
=0の場合、混合工程中に追加粉末を追加する必要がない。
【0173】
>0の場合、混合粉末は、上記製造されたナノ酸化Zrおよび/またはHfに加えて、追加粉末成分を混合粉末の内部に含むため、混合粉末を均一に混合するために追加の混合工程が必要となる。
【0174】
さらに、上記混合工程には、湿式ボールミリングと乾式ボールミリングが含まれ、ボールミリング終了後、乾燥することにより均一に混合された混合粉末が得られる。
【0175】
上記工程S2において、
【0176】
さらに、上記グリーン体をプレスする際の成形圧力が、5MPa~800MPaである。
【0177】
さらに、上記焼成温度が500℃~2000℃である。
【0178】
さらに、グリーン体のプレス-焼成工程には、加熱と焼成を同時に行いながらグリーン体をプレスする方法と、先にグリーン体をプレスしてから焼成する方法の2つの解決策のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0179】
本発明はまた、金属ナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHfの製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする製造方法に関する。
【0180】
工程1:初期合金を提供し、上記初期合金は、M、T、Dの3種類の元素を含み、ここで、MがZrおよびHfのうちの少なくとも1つを含み、TがAlおよびZnのうちの少なくとも1つを含み、DがRu、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、AuおよびCuのうちの少なくとも1つを含む。上記初期合金の相組成は、主にD成分元素が固溶したM-T金属間化合物から構成される。
【0181】
工程2:上記初期合金をTの温度で第1の濃度の塩基溶液と反応させ、初期合金中のM、T元素を上記塩基溶液に溶解させ、同時に、元のM-T金属間化合物中の固溶したD元素の原子を再凝集させてD元素を主成分とするナノ粒子を生成させ、Dナノ粒子を含む中間溶液を得る。ここで、T≧75℃である。
【0182】
工程3:工程2に記載の中間溶液の塩基濃度を第2の濃度未満に低下させ、濃度低下後の中間溶液からM含有固体物を析出させ、同時にDナノ粒子と複合化させる。
【0183】
工程4:M含有固体物とDナノ粒子の複合生成物を回収し、Dナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHfを得る。
【0184】
上記工程1において、
【0185】
さらに、上記TがAlを含み、さらにTがAlである。
【0186】
さらに、上記TがZnを含み、さらにTがZnである。
【0187】
さらに、上記MがZrおよびHfの少なくとも1つを含み、本明細書における「M」は「Zrおよび/またはHf」と同義である。
【0188】
さらに、上記Dが、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Au少なくとも1つを含む。
【0189】
さらに、上記初期合金の元素組成は主にDxTyMzであり、x、y、zが対応する元素の原子百分率含有量であり、かつ、0<x≦7.5%、45%≦y<95%、5%≦z<55%である。
【0190】
さらに、0%<x≦5%、45%≦y<95%、5%≦z<55%である。
【0191】
さらに、0%<x≦5%、45%≦y<76%、24%≦z<55%である。
【0192】
さらに、0%<x≦2%、45%≦y<76%、24%≦z<55%である。
【0193】
さらに、0%<x≦2%、45%≦y<69%、31%≦z<55%である。
【0194】
さらに、上記初期合金は、D、T、Mを含む合金溶湯を凝固させることにより製造され、合金凝固過程において、主にM-T金属間化合物からなる凝固組織が形成され、D元素は主にM-T金属間化合物中に固溶している。
【0195】
さらに、上記初期合金溶湯の凝固速度が、0.01K/s~10K/sである。
【0196】
さらに、上記初期合金は主にD成分元素が固溶したM-T金属間化合物から構成される。
【0197】
さらに、上記M-T金属間化合物とは、金属間化合物の相組成がM-T金属間化合物相であること、すなわち、上記M-T金属間化合物のXRD相分析結果がM-T金属間化合物相であり、かつM-T金属間化合物の主な化学量論的関係には、MT、MT、M、およびMTのうちの少なくとも1つが含まれることを意味する。
【0198】
さらに、上記M-T金属間化合物相は、MおよびT以外の他の元素、例えばD元素を含んでいてもよい。
【0199】
さらに、上記M-T金属間化合物が、HfAl、HfAl、HfAl、HfAl、ZrAl、ZrAl、ZrAl、ZrAl金属間化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0200】
さらに、上記固溶が、格子間固溶および置換固溶を含む。
【0201】
さらに、上記D元素が固溶したM-T金属間化合物とは、D元素がM-T金属間化合物の格子間隙に格子間原子の形で存在すること、または、D元素がM-T金属間化合物の格子中のM原子位置もしくはT原子位置を置換原子の形で置換していることを意味する。
【0202】
さらに、上記初期合金は粉末またはリボンの形状であり、粉末粒子またはリボンは、三次元方向の少なくとも1つの寸法が5mm未満である。
【0203】
さらに、上記初期合金粉末粒子またはリボンは、三次元方向の少なくとも1つの寸法が500μm未満である。
【0204】
さらに、上記初期合金粉末粒子またはリボンは、三次元方向の少なくとも1つの寸法が50μm未満である。
【0205】
さらに、上記初期合金がリボンの形状である場合、溶融ストリップキャストを含む方法によって製造することができる。
【0206】
さらに、上記初期合金が粉末の形状である場合、鋳造法によってより大きな初期合金インゴットを製造し、次いで粉砕して初期合金粉末とすることもできる。
【0207】
上記工程2において、
【0208】
さらに、上記塩基溶液が、NaOH、KOH、LiOH、RbOH、Ba(OH)、Ca(OH)、およびSr(OH)溶液のうちの少なくとも1つを含む。
【0209】
さらに、上記塩基溶液の溶媒が、水を含み、好ましくは、上記塩基溶液の溶媒が、水である。
【0210】
さらに、上記第1濃度の塩基溶液中の塩基の濃度が、5~30mol/Lである。
【0211】
好ましくは、上記第1濃度の塩基溶液中の塩基の濃度が、5~15mol/Lである。
【0212】
さらに好ましくは、上記第1濃度の塩基溶液中の塩基の濃度が、7~12mol/Lである。
【0213】
さらに、初期合金と反応する第1濃度の塩基溶液中の塩基は過剰量であり、第1濃度の塩基溶液の体積は初期合金の体積の5倍以上であり、より高い塩基濃度で常時反応を進行させることができる。
【0214】
さらに、第1濃度の塩基溶液の体積は、初期合金の体積の10倍以上である。
【0215】
さらに、第1濃度の塩基溶液の体積は、初期合金の体積の20倍以上である。
【0216】
さらに、上記塩基溶液の温度は、上記初期合金と第1濃度の塩基溶液との反応温度である。
【0217】
さらに、上記初期合金と塩基溶液との反応は、常圧で行われる。
【0218】
さらに、上記常圧とは、密閉容器を使用しないときの大気圧のことである。
【0219】
さらに、75℃≦T≦Tf溶液であり、Tf溶液が、常圧下での反応に関与する前記塩基溶液の沸点温度である。
【0220】
さらに、81℃≦T≦Tf溶液である。さらに、91℃≦T≦Tf溶液である。
【0221】
さらに、100℃≦T≦Tf溶液である。さらに、100℃<T≦Tf溶液である。
【0222】
さらに、101℃≦T≦Tf溶液である。
【0223】
さらに、105℃≦T≦Tf溶液である。
【0224】
さらに、101℃≦Tf溶液-5℃≦T≦Tf溶液である。
【0225】
さらに、101℃≦Tf溶液-2℃≦T≦Tf溶液である。
【0226】
さらに好ましくは、上記塩基溶液の温度はTf溶液、すなわちT=Tf溶液である。
【0227】
反応溶液は、常圧下で加熱できる最高温度がその沸点温度(Tf溶液)であるため、その温度に達すると、それ以上加熱しても溶液の温度が上昇しない。反応温度を上げる必要がある場合は、塩基溶液の濃度を高めることでより高い沸点温度を得ることができる。したがって、沸点温度は最も簡単、単純、かつ正確に制御できる。さらに、同じ条件下での沸点温度での反応に要する反応時間は、沸点以下の他の温度での反応に要する反応時間よりも短い。
【0228】
T元素には、AlおよびZnの少なくとも1つが含まれ、AlおよびZnは両性金属であり、熱濃塩基溶液と反応して塩となり、塩基溶液に溶解するため、初期合金中のM-T金属間化合物中のT元素は、T元素と塩基溶液との反応により除去することができ、同時にM元素も熱塩基溶液中に溶解し、D元素は拡散、転位、凝集によりDナノ粒子に生成する。
【0229】
本発明は、1)初期合金を熱濃塩基と反応させる際、D元素の含有量が少ないため、初期合金中に固溶したD元素はナノポーラスD構造を形成せず、拡散、転位、凝集を経て進化し、D元素を主成分とする軟凝集Dナノ粒子を生成すること、2)上記M-T金属間化合物中のZr、Hf元素が熱濃塩基溶液と反応すると、Zr、Hf元素も熱濃塩基溶液に溶解することができ、およびこの溶解能力は、温度の上昇に伴って著しく向上する。特に、特定の濃度において、この溶解現象は、反応が常圧で行われ、塩基溶液の沸点温度Tで起こる場合に最も顕著であることを見出した。
