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特表2024-528456視点画像ワーピングシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-30
(54)【発明の名称】視点画像ワーピングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/50 20060101AFI20240723BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240723BHJP
   G06T 5/60 20240101ALI20240723BHJP
   G06T 5/77 20240101ALI20240723BHJP
【FI】
G06T5/50
G06T7/00 350B
G06T5/60
G06T5/77
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579044
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022031833
(87)【国際公開番号】W WO2022271425
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/356,223
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, ジム シー.
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ジアン
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057CE17
5B057DA07
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC16
5B057DC40
5L096AA02
5L096AA06
5L096CA05
5L096DA01
5L096EA33
5L096FA06
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA40
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
電子デバイスは、処理済み画像データに基づいて画像を表示するための電子ディスプレイを含み得る。電子デバイスはまた、処理済み画像データを生成するための画像処理回路構成を含み得る。画像処理回路構成は、第1のパースペクティブの画像に対応する入力画像データを受信し、入力画像データを第1のパースペクティブから第2のパースペクティブにワーピングして、ワーピング後画像データを生成し得る。加えて、画像処理回路構成は、第2のパースペクティブの1つ以上のオクルージョン領域を決定し、オクルージョン領域に対応する充填データを決定し得る。処理済み画像データは、ワーピング後画像データと充填データとを組み合わせることによって生成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理済み画像データに少なくとも部分的に基づいて画像を表示するように構成されている電子ディスプレイと、
画像処理回路構成であって、
第1のパースペクティブの前記画像に対応する入力画像データを受信し、前記入力画像データを、前記第1のパースペクティブから第2のパースペクティブにワーピングして、ワーピング後画像データを生成し、
前記第2のパースペクティブの1つ以上のオクルージョン領域を決定し、
前記1つ以上のオクルージョン領域に対応する充填データを決定し、
前記ワーピング後画像データと前記充填データとを組み合わせることによって、前記処理済み画像データを生成する、ように構成されている画像処理回路構成と、
を備える、電子デバイス。
【請求項2】
前記1つ以上のオクルージョン領域が、前記第1のパースペクティブでは見えない前記第2のパースペクティブの前記画像の部分を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記画像処理回路構成が、前記第2のパースペクティブを示す空間の画素グリッドであって、前記画素グリッドのグリッド点が、前記第1のパースペクティブから前記第2のパースペクティブへのマッピングを定義する、画素グリッドを決定するように構成されている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記画像処理回路構成が、前記1つ以上のオクルージョン領域に対応する前記画素グリッドの1つ以上の部分を無効領域として指定するように構成されている、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記無効領域にはワーピング操作が適用されず、前記無効領域に対して前記入力画像データがフェッチされない、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記入力画像データをワーピングすることが、前記第1のパースペクティブから前記第2のパースペクティブへの前記マッピングを決定することと、前記マッピングに従って前記入力画像データの部分をフェッチして前記画素グリッドを解決することと、を含む、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上のオクルージョン領域のうちのオクルージョン領域の前記充填データを決定することが、
第3のパースペクティブの前記画像に対応する第2の入力画像データを受信することと、
前記第2の入力画像データを、前記第3のパースペクティブから前記第2のパースペクティブにワーピングして、第2のワーピング後画像データを生成することと、
前記オクルージョン領域に対応する前記第2のワーピング後画像データの部分を、前記充填データとして選択することと、を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
2つ以上のカメラを備え、前記入力画像データ及び前記第2の入力画像データが、前記2つ以上のカメラのうちの異なるカメラからの画像キャプチャに基づいて生成される、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記1つ以上のオクルージョン領域のうちのオクルージョン領域の前記充填データを決定することが、
前記オクルージョン領域の周囲の画像特性を解析することと、
解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の部分を推定することと、
前記画像の推定された前記部分に少なくとも部分的に基づいて前記充填データを決定することと、を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記画像処理回路構成が、ペインティングアルゴリズムを介して、解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の前記部分を推定するように構成されている、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記1つ以上のオクルージョン領域のうちのオクルージョン領域の前記充填データを決定することが、前記ワーピング後画像データの部分又は前記入力画像データの部分を前記オクルージョン領域の周囲に沿ってブレンディングすることを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
画像の第1の視点(POV)に対応する入力画像データを画像処理回路構成を介して受信することと、
前記第1のPOVからの前記入力画像データを第2のPOVにワーピングして、ワーピング後画像データを生成することと、
前記第2のPOVのオクルージョン領域であって、前記オクルージョン領域が、前記第1のPOVでは見えない前記第2のPOVの前記画像の部分を含む、オクルージョン領域を決定することと、
前記オクルージョン領域に対応する充填データを決定することと、
前記ワーピング後画像データと前記充填データとを組み合わせることによって、処理済み画像データを生成することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記第2のPOVを示す空間の画素グリッドであって、前記画素グリッドのグリッド点が、前記第1のPOVから前記第2のPOVへのマッピングを定義する、画素グリッドを決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オクルージョン領域におけるサンプリング又はリサンプリングを低減することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記オクルージョン領域の前記充填データを決定することが、
前記オクルージョン領域の周囲の画像特性を機械学習アルゴリズムを介して解析することと、
解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の前記部分を前記機械学習アルゴリズムを介して推定することと、含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の視点(POV)を示す第1の空間の画像に対応する入力画像データを受信し、
前記第1の空間から前記第2の空間へのワーピングに少なくとも部分的に基づいて、第2のPOVを示す第2の空間の画素グリッドであって、前記画素グリッドのグリッド点が、前記第1の空間の前記入力画像データの座標へのマッピングを定義する、画素グリッドを決定し、
前記入力画像データの前記座標への前記マッピングに少なくとも部分的に基づいて、前記入力画像データの部分をフェッチし、
前記画素グリッドに従って、前記入力画像データのフェッチされた前記部分に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の空間においてワーピング後画像データを生成する、
ように構成されている、画像処理回路構成。
【請求項17】
前記画像処理回路構成が、