【0230】
常圧下、沸点温度の塩基溶液が反応するための非常に特殊な反応環境を提供し、この特殊な反応環境の条件下では、Zr、Hf元素が熱濃塩基溶液に十分に溶解することができる。
【0231】
さらに、上記M元素は、中間溶液に溶解する。
【0232】
中間溶液にM元素が溶解するとは、溶液を「濁り」にする中間溶液中のDナノ粒子の存在を考慮しない場合、M元素が塩基溶液を主成分とする溶液に溶解し、清澄状態の中間溶液を得ることができることを意味する。
【0233】
さらに、上記中間溶液とDナノ粒子は、軟凝集したDナノ粒子が懸濁した中間コロイド溶液を形成する。
【0234】
さらに、初期合金を第1濃度の塩基溶液と一定時間反応させ、この反応に必要な理論的最小時間は、M、T元素が第1濃度の塩基溶液によって完全に溶解する時間である。
【0235】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~1hである。
【0236】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~9.9minである。
【0237】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~4.9minである。
【0238】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~1minである。
【0239】
さらに、上記初期合金のT温度での第1濃度の熱塩基溶液との反応時間が、15s~30sである。
【0240】
好ましくは、常圧下では、T=Tf溶液である。
【0241】
明らかに、Tが高くなるほど、初期合金の厚さが薄くなったり、粒径が小さくなったりすると、必要な反応時間が短くなり、逆に反応時間が長くなる。
【0242】
さらに、上記反応完了までの時間が、単位時間当たりの初期合金表面から内側への反応界面の前進速度に関係し、塩基溶液の温度が高いほど、反応界面の前進速度が速くなり、反応時間が短くなる。
【0243】
反応界面の平均進行速度と初期合金のサイズに基づいて、反応が完了するのに必要な最小反応時間t計算することができる。例えば、初期合金が厚さdのリボンであり、反応界面の平均進行速度がvである場合、反応界面がリボンの上側と下側からそれぞれ進行すると考えると、t=0.5d/vとなる。同様に、初期合金が直径dの粒子であり、反応界面の平均進行速度がvである場合、t=0.5d/vとなる。
【0244】
さらに、上記初期合金と第1の濃度の塩基溶液との反応中に、反応界面が、5μm/minより大きい平均速度で初期合金表面から内側に進む。
【0245】
例えば、塩基濃度が10mol/LのNaOHの場合、Agを固溶したZrAl金属間化合物の初期合金リボンと塩基溶液との反応中に、反応界面が初期合金表面から内側への進行速度は以下の通りである:
【0246】
75℃≦T≦80℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約6μm/min~9μm/minである。
【0247】
80℃<T≦90℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約9μm/min~15μm/minである。
【0248】
90℃<T≦100℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約15μm/min~30μm/minである。
【0249】
100℃<T≦110℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約30μm/min~50μm/minである。
【0250】
110℃<T≦120℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が約50μm/min~120μm/minである。
【0251】
120℃<T≦Tf溶液である場合、上記反応界面の平均進行速度が120μm/minより大きい。
【0252】
したがって、Agを固溶したZrAl金属間化合物の初期合金リボンは、10mol/LのNaOH溶液と沸点温度で反応し、初期合金リボンの厚さが~120μm/min程度の速度で減少し、すなわち、厚さ40μmの初期合金リボンの場合、上面と下面の反応により、10sの時間で初期合金リボンがほぼ完全に溶解し、初期合金に含まれるM、T元素を主に中間溶液に含有させることができる。したがって、厚さ40μmの初期合金リボンの場合、厚さの不均一性を考慮して15sでほぼ完全に溶解させることができ、平均粒径20μmの初期合金粉末の場合、粒径の不均一性を考慮して10sで初期合金粉末中のM元素とT元素ほぼ完全に溶解させることができ、粒径~5mmの初期合金超粗粉の場合でも、21minで反応を終了させることができる。
【0253】
反応が完了すると、反応系は平衡に達する。この時点で、反応系を元の反応温度で保持する時間を引き続き延長することにより、中間溶液の安定性が依然として確保される。従って、初期合金と第1の濃度の熱塩基溶液との反応時間が、必要な最小限の反応時間を超える場合、例えば数時間であっても、Dナノ粒子が懸濁した中間コロイド溶液を得ることが可能である。
【0254】
明らかに、T温度が高いほど、初期合金の厚みが薄いほど、あるいは粒子径が小さいほど、必要な反応時間は短くなり、逆に反応時間は長くなる。
【0255】
さらに、中間溶液に含まれるDナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~50nmである。
【0256】
さらに、中間溶液に含まれるDナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~25nmである。
【0257】
さらに、中間溶液に含まれるDナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~10nmである。
【0258】
さらに、中間溶液に含まれるDナノ粒子の組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cuのうち少なくとも一つを含む。
【0259】
さらに、中間溶液に含まれるDナノ粒子の組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも一つを含む。
【0260】
上記工程3において、
【0261】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は5mol/L以下であり、さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は3mol/L以下であり、さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は2mol/L以下であり、さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は0.5mol/L以下である。
【0262】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は、上記第1の濃度の0.8倍以下である。
【0263】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は、上記第1の濃度の0.25倍以下である。
【0264】
さらに、上記第2濃度の塩基溶液の濃度は、上記第1の濃度の0.03倍以下である。
【0265】
さらに、上記塩基濃度を低下させるのに要する時間は20s未満であり、上記塩基濃度を低下させるのに要する時間は10s未満であり、上記塩基濃度を低下させるのに要する時間は5s未満であり、上記塩基濃度を低下させるのに要する時間は2s未満である。
【0266】
常圧下、開放容器内で反応を行うため、中間溶液に冷溶媒(例えば水)を添加することで、温度をT温度以下に低下させながら、工程2に記載の中間溶液内の塩基溶液の濃度を第2の濃度以下に低下させることが容易である。
【0267】
さらに、工程2に記載の中間溶液の塩基溶液の濃度を低下させる方法は、溶媒希釈を含む。
【0268】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒が水を含む。
【0269】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、室温である。
【0270】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、0℃~35℃である。
【0271】
さらに、上記溶媒希釈による濃度低下後の中間溶液の温度が45℃以下である。
【0272】
さらに、工程2に記載の中間溶液の塩基濃度を低下させる方法は、溶媒希釈を含み、希釈溶媒が界面活性剤および改質剤の少なくとも一方を含む。
【0273】
界面活性剤または改質剤を添加する目的は、第2濃度以下に濃度が低下した中間溶液から析出するM含有固体生成物の粒径を制御し、それらの異常な合体や成長を抑制することである。
【0274】
さらに、上記界面活性剤または改質剤は、PVP、CTAB、およびCTACのうちの少なくとも1つを含む。
【0275】
さらに、上記M含有固体生成物は、濃度が低下した後の中間溶液中では綿状の凝集状態となり、中間溶液中に元々存在するDナノ粒子と複合化している。
【0276】
上記工程4において、
【0277】
上記Dナノ粒子のドーピングは、Dナノ粒子が必ずしも不純物であるということではなく、これは、Dナノ粒子が複合化されたマトリックス材料に対する相対的な概念であり、すなわち、Dナノ粒子は、Dナノ粒子が付着しているナノ酸化Zrおよび/またはHfの組成と一致しない物質である。
【0278】
さらに、上記M含有固体物とDナノ粒子の複合生成物を回収する工程は、固液分離、洗浄、および乾燥工程を含む。
【0279】
さらに、上記固液分離と洗浄工程において、上記M含有固体物に吸着した残留塩基を除去するために、洗浄液が酸塩基中和に関与し得る適量の希酸溶液が含まれており、酸濃度が0.05mol/L以下であり、中和工程においてpH値が6以上に維持される。
【0280】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfは、低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfである。
【0281】
さらに、上記ナノ酸化されたZrおよび/またはHfの形状には、不規則な粒状、不規則な球状、および超微細な凝集体が含まれる。
【0282】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.0nm~150nmである。
【0283】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.5nm~50nmである。
【0284】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.5nm~5nmである。
【0285】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径が1.5nm~3nmである。
【0286】
さらに、上記ナノ酸化Zrおよび/またはHfは、主として低結晶性ナノ酸化Zr/Hfである。
【0287】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfは、水酸化Mを含む。
【0288】
水酸化Mは、酸化MとHOの組み合わせと見なすことができるので、本発明の上記低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfには水酸化Mも含まれ、すなわち、低結晶性水酸化Mは、低結晶性ナノ酸化Mの存在形態と見なすことができる。
【0289】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Mには、低結晶性ナノZrO、低結晶性ナノHfO、低結晶性ナノ(Hf-Zr)O、低結晶性水酸化ハフニウム(ジルコニウム)、低結晶性水酸化ジルコニウム(ハフニウム)が含まれる。ここで、(Hf-Zr)Oは、ZrOとHfOの混合または相互ドーピングを示す。
【0290】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Mには、アモルファスナノZrO、アモルファスナノHfO、アモルファスナノ(Hf-Zr)O、アモルファスナノ水酸化ハフニウム(ジルコニウム)、アモルファスナノ水酸化ジルコニウム(ハフニウム)が含まれる。
【0291】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度は50%未満である。
【0292】
さらに、上記低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度は10%未満である。
【0293】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~50nmである。
【0294】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~25nmである。
【0295】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~10nmである。
【0296】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cuのうち少なくとも一つを含む。
【0297】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも一つを含む。
【0298】
さらに、上記Dナノ粒子は、主に吸着、物理的混合によって低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfと結合される。
【0299】
さらに、上記Dナノ粒子は、主に吸着によって低結晶化性ナノ酸化Zrおよび/またはHfと結合される。
【0300】
本発明はまた、金属ナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの製造方法であって、上記工程4に記載のDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHfを熱処理することにより、Dナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfが得られることを特徴とする方法に関する。
【0301】
さらに、上記熱処理の温度範囲が、300℃~2000℃である。
【0302】
さらに、上記熱処理の温度範囲が、500℃~2000℃である。
【0303】
さらに、上記熱処理時間が、1min~24hである。
【0304】
さらに、上記熱処理時間が、5min~24hである。
【0305】
熱処理時間が増加し、熱処理温度が上昇するにつれて、得られたDナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度は完全に結晶化するまで増加し続けることが理解できる。
【0306】
さらに、異なる熱処理温度により、異なる結晶形のナノ酸化物Zrおよび/またはHfを得ることができる。例えば、単斜晶系ZrOは、1100℃未満の熱処理によって得られ、正方晶系ZrOは、1100℃~1900℃の熱処理によって得られ、立方晶系ZrOは、1900℃以上の熱処理によって得られる。
【0307】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径範囲が、2nm~300nmである。
【0308】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径範囲が、2nm~75nmである。
【0309】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの粒径範囲が、2nm~10nmである。
【0310】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子が、多結晶構造である。
【0311】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子における粒径範囲が、2nm~100nmである。
【0312】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子における粒径範囲が、2nm~50nmである。
【0313】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf粒子における粒径範囲が、2nm~10nmである。
【0314】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度が50%以上である。
【0315】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度が75%以上である。
【0316】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの結晶化度が99%以上である。
【0317】
さらに、上記結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfが、結晶性ナノZrO、結晶性ナノHfO、結晶性ナノ(Zr-Hf)Oを含む。
【0318】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~60nmである。
【0319】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~30nmである。
【0320】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~15nmである。
【0321】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cuのうち少なくとも一つを含む。