前記第2の空間のオクルージョン領域であって、前記オクルージョン領域が、前記第1のPOVでは見えない前記第2のPOVの前記画像の部分を含む、オクルージョン領域を決定し、
前記オクルージョン領域に対応する充填データあって、前記充填データが、前記オクルージョン領域の位置における前記第2のPOVの前記画像を推定する、充填データを決定する、ように構成されている、請求項16に記載の画像処理回路構成。
【請求項18】
前記画像処理回路構成が、前記ワーピング後画像データと前記充填データとをブレンディングすることによって、前記第2の空間において処理済み画像データを生成するように構成されている、請求項17に記載の画像処理回路構成。
【請求項19】
前記1つ以上のオクルージョン領域のうちのオクルージョン領域の前記充填データを決定することが、前記ワーピング後画像データの部分又は前記入力画像データの部分を、前記オクルージョン領域の周囲に沿ってブレンディングすることを含む、請求項17に記載の画像処理回路構成。
【請求項20】
前記画素グリッドが、階層的四分木グリッドを含む、請求項16に記載の画像処理回路構成。
【請求項21】
画像の第1の視点(POV)に対応する入力画像データを受信する手段と、
前記入力画像データを前記第1のPOVから第2のPOVにワーピングして、ワーピング後画像データを生成する手段と、
前記第2のPOVのオクルージョン領域であって、前記オクルージョン領域が、前記第1のPOVでは見えない前記第2のPOVの前記画像の部分を含む、オクルージョン領域を決定する手段と、
前記オクルージョン領域に対応する充填データを決定する手段と、
前記ワーピング後画像データと前記充填データとを組み合わせることによって、処理済み画像データを生成する手段と、
を備える、システム。
【請求項22】
前記第2のPOVを示す空間の画素グリッドであって、前記画素グリッドのグリッド点が、前記第1のPOVから前記第2のPOVへのマッピングを定義する、画素グリッドを決定する手段を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記オクルージョン領域の前記充填データを決定する前記手段が、
前記オクルージョン領域の周囲の画像特性を解析する手段と、
解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の前記部分を推定する手段と、を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
処理済み画像データを表示するように構成されている電子ディスプレイと、
第1の視点(POV)の入力画像データの、第2の視点(POV)のワーピング後画像データへのワーピングに少なくとも部分的に基づいて、前記処理済み画像データを出力するように構成されている画像処理回路構成と、
を備える、電子デバイス。
【請求項25】
前記画像処理回路構成が、前記第1のPOVでは見えない前記第2のPOVのオクルージョン領域を決定し、前記第2のPOVに現れると推定される画像データを使用して前記オクルージョン領域を充填する、ように構成されている、請求項24に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は概して、画像処理に関し、特に、視点の変化を補正する画像ワーピング操作に関する。
【0002】
本セクションは、以下に説明及び/又は特許請求されている、本開示の様々な態様に関連し得る様々な技術態様を読者に紹介することを意図するものである。本解説は、本開示の様々な態様をより良く理解するための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。したがって、これらの記述は、この観点から読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないことを理解されたい。
【0003】
電子デバイスは多くの場合、1つ以上の電子ディスプレイを使用して、1つ以上の画像を表示することによりテキスト、静止画像、及び/又はビデオなどの視覚情報を提示する。例えば、このような電子デバイスは、数ある中でもとりわけ、コンピュータ、携帯電話、ポータブルメディアデバイス、タブレット、テレビ、仮想現実ヘッドセット、及び車両ダッシュボードを含み得る。画像を表示するために、電子ディスプレイは、対応する画像データに少なくとも部分的に基づいて、その表示画素の発光を制御し得る。
【0004】
画像は、特定の解像度又は画素値の分布を有する領域を画定する画像データによって表され得る。しかしながら、場合によっては、異なる表示シナリオに対応するために、解像度又は画素値の分布を変更することが望ましい場合がある。例えば、画像データは、周囲環境、表示特性、視聴者の視点(Point-Of-View、POV)、及び視聴者に知覚される画像を歪める可能性がある他の要因を考慮してワーピングされ得る。したがって、表示される前に、画像データは、知覚される画像が歪んだものとならないように、画素値の量又は分布に対する所望の変化を使用して画像をワーピングするように処理され得る。しかしながら、少なくとも場合によって、POVの変化に対してワーピングするとき、画像データが存在しないオブジェクトが見せられることがあり、これは画像アーチファクトにつながり得る。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示の特定の実施形態の要約を以下に記載する。これらの態様は、単にこれらの特定の実施形態の概要を読者に提供するために提示されており、これらの態様は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。実際に、本開示は、以下に記載されていない様々な態様を包含し得る。
【0006】
いくつかのシナリオでは、画像がキャプチャ又はレンダリングされたパースペクティブと視聴者の視点(POV)/パースペクティブとの間の差に起因して、視聴者によって知覚されるときに画像が歪んで見えることがある。さらに、ディスプレイに対する(例えば、位置及び/又は視線追跡に基づいて判定される)視聴者のPOVは、視聴者がどのように画像を知覚するかを変え得る。例えば、拡張現実、仮想現実、又は複合現実デバイスでは、画像は、事前に又はリアルタイムでキャプチャされ、あたかも画像が現実であるかのように、拡張あり又はなしで視聴者に表示され得る。しかしながら、画像は、視聴者が通常経験するはずのものと異なるPOVでキャプチャされたものであり得る。例えば、オブジェクトは、画像が補正されないままである場合、それ自体又は他のオブジェクトに対して、より短く、より高く、より広く、より小さく、あるいはパースペクティブから外れて見えることがある。したがって、表示される前に、画像データは、知覚される画像が低減された歪みを有するか又は歪みを有さないように画像をワーピングするように処理され得る。
【0007】
POVワーピングは、画像が表示されると、視聴者のパースペクティブと一致するパースペクティブから見えるように、画像データを変えるのを補助することができる。このようなPOVワーピングはまた、オブジェクトの相対位置をシフトさせ、画像内に1つ以上のオクルージョン領域を生成し得る。例えば、前景オブジェクトは、ワーピングの後に、以前は入力画像の一部ではなかったオブジェクト又は背景の一部分が見えるように、POVワーピングにおいてシフトし得る。よって、いくつかの実施形態では、オクルージョン領域は、ブレンディングすること、新しい画素値を生成すること、又は(例えば、追加のカメラからの)追加の画像キャプチャによって充填され得る。加えて又は代わりに、いくつかの実施形態では、オクルージョン領域の充填において、機械学習(例えば、深層学習)を利用して、欠落画素値を推定し得る。
【0008】
加えて、いくつかの実施形態では、POVワーピングに対する補正は、画素グリッドを利用して、入力画像データ内の画素位置を、視聴者のPOVに対して補正されたワーピング後位置にマッピングし得る。画素グリッドの生成中、オクルージョンは、関連付けられた入力画像データを有さない無効領域として識別され得る。オクルージョン領域は充填データで充填されるので、無効領域は、操作効率を高めるために画像データをワーピングしフェッチするときに無視してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の様々な態様は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照すると、より良く理解され得る。
【0010】
図1】一実施形態に係る、電子ディスプレイを含む電子デバイスのブロック図である。
【0011】
図2】一実施形態に係る、ハンドヘルドデバイスの形態の図1の電子デバイスの例である。
【0012】
図3】一実施形態に係る、タブレットデバイスの形態の図1の電子デバイスの別の例である。
【0013】
図4】一実施形態に係る、コンピュータの形態の図1の電子デバイスの別の例である。
【0014】
図5】一実施形態に係る、ウォッチの形態の図1の電子デバイスの別の例である。
【0015】
図6】一実施形態に係る、ワーピング補償ブロックを含む図1の電子デバイスのディスプレイパイプラインのブロック図である。
【0016】
図7】一実施形態に係る、ワーピング処理ブロックのブロック図である。
【0017】
図8】一実施形態に係る、ソースフレームからPOVワーピング後フレームへの視点(POV)ワーピングの概略図である。
【0018】
図9】一実施形態に係る、POVワーピング後画像データを決定する例示的なプロセスのフローチャートである。
【0019】
図10】一実施形態に係る、階層的グリッドのベースパーティションの概略図である。
【0020】
図11】一実施形態に係る、図10の階層的グリッドのパーティションを決定する例示的なプロセスである。
【0021】
図12】一実施形態に係る、図10の階層的グリッドのパーティションを決定する例示的なプロセスである。
【0022】
図13】一実施形態に係る、図10の階層的グリッドのパーティションを決定する例示的プロセスの概略図である。
【0023】
図14】一実施形態に係る、例示的な階層的補間プロセスの概略図である。
【0024】
図15】一実施形態に係る、複数のベースパーティションを有する階層的グリッドの概略図である。
【0025】
図16】一実施形態に係る、ソースフレームからワーピング後フレームにワーピング操作をマッピングする際に階層的グリッドを使用する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の1つ以上の特定の実施形態を以下に説明する。説明されるこれらの実施形態は、本明細書で開示されている技法の例に過ぎない。加えて、これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、本明細書に実際の実装形態の全ての特徴が示されるとは限らない。あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるのと同様、このようないずれかの実際の実装形態の開発では、実装形態ごとに変動し得るシステム関連及びビジネス関連の制約への準拠などの開発者の具体的な目標を達成するために、実装形態に特有の多くの決定がなされなければならないことを理解されたい。そのうえ、このような開発作業は複雑で時間がかかる可能性があるが、それでも、本開示の利益を有する当業者には、設計、製作、及び製造の日常の仕事であり得ることを理解されたい。
【0027】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するときに、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、1つ以上の要素があることを意味することが意図されている。用語「を備える、を含む(comprising)」、「を含む(including)」、及び「を有する(having)」は、包括的であることを意図し、列挙した要素以外の追加的な要素があり得ることを意味する。加えて、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」の参照は、記載した特徴が同様に組み込まれる追加の実施形態の存在を除外するように解釈されることを意図したものではないことを理解されたい。そのうえ、B「に基づく」Aという表現は、AがBに少なくとも部分的に基づくことを意味することが意図されている。また、「又は」という用語は、包括的であること(例えば、論理和)を意図しており、排他的であること(例えば、排他的論理和)を意図するものではない。換言すれば、A「又は」Bという表現は、Aか、Bか、又はAとBの両方を意味することが意図されている。
【0028】
電子デバイスは、視覚情報を提示するために電子ディスプレイを使用することが多い。このような電子デバイスは、数ある中でもとりわけ、コンピュータ、携帯電話、ポータブルメディアデバイス、タブレット、テレビ、仮想現実ヘッドセット、及び車両ダッシュボードを含み得る。電子ディスプレイは、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの形態を取り得る。
【0029】
画像を表示するために、電子ディスプレイは、その表示画素の輝度(及び、その結果として、色)を、特定の解像度で受信される対応する画像データに基づいて制御する。例えば、画像データソースは、各画素のデータが、対応する画素位置に位置する1つ以上の表示画素の目標輝度(例えば、明るさ及び/又は色)を示す画素データのストリームとして画像データを提供し得る。いくつかの実施形態では、画像データは、例えば、RGB画像データ(例えば、RGB、sRGB)と総称される、赤色成分画像データ、青色成分画像データ、及び緑色成分画像データを介して、色成分ごとの輝度を示し得る。加えて又は代わりに、画像データは、輝度チャネル及び1つ以上の色度チャネル(例えば、YCbCr、YUVなど)、グレースケール(例えば、グレーレベル)、又は他の色基準によって示され得る。本明細書で開示されているような輝度チャネルは、線形、非線形、及び/又はガンマ補正後輝度値を包含し得ることを理解されたい。
【0030】
いくつかのシナリオでは、表示されることになる画像は、変えられていない場合、視聴者によって知覚されるときに歪んで見えることがある。歪みは、環境効果、ディスプレイの属性、視聴者の視点(POV)のパースペクティブ、シフト及びスケーリングなどの画像処理ワーピング、及び/又は他の歪み要因に起因する可能性がある。例えば、ディスプレイは、補正なしで表示された場合に画像を歪める可能性がある湾曲したエッジ及び/又はレンズ効果を有する、不透明又は透明な画面を含み得る。さらに、ディスプレイに対する(例えば、位置及び/又は視線追跡に基づいて判定される)視聴者のPOVは、視聴者がどのように画像を知覚するかを変え得る。例えば、拡張現実(Augmented Reality、AR)、仮想現実(Virtual Reality、VR)、又は複合現実(Mixed Reality、MR)デバイスでは、画像は、事前に又はリアルタイムでキャプチャされ、あたかも画像が現実であるかのように、拡張あり又はなしで視聴者に表示され得る。しかしながら、画像は、画像が現実であった場合に視聴者が通常経験するはずのものと異なるPOVでキャプチャされたものであり得る。例えば、オブジェクトは、それ自体又は他のオブジェクトに対して、より短く、より高く、より広く、より小さく、あるいはパースペクティブから外れて見えることがある。したがって、表示される前に、画像データは、知覚される画像が低減された歪みを有するか又は歪みを有さないように画像をワーピングするように処理され得る。
【0031】
POVワーピングは、画像内に1つ以上のオクルージョン領域を生じさせ得る。例えば、前景オブジェクトは、ワーピングの後に、以前は入力画像の一部ではなかったオブジェクト又は背景の一部分が見えるように、POVワーピングにおいてシフトし得る。よって、いくつかの実施形態では、オクルージョン領域は、ブレンディング、新しい画素値の生成、(例えば、追加のカメラからの)追加の画像キャプチャなどによって充填され得る。加えて又は代わりに、いくつかの実施形態では、オクルージョン領域の充填において、機械学習(例えば、深層学習)を利用して、欠落画素値を推定し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、いくつかの種類のワーピング、例えば、POVワーピングに対する補正は、画素グリッドを利用して、入力画像データ内の画素位置を、視聴者のPOVに対して補正されたワーピング後位置にマッピングし得る。しかしながら、より粗いグリッドを使用するワーピングは、画像アーチファクトをもたらし得る一方で、より細かいグリッドワーピングは、処理帯域幅に負担をかけ、及び/又は追加の時間を要し得る。画像アーチファクトを回避し、効率を高めるために、階層的グリッドは、ワーピング操作を実行するときに可変グリッドパーティションサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、階層的グリッドは、画像データの、対応する部分に関連付けられた画像統計情報に応じて、グリッドパーティションを4分の1に反復的に分割することによって決定される四分木グリッド構造を有し得る。例えば、階層的グリッドは、64×64画素パーティションから開始することによって決定され得る。画像統計情報(例えば、均質性、オクルージョン、知覚される深度、エッジ、又はより細かいワーピング計算を必要とし得る他の画像特徴)に応じて、グリッドのその特定の64×64パーティションはフルなパーティションのままとするか、又はパーティションは、4つの32×32画素のパーティションに分割され得る。各新しいパーティションは、所望の粒度に達するまで、画像統計情報に応じて維持されるか、又はさらに分割され得る。さらに、いくつかのパーティションは、ディスプレイのアクティブ領域の外にあることによって、又はオクルージョンを含むものとして、無効として指定され得る。本明細書で解説されるように、無効領域は、帯域幅を低減するためにワーピングでは無視してもよく、必要に応じて(例えば、アクティブ領域において)別個に充填され得る。
【0033】
各パーティションの入力画像データへの座標マッピングにより、階層的補間を使用して各グリッド点の座標を求め得る。例えば、32×32画素パーティションに対応する座標は、64×64パーティション座標から補間され得る。続いて、16×16画素パーティションに対応する座標は32×32パーティション座標などから補間され得、同様のことが各グリッド点の座標マッピングが決定されるまで続けられ得る。加えて、補間の各ステージにおいて、パーティションサイズの座標が利用可能である(例えば、グリッドが64×64パーティションよりも小さいパーティションに分割された)場合、対応する画素の座標は、グリッドの一部としてすでに算出されている可能性があり、補間される代わりに直接使用され得る。
【0034】
アーチファクトの可能性が低いパーティションにおけるワーピング計算を低減し、画像統計情報に基づいて特定の領域において、より細かいワーピング操作を実行することによって、画像品質を維持しながら、処理時間及び/又は帯域幅使用量を低減し得る。そのうえ、短縮された処理時間は、ユーザの位置/POVの変化に対するリアルタイム又は拡張フィードバックを提供し得る。理解されるように、グリッドサイズは一例であり、限定するものではない。さらに、画素グリッドに関する開示された技法は、POVワーピング、幾何学的歪みワーピング、時間的ワーピングなどのワーピングを含むがこれらに限定されない複数の異なる画像処理操作のいずれかに使用され得る。実際、他の画像処理操作は、効率の向上及び/又は処理時間の短縮のために階層的グリッド構造を利用し得る。したがって、画像品質を改善し、及び/又は効率を高めるために、本開示は、一般的な階層的グリッドのための、及び拡張POVワーピングのための技法を提供する。
【0035】
階層的グリッドを利用する電子デバイス10の一実施形態を図1に示す。以下に、より詳細に説明するように、電子デバイス10は、ハンドヘルド電子デバイス、タブレット電子デバイス、ノートブックコンピュータなどの、任意の好適な電子デバイスであり得る。したがって、図1は特定の実装形態の一例に過ぎず、電子デバイス10内に存在し得る構成要素の種類を示すことを意図するものであることに留意されたい。
【0036】