【0322】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも一つを含む。
【0323】
さらに、上記Dナノ粒子は、主に吸着、物理的混合によって結晶性ナノ酸化Mと結合される。
【0324】
さらに、上記Dナノ粒子は、主に吸着によって結晶化性ナノ酸化Mと結合される。
【0325】
本発明はまた、金属ナノ粒子の製造方法であって、上記工程2で得られたDナノ粒子を含む中間溶液を固液分離してDナノ粒子を得ることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法に関する。
【0326】
さらに、上記分離工程は、酸洗浄、すなわち、希酸溶液によってDナノ粒子の表面に残留する塩基または他の非D成分を洗浄する工程を含む。
【0327】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径は1.5nm~200nmであり、Dナノ粒子が凝集した後、粒子の一部は互いに合体して成長することができる。
【0328】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~50nmである。
【0329】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~25nmである。
【0330】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~10nmである。
【0331】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cuのうち少なくとも一つを含む。
【0332】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも一つを含む。
【0333】
本発明はまた、金属ナノ粒子の製造方法であって、上記工程4で得られたDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHf中のナノ酸化Zrおよび/またはHfを、Dナノ粒子を残したまま酸溶液と反応させて溶解させ、固液分離してDナノ粒子を得ることを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法に関する。
【0334】
さらに、上記酸溶液が、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、ピクリン酸、オレイン酸、過塩素酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0335】
上記工程4で製造されたナノ酸化Zrおよび/またはHfは、主に高エネルギー準安定状態の低結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfであるため、一定濃度の酸溶液と反応して酸溶液に溶解することができる。
【0336】
好ましくは、上記酸溶液の濃度が、0.1mol/L~5mol/Lである。
【0337】
好ましくは、上記酸溶液の濃度が、0.1mol/L~2mol/Lである。
【0338】
好ましくは、上記酸溶液の濃度が、0.1mol/L~1mol/Lである。
【0339】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径は1.5nm~200nmであり、Dナノ粒子が凝集した後、粒子の一部は互いに合体して成長することができる。
【0340】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~50nmである。
【0341】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~25nmである。
【0342】
さらに、上記Dナノ粒子の粒径範囲が1.5nm~10nmである。
【0343】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cuのうち少なくとも一つを含む。
【0344】
さらに、上記Dナノ粒子の成分組成が、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Auのうち少なくとも一つを含む。
【0345】
本発明はまた、上記製造方法によって製造されたDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHf、またはDナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHf、またはDナノ粒子のポリマー系ナノ複合材料、触媒材料、セラミック材料、複合材料、高性能電子デバイス、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料での応用に関する。
【0346】
本発明はまた、Ag含有殺菌性セラミック材料の製造方法であって、上記製造方法により製造されたDナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHf、またはDナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfを必要成分としてセラミック配合粉末に添加し、Dナノ粒子の主成分がAg元素であり、グリーン体のプレス-高温焼成後、Ag含有殺菌性セラミック材料を製造する工程を含むことを特徴とするAg含有殺菌性セラミック材料の製造方法に関する。
【0347】
さらに、上記セラミック配合粉末において、Dナノ粒子がドープされたナノ酸化Zrおよび/またはHfまたはDナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Zrおよび/またはHfの重量百分率含有量が5%を超える。
【0348】
さらに、上記グリーン体のプレス工程における圧力は、5MPa~800MPaである。
【0349】
さらに、上記焼成温度は、500℃~2000℃である。
【0350】
具体的に、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0351】
第一、安価で入手が容易で、不純物元素Aを多く含み、M-T金属間化合物を主成分とする初期合金を原料とし、常圧下、塩基溶液の沸点温度付近で塩基溶液と反応させ、初期合金を熱塩基に溶解して中間溶液を得るという独創的な方法を実現した。その後、中間溶液の塩基濃度および/または温度を下げることにより、中間溶液からM含有固形生成物が析出し、低結晶性ナノ酸化Mの製造が可能となり、その後の熱処理と組み合わせることにより、結晶性ナノ酸化Mをさらに製造することができた。また、D元素が固溶したM-T金属間化合物を主成分とする初期合金を原料として採用し、常圧下、塩基溶液の沸点温度付近で塩基溶液と反応させることにより、M-T金属間化合物を熱塩基に溶解し、D元素が拡散、転位、凝集を経てDナノ粒子の形態で析出し、Dナノ粒子を含む中間溶液を得ることを創造的に実現した。その後、中間溶液の塩基濃度を下げることにより、中間溶液から低結晶性酸化Mが析出し、Dナノ粒子がドープされた低結晶性ナノ酸化Mの製造が可能となり、その後の熱処理と組み合わせることにより、Dナノ粒子がドープされた結晶性ナノ酸化Mをさらに製造することができた。また、Dナノ粒子の製造が、中間溶液からのDナノ粒子の分離、または低結晶性ナノ酸化MからのDナノ粒子の分離によって達成された。
【0352】
第二、T≧75℃、好ましくは塩基溶液の沸点付近または沸点温度で、M-T金属間化合物が非常に短時間で熱塩基に溶解し、中間溶液が得られ、初期合金が十分に微細である場合、必要な反応時間が1min以内になることもあり、続いて中間溶液の濃度を低下させるだけで、濃度を下げた中間溶液から低結晶性ナノ酸化Mを析出させることができた。 同時に、初期合金中に固溶したD元素は、反応過程でナノポーラスD構造を形成せず、代わりに拡散、転位、凝集によりDナノ粒子を生成した。本発明に記載の製造過程全体の反応時間は、他の報告または開示された製造方法で必要とされる反応時間よりもはるかに短く、これは極めて明白な積極的意義がある。この明らかな有益な効果が得られるのは、塩基溶液の沸点温度Tf溶液または沸点温度付近でのM-T金属間化合物の反応と密接に関係している。常圧下、塩基溶液の沸点温度で反応が起こる場合、反応系の溶液組成は明らかに特殊な変化を示し、それは具体的に次のように現れる:溶媒は液体の水と大量の高活性な気体の水(沸点温度で蒸発によって生成される気体の水)に加えて、液体の水から気体の水への遷移が進行している高活性な水も含んでいる。さらに、この特殊な環境では、溶媒に溶解している雰囲気ガス(酸素、窒素)の含有量と状態も極めて特殊である(沸騰水蒸気、Tと塩基の反応で発生する大量の水素が、水中の溶存ガスの飽和分圧条件を変化させるため)。また、M-T金属間化合物と濃塩基溶液との反応によって発生する多量の水素と、溶液中に溶解した少量の塩副生成物が反応溶液系の物質組成を変化させる。その結果、反応のための非常に特殊な反応環境を提供し、初期合金を非常に短時間で中間溶液中に溶解させることができる。
【0353】
第三、本発明は、常圧下において、上記M-T金属間化合物中のZr、Hf元素が熱濃塩基溶液と反応すると、Zr、Hf元素も熱濃塩基溶液に溶解することができ、およびこの溶解能力は、温度が高くなるにつれて著しく向上するこの溶解現象は、反応が常圧で行われ、塩基溶液の沸点温度で起こる場合に極めて顕著であることを創造的に見出した。特に、このZr、Hf元素の溶解特性は、塩基溶液の濃度と関係しており、Zr、Hf元素が溶解している中間溶液の塩基濃度および/または温度が低下すると、Zr、Hfを含む固体生成物が析出する。ここで説明する溶解は、狭義の溶解を意味するのではなく、一連の反応を経て、初期合金が過剰の熱濃塩基溶液中に錯体状に類似した何らかの様式で、あるいは他の未知の様式で溶解することを意味することに留意すべきである。初期合金が塩基溶液と反応し、多量の反応ガス(H)が発生し、反応が急速に終了した後、一般に溶液中に固形物は観察されず、ほぼ無色透明な状態の中間溶液が得られるという特殊な溶解過程を示す。D元素がM-T金属間化合物に固溶している場合、初期合金が塩基溶液と反応し、多量の反応ガス(H)が発生し、反応が急速に終了した後、生成したDナノ粒子を除き、一般に溶液中に固形物は観察されず、すなわちDナノ粒子の存在にかかわらず、無色透明な中間溶液が得られるという特殊な溶解過程を示す。この発見は、金属ナノポーラス構造の製造のための従来の脱合金法とも、金属ナノメタル酸化物の製造のための従来の脱合金法とも異なる。これらの従来の脱合金反応では、反応物、中間生成物、最終生成物は常に固体の形で存在していたが、組成と形態だけが変化していた。具体的には、ナノポーラス金属が脱合金法によって製造される場合、不活性元素は反応溶液中に溶解せず、固体のナノポーラス金属の形態で存在する。同様に、ナノポーラス金属酸化物が脱合金法によって製造される場合、形成される固体三次元ネットワークのナノポーラス金属酸化物は最初から反応溶液中に溶解することはない。Mは中間溶液に溶解することができるので、濃度を下げた中間溶液からのMの析出はゼロから何かを生み出すプロセスであり、この特徴を利用して、その後の中間溶液の濃度低下や界面活性剤の添加によって、極めて微細な低結晶性ナノ酸化Mを得ることができ、これには極めて明白な積極的な意義がある。
【0354】
第四、沸点温度の適用によって、反応を正確に制御することができる。具体的には、溶液中の塩基濃度が決定されると、常圧下で加熱できる沸点温度も決定され、反応条件における圧力と温度が正確に決定されることになる。塩基溶液の沸点温度では、溶液に加えられた余分な熱は、溶液の温度を上昇させることなく水の気化熱に変換されるため、連続加熱により溶液の温度を沸点温度で一定に保つことが可能となる。また、反応過程で多量の反応潜熱が発生しても、反応溶液の温度を溶液の沸点温度に確実に維持することができる。
【0355】
第五、A元素を含む低純度M原料、低純度T原料、または低純度初期合金によるZr、Hf含有ナノ金属酸化物の製造が達成された。具体的には、初期合金を熱塩基溶液と反応させることによって中間溶液を得た後、中間溶液の塩基濃度および/または温度を低下させて、中間溶液からM含有固体生成物が析出し、元の初期合金中のT元素とA元素は、塩基濃度および/または 温度が低下した後も中間溶液に溶解し続け、Mを含む目的の固体生成物は中間溶液から析出し、A元素は塩基濃度および/または温度が低下した後も主に中間溶液中に溶解し続ける。この規則を利用することにより、A元素を含む低純度のM原料、低純度T原料、あるいは低純度の初期合金から高純度のM含有固体生成物を製造するという目的が達成された。特に、初期合金のO含有量に対する要求はなく、初期合金は低真空または大気環境でも製造することができるため、製造コストが大幅に削減され、製造工程が簡素化され、これは明らかな有益な効果である。
【0356】
第六、低結晶性ナノ酸化Mが濃度を下げた後の中間溶液中でゼロからある程度まで析出する特性を利用し、界面活性剤や修飾剤の添加を組み合わせることで、析出した微細な低結晶性ナノ酸化M粒子をカプセル化し、合体及び成長を抑制することにより、低結晶性ナノ酸化M粒子の粒径及び形態を制御し、Mを含む超微細な低結晶性ナノ酸化物を製造することができる。Dナノ粒子と混合した後、Dナノ粒子がドープされた低結晶性ナノ酸化M が得られる。一方、従来のナノ金属酸化物の製造プロセスでは、中間溶液から粒子がゼロからある程度析出する過程がなく、界面活性剤や改質剤の添加によって粒子の粒径および形態を制御することができない。
【0357】
第七、M-T金属間化合物中に固溶したD元素は、濃塩基との反応過程でナノポーラスD構造を形成せず、拡散、転位、凝集によりDナノ粒子を生成するという特性を利用し、中間溶液からDナノ粒子の分離、あるいは低結晶性ナノ酸化MからDナノ粒子の分離により、Dナノ粒子の製造を実現した。この過程で生成する低結晶性ナノ酸化Mの準安定かつ超微細な特性により、酸溶液反応による溶解が可能となる。
【0358】
第八、この一連の発明は、高温高圧での長時間の水熱反応を必要とせず、常圧で実施することができる(もちろん、高温高圧での反応でも、記載した生成物を得ることは十分可能である)。本発明の反応温度は、溶液の沸点温度または沸点温度付近(溶液中の塩基濃度にもよるが、おおよそ75℃~200℃程度であり、比較的温和である)であり、必要な初期合金は、「合金溶解+鋳造+粉砕」または「合金溶解+溶融ストリッピング」のような方法によって大規模に製造することができ、必要な溶解原料は、M、Tのような通常の純度または低純度の原料であることができる。特に重要なのは、重要な反応時間が数十秒から数分と短く、極めて効率的であり、反応温度、圧力などの条件を精確に制御することができることである。これらの特徴により、製造工程が大幅に素化され、生産効率が向上し、製造コストが削減され、対応する製品を低コスト、常圧、高効率で大規模的に製造することが可能になった。
【0359】
従って、本発明の製造方法は、単純なプロセス、簡単な操作、高効率、低コストの特徴を有し、熱処理と組み合わせることで、異なる結晶性を有するナノ酸化M生成物、または異なる結晶性を有するDナノ粒子がドープされたナノ酸化M生成物を製造することができ、ポリマー系ナノ複合材料、セラミック材料、センサー、触媒材料、遮熱コーティング、光ファイバーコネクター、触媒担体、固体電解質、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料、高性能電子デバイス、および高エネルギーレーザーなどの分野において良好な応用の見通しがある。
【図面の簡単な説明】
【0360】
図1】本発明の実施例1で製造された低結晶性ナノHfO粉末のXRDパターンである。
図2】本発明の実施例1で製造された低結晶性ナノHfO粉末のTEM形態写真及び回折スペクトルである。
図3】本発明の実施例1で製造された結晶性ナノHfO粉末のXRDパターンである。
図4】本発明の実施例1で製造された結晶性ナノHfO粉末のTEM形態写真及び回折スペクトルである。
図5】本発明の実施例2で製造された低結晶性ナノZrO粉末のXRDパターンである。
図6】本発明の実施例2で製造された低結晶性ナノZrO粉末のTEM形態写真及び回折スペクトルである。
図7】本発明の実施例2で製造された結晶性ナノZrO粉末のXRDパターンである。
図8】本発明の実施例2で製造された結晶性ナノZrO粉末のTEM形態写真及び回折スペクトルである。
図9】本発明の実施例9における初期合金の凝固組織のSEM写真である。
図10】本発明の実施例9の初期合金の凝固組織における各相のエネルギースペクトルと組成検出結果を示す図である。
図11】本発明の実施例9で製造されたAgナノ粒子がドープされた低結晶性ナノ酸化Hf懸濁コロイド水溶液の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0361】
以下、具体的な実施例によりナノ金属酸化物及びナノ金属粒子の製造方法をさらに説明する。
【0362】
実施例1:本実施例は、ナノHfOの製造方法およびHfO含有セラミック材料の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0363】
HfとAlのモル比1:3に従って、スポンジハフニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ1.4%および0.8%である)および工業用アルミニウムインゴット(不純物Siの原子百分率含有量は0.4%である)の原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Hf、Al、O、H、Siを含む組成、および主にHfAl金属間化合物からなる凝固組織を有する初期合金リボンに製造した。
【0364】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン1gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に初期合金を徐々に溶解させた。1min以内に初期合金は完全に溶解し、無色透明の中間溶液が得られた。
【0365】