電子デバイス10は、1つ以上の電子ディスプレイ12と、入力デバイス14と、入出力(I/O)ポート16と、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサコアを有するプロセッサコア複合体18と、ローカルメモリ20と、メインメモリストレージデバイス22と、ネットワークインタフェース24と、電源26と、画像処理回路構成28と、を備え得る。図1に示す様々な構成要素は、ハードウェア要素(例えば、回路構成)、ソフトウェア要素(例えば、命令を記憶する有形で非一時的なコンピュータ可読媒体)、又はハードウェア要素とソフトウェア要素の両方の組合せを含み得る。理解されるように、この様々な構成要素は、組み合わせてより数の少ない構成要素としてもよく、又は分離して追加の構成要素としてもよいことを留意されたい。例えば、ローカルメモリ20及びメインメモリストレージデバイス22は、単一の構成要素に含まれ得る。加えて、画像処理回路構成28(例えば、グラフィック処理ユニット、ディスプレイ画像処理パイプラインなど)が、プロセッサコア複合体18に含まれ得る。
【0037】
プロセッサコア複合体18は、ローカルメモリ20及びメインメモリストレージデバイス22に動作可能に結合され得る。ローカルメモリ20及び/又はメインメモリストレージデバイス22は、プロセッサコア複合体18によって実行可能な命令及び/又はプロセッサコア複合体18によって処理されることになるデータを格納する有形で非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。例えば、ローカルメモリ20は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)を含み得、メインメモリストレージデバイス22は、読み取り専用メモリ(Read Only Memory、ROM)、フラッシュメモリなどの書き換え可能不揮発性メモリ、ハードドライブ、光学ディスク及び/又は同様のものを含み得る。
【0038】
プロセッサコア複合体18は、ローカルメモリ20及び/又はメインメモリストレージデバイス22に記憶されている命令を実行して、ソース画像データの生成などの動作を実行し得る。よって、プロセッサコア複合体18は、1つ以上の汎用マイクロプロセッサ、1つ以上の特定用途向けプロセッサ(Application Specific Processor、ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルロジックアレイ(Field Programmable Logic array、FPGA)、又はその任意の組合せを含み得る。
【0039】
例えば、ネットワークインタフェース24は、電子デバイス10を、Bluetoothネットワークなどのパーソナルエリアネットワーク(Personal Area Network、PAN)、802.11x Wi-Fiネットワークなどのローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)、及び/又は4G、LTE、若しくは5Gセルラネットワークなどの広域ネットワーク(Wide Area Network、WAN)に接続し得る。このようにして、ネットワークインタフェース24は、電子デバイス10が画像データをネットワークに送信すること、及び/又はネットワークから画像データを受信することを可能にし得る。
【0040】
電源26は、電子デバイス10内のプロセッサコア複合体18及び/又は他の構成要素を動作させるための電力を供給し得る。したがって、電源26は、充電式リチウムポリマ(Lithium polymer、Li-poly)バッテリ及び/又は交流(alternating current、AC)電力変換器などの任意の好適なエネルギー源を含み得る。
【0041】
I/Oポート16は、電子デバイス10が様々な他の電子デバイスとインタフェースすることを可能にし得る。入力デバイス14は、ユーザが電子デバイス10とインタラクションすることを可能にし得る。例えば、入力デバイス14は、ボタン、キーボード、マウス、トラックパッドなどを含み得る。加えて又は代わりに、電子ディスプレイ12は、その画面(例えば、電子ディスプレイ12の表面)をタッチするオブジェクトの出現及び/又は位置を検出することにより電子デバイス10へのユーザ入力を可能にするタッチ感知構成要素を含み得る。
【0042】
電子ディスプレイ12は、オペレーティングシステムのグラフィカルユーザインタフェース(Graphical User Interface、GUI)、アプリケーションインタフェース、テキスト、静止画、又はビデオコンテンツを表示し得る。画像を表示することを容易にするために、電子ディスプレイ12は、1つ以上の表示画素を有するディスプレイパネルを含み得る。加えて、それぞれの表示画素は、各々が色成分(例えば、赤色、青色、又は緑色)の輝度を制御する1つ以上の部分画素を含み得る。本明細書で使用される場合、表示画素は、部分画素(例えば、赤色、緑色、及び青色部分画素)の集合を指し得、又は単一の部分画素を指し得る。
【0043】
上述のとおり、電子ディスプレイ12は、対応する画像データに少なくとも部分的に基づいて、部分画素の輝度を制御することによって画像を表示し得る。いくつかの実施形態では、画像データは、例えば、ネットワークインタフェース24及び/又はI/Oポート16を介して別の電子デバイスから受信され得る。加えて又は代わりに、画像データは、プロセッサコア複合体18及び/又は画像処理回路構成28によって生成され得る。そのうえ、いくつかの実施形態では、電子デバイス10は、複数の電子ディスプレイ12を含み得、並びに/又はネットワークインタフェース24及び/若しくはI/Oポート16を介して接続されるなど、1つ以上の外部電子ディスプレイ12のための画像処理を(例えば、画像処理回路構成28を介して)実行し得る。
【0044】
電子デバイス10は、任意の好適な電子デバイスであり得る。説明に役立つものとして、好適な電子デバイス10の一例、具体的にはハンドヘルドデバイス10Aを図2に示す。
いくつかの実施形態では、ハンドヘルドデバイス10Aは、ポータブル電話機、メディアプレーヤ、パーソナルデータオーガナイザ、ハンドヘルドゲームプラットフォーム及び/又は同様のものであり得る。例えば、ハンドヘルドデバイス10Aは、Apple Inc.から入手可能なiPhone(登録商標)モデルなどのスマートフォンであり得る。
【0045】
ハンドヘルドデバイス10Aは、例えば、内部構成要素を物理的破損から守り、及び/又は電磁干渉から遮蔽するエンクロージャ30(例えば、ハウジング)を含み得る。加えて、エンクロージャ30は、電子ディスプレイ12を少なくとも部分的に囲み得る。図示の実施形態では、電子ディスプレイ12は、アイコン34のアレイを有するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)32を表示している。例として、アイコン34が電子ディスプレイ12の入力デバイス14又はタッチ感知構成要素のいずれかによって選択されると、アプリケーションプログラムが起動し得る。
【0046】
さらに、入力デバイス14は、エンクロージャ30の開口部を通して設けられ得る。上述のとおり、入力デバイス14は、ユーザがハンドヘルドデバイス10Aとインタラクションすることを可能にし得る。例えば、入力デバイス14は、ユーザがハンドヘルドデバイス10Aをアクティブ若しくは非アクティブにすること、ユーザインタフェースをホーム画面にナビゲーションすること、ユーザインタフェースをユーザが構成変更可能なアプリケーション画面にナビゲーションすること、音声認識機能をアクティブにすること、音量調節を提供すること、及び/又は振動モードと鳴動モードとの間でトグルすることを可能にし得る。そのうえ、I/Oポート16もまた、エンクロージャ30を通して開けられる。加えて、電子デバイスは、写真又はビデオをキャプチャするための1つ以上のカメラ36を含み得る。いくつかの実施形態では、カメラ36は、電子ディスプレイ12上の仮想現実又は拡張現実の可視化と併せて使用され得る。
【0047】
好適な電子デバイス10の別の例、具体的にはタブレットデバイス10Bを図3に示す。例示として、タブレットデバイス10Bは、Apple Inc.から入手可能なiPad(登録商標)モデルであってもよい。好適な電子デバイス10の更なる例、具体的にはコンピュータ10Cを図4に示す。例示として、コンピュータ10Cは、Apple Inc.から入手可能なMacbook(登録商標)又はiMac(登録商標)モデルであってもよい。好適な電子デバイス10の別の例、具体的には携帯時計10Dを図5に示す。例示として、ウォッチ10Dは、Apple Inc.から入手可能なApple Watch(登録商標)モデルであってもよい。図示のように、タブレットデバイス10B、コンピュータ10C、及び携帯時計10Dも各々、電子ディスプレイ12、入力デバイス14、I/Oポート16、及びエンクロージャ30を含む。
【0048】
上述のとおり、電子ディスプレイ12は、画像データに少なくとも部分的に基づいて画像を表示し得る。電子ディスプレイ12上に対応する画像を表示するために使用される前に、画像データは、例えば、画像処理回路構成28を介して処理され得る。概して、画像処理回路構成28は、1つ以上の電子ディスプレイ12上に表示するために画像データを処理し得る。例えば、画像処理回路構成28は、ディスプレイパイプライン、メモリツーメモリスケーラ及びローテータ(Memory-to-memory Scaler and Rotator、MSR)回路構成、ワーピング補償回路構成、又は画像データを処理する追加のハードウェア又はソフトウェア手段を含み得る。画像データは、画像アーチファクトを低減又は除去し、1つ以上の異なるソフトウェア又はハードウェア関連の影響を補償し、及び/又は1つ以上の電子ディスプレイ12上に表示するために画像データをフォーマットするために、画像処理回路構成28によって処理され得る。理解されるように、本技法は、スタンドアロン回路構成、ソフトウェア、及び/又はファームウェアにおいて実装されてもよく、ディスプレイパイプライン若しくはMSR回路構成の一部である、ディスプレイパイプライン若しくはMSR回路構成とは別個である、及び/又はディスプレイパイプライン若しくはMSR回路構成と並列であると見なされ得る。