攪拌下、中間溶液に室温の水750mlを注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.01mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノHfO粉末が得られ、そのXRDパターンを図1に、TEM形態写真と回折スペクトルを図2に示した。 このTEM形態では、各凝集体は実際には非常に微細な多数のフロックから構成されていることに注意すべきである。
【0366】
上記低結晶性ナノHfO粉末を900℃で2時間熱処理して、粒径2nm~200nmの結晶性ナノHfO粉末を得た。得られた結晶性粉末粒子は多結晶構造であり、粒子内部に粒径2nm~15nmの多結晶粒を有し、そのXRDパターンを図3に、TEM形態写真と回折スペクトルを図4に示した。
【0367】
製造された低結晶性ナノHfO粉末とAl粉末を90:10のモル比で均一にボールミル混合し、得られた混合粉末を30MPaの加圧下でグリーン体にプレス成形した後、保圧下で1400℃まで加熱し、30min間焼成することにより、HfOとAlからなるセラミック材料を得た。
【0368】
実施例2:本実施例は、ナノZrO粉末の製造方法およびZrO含有セラミック材料の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0369】
ZrとAlのモル比1:3に従って、スポンジジルコニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ0.75%および1.1%である)および工業用アルミニウムインゴット(不純物Siの原子百分率含有量は0.4%である)の原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~20μmであり、Zr、Al、O、H、Siを含む組成、および主にZrAl金属間化合物からなる凝固組織を有する初期合金リボンに製造した。
【0370】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン0.5gを、濃度12mol/L、沸点温度(約128℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に初期合金を徐々に溶解させた。1min以内に初期合金は完全に溶解し、無色透明の中間溶液が得られた。
【0371】
攪拌下、中間溶液に室温の水800mlを注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.01mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノZrO粉末が得られ、そのXRDパターンを図5に、TEM形態写真と回折スペクトルを図6に示した。 このTEM形態では、各凝集体は実際には非常に微細な多数のフロックから構成されていることに注意すべきである。
【0372】
上記低結晶性ナノZrO粉末を900℃で2時間熱処理して、粉末粒径が2nm~200nmで、粒子内部に粒径2nm~25nmの多結晶粒を有する結晶性ナノZrO粉末(粉末粒子は多結晶粒子である)を得た。そのXRDパターンを図7に、TEM形態写真と回折スペクトルを図8に示した。
【0373】
製造された低結晶性ナノZrO粉末、Al粉末、MgO 粉末を80:10:10のモル比で均一にボールミル混合し、得られた混合粉末を100MPaの加圧下でグリーン体にプレス成形した後、保圧下で1400℃まで加熱し、30min間焼成することにより、ZrO、Al、MgOからなるセラミック材料を得た。
【0374】
実施例3:本実施例は、ナノZrO粉末の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0375】
ZrとZnのモル比1:2に従って、スポンジジルコニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ0.75%および1.1%である)および工業用亜鉛インゴットの原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Zr、Zn、O、Hを含む組成、および主にZrZn金属間化合物からなる凝固組織を有する初期合金リボンに製造した。
【0376】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン0.5gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に初期合金を徐々に溶解させた。1min以内に初期合金は完全に溶解し、無色透明の中間溶液が得られた。
【0377】
攪拌下、中間溶液に室温の水450mlを注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.01mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノZrO粉末を得た。
【0378】
上記低結晶性ナノZrO粉末を1000℃で2時間熱処理して、粉末粒径が2nm~200nmで、粉末粒子中の多結晶粒径が2nm~50nmである結晶性ナノZrO粉末を得た。
【0379】
実施例4:本実施例は、ナノZrO粉末の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0380】
ZrとAlのモル比1:3に従って、スポンジジルコニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ0.75%および1.1%である)および工業用アルミニウムインゴット(不純物Siの原子百分率含有量は0.4%である)の原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物をZr、Al、O、H、Siの組成の合金インゴットに凝固させ、粉砕して平均粒径50μm以下の凝固組織がZrAl金属間化合物を主成分とする初期合金粉末に製造した。
【0381】
常圧下、上記で製造した初期合金粉末0.5gを、濃度10mol/L、沸点温度(約125℃)のKOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に初期合金を徐々に溶解させた。2min以内に初期合金は完全に溶解し、無色透明の中間溶液が得られた。
【0382】
攪拌下、中間溶液に室温の水750mlを注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.01mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノZrO粉末を得た。
【0383】
上記低結晶性ナノZrO粉末を1000℃で2時間熱処理して、粉末粒径が2nm~200nmで、粉末粒子中の多結晶粒径が2nm~50nmである結晶性ナノZrO粉末を得た。
【0384】
実施例5:本実施例は、ナノHfOの製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0385】
HfとAlのモル比1:3に従って、スポンジハフニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ1.4%および0.8%である)および工業用アルミニウムインゴット(不純物Siの原子百分率含有量は0.4%である)の原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Hf、Al、O、H、Siを含む組成、および主にHfAl金属間化合物からなる凝固組織を有する初期合金リボンに製造した。
【0386】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン1gを、濃度15mol/L、温度 101~110℃のKOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に初期合金を徐々に溶解させた。45s以内に初期合金は完全に溶解し、無色透明の中間溶液が得られた。
【0387】
攪拌下、中間溶液に界面活性剤PVPを0.5wt.%溶解させた室温の水800mlを注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.02mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノHfO粉末を得た。
【0388】
上記低結晶性ナノHfO粉末を900℃で2時間熱処理して、粉末粒径が2nm~200nmで、粉末粒子中の多結晶粒径が2nm~50nmである結晶性ナノHfO粉末を得た。
【0389】
実施例6:本実施例は、ナノHfOの製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0390】
HfとAlのモル比1:3に従って、スポンジハフニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ1.4%および0.8%である)および工業用アルミニウムインゴット(不純物Siの原子百分率含有量は0.4%である)の原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Hf、Al、O、H、Siを含む組成、および主にHfAl金属間化合物からなる凝固組織を有する初期合金リボンに製造した。
【0391】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン0.5gを、濃度15mol/L、温度75℃のKOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に大部分の初期合金を溶解させた。
【0392】
5min後、撹拌しながら室温の水750mLを中間液に注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を40℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.02mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノHfO粉末を得た。
【0393】
上記低結晶性ナノHfO粉末を850℃で4時間熱処理して、粉末粒径が2nm~150nmで、粉末粒子中の多結晶粒径が2nm~50nmである結晶性ナノHfO粉末を得た。
【0394】
実施例7:本実施例は、ナノZrO粉末の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0395】
ZrとAlのモル比1:2に従って、スポンジジルコニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ0.75%および1.1%である)および工業用アルミニウムインゴット(不純物Siの原子百分率含有量は0.4%である)の原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Zr、Al、O、H、Siを含む組成、および主にZrAl金属間化合物からなる凝固組織を有する初期合金リボンに製造した。
【0396】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン0.5gを、濃度12mol/L、温度 101~110℃のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に初期合金を徐々に溶解させた。2min以内に初期合金は完全に溶解し、無色透明の中間溶液が得られた。
【0397】
攪拌下、中間溶液に界面活性剤CTABを0.5wt.%溶解させた室温の水750mlを注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.02mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノZrO粉末を得た。
【0398】
上記低結晶性ナノZrO粉末を1000℃で2時間熱処理して、粉末粒径が2nm~200nmで、粉末粒子中の多結晶粒径が2nm~50nmである結晶性ナノZrO粉末を得た。
【0399】
実施例8:本実施例は、ナノ(Hf-Zr)O粉末の製造方法および(Hf-Zr)O含有セラミック材料の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0400】
Zr:Hf:Alのモル比0.5:0.5:3に従って、スポンジジルコニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ0.75%および1.1%である)、スポンジハフニウム(不純物OおよびHの原子百分率含有量はそれぞれ1.4%および0.8%である)および工業用アルミニウムインゴット(不純物Siの原子百分率含有量は0.4%である)の原料を選択し、溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Zr、Hf、Al、O、H、Siを含む組成、および主に(Hf-Zr)Al金属間化合物からなる凝固組織を有する初期合金リボンに製造した。
【0401】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン0.75gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら反応させ、濃塩基溶液との反応中、水素ガスを発生させながら、熱塩基溶液に初期合金を徐々に溶解させた。1min以内に初期合金は完全に溶解し、無色透明の中間溶液が得られた。
【0402】
攪拌下、中間溶液に室温の水500mlを注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、希釈された中間溶液から固体凝集体が析出した。得られた固体凝集体を中間溶液から分離し、固体凝集体に吸着した残留塩基を0.02mol/L希塩酸水溶液で中和・洗浄し、分離・乾燥後、粒径範囲1.0nm~150nmの低結晶性ナノ(Hf-Zr)O粉末を得た。
【0403】
上記低結晶性ナノ(Hf-Zr)O粉末を850℃で4時間熱処理して、粉末粒径が2nm~200nmで、粉末粒子中の多結晶粒径が2nm~50nmである結晶性ナノ(Hf-Zr)O粉末を得た。
【0404】
製造された低結晶性ナノ(Hf-Zr)O粉末とAl粉末を30:70のモル比で均一にボールミル混合し、得られた混合粉末を30MPaの加圧下でグリーン体にプレス成形した後、保圧下で1400℃まで加熱し、30min間焼成することにより、(Hf-Zr)OとAlからなるセラミック材料を得た。
【0405】
実施例9:本実施例は、ドープされたAgナノ粒子を含むナノ酸化HfおよびAgナノ粒子の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0406】
HfとAlのモル比26:74に従って、スポンジハフニウムと工業用アルミニウムインゴットの原料を選択し、同時にAg原料を添加し、添加されたAgの含有量は総原子百分率の0.75%を占め、上記原料を溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物をHf、Al、Agの組成の初期合金インゴットに凝固させ、粉砕して平均粒径100μm以下の初期合金粉末に製造した。得られた初期合金インゴットの凝固組織を図9に示した。SEM 後方散乱では、主にAg元素が固溶した灰色のコントラストのAlHf(Ag)相と、Ag元素が固溶した少量のオフホワイトのコントラストのAlHf(Ag)金属間化合物で構成されている。図10のエネルギースペクトルに示すように、初期合金インゴット中の総Ag含有量が少ないため、エネルギースペクトル検出に誤差があり、図10で検出されたAg含有量は実際に添加されたAgより若干少なくなっている。
【0407】
常圧下、上記で製造した初期合金粉末1gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら加えた。2min以内にHfとAlの両方が塩基溶液に溶解し、中間溶液を形成した。同時に、初期合金中のAg元素が拡散と凝集によってAgナノ粒子を生成し、Agナノ粒子を含む中間溶液が得られた。
【0408】
1min後、撹拌しながら室温の水500mLを、Agナノ粒子を含む中間溶液に一度に急速に注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を2s以内に1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、濃度が低下した塩基溶液からHfを含む固体凝集体が徐々に析出し、原液中に存在するAgナノ粒子と複合化した。
【0409】
希釈溶液から固体凝集体とAgナノ粒子を分離し、洗浄・乾燥後、ドープされたAgナノ粒子を含む低結晶性ナノ酸化Hfを得た。このうち、Agナノ粒子の粒径範囲が2nm~30nmであり、低結晶性ナノ酸化Hfの粒径範囲が1nm~150nmであり、Agナノ粒子と低結晶性ナノ酸化Hfの結合は主に物理吸着結合であり、得られたAgナノ粒子がドープされた低結晶性ナノ酸化Hfの水中懸濁コロイド溶液の写真を図11に示した。凝集した低結晶性ナノ酸化Hfの色はAgナノ粒子の影響により純白ではなくオフホワイトであり、かつAgナノ粒子が均一に分散している。
【0410】
上記ドープされたAgナノ粒子を含む低結晶性ナノ酸化Hfを900℃で4時間熱処理して、Agナノ粒子の粒径範囲が3nm~50nmで、結晶性ナノHfOの粒径が2nm~200nmであるドープされたAgナノ粒子を含む結晶性ナノHfOを得た。
【0411】
上記Agナノ粒子を含む中間溶液を固液分離し、Agナノ粒子を回収し、中間溶液の残渣を除去することにより、粒径3nm~150nmのAgナノ粒子を得た。
【0412】
上記未熱処理のAgナノ粒子がドープされた低結晶性ナノ酸化Hfを0.5mol/L塩酸水溶液と5min反応させ、反応物を溶解して低結晶性ナノ酸化Hfを除去し、固液分離・洗浄後、粒径3nm~150nmのAgナノ粒子を得た。
【0413】
上記未熱処理のAgナノ粒子がドープされた低結晶性ナノ酸化Hf粉末とAl粉末を50:50のモル比で均一にボールミル混合し、得られた混合粉末を50MPaの加圧下でグリーン体にプレス成形した後、1450℃まで加熱し、30min間焼成することにより、Ag、HfOおよびAlからなるAg含有殺菌性セラミック材料を得た。
【0414】
実施例10:本実施例は、ドープされたAgナノ粒子を含むナノ酸化HfおよびAgナノ粒子の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0415】