【0049】
説明に役立つものとして、画像処理回路構成28を含む電子デバイス10の一部分を図6に示す。いくつかの実施形態では、画像処理回路構成28は、電子デバイス10内の回路構成、電子ディスプレイ12内の回路構成、又はその組合せによって実装され得る。例えば、画像処理回路構成28は、プロセッサコア複合体18、電子ディスプレイ12内のタイミングコントローラ(Timing CONtroller、TCON)、又はその任意の組合せに含まれ得る。理解されるように、画像処理が、本明細書ではいくつかの画像データ処理ブロックを介して実行されるものとして解説されているが、実施形態は、本明細書で解説される技法を実行するためのハードウェア又はソフトウェア構成要素を含み得る。
【0050】
電子デバイス10はまた、画像データソース38、ディスプレイパネル40、及び/又は画像処理回路構成28と通信するコントローラ42を含み得る。いくつかの実施形態では、電子ディスプレイ12のディスプレイパネル40は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、又は任意の他の好適な種類のディスプレイパネル40であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ42は、画像処理回路構成28、画像データソース38、及び/又はディスプレイパネル40の動作を制御し得る。動作の制御を容易にするために、コントローラ42は、コントローラプロセッサ44及び/又はコントローラメモリ46を含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラプロセッサ44は、プロセッサコア複合体18、画像処理回路構成28、電子ディスプレイ12内のタイミングコントローラ、別個の処理モジュール、又はその任意の組合せに含まれて、コントローラメモリ46に記憶されている命令を実行し得る。加えて、いくつかの実施形態では、コントローラメモリ46は、ローカルメモリ20、メインメモリストレージデバイス22、別個の有形で非一時的なコンピュータ可読媒体、又はその任意の組合せに含まれ得る。
【0051】
画像処理回路構成28は、電子ディスプレイ12に表示されることになる所望の画像に対応するソース画像データ48を画像データソース38から受信し得る。ソース画像データ48は、8ビット固定小数点αRGBフォーマット、10ビット固定小数点αRGBフォーマット、符号付き16ビット浮動小数点αRGBフォーマット、8ビット固定小数点YCbCrフォーマット、10ビット固定小数点YCbCrフォーマット、12ビット固定小数点YCbCrフォーマット、及び/又は同様のものなど、任意の好適なソースフォーマットを用いて、所望の画像に対応するターゲット特性(例えば、画素データ)を示し得る。いくつかの実施形態では、画像データソース38は、プロセッサコア複合体18、画像処理回路構成28、又はその組合せに含まれ得る。さらに、ソース画像データ48は、線形色空間、ガンマ補正後色空間、又は任意の他の適切な色空間に存在し得る。本明細書で使用される場合、画素又は画素データは、部分画素(例えば、赤、緑、及び青などの個々の色成分画素)のグループ化、又は部分画素自体を指し得る。
【0052】
上述のとおり、画像処理回路構成28は、画像データソース38から受信したソース画像データ48を処理するように動作し得る。データソース38は、カメラ36からのキャプチャされた画像、メモリに記憶された画像、プロセッサコア複合体18によって生成されたグラフィックス、又はその組合せを含み得る。画像処理回路構成28は、ワーピング処理ブロック52などの画像データ処理ブロック50(例えば、回路構成、モジュール、又は処理ステージ)の1つ以上のセットを含み得る。理解されるように、複数の他の処理ブロック54もまた、色管理ブロック、ディザブロック、回転ブロックなどの画像処理回路構成28に組み込まれ得る。さらに、いくつかの実施形態では、複数のワーピング処理ブロック52は、画像処理回路構成28の異なる適用に別個のワーピング操作を提供するために使用され得る。例えば、異なるワーピング処理ブロック52は、異なる画像データソース38からの画像データ(例えば、キャプチャされた画像、グラフィカルに生成された画像など)に使用され得る。画像データ処理ブロック50は、ソース画像データ48を受信して処理し、ディスプレイパネル40によって解釈可能なフォーマット(例えば、デジタルフォーマット及び/又は解像度)で表示画像データ56を出力し得る。さらに、画像処理回路構成28によって実行される機能(例えば、動作)は、様々な画像データ処理ブロック50の間で分配されてもよく、「ブロック」という用語が本明細書で使用される場合、画像データ処理ブロック50の間に論理的な分離があってもなくてもよい。
【0053】
ワーピング処理ブロック52は、1つ以上のワーピング操作中に異なる表示シナリオを考慮して、画素値の量(例えば、解像度)又は分布(例えば、形状、相対的サイズ、パースペクティブなど)を変更することによって、知覚される画像品質を改善することを容易にし得る。説明に役立つものとして、図7は、視点(POV)ワーピングサブブロック60と階層的グリッド補間サブブロック62とを含むワーピング処理ブロック52のブロック図58である。概して、ワーピング処理ブロック52は、入力画像データ64を受信し、1つ以上のワーピングを入力画像データ64に適用することによって処理済み画像データ66を生成し得る。理解されるように、ワーピング処理ブロック52は、幾何学的ワーピング、レンズ補正ワーピング、時間的ワーピングなどのための他のワーピングサブブロックを含み得る。そのうえ、POVワーピングサブブロック60を、1つ以上の他のワーピングと組み合わせて(例えば、スタックして)、組み合わせワーピング操作とし得る。
【0054】
POVワーピングサブブロック60は、例えば、1つ以上のカメラ36を介した、表示されることになる画像のキャプチャと比較して、ディスプレイに対する(例えば、位置、アイレリーフ、及び/又は焦点に基づいて決定される)視聴者のPOVに対する補償を提供し得る。そのうえ、視聴者のPOVは、視線追跡などの任意の適切な方法によって監視され得る。加えて、視聴者の高さは、ユーザ入力、又は電子デバイス10と電子デバイス10に対する視聴者の推定位置との間の相対的な高さの差に基づいて決定され得る。
【0055】
非限定的な例として、拡張現実、仮想現実、又は複合現実デバイスは、以前に又はリアルタイムで画像をキャプチャし、あたかも画像が物理的に視聴者の視野内にあるかのように、画像を拡張あり又はなしで視聴者に表示し得る。しかしながら、画像は、視聴者が通常経験するはずのものと異なるパースペクティブでキャプチャされたものであり得、このことは、視聴者が画像をどのように知覚するかを変え得る。例えば、オブジェクトは、それ自体又は他のオブジェクトに対して、より短く、より高く、より広く、より小さく、あるいはパースペクティブから外れて見えることがある。したがって、いくつかの実施形態では、POVワーピングサブブロック60は、知覚される画像が低減された歪みを有するか又は歪みを有さないように、画像データが表示される前に画像データをワーピングし得る。
【0056】
いくつかのシナリオでは、ソースフレーム70(別名、ソース空間)からPOVワーピング後フレーム72(別名、ワーピング後空間)へのPOVワーピング68は、図8に示すように、画像76内に1つ以上のオクルージョン領域74を生じさせ得る。例えば、前景オブジェクト78は、POVワーピング68の後に、以前は画像76の一部ではなかった前景オブジェクト又は背景80の一部分が見えるように、POVワーピング68においてシフトし得る。よって、POVワーピング68の後に、ソースフレーム70内の入力画像データ64へのマッピングを有さないPOVワーピング後フレーム72の部分が存在し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、ワーピング処理ブロック52は、POVワーピング後フレーム72内のオクルージョン領域74を充填するための画像データを生成し得る。例えば、オクルージョン領域74は、オクルージョン領域74の周囲の画素値をブレンディングすることによって、若しくは別の時間に(例えば、元のキャプチャの前又は後に)、1つ以上の異なる角度から、及び/又は異なるパースペクティブを有する追加の画像キャプチャデバイス(例えば、カメラ36)によって、キャプチャされた画像などの追加の画像キャプチャからの画像データ使用することによって、充填され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ステレオのカメラ36は、互いのオクルージョン領域74を低減又は除去するように組み合わせられ得るパースペクティブを提供する。このような場合、第2のカメラ36からの入力画像データ64は、POVワーピング後フレーム72へのPOVワーピング68がなされ得、オクルージョン領域74に対応する部分が充填データとして使用され得る。加えて又は代わりに、いくつかの実施形態では、ワーピング処理ブロック52は、ペインティングアルゴリズム及び/又は機械学習(例えば、深層学習)を利用することによって、オクルージョン領域74の画素値を推定し、充填するために新しい画素値を生成し得る。
【0058】
加えて、いくつかの実施形態では、オクルージョン領域74のエッジとオーバーラップする又は隣接するウィンドウ82を用いてサンプリング又はリサンプリングが行われ得る。いくつかのシナリオでは、オクルージョン領域74の境界にわたるフィルタリングは、アーチファクト84を生じさせ得る。よって、いくつかの実施形態では、オクルージョン領域74の周りの領域について、フィルタリングは低減又は除外され得る。
【0059】
図9は、ワーピング処理ブロック52によって実行される例示的なプロセス86のフローチャートである。概して、ワーピング処理ブロック52は、入力画像データ64及び/又は入力画像データ64を示す画像統計情報を受信し得る(プロセスブロック88)。ワーピング処理ブロック52はまた、POVワーピング68を画素グリッドに適用して、ソースフレーム70内の画素位置のPOVワーピング後フレーム72内の画素位置へのマッピングを生成し得る(プロセスブロック90)。入力画像データ64は、ワーピング後画素グリッド座標値に従って、POVワーピング後フレーム72にマッピングされ得る(プロセスブロック92)。加えて、オクルージョン領域74の充填データが決定され得る(プロセスブロック94)。POVワーピング後フレーム72内の充填データとワーピング後画像データは、処理済み画像データ66を生成するために結合(例えば、ブレンディング)され得(プロセスブロック96)、次いで、処理済み画像データ66は、他の処理ブロック54及び/又はディスプレイパネル40に出力され得る(プロセスブロック98)。
【0060】
いくつかの実施形態では、異なる種類のワーピングを適用するために、例えば、POVワーピング68及び/又はワーピング処理ブロック52は、画素グリッドを利用して、ソースフレーム70内の画素位置を、視聴者のPOVに対して補正されたPOVワーピング後フレーム72内の位置にマッピングし得る。画素グリッド上でワーピングを実行することにより、すべての入力画像データをフェッチ又は処理することなく画素座標のマッピングを作成することにより、効率を高め得る。例えば、POVワーピング68又は他のワーピング操作の後、特定の画像データが不要になる可能性があり、未使用データのフェッチ及び/又は処理を低減又は除外することにより、効率を高め得る。概して、画素グリッドは、ソースフレーム70(すなわち、ソース空間)内の入力画像データ64の座標へのマッピングを定義するグリッド点を含み得る。マッピングは、ソフトウェア又はハードウェアで実現し得るPOVワーピング68に基づいて生成され得る。マッピングを決定した後、グリッド点の座標マッピングに対応する入力画像データ64の部分をフェッチして画素グリッドを解決し、POVワーピング後フレーム72内に画像76を生成し得る。
【0061】
いくつかのシナリオでは、より粗いグリッドを使用するワーピングは、ボケなどの1つ以上の画像アーチファクトをもたらすことがある。一方、より細かいグリッドを使用するワーピングは、向上した鮮明さ及び低減された画像アーチファクトを提供し得るが、より細かいグリッドは、処理帯域幅に負担をかけ、及び/又はレンダリングするのに追加の時間を要し得る。よって、いくつかの実施形態では、ワーピング処理ブロック52は、図10に示すように、階層的グリッド100を利用し得る。階層的グリッド100は、ワーピング操作を実行するとき、可変サイズのグリッドパーティション102A、102B、102C、102D(集合的に102と呼ばれる)を有し得る。例えば、各ワーピング後グリッドパーティション102は、ソースフレーム70内の単一の画素座標を、グリッドパーティション102の角部又は中心グリッド点など、ワーピング後フレーム(例えば、POVワーピング後フレーム72)内の単一の画素に相関させ得る。グリッドパーティション102の粒度に応じて、グリッドパーティション102内のいくつか(例えば、より粗い/より大きいグリッドパーティション102についてはより大きい数、より細かい/より小さいグリッドパーティション102についてはより小さい数)の他のグリッド点について、ソースフレーム70にマッピングされる座標が、(例えば、階層的グリッド補間サブブロック62によって)補間され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、階層的グリッド100は、入力画像データ64の対応する部分に関連付けられた画像統計情報に応じて、グリッドパーティション102を4分の1に反復的に分割又はマージングすることによって決定される四分木グリッド構造を有し得る。例えば、階層的グリッド100は、比較的大きなグリッドパーティション102の均一なグリッド106から開始するトップダウン分割104を介して決定されてもよい。粗い均一なグリッド106は、階層的グリッド100に到達する前に、0、1、又はもっと多くの中間分割パーティションステージ108を経ることがある。加えて又は代わりに、階層的グリッド100は、ボトムアップマージング110によって生成され得る。ボトムアップマージング110は、階層的グリッド100に到達する前に、0、1、又はもっと多くの中間マージングパーティションステージ114を経ることがある比較的小さいグリッドパーティション102の均一なグリッド112から開始してもよい。そのうえ、トップダウン分割104及び/又はボトムアップマージング110は、反復的に又は単一パスで達成され得る。さらに、ベースパーティション116は、トップダウン分割104中に、粗い均一グリッド106が開始し得る所望の最大粒度に応じて設定され得る。同様に、いくつかの実施形態では、ボトムアップマージング110は、ベースパーティション116よりも大きいグリッドパーティション102を含むようにマージングしなくてもよい。本明細書では四分木グリッド構造を有するものとして解説されているが、階層的グリッド100は、実装形態に応じて任意の適切な構造を使用することができる。例えば、階層的グリッドの構造は、各階層的な層/レベルにおいて、半分、4分の1、8分の1、又は任意の適切な分数に分岐し得る。
【0063】
さらなる説明に役立つものとして、図13は、図10による64×64ベースパーティション116のトップダウン分割104である。理解されるように、ベースパーティション116のサイズ(例えば、64×64)、最小パーティション102(例えば、4×4グリッドパーティション102D)、及び/又は分割若しくはマージングのステップサイズは、帯域幅及び/又は画像品質要求などの実装形態に応じて変動し得る。概して、対応する入力画像データ64の画像統計情報(例えば、均質性、オクルージョン、アクティブ領域位置、知覚される深度、エッジ、及び/又はより細かいワーピング計算を必要とし得る他の画像特徴)に応じて、特定のベースパーティション116は、そのままとするか、4つの32×32グリッドパーティション102Aに分割され得る。各新しいグリッドパーティション102は維持されるか、あるいはそれ以上の分割が望まれなくなるまで、又は最小のパーティション102が達成されるまで、画像統計情報に応じてさらに分割され得る。例えば、グリッドパーティション102が大体均質であり、オクルージョン領域74を有さない場合、グリッドパーティション102は維持され得るが、グリッドパーティション102がオクルージョンを有するか、(例えば、設定若しくは計算されたパラメータに対して)著しく不均質であるか、又は設定若しくは計算されたしきい値量よりも大きいエッジ若しくは知覚される深度の変化を含む場合、グリッドパーティション102を分割して、このような関心領域における粒度を高め得る。図示の例では、1つの32×32グリッドパーティション102Aが、4つの16×16グリッドパーティション102Bに分割され、16×16グリッドパーティション102Bのうちの1つが、4つの8×8グリッドパーティション102Cに分割される。
【0064】
入力画像データ64に対する関心領域の画像統計情報に基づいて粒度を調節することに加えて、階層的グリッド100は、ディスプレイ12のアクティブ領域に基づいてパーティション化され得る。例えば、入力画像データ64は、画像76の表示される部分(例えば、アクティブ領域)の外側にある画像76の部分を含み得る。いくつかの実施形態では、アクティブ領域の外側にあり、かつ/又はオクルージョン領域74に対応する階層的グリッド100のグリッドパーティション102は、無効領域118又はパーティションとして指定され得る。いくつかの実施形態では、無効領域118は、帯域幅使用量を低減し、速度及び効率を高めるために、ワーピングでは無視してもよい(例えば、対応する入力画像データ64がフェッチされない)。
【0065】
ワーピング(例えば、POVワーピング68、幾何学的ワーピング、時間的ワーピングなど)がPOVワーピングサブブロック60又は階層的グリッド補間サブブロック62によって階層的グリッド100に適用されるとき、各グリッドパーティション102の少なくとも1つの特性グリッド点が、入力画像データ64のソースフレーム70内の画素座標にマッピングされる。マッピングは、ディスプレイ12、画像キャプチャ機構(例えば、カメラ36)、又は関心オブジェクトに対する、視聴者の目の位置、アイレリーフ、目の焦点、及び/又は他のPOV計算に対応するPOVパラメータに基づいて、ハードウェア又はソフトウェアで計算され得る。理解されるように、実装形態に応じて、グリッドパーティション102ごとに2つ以上の特性グリッド点がマッピングされ得る。そのうえ、特性グリッド点は、参照の便宜上、グリッドパーティション102のエッジ、角部、又は中央に合わせられ得る。例えば、特性グリッド点は、各グリッドパーティション102の左上角のグリッド点であり、ソースフレーム70内の座標(例えば、入力画像データ64の画素グリッドに対する「x」及び「y」座標)にマッピングされ得る。さらに、各グリッドパーティション102の特性グリッド点マッピングは既知である(例えば、算出されている)一方、グリッドパーティション102の追加のグリッド点は、パーティションマッピングから不明であり得る。よって、階層的グリッド補間サブブロック62は、既知の特性グリッド点座標マッピング間で階層的補間を行い、残りのグリッド点マッピングの座標を決定し得る。
【0066】
図14は、ベースパーティション116(例えば、64×64グリッドパーティション)から始まる階層的補間の概略図120である。ベースパーティション116がより小さいグリッドパーティション102に分割されていない場合、複数の周囲のベースパーティション116の特性グリッド点の既知のx及びy座標マッピングを使用して、特性グリッド点の既知の座標マッピング間の中間点を補間し得る。階層的グリッド100の構成により、このような中間点は、次の層の32×32グリッドパーティション102Aの特性グリッド点に合わせられ得る。よって、32×32グリッドパーティション102A及びベースパーティション116の特性グリッド点が決定され得る。さらに、最小グリッドパーティション(例えば、4×4グリッドパーティション102D)の特性グリッド点が決定されるまで、ベースパーティション116及び32×32グリッドパーティション102Aの特性グリッド点を補間して、16×16グリッドパーティション102Bなどの特性グリッド点を決定し得る。しかしながら、ベースパーティション116が既により小さいグリッドパーティション102に分割されている場合、より小さいグリッドパーティションの特性グリッド点の少なくともいくつかはすでに算出されている可能性があり、したがって、補間なしにワーピング後グリッドを完成するために利用することできる。実際に、階層的補間の各層において、既知の値がそれぞれのグリッドパーティション(例えば、102A~102D)から入力され得、未知の値は補間され得る。いくつかの実施形態では、反復補間は、以前に補間された座標マッピングを利用して、追加の座標マッピングを補間し得る。