HfとAlのモル比1:2に従って、スポンジハフニウムと工業用アルミニウムインゴットの原料を選択し、同時にAg原料を添加し、添加されたAgの含有量はHf、AlおよびAgの合計含有量の原子百分率の1%を占め、上記原料を溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Hf、Al、Agを含む組成、および主にAg元素が固溶したHfAl金属間化合物で構成されている初期合金リボンに製造した。
【0416】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン1gを、濃度15mol/L、沸点温度(約140℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら加えた。1min以内にHfとAlの両方が塩基溶液に溶解し、中間溶液を形成した。同時に、初期合金中のAg元素が拡散と凝集によってAgナノ粒子を生成し、Agナノ粒子を含む中間溶液が得られた。
【0417】
1min後、撹拌しながら室温の水1000mLを、Agナノ粒子を含む中間溶液に一度に急速に注ぎ、中間溶液中の塩基濃度を2s以内に1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、濃度が低下した塩基溶液からHfを含む固体凝集体が析出し、原液中に存在するAgナノ粒子と複合化した。
【0418】
希釈溶液から固体凝集体とAgナノ粒子を分離し、洗浄・乾燥後、ドープされたAgナノ粒子を含むナノ酸化Hfを得た。このうち、Agナノ粒子の粒径範囲が2nm~30nmであり、ナノ酸化Hfの結晶形は主に非晶質であり、粒径が1nm~150nmであり、Agナノ粒子とナノ酸化Hfの結合は主に物理吸着であった。
【0419】
上記ドープされたAgナノ粒子を含むナノ酸化Hfを900℃で4時間熱処理して、Agナノ粒子の粒径範囲が3nm~50nmで、結晶性ナノHfOの粒径が2nm~150nmであるドープされたAgナノ粒子を含む結晶性ナノHfOを得た。
【0420】
上記Agナノ粒子を含む中間溶液を固液分離し、Agナノ粒子を回収し、希酸溶液で洗浄することにより、粒径3nm~150nmのAgナノ粒子を得た。
【0421】
上記未熱処理のAgナノ粒子がドープされた非晶質ナノ酸化Hfを0.5mol/L塩酸水溶液と5min反応させ、反応物を溶解して非晶質ナノ酸化Hfを除去し、固液分離・洗浄後、粒径3nm~150nmの自由に分散できるAgナノ粒子を得た。
【0422】
実施例11:本実施例は、ドープされたAu-Agナノ粒子を含むナノ酸化ZrおよびAu-Agナノ粒子の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0423】
ZrとAlのモル比1:3に従って、スポンジジルコニウムと工業用アルミニウムインゴットの原料を選択し、同時にAg、Au原料を添加し、添加されたAgとAuの含有量がZr、Al、AgおよびAuの合計含有量に対して、それぞれ原子百分率で0.5%を占め、上記原料を溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~25μmであり、Zr、Al、Ag、Auを含む組成、および主にAg-Auが固溶したZrAl金属間化合物で構成されている初期合金リボンに製造した。
【0424】
常圧下、上記で製造した初期合金リボン0.5gを、濃度10mol/L、沸点温度(約125℃)のKOH水溶液50mlに撹拌しながら加えた。1min以内にZrとAlの両方が塩基溶液に溶解し、中間溶液を形成した。同時に、初期合金中のAg、Au元素が拡散と凝集によって、自由に分散可能なAg-Auナノ粒子を生成し、Ag-Auナノ粒子を含む中間溶液が得られた。
【0425】
1min後、撹拌しながら室温の水750mLを、Ag-Auナノ粒子を含む中間溶液に一度に急速に注ぎ、溶液中の塩基濃度を2s以内に1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、濃度が低下した塩基溶液からZrを含む固体凝集体が析出し、原液中に存在するAg-Auナノ粒子と複合化した。
【0426】
希釈溶液から固体凝集体とAg-Auナノ粒子を分離し、洗浄・乾燥後、ドープされたAg-Auナノ粒子を含む低結晶性ナノ酸化Zrを得た。このうち、Ag-Auナノ粒子の粒径範囲が2nm~30nmであり、低結晶性ナノ酸化Zrの結晶形は主に非晶質であり、粒径が1nm~150nmであり、Ag-Auナノ粒子とナノ酸化Zrの結合は主に物理吸着であった。
【0427】
上記ドープされたAg-Auナノ粒子を含む低結晶性ナノ酸化Zrを900℃で4時間熱処理して、Ag-Auナノ粒子の粒径範囲が3nm~50nmで、結晶性ナノ酸化Zrの粒径が3nm~150nmであるドープされたAg-Auナノ粒子を含む結晶性ナノ酸化Zrを得た。
【0428】
上記Ag-Auナノ粒子を含む中間溶液を固液分離し、Ag-Auナノ粒子を回収し、希酸溶液で洗浄することにより、粒径2nm~150nmのAg-Auナノ粒子を得た。
【0429】
上記未熱処理のAg-Auナノ粒子がドープされた低結晶性ナノ酸化Zrを0.5mol/L塩酸水溶液と5min反応させ、反応物を溶解して低結晶性ナノ酸化Zrを除去し、固液分離・洗浄後、粒径3nm~150nmの自由に分散できるAg-Auナノ粒子を得た。
【0430】
実施例12:本実施例は、ドープされたAuナノ粒子を含むナノ酸化ZrおよびAuナノ粒子の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0431】
ZrとZnのモル比1:3に従って、スポンジジルコニウムと工業用亜鉛インゴットの原料を選択し、同時にAu原料を添加し、添加されたAuの含有量がZr、Zn、Auの合計含有量に対して、原子百分率で0.5%を占め、上記原料を溶融して均質な合金溶融物を得た。得られた合金溶融物をZr、Zn、Auの組成の初期合金インゴットに凝固させ、さらに粉砕して平均粒径1mm程度で、相組成は主にAuが固溶したZrZn金属間化合物で構成されている初期合金粗粉に製造した。
【0432】
常圧下、上記で製造した初期合金粗粉1gを、濃度10mol/L、沸点温度(約125℃)のKOH水溶液50mlに撹拌しながら加えた。
【0433】
10min以内に初期合金粗粉の反応が完了し、ZrとZnの両方が塩基溶液に溶解し、中間溶液を形成した。同時に、初期合金中のAu元素が拡散と凝集によって、Auナノ粒子を生成し、Auナノ粒子を含む中間溶液が得られた。
【0434】
攪拌下、室温の水750mLを、Auナノ粒子を含む中間溶液に一度に急速に注ぎ、溶液中の塩基濃度を2s以内に1mol/L以下まで低下させ、温度を45℃以下まで低下させ、濃度が低下した塩基溶液からZrを含む固体凝集体が析出し、原液中に存在するAuナノ粒子と複合化した。
【0435】
希釈溶液から固体凝集体とAuナノ粒子を分離し、洗浄・乾燥後、ドープされたAuナノ粒子を含む低結晶性ナノ酸化Zrを得た。このうち、Auナノ粒子の粒径範囲が2nm~30nmであり、ナノ酸化Zrの結晶形は主に非晶質であり、粒径が1nm~150nmであり、Auナノ粒子と低結晶性ナノ酸化Zrの結合は主に物理吸着であった。
【0436】
上記ドープされたAuナノ粒子を含む低結晶性ナノ酸化Zrを900℃で4時間熱処理して、Auナノ粒子の粒径範囲が3nm~50nmで、結晶性ナノ酸化Zrの粒径が3nm~150nmであるドープされたAuナノ粒子を含む結晶性ナノ酸化Zrを得た。
【0437】
上記Auナノ粒子を含む中間溶液を固液分離し、Auナノ粒子を回収し、希酸溶液で洗浄することにより、粒径2nm~75nmのAuナノ粒子を得た。
【0438】
上記未熱処理のAuナノ粒子がドープされた非晶質ナノ酸化Zrを0.5mol/L塩酸水溶液と5min反応させ、反応物を溶解して低結晶性ナノ酸化Zrを除去し、固液分離・洗浄後、粒径3nm~75nmの自由に分散できるAuナノ粒子を得た。
【0439】
以上に説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせてもよい。説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明しなかったが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲と見なされるべきである。
【0440】
以上に説明した実施例は、本発明の幾つかの実施形態を示しているに過ぎず、その説明が比較的具体的及び詳細的であるが、これをもって発明の保護範囲を制限するものであると理解されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の構想を逸脱しない限り、幾つかの変形及び改進を行うことができ、これらは、いずれも本発明の保護範囲に属する。従って、本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲に準ずるべきである。
図1
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図10
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【国際調査報告】