【0067】
さらに、補間は、座標マッピングが1×1グリッドパーティションサイズに対して補間され、ソースフレーム70の入力画像データ64へのワーピング後グリッド内の各画素位置に対するマッピングが完了するまで継続し得る。理解されるように、双線形又は双曲線補間など、補間用の任意の適切な方法が座標マッピングを補間するために使用され得る。いくつかの実施形態では、より正確な補間(例えば、双曲線補間)が、32×32グリッド点補間及び16×16グリッド点補間などの上位の層の補間を決定する際に使用され得、一方、1×1グリッド補間などの下位の層の補間は、双線形補間などのより効率的な補間方法を使用し得る。理解されるように、本明細書では「x」及び「y」座標を使用するものとして述べられているが、任意の適切な座標系を使用して、入力画像データ64をPOVワーピング後フレーム72などのワーピング後画像データにマッピングし得る。さらに、いくつかの実施形態では、「x」と「y」座標の補間を別々に処理し、補間の並列処理を可能にし得る。
【0068】
階層的補間のさらなる説明に役立つものとして、図15は、複数のベースパーティション116を有する階層的グリッド100の概略図である。上記で解説したように、ベースパーティション116の特性グリッド点122のマッピングは、ソースフレーム70から宛先フレーム(例えば、POVワーピングフレーム72又は他のワーピング後フレーム)へのワーピングに基づいて計算され得る。ベースパーティション116がより小さいグリッドパーティション102に分割されていない場合、ベースパーティション116の特性グリッド点122の既知のx及びy座標マッピングを使用して、グリッド点122の間の中間にグリッド点を補間し得る。階層的グリッド100の構成により、このような補間されたグリッド点は、32×32グリッドパーティション102Aなどの次の層のグリッドパーティション102の特性グリッド点124に合わせられ得る。よって、32×32グリッドパーティション102A及びベースパーティション116の特性グリッド点124は、第1のレベルの補間の後に知られ得る。加えて、ベースパーティション116のうちの1つ以上が32×32グリッドパーティション102A又はより小さいグリッドパーティション102B~102Dに分割されている場合、32×32グリッドパーティション102Aの特性グリッド点124のうちのいくつかは、ワーピング計算からすでに知られている可能性がある。いくつかの実施形態では、以前に計算されたグリッド点に対する補間はスキップされても実行されてもよく、ワーピング計算がなされたグリッド点を優先して、無視してもよい。
【0069】
ベースパーティション116の特性グリッド点122及び32×32グリッドパーティション102Aの特性グリッド点124を使用して、16×16グリッドパーティション102Bの特性グリッド点126を補間し得る。32×32グリッドパーティション102Aの場合と同様に、1つ以上のベースグリッド116が16×16グリッドパーティション102B又はより小さいグリッドパーティション102C、102Dに分割されている場合、16×16グリッドパーティション102Bの特性グリッド点126のいくつかは、ワーピング計算からすでに知られている可能性がある。反復される補間は、ワーピング操作により、あるいは補間によって、各グリッド点のマッピングが決定されるまで、階層的補間の各層において継続し得る。
【0070】
加えて、最も左上のグリッド点として示されているが、理解されるように、ベースパーティション116及びグリッドパーティション102内の任意の相対位置が、特性グリッド点122、124、126として使用されてもよい。さらに、上述したように、ベースパーティション116は64×64グリッドパーティションによって例示されているが、任意の適切なサイズのベースパーティション116を利用して、各グリッド点が解決されるまで反復補間を行ってもよい。
【0071】
図16は、ソースフレーム70からワーピング操作を、POVワーピング後フレーム72などのワーピング後フレームにマッピングする際に階層的グリッド100を使用する例示的なプロセス128のフローチャートである。ワーピング処理ブロック52などの画像処理回路構成28は、入力画像データ64及び/又は入力画像データ64に基づく画像統計情報を受信し得る(プロセスブロック130)。いくつかの実施形態では、ワーピング処理ブロック52は、画像統計情報をオンザフライで決定し、及び/又は別の処理ブロック54から画像統計情報を受信し得る。画像処理回路構成28はまた、無効領域118(プロセスブロック132)及び階層的グリッド100のグリッドパーティション102(プロセスブロック134)を決定し得る。例えば、オクルージョン領域74及び/又はディスプレイ12のアクティブ領域の外側にある領域は、無効と見なされてもよく、いくつかの実施形態では、帯域幅を節約するために、無効領域118に対応する入力画像データ64がフェッチされなくてもよい。そのうえ、グリッドパーティション102は、領域が無効であるかどうか、及び/又はエッジ効果、知覚可能な深度の変化、均質性、若しくは他の画像特徴が領域内に存在するかどうかを含み得る画像統計情報に基づいて決定され得る。さらに、階層的グリッド100は、グリッドパーティション102に従ってワーピングされ得る(プロセスブロック136)。階層的グリッドをワーピングすることは、ソースフレーム70へのグリッドパーティション102の特性グリッド点のマッピングを決定すること(プロセスブロック138)と、階層的補間を決定すること(プロセスブロック140)とを含み得る。次いで、画像処理回路構成28は、ワーピング後グリッドに従って入力画像データ64をマッピングしてワーピング後画像データを生成し得(プロセスブロック142)、ワーピング後画像データを出力し得る(プロセスブロック144)。理解されるように、ソースフレーム70から宛先フレーム(例えば、ワーピング後フレーム)への入力画像データ64のマッピングを適用することは、ワーピング後グリッドのマッピングを入力画像データ64に適用すること、又はワーピング後グリッド内にマッピングされた対応する入力画像データ64の値をフェッチし、ワーピング後グリッドの適所にまとめることを含み得る。いくつかの実施形態では、オクルージョン領域74又は他の無効領域118は、存在する場合、周囲の画素値をブレンディングすることによって、別の時間に又は異なるパースペクティブを有する追加のカメラ36によってキャプチャされた画像などの追加の画像キャプチャからの画像データを使用することによって、及び/又は画像76の特性に基づいて新しい画像データを生成することによって、充填され得る。よって、処理済み画像データ66は、追加の画像処理のために、又は表示画像データ56として出力され得る。
【0072】
アーチファクトの可能性が低いパーティションにおけるワーピング計算を低減し、画像統計情報に基づいて特定の領域において、より細かいワーピング操作を実行することによって、画像品質を維持しながら、処理時間及び/又は帯域幅使用量を低減し得る。したがって、一般的な階層的グリッド及び拡張POVワーピングのための本技法は、画像品質を改善し、及び/又は効率を高め、位置/POVにおけるユーザの変化に対するリアルタイム又は拡張フィードバックを提供する。
【0073】
上記で参照したフローチャートは所与の順序で示されているが、特定の実施形態では、処理/判定ブロックの順序は、並べ替えられ、変更され、削除され、及び/又は同時に発生してもよい。加えて、参照したフローチャートは、例示的なツールとして与えられ、更なる判定ブロックやプロセスブロックもまた、実装形態に応じて追加されてもよい。
【0074】
上記の具体的な実施形態は、例として示されており、これらの実施形態は、様々な修正形態及び代替形態が可能であり得ることを理解されたい。特許請求の範囲は、開示の特定の形態に限定されることを意図するものではなく、むしろ、本開示の趣旨及び範疇内に入る全ての修正、等価物、及び代替案を網羅することを意図するものであることをさらに理解されたい。
【0075】
本明細書に提示及び特許請求されている技法は、本技術分野を実証可能に改善する、実用的な性質の有形物及び実際の例に参照及び適用されるものであり、よって、抽象的な、無形の、又は純粋に理論的なものではない。さらに、本明細書の最後に添付されている特許請求の範囲のいずれかの請求項が、「~[機能]を[実行]する手段」又は「~[機能]を[実行]するステップ」として示された1つ以上の要素を含む場合、このような要素は、米国特許法第112条(f)下で解釈されるべきことが意図されている。しかしながら、他の方法で示された要素を含む請求項については、このような要素は、米国特許法第112条(f)下で解釈されるべきではないことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理済み画像データに少なくとも部分的に基づいて画像を表示するように構成されている電子ディスプレイと、
画像処理回路構成であって、
第1のパースペクティブの前記画像に対応する入力画像データを受信し、
前記入力画像データを、前記第1のパースペクティブから第2のパースペクティブにワーピングして、ワーピング後画像データを生成し、
前記第2のパースペクティブの1つ以上のオクルージョン領域を決定し、
前記1つ以上のオクルージョン領域に対応する充填データを決定し、
前記ワーピング後画像データと前記充填データとを組み合わせることによって、前記処理済み画像データを生成する、ように構成されている画像処理回路構成と、
を備える、電子デバイス。
【請求項2】
前記1つ以上のオクルージョン領域が、前記第1のパースペクティブでは見えない前記第2のパースペクティブの前記画像の部分を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記画像処理回路構成が、前記第2のパースペクティブを示す空間の画素グリッドであって、前記画素グリッドのグリッド点が、前記第1のパースペクティブから前記第2のパースペクティブへのマッピングを定義する、画素グリッドを決定するように構成されている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記画像処理回路構成が、前記1つ以上のオクルージョン領域に対応する前記画素グリッドの1つ以上の部分を無効領域として指定するように構成されている、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記無効領域にはワーピング操作が適用されず、前記無効領域に対して前記入力画像データがフェッチされない、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記入力画像データをワーピングすることが、前記第1のパースペクティブから前記第2のパースペクティブへの前記マッピングを決定することと、前記マッピングに従って前記入力画像データの部分をフェッチして前記画素グリッドを解決することと、を含む、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上のオクルージョン領域のうちのオクルージョン領域の前記充填データを決定することが、
第3のパースペクティブの前記画像に対応する第2の入力画像データを受信することと、
前記第2の入力画像データを、前記第3のパースペクティブから前記第2のパースペクティブにワーピングして、第2のワーピング後画像データを生成することと、
前記オクルージョン領域に対応する前記第2のワーピング後画像データの部分を、前記充填データとして選択することと、を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
2つ以上のカメラを備え、前記入力画像データ及び前記第2の入力画像データが、前記2つ以上のカメラのうちの異なるカメラからの画像キャプチャに基づいて生成される、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記1つ以上のオクルージョン領域のうちのオクルージョン領域の前記充填データを決定することが、
前記オクルージョン領域の周囲の画像特性を解析することと、
解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の部分を推定することと、
前記画像の推定された前記部分に少なくとも部分的に基づいて前記充填データを決定することと、を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記画像処理回路構成が、ペインティングアルゴリズムを介して、解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の前記部分を推定するように構成されている、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記1つ以上のオクルージョン領域のうちのオクルージョン領域の前記充填データを決定することが、前記ワーピング後画像データの部分又は前記入力画像データの部分を前記オクルージョン領域の周囲に沿ってブレンディングすることを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
画像の第1の視点(POV)に対応する入力画像データを画像処理回路構成を介して受信することと、
前記第1のPOVからの前記入力画像データを第2のPOVにワーピングして、ワーピング後画像データを生成することと、
前記第2のPOVのオクルージョン領域であって、前記オクルージョン領域が、前記第1のPOVでは見えない前記第2のPOVの前記画像の部分を含む、オクルージョン領域を決定することと、
前記オクルージョン領域に対応する充填データを決定することと、
前記ワーピング後画像データと前記充填データとを組み合わせることによって、処理済み画像データを生成することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記第2のPOVを示す空間の画素グリッドであって、前記画素グリッドのグリッド点が、前記第1のPOVから前記第2のPOVへのマッピングを定義する、画素グリッドを決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オクルージョン領域におけるサンプリング又はリサンプリングを低減することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記オクルージョン領域の前記充填データを決定することが、
前記オクルージョン領域の周囲の画像特性を機械学習アルゴリズムを介して解析することと、
解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の前記部分を前記機械学習アルゴリズムを介して推定することと、含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1の視点(POV)を示す第1の空間の画像に対応する入力画像データを受信し、
前記第1の空間から前記第2の空間へのワーピングに少なくとも部分的に基づいて、第2のPOVを示す第2の空間の画素グリッドであって、前記画素グリッドのグリッド点が、前記第1の空間の前記入力画像データの座標へのマッピングを定義する、画素グリッドを決定し、
前記入力画像データの前記座標への前記マッピングに少なくとも部分的に基づいて、前記入力画像データの部分をフェッチし、
前記画素グリッドに従って、前記入力画像データのフェッチされた前記部分に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の空間においてワーピング後画像データを生成する、
ように構成されている、画像処理回路構成。
【請求項17】
前記画像処理回路構成が、
前記第2の空間のオクルージョン領域であって、前記オクルージョン領域が、前記第1のPOVでは見えない前記第2のPOVの前記画像の部分を含む、オクルージョン領域を決定し、
前記オクルージョン領域に対応する充填データあって、前記充填データが、前記オクルージョン領域の位置における前記第2のPOVの前記画像を推定する、充填データを決定する、ように構成されている、請求項16に記載の画像処理回路構成。
【請求項18】
前記画像処理回路構成が、前記ワーピング後画像データと前記充填データとをブレンディングすることによって、前記第2の空間において処理済み画像データを生成するように構成されており、
前記オクルージョン領域の前記充填データを決定することが、前記ワーピング後画像データの部分又は前記入力画像データの部分を、前記オクルージョン領域の周囲に沿ってブレンディングすることを含む、請求項17に記載の画像処理回路構成。
【請求項19】
前記オクルージョン領域の前記充填データを決定することが、
前記オクルージョン領域の周囲の画像特性を解析することと、
解析された前記画像特性に少なくとも部分的に基づいて、前記オクルージョン領域に対応する前記画像の部分を推定することと、
前記画像の推定された前記部分に少なくとも部分的に基づいて前記充填データを決定することと、を含む、請求項17に記載の画像処理回路構成。
【請求項20】
前記画素グリッドが、階層的四分木グリッドを含む、請求項16に記載の画像処理回路構成。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
階層的補間のさらなる説明に役立つものとして、図15は、複数のベースパーティション116を有する階層的グリッド100の概略図である。上記で解説したように、ベースパーティション116の特性グリッド点122のマッピングは、ソースフレーム70から宛先フレーム(例えば、POVワーピングフレーム72又は他のワーピング後フレーム)へのワーピングに基づいて計算され得る。ベースパーティション116がより小さいグリッドパーティション102に分割されていない場合、ベースパーティション116の特性グリッド点122の既知のx及びy座標マッピングを使用して、グリッド点122の間の中間にグリッド点を補間し得る。階層的グリッド100の構成により、このような補間されたグリッド点は、32×32グリッドパーティション102Aなどの次の層のグリッドパーティション102の特性グリッド点124に合わせられ得る。よって、32×32グリッドパーティション102A及びベースパーティション116の特性グリッド点124は、第1のレベルの補間の後に知られ得る。加えて、ベースパーティション116のうちの1つ以上が32×32グリッドパーティション102A又はより小さいグリッドパーティション102B~102Dに分割されている場合、32×32グリッドパーティション102Aの特性グリッド点124のうちのいくつかは、ワーピング計算からすでに知られている可能性がある。いくつかの実施形態では、以前に計算されたグリッド点に対する補間はスキップされても実行されてもよく、ワーピング計算がなされたグリッド点を優先して、無視してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
ベースパーティション116の特性グリッド点122及び32×32グリッドパーティション102Aの特性グリッド点124を使用して、16×16グリッドパーティション102Bの特性グリッド点126を補間し得る。32×32グリッドパーティション102Aの場合と同様に、1つ以上のベースパーティション116が16×16グリッドパーティション102B又はより小さいグリッドパーティション102C、102Dに分割されている場合、16×16グリッドパーティション102Bの特性グリッド点126のいくつかは、ワーピング計算からすでに知られている可能性がある。反復される補間は、ワーピング操作により、あるいは補間によって、各グリッド点のマッピングが決定されるまで、階層的補間の各層において継続し得る。
【国際調査報告